(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
B60H1/34 611C
(21)【出願番号】P 2019112306
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2019072098
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308016242
【氏名又は名称】豊和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 良紀
【審査官】嶋田 研司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-502609(JP,A)
【文献】実公昭48-013153(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0250830(US,A1)
【文献】実開昭53-151056(JP,U)
【文献】特開平10-287126(JP,A)
【文献】特開2013-071616(JP,A)
【文献】特開2016-097692(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0172677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/34
B60H 13/065
B60H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に通風路を有した略円筒形のリテーナと、
該リテーナ内の該通風路の送風方向と平行な中心軸上の支点を中心に、上下左右に回動可能に該リテーナ内で支持されたバレルと、
該バレル内に放射状に固定配置された複数の固定フィンと、
該放射状の固定フィンの中心部で前方向に突出して取り付けられたツマミと、 を具備したレジスタであって、
該リテーナの内側に嵌入され、該バレルを内側に、上下左右に摺動可能に保持する円環状の保持フレームと、
該保持フレームの直径部分の両側に、該リテーナ内の上流側に膨出して取り付けられた略半円形の円弧状ガイドと、を備え、
該バレルは、該固定フィンを内側に設けたバレル内筒と、該バレル内筒の外側に嵌着され外周面に球面部を有するバレル外筒と、を有し、
該円弧状ガイドの両端に回動軸部が設けられ、該保持フレームの直径部分両側に、該回動軸部を回動可能に保持する軸保持部が設けられ、
該保持フレームは、ゴム状弾性体により形成されるとともに、該バレル外筒の該球面部と摺接する内球面部を有し、
該固定フィンの中心部の上流側に設けたボス部材に、該円弧状ガイドが摺接する摺動部が設けられ、
該バレルを上下左右に回動操作したとき、該軸保持部内で該回動軸部が回動し且つ該ボス部材の該摺動部が該円弧状ガイド上を摺動することを特徴とするレジスタ。
【請求項2】
前記ボス部材の摺動部に、操作荷重を付与するボス荷重付与部材が、前記円弧状ガイドに接触して設けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項3】
前記軸保持部に、操作荷重を付与する軸部荷重付与部材が、円弧状ガイドの回動軸部に接触して設けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項4】
前記円弧状ガイドは、金属または合成樹脂によって略半円形に形成され、両端に前記回動軸部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項5】
前記回動軸部を回動可能に保持する前記軸保持部内に円形凹部が設けられ、該円形凹部に該回動軸部が、回動可能に嵌合されたことを特徴とする請求項4記載のレジスタ。
【請求項6】
前記保持フレームは、分割された円弧枠片から構成され、該円弧枠片に前記軸保持部が設けられ、該円弧枠片は、前記バレル外筒の外周面を包囲して取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のレジスタ。
【請求項7】
前記保持フレームは、2分割された同一形状の円弧枠片から構成され、各円弧枠片に前記軸保持部が設けられ、該円弧枠片は、前記バレル外筒の外周面を包囲して取り付けられたことを特徴とする請求項6記載のレジスタ。
【請求項8】
前記保持フレームの該円弧枠片は熱可塑性エラストマーを用いて成形され、該円弧枠片の内側に、前記バレルの外周面と接触する複数のリブが、円弧方向に設けられたことを特徴とする請求項6記載のレジスタ。
【請求項9】
前記ボス部材の背面側に、二股脚部が設けられるとともに、前記ボス荷重付与部材及び前記円弧状ガイドが該二股脚部の内側に挿入され、キャップが、該二股脚部に嵌着されたことを特徴とする請求項2記載のレジスタ。
【請求項10】
前記軸部荷重付与部材には、前記回動軸部が嵌入する円孔が設けられたことを特徴とする請求項3記載のレジスタ。
【請求項11】
前記ボス荷重付与部材には、前記円弧状ガイドに接触する凸部が設けられたことを特徴とする請求項9記載のレジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内空調装置の空気の吹出口として使用されるレジスタに関し、特に円筒型のリテーナ内に、略円形の空気吹出口を有するバレルが、上下左右自在に回動操作される丸型のレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒フレーム内に円形の空気吹出口を有する丸型レジスタとして、円筒フレーム内に円筒型のバレルが、空気吹出口の中心部を軸に、上下左右に傾動可能に支持された構造のレジスタが、下記特許文献1などで知られている。
【0003】
このレジスタは、円筒型のバレルの内側に複数の固定フィンが放射状に設けられ、バレルの中心部に、ダンパ装置の操作ダイヤルが配置され、操作ダイヤルは、その中心軸を中心に回動操作可能に、固定フィンの中央部を支持する支持部内に支持される。操作ダイヤルの回動軸は、ケース内中央に支持された中央回動軸に、自在継手を介して連結され、自在継手は、支持部後部に配置され、中央回動軸の末端は、傘歯車を介してダンパプレートの歯部に噛合する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この種の従来の丸型レジスタは、円形の空気吹出口の中央に位置する、操作ダイヤル、自在継手及びそれを支持する固定フィンの中央支持部が必然的に大形となり、相対的に空気吹出口の開口面積が減少する。このため、空気吹出口に十分な開口面積を確保するためには、レジスタの外径を大きくする必要があり、レジスタの小型化が難しい。
【0006】
さらに、操作ダイヤル及び自在継手を保持する中央支持部の形状が大形となるため、送風時の空気抵抗が大きく、圧力損失が増大する。加えて、送風方向を変える際に、バレルを回動操作した場合、バレルが自在継手を支点に傾動し、レジスタ内の自在継手や中央支持部が正面に露出して、見栄えが悪くなり、レジスタのデザイン性が阻害される課題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、操作性が良く、送風時の圧力損失を低減でき、デザイン性に優れたレジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレジスタは、
内部に通風路を有した略円筒形のリテーナと、
該リテーナ内の該通風路の送風方向と平行な中心軸上の支点を中心に、上下左右に回動可能に該リテーナ内で支持されたバレルと、
該バレル内に放射状に固定配置された複数の固定フィンと、
該放射状の固定フィンの中心部で前方向に突出して取り付けられたツマミと、を具備したレジスタであって、
該リテーナの内側に嵌入され、該バレルを内側に、上下左右に摺動可能に保持する円環状の保持フレームと、
該保持フレームの直径部分の両側に、該リテーナ内の上流側に膨出して取り付けられた略半円形の円弧状ガイドと、を備え、
該バレルは、該固定フィンを内側に設けたバレル内筒と、該バレル内筒の外側に嵌着され外周面に球面部を有するバレル外筒と、を有し、
該円弧状ガイドの両端に回動軸部が設けられ、該保持フレームの直径部分両側に、該回動軸部を回動可能に保持する軸保持部が設けられ、
該保持フレームは、ゴム状弾性体により形成されるとともに、該バレル外筒の該球面部と摺接する内球面部を有し、
該固定フィンの中心部の上流側に設けたボス部材に、該円弧状ガイドが摺接する摺動部が設けられ、
該バレルを上下左右に回動操作したとき、該軸保持部内で該回動軸部が回動し且つ該ボス部材の該摺動部が該円弧状ガイド上を摺動することを特徴とする。
【0009】
なお、この明細書における上下左右は、前面からレジスタの正面を見たときの、上下左右であり、レジスタの通風路では、上流側が後部、下流側が前部である。
【0010】
この発明のレジスタによれば、通風路内に円弧状ガイドが配設されるが、バレル内には、固定フィン、ボス部、ツマミのみを配置することができるので、内径に比してボス部周辺を小形化することができ、従来の自在継手を設けたレジスタに比して、送風時の空気抵抗を低減し、圧力損失を少なくすることができる。またこれにより、正面からレジスタ内を見たときの見栄えをよくし、デザイン性を向上させることができる。さらに、バレルの空気吹出口に、十分な開口面積を確保するために、レジスタの外径を大きくする必要がなく、レジスタの小型化を測ることができる。
【0011】
ここで、上記ボス部材の摺動部に、操作荷重を付与するボス荷重付与部材を上記円弧状ガイドに接触して設けることが好ましく、上記軸保持部に、操作荷重を付与する軸部荷重付与部材を、円弧状ガイドの回動軸部に接触して設けることが好ましい。
【0012】
またここで、上記円弧状ガイドは、金属または合成樹脂によって略半円形に形成され、両端に上記回動軸部が形成されることが好ましい。これによれば、バレルを上下左右自在に安定して回動させることができ、風向をスムーズに変えることができる。
【0013】
またここで、上記回動軸部を回動可能に保持する軸保持部内に、円形凹部が設けられ、円形凹部に上記回動軸部を、回動可能に嵌合させることが好ましい。
【0014】
またここで、上記保持フレームは、分割された円弧枠片から構成され、該円弧枠片は上記バレル外筒の外周面を包囲して、取り付けられた構成とすることができる。また、上記保持フレームは、2分割された同一形状の円弧枠片から構成し、各円弧枠片に上記軸保持部を設けることもできる。
【0015】
またここで、上記保持フレームの円弧枠片は熱可塑性エラストマーで成形され、該円弧枠片の内側に、上記バレルの外周面と接触する複数のリブを、円弧方向に設けることが好ましい。
【0016】
またここで、上記ボス部材の背面側に、二股脚部が設けられるとともに、上記ボス荷重付与部材及び上記円弧状ガイドが該二股脚部の内側に挿入され、キャップが、該二股脚部に嵌着された構成とすることができる。
【0017】
またここで、上記ボス荷重付与部材には、円弧状ガイドに接触する凸部が設けられた構成とすることが好ましい。また、上記軸部荷重付与部材には、回動軸部が嵌入する円孔を設けた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
この発明のレジスタによれば、バレルを上下左右自在に回動操作したときの操作性を改善することができ、送風時の圧力損失を低減し、デザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態を示すレジスタの正面図である。
【
図5】保持フレームとバレル外筒の分解斜視図である。
【
図6】ツマミ、バレル内筒、ボス部材、円弧状ガイド、及びキャップ周辺の分解斜視図である。
【
図8】保持フレーム内に組み付けたバレルの、背面側から見た斜視図である。
【
図9】Aは円弧枠片の正面図、Bはその平面図、Cはその右側面図、Dはその左側面図、Eはその背面図である。
【
図10】Aは連結支持部材の正面図、Bはその平面図、Cはその背面図、Dはその底面図、Eは左側面図である。
【
図11】Aは保持フレームの斜視図、Bはその背面側から見た斜視図である。
【
図12】Aはボス荷重付与部材の正面図、Bはその左側面図、Cはその平面図、Dはその斜視図である。
【
図14】バレル外筒とバレル内筒の分解斜視図である。
【
図15】バレル外筒とバレル内筒を嵌着した状態の、背面側から見た斜視図である。
【
図18】バレルを下に振った状態の
図1のA-A断面図である。
【
図19】バレルを右に振った状態の
図1のB-B断面図である。
【
図20】バレルを上に振ったときの、保持フレーム内のバレルを背面から見た斜視図である。
【
図21】バレルを右に振ったときの、保持フレーム内のバレルを背面から見た斜視図である。
【
図22】Aは第2実施形態のリテーナ、バレル、ベゼルの分解斜視図、Bは背面側から見たベゼルの斜視図である。
【
図23】同実施形態の保持フレームとバレル外筒の分解斜視図である。
【
図24】ツマミ、バレル内筒、ボス部材、円弧状ガイド、及びキャップ周辺の分解斜視図である。
【
図25】Aは保持フレームの正面側からの斜視図、Bはその背面側からの斜視図である。
【
図26】Aは保持フレームの円弧枠片の正面図、Bはその平面図である。
【
図27】Aは円弧状ガイドの正面図、Bはその右側面図、Cはその平面図、Dはその斜視図である。
【
図28】Aは
図1のA-A断面に対応した第2実施形態の断面図、Bは同断面図のD-D断面図である。
【
図29】
図1のB―B断面に対応した第2実施形態のB-B断面図である。
【
図30】バレルを右に振ったときの、保持フレーム内のバレルを背面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。このレジスタは、車室内に設けられる空気吹出用の丸型のレジスタであり、
図1~
図3に示すように、内部に通風路31を有した略円筒形のリテーナ3と、リテーナ3内の通風路31の送風方向と平行な中心軸S(
図16)上の支点S1を中心に、上下左右に回動可能にリテーナ3内で支持されたバレル1と、バレル1内に放射状に配置された3枚の固定フィン13と、放射状の固定フィン13のボス部13a(中心部)に、前方向に突出して取り付けられたツマミ5と、を備えて構成される。
【0021】
バレル1は、
図14,15に示すように、放射状の固定フィン13を内側に設けたバレル内筒12の外側に、バレル外筒11を嵌合して形成される。
図4に示す如く、リテーナ3内の前部に、バレル1を保持する保持フレーム2を嵌入するための、保持フレーム嵌入部32が内周縁部に沿って設けられ、その上部と下部には、保持フレーム2の連結支持部材22を嵌入する連結部嵌入部33が設けられる。
図4に示す如く、リテーナ3の前部には、ベゼル4が、保持フレーム2及びバレル1を挿入した状態で、嵌着される。
【0022】
バレル1を保持する保持フレーム2は、
図11に示すように、全体として円環状に構成され、その内側に、バレル1を上下左右に回動操作したとき、摺動可能にバレル1を保持するように構成される。また、
図5に示すように、保持フレーム2は、2個の円弧枠片21と2個の連結支持部材22とから分割して構成され、各円弧枠片21と各連結支持部材22には、凹凸嵌合部27が設けられ、バレル外筒11の外周面を包囲して、2個の円弧枠片21と2個の各連結支持部材22が、凹凸嵌合部27を介して嵌合される。
【0023】
図5、
図9、
図10に示す如く、円弧枠片21の上部と下部に、凹凸嵌合部27として、凸嵌合部27aが内側を向けて設けられ、連結支持部材22の両側部に、凹嵌合部27bが設けられる。保持フレーム2は、対向して配置された2個の円弧枠片21の上部と下部の凸嵌合部27aを、上部と下部に配置した連結支持部材22の凹嵌合部27b内に嵌入させ、
図11に示すように、全体として円環状に組み付けられる。
【0024】
なお、実施形態では、円弧枠片21に凸嵌合部27aを設け、連結支持部材22に凹嵌合部27bを設けているが、逆に、円弧枠片21に凹嵌合部を設け、連結支持部材22に凸嵌合部を設けて凹凸嵌合部を構成することもできる。また、保持フレームは複数に分割した円弧枠片のみにより構成することもできる。
【0025】
保持フレーム2の円弧枠片21と連結支持部材22は、ゴム状弾性体である、例えば熱可塑性エラストマーから成形され、円弧枠片21と連結支持部材22の内側には、
図9、10に示す如く、バレル外筒11の外周面の球面部11aと同じ球面の内球面部23が形成され、内球面部23には、複数のリブ28が、円弧方向に設けられる。これにより、保持フレーム2の内側にバレル1が保持された状態で、内球面部23のリブ28がバレル1のバレル外筒11の球面部11aに良好に接触し、バレル1を上下左右自在方向に、ガタツキなく回動操作可能に保持するようになっている。
【0026】
保持フレーム2の上下の連結支持部材22には、
図10に示すように、円弧状ガイド6の回動軸部61を、回動可能に保持する軸保持部25が設けられる。円弧状ガイド6は、
図6に示すように、略半円弧状の帯状部材62から形成され、帯状部材62の両端部に円盤形の回動軸部61が設けられる。円弧状ガイド6は、
図8に示す如く、両端の回動軸部61を軸保持部25内に挿入され、所定の角度範囲で、左右に回動可能に保持される。
【0027】
このために、連結支持部材22の軸保持部25内には、円形凹部25aが設けられ、さらに円形凹部25a内には、
図5に示すように、円盤形の軸部荷重付与部材24が挿入され、円盤形の回動軸部61は
図8の如く、この軸部荷重付与部材24に接して円形凹部25a内に嵌入される。軸部荷重付与部材24は、例えばシリコーンゴムなどのゴム状弾性体により円盤形に形成され、上面に凹部24aが設けられ、バレル1の回動操作時、円弧状ガイド6が円形凹部25a内で回動したとき、適度な操作荷重を生じさせる。
【0028】
バレル1の後部位置の保持フレーム2上に、円弧状ガイド6が、背面側に膨出して取り付けられる。円弧状ガイド6は、
図6,8に示すように、略半円弧状で帯状の帯状部材62を有し、帯状部材62の両端部に、円盤形の回動軸部61が設けられる。円弧状ガイド6は、金属板から形成されるが、合成樹脂により帯状に一体成形することもできる。
【0029】
円弧状ガイド6は、例えば金属板で形成される場合、回動軸部61の部分で、適度なばね弾性力を持って内側に付勢する形状とすれば、
図8に示すように、両端の回動軸部61が、軸保持部25内で、軸部荷重付与部材24を介して、左右に回動可能に保持させる状態に、簡単に組み付けることができる。
【0030】
図8に示すように、保持フレーム2の上下の軸保持部25内で回動可能に保持される円弧状ガイド6は、背面側に膨出してバレル1の後部に連結され、円弧状ガイド6の帯状部材62には、
図6,8に示すように、バレル1の中心部の後部に設けたボス部材16が、帯状部材62の円弧方向に摺動可能に係合する。
【0031】
バレル1は、
図14,15に示すように、放射状の固定フィン13を内側に設けたバレル内筒12の外側に、バレル外筒11を嵌合して構成される。バレル内筒12内に、3個の固定フィン13が120°の間隔で放射状に設けられ、固定フィン13の中心部に、円筒状のボス部13aが形成される。固定フィン13とボス部13aはバレル1の背面側後部に突き出すように形成され、固定フィン13は、
図14,15に示すように、その側面形状がバレル内筒12の近傍で下流側に延び、ボス部側で上流側に延びるように傾斜して形成される。
【0032】
図8のように、背面側に突出したボス部13aの後端部に、ボス部材16が嵌着され、さらにボス部材16の後部にキャップ15が嵌着される。キャップ15は、円弧状ガイド6がボス部材16の摺動部14つまり二股脚部16a内から外れないように保持する機能を有し、
図16に示すように、通常時、円弧状ガイド6とは非接触状態で、二股脚部16aに嵌着される。
【0033】
図14,15に示すように、円筒形のバレル内筒12には、後部にフランジが設けられるとともに、外周面にガイドリブ12aと係止部12bが設けられる。また、
図16に示す如く、バレル内筒12の内周に、下流側に向けて開くように傾斜する傾斜内周面12cが設けられ、送風時の空気抵抗を低減している。
【0034】
バレル外筒11は、バレル内筒12の外側に外嵌される内径を有し、バレル外筒11をバレル内筒12の外側に嵌着したとき、定位置で係止されるように、ガイドリブ11bが、バレル内筒12のガイドリブ12aに対応して設けられ、係止部11cがバレル内筒12の係止部12bに係止可能に設けられる。バレル外筒11の外周面は、
図16に示すように、支点S1の中心とする球の球面部11aとして形成され、球面部11aは上記保持フレーム2の内球面部23と略同一の球面とされる。
【0035】
ボス部13aの後部に嵌着されるボス部材16は、
図6,13に示すように、円筒形の本体の後部に、二股脚部16aを後方に突設して形成され、二股脚部16a内に摺動部14が形成される。二股脚部16aには係止部16bが設けられ、キャップ15をボス部材16の後部に嵌合させたとき、キャップ15の係止部15aに係止部16bが係止されるようになっている。
【0036】
また、ボス部材16の二股脚部16a間の摺動部14に、ボス荷重付与部材18が挿入される。
図12に示すように、ボス荷重付与部材18は鉤形平面を有したシート状に形成され、二股脚部16aの間に挿入される円弧状ガイド6の帯状部材62が、ボス荷重付与部材18の外側面に摺接する構造である。
【0037】
ボス荷重付与部材18の上面(平面)には、
図12に示す如く、僅かに円弧状に膨出する曲面部18aが設けられ、円弧状ガイド6の帯状部材62がこの曲面部18aに接触して、円弧状ガイド6は、その帯状部材62を二股脚部16aの内側に挿入して取り付けられる。鉤型のボス荷重付与部材18は、二股脚部16a内の摺動部14で、帯状部材62に接触して、且つ外れを防止して取り付けられる。キャップ15を二股脚部16aに嵌着することにより、ボス荷重付与部材18は二股脚部16a内の摺動部14で摺動可能に保持される。
【0038】
バレル1の中心部におけるボス部13aの前部に、ツマミ5が嵌着される。
図7に示すように、ツマミ5の一部にキー5aが設けられ、ツマミ5をボス部13aに嵌入したとき、ボス部13aに設けたキー溝13bにツマミ5のキー5aが嵌合し、ツマミ5は定位置に嵌着される。
図6に示すように、ツマミ5は、最終的に、ボス部13aの後方から挿入された固定ねじ19により、ボス部13aに対し締め付け固定される。バレル1のバレル内筒12の前部に、空気吹出口9が開口する。
【0039】
上記構成のレジスタは、
図8に示すように、バレル1のバレル外筒11の外周面に、分割形成された保持フレーム2を組み付け、円弧状ガイド6を取り付け、キャップ15をボス部材16の二股脚部16aの先端に嵌着した状態で、リテーナ3の保持フレーム嵌入部32内に、バレル1と保持フレーム2の組付体を嵌入し、その前部からベゼル4を嵌着して、組み立てられる。
【0040】
このレジスタは、
図1,2などに示すように、空気吹出口9内に、バレル1の固定フィン13及びボス部13a上のツマミ5が現れるのみであり、デザイン的に非常にシンプルで、レジスタの正面形状を含む車室内インストルメントパネルのデザインを、改善することができる。
【0041】
また、バレル1のボス部13aを細く構成することができるため、バレル1の内径を大きくせずに、圧力損失を低減しつつ、必要な風量を確保することができる。このため、レジスタの外形つまりベゼル4及びリテーナ3の外径を、小さく細くすることができ、レジスタやインストルメントパネル全体の、デザインの自由度を向上させることができる。
【0042】
次に、上記構成のレジスタの使用態様を説明すると、レジスタは、車室内のインストルメントパネルなどに装着され、リテーナ3の後部に、空調装置の送風ダクトが接続される。
【0043】
空調装置が作動して送風が行われると、バレル1がニュートラル状態で正面を向くとき、
図16,17のように、正面に向けて真直ぐに送風される。ツマミ5を持ってバレル1を例えば下側に回動操作すると、
図18のように、バレル1は、支点S1を軸に下向きの回動力を受け、保持フレーム2内で、支点S1を中心に、斜め下向きに回動する。
【0044】
このとき、バレル外筒11の外周面を保持する保持フレーム2は、そのゴム状弾性体により、バレル外筒11を、弾性力を持って密に接して保持し回動させるため、ガタツキなくスムーズにバレル1の回動操作を行うことができる。バレル1は、
図18のように、ボス部材16のキャップ15が通風路31の内壁に当接するまで回動し、停止する。
【0045】
またこのとき、バレル1の回動は、そのボス部材16がボス荷重付与部材18を介して円弧状ガイド6に摺接して行われ、バレル1は適度の操作荷重でスムーズに回動操作される。また、円弧状ガイド6と保持フレーム2の内球面部23のガイドによっても、回動操作はガタツキなくスムーズに行われる。この操作により、送風方向が斜め下方に向けられ、送風は、リテーナ3の通風路31からバレル1内に入り、空気吹出口9から斜め下側に向けて送風される。
【0046】
送風方向を斜め上側に調整する場合も、同様であり、バレル1を上側に回動操作すると、バレル1の背面側は、
図20のように、下側に回動する。このとき、バレル1のボス部材16は、軸部荷重付与部材24を円弧状ガイド6に摺接させながら、下側に回動し、バレル1の空気吹出口9は斜め上側に向けられる。このようなバレル1の回動操作もスムーズに行うことができる。
【0047】
一方、ツマミ5を持ってバレル1を例えば右側に回動操作すると、
図19のように、バレル1は、支点S1を中心に右向きの回動力を受け、保持フレーム2内で、支点S1を中心に、斜め右向きに円弧状ガイド6とともに回動する。バレル1の回動は、
図19のように、ボス部材16のキャップ15が通風路31の内壁に当接するまで回動し、停止する。
【0048】
このとき、ボス部材16内を通る円弧状ガイド6は、その両端の回動軸部61を中心に、
図21のように回動し、且つ軸保持部25内で軸部荷重付与部材24に回動軸部61を摺接させて回動する。これにより、バレル1の回動には適度な操作荷重が付与され、スムーズに回動操作することができる。また、バレル1のバレル外筒11は、ゴム状弾性体の保持フレーム2の内球面部23内で保持されて回動するため、バレル1はガタツキなくスムーズに回動することができる。送風方向を左側に調整する場合も、同様であり、バレル1の回動操作をスムーズに行うことができる。
【0049】
さらに、バレル1のバレル外筒11の外周面を保持する保持フレーム2は、そのゴム状弾性体により、バレル外筒11に、弾性力を持って密に接し、保持した状態で、バレル1が回動する。このため、バレル1と保持フレーム2間に、隙間は生じず、隙間によって生じやすい、真直ぐに進む漏れ空気流を生じさせない。このため、漏れ空気流によって乱されることなく、バレル1の向く方向に調整された空気流を、良好に送風することができる。
【0050】
図22~
図30は、第2実施形態のレジスタを示している。このレジスタでは、保持フレーム40の構造が変更され、円弧状ガイド7が変更され、ボス部材51、軸部荷重付与部材44、及びボス荷重付与部材58が変更されている。他の部材は、上記実施形態と同様であり、同じ部材については、
図22~
図30に同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
バレル1は、
図22に示す如く、上記と同様、放射状の固定フィン13を内側に設けたバレル内筒12の外側に、バレル外筒11を嵌合して形成される。保持フレーム嵌入部32が、
図22のように、リテーナ3の前部内周縁部に沿って設けられ、内側にバレル1を保持する保持フレーム40が嵌入される。保持フレーム嵌入部32の上部と下部には、保持フレーム40の軸保持部45を嵌入するために、凹部状の嵌入凹部35が設けられる。
【0052】
ベゼル4が、リテーナ3の前部に、保持フレーム40及びバレル1を挿入した状態で、嵌着される。
図22Bに示す如く、ベゼル4の嵌着部分の上下部に嵌合凹部4aが設けられ、保持フレーム40の円弧状ガイド7の回動軸部71が嵌合凹部4aに挿入されるようになっている。嵌合凹部4a内には、リブ4b、4cが挿入方向と平行に設けられ、さらに、ベゼル4内には、複数の当て部4dが円周上に間隔をおいて設けられる。これにより、ベゼル4の嵌入時における、摩擦抵抗を低減し、寸法のばらつきに起因したガタツキを防止している。
【0053】
バレル1を外側から保持する保持フレーム40は、
図25に示すように、全体として円環状に構成され、その内側に、バレル1を上下左右に回動操作したとき、摺動可能にバレル1を保持するように構成される。また、
図22に示すように、保持フレーム40は、円形フレームをその直径部分で等しく2分割された同じ形状の円弧枠片41を、円形に合せて構成される。各円弧枠片41の中央部には、円弧状ガイド7の両端の回動軸部71を、回動可能に保持する軸保持部45が設けられる。
【0054】
略半円弧状の2個の円弧枠片41は、
図23に示すように、ゴム状弾性を有する熱可塑性エラストマーにより、同一形状に成形され、各円弧枠片41の両側端部に、フランジ部47が形成される。2個の円弧枠片41は、
図25のように、両側端部のフランジ部47を相互に合せて組み付けられる。
図22のように、リテーナ3の前部内には保持フレーム嵌入部32が設けられ、その保持フレーム嵌入部32内にフランジ保持溝34が設けられ、複数のリブ32bが間隔をおいて設けられる。
【0055】
保持フレーム40の組み付けは、
図22A,
図23に示す如く、内側にバレル外筒11、バレル内筒12、を挿入し、円弧状ガイド7等を組付けた状態で行われる。つまり、先ず、バレル1のバレル外筒11を外側から覆うように、上下両側の、円弧枠片41の両側端部のフランジ部47を相互に合せ、その保持フレーム40を、リテーナ3の保持フレーム嵌入部32内に挿入し、フランジ部47をフランジ保持溝34内に嵌入して、組み付けられる。保持フレーム嵌入部32内に設けたリブ32bは、嵌入時の摩擦抵抗を低減し、嵌め合い寸法のばらつきに起因したガタツキを防止する。
【0056】
円弧枠片41の内側には、
図23に示す如く、バレル外筒11の外周面の球面部11aと同じ球面の内球面部43が形成され、内球面部43には、複数のリブ48が、円弧方向に設けられる。これにより、保持フレーム40の内側にバレル1が保持された状態で、内球面部43のリブ48がバレル1のバレル外筒11の球面部11aに良好に接触し、バレル1を上下左右自在方向に、ガタツキなく回動操作可能に保持する。
【0057】
保持フレーム40の上下中央部、つまり円弧枠片41の中央部には、
図25に示すように、円弧状ガイド7の回動軸部71を、回動可能に保持する軸保持部45が設けられる。略半円形の円弧状ガイド7は、
図22A、
図28に示す如く、その上下の端部に設けた回動軸部71を、保持フレーム40の上部と下部に回動可能に保持させて取り付けられる。円弧状ガイド7は、バレル1が、保持フレーム40内で、中心軸S上の支点S1を中心に回動する際、その回動をガイドする機能を有する。
【0058】
円弧状ガイド7は、
図27に示すように、略半円弧状の円弧部74を有して形成され、円弧部74の両端部に回動軸部71が設けられる。円弧状ガイド7の円弧部74は、略楕円形の横断面を有して合成樹脂により一体成形され、バレル1の傾動操作時、必要な弾性変形が可能な構造となっている。また、円弧状ガイド7は、
図22A,
図24、
図28に示すように、その円弧部74がボス部材51の二股脚部52内を貫通して組み付けられ、バレル1の傾動操作時、ボス部材51が円弧状ガイド7の円弧部74を摺動する。
【0059】
このボス部材51の摺動時に、適度な操作荷重を付与するために、ボス荷重付与部材58が二股脚部52内に取り付けられる(
図24、
図28,
図29)。ボス荷重付与部材58には、
図24に示すように、両側端部に凸部59が設けられ、この凸部59が円弧状ガイド7の円弧部74に接触して二股脚部52内取り付けられる。このボス荷重付与部材58には、汎用の部材を利用することができる。
【0060】
一方、円弧状ガイド7の両端に設けた回動軸部71は、外側の円筒部72と内側の小円筒部73とからなり、内側の小円筒部73は、保持フレーム40の軸保持部45の円形凹部45aに、回動可能に嵌合される。これにより、円弧状ガイド7は、
図28に示す如く、両端の回動軸部71の小円筒部73を、軸保持部45の円形凹部45a(
図25)に嵌入した状態で、所定の角度範囲で、左右に回動可能に保持される。また、軸保持部45の円形凹部45aを囲うように、矩形の枠部46が設けられる。
【0061】
図22に示すように、リテーナ3内にバレル1が組み付けられるとき、バレル1の保持フレーム40の上下部に設けた回動軸部71が、その周囲の枠部46とともにリテーナ3の嵌入凹部35内に挿入される。このとき、下部の嵌入凹部35内に位置する回動軸部71の円筒部72に、円孔44aを有する軸部荷重付与部材44が嵌合される(
図24、
図28)。つまり、軸部荷重付与部材44の円孔44aに、円弧状ガイド7の回動軸部71の円筒部72が嵌入され、
図22Aのように、軸部荷重付与部材44は嵌入凹部35内に組み付けられる。これにより、バレル1の回動操作時、円弧状ガイド7が回動軸部71を中心に回動したとき、軸部荷重付与部材44と円筒部72の摩擦抵抗により、適度な操作荷重が付与される。軸部荷重付与部材44には、例えばシリコーンゴムなどのゴム状弾性体により形成される、汎用の部材を利用することができる。
【0062】
バレル1は、上記と同様、放射状の固定フィン13を内側に設けたバレル内筒12の外側に、バレル外筒11を嵌合して構成される。バレル内筒12内に、3個の固定フィン13が120°の間隔で放射状に設けられ、固定フィン13の中心部に、円筒状のボス部13aが形成される。固定フィン13とボス部13aはバレル1の背面側後部に突き出すように形成され、固定フィン13は、その側面形状がバレル内筒12の近傍で下流側に延び、ボス部側で上流側に延びるように傾斜して形成される。
【0063】
背面側に突出したボス部13aの後端部に、ボス部材51が嵌着され、さらにボス部材51の後部にキャップ15が嵌着される。キャップ15は、円弧状ガイド6がボス部材51の摺動部つまり二股脚部52内から外れないように保持する機能を有し、通常時、円弧状ガイド7とは非接触状態で、二股脚部52に嵌着される。
【0064】
図24に示すように、円筒形のバレル内筒12には、後部にフランジが設けられるとともに、外周面にガイドリブ12aと係止部12bが設けられる。また、バレル内筒12の内周に、下流側に向けて開くように傾斜する傾斜内周面が設けられ、送風時の空気抵抗を低減している。
【0065】
バレル外筒11は、バレル内筒12の外側に外嵌される内径を有し、バレル外筒11をバレル内筒12の外側に嵌着したとき、定位置で係止されるように、ガイドリブ11bが、バレル内筒12のガイドリブ12aに対応して設けられ、係止部11cがバレル内筒12の係止部12bに係止可能に設けられる。バレル外筒11の外周面は、
図23、29に示すように、支点S1の中心とする球の球面部11aとして形成され、球面部11aは上記保持フレーム40の内球面部43と略同一の球面とされる。
【0066】
上記構成のレジスタは、
図23に示すように、バレル1のバレル外筒11の外周面に、分割形成された保持フレーム40を組み付け、円弧状ガイド7を取り付け、キャップ15をボス部材51の二股脚部52の先端に嵌着した状態で、リテーナ3の保持フレーム嵌入部32内に、バレル1と保持フレーム40の組付体を嵌入し、その前部からベゼル4を嵌着して、組み立てられる。
【0067】
次に、上記構成のレジスタの使用態様を説明する。空調装置が作動してレジスタに送風を行うと、
図28,29のように、バレル1がニュートラル状態で正面を向くとき、正面に向けて真直ぐに送風される。ツマミ5を持ってバレル1を例えば右側に回動操作すると、
図30のように、バレル1は、支点S1を軸に右向きの回動力を受け、保持フレーム2内で、支点S1を中心に、右向きに回動する。
【0068】
このとき、バレル外筒11の外周面を保持する保持フレーム40は、そのゴム状弾性体により、バレル外筒11を、弾性力を持って密に接して保持し回動させるため、ガタツキなくスムーズにバレル1の回動操作を行うことができる。バレル1は、ボス部材51のキャップ15が通風路31の内壁に当接するまで回動し、停止する。
【0069】
またこのとき、バレル1の回動は、そのボス部材51がボス荷重付与部材58を介して円弧状ガイド7に摺接して行われ、バレル1は適度の操作荷重でスムーズに回動操作される。また、円弧状ガイド7と保持フレーム40の内球面部43のガイドによっても、回動操作はガタツキなくスムーズに行われる。この操作により、送風方向が斜め右方向に向けられ、送風は、リテーナ3の通風路31からバレル1内に入り、空気吹出口9から斜め右側に向けて送風される。
【0070】
送風方向を斜め上側に調整する場合も、同様であり、バレル1を上側に回動操作すると、バレル1の背面側は、下側に回動する。このとき、バレル1のボス部材51は、軸部荷重付与部材44を円弧状ガイド7に摺接させながら、下側に回動し、バレル1の空気吹出口9は斜め上側に向けられる。このようなバレル1の回動操作もスムーズに行うことができる。
【0071】
一方、ツマミ5を持ってバレル1を例えば右側に回動操作すると、バレル1は、支点S1を中心に右向きの回動力を受け、保持フレーム40内で、支点S1を中心に、斜め右向きに円弧状ガイド7とともに回動する。バレル1の回動は、ボス部材51のキャップ15が通風路31の内壁に当接するまで回動し、停止する。
【0072】
このとき、ボス部材51内を通る円弧状ガイド7は、その両端の回動軸部71を中心に回動し、且つ軸保持部45内で軸部荷重付与部材44に回動軸部71を摺接させて回動する。これにより、バレル1の回動には適度な操作荷重が付与され、スムーズに回動操作することができる。また、バレル1のバレル外筒11は、ゴム状弾性体の保持フレーム40の内球面部43内で保持されて回動するため、バレル1はガタツキなくスムーズに回動することができる。送風方向を左側に調整する場合も、同様であり、バレル1の回動操作をスムーズに行うことができる。
【0073】
さらに、バレル1のバレル外筒11の外周面を保持する保持フレーム40は、そのゴム状弾性体により、バレル外筒11に、弾性力を持って密に接し、保持した状態で、バレル1が回動する。このため、バレル1と保持フレーム40間に、隙間は生じず、隙間によって生じやすい、真直ぐに進む漏れ空気流を生じさせない。このため、漏れ空気流によって乱されることなく、バレル1の向く方向に調整された空気流を、良好に送風することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 バレル
2 保持フレーム
3 リテーナ
4 ベゼル
4a 嵌合凹部
4b リブ
4d 当て部
5 ツマミ
5a キー
6 円弧状ガイド
7 円弧状ガイド
9 空気吹出口
11 バレル外筒
11a 球面部
11b ガイドリブ
11c 係止部
12 バレル内筒
12a ガイドリブ
12b 係止部
12c 傾斜内周面
13 固定フィン
13a ボス部
13b キー溝
14 摺動部
15 キャップ
15a 係止部
16 ボス部材
16a 二股脚部
16b 係止部
18 ボス荷重付与部材
18a 曲面部
21 円弧枠片
22 連結支持部材
23 内球面部
24 軸部荷重付与部材
24a 凹部
25 軸保持部
25a 円形凹部
27 凹凸嵌合部
27a 凸嵌合部
27b 凹嵌合部
28 リブ
31 通風路
32 保持フレーム嵌入部
32b リブ
33 連結部嵌入部
34 フランジ保持溝
35 嵌入凹部
40 保持フレーム
41 円弧枠片
43 内球面部
44 軸部荷重付与部材
44a 円孔
45 軸保持部
45a 円形凹部
46 枠部
47 フランジ部
48 リブ
51 ボス部材
52 二股脚部
58 ボス荷重付与部材
59 凸部
61 回動軸部
62 帯状部材
71 回動軸部
72 円筒部
73 小円筒部
74 円弧部