(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】製品確認および製造プロセスにおいてセンサデータから欠陥パターンを決定するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230310BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2019570622
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2018055473
(87)【国際公開番号】W WO2018162481
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】102017104884.7
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519325108
【氏名又は名称】エムテーエス・コンサルティング・アンド・エンジニアリング・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランク・トゥルナー
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-243118(JP,A)
【文献】特開2016-186779(JP,A)
【文献】特開平10-124134(JP,A)
【文献】特開2016-81482(JP,A)
【文献】特開2016-62266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセスを監視するため、および少なくとも1つのプロセスにおいて発生する欠陥の欠陥パターンを決定するための方法であって、特性欠陥パターンを有するパラメータテーブルが、前記少なくとも1つのプロセスの複数の部分プロセスについて生成され、前記パラメータテーブルが、履歴センサデータに基づいて生成され、前記履歴センサデータが、少なくとも2次元を有し、かつそれぞれ部分プロセスに割り当てられる複数の履歴曲線を記述し、各部分プロセスの前記履歴曲線が、履歴OK曲線(okay)と、履歴NOK(not OK)曲線と、を含み、前記履歴NOK曲線が、欠陥のある部分プロセスを表し、
前記方法は、パラメータテーブルが記憶されるメモリ装置と、欠陥パターンが検出されるセンサデータを受け入れるためのインターフェースと、を有するコンピュータシステムにより実施され、
各部分プロセスの前記パラメータテーブルを生成することが、
-前記履歴曲線から前記履歴NOK曲線を選択すること(S21a)と、
-各選択された履歴NOK曲線について、および部分プロセスのタイプに応じて、
-前記履歴NOK曲線を複数のセクションまたは複数の象限に分割すること(S21b)、
-各セクション/各象限の複数のパラメータ値を決定すること(S21c)であって、部分プロセスの前記タイプに関連するパラメータが、構成テーブル内に記憶される、決定すること、および
-欠陥パターンが前記履歴NOK曲線に割り当てられるマッピングステップを実行すること(S21d)であって、前記欠陥パターンが、前記構成テーブル内に記憶された前記部分プロセスの前記タイプに関連する欠陥パターンの組から選択され、
前記欠陥パターンを前記履歴NOK曲線に割り当てた後に前記パラメータテーブルを生成することが、
-各欠陥パターンについて、前記各欠陥パターンに属するパラメータ(パラメータ母集団)に対する間隔内の特性分布を決定すること(S22a)と、
-全ての欠陥パターンから、単一のパラメータ母集団から明確に識別可能である欠陥パターンを決定すること(S22b)であって、この1つのパラメータ母集団が、前記欠陥パターンの他のいかなるパラメータ母集団とも重複しない、決定することと、
-前記決定された明確に識別可能である欠陥パターンを前記パラメータテーブル内に挿入すること(22c)であって、前記欠陥パターンが明確に識別可能である前記パラメータ母集団のこれらの値のみが、前記各欠陥パターンについて前記パラメータテーブル内に特性として記憶される、挿入することと、をさらに含み、
単一のパラメータ母集団から明確に識別可能でない欠陥パターンについて、
i)前記パラメータ母集団の間隔の長さを所定の相対値または絶対値だけ減少させるステップ(S23a)、
ii)減少された間隔の長さを有するパラメータ母集団から、明確に識別可能であるこれらの欠陥パターンを決定し、かつ前記パラメータテーブルの最後に、前記決定された明確に識別可能である欠陥パターンを挿入するステップ(S23b)であって、特性である元の間隔の長さを有する前記パラメータ母集団の前記値が、前記パラメータテーブル内に記憶される、挿入するステップ、および
iii)前記パラメータテーブル内に挿入されていない欠陥パターンがまだあるかどうかをチェックし、このテストが陽性である場合、全ての欠陥パターンが前記パラメータテーブル内に挿入されるまでステップi)を継続するステップ、が実行される、方法。
【請求項2】
-前記少なくとも1つのプロセスが、製造プロセスと、製品確認プロセス/製品確認と、を含み、
-前記部分プロセスが、前記製造プロセスのプロセスステップと、前記製品確認プロセス/製品確認の製品確認ステップと、を含み、
-前記履歴曲線が、履歴プロセス曲線と、履歴製品確認曲線と、を含み、前記履歴OK曲線が、履歴OKプロセス曲線と、履歴OK製品確認曲線と、を含み、前記履歴NOK曲線が、履歴NOKプロセス曲線と、履歴NOK製品確認曲線と、を含み、
-前記欠陥のある部分プロセスが、欠陥のあるプロセスステップと、欠陥製品と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マッピングステップ(S21d)において、欠陥パターンが、いくつかの履歴NOK曲線に割り当てられる、実行することと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータテーブル内に記憶された前記特性が、記憶前に所定の相対値または絶対値によって調整さ
れる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パラメータテーブル内に全ての前記欠陥パターンを挿入した後に、検証ステップ(S24)が実行され、前記検証ステップが、
i)各履歴NOK曲線について、前記パラメータテーブルが生成されたことに基づいて、前記パラメータテーブル内の特性が前記履歴NOK曲線の特性と一致するその欠陥パターンを選択することによって、前記パラメータテーブルに基づいて関連する欠陥パターンを決定すること(S24a)であって、前記パラメータテーブル内に記憶された前記欠陥パターンが、前記履歴NOK曲線の前記特性と昇順で比較され、前記比較は、前記欠陥パターンが決定されると終了される、決定することと、
ii)ステップi)の各履歴NOK曲線について、検出された欠陥パターンが前記マッピングステップでの前記履歴NOK曲線に関連付けられている前記欠陥パターンと一致するかどうかを検証すること(S24b)と、
iii)ステップii)の欠陥パターンについて、ある一定の数の検出された欠陥パターンが、関連する欠陥パターンと一致しない場合、
-前記パラメータテーブル内の前記欠陥パターンに対して前記数を保存すること、
-少なくとも1つの追加のパラメータを生成し、かつパラメータテーブル内に新しい欠陥パターンとして、前記欠陥パターンの前記特性と共に追加のパラメータを記憶すること、および
-少なくとも1つの追加のパラメータを有するこれらの欠陥パターンに対して、請求項1に記載のステップを実行すること、を行うことと、を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記追加のパラメータで明確に識別可能でない欠陥パターンに対してバイナリロジスティック回帰が実行され、これらの欠陥パターンについて、前記バイナリロジスティック回帰の式が、前記パラメータテーブル内の前記欠陥パターンに対して記憶され、前記検証ステップが、その後繰り返される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記検証ステップにおいて、前記パラメータテーブル内で、最小のそれぞれの数が記憶されたこれらの欠陥パターンが、示される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記履歴センサデータが、センサによって提供される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記パラメータテーブルを生成した後に、
a)部分プロセス中にセンサによって提供されるセンサデータを収集するステップ(S30)であって、前記収集されたセンサデータが、少なくとも2次元を有する少なくとも1つの曲線を記述し、前記収集されたセンサデータが、前記部分プロセスに割り当てられる、収集するステップ、
b)前記収集されたセンサデータを前記パラメータテーブル内に記憶されたこの部分プロセスの特性欠陥パターンと比較するステップ(S40)であって、前記比較のために、この部分プロセスの前記特性欠陥パターンを記述する前記特性に対応する前記収集されたセンサデータから、実際の特性が抽出され、前記実際の特性が、比較規則に従って前記パラメータテーブル内の前記特性と比較される、比較するステップ、および
c)前記パラメータテーブルからその欠陥パターンを選択するステップ(S50)であって、前記特性が、前記実際の特徴と所定の程度で一致する、選択するステップ、が実行される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の一致程度で、前記欠陥パターンの各実際の特性および前記対応する特性が、所定の一致基準を満たす、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)の後に、前記欠陥パターンに関連付けられている少なくとも1つの欠陥原因および前記欠陥パターンに関連付けられている少なくとも1つの欠陥除去対策が、前記選択された欠陥パターンについて選択され、前記欠陥原因および前記欠陥除去対策と、それぞれの欠陥パターンへの前記割り当てが、テーブル内に記憶される、請求項9または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップc)の後に、前記欠陥パターンに関連付けられている少なくとも1つの欠陥原因または前記欠陥パターンに関連付けられている少なくとも1つの欠陥除去対策が、前記選択された欠陥パターンについて選択され、前記欠陥原因または前記欠陥除去対策と、それぞれの欠陥パターンへの前記割り当てが、テーブル内に記憶される、請求項9または10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのプロセスにおいて発生する欠陥の欠陥パターンを決定するための、およびプロセス(少なくとも1つのプロセスステップまたは製品確認プロセス/製品確認を含む製造プロセス)を監視するための方法に関し、各々が、2~n次元センサデータに基づいている。さらに、本発明は、本発明による方法を実行するように構成されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両などの商品の製造において、生産または製造プロセスの欠陥を特定の欠陥原因に割り当てることができれば、商品および生産または製造プロセスの品質を向上させることができる。ここでの生産または製造プロセスは、車両の2つのコンポーネント間のねじ接続の確立など、個々のコンポーネントの生産、組み立て、および/または試運転を含む。生産される商品に応じて、発生し得る欠陥パターンの数は膨大になることがあり、車両では、4桁または5桁の範囲になる可能性がある。全体として、多数の欠陥が蓄積されることがあり、それは数百のエラーの範囲になる可能性がある。
【0003】
実際には、特定の欠陥または欠陥パターンを検出するだけでなく、欠陥を欠陥原因に関連付けることも困難である。したがって、ほとんどの場合、生産または製造プロセスを改善すること、つまり、生産もしくは製造プロセスまたは製品を欠陥傾向の少ない様態で設計すること、あるいは実質的に欠陥のない生産または製造プロセスを達成することは不可能である。
【0004】
欠陥の原因を決定することの困難さは、一定の欠陥が異なる原因を有し得るという事実によっても増大する。したがって、特定の欠陥は、ある場合には、第1の欠陥原因に起因して、別の場合には、第2の欠陥原因に起因して発生した可能性がある。したがって、通常、欠陥または欠陥コードだけでは、欠陥の原因を決定できるようにし、かつそのような原因を排除できるようにするためには不十分な情報しか提供されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の欠点を少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明の目的は、製品確認および生産または製造プロセスにおける欠陥パターンおよび欠陥原因の正確な検出および位置特定を可能にし、これにより、高品質の製品および実質的に欠陥のない生産または製造プロセスを可能にすることである。本発明は、製品および生産または製造プロセスにおけるゼロフォルト戦略に大きい貢献を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的のうちの少なくとも1つは、独立請求項による方法およびシステムによって達成される。本発明のさらなる特徴および詳細、ならびに有利な改良点およびさらなる実施形態は、それぞれの従属請求項、説明、および図面から明らかになる。本発明による方法に関連して説明される特徴および詳細は、本発明によるシステムにも関連して適用され、逆もまた同様であり、そのため、本発明の個々の態様の開示に関して、それらの間で参照が常に相互に行われ得る。
【0007】
したがって、少なくとも1つのプロセスを監視するための、および少なくとも1つのプロセスにおいて発生する欠陥の欠陥パターンを識別するための方法であって、特性欠陥パターンを有するパラメータテーブルが、少なくとも1つのプロセスの複数の部分プロセスについて生成され、パラメータテーブルが、履歴センサデータに基づいて生成され、履歴センサデータが、少なくとも2次元を有し、かつそれぞれ部分プロセスに割り当てられる複数の履歴曲線を記述し、各部分プロセスの履歴曲線が、履歴OK曲線(okay)と、履歴NOK曲線(not okay)と、を含み、履歴NOK曲線が、欠陥のある部分プロセスを表す、方法が提供される。
【0008】
これは、
-少なくとも1つのプロセスが、製造プロセスと、製品確認プロセス/製品確認と、を含み、
-前記部分プロセスが、前記製造プロセスのプロセスステップと、前記製品確認プロセス/製品確認の製品確認ステップと、を含み、
-前記履歴曲線が、履歴プロセス曲線と、履歴製品確認曲線と、を含み、前記履歴OK曲線が、履歴OKプロセス曲線と、履歴OK製品確認曲線と、を含み、前記履歴NOK曲線が、履歴NOKプロセス曲線と、履歴NOK製品確認曲線と、を含み、
-欠陥のある部分プロセスが、欠陥のあるプロセスステップと、欠陥製品と、を含む、場合に、特に有利である。
【0009】
これはまた、各部分プロセスのパラメータテーブルの生成が、
-履歴曲線から履歴NOK曲線を選択することと、
-各選択された履歴NOK曲線について、および部分プロセスのタイプに応じて、
-履歴NOK曲線を複数のセクションまたは複数の象限に分割すること、
-各セクション/各象限の複数のパラメータ値を決定することであって、部分プロセスのタイプに関連するパラメータが、構成テーブル内に記憶される、決定すること、および
-欠陥パターンが履歴NOK曲線に割り当てられるマッピングステップを実行することであって、欠陥パターンが、構成テーブル内に記憶された部分プロセスのタイプに関連する欠陥パターンの組から選択され、欠陥パターンが、好ましくは、複数の履歴NOK曲線に割り当てられる、実行すること、を行うことと、を含む場合にも、有利である。
【0010】
パラメータテーブルの生成は、欠陥パターンを履歴NOK曲線に割り当てた後に、
-それぞれの欠陥パターンに属するパラメータ(パラメータの母集団)について各欠陥パターンの特性分布を決定することと、
-全ての欠陥パターンから、単一のパラメータ母集団に基づいて明確に識別可能である欠陥パターンを決定することであって、この1つのパラメータ母集団が、欠陥パターンの他のいかなるパラメータ母集団とも重複しない、決定することと、
-決定された明確に識別可能である欠陥パターンをパラメータテーブル内に挿入することであって、エラー画像が明確に識別可能であるパラメータ母集団のこれらの値のみが、それぞれの欠陥パターンについてパラメータテーブル内に特徴として記憶されることと、をさらに含んでもよい。
【0011】
これは、単一のパラメータ母集団に基づいて明確に識別可能でないこれらの欠陥パターンに対して、以下のステップ、すなわち
i)パラメータ母集団の間隔の長さを所定の相対値または絶対値だけ減少させること、
ii)減少された間隔の長さを有するパラメータ母集団に基づいて、明確に識別可能であるこれらのエラー画像を決定し、かつパラメータテーブルの最後に、決定された明確に識別可能である欠陥パターンを挿入することであって、元の間隔の長さを有するパラメータ母集団の値が、パラメータテーブル内に特性として記憶される、挿入すること、および
iii)パラメータテーブル内に挿入されていない欠陥パターンがまだあるかどうかをチェックし、かつこのテストが陽性である場合、全ての欠陥パターンがパラメータテーブル内に挿入されるまでステップi)を継続すること、が実行される場合に、有利である。
【0012】
パラメータテーブル内に記憶された特徴は、記憶の前に、所定の相対値または絶対値によって調整され得、特に、間隔の上限は、所定の相対値によって増加され得る。これにより、欠陥パターンの検出の変動を補正することができる。
【0013】
全ての欠陥パターンをパラメータテーブル内に挿入した後に、検証ステップが実行されてもよく、検証ステップが、
i)各履歴NOK曲線について、パラメータテーブルが生成されたことに基づいて、パラメータテーブル内の特性が履歴NOK曲線の特性と一致するその欠陥パターンを選択することによって、パラメータテーブルに基づいて関連する欠陥パターンを決定することであって、パラメータテーブル内に記憶された欠陥パターンが、履歴NOK曲線の特性と昇順で比較され、比較は、欠陥パターンが決定されると終了される、決定することと、
ii)ステップi)の各履歴NOK曲線について、検出された欠陥パターンがマッピングステップでの履歴NOK曲線に関連付けられている欠陥パターンと一致するかどうかを検証することと、
iii)ステップii)の欠陥パターンについて、ある一定の数の検出された欠陥パターンが、関連する欠陥パターンと一致しない場合、
-前記パラメータテーブル内の前記欠陥パターンに対して前記数を保存すること、
-少なくとも1つの追加の特性を生成し、かつパラメータテーブル内に新しい欠陥パターンとして、前記欠陥パターンの前記特性と共に追加の特性を記憶すること、および
-少なくとも1つの追加の特性を有するこれらの欠陥パターンに対して、請求項4に記載のステップを実行すること、を行うことと、を含む。
【0014】
追加の特性を用いても明確に識別可能でない欠陥パターンの場合、バイナリロジスティック回帰を実行することが有利であり、これらの欠陥パターンでは、バイナリロジスティック回帰の式は、パラメータテーブル内の欠陥パターンに対して記憶され、次いで検証ステップが繰り返される。
【0015】
検証ステップにおいて、パラメータテーブル内で、最小のそれぞれの数が記憶されたこれらの欠陥パターンが、マークされる。
【0016】
履歴センサデータは、センサによって提供されてもよい。これらのセンサは、生産工場、工具、試験装置、および/または製品確認装置に割り当てられてもよい。
【0017】
パラメータテーブルを作成した後に、以下のステップ、すなわち
a)部分プロセス中にセンサによって提供されるセンサデータを収集することであって、収集されたセンサデータが、少なくとも2次元を有する少なくとも1つの曲線を記述し、収集されたセンサデータが、部分プロセスに割り当てられる、収集すること、
b)収集されたセンサデータをパラメータテーブル内に記憶されたこの部分プロセスの特性欠陥パターンと比較することであって、比較のために、この部分プロセスの特性欠陥パターンを記述する特性に対応する収集されたセンサデータから、実際の特性が抽出され、実際の特性が、比較規則に従ってパラメータテーブル内の特性と比較される、比較すること、および
c)パラメータテーブルからその欠陥パターンを選択することであって、その特性が、実際の特性と所定の一致程度で一致する、選択すること、が実行され得る。
【0018】
所定の一致程度について、随意に、各実際の特性および欠陥パターンの対応する特性が所定の一致基準を満たすことが提供される。
【0019】
ステップc)の後に、欠陥パターンに関連付けられている少なくとも1つの欠陥原因および/または欠陥パターンに関連付けられている少なくとも1つの欠陥除去対策が、選択された欠陥パターンについて選択され、欠陥原因および/または欠陥除去対策、ならびにそれぞれの欠陥パターンへの割り当てが、テーブル内に記憶され得る。
【0020】
さらに、本発明による方法を実行するように適合されたシステム、特に、パラメータテーブルが記憶されるメモリ装置と、欠陥パターンが検出されるセンサデータを受け入れるためのインターフェースと、を有するコンピュータシステムが提供される。
【0021】
本発明のさらなる詳細および特徴は、図面と併せて以下の説明から明らかになるであろうが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】複数の履歴NOKプロセス曲線と、複数の履歴OKプロセス曲線と、を含むプロセス曲線の組を含む。
【
図3】履歴OKプロセス曲線および履歴NOKプロセス曲線(象限に分割されている)の具体例を示す。
【
図4】複数の欠陥パターンについてのパラメータの値の分布例を示す。
【発明を実行するための形態】
【0023】
本発明による方法を用いて、または本発明によるシステムを用いて、実質的に欠陥がなく、かつ堅牢な製品およびプロセス、特に製造プロセスを達成することが可能である。本発明による方法および本発明によるシステムは、生産および組み立てにおけるプロセスのデジタルネットワーキングによって、ゼロフォルト戦略に、および生産およびプロセスの最適化に大きく貢献する。
【0024】
本発明による方法の例示的な適用は以下である。
-プロセスおよび/もしくは製品確認曲線に基づいて、または製造プロセス中のオンラインなどの、連続特性に基づいて、欠陥製品と欠陥のない製品とを、または欠陥のあるプロセスと欠陥のないプロセスとを、区別するなどの、OKケース(okay)とNOKケース(not okay)とを区別すること、および/または
-例えば、NOKプロセスおよび/または製品確認曲線のNOK曲線から欠陥パターンを認識して、欠陥パターンに基づいて特定のトラブルシューティング対策を開始できるようにすること。
【0025】
したがって、本発明による方法/システムを用いると、製品の確認およびプロセス曲線から欠陥パターンを識別することができ、各欠陥パターンの因果関係および原因を決定することができ、各欠陥原因の解決策および対策を提供または利用可能にすることができる。例えば、生産プロセス中に欠陥パターンが直接検出された場合、欠陥を排除するための対策を生産プロセスですぐに開始および実行することができる。
【0026】
【0027】
本発明によれば、製造プロセスの製品確認および/もしくはプロセスステップの監視を実行するシステム、または欠陥製品および/もしくはプロセスステップの欠陥パターンを識別するシステムに最初に「学習させる」べきであることが記載されている。「習得した」情報に基づいて、システムは、製品の品質もしくは製品の機能および/または製造プロセスを監視し、かつ欠陥製品および/またはプロセスステップ、ならびにそれらの考えられる原因を、好ましくはオンラインで、つまり、例えば、製品の確認および/または製造プロセス中に識別し、かつ決定された欠陥パターンに基づいて欠陥を除去するための解決策および対策を提案することができる。
【0028】
以下、「プロセスステップ」という用語は、製造プロセスの製品確認ステップおよび/またはプロセスステップの両方を含む。これらのプロセスステップは、部分プロセスとも呼ばれる。「製造プロセス」という用語はまた、製品確認プロセスも含む。「プロセス曲線」という用語はまた、製品確認曲線も含む。
【0029】
したがって、プロセス、プロセスステップ、およびプロセス曲線を参照して以下で説明する方法はまた、本発明に従って、製品確認、製品確認プロセス、または製品確認曲線にも適用され得る。
【0030】
この目的のために、第1のステップS10において、センサデータの検出が提供され、それに基づいて、システムの「学習」がさらなるステップS20において実行される。センサデータは、特定のプロセスまたはプロセスステップのプロセス曲線を記述することができ、つまり、センサデータは、好ましくは、nタプル(n>=1)として取得される。
【0031】
センサデータは、例えば、特定の生産装置または特定の工具を監視するセンサによって提供される。例えば、電気トルクドライバは、トルクセンサと、角度センサと、を有してもよく、それにより、ねじ締め作業中にトルクおよび回転角が検出され得る。記録されたトルクおよび回転角(2タプル)から、回転角の関数としてのトルクを示すプロセス曲線が生成され得る。
【0032】
さらなる物理パラメータのためのセンサが提供されてもよい。したがって、例えば、トルクおよび回転角に加えて、ねじ締め時間(例えば、ミリ秒)も検出するタイマーが提供されてもよい。記録されたトルク、回転角、およびねじ締め時間(3タプル)から、例えば、回転角の関数としてのトルク、またはねじ締め時間の関数としてのトルクを示すプロセス曲線(この場合、3次元のプロセス曲線)がまた、生成され得る。
【0033】
曲線の代わりに、プロセスおよび/または製品確認に連続的な特徴を提供することも可能である。
【0034】
システムに学習させるために取得されたこのセンサデータ、またはそこから導出されたプロセス曲線は、以下「履歴センサデータ」または「履歴プロセス曲線」と呼ばれる。履歴センサデータは、システムのメモリ装置に記憶される。プロセスの性質に応じて、習得に十分な大きさのデータベースを提供するために、ある一定の時間期間にわたって履歴センサデータまたは履歴プロセス曲線が収集され得る。
【0035】
異なるプロセスまたはプロセスステップのために履歴センサデータが収集される場合、履歴センサデータは、メモリ装置内のそれぞれのプロセスまたはプロセスステップに割り当てられる。監視中に欠陥のあるプロセスステップを認識できるようにするには、プロセスまたはプロセスステップに属する履歴プロセス曲線が、OKプロセス曲線だけでなく、最小数(例えば、少なくとも6)のNOKプロセス曲線も含めば有利である。NOKプロセス曲線は、欠陥のあるプロセスステップまたは欠陥製品または製品の機能を表す。
【0036】
以下のステップS21~S24は、ステップS20の過程で実行され、またはステップS20のサブステップである。
【0037】
ステップS21a~S21dは、「学習する」S21と呼ばれる。
ステップS22a~S22cは、「フィンガープリント計算(Fingerprint calculation)」S22と呼ばれる。
ステップS23a~S23bは、「範囲調整」S23と呼ばれる。
ステップS24a~S24dは、「検証ステップ」S24と呼ばれる。
【0038】
最初に、パラメータテーブルが生成され、本発明によるシステムのメモリ装置に記憶される。システムに学習させた後、パラメータテーブルは、異なるプロセスまたはプロセスステップの特性欠陥パターンを含む。
【0039】
この目的のために、最初に、ステップS21aにおいて、対応する履歴プロセス曲線(NOKおよびOKプロセス曲線を有する)からのNOKプロセス曲線が、学習対象の各プロセスに対して選択される。
【0040】
NOKプロセス曲線の選択は、ユーザーが、例えば適切な入力/選択画面によって行うことができる。この場合、選択されたNOKプロセス曲線の数は、ある一定の大きさ達して、各「欠陥パターン」が「学習される」NOKケースの、ある一定のサンプルサイズがあることを確かめる必要がある。
【0041】
複数のNOKプロセス曲線と、複数のOKプロセス曲線と、を含む履歴プロセス曲線の組の例が
図2に示されている。トルク曲線は、ねじ締め作業での回転角の関数としてここに示されている。ここでのNOKプロセス曲線は、所定の目標範囲の外側で終了するこれらの曲線であり、目標範囲は、ここで窓Fで表される。窓Fは、特定の回転角の間隔によって、および特定のトルクの間隔によって定義される。
【0042】
履歴NOKプロセス曲線の選択に続いて、これらは、ステップS21bでセクションまたは象限に(個別にまたは一緒に)分割される。象限に分割された履歴NOKプロセス曲線が
図3に示されており、履歴OKプロセス曲線もまた示されている。
図3に示される例では、NOKプロセス曲線は、合計9つの象限に分割されている。
【0043】
履歴NOKプロセス曲線を象限またはセクションに分割することは、以下の2つの方法で行うことができる。
1.センサがそれぞれの履歴プロセス曲線のセンサデータを生成および提供する工具またはマシンの様々な設定パラメータに基づいて、セクションまたは象限が自動的に設定され得る。ねじ締め作業では、例えば、発見トルク、しきい値トルク、所望のトルク、さらなるトルク、およびそれぞれの角度または回転角がこの目的に使用されてもよい。例えば、
図3に示される例では、最初の4つの象限を設定するためのパラメータとして、発見トルクFMおよびしきい値トルクSWM、ならびにそれぞれの回転角が使用された。
2.ユーザーからの入力に基づく。このケースでは、ユーザーは、一定のパラメータを考慮して、またはパラメータとは無関係に、セクションまたは象限を自身で設定することができる。
【0044】
履歴NOKプロセス曲線をセクション/象限に分割した後、次のステップS21cにおいて、各セクション/各NOKプロセス曲線の各象限について、複数のパラメータ値が決定される。値を決定するパラメータは、一方ではそれぞれのNOKプロセス曲線が基づくプロセスステップのタイプによって異なり、他方ではそれぞれのセクション/象限によって異なる。例えば、2つの異なるねじ締めプロセス、または値を決定するNOKプロセス曲線の2つの異なる象限に対して、異なるパラメータが提供されてもよい。
【0045】
プロセスステップの各タイプおよび各セクション/各象限に関連するパラメータは、システムのメモリ装置に記憶された構成テーブルに記憶されてもよい。パラメータは、統計的パラメータを含み得る。セクション/象限ごとのそのようなパラメータの例は以下である。
-終了値(X)、終了値(Y)
-最大(X)、最大(Y)
-標準偏差(X)、標準偏差(Y)
-平均/中央値(X)、平均/中央値(Y)
-勾配Y(からX、Xへ)、曲率Y(からX、Xへ)など。
【0046】
NOKプロセス曲線およびセクション/象限のタイプに応じて、一定のパラメータの組み合わせが定義され得る。
【0047】
決定されたパラメータ値は、メモリ装置に記憶され、それぞれの履歴NOKプロセス曲線に割り当てられ得る。
【0048】
パラメータ値が履歴NOKプロセス曲線について決定された後、マッピングステップS21dにおいて、欠陥パターンが履歴NOKプロセス曲線に割り当てられる。好ましくは、各履歴NOKプロセス曲線には、個別に欠陥パターンが割り当てられる。これは、好ましくは手動で行う。ユーザーを支援するために、それぞれの履歴NOKプロセス曲線が視覚化され得、好ましくは、象限/セクション分割および確かめられたパラメータ値も表示される。さらに、同じ欠陥パターンが割り当てられたこれらの履歴NOKプロセス曲線が表示され得る。
【0049】
履歴NOKプロセス曲線のタイプに応じて、様々な欠陥パターンが割り当てられ得る。考えられる割り当て可能な欠陥パターンは、構成テーブルに記憶される。例えば、「回転角が大きすぎる」という欠陥パターンは、はんだ付け作業を表すNOKプロセス曲線ではなく、ねじ締め作業を表すNOKプロセス曲線に割り当てられ得る。もちろん、特定の欠陥パターンは、異なるプロセスのいくつかのNOKプロセス曲線、または同じプロセスの複数のNOKプロセス曲線に割り当てられ得る。
【0050】
NOKプロセス曲線の欠陥パターンへの割り当ては、システムのメモリ装置に記憶される。これにより、全ての欠陥パターンに多数のパラメータが同時に割り当てられる。
【0051】
ねじ締め作業の欠陥パターン(例えば、電動トルクドライバ)は、例えば、以下であり得る。
-ねじ締めドライバの滑り/スピン
-終了角度が大きすぎる
-終了トルクなどが小さすぎる。
【0052】
例えば、
図3に示される履歴NOKプロセス曲線は、例えば、約720°の回転角でトルクがほぼ0Nmに急激に低下することによって認識できる欠陥パターン「滑り」に割り当てられ得る。
【0053】
欠陥パターンを履歴NOKプロセス曲線にマッピングした後、割り当てられた各欠陥パターンについて、履歴NOKプロセス曲線の数が代表的なサンプルサイズの基準を満たしているかどうかがチェックされ得る。例えば、少なくともn(例えば、n≧6)の履歴NOKプロセス曲線に、欠陥パターンが割り当てられているかどうかがチェックされ得る。
【0054】
ステップS21d、および必要であれば、サンプルサイズのチェックの後、関連する欠陥パターンおよび欠陥パターンごとの代表的なサンプルサイズを有する多数の履歴NOKプロセス曲線がシステム内に記憶される。このように、「学習する」が完了する。履歴NOKプロセス曲線への欠陥パターンの割り当ては、以下では「専門家の意見(expert opinion)」と呼ばれる。
【0055】
次に、ステップS22において、各欠陥パターンについて、すなわち、欠陥パターンに関連付けられている履歴NOKプロセス曲線について、いわゆる統計的フィンガープリントが計算される。
【0056】
この目的のために、まず、ステップS22aにおいて、それぞれの欠陥パターンに割り当てられた履歴NOKプロセス曲線のステップS21cにおいて決定されたパラメータ値の特性分布が、各欠陥パターンについて決定される。欠陥パターンに関連付けられている履歴NOKプロセス曲線は、欠陥パターン母集団と呼ばれ、欠陥パターン母集団の各パラメータ(パラメータ母集団と呼ばれる)は、特性分布を有している。
【0057】
パラメータ「最大トルク」および欠陥パターン「滑り」、「停止」、「早期噛み込みエラー、「後期噛み込みエラー」、「角度最大」、および「タッピングトルクが大きすぎる」のボックスプロット形式の特性分布の例が
図4に示されている。
【0058】
ステップS22aに続いて、ステップS22bにおいて、単一のパラメータまたは単一のパラメータ母集団に基づいて、明確に識別可能である欠陥パターンが決定される。これらは、全ての欠陥パターンの同じパラメータのうちの他のいかなるパラメータ母集団とも重複しない、少なくとも1つのパラメータ母集団を有する欠陥パターンである。すなわち、母集団が他の欠陥パターンのうちの同じパラメータの母集団と重複しないパラメータを有する欠陥パターンは、そのパラメータに関して明確に識別可能である。そのため、この欠陥パターンはまた、このパラメータに関しても明確に識別可能であり、このパラメータは、別の欠陥パターンを明確に記述しているべきではない。
【0059】
図4に示される例では、欠陥パターン「角度最大」は、パラメータ「最大トルク」によって明確に識別可能であり、これは、欠陥パターン「角度最大」のパラメータ「最大トルク」の母集団が、残りの欠陥パターンのパラメータ「最大トルク」の他のいかなる母集団とも重複しないが、パラメータ「最大トルク」の母集団は、残りの欠陥パターンにおいて重複するためである。次いで、
図4に示される残りの欠陥パターンについて、単一のパラメータに基づいて、欠陥パターンを明確に識別可能である他のパラメータがあるかどうかがさらにチェックされる。
【0060】
次に、ステップS22bにおいて決定された明確に識別可能である欠陥パターンは、後続のステップS22cでパラメータテーブルの先頭に分類される。ここで、好ましくは、パラメータテーブル内のパラメータの値(例えば、間隔の上限)のみが各欠陥パターンに対して記憶され、それぞれの欠陥パターンを明確に識別することができる欠陥パターンに割り当てられる。
図4の例では、下方および上方のビスカー(母集団の上限)が間隔の上限として記憶されている場合、欠陥パターン「角度最大」について、「100<=最大トルク[Nm]<=152」の形式など、パラメータ「最大トルク」の値のみが記憶されるであろう。
【0061】
したがって、ねじ締め作業の製造プロセスを監視する場合、欠陥パターン「角度最大」は、最大トルクが100Nm~152Nmである場合に決定されてもよい。
【0062】
さらに、残りのパラメータの値は、パラメータテーブル内の欠陥パターンに記憶され得、この場合、欠陥パターンを明確に識別することを可能にする特徴は別々に識別される。
【0063】
パラメータテーブル内に記憶されているパラメータ値は、例えば、相対値または絶対値によって調整され得る。例えば、間隔の上限は±5%だけ調整できるため、上記の例では、「95<=最大トルク[Nm]<=159.6」が記憶されることになる。これは、欠陥パターン母集団のサンプルサイズに起因して記録されなかった変動を補正するために使用され得る。
【0064】
以下の表は、
図4に示される欠陥パターン「角度最大」のパラメータテーブルのセクションを示しており、間隔の上限が、既に適合されている。
【0065】
パラメータ「最大トルク[Nm]」により、欠陥パターン「角度最大」の可能性が明確に識別可能であるため、これらの値のみがパラメータテーブル内に記憶される。残りのパラメータの値は空のままである。
【0066】
【0067】
欠陥パターンの明確な識別可能性のために複数のパラメータが必要な場合、対応する値は、これらのいくつかのパラメータの各々について、パラメータテーブル内に記憶される。さらに、個々のパラメータの値を論理的にリンクする方法(AND/OR、XOR、...)がパラメータテーブル内に記憶され得る。
【0068】
単一のパラメータによって、または単一のパラメータ母集団によって、識別可能でない(残りの)欠陥パターンは、可能であれば順序どおりに、「範囲適応」と呼ばれる後続のステップS23で後処理されて、これらの欠陥パターンの明確な識別可能性を達成する。
【0069】
この場合、ステップS23aにおいて、残りの欠陥パターンの全てのパラメータの間隔の長さ(例えば、下側および上側ビスカー(母集団の上限))が最初に所定の相対値または絶対値だけ減少される。
【0070】
続いて、ステップS23bにおいて、単一のパラメータに基づいて明確に識別可能である残りの欠陥パターンの中に1つ(またはいくつか)の欠陥パターンがあるかどうかがチェックされる。「あり」の場合、1つ以上の明確に識別可能である欠陥パターン(複数可)が、必要に応じて、パラメータテーブルの最後にステップ22cと同様に挿入され、パラメータの間隔の上限が調整される。「なし」の場合、ステップ23aに戻って、「範囲調整」が継続される。
【0071】
範囲適応は、単一のパラメータに基づいて全ての欠陥パターンが明確に識別可能であり、パラメータテーブル内に挿入されるまで、繰り返し実行される。
【0072】
ステップS23の完了時に、これらの欠陥パターンに関連付けられている全ての欠陥パターンまたはパラメータは、欠陥パターンの特性として、パラメータテーブル内にステップS21aにおいて選択された履歴NOKプロセス曲線に対して記憶される。
【0073】
ステップS23に続いて、検証ステップS24が実行される。
【0074】
本発明の変形形態によれば、検証ステップは、ステップ23(範囲適応)の支援を介してのみ、パラメータテーブル内に分類できるそれらの欠陥パターンに対してのみ実行される。
【0075】
本発明のさらなる変形形態によれば、検証ステップは、全ての欠陥パターンに対して実行される。
【0076】
検証ステップS24の範囲内で、パラメータテーブルからの関連する欠陥パターンは、ステップS24aにおいて、パラメータテーブルを生成するために使用された各履歴NOKプロセス曲線(前述の制限を伴う可能性がある)について前に生成されたパラメータテーブルに基づいて、最初に決定される。このように、履歴NOKプロセスステップに対して決定された欠陥パターンは、「計算された意見(Calculated opinion)」と呼ばれる。
【0077】
続いて、ステップS24bにおいて、各履歴NOK欠陥パターンについて、専門家の意見が計算された意見に対応するか、または2つの意見に相違があるかどうかがチェックされる。したがって、ステップS21dにおいて履歴NOKプロセス曲線に関連付けられている欠陥パターンが、ステップS24aにおいてこの履歴NOKプロセス曲線について得られた欠陥パターンと同一であるかどうかがチェックされる。理想的には、各履歴NOKプロセス曲線について、ステップS21dに関連付けられている欠陥パターンは、ステップS24aにおいて決定されたそれぞれの欠陥パターンと同一である。
【0078】
ステップS24bの検証は、欠陥パターンごとに実行される。すなわち、ステップS21dにおいて検証される欠陥パターンがどのNOKプロセス曲線に割り当てられたかが決定される。続いて、ステップS24aにおいて、これらの履歴NOKプロセス曲線について、どの欠陥パターンが決定されたかがチェックされる。ここに偏差がない場合、この履歴欠陥パターンのステップS24を終了してもよい。
【0079】
しかし、ここで欠陥パターンに偏差が生じた場合、すなわち、ステップS21dにおいてよりもステップS24aにおいて、異なる欠陥パターンが履歴NOKプロセス曲線に割り当てられた場合、専門家の意見は計算された意見から偏差を生じる。偏差の数は、それぞれの欠陥パターンのパラメータテーブル内に記憶され得る。同時に、この欠陥パターンに対して、1つ以上の追加のパラメータが定義される。この欠陥パターン(元のパラメータおよび追加のパラメータ)は、パラメータテーブル内に新しい欠陥パターンとして保存され、パラメータテーブル内に既に存在する欠陥パターンも上書きされ得る。追加のパラメータ(複数可)の定義は、システムのユーザーによって作成されてもよい。追加のパラメータは、例えば、間隔内の分布、間隔内の勾配、間隔内の曲率などであり得る。
【0080】
その後、追加のパラメータが定義された欠陥パターンについて(ステップS24c)、単一のパラメータで明確に識別可能である欠陥パターンがあるかどうかがチェックされる。これに該当する欠陥パターンがある場合、検証ステップはここで終了する。
【0081】
残りの欠陥パターンについて、後続のステップS24dでバイナリロジスティック回帰(binary logistic regression、BLR)が実行され、バイナリロジスティック回帰の式がそれぞれの欠陥パターンに対して記憶される。
【0082】
これは、パラメータテーブル内に、各欠陥パターンについて、パラメータテーブル内に欠陥パターンを挿入する方法で、すなわち
-ステップS22bおよびS22cに従って、または
-ステップS23b(範囲調整)に従って、または
-ステップS24c(範囲調整および追加特性)に従って、または
-ステップS24d(BLR)に従って、追加で記憶され、
また、どの方法によれば、専門家の意見と計算された意見との間の偏差が最も少なくなるかも示される。
【0083】
ステップS24dの終わりに、ステップS20も終了し、システムは学習したとみなすことができる。
【0084】
一定のプロセスまたはプロセスステップに対して学習したシステムを使用すると、これらのプロセスまたはプロセスステップはオンラインで監視され得、つまり、作業中、好ましくはリアルタイムで、欠陥の検出直後に、従業員に、対応する欠陥パターン、および必要に応じて、適切な欠陥除去対策も通知され得る。
【0085】
この目的のために、ステップS30において、センサデータは工具/機械などによって提供され、これは、工具/機械などに割り当てられたセンサによって収集される。例えば、電気トルクドライバは、トルクセンサおよび角度センサに関連付けられてもよい。この場合のセンサデータは、プロセス/プロセスステップに割り当てられたプロセス曲線、例えば、時間の経過に伴うトルクの経過、または例えば、ねじ締め作業中の回転角にわたるトルクの経過を記述する。
【0086】
こうして得られたセンサデータ、または結果として得られるプロセス曲線は、今度は、ステップS40においてパラメータテーブル内に記憶された欠陥パターンと比較され得る。プロセス/プロセスステップに関連付けられている特性欠陥パターンのパラメータに従って、対応するパラメータ値がそれぞれのプロセス曲線から抽出され、パラメータテーブル内の欠陥パターンのパラメータと比較される。
【0087】
比較が陽性である場合、ステップS50における比較の結果として、対応する欠陥パターンがパラメータテーブルから選択され、次いで、ユーザーに利用可能にされてもよい。さらに、この欠陥パターンに割り当てられた欠陥除去対策をアクションテーブルから選択し、ユーザーに使用可能にされてもよい。
【0088】
それ以外の場合、欠陥はないか、または欠陥はまだ未知である。後者の場合、対応する履歴NOKプロセス曲線の十分に大きなサンプルが利用可能であれば、この未知の欠陥に対してシステムに学習させることができる。
【0089】
これにより、例えば、進行中の生産プロセスにおいて、ほぼリアルタイムで欠陥または欠陥パターンを検出することが可能である。例えば、製造工場によってリアルタイムで提供されるセンサデータは、記憶されている欠陥パターンと直接比較され得る。場合によっては、プロセスステップの終了前に、欠陥のあるプロセスステップが既に検出されている可能性があり、例えば、ねじ締め作業が完了する前に、トルクレンチのトルクの経過から考えられる欠陥が検出される可能性があり、そのため、ねじ締め作業を完了する必要はない。
【図 】