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特許7241724ストリーミング配信システム、ストリーミング配信方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ストリーミング配信システム、ストリーミング配信方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/238 20110101AFI20230310BHJP
【FI】
H04N21/238
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020145930
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040954
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】509137087
【氏名又は名称】株式会社TBSテレビ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩司
【審査官】篠塚 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-129540(JP,A)
【文献】特開2002-354451(JP,A)
【文献】特開2020-088675(JP,A)
【文献】特開2019-20994(JP,A)
【文献】生出 真人,強化学習を用いたMPEG-DASHにおける映像品質制御手法の実験と評価,第26回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集,情報処理学会,2018年11月02日,P.123-129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画ファイルのストリーミング配信を実行するストリーミング配信システムであって、
前記動画ファイルを取得する取得部と、
取得されている前記動画ファイルに関する再生時間に基づいてセグメント単位を決定し、決定された前記セグメント単位で当該動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割する分割部と、
分割された前記セグメントファイルごとにストリーミング配信を実行する配信部と、を備える、
ストリーミング配信システム。
【請求項2】
前記動画ファイルの取得状況に基づいて、前記動画ファイルについて取得された一又は複数のフレームに関連づけられたタイムコードを抽出する抽出部と、
分割された前記セグメントファイルと、抽出された前記タイムコードと、を関連付けて格納する格納部と、を更に備え、
前記配信部は、当該タイムコードが関連付けられた当該セグメントファイルごとにストリーミング配信を実行する、
請求項1に記載のストリーミング配信システム。
【請求項3】
データベースにおいて複数の動画ファイルが記憶されており、
前記複数の動画ファイルのうち一又は複数の動画ファイルの指定を受け付ける受付部を更に備え、
前記取得部は、前記指定に基づいて、前記データベースから前記一又は複数の動画ファイルを取得する、
請求項1又は2に記載のストリーミング配信システム。
【請求項4】
分割された前記セグメントファイルごとにストリーミング配信が実行される際に、前記動画ファイルの再生画面を表示するための情報を送信する送信部を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のストリーミング配信システム。
【請求項5】
動画ファイルのストリーミング配信を実行するコンピュータが実行するストリーミング配信方法であって、
前記動画ファイルを取得するステップと、
取得されている前記動画ファイルに関する再生時間に基づいてセグメント単位を決定し、決定された前記セグメント単位で当該動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割するステップと、
分割された前記セグメントファイルごとにストリーミング配信を実行するステップと、
を含む、
ストリーミング配信方法。
【請求項6】
動画ファイルのストリーミング配信を実行するコンピュータを、
前記動画ファイルを取得する取得部と、
取得されている前記動画ファイルに関する再生時間に基づいてセグメント単位を決定し、決定された前記セグメント単位で当該動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割する分割部と、
分割された前記セグメントファイルごとにストリーミング配信を実行するストリーミング配信部と、
して機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーミング配信システム、ストリーミング配信方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オンデマンド動画配信サービスに関して、ストリーミング配信技術の一手法であるHTTP Live Streaming(HLS)が知られている。
【0003】
これに関し、非特許文献1には、HLSにおいては、予め、動画ファイルを複数のセグメントファイルに分割すること、及び、予め分割されたセグメントファイルを、HTTPでダウンロードしながら再生することによって、ストリーミング再生を実現することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】インターネット,[HTTP Line Streaming Overview],<URL:https://developer.apple.com/library/archive/documentation/NetworkingInternet/Conceptual/StreamingMediaGuide/Introduction/Introduction.html#//apple_ref/doc/uid/TP40008332>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ファイルサイズが大きい動画ファイルの全てについて予めセグメントファイルに分割して記憶しておくためには膨大な記憶スペースが必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、膨大な記憶スペースを必要とすることなく、動画ファイルを対象としてオンデマンド動画配信を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るストリーミング配信システムは、動画ファイルのストリーミング配信を実行するストリーミング配信システムであって、動画ファイルを取得する取得部と、取得されている動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割する分割部と、分割されたセグメントファイルごとにストリーミング配信を実行する配信部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係るストリーミング配信方法は、動画ファイルのストリーミング配信を実行するコンピュータが実行するストリーミング配信方法であって、動画ファイルを取得するステップと、取得されている動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割するステップと、分割されたセグメントファイルごとにストリーミング配信を実行するステップと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、動画ファイルのストリーミング配信を実行するコンピュータを、動画ファイルを取得する取得部と、取得されている動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割する分割部と、分割されたセグメントファイルごとにストリーミング配信を実行するストリーミング配信部と、して機能させる。
【0010】
本発明において、「部」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、膨大な記憶スペースを必要とすることなく、動画ファイルを対象としてオンデマンド動画配信を行う技術を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るストリーミング配信システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るストリーミング配信サーバの機能ブロックを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る動画ファイル分割処理の概要の一例を説明する概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係るストリーミング配信処理のフローチャートの一例である。
図5】本発明の一実施形態に係るタイムコード(TC)抽出処理のフローチャートの一例である。
図6】本発明の一実施形態に係るユーザ端末に表示される動画再生画面の一例である。
図7】本発明の一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係るストリーミング配信システムの全体構成の他の例を示す図である。
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信システムの全体構成の一例を示す図である。ストリーミング配信システム100は、例えば、放送局が映像素材をデータファイルとして管理する映像ファイル(例えば、動画ファイルVF及び静止画ファイル等)をストリーミング配信するシステムである。具体的には、ストリーミング配信システム100においては、放送局内のユーザUa(例えば、放送局社員)の要求に応じて、何百万本という大量の動画ファイルの中から特定の1又は複数の動画ファイルを取得しながら、トランスコード処理等を実行して、放送局外のユーザUb(例えば、放送局社員又は当該放送局には属さない他のユーザ)に対して、特定の動画ファイルを提供する。
【0015】
ストリーミング配信システム100は、例示的に、動画ファイルVFのストリーミング配信処理を実行するストリーミング配信サーバ1と、動画ファイルVFを含む映像ファイルを記憶するデータベース(DB)7を有するファイル記憶システム3と、ユーザUaが操作するユーザ端末5aと、ユーザUbが操作するユーザ端末5bと、を備える。ファイル記憶システム3は、DB7でファイル化された映像素材をほかんし、簡単な操作で映像ファイルを扱えるように集中管理する。ファイル記憶システム3においては、映像の収録又は編集等、映像のオンエアまでに必要な機能が統合的にシステム化されている。なお、ユーザUaとユーザUbとを区別しない場合は、単に、「ユーザU」と呼ぶ。また、ユーザ端末5aとユーザ端末5bとを区別しない場合は、単に、「ユーザ端末5」と呼ぶ。
【0016】
以下では、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信システム100の概要を説明する。ストリーミング配信システム100は、例えば項目(1)から(9)を実行する。(1)ユーザUaは、ユーザ端末5aを介して、ファイル記憶システム3にアクセスする。(2)ファイル記憶システム3は、ユーザ端末5aに対して、動画ファイルVFのリスト表示画面を提示する。(3)ユーザUaは、ユーザ端末5aにおいて表示されるリスト表示画面を参照して、一又は複数の動画ファイルVFを指定する。ユーザ端末5aは、指定された一又は複数の動画ファイルVFに関する指定情報をストリーミング配信サーバ1に送信する。
【0017】
(4)ストリーミング配信サーバ1は、ファイル処理アプリケーションとしての「動画ファイル取得機能」を有する。例えば、ストリーミング配信サーバ1は、指定情報に基づいて、ファイル記憶システム3のデータベースDB7から、指定された一又は複数の動画ファイルVFに対応する対象動画ファイルVFを取得する。(5)ストリーミング配信サーバ1は、ファイル処理アプリケーションとしての「トランスコード機能」を有する。例えば、ストリーミング配信サーバ1は、トランスコード機能として、ファイル記憶システム3からのWeb API(Application Programming Interface)動画変換処理の受け付け、及び、指定された動画ファイルのID(Identification)等を含むメタ情報のWeb APIでの受信等を実行する。また、ストリーミング配信サーバ1は、取得されている動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割する。さらに、ストリーミング配信サーバ1は、「ファイル格納機能」を有する。ストリーミング配信サーバ1は、分割されたセグメントファイルを格納する。
【0018】
(6)ストリーミング配信サーバ1は、ファイル処理アプリケーションとしての「URL(Uniform Resource Locator)送信機能」を有する。ストリーミング配信サーバ1は、例えば、動画再生のためのURLが記載された電子メールを、ユーザUbが操作するユーザ端末5bに送信する。(7)ユーザUbは、ユーザ端末5bを介して、URLに対応する、動画再生のためのWebサイトにアクセスする。(8)ストリーミング配信サーバ1は、配信アプリケーションを実行する。例えば、ストリーミング配信サーバ1は、格納されたセグメントファイルを取得する。(9)ストリーミング配信サーバ1は、取得されたセグメントファイルごとにストリーミング配信を実行する。
【0019】
従来のHLSにおいては、予め、動画ファイルを複数のセグメントファイルに分割すること、及び、予め分割されたセグメントファイルを、HTTPでダウンロードしながら再生することによって、ストリーミング再生を実現する。しかしながら、上述したとおり、ファイルサイズが大きい動画ファイルの全てについて予めセグメントファイルに分割して記憶しておくためには膨大な記憶スペースが必要となる。
【0020】
そこで、本発明の一態様に係るストリーミング配信システム100は、取得されている動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割し、分割されたセグメントファイルごとにストリーミング配信を実行する。よって、ストリーミング配信システムは、順次、分割されたセグメントファイルごとにストリーミング配信を実行するから、膨大な記憶スペースを必要とすることなく、動画ファイルを対象としてオンデマンド動画配信を行うことが可能である。
【0021】
また、従来であれば、事前に、何百万本という大量の素材映像ファイルをクラウド上(例えばストリーミング配信サーバ1)にアップロードし、当該映像ファイルに対して、編集処理及びトランスコード処理等を施しておく必要があった。よって、システム更新等があると、全素材映像ファイルのトランスコード処理等が再度必要となる。したがって、映像ファイルデータの移行処理に膨大な時間と費用がかかっていた。しかしながら、ストリーミング配信システム100においては、オンデマンドで必要な分だけトランスコード処理等を行えばよいので、データ移行等にかかる時間及び費用の削減が可能である。
【0022】
なお、図1に示すストリーミング配信システム100において、ストリーミング配信サーバ1と、ファイル記憶システム3と、ユーザ端末5とは互いに所定の通信ネットワークで接続される。所定の通信ネットワークは、有線通信ネットワークであってよく、無線通信ネットワークであってもよい。なお、ストリーミング配信サーバ1及びファイル記憶システム3のそれぞれは、例えばコンピュータシステムで構成されるサーバ装置、又は、クラウドサーバ等によって構成され、ソフトウェアプログラムによって実装される。ユーザ端末5は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の装置であってもよい。また、ユーザ端末5の台数に制限はない。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信サーバの機能ブロックを示す図である。図2に示すように、ストリーミング配信サーバ1は、機能的に、図1に示すファイル記憶システム3及びユーザ端末5と各種情報を送受信する通信部11と、ストリーミング配信のための各種処理を実行する情報処理部12と、ストリーミング配信のための各種処理を実行するための情報及び当該各種処理の実行結果を格納する格納部13と、を備える。なお、ストリーミング配信サーバ1は、上記したとおり、例えばコンピュータシステムで構成されるサーバ装置、又は、クラウドサーバ等によって構成され、ソフトウェアプログラムによって実装される。当該プログラムは、例えば、所定のネットワークを介して、ストリーミング配信サーバ1の外部からダウンロードされて提供されてもよいし、又は、CD-ROMやDVD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な各種の情報記録媒体によって提供されてもよい。
【0024】
情報処理部12は、機能的に、受付部14と、取得部15と、抽出部16と、分割部17と、送信部18と、配信部19と、を備える。なお、図1に示す「動画ファイル取得機能」は、取得部15に対応する。図1に示す「トランスコード機能」は、分割部17に対応する。図1に示す「URL送信機能」は、送信部18に対応する。
【0025】
受付部14は、複数の動画ファイルVFのうち一又は複数の動画ファイルVFの指定を受け付ける。例えば、図1に示すように、ユーザUaは、ユーザ端末5aにおいて表示されるリスト表示画面を参照して、一又は複数の動画ファイルVFを指定する。ユーザ端末5aは、指定された一又は複数の動画ファイルVFに関する指定情報(指定)をストリーミング配信サーバ1に送信する。受付部14は、指定された一又は複数の動画ファイルVFに関する指定情報を受け付ける。
【0026】
取得部15は、指定された一又は複数の動画ファイルVFに関する指定情報に基づいて、図1に示すファイル記憶システム3が有するデータベースDB7から、指定された一又は複数の動画ファイルVFに対応する対象動画ファイルVFを取得する。
【0027】
抽出部16は、動画ファイルVFの取得状況に基づいて、動画ファイルVFについて取得された一又は複数のフレームに関連づけられたTCを抽出する。TC抽出処理の詳細については後述する。
【0028】
分割部17は、トランスコード処理に含まれる一つの処理として、動画ファイルVFの分割処理を実行する。分割部17は、例えば、取得部15で取得されている動画ファイルVFを複数のセグメントファイルSFに順次分割する。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に係る動画ファイル分割処理の概要の一例を説明する概念図である。図3に示すように、分割部17は、例えば、ファイルサイズが大きい動画ファイルVFの取得状況(例えば取得したファイルサイズの増加又は取得したファイルのデータ量の増加)に応じて順次、複数のセグメントファイルSFに分割する。各セグメントファイルSFのファイルサイズは、任意でよく、例えば10秒に対応するファイルとして予め設定される。なお、各セグメントファイルSFのファイルサイズは、同一であってもよいし、異なってもよい。HLSにおいては、上記のとおり順次分割されたセグメントファイルSFを、HTTPでダウンロードしながら再生することによって、ストリーミング再生を実現することが可能である。
【0030】
分割部17は、分割された各セグメントファイルSFに対応するURL等を記載したファイルを示すプレイリストを作成する。また、分割部17は、当該プレイリストのURLが記載されたインデックスファイルを作成してもよい。
【0031】
図2に戻り、送信部18は、分割部17で分割されたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信が実行される際に、動画ファイルの再生画面(後述する図6における再生画面G)を表示するための情報を送信する。例えば、送信部18は、動画再生のためのURLが記載された電子メールを、図1に示すユーザ端末5bに送信する。例えば、動画再生のためのURLは、所定期間(例えば、数時間)が経過すると使用が禁止される、いわゆるワインタイムURLである。この構成によれば、再生画面へのアクセスが所定期間に制限されるため、再生動画に関するセキュリティが向上する。
【0032】
配信部19は、分割部17で分割されたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信を実行する。配信部19は、各セグメントファイルSFの配信タイミング等を、分割部17が作成したプレイリストを参照して決定する。また、配信部19は、例えば、抽出部16で抽出されたTCが関連付けられたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信を実行する。
【0033】
格納部13は、例えば、動画ファイルVFに関する動画ファイル情報VFIと、セグメントファイルSFに関するセグメントファイル情報SFIと、TCに関するTC情報TCIと、を格納する。格納部13は、動画ファイル情報VFI、セグメントファイル情報SFI、及び、TC情報TCIの少なくとも二つの情報は互いに関連付けて格納してもよい。格納部13は、分割部17で分割されたセグメントファイルSFと、抽出部16で抽出されたTCと、を関連付けて格納する。なお、図1に示す「ファイル格納機能」は、格納部13に対応する。
【0034】
<ストリーミング配信処理>
図4を参照して、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信処理の全体の流れを説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信処理のフローチャートの一例である。
【0035】
前提として、ストリーミング配信処理において、例えばネットワークの所定のサイト又は記録媒体から、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信処理を含むストリーミング配信アプリケーションソフトウェアをダウンロードし、図1に示すストリーミング配信サーバ1に実行可能なように保存しておく。そして、ストリーミング配信の実行が指示されると、当該ソフトウェアに基づくプログラム動作が開始する。なお、ファイル記憶システム3及びユーザ端末5においても、ストリーミング配信システム100の要素として適切に作動するように事前に当該ソフトウェアを実行する。
【0036】
図4に示すように、ユーザ端末5aは、ファイル記憶システム3にアクセスして、動画ファイルVFのリスト表示画面を要求する(ステップS1)。ファイル記憶システム3は、ユーザ端末5aからの要求に応じて、動画ファイルVFのリスト表示画面を生成する。また、ファイル記憶システム3は、ユーザ端末5aに対して、生成した動画ファイルVFのリスト表示画面を提示する(ステップS2)。なお、ファイル記憶システム3は、本実施形態におけるストリーミング配信処理の前提として、図1に示すように、複数の動画ファイルVFを含む映像ファイルをデータベース(DB)7に記憶している。ユーザ端末5aを操作するユーザは、ユーザ端末5aにおいて表示されるリスト表示画面を参照して、一又は複数の動画ファイルVFを指定する(ステップS3)。ユーザ端末5aは、指定された一又は複数の動画ファイルVFに関する指定情報をストリーミング配信サーバ1に送信する(ステップS4)。
【0037】
ストリーミング配信サーバ1は、指定情報に基づいて、図1に示すファイル記憶システム3のデータベースDB7から、指定された一又は複数の動画ファイルVFに対応する対象動画ファイルVFを取得する(ステップS5)。ストリーミング配信サーバ1は、トランスコード処理を実行する。例えば、ストリーミング配信サーバ1は、DB7から取得されている動画ファイルを複数のセグメントファイルに順次分割する(ステップS6)。ストリーミング配信サーバ1は、分割されたセグメントファイルSFを、例えば図2に示す格納部13にセグメントファイル情報SFIとして格納する(ステップS7)。ストリーミング配信サーバ1が実行する上記ステップS5からステップS7に関連して実行されるタイムコード(TC)抽出処理について以下に説明する。TC抽出処理の実行タイミングは任意である。TC抽出処理は、上記ステップS5からステップS7のうち少なくとも一つのステップと並行して実行されてもよいし、上記ステップS5からステップS7の前後で実行されてもよい。
【0038】
<TC抽出処理>
図5を参照して、本発明の一実施形態に係るTC抽出処理の流れを説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るTC抽出処理のフローチャートの一例である。図5に示すように、ストリーミング配信サーバ1は、図1に示すファイル記憶システム3のDB7に記憶されている動画ファイルVFを読み込む(ステップS21)。ストリーミング配信サーバ1は、読み込んでいる動画ファイルVFに関して、例えば1フレームごとに記録されたTCを抽出する(ステップS22)。ストリーミング配信サーバ1は、抽出したTCを、図2に示すTC情報TCIとして格納部13に格納する(ステップS23)。ストリーミング配信サーバ1は、動画ファイルVFの最後の読み込みから所定時間(例えば、30秒間)以内に動画ファイルサイズが増加したか否かを判断する
(ステップS24)。Yesの場合は、ストリーミング配信サーバ1は、ステップS22に戻り、TC抽出処理を再開する。例えば、ストリーミング配信サーバ1は、動画ファイルの増加分に対応するフレームに記録されたTCを抽出する。Noの場合は、ストリーミング配信サーバ1は、TC抽出処理を終了する。
【0039】
図4に戻り、ストリーミング配信サーバ1は、例えば、動画再生のためのURLが記載された電子メールを、ユーザUbが操作するユーザ端末5bに送信する(ステップS8)。ユーザ端末5bを操作するユーザは、ユーザ端末5bを介して、URLに対応する、動画再生のためのWebサイトにアクセスする(ステップS9)。ストリーミング配信サーバ1は、図2に示す格納部13に格納されたセグメントファイルSFを取得する(ステップS10)。ストリーミング配信サーバ1は、取得されたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信を実行する(ステップS11)。
【0040】
図6は、図1に示すユーザ端末5b又は後述する図8に示すユーザ端末5に表示される動画再生画面の一例である。図6に示す動画再生画面Gにおいては、ストリーミング配信サーバ1から配信される動画を再生する。図6に示すように、動画再生画面Gにおける表示領域R1において特定のセグメントファイルに対応する動画と、当該セグメントファイルに対応するTC1とが対応づけられて表示される。また、例えば、表示領域R1とは異なる表示領域R2においては、表示領域R1に表示される動画に対して時間的に前に撮像された動画、又は、後に撮像された動画を視聴可能に構成されている。
【0041】
ここで、TCの表示方法に関して以下で具体的に説明する。TCは、動画ファイルVFのフレーム毎に埋め込まれた時/分/秒/フレームの情報を32bit整数値としてまとめ、フレーム順にバイナリファイルとして出力される。ストリーミング配信サーバ1は、例えば、「動画再生位置」(スタートからの相対時間)から「フレーム」への変換、そして、「フレーム」から「タイムコード」(TC)への変換を実行し、現在の再生位置からTCを算出する。より具体的には、ストリーミング配信サーバ1は、「動画再生位置」に関する情報に、所定値(例えば29.97)を乗じた値を四捨五入した整数値をnフレームとする。ストリーミング配信サーバ1は、そのnフレームの位置にあるタイムコード配列から32bit整数値を取り出し、時/分/秒/フレームの値を、「HH:MM:SS:FF」(例えば、図6に示すTC「14:27:48:06」等)の文字列に変換する。上記処理を動画再生位置が変わるたびに実行しTC表示の同期を行う。
【0042】
上記実施形態によれば、ストリーミング配信システム100は、取得されている動画ファイルVFを複数のセグメントファイルSFに順次分割し、分割されたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信を実行する。上記構成によれば、ストリーミング配信システム100は、順次、分割されたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信を実行するから、膨大な記憶スペースを必要とすることなく、動画ファイルVFを対象としてオンデマンド動画配信を行うことが可能である。また、ストリーミング配信システム100においては、オンデマンドで必要な分だけトランスコード処理等を行えばよいので、データ移行等にかかる時間及び費用の削減が可能である。
【0043】
ストリーミング配信システム100は、動画ファイルVFの取得状況(例えば取得したファイルサイズの増加又は取得したファイルのデータ量の増加)に基づいて、動画ファイルVFについて取得された一又は複数のフレームに関連づけられたTCを抽出する。ストリーミング配信システム100は、分割されたセグメントファイルSFと、抽出されたTCと、を関連付けて格納する。ストリーミング配信システム100は、TCが関連付けられたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信を実行する。
【0044】
上記構成によれば、動画ファイルVFの取得進捗に応じて、TCの抽出処理を更新可能である。また、従来のように、動画ファイルVFにTCを焼き込む必要がなく管理可能であるため、ストリーミング配信サーバ1側で再エンコードが不要となる。よって、処理時間が短縮され、動画再生までのタイムラグを抑制可能である。
【0045】
ストリーミング配信システム100においては、図1に示すデータベース(DB)7において複数の動画ファイルVFが格納されており、複数の動画ファイルVFのうち一又は複数の動画ファイルVFの指定を受け付ける。ストリーミング配信システム100は、当該指定に基づいて、DB7から一又は複数の対象動画ファイルを取得する。
【0046】
上記構成によれば、全動画ファイルが、例えばストリーミング配信サーバ1の外部に配置されたデータベースに記憶されている。よって、当該全動画ファイルをクラウド(例えばストリーミング配信サーバ1)上に保存する必要がなく、動画ファイルの流出リスクを低減可能である。また、全動画ファイルが保存されているデータベースへのアクセスを、ストリーミング配信サーバ1を介した限定的なアクセスに制限しているため、例えば放送局外からの不特定多数のアクセスを回避可能である。
【0047】
ストリーミング配信システム100は、分割されたセグメントファイルSFごとにストリーミング配信が実行される際に、動画ファイルVFの再生画面を表示するための情報(例えばURL)を送信する。
【0048】
上記構成によれば、ユーザUは、動画がストリーミング配信される際に発行されるURL等から動画再生画面にアクセスできるので、即座に動画を視聴可能である。
【0049】
図7は、本発明の実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。図7を参照して、図1及び図8に示すストリーミング配信サーバ1、ファイル記憶システム3及びユーザ端末5を構成するのに用いることができるコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。
【0050】
図7に示すように、コンピュータ40は、ハードウェア資源として、主に、プロセッサ41と、主記録装置42と、補助記録装置43と、入出力インターフェース44と、通信インターフェース45とを備えており、これらはアドレスバス、データバス、コントロールバス等を含むバスライン46を介して相互に接続されている。なお、バスライン46と各ハードウェア資源との間には適宜インターフェース回路(図示せず)が介在している場合もある。
【0051】
プロセッサ41は、コンピュータ全体の制御を行う。プロセッサ41は、例えば、図2に示す情報処理部12に相当する。主記録装置42は、プロセッサ41に対して作業領域を提供し、SRAM(tatic andom ccess emory)やDRAM(ynamic andom ccess emory)等の揮発性メモリである。補助記録装置43は、ソフトウェアであるプログラム等やデータ等を格納する、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。当該プログラムやデータ等は、任意の時点で補助記録装置43からバスライン46を介して主記録装置42へとロードされる。補助記録装置43は、例えば、図1及び図8に示すファイル格納機能、及び、DB7に相当する。
【0052】
入出力インターフェース44は、情報を提示すること及び情報の入力を受けることの一方又は双方を行うものであり、カメラ、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル・ディスプレイ、マイク、スピーカ等である。通信インターフェース45は、上記した所定の通信ネットワークと接続されるものであり、当該所定の通信ネットワークを介してデータを送受信する。通信インターフェース45は、ネットワークに係る情報、例えば、Wi-Fiのアクセスポイントに係る情報、通信キャリアの基地局に関する情報等も取得することがある。
【0053】
上に例示したハードウェア資源とソフトウェアとの協働により、コンピュータ40は、所望の手段として機能し、所望のステップを実行し、所望の機能を実現させることできることは、当業者には明らかである。
【0054】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。また、本発明は、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の開示を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素は削除してもよい。さらに、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態に係るストリーミング配信システムの全体構成の他の例を示す図である。図8に示すストリーミング配信システム100Aは、図1に示すストリーミング配信システム100と、ユーザU及びユーザUが操作するユーザ端末5が単一である点で異なる。つまり、図1では、ユーザUaとユーザUbとが異なるユーザである旨説明したが、図8に示すように各ユーザは同一であってもよい。また、図8に示すストリーミング配信システム100Aと、図1に示すストリーミング配信システム100とは、ストリーミング配信サーバ1が「URL送信機能」を有さない点でも異なる。図1に示す項目(1)から(5)と、図8に示す項目(1)から(5)とは、概ね共通するが、図8では、ユーザUが操作するユーザ端末5から動画配信の要求が実行される。
【0056】
図8に示すように、項目(5)に続いて、(6)ストリーミング配信サーバ1は、例えば、格納されたセグメントファイルを取得する。(7)ストリーミング配信サーバ1は、取得されたセグメントファイルごとにユーザUが操作するユーザ端末5にストリーミング配信を実行する。
【0057】
また、上記したとおり、本実施形態の動画ファイルVFの分割(セグメント)単位は、予め定められている旨説明したが、これに限られない。例えば、本実施形態の動画ファイルVFの分割単位は、動的に変更されてもよい。すなわち、本発明の他の実施形態においては、動画ファイルVFの情報(例えば動画の再生時間や解像度(画像サイズ)等)に基づいてセグメント単位を決定し、その単位で複数のセグメントファイルSFに順次分割する(順次にリアルタイムHLS化を実行する)。これにより、動画ファイルVFに適したセグメント単位でリアルタイムHLS化を実行できるため、タイムラグを抑制しながらストリーミング配信することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…ストリーミング配信サーバ、3…雇用者端末装置、5,5a,5b…ユーザ端末、7…データベース(DB)、11…通信部、12…情報処理部、13…格納部、14…受付部、15…取得部、16…抽出部、17…分割部、18…送信部、19…配信部、41…プロセッサ、42…主記録装置、43…補助記録装置、44…入出力インターフェース、45…通信インターフェース、46…バスライン、100,100A…ストリーミング配信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8