(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】多角形開口を有する再帰反射プリズムを製作する方法及びそのデバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 5/122 20060101AFI20230310BHJP
B23D 3/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G02B5/122
B23D3/00
(21)【出願番号】P 2020514551
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018050264
(87)【国際公開番号】W WO2019051413
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512250924
【氏名又は名称】オラフォル アメリカズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スコット スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス アーサー ジェイ.
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-202750(JP,A)
【文献】特許第3500434(JP,B2)
【文献】特開2001-033609(JP,A)
【文献】米国特許第06015214(US,A)
【文献】BRINKSMEIER, E., et al.,Diamond Micro Chiseling of large-scale retroreflective arrays,Precision Engineering,Elsevier B.V.,2012年10月,vol.36, Issue 4,pp.650-657
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00 ― 5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射プリズムを基板内に形成するための方法であって、
少なくとも1つの軸に沿って進行方向に、シングルポイントダイヤモンドツール、基板、または前記シングルポイントダイヤモンドツール及び前記基板の両方を移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面に挿入経路に沿って挿入すること;
前記シングルポイントダイヤモンドツールまたは前記基板の少なくとも1つの進行方向に平行なファセット面を有するファセットを前記基板内に生成するために、前記少なくとも1つの軸に沿って前記進行方向に、前記シングルポイントダイヤモンドツール、前記基板、または前記シングルポイントダイヤモンドツール及び前記基板の両方を移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面から引き抜き経路に沿って引き抜くことであって、前記挿入経路及び前記引き抜き経路は異なる軸に沿っており、前記ファセット面は前記シングルポイントダイヤモンドツールのチゼルエッジによって定義される角度を有する、引き抜くことと、
前記基板上の複数の場所で前記挿入すること及び前記引き抜くことを繰り返すことによって再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することであって、前記再帰反射微細構造のアレイ内の前記再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムであり、前記形成することの間に、偽造防止特徴を付加するために、一つまたは複数の前記再帰反射微細構造に対して一つまたは複数の調節がなされる、前記形成することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することが、
三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、または八角形の投影開口再帰反射プリズムの少なくとも1つを生成するために、前記挿入すること及び前記引き抜くことの前記繰り返しのための前記複数の場所を選択すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することが、
複数の種類の再帰反射プリズムを生成するために、前記挿入すること及び前記引き抜くことの前記繰り返しのための前記複数の場所を選択すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することが、
傾斜、回転、ファセット角、高さ、及びサイズが変動する個々の再帰反射プリズムを生成するために、前記挿入すること及び前記引き抜くことの前記繰り返しのための前記複数の場所を選択すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記挿入または引き抜くことは、
階段機能、放射状構造、自由形状外形、またはそれらの組み合わせを含むファセット面を有する前記ファセットを前記基板内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールまたは前記基板を複数の進行方向に移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くこと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上の抜き勾配を前記再帰反射微細構造のアレイ内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記表面に挿入すること及び引き抜くこと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生成されたファセットの深度、ピッチ、または表面仕上げを調節するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールの挿入及び引き抜きを調節すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板は非平面である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記再帰反射微細構造のアレイを備える再帰反射体ツールを形成するために、前記再帰反射微細構造のアレイを複製すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記再帰反射微細構造のアレイを備える複数の再帰反射体ツールを形成するために前記複製を繰り返すことと、
前記複数の
再帰反射体ツールをパーケット化することと、
前記パーケット化された複数の
再帰反射体ツールを円筒状ドラム、円筒状ベルト、またはロールツーロールベルトに適用することと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記円筒状ドラム、前記円筒状ベルト、または前記ロールツーロールベルトを使用して、前記再帰反射微細構造のアレイをその表面上に含有する再帰反射シートを形成すること
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記挿入することまたは引き抜くことは、
階段機能、放射状構造、自由形状外形、またはそれらの組み合わせを含むファセット面を有する前記ファセットを前記基板内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールまたは前記基板を複数の進行方向に移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くこと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
再帰反射体ツールを形成するための方法であって、
シングルポイントダイヤモンドツールまたは基板の少なくとも1つの進行方向に平行なファセット面を有するファセットを前記基板内に生成するために、少なくとも1つの軸に沿って進行方向に、前記シングルポイントダイヤモンドツール、前記基板、または前記シングルポイントダイヤモンドツール及び前記基板の両方を移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くことであって、前記ファセット面は前記シングルポイントダイヤモンドツールのチゼルエッジによって定義される角度を有する、前記挿入すること及び引き抜くことと、
前記基板上の複数の場所で前記挿入すること及び引き抜くことを繰り返すことによって再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することであって、前記再帰反射微細構造のアレイ内の前記再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムであり、前記形成することの間に、偽造防止特徴を付加するために、一つまたは複数の前記再帰反射微細構造に対して一つまたは複数の調節がなされる、前記形成することと、
前記再帰反射微細構造のアレイを備える複数の再帰反射体ツールを形成するために、前記再帰反射微細構造のアレイを複製することと、
前記複数の
再帰反射体ツールをパーケット化することと、
前記パーケット化された複数の
再帰反射体ツールを円筒状ドラム、円筒状ベルト、またはロールツーロールベルトに適用することと
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することが、
三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、または八角形の投影開口再帰反射プリズムの少なくとも1つを生成するために、前記挿入すること及び引き抜くことの前記繰り返しのための前記複数の場所を選択すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することが、
複数の種類の再帰反射プリズムを生成するために、前記挿入すること及び引き抜くことの前記繰り返しのための前記複数の場所を選択すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成することが、
傾斜、回転、ファセット角、高さ、及びサイズが変動する個々の再帰反射プリズムを生成するために、前記挿入すること及び引き抜くことの前記繰り返しのための前記複数の場所を選択すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の抜き勾配を前記再帰反射微細構造のアレイ内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記表面に挿入すること及び引き抜くこと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記生成されたファセットの深度、ピッチ、または表面仕上げを調節するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールの挿入及び引き抜きを調節すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記基板は非平面である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記円筒状ドラム、前記円筒状ベルト、または前記ロールツーロールベルトを使用して、前記再帰反射微細構造のアレイをその表面上に含有する再帰反射シートを形成すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる仮特許出願第62/556,735号(2017年9月11日出願)の恩典を主張する。
【0002】
分野
本技術は、多角形開口を有する再帰反射プリズムを製作する方法及びそのデバイスに関する。より具体的には、本技術は、マイクロチゼル技術を使用して、多角形状開口を有する再帰反射プリズムを製作することに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
マイクロプリズム再帰反射シートは、切頂立方体及び長方形フルキューブで作成されている(例えば、米国特許第6,253,442号(特許文献1)、米国特許第7,156,527号(特許文献2)、及び米国特許第3,689,346号(特許文献3)参照)。切頂設計は、一般的に、長方形フルキューブよりも効率性が低く、ひいては、最新のASTM及び再帰反射シートの他のグローバル仕様の一部を満たすことが難しい。
【0004】
再帰反射設計のツール製作は、切頂プリズム及び長方形プリズムの両方において、シングルポイントダイヤモンドルーリングまたはフライカッティングが主流になっている。フライカッティングプロセスでは、シングルポイントダイヤモンドツールの角度は、スピンドル等のスピニングツールホルダ上で設定される。そして、シングルポイントダイヤモンドは、基板を線状パターンで移動する一方、スピンドルは、要求されるプリズムのジオメトリを作成するように回転する(例えば、米国特許第3,712,706号(特許文献4)参照)。この方法を使用して、再帰反射体の所望の最終ジオメトリに基づいた間隔で、基板の片側から他側まで基板内で切削が行われる。溝の一方の全配向が完了した後、基板を回転させることによって3つのプリズムファセットが形成される。フライカッティングを使用することによって、プリズムのジオメトリの変動は、フライカッティング設定の制約によって制限される。従来のフライカッティング技術は、本明細書に開示される再帰反射プリズムの製作には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第6,253,442号
【文献】米国特許第7,156,527号
【文献】米国特許第3,689,346号
【文献】米国特許第3,712,706号
【発明の概要】
【0006】
概要
再帰反射プリズムを基板内に形成するための方法は、シングルポイントダイヤモンドツールまたは基板の少なくとも1つの進行方向に平行なファセット面を有するファセットを基板内に生成するように、少なくとも1つの軸に沿って進行方向に、シングルポイントダイヤモンドツール、基板、またはシングルポイントダイヤモンドツール及び基板の両方を移動させながら、シングルポイントダイヤモンドツールを、基板の表面に挿入すること及び引き抜くことを含む。ファセット面は、シングルポイントダイヤモンドツールのチゼルエッジによって定義される角度を有する。挿入すること及び引き抜くことは、再帰反射微細構造のアレイを基板の表面上に形成するために、基板上の複数の場所で繰り返される。再帰反射微細構造のアレイの少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムである。
【0007】
再帰反射プリズムを基板内に形成するための方法は、表面を有する基板を提供することを含む。再帰反射微細構造のアレイは、基板の表面にマイクロチゼルされる。再帰反射微細構造のアレイ内の再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムである。
【0008】
非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに以下のステップを行わせる実行可能コードを含む、再帰反射プリズムを基板内に形成するための命令を媒体上に記憶し、当該ステップは、シングルポイントダイヤモンドツールまたは基板の少なくとも1つの進行方向に平行なファセット面を有するファセットを基板内に生成するように、少なくとも1つの軸に沿って進行方向に、シングルポイントダイヤモンドツール、基板、またはシングルポイントダイヤモンドツール及び基板の両方を移動させながら、シングルポイントダイヤモンドツールを、基板の表面に挿入すること及び引き抜くことを命令することを含む。ファセット面は、シングルポイントダイヤモンドツールのチゼルエッジによって定義される角度を有する。シングルポイントダイヤモンドツールは、再帰反射微細構造のアレイを基板の表面上に形成するために、基板上の複数の場所で挿入すること及び引き抜くことを繰り返すことが命令される。再帰反射微細構造のアレイ内の再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムである。
【0009】
本発明の技術は、多角形再帰反射プリズムを有する再帰反射シート及びツールを製作する際に利用され得る再帰反射プリズムを形成するための方法の向上をもたらす利点がある。本技術は、アクティブなエリアの増加をもたらす多角形再帰反射体を生成するマイクロチゼル技術を利用する。マイクロチゼルプロセスは、ほんの一例として、三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、または八角形のプリズム等の多角形を含む、異なる種類及びジオメトリの再帰反射微細構造を含む、アレイを生成することを可能にする。
[本発明1001]
再帰反射プリズムを基板内に形成するための方法であって、
シングルダイヤモンドポイントツールまたは基板の少なくとも1つの進行方向に平行なファセット面を有するファセットを前記基板内に生成するために、少なくとも1つの軸に沿って進行方向に、前記シングルポイントダイヤモンドツール、前記基板、または前記シングルポイントダイヤモンドツール及び前記基板の両方を移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くことであって、前記ファセット面は前記シングルポイントダイヤモンドツールのチゼルエッジによって定義される角度を有する、前記挿入すること及び引き抜くことと、
再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成するために、前記基板上の複数の場所で前記挿入すること及び引き抜くことを繰り返すことであって、前記再帰反射微細構造のアレイ内の前記再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムである、前記繰り返すことと
を含む、前記方法。
[本発明1002]
前記再帰反射微細構造のアレイを形成するための前記繰り返しのための前記複数の場所は、三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、または八角形の投影開口再帰反射プリズムの少なくとも1つを生成するために選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記再帰反射微細構造のアレイを形成するための前記繰り返しのための前記複数の場所は、複数の種類の再帰反射プリズムを生成するために選択される、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記再帰反射微細構造のアレイを形成するための前記繰り返しのための前記複数の場所は、傾斜、回転、ファセット角、高さ、及びサイズが変動する個々の再帰反射プリズムを生成するために選択される、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記挿入することまたは引き抜くことは、
階段機能、放射状構造、自由形状外形、またはそれらの組み合わせを含むファセット面を有する前記ファセットを前記基板内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールまたは前記基板を複数の進行方向に移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くこと
をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
1つ以上の抜き勾配を前記再帰反射微細構造のアレイ内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールを前記表面に挿入すること及び引き抜くこと
をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
前記生成されたファセットの深度、ピッチ、または表面仕上げを調節するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールの前記挿入及び引き抜きを調節すること
をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
前記基板は非平面である、本発明1001の方法。
[本発明1009]
前記再帰反射微細構造のアレイを備える再帰反射体ツールを形成するために、前記再帰反射微細構造のアレイを複製すること
をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記再帰反射微細構造のアレイを備える複数の再帰反射体ツールを形成するために前記複製を繰り返すことと、
前記複数の複製再帰反射体ツールをパーケット化することと、
前記パーケット化された複数の複製再帰反射体ツールを円筒状ドラム、円筒状ベルト、またはロールツーロールベルトに適用することと
をさらに含む、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記円筒状ドラム、前記円筒状ベルト、または前記ロールツーロールベルトを使用して、前記再帰反射微細構造のアレイをその表面上に含有する再帰反射シートを形成すること
をさらに含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
再帰反射プリズムを基板内に形成するための方法であって、
表面を有する基板を提供することと、
再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成するために、前記基板をマイクロチゼルすることであって、前記再帰反射微細構造のアレイ内の前記再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムである、前記マイクロチゼルすることと
を含む、前記方法。
[本発明1013]
前記再帰反射微細構造のアレイを前記マイクロチゼルすることは、三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、または八角形の投影開口再帰反射プリズムの少なくとも1つを形成する、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記再帰反射微細構造のアレイを前記マイクロチゼルすることは、複数の種類の再帰反射プリズムを形成する、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記再帰反射微細構造のアレイを前記マイクロチゼルすることは、傾斜、回転、ファセット角、高さ、及びサイズが変動する個々の再帰反射プリズムを生成する、本発明1012の方法。
[本発明1016]
前記マイクロチゼルすることは、階段機能、放射状構造、自由形状外形、またはそれらの組み合わせを有するファセット面を含むファセットを前記基板内に生成することをさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1017]
前記マイクロチゼルすることは、1つ以上の抜き勾配を前記再帰反射微細構造のアレイ内に生成することをさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1018]
前記基板は非平面である、本発明1012の方法。
[本発明1019]
前記再帰反射微細構造のアレイを備える再帰反射体ツールを形成するために、前記再帰反射微細構造のアレイを複製すること
をさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1020]
前記再帰反射微細構造のアレイを備える複数の複製再帰反射体ツールを形成するために前記再帰反射体ツールを複製することと、
前記複数の複製再帰反射体ツールをパーケット化することと、
前記パーケット化された複数の複製再帰反射体ツールを円筒状ドラム、円筒状ベルト、またはロールツーロールベルトに適用することと
をさらに含む、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記円筒状ドラム、前記円筒状ベルト、または前記ロールツーロールベルトを使用して、前記再帰反射微細構造のアレイをその表面上に含有する再帰反射シートを形成すること
をさらに含む、本発明1020の方法。
[本発明1022]
プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに以下のステップを行わせる実行可能コードを含む、再帰反射プリズムを基板内に形成するための命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記ステップは、
シングルダイヤモンドポイントツールまたは基板の少なくとも1つの進行方向に平行なファセット面を有するファセットを前記基板内に生成するために、少なくとも1つの軸に沿って進行方向に、前記シングルポイントダイヤモンドツール、前記基板、または前記シングルポイントダイヤモンドツール及び前記基板の両方を移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを、前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くことを命令することであって、前記ファセット面は前記シングルポイントダイヤモンドツールのチゼルエッジによって定義される角度を有する、前記命令することと、
再帰反射微細構造のアレイを前記基板の表面上に形成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールを、前記基板上の複数の場所で前記挿入すること及び引き抜くことを繰り返すことを命令することであって、前記再帰反射微細構造のアレイ内の前記再帰反射微細構造の少なくとも1つは、多角形投影開口を有する再帰反射プリズムである、前記命令することと
を含む、
前記媒体。
[本発明1023]
前記再帰反射微細構造のアレイを形成するための前記繰り返しのための前記複数の場所を命令することは、三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、または八角形の投影開口再帰反射プリズムの少なくとも1つを生成するために選択される、本発明1022の媒体。
[本発明1024]
前記再帰反射微細構造のアレイを形成するための前記繰り返しのための前記複数の場所は、複数の種類の再帰反射プリズムを生成するために選択される、本発明1022の媒体。
[本発明1025]
前記再帰反射微細構造のアレイを形成するための前記繰り返しのための前記複数の場所は、傾斜、回転、ファセット角、高さ、及びサイズが変動する個々の再帰反射プリズムを生成するために選択される、本発明1022の媒体。
[本発明1026]
前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、以下を含む少なくとも1つの追加ステップを行わせる少なくとも1つの追加命令をさらに記憶し、
前記追加ステップは、
階段機能、放射状構造、自由形状外形、またはそれらの組み合わせを含むファセット面を有する前記ファセットを前記基板内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールまたは前記基板を複数の進行方向に移動させながら、前記シングルポイントダイヤモンドツールを、前記基板の表面に挿入すること及び引き抜くことを命令すること
を含む、
本発明1022の媒体。
[本発明1027]
前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、以下を含む少なくとも1つの追加ステップを行わせる少なくとも1つの追加命令をさらに記憶し、
前記追加ステップは、
1つ以上の抜き勾配を前記再帰反射微細構造のアレイ内に生成するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールを、前記表面に挿入すること及び引き抜くことを命令すること
を含む、
本発明1022の媒体。
[本発明1028]
前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、以下を含む少なくとも1つの追加ステップを行わせる少なくとも1つの追加命令をさらに記憶し、
前記追加ステップは、
前記生成されたファセットの深度、ピッチ、または表面仕上げを調節するために、前記シングルポイントダイヤモンドツールの前記挿入及び引き抜きを調節すること
を含む、
本発明1022の媒体。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】再帰反射プリズムを基板内に形成するための環境のブロック図である。
【
図2】ダイヤモンドツールで基板をマイクロチゼルするための一般的な挿入及び
引き抜きツー
ル経路の図である。
【
図3】本技術の方法を使用して形成され得る例示的なタイプIの六角形の再帰反射体である。
【
図4】本技術の方法を使用して形成され得るフローチャネルが配置される例示的なタイプIIの六角形の再帰反射体である。
【
図5】本技術の方法を使用して形成される同じ回転を有する六角形の再帰反射プリズムの例示的アレイを示す。
【
図6】本技術の方法を使用して形成され得る長方形の再帰反射プリズムの例示的アレイを示す。
【
図7】本技術の方法を使用して形成され得る五角形の再帰反射プリズムの例示的アレイを示す。
【
図8】本技術の方法を使用して形成され得るアレイの内部に変動する傾斜角で配置される正方形の再帰反射プリズムの例示的アレイを示す。
【
図9】本技術の方法を使用して形成され得る五角形及び切頂三角形の再帰反射プリズムの例示的なハイブリッドアレイを示す。
【
図10】本技術の方法を使用して形成され得る五角形及び不規則六角形の再帰反射プリズムの例示的なハイブリッドアレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
図1を参照すると、ダイヤモンドマイクロチゼルを使用して再帰反射ツール及び再帰反射シートを製作するために使用され得る、再帰反射プリズムを基板内に形成するための環境10が示される。ダイヤモンドマイクロチゼル(DMC)は、Brinksmeier他による「Diamond Micro Chiseling of Large-Scale Retroreflective Arrays」、Precision Engineering、34(4):650-57、(2012年)(本文献の開示が本明細書により全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に説明される、材料を除去するために、多軸高精密機械が基板にダイヤモンドを押し込み及び
引き抜くプロセスである。DMCは、従来のフライカッティング技術を使用して生成することができない多角形のまたは他の同様に成形された再帰反射プリズムを含む再帰反射体ツールを生成するための方法を提供する利点がある。DMCは、また、再帰反射体設計における適応性の向上をもたらす。DMCは、係る再帰反射体に関する様々なグローバル仕様を満たす、アクティブなエリアの増加した多角形再帰反射体の生産を可能にする。
【0012】
再度、
図1を参照すると、環境10は、制御コンピューティングデバイス16に結合される平行移動機械13(5軸平行移動機械等)に付けられたダイヤモンド切削ツール12を含むが、環境10は他の組み合わせにおける他の種類及び/または他の数のデバイスを含み得る。ダイヤモンド切削ツール12は、基板14をマイクロチゼルするために利用され得る。一例では、平行移動機械13は制御コンピューティングデバイス16に結合され、そうすることで、制御コンピューティングデバイス16は、ダイヤモンド切削ツール12の位置を制御するために利用され得る。別の例では、基板14は、平行移動機械に組み合わせられ得、それにより、基板14は、本明細書に説明される方法を行うために、単独で、またはダイヤモンド切削ツール12の移動と連動してのいずれかで移動し得る。平行移動機械13は、ダイヤモンドを、基板14に向かって、基板14を通して、及び基板14から離れて方向づける、平行移動機械13の送り速度を使用して、ダイヤモンド切削ツール12のダイヤモンドを、基板14に押し込み及び
引き抜くように構成される。平行移動機械13は、さらに、送り速度によって生じる、押し込み及び
引き抜きの間の追加の運動軸を可能にする。一例では、平行移動機械13は、複数の軸に関係し、より複雑なツール経路を提供する。
【0013】
一例では、ダイヤモンド切削ツール12は、特定のプリズムのジオメトリを機械加工することが可能であるマイクロチゼルプロセスに合わせて特別に設計されている。これは、ダイヤモンド切削ツール12をマイクロチゼルプロセスの高い切削力に対してより頑丈にすることを可能にする。一例では、ダイヤモンド切削ツール12のダイヤモンドは、基板14内に先に形成した他のプリズムとの干渉をなくすように設計される、またはマイクロチゼルプロセスの一部として、反対側の抜き勾配特徴を含むように設計される。別の例では、ダイヤモンド切削ツール12のダイヤモンド設計は非対称であり得る。例として、ツールの摩耗を最小にし、最終的な再帰反射産物の性能低下が全くかほとんどなくダイヤモンド切削ツール12の寿命を長くするために、ダイヤモンド切削ツール12のダイヤモンドの先端に平面または放射状構造を追加することができる。
【0014】
基板14は、シングルポイントダイヤモンド機械加工に適合する金属から形成される。これらは、ほんの一例として、黄銅、アルミニウム、銅、及び高リンニッケルを含むが、他の金属または他の材料が、基板14に使用され得る。複製誤差、ポリマー収縮、ならびに他の寸法及び形状の変化等の製造変数は、再帰反射マスタープリズム設計のジオメトリに影響を与える。UV/EB鋳造またはエンボス加工によって形成されるポリマー光学部品が最終部品であるため、基板14に機械加工するとき、最終産物の性能は、プリズム設計において補償される必要がある。一例では、新しい再帰反射設計の速やかな試作及びテストのために、光学部品はポリマー基板にマイクロチゼルされることができ、それにより、複製することなく設計のテストが可能になる。
【0015】
この例では、基板14は平面基板である。別の例では、非平面基板がワークピースに使用され得る。例えば、マイクロチゼルは、球面曲率半径または自由形状表面を有するワークピース上で行われることができ、マイクロチゼルによって生成された光学構造は非平面基板に追加される。
【0016】
この例の制御コンピューティングデバイス16は、バス24または他の通信リンクによって結合される1つ以上のプロセッサ18、メモリ20、及び通信インターフェース22を含むが、制御コンピューティングデバイス16は他の構成における他の種類及び/または他の数の要素を含み得る。制御コンピューティングデバイス16のプロセッサ(複数可)18は、本明細書に説明され及び示される任意の数の機能に対して、メモリ20内に記憶されたプログラムされた命令を実行し得る。制御コンピューティングデバイス16のプロセッサ(複数可))18は、例えば、1つ以上の処理コアを伴う1つ以上のCPUまたは汎用プロセッサを含み得るが、また、他の種類のプロセッサ(複数可)も使用することができる。
【0017】
制御コンピューティングデバイス16のメモリ20は、本明細書に説明され及び示される本発明の技術の1つ以上の態様に関するこれらのプログラムされた命令を記憶するが、プログラムされた命令の一部または全ては、他の場所に記憶され得る。ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、半導体ドライブ、フラッシュメモリ、またはプロセッサ(複数可)18に結合される磁気、光学、もしくは他の読み取りシステム及び書き込みシステムによってから読み取られ、そのシステムに書き込まれた他のコンピュータ可読媒体等の様々な異なる種類のメモリ記憶デバイスが、メモリ20に使用されることができる。
【0018】
したがって、制御コンピューティングデバイス16のメモリ20は、制御コンピューティングデバイス16によって実行されるとき、下記に説明され及び示されるアクションを制御コンピューティングデバイス16に行わせるコンピュータ実行可能命令を含み得る、1つ以上のアプリケーションまたはプログラムを記憶することができる。アプリケーション(複数可)は、他のアプリケーションのモジュールまたはコンポーネントとして実装されることができる。さらに、アプリケーション(複数可)は、オペレーティングシステム拡張、モジュール、プラグイン等として実装されることができる。
【0019】
さらに、アプリケーション(複数可)は、クラウドベースコンピューティング環境で動作可能であり得る。アプリケーション(複数可)は、クラウドベースコンピューティング環境内で管理され得る仮想マシン(複数可)もしくは仮想サーバ(複数可)の内部で、または仮想マシン(複数可)もしくは仮想サーバ(複数可)として実行されることができる。また、アプリケーション(複数可)は、制御コンピューティングデバイス16上で実行する1つ以上の仮想マシン(VM)内で起動し得る。
【0020】
制御コンピューティングデバイス16の通信インターフェース22は、当技術分野で既知であるように、制御コンピューティングデバイス16とダイヤモンド切削ツール12との間で結合及び通信するように動作する。別の例では、制御コンピューティングデバイス16は、アナログ/デジタルコンバータ、デジタル/アナログコンバータ、直列バス、汎用I/Oピン、RAM、及びROM等の様々な搭載ハードウェア機能を伴う高度に統合されたマイクロコントローラデバイスである。
【0021】
例示的な制御コンピューティングデバイス16が本明細書に説明され及び示されているが、他のトポロジにおける他の種類及び/または他の数のシステム、デバイス、コンポーネント、及び/または要素を使用することができる。当業者(複数可)によって認識されるように、例を実装するために使用される特定のハードウェア及びソフトウェアの多くの変形例が可能であるため、本明細書に説明される例のシステムは例示の目的のためであることを理解されたい。
【0022】
加えて、2つ以上のコンピューティングシステムまたはデバイスで、制御コンピューティングデバイス16を置き換えることができる。したがって、冗長性及び複製等の分散処理の原理及び利点はまた、例のデバイス及びシステムのロバスト性及び性能を向上させるために、必要に応じて実装されることができる。また、例は、ほんの一例として、任意の適切な形式(例えば、声及びモデム)の通信トラフィック、無線トラフィックネットワーク、セルラートラフィックネットワーク、パケットデータネットワーク(PDN)、インターネット、イントラネット、及びそれらの組み合わせを含む、任意の適切なインターフェース機構及びトラフィック技術を使用して、任意の適切なネットワークにわたって拡張するコンピュータシステム(複数可)上で実装され得る。
【0023】
例は、また、本明細書の例として説明され及び示される本発明の技術の1つ以上の態様に関して、媒体上に命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体として具体化され得る。いくつかの例における命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、本明細書に説明され及び示される本技術の例の方法を実施するために必要なステップを実施させる実行可能コードを含む。
【0024】
多角形投影開口再帰反射プリズムをその上に含む再帰反射微細構造を形成するために、表面をマイクロチゼルするための例示的プロセスは、
図1~
図10に関して説明される。
【0025】
上記に説明した基板14を提供することによって、マイクロチゼルプロセスが開始される。一例では、基板14を準備するマイクロチゼルプロセスに、前処理ステップが含まれる。マイクロチゼルプロセスは、長い直線溝を迅速に作るルーリング及びフライカッティングと比較すると比較的遅い。サイクル時間を短くするため、下記に説明されるマイクロチゼルプロセスを使用して基板14上で最終プリズムのジオメトリを仕上げる前に、切頂プリズムのジオメトリもしくは溝、または他のパターンの設計を使用して、余分な材料を基板14から荒削りすることを可能にするために、前処理ステップが含まれる。この荒削り技術は、プロセス時間を著しく短くすることができる。加えて、より高速な機械加工速度で、より大きい切削深度を荒削りするために、より頑丈なダイヤモンドを使用することができる。次に、下記に説明されるマイクロチゼルプロセスで最終ジオメトリを取得するために、仕上げダイヤモンドを使用することができる。
【0026】
次に、マイクロチゼルプロセスを行うために、ダイヤモンド切削ツール12のダイヤモンドは、基板14に押し込まれ、
引き抜かれる。ダイヤモンド切削ツール12の例示的なツール経路は
図2に示される。マイクロチゼルプロセスは、平行移動機械13を使用して、挿入経路30に沿ってダイヤモンドを基板14の中に押し込み、
引き抜き経路31に沿って基板14からダイヤモンドを
引き抜く。押し込み及び
引き抜くことは、平行移動機械13の送り速度を使用して、ダイヤモンド切削ツール12を、基板14で移動させ、ダイヤモンド切削ツール12を平行移動機械13の1つ以上の他の運動軸に沿って移動させ、所与の立方体のファセットを作るが、他の例では、基板14は、ファセットを作るために、単独で、または平行移動機械14の移動と連動して移動し得る。ファセットは、
図2に示されるダイヤモンド切削ツール12のダイヤモンドのチゼルエッジ32の配向によって定義される角度で傾斜する。このように、マイクロチゼルから形成されたファセットは、平行移動機械13の運動と平行である。しかしながら、より複雑なツール経路上で追加の軸が関与する場合、形成されたファセットは、ほんの一例として、階段機能、放射状構造、自由形状外形、または任意の形状を有し得る。別の例では、ファセットトポロジはまた、特別に成形されたダイヤモンド切削ツール12を使用することによって非平面であり得る。
【0027】
挿入経路30に沿った押し込み及び引き抜き経路31に沿った引き抜きは、例えば、基板14上で複数の再帰反射構造を形成するために、基板14に沿って様々な場所で繰り返される。一例では、マイクロチゼルは、平行移動機械13に結合される制御コンピューティングデバイス16によって制御される。マイクロチゼルプロセスは、例として、三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、八角形、または他の多角形等の一般的な多角形を含む、いくつかの再帰反射体アレイ設計を可能にする。
【0028】
米国特許第6,015,214号(その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されるもの等の様々な再帰反射体ジオメトリ構成が、マイクロチゼルプロセスを使用して形成され得る。本明細書に開示される再帰反射プリズムを形成するためのDMC方法は、これらの同じ幾何学的実施形態であるがより柔軟性の高い幾何学的実施形態、及び、米国特許第6,015,214号に開示される方法を使用して可能ではない多くの他の幾何学的実施形態を作成することが可能である。
【0029】
図3及び
図4は、本明細書に説明される方法を使用して、基板内に形成され得る例示的な六角形の再帰反射体またはプリズムを示す。六角形の投影開口プリズム再帰反射体は、2つの基本的なジオメトリタイプ:タイプI(
図3)及びタイプII(
図4)があり得る。
図3を参照すると、タイプIの六角形プリズムは、結果として生じるプリズムファセットが4面となるように、2面端が外側六角形投影開口34の角で交差するジオメトリを有するものとして定義される。
図4を参照すると、対照的に、タイプIIの六角形プリズムは、プリズムの2面端が外側六角形投影開口36の角で交差しないジオメトリとして定義される。タイプIIのプリズムは3つの五角形ファセットを生じさせる。
図3及び
図4の両方に示されるように、2面端はプリズムのファセットの交点で形成された端であり、これらの2面端同士は六角形プリズムの頂点で交わる。六角形プリズム設計に3つの2面端及び3つのファセットがある。所与の開口サイズに関して、タイプIのプリズムは、同じ開口サイズのタイプIIのプリズムよりも深い、または長い。
【0030】
図3に示されるタイプIIの六角形プリズムに関する六角形の投影開口プリズムの設計に関して、マイクロチゼルは、所与の開口の内部にプリズムの可変配向を可能にする。2面端は、六角形の開口の内部で任意の回転を有し得る。
図5は、アレイ全体を通して開口の内部でプリズムに一定の回転が適用された、本技術の方法を使用して形成された六角形の再帰反射プリズムの例示的アレイを示す。
【0031】
別の例では、マイクロチゼルプロセスは、また、アレイ内の各プリズムが、開口の内部で2面端の異なる回転を有することを可能にする。加えて、設定された回転の群は、所与の設定された回転の比率がアレイ内に含まれ得るように設計されることができる。一例では、アレイ内の六角形プリズムの50パーセントは回転せず、25パーセントは10度回転し、25パーセントは-10度回転する。例示的な回転の設定が説明されているが、マイクロチゼルプロセスは、アレイの内部での回転角と、回転比の変動との任意の組み合わせを可能にすることを理解されたい。一例では、
図4に示されるように、タイプIIの六角形プリズムは、下記にさらに説明される複製プロセスを補助するフローチャネル37が配置され製造されることができる。
【0032】
マイクロチゼルは、
図5に示されるように、タイプIIの六角形プリズムのファセット及び2面端の回転を可能にし、開口は固定サイズのままである。一例では、六角形プリズムの開口サイズは、アレイ内で変動し得る。プリズムの回転により、2面端が開口で交わる垂直壁アーチファクトを生じさせ得るが、これらのアーチファクトは、下記にさらに詳細に説明されるように、複製プロセスを容易にするために、最小にされる、もしくは取り除かれる、または抜き勾配を有するように設計されることができる。別の例では、開口と一緒に全体プリズムは、所与のアレイの任意の角度まで回転する。このように、ジオメトリの任意の傾斜配置が可能である。
【0033】
ほんの一例として、本明細書に開示される方法を使用して形成され得る再帰反射プリズムアレイの追加の幾何学的実施形態は、
図6~
図10に示される。
図6は、長方形の投影開口40を有する再帰反射プリズムを示す。
図7は、五角形の投影開口42を有する再帰反射プリズムを示す。
図8は、正方形の投影開口44を有する再帰反射プリズムを示す。
図9~
図10は、異なって成形された投影開口再帰反射プリズムのハイブリッドの組み合わせを有する再帰反射アレイを示す。
【0034】
傾斜がない、正の傾斜がある、負の傾斜がある、及びこれらの傾斜の組み合わせがある、プリズムを設計及び製造する能力もまた、マイクロチゼルプロセスの特徴である。再帰反射プリズムの傾斜は、米国特許第4,588,258号、第2,380,447号、及び第5,171,624号(その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる)に説明される、係る傾斜の方向への光戻りを向上させるために利用されることができる。従来のプリズム設計では、プリズムの傾斜は、開口の変化が必然的に伴う。マイクロチゼルプロセスは、プリズム開口を変えることなく、プリズムの傾斜及び回転を設計に組み込むことを可能にする。1つの係る例示的形態が
図8に示され、4つの正方形の開口の再帰反射体の隣接するセット45は、ファセットエリアの割合の差によって証明されるような非常に異なるプリズムの傾斜をもたらす。
【0035】
ここで
図9~
図10を参照すると、マイクロチゼルプロセスは、任意の種類の再帰反射体プリズム及びジオメトリを混合する能力を有する。例えば、
図9に示されるように、切頂三角形の投影開口プリズム47は、五角形の投影開口プリズム46と混ぜられることができる。別の例は
図10に示され、五角形の投影開口プリズム48は、不規則な六角形の投影開口プリズム49と混合される。加えて、同じ種類のプリズムの異なるピッチ及びサイズが混合され得るように、設計は拘束されない。また、プリズムの可変ピッチ及び可変深度の他の組み合わせも可能である。同じ設計の複数の種類のプリズムに加えて、プリズム深度は可変プリズム開口と等しくなるように設計されることができる、またはプリズム深度は特定のプリズムのジオメトリの開口に応じて変動するように設計されることができる。三角形、菱形、長方形、正方形、五角形、六角形、八角形、または各プリズムまたはプリズムのグループの内部で可変回転、傾斜、及び複数の2面角があるそれ以外の多角形の開口を含む、多くの設計可能性が、マイクロチゼルの適応性により利用可能である。加えて、再帰反射体の間の間隔は、再帰反射体の特異的パターン、クラスタ、または要望どおりの他の表面的特徴を生じさせるために修正されることができる。加えて、再帰反射体の間の間隔は、再帰反射体の特異的パターン、クラスタ、または要望どおりの他の表面的特徴を生じさせるために修正されることができる。
【0036】
マイクロチゼルはさらに、回折効果を減らす、またはなくすために、ランダムな開口サイズ、または可変の開口サイズを選ぶことを可能にする。開口サイズの分散したセットをランダム化、疑似ランダム化、または選択することは、再帰反射体アレイの光学性能が純粋な幾何学モデルに向かって集束させることを可能にする。
【0037】
マイクロチゼルプロセスは、プリズムファセットの深度、ピッチ、角度、及び表面仕上げを個々に調節するために利用され得る。これらの調節は、偽造防止特徴のために行われることができ、ほんの一例として、生成されたファセット上に隠れた特徴を顕微鏡スケールで挿入すること;いくつかもしくは多くのサイズのプリズムであり得る、マクロスケールで可視であるロゴ特徴、または再帰反射体物品のパターン及び相互に対するその各々の間隔を挿入すること;特定の見る角度、特定波長、照明条件のみにおいて可視である、または非可視波長において特殊な測定機器を使用して可視である特徴を生じさせることを含み得る。表面仕上げの差を達成する方法は、アレイ内の特定のファセットまたは特定プリズムのための力及び送り速度を調整することを含む。
【0038】
別の例では、マイクロチゼルを利用して、ロゴを、測光性能を低下させる現行のエッチングパターンと比較して非破壊的及び機能的であるプリズムパターンに設計することができる。例えば、切削プログラムは、「透かし」タイプの効果を生じさせる規定の方法で修正され得る。複数のDAD/傾斜設計に関して、透かしパターンのために、特定のプリズム規定を一緒に集合させることができる。この例では、同様のプリズム規定が、透かしを画定する領域内に配置される。
【0039】
マイクロチゼルプロセスは、電気鋳造中または成形中に取り外しを補助するために、構造壁内に抜き勾配切り込みの組み込みを可能にする。あるジオメトリの場合、基板内に生成されたプリズム構造は、さらなる複製プロセスにおいて取り外すことが困難であるだろう垂直壁またはアンダーカット部を有するだろう。いくつかの再帰反射体設計は、隣接プリズムのファセットと重なるプリズムのファセットを有する。これらの重なりは、負の抜き勾配を生じさせ、後続するツールへの複製工程中に構造を「固定」させる。マイクロチゼルは、機械加工特徴の組み込みを可能にし、機械加工特徴は、これらのアンダーカット部もしくは干渉表面をなくし、それらを垂直壁(アンダーカット部がない)と置き換えることができる、またはこれらの表面上の正の角(抜き勾配)が複製においてより容易な取り外しを促進することを可能にし得る。
【0040】
ダイヤモンドツールにかかる高張力は、ツールの寿命を短くし得る。一例では、マイクロチゼルは、切除における引き抜き部分の間にダイヤモンド切削ツール12にかかる高張力を回避するために制御される。この例では、ダイヤモンド切削ツール12の動作は、ツールの引き抜きではなく押し込み中に材料除去を効果的にするために最適化され、ダイヤモンドは、発生した圧縮力に対してよりロバスト性がある。圧縮においてのみダイヤモンドで機械加工するこのプロセスは、ダイヤモンドの寿命を長くする方法であり、その理由は、引き抜き中に材料を除去することは、ダイヤモンドに張力がかかりツールの損傷を生じさせる機会の増加をもたらすためである。
【0041】
マイクロチゼルプロセスを使用してプリズムアレイがいったん基板内に完成されると、基板は、ポリマー再帰反射膜シートを作成するために使用されるロールツーロールベルトまたは円筒状ベルトに複製され得る。複製のサイクル時間を短くするために、射出成形複製物は、大型サイズのツールを形成するために一緒に作成され、パーケット化されることができる。マイクロチゼルプロセスは、各立方体をチゼルするために必要な時間と、マスターが作られる工作機械の進行の制限とに起因して、比較的小さなマスター(2インチの正方形のサイズ)をもたらす。複製及びパーケット化は、マスター構造を、ロールツーロールポリマー処理の実行が可能なサイズにするために必要である。
【0042】
米国特許第4,478,769号及び第6,322,652号、ならびにPCT公開第WO2103/151691号(その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、プリズムアレイは、例として、24インチ~50インチを超える幅及び25~150インチの円周を有する円筒状ベルト上で複製及びパーケット化され得る。構造が製造ドラムの外側表面を十分に覆うために、ツールマスターを複製及びパーケット化する必要がある。
【0043】
一例では、マイクロチゼルされた部分の複数のポリマーの複製物が作成され、ベルト用の再帰反射プリズムの大型アレイを作成するために一緒に正確にパーケット化される。次に、この大型アレイは、導電性コーティングでコーティングされ、次にベルトへと組み立てられることができる個々のスタンパを作る電気鋳造プロセスで複製されることができる。ポリマー複製パーケット化プロセスは、安価であり、作るのにかかる時間がより短くなり、最終的なUV鋳造またはエンボス加工された再帰反射体に必要な光学性能を維持する。
【0044】
ポリマー複製物の使用は、パーケット化プロセス中に再帰反射アレイの一部を再配置することを可能にする。ベルトを作成するプロセスがマスターのパーケット化を必要とするため、マイクロチゼルされた再帰反射体の複製物は、用途によって異なる、最終産物に必要な角度における再帰反射性能を向上させるように配向されることができる。
【0045】
マイクロチゼルプロセスでは、プリズムのジオメトリ、設計制約、及び切削器材に基づいて、正または負のいずれかの生成部を設計及び機械加工することができる。マイクロチゼルプロセスの適応能力によって、当該部分の正または負のいずれかの生成部を製造することができる。別のものではなくある1つの配向を選ぶ理由は、機械加工プロセス中の干渉に起因して、一方の生成または他方の生成を不可能にし得るプリズムのジオメトリと、一方の生成または他方の生成において非常に小さな夾角のダイヤモンドを必要とするであろう角度を有するプリズムとを含むためである。特殊なプリズムアレイは、複製物の生成にかかわらず、柔軟な生成になるように設計され得る。例えば、「正」及び「負」の生成部があるキューブコーナーの途切れのない統合が可能であり得る。これは、完成部品の「誤った」生成部において、わずかなプリズムによってアクティブなエリアを減少させる副次的影響をもたらすが、両面を有する再帰反射産物において有益であり得る。加えて、正及び負の両方のツール生成が両方使用され得るため、製造プロセスに利用可能であるツールの歩留まりは、効率的に2倍になり得る。
【0046】
切頂プリズム再帰反射設計は、単一の平面内で3つの非2平面端によって境される各プリズムを有する。この設計は、ポリマーと、材料を通して解放されるかまたは拡散することが可能になる閉じ込められた空気とで必ず満たされる閉鎖セルを形成することに起因して、鋳造またはエンボス加工の速度を遅くする。閉鎖セルポケットがない、ポリマー材料または流れる空気のチャネルを組み入れたプリズムアレイは、製作中に、気体の通気及びポリマー材料の移動を許容する。一例では、タイプIIの六角形プリズムは、複製プロセスの間にフローの連続性を提供するために、
図4に示されるフローチャネルが配置され製造されることができる。フローの連続性は、材料が閉鎖セル内に閉じ込められないため、成形プロセスまたは鋳造プロセスに役立つ。このフローラインは、材料の移動及び迅速な処理を容易にするために、製造ベルト上で鋳造方向または成形方向に配向されることができる。
【0047】
したがって、本発明の技術は、多角形再帰反射体を有する再帰反射シート及びツールをマイクロチゼル技術を用いて作製するために使用され得る、基板内に再帰反射プリズムを形成するための改良された方法をもたらす利点がある。加えて、本技術は、キューブコーナープリズムの生成を提供し、再帰反射アレイの設計能力を向上させる利点がある。
【0048】
このように本発明の基本的な概念が説明されており、前述の詳細な開示は、ほんの一例として提示されることが意図され、限定されないことが当業者にかなり明白である。様々な改変、改良、及び修正が発生し、当業者に意図されるが、本明細書に明示的に述べられていない。これらの改変、改良、及び修正は、本明細書によって提案されることが意図され、本発明の主旨及び範囲の中にある。加えて、処理要素もしくは工程順序の列挙された順番、または番号、文字、もしくは他の称号の使用は、したがって、請求項に規定され得るものを除いて、要求されるプロセスを任意の順番に限定することが意図されない。したがって、本発明は、添付の請求の範囲及びその同等物だけによって限定される。