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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】偏光板およびそれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230310BHJP
   C08G 59/24 20060101ALI20230310BHJP
   C08G 65/18 20060101ALI20230310BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20230310BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G02B5/30
C08G59/24
C08G65/18
C08L63/00
G02F1/1335 510
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020515119
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2018011186
(87)【国際公開番号】W WO2019059691
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-03-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2017-0122706
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0122699
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521241281
【氏名又は名称】杉金光電(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】サンフン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ソ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ユンキョン・クォン
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】井口 猶二
【審判官】石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118779(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0037811(KR,A)
【文献】特開2016-85369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、
前記偏光子の片面に、前記偏光子に直接接して設けられた保護層と、を含み、
前記保護層は、エポキシ化合物、オキセタン系化合物、光開始剤および光増感剤を含む偏光板保護層用光硬化性組成物の硬化物であり、前記光開始剤および光増感剤は、前記偏光板保護層用光硬化性組成物100重量部に対して、0.01重量部~5重量部でそれぞれ含まれ、
前記偏光子の前記保護層が設けられた面の他面に、接着剤層を介して保護フィルムが付着され、前記接着剤層の80℃における貯蔵弾性率が180Mpa以上500Mpa未満であり、
前記保護層の80℃における貯蔵弾性率が2,000Mpa以上7,000Mpa以下であり、
硬化前の前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、下記式1を満たす、偏光板。
【数1】
(前記式1中、
は、前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度に対する、920cm-1~900cm-1におけるピーク強度の比率であり、
は、前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度に対する、1420cm-1~1380cm-1におけるピーク強度である。)
【請求項2】
前記保護層の80℃における熱膨張係数が100ppm/K以下である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記保護層のガラス転移温度(Tg)が90℃以上170℃以下である、請求項1または2に記載の偏光板。
【請求項4】
前記保護層の25℃における引張弾性率が1,700Mpa以上である、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項5】
前記偏光板を80℃で4時間以上放置した時に、吸収軸方向(MD方向)および透過軸方向(TD方向)の何れか1つ以上の収縮力が3N~10Nである、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項6】
下記式Aを満たす、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【数2】
(前記式A中、
前記Lは、偏光板の中心部を原点とする、直径1cmの円面積に該当する領域の収縮力であり、
前記Lは、偏光板の各頂点で会合する2つのエッジ部に接する、直径1cmの円面積に該当する領域の偏光板の収縮力であり、
前記Lは、偏光子の吸収軸方向(MD方向)または透過軸方向(TD方向)の平均収縮力;または偏光板の吸収軸方向(MD方向)または透過軸方向(TD方向)の平均収縮力である。)
【請求項7】
前記エポキシ化合物は、脂環族エポキシ化合物を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項8】
前記エポキシ化合物とオキセタン系化合物の重量比が9:1~1:9である、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項9】
前記保護フィルムの25℃における引張弾性率が1700Mpa以上である、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項10】
前記保護層の前記偏光子に接する面の反対側に粘着層をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の偏光板。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に規定の偏光板を含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年9月22日付で韓国特許庁に提出された第10‐2017‐0122706号および2017年9月22日付で韓国特許庁に提出された第10‐2017‐0122699号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本明細書は、偏光板およびそれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置用の偏光板は、通常のポリビニルアルコール系偏光子を用いており、その偏光子の少なくとも一面にTACなどの保護フィルムを付着させた構成となっている。
【0003】
近年、偏光板の業界では、低光漏れおよび薄型化による要求が高まっており、この物性を満たすために、従来のように予め製膜した保護基材を適用する代わりに、偏光子上に直接保護膜を形成する方法が検討されている。
【0004】
しかし、従来のポリビニルアルコール系延伸タイプのポリビニルアルコール系偏光子上に直接保護膜を形成する場合、従来のように両面に保護基材を適用する場合に比べて、高温における偏光子の収縮に起因して発生する応力によって偏光子の破断現象が発生するという問題を解決することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、偏光板およびそれを含む画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、偏光子と、
前記偏光子の片面または両面に、前記偏光子に直接接して設けられた保護層と、を含み、
前記保護層は、エポキシ化合物およびオキセタン系化合物を含む偏光板保護層用光硬化性組成物の硬化物であり、
前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、下記式1を満たす偏光板を提供する。
【0007】
【数1】
【0008】
前記式1中、
は、前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度に対する、920cm-1~900cm-1におけるピーク強度の比率であり、
は、前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度に対する、1420cm-1~1380cm-1におけるピーク強度である。
【0009】
また、本明細書は、上述の偏光板を含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書の一実施態様に係る偏光板は、従来の接着層が介在されることを必須とする基材層を1つのコーティング層で代替することで、偏光板の薄膜化、軽量化、およびコストと工程の最小化が可能であるという利点を有する。
【0011】
本明細書の一実施態様に係る偏光板は、位相差が少ないか、殆どないという利点を有する。
本明細書の一実施態様に係る偏光板は、引張弾性率および貯蔵弾性率の高い保護層を含むことで、保護層を形成するために保護層用光硬化性組成物を硬化する際に、収縮があまり発生しないという利点がある。
【0012】
また、高温または高湿環境下でも、偏光子の収縮または膨張による光漏れ現象を抑制することができる利点がある。
【0013】
また、保護層の引張弾性率と貯蔵弾性率が高い特性を有しているため、保護層上に別の保護フィルムを含まなくても、高い耐久性を有するという利点がある。
【0014】
本明細書の一実施態様に係る偏光板は、高温環境下における耐久性に優れており、大きな面積を有する液晶表示装置へ適用した際に、光漏れ現象を抑制することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本明細書の一実施態様に係る偏光板を示した図である。
図2】本明細書の他の実施態様に係る偏光板を示した図である。
図3】本明細書のさらに他の実施態様に係る偏光板を示した図である。
図4】本明細書の一実施態様に係る画像表示装置の一例を示す断面図である。
図5】比較例8の偏光板の保護層のFTIRスペクトルである。
図6】実施例1の偏光板の保護層のFTIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本明細書について詳細に説明する。
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時に、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時に、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得るということを意味する。
【0018】
本明細書において、FTIRは、フーリエ変換赤外分光法(Fourier transform infrared spectroscopy:FTIR)を意味し、測定時には、Varian 3100 FT-IR(Varian社製)を用いてもよい。
【0019】
本明細書において、上記の「1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度」は、保護層のC=O結合に対するピーク強度であって、他のピーク強度を標準化するために用いられる。
【0020】
本明細書において、上記の「920cm-1~900cm-1におけるピーク強度」は、保護層のオキセタン化合物のオキシラン基(oxirane group)のC-O結合(Stretching C-O of oxirane group)に対するピーク強度である。
【0021】
本明細書において、上記の「1420cm-1~1380cm-1におけるピーク強度」は、保護層のアクリル化合物の=CH-H結合(=CH-H band of acrylate)に対するピーク強度であって、前記Iは、保護層のエポキシ基の存在の有無を示し、Iは、保護層のアクリレート基の存在の有無を示す。
【0022】
本明細書において、前記ピーク強度は、FTIRスペクトルのピーク面積に相応する。例えば、前記ピーク面積は、直接積分法により導出することができる。または、前記FTIRスペクトルの一ピークをガウス分布と仮定し、前記ピーク面積は、前記ピークの高さと半値幅(half value width)の積で表すことができる。
【0023】
本明細書において、前記ピーク強度は、保護層組成物の硬化の前/後にそれぞれ測定することができる。
以下、本明細書の一実施態様に係る偏光板について説明する。
図1によると、本明細書の一実施態様に係る偏光板は、偏光子10と、前記偏光子10の片面または両面に、前記偏光子に直接接して設けられた保護層20と、を含む。
本明細書は、偏光子と、
前記偏光子の片面または両面に、前記偏光子に直接接して設けられた保護層と、を含み、
前記保護層は、エポキシ化合物およびオキセタン系化合物を含む偏光板保護層用光硬化性組成物の硬化物であり、
前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、下記式1を満たす偏光板を提供する。
【0024】
【数2】
【0025】
前記式1中、
は、前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度に対する、920cm-1~900cm-1におけるピーク強度の比率であり、
は、前記保護層のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスペクトルにおいて、1740cm-1~1700cm-1におけるピーク強度に対する、1420cm-1~1380cm-1におけるピーク強度である。前記式1を満たすということは、偏光板の保護層がアクリレート基を殆ど含まないということを意味する。この場合、保護層がアクリレート基またはアクリル化合物を含む場合に比べて、保護層の靭性(toughness)および強度(hardness)が向上する効果がある。
【0026】
また、偏光子または偏光板の延伸時に偏光子に応力が発生し、偏光板を高温に曝す際に、偏光子にクラックが発生することになる。これを防止するために、偏光子に保護層が取り入れられているが、保護層がアクリレート基またはアクリル化合物を含む場合には、保護層が偏光子を効果的に保護することができず、高温で偏光子にクラックが発生するという問題がある。
【0027】
これに対し、保護層がアクリレート基またはアクリル化合物を含まず、エポキシ化合物およびオキセタン化合物を含む場合には、保護層が偏光子を効果的に保護し、高温で偏光子にクラックが発生することを効果的に抑制することができる。
【0028】
本明細書の一実施態様において、前記[式1]は、下記式1-1または式1-2で表されてもよい。この場合、保護層がアクリレート基またはアクリル化合物を含む場合に比べて、保護層の靭性(toughness)および強度(hardness)が向上する効果がある。
【0029】
【数3】
【0030】
【数4】
【0031】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の厚さは4μm~11μmであり、好ましくは5μm~10μmであり、より好ましくは6μm~8μmである。保護層の厚さが上記の範囲より小さい場合には、保護層の強度や高温耐久性が低下する問題があり、上記の範囲を超える場合には、偏光板の薄型化の点で好適ではない。
【0032】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の80℃における熱膨張係数は、100ppm/K以下、85ppm/K以下、10ppm/K以上100ppm/K以下、または10ppm/K以上85ppm/K以下であってもよい。
【0033】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の80℃未満の温度で測定した熱膨張係数は、100ppm/K以下、85ppm/K以下、10ppm/K以上100ppm/K以下、または10ppm/K以上85ppm/K以下であってもよい。
【0034】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の40℃超過80℃未満の温度で測定した熱膨張係数は、100ppm/K以下、85ppm/K以下、10ppm/K以上100ppm/K以下、または10ppm/K以上85ppm/K以下であってもよい。
【0035】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の70℃における熱膨張係数は、100ppm/K以下、85ppm/K以下、10ppm/K以上100ppm/K以下、または10ppm/K以上85ppm/K以下であってもよい。
【0036】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の60℃における熱膨張係数は、100ppm/K以下、85ppm/K以下、10ppm/K以上100ppm/K以下、または10ppm/K以上85ppm/K以下であってもよい。
【0037】
前記保護層の熱膨張係数が上記の範囲を満たす場合、熱衝撃環境で偏光板または偏光子にクラックが発生することを効果的に抑制するという利点がある。
【0038】
前記熱膨張係数の測定方法は特に制限されず、例えば、前記保護層と同一の組成を有する光硬化性組成物を塗布して製作した厚さ50μmの硬化された試験片を、幅6mmおよび長さ10mmのサイズに裁断し、引張荷重(Tension load)を0.05Nに維持した状態で、温度を30℃から150℃まで昇温しながら長さの変化を測定する。この際、昇温速度は5℃/minであり、測定が完了した後、40℃から目標温度まで変化した長さとして熱膨張係数(CTE)値を計算する。前記目標温度は、80℃または80℃未満の温度であって、例えば、70℃または60℃が挙げられる。
【0039】
本明細書の一実施態様において、前記保護層のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上170℃以下であり、好ましくは100℃以上150℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下であってもよい。保護層のガラス転移温度が上記の数値範囲を満たす場合、高温環境下で保護層の物性が保持されるという利点がある。
【0040】
前記保護層のガラス転移温度の測定方法は特に制限されず、例えば、前記保護層と同一の組成を有する光硬化性組成物を、離型フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)に6~7μmの厚さで塗布し、紫外線を照射して硬化させた後、離型フィルムを除去し、試験片を5~10mg取ってDSC(differential scanning calorimetry)により測定する。この際、測定温度は、25℃を開始温度とし、5℃/minの昇温速度で150℃まで昇温しながら、ヒートフロー(Heat flow)を測定して、その変曲点でガラス転移温度を測定する。
【0041】
本明細書の一実施態様に係る偏光板は、偏光子の何れか片面または両面に直接形成された保護層を含む。偏光子は外部衝撃に脆弱であるため、通常の偏光板は、偏光子と、その両面に接着剤により接着された保護フィルムと、を含む。この場合、付着させた保護フィルムの厚さの分だけ、偏光板の厚さが大きくなるという問題がある。
【0042】
しかし、本明細書の一実施態様に係る偏光板は、偏光子の片面または両面に設けられた保護層を含むことで、別の保護フィルムを含まないか、偏光子の片面にのみ保護フィルムを含むため、厚さが著しく減少し、コストの低減が可能な偏光板を提供する。これにより、薄膜・軽量化された画像表示装置を実現することができる。
【0043】
本明細書の一実施態様において、前記保護層は、偏光子を支持および保護するためのものであって、当技術分野において公知の方法により形成することができる。
【0044】
本明細書の一実施態様に係る偏光板の保護層は、それぞれ前記偏光子に直接接するものであってもよい。前記偏光子の何れか片面または両面に直接接するということは、接着剤層を介在することなく偏光子と保護層が接することを意味する。つまり、本明細書に係る保護層は、接着剤層なしに偏光子上に直接形成されることで、薄型の偏光板を提供することができる。
【0045】
本明細書の一実施態様に係る偏光板の保護層は、それぞれ前記偏光子の両面に直接接するものであってもよい。
本明細書の一実施態様において、前記保護層は、前記偏光子の両面に設けられたものであってもよい。
【0046】
本明細書の一実施態様に係る偏光板の保護層は、偏光子を保護し、且つ苛酷な環境下で偏光子のクラックが発生することを抑制することができる効果がある。
【0047】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の80℃における貯蔵弾性率は、1,500Mpa以上、1,500Mpa以上10,000Mpa以下、好ましくは1800Mpa以上8,000Mpa以下、より好ましくは2,000Mpa以上7,000Mpa以下である。保護層の貯蔵弾性率が上記の数値範囲を満たす場合、偏光子に加えられるストレスを効果的に抑え、高温または高湿環境における偏光子の収縮または膨張によって発生する偏光子のクラックを効果的に抑制する効果がある。また、偏光子に対する接着力が向上する。これにより、高温における偏光板の収縮および膨張を抑え、偏光板が液晶パネルなどに適用された際に、光漏れ現象が発生することを防止することができ、優れた接着力を示すという利点がある。特に、前記保護層の80℃における貯蔵弾性率が2,000Mpa以上7,000Mpa以下である場合、高温における偏光板の収縮が効果的に抑制され、偏光子のクラックの発生が非常に効果的に抑制されるという利点がある。
【0048】
前記保護層の貯蔵弾性率は、前記保護層と同一の組成を有する光硬化性組成物を、離型フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)に50μmの厚さで塗布し、光量1000mJ/cm以上の条件で紫外線を照射して硬化させた後、離型フィルムを除去し、試験片を一定のサイズにレーザー裁断した後、DMAにより測定する。この際、測定温度は、-30℃を開始温度とし、5℃/minの昇温速度で160℃まで昇温しながら、10%の歪み(strain)で一定に引っ張る時の貯蔵弾性率を測定し、80℃の時の貯蔵弾性率値を記録する。
【0049】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の25℃における引張弾性率は1,700Mpa以上、好ましくは1,800Mpa以上、より好ましくは2,000Mpa以上である。保護層の引張弾性率が上記の数値範囲を満たす場合、偏光子に加えられるストレスを効果的に抑え、高温または高湿環境における偏光子の収縮または膨張によって発生する偏光子のクラックを効果的に抑制する効果がある。また、偏光子に対する接着力が向上する。これにより、高温における偏光板の収縮および膨張を抑え、偏光板が液晶パネルなどに適用された際に、光漏れ現象が発生することを防止することができ、優れた接着力を示すという利点がある。
【0050】
前記保護層の引張弾性率は、前記保護層と同一の組成を有する組成物を、離型フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)に100μmの厚さで塗布し、光量1000mJ/cm以上の条件で紫外線を照射して硬化させた後、離型フィルムを除去し、試験片を10mmの幅に一定にレーザー裁断した後、UTM(Universal Testing Machine)により測定する。この際、測定温度は25℃とし、測定長さは50mm、引張速度は50mm/minとして一定に引っ張って得たS-S(Stress-Strain)曲線から引張弾性率を求める。引張弾性率は、S-S曲線の初期勾配値に100を乗じて求める。
【0051】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板を80℃で4時間以上放置した時に、吸収軸方向(MD方向)および透過軸方向(TD方向)の何れか1つ以上の収縮力が、3N~10Nであってもよい。上記の範囲を満たす場合、熱衝撃時に偏光子にクラックが発生することを最小化することができる。この際、前記放置時間は、4時間または5時間であってもよい。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板を80℃で4時間以上放置した時に、吸収軸方向(MD方向)の収縮力が7N~9Nである。上記の範囲を満たす場合、熱衝撃時に偏光子にクラックが発生することを最小化することができる。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板を80℃で4時間以上放置した時に、透過軸方向(TD方向)の収縮力が4N~9Nである。上記の範囲を満たす場合、熱衝撃時に偏光子にクラックが発生することを最小化することができる。
【0054】
前記収縮力は、偏光板を2mm(透過軸方向)×50mm(吸収軸方向)のサイズに切断した後、標点距離を15mmとし、80℃で4時間以上、等温状態のまま静置してから、DMA Q800(Dynamic mechanical analyzer、TA社)によりMD方向またはTD方向の収縮力を測定する。この際、測定の前に、偏光板を平坦な状態に維持するために、最小限の荷重を偏光子の厚さ方向にかけて測定する。
【0055】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板は、下記式Aを満たす。偏光板が下記式Aを満たす場合、偏光板の各領域による収縮力の差が少ないため、大型画像表示装置にも適用可能であるという利点がある。
【0056】
【数5】
【0057】
前記式A中、
前記Lは、偏光板の中心部を原点とする、直径1cmの円面積に該当する領域の収縮力であり、
前記Lは、偏光板の各頂点で会合する2つのエッジ部に接する、直径1cmの円面積に該当する領域の偏光板の収縮力であり、
前記Lは、偏光子の吸収軸方向(MD方向)または透過軸方向(TD方向)の平均収縮力;または偏光板の吸収軸方向(MD方向)または透過軸方向(TD方向)の平均収縮力である。
【0058】
本明細書において、前記偏光板の中心部とは、偏光板の重心点を意味する。
本明細書の一実施態様において、前記式Aは、下記式A-1または式A-2で表されてもよい。
【0059】
【数6】
【0060】
【数7】
【0061】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の引張弾性率、貯蔵弾性率、および熱膨張係数を満たすための方法は特に限定されず、例えば、保護層を形成するための光硬化性組成物に、ガラス転移温度(Tg)の高い光重合性化合物を含ませるか、積算光量を高める方法などが挙げられる。
【0062】
本明細書の一実施態様において、前記保護層は、光硬化性組成物から形成されることが好ましい。このように、保護層が光硬化性組成物から形成される硬化型樹脂層である場合、その製造方法が簡単であり、さらには、保護層と偏光子との密着性に優れるという利点がある。また、偏光板の耐久性をより改善させることができる。
【0063】
本明細書の一実施態様において、この際、前記光硬化性組成物は、熱膨張係数が上記の範囲を満たすものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ化合物およびオキセタン系化合物を含む光硬化性組成物であってもよい。この場合、耐熱性および耐水性に優れるとともに、接着剤を必須とする従来の保護フィルムに代えて、接着剤層なしに偏光子に付着可能であるという利点がある。
【0064】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板保護層用光硬化性組成物は、エポキシ化合物およびオキセタン系化合物を含む。
【0065】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物は、脂環族エポキシ化合物を含む。前記脂環族エポキシ化合物とは、エポキシ化脂肪族環基を1つ以上含む化合物を意味する。前記脂環族エポキシ化合物は、比較的高いガラス転移温度を有するため、保護層の熱膨張係数を低め、且つ貯蔵弾性率を高めるにおいて好ましい。これにより、硬化後に高温または高湿環境下で優れた耐久性を実現する役割を果たす。
【0066】
前記脂環族エポキシ化合物としては、下記[化学式1]で表されるエポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート系化合物が例示される。
【0067】
【化1】
【0068】
前記化学式1中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表す。
【0069】
本明細書において、用語「アルキル基」は、特に他に規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8、または炭素数1~4の直鎖状、分岐状、または環状のアルキル基を意味し、前記アルキル基は、任意に1つ以上の置換基により置換されているか、置換されていなくてもよい。
【0070】
脂環族エポキシ化合物の他の例示としては、下記化学式2で表されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート系化合物が挙げられる。
【0071】
【化2】
【0072】
前記化学式A中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表し、nは2~20の整数を表す。
【0073】
また、脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式3で表されるジカルボン酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル系化合物が挙げられる。
【0074】
【化3】
【0075】
前記化学式3中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表し、pは2~20の整数を表す。
【0076】
脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式4で表されるポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル系化合物が挙げられる。
【0077】
【化4】
【0078】
前記化学式4中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表し、qは2~20の整数を表す。
【0079】
脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式5で表されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル系化合物が挙げられる。
【0080】
【化5】
【0081】
前記化学式5中、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表し、rは2~20の整数を表す。
【0082】
脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式6で表されるジエポキシトリスピロ系化合物が挙げられる。
【0083】
【化6】
【0084】
前記化学式6中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表す。
脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式7で表されるジエポキシモノスピロ系化合物が挙げられる。
【0085】
【化7】
【0086】
前記化学式7中、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表す。
脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式8で表されるビニルシクロヘキセンジエポキシド化合物が挙げられる。
【0087】
【化8】
【0088】
前記化学式8中、R15は水素またはアルキル基を表す。
脂環族エポキシ化合物のさらに他の例示としては、下記化学式9で表されるエポキシシクロペンチルエーテル化合物が挙げられる。
【0089】
【化9】
【0090】
前記化学式9中、R16およびR17は、それぞれ独立して、水素またはアルキル基を表す。
脂環族エポキシ化合物の他の例示としては、下記化学式10で表されるジエポキシトリシクロデカン化合物が挙げられる。
【0091】
【化10】
【0092】
前記化学式10中、R18は、水素またはアルキル基を表す。
【0093】
本明細書の一実施態様において、前記脂環族エポキシ化合物としては、より具体的に、エポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート化合物、アルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート化合物、ジカルボン酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル化合物、またはアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル化合物を使用することが好ましく、7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン-3-カルボン酸と(7-オキサ-ビシクロ[4,1,0]ヘプト-3-イル)メタノールとのエステル化物(前記化学式1中、RおよびRが水素である化合物);4-メチル-7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン-3-カルボン酸と(4-メチル-7-オキサ-ビシクロ[4,1,0]ヘプト-3-イル)メタノールとのエステル化物(前記化学式1中、Rが4-CHであり、Rが4-CHである化合物);7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプタン-3-カルボン酸と1,2-エタンジオールとのエステル化物(前記化学式A中、RおよびRが水素であり、nが1である化合物);(7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプト-3-イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物(前記化学式3中、RおよびRが水素であり、pが2である化合物);(4-メチル-7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプト-3-イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物(前記化学式3中、RおよびRが4-CHであり、pが2である化合物);および(7-オキサビシクロ[4,1,0]ヘプト-3-イル)メタノールと1,2-エタンジオールとのエーテル化物(前記化学式5中、RおよびR10が水素であり、rが1である化合物)からなる群から選択された1つ以上が好ましく使用可能であるが、これに制限されるものではない。
【0094】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物とオキセタン系化合物は重量比が9:1~1:9であり、好ましい重量比は9:1~7:3である。エポキシ化合物とオキセタン系化合物の重量比の数値範囲が上記の範囲である場合、組成物のガラス転移温度が高く維持されることができ、硬化後の保護層の強度が著しく改善される効果がある。また、上記の範囲を満たす場合、硬化後の保護層の貯蔵弾性率に優れるという利点がある。
【0095】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物は、全組成物100重量部を基準として、50~90重量部であることが好ましく、70~90重量部であることがより好ましい。上記の範囲を満たす場合、上述の保護層の貯蔵弾性率および熱膨張係数を満たしやすく、全組成物の硬化後のガラス転移温度が高く維持され、組成物の偏光子に対する接着力に優れるという利点がある。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物は、グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物を含む。前記グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物とは、グリシジルエーテル基を少なくとも1つ以上含むエポキシ化合物を意味する。
【0097】
本明細書の一実施態様において、前記グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物としては、例えば、ノボラックエポキシ、ビスフェノールA系エポキシ、ビスフェノールF系エポキシ、臭化ビスフェノールエポキシ、n-ブチルグリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエーテル(炭素数12~14)、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o-クレシル(cresyl)グリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、またはグリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられ、また、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどのような環状脂肪族骨格を有するグリシジルエーテル、または芳香族エポキシ化合物の水素添加化合物などが挙げられ、好ましくは、環状脂肪族骨格を有するグリシジルエーテル、好ましくは炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12の環状脂肪族骨格を有するグリシジルエーテルが使用可能であるが、これに制限されるものではない。
【0098】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物は、脂環族エポキシ化合物とグリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物との混合物を使用してもよい。
【0099】
本明細書の一実施態様において、前記脂環族エポキシ化合物とグリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物とが混合されて用いられる場合、その重量比は3:1~1:3であることが好ましく、より好ましくは2:1~1:2であってもよい。
【0100】
本明細書の一実施態様において、前記脂環族エポキシ化合物は、前記エポキシ化合物の全重量を基準として、10重量%~100重量%で含まれてもよく、好ましくは20重量%~80重量%、より好ましくは30重量%~70重量%で含まれてもよい。上記の数値範囲を満たす場合、光硬化時に効果的に組成物が硬化されるという利点がある。
【0101】
本明細書の一実施態様において、前記グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物は、前記エポキシ化合物の全重量を基準として、10重量%~60重量%で含まれてもよく、好ましくは30重量%~50重量%で含まれてもよい。
【0102】
本明細書の一実施態様において、前記オキセタン系化合物は、分子中に4員環エーテルを有する化合物であって、これに限定されるものではないが、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3-エチル-3-オキセタニル)メチル〕エーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。これらのオキセタン化合物は、市販品を容易に入手可能であり、具体的には、アロンオキセタンOXT-101(東亞合成(株)製)、アロンオキセタンOXT-121(東亞合成(株)製)、アロンオキセタンOXT-211(東亞合成(株)製)、アロンオキセタンOXT-221(東亞合成(株)製)、アロンオキセタンOXT-212(東亞合成(株)製)などが挙げられる。
【0103】
本明細書の一実施態様において、前記オキセタン系化合物は、単独で、または混合して用いられてもよく、その含量は、全組成物100重量部に対して、10~50重量部であることが好ましく、10~30重量部であることがより好ましい。上記の数値範囲を満たす場合、全組成物の硬化後のガラス転移温度および貯蔵弾性率が高く維持することができる利点があり、粘度を一定に維持し、均一な厚さの保護層が形成可能であるという利点がある。
【0104】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板保護層用光硬化性組成物は、光開始剤をさらに含んでもよい。
【0105】
本明細書の一実施態様において、前記光開始剤の例としては、アルファ-ヒドロキシケトン系化合物(ex.IRGACURE 184、IRGACURE 500、IRGACURE 2959、DAROCUR 1173;Ciba Specialty Chemicals製);フェニルグリオキシレート(phenylglyoxylate)系化合物(ex.IRGACURE 754、DAROCUR MBF;Ciba Specialty Chemicals製);ベンジルジメチルケタール系化合物(ex.IRGACURE 651;Ciba Specialty Chemicals製);α-アミノケトン系化合物(ex.IRGACURE 369、IRGACURE 907、IRGACURE 1300;Ciba Specialty Chemicals製);モノアシルホスフィン系化合物(MAPO)(ex.DAROCUR TPO;Ciba Specialty Chemicals製);ビスアシルホスフェン系化合物(BAPO)(ex.IRGACURE 819、IRGACURE 819DW;Ciba Specialty Chemicals製);ホスフィンオキシド系化合物(ex.IRGACURE 2100;Ciba Specialty Chemicals製);メタロセン系化合物(ex.IRGACURE 784;Ciba Specialty Chemicals製);ヨードニウム塩(iodonium salt)(ex.IRGACURE 250;Ciba Specialty Chemicals製);および上記のうち1つ以上の混合物(ex.DAROCUR 4265、IRGACURE 2022、IRGACURE 1300、IRGACURE 2005、IRGACURE 2010、IRGACURE 2020;Ciba Specialty Chemicals製)などが挙げられる。本発明では、上記のうち一種または二種以上が使用可能であるが、これに制限されるものではない。
【0106】
本明細書の一実施態様において、前記光開始剤は、偏光板保護層用光硬化性組成物100重量部に対して、0.01重量部~5重量部で含まれてもよい。光開始剤が上記の数値範囲の含量で含まれる場合、含まれない場合や、上記の数値範囲を満たさない場合に比べて、硬化が円滑に進行され、密着性がより向上する利点がある。
【0107】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板保護層用光硬化性組成物は、全組成物100重量部に対して、カチオン重合開始剤を1~5重量部でさらに含んでもよい。
【0108】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板保護層用光硬化性組成物は、25℃での粘度が50cPs以上200cPs以下であることが好ましく、例えば、25℃で50cPs~130cPs以下であってもよい。組成物の粘度が上記の数値範囲を満たす場合、保護層の厚さを薄く形成することができ、底粘度を有するため、作業性に優れるという利点がある。
【0109】
前記粘度は、ブルックフィールド粘度計(Brook Field社製)を用いて、18番スピンドル(spindle)を利用して常温(25℃)で測定する。この際、組成物の量は6.5~10mLが適切であり、光に長時間露出することを避けるために、5分以内に安定化された数値を測定する。
【0110】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板保護層用光硬化性組成物は、必要に応じて、染料、顔料、エポキシ樹脂、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、光増感剤、および可塑剤からなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0111】
本明細書の一実施態様において、前記添加剤は、偏光板保護層用光硬化性組成物100重量部に対して、0.01重量部~5重量部で含まれてもよい。
【0112】
本明細書の一実施態様において、前記保護層の形成方法は特に限定されず、当技術分野において公知の方法により形成することができる。例えば、偏光子の一面に、前記偏光板保護層用光硬化性組成物を当技術分野において公知のコーティング法、例えば、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ブレードコーティングなどの方法により塗布して保護層を形成した後、紫外線の照射により硬化させる方法により行われてもよい。例えば、紫外線照射装置を用いて照射光である紫外線を照射する方法により行われてもよい。
【0113】
本明細書の一実施態様において、前記紫外線の波長は100nm~400nm、好ましくは320nm~400nmであってもよい。
【0114】
本明細書の一実施態様において、前記照射光の光量は100mJ/cm~1,000mJ/cm、好ましくは500mJ/cm~1,000mJ/cmであってもよい。
【0115】
本明細書の一実施態様において、前記照射光の照射時間は1秒~10分、好ましくは2秒~30秒であってもよい。上記の照射時間範囲を満たす場合、光源から熱が過度に伝達されることを防止し、偏光子に走行皺が生じることを最小化することができる利点がある。
【0116】
保護フィルム
本明細書は、前記保護層が前記偏光子の一面に設けられ、
前記偏光子の保護層が設けられた面の他面に、接着剤層を介して保護フィルムを付着させた偏光板であって、
前記保護フィルムの25℃における引張弾性率が1700Mpa以上である、偏光板を提供する。
【0117】
図2によると、本明細書は、保護層20が前記偏光子10の一面に設けられ、前記偏光子10の保護層20が設けられた面の他面に、接着剤層を介して保護フィルム30が付着している偏光板を提供する。
【0118】
本明細書において、前記保護層が偏光子の一面に形成された場合、保護層が形成された面の反対面に、偏光子を支持および保護するために接着剤層を介して別の保護フィルムを付着させてもよい。
【0119】
本明細書の一実施態様において、前記保護フィルムは、偏光子を支持および保護するためのものであって、当技術分野において一般に知られている様々な材質の保護フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)フィルムなどが使用可能である。中でも、光学特性、耐久性、経済性などを考慮すると、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。
【0120】
本明細書の一実施態様において、前記保護フィルムの25℃における引張弾性率は、1,800Mpa以上10,000Mpa以下、好ましくは2,000Mpa以上8,000Mpa以下、より好ましくは3,000Mpa以上7,000Mpa以下であってもよい。上記の数値範囲を満たす場合、保護フィルムの偏光子保護効果が増大することができる。具体的に、高温または高湿環境下で偏光子の収縮または膨張によって発生する応力による偏光子の破断現象を防止することができる。
【0121】
本明細書の一実施態様において、前記偏光子と保護フィルムの付着は、ロールコータ、グラビアコータ、バーコータ、ナイフコータ、またはキャピラリーコータなどを用いて偏光子または保護フィルムの表面に偏光板接着剤組成物をコーティングした後、これらをラミネートロールで加熱ラミネートするか、常温圧着してラミネートする方法、またはラミネート後にUV照射する方法などにより行われてもよい。前記偏光板接着剤組成物については後述する。
【0122】
接着剤層
本明細書の一実施態様において、前記接着剤層は、接着剤組成物の硬化物である。このように、接着剤層が光硬化性組成物から形成される硬化型樹脂層である場合、その製造方法が簡単であり、さらには、保護フィルムとの密着性に優れるという利点がある。また、偏光板の耐久性がより改善することができる。
【0123】
本明細書の一実施態様において、前記接着剤層の40℃~80℃における熱膨張係数は130ppm/K以下である。前記熱膨張係数が130ppm/Kを超える場合には、熱衝撃環境で偏光板のクラックが発生するという問題がある。
【0124】
本明細書の一実施態様において、前記接着剤層の80℃における貯蔵弾性率は、100Mpa以上1,800Mpa以下であり、好ましくは150Mpa以上1,300Mpa以下であり、より好ましくは180Mpa以上500Mpa以下であってもよい。上記の範囲を満たす場合、接着剤層による接着力が増大し、保護フィルムが剥離しにくくなる効果がある。特に、上記の範囲を超える場合には、貯蔵弾性率が高すぎて、接着力に劣るため、接着剤層としての機能を十分に果たさない。
【0125】
前記接着剤層の貯蔵弾性率は、前記接着剤層と同一の組成を有する光硬化性組成物を、離型フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)に50μmの厚さで塗布し、光量1000mJ/cm以上の条件で紫外線を照射して硬化させた後、離型フィルムを除去し、試験片を一定のサイズにレーザー裁断した後、DMAにより測定する。この際、測定温度は、-30℃を開始温度とし、5℃/minの昇温速度で160℃まで昇温しながら、10%の歪み(strain)で一定に引っ張る時の貯蔵弾性率を測定し、80℃の時の貯蔵弾性率値を記録する。
【0126】
本明細書の一実施態様において、前記光硬化性接着剤組成物は、熱膨張係数が上記の範囲を満たすものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ化合物およびオキセタン系化合物を含む光硬化性組成物であってもよい。
【0127】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物としては、脂環族エポキシ化合物およびグリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物の少なくとも1つ以上を用いてもよく、好ましくは、脂環族エポキシ化合物とグリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物との混合物を使用してもよい。前記グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物とは、グリシジルエーテル基を少なくとも1つ以上含むエポキシ化合物を意味する。
【0128】
本明細書の一実施態様において、前記グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物としては、例えば、ノボラックエポキシ、ビスフェノールA系エポキシ、ビスフェノールF系エポキシ、臭化ビスフェノールエポキシ、n-ブチルグリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエーテル(炭素数12~14)、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o-クレシル(cresyl)グリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、またはグリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられ、また、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルなどのような環状脂肪族骨格を有するグリシジルエーテル、または芳香族エポキシ化合物の水素添加化合物などが挙げられ、好ましくは、環状脂肪族骨格を有するグリシジルエーテル、好ましくは炭素数3~20、好ましくは炭素数3~16、より好ましくは炭素数3~12の環状脂肪族骨格を有するグリシジルエーテルが使用可能であるが、これに制限されるものではない。
【0129】
本明細書の一実施態様において、前記脂環族エポキシ化合物とグリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物とが混合されて用いられる場合、その重量比は3:1~1:3であることが好ましく、より好ましくは2:1~1:2であってもよい。
【0130】
本明細書の一実施態様において、前記脂環族エポキシ化合物は、前記エポキシ化合物の全重量を基準として、10重量%~50重量%で含まれてもよく、好ましくは20重量%~40重量%で含まれてもよい。上記の数値範囲を満たす場合、光硬化時に効果的に組成物が硬化されるという利点がある。
【0131】
本明細書の一実施態様において、前記グリシジルエーテルタイプのエポキシ化合物は、前記エポキシ化合物の全重量を基準として、10重量%~60重量%で含まれてもよく、好ましくは30重量%~50重量%で含まれてもよい。
【0132】
本明細書の一実施態様において、前記エポキシ化合物の例としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのカプロラクトン変性物、多価カルボン酸と3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアルコールのエステル化物またはカプロラクトン変性物、末端に脂環族エポキシ基を有するシリコン系化合物、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、臭化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、末端カルボン酸ポリブタジエンとビスフェノールA型エポキシ樹脂の付加反応物、ジシクロペンタジエンジオキシド、リモネンジオキシド、4-ビニルシクロヘキセンジオキシド、ポリエチレングリコール(繰り返し数3以上)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(繰り返し数3以上)ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコール(繰り返し数3以上)ジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化植物油、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、両末端水酸基のポリブタジエンジグリシジルエーテル、ポリブタジエンの内部エポキシ化物、スチレン-ブタジエン共重合体の二重結合が一部エポキシ化された化合物〔例えば、ダイセル化学工業(株)製の「エポフレンド」〕、およびエチレン-ブチレン共重合体とポリイソプレンのブロックコポリマーのイソプレン単位が一部エポキシ化された化合物(例えば、KRATON社製の「L-207」)などが挙げられる。
【0133】
本明細書の一実施態様において、前記接着剤組成物は、硬化性成分をさらに含んでもよく、前記硬化性成分は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基などの重合性の二重結合を複数個有する化合物であってもよい。例えば、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート、アロニックスM-220(東亞合成社製)、ライトアクリレート1,9ND-A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDGE-4A(共栄社化学社製)、ライトアクリレートDCP-A(共栄社化学社製)、SR-531(Sartomer社製)、CD-536(Sartomer社製)などが挙げられる。また、必要に応じて、各種エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートや、各種(メタ)アクリレート系モノマーなどが挙げられる。前記硬化性成分を含む場合、硬化速度を上昇させることができ、低い光量でも高いレベルの硬化が可能であるという利点がある。
【0134】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板接着剤組成物は、光開始剤をさらに含んでもよい。前記光開始剤についての説明は、上述の保護層に含まれている光開始剤の説明と同様である。
【0135】
本明細書の一実施態様において、前記偏光板接着剤組成物は、必要に応じて、染料、顔料、エポキシ樹脂、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、光増感剤、および可塑剤からなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。前記添加剤についての説明は、上述の保護層に含まれている添加剤の説明と同様である。
【0136】
偏光子
本明細書の一実施態様において、前記偏光子としては、当技術分野において公知の偏光子、例えば、ヨードまたは二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを用いてもよい。前記偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムにヨードまたは二色性染料を染着させて製造可能であるが、その製造方法は特に限定されない。
【0137】
本明細書において、偏光子は、保護層(または保護フィルム)を含まない状態を意味し、偏光板は、偏光子と保護層(または保護フィルム)を含む状態を意味する。
【0138】
本明細書の一実施態様において、前記偏光子の厚さは5μm~40μm、より好ましくは5μm~25μmであってもよい。偏光子の厚さが上記の範囲より薄いと光学特性に劣る恐れがあり、上記の範囲より厚いと、低温(-30℃程度)での偏光子の収縮量が大きくなり、全体的な偏光板の熱に関する耐久性が問題となり得る。
【0139】
本明細書の一実施態様において、前記偏光子がポリビニルアルコール系フィルムである。ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール樹脂またはその誘導体を含むものであれば特に制限なしに使用可能である。この際、前記ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、これに限定されるものではないが、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。または、前記ポリビニルアルコール系フィルムとして、当技術分野において偏光子の製造に一般に用いられている市販のポリビニルアルコール系フィルム、例えば、クレハ社のP30、PE30、PE60、日本合成社のM2000、M3000、M6000などを用いてもよい。
【0140】
本明細書の一実施態様において、前記ポリビニルアルコール系フィルムの重合度は1,000~10,000、好ましくは1,500~5,000である。重合度が上記の範囲を満たす場合、分子の動きが自由であり、ヨードまたは二色性染料などとスムーズに混合することができる。
【0141】
粘着層
本明細書の一実施態様において、前記偏光板は、前記保護層の上部に粘着層をさらに含む。これは、表示装置パネルまたは位相差フィルムなどのような光学フィルムとの付着のためのものである。
【0142】
図3によると、本明細書は、保護層20が前記偏光子10の一面に設けられ、前記偏光子10の保護層20が設けられた面の他面に、接着剤層を介して保護フィルム30を付着させており、前記保護層20の上部に設けられた粘着層40をさらに含む。
【0143】
本明細書の一実施態様において、前記粘着層は、当技術分野において公知の種々の粘着剤を用いて形成可能であり、その種類は特に制限されない。例えば、前記粘着層は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いて形成可能である。中でも、透明性および耐熱性などを考慮すると、アクリル系粘着剤を用いることが特に好ましい。
【0144】
本明細書の一実施態様において、前記粘着層は、保護層の上部に粘着剤を塗布する方法により形成されてもよく、離型シート上に粘着剤を塗布した後、乾燥させて製造される粘着シートを保護層の上部に付着する方法により形成されてもよい。
【0145】
画像表示装置
本明細書は、上述の偏光板を含む画像表示装置を提供する。
本明細書の一実施態様において、前記偏光板は、液晶表示装置などのような画像表示装置に有用に適用可能である。
【0146】
本明細書の一実施態様において、前記画像表示装置は、液晶パネルと、前記液晶パネルの上面に設けられた上部偏光板と、前記液晶パネルの下面に設けられた下部偏光板と、を含む。
【0147】
図4は、前記液晶パネル200の一面に偏光板100が設けられた画像表示装置を示した図である。図4によると、前記液晶パネル200の一面と前記偏光板100とは、前記偏光板100の粘着層40を介して粘着される。
【0148】
本明細書の一実施態様において、前記上部偏光板は上述の偏光板である。
本明細書の一実施態様において、前記下部偏光板は上述の偏光板である。
本明細書の一実施態様において、前記上部偏光板および前記下部偏光板は上述の偏光板である。
【0149】
本明細書の一実施態様において、前記液晶パネルの種類は特に限定されない。例えば、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型、またはPD(polymer dispersed)型などのような受動行列方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)などのような能動行列方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネルおよび垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルが何れも適用可能である。また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば、上部および下部基板(ex.カラーフィルター基板またはアレイ基板)などの種類も特に制限されず、この分野において公知の構成が制限されずに採用可能である。
【実施例
【0150】
以下、実施例を挙げて本明細書をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は本明細書を例示するためのものであって、これにより本明細書の範囲が限定されるものではない。
【0151】
<光硬化性組成物の製造>
<製造例1~3:アクリレート基を含まない保護層組成物の製造>
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3´,4´-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:セロキサイド-2021)80重量部および3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-221)20重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてIrgacure 250を3.5重量部、および光増感剤としてESACURE ITXを0.8重量部添加し、光硬化性組成物1を製造した。
同様の方法により、下記表1の組成を有する組成物2および組成物3を製造した。光開始剤および光増感剤の含量は、光開始剤および光増感剤を除いた、残りのエポキシ化合物およびオキセタン化合物の全重量を基準としたものである。
【0152】
【表1】
【0153】
*CEL2021P:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3´,4´-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
CHDMDGE:1,4-シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテル
OXT-221:3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-221)
IRG-250:ヨードニウム塩(製品名:Irgacure-250、CIBA社製)
【0154】
<製造例A1~A9:アクリル化合物を含む保護層組成物の製造>
1)製造例A1~A8
下記表2の組成となるように、アクリル化合物を含む保護層組成物A1~A8を製造した。光開始剤および光増感剤の含量は、光開始剤および光増感剤を除いた、残りのエポキシ化合物、オキセタン化合物、アクリル化合物の全重量を基準としたものである。
【0155】
【表2】
【0156】
*DCPDA:Dicyclopentadiene acrylate
VEEA:2-(2-Vinyloxyethoxy)ethyl acrylate
IRG-819:(Bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenylphosphineoxide)
【0157】
2)製造例A9
4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-Hydroxybutyl Acrylate:大阪化学工業社製)80重量部およびトリス(2-アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(製品名:FA-731A、日立化成社製)20重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてIRG-819(Bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenylphosphineoxide)3重量部を添加した光硬化性組成物A9を製造した。
【0158】
<製造例C1~C3:その他の保護層組成物の製造>
<製造例C1>
イソ-ボルニルアクリレート90重量部および2-ヒドロキシエチルアクリレート10重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてIRG-819(Bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phenylphosphineoxide)3重量部を添加した光硬化性組成物C1を製造した。
【0159】
<製造例C2>
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3´,4´-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:セロキサイド-2021)30重量部、3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-221)20重量部、1,4-シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMDGE)40重量部、およびノナンジオールジアクリレート10重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてイルガキュア-250(Irgacure-250、ciba社製)3重量部、および光増感剤としてESACURE ITXを1重量部添加し、光硬化性組成物C2を製造した。
【0160】
<製造例C3>
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3´,4´-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:セロキサイド-2021)35重量部、3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-221)5重量部、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-212)40重量部、および1,4-シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMDGE)20重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてイルガキュア-250(Irgacure-250、ciba社製)2重量部、および光増感剤としてESACURE ITXを1重量部添加し、光硬化性組成物C3を製造した。
【0161】
<接着剤組成物の製造>
<接着剤組成物1>
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3´,4´-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:セロキサイド-2021)30重量部、3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-221)20重量部、1,4-シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMDGE)40重量部、およびノナンジオールジアクリレート10重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてIrgacure 250を3重量部、および光増感剤としてESACURE ITXを1重量部添加し、接着剤組成物1を製造した。
【0162】
<接着剤組成物2>
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3´,4´-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:セロキサイド-2021)35重量部、3-エチル-3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシメチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-221)5.5重量部、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン(東亞合成、アロンオキセタンOXT-212)39.5重量部、および1,4-シクロヘキシルジメタノールジグリシジルエーテル(CHDMDGE)20重量部を含む光硬化性組成物100重量部に、光開始剤としてCPI-100P(サンアプロ社製)0.6重量部、IK-1(サンアプロ社製)1.25重量部、および光増感剤としてESACURE ITXを0.85重量部添加し、接着剤組成物2を製造した。
【0163】
<実施例および比較例:偏光板の製造>
<実施例1>-保護フィルム/偏光板/保護層の構造
ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムに二色性染料を染着させた後、一定の方向に延伸し、架橋させる方法により偏光子を製造した。前記製造した偏光子の一面に前記接着剤組成物1を塗布し、その上に、保護フィルムとして80μmの厚さを有するPETフィルム(TA-044、東洋紡社製)を積層した後、紫外線照射装置D-bulbを利用して、800mJ/cmの紫外線を照射して接着剤層を硬化させることで、偏光子と保護フィルムを互いに接着させた。その後、前記保護フィルムが接着された面の他面に、製造例1の光硬化性組成物1をロールコータを用いてコーティングし、紫外線照射装置D-bulbを利用して、800mJ/cmの紫外線を照射して保護層を形成することで、偏光板を製造した。前記保護層の厚さは6μmであった。
【0164】
<実施例2>
保護層の材料として、光硬化性組成物1の代わりに光硬化性組成物2を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
【0165】
<比較例1>
保護層の材料として、光硬化性組成物1の代わりに光硬化性組成物3を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した
【0166】
<比較例2>
保護層の厚さを2μmに変更したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
【0167】
<比較例3>
光硬化性組成物1の代わりに組成物C1を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
【0168】
<比較例4>
光硬化性組成物1の代わりに組成物C2を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
【0169】
<比較例5>-保護フィルム/偏光板/保護フィルムの構造
実施例1で使用されたものと同一の偏光子の両面にそれぞれ接着剤組成物2を塗布し、PET保護フィルムを積層した。紫外線照射装置D-bulbを利用して、800mJ/cmの紫外線を照射して接着剤層を硬化させることで、偏光子と保護フィルムを互いに接着させ、偏光子の両面に厚さ80μmの保護フィルムが接着された偏光板5を製造した。
【0170】
<比較例6>-保護フィルム/偏光板/保護フィルムの構造
接着剤組成物2の代わりに光硬化性組成物1を使用したことを除き、前記比較例5と同様の方法により偏光板6を製造した。
【0171】
<比較例7~14>
光硬化性組成物1の代わりに光硬化性組成物A1~A8を使用したことを除き、実施例1と同様にして偏光板を製造した。すなわち、比較例7~14の偏光板の保護層はアクリル化合物を含む。
【0172】
<比較例15>
保護層の材料として、光硬化性組成物1の代わりに光硬化性組成物3を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
【0173】
<比較例16>
保護層の材料として、光硬化性組成物1の代わりに光硬化性組成物A9を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
【0174】
<参考例17>
保護層の材料として、光硬化性組成物1の代わりに光硬化性組成物C3を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により偏光板を製造した。
実施例、比較例、および参考例の、偏光板の保護層の組成および厚さを下記表3に表示した。
【0175】
【表3】
実施例2、比較例1~4、7~比較例16、および参考例17の接着剤層は、実施例1と同様に、接着剤組成物1を使用した厚さ2μmの接着剤層である。
【0176】
<実験例>
<物性の測定方法>
1.引張弾性率の測定
上記の製造例で製造された光硬化性組成物を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムに100μmの厚さで塗布し、光量1000mJ/cm以上の条件で紫外線を照射して硬化させた後、離型フィルムを除去し、試験片を10mmの幅に一定にレーザー裁断した後、UTM(Universal Testing Machine)により測定した。この際、測定温度は常温(25℃)とし、測定長さは50mm、引張速度は50mm/minとして一定に引っ張って得たS-S(Stress-Strain)曲線から引張弾性率を求めた。引張弾性率は、S-S曲線の初期勾配値に100を乗じて求めた。
【0177】
2.貯蔵弾性率の測定
上記の実施例および比較例で製造された偏光板を、幅5.3mm、長さ4.5cmのサイズにレーザーを用いて裁断した。その後、DMA(Dynamic mechanical analyzer)を用いて貯蔵弾性率を測定した。測定モードはMulti-Frequency-Strainとし、1分当り5℃ずつ、-30℃から160℃まで昇温しながら測定した
【0178】
3.熱膨張係数の測定
上記の製造例で製造された光硬化性組成物を離型PETの間に塗布した後、最終厚さが50μmとなるように、前記実施例と同一の硬化条件で硬化した。その後、離型PETから分離した硬化物を、幅6mm、長さ10mmのサイズに裁断した。その後、TMAを用いて、引張荷重(Tension load)を0.05Nに維持した状態で、30℃~150℃まで昇温速度5℃/minの速度で昇温し、変化した長さを測定してCTEを測定した。
【0179】
4.高温促進評価
上記の製造例で製造された光硬化性組成物を用いて保護フィルムを偏光子に積層し、実施例と同様の方法により硬化した。その後、先が丸くなった鉛筆を用いて300gの荷重で引っ掻いて偏光子にクラックを誘発したこと以外は、前記実施例および比較例と同様の方法により偏光子上にコーティングして偏光板を製造した。
その後、前記偏光板を幅6mm、長さ10mmに裁断してから、80℃で100時間放置した後、偏光子の収縮によってクラックが生じ、光が漏れるかを観察した。全クラックのうち、光が漏れるクラックの数を計算し、偏光板内のクラック(crack)発生率を導出した。
また、前記偏光板のサイズを変更し、55インチのパネルに適用した場合の偏光板内のクラック発生率を測定した。
*クラック発生率:光が漏れるクラックの数/全クラックの数x100(%)
【0180】
5.接着力の評価
前記製造例で製造された光硬化性組成物を用いて保護フィルムを偏光子に積層し、実施例と同様の方法により硬化した。その後、保護フィルムと偏光子の剥離力が2N/cm以上であると良好、その以下であると不良とした。
【0181】
6.保護層成分の分析
実施例および比較例の偏光板の保護層に対してFTIR分析を行い、1720cm-1、1410cm-1、および910cm-1におけるピーク面積を分析して下記表4に示した。また、比較例8のFTIRスペクトルを図5に示し、実施例1のFTIRスペクトルを図6にそれぞれ示した。保護層組成物の硬化の前、後でそれぞれ測定した。また、式1の範囲を測定し、下記表4に示した。
【0182】
【表4】
【0183】
式1において、1700cm-1~1740cm-1におけるピークとして1720cm-1におけるピークを選択し、1420cm-1~1380cm-1におけるピークとして1410cm-1におけるピークをそれぞれ選択し、1720cm-1におけるピーク強度に対する、1410cm-1におけるピーク強度の比率をIeと計算した。
【0184】
また、式1において、1700cm-1~1740cm-1におけるピークとして1720cm-1におけるピークを選択し、920cm-1~900cm-1におけるピークとして910cm-1におけるピークをそれぞれ選択し、 1720cm-1におけるピーク強度に対する、910cm-1におけるピーク強度の比率をIeと計算した。
【0185】
前記ピーク強度は、FTIRスペクトルのピーク面積に相応する。前記ピーク面積は直接積分法により導出することができる。または、前記FTIRスペクトルの一ピークをガウス分布と仮定し、前記ピーク面積は、前記ピークの高さと半値幅(half value width)の積から計算した。
【0186】
上記の結果から、実施例1および実施例2の偏光板保護層にはアクリレート基が含まれていないが、比較例7~14の偏光板保護層にはアクリレート基が含まれていることを確認することができた。
【0187】
7.偏光板収縮力のテスト
実施例1の偏光板の収縮力をテストした。前記収縮力は、偏光板を2mm(透過軸方向)×50mm(吸収軸方向)のサイズに切断した後、標点距離を15mmとし、80℃で4時間以上、等温状態のまま静置し、DMA Q800(Dynamic mechanical analyzer、TA社)によりMD方向またはTD方向の収縮力を測定した。この際、測定の前に、偏光板を平坦な状態に維持するために、最小限の荷重を偏光子の厚さ方向にかけて測定した。
8回繰り返して測定し、その結果を下記表5に示した。MD方向への平均収縮力が8.03Nであり、TD方向への平均収縮力が6.62Nであった。
【0188】
【表5】
【0189】
<保護層がアクリレートを含むか否かによる実験結果>
保護層がアクリレートを含むか否かによる耐久性/耐熱性テストと接着力テストを行い、下記表6に示した。
この結果から、偏光板保護層がアクリレート基を含まない場合(実施例1、2)に、含む場合(比較例7~14)に比べて高温耐久性および接着力に優れることを確認することができた。
すなわち、実施例の偏光板保護層は、アクリル化合物の代わりにエポキシ化合物およびオキセタン化合物を含むことで、保護層による偏光子の保護効果に優れるため、偏光板または偏光子の収縮力が大きい場合にも、高温環境下で偏光子にクラックが発生することを最小化することができる利点がある。
【0190】
【表6】
【0191】
<保護層の組成による実験結果>
実施例および比較例の偏光板に対する実験結果を比較し、下記表7に示した。
【0192】
【表7】
*-は、テストを行っていないことを意味する。
【0193】
実施例1および2の偏光板の保護層は、引張弾性率が高くて、偏光子を効果的に保護することができるが、比較例1の偏光板の保護層は、引張弾性率が低いため、偏光子を効果的に保護することができず、クラックが発生した。
【0194】
また、保護層の厚さが厚い実施例1および実施例2は、保護層による偏光子の保護効果に優れていたが、比較例2の偏光板は、保護層の厚さが2μmと低いため、保護層が偏光子を十分に保護できず、クラックが発生した。
【0195】
実施例1および2は、保護層の熱膨張係数が低く、貯蔵弾性率に優れるため、偏光子に加えられるストレスを保護層が効果的に抑え、高温環境で偏光子の収縮または膨張によって発生する偏光子のクラックを効果的に抑制した。これに対し、比較例3および比較例4は、保護層の熱膨張係数が高く、反対に貯蔵弾性率が著しく低いため、偏光子に加えられるストレスを保護層が抑制できず、高温環境で発生する偏光子のクラックを効果的に抑制することができなかった。
【0196】
比較例5の偏光板は、「接着剤層および保護フィルム」の厚さが総82μmと厚いにもかかわらず、高温促進評価結果のクラック発生率が100%に近いことを確認した。比較例5の接着剤層を介して保護フィルムが積層された偏光板の性能を改善するために、「接着剤層および保護フィルム」の構造は維持し、接着剤層の引張弾性率を上昇させる場合、接着剤層の保護フィルムに対する接着力が減少することを確認することができた(前記比較例6)。
【0197】
このことから、接着剤層の貯蔵弾性率が高い場合、保護フィルムとの接着力に劣ることを確認することができた。比較例の接着剤層と実施例の保護層は、偏光子の一面に形成されるという点で、その位置は同一であるが、それぞれ要求される物性が異なる。実施例の偏光板保護層は、別の保護フィルムを備えなくても貯蔵弾性率に優れるため、高温環境下で偏光子を保護する機能に優れる。
【0198】
すなわち、実施例1および2は、上記の「接着剤層および保護フィルム」の構造を有する偏光板の問題を解決したものであって、別の保護フィルムがなくても、薄い厚さの保護層のみで偏光子を効果的に保護する利点を有する。
【0199】
比較例16の偏光板は、保護層にアクリル化合物を含んでいるが、この場合、保護層の熱膨張係数が高すぎて(1,000ppm/K以上)、貯蔵弾性率が低いため(300Mpa以下)、高温促進評価結果、クラックが多数発生することを確認することができる。
【0200】
参考例17の偏光板は、保護層のガラス転移温度が90℃未満と非常に低く、熱膨張係数が大きくて(1,064ppm/K)、貯蔵弾性率に著しく劣る(75Mpa)。この場合、保護層の高温耐久性が著しく劣るため、高温促進評価結果、クラックが多数発生することを確認することができる。
【符号の説明】
【0201】
10 偏光子
20 保護層
30 保護フィルム
40 粘着層
100 偏光板
200 液晶パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6