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特許7241745バッファを用いた動き検出信号の時間整合
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】バッファを用いた動き検出信号の時間整合
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20230310BHJP
   G01S 13/46 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S13/46
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020518779
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 CA2018050027
(87)【国際公開番号】W WO2019084666
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】15/803,189
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】318010214
【氏名又は名称】コグニティヴ システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】オレカス クリストファー ヴィータウタス
(72)【発明者】
【氏名】グリースドルフ ダスティン
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09584974(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0171993(US,A1)
【文献】特開2015-219884(JP,A)
【文献】特開2015-040774(JP,A)
【文献】特表2012-517590(JP,A)
【文献】米国特許第09523760(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
G01S 19/00 - 19/55
G01V 1/00 - 99/00
G08B 13/00 - 15/02
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動き検出法であって、
空間を通じて無線で送信された後に無線通信装置によって受信された第1の無線信号の組に基づく第1の入力信号の組を第1の期間にわたって干渉バッファにロードするステップと、
前記第1の入力信号の組を使用して無線干渉レベルを決定するステップと、
前記第1の入力信号の組及び前記第1の入力信号の組のサブセットを動き検出バッファにロードするステップと、
1又は2以上のプロセッサの動作により、前記決定された無線干渉レベルが閾値レベル未満であるとの判定に応答して、前記干渉バッファに第2の入力信号の組がロードされる第2の後続期間にわたって動き検出プロセスを実行するステップと、
を含み、前記動き検出プロセスは、前記第1の入力信号の組のサブセットを使用して前記空間内の物体の動きを検出し、前記第2の入力信号の組は、前記空間を通じて無線で送信された後に前記無線通信装置によって受信された第2の無線信号の組に基づく、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記動き検出プロセスは、前記空間内の物体の動きを検出するために前記第1の入力信号の組の複数のサブセットを使用して繰り返し実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線干渉レベルは、第1の無線干渉レベルを含み、前記方法は、
前記第2の入力信号の組を使用して第2の無線干渉レベルを決定するステップと、
前記第2の無線干渉レベルが前記閾値レベルを上回るとの判定に応答して、前記第2の入力信号の組に対する前記動き検出プロセスの実行を妨げるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の入力信号の組をロードするステップは、前記干渉バッファを満たすステップを含み、前記方法は、
前記第1の無線干渉レベルが前記閾値レベル未満であるとの判定に応答して、前記干渉バッファから前記第1の入力信号の組を削除するステップと、
前記干渉バッファを前記第2の入力信号の組で満たすステップと、
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
動き検出バッファを前記第2の入力信号の組からの入力信号で満たすステップをさらに含み、前記動き検出プロセスは、前記動き検出バッファの一部における前記入力信号に対して実行される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉バッファは、N個のデータブロックを含み、前記動き検出バッファは、N+M-1個のデータブロックを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の入力信号の組をロードするステップは、
前記受信された第1の無線信号の組の信号品質メトリックを閾値と比較するステップと、
前記閾値を上回る信号品質メトリックを有する無線信号を拒絶するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、データ処理装置によって実行された時に、
空間を通じて無線で送信された後に無線通信装置によって受信された第1の無線信号の組に基づく第1の入力信号の組を第1の期間にわたって干渉バッファにロードするステップと、
前記第1の入力信号の組を使用して無線干渉計レベルを決定するステップと、
前記第1の入力信号の組及び前記第1の入力信号の組のサブセットを動き検出バッファにロードするステップと、
前記決定された無線干渉レベルが閾値レベル未満であるとの判定に応答して、前記干渉バッファに第2の入力信号の組がロードされる第2の後続期間内に動き検出プロセスを実行するステップと、
を実行し、前記動き検出プロセスは、前記第1の入力信号の組のサブセットを使用して前記空間内の物体の動きを検出し、前記第2の入力信号の組は、前記空間を通じて無線で送信された後に前記無線通信装置によって受信された第2の無線信号の組に基づく、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記動き検出プロセスは、前記空間内の物体の動きを検出するために前記第1の入力信号の組の複数のサブセットを使用して繰り返し実行される、
請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記無線干渉レベルは、第1の無線干渉レベルを含み、前記命令は、
前記第2の入力信号の組を使用して第2の無線干渉レベルを決定するステップと、
前記第2の無線干渉レベルが前記閾値レベルを上回るとの判定に応答して、前記第2の入力信号の組に対する前記動き検出プロセスの実行を妨げるステップと、
をさらに含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記第1の入力信号の組をロードするステップは、前記干渉バッファを満たすステップを含み、前記命令は、
前記第1の無線干渉レベルが前記閾値レベル未満であるとの判定に応答して、前記干渉バッファから前記第1の入力信号の組を削除するステップと、
前記干渉バッファを前記第2の入力信号の組で満たすステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記命令は、動き検出バッファを前記第2の入力信号の組からの入力信号で満たすステップをさらに含み、前記動き検出プロセスは、前記動き検出バッファの一部における前記入力信号に対して実行される、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記干渉バッファは、N個のデータブロックを含み、前記動き検出バッファは、N+M-1個のデータブロックを含む、
請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記第1の入力信号の組をロードする前記命令は、
前記受信された第1の無線信号の組の信号品質メトリックを閾値と比較するステップと、
前記閾値を上回る信号品質メトリックを有する無線信号を拒絶するステップと、
を含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
動き検出システムであって、
複数の無線通信装置と、
前記無線通信装置に通信可能に結合されたデータ処理装置と、
を備え、各無線通信装置は、該無線通信装置が受信した一連の無線信号に基づいて空間内の物体の動きを検出するように構成され、前記データ処理装置は、
前記空間を通じて無線で送信された後に無線通信装置によって受信された第1の無線信号の組に基づく第1の入力信号の組を第1の期間にわたって干渉バッファにロードし、
前記第1の入力信号の組を使用して無線干渉計レベルを決定し、
前記第1の入力信号の組及び前記第1の入力信号の組のサブセットを動き検出バッファにロードし、
前記決定された無線干渉レベルが閾値レベル未満であるとの判定に応答して、前記干渉バッファに第2の入力信号の組がロードされる第2の後続期間内に動き検出プロセスを実行する、
ように構成され、前記動き検出プロセスは、前記第1の入力信号の組のサブセットを使用して前記空間内の物体の動きを検出し、前記第2の入力信号の組は、前記空間を通じて無線で送信された後に前記無線通信装置によって受信された第2の無線信号の組に基づく、
ことを特徴とする動き検出システム。
【請求項16】
前記動き検出プロセスは、前記空間内の物体の動きを検出するために前記第1の入力信号の組の複数のサブセットを使用して繰り返し実行される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記無線干渉レベルは、第1の無線干渉レベルを含み、前記データ処理装置は、
前記第2の入力信号の組を使用して第2の無線干渉レベルを決定し、
前記第2の無線干渉レベルが前記閾値レベルを上回るとの判定に応答して、前記第2の入力信号の組に対する前記動き検出プロセスの実行を妨げる、
ようにさらに構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記データ処理装置は、
前記干渉バッファを満たすことによって前記第1の入力信号の組をロードし、
前記第1の無線干渉レベルが前記閾値レベル未満であるとの判定に応答して、前記干渉バッファから前記第1の入力信号の組を削除し、
前記干渉バッファを前記第2の入力信号の組で満たす、
ようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記データ処理装置は、動き検出バッファを前記第1の入力信号の組及び前記第2の入力信号の組からの入力信号で満たすようにさらに構成され、前記動き検出プロセスは、前記動き検出バッファの一部における前記入力信号に対して実行される、
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記干渉バッファは、N個のデータブロックを含み、前記動き検出バッファは、N+M-1個のデータブロックを含む、
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記データ処理装置は、
前記受信された第1の無線信号の組の信号品質メトリックを閾値と比較し、
前記閾値を上回る信号品質メトリックを有する無線信号を拒絶する、
ことによって前記第1の入力信号の組をロードするようにさらに構成される、
請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権の主張〕
本出願は、2017年11月3日に出願された「バッファを用いた動き検出信号の時間整合(Time-Alignment of Motion Detection Signals Using Buffers)」という名称の米国特許出願第15/803189号に対する優先権を主張するものであり、この文献の内容は引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は動き検出に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、室内又は屋外領域の物体の動きを検出するために動き検出システムが使用されている。いくつかの動き検出システム例では、赤外線センサ又は光学センサを使用してセンサの視野内の物体の動きを検出する。動き検出システムは、セキュリティシステム、自動制御システム及びその他のタイプのシステムにおいて使用されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
説明する内容のいくつかの態様では、バッファを使用して動き検出信号を時間整合させる。例えば、いくつかの実装では、異なる長さの干渉バッファ及び動き検出バッファを使用して、動き検出プロセスのための動き検出信号を時間整合させる。干渉フィルタが、干渉バッファ内の入力信号に存在する無線干渉のレベルに関する判定を行い、この判定に基づいて、動き検出バッファ内の入力信号に対して動き検出プロセスを実行するか、或いは実行しない。
【0005】
例えば、いくつかの態様では、干渉フィルタが、N個の入力信号の組に許容できない干渉レベルが存在するかどうかを判定し、この判定に応答して、N個の入力信号の組に対して動き検出プロセスを実行し、又は実行しないことができる。その後、干渉バッファは、第1のN個の入力信号の組に対して動き検出プロセスが実行されている間に、第2のN個の入力信号の組を取得することができる。場合によっては、M<N個の入力信号に対して同時に動き検出プロセスを実行することもできる。従って、干渉バッファは、N個の入力信号のための空間を有することができ、動き検出バッファは、N+M-1個の入力信号のための空間を有することができる。
【0006】
いくつかの例では、本明細書で説明するシステム及び方法が1又は2以上の利点をもたらすことができる。例えば、空間を通じて送信される無線信号を使用して動きを検出することができる。本開示の実施形態は、動き検出プロセスの実行対象であるデータが干渉信号で「曇っている(clouded)」かどうかを判定するために大規模データセットに適用できる複素フィルタ(すなわち、時間整合入力信号)を提供する。干渉フィルタのデータ経路と動き検出プロセスのデータ経路とを時間整合させることにより、複素フィルタは、より多くのデータを評価し、データセットから特徴を抽出(又は破棄)して、空間内で検出された動きが純粋に物体の動きであって、空間内に存在する無線干渉に起因する誤検出ではないことを確認する機会を有する。また、この動き検出プロセスは、遅延を最小限に抑えて擬似リアルタイムで実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】無線通信システム例を示す図である。
図2】動き探査信号例を示す図である。
図3A】無線通信装置間で通信される無線信号例を示す図である。
図3B】無線通信装置間で通信される無線信号例を示す図である。
図4】動き検出バッファ及び干渉バッファを含む動き検出システム例を示す図である。
図5A】(まとめて図5として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行うプロセス例を示す図である。
図5B】(まとめて図5として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行うプロセス例を示す図である。
図5C】(まとめて図5として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行うプロセス例を示す図である。
図5D】(まとめて図5として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行うプロセス例を示す図である。
図5E】(まとめて図5として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行うプロセス例を示す図である。
図6A】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6B】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6C】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6D】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6E】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6F】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6G】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図6H】(まとめて図6として示す)干渉バッファ及び動き検出バッファにロードを行う別のプロセス例を示す図である。
図7A】時間動き検出信号を時間整合させるプロセス例を示すフロー図である。
図7B】時間動き検出信号を時間整合させるプロセス例を示すフロー図である。
図7C】時間動き検出信号を時間整合させるプロセス例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に、無線通信システム例100を示す。無線通信システム例100は、第1の無線通信装置102A、第2の無線通信装置102B及び第3の無線通信装置102Cという3つの無線通信装置を含む。無線通信システム例100は、さらなる無線通信装置及びその他のコンポーネント(例えば、さらなる無線通信装置、1又は2以上のネットワークサーバ、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ケーブル、又はその他の通信リンクなど)を含むこともできる。
【0009】
無線通信装置例102A、102B、102Cは、例えば無線ネットワーク標準又は別のタイプの無線通信プロトコルに従って無線ネットワーク内で動作することができる。例えば、無線ネットワークは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、又は別のタイプの無線ネットワークとして動作するように構成することができる。WLANの例としては、IEEEによって開発された802.11ファミリの標準のうちの1つ又は2つ以上(例えば、Wi-Fiネットワーク)などに従って動作するように構成されたネットワークが挙げられる。PANの例としては、近距離通信標準(例えば、BLUETOOTH(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、Zigbee)、及びミリ波通信などに従って動作するネットワークが挙げられる。
【0010】
いくつかの実装では、無線通信装置102A、102B、102Cを、例えばセルラネットワーク標準に従ってセルラネットワーク内で通信するように構成することができる。セルラネットワークの例としては、グローバル・システム・フォー・モバイル(GSM)及びGSM進化型高速データレート(EDGE)又はEGPRSなどの2G標準、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)及び時分割同期符号分割多元接続(TD-SCDMA)などの3G標準、ロング・ターム・エボリューション(LTE)及びLTE-Advanced(LTE-A)などの4G標準などに従って構成されたネットワークが挙げられる。
【0011】
図1に示す例では、無線通信装置102A、102B、102Cを標準的な無線ネットワークコンポーネントとすることができ、或いはこれらの無線通信装置が標準的な無線ネットワークコンポーネンを含むことができる。例えば、無線通信装置102A、102B、102Cは、市販のWi-Fiアクセスポイント、或いは内部モデムに命令(例えば、ソフトウェア又はファームウェア)として埋め込まれた、本明細書で説明する1又は2以上の動作を実行する別のタイプの無線アクセスポイント(WAP)とすることができる。いくつかの例では、無線通信装置102A、102B、102Cを、例えば市販のメッシュネットワークシステム(例えば、GOOGLE WIFI)などの無線メッシュネットワークのノードとすることができる。いくつかの例では、別のタイプの標準的な又は従来のWi-Fi送信機装置を使用することもできる。無線通信装置102A、102B、102Cは、Wi-Fiコンポーネントを伴わずに実装することもでき、例えば他のタイプの標準的又は非標準的な無線通信を動き検出に使用することもできる。いくつかの例では、無線通信装置102A、102B、102Cを専用動き検出システム又はその一部とすることもできる。例えば、専用動き検出システムとしては、ハブ装置、及び(遠隔センサ装置としての)1又は2以上のビーコン装置を挙げることができ、無線通信装置102A、102B、102Cは、動き検出システム内のハブ装置又はビーコン装置とすることができる。
【0012】
図1に示すように、無線通信装置例102Cは、モデム112と、プロセッサ114と、メモリ116と、電源ユニット118とを含み、無線通信システム100内の無線通信装置102A、102B、102Cは、いずれも同じ、さらなる、又は異なるコンポーネントを含むことができ、これらのコンポーネントは、図1に示すように、又は別の形で動作するように構成することができる。いくつかの実装では、無線通信装置のモデム112、プロセッサ114、メモリ116及び電源ユニット118が、共に共通ハウジング又はその他のアセンブリに収容される。いくつかの実装では、無線通信装置の1又は2以上のコンポーネントを、例えば別個のハウジング又は他のアセンブリに別々に収容することができる。
【0013】
モデム例112は、無線信号の通信(受信、送信、又はこれらの両方)を行うことができる。例えば、モデム112は、無線通信標準(例えば、Wi-Fi又はBluetooth)に従ってフォーマットされた無線周波数(RF)信号を通信するように構成することができる。モデム112は、図1に示す無線ネットワークモデム例112として実装することも、或いは他のタイプのコンポーネント又はサブシステムなどと共に別の形で実装することもできる。いくつかの実装では、モデム例112が、無線サブシステム又はベースバンドサブシステムを含む。いくつかの例では、ベースバンドサブシステム及び無線サブシステムを、共通のチップ又はチップセット上、或いはカード又は別のタイプの組み立て装置内に実装することができる。ベースバンドサブシステムは、例えばリード線、ピン、ワイヤ、又は他のタイプの接続によって無線サブシステムに結合することができる。
【0014】
いくつかの例では、モデム112内の無線サブシステムが、1又は2以上のアンテナと、無線周波数回路とを含むことができる。無線周波数回路は、例えばアナログ信号をフィルタ処理、増幅又は別様に調整する回路、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートする回路、RF信号をベースバンド信号にダウンコンバートする回路などを含むことができる。このような回路は、例えばフィルタ、増幅器、ミキサ、局部発振器などを含むことができる。無線サブシステムは、無線通信チャネル上で無線周波数無線信号を通信するように構成することができる。一例として、無線サブシステムは、無線チップと、RFフロントエンドと、1又は2以上のアンテナとを含むことができる。無線サブシステムは、さらなる又は異なるコンポーネントを含むこともできる。無線サブシステムは、いくつかの実装では、例えばWi-Fiモデム、ピコ基地局モデムなどの従来のモデムからの無線電子機器(例えば、RFフロントエンド、無線チップ又は同様のコンポーネント)とすることができ、或いはこれらを含むことができる。いくつかの実装では、アンテナが複数のアンテナを含む。
【0015】
いくつかの例では、モデム112内のベースバンドサブシステムが、例えばデジタルベースバンドデータを処理するように構成されたデジタル電子機器を含むことができる。一例として、ベースバンドサブシステムは、ベースバンドチップを含むことができる。ベースバンドサブシステムは、さらなる又は異なるコンポーネントを含むこともできる。いくつかの例では、ベースバンドサブシステムが、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)装置又は別のタイプのプロセッサ装置を含むことができる。いくつかの例では、ベースバンドサブシステムが、無線サブシステムを動作させ、無線サブシステムを介して無線ネットワークトラフィックを通信し、無線サブシステムを介して受け取った動き検出信号に基づいて動きを検出し、又はその他のタイプの処理を実行するデジタル処理ロジックを含む。例えば、ベースバンドサブシステムは、信号を符号化して符号化信号を送信のために無線サブシステムに供給するように構成された、或いは無線サブシステムからの信号内に符号化されたデータを(例えば、無線通信規格に従って信号を復号することによって、動き検出処理に従って信号を処理することによって、又はそれ以外の方法で)識別して解析するように構成された1又は2以上のチップ、チップセット又は他のタイプのデバイスを含むことができる。
【0016】
いくつかの例では、モデム例112内の無線サブシステムが、ベースバンドサブシステムからベースバンド信号を受信し、ベースバンド信号を無線周波数(RF)信号にアップコンバートし、(例えば、アンテナを介して)無線周波数信号を無線で送信する。いくつかの例では、モデム例112内の無線サブシステムが、(例えば、アンテナを介して)無線周波数信号を無線で受信し、無線周波数信号をベースバンド信号にダウンコンバートし、ベースバンド信号をベースバンドサブシステムに送信する。無線サブシステムとベースバンドサブシステムとの間で交換される信号は、デジタル信号又はアナログ信号とすることができる。いくつかの例では、ベースバンドサブシステムが変換回路(例えば、デジタル-アナログ変換器、アナログ-デジタル変換器)を含み、無線サブシステムとの間でアナログ信号を交換する。いくつかの例では、無線サブシステムが変換回路(例えば、デジタル-アナログ変換器、アナログ-デジタル変換器)を含み、ベースバンドサブシステムとの間でデジタル信号を交換する。
【0017】
いくつかの例では、モデム例112のベースバンドサブシステムが、1又は2以上のネットワークトラフィックチャネル上で無線サブシステムを介して無線通信ネットワーク内で無線ネットワークトラフィック(例えば、データパケット)を通信することができる。モデム112のベースバンドサブシステムは、動き検出チャネル上で無線サブシステムを介して信号(例えば、動き探査信号(motion probe signals)又は動き検出信号)の送信又は受信(又はこれらの両方)を行うこともできる。いくつかの例では、ベースバンドサブシステムが、例えば動きを求めて空間を探るために動き探査信号を生成して送信する。いくつかの例では、ベースバンドサブシステムが、例えば受け取った動き検出信号(空間を通じて送信された動き探査信号に基づく信号)を処理して空間内の物体の動きを検出する。
【0018】
プロセッサ例114は、例えばデータ入力に基づいて出力データを生成するための命令を実行することができる。これらの命令は、プログラム、コード、スクリプト、又はメモリに記憶された他のタイプのデータを含むことができる。これに加えて、又はこれとは別に、これらの命令は、予めプログラムされた又は再プログラム可能な論理回路、論理ゲート、或いは他のタイプのハードウェアコンポーネント又はファームウェアコンポーネントとして符号化することもできる。プロセッサ114は、特殊なコプロセッサ又は別のタイプのデータ処理装置としての汎用マイクロプロセッサとすることができ、又はこのような汎用マイクロプロセッサを含むことができる。いくつかの例では、プロセッサ114が、動き検出装置104の高水準動作を実行する。例えば、プロセッサ114は、メモリ116に記憶されたソフトウェア、スクリプト、プログラム、関数、実行ファイル又はその他のモジュールを実行又は解釈するように構成することができる。いくつかの実装では、プロセッサ114をモデム112に含めることもできる。
【0019】
メモリ例116は、例えば揮発性メモリデバイス、不揮発性メモリデバイス又はこれらの両方などのコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。メモリ116は、1又は2以上のリードオンリメモリデバイス、ランダムアクセスメモリデバイス、バッファメモリデバイス、又はこれらの及びその他のタイプのメモリデバイスの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、メモリの1又は2以上のコンポーネントを動き検出装置104の別のコンポーネントと一体化し、又は別様に関連付けることができる。メモリ116は、プロセッサ114が実行できる命令を記憶することができる。例えば、これらの命令は、図7A図7Cのプロセス例700の動作のうちの1つ又は2つ以上などを通じて、干渉バッファ及び動き検出バッファを使用して信号を時間整合させる命令を含むことができる。
【0020】
電源ユニット例118は、無線通信装置102Cの他のコンポーネントに電力を供給する。例えば、他のコンポーネントは、電源ユニット118が電圧バス又はその他の接続部を介して供給する電力に基づいて動作することができる。いくつかの実装では、電源ユニット118が、例えば充電式バッテリなどのバッテリ又はバッテリシステムを含む。いくつかの実装では、電源ユニット118が、(外部信号源から)外部電力信号を受け取って無線通信装置102Cのコンポーネントのために調整された内部電力信号に変換するアダプタ(例えば、ACアダプタ)を含む。電源ユニット118は、他のコンポーネントを含むことも、又は別の形で動作することもできる。
【0021】
図1に示す例では、無線通信装置102A、102Bが、(例えば、無線ネットワーク標準、動き検出プロトコル、又はその他に従って)無線信号を送信する。例えば、無線通信装置102A、102Bは、無線動き探査信号(例えば、基準信号、ビーコン信号、状態信号など)をブロードキャストし、或いは他の装置(例えば、ユーザ装置、クライアント装置、サーバなど)にアドレス指定された無線信号を送信することができ、他の装置(図示せず)及び無線通信装置102Cは、無線通信装置102A、102Bによって送信された無線信号を受信することができる。いくつかの例では、無線通信装置102A、102Bによって送信される無線信号が、例えば無線通信標準又はその他に従って周期的に繰り返される。
【0022】
図示の例では、無線通信装置102Cが、無線通信装置102A、102Bからの無線信号を処理して、無線信号がアクセスした空間内の物体の動きの検出、検出された動きの位置の特定、又はこれらの両方を行う。例えば、無線通信装置102Cは、以下で図3図9に関して説明するプロセス例、或いは動きの検出又は検出された動きの位置特定のための別のタイプのプロセスの1又は2以上の動作を実行することができる。無線信号がアクセスする空間は、例えば1又は2以上の完全に又は部分的に取り囲まれた領域、囲いがない開放区域などを含むことができる屋内又は屋外空間とすることができる。この空間は、部屋、複数の部屋、又は建物などの内部とすることができ、或いはこれらを含むことができる。いくつかの例では、無線通信システム100を、例えば無線通信装置102Cが無線信号を送信し、無線通信装置102A、102Bが無線通信装置102Cからの無線信号を処理して動きの検出又は検出された動きの位置特定を行えるように修正することができる。
【0023】
動き検出に使用される無線信号は、例えばビーコン信号(例えば、Bluetoothビーコン、Wi-Fiビーコン、その他の無線ビーコン信号)、無線ネットワーク標準に従って他の目的で生成される別の標準的な信号、或いは動き検出又はその他の目的で生成される非標準的な信号(例えば、ランダム信号、基準信号など)を含むことができる。いくつかの例では、移動物体との相互作用の前又は後に無線信号が物体(例えば、壁)を通じて伝播することにより、移動物体と送信又は受信ハードウェアとの間に光学的見通し線を伴わずに移動物体の動きを検出することができる。第3の無線通信装置102Cは、受け取った信号に基づいて動き検出データを生成することができる。いくつかの例では、第3の無線通信装置102Cが、部屋、建物、屋外領域などの空間内の動きをモニタするためのコントロールセンタを含むことができるセキュリティシステムなどの別の装置又はシステムに動き検出データを通信することができる。
【0024】
いくつかの実装では、無線通信装置102A、102Bを、無線ネットワークトラフィック信号から分離した無線通信チャネル(例えば、周波数チャネル又は符号化チャネル)上で(例えば、基準信号、ビーコン信号、又は移動空間を探るために使用される別の信号を含むことができる)動き探査信号を送信するように修正することができる。例えば、動き探査信号のペイロードに適用される変調、及びペイロード内のデータ又はデータ構造のタイプを第3の無線通信装置102Cが認識できるようにすることにより、第3の無線通信装置が動き検知のために実行する処理量を減少させることができる。ヘッダは、例えば通信システム100内の別の装置によって動きが検出されたかどうかの指示、変調タイプの指示、信号を送信している装置の識別などの追加情報を含むこともできる。
【0025】
図1に示す例では、無線通信システム100が無線メッシュネットワークであり、各それぞれの無線通信装置102間に無線通信リンクを含む。図示の例では、第3の無線通信装置102Cと第1の無線通信装置102Aとの間の無線通信リンクを使用して第1の動き検出領域110Aを探ることができ、第3の無線通信装置102Cと第2の無線通信装置102Bとの間の無線通信リンクを使用して第2の動き検出領域110Bを探ることができ、第1の無線通信装置102Aと第2の無線通信装置102Bとの間の無線通信リンクを使用して第3の動き検出領域110Cを探ることができる。いくつかの例では、各無線通信装置102が、自機が動き検出領域110を通じて送信した無線信号に基づく受信信号を処理することによって、アクセス先の動き検出領域110内の動きを検出する。例えば、図1に示す人物106が第1の動き検出領域110A及び第3の動き検出領域110C内で動いた場合、無線通信装置102は、それぞれの動き検出領域110を通じて送信された無線信号に基づく受信信号に基づいて動きを検出することができる。例えば、第1の無線通信装置102Aは、動き検出領域110A、110Cの両方における人物の動きを検出することができ、第2の無線通信装置102Bは、動き検出領域110Cにおける人物106の動きを検出することができ、第3の通信装置102Cは、動き検出領域110Aにおける人物106の動きを検出することができる。
【0026】
いくつかの例では、動き検出領域110が、例えば空気、固体材料、液体、又は無線電磁信号が伝播できる別の媒体を含むことができる。図1に示す例では、第1の動き検出領域110Aが、通信装置102Aと第3の無線通信装置102Cの間の無線通信チャネルを提供し、第2の動き検出領域110Bが、第2の無線通信装置102Bと第3の無線通信装置102Cの間の無線通信チャネルを提供し、第3の動き検出領域110が、第1の無線通信装置102Aと第2の無線通信装置102Bの間の無線通信チャネルを提供する。いくつかの動作態様では、(ネットワークトラフィックのための無線通信チャネルとは別の、又は共通の)無線通信チャネル上で送信された無線信号を使用して空間内の物体の動きを検出する。これらの物体は、あらゆるタイプの静止物体又は可動物体とすることができ、生物又は無生物とすることができる。例えば、この物体は、人間(例えば、図1に示す人物106)、動物、無生物、或いは別のデバイス、装置又はアセンブリ、空間の境界の全部又は一部を定める物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体とすることができる。いくつかの実装では、無線通信装置からの動き情報を分析して、検出された動きの位置を特定することができる。例えば、以下でさらに説明するように、無線通信装置102のうちの1つ(又は装置102に通信可能に結合された別の装置)は、検出された動きが特定の無線通信装置に近接していると判断することができる。
【0027】
図2に、動き探査信号例202を示す。動き探査信号例202は、例えば空間内の動きをモニタするために無線通信システム内で送信することができる。いくつかの例では、動き探査信号202がパケットとして実装される。例えば、動き探査信号202は、アナログ信号に変換され、無線周波数にアップコンバートされ、アンテナによって無線送信される2進データを含むことができる。
【0028】
図2に示す動き探査信号202は、制御データ204及び動きデータ206を含む。動き探査信号202は、さらなる又は異なる機能を含むこともでき、別様にフォーマットすることもできる。図示の例では、制御データ204が、従来のデータパケットに含まれるタイプの制御データを含むことができる。例えば、制御データ204は、動き探査信号202に含まれる情報のタイプを示す(ヘッダとも呼ばれる)プリアンブル、動き探査信号202を送信する無線装置の識別子、動き探査信号202を送信する無線装置のMACアドレス、送信電力などを含むことができる。動きデータ206は、動き探査信号202のペイロードである。動きデータ206は、いくつかの実装では、例えば擬似ランダムコード又は別のタイプの基準信号とすることができ、或いはこれらを含むことができる。動きデータ206は、いくつかの実装では、例えば無線ネットワークシステムによってブロードキャストされるビーコン信号とすることができ、或いはこのようなビーコン信号を含むことができる。
【0029】
ある例では、動き探査信号202が無線装置(例えば、図1に示す無線通信装置102A)によって送信され、動き検出装置(例えば、図1に示す無線通信装置102C)において受信される。いくつかの例では、制御データ204が、例えば送信時間又は最新パラメータを示すように送信毎に変化する。動きデータ206は、動きチャネルパケット202の送信毎に変化しないことができる。受信側無線通信装置は、動き探査信号202の各送信に基づいて受信信号を処理し、動きデータ206の変化について分析することができる。例えば、動きデータ206の変化は、動き探査信号202の無線送信によってアクセスされた空間内の物体の動きを示すことができる。この場合、動きデータ206を処理して、例えば検出された動きに対する応答を生成することができる。
【0030】
図3A及び図3Bは、無線通信装置304A、304B、304C間で通信される無線信号例を示す図である。無線通信装置304A、304B、304Cは、例えば図1に示す無線通信装置102A、102B、102C、又は他のタイプの無線通信装置とすることができる。無線通信装置例304A、304B、304Cは、空間300を通じて無線信号を送信する。空間例300は、空間の1又は2以上の境界が完全に又は部分的に取り囲まれたものとすることも、或いは開放されたものとすることもできる。空間300は、部屋、複数の部屋、建物、屋内領域又は屋外領域などの内部とすることができ、又はこれらを含むことができる。図示の例では、第1の壁302A、第2の壁302B及び第3の壁302Cが、空間300を少なくとも部分的に取り囲む。
【0031】
図3A及び図3Bに示す例では、第1の無線通信装置304Aが、無線信号を(例えば、周期的に、断続的に、計画的に、非計画的に、又は不定期に、など)繰り返し送信する。送信信号は、図2の動き探査信号202のように、又は別様にフォーマットすることができる。第2及び第3の無線通信装置304B、304Cは、無線通信装置304Aによって送信されたこれらの信号に基づく信号を受信する。無線通信装置304B、304Cの各々は、受信信号を処理して空間300内の物体の動きを検出するように構成されたモデム(例えば、図1に示すモデム112)を有する。
【0032】
図示のように、図3Aでは物体が第1の位置314Aに存在し、図3Bでは物体が第2の位置314Bに移動している。図3A及び図3Bでは、空間300内の移動物体を人間として示しているが、移動物体は別のタイプの物体とすることもできる。例えば、移動物体は、動物、無生物(例えば、システム、デバイス、装置又はアセンブリ)、空間300の境界の全部又は一部を定める物体(例えば、壁、ドア、 窓など)、又は別のタイプの物体とすることができる。
【0033】
図3A及び図3Bには、第1の無線通信装置304Aから送信された無線信号の複数の経路例を破線で示す。第1の信号経路316に沿った無線信号は、第1の無線通信装置304Aから送信され、第1の壁302Aから第2の無線通信装置304Bに向かって反射する。第2の信号経路318に沿った無線信号は、第1の無線通信装置304Aから送信され、第2の壁302B及び第1の壁302Aから第3の無線通信装置304Cに向かって反射する。第3の信号経路320に沿った無線信号は、第1の無線通信装置304Aから送信され、第2の壁302Bから第3の無線通信装置304Cに向って反射する。第4の信号経路320に沿った無線信号は、第1の無線通信装置304Aから送信され、第3の壁302Cから第2の無線通信装置304Bに向かって反射する。
【0034】
図3Aでは、第5の信号経路324Aに沿った無線信号が第1の無線通信装置304Aから送信され、第1の位置314Aの物体から第3の無線通信装置304Cに向かって反射する。物体の表面は、図3A図3Bとの間で空間300内の第1の位置314Aから(例えば、第1の位置314Aから一定距離だけ離れた)第2の位置314Bに移動している。図3Bでは、第6の信号経路324Bに沿った無線信号が第1の無線通信装置304Aから送信され、第2の位置314Bの物体から第3の無線通信装置304Cに向かって反射する。図3Bに示す第6の信号経路324Bは、物体が第1の位置314Aから第2の位置314Bに移動したことによって図3Aに示す第5の信号経路324Aよりも長い。いくつかの例では、空間内の物体の動きに起因して、信号経路を追加、削除又は別様に修正することもできる。
【0035】
図3A及び図3Bに示す無線信号例は、それぞれの経路を通じて減衰、周波数シフト、位相シフト又はその他の影響を受け、例えば壁302A、302B及び302Cを通じて別の方向に伝播する部分を有することができる。いくつかの例では、無線信号が無線周波数(RF)信号である。無線信号は、他のタイプの信号を含むこともできる。
【0036】
図3A及び図3Bに示す例では、第1の無線通信装置304Aが、無線信号を繰り返し送信することができる。具体的に言えば、図3Aには、第1の時点に第1の無線通信装置304Aから送信された無線信号を示しており、図3Bには、その後の第2の時点に第1の無線通信装置304Aから送信された同じ無線信号を示す。送信信号は、連続的に、周期的に、不定期に、又は断続的に、或いはこれらの組み合わせなどで送信することができる。送信信号は、1つの周波数帯域幅内に複数の周波数成分を有することができる。送信信号は、第1の無線通信装置304Aから全方向的に、指向的に、又は別様に送信することができる。図示の例では、無線信号が空間300内の複数のそれぞれの経路をたどり、各経路に沿った信号が経路損失、散乱又は反射などによって減衰し、位相又は周波数オフセットを有することができる。
【0037】
図3A及び図3Bに示すように、様々な経路316、318、320、322、324A及び324Bからの信号は、第3の無線通信装置304C及び第2の無線通信装置304Bにおいて組み合わさって受信信号を形成する。空間300内の複数の経路が送信信号に影響するため、空間300は、送信信号が入力されて受信信号が出力される伝達関数(例えば、フィルタ)として表すことができる。空間300内で物体が動くと、信号経路内の信号に影響を与えていた減衰又は位相オフセットが変化し、従って空間300の伝達関数が変化することができる。第1の無線通信装置304Aから同じ無線信号が送信されると仮定すると、空間300の伝達関数が変化すれば、この伝達関数の出力、すなわち受信信号も変化する。この受信信号の変化を使用して物体の動きを検出することができる。
【0038】
数学的に言えば、第1の無線通信装置304Aから送信される送信信号f(t)は以下の式(1)に従って表すことができ、
【数1】
ここでのωnは、送信信号のn番目の周波数成分の周波数を表し、Cnは、n番目の周波数成分の複素係数を表し、tは時間を表す。送信信号f(t)が第1の無線通信装置304Aから送信されている場合、経路kからの出力信号rk(t)は以下の式(2)に従って表すことができ、
【数2】
ここでのαn,kは、経路kに沿ったn番目の周波数成分の減衰係数(例えば、散乱、反射及び経路損失などに起因するチャネル応答)を表し、φn,kは、経路kに沿ったn番目の周波数成分の信号の位相を表す。この時、無線通信装置における受信信号Rは、無線通信装置への全ての経路からの全ての出力信号rk(t)の総和として以下の式(3)に示すように表すことができる。
【数3】
式(2)を式(3)に代入すると、以下の式(4)が得られる。
【数4】
【0039】
次に、無線通信装置における受信信号Rを解析することができる。無線通信装置における受信信号Rは、例えば高速フーリエ変換(FFT)又は別のタイプのアルゴリズムを使用して周波数領域に変換することができる。この変換信号は、(n個の周波数ωnにおける)それぞれの周波数成分の各々に1つの値が対応する一連のn個の複素値としての受信信号Rを表すことができる。周波数ωnにおける周波数成分については、複素値Hnを以下の式(5)のように表すことができる。
【数5】
【0040】
所与の周波数成分ωnの複素値Hnは、その周波数成分ωnにおける受信信号の相対的大きさ及び位相オフセットを示す。物体が空間内で移動すると、空間変化のチャネル応答αn,kに起因して複素数値Hnが変化する。従って、検出されたチャネル応答の変化は、通信チャネル内における物体の動きを表すことができる。いくつかの例では、ノイズ、干渉又はその他の現象が受信機によって検出されたチャネル応答に影響を及ぼす恐れがあり、動き検出システムは、このような影響を低減又は分離して動き検出能力の精度及び品質を改善することができる。いくつかの実装では、全体的なチャネル応答を以下のように表すことができる。
【数6】
【0041】
いくつかの例では、例えば数学的推定論に基づいて空間のチャネル応答hchを決定することができる。例えば、候補チャネル応答(hch)を使用して基準信号Refを修正し、その後に最尤法を使用して、受信信号(Rcvd)に最も適合する候補チャネルを選択することができる。いくつかの例では、基準信号(Ref)と候補チャネル応答(hch)との畳み込みから推定受信信号
【数7】
を取得し、その後に推定受信信号
【数8】
の二乗誤差を最小化するようにチャネル応答(hch)のチャネル係数を変更する。このことは、以下のように数学的に示すことができ、
【数9】
最適化基準は以下のようになる。
【数10】
この最小化又は最適化プロセスは、最小平均二乗法(LMS)、反復最小二乗法(RLS)、バッチ最小二乗法(BLS)などの適応的フィルタリング法を利用することができる。チャネル応答は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、又は無限インパルス応答(IIR)フィルタなどとすることができる。
【0042】
上記の式に示すように、受信信号は、基準信号とチャネル応答との畳み込みとみなすことができる。畳み込み演算は、チャネル係数が基準信号の各遅延レプリカ(delayed replicas)との間に一定程度の相関性を有することを意味する。従って、上記の式に示すような畳み込み演算は、異なる遅延点に受信信号が現れ、各遅延レプリカがチャネル係数によって重み付けされることを示す。
【0043】
いくつかの態様では、チャネル応答に基づいて、受信信号の信号品質メトリックを決定することができる。例えば、決定された空間のチャネル応答(hch)を基準信号(Ref)に適用して、チャネル応答に基づいて(例えば、上述したような基準信号(Ref)のチャネル応答(hch)との畳み込みに基づいて)受信信号がどうなるはずであるかについての推定である推定受信信号
【数11】
を得ることができる。推定受信信号
【数12】
と実際の受信信号(Rcvd)とを使用して、信号品質メトリックを計算することができる。例えば、いくつかの例では、信号品質メトリックが、実際の受信信号(Rcvd)と、推定受信信号
【数13】
と実際の受信信号(Rcvd)の差分とのドット積を計算することによって求められる値Qに基づき(例えば、値Qに等しく設定され、値Qから計算され、値Qを表し、など)、例えば以下のようになる。
【数14】
【0044】
いくつかの例では、無線通信装置が受信信号を「拒絶」することができる。例えば、いくつかの実装では、動き検出プロセスが、信号の品質基準を含むことができる。品質基準を満たさない受信信号は拒絶(例えば、破棄又は無視)することができ、空間300内で動きが発生したかどうかの判断において考慮しないことができる。信号は、信号品質メトリック(例えば、式(9)によって示される値Q)に基づいて、動き検出プロセスへの入力として容認又は拒絶することができる。例えば、いくつかの例では、特定の閾値を上回る値Qを有する受信信号の一部のみを使用して動きが検出される。
【0045】
図4は、動き検出バッファ404及び干渉バッファ402を含む動き検出システム例400を示す図である。いくつかの実装では、システム400が無線通信装置(例えば、図3A及び図3Bに示す無線通信装置304C)に含まれて、別の無線通信装置(例えば、無線通信装置304A)によって送信された無線信号に基づく無線信号を受け取ることができる。いくつかの例では、システム400が、動き検出信号412に対して時間整合プロセスを実行する。例えば、いくつかの実装では、システム400が、動き検出信号412を干渉バッファ402及び動き検出バッファ404に提供して信号を時間整合させ、干渉バッファ402内で信号に干渉フィルタ406が適用されたこと基づいて、動き検出バッファ404内の信号を動き検出プロセッサ408に提供して分析する。システム400が受け取る動き検出信号412は、空間(例えば、図3A図3Bに示す空間300)を通じて送信された動き探査信号(例えば、図2に示す動き探査信号202)に基づくことができる。例えば、各動き検出信号412は、空間を通じて送信されたそれぞれの動き探査信号に基づくことができる。上述したように、動き検出信号412は、チャネル応答に基づいて動き探査信号とは異なる場合もある。動き検出信号412は、無線通信装置のモデム(例えば、図1のモデム112)から取得することができる。
【0046】
図示の例では、動き検出信号412が信号品質フィルタ410に入力される。信号品質フィルタ410は、1又は2以上の品質基準に基づいて動き検出信号412を分析する。例えば、信号品質フィルタ410は、各動き検出信号412の信号品質メトリック値(例えば、上記の式(9)に示される値Q)を決定し、この信号品質メトリック値を品質基準と比較することができる。信号品質フィルタ410は、品質基準との比較に基づいて、動き検出信号412を容認又は拒絶する。例えば、信号品質フィルタ410は、比較結果によって動き検出信号の信号品質メトリック値Qが品質基準を満たさないことが示された場合、例えばQ値が信号品質メトリック閾値未満である場合などに、動き検出信号412を拒絶することができる。信号品質フィルタ410は、比較結果によってサンプルのQ値が品質基準を満たすことが示された場合、例えばQ値が信号品質メトリック閾値を上回る場合などに、動き検出信号412を容認することができる。容認された場合には、動き検出バッファ404及び干渉バッファ402の両方に動き検出信号412が入力される。いくつかの実装では、システム400が信号品質フィルタ410を含まない。
【0047】
図示の例では、干渉バッファ402がN個のデータブロックを含み、動き検出バッファ404がN+M-1個のデータブロックを含み、この場合M<Nである。干渉バッファ402及び動き検出バッファ404の各データブロックは、動き検出信号412を記憶することができる。バッファ402、404は、先入れ/先出し方式で満たされる。例えば、最初に受け取られた動き検出信号412は、第2の動き検出信号412が受け取られるまで干渉バッファ402の第1のデータブロックに記憶され、第2の動き検出信号412が受け取られた時点で干渉バッファ402の第2のデータブロックに記憶されるとともに、第2の動き検出信号412が第1のデータブロックに記憶され、以下、最初に受け取られた動き検出信号412が干渉バッファ402の第Nのデータブロックに記憶されるまで同様である。
【0048】
干渉バッファ402が一杯になると、干渉フィルタ406は、動き検出信号412の無線干渉レベルを決定する。例えば、干渉フィルタは、干渉バッファ402に記憶されたN個の動き検出信号に干渉フィルタ関数f(x)を適用することができる。いくつかの実装では、干渉フィルタ406が、干渉バッファ402が一杯であるとの判定に応答して、干渉バッファ402内のN個の動き検出信号の組にアクセスする。干渉フィルタ406によって決定された無線干渉メトリックは、検出において使用されたN個の動き検出信号の各々に対応して記憶することができる。干渉フィルタ406によって決定された無線干渉レベルは、動き検出信号412が受け取られた期間に対応する無線干渉レベルを表す。例えば、干渉フィルタ406は、第1のN個の入力信号の組に干渉フィルタ関数f(x)を適用することによって期間(t1-tN)にわたって干渉バッファ402にロードされた第1のN個の入力信号の組に対応する第1の無線干渉メトリックと、第2のN個の入力信号の組に干渉フィルタ関数f(x)を適用することによって期間(tN+1-t2N)にわたって干渉バッファ402にロードされた第2のN個の入力信号の組に対応する第2の無線干渉メトリックとを決定することができる。
【0049】
次に、干渉フィルタ406は、無線干渉レベルを閾値と比較する(例えば、干渉メトリックを干渉閾値と比較する)。無線干渉メトリックが干渉閾値以上である場合、システム400は、動き検出プロセッサ408が動き検出バッファ404内の信号に対して動き検出プロセスを実行するのを防ぐ。すなわち、干渉フィルタ406は、干渉バッファ402内のN個の動き検出信号に対応する動き検出バッファ404内のN個の動き検出信号のいずれかに動き検出プロセッサ408が動き検出プロセスを適用することを阻止する。実行を阻止することにより、干渉フィルタ406は、動き検出プロセッサ408がノイズの多い信号(すなわち、容認し難いほど高い無線干渉レベルを有する信号)に対して動き検出プロセスを実行しないことを保証する。一方で、無線干渉メトリックが干渉閾値未満である場合、干渉フィルタ406は、動き検出バッファ404内の対応するN個の動き検出信号に対する動き検出プロセスの実行を可能にする。いくつかの例では、N個の信号に対して干渉フィルタ406が実行された後に干渉バッファ402をクリアし、第2の動き検出信号412の組を干渉バッファ402にロードすることができる。干渉フィルタ406は、干渉バッファ402が一杯であることを検出し、無線干渉レベルを決定し、動き検出プロセッサ408が新たなN個の動き検出信号の組に対して動き検出プロセスを実行するのを許可/阻止するプロセスを繰り返すことができる。
【0050】
いくつかの例では、干渉フィルタ406が、(i)動き検出バッファ404に記憶されたN+M-1個の動き検出信号のサブセット(例えば、M個の信号)に対して動き検出プロセッサ408が動き検出プロセスを実行できるようにすること、或いは(ii)動き検出プロセッサ408がサブセットMに対して動き検出プロセスを実行するのを阻止すること、を選択的に行うことによる干渉ゲート(例えば、論理ゲート;ANDゲート)の機能を含み、又は実行することができる。いくつかの例では、干渉フィルタ406が過去のN個の瞬間を集合として評価した後で、動き検出プロセッサ408がN個の瞬間のサブセットMを使用して動き検出プロセスを実行する。
【0051】
図5A図5E(まとめて図5として示す)は、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504にロードを行うプロセス例を示す図である。このプロセス例は、第1の時点(t=1)から開始し、第1の期間の最後(t=N)を経由して第2の期間の最後(t=2N)を経由する。図5の干渉バッファ502は、図4に示す干渉バッファ402と同一又は同様とすることができ、図5の動き検出バッファ504は、図4に示す動き検出バッファ404と同一又は同様とすることができる。干渉バッファ例502は、例えば図4の動き検出信号412などのN個の動き検出信号をそれぞれ記憶するように構成されたN個のデータブロックを含む。動き検出バッファ504は、例えば図4の動き検出信号412などのN+M-1個の動き検出信号をそれぞれ記憶するように構成されたN+M-1個のデータブロックを含む。図示の例では、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504へのロードが先入れ/先出し方式で行われる。
【0052】
図5Aは、1つの時点(t=1)における干渉バッファ502及び動き検出バッファ504を示す図である。t=1において、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第1のデータブロック505及び508に、i=1のインデックスを有するサンプルS(i)として表される入力信号がそれぞれロードされる。干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の残りのデータブロックは空である。図示の例では、第1のデータブロック505及び508が1のインデックスを有する。
【0053】
図5Bは、干渉バッファ502が第1の入力信号の組で一杯になった第Nの時点(t=N)における干渉バッファ502及び動き検出バッファ504を示す図である。この例では、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第1のデータブロック505及び508に、最新の入力信号、すなわち第Nの入力信号S(N)がそれぞれロードされている。干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第Nのデータブロック516及び518には、第1の入力信号S(1)がそれぞれロードされている。図示の例では、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第2のデータブロック510及び512がそれぞれ2のインデックスを有し、干渉バッファ502の最後から2番目のデータブロック514がN-1のインデックスを有し、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第Nのデータブロック516及び518がそれぞれNのインデックスを有し、動き検出バッファ504の最後のデータブロック520がN+M-1のインデックスを有する。図示の例では、干渉バッファ502のN個のデータブロックが一杯であり、動き検出バッファ504の第1~第Nのデータブロックに、干渉バッファ502のN個のデータブロックと完全に等しくロードが行われている(信号S(1)~S(N)がロードされている)。動き検出バッファ504の残りのデータブロックは空である。
【0054】
例えば図4の動き検出プロセッサ408などの動き検出プロセッサは、動き検出バッファ504のM個のデータブロックのサブセット506にアクセスすることができる。動き検出プロセッサは、関心データブロックにサンプルがロードされていることを検出することにより、M個のデータブロックのサブセット506が一杯であると判定することができる。一例として、関心データブロックは、動き検出バッファ504の最後のデータブロック520とすることができる。図示の例では、動き検出バッファ504の第Nのデータブロック518が、動き検出バッファ504内のM個のデータブロックのサブセット506の最初のデータブロックである。
【0055】
干渉バッファ502が一杯になった後(t=Nとt=N+1との間)に、一杯の干渉バッファ502内のN個の信号の組{S(N)、S(N-1)、…、S(2)、S(1)}に干渉フィルタ関数f(x)が適用される。(後述する)干渉ゲートは、干渉フィルタ関数の結果をその出力として保持し、動き検出バッファ504のM個のデータブロック506に対して動き検出プロセスを実行するか否かを制御することができる。干渉バッファ502は、干渉フィルタ関数が実行された後にクリアされる。
【0056】
図5Cは、動き検出バッファ504が第1の入力信号の組で満たされた後の第N+1の時点(t=N+1)における干渉バッファ502及び動き検出バッファ504を示す図である。この例では、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第1のデータブロック505及び508に、最新の入力信号、すなわち第N+1の入力信号S(N+1)がそれぞれロードされている。動き検出バッファ504のデータブロックの残りは空である。動き検出バッファ504は、干渉バッファ502がクリアされてリロードされた後も先入れ/先出し方式で満たされ続ける。第N+1の時点(t=N+1)において、インデックスi=2…N+1を有する動き検出バッファ504のN個のデータブロックに第1の入力信号の組{S(N)、S(N-1)、…、S(2)、S(1)}がロードされる。すなわち、M個のデータブロックのサブセット506内の第2のデータブロック522に第1の入力信号S(1)がロードされ、M個のデータブロックのサブセット506の第1のデータブロック(すなわち、第Nのデータブロック518)に第2の入力信号S(2)がロードされる。動き検出バッファ504の残りのデータブロックは空である。
【0057】
図5Dは、動き検出バッファ504が一杯になった第N+M-1の時点(t=N+M-1)における干渉バッファ502及び動き検出バッファ504を示す図である。この例では、干渉バッファ502に第2のN個の動き検出信号の組がロードされ、動き検出バッファ504が一杯であり、(例えば、上述したように、第1のN個の信号の組の干渉レベルが閾値未満であるとの判定に応答して)動き検出バッファ504のM個のデータブロックのサブセット506にロードされたM個のサンプルの組{S(M)、S(M-1)、…、S(2)、S(1)}に対して動き検出プロセスを実行することができる。すなわち、M個のデータブロックのサブセット506が一杯である場合、動き検出プロセッサは、干渉関数フィルタ(例えば、図4の干渉フィルタ406内の干渉ゲート)の出力に基づいて、サブセット506に対して動き検出プロセスを実行して(又は実行を阻止されて)、空間(例えば、図3A及び図3Bの空間300)内で発生した動きを検出する。動き検出システムは、(i)干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第1のデータブロック505及び508に最新の入力信号を先入れ/先出し方式でそれぞれロードし、(ii)干渉関数フィルタ(例えば、干渉ゲート)の出力に基づいて、M個のデータブロックのサブセット506にロードされたM個のサンプルの組に対して動き検出プロセスを実行する(又はその実行を阻止する)、というサイクルを継続する。
【0058】
図5Eは、干渉バッファ502が第2の信号の組{S(2N)、S(2N-1)、…、S(N+2)、S(N+1)}で満たされて動き検出バッファ504が第1及び第2の信号の組からの信号で満たされた第2Nの時点(t=2N)における干渉バッファ502及び動き検出バッファ504を示す図である。この例では、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第1のデータブロック505及び508に、最新の入力信号、すなわち第2Nの入力信号S(2N)がそれぞれロードされている。干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の第Nのデータブロック516及び518には、第N+1の入力信号S(N+1)がそれぞれロードされている。動き検出バッファ504の第1~第Nのデータブロックには、干渉バッファ502内のN個のデータブロックと完全に等しくロードが行われており、すなわちサンプルS(2N)~S(N+1)がロードされている。動き検出バッファ504の残りのデータブロックは一杯であり、すなわち第2の入力信号の組からのサンプル{S(N+1)、S(N)、…、S(N-M+3)、S(N-M+2)}で満たされている。上述したように、一杯の干渉バッファ502内の第2のN個のサンプルの組{S(2N)、S(2N-1)、…、S(N+2)、S(N+1)}に干渉フィルタ関数f(x)が適用され、干渉フィルタ関数の結果に基づいて、干渉ゲートが動き検出バッファ504内のM個のデータブロックのサブセット506に対して動き検出プロセスを実行するか否かを制御する。
【0059】
図5A図5Eには、最初の時点(t=1)から第1の期間の最後(t=N)を経由して第2の期間の最後(t=2N)を経由する干渉バッファ502及び動き検出バッファ504へのロードの一例を示しているが、図5には様々な変更を加えることもできる。例えば、干渉バッファのN個のデータブロックは、図6A図6Hの干渉バッファ602に示すようにi=0からi=N-1までのインデックスを有することができ、この場合N=32及びM=41である。別の例として、動き検出バッファのN+M-1個のデータブロックは、図6A図6Hの動き検出バッファ604に示すようにインデックスi=1~i=40を有することができる。別の例として、干渉バッファ及び動き検出バッファにロードされる入力信号を、時間インデックスに対応するサンプルによって表すこともできる。図6A図6Hを参照すると、最初に受け取られた入力信号は、時間インデックスt0で表すことができ、第2の入力信号は、時間インデックスt1で表すことができ、第Nの入力信号は、第Nの時点t31に対応するサンプルとして表すことができ、第2のN個の入力信号の組の最初の入力信号は、第N+1の時間インデックスt32に対応するサンプルとして表すことができ、第2Nの入力信号は、第2Nの時点t63に対応するサンプルとして表すことができる。さらなる例として、動き検出バッファ内のM個のデータブロックのサブセットは、インデックスi=31を有する第Nのデータブロック618、及びインデックスi=N+M-1=40を有する動き検出バッファ604の最後のデータブロック620を含むサブセット606とすることができる。
【0060】
図6A図6Hは、干渉バッファ602及び動き検出バッファ604へのロードを行う別のプロセス例を示す図である。具体的に言えば、図6A図6B図6C図6D図6E図6F図6G及び図6Hは、それぞれ時点T=0、T=31=N-1、T=40=N+M-1、T=41=M+N、T=42=M+N+1、T=43=M+N+2、T=62=2N-2、及びT=63=2N-1おける干渉バッファ602及び動き検出バッファ604を示す図である。図示の例では、干渉バッファ602及び動き検出バッファ604に、図5の干渉バッファ502及び動き検出バッファ504に関する上記の説明と同じ形で動き検出信号がロードされる。
【0061】
図7A図7Cは、時間動き検出信号を時間整合させるプロセス例700を示すフロー図である。いくつかの例では、プロセス700を、選択的な無線通信チャネル上で送信された信号に基づいて空間内の物体の動きを検出するように実装することができる。プロセス例700の動作は、データ処理装置(例えば、図1の無線通信装置例102Cのプロセッサ114)が実行して、無線通信装置において受け取られた信号に基づいて動きを検出することができる。プロセス例700は、別のタイプの装置が実行することもできる。例えば、プロセス700の動作は、信号を受け取る無線通信装置102C以外のシステム(例えば、無線通信装置102Cが受け取った信号を集約して分析する、図1の無線通信システム100に接続されたコンピュータシステム)が実行することもできる。
【0062】
プロセス例700は、さらなる又は異なる動作を含むこともでき、これらの動作は、図示の順序又は別の順序で実行することができる。いくつかの例では、図7A図7Cに示す動作のうちの1つ又は2つ以上が、複数の動作、サブプロセス又は他のタイプのルーチンを含むプロセスとして実装される。いくつかの例では、動作を組み合わせ、別の順序で実行し、並行して実行し、反復し、或いは別様に繰り返し、又は別の態様で実行することもできる。
【0063】
702において、N個の動き検出信号の組を取得する。動き検出信号は、無線通信装置において受け取られた無線信号の周波数領域表現、又は空間に関連付けられたチャネル応答を含むことができる。受け取られる無線信号は、第1の期間中に空間を通じて送信された無線信号に基づくことができる。例えば、図3A図3Bを参照すると、702において取得される動き検出信号は、無線通信装置304Aによって空間300を通じて送信された無線信号に基づいて無線通信装置304B、304Cの一方において決定されるチャネル応答とすることができる。上述したように、これらのN個の動き検出信号の組は、動き検出信号を先入れ/先出し方式で干渉バッファ(及び動き検出バッファ)にロードすることによって取得することができる。
【0064】
いくつかの実装では、N個の動き検出信号の組が品質検証される。例えば、図7Bに示す例では、702において、入力信号(例えば、動き検出信号412)を受け取ることによってN個の動き検出信号の組を取得し、708において、信号の信号品質メトリック値(例えば、式(9)において上述した値Q)を決定する。710において、信号品質メトリック値を品質基準(例えば、信号品質メトリック閾値)と比較し、入力信号のQ値が品質基準を満たしていないことが比較結果によって示された場合には、712において動き検出信号を拒絶し、或いは714において動き検出信号を容認して干渉バッファ及び動き検出バッファの両方にロードする。
【0065】
704において、702で取得された動き検出信号の組の干渉レベルを決定する。干渉レベルが比較的低い(例えば、空間内の干渉が動き検出プロセスに影響を与える可能性が低いことを示す)場合、706において動き検出プロセスを実行して、N個の動き検出信号の組のサブセットに基づいて空間内の物体の動きを検出する。干渉レベルが比較的高い場合には、第1のN個の動き検出信号の組を破棄又は無視し、702において、第2のN個の動き検出信号の組を取得する。
【0066】
いくつかの実装では、N個の動き検出信号の組の無線干渉メトリックを使用して干渉レベルを決定することができる。例えば、図7Cに示す例では、702で取得された動き検出信号の干渉レベルの決定が、722において、702で取得されたN個の動き検出信号の組に基づいて無線干渉メトリックを決定し、724において、決定された無線干渉メトリックを干渉閾値と比較することによって行われる。干渉閾値は、動き検出プロセスに影響を与える(例えば、誤差をもたらす)恐れがある、干渉信号に見られる変動の大きさに基づくことができる。722において、N個の動き検出信号の組に基づいて無線干渉メトリックを決定する。例えば、図4に示す例を参照すると、干渉フィルタ406は、干渉バッファ402に記憶されたN個の動き検出信号の組416に干渉フィルタ関数f(x)を適用することによって、N個の動き検出信号の組416にわたるチャネル応答の変動を分析することができる。干渉フィルタ関数f(x)がN個の動き検出信号を評価することを考えると、無線干渉メトリックは、N個の動き検出信号の組が干渉バッファ402にロードされた後に決定される。
【0067】
724において、無線干渉メトリックを干渉閾値と比較する。無線干渉メトリックが干渉閾値以上である場合、726においてN個の動き検出信号の組に対する動き検出プロセスの実行が阻止される。無線干渉メトリックが干渉閾値未満である場合、728においてN個の動き検出信号の組に対して動き検出プロセスが実行される。例えば、図4に示す例を参照すると、干渉フィルタ406は、動き検出プロセッサ408がN個の動き検出の組に対して動き検出プロセスを実行するか、或いはその実行が妨げられる(又は別様に防がれる)ようにするかを制御する出力を動き検出プロセッサ408に提供する干渉ゲートを含む。いくつかの例では、722における決定後に、N個の動き検出信号の組が干渉バッファから削除される。
【0068】
706において、N個の動き検出信号のサブセットMを使用して動き検出プロセスを実行する。いくつかの例では、(例えば、図5図6に関して上述したように)第1の期間からのN個の動き検出信号のサブセットMに対して動き検出プロセスを実行している間に、第2の期間にわたって新たなN個の動き検出信号の組を取得する。第2のN個の動き検出信号の組は、702における方法と同じ方法で取得することができる。いくつかの例では、動き検出バッファがN個を上回るデータブロックを含み、新たなN個の動き検出信号の組を取得するステップが、第1のN個の動き検出信号の組の一部を記憶すると同時に動き検出バッファを新たなN個の動き検出信号の組で満たすステップを含む。例えば図5C及び図5Eに示す例を参照すると、動き検出バッファ504のサブセット506内のM個の信号に基づいて動きを検出すると同時に、干渉バッファ502及び動き検出バッファ504の両方に第2の動き検出信号の組{S(2N)、S(2N-1)、…、S(N+1)}をロードする。
【0069】
いくつかの実装では、706における動き検出プロセスが、動き検出信号サブセットのチャネル応答変動のタイプに関する情報(例えば、複素周波数成分)を以前に取得されたチャネル応答に関する情報と比較して、動き検出信号サブセットのチャネル応答変動のタイプが空間内の物体の動きを示すかどうかを判定する。例えば、動き検出プロセスは、702において取得された動き検出信号のチャネル応答の1又は2以上の統計パラメータ(例えば、チャネル応答の周波数成分の統計パラメータ)を分析して、空間内で物体が移動しているかどうかを判定することができる。いくつかの実装では、706における動き検出プロセスが、受け取られた無線信号自体の統計パラメータを分析することができる。
【0070】
本明細書で説明した主題及び動作の一部は、本明細書で開示した構造及びこれらの構造的同等物、或いはこれらの1又は2以上の組み合わせを含め、デジタル電子回路で実装することも、或いはコンピュータソフトウェア、ファームウェア又はハードウェアで実装することもできる。本明細書で説明した主題及び動作の一部は、1又は2以上のコンピュータプログラムとして、すなわちデータ処理装置によって実行される、又はデータ処理装置の動作を制御する、コンピュータ可読記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1又は2以上のモジュールとして実装することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダム又はシリアルアクセスメモリアレイ又はデバイス、或いはこれらのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせとすることができ、又はこれらに含めることができる。さらに、コンピュータ可読記憶媒体は伝搬信号ではなく、人工的に生成された伝搬信号の形で符号化されたコンピュータプログラム命令の発信元又は宛先とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、1又は2以上の別個の物理的コンポーネント又は媒体(例えば、複数のCD、ディスク又はその他の記憶装置)とすることができ、或いはこれらに含めることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、複数のコンピュータ可読記憶装置を含むことができる。コンピュータ可読記憶装置は、同一場所に配置されたもの(単一の記憶装置に命令が記憶されたもの)とすることも、或いは異なる場所に配置されたもの(例えば、分散位置に命令が記憶されたもの)とすることもできる。
【0071】
本明細書で説明した動作の一部は、メモリ(例えば1又は2以上のコンピュータ可読記憶装置)に記憶された、又は他のソースから受け取られたデータに対してデータ処理装置が実行する動作として実装することができる。「データ処理装置」という用語は、データを処理する全ての種類の装置、デバイス及び機械を含み、一例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、又は複数のシステムオンチップ、又はこれらの組み合わせを含む。この装置は、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路を含むこともできる。この装置は、ハードウェアに加えて、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、又はこれらのうちの1つ又は2つ以上の組み合わせを構成するコードなどの、対象とするコンピュータプログラムの実行環境を形成するコードを含むこともできる。いくつかの例では、データ処理装置がプロセッサの組を含む。プロセッサの組は、同一場所に配置されたもの(同じコンピュータ装置内の複数プロセッサ)とすることも、或いは互いに異なる場所に配置されたもの(例えば、分散コンピュータ装置内の複数プロセッサ)とすることもできる。データ処理装置によって実行されるデータを記憶するメモリは、データ処理装置と同一場所に配置する(例えば、コンピュータ装置のメモリに記憶された命令を同じコンピュータ装置が実行する)ことも、或いはデータ処理装置とは異なる場所に配置する(例えば、サーバ装置に記憶された命令をクライアント装置が実行する)こともできる。
【0072】
(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト又はコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語、宣言型言語又は手続き型言語を含むあらゆる形のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラム、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、又はコンピュータ環境で使用するのに適した他のユニットとしての形を含むあらゆる形で展開することができる。コンピュータプログラムは、必須ではないが、ファイルシステム内のファイルに対応することができる。プログラムは、プログラム専用の単一のファイル内の、又は複数の連動するファイル(例えば、1又は2以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を記憶するファイル)内の、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語リソースに記憶された1又は2以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開することも、或いは1つのサイトに位置する、又は複数のサイトに分散して通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することもできる。
【0073】
本明細書で説明したプロセス及びロジックフローの一部は、1又は2以上のコンピュータプログラムを実行する1又は2以上のプログラマブルプロセッサにより、入力データに作用して出力を生成することによって動作を行うように実行することができる。プロセス及びロジックフローは、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用論理回路によって実行することもでき、また装置をこのような専用論理回路として実装することもできる。
【0074】
コンピュータプログラムを実行するのに適したプロセッサとしては、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びにあらゆる種類のデジタルコンピュータのプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、リードオンリメモリ又はランダムアクセスメモリ、或いはこれらの両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの要素は、命令に従って動作を実行するプロセッサと、命令及びデータを記憶する1又は2以上のメモリデバイスとを含むことができる。コンピュータは、例えば非磁気ドライブ(例えば、半導体ドライブ)、磁気ディスク、光磁気ディスク、光学ディスクなどの、データを記憶する1又は2以上の大容量記憶装置を含むこともでき、或いはこのような記憶装置との間でのデータの受け取り及びデータの転送、又はこれらの両方を行うように動作可能に結合することもできる。しかしながら、コンピュータは、このような装置を有していなくてもよい。さらに、コンピュータは、例えば電話機、タブレットコンピュータ、電子機器、モバイルオーディオプレーヤ又はビデオプレーヤ、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機、モノのインターネット(IoT)装置、機械間(M2M)センサ又はアクチュエータ、又はポータブル記憶装置(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)などの別の装置に組み込むこともできる。コンピュータプログラム命令及びデータの記憶に適した装置としては、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスクなど)、磁気光学ディスク、並びにCD ROM及びDVD-ROMディスクを含む全ての形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスが挙げられる。いくつかの例では、プロセッサ及びメモリを専用論理回路によって補完することも、又は専用論理回路に組み込むこともできる。
【0075】
動作は、ユーザとの相互作用をもたらすために、ディスプレイ装置(例えば、モニタ、又は別のタイプのディスプレイ装置)と、ユーザがコンピュータに入力を提供できるようにするキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、タブレット、タッチセンサ式画面、又は別のタイプのポインティングデバイス)とを有するコンピュータ上で実行することができる。他の種類の装置を使用してユーザとの相互作用をもたらすこともでき、例えばユーザに提供されるフィードバックは、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック又は触覚的フィードバックなどのあらゆる形の感覚的フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力又は触覚入力を含むあらゆる形で受け取ることができる。また、コンピュータは、例えばウェブブラウザから受け取られた要求に応答してユーザのクライアント装置上のウェブブラウザにウェブページを送信することなどの、ユーザが使用する装置との間で文書を送受信することによってユーザと相互作用することもできる。
【0076】
コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含むことも、或いは互いに近接して、又は一般的には離れて動作して、通常は通信ネットワークを通じて相互作用する複数のコンピュータを含むこともできる。通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、衛星リンクを含むネットワーク、及びピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作して互いにクライアント-サーバの関係を有するコンピュータプログラムによって生じることができる。
【0077】
説明した例の一部の一般的態様では、バッファを使用して動き検出信号を時間整合させる。
【0078】
第1の実施例では、動き検出法を提供する。この方法は、第1の入力信号の組を第1の期間にわたって干渉バッファにロードするステップを含む。第1の入力信号の組は、空間を通じて無線で送信された後に無線通信装置によって受信された第1の無線信号の組に基づく。方法は、第1の入力信号の組を使用して無線干渉メトリックを決定するステップを含む。方法は、1又は2以上のプロセッサの動作によって、無線干渉メトリックが閾値レベル未満であるとの判定に応答して、干渉バッファに第2の入力信号の組がロードされる第2の後続期間内に動き検出プロセスを実行するステップを含む。動き検出プロセスは、第1の入力信号の組のサブセットを使用して空間内の物体の動きを検出する。第2の入力信号の組は、空間を通じて無線で送信された後に無線通信装置によって受信された第2の無線信号の組に基づく。
【0079】
いくつかの例では、第1の実施例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。動き検出法では、第1の入力信号の組の複数のサブセットを使用して動き検出プロセスを繰り返し実行して空間内の物体の動きを検出する。動き検出法では、第1の入力信号の組をロードするステップが、無線信号の信号品質メトリックを閾値と比較するステップと、閾値を上回る信号品質メトリックを有する無線信号を拒絶するステップとを含む。
【0080】
第2の実施例では、無線干渉メトリックが第1の無線干渉メトリックを含む。動き検出法は、第2の入力信号の組を使用して第2の無線干渉メトリックを決定するステップと、第2の無線干渉メトリックが閾値を上回るとの判定に応答して、第2の入力信号の組に対する動き検出プロセスの実行を妨げるステップとをさらに含む。
【0081】
いくつかの例では、第2の実施例の実装が、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含む。第1の入力信号の組をロードするステップは、干渉バッファを満たすステップを含む。動き検出法は、第1の無線干渉メトリックが閾値未満であるとの判定に応答して、干渉バッファから入力信号を削除するステップと、干渉バッファを第2の入力信号の組で満たすステップとをさらに含む。動き検出法は、動き検出バッファを第1及び第2の入力信号の組からの入力信号で満たすステップをさらに含み、動き検出プロセスは、動き検出バッファの一部における入力信号に対して実行される。干渉バッファは、N個のデータブロックを含み、動き検出バッファは、N+M-1個のデータブロックを含む。
【0082】
いくつかの実装では、コンピュータ可読媒体が、データ処理装置によって実行された時に第1又は第2の実施例の1又は2以上の動作を実行する命令を記憶する。いくつかの実装では、システム(例えば、無線通信装置、コンピュータシステム、これらの組み合わせ、又は無線通信装置に通信可能に結合された他のタイプのシステム)が、1又は2以上のデータ処理装置と、データ処理装置によって実行された時に第1及び第2の実施例の1又は2以上の動作を実行する命令を記憶するメモリとを含む。
【0083】
本明細書は多くの詳細を含んでいるが、これらの詳細は、特許請求できる内容の範囲に対する限定ではなく、むしろ特定の例に固有の特徴の説明として解釈されたい。本明細書において別個の実装の文脈で説明したいくつかの特徴は、組み合わせることもできる。これとは逆に、単一の実装の文脈で説明した様々な特徴は、複数の実施形態において単独で実装することも、或いはあらゆる好適な部分的組み合わせで実装することもできる。
【0084】
複数の実施形態について説明した。それでもなお、様々な修正を行うことができると理解されるであろう。従って、以下の特許請求の範囲には、他の実施形態も含まれる。
【符号の説明】
【0085】
400:動き検出システム
402:干渉バッファ(N個の信号)
404:動き検出バッファ(N+M-1個の信号)
406:干渉フィルタ
408:動き検出プロセッサ(M個のサンプル)
410:信号品質フィルタ
412:動き検出信号
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C