IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マティサ マテリエル インダストリエル エス.エー.の特許一覧

<>
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図1
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図2
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図3
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図4
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図5
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図6
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図7
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図8
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図9
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図10
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図11
  • 特許-鉄道装置を固定するための装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】鉄道装置を固定するための装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/02 20060101AFI20230310BHJP
   B61D 3/16 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
E01B29/02
B61D3/16 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020559023
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019050884
(87)【国際公開番号】W WO2019138124
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】1850298
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520262249
【氏名又は名称】マティサ マテリエル インダストリエル エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エレンバーガー,マーク‐アンリ
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0340188(US,A1)
【文献】特開昭57-004454(JP,A)
【文献】特開昭60-156802(JP,A)
【文献】実開昭53-133311(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00-37/00
B61D 3/04
B61D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道装置(12)を固定するための固定装置(22)であって、前記固定装置(22)が、前記鉄道装置(12)用の支持プラットフォーム(24)と、前記鉄道装置(12)を前記支持プラットフォーム(24)に固定するための少なくとも1つの固定機構(30)とを備え、前記固定機構(30)がロック位置からロック解除位置へ、かつ前記ロック解除位置から前記ロック位置へ移動可能であり、前記固定機構(30)が、
・長手方向に延びる少なくとも1つの案内スライド(32)と
・前記鉄道装置(12)を前記支持プラットフォーム(24)に取り付けるための少なくとも1つの取り付け部材(34であって、前記取り付け部材(34)が前記案内スライド(32)に沿って移動可能である、取り付け部材(34)
を備える、固定装置(22)であり
前記固定機構(30)が、
・前記案内スライド(32)を支持する上部ビーム(27)と、
・前記支持プラットフォーム(24)に接続された下部ビーム(26)と、
も備え、
前記上部ビーム(27)および前記下部ビーム(26)は、前記上部ビーム(27)が前記下部ビーム(26)に対して前記案内スライド(32)の長手方向に垂直な方向に移動できるように構成された少なくとも1つの接続部材(31)によって接続されていること、および
前記固定機構(30)が前記少なくとも1つの接続部材(31)をロックするためのロック手段(52)を備え、前記ロック手段(52)は前記下部ビーム(26)に対する前記上部ビーム(27)の移動を防止するように構成されていること
を特徴とする、固定装置(22)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接続部材(31)が、前記上部ビーム(27)に接続された少なくとも1つの伝達ロッド(62)と、前記下部ビーム(26)に接続され、ねじおよびナットアセンブリ(64)またはシリンダによって制御される伝達レバー(60a)とを備える関節式平行四辺形を形成するアセンブリ(58)であり、それにより、前記上部ビーム(27)の動きは、前記ナット(67)内のねじ(65)の動き、または対応して、前記シリンダ本体内のシリンダロッドの動きに運動学的にリンクされる、請求項1に記載の固定装置(22)。
【請求項3】
前記接続部材(31)が、ねじおよびナットアセンブリ(52)であり、そのねじ(54)は前記下部ビーム(26)によって支えられ、そのナット(56)は前記上部ビーム(27)によって支えられ、それにより、前記上部ビーム(27)の動きは前記ねじ(54)に沿った前記ナット(56)の動きに運動学的にリンクされ、ロックは前記ねじおよびナットアセンブリ(52)の締め付けトルクによって確実になる、請求項1に記載の固定装置(22)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接続部材(31)がシリンダ(52)であり、その本体は前記下部ビーム(26)によって支えられ、そのロッド(56)は前記上部ビーム(27)によって支えられ、それにより前記上部ビーム(27)の変位は、前記シリンダ本体内の前記シリンダのロッドの動きに運動学的にリンクされ、それにより前記ロック(52)は前記ロッド(56)をブロックするためのシステムによって確実になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の固定装置(22)
【請求項5】
前記下部ビーム(26)に対する前記上部ビーム(27)の移動が少なくとも130mmである、請求項2または3に記載の固定装置(22)。
【請求項6】
前記固定機構(30)が、下部ビーム(26)に接続された2つの上部ビーム(27a、27b)と、2つの案内スライド(32a、32b)と、上部ビーム(27a、27b)をそれぞれ前記下部ビーム(26)に接続する2つの接続部材(31a、31b)とを
備え、前記接続部材(31a、31b)は独立して制御可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の固定装置(22)。
【請求項7】
前記取り付け部材(34)が、駆動機構(36)によって前記案内スライド(32)に沿って動かされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の固定装置(22)。
【請求項8】
前記駆動機構(36)が、前記案内スライド(32)に沿って移動することができる可動チェーン(38)を備え、このチェーンは、前記可動チェーン(38)がループを形成するように少なくとも2つのスプロケット(40)によって駆動される、請求項7に記載の固定装置(22)。
【請求項9】
駆動輪(42)と呼ばれる、前記スプロケット(40)のうちの少なくとも1つ、駆動シャフト(44)を設けられており、前記駆動シャフト(44)は、前記駆動シャフト(44)の周りで前記駆動輪(42)を回転駆動するようにモータ(46)に接続されている、請求項8に記載の固定装置(22)。
【請求項10】
前記駆動輪(42)が、その駆動シャフト(44)の周りの前記駆動輪(42)の回転を防止するための制動システム(48)を備えている、請求項9に記載の固定装置(22)。
【請求項11】
前記制動システム(48)がフェイルセーフタイプのものである、請求項10に記載の固定装置(22)。
【請求項12】
前記制動システム(48)が一対の制動ディスク(50)を備える、請求項10に記載の固定装置(22)。
【請求項13】
前記支持プラットフォーム(24)が、積込み位置と傾斜した輸送位置との間で移動可能である、請求項1~12のいずれか一項に記載の固定装置(22)。
【請求項14】
前記支持プラットフォーム(24)が、少なくとも1つの水平回動軸の周りの回転によって、前記積込み位置と前記傾斜した輸送位置との間で移動可能である、請求項13に記載の固定装置(22)。
【請求項15】
前記固定機構(30)が、遠隔制御によって、または主遠隔制御故障場合に緊急遠隔制御によって制御される、請求項1~14のいずれか一項に記載の固定装置(22)。
【請求項16】
前記固定機構(30)が、前記支持プラットフォーム(24)の平面に垂直な軸を中心に回動可能であるように構成される、請求項1~15のいずれか一項に記載の固定装置(22)。
【請求項17】
前記固定機構(30)の回動が、シリンダを備える駆動手段(77)によって提供される、請求項16に記載の固定装置(22)。
【請求項18】
鉄道装置(12)を輸送するための車両(10)であって、前記車両(10)が、走行装置によって支持された輸送シャーシに取り付けられた請求項1~17のいずれか一項に記載の固定装置(22)を備えることを特徴とする、車両(10)。
【請求項19】
前記車両(10)が輸送ワゴンである、請求項18に記載の車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道装置、特に転轍機を固定するための装置に関する。本発明はまた、そのような固定装置を組み込んだ輸送車両、特にワゴンに関する。
【背景技術】
【0002】
文献FR3024470号は、鉄道装置用の支持プラットフォームを備え、鉄道装置用の支持面を有し、支持プラットフォームは水平の積込み位置と傾斜した輸送位置との間で移動可能な、鉄道装置を輸送するためのワゴンを記載している。鉄道装置は、鉄道装置全体に分布し、鉄道装置つなぎ材とプラットフォームとの間に配置された個々のフランジで形成された固定機構によって、支持プラットフォームに取り付けられる。
【0003】
しかしながら、そのような特に簡単な取り付け方法は、フランジを手動で締め付けるために、すなわち鉄道装置が固定される前に、積込みプラットフォームにアクセスする必要があるという欠点を有する。したがって、作業員の安全を確保するために、積込み段階と積み降ろし段階の両方における取り扱いには特定の予防策が必要である。
【0004】
プラットフォームにアクセスする必要なしに鉄道装置をプラットフォームに取り付けることを可能にするために、2006年以来、MATISA SA社は、鉄道装置のレールの足の一部と係合するように意図されたフックを一端に有する取り付けバーを備えた少なくとも1つの鉄道装置固定機構を市場に出している。各バーは、バーに垂直な長手方向軸を中心に回動するように、プラットフォームに関節式に接続されたスリーブにスライド可能に取り付けられている。このようにして、オペレータは、バーをレバーのように操作することができ、フックの反対側の自由端でバーを保持して、フックがレールの足に近づくまでそれを回動し、バーをスリーブ内でスライドさせてその有効な長さを調整する。フックがレールの足に係合したら、あとは、スリーブ内のバーのスライドをブロックし、フックと鉄道装置をプラットフォームに対して所定の位置にロックするだけである。バーの長さにより、オペレータはフックからプラットフォームの側面までの距離を保ちながら行動することが可能になる。このように記載されているシステムは、文献WO2014154624A1号に示されているシステムと非常によく似ている。これは効果的であるが、フックと鉄道装置の間に大きなクランプ力を提供しない。特に、据え付けおよび固定時にフックによってレールの足に加えられる力が、水平に対してわずかに斜めの、バーの全体的な方向にあり、したがって、鉄道装置をプラットフォーム上でスライドさせる傾向がある強力な水平成分を備えているためである。この装置はまた電動化が難しい。
【0005】
これを改善するために、文献FR1653185号は、固定機構が案内スライドによって案内される台車を備える支持プラットフォームと、台車をレールに対して遮断する手段と、案内スライドをプラットフォームに対してロックするための部材とを備える鉄道装置固定装置を提案している。ロック部材は、特に、支持プラットフォームに形成されたロック用空洞の対応する傾斜壁と係合するベベル状シムを備える。このような装置は電動化が簡単であり、鉄道装置の安全な取り扱いを可能にする。それというのも、シムのベベル形状のおかげで、取り付け部材の動きが少なくとも2つの成分、すなわち水平方向の動きと垂直方向の動きに分解されるためである。しかしながら、ベベル状シムおよび関連するロック用空洞の構造は複雑になる可能性がある。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、鉄道装置の簡単かつ安全な取り扱いを可能にし、電動化だけでなく構造も単純にすることができる、鉄道装置を固定するための装置を提案することにより、従来技術の欠点を克服することである。本発明の別の目的は、木製つなぎ材(短い)またはコンクリート製つなぎ材(より高い)などの異なるつなぎ材の高さに対応するように、取り付け機構の高さを正確に調整することである。
【0007】
この目的のために、本発明は、鉄道装置を固定するための装置であって、鉄道装置用の支持プラットフォームと、鉄道装置を支持プラットフォームに固定するための少なくとも1つの機構とを備え、前記固定機構はロック位置からロック解除位置へ、およびその逆に移動可能であり、固定機構は、
・長手方向に延びる少なくとも1つの案内スライドと、
・鉄道装置を支持プラットフォームに取り付けるための、案内スライドに沿って移動可能な少なくとも1つの部材と
を備える、固定するための装置において、
固定機構が、
・案内スライドを支持する上部ビーム、および
・支持プラットフォームに接続された下部ビームも備え、
上部ビームおよび下部ビームは、上部ビームが下部ビームに対して案内スライドの長手方向に垂直な方向に移動できるように構成された少なくとも1つの接続部材によって接続されていること、および
固定機構が前記少なくとも1つの接続部材をロックするための手段を備え、前記ロック手段は下部ビームに対する上部ビームの移動を防止するように構成されていること、
を特徴とする、固定するための装置に関する。
【0008】
本発明のおかげで、取り付け部材の動きは常に少なくとも2つの成分、すなわち、スライドの長手方向における接続部材の動きと、スライドの長手方向に垂直な方向における上部ビームの動きとに分解される。しかしながら、従来技術とは異なり、2つの成分への動きのこの分解を可能にする機構は、製造および使用がはるかに簡単である。実際、2つの別個の機構は、従来技術のような1つだけではなく、2つの異なる方向へのこれらの動きを可能にする。
【0009】
さらに、取り付け部材が移動する案内スライドを支持するのは上部ビームであるので、取り付け機構の高さは、異なるつなぎ材の高さに対応するように容易に正確に調整することができる。
【0010】
本発明の特定の実施形態によれば、接続部材は、上部ビームに接続された少なくとも1つの伝達ロッドと、下部ビームに接続され、ねじおよびナットアセンブリまたはシリンダによって制御される伝達レバーとを備える関節式平行四辺形を形成するアセンブリであり、それにより、上部ビームの動きは、ナット内のねじの動き、または対応して、シリンダ本体内のシリンダロッドの動きに運動学的にリンクされる。この接続要素の選択により、全体の寸法を制限すること、および、下部ビームと上部ビームとの間の力の適切な分散を実現することが可能になる。
【0011】
本発明の別の特定の実施形態によれば、接続部材は、例えば台形形状のねじおよびナットのアセンブリであり、そのねじは下部ビームによって支えられ、そのナットは上部ビームによって支えられ、それにより、上部ビームの動きはねじに沿ったナットの動きに運動学的にリンクされ、ロックはねじとナットアセンブリの締め付けトルクによって確実になる。ねじまたはシリンダは、実際には安価で特に単純な接続要素である。ねじ山内のねじの動きまたはシリンダ本体内のシリンダの動きにより、上部ビームの動きを正確に制御することも可能になる。
【0012】
固定装置でコンクリートまたは木製の鉄道装置の異なるモデルの高さの違いを吸収できるようにするために、上部ビームの移動は少なくとも130mmである。
【0013】
好ましくは、固定機構は、下部ビームに接続された2つの上部ビームと、2つの案内スライドと、上部ビームをそれぞれ下部ビームに接続する2つの接続部材とを備え、接続部材は独立して制御可能である。したがって、両端を独立してフックできるため、張り出しを回避でき、案内スライド内のフックの位置に関係なく、フックのクランプ力は一定である。これにより、ユーザは追加の警戒から解放され、これまでよりも注意を払わなくて済むようになる。したがって、これにより操作の安全性が向上する。
【0014】
装置の使用を容易にするために、取り付け部材は、好ましくは自動ロック式である駆動機構によって案内スライドに沿って動かされ、装置に追加の安全性を提供する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、駆動機構は、案内スライドに沿って移動することができる可動チェーンを備え、このチェーンは、少なくとも2つのスプロケットによって駆動され、可動チェーンがループを形成する。可動チェーンによる駆動により、製造と実装が簡単な必然的自動ロック機構を実現することが可能になる。
【0016】
使用が簡単であるという利点を有する特定の実施形態によれば、駆動輪と呼ばれる前記スプロケットの少なくとも1つは、駆動シャフトを備え、前記駆動シャフトは、前記駆動シャフトの周りで駆動輪を回転駆動するようにモータに接続されている。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置に追加の安全性を提供するために、駆動輪は、その駆動シャフトの周りの駆動輪の回転を防止するための制動システムを備えている。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、制動システムはフェイルセーフタイプであり、例えば、一対の制動ディスクを備える。したがって、デフォルトでは、つまり動力がない場合、制動システムは、駆動シャフトを中心とした駆動輪の回転を防止する。したがって、制動を解除するには、制動システムに電力を供給する必要がある。
【0019】
オペレータが実施および使用するのが簡単な本発明の好ましい実施形態によれば、支持プラットフォームは、好ましくは少なくとも1つの水平回動軸の周りの回転によって、積込み位置と傾斜した輸送位置との間で移動可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、オペレータの筋肉の労力を排除するために、固定機構は、遠隔制御によって、または主遠隔制御が故障した場合に緊急遠隔制御によって制御される。
【0021】
好ましくは、取り付け機構は、支持プラットフォームの平面に垂直な軸を中心に回動可能であるように構成され、取り付け機構の回動は、例えば、シリンダを備える駆動手段によって提供される。これにより、取り付け機構の位置を調整して、起こり得る位置ずれを補償することが可能になる。
【0022】
本発明はまた、鉄道装置を輸送するための車両、特に鉄道装置を輸送するためのワゴンに関し、前記車両は、走行装置によって支持された輸送シャーシに取り付けられた本発明による固定システムを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して与えられる以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による鉄道装置を固定するための装置を組み込んだ鉄道装置を輸送するためのワゴンを示し、鉄道装置を固定するための装置は輸送位置にある。
図2図1の線II-IIに沿った断面図である。
図3図1の固定装置の図2と同様の図であり、その上部ビームは第1の位置にある。
図4図1の固定装置の詳細の平面図であり、チェーンは省略されている。
図5】本発明による固定装置の取り付け部材の異なる位置を示す、図3と同様の図である。
図6】上部ビームが第2の位置にある、本発明による固定装置の取り付け部材の異なる位置を示す図3と同様の図である。
図7】固定装置の取り付け部材の異なる位置を示す図3の詳細図である。
図8】固定装置の取り付け部材の異なる位置を示す図3の詳細図である。
図9】固定装置の取り付け部材の異なる位置を示す図3の詳細図である。
図10】第1の位置にある本発明の第2の実施形態による固定装置の図3と同様の図である。
図11】第2の位置にある本発明の第2の実施形態による固定装置の図10と同様の図である。
図12図1による鉄道装置を輸送するためのワゴンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、大きな寸法の、特に鉄道輸送のために規定された隙間マージン14よりも大きい幅の、鉄道装置12(図3で見ることができる)が積み込まれた輸送ワゴン10を示す。鉄道装置12は、例えば、図3に示すように、レール16と転轍機つなぎ材18とを備える転轍機である。
【0026】
特に図2で見ることができるように、輸送ワゴン10は、幅が隙間マージン14の幅以下であるシャーシ20を有する。鉄道装置12の輸送ワゴンへの固定は、シャーシ20の長手方向軸ZZに平行な水平軸周りの回動を可能にするジョイント25によってシャーシ20にヒンジ結合された鉄道装置12の支持プラットフォーム24を備える固定装置22によって確保される。シャーシ20自体は図2の平面に対して垂直である。
【0027】
図1および2において、支持プラットフォーム24は、輸送ワゴン10が走行する軌道の平面に平行な基準平面に対して傾斜している。1つまたは複数の油圧シリンダ(図示せず)、または他の任意のタイプの電動アクチュエータを使用して、可傾式支持プラットフォーム24を、図3に示す積込位置と、図1および2に示される傾斜した輸送位置との間で回動する。図3中、支持プラットフォーム24は積込面P(図3および5~11において点線で示され、図4の平面に対応する)にある。
【0028】
固定装置22の構造の剛性をより低くするために、支持プラットフォーム24は2つ以上の部品であると好ましい。この場合、支持プラットフォーム24は、機械的に溶接された構造であると好ましい。これは、少なくとも1つの固定機構30が取り付けられたストリンガー24aおよびクロスメンバー24bを備える。この完全なアセンブリは、上昇位置(図2)にあるか、または積込みおよび積み降ろしのためにジョイント25の周りを回動して水平位置にすることができる。固定装置22はさらに、支持プラットフォーム24に接続された下部ビーム26および上部ビーム27を備える固定機構30を備える。固定機構30は、鉄道装置12を支持プラットフォーム24に固定するように設計される。
【0029】
図、特に図1から9に示される実施形態では、固定装置22は4つの固定機構30を備える。固定装置22は、必要に応じて、特に輸送される鉄道装置の数とサイズに応じて、より少ないまたはより多い固定機構を備えてもよいことに留意されたい。
【0030】
ここで、固定機構30は、互いに独立して、シャーシ20の長手方向軸ZZに沿ってプラットフォーム24上で移動することができる。これにより、様々な積込または輸送要件、ならびに輸送される鉄道装置の寸法または形状に適応することが可能になる。
【0031】
上部ビーム27と下部ビーム26は、少なくとも1つの接続部材31によって接続される。この接続部材31は、上部ビーム27が後述する上部ビーム27によって支えられる案内スライド32の長手方向Lに垂直な方向Nに下部ビーム26に対して移動可能であるように構成される。特に、上部ビーム27と下部ビーム26は、積込面Pに垂直な支持プラットフォーム24の対称面Sの両側に配置された2つの接続部材31によって接続されている。
【0032】
以下で詳述するように、各固定機構30は、鉄道装置12が支持プラットフォーム24に確実に固定されるロック位置と、鉄道装置12を支持プラットフォーム24から分離できるロック解除位置との間で移動することができる。
【0033】
この目的のために、各固定機構30は、上部ビーム27によって支持され、長手方向Lに延在し、支持プラットフォーム24によって支持された案内スライド32を備える。特に、案内スライド32の長手方向Lは、支持プラットフォーム24が積込位置にあるとき、シャーシ20の長手方向軸または軌道軸に垂直であり、支持プラットフォーム24によって形成される自由平面に含まれる。
【0034】
各固定機構30はまた、鉄道装置12を支持プラットフォーム24に取り付けるための取り付け部材34を備える。これらの取り付け部材は、これらの案内スライド32に沿って移動することができる。図面に示される実施形態では、取り付け部材34はフックである。
【0035】
図3で見ることができるように、各取り付け部材34またはフックは、転轍機16のレール18の1つの足18aと係合するように意図されたフック領域35を有する。
【0036】
駆動機構36が、各取り付け部材34に関連付けられ、関連付けられた案内スライド32に沿ったその移動を可能にする。この駆動機構36は、特に輸送ワゴン10が動いているときに、取り付け部材34の意図しない移動を防ぐために、好ましくは自動ロック式である。
【0037】
図面に示されている実施形態において、特に図3および4で見ることができるように、各駆動機構36は、ここでは、取り付け部材34が接続されている案内スライド32に沿って移動できる可動チェーン38を備える。特に、各チェーン38は、取り付け部材34が案内スライド32に沿って移動できるように、関連付けられた案内スライド32によって案内される。したがって、案内スライド36は、取り付け部材34の線形、好ましくは直線の経路を定める。この経路は、積込面Pに含まれる。実際には、スライド36はここでは概してU字形の断面を有するレールからなり、したがって、チェーン38を移動させることができる溝を形成する。
【0038】
各チェーン38は、特にチェーン38がループを形成するように、少なくとも2つのスプロケット40によって駆動される。図面に示される実施形態では、6つのスプロケット40がある。2つのスプロケット40は、プラットフォーム24の中心に最も近いループの第1の端部38aに配置され、4つのスプロケット40は、案内スライド32の自由端32aに最も近いループの反対側の端部38eに配置される。
【0039】
駆動輪42と呼ばれるこれらのスプロケット40の1つには、駆動輪42をこの駆動シャフト44の周りで回転駆動するように、モータ46、例えば油圧モータに接続された駆動シャフト44が設けられる。駆動輪42の直径は、モータ46による駆動を容易にするために、他のスプロケット40の直径よりも大きい。
【0040】
駆動輪42はここではループの端部38eに配置され、また、他のスプロケット40よりも低く、すなわち、輸送ワゴン10が積込位置で走行する軌道により近く配置される。当然のことながら、スプロケット40の配置および数は変化し得ることに留意されたい。例えば、チェーン38によって形成されるループの各端部にスプロケット40が1つだけあることが想定され得る。駆動輪42を、端部38eではなくループの端部38aに配置することも可能である。
【0041】
駆動輪42は、その駆動シャフト44の周りの駆動輪42の回転を防止するために制動システム48を備えている。好ましくは、制動システム48は、フェイルセーフタイプであり、例えば、一対の制動ディスク50を備える。制動ディスクは、図4に示すように、駆動輪42の両側に配置されている。ここでは明確にするためにチェーン36は省略されている。
【0042】
制動システム48は、動力がなければ、駆動輪42がそのシャフトを中心に回転するのを防止するように構成される。言い換えれば、制動ディスク50を解放するために制動システム48に電力を供給する必要がある。このタイプの制動システムはそれ自体当業者に知られているので、ここでは詳細に記載しない。
【0043】
固定機構30はセルフロック式であるので、取り付け部材34の位置は、案内スライド32の長手方向でブロックされる。したがって、第1の方向への移動が防止される。より具体的には、チェーン38は、一方では、制動システム50を係合解放し、他方では、モータ46を介して駆動輪42を駆動することなしに、案内スライド32に沿って移動することができない。かくして、案内スライド32の長手方向における取り付け部材34の移動を防止するために、二重ロック式安全装置が提供される。
【0044】
固定機構30は、下部ビーム26に対する上部ビーム27の移動を防止するように構成された、接続部材31のロック手段52をさらに備える。
【0045】
好ましくは、図3~9に示すように、接続部材31は、上部ビーム27によって支えられる、例えば台形断面のねじおよびナットアセンブリ52であり、それにより、上部ビーム27の移動は、ねじ54に沿ったナット56の動きに運動学的に関連しており、ロックは、ねじおよびナットアセンブリ52の締め付けトルクによって確実にされる。この特定の実施形態では、ロック手段52はしたがって下部ビーム26によって支えられるナット56内のねじ54の締め付けによって形成される。もちろん、ねじ54の断面形状は異なっていてもよい。
【0046】
ねじおよびナットアセンブリ52を締め付けることにより、上部ビーム27は、支持プラットフォーム24の自由面によって規定される積込み平面(この平面は図3において点線Pによって概略的に示されている)に垂直でもある案内スライド32に垂直な方向に、下部ビーム26に対して移動することが防止される。取り付け部材34のフック領域35はこの方向に垂直な平面でレール16aの足と平面的に接触しているので、取り付け部材34の位置は、案内スライド32に対して長手方向に垂直な第2の方向においてロックされる。
【0047】
ねじおよびナットアセンブリ52の移動および締め付けは、当業者にそれ自体既知の駆動手段によって、特にモータによって実行することができる。したがって、これらについてはここでは詳述しない。
【0048】
接続部材31としてねじおよびナットアセンブリ52を選択することの別の利点は、ねじ54に沿ったナット56のコースを選択できること、すなわち、その高さを調整できることである。したがって、つなぎ材18の異なる高さを示す図5、およびねじ山54におけるねじ52の2つの異なる位置を示す図6に見られるように、フック領域35は、下部ビーム26より上の異なる高さで、取り付け位置に配置することができる。これにより、この機構を、木製のつなぎ材18(短い)またはコンクリート製のつなぎ材18(より高い)のいずれかを有する鉄道装置で等しく使用することが可能になる。例えば、コンクリートおよび木製のつなぎ材18の通常の高さを考慮して、この特定の実施形態では、上部ビーム27、すなわち、ねじ54に沿ったナット56の移動は、少なくとも130mmになるように選択される。
【0049】
図面に示されていない変形例では、ねじはシリンダによって置き換えられ、ねじ山はシリンダ本体によって置き換えられる。
【0050】
一方の固定機構30のセルフロック機能および他方の接続部材31のロック手段52の存在により、案内スライド32の長手方向Lにおける、および対応して、この長手方向に垂直な方向Nにおける、取り付け部材34の移動が防止される。したがって、図7から図9に示すシーケンスに従ってこれから記載するように、固定装置22の支持プラットフォーム24への鉄道装置12の固定の堅牢性は、簡単かつ信頼できる方法で保証される。
【0051】
図12で見ることができるように、固定機構30は、支持プラットフォーム24の平面に垂直な軸を中心に回動するように構成され、固定機構30の回動は、例えば、回動シリンダ76を備える駆動手段によって提供される。シリンダ76のストロークは、プラットフォーム24の平面内で、ワゴン10の長手方向軸ZZに対して横方向に、例えばこの長手方向軸ZZに対して垂直に行われる。
【0052】
図7では、レール18が見える状態の鉄道装置12は、支持プラットフォーム24上に置かれている。取り付け部材34は、それらが図7において点線Pで概略的に示されている積込面の下にあるように引っ込められ、それにより、取り扱い中の鉄道装置12との干渉を回避する。
【0053】
鉄道装置16をプラットフォーム24に固定するために、オペレータは、つなぎ材18の高さに応じて関連するモータを制御することにより、ねじ山56内のねじ54の位置を調整し、それにより、固定機構30はレール16aの足と接触する。
【0054】
次に、オペレータは、制動システム48のロックを解除し、モータ46を制御して、駆動輪42が駆動されることを可能にし、したがって、チェーン36が案内スライド32に沿って動くことを可能にする。次にオペレータは取り付け部材34の位置を調整し、それらが鉄道装置12のレール18aの足と係合するようにする。この操作の終わりに、固定機構30は、図8に示される移行位置にある。
【0055】
最後に、オペレータは、取り付け部材34がレール16aの足に十分な締め付け力を及ぼすまで、関連するモータを制御することにより、ねじ山56内のねじ54の位置を調整する。好ましくは、表示灯が、クランプ力に達したことを示す。
【0056】
鉄道装置12がこのようにして支持プラットフォーム24に固定されると、支持プラットフォームを輸送のために図1および2に示される位置に持ち上げることができる。
【0057】
積み降ろし操作は、積込み操作の逆の順序で行われる。
【0058】
必要に応じて、2つの取り付け部材34のうちの1つだけを鉄道装置12のレール18の1つと係合して配置することができ、一方、他の取り付け部材34は案内スライド32に沿って自由位置に留まる。好ましくは、図示のように、2つの固定機構30が提供され、それらの取り付け部材34は、互いに対して横方向に、すなわち、フック領域35が互いに面するように回転される。この構成により、2つの取り付け部材34が係合されると、鉄道装置は横方向にロックされる。
【0059】
図10および11に示される本発明の第2の実施形態では、固定機構30は、接続部材31が、上部ビーム27に接続された少なくとも1つの伝達ロッド62と、下部ビーム29に接続され、ねじおよびナットアセンブリ64によって制御される伝達レバー60とを備える関節式平行四辺形アセンブリ58であることにおいて異なり、それにより、上部ビーム27の動きは、ナット67内のねじ65の変位に運動学的にリンクされる。
【0060】
より正確には、図面に示される実施形態では、平行四辺形アセンブリ58は、上部ビーム27および下部ビーム29の延在の方向に実質的に平行な方向に延在する、長手形状の伝達ロッド62を備える。伝達ロッド62は、好ましくは、それを軽量化するためにその中心で薄くされる。伝達ロッド62は、2つの伝達レバー60a、60bに接続され、その自由端62a、62bのそれぞれにおいて1つの伝達レバーに接続されている。この接続は、例えば、伝達ロッド62と伝達レバー60a、60bの両方を通過し、伝達ロッド62の長手方向に垂直な方向、すなわち、図10および11に垂直な平面内に延びる2つのピン68によって行われる。
【0061】
C形状またはブーメラン形状を有する第1の伝達レバー60aは、第1の端部で、伝達ロッド62の長手方向に対して垂直に、すなわち図10および11に垂直な平面に延びるピン66によって、ねじおよびナットアセンブリ64に接続される。ねじおよびナットアセンブリ64は、ナット67内のねじ65の動きが伝達レバー60aを上部ビーム27の方向に動かすように、上部ビーム27に接続される。伝達ロッド62は伝達レバー60aに接続されているので、これも図の上方に移動される。
【0062】
加えて、伝達ロッド62はまた、その端部62aで、再び伝達レバー60aを介して上部ビーム27に接続される。それというのも、伝達レバー60aは、それが伝達ロッド62に接続される端部と反対側の自由端で上部ビーム27に接続されるからである。この接続は、ピン70が伝達ロッド62の長手方向に垂直に同じく延び、伝達レバー60aを通過し、それ自体が上部ビーム27を通過するピン72に接続され、これらの2つのピン70および72がチューブ74によって接続されることによってなされる。2つのピン70および72の接続は、構造を強化するためにチューブの形態で選択されたが、それは別の形態であってもよいことに留意されたい。
【0063】
対称的に、伝達ロッド62はまた、反対側の端部62bにおいて、伝達レバー60b(これもC字形)を介して上部ビーム27に接続されている。それというのも、伝達レバー60bは同じく、ピン70が伝達ロッド62の長手方向に垂直に同じく延び、伝達レバー60aを通過し、それが今度は上部ビーム27を通過するピン72に接続され、これら2つのピン70および72がチューブ74によって接続されることによって上部ビーム27に接続されるからである。
【0064】
図示されていないこの第2の実施形態の変形例では、ねじおよびナットのアセンブリは、シリンダおよびシリンダ本体のアセンブリによって置き換えられる。
【0065】
さらに、図10および11に示すこの第2の実施形態では、固定機構30は、下部ビーム26に接続された2つの上部ビーム27a、27bと、2つの案内スライド32と、1つの上部ビーム27a、27bをそれぞれ下部ビーム26に接続する2つの接続部材31とを備え、接続部材31は独立して制御することができる。より正確には、2つの上部ビーム27a、27bは、好ましくは、それぞれ、前の実施形態に示された上部ビーム27の長さの半分に対応する長さである。
【0066】
したがって、案内スライド内のフックの位置に関係なく、フックごとのクランプ力が一定であるため、両端を独立してフックすることができ、したがって、張り出しを回避することができる。これにより、ユーザは追加の警戒から緩和され、これまでよりも注意を払わなくて済むようになる。これにより、操作の安全性が向上する。
【0067】
当然のことながら、図面に示され上述された例は例示に過ぎず、網羅的ではない。様々な変形が可能である。
【0068】
特に、プラットフォームの積込みおよび積み降ろし位置は、必ずしも水平である必要はなく、当然のことながら輸送位置よりも低く傾けることができる。
【0069】
さらに、実用においては、記載されたものとは異なる数の固定機構を同じ輸送ワゴンに備えることができ、これらは、鉄道アセンブリの構成に局所的に適応するために、プラットフォームの長さにわたって分散される。
【0070】
取り付け部材を駆動するための他の手段を設けることができる。それは、ローラまたはボールが台車ロールに関連付けられた軌道を設けられた、または台車上に形成された足のためのスライド用トラックを設けられた案内スライドによって案内される台車などである。
【0071】
図示した異なる実施形態を組み合わせて他の実施形態を提案できることが明確に提供される。
【0072】
本記載、図面、および添付の特許請求の範囲から当業者に明らかになる全ての特徴は、実際にはそれらが個別におよび任意の組み合わせの両方において他の指定された特徴と併せてのみ記載されたとしても、それが明示的に除外されていない場合、または技術的な状況によりそのような組み合わせが不可能または無意味になる場合、ここに開示されている他の特徴または特徴群と組み合わせることができることが強調される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12