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特許7241792向神経活性19-アルコキシ-17-置換ステロイド、そのプロドラッグおよびそれを使用する処置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】向神経活性19-アルコキシ-17-置換ステロイド、そのプロドラッグおよびそれを使用する処置方法
(51)【国際特許分類】
   C07J 1/00 20060101AFI20230310BHJP
   A61P 23/00 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20230310BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230310BHJP
   C07J 21/00 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230310BHJP
   C07J 3/00 20060101ALI20230310BHJP
   C07J 5/00 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 31/5685 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 31/57 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230310BHJP
   A61K 31/568 20060101ALI20230310BHJP
   C07J 13/00 20060101ALI20230310BHJP
   C07J 41/00 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
C07J1/00 CSP
A61P23/00
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/08
A61P25/32
A61P43/00 105
C07J21/00
A61K31/58
C07J3/00
C07J5/00
A61K31/5685
A61K31/57
A61K31/573
A61K31/568
C07J13/00
C07J41/00
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021038515
(22)【出願日】2021-03-10
(62)【分割の表示】P 2019109822の分割
【原出願日】2013-12-18
(65)【公開番号】P2021098739
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】61/738,822
(32)【優先日】2012-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597025806
【氏名又は名称】ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Washington University
(73)【特許権者】
【識別番号】515167252
【氏名又は名称】セイジ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SAGE THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・コビー
(72)【発明者】
【氏名】アルベール・ジャン・ロビショー
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-512344(JP,A)
【文献】米国特許第4022769(US,A)
【文献】米国特許第4495102(US,A)
【文献】米国特許第4087524(US,A)
【文献】米国特許第4139617(US,A)
【文献】米国特許第4239681(US,A)
【文献】米国特許第4424159(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-a):
【化1】
(I-a)
〔式中、
は(C -C アルキル)-O、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C -C アルキル)C(O)、およびHO(C -C アルキル)C(O)から選択され;
は=O、H、またはOR であり、ここで、R はH、場合により置換されていてよいC -C アルキル、または場合により置換されていてよいアリールから選択され(ただし、R が=Oであるとき、R は存在しない。);
はH、場合により置換されていてよいC -C アルキル、場合により置換されていてよいC -C アルケニル、場合により置換されていてよいC -C アルキニル、または場合により置換されていてよいアリールであり;
はメチルであり;
はH、場合により置換されていてよいC -C アルコキシ、または場合により置換されていてよいモルホリニル環であり;
は、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC -C アルキルであり;
---はC -C またはC -C の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、C -Hの水素原子は存在しない。);そして
---はC 16 -C 17 の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、R は=Oまたはスピロオキシランではない。);
ただし、R がHであり、C -C およびC -C の間の---のそれぞれが存在しない場合、C -Hの水素原子はβ配位である。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
がH、メチル、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
がH、メトキシ、エトキシ、およびモルホリニル環からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
がHである、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
-C およびC -C の間の---のそれぞれが存在せず、C -Hの水素原子がα配位である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
-C およびC -C の間の---のそれぞれが存在せず、C -Hの水素原子がβ配位である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
16 -C 17 の間の---が存在せず、R がβ配位である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が=O、メトキシ、またはHである、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
がβ-メトキシである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
がβ-スピロオキシランである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
がβ-シアノである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が=Oである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
がβ-ニトロである、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
がβ-CH C(O)-である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
がβ-HOCH C(O)-である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象に麻酔を導入するための医薬組成物。
【請求項18】
対象におけるGABA機能と関係する障害を治療するための医薬組成物であって、式(I-a):
【化2】
(I-a)
〔式中、
は(C -C アルキル)-O、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C -C アルキル)C(O)、およびHO(C -C アルキル)C(O)から選択され;
は=O、H、またはOR であり、ここで、R はH、場合により置換されていてよいC -C アルキル、または場合により置換されていてよいアリールから選択され(ただし、R が=Oであるとき、R は存在しない。);
はH、場合により置換されていてよいC -C アルキル、場合により置換されていてよいC -C アルケニル、場合により置換されていてよいC -C アルキニル、または場合により置換されていてよいアリールであり;
はメチルであり;
はH、場合により置換されていてよいC -C アルコキシ、または場合により置換されていてよいモルホリニル環であり;
は、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC -C アルキルであり;
---はC -C またはC -C の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、C -Hの水素原子は存在しない。);そして
---はC 16 -C 17 の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である(ただし、存在するとき、R は=Oまたはスピロオキシランではない。)〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項19】
式(I-a)の化合物が式(I-g):
【化3】
(I-g)
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
がH、メチル、およびトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項18または19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
が=O、メトキシ、またはHである、請求項18~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
がβ-シアノである、請求項18~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
式(I-a)の化合物が
【化4】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項24】
式(I-a)の化合物が式:
【化5】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項25】
式(I-a)の化合物が式:
【化6】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項26】
式(I-a)の化合物が式:
【化7】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項27】
式(I-a)の化合物が式:
【化8】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項28】
式(I-a)の化合物が式:
【化9】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項29】
式(I-a)の化合物が式:
【化10】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項30】
障害が神経学障害、精神障害、炎症性障害、および麻酔適応症からなる群から選択される、請求項18~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
障害が睡眠障害である、請求項18~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
障害が精神障害である、請求項18~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
障害が不安障害、統合失調症および統合失調感情障害、または双極性障害である、請求項18~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
障害が不眠症、気分障害、けいれん性障害、不安障害、またはエタノール離脱の症状からなる群から選択される、請求項18~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援
本発明の対象は、米国国立衛生研究所によるNIH Grant #GM47969の政府支援の下に開発した。従って、政府は本発明の対象に一定の権限を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年12月18日出願の米国仮特許出願番号61/738,822に基づく優先権を主張し、その内容全体を引用により本明細書に包含させる。
【0003】
発明の背景
本発明は、一般に麻酔剤としての有用性および/またはGABA機能および活性と関係する障害の処置における有用性を有する新規化合物に関する。より具体的に、本発明は、向神経活性であり、麻酔剤としての使用に適する19-アルコキシ-17-置換四環系構造を有するステロイド、その薬学的に許容される塩およびプロドラッグならびにそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
ガンマ-アミノ酪酸(GABA)は、中枢神経系の主要な抑制性神経伝達物質である。GABAはイオンチャネル型GABAと代謝型GABA受容体の2種の受容体を活性化する。GABAによりGABA受容体が活性化されると、過分極とその結果としての神経伝達物質遊離の阻害が起こる。GABA受容体サブタイプは神経細胞の興奮性および急速な気分変動、例えば不安、パニックおよびストレス反応を制御する。GABA受容体は塩素イオンチャネルであり、その結果、該受容体の活性化は内向き塩素イオン流動の増加を誘発し、膜過分極および神経性抑制に至る。ベンゾジアゼピンおよびバルビツール酸のようなGABA受容体を刺激する薬物は、抗けいれん作用(神経細胞の興奮性を低下させ、発作閾値を上げることによる)ならびに抗不安および麻酔作用を有する。
【0005】
GABA受容体に対するある種のステロイドの効果は十分に確立されている。その結果、研究者らは麻酔剤として働き得る、および/またはGABA機能と関係する障害の処置を提供するために役立ち得る神経活性ステロイドの発見および合成を探求し続けている。例えば、静脈麻酔アルファキサロン(化合物A、下記)が、脳内のGABA受容体で作用するGABAが介在する塩素電流をアロステリックに増加させることにより、ヒトにおける全身麻酔を生じることが、現在広く認識されている。しかしながら、この化合物が、このような方法で機能することを可能とする多様な構造特性は、今日まで完全には理解されていない。例えば、アルファキサロンと比較して、Δ16-アルファキサロン(化合物B、下記)は、GABA受容体でのアロステリック活性が大きく減少していることが観察されており、ヒトにおける静脈全身麻酔剤として使用されない。
【化1】
【0006】
これら2種の化合物の作用の違いは、一部はD環における炭素-炭素二重結合の存在が原因とされていて、多くの研究者らの注目を集めている。事実、最近、麻酔活性に対してこの二重結合が有する効果が、D環上のC-17に結合する基によることが判った(Bandyopadhyaya, A.K., et al., “Neurosteroid analogues. 15. A comparative study of the anesthetic and GABAergic actions of alphaxalone, Δ16-alphaxalone and their corresponding 17-carbonitrile analogues.” Bioorg. Med. Chem. Lett., 20: 6680-4 (2010)参照)
【0007】
麻酔特性に加えて、向神経活性ステロイドはGABA機能と関係する障害の処置に使用し得る。例えば、プロゲステロンのような向神経活性ステロイドは催眠鎮静剤として使用でき、ベンゾジアゼピン様作用を発揮し、徐波およびレム睡眠をわずに変えるのみで、睡眠潜時を減らし、ノンレム睡眠を増加させる。さらに、GABA応答を増強させる薬物は、ヒトにおける不安の処置にしばしば使用される。それゆえに、GABA増強ステロイドが抗不安作用を発揮するであろうことが期待される。向神経活性ステロイドはまた、大うつ病の患者のGABA作動性神経ステロイドのレベルが減少していることおよびうつ病のある種の処置がこれらのステロイドのレベルを変えることを示唆する証拠が蓄積していることを考えると、うつ病の処置にも使用できる。GABAがうつ病の生物学に重要な役割を有するとは通常は考えられないが、低GABA作動性活性が気分障害の素因であり得るとの証拠がある。そして、NMDA受容体阻害およびGABA受容体増強が神経系におけるエタノールの急性作用の介在に重要な役割を有すると考えられるが、関連試験は、GABA作動性神経ステロイドがエタノールの薬理学的作用の一部に関与していて、向神経活性ステロイドがエタノール離脱の処置に有用であり得ることを示唆する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上から、神経ステロイドが有利に使用できる数多くの可能性が存在することが明らかである。その結果、新規向神経活性ステロイド、特に麻酔剤としての有用性および/またはGABA機能および活性と関係する障害の処置において有用性を有する新規向神経活性ステロイドをさらに合成し、理解する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要約
一つの面において、本発明は、式(I)
【化2】
〔式中、
は(C-Cアルキル)-O、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)およびHO(C-Cアルキル)C(O)から選択され、Rは、=O以外であるときはβ配位であるのが好ましくおよび/または1個以上の好ましい態様においてC-Cアルキルはメチルであり、Rはそれゆえにメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびOHCHC(O)-から選択され;
は=O、HまたはORであり、ここで、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいアリールから選択され(ただし、Rが=Oであるとき、Rは存在しない。);
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニル、場合により置換されていてよいC-Cアルキニルまたは場合により置換されていてよいアリールであり;
は独立してHおよび非置換C-Cアルキルから選択され;
は置換C-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルであり(特にアルコキシ-置換メチルまたはさらに具体的には-CH-ORであり、ここで、RはC-Cアルキルであるかまたはさらに具体的には-CH-OCHであり);
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルコキシであり;
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルコキシまたは場合により置換されていてよいモルホリニル環であり;
は、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルであり;
---はC-CまたはC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、R-Hの水素は存在しない。);そして
---はC16-C17の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である(ただし、存在するとき、Rは=O以外である。)。〕
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0010】
本発明は、さらに該化合物の薬学的に許容される塩、あるいはそれらのプロドラッグに関する。一つの具体的態様において、本発明は、式(II)
【化3】
〔式中、
は(C-Cアルキル)-O、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)およびHO(C-Cアルキル)C(O)から選択され、Rは、=O以外であるときはβ配位であるのが好ましくおよび/または1個以上の好ましい態様においてC-Cアルキルはメチルであり、Rはそれゆえにメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびOHCHC(O)-から選択され;
は=O、HまたはORであり、ここで、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいアリールから選択され(ただし、Rが=Oであるとき、Rは存在しない。);
は=OまたはORであり、ここで、RはHまたはC(O)Rであり、ここで、Rは場合により置換されていてよいC-C22アルキルまたは場合により置換されていてよいC-C22アルケニルであり、RがOHであるときには、それはβ配位であり;
は独立してHおよび非置換C-Cアルキルから選択され;
は置換C-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルであり(特にアルコキシ-置換メチルまたはさらに具体的には-CH-ORであり、ここで、RはC-Cアルキルであるかまたはさらに具体的には-CH-OCHであり);
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルコキシであり;
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルコキシまたは場合により置換されていてよいモルホリニル環であり;
は、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルであり;
---はC-CまたはC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、C-Hの水素は存在しない。);そして
---はC16-C17の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である(ただし、存在するとき、Rは=O以外である。)。〕
の構造を有する化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
ただし、本化合物は次の構造
【化4】
を有するものではなく、あるいは、(i)Rが=Oであり、C=C結合がC-Cの間に存在し、RがCHOCHであるならば、Rはメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、ニトロおよびCHC(O)-から選択され;および/または(ii)Rがβ-OHであり、C=C結合がC-Cの間に存在し、RがCHOCHであるならば、Rはメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、ニトロおよびHOCHC(O)-から選択される。
【0011】
本発明は、さらに上記ステロイド化合物もしくはそのプロドラッグまたはそれらの薬学的に許容される塩の1個以上および所望により薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本発明はまたステロイド、プロドラッグ、塩またはその医薬組成物を含むキットも提供する。
【0012】
本発明は、さらに麻酔を必要とする対象に導入する方法を提供し、該方法は、該対象に上記ステロイドまたはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩の1個以上またはその医薬組成物を投与することを含む。
【0013】
本発明は、さらに処置を必要とする対象におけるGABA機能と関係する障害の処置方法を提供し、該方法は、該対象に上記ステロイドまたはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩の1個以上またはその医薬組成物を投与することを含む。ある態様において、障害は不眠症、気分障害、けいれん性障害、不安またはエタノール離脱の症状からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ある態様の詳細な説明
本発明によって、ある態様の17-置換ステロイド構造、より具体的にある19-アルコキシ-17-置換ステロイド構造、さらに具体的にある態様の19-メトキシ-17-置換ステロイド構造を有する化合物が向神経活性であり、また麻酔剤としておよびGABA機能と関係する障害の処置おいて使用するのに適切であり、その薬学的に許容される塩およびプロドラッグも同様であることが判明した。本化合物は、例えば、非外科的処置(例えば、大腸内視鏡検査)のための有効な持続点滴鎮静剤として使用し得る。本化合物はまた、細菌汚染の低い可能性ならびに可溶化剤との関係改善のような、当分野で知られる麻酔剤を超える利益も提供する。
【0015】
1. ステロイド構造
一般的に言って、本発明のステロイドは、A環のC位がα配位のヒドロキシル置換基を有し、D環のC17位に、メトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびHOCHC(O)-からなる群から選択される置換基が結合した(Rは、=O以外であるときはβ配位であるのが好ましい)、シクロペンタ[a]フェナントレン環系(これについては、後で詳細に説明する)のような四環系の縮合環構造を有する。
【0016】
より具体的に、本発明は、ある態様において、式(I)
【化5】
〔式中、
は(C-Cアルキル)-O(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)(例えば、CHC(O)、CHCHC(O)、CHCHCHC(O)、CHCHCHCHC(O))およびHO(C-Cアルキル)C(O)(例えば、HOCHC(O)、HOCHCHC(O)、HOCHCHCHC(O)、HOCHCHCHCHC(O))から選択され、Rは、=O以外であるときはβ配位であるのが好ましくおよび/または1個以上の好ましい態様においてC-Cアルキルはメチルであり、Rはそれゆえにメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびOHCHC(O)-から選択され;
は=O、HまたはORであり、ここで、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいアリールから選択され(ただし、Rが=Oであるとき、Rは存在しない。);
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニル、場合により置換されていてよいC-Cアルキニルまたは場合により置換されていてよいアリールであり;
は独立してHおよび非置換C-Cアルキルから選択され;
は置換C-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルであり(特にアルコキシ-置換メチルまたはさらに具体的には-CH-ORであり、ここで、RはC-Cアルキルであるかまたはさらに具体的には-CH-OCHであり);
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルコキシであり;
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルコキシまたは場合により置換されていてよいモルホリニル環であり;
は、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルであり;
---はC-CまたはC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、R-Hの水素は存在しない。);そして
---はC16-C17の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である(ただし、存在するとき、Rは=O以外である。)。〕
の構造を有するステロイドまたはその薬学的に許容される塩に関する。
【0017】
上に一般的に定義したとおり、Rは(C-Cアルキル)-O、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)およびHO(C-Cアルキル)C(O)から選択される。ある態様において、Rは好ましくはβ配位である(=O以外のときまたはC=CがC16-C17の間に存在しないとき)。ある態様において、Rは(C-Cアルキル)-O(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)(例えば、CHC(O)、CHCHC(O)、CHCHCHC(O)、CHCHCHCHC(O))およびHO(C-Cアルキル)C(O)(例えば、HOCHC(O)、HOCHCHC(O)、HOCHCHCHC(O)、HOCHCHCHCHC(O))から選択される。ある態様において、C-Cアルキルはメチルであり、それゆえRはメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびOHCHC(O)-から選択される。
【0018】
上に一般的に定義したとおり、Rは=O、HまたはORであり、ここで、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいアリールから選択されるが、Rが=Oであるとき、Rは存在しない。ある態様において、Rは=Oであり、Rは存在しない。ある態様において、RはHである。ある態様において、RはORである。ある態様において、RはORであり、Rは場合により置換されていてよいC、C、CもしくはCアルキル(例えば、メチル、エチル)、場合により置換されていてよいベンジルまたはO-ベンジルのようなO-アリールで置換されているC、C、CもしくはCアルキルである。ある態様において、RはORであり、Rは場合により置換されていてよいアリールである。ある態様において、RはORであり、RはHである。
【0019】
上に一般的に定義したとおり、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニル、場合により置換されていてよいC-Cアルキニルまたは場合により置換されていてよいアリールである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル)である。ある態様において、Rはメチルである。ある態様において、Rはトリフルオロメチルである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、CまたはCアルケニル(例えば、場合により置換されていてよいアリル)である。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、CまたはCアルキニル(例えば、場合により置換されていてよいアセチレンまたは場合により置換されていてよいプロパルギル)である。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいアリール(例えば、場合により置換されていてよいフェニル、例えばOH、メチルまたはCORで置換されているフェニルであり、ここで、Rは、例えば場合により置換されていてよいC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21またはC22アルキルまたはC、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21またはC22アルケニルを含む場合により置換されていてよいC-C22アルキルまたは場合により置換されていてよいC-C22アルケニルである)である。
【0020】
上に一般的に定義したとおり、RはHまたは非置換C-Cアルキルである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは非置換C、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルまたはn-ブチル)である。
【0021】
上に一般的に定義したとおり、Rは置換C-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルである。ある態様において、Rは置換C-Cアルキル、特にアルコキシ-置換C-Cアルキルである。他の具体的態様において、Rは置換メチル、より具体的にアルコキシ-置換メチル(またはさらに具体的には-CH-ORであり、ここで、RはC-Cアルキルであるか、またはさらに具体的に-CH-OCHである)である。他の態様において、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルケニルである。他の態様において、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルである。
【0022】
上に一般的に定義したとおり、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルコキシである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル)である。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはn-ブトキシ)である。ある態様において、Rが非水素基であるとき、Rはα(下向き)配位である。ある特定の好ましい態様において、しかしながら、Rが非水素基であるとき、Rはβ(上向き)配位である。
【0023】
上に一般的に定義したとおり、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルコキシまたは場合により置換されていてよいモルホリニル環である。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはn-ブトキシ)である。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいモルホリニル環である。ある態様において、Rが非水素基であるとき、Rはα(下向き)配位である。ある特定の好ましい態様において、しかしながら、Rが非水素基であるとき、Rはβ(上向き)配位である。
【0024】
上に一般的に定義したとおり、Rは、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル)である。ある態様において、Rが場合により置換されていてよいC-Cアルキルであるとき、Rはα(下向き)配位である。ある態様において、Rが場合により置換されていてよいC-Cアルキルであるとき、Rはβ(上向き)配位である。
【0025】
ある態様において、RおよびRはいずれもHである。ある態様において、RはORであり、RはHである。
【0026】
上に一般的に定義したとおり、---はC-CまたはC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であるが、存在するとき、R-Hの水素は存在しない。ある態様において、付加的C-C結合は存在せず、Cの水素はα配位またはβ配位である。ある態様において、付加的C-C結合は存在せず、Cの水素はα(下向き)配位である。ある態様において、付加的C-C結合は存在せず、Cの水素はβ(上向き)配位である。ある態様において、---はC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である。ある態様において、---はC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である。
【0027】
上に一般的に定義したとおり、---はC16-C17の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であるが、存在するとき、Rは=O以外である。ある態様において、付加的C-C結合が存在せず(すなわち、C=C結合ではない)、それゆえに、Rはα配位またはβ配位であり得る。ある態様において、付加的C-C結合が存在せず、Rはα(下向き)配位である。ある態様において、付加的C-C結合が存在せず、Rはβ(上向き)配位である。
【0028】
本発明は、ここで可能な種々の組み合わせおよび並べ替え(すなわち、置換基選択肢、位置および立体化学的配位の組み合わせ)の全てを含むことを企図し、意図することは注意すべきである。
【0029】
例えば、種々の態様において、本発明の化合物は、とりわけ、Rが=Oである;あるいは、RがHであってよく、RがHである(例えば、それゆえに、C11がそれに結合する置換基として2個の水素原子を有する)、式(I)の構造に包含されるものから選択され得る。ある態様において、RはORであってよく、ここで、Rはメチル、場合により置換されていてよいベンジルまたはO-ベンジルのようなO-アリールで置換されているC-Cアルキルである。ある態様において、RはH、メチル、トリフルオロメチルまたは置換アリール(例えば、置換フェニルであり、これは、場合によりさらに例えば、OH、メチルまたはCORで置換されていてよく、ここで、RはC-Cアルキルである)であってよく;さらに、RがH以外の何かであるときRは好ましくはβ配位である。ある態様において、RおよびRの各々は独立してHおよびメチルから選択され、Rはβ配位であり、Rは場合によりα配位またはβ配位であり(例えば、Rがメチルであるとき)、β配位が好ましい。ある態様において、RはH、メトキシ、エトキシおよび場合により置換されていてよいモルホリニル環から選択され、さらに、RがH以外の何かであるとき、Rは好ましくはβ配位である。ある態様において、Rは、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルから選択される。ある態様において、Rはメチル(例えば、α配位のメチル)である。
【0030】
ある態様において、C-Hはα配位であり、Rはβ配位の置換メチル基(例えば、アルコキシ-置換メチルまたは特にメトキシ-置換メチル)である。ある態様において、C-Hはβ配位であり、Rは、例えば、β配位の置換メチル(例えば、メトキシ-置換メチル)基である。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rはメチルである。ある態様において、Rは=Oまたはメトキシである。
【0031】
従って、記載したとおり、式(I)のステロイドは、本発明により、多数の多様な構造を包含し得る。
【0032】
が上に定義したとおりであり、Rがβ配位であり、Rがメチルであり、それゆえRがβ配位の置換メチルであり、RがHである、ある態様において、式(I-a)
【化6】
〔式中、---、R、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0033】
が=Oであり、Rが存在しない、式(I)のある態様において、式(I-b)
【化7】
〔式中、---、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0034】
およびRがHである、式(I)のある態様において、式(I-c)
【化8】
〔式中、---、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0035】
がORであり、RがHである、式(I)のある態様において、式(I-d)
【化9】
〔式中、---、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0036】
がHである、式(I)のある態様において、式(I-e)
【化10】
〔式中、---、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0037】
-CおよびC-Cの間の---が共に存在せず、C-Hがα配位である、式(I)のある態様において、式(I-f)
【化11】
〔式中、R、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0038】
がHである式(I)のある態様において、式(I-g)
【化12】
〔式中、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0039】
が=Oである、式(I)のある態様において、式(I-h)
【化13】
〔式中、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0040】
がORである式(I)のある態様において、式(I-i)
【化14】
〔式中、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0041】
-CおよびC-Cの間の---がC-Cの間にC=C結合を生じる付加的C-C結合である、式(I)のある態様において、式(I-j)
【化15】
〔式中、R、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0042】
-CおよびC-Cの間の---がC-Cの間にC=C結合を生じる付加的C-C結合である、式(I)のある態様において、式(I-k)
【化16】
〔式中、R、R、RおよびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。
【0043】
上に詳述した好ましい態様の一つ以上において、Rは、特にメトキシ、またはより一般的には低級アルコキシ、例えば、-O-(C-Cアルキル)から選択してよく、あるいはCHC(O)-またはHOCHC(O)-、またはより一般的には置換または非置換低級アルキル-カルボニル、例えば、(C-Cアルキル)C(O)-から選択してよく、ここで、炭素原子の1個以上が例えば、ヒドロキシル基で場合により置換されていてよいことが留意されるべきである。あるいは、Rはニトロまたはシアノから選択してよく、任意のC=CはC16-C17の間に存在する。さらに別の態様において、C17はカルボニル炭素であってよく(すなわち、Rが=Oである)、またはD環と縮合したオキシラン環の一部であってよい(すなわち、Rがスピロオキシラン置換基であり、ここで、C17が両環が共有する炭素原子である)。
【0044】
式(I)の化合物の例は、次のもの
【化17】
および薬学的に許容されるその塩を含むが、これらに限定されず、ここで、一つの好ましい態様において、RはCHである。
【0045】
ある態様において、式(I)のステロイドは
【化18】
および薬学的に許容されるその塩からなる群から選択され、ここで、Rは上に定義したとおりであり、一つの特定の態様において、Hであり、さらにこの態様および他の好ましい態様において、RはCHである。
【0046】
ある態様において、式(I)のステロイドは
【化19】
および薬学的に許容されるその塩からなる群から選択され、ここで、Rは上に定義したとおりであり、一つの特定の態様において、Hであり、さらにこの態様および他の好ましい態様において、RはCHである。
【0047】
ある態様において、式(I)のステロイドは
【化20】
および薬学的に許容されるその塩からなる群から選択され、ここで、Rおよび/またはRは上に定義したとおりであり、一つの特定の態様において、RはHであり、Rはメトキシであり、さらにこれらの態様または他の好ましい態様において、RはCHである。
【0048】
ある態様において、式(I)のステロイドは
【化21】
および薬学的に許容されるその塩からなる群から選択され、ここで、Rは上に定義したとおりであり、一つの特定の態様において、Hであり、さらにこの態様および他の好ましい態様において、RはCHである。
【0049】
ある態様において、式(I)のステロイドは
【化22】
および薬学的に許容されるその塩からなる群から選択され、ここで、Rは上に定義したとおりであり、一つの特定の態様において、Hであり、さらにこの態様および他の好ましい態様において、RはCHである。
【0050】
この点に関して、上に示した構造は多様な例示的態様であることは注意すべきである。従って、これらを限定的観点で見てはならない。
【0051】
2. プロドラッグ構造
他の態様において、本発明は、一般に上に詳述した多様なステロイドのプロドラッグに関する。一般的に言って、ここで使用する“プロドラッグ”は、上に詳述したステロイド(および特に式(I)のステロイド)の不活性なまたは顕著に活性が低い形態をいい、これは、投与後インビボで式(I)のステロイドの活性代謝物の1個以上に代謝される。プロドラッグは、当分野で一般に知られる手段を使用して形成してよく、それゆえに、本質的に当業者に認識されるあらゆる形態をとってよい。本発明のプロドラッグは、有利に、上に詳述したステロイド(および特に式(I)のステロイド)の改善した吸収、分布、代謝および/または排泄最適化を提供し、同時に改善した経口バイオアベイラビリティを提供し得る。
【0052】
本発明の他の態様において、ここに開示するステロイドのプロドラッグは、式(II)
【化23】
〔式中、
は(C-Cアルキル)-O(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)(例えば、CHC(O)、CHCHC(O)、CHCHCHC(O)、CHCHCHCHC(O))およびHO(C-Cアルキル)C(O)(例えば、HOCHC(O)、HOCHCHC(O)、HOCHCHCHC(O)、HOCHCHCHCHC(O))から選択され、Rは、=O以外であるときはβ配位であるのが好ましくおよび/または1個以上の好ましい態様においてC-Cアルキルはメチルであり、Rはそれゆえにメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびOHCHC(O)-から選択され;
は=O、HまたはORであり、ここで、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいアリールから選択され(ただし、Rが=Oであるとき、Rは存在しない。);
は=OまたはORであり、ここで、RはHまたはC(O)Rであり、ここで、Rは場合により置換されていてよいC-C22アルキルまたは場合により置換されていてよいC-C22アルケニルであり、RがOHであるときには、それはβ配位であり;
は独立してHおよび非置換C-Cアルキルから選択され;
は置換C-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルであり(特にアルコキシ-置換メチルまたはさらに具体的には-CH-ORであり、ここで、RはC-Cアルキルであるかまたはさらに具体的には-CH-OCHであり);
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルコキシであり;
はH、場合により置換されていてよいC-Cアルコキシまたは場合により置換されていてよいモルホリニル環であり;
は、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルであり;
---はC-CまたはC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であり(ただし、存在するとき、C-Hの水素はは存在しない。);そして
---はC16-C17の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である(ただし、存在するとき、Rは=Oではない。)。〕
の構造を有するものであるか、またはその薬学的に許容される塩である;
ただし、本化合物は次の構造
【化24】
を有するものではなく、あるいは、(i)Rが=Oであり、C=C結合がC-Cの間に存在し、RがCHOCHであるならば、Rはメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、ニトロおよびCHC(O)-から選択され;または(ii)Rがβ-OHであり、C=C結合がC-Cの間に存在し、RがCHOCHであるならば、Rはメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、ニトロおよびHOCHC(O)-から選択される。
【0053】
この点に関し、本発明は、ここで可能な種々の組み合わせおよび並べ替え(すなわち、置換基選択肢、位置および立体化学的配置の組み合わせ)の全てを含むことを企図し、意図することは注意すべきである。
【0054】
上に一般的に定義したとおり、Rは(C-Cアルキル)-O、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)およびHO(C-Cアルキル)C(O)から選択される。ある態様において、Rは好ましくはβ配位である(=O以外のときまたはC=CがC16-C17の間に存在しないとき)。ある態様において、Rは(C-Cアルキル)-O(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、(C-Cアルキル)C(O)(例えば、CHC(O)、CHCHC(O)、CHCHCHC(O)、CHCHCHCHC(O))およびHO(C-Cアルキル)C(O)(例えば、HOCHC(O)、HOCHCHC(O)、HOCHCHCHC(O)、HOCHCHCHCHC(O))から選択される。ある態様において、C-Cアルキルはメチルであり、それゆえRはメトキシ、スピロオキシラン、シアノ、=O、ニトロ、CHC(O)-およびOHCHC(O)-から選択される。
【0055】
上に一般的に定義したとおり、Rは=OまたはORであり、ここで、RはHまたはC(O)Rであり、ここで、Rは場合により置換されていてよいC-C22アルキルまたは場合により置換されていてよいC-C22アルケニル(例えば場合により置換されていてよいC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21またはC22アルキルまたはC、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21またはC22アルケニルを含む)であるが、ただし、RがOHであるとき、それはβ(上向き)配位である。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上向き)配位のOHである。ある態様において、RはOR、RはC(O)Rであり、Rは場合により置換されていてよいC-C22アルキルまたは場合により置換されていてよいC-C22アルケニルであり、例えば、C(O)CHであり、このような場合、基Rはαまたはβ配位のいずれかで提供される(β配位が好ましい)。ある態様において、RがORであり、RがHであるならば、Rはβ(上向き)配位のOHである。
【0056】
上に一般的に定義したとおり、Rは=O、HまたはORであり、ここで、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいアリールから選択される(ただし、Rが=Oであるとき、Rは存在しない。)。ある態様において、Rは=Oであり、Rは存在しない。ある態様において、RはHである。ある態様において、RはORである。ある態様において、RはORであり、Rは場合により置換されていてよいC、C、CもしくはCアルキル(例えば、メチル、エチル)、場合により置換されていてよいベンジルまたはO-ベンジルのようなO-アリールで置換されているC、C、CもしくはCアルキルである。ある態様において、RはORであり、Rは場合により置換されていてよいアリールである。ある態様において、RはORであり、RはHである。
【0057】
上に一般的に定義したとおり、RはHまたは非置換C-Cアルキルである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは非置換C、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルまたはn-ブチル)である。
【0058】
上に一般的に定義したとおり、Rは置換C-Cアルキル、場合により置換されていてよいC-Cアルケニルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルである。ある態様において、Rは置換C-Cアルキル、特にアルコキシ-置換C-Cアルキルである。他の具体的態様において、Rは置換メチル、より具体的にアルコキシ-置換メチルである(またはさらに具体的には-CH-ORであり、ここで、RはC-Cアルキルであるか、またはさらに具体的に-CH-OCH)。他の態様において、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルケニルである。他の態様において、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキニルである。
【0059】
上に一般的に定義したとおり、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルキルまたは場合により置換されていてよいC-Cアルコキシである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル)である。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはn-ブトキシ)である。ある態様において、Rが非水素基であるとき、Rはα(下)配位である。ある特定の好ましい態様において、しかしながら、Rが非水素基であるとき、Rはβ(上)配位である。
【0060】
上に一般的に定義したとおり、RはH、場合により置換されていてよいC-Cアルコキシまたは場合により置換されていてよいモルホリニル環である。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシまたはn-ブトキシ)である。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいモルホリニル環である。ある態様において、Rが非水素基であるとき、Rはα(下)配位である。ある特定の好ましい態様において、しかしながら、Rが非水素基であるとき、Rはβ(上)配位である。
【0061】
上に一般的に定義したとおり、Rは、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rは場合により置換されていてよいC、C、CまたはCアルキル(例えば、メチル)である。ある態様において、Rが場合により置換されていてよいC-Cアルキルであるとき、Rはα(下)配位である。ある態様において、Rが場合により置換されていてよいC-Cアルキルであるとき、Rはβ(上)配位である。
【0062】
ある態様において、RおよびRはいずれもHである。ある態様において、RはORであり、RはHである。
【0063】
上に一般的に定義したとおり、---はC-CまたはC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であるが、存在するとき、R-Hの水素は存在しない。ある態様において、付加的C-C結合は存在せず、Cの水素はα配位またはβ配位である。ある態様において、付加的C-C結合は存在せず、Cの水素はα(下)配位である。ある態様において、付加的C-C結合は存在せず、Cの水素はβ(上)配位である。ある態様において、---はC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である。ある態様において、---はC-Cの間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合である。
【0064】
上に一般的に定義したとおり、---はC16-C17の間にC=C結合を生じる任意の付加的C-C結合であるが、存在するとき、Rは=O以外である。ある態様において、付加的C-C結合が存在せず(すなわち、C=C結合ではない)、それゆえに、Rはα配位またはβ配位であり得る。ある態様において、付加的C-C結合が存在せず、Rはα(下)配位である。ある態様において、付加的C-C結合が存在せず、Rはβ(上)配位である。
【0065】
ある態様において、本発明のプロドラッグは、Rが=Oである、式(II)の構造により包含されるものから選択し得る。ある態様において、RはHであり、RはHであり、例えば、C11はそれゆえに置換基としてそれに結合した2個の水素原子を有する。ある態様において、RはORであってよく、ここで、Rはメチル、場合により置換されていてよいベンジルまたはO-ベンジルのようなO-アリールで置換されているC-Cアルキルである。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ-ヒドロキシである。ある態様において、RはORであり、ここで、RはHまたはC(O)Rであり、ここで、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキル(例えば、メチル)である。ある態様において、RおよびRの各々は独立してHおよびメチルから選択される。ある態様において、Rは、C-Cの間の炭素-炭素二重結合が存在しないならば、所望によりα配位の、場合により置換されていてよいアルキル、例えば、メチルである。ある態様において、Rは、C-Cの間の炭素-炭素二重結合が存在しないならば、所望によりβ配位の、場合により置換されていてよいアルキル、例えば、メチルである。ある態様において、RはH、メトキシ、エトキシおよび場合により置換されていてよいモルホリニル環から選択される。ある態様において、Rは非水素基であり、Rはβ配位である。ある態様において、炭素-炭素二重結合(または不飽和結合)は、C-CまたはC-Cの炭素原子の間に存在し得る。ある態様において、Rは、存在するとき、Hまたは場合により置換されていてよいC-Cアルキルから選択され、好ましくはメチル、より好ましくはα-メチルである。
【0066】
ある態様において、RはOHであり、β配位である。ある態様において、炭素-炭素二重結合がC-C炭素原子の間に存在する。ある態様において、炭素-炭素二重結合がC-C炭素原子の間に存在する。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはメトキシである。ある態様において、RはHである。ある態様において、Rはβ-メトキシである。ある態様において、Rはβ-エトキシである。
【0067】
がメチルであり、それゆえRがβ配位の置換メチルであり、RはHである、ある態様において、式(II-a)
【化25】
〔式中、R、---、R、R、R(好ましくはβ配位である)およびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、---は、C-CまたはC-Cの間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0068】
が=Oであり、Rが存在しない、式(II)のある態様において、式(II-b)
【化26】
〔式中、R、---、RおよびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、---は、C-CまたはC-Cの間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0069】
がHであり、RがHである、式(II)のある態様において、式(II-c)
【化27】
〔式中、R、---、RおよびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、C-CおよびC-Cの間の---は共に存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、---は、C-CまたはC-Cの間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0070】
がORであり、RがHである、式(II)のある態様において、式(II-d)
【化28】
〔式中、R、---、R、R(好ましくはβ配位である)およびRはここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、---は何れも存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、---は何れも存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、---は、C-CまたはC-Cの間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0071】
はHである式(II)のある態様において、式(II-e)
【化29】
〔式中、R、---、R、RおよびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、---は何れも存在せず、C-Hはα配位である。ある態様において、---は何れも存在せず、C-Hはβ配位である。ある態様において、---は、C-CまたはC-Cの間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0072】
-CおよびC-Cの間の---が存在せず、C-Hがα配位である、式(II)のある態様において、式(II-f)
【化30】
〔式中、R、R、R、R(好ましくはβ配位である)およびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0073】
がHである、式(II)のある態様において、式(II-g)
【化31】
〔式中、R、R、RおよびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0074】
が=Oである、式(II)のある態様において、式(II-h)
【化32】
〔式中、R、RおよびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0075】
がORである、式(II)のある態様において、式(II-i)
【化33】
〔式中、R、R、RおよびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す
【0076】
---がC-Cの間にC=C結合を生じる付加的C-C結合である、式(II)のある態様において、式(II-j)
【化34】
〔式中、R、R、R、R(好ましくはβ配位である)およびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す
【0077】
---がC-Cの間にC=C結合を生じる付加的C-C結合である、式(II)のある態様において、式(II-k)
【化35】
〔式中、R、R、R、R(好ましくはβ配位である)およびR(好ましくはβ配位である)はここに定義したとおりであり、さらに、Rは場合により置換されていてよいC-Cアルキルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。ある態様において、Rは=Oである。ある態様において、Rはβ(上)配位のOHである。ある態様において、C16-C17の間の---は存在せず、Rはβ配位である。ある態様において、---は、C16-C17の間のC=C結合を生じる付加的C-C結合を表す。
【0078】
上に詳述した好ましい態様の一つ以上において、Rは、特にメトキシまたはより一般的には低級アルコキシ、例えば、-O-(C-Cアルキル)から選択してよく、あるいはCHC(O)-またはHOCHC(O)-またはより一般的には置換または非置換低級アルキル-カルボニル、例えば、(C-Cアルキル)C(O)-から選択されてよく、ここで、炭素原子の1個以上が例えば、ヒドロキシル基で場合により置換されていてよいことが留意されるべきである。あるいは、Rはニトロまたはシアノから選択してよく、任意のC=CはC16-C17の間に存在する。さらに別の態様において、C17はカルボニル炭素であってよく(すなわち、Rが=Oである)、またはD環と縮合したオキシラン環の一部であってよい(すなわち、Rがスピロオキシラン置換基であり、ここで、C17が両環が共有する炭素原子である)。
【0079】
式(II)の化合物の例は、次のもの
【化36】
および薬学的に許容されるその塩を含むが、これらに限定されず、ここで、一つの好ましい態様において、RはCHである。
【0080】
この点に関して、上に示した構造は多様な例示的態様であることが留意されるべきである。従って、これらを限定的観点で見てはならない。
【0081】
3. 製造方法および医薬組成物
本発明の化合物であるステロイドまたはそのプロドラッグは、種々の態様において、当分野で一般に知られる手段により、製造され、使用され得ることが留意されるべきである。例えば、ある態様において、本発明のステロイドまたはプロドラッグは、例えば、Rが場合により置換されていてよいモルホリニル環であるとき、薬学的に許容される塩形態で製造し、使用してよい。適切な塩形態は、例えば、クエン酸塩または塩酸塩形態を含む。
【0082】
本発明の種々の態様において、本発明は、ここに開示する式で表されるステロイド、プロドラッグまたはそれらの2以上の組み合わせを含み得る医薬組成物を開示する。本発明の化合物であるステロイド(またはそのプロドラッグ)ならびに種々の塩形態および他の薬学的に許容される形態、例えば、ここに記載する化合物の溶媒和物および/または水和物およびそれらを含む医薬組成物は、一般に当分野で知られる方法および/またはここに提供する実施例に記載される方法ならびに技術を使用して製造してよい。
【0083】
特定の理論に拘束れることは望まないが、本発明の化合物であるステロイドは、GABA受容体でのGABAの増強に、それゆえに対象、例えば、ヒト対象における麻酔の導入にまたはGABA機能と関係する障害(例えば、不眠症、気分障害、けいれん性障害、不安障害またはエタノール離脱に伴う症状)の処置に有用であり、好ましくは有効量の本発明の化合物および所望により薬学的にまたは薬理学的に許容される担体を含む医薬組成物の形で投与する。
【0084】
一つの面において、麻酔を、これを必要とする対象に導入する方法が提供され、該方法は、該対象に上記ステロイドまたはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩の1個以上またはその医薬組成物を投与することを含む。
【0085】
他の面において、処置を必要とする対象におけるGABA機能と関係する障害の処置方法が提供され、該方法は、該対象に上記ステロイドまたはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩の1個以上またはその医薬組成物を投与することを含む。ある態様において、障害は不眠症、気分障害、けいれん性障害、不安またはエタノール離脱に伴う症状からなる群から選択される。
【0086】
本発明の一つの態様において、化合物の治療有効量は約5mg/kg~約20mg/kg、約5mg/kg~約18mg/kg、約5mg/kg~約16mg/kg、約5mg/kg~約14mg/kg、約5mg/kg~約12mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約6mg/kg~約10mg/kg、約6mg/kg~約9mg/kg、約7mg/kg~約9mg/kgまたは約8mg/kg~約16mg/kgである。ある態様において、化合物の治療有効量は約8mg/kgである。ここに記載する投与量範囲は、成人に提供される医薬組成物を投与するための指針を提供するものであることが理解されるべきである。例えば、小児または未成年者に投与すべき量は医師または当業者により決定でき、成人に投与する量より低用量であっても、同量であってもよい。
【0087】
有効量を達成するために必要な化合物の量は、例えば、対象の種、年齢および一般的身体状態、特定の化合物の特性、投与方法などによって、対象毎に異なる。所望の投与量を1日3回、1日2回、1日1回、隔日、3日毎、毎週、隔週、3週毎または4週毎に送達できる。ある態様において、所望の投与量を複数回投与を使用して送達してよい(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回またはそれ以上の投与)。
【0088】
ここに記載する化合物または組成物を、1個以上の付加的治療活性剤と組み合わせて投与できることもまた認識される。本化合物または組成物を、バイオアベイラビリティの改善、代謝の低下および/または修飾、排泄の制限および/または体内分布の修飾のために付加的治療活性剤を組み合わせて投与することも可能である。
【0089】
本化合物または組成物は、1個以上の付加的治療活性剤と同時に、その前にまたはその後に投与することができる。一般に、各薬物を、その薬物について定められた投与量および/またはタイム・スケジュールで投与する。本組み合わせで使用する付加的治療活性剤を、単一組成物として合併投与しても、異なる組成物で個々に投与してもよいこともまた認識される。あるレジメンにおいて用いるための特定の組み合わせは、本発明の化合物と付加的治療活性剤の適合性および/または達成すべき所望の治療効果を考慮に入れる。一般に、組み合わせて使用する付加的治療活性剤は、個々に用いるときのレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。ある態様において、組み合わせで用いるレベルは、個々に用いられるレベルより低い。治療活性剤の例は、小有機分子、例えば医薬剤化合物(例えば、連邦規制基準(CFR)の規定に基づいて米国食品医薬品局により承認された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたはタンパク質、タンパク質に結合した小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミンおよび細胞を含む。
【0090】
本医薬組成物はまた少なくとも1種の薬学的に許容される担体と組み合わせ得る。当分野では賦形剤、媒体、補助剤、アジュバントまたは希釈剤としても知られる担体は、薬学的に不活性であり、組成物に適切な稠度または形を与え、化合物の治療効果を低下させないあらゆる物質をいう。担体は、哺乳動物またはヒトに、必要に応じて、投与したとき、不都合な、アレルギー性のまたは他の有害な反応を生じないならば、“薬学的にまたは薬理学的に許容される”。
【0091】
本発明の化合物であるステロイドを含む医薬組成物を、任意の慣用法で製剤してよい。適した製剤は、選択した投与経路による。ここに開示する組成物は、標的組織が利用可能である経路でさえあれば、あらゆる投与経路用に製剤してよい。適切な投与経路は、経口、非経腸(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、腹腔内または胸骨内)、局所(経鼻、経皮、眼内)、膀胱内、髄腔内、経腸、肺、リンパ内、体腔内、膣、経尿道、皮内、耳、乳房内、バッカル、同所性、気管内、病巣内、経皮、内視鏡的、経粘膜、舌下および腸管投与を含むが、これらに限定されない。ある態様において、投与経路は経口である。ある態様において、投与経路は非経腸である。ある態様において、投与経路は静脈内である。
【0092】
本発明の組成物において使用するための薬学的に許容される担体は当業者に周知であり、例えば、使用する特定の化合物およびその濃度、安定性および意図するバイオアベイラビリティ、本組成物で処置する疾患、障害または状態、対象、その年齢、身体サイズおよび一般的身体状態、および/または投与経路を含む多くの因子に基づき選択される。適切な担体は当業者により容易に決定され得る(例えば、J. G. Nairn, in: Remington's Pharmaceutical Science (A. Gennaro, ed.), Mack Publishing Co., Easton, Pa., (1985), pp.1492-1517参照)。
【0093】
組成物は錠剤、分散可能粉末剤、丸剤、カプセル剤、ジェルキャップ剤、カプレット剤、ゲル剤、リポソーム剤、顆粒剤、液剤、懸濁液剤、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤、トローチ剤、糖衣錠剤、ロゼンジ剤または経口で投与できる任意の他の投与形態として製剤してよい。本発明において有用な経口投与形態を製造するための技術および組成は次の参考文献の例に記載されている。7 Modern Pharmaceutics, Chapters 9 and 10 (Banker & Rhodes, Editors, 1979); Lieberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets (1981); およびAnsel, Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 2nd Edition (1976).。
【0094】
経口投与のために設計された本発明の組成物は、薬学的に許容される担体中に有効量の本発明の化合物を含む。固形投与形態のための適切な担体は、糖、デンプンならびにラクトース、タルク、スクロース、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、寒天、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、カオリン、アルギン酸、アカシア、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サッカリンナトリウム、炭酸マグネシウム、トラガカント、微結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸を含む他の慣用の物質を含む。さらに、このような固形投与形態は、コーティングしなくても、既知技術によりコーティングしてもよい(例えば、崩壊および吸収を遅延させるため)。
【0095】
本発明の化合物であるステロイドおよびプロドラッグはまた非経腸投与のために製剤してもよい(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、腹腔内または胸骨内経路を介する注射のための製造)。非経腸投与のための本発明の組成物は、薬学的に許容される担体中に有効量の本化合物を含む。非経腸投与に適する投与形態は、溶液、懸濁液、分散剤、エマルジョンまたは非経腸的に投与できる任意の他の投与量形態を含む。非経腸投与形態を製造するための方法および組成は当分野で知られる。非経腸投与のための製剤は典型的に無菌であるかまたは投与前に滅菌する。
【0096】
経口または非経腸投与のための液体投与形態の製剤に適切な担体は、非水性の、薬学的に許容される極性溶媒、例えば、油、アルコール、アミド、エステル、エーテル、ケトン、炭化水素およびこれらの混合物ならびに水、食塩水溶液、デキストロース溶液(例えば、DW5)、電解質溶液または任意の他の水性の、薬学的に許容される液体を含む。
【0097】
適切な非水性で、薬学的に許容される極性溶媒は、アルコール(例えば、α-グリセロールホルマール、β-グリセロールホルマール、1,3-ブチレングリコール、2~30個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、アミレン水和物、ベンジルアルコール、グリセリン(グリセロール)、グリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコールまたはステアリルアルコール、脂肪アルコールの脂肪酸エステル、例えばポリアルキレングリコール(例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ソルビタン、スクロースおよびコレステロール);アミド(例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、安息香酸ベンジルDMA、ジメチルホルムアミド、N-(β-ヒドロキシエチル)-ラクトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピロリジノンまたはポリビニルピロリドン);エステル(例えば、1-メチル-2-ピロリジノン、2-ピロリジノン、酢酸エステル、例えばモノアセチン、ジアセチンおよびトリアセチン、脂肪族または芳香族エステル、例えばカプリル酸エチルまたはオクタン酸エチル、オレイン酸アルキル、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリンのエステル、例えばクエン酸または酒石酸のモノ、ジまたはトリグリセリル、安息香酸エチル、酢酸エチル、炭酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、ソルビタンの脂肪酸エステル、脂肪酸由来PEGエステル、モノステアリン酸グリセリル、モノ、ジまたはトリグリセリドのようなグリセリドエステル、ミリスチン酸イソプロピルのような脂肪酸エステル、脂肪酸由来PEGエステル、例えばPEG-ヒドロキシオレアートおよびPEG-ヒドロキシステアレート、N-メチルピロリジノン、pluronic 60、ポリオキシエチレンソルビトールオレイックポリエステル、例えばポリ(エトキシル化)30-60ソルビトールポリ(オレアート)2-4、ポリ(オキシエチレン)15-20モノオレアート、ポリ(オキシエチレン)15-20モノ12-ヒドロキシステアレートおよびポリ(オキシエチレン)15-20モノ-リシンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレン-ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン-モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン-ソルビタンモノステアレートおよびICI Americas, Wilmington, Del.からのPolysorbate(登録商標)20、40、60または80)、ポリビニルピロリドン、アルキレンオキシ修飾脂肪酸エステル(例えばポリオキシル40水素化ヒマシ油、シクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリン(例えば、β-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン))、サッカライド脂肪酸エステル(すなわち、単糖(例えば、五炭糖、例えばリボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびキシルロース、六炭糖、例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびソルボース、トリオース、四炭糖、七炭糖および八炭糖)、二糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトースおよびトレハロース)またはオリゴ糖またはこれらの混合物とC-C22脂肪酸(s)(例えば、飽和脂肪酸、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸および不飽和脂肪酸、例えばパルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸およびリノール酸))またはステロイド性エステル)の縮合産物;2~30個の炭素原子を有するアルキル、アリールまたは環状エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル);グリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);3~30個の炭素原子を有するケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);4~30個の炭素原子を有する脂肪族、シクロ脂肪族または芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキソラン、ヘキサン、n-デカン、n-ドデカン、n-ヘキサン、スルホラン、テトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホキシド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはテトラメチレンスルホキシド);鉱油、植物油、動物油、精油または合成起源の油(例えば、鉱油、例えば脂肪族または蝋ベースの炭化水素、芳香族炭化水素、混合脂肪族および芳香族ベースの炭化水素および精製パラフィン油、植物油、例えば亜麻仁油、桐油、紅花油、大豆油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、菜種油、ココナツ油、ヤシ油、オリーブ油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、ゴマ油、杏仁油およびピーナツ油およびグリセリド、例えばモノ、ジまたはトリグリセリド、動物油、例えば魚油、マリンオイル、マッコウクジラ油、肝油、ハリバ肝油、スクアレン、スクアランおよび鮫肝油、オレイン酸油およびポリオキシエチル化ヒマシ油);1~30個の炭素原子および場合により1個を超えるハロゲン置換基を有するアルキルまたはアリールハライド;塩化メチレン;モノエタノールアミン;石油ベンジン;トロラミン;オメガ-3多不飽和脂肪酸(例えば、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸);12-ヒドロキシステアリン酸のポリグリコールエステルおよびポリエチレングリコール(BASF, Ludwigshafen, GermanyのSolutol(登録商標)HS-15);ポリオキシエチレングリセロール;ラウリン酸ナトリウム;オレイン酸ナトリウム;またはモノオレイン酸ソルビタンを含むが、これらに限定されない。
【0098】
本発明で使用するための他の薬学的に許容される溶媒は当業者に周知であり、The Handbook of Pharmaceutical Excipients (American Pharmaceutical Association, Washington, D.C., and The Pharmaceutical Society of Great Britain, London, England, 1968)、Modern Pharmaceutics (G. Banker et al., eds., 3d ed.) (Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1995)、The Pharmacological Basis of Therapeutics (Goodman & Gilman, McGraw Hill Publishing)、Pharmaceutical Dosage Forms (H. Lieberman et al., eds.,) (Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., 1980)、Remington's Pharmaceutical Sciences (A. Gennaro, ed., 19th ed.) (Mack Publishing, Easton, Pa., 1995)、The United States Pharmacopeia 24, The National Formulary 19 (National Publishing, Philadelphia, Pa., 2000), A. J. Spiegel et al.およびUse of Nonaqueous Solvents in Parenteral Products, J. of Pharm. Sciences, Vol. 52, No. 10, pp. 917-927 (1963)に示されている。
【0099】
好ましい溶媒はシクロデキストリンまたは修飾シクロデキストリン(例えば、β-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン)ならびにトリグリセリドに富む油、例えば、紅花由、大豆油またはこれらの混合物およびアルキレンオキシ修飾脂肪酸エステル、例えばポリオキシル40水素化ヒマシ油を含む。市販のトリグリセリドは、Intralipid(登録商標)乳化大豆油(Kabi-Pharmacia Inc., Stockholm, Sweden)、Nutralipid(登録商標)エマルジョン(McGaw, Irvine, Calif.)、Liposyn(登録商標)II 20%エマルジョン(溶液1mlあたり100mg 紅花油、100mg 大豆油、12mg 卵フォスファチドおよび25mg グリセリンを含む20%脂肪エマルジョン溶液;Abbott Laboratories, Chicago, Ill.)、Liposyn(登録商標)III 2%エマルジョン(溶液1mlあたり100mg 紅花由、100mg 大豆油、12mg 卵フォスファチドおよび25mg グリセリンを含む2%脂肪エマルジョン溶液;Abbott Laboratories, Chicago, Ill.)、総脂肪酸含量に基づき、25~100重量%でドコサヘキサエノイル基を含む天然または合成グリセロール誘導体(Dhasco(登録商標)(Martek Biosciences Corp., Columbia, Md.)から、DHA Maguro(登録商標)(Daito Enterprises, Los Angeles, Calif.)、Soyacal(登録商標)およびTravemulsion(登録商標)を含む。
【0100】
医薬品業界で周知の多様な目的で、さらなる微量成分をここに開示する組成物に加えてよい。これらの成分は、大部分、化合物の投与部位への保持を延長する、組成物の安定性を保護する、pHを調節する、化合物の医薬製剤への加工を容易にするなどの効果をもたらす特性を付与するものである。好ましくは、これらの成分の各々は、個々に、全組成物の約15wt%未満、より好ましくは、全組成物の約5wt%未満、最も好ましくは約0.5wt%未満で存在する。充填剤または希釈剤のような一部の成分は、製剤分野で周知のように、全組成物の90wt%までを構成し得る。このような添加剤は、低温析出防止剤、界面活性剤、湿潤剤または乳化剤(例えば、レシチン、Polysorbate-80、Tween(登録商標)80、Pluronic 60、ポリオキシエチレンステアレート)、防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチル)、微生物防腐剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、クロロブタノール、ソルビン酸、チメロサールおよびパラベン)、pH調節剤または緩衝剤(例えば、酸、塩基、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン)、浸透圧調節剤(例えば、グリセリン)、増粘剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、グアーゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、トリステアリン、セチル蝋エステル、ポリエチレングリコール)、着色剤、染料、流動助剤、非揮発性シリコーン(例えば、シクロメチコン)、クレイ(例えば、ベントナイト)、接着剤、増量剤、風味剤、甘味剤、吸着剤、充填剤(例えば、糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロースまたはリン酸カルシウム)、希釈剤(例えば、水、食塩水、電解質溶液)、結合剤(例えば、デンプン、例えばメイズデンプン、小麦デンプン、コメデンプンまたはジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、糖、ポリマー、アカシア)、崩壊剤(例えば、デンプン、例えばメイズデンプン、小麦デンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムまたはクロスポビドン)、滑沢剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムまたはポリエチレングリコール)、コーティング剤(例えば、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコールまたは二酸化チタンを含む濃縮糖溶液)および抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、デキストロース、フェノールおよびチオフェノール)を含む。
【0101】
これらの経路による投与は、例えば、患者の生理状態、投与の目的が治療か予防かおよび技術を有する実施者に知られ、評価可能な他の因子を考慮して、連続的または間欠的に行われ得る。
【0102】
麻酔剤の投与に関して通常の技術を有するものは、本発明の医薬組成物の投与量および投与レジメンを容易に決定でき、または、不眠症、気分障害、けいれん性障害、不安またはエタノール離脱の症状の処置において使用するために有効な投与量をタイトレーションできる。本化合物の投与量は、受容者の年齢、性別、身体状態および体重、同時の処置が、あるならば、そのタイプ、処置の頻度および望む効果の性質によることが理解される。あらゆる投与方法に関して、ここに記載する有利な効果を達成するのに必要な、化合物の実際の送達量ならびに投与スケジュールは、一部、化合物のバイオアベイラビリティ、処置する障害、所望の治療量および当業者に明らかな他の因子にもよる。動物、特にヒトに投与する投与量は、本発明の状況において、合理的な期間にわたり、該動物に所望の治療反応を起こすのに十分でなければならない。好ましくは、経口で投与であれ、他の経路であれ、化合物の有効量は、その経路で投与したとき、所望の治療応答を生じる量である。投与量は投与スケジュールにより変わってよく、必要に応じて所望の治療効果を達成するために調節できる。最も好ましい投与量は、当業者が理解するように、過度の実験を要することなく、個々の対象に合わせて決定することができる。
【0103】
一つの態様において、経口投与用溶液を、溶液を製造するために化合物を溶解できる任意の薬学的に許容される溶媒(例えば、エタノールまたは塩化メチレン)に化合物を溶解する。該溶液に、適当な容量のβ-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンのような溶液である担体を撹拌しながら添加し、患者への経口投与用の薬学的に許容される溶液を調製する。所望により、一定濃度を超えて含む経口製剤を投与したとき有害な生理作用を起こすことが知られるエタノールを最少限に減らすか、または全く含まないように製剤することができる。
【0104】
他の態様において、経口投与のための散剤または錠剤を製造するために、化合物を溶解し得る任意の薬学的に許容される溶媒(例えば、エタノールまたは塩化メチレン)に溶解する。該溶媒を所望により蒸発させて、溶液を減圧下に乾燥させることができる。β-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンのようなさらなる担体を、乾燥前に溶液に添加できる。得られた溶液を減圧下乾燥して、ガラス状物質を形成する。次いで、本ガラス状物質を結合剤と混合して粉末を形成する。粉末を充填剤または他の慣用の打錠剤と混合し、圧縮して患者に経口投与するための錠剤を形成できる。該粉末を上記のいずれかの液体担体に添加して、経口投与のための溶液、エマルジョン、懸濁液なども形成できる。
【0105】
非経腸投与のためのエマルジョンを製造するために、化合物を溶解できる任意の薬学的に許容される溶媒(例えば、エタノールまたは塩化メチレン)に溶解する。Liposyn(登録商標)IIまたはLiposyn(登録商標)IIIエマルジョンのようなエマルジョンである担体の適当な容量を撹拌しながら溶液に添加して、患者に非経腸投与するための薬学的に許容されるエマルジョンを形成する。
【0106】
非経腸投与のための溶液を、化合物を溶解できる任意の薬学的に許容される溶媒(例えば、エタノールまたは塩化メチレン)に溶解することにより製造できる。β-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンのような溶液である担体の適当な容量を撹拌しながら溶液に添加して、患者に非経腸投与するための薬学的に許容される溶液を形成する。
【0107】
所望により、当業者に知られるとおり、上記の経口または非経腸投与のためのエマルジョンまたは溶液を、濃縮された形態でIVバッグ、バイアルまたは他の慣用の容器に包装し、使用前に許容される濃度となるように食塩水のような任意の薬学的に許容される液体で希釈できる。
【0108】
本発明に、さらに包含されるのはキット(例えば、医薬パック)である。提供されるキットは、ここに記載する化合物および容器(例えば、バイアル、アンプル、ビン、シリンジおよび/またはディスペンサーパッケージまたは他の適切な容器)を含み得る。ある態様において、提供されるキットは、所望によりさらに希釈用医薬担体または医薬組成物もしくは化合物の懸濁液を含む第二容器を含む。ある態様において、容器および第二容器に提供される医薬組成物または化合物は、1単位投与量形態を形成するために組み合わされる。
【0109】
所望により、本発明のこのようなキットに使用指示をさらに追加する。このような指示は、一般に、例えば、投与量および投与のための指示を提供する。他の態様において、指示は、投与のための特定の容器および/またはシステムについての特別な指示に関係するさらなる情報を提供する。また、指示は他の治療剤と併用および/または組み合わせて使用するための特別な指示を提供し得る。
【0110】
4. 定義
ここで使用する用語“ステロイド”は、その構造骨格にシクロペンタ[a]フェナントレン環系を含む有機化合物をいう。
【0111】
ここで使用する用語“薬学的に許容される塩”は、妥当な医学的判断において、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答などを生じることなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに適し、合理的な利益/危険比をもたらす塩をいう。薬学的に許容される塩は当分野で周知である。例えば、Berge et al.は、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に薬学的に許容される塩を詳述する。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、適切な無機および有機の酸および塩基に由来するものを含む。薬学的に許容され、非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸のような有機酸とまたはイオン交換のような当分野で使用される他の方法を使用して形成されたアミノ基の塩をいう。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。適当な塩基由来の塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1-4アルキル)塩を含む。代表的アルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。さらに薬学的に許容される塩は、適当であるならば、ハライド、ヒドロキシド、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩のようなカウンターイオンを使用して形成した非毒性アンモニウム、四級アンモニウムおよびアミンカチオンを含む。
【0112】
ここで使用する用語“プロドラッグ”は、低活性または不活性形態で投与される薬理学的物質をいう。投与後、プロドラッグは、インビボで、例えば、加水分解、酸化によって、または生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)の反応で代謝されて、活性代謝物を生じる。例えば、Wu, Pharmaceuticals (2009) 2:77-81参照。ある態様において、プロドラッグは、親化合物よりも物理特性および/または送達特性が改善している。プロドラッグは、典型的に親化合物に基づく薬効および/または薬物動態の特性を増強するために設計される。プロドラッグの利点は、親化合物と比較して非経腸投与のために生理学的pHで水溶性が高いまたは消化管または皮膚からの吸収が増強されているまたは長期保存のために薬物安定性が増強され得るようなその物理的特性に資する。
【0113】
ここで使用する、投与が企図される“対象”は、哺乳動物、例えば、ヒト(すなわち、あらゆる年齢層の男女、例えば、小児対象(例えば、小児、未成年者)または成人対象(例えば、若年成人、中年成人または老人))、他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)ならびにウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよび/またはイヌのような商業的価値に関係する哺乳動物を含むが、これらに限定されない。本発明の如何なる面および/または態様においても、対象はヒトである。
【0114】
ここで使用する化合物の“治療有効量”、“十分な量”または“十分量”は、所望の生物学的応答、例えば、鎮痛のために必要とされる化合物のレベル、量または濃度を意味する。
【0115】
ここで使用する用語“飽和”は、原子(特に炭素)の全ての利用可能な原子価結合が他の原子に結合している状態をいう。
【0116】
ここで使用する用語“不飽和”は、アルキル鎖に添った全ての利用可能な原子価結合が充足されているわけではない状態をいい、このような化合物においては、余分な結合は、通常(主として炭素間の)二重結合または三重結合を形成する。
【0117】
数値の範囲が記載されているとき、該範囲内の各数値および部分的範囲を包含することが意図される。例えば“C1-4アルキル”は、C、C、C、C、C1-3、C1-2、C2-4、C2-3およびC3-4アルキルを含むことを意図し、“C1-22アルキル”は、例えば、C、C、C、CなどならびにC1-21、C1-20、C1-15、C1-10、C2-20、C2-15、C2-10、C3-15、C3-10などのアルキルを含むことを意図する。
【0118】
ここで使用する“アルキル”は、ある態様において、1~4個の炭素原子(“C1-4アルキル”)および他の態様において1~22個の炭素原子(“C1-22アルキル”)を有する、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基のラジカルをいう。ある態様において、アルキル基は1~3個の炭素原子(“C1-3アルキル”)を有する。ある態様において、アルキル基は1~2個の炭素原子(“C1-2アルキル”)を有する。ある態様において、アルキル基は1個の炭素原子(“Cアルキル”)を有する。ある態様において、アルキル基は2~4個の炭素原子(“C2-4アルキル”)を有する。さらに他の態様において、アルキル基は1~21個の炭素原子(“C1-21アルキル”)、1~20個の炭素原子(“C1-20アルキル”)、1~15個の炭素原子(“C1-15アルキル”)、1~10個の炭素原子(“C1-10アルキル”)などを有する。このようなアルキル基の例は、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、イソプロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、イソブチル(C)、ペンチル(C)などを含む。
【0119】
ここで使用する“アルケニル”または“アルケン”は、ある態様において、2~4個の炭素原子(“C2-4アルケニル”)および他の態様において2~22個の炭素原子(“C2-22アルケニル”)および1個以上の炭素-炭素二重結合を有する、直鎖または分枝鎖炭化水素基のラジカルをいう。ある態様において、アルケニル基は2~3個の炭素原子(“C2-3アルケニル”)を有する。ある態様において、アルケニル基は2個の炭素原子(“Cアルケニル”)を有する。さらに他の態様において、アルケニル基は2~21個の炭素原子(“C2-21アルケニル”)、2~20個の炭素原子(“C2-20アルケニル”)、2~15個の炭素原子(“C2-15アルケニル”)、2~10個の炭素原子(“C2-10アルキル”)などを有する。1個以上の炭素-炭素二重結合は内部(例えば2-ブテニルにおける)でも末端(例えば1-ブテニルにおける)でもよい。このようなアルケニル基の例は、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、1-ペンテニル(C)、2-ペンテニル(C)などを含む。
【0120】
ここで使用する“アルキニル”または“アルキン”は、2~4個の炭素原子および1個以上の炭素-炭素三重結合(“C2-10アルキニル”)を有する、直鎖または分枝鎖炭化水素基のラジカルをいう。ある態様において、アルキニル基は2~3個の炭素原子(“C2-3アルキニル”)を有する。ある態様において、アルキニル基は2個の炭素原子(“Cアルキニル”)を有する。1個以上の炭素-炭素三重結合は内部(例えば2-ブチニルにおける)でも末端(例えば1-ブチニルにおける)でもよい。C2-4アルキニル基の例は、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)などを含むが、これらに限定されない。
【0121】
ここで使用する“アリール”は、6~14個の環炭素原子を有し、芳香環系にヘテロ原子が0個である(“C14アリール”)、単環式または多環式(例えば、二環式または三環式)4n+2芳香環系(例えば、環中に6個、10個または14個の原子を有する)のラジカルをいう。ある態様において、アリール基は6個の環炭素原子(“Cアリール”;例えば、フェニル)を有する。ある態様において、アリール基は10個の環炭素原子(“C10アリール”;例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチルのようなナフチル)を有する。ある態様において、アリール基は14個の環炭素原子(“C14アリール”;例えば、アントラシル)を有する。
【0122】
ここで使用する“アルコキシ”は、酸素ラジカルに結合した、ここに定義するアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基をいう。
【0123】
ここで定義するアルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびアリール基は置換されているかまたは非置換であり、ここでは“場合により置換されていてよい”ともいう。一般に、用語“置換”は、用語“場合により”が前に付いていても付いていなくても、その基(例えば、炭素原子または窒素原子)に存在する少なくとも1個の水素が、許容できる置換基、例えば、置換により安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離または他の反応によるような変異を自然には受けない化合物をもたらす置換基で置換される。特に断らない限り、“置換された”基は、該基の1カ所以上の置換可能な位置に置換基を有し、ある構造の一カ所以上が置換されているとき、該置換基は各位置で同一でも異なってもよい。用語“置換”は、有機化合物全ての許容できる置換基、安定な化合物の形成をもたらすここに記載する置換基のいずれかでの置換基を含むことを意図する。本発明は、安定な化合物に至るための、任意かつ全てのこのような組み合わせを企図する。本発明の目的で、窒素のようなヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を充足し、安定な基の形成をもたらす水素置換基および/またはここに記載する任意の適切な置換基を有し得る。
【0124】
置換基の例は、ヘテロ原子(例えば窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄またはハロゲン原子)、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素)、ヘテロ環、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキンオキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルを含む基を含む。
【0125】
処置方法
先の研究(例えば、Gee et al., European Journal of Pharmacology, 136:419-423 (1987)参照)により、ある特定の3α-ヒドロキシル化ステロイドが、GABA受容体複合体(GRC)のモジュレーターとして、他に報告されていたより(例えば、Majewska et al., Science 232:1004-1007 (1986); Harrison et al., J Pharmacol. Exp. Ther. 241:346-353 (1987)参照)、数桁の差でより強力であることが示された。Majewska et al. およびHarrison et al. は、3β-ヒドロキシル-5-還元ステロイドは、はるかに低レベルの有効性しか示し得ないことを教示している。インビトロおよびインビボ実験データは、現在、これらのステロイドの高い有効性により、これらが、GRCを介する脳興奮性の調節に治療上有用であることを示す(例えば、Gee et al., European Journal of Pharmacology, 136:419-423 (1987); Wieland et al., Psychopharmacology 118(l):65-71 (1995)参照)。
【0126】
種々の合成ステロイドがまた向神経活性ステロイドとして合成されている。例えば、治療に有益な方法で、うつ病のようなGRC活性剤で処置できる、ストレス、不安、不眠症、発作性障害および気分障害の処置に有用な向神経活性ステロイド化合物を開示する、米国特許5,232,917を参照。さらに、これらのステロイドが、ストレス、不安、睡眠、気分障害および発作性障害に対する治療に有益な作用が先に導き出されている場所(例えば、Gee, K.W. and Yamamura, H.I., “Benzodiazepines and Barbiturates: Drugs for the Treatment of Anxiety, Insomnia and Seizure Disorders,” in Central Nervous System Disorders, Horvell, ed., Marcel-Dekker, New York (1985), pp. 123-147; Lloyd, K.G. and Morselli, P.L., “Psychopharmacology of GABAergic Drugs,” in Psychopharmacology: The Third Generation of Progress, H.Y. Meltzer, ed., Raven Press, N.Y. (1987), pp. 183-195; およびGee et al., European Journal of Pharmacology, 136:419-423 (1987)参照)である、他の相互作用が知られる場所(例えば、バルビツール酸類、ベンゾジアゼピン類およびGABA)と異なる、GRC上の独特な場所で相互作用する。これらの化合物は、その作用時間、効力および経口活性(他の投与形態と共に)のために好ましい。
【0127】
ここに記載する本発明の化合物は、一般にGABA機能を調節し、それゆえに、対象におけるCNSと関係する状態の処置および予防のための向神経活性ステロイドとして作用するように設計される。ここで使用する調節は、GABA受容体機能の阻害または増強をいう。従って、ここに提供する化合物および医薬組成物は、ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物におけるCNS状態の予防および/または処置のための治療剤としての用途が判明した。従って、そして、先に記載されたとおり、本発明は、挙げられた処置方法ならびにこのような方法のための化合物およびこのような方法に有用な医薬の製造のためのこのような化合物の使用を、その範囲内に含み、そこまで拡張される。
【0128】
ある態様において、ここに開示されるのは、ここに記載する化合物の有効量を対象に投与することにより、GABA受容体調節と関係する状態を処置する方法である。GABA受容体調節と関係する状態の例は、(a)睡眠障害[例えば、不眠症およびレム睡眠行動障害]、てんかん[例えば、てんかん重積、てんかんの一遺伝子性形態(例えば、ドラベ症候群)、レノックス・ガストー症候群、小児攣縮、若年性ミオクローヌス性てんかん、急性反復性発作、熱性発作]、運動障害[例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、小脳失調、フリードライヒ失調症、全身硬直症候群、ジストニア、トゥレット症候群、本態性振戦]、外傷性脳傷害、疼痛障害[例えば、神経障害性疼痛、傷害が原因の慢性疼痛、急性疼痛、片頭痛、片頭痛発作重積]、血管障害[例えば、卒中、虚血、血管奇形の続発症]、神経変性障害[例えば、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、前頭側頭骨性認知症、多系統萎縮症、多発梗塞性認知症]および耳鳴りを含む神経学障害;(b)統合失調症および統合失調感情障害、気分障害[例えば、うつ病、気分変調性障害、双極性障害、不安障害(例えば、全般性不安障害、社会不安障害、恐怖症、強迫性障害、パニック障害、外傷後ストレス障害)、ストレス]、認知障害[例えば、注意欠陥多動性障害]、人格障害[例えば、反社会性人格障害、強迫性人格障害]、自閉症スペクトラム障害[例えば、特発性自閉症、自閉症の一遺伝子性原因(例えば、レット症候群、結節性硬化症、脆弱X症候群、アンジェルマン症候群)]および物質濫用障害[例えば、アヘン剤耽溺、刺激薬耽溺(例えば、コカイン耽溺)、アルコール耽溺]を含む精神障害;(c)産後うつ病、産後不快性障害、多嚢胞性卵巣症候群、月経随伴性てんかん、早産、子癇前症、子癇、月経前および月経性片頭痛を含む女性の健康障害;(d)多発性硬化症、喘息およびリウマチ性関節炎を含む炎症性障害;(e)軽度鎮静/不安緩解、中度/処置鎮静、監視下鎮静管理、深鎮静、全身麻酔を含む鎮静の全スペクトラムを含む麻酔適応症を含むが、これらに限定されない。
【0129】
他の面において、提供されるのは、脳興奮性と関係する状態の素因があるまたは当該状態に苦しんでいる対象における脳興奮性を処置または予防する方法であって、該対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む方法である。
【0130】
さらに他の面において、提供されるのは、対象におけるストレスまたは不安を処置または予防する方法であって、該処置を必要とする対象に本発明の化合物またはその組成物の有効量を投与することを含む、方法である。
【0131】
さらに他の面において、提供されるのは、対象における発作活動を軽減するまたは予防する方法であって、このような処置を必要とする該対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法である。
【0132】
さらに他の面において、提供されるのは、対象における不眠症を軽減するまたは予防する方法であって、該処置を必要とする対象に本発明の化合物またはその組成物の有効量を投与することを含む、方法である。
【0133】
さらに他の面において、提供されるのは、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、実質的反跳性不眠症を誘発せずに、睡眠を誘発し、正常睡眠で見られるレム睡眠のレベルを実質的に維持する方法である。
【0134】
さらに他の面において、提供されるのは、対象におけるPMSまたはPNDを軽減するまたは予防する方法であって、このような処置を必要とする該対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【0135】
さらに他の面において、提供されるのは、対象における気分障害を処置または予防する方法であって、このような処置を必要とする該対象に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む、方法。ある態様において、気分障害はうつ病である。
【0136】
さらに他の面において、提供されるのは、対象に本発明の化合物の有効量を投与することを含む、対象において麻酔を導入する方法である。
【0137】
さらに他の面において、提供されるのは、対象に本発明の化合物の治療有効量を投与することによる、認知強化または記憶障害処置の方法である。ある態様において、障害はアルツハイマー病である。ある態様において、障害はレット症候群である。
【0138】
さらに他の面において、提供されるのは、対象に本発明の化合物の治療有効量を投与することによる、注意障害の処置方法である。ある態様において、注意障害はADHDである。
【0139】
さらに他の面において、提供されるのは、本発明の化合物と他の薬理学的活性剤の組み合わせである。ここで提供される化合物を、唯一の活性剤として投与しても、他の薬剤と組み合わせて投与してもよい。組み合わせでの投与は、例えば、別々の、逐次の、同時のおよび交互の投与を含む、当業者に明らかな任意の方法により実施してよい。
【0140】
ある態様において、本化合物を対象に慢性的に投与する。ある態様において、本化合物を対象に経口で、皮下で、筋肉内にまたは静脈内に投与する。
【0141】
麻酔/鎮静
麻酔は、記憶喪失、鎮痛、応答性喪失、骨格筋反射喪失、ストレス反応低下またはこれら全てが同時に、薬理学的に誘発され、可逆性である状態である。これらの作用は、正しい作用の組み合わせを単独で提供する単一薬物から、または時々極めて特異な結果の組み合わせを達成するために複数薬物の組み合わせ(例えば、催眠剤、鎮静剤、麻痺剤、鎮痛剤)から得ることができる。麻酔により、患者は、麻酔をしなければ経験するであろう苦悩および疼痛がなく、手術および他の手技を受けることができる。
【0142】
鎮静は、一般に医療処置または診断手順を容易にするために、薬剤の投与により易刺激性または動揺を減少させることである。
【0143】
鎮静および鎮痛は、一連の最小限の鎮静(不安緩解)から全身麻酔に至る意識状態を含む。
【0144】
最小限の鎮静は不安緩解としても知られる。最小限の鎮静は、患者が通常言葉による指示に反応する間の薬剤が誘発する状態である。認知機能および協調は障害され得る。換気および心血管機能は影響を受けない。
【0145】
中度の鎮静/鎮痛(意識下鎮静)は、単独のまたは軽触覚刺激を伴う言葉による指示に、患者が目的を持って応答する間の、薬剤により誘発される意識状態の低下である。開存性気道を維持するための介入は必要ない。自発的換気で十分である。心血管機能は通常維持される。
【0146】
深鎮静/鎮痛は、患者は容易に覚醒しないが、反復性のまたは有痛性の刺激後に目的を持って(有痛性刺激からの反射的な逃避ではない)応答する間の、薬剤により誘発される意識状態の低下である。独立的換気機能は障害され得る。患者は、開存性気道を維持するための補助を必要とし得る。自発的換気は不十分であり得る。心血管機能は通常維持される。
【0147】
全身麻酔は、患者が有痛性刺激に対してさえ覚醒不可能である間の、薬剤により誘発される意識状態の喪失である。独立的換気機能を維持する能力はしばしば障害される。開存性気道の維持に、補助がしばしば必要である。自発換気低下または神経筋機能の薬剤誘発低下により、陽圧換気が必要とされ得る。心血管機能は障害され得る。
【0148】
集中治療室(ICU)での鎮静により、患者の環境認識の抑圧と、外的刺激に対する応答減少が可能となる。これは危篤状態の患者の介護に中心的役割を有し、患者間で、および病気の経過により個々に変わる広汎な症状の管理を包含する。救命治療における重度の鎮静は、気管内チューブ耐容性および人工呼吸器同期化を容易にするために、しばしば神経筋遮断剤と共に使用されている。
【0149】
ある態様において、鎮静(例えば、長期鎮静、連続的鎮静)が導入され、ICUで長期間(例えば、1日、2日、3日、5日、1週、2週、3週、1ヶ月、2ヶ月)維持される。長期鎮静剤は、長い作用持続時間を有し得る。ICUにおける鎮静剤は、短排出半減期を有し得る。
【0150】
処置上の鎮静および鎮痛は、意識下鎮静とも呼ぶが、対象が、心肺機能を維持しながら、不快な手技に耐えることを可能にする状態を、鎮静剤または解離性薬剤を鎮痛剤と併用してまたは併用せずに投与することにより誘導する技術である。
【0151】
不安障害
不安障害は、異常なおよび病的な恐怖および不安のいくつかの異なる形態を含む漠然とした総称である。現在の精神診断基準は、広汎な不安障害を認識する。
【0152】
全般性不安障害は、何らかの一つの対象または状況に絞られない、長期の不安により特徴付けられる一般的慢性障害である。全般性不安に罹患する者は、不特定の永続性の恐怖および心配を経験し、日常のありきたりなことを過度に懸念し始める。全般性不安障害は、高齢者を襲う最も一般的不安障害である。
【0153】
パニック障害において、激しい恐怖および懸念の短い発作に罹患した人は、しばしば、振戦、身震い、混乱、めまい、悪心、呼吸困難を特徴とする。これらのパニック発作は、APAにより、突然生じ、10分以内にピークに達する恐怖または不快感と定義され、数時間続き得て、ストレス、恐怖または運動によってさえ、誘発され得るが、特定の原因が必ずしも明らかではない。予期しないパニック発作の再発に加えて、パニック障害の診断は、該発作が、発作の潜在的関連に対する心配、永続する将来の発作の恐怖または発作と関係する行動の顕著な変化のいずれかの慢性化を有することも必要とする。従って、パニック障害に罹患している者は、特定のパニックエピソード外でさえ、症状を経験する。しばしば、パニック患者は心拍の正常な変化を気遣い、心臓がどこか悪いのではと考え始めるかまたは他のパニック発作を起こす寸前となる。ある場合、パニック発作の間に、身体機能の認識の高まり(過覚醒)が起こり、何らかの認知された生理学的変化が命を脅かす可能性のある病気と解釈される(すなわち極度の心気症)。
【0154】
強迫性障害は、反復性の強迫観念(窮迫性、永続性および侵入性の思考または想像)および強迫衝動(特定の行動または儀式をしたいという衝動)により主に特徴付けられるタイプの不安障害である。OCD思考パターンは、現実には存在しない因果関係の信念を含む限り、迷信とたとえ得る。しばしば、過程は、非論理的であり、例えば、ある特定のパターンの歩行の強迫衝動が、切迫した害の強迫観念を軽減するために用いられ得る。そして、多くの場合、強迫衝動は全く不可解であり、単に神経過敏により誘発される儀式を完了する衝動である。少ない事例において、OCD患者は、明白な強迫衝動を伴わず、強迫観念のみを経験することがあり、はるかに少ない事例で患者は強迫衝動のみを経験する。
【0155】
不安障害の単一の最大カテゴリーは恐怖症であり、これは、恐怖および不安が特定の刺激または状況により引き金を引かれる全ての場合を含む。患者は、典型的に恐怖の対象への遭遇により恐ろしい帰結を予測し、該対象は動物から場所から体液まであらゆるものであり得る。
【0156】
外傷後ストレス障害、換言するとPTSDは、外傷的体験に起因する不安障害である。外傷後ストレスは、戦闘、強姦、人質事件またはさらにひどい事故のような極端な状態に起因し得る。これはまた、重度のストレス要因への長期暴露の結果でもあり得て、例えば、個々の戦闘には耐えるが、連続する戦闘には耐えられない兵士である。一般的症状は、フラッシュバック、回避行動およびうつ病を含む。
【0157】
神経変性疾患および障害
用語“神経変性疾患”は、ニューロンの構造もしくは機能の進行性の喪失またはニューロンの死と関係する疾患および障害である。神経変性疾患および障害は、アルツハイマー病(軽度、中程度または重度認知機能障害が関係する症状を含む);筋萎縮性側索硬化症(ALS);無酸素性および虚血性傷害;運動失調およびけいれん(統合失調感情障害が原因のまたは統合失調症の処置に使用する薬物が原因の発作の処置および予防を含む);良性失念;脳浮腫;マクラウド神経有棘赤血球症症候群(MLS)を含む小脳失調;閉鎖性頭部傷害;昏睡;打撲性傷害(例えば、脊髄傷害および頭部傷害);多発梗塞性認知症および老人性認知症を含む認知症;意識障害;ダウン症候群;薬物性または薬剤誘発性パーキンソニズム(例えば神経遮断剤誘発急性アカシジア、急性ジストニア、パーキンソニズムまたは遅発性ジスキネジア、神経遮断薬悪性症候群または薬剤誘発性姿勢振戦);てんかん;脆弱X症候群;ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群;頭部外傷;聴力障害および喪失;ハンチントン病;レノックス症候群;レボドパ誘発ジスキネジア;精神遅滞;無動および無動性(硬直)症候群(基底核石灰化、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、パーキンソニズム-ALS認知症合併、パーキンソン病、脳炎後パーキンソニズムおよび進行性核上性麻痺を含む)を含む運動障害;舞踏病(例えば良性遺伝性舞踏病、薬物性舞踏病、片側バリズム、ハンチントン病、有棘赤血球舞踏病、シデナム舞踏病および症候性舞踏病)、ジスキネジア(複合体チック、単純性チックおよび症候性チックのようなチックを含む)、ミオクローヌス(全般性ミオクローヌスおよび限局性ミオクローヌスを含む)、振戦(例えば安静時振戦、姿勢振戦および企図振戦)およびジストニア(軸性ジストニア、ジストニア性書痙、片麻痺性ジストニア、発作性ジストニアおよび限局性ジストニア、例えば眼瞼けいれん、顎口腔ジストニアおよびけいれん性発声障害および斜頸)を含む、筋痙縮または衰弱と関係する筋攣縮および障害;眼の眼損傷、網膜症または黄斑変性症を含む神経細胞損傷;脳卒中、血栓塞栓性卒中、出血性卒中、脳虚血、脳血管攣縮、低血糖、記憶喪失、低酸素症、無酸素、周産期無酸素症および心停止後の神経毒性傷害;パーキンソン病;発作;てんかん重積;卒中;耳鳴り;管硬化およびウイルス感染誘発神経変性(例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)および脳症が原因)を含むが、これらに限定されない。神経変性疾患はまた、脳卒中、血栓塞栓性卒中、出血性卒中、脳虚血、脳血管攣縮、低血糖、記憶喪失、低酸素症、無酸素、周産期無酸素症および心停止後の神経毒性傷害も含む。神経変性疾患の処置または予防方法はまた、神経変性障害の特徴である神経細胞機能喪失の処置または予防も含む。
【0158】
てんかん
てんかんは、長期にわたり繰り返す発作により特徴付けられる脳障害である。てんかんのタイプは、全般性てんかん、例えば、小児欠神てんかん、若年性ミオクローヌスてんかん、覚醒時大発作を伴うてんかん、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、部分てんかん、例えば、側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、小児の良性限局性てんかんを含み得るが、これらに限定されない。
【0159】
てんかん重積(SE)
てんかん重積(SE)は、例えば、けいれん性てんかん重積、例えば、早期てんかん重積、確立したてんかん重積、難治性てんかん重積、超難治性てんかん重積;非けいれん性てんかん重積、例えば、全般性てんかん重積、複合部分てんかん重積;全般性周期性てんかん様放電;および周期性一側性てんかん型放電を含み得る。けいれん性てんかん重積は、けいれん性てんかん重積発作の存在により特徴付けられ、早期てんかん重積、確立したてんかん重積、難治性てんかん重積および超難治性てんかん重積を含み得る。早期てんかん重積は、第一選択治療で処置する。確立したてんかん重積は、第一選択治療での処置にも係わらず持続し、二次選択治療を投与するてんかん重積発作により特徴付けられる。難治性てんかん重積は、第一選択治療での処置にも係わらず持続し、二次選択治療および全身麻酔剤を一般に投与するてんかん重積発作により特徴付けられる。超難治性てんかん重積は、第一選択治療、二次選択治療および全身麻酔剤での処置にも係わらず、24時間以上持続するてんかん重積発作により特徴付けられる。
【0160】
非けいれん性てんかん重積は、例えば、限局性非けいれん性てんかん重積、例えば、複合部分非けいれん性てんかん重積、単純部分非けいれん性てんかん重積、微細非けいれん性てんかん重積;全般性非けいれん性てんかん重積、例えば、遅発型欠神非けいれん性てんかん重積、非定型欠神非けいれん性てんかん重積または定型欠神非けいれん性てんかん重積を含み得る。
【0161】
ここに記載する組成物は、発作の発症前に、CNS障害、例えば、外傷性脳傷害、てんかん重積、例えば、けいれん性てんかん重積、例えば、早期てんかん重積、確立したてんかん重積、難治性てんかん重積、超難治性てんかん重積;非けいれん性てんかん重積、例えば、全般性てんかん重積、複合体部分てんかん重積;全般性周期性てんかん様放電;および周期性一側性てんかん型放電を有する対象に予防として投与してもよい。
【0162】
発作
発作は、脳における異常電気活動のエピソード後に起こる身体的所見または行動変化である。用語“発作”はしばしば“けいれん”と交換可能に使用される。けいれんは、人の体が急速に、そして制御不能に震える場合である。けいれん中、人の筋肉は収縮と弛緩を繰り返す。
【0163】
行動および脳活性のタイプに基づき、発作は、全般性および部分的(局所性または限局性ともいう)の二つの広いカテゴリーに分かれる。発作のタイプの分類は、医師が、患者がてんかんを有しているか否かを診断する助けとなる。
【0164】
全般性発作は脳全体のいたる所からの電気インパルスにより発生し、部分的発作は、(少なくとも最初は)脳の比較的小さい部分における電気インパルスにより発生する。発作を発生させる脳の部分を病巣と呼ぶことがある。
【0165】
全般性発作には6タイプある。最も一般的で劇的であり、それゆえに、最も良く知られているのは、大発作とも呼ばれる全般性けいれんである。このタイプの発作中、患者は意識を無くし、通常倒れる。意識の喪失後、30~60秒間の全般性身体硬化(発作の“強直”期と呼ばれる)、続いて30~60秒間の激烈けいれん(“間代”期)があり、その後、患者は深睡眠に入る(“発作後”期)。大発作中、咬舌および尿失禁のような傷害および事故が起こり得る。
【0166】
欠神発作は、わずかな症状を伴うか症状を伴わず、短い意識喪失(ほんの数秒)を起こす。患者は、ほとんどは小児であり、典型的に活動が中断され、ぼんやりと凝視する。これらの発作は突然始まり、突然終わり、1日数回起こり得る。患者は、“時間が飛んだ”ことに気づく可能性がある以外は、発作があったことに通常気づかない。
【0167】
ミオクローヌス性発作は、通常、体の両側の散発性けいれんからなる。患者は、時々、けいれんを短い電気ショックという。激しいとき、これらの発作により物を落としたり、無意識に投げたりすることがある。
【0168】
間代性発作は、同時に体の両側が巻き込まれる反復性の、律動的けいれんである。
【0169】
強直性発作は筋肉の硬化により特徴付けられる。脱力発作は、特に、腕および脚の筋緊張の突然かつ全面的な喪失からなり、しばしば転倒にいたる。
【0170】
自閉症
自閉症は、早期小児期に起こる神経行動学的発達性症候群であり、社会性障害、限られた言語および/または非言語コミュニケーションおよび限られた、繰り返しのおよび常同的な行動、興味または活動のパターンの組み合わせからなる。米国精神医学会精神疾患の分類と診断の手引(DSMV)により規定される自閉症スペクトラム障害は、自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害および他に特定されない広汎性発達障害(PDD-NOS)を包含する。
【0171】
自閉症は、3歳前に発症している。これは、正常発育期があり、その後に退行期があることを暗示する。
【0172】
アスペルガー症候群は、言語発達の遅れまたは認知の遅れのない、社会的障害および限られた、繰り返しのおよび定型的な興味からなる。
【0173】
小児期崩壊性障害は、3歳後に発症する自閉症的退行の軽症の形である。
【0174】
PDD-NOSは、一つのドメイン(例えば、社会的障害)のみにおける、自閉症より軽度の症状により特徴付けられる。
【0175】
自閉症スペクトラム障害は特発性であり得る。しかしながら、高い割合の浸透率を伴う単一遺伝子変異を含む、自閉症の多くの遺伝的原因がある[例えば、レット症候群、結節性硬化症、脆弱X症候群、アンジェルマン症候群]。ある場合、遺伝子変異のみを疾患の指称に使用する[例えば、22q13.3欠損症候群]。
【実施例
【0176】
次の実施例は、本発明の種々の態様を説明しまたは例証する。付随する特許請求の範囲の範囲内にある他の態様は、ここに記載する発明の詳細または実施を考慮して、当業者には明らかである。本明細書は、実施例と共に、例示としてのみ考慮されることが意図され、本発明の範囲および精神は実施例に続く特許請求の範囲に示されている。
【0177】
A. 化合物化学
次の方法および実施例によって、次の化合物を例証の目的で製造した。
【化37】
【0178】
スキーム1に従い、次の化合物を、当分野で一般的に知られ、下に概説する方法を使用して製造した。
【0179】
【化38】
19-[[(1,1-ジメチル)ジメチルシリル]オキシ]-アンドロスタ-4-エン-3,17-ジオン(1)
既知19-ヒドロキシアンドロステンジオン(1g、3.31mmol)、tert-ブチルジメチルシリルクロライド(602mg、4mmol)、イミダゾール(315mg、4.63mmol)、DMF(5mL)および塩化メチレン(5mL)の混合物を室温で15時間撹拌した。水(100mL)を反応混合物に添加し、塩化メチレン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、白色固体を得た。固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10~20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、白色固体(1.3g、94%)を得た。mp 154-156℃; IR 2856, 2930, 1739, 1670, 1472, 1359, 1255, 1228 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 5.85 (s, 1H), 3.87 (dd, J = 12.9, 10.0 Hz, 2H), 2.65-0.95 (m), 0.89 (s, 3H), 0.83 (s, 9H), 0.03 (s, 3H), 0.02 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 220.0, 199.6, 167.2, 126.0, 65.8, 54.0, 51.3, 47.5, 43.5, 35.9, 35.6, 34.6, 33.5, 33.2, 31.7, 30.7, 25.7 (3×C), 21.6, 20.9, 18.0, 13.8, -5.76, -5.83
【0180】
【化39】
(5α)-19-[[(ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-アンドロスタン-3,17-ジオン(2)
短く切断したのリチウムワイヤ(140mg、20mmol)を、撹拌中の新たに凝縮させた液体アンモニア(250mL)(-78℃)に添加し、混合物を15分撹拌した。ステロイド1(1.25g、3mmol)のTHF(75mL)溶液を得られた深青色溶液に添加し、撹拌を-78℃で2時間続けた。固形塩化アンモニウム(5g)を添加し、アンモニアを蒸発させた。水(200mL)を添加し、反応混合物をEtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、油状物を得た。油状物を撹拌しているアセトン(50mL)に溶解し、氷浴で冷却した。ジョーンズ試薬を、橙色が1時間持続するまで、撹拌している冷溶液に添加した。過剰のジョーンズ試薬を数滴のイソプロピルアルコールで還元した。アセトンを減圧下に除去し、得られた溶液を水(200mL)で希釈し、EtOAc(80mL×3)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥し、溶媒を除去して、白色固体を得て、これをクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製して、ステロイド2(830mg、63%)を得た。mp 130-132℃; IR 3339, 2922, 2857, 1445, 1360 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 3.87 (dd, J = 21.2, 10.0 Hz, 2H), 2.60-0.70 (m), 0.87 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), 0.06 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 220.6, 211.8, 60.9, 54.3, 51.6, 47.7, 46.1, 44.8, 39.4, 38.5, 35.7, 35.4, 33.9, 31.9, 30.5, 28.3, 25.7 (3×C), 21.7, 18.0, 13.8, -5.7, -5.9
【0181】
【化40】
(5α)-19-[[(ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-アンドロスタン-3,17-ジオン、3-環状1,2-エタンジイルアセタール(3)
エチレングリコール(5mL)およびPPTS(500mg)を含む、ステロイド2(4.6g、11.0mmol)のベンゼン(~100mL)溶液を還流下、ディーン・スターク装置で4時間加熱した。溶媒を減圧下に除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、3,17-ビスケタール(3.5g)およびステロイド3を固化した泡状物(1.25g)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 3.85-3.90 (m, 4H), 3.81 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.36-0.76 (m), 0.83 (s, 9H), 0.10 (d, J = 3.9 Hz, 6H); 13C NMR (CDCl3) δ 221.2, 109.1, 64.1, 60.3, 59.9, 54.5, 51.8, 47.8, 43.6, 39.2, 38.3, 35.7, 35.4, 32.0, 31.3, 30.7, 30.6, 27.8, 25.7, 21.7, 20.9, 17.0, 14.1, -5.7, -5.9;C27H46O4Siの分析計算値: C, 70.08;H, 10.02. 実測値: C, 69.89;H, 10.0
【0182】
【化41】
(5α)-19-ヒドロキシアンドロスタン-3,17-ジオン、3-環状1,2-エタンジイルアセタール(4)
ステロイド3(1.0g、2.4mmol)のTHF(10mL)溶液に、TBAF(6.0mmol、THF中1.0M、6.0mL)を室温で添加した。反応混合物を16時間還流し、溶媒を減圧下に除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、ステロイド4を油状物(638mg、84%)として得た。IR νmax 3487, 1738 cm-1-; 1H NMR (CDCl3) δ 3.90-3.85 (m, 4H), 3.86 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.78 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 2.42-0.76 (m), 0.86 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 221.4, 108.9, 64.1, 64.0, 60.0, 54.4, 51.6, 47.8, 43.7, 39.2, 38.2, 35.7, 35.4, 31.9, 31.4, 30.6, 30.1, 27.7, 21.9, 21.7, 13.9
【0183】
【化42】
(5α,17β)-17,19-ジヒドロキシアンドロスタン-3-オン、環状1,2-エタンジイルアセタール(5)
ステロイド4(635mg、1.8mmol)のエタノール(40mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(152mg、4mmol)を室温で添加した。3時間後、混合物をNHCl水溶液で反応停止させた。混合物をEtOAc(50mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(35%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、ステロイド5を油状物(638mg、100%)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 3.92-3.90 (m, 5H), 3.90 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.61 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 2.22-0.73 (m), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 109.1, 81.8, 64.2, 64.1, 60.2, 54.4, 51.3, 43.8, 43.1, 39.3, 38.3, 37.2, 36.0, 31.6, 31.3, 30.4, 30.1, 27.9, 23.4, 22.5, 11.4
【0184】
【化43】
(5α,17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタン-3-オン、環状1,2-エタンジイルアセタール(6)
ステロイド5(635mg、1.8mmol)のTHF(30mL)溶液に、水素化ナトリウム(400mg、鉱油中60%、6.0mmol)を添加した。添加後、混合物を1時間還流し、ヨードメタンを添加し、さらに3時間還流した。室温に冷却後、混合物を水で反応停止させ、EtOAc(100mL×3)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、ステロイド6(623mg、92%)を得た。mp 102-104℃; IR νmax 2922, 1448 cm-1-; 1H NMR (CDCl3) δ 3.84 (m, 4H), 3.43 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.36 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.21 (s, 3H), 3.12 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 2.10-0.63 (m), 0.68 (3H); 13C NMR (CDCl3) δ 109.1, 90.6, 70.9, 64.0 (2×C), 58.9, 57.6, 54.2, 51.3, 43.7, 42.9, 38.8, 38.3, 38.2, 35.6, 31.4, 31.3, 30.9, 28.0, 27.5, 23.2, 21.9, 11.5-
【0185】
【化44】
(5α,17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタン-3-オン(7、MQ-88)
ステロイド6(625mg、1.65mmol)、PTSA(100mg)、アセトン(30ml)および水(3mL)の混合物を、16時間室温で撹拌した。溶媒を減圧により除去し、NaHCO水溶液を添加し、生成物をEtOAc(100mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、ステロイド7(408mg、74%)を得た。mp 91-93℃; [α]D 20 = 18.4 (c = 0.37, CHCl3); νmax 2922, 1714 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 3.60 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.55 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.24 (s, 6H), 3.12 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.45-0.64 (m), 0.70 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 212.1, 90.4, 71.8, 59.0, 57.6, 54.0, 51.2, 46.3, 44.8, 42.8, 38.8, 38.7, 38.0, 35.5, 34.3, 31.0, 28.3, 27.5, 23.1, 21.8, 11.5. C21H34O3の分析計算値: C, 75.41;H, 10.25. 実測値: C, 75.37;H, 10.13
【0186】
【化45】
【0187】
【化46】
(5α,17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタン-3-オール(8、MQ-89)
ステロイド7(200mg、0.60mmol)のTHF(10mL)溶液に、K-セレクトリド(登録商標)(1.0mmol、THF中1.0M、1.0mL)を-78℃で添加した。2時間後、3N NaOH(10mL)およびH(5mL)を-78℃で添加し、反応物を1時間で室温に温めた。生成物をEtOAc(100mL×2)で抽出し、塩水で洗浄した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、ステロイド8(172mg、86%)を得た。mp 62-64℃; [α]D 20 = 1.1 (c = 0.26, CHCl3); νmax 3382, 1447 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 4.10-4.05 (m, 1H), 3.50 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.42 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.33 (s, 3H), 3.29 (s, 3H), 3.23 (t, J = 8.2, 1H), 2.01-0.80 (m), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 90.9, 71.1, 66.4, 59.1, 57.8, 54.7, 51.6, 43.0, 39.6, 39.3, 38.5, 36.2, 35.8, 31.5, 29.5, 28.1, 27.7, 27.0, 23.3, 21.7, 11.7. C21H36O3の分析計算値: C, 74.95;H, 10.78. 実測値: C, 75.19;H, 10.79
【0188】
【化47】
【0189】
【化48】
(5α)-19-メトキシアンドロスタン-3,17-ジオン、環状ビス-(1,2-エタンジイルアセタール)(9)
既知(5α)-19-ヒドロキシアンドロスタン-3,17-ジオン、環状ビス-(1,2-エタンジイル)アセタール(430mg、1.1mmol)、NaH(200mg、5mmol)およびTHF(10mL)の混合物を、N下、2時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、ヨウ化メチル(2mL、32mmol)を添加し、混合物を室温で13時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、過剰のNaHをMeOH(2mL)の添加により注意深く消費させた。水(100mL)を添加し、生成物をEtOAc(80mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、無色液体を得た。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(15~20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物を無色液体(440mg、99%)として得た。IR νmax 2923, 1457, 1378, 1306, 1210 cm-1; 1H NMR δ 3.89 (s, 4H), 3.87-3.82 (m, 4H), 3.47 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.39 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.25 (s, 3H), 2.20-0.85 (m), 0.82 (s, 3H); 13C NMR δ 119.3, 109.2, 71.0, 65.0, 64.5, 64.0, 59.0, 54.0, 50.4, 46.0, 43.8, 38.9, 38.4, 36.2, 34.1, 31.5, 31.1, 31.0 (2×C), 29.6, 28.1, 22.6, 21.7, 14.4. C24H38O5の分析計算値: C, 70.90%;H 9.42%. 実測値: C, 71.17%;H, 9.53%
【0190】
【化49】
(5α)-19-メトキシアンドロスタン-3,17-ジオン(10)
ステロイド9(400mg、0.98mmol)、PTSA(100mg)、アセトン(8mL)および水(0.5mL)の混合物を、室温で14時間撹拌した。NaHCO水溶液で反応液を中和し、アセトンを減圧下に除去した。水(80mL)を添加し、生成物をEtOAc(60mL×3)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥し、濃縮して、白色固体を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(20~30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物10(230mg、73%)を得た。mp 94-96℃; IR νmax 2918, 1738, 1712, 1452, 1407, 1373, 1270, 1248, 1220, 1202, cm-1; 1H NMR δ 3.60 (d, J =11.0 Hz, 1H), 3.57 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.26 (s, 3H), 2.50-0.74 (m), 0.82 (s, 3H); 13C NMR δ 220.5, 211.7, 71.7, 59.0, 53.9, 51.3, 47.6, 46.1, 44.7, 38.9, 38.5, 35.6, 35.3, 34.2, 31.5, 30.3, 28.1, 21.5, 21.3, 13.7. C20H30O3のHRMS計算値: 318.2195. 実測値: 318.2180
【0191】
【化50】
(3α,5α)-3-ヒドロキシ-19-メトキシアンドロスタン-17-オン(11、KK-125)
1M K-セレクトリド(登録商標)のTHF溶液(2mL、2mmol、3当量)を、ステロイド10(210mg、0.66mmol)のTHF(5mL)の冷溶液(-78℃)に添加し、反応物を-78℃で1.5時間撹拌した。数滴のアセトンの添加により反応停止させ、室温に温めた。3N NaOH水溶液(10mL)、続いて30%H水溶液(10mL)を添加し、反応物を室温で1.5時間撹拌した。生成物をEtOAc(3×60mL)で抽出し、合わせたEtOAc抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、灰白色固体を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(20~40%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製した。生成物11(142mg、67%)は次の物性であった。mp 172-174℃; IR νmax 3436, 2921, 1738, 1453, 1406, 1372, 1248, 1203 cm-1; 1H NMR δ 4.05 (b s, 1H), 3.48 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.38 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.25 (s, 3H), 2.39 (dd, J = 19.3, 8.8 Hz, 1H), 2.2.10-0.70 (m), 0.84 (s, 3H); 13C NMR δ 221.5, 71.1, 66.1, 59.0, 54.6, 51.7, 47.8, 39.6, 39.2, 36.0, 35.7, 35.5, 31.8, 30.7, 29.2, 27.9, 27.1, 21.6, 21.1, 13.8. C20H32O3の分析計算値: C, 74.96%;H, 10.06%. 実測値: C, 74.91%;H, 9.86%
【0192】
【化51】
(3α,5α,17β)-19-メトキシスピロ[アンドロスタン-17,2’-オキシラン]-3-オール(12、MQ-90)
ステロイド11(100mg、0.3mmol)のDMF(10mL)溶液に、ヨウ化トリメチルスルホニウム(306mg、1.5mmol)およびカリウムtert-ブトキシド(168mg、1.5mmol)を室温で添加した。2時間後、NHCl水溶液で反応停止させた。混合物をジクロロメタン(100mL×2)で抽出し、塩水で洗浄した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、ステロイド12(76mg、75%)を得た。mp 168-170℃; [α]D 20 = -3.1 (c = 0.16, CHCl3); νmax 3420, 1445 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 4.10-4.05 (m, 1H), 3.51 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.42 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.90 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 2.60 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 2.00-0.77 (m), 0.89 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 71.0, 70.6, 66.4, 59.1, 54.6, 53.6, 53.1, 40.2, 39.6, 39.3, 36.2, 36.1, 34.3, 31.4, 29.4, 29.0, 28.1, 27.1, 23.5, 21.4, 14.4. C21H34O3の分析計算値: C, 75.41;H, 10.25. 実測値: C, 75.44;H, 9.98
【0193】
【化52】
【0194】
【化53】
(3α,5α)-19-メトキシ-3-(メトキシメトキシ)-アンドロスタン-17-オン(13)
ステロイド11(800mg、2.5mmol)のDCM(20mL)溶液に、クロロメチルメチルエーテル(302mg、3.75mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(774mg、6mmol)を室温で添加した。16時間後、混合物を水で反応停止させ、EtOAc(100mL×2)で抽出し、塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物13を油状物(900mg、100%)として得た。IR νmax 2921, 1740 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 4.65 (q, J = 6.6, 10.9, 1H), 3.86-3.84 (m, 1H), 3.52 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.43 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.28 (s, 3H), 2.44-0.83 (m), 0.86 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 221.4, 94.5, 71.3, 71.2, 59.1, 55.1, 54.6, 51.7, 47.9, 39.9, 39.4, 35.8, 35.5, 34.0, 31.9, 30.8, 28.0, 27.7, 26.5, 21.7, 21.2, 13.9
【0195】
【化54】
(3α,5α)-19-メトキシ-3-(メトキシメトキシ)-アンドロスタ-16-エン-17-カルボニトリル(14)
ステロイド13(800mg、2.5mmol)のTHF(20mL)溶液に、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(3.0mmol、トルエン中0.5M、6.0mL)を-78℃で添加した。30分後、N-フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(1.07g、3.0mmol)のTHF溶液(5mL)を-78℃で添加した。-78℃で2時間後、混合物を水で反応停止させ、EtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製して、中間体エノールトリフラート(分離不可能な不純物を含み1.21g)。50mL丸底フラスコ中のエノールトリフラート(1.21g)にシアン化ナトリウム(300mg、6.0mmol)、ヨウ化銅(I)(120mg、0.6mmol)およびPd(PPh)(60mg)を室温で添加した。アセトニトリル(25mL)を添加し、混合物を3時間還流した。混合物をNHCl水溶液で反応停止させ、EtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物14を油状物(分離不可能な不純物を含み886mg)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 6.54-6.53 (m, 1H), 4.62 (q, J = 7.0, 9.8 Hz, 2H), 3.80-3.70 (m, 1H), 3.47 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.39 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.23 (s, 3H), 2.29-0.82 (m), 0.85 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 147.7, 127.3, 116.0, 94.4, 71.5, 71.3, 59.1, 56.2, 55.0, 54.8, 48.4, 39.9, 39.5, 34.3, 34.2, 33.8, 32.8, 31.6, 27.9, 27.4, 26.4, 21.5, 16.3。
【0196】
【化55】
(3α,5α)-3-ヒドロキシ-19-メトキシアンドロスタ-16-エン-17-カルボニトリル(15、MQ-91)
分離不可能な不純物を含むステロイド14(886mg)のメタノール(20mL)溶液に、6N HCl(15ml)を室温で添加した。14時間後、混合物をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物15(480mg、ステロイド13からの収率58%)を得た。mp 167-169℃; [α]D 20 = 11.1 (c = 0.18, CHCl3); IR νmax 3337, 2212 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 6.59-6.55 (m, 1H), 4.08-4.05 (m, 1H), 3.53 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.43 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 2.37-0.89 (m), 0.91 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 147.2, 127.5, 115.9, 71.1, 66.1, 59.1, 56.2, 54.8, 48.3, 39.7, 39.3, 36.0, 34.4, 34.3, 32.8, 31.6, 29.3, 28.0, 26.9, 21.5, 16.3. C21H31NO2の分析計算値: C, 76.55;H, 9.48, N, 4.25. 実測値: C, 76.59;H, 9.32;N, 4.06
【0197】
【化56】
(3α,5α,17β)-3-ヒドロキシ-19-メトキシアンドロスタン-17-カルボニトリル(16、MQ-92)
ステロイド15(430mg、1.3mmol)のEtOAc(30mL)溶液に、Pd/C(10%、100mg)を添加した。7気圧H雰囲気中で水素化を3時間室温で行った。混合物をセライトで濾取し、EtOAc(100mL)で洗浄した。溶媒を除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物16(415mg、96%)を得た。mp 146-148℃; [α]D 20 = 42.1 (c = 0.29, CHCl3); νmax 3412, 2235 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 4.08-4.05 (m, 1H), 3.49 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.39 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.25 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 2.10-0.79 (m), 0.92 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 121.4, 70.9, 66.3, 59.1, 54.7, 54.3, 44.5, 40.2, 39.5, 39.2, 37.5, 36.4, 36.1, 31.9, 29.4, 28.0, 27.1, 26.5, 24.5, 21.6, 14.4. C21H33NO2の分析計算値: C, 76.09;H, 10.03, N, 4.23. 実測値: C, 76.16;H, 9.90;N, 4.05
【0198】
【化57】
(3α,5α)-3-ヒドロキシ-19-メトキシプレグナン-20-オン(17、MQ-93)
ステロイド16(360mg、1.09mmol)のTHF(20mL)溶液に、臭化メチルマグネシウム(3.0M、2mL、6.0mmol)を室温で添加した。混合物を16時間還流し、室温に冷却し、6N HClの添加により反応停止させた。生成物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製の生成物(300mg、79%)のH NMRは17β(ステロイド17)および17αジアステレオマーを、各8対1の比で示した。粗製の生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、精製物17(135mg)を得た。mp 160-162℃; [α]D 20 = 41.7 (c = 0.31, CHCl3); IR νmax 3407, 1703 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 4.07-4.05 (m, 1H), 3.47 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.40 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.26 (s, 3H), 2.50 (t, J = 9.4 Hz, 1H), 2.17-0.78 (m), 2.08 (s, 3H), 0.59 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 209.8, 70.9, 66.3, 63.8, 59.0, 56.9, 54.4, 44.3, 39.5, 39.4, 39.2, 36.1, 35.9, 31.8, 31.4, 29.3, 28.1, 26.9, 24.3, 22.6, 22.0, 13.5. C22H36O3の分析計算値: C, 75.82;H, 10.41; 実測値: C, 75.71;H, 10.29。
【0199】
【0200】
【化58】
(3α,5α)-3-(アセチルオキシ)-19-メトキシプレグナン-20-オン(18)
ステロイド17(100mg、0.29mmol)のピリジン(5mL)溶液に、酢酸無水物(51mg、0.5mmol)およびDMAP(5mg)を室温で添加した。2時間後、反応混合物を水で反応停止させ、EtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物18を油状物(112mg、100%)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 5.01-4.98 (m, 1H), 3.46 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.37 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.23 (s, 3H), 2.47 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 2.22-0.79 (m), 2.06 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 0.57 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 209.4, 170.5, 70.9, 69.9, 63.7, 59.0, 56.8, 54.2, 44.2, 40.1, 39.3, 39.1, 35.8, 33.1, 31.7, 31.4, 27.8, 27.7, 26.3, 24.2, 22.6, 21.9, 21.4, 13.4
【0201】
【化59】
(3α,5α)-3,21-ビス(アセチルオキシ)-19-メトキシlプレグナン-20-オン(19)
ベンゼン(10mL)およびメタノール(0.5mL)中のステロイド18(112mg、0.29mmol)の溶液に、四酢酸鉛(513mg、1.15mmol)および三フッ化ホウ素エーテル錯体(1mL)を室温で添加した。3時間後、水を添加し、生成物をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物19を泡状物(82mg、63%)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 5.03-5.01 (m, 1H), 4.70 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 4.53 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 3.47 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.34 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.25 (s, 3H), 2.47 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 2.20-0.80 (m), 2.14 (s, 3H), 2.03 (s, 3H), 0.65 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 203.8, 170.6, 170.2, 70.9, 69.9, 69.1, 59.4, 59.0, 57.1, 54.2, 45.0, 40.1, 39.2, 39.1, 35.9, 33.2, 31.8, 27.9, 27.8, 26.4, 24.4, 22.7, 22.0, 21.5, 20.4, 13.3
【0202】
【化60】
(3α,5α)-3,21-ジヒドロキシ-19-メトキシプレグナン-20-オン(20、MQ-98)
ステロイド19(82mg、0.18mmol)のメタノール溶液に、重炭酸カリウム(280mg、2.0mmol)を室温で添加した。混合物を5時間還流した。水を添加し、生成物をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物20(22mg、37%)を得た。mp 88-90℃; [α]D 20 = 50.0 (c = 0.13, CHCl3); IR νmax 3415, 1708 cm-1-; 1H NMR (CDCl3) δ 4.20-4.10 (m, 3H), 3.49 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.42 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.28 (d, J = 1.9 Hz, 3H), 2.47 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 2.22-0.80 (m), 0.65 (J = 1.2 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 210.4, 70.9, 69.4, 66.4, 59.4, 59.1, 57.1, 54.3, 45.1, 39.5, 39.2, 39.1, 36.1, 36.0, 31.9, 29.4, 28.1, 27.0, 24.5, 22.9, 22.0, 13.6. C22H36O4の分析計算値: C, 72.49;H, 9.95; 実測値: C, 72.77;H, 10.10
【0203】
【化61】
【0204】
【化62】
19-ヒドロキシアンドロスタ-5-エン-3,17-ジオン、3-環状1,2-エタンジイルアセタール(21)
既知19-ヒドロキシアンドロスタ-4-エン-3,17-ジオン(1.0g、3.3mmol)のベンゼン(100mL)溶液に、エチレングリコール(267mg、4.3mmol)およびPPTS(100mg)を添加した。混合物をディーン・スターク・トラップを備えたフラスコ中で還流した。4時間後、混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧により除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(15%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、既知19-ヒドロキシアンドロスタ-5-エン-3,17-ジオン、3,17-ビス(環状1,2-エタンジイルアセタール)(260mg、20%)および生成物21(450mg、39%)を得た。mp 190-192℃; IR νmax 3468, 1735 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 5.67-5.65 (m, 1H), 3.93-3.3.77 (m, 5H), 3.58-3.55 (m, 1H), 2.48-0.96 (m), 0.87 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 221.2, 135.4, 126.4, 109.0, 64.4, 64.2, 62.5, 52.4, 50.0, 47.8, 41.8, 41.6, 35.7, 32.8, 32.4, 31.6, 31.3, 30.0, 21.7, 20.9, 13.9
【0205】
【化63】
(17β)-17,19-ジヒドロキシアンドロスタ-5-エン-3-オン、3-環状1,2-エタンジイルアセタール(22)
ステロイド21(450mg、1.29mmol)のエタノール(50mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(152mg、4mmol)を室温で添加した。3時間後、NHCl水溶液を添加し、生成物をEtOAc(50mL×3)で溶出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(35%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物22(374mg、83%)を得た。mp 208-210℃; IR νmax 3440 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 5.74-5.70 (m, 1H), 4.00-3.92 (m, 4H), 3.85 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.70-3.62 (m, 2H), 2.22-0.84 (m), 0.82 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 135.1, 127.3, 109.1, 81.8, 64.5, 64.3, 62.6, 52.1, 50.0, 42.9, 41.9, 41.8, 36.8, 33.4, 32.4, 31.4, 30.6, 30.5, 23.3, 21.3, 11.3
【0206】
【化64】
(17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタ-5-エン-3-オン、3-環状1,2-エタンジイルアセタール(23)
ステロイド22(374mg、0.72mmol)のTHF(30mL)溶液に、水素化ナトリウム(400mg、鉱油中60%、6.0mmol)を添加した。添加後、混合物を1時間還流し、ヨードメタン(2.13g、15mmol)を添加し、還流を3時間続けた。室温に冷却後、水を添加し、生成物をEtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物22(402mg、100%)を得た。mp 97-99℃; IR νmax 2918, 1450, 1105 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 5.52-5.50 (m, 1H), 3.95-3.83 (m, 4H), 3.51 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.27 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.15 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 2.56-0.78 (m), 0.73 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 136.1, 124.8, 109.1, 90.6, 73.6, 64.2, 64.0, 58.8, 57.6, 51.9, 49.9, 42.6, 42.0, 40.6, 38.0, 32.6, 32.5, 31.3, 30.8, 27.5, 23.1, 21.2, 11.3
【0207】
【化65】
(17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタ-4-エン-3-オン(24、MQ-99)
ステロイド23(402mg、1.07mmol)のTHF(20mL)溶液に、3N HCl(10mL)を室温で添加した。混合物を2時間撹拌し、生成物をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物24(355mg、100%)を得た。IR νmax 1671 cm-1;mp 93-95℃; [α]D 20 = 124.7 (c = 0.32, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ 5.80 (d, J = 0.7 Hz, 1H), 3.68 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 3.51 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 3.28 (s, 3H), 3.25 (s, 3H), 3.18 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.27-0.90 (m), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 199.9, 167.5, 125.5, 90.2, 76.0, 59.2, 57.7, 54.1, 50.9, 42.8, 42.7, 37.8, 35.9, 34.8, 33.6, 33.4, 31.6, 27.4, 23.0, 21.2, 11.5. C21H32NO3の分析計算値: C, 75.86, H, 9.70. 実測値: C, 76.00, H, 9.98
【0208】
【化66】
【0209】
【化67】
(3α,17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタ-5-エン-3-オール(25、MQ-101)および(3β,17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタ-5-エン-3-オール(26、MQ-100)
ステロイド24(355mg、1.07mmol)の酢酸無水物(10mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(600mg、4mmol)およびTMSCl(435mg、4mmol)を0℃で添加した。添加後、混合物を1時間室温に温めた。薄層クロマトグラフィーで残存出発物質は示されなかった。NaHCO水溶液を添加し、生成物をEtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をエタノール(20mL)に溶解し、NaBH(200mg)を添加した。16時間後、NHCl水溶液を添加し、生成物をEtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物25(30mg、8%)および生成物26(248mg、69%)を得た。
【0210】
生成物25の物性。mp 132--134℃; [α]D 20 = -64.0 (c = 0.10, CHCl3); IR νmax 3337, 1446 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 5.67-5.65 (m, 1H), 4.05-4.00 (m, 1H), 3.60 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.31 (s, 3H), 3.28 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.25 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.64-2.60 (m, 1H), 2.17-0.85 (m), 0.80 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 134.8, 126.9, 90.8, 73.7, 66.9, 59.1, 57.9, 52.1, 50.8, 42.8, 41.5, 40.0, 38.2, 32.9, 31.1, 30.2, 29.3, 27.7, 23.3, 21.1, 11.5. C21H34O3の分析計算値: C, 75.41, H, 10.25. 実測値: C, 75.31, H, 10.41
【0211】
生成物26の物性。mp 160-162℃; [α]D 20 = -76.7 (c = 0.45, CHCl3); IR νmax 3408 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 5.53-5.50 (m, 1H), 3.54 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.51-3.44 (m, 1H), 3.28 (s, 3H), 3.24 (s, 3H), 3.22 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.18 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.65 (s, br, 1H), 2.32-0.76 (m), 0.73 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 136.9, 124.4, 90.7, 73.8, 71.1, 58.8, 57.7, 51.9, 50.4, 42.6, 42.2, 40.5, 38.0, 33.6, 32.6, 31.6, 30.7, 27.5, 23.1, 21.2, 11.3. C21H34O3の分析計算値: C, 75.41, H, 10.25. 実測値: C, 75.51, H, 10.30
【0212】
【化68】
【0213】
【化69】
(3α,5α)-3-[[(ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-19-メトキシアンドロスタン-17-オン(27)
ステロイド11(150mg、0.47mmol)のDMF(5ml)溶液に、tert-ブチルジメチルシリルクロライド(150mg、1.0mmol)およびイミダゾール(132mg、2.0mmol)を室温で添加した。16時間後、水を添加し、生成物をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物27を油状物(198mg、99%)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 4.00-3.95 (m, 1H), 3.51 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.40 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.44-0.80 (m), 0.89 (s, 3H), 0.87 (s, 9H), 0.00 (d, J = 1.6 Hz, 6H); 13C NMR (CDCl3) δ 221.6, 71.3, 66.6, 59.1, 54.7, 51.7, 47.9, 39.6, 39.2, 37.0, 35.8, 35.5, 31.8, 30.9, 29.9. 28.1, 27.2, 25.8 (3×C), 25.6, 21.7, 21.2, 13.9, -4.90, -4.92
【0214】
【化70】
(3α,5α)-3-[[(ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-19-メトキシアンドロスタン-17-オン、オキシム(28)
ステロイド27(195mg、0.45mmol)のピリジン(10mL)溶液に、ヒドロキシアミン塩酸塩(140mg、2.0mmol)を室温で添加した。14時間後、水を添加し、生成物をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(20%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物28を油状物(202mg、100%)として得た。1H NMR (CDCl3) δ 9.05 (s, br, 1H), 4.00-3.95 (m, 1H), 3.50 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.41 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.50-0.82 (m), 0.91 (s, 3H), 0.88 (s, 9H), 0.11 (d, J = 1.9 Hz, 6H); 13C NMR (CDCl3) δ 171.1, 71.4, 66.7, 59.1, 54.7, 54.1, 44.2, 39.6, 39.2, 37.1, 35.2, 34.3, 31.5, 30.0, 28.2, 27.1, 25.8 (3×C), 25.0, 23.1, 21.5, 18.1, 17.2, -4.85, -4.89
【0215】
【化71】
(3α,5α,17β)-19-メトキシ-17-ニトロアンドロスタン-3-オール(29、MQ-97)
NBS(231mg、1.3mmol)のジオキサン(4mL)溶液に、KHCO水溶液(260mg、2.6mmol、4mL)を室温で添加し。混合物を30分、室温で撹拌し、オキシム(202mg、0.45mmol)のジオキサン(10ml)溶液を添加した。反応物を、開放フラスコ中、14時間、室温で撹拌した。NaBH(200mg)を5回で添加し、反応物を3時間、室温で撹拌した。6N HCl(10ml)をゆっくり添加し、室温での撹拌を1時間続けた。生成物をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物29(79mg、50%)を得た。mp 52-54℃; [α]D 20 = 25.8 (c = 0.21, CHCl3); IR νmax 3307, 1541, 1370 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 4.38 (t, J = 8.6 Hz, 1H), 4.10-4.05 (m, 1H), 3.49 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.41 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.55-0.79 (m), 0.74 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 94.5, 71.0, 66.3, 59.1, 54.2, 53.4, 46.0, 39.5, 39.1, 37.6, 36.0, 31.5, 29.3, 28.0, 27.1, 24.7, 23.6, 21.7, 12.2. C20H33NO4の分析計算値: C, 68.34, H, 9.46. 実測値: C, 68.40, H, 9.45
【0216】
【化72】
【0217】
【化73】
(3α,5β)-3-ヒドロキシ-19-メトキシアンドロスタン-17-オン(30、MQ-94)
ステロイド10(295mg、0.93mmol)のTHF(20mL)溶液に、水素化リチウムアルミニウムトリ-tert-ブトキシド(2.0mmol、THF中1.0M、2.0mL)を-40℃で添加した。2時間後、混合物を3N HClにより-40℃で反応停止させ、反応物を1時間で室温に温めた。生成物をジクロロメタン(100mL×2)で抽出し、塩水で洗浄した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(30%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物30(239mg、81%)を得た。mp 208-210℃; IR νmax 3428, 1737, 1642 cm-1; [α]D 20 = 81.3 (c = 0.31, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ 3.65-3.58 (m, 1H), 3.52 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.43 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 2.44-0.65 (m), 0.85 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 221.4, 71.5, 70.8, 59.1, 54.6, 51.6, 47.9, 44.9, 39.0, 38.3, 35.8, 35.5, 32.0, 31.8, 31.6, 30.8, 28.0, 21.7, 21.6, 13.8. C20H32O3の分析計算値: C, 74.96;H, 10.06. 実測値: C, 75.10;H, 9.95
【0218】
【化74】
【0219】
【化75】
(3β,5α,17β)-17,19-ジメトキシアンドロスタン-3-オール(31、MQ-96)
ステロイド7(65mg、0.20mmol)のTHF(10mL)溶液に、水素化リチウムアルミニウムトリ-tert-ブトキシド(1.0mmol、THF中1.0M、1.0mL)を-40℃で添加した。2時間後、混合物を3N HClにより-40℃で反応停止させ、反応物を1時間で室温に温めた。生成物をジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、塩水で洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(25%EtOAcのヘキサン溶液で溶出するシリカゲル)で精製して、生成物31(55mg、85%)を得た。mp 164-166℃; IR νmax 3370 cm-1-; [α]D 20 = 1.0 (c = 0.10, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ 3.65-3.57 (m, 1H), 3.51 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.43 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.33 (s, 3H), 3.29 (s, 3H), 3.22 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 2.24-0.60 (m), 0.76 (s, 3H); 13C NMR (CDCl3) δ 90.8, 71.5, 71.0, 59.1, 57.8, 54.7, 51.5, 45.0, 43.0, 38.9, 38.5, 38.4, 35.8, 32.0, 31.8, 31.6, 28.2, 27.7, 23.2, 22.2, 11.7. C21H36O3の分析計算値: C, 74.95;H, 10.78. 実測値: C, 74.91;H, 10.82
【0220】

B. [ 35 S]-TBPS置換
GABA受容体上のピクロトキシン結合部位からの[35S]-TBPSの非競合的置換剤のIC50値を表1に示す。
【表1】

【0221】
ここに示す結果は、3回行った実験のうち2回からのものである。誤差限界は平均の標準誤差として計算する。使用する方法は文献で知られる(Jiang, X., et al., Neurosteroid analogues. 9. Conformationally constrained pregnanes: structure-activity studies of 13,24-cyclo-18,21-dinorcholane analogues of the GABA modulatory and anesthetic steroids (3α,5α)- and (3α,5α)-3-hydroxypregnan-20-one. J. Med. Chem., 46: 5334-48 (2003)参照 - この内容をその全体を引用により本明細書に包含させる)。
【0222】
C. 電気生理学結果
本発明の化合物を、ツメガエル卵母細胞で発現させたラットαβγ2LタイプGABA受容体で、2μM GABAが介在する塩素電流を増強する能力について評価し、結果を表2に示す。
【表2】

【0223】
応答の制御のために使用したGABA濃度は2mMであった。各化合物を少なくとも4個の異なる卵母細胞で、記載した濃度で試験し、示す結果は添加化合物存在下/非存在下で測定した電流の比である。ゲート開閉は、GABAの非存在下で10mM 化合物によりゲート開閉される直流を表し、この電流を化合物のみの電流/2mM GABA電流の比として示す。誤差限界は平均の標準誤差として計算する(N≧4)。使用する方法は文献で知られる(Jiang, X., et al.参照)。
【0224】
D. オタマジャクシの正向および泳ぎの喪失
表3は本発明の化合物の麻酔作用を開示する。特に、本発明の化合物の正向反射喪失(LRR)および泳ぎ反射喪失(LSR)に関する麻酔作用。
【表3】

【0225】
使用する方法は文献で知られる(Jiang, X., et al.参照)。誤差限界は平均の標準誤差として計算する(5個以上の濃度の各々でN=10以上の動物)。
【0226】
E. ラット正向反射喪失
血漿薬物動態および鎮静の定性的評価を、次の方法に従い雄Sprague Dawleyラットで行った。ラットに、適当な媒体中5~15mg/kgの範囲の投与量で足背静脈から静脈内ボーラス投与(60秒)した。鎮静を評価するために、ラットを、投与のために手で穏やかに側臥位に拘束した。投与中に筋緊張の低下が観察されたら、拘束を徐々に緩めた。動物が正立位に戻れないならば、正向反射喪失(LRR)の発生として時間を記録した。最終的に投与中にLRRが生じなかったならば、動物を仰臥位で置くことにより、その後5分間隔で評価した。30秒インターバル内で2回連続遅鈍なまたは不完全な正向を正向反射喪失と認定した。LRR発生後、動物を5分毎に同じ方法で評価した。正向反射の回復を、仰臥位に置かれたラットが20秒以内に完全に正しい姿勢になる能力として定義する。LRRの持続時間を、LRRと正向反射回復の間の時間間隔として定義する。
【表4】


A <10分;B 10~20分;C >20分
【0227】
F. イヌ側横臥位喪失
血漿薬物動態および鎮静の定性的評価を、次の方法に従い雄ビーグル犬で得た。イヌに、橈側皮静脈を介して、適当な媒体中5mg/kg投与量で静脈内ボーラス投与(60秒)した。鎮静を評価するために、イヌを、投与のために穏やかに拘束した。投与中に筋緊張低下、肢衰弱または頭部墜落が観察されたならば、側横臥位の発生を記録した。最終的に投与中に側横臥位が生じなかったならば、動物を、その後側横臥位に置くことにより5分間隔で評価した。腹ばい姿勢への遅鈍なまたは不完全な正向を側横臥位と認定した。側横臥位の発生後、動物を5分毎に同じ方法で評価した。側横臥位の持続時間を、側横臥位と腹ばい姿勢回復の間の時間間隔として記録した。
【表5】


A <10分;B 10~20分;C >20分
【0228】
一般法
本発明で記載した化合物を、本明細書の何処かに記載した方法および次の方法により製造した。
【0229】
溶媒は、購入したものをそのまま、または標準法で乾燥し、精製して使用した。抽出溶媒を無水NaSOで乾燥し、濾過後、ロータリーエバポレーターで除去した。フラッシュクロマトグラフィーを、Scientific Adsorbents(Atlanta, GA)から購入したシリカゲル(32~63μm)を使用して行った。融点をKofler micro hot stageで測定し、未補正である。FT-IRスペクトルを、NaClプレート上のフィルムとして記録した。NMRスペクトルを、環境温度で300MHz(H)または74MHz(13C)でCDCl中で記録した。純度を、Analtech(Newark, DE)の250μM厚UniplatesTM上のTLCにより測定した。全ての純粋な化合物(純度>95%)は、TLCで単一スポットとなった。元素分析は、M-H-W Laboratories(Phoenix, AZ)により行った。
【0230】
同等物および範囲
上記の観点から、本発明のいくつかの利点が達成され、他の有利な結果に到達したことを見ることができる。本開示の範囲から逸脱することなく上記の方法および組成を種々変えることができるため、上の記載に含まれ、添付する図面に示す全ての事項は説明的であると解釈され、限定的意図はないことが意図される。
【0231】
本発明またはその多様な型、態様または面の要素を導入するとき、単数形は、該要素の1個またはそれ以上であることを意味することが意図される。用語“含む”、“包含する”、“有する”または“含有する”は、開放性であり、付加的要素または工程の包含が可能であることが意図される。