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特許7241798ワークピースを加工するための加工ステーション及び方法
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  • 特許-ワークピースを加工するための加工ステーション及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ワークピースを加工するための加工ステーション及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20230310BHJP
   B23B 41/00 20060101ALI20230310BHJP
   B26F 1/16 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
H05K3/00 M
B23B41/00 D
B26F1/16
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021077334
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2021180305
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】10 2020 113 134.8
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521190004
【氏名又は名称】スカイブレイン フェアメーゲンスフェアヴァルトゥング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Skybrain Vermogensverwaltungs GmbH
【住所又は居所原語表記】Odenwaldstrasse 67 63322 Rodermark Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴィンターシュラーデン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ブレッツ
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-134707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0052068(US,A1)
【文献】特開2017-92259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 41/00
B26F 1/16
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの工具(10,13,14)を用いて板状のワークピース(1)を加工するための加工ステーション、特に少なくとも1つの回路基板を加工するための穿孔ステーションであって、
前記ワークピース(1)内の孔、特に基準孔及びスルーホールの位置に関するデータを捕捉するための少なくとも1つの測定装置(16)と、
前記ワークピース(1)内に孔、特にスルーホール(2)及び深孔を形成するための少なくとも1つの穿孔装置(10,13,14)と、
前記少なくとも1つの測定装置(16)のデータの処理、及び、前記少なくとも1つの穿孔装置(10,13,14)の制御のための、少なくとも1つのデータ処理装置(17)と、を備え、
前記少なくとも1つのデータ処理装置(17)は、前記ワークピース(1)内に存在する孔の、目標穿孔位置及び目標穿孔深さと、前記少なくとも1つの測定装置(16)によって確定された実際の位置及び実際の深さとの間の調整を実行すると共に、前記少なくとも1つの穿孔装置(10,13,14)を用いて孔を形成するための、前記穿孔位置及び前記穿孔深さの、特に3つの空間方向の全てにおける孔座標の適合を行うのに適しており適合されており、前記測定装置(16)及び前記データ処理装置(17)は、前記ワークピース(1)の内部の少なくとも1つの支持点に関する情報を有し、前記目標穿孔深さは、前記支持点に関する情報及び前記目標穿孔位置の近傍の領域における基準孔の実際の深さに従って適合されている、ことを特徴とする加工ステーション。
【請求項2】
前記少なくとも1つの穿孔装置(10,13,14)は、選択された内層を基準として検出するための装置を備えることを特徴とする、請求項に記載の加工ステーション。
【請求項3】
前記少なくとも1つのデータ処理装置(17)は、選択された内層の前記検出の前記測定データに基づいて、前記穿孔深さを適合させるのに適しており適合されていることを特徴とする、請求項に記載の加工ステーション。
【請求項4】
前記少なくとも1つの測定装置(16)及び/又は前記少なくとも1つのデータ処理装置(17)は、回路基板(1)の銅めっきの後に前記孔の測定を実行するのに適しており適合されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の加工ステーション。
【請求項5】
前記少なくとも1つのデータ処理装置(17)は、前記孔(2)の前記測定の前記測定データに基づく前記穿孔位置の適合を、回路基板(1)の銅めっきの後に行うのに適しており適合されていることを特徴とする、請求項に記載の加工ステーション。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の加工ステーションにおいて、板状のワークピース(1)を加工するための、特に回路基板を加工するための方法であって、
a)少なくとも1つの板状のワークピース(1)を準備するステップ、
b)前記少なくとも1つの板状のワークピース(1)内の基準孔の前記位置及び前記ワークピース内の少なくとも1つの支持点に関する情報を確定するステップ、
c)前記少なくとも1つの板状のワークピース(1)内にスルーホール(2)を形成するステップであって、同時に又は引き続き、前記スルーホール(2)の前記穿孔位置が確定されるステップ、
d)更なる加工の後に、特に前記回路基板の銅めっきの後に、銅めっきされた前記スルーホール(2)の前記穿孔位置を新たに測定するステップ、
e)ステップd)で確定されたデータに基づいて、前記穿孔位置及び前記穿孔深さを、3つの空間方向の全てにおいて前記孔座標を、適合させるステップ、及び、
f)ステップe)で適合された前記穿孔位置及び前記穿孔深さのデータに基づいて、前記板状のワークピース(1)内に深孔を形成するステップであって、前記目標穿孔深さの情報は、前記支持点に関する情報及び前記目標穿孔位置の近傍の領域における前記基準孔の前記実際の深さに従って適合されているステップ
を含む方法。
【請求項7】
テップc)において、穿孔装置(10,13,14)を用いて、前記個々の層の前記実際のz位置に関する情報の記録が行われる、及び/又は、
ステップd)において、別個の測定機械上においてオフラインで、及び/又は、穿孔装置(10,13,14)上においてオンラインで、前記測定が行われる、及び/又は、
ステップe)において、前記基準孔に関するデータに基づく全ての穿孔位置の平均化された適合、前記孔(2)の直接的な適合、又は、個々の孔(2)の直接的な適合及び残りの孔(2)の平均化された適合の組み合わせが行われる、ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
ステップd)において、選択された基準孔のみ又は全ての孔のいずれかが、ゾーンスキャニング法によって、又は、前記板状のワークピース(1)の選択された領域、特に孔の密度の高い領域内の全ての孔が、測定される、ことを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【請求項9】
ステップe)において、ステップc)からのデータに基づいて、各孔(2)について個別に前記穿孔深さの適合が行われることを特徴とする、
請求項のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具を用いて板状のワークピースを加工するための加工ステーション、例えば回路基板を加工するための穿孔又はフライス加工ステーション、及び、板状のワークピースを加工するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の回路基板製品は、当該製品の機能性を保証するために、孔の精密な加工を必要とする。孔は、例えば銅めっきされ、回路基板の個々の層の間の接続を確立する機能を果たす。厚さ方向に互いにオフセットされた導電層を有する回路基板1の孔が、図1に種々の加工状態で示されている。図1は、左側に、2つの内層3を互いに接続するめっきスルーホール2を示している。しかしながら、高周波領域(>5GHz)での適用の場合、ここでは銅層である実際の接続部4の長い突出した端部は、信号に擾乱を引き起こす。したがって、スルーホール2は、銅層が除去されるよう、より大きな直径で再び穿孔される。残存する残片5(スタブ)は、可能な限り規定された長さを有するべきである。長すぎるスタブ5は、電気信号に対して悪影響を及ぼし、短すぎるスタブ5は、スルーホール内に保持されないため、機械的な問題を引き起こす。このプロセスは、「バックドリル」とも呼ばれる。
【0003】
このバックドリルは、種々の方法で実行することができる。最も簡単なケースでは、予め決められた深さまで穿孔される。しかしながら、これは、層がプレス工程に起因してノミナルのz位置になく、回路基板の厚さが変化することを考慮していない。
【0004】
したがって、特許文献1から、深孔の生成を可能とする方法が知られており、当該方法は、貫通穿孔からの情報に基づくと共に、基準層の検出によって正確な穿孔結果をもたらす。
【0005】
更なる不確実性の要因として、実際の穿孔プロセスが付加される。穿孔機の位置決め精度、機械テーブル上の回路基板の位置決めの誤差、ドリルの可撓性、汚染などのために、パイロット孔は、板状のワークピースの平面に対して所望の位置に正確に据えられない(x及びy方向の誤差)。しかしながら、パイロット孔直径とバックドリル時の直径との間の小さな差は、非常に小さなプロセスウィンドウをもたらす。図2は、左側に、銅層4を有する銅めっきされたスルーホール2と、その上方に位置決めされたドリルの理想的な位置6(中央に破線の十字で示す)とを示している。貫通穿孔プロセス及びバックドリル時の穿孔機の位置決めの不正確さに起因する誤差によって、銅4がバックドリル時に完全には除去されないということが起こり得る。図2には、右側に、結果として生じる、望ましくないスプリッタ7(薄片)を有するスタブ5が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2016/0052068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それに対して、本発明の課題は、バックドリル又は他の加工ステップの際の精度に及ぼす上述した悪影響を回避する、回路基板又は同様の板状のワークピースを加工するための、加工ステーション及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の加工ステーション及び請求項7に記載の方法によって解決される。有利な構成は、従属請求項に提示されている。
【0009】
少なくとも1つの工具を用いて板状のワークピースを加工するための本発明による加工ステーションは、例えば、少なくとも1つの回路基板を加工するための穿孔ステーションである。
【0010】
そのような加工ステーションは、一実施例によれば、ワークピース内の孔、特に基準孔及び/又はスルーホールの位置に関するデータを捕捉するための少なくとも1つの測定装置と、ワークピース内に孔、特にスルーホール及び/又は深孔を形成するための少なくとも1つの穿孔装置と、少なくとも1つの測定装置のデータを処理するための、及び/又は、少なくとも1つの穿孔装置を制御するための、少なくとも1つのデータ処理装置と、を備えることができる。層又は孔の実際の位置に関してより高い精度で加工を実行するために、少なくとも1つのデータ処理装置は、ワークピース内に存在する孔又は孔内のコーティングの、目標穿孔位置及び/又は目標穿孔深さと、少なくとも1つの測定装置によって確定された実際の位置及び/又は実際の深さとの間の調整を実行すると共に、少なくとも1つの穿孔装置を用いて孔を形成するための穿孔位置及び/又は穿孔深さの適合を行うのに適しており適合されている。
【0011】
このために、少なくとも1つの測定装置及び/又は少なくとも1つのデータ処理装置が、ワークピースの登録(Registrierung)を行うのに適しており適合されていると有利になる。このような登録は、ワークピース内の層、孔等の存在及び場合によっては位置に関するデータの捕捉に貢献する。そのような情報は、部分的に、ワークピースの外側から光学的に検出できないか又は限定的にしか検出できない可能性がある。したがって、ワークピースにスルーホールを形成する前に、ワークピースの内部の少なくとも1つの点に関する情報が、穿孔位置の適合のために捕捉され得る。
【0012】
この登録プロセスは、個々の層の互いに対する変位を確定するために、回路基板全体の分析を含むことができる。これは、例えばX線を用いて行うことができる。測定データから、好ましくは1つ又は複数の基準孔の位置が導出される。その際、基準孔は、貫通穿孔時に個々の層の所望の接触部位を可能な限り精確に穿孔するために、全ての層にわたって可能な限り良好な平均化が得られるよう、例えば事前に穿孔される。
【0013】
一実施形態によれば、少なくとも1つの穿孔装置は、選択された内層を基準として検出するための装置を備えることができる。特に、穿孔装置は、スルーホールを形成する際に、後続の銅めっきのための内層検出が行われるように設計されている。これは複数のステップで行うことができ、例えば前及び後から穿孔するためにパネルを回転させることができる。ここで、好ましくは、個々の層の実際のz位置に関する情報の記録が、例えば特許文献1に記載されているように行われる。
【0014】
少なくとも1つのデータ処理装置は、選択された又は全ての内層の検出の測定データに基づいて、穿孔深さを適合させるのに適しており適合されている。任意選択的に、スルーホールの穿孔位置、すなわち回路基板表面のx及びy位置も測定され得る。
【0015】
独立した発明思想によれば、バックドリル時の軸オフセットの影響を最小限に抑えるために、回路基板の銅めっきの後に孔の測定が行われる。その際、少なくとも1つの測定装置及び/又は少なくとも1つのデータ処理装置は、好ましくは、回路基板の銅めっきの後に孔の測定を実行するのに適しており適合されている。このために、種々の変形が可能である:測定は、第1の例においては、入射光、透過光のような測定方法を用いて又は触覚によって、本発明による加工ステーションの別個の測定機械上においてオフラインで行うことができる。代替的に又は付加的に、測定は、例えば加工ステーションのCCDカメラを用いるなどの適切な方法によって、本発明による加工ステーションの穿孔機上においてオンラインで行うことができる。
【0016】
その際、本発明による加工ステーションにおける測定の範囲は、種々に変化し得る:加工ステーションは、第1の例においては、選択された基準孔のみを測定するように適合されていてもよい。更に、本発明による加工ステーションが、全ての孔を測定するように適合されていることも可能である。しかしながら、これは、穿孔機上での測定の際、長い時間を要する可能性がある。更なる例によれば、本発明による加工ステーションは、複数の又は全ての孔をゾーンスキャニング法によって測定する、すなわち、CCDカメラが複数の孔を含む画像を記録し、これを、情報処理を通じて、検出された全ての孔の中心点が十分な精度で決定され得るように評価する、ように適合されていることが可能である。最後に、一例によれば、本発明による加工ステーションが、孔の密度の高い選択された領域内の全ての孔を測定するように適合されていることが可能である(例えばボールグリッドアレイ)。その際、選択された領域は、好ましくは、データ処理装置によってインテリジェントに確定される。
【0017】
少なくとも1つのデータ処理装置は、更に、孔の測定の測定データに基づく穿孔位置及び/又は穿孔深さの適合を、回路基板の銅めっきの後に行うのに適しており適合されていることが可能である。その際、測定データに基づく穿孔位置(x及びy座標)の適合は、バックドリル・プロセスの深孔を、可能な限り精確にパイロット孔の中心に穿孔するという目的で行われる。その際、測定方法に応じて、基準孔に関する情報に基づく全ての穿孔位置の平均化された適合、データによるそれぞれの孔の直接的な適合、又は、測定された孔の直接的な適合及び残りの孔の平均化された適合のいずれかが行われ得る。更に、スルーホールの形成の際に確定されたデータに基づいて、穿孔深さの計算が、例えば各孔について別々に行われ得る。
【0018】
本発明による方法は、上述した種類の加工ステーションで、板状のワークピースを加工するのに、特に回路基板を加工するのに、適している。好ましくは、方法は以下のステップを含む:少なくとも1つの板状のワークピースを準備するステップ、少なくとも1つの板状のワークピース内の基準孔の位置を確定するステップ、少なくとも1つの板状のワークピース内にスルーホールを形成るステップであって、同時に又は引き続き、更なる加工の後に、特に回路基板の銅めっきの後に、スルーホールの穿孔位置が確定されるステップ、例えば銅めっきされたスルーホールの穿孔位置を新たに測定するステップ、先行するステップで確定されたデータに基づいて穿孔位置及び/又は穿孔深さを適合させるステップ、及び、穿孔位置及び/又は穿孔深さの適合されたデータに基づいて板状のワークピース内に深孔を形成するステップ。換言すれば、本発明による方法によれば、3つの空間方向の全てにおいて、孔座標の適合が行われ得る。
【0019】
したがって、本発明の本質的な態様は、加工ステーションの具体的な設計にかかわらず、使用分野及びワークピースに応じて方法の理想的な組み合わせを得るための、測定方法の異なる実施形態及びそれに対応した種々の下流の補償方法を有するプロセスチェーンである。
【0020】
更なる独立した発明思想は、測定ステップ、処理ステップ及び加工ステップの間でデータを交換できるように、プロセスチェーンに沿って本発明による加工ステーションの個々の構成要素にインタフェースを設けることに関する。ここで、ゾーンスキャニング時に検出されるべき孔のインテリジェントな選択を可能とするアルゴリズムも使用され得る。
【0021】
(スルーホールの銅めっきの前及び/又は後における)登録、貫通穿孔及び測定のプロセスステップからの情報を組み合わせることによって、本発明によれば、3つの空間方向の全てにおいて孔座標の有利な適合が行われる。これにより、穿孔位置及び穿孔深さの適合に基づいて、適合された深孔穿孔が可能となる。
【0022】
本発明が、以下において、実施例及び図面に基づいてより詳細に説明される。その際、記載された特徴及び/又は図示された特徴の全ては、それらが特許請求の範囲又はそれらの参照においてどのように要約されるかにかかわらず、個々に又は任意の組み合わせで、本発明の主題を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】回路基板の孔を断面図で示している。
図2】孔を平面図で又は側面図で示している。
図3】本発明による加工ステーションを概略的に示している。
図4】本発明による方法のステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図3には、例えば穿孔機10のような加工装置を有する加工ステーションが示されており、当該穿孔機10は、平坦なテーブル11と、その上に設けられた支持層(バックアップ)12とを備えている。更に、穿孔機10は、ドリル(穿孔工具)14を有する少なくとも1つの穿孔スピンドル13を備えている。支持層12の上には、ワークピース1、例えば回路基板のようなサンドイッチ部材が載置されており、当該ワークピース1は、図3の図示においては誇張して大きく波打っている。通常、ワークピース1は実質的に板状の部材であり、板厚に応じて部分的に数十分の1ミリメートルの凹凸を有する。ワークピース1の上には、カバー層(エントリー)15が置かれている。図3の図示とは異なり、テーブル11と支持層12との間に、例えば支持体等を設けることができる。更に、カバー層は、例えば導電性の最上層を伴って多層に形成されていることも可能である。図3の図示において、部材の幅は例えばX方向であり、部材の厚さは例えばZ方向である。
【0025】
加工ステーションは、更に、ワークピース1を非破壊的に検査するのに適した測定装置16を備えている。測定装置16はデータ処理装置17に接続されており、当該データ処理装置17は穿孔機10にも接続されている。
【0026】
加工ステーションは、以下の方法のプロセスチェーンの個々のステップを実行するのに適しており、当該方法のステップ及びそれらのシーケンスは、図4に概略的に示されている。
【0027】
深孔を有する回路基板を製造するためのプロセスチェーンは、一実施例によれば、とりわけ以下のステップを含むことができる:
【0028】
1)先ず、回路基板の製造及び提供のための種々の先行ステップ(露出、エッチング、プレス、…)を実行することができる。これは、大抵の場合、加工ステーションでは行われない。
【0029】
2)次に、回路基板の登録が行われる。回路基板全体のこの分析では、個々の層の互いに対する変位が確定される。これは、例えばX線を用いて行うことができる。測定データから、基準孔の位置が導出される。基準孔は、貫通穿孔時に個々の層の所望の接触部位を穿孔するために、全ての層にわたって可能な限り良好な平均化が得られるように穿孔される。登録プロセスから、x位置及びy位置の後の適合のための回路基板の内部の支持点に関する情報を取り出すことができる。これも、加工ステーションの外部で行うことができる。
【0030】
3)続いて、貫通穿孔、すなわち後続の銅めっきのためのスルーホールの形成が行われる。これは複数のステップで行うことができ、例えば前及び後から穿孔するためにパネルを回転させることができる。ここで、個々の層の実際のz位置に関する情報の記録が、(例えば、特許文献1に記載されているように)行われる。内層識別を伴う貫通穿孔は、選択された内層を基準として識別するための特別な装置を有する対応する機械の上で行うことができる。
【0031】
4)任意選択的に、スルーホールの穿孔位置の測定を、当該スルーホールが更に加工される前に、特に内面がコーティングされる前に、行うことができる。
【0032】
5)回路基板の銅めっきは、好ましくは、本発明による加工ステーションの外部で行われる。
【0033】
6)ステップ4での測定に加えて又はそれに代えて、銅めっきされたスルーホールの穿孔位置の測定が行われる。穿孔位置の測定は、バックドリル時の軸オフセットの影響を最小限に抑えるために、回路基板の銅めっきの前及び/又は後に行われる。このために、種々の変形が可能である:
a)オフラインで、別個の測定機械上において、入射光、透過光のような測定方法を用いて又は触覚によって(ステップ4+6において)、
b)オンラインで、穿孔機上において、例えば今日すでに機械上で使用されているようなCCDカメラを用いた適切な方法によって(ステップ6においてのみ)
その際、測定の範囲も、種々に変化し得る:
c)選択された基準孔のみ(変形a及びb)、
d)全ての孔(変形a及びb)、
e)全ての孔をゾーンスキャニング法によって(変形b)、すなわち、CCDカメラが複数の孔を含む画像を記録し、これを、情報処理を通じて、検出された全ての孔の中心点が十分な精度で決定され得るように評価する、
f)孔の密度の高い選択された領域内の全ての孔(例えば、ボールグリッドアレイ;選択された領域はインテリジェントに確定される)(変形a及びb)
【0034】
7)続いて、穿孔位置が、データ処理装置における測定結果を用いて比較され、必要に応じて適合される。ステップ6からの測定データに基づいて、穿孔位置(x及びy座標)の適合が行われる。目的は、バックドリル・プロセスの深孔を、可能な限り精確にパイロット孔の中心に穿孔することである。その際、測定方法に応じて、基準孔に関する情報に基づく全ての穿孔位置の平均化された適合(変形c)、あるいは、変形d及びeからのデータによるそれぞれの孔の直接的な適合、又は、測定された孔の直接的な適合及び残りの孔の平均化された適合(変形f)のいずれかが行われる。
【0035】
8)ステップ3からのデータに基づいて、付加的に、それぞれの孔に対して個別に穿孔深さの計算及び必要に応じて適合が(例えば特許文献1に記載されているように)行われる。
【0036】
9)次に、適合されたデータを用いて深孔穿孔が行われる。適合された位置で決められた深さで深孔穿孔を実行するために、ステップ7及び8からの情報を有するプログラムが機械10上で使用される。
【符号の説明】
【0037】
1 ワークピース
2 孔
3 内層
4 接続部
5 残片(スタブ)
6 穿孔位置
7 スプリッタ(薄片)
10 穿孔機
11 テーブル
12 支持層
13 穿孔スピンドル
14 ドリル
15 カバー層
16 測定装置
17 データ処理装置
図1
図2
図3
図4