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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】食肉様食品
(51)【国際特許分類】
   A23J 3/00 20060101AFI20230310BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20230310BHJP
【FI】
A23J3/00 502
A23L13/00 Z
【請求項の数】 70
(21)【出願番号】P 2021084697
(22)【出願日】2021-05-19
(62)【分割の表示】P 2018520568の分割
【原出願日】2016-10-20
(65)【公開番号】P2021119791
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】62/244,092
(32)【優先日】2015-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/250,161
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/339,765
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/298,199
(32)【優先日】2016-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516311179
【氏名又は名称】ビヨンド ミート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダリウシュ アジャミ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー ディル
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ゲイストリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ケニー マヨラル
(72)【発明者】
【氏名】フー バ ンゴー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ノリエガ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アンガス ライアン
(72)【発明者】
【氏名】デヤ スアレス-トルジッロ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エス.ティモンズ
(72)【発明者】
【氏名】トロイ ウォルトン
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533945(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127694(WO,A1)
【文献】特開平06-105667(JP,A)
【文献】特開2005-021163(JP,A)
【文献】特開昭51-032756(JP,A)
【文献】特開昭58-121759(JP,A)
【文献】特公昭50-025533(JP,B1)
【文献】特公昭49-000500(JP,B1)
【文献】特表2012-525118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23J1/00-7/00
A23L13/00-17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食肉構造化タンパク質製品と、トリガー条件に達したときに放出される作用剤を含む作用剤放出システムと、結合剤とを含む食肉様食品であって、前記作用剤放出システムが油中水型エマルションを含み、前記エマルションが分散相と連続相とを含み、前記分散相が水を含み、前記連続相が脂質を含み、前記放出される作用剤が前記分散相に配置されており、
前記作用剤が、着色剤、発色剤、色安定剤、味覚剤、味覚増強剤、味覚安定剤、芳香剤、芳香増強剤、及び芳香安定剤からなる群から選択され、
前記結合剤が、デンプン、メチルセルロース、緑豆タンパク質、キャノーラタンパク質単離物、ヒヨコマメタンパク質、レンティルタンパク質、エンドウタンパク質、ジャガイモタンパク質単離物、ダイズタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質、コムギタンパク質単離物、藻類タンパク質濃縮物、ヒヨコマメタンパク質濃縮物、コメタンパク質濃縮物、ヘンプタンパク質濃縮物、ソラマメタンパク質濃縮物、およびバイタルコムギグルテン濃縮物からなる群から選択され、
前記結合剤が、前記食肉構造化タンパク質製品と前記作用剤放出システムとを共に結合して凝集塊としている、食肉様食品。
【請求項2】
前記食肉様食品が、少なくとも0.1重量%の前記結合剤を含む、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項3】
前記食肉様食品が、0.1重量%~10重量%の前記結合剤を含む、請求項2に記載の食肉様食品。
【請求項4】
前記食肉様食品が、1.0重量%~4.0重量%の前記結合剤を含む、請求項3に記載の食肉様食品。
【請求項5】
前記食肉様食品中に均一に分散した作用剤放出システムを含み、前記作用剤放出システムによって付与された特性が均一に分散するようになっている、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項6】
前記食肉様食品中に不均一に分散した前記作用剤放出システムを含み、前記作用剤放出システムによって付与された特性が不均一に分散するようになっている、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項7】
前記トリガー条件が調理中に達成された温度である、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項8】
前記温度が30℃~100℃である、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項9】
前記温度が50℃~80℃である、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項10】
前記着色剤が、ビートルート抽出物、ザクロ抽出物、サクランボ抽出物、ニンジン抽出物、アカキャベツ抽出物、紅藻抽出物、ビートルート液汁、ザクロ果汁、サクランボ果汁、ニンジン液汁、アカキャベツ液汁、紅藻液汁、アントシアニン、ベタニン、カンタキサンチン、カラメル、カルミン、コチニール抽出物、クルクミン、リボフラビン、サフラン、およびターメリックからなる群から選択される、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項11】
前記色安定剤が、酸化防止剤、pHまたはイオン強度調整剤、キレート剤、反応性金属錯体、および抗微生物剤からなる群から選択される、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項12】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、ローズマリー抽出物、グルコネート、および金属イオンからなる群から選択される、請求項11に記載の食肉様食品。
【請求項13】
前記pHまたはイオン強度調整剤が、酢酸、塩酸、リン酸、硝酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、グルコノデルタラクトン、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、およびリン酸三ナトリウムからなる群から選択される、請求項11に記載の食肉様食品。
【請求項14】
前記発色剤が、非フラボノイドフェノール、フラボノール、アルギニン、金属イオン、金属イオン錯体、遷移金属、遷移金属錯体、およびポリフェノールからなる群から選択される、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項15】
前記味覚剤、前記味覚増強剤、または前記味覚安定剤が、水溶性味覚剤、加水分解タンパク質、塩化ナトリウム、動物肉味覚材、人工味覚剤、天然味覚剤、ニンニク味覚材、ハーブ味覚材、天然煙抽出物、タマネギ味覚材、シイタケ抽出物、スパイス抽出物、糖、アミノ酸、酵母抽出物、加水分解タンパク質単離物、メイラード反応前駆体、グアノシン及び/又はイノシン=モノ、ジ、又はトリホスフェート、塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、及び核酸ドからなる群から選択される、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項16】
前記芳香剤、前記芳香増強剤、又は前記芳香安定剤が、水溶性芳香化合物、揮発性芳香化合物、前駆体分子、メイラード反応前駆体、反応触媒、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、グアノシン及び/又はイノシンのモノ、ジ、またはトリホスフェート、食肉様フラン、2-メチル-3-フランチオール、メチルフルフリルジスルフィド、アルデヒド、グアイコール、3-メチルブタナール、メチオナール、2-アセチル-2-チアゾリン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、オクテン-3-オール、フェニル酢酸、2-メチルテトラヒドロフラン-3-チオール、メチルメルカプタン、フェニル酢酸、トリチオアセトン、ベンジルメルカプタン、フルフリルメルカプタン、メチルフルフリルジスルフィド、ピラジン、硫化アンモニウム、ジメチルスルフィド、メチオナール、パラクレゾール、フェニルアセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド、5-メチル-2-フェニル-5-ヘキセナール、ホモフラノール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-チオール、メチルメルカプタン、フラネオール、アセトインからなる群から選択される、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項17】
記作用剤が、前記食肉様食品に食肉様の色を付与または増強する、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項18】
記作用剤が、前記食肉様食品に未調理の食肉様の色を付与または増強する、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項19】
前記作用剤放出システムが、前記作用剤を化学変換から保護している、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項20】
前記作用剤放出システムが、前記作用剤を、前記食肉様食品に未調理の食肉様の色を付与または増強する作用剤から分離している、請求項1に記載の食肉様食品。
【請求項21】
前記食肉様食品が、少なくとも25重量%の前記食肉構造化タンパク質製品を含む、請求項1~20のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項22】
前記食肉様食品が、25重量%~60重量%の前記食肉構造化タンパク質製品を含む、請求項21に記載の食肉様食品。
【請求項23】
前記食肉構造化タンパク質製品が、第1の食肉構造タンパク質製品と第2の食肉構造化タンパク質製品とを含み、前記第1の食肉構造化タンパク質製品と前記第2の食肉構造化タンパク質製品とが異なる属性を有する、請求項1~22のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項24】
前記属性がサイズである、請求項23に記載の食肉様食品。
【請求項25】
前記属性がタンパク質の種類である、請求項23に記載の食肉様食品。
【請求項26】
前記食肉構造化タンパク質製品が、5重量%~70重量%のタンパク質、0.5重量%~25重量%の総炭水化物、0.05重量%~10重量%の食用繊維、0.1重量%~25重量%の総脂質、及び30重量%~80重量%の水分を含む、請求項1~25のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項27】
前記食肉構造化タンパク質製品が、40重量%~60重量%のタンパク質、2重量%~4重量%の総炭水化物、2重量%~4重量%の食用繊維、3重量%~5重量%の総脂質、及び45重量%~55重量%の水を含む、請求項26に記載の食肉様食品。
【請求項28】
前記タンパク質がエンドウタンパク質からなる、請求項26または請求項27に記載の食肉様食品。
【請求項29】
前記食肉構造化タンパク質製品が、1.8~3の水和後折り重ね体積変化を有する、請求項1~28のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項30】
前記食肉様食品が、少なくとも0.0001重量%の前記作用剤放出システムを含む、請求項1~29のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項31】
前記食肉様食品が、1重量%~40重量%の前記作用剤放出システムを含む、請求項30に記載の食肉様食品。
【請求項32】
前記食肉様食品が、10重量%~35重量%の前記作用剤放出システムを含む、請求項31に記載の食肉様食品。
【請求項33】
前記作用剤放出システムが、少なくとも45重量%の脂質を含む、請求項1~32のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項34】
前記作用剤放出システムがさらにゲルを含む、請求項1~33のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項35】
前記連続相が、キャノーラ油、ヒマワリ油、藻類油、アロエベラ油、アボカド油、グリセリド、トリグリセリド、コーン油、綿実油、亜麻油、グレープシードオイル、アマニ油、オリーブ油、パーム油、ラッカセイ油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、コメ油、ココアバター、シアバター、ココナツ油、リン脂質、及び脂肪酸からなる群から選択された脂質を含む、請求項1~34のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項36】
前記連続相が、少なくとも10重量%のココナツ油と、少なくとも30重量%のキャノーラ油とを含む、請求項35に記載の食肉様食品。
【請求項37】
前記連続相が、少なくとも30重量%のヒマワリ油又はキャノーラ油を含む、請求項35に記載の食肉様食品。
【請求項38】
前記連続相が、少なくとも10重量%のパーム油又はココナツ油を含む、請求項35に記載の食肉様食品。
【請求項39】
前記連続相がろう分子を含む、請求項1~38のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項40】
前記ろう分子が、カルナウろう分子、オウリカリろう分子、及びキャンデリラろう分子からなる群から選択される、請求項39に記載の食肉様食品。
【請求項41】
前記エマルションが乳化剤をさらに含む、請求項1~40のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項42】
前記エマルションが0.1重量%~10重量%の乳化剤を含む、請求項41に記載の食肉様食品。
【請求項43】
前記乳化剤が、レシチン、リン脂質、ポリリシノール酸ポリグリセロール、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン(Span 85)、トリステアリン酸ソルビタン(Span 65)、セスキオレイン酸ソルビタン(Arlacel 83)、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン(Span 80)、モノステアリン酸ソルビタン(Span 60)、モノパルミチン酸ソルビタン(Span 40)、モノラウリル酸ソルビタン(Span 20)、ジアセチル酒石酸エステルからなる群から選択される、請求項41に記載の食肉様食品。
【請求項44】
前記乳化剤が、ポリリシノール酸ポリグリセロールである、請求項43に記載の食肉様食品。
【請求項45】
前記乳化剤が、低親水性親油性バランス(HLB)を有する乳化剤である、請求項41に記載の食肉様食品。
【請求項46】
前記エマルションが平均サイズを有する液滴を含み、前記平均サイズが前記食肉様食品に食肉様の色を付与する、請求項1~45のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項47】
前記平均サイズが100nm~800nmである、請求項46に記載の食肉様食品。
【請求項48】
前記作用剤放出システムが、ゲル化剤をさらに含む、請求項1~47のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項49】
前記ゲル化剤が、多糖、デンプン、ゴム、及びタンパク質からなる群から選択される、請求項48に記載の食肉様食品。
【請求項50】
前記多糖が、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カラギーナン及びその塩、アルギン酸及びその塩、寒天、アガロース、オートムギ親水コロイド、キトサン、アルギン酸カルシウム、酵母β-グルカン、デキストラン、カードラン、プルラン、スクレログルカン、シゾフィラン、パキマン、クレスチン、レンチナン、グリフォラン、グロメララン、ペスタロタン、タイロピラン、シネレアン、ケフィラン、ラミナリン、フコイダン、グルコロナン、ヒアルロナン、ペクチン、アガロペクチン、低メトキシルペクチンからなる群から選択される、請求項49に記載の食肉様食品。
【請求項51】
前記結合剤がデンプンであり、前記デンプンが、穀物由来のデンプン、塊茎由来のデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、トウモロコシデンプン、ワキシーコーンデンプン、タピオカデンプン、タピオカ、クズウコンデンプン、タロデンプン、エンドウデンプン、ヒヨコマメデンプン、コメデンプン、モチゴメデンプン、レンティルデンプン、オオムギデンプン、もろこしデンプン、コムギデンプン及びこれらの、アルファ化デンプン、アセチル化デンプン、リン酸結合デンプン、カルボキシメチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプンを含む物理的又は化学的改変物からなる群から選択される、請求項に記載の食肉様食品。
【請求項52】
前記ゴムが、ローカストビーンガム、アラビアゴム、ゲランガム、キサンタンガム、およびスクシノグルカンガムからなる群から選択される、請求項49に記載の食肉様食品。
【請求項53】
前記タンパク質が、ネイティブなタンパク質である、請求項49に記載の食肉様食品。
【請求項54】
前記タンパク質が、エンドウタンパク質、ダイズタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、藻類タンパク質、酵母タンパク質、ジャガイモタンパク質、レンティルタンパク質、マンノタンパク質、コラーゲン、アルブミン、オボアルブミン、乳タンパク質、ホエータンパク質、キャノーラタンパク質、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、グロブリン、および種子タンパク質からなる群から選択される、請求項49に記載の食肉様食品。
【請求項55】
前記ゲル化剤がメチルセルロースである、請求項48に記載の食肉様食品。
【請求項56】
前記ゲル化剤がメチルセルロースとデンプンである、請求項48に記載の食肉様食品。
【請求項57】
前記凝集塊が着色剤をさらに含む、請求項1~56のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項58】
前記着色剤が、ペントース、ヘキソース、デキストリン、及び市販の褐色化剤からなる群から選択される褐色化剤である、請求項57に記載の食肉様食品。
【請求項59】
前記着色剤が、ビート抽出物とアナトーの混合物、ビート抽出物とムラサキニンジンの混合物、ビート抽出物とトマト抽出物の混合物、ビート抽出物とリコペンの混合物、ビート抽出物とβカロテンの混合物、ビート抽出物とアントシアニンの混合物、ビート抽出物とアントシアニンとアナトーの混合物、ビート抽出物とアナトーとリコペンの混合物、ビート抽出物とアスコルビン酸とアントシアニンとアナトーの混合物、ビート抽出物とアナトーとアスコルビン酸の混合物、ビート抽出物とアナトーとβカロテンの混合物、ビート抽出物とターメリックとアスコルビン酸の混合物、及びアントシアニンとリコペンとアナトーの混合物からなる群から選択された混合物を含む、請求項57に記載の食肉様食品。
【請求項60】
前記ビート抽出物とアナトーの混合物が、不均等な重量比のビート抽出物とアナトーを含む、請求項59に記載の食肉様食品。
【請求項61】
前記ビート抽出物とアナトーの混合物が、ビート抽出物とアナトーを99:1の重量比で含む、請求項60に記載の食肉様食品。
【請求項62】
前記ビート抽出物とアナトーの混合物が、ビート抽出物とアナトーを80:20の重量比で含む、請求項60に記載の食肉様食品。
【請求項63】
前記食肉様食品が、2重量%~6重量%の可食性繊維を含む、請求項1~62のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項64】
前記食肉様食品が、0.5重量%~15重量%の植物デンプンを含む、請求項1~63のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項65】
前記食肉様食品が、15重量%~30重量%のタンパク質を含む、請求項1~64のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項66】
前記食肉様食品が、2重量%~25重量%の脂質を含む、請求項1~65のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項67】
前記食肉様食品が、3重量%~35重量%の総炭水化物を含む、請求項1~66のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項68】
前記食肉様食品が、一酸化炭素、亜硝酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、Bombal、ビタミンE、ローズマリー抽出物、グリート茶抽出物、カテキン、及び抗酸化物質からなる群から選択される少なくとも1種の保存期間延長剤を0.01重量%~5重量%含む、請求項1~67のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項69】
前記食肉様食品が、カロテン、レスベラトロール、α-トコフェロール、ルテイン、ゼアキサンチン、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、カフェイン酸、カルノソール、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物、エラグ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、オイゲノール、フェルラ酸、フラバノン、フラボン、イソフラボン、フラボノイド、フラボノール、没食子酸、没食子酸アセチル、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸ドデシル、ゲンチアナ抽出物、乳酸、シナピン酸、ケルセチン、パルミチン酸レチニル、米ぬか抽出物、ローズマリー抽出物、ロスマリン酸、セージ抽出物、トコフェロールからなる群から選択される抗酸化物質を0.01重量%~5重量%含む、請求項1~68のいずれかに記載の食肉様食品。
【請求項70】
前記食肉様食品が、α-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコフェロール、β-トコトリエノール、δ-トコフェロール、δ-トコトリエノール、γ-トコフェロール、γ-トコトリエノール、パントテン酸、ビタミンA、ビタミンB-12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、セッコウ、鉄、マグネシウム、カリウム、アルミニウム、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、リノール酸、カルシウム、鉄、オメガ-3脂肪酸、亜鉛からなる群から選択されるビタミン、栄養ミネラル、又は必須栄養素を0.01重量%~5重量%含む、請求項1~69のいずれかに記載の食肉様食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
動物由来ではないが、動物肉又は動物肉由来製品の代用品として機能し得る食品が提供される。なぜなら、その食品は、動物肉又は肉由来製品のものと同等の又は上回るテクスチャ特性及び他の特性、栄養学的利点、用途多様性、調理経験並びに食経験を提供するからである。また、そのような食肉様食品を製造するためのプロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
動物肉は、利用可能な最も万能な高タンパク質食品の1つである。しかし、菜食主義及び完全菜食主義の食事の健康上かつ環境上の利点は、広範に理解され、消費者は、動物由来食品及びそれらの不健康な成分(例えば、飽和脂肪酸、コレステロール)の摂取を減らそうとする意識的な努力をますます行っている。
【0003】
菜食主義及び完全菜食主義の栄養製品に対して高まっている要求を満たすために、かつ動物肉消費に関連付けられた環境負荷に対処するために、食品科学者は、動物由来ではないが、動物由来食品に類似した構造特性及び栄養学的利点を提供する高タンパク質食品を開発する努力を行ってきた。しかし、そのような努力は、限定的な成功しか収めず、その結果、新規食品の消費者満足度及び受容度は、低かった。例えば、未調理時に動物肉に似ている(例えば、食肉様の色、伸展性及び用途多様性を有する)、調理中に属性において食肉様の変化を受ける(例えば、焦げ目がつく、焼けてしたたる脂肪を放出する、食肉様の味覚を生じる、食肉様の芳香を放つ、凝集性を失うことなく固くなる、様々な段階の焼き加減を有する)かつ調理されたときに食肉様の属性(例えば、食肉様の色、芳香、味覚、咀嚼性、凝集性、テクスチャ)を持つ食品は、現在入手できない。その代わりに、入手可能な製品は、咀嚼中に容易にほぐれるより緩くかつあまり複雑ではないタンパク質構造を有し、不十分な小さな咬合力及び咀嚼時間を要し、「粉質」、「ゴム質」、「スポンジ質」及び/又は「ぬめり」の感覚を付与する。新規食品はまた、水分及び風味を効果的に閉じ込めることができない。また、新規食品は、調理済動物肉のみを模倣することを目指し、未調理動物肉がもたらす用途多様性も、消費者が動物肉の調理時に慣れている感覚的経験も、いずれも提供しない。更に、入手可能な製品の多くは、グルテン又はダイズタンパク質などの作用物質を含み、それらの作用物質に感受性であるか又はそれらの消費を好まない人々の数が増加することによって消費される可能性がない。最後に、現在入手可能な多くの食肉様食品の製造工程は、煩雑で時間がかかり、費用がかかる。つまり、動物肉と同等なテクスチャ経験及び感覚的経験、栄養学的利点、用途多様性、調理経験並びに食経験、動物肉と同程度の低価格及び多様なタンパク源を提供する、消費者が入手可能な植物由来食品は、現在存在しない。
【0004】
したがって、動物肉の構造、テクスチャ及び他の特性を有し、一般的な栄養学的感受性に対して負荷とはならず、かつ消費者が動物肉由来で慣れている用途多様性及び調理経験を提供する非動物由来タンパク質製品に対するアンメットニーズが存在する。本発明は、そのような食品及び関連する食品並びにそれらの製造用の工程を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の属性を有する食品を製造するために、1種以上の結合剤によって一体に結合された、少なくとも約25重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、食肉様食品を提供する。一部の実施形態では、食肉様食品は、異なる属性を有する2種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、食肉様食品が動物肉により良好に近似されるように、食肉様食品に食肉様の属性を付与する1種以上の作用剤放出システムを更に含む。作用剤放出システムは、食肉様食品内に均一又は不均一に分布させることができる。作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、作用剤放出システムに含まれているとき及び/又はトリガ条件が作用剤放出システムからの作用剤の放出を引き起こした後、食肉様の属性を付与又は増強することができる。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、エマルションである。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、ゲルである。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、カプセル化体である。
【0006】
本発明の別の態様は、食肉様食品が動物肉により良好に近似されるように、食肉様食品に食肉様の属性を付与する作用剤放出システムを提供する。一部のそのような実施形態では、作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、作用剤放出システムに含まれているとき及び/又はトリガ条件が作用剤放出システムからの作用剤の放出を引き起こした後、食肉様の属性を付与又は増強する。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、エマルションである。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、ゲルである。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、カプセル化体である。
【0007】
本発明の別の態様は、食肉構造化タンパク質製品と、任意選択で、作用剤放出システム及び/又は他の成分とを、1種以上の結合剤を用いて凝固させることにより、食肉様食品を製造するためのプロセスを提供する。
【0008】
本発明の更に別の態様は、本明細書で提供される食肉様食品と組み合わせた動物肉製品を含む増量食肉製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の代表的な実施形態に従った、バーガーパティを含む食肉様食品の斜視図である。
図2】本明細書において提供される例示的な高可食性繊維構成成分のワーナー-ブラッツラーせん断(WBS)力(硬さ及び作用(work))の棒グラフを示す図である。
図3A】本発明の代表的な実施形態に従った、未調理FBx食肉様食品のL***色値を示す図である。
図3B-1】本発明の代表的な実施形態に従った、4Cにて様々な期間にわたって保存された例示的食肉様食品のL***パラメータの散布図を示す図である。
図3B-2】本発明の代表的な実施形態に従った、4Cにて様々な期間にわたって保存された例示的食肉様食品のL***パラメータの散布図を示す図である。
図4A】本発明の代表的な実施形態に従った、牛挽肉(A)及び食肉様食品(B、C)の4Cにおける音響スペクトログラムを示す図である。
図4B】本発明の代表的な実施形態に従った、牛挽肉(A)及び食肉様食品(B、C)の4Cにおける音響スペクトログラムを示す図である。
図4C】本発明の代表的な実施形態に従った、牛挽肉(A)及び食肉様食品(B、C)の4Cにおける音響スペクトログラムを示す図である。
図5】本発明の代表的な実施形態に従った、作用剤放出システム(リポゲル及び/又はエマルション)を含み、4Cにて異なる脂質含有量を有する例示的な食肉様食品の10C及び15Cにおける結合性を示す図である。
図6】本発明の代表的な実施形態に従った、結合色素を有する酵母細胞壁材料を含む様々な例示的な食肉様食品の4Cにおけるa*値の棒グラフを示す図である。
図7】本発明の代表的な実施形態に従った、結合した褐色着色剤を有する酵母細胞壁材料を含む、例示的な食肉様食品の4CにおけるL***値の棒グラフを示す図である。
図8】本発明の代表的な実施形態に従った、結合した炭水化物を有する酵母細胞壁材料を含む調理された及び未調理の例示的な食肉様食品の4CにおけるL***値の棒グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
別途定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本開示に関係する当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0011】
定義
用語「80/20牛挽肉」は、本明細書で使用される場合、20重量%の脂肪を含む動物挽肉を意味する。
【0012】
用語「90/10牛挽肉」は、本明細書で使用される場合、10重量%の脂肪を含む動物挽肉を意味する。
【0013】
用語「a」及び「an」並びに「the」及び類似の指示詞は、本明細書で使用される場合、本明細書に別途記載のない限り又は文脈により明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を意味する。
【0014】
用語「約(about)」は、本明細書で使用される場合、その値又は規定値の1/10によって規定された値の範囲よりも大きい又は小さいことを意味するが、任意の値又は値の範囲をこの幅のある定義のみに限定することを意図しない。例えば、「約30%」の値は、27%~33%の値を意味する。用語「約」が前置されたそれぞれの値又は値の範囲はまた、規定の絶対値又は値の範囲の実施形態を包含することが意図されている。
【0015】
用語「粘着性」は、本明細書で使用される場合、プローブに粘着する材料の傾向を定量化するテクスチャプロファイル分析(TPA)のパラメータを意味する。
【0016】
用語「作用剤放出システム」は、本明細書で使用される場合、1種以上の放出用作用剤を含む分散システム構成成分を意味し、分散システム構成成分からの放出用作用剤の放出をトリガ条件が引き起こすまで、そのような放出用作用剤を分解若しくは他の化学変換又はその周辺環境との相互作用から保護する。
【0017】
用語「放出用作用剤」は、本明細書で使用される場合、作用剤放出システムの不可欠な一部ではないが、例えば、水素結合、イオン結合、親水相互作用、静電相互作用、イオン交換、金属イオンキレート化、配位錯体形成若しくは(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ホスフェート基、スルフェート基又はアミノ基と関与する)沈殿を介して作用剤放出システムに非共有結合している化合物、又は作用剤放出システム内に物理的に捕捉された化合物を意味する。放出用作用剤の例には、着色剤、色安定剤、色増強剤、芳香剤、芳香安定剤、芳香増強剤、味覚剤、味覚安定剤、味覚増強剤、pH及び/又はイオン強度調整剤、結合剤、遷移金属、遷移金属錯体、アントシアニン、ベタニン、キレート剤、抗酸化剤、抗微生物剤、金属イオン、金属イオン錯体、脂質、タンパク質、アミノ酸、炭水化物、可食性繊維、必須栄養素、メイラード反応前駆体及び互いに又は他の化合物と選択的又は非選択的に相互作用することができて食肉様の属性を付与又は増強する作用剤を生成する他の前駆体分子、生物活性物質、食品安全性成分、非動物性成分、動物性成分、栄養補助剤、調味剤、塩類、糖類(例えば、リボース、グルコース)、核酸(例えば、DNA、RNA)、微生物バイオマス、鉄含有分子(例えば、ヘム、ヘミン、ポルフィリン、レグヘモグロビン、ミオグロビン、ヘモグロビン)、細胞構造体(例えば、クロロプラスト)、医薬化合物、機能性食品、本明細書で提供される食肉様食品の楽しみ又は健康促進性を増加させる作用剤並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「動物肉」は、本明細書で使用される場合、動物由来の骨格筋若しくは他の臓器(例えば、腎臓、心臓、肝臓、胆嚢、腸、胃、骨髄、脳、胸腺、肺、舌)由来の獣肉又はこれらの一部を意味する。動物肉は、ダークミート又はホワイトミートであり得る。動物肉の起源となり得る好適な動物には、ウシ、子羊、ヒツジ、ウマ、家禽(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ)、鳥類(例えば、任意の鳥種、イエバト、野生バト、ライチョウ、ヤマウズラ、ダチョウ、エミュー、キジ、ウズラ)、淡水魚介又は塩水魚介(例えば、ナマズ、マグロ、フウライカジキ、サメ、オヒョウ、チョウザメ、サケ、バス、カワカマス、パイク、ボウフィン、ガー、ウナギ、ヘラチョウザメ、ブリーム、コイ、マス、ウォールアイ、タイワンドジョウ、クラッピー、シスター(sister)、ムラサキイガイ、ホタテガイ、アワビ、イカ、タコ、ウニ、コウイカ、被嚢類)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、エビ、フジツボ)、狩猟動物(例えば、シカ、キツネ、野生ブタ、ヘラジカ、ムース、トナカイ、カリブー、レイヨウ、シマウマ、リス、マーモット、ウサギ、クマ、ビーバー、マスクラット、オポッサム、アライグマ、アルマジロ、ヤマアラシ、バイソン、バッファロー、イノシシ、ヤマネコ、ボブキャット、コウモリ)、爬虫類(例えば、ヘビ、カメ、トカゲ、アリゲーター、クロコダイル)、任意の昆虫又は他の節足動物、げっ歯類(ヌートリア、モルモット、ラット、マウス、ハタネズミ、ウッドチャック、カピバラ)、カンガルー、クジラ及びアザラシが挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、すりつぶされた、刻まれた、細断された又は他の方法で加工された動物肉を意味する。この用語は、本明細書に別途記載のない限り又は文脈により明確に否定されない限り、未調理動物肉、調理中の動物肉、及び調理済動物肉のいずれも包含する。
【0019】
用語「芳香」は、本明細書で使用される場合、嗅覚系(例えば、主嗅覚臓器及び副嗅覚臓器)によって知覚可能な特定の揮発性物質の感覚的属性を表す匂い又は臭気を意味する。食品の芳香は、専門人間対象者のパネルを使用して試験することができる。あるいは、食品の芳香は、例えば、Heracles II(Alpha MOS America(Hanover,MD))などの自動オルファクトメータを使用することを含む、ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS)によって試験することができる。本明細書で提供される食肉様食品の芳香を調節するために適量を決めることができる変数には、芳香剤、芳香安定剤、芳香増強剤及び金属錯体が挙げられるが、これらに限定されない。用語「芳香剤」は、本明細書で使用される場合、嗅覚系内の芳香受容体を活性化する揮発性物質を意味する。用語「芳香安定剤」は、本明細書で使用される場合、芳香剤を安定化させるか又は嗅覚系による芳香剤の知覚を安定化させる化合物を意味する。用語「芳香増強剤」は、本明細書で使用される場合、嗅覚系内の芳香受容体の感度を増加させる揮発性化合物を意味する。好適な芳香剤の例には、油溶性芳香化合物、水溶性芳香化合物、揮発性芳香化合物、食肉様フラン(例えば、2-メチル-3-フランチオール、メチルフルフリルジスルフィド)、アルデヒド(例えば、2,4-デカジエナール)、グアイコール、3-メチルブタナール、メチオナール、2-アセチル-2-チアゾリン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、オクテン-3-オール、フェニル酢酸、2,4-デカジエナール、イオノンβ、トリチオアセトン、ベンジルメルカプタン、フルフリルメルカプタン、メチルフルフリルジスルフィド、オイルオニオン、ピラジン、硫化アンモニウム、ジメチルスルフィド、アセトイン、メチオナール、パラクレゾール、フェニルアセトアルデヒド、イソバレルアルデヒド、5-メチル-2-フェニル-5-ヘキセナール、ホモフラノール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-チオール、メチルメルカプタン、フラネオール、インドール、前駆体分子(すなわち、互いに又は他の化合物と特異的又は非特異的に反応することができ食肉様の芳香を付与又は増強する作用剤を生成する分子;例えば、メイラード反応前駆体(例えば、反応性アルデヒド部位を有する5~8炭素の還元糖[例えば、リボース、キシロース、フルクトース、アラビノース、グルコース]、反応性一級アミン[例えば、リジン、グリシン]、反応性硫黄[例えば、システイン、メチル=3-(メチルチオ)プロピオナート、チアミン、ジメチルスルホキシド、硫化ナトリウム]、反応性アミノ酸[例えば、グルタミン酸、アラニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、プロリン、トリプトファン]、反応性核酸[モノ、ジ及びトリホスフェート形態で;例えば、イノシン=モノ、ジ、トリホスフェート、グアノシン=モノ、ジ、トリホスフェート]、反応性ペプチド[例えば、カルニチン、グルタチオン、マンノプロテイン;例えば、酵母、キノコ、藻類、細菌、チーズカビ、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ラクチス、クロレラ及びスピルリナなどの食品安全性の非動物性源由来]、食品安全性のイオン強度調整剤[例えば、ナトリウム/カリウム/カルシウム=モノ、ジ又はトリホスフェート、塩化ナトリウム/カリウム/カルシウム]、食品安全性のpH調整剤[例えば、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、乳酸]、反応触媒[鉄(II)、銅(II)及びマンガン(II)などの配位性金属イオンが塩の形態であるか又はヘテロ環配位子若しくはポルフィリン様分子によって配位されており、ヘム若しくはヘムタンパク質、シトクロム、ポルフィリン及び他のヘテロ環(例えば、コリン、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン)の非精製、非単離、半精製、部分的精製又は高度精製した形態などのペプチド又はタンパク質によって場合により安定化されている]、味覚及び嗅覚受容体を相乗的に活性化し、味覚及び芳香を増強するグアノシン及び/又はイノシン=モノ、ジ又はトリホスフェートなどの分子)、並びにこれらの組み合わせ及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な芳香増強剤の例には、組み合わせることで嗅覚系内の芳香受容体の感度を増加させる揮発性化学物質(上記で列挙したものなどであるがこれらに限定されない)の組み合わせを含むが、これらに限定されない(例えば、イソアミルアセテートとウイスキーラクトンとを組み合わせると嗅覚受容体の相乗活性化をもたらすことができる。
【0020】
用語「結合している」は、本明細書で使用される場合、成分を1つの凝集塊に、一体的に保持することを促進する、支持する、又は可能にすることである。結合性を定量化するための方法は、実施例6に記載されている。
【0021】
用語「結合剤」は、本明細書で使用される場合、結合を仲介する作用剤を意味する。
【0022】
用語「細胞壁」は、本明細書で使用される場合、多くの生物学的細胞を取り囲み、細胞に構造的支持及び他の生命機能を提供する分子構造体を指す。細胞壁の組成は、細胞の種類間で異なるが、多糖と糖タンパク質とを多くの場合含む。
【0023】
用語「細胞壁断片」は、本明細書で使用される場合、無傷の状態ではない、壊されて断片となった細胞壁を意味する。
【0024】
用語「細胞壁材料」は、本明細書で使用される場合、細胞壁及び細胞壁断片を意味し、結合された細胞膜を有する細胞壁及び細胞壁断片まで及ぶ。細胞壁材料はまた、ゴースト、殻、外皮、外殻、エンベロープ、デブリ、遺棄物又は「ref」という用語の下で当該技術分野において既知である。
【0025】
用語「咀嚼性」は、本明細書で使用される場合、TPAパラメータのガム性と弾力性との積として計算されたTPAパラメータを意味する(実施例6を参照されたい)。これは、飲み込む準備ができた状態まで食品を咀嚼するために必要なエネルギーを表現すると考えられている。本明細書で提供される食肉様食品の咀嚼性を調節するために適量を決めることができる変数には、構造化タンパク質製品の密度、MC及び異なる粘弾性特性を有する結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「凝集性」は、本明細書で使用される場合、食品の第1の圧縮中に作用の面積から計算されたTPAパラメータを意味する(実施例6を参照されたい)。これは、食品の構造的一体性を表現し、食品の塊を作り出す内部結合の強度により特徴付けられる特性を意味すると考えられている。本明細書で提供される食肉様食品の凝集性を調節するために適量を決めることができる変数には、結合剤の種類及び量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「色」は、本明細書で使用される場合、物体によって反射された光の色相、彩度及び明度の組み合わせを意味する。食品の色は、人間官能専門家のパネルを使用して試験することができる。あるいは、食品の色は、自動比色計を使用して試験することができる(実施例1を参照されたい)。本明細書で提供される食肉様食品の色を調節するために適量を決めることができる変数には、着色剤、色安定剤及び色増強剤の種類及び量が挙げられるが、これらに限定されない。用語「着色剤」は、本明細書で使用される場合、食品に色を付与する化合物を意味する。用語「色安定剤」は、本明細書で使用される場合、着色剤を安定化させるか又は視覚系によって、着色剤により付与された色の知覚を安定化させる化合物を意味する。用語「色増強剤」は、本明細書で使用される場合、着色剤によって付与された着色又はそのような着色の知覚を強化する化合物を意味する。好適な着色剤の例には、人工色素、天然色素、天然抽出物(例えば、ビートルート抽出物、ザクロ抽出物、サクランボ抽出物、ニンジン抽出物、アカキャベツ抽出物、紅藻抽出物)、改質天然抽出物、天然液汁(例えば、ビートルート液汁、ザクロ果汁、サクランボ果汁、ニンジン液汁、アカキャベツ液汁、紅藻液汁)、改質天然液汁、FD&C(Food Drug & Cosmetics)Red No.3(エリスロシン)、FD&C Green No.3(ファストグリーンFCF)、FD&C Red No.40(アルラレッドAC)、FD&C Yellow No.5(タルタジン(tartazine))、FD&C Yellow No.6(サンセットイエローFCF)、FD&C Blue No.1(ブリリアントブルーFCF)、FD&C Blue No.2(インジゴチン)、酸化チタン、アナトー、アントシアニン、ベタニン、β-APE 8カロテナール、β-カロテン、クロフサスグリ、焦がし砂糖、カンタキサンチン、カラメル、カルミン/カルミン酸、コチニール抽出物、クルクミン、ルテイン、カロテノイド、モナシン、パプリカ、リボフラビン、サフラン、ターメリック及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な色安定剤の例には、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、ローズマリー抽出物、トコフェロール、グルコネート、金属イオン)、pH及び/又はイオン強度調整剤(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、キレート剤(例えば、EDTA)、反応性金属錯体(第二鉄塩及び第一鉄塩[例えば、クロライド、ホスフェート、シトレート]、亜鉛、銅、マグネシウム及びマンガン)、抗微生物剤(例えば、柑橘類果実抽出物)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な色増強剤の例には、共色素(すなわち、着色剤と結合して非結合着色剤よりも強い色味を作り出す無色化合物[例えば、非フラボノイドフェノール、フラボノール、アルギニン])、金属イオン(例えば、第二鉄塩)、金属イオン錯体、遷移金属錯体、ポリフェノール及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
用語「制御条件」は、本明細書で使用される場合、例えば、酸素供給、pH、塩濃度、温度及び栄養素(例えば、炭素、窒素、硫黄)利用性の水準などの人間によって定義された条件を意味する。制御条件下で生育した非動物源は、その非動物源にとってネイティブでない、タンパク質、炭水化物、脂質及び他の化合物の分布を発生させ得る。
【0029】
用語「調理済動物肉」は、本明細書で使用される場合、特定の属性に達するまで加熱を受けた動物肉を意味する。牛肉、子牛肉及びラム肉のステーキ及びローストなどの動物肉について、「レア調理済動物肉」は、本明細書で使用される場合、冷たい赤身の中心部及び52~55℃の内温を有する動物肉の軟らかい一片を意味し、「ミディアム調理済動物肉」は、ピンク色であり、60~65℃の内温を有する動物肉の堅固な一片を意味し、「ウェルダン調理済動物肉」は、全体にわたって灰褐色であり、71℃の内温を有する動物肉の堅固な一片を意味する。
【0030】
用語「調理済食肉様食品」は、本明細書で使用される場合、約60℃~約80℃の平均内温に到達するまで加熱を受けた食肉様食品を意味する。
【0031】
用語「調理経験」は、本明細書で使用される場合、食品が調理されているときに食品を見ること、聞くこと及び嗅ぐことの経験を意味し、芳香を嗅ぐこと、シズル音を聞くこと及び食品が調理されたときに、食品が生じさせるか又は食品が受ける色の変化を見ることを含む。
【0032】
用語「調理時間」は、本明細書で使用される場合、未調理食肉様食品を、350°Fの表面温度に較正された電気グリドル上で火が通るまで加熱するために必要な時間を意味する。本明細書で提供される食肉様食品の調理時間を調節するために適量を決めることができる変数は、質量、温度、表面積及び製品の異なる状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
用語「調理損失」は、本明細書で使用される場合、食品が調理されたときの重量の低減を意味する。本明細書で提供される食肉様食品の調理損失を調節するために適量を決めることができる変数は、MC、脂質含有量、揮発性化合物含有量、ソルビトールなどの保湿剤、異なる密度を有する構造化タンパク質製品、油吸収容量及び表面積が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
用語「架橋」は、本明細書で使用される場合、ポリペプチド間の新規共有結合の化学的、酵素的又は化学酵素的形成を意味する。
【0035】
用語「焼き加減(doneness)」は、本明細書で使用される場合、加熱後の本明細書で提供される食肉様食品が、調理済動物肉(例えば、レア調理済動物肉、ミディアム調理済動物肉、ウェルダン調理済動物肉)と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を得た状態を意味する。具体的には、食品は、調理済動物肉と比較したとき、食品が類似の又は優れた色、芳香、味覚、咀嚼性、ガム性、弾力性、凝集性、復元性、粘着性、硬さ、MC、多汁性、内温、調理損失又はヘッドスペースGCMSを得た場合に、「焼かれ(done)」ている。
【0036】
用語「生地」は、本明細書で使用される場合、乾燥成分(「乾燥混合物」、例えば、タンパク質、炭水化物及び液体油を含む脂質)と液体成分(「液体混合物」、例えば、水又は液汁[すなわち、植物又は植物の任意の部分などの非動物源由来の液体系抽出物])との配合物を意味し、この生地から、食肉構造化タンパク質製品は、機械的エネルギー(例えば、回転、撹拌、振とう、せん断、加圧、乱流、衝突、合流、泡立て、摩擦、揺動)、放射エネルギー(例えば、マイクロ波、電磁波)、熱エネルギー(例えば、加熱、蒸気調質)、酵素活性(例えば、架橋活性)、化学反応剤(例えば、pH及び/又はイオン強度調整剤、コスモトロピック塩、カオトロピック塩、石こう、界面活性剤、乳化剤、脂肪酸、アミノ酸)、タンパク質変性及びタンパク質繊維整列をもたらす他の方法又はこれらの方法の組み合わせを適用することにより作製され、続いて(例えば、急速な温度変化及び/又は圧力変化、急速な脱水、化学的固定、酸化還元によって)繊維構造が固定される。
【0037】
用語「エマルション」は、本明細書で使用される場合、1種以上の液体(「分散相(複数可)」)が別の液体(「連続相」)内に微細液滴として分散されている不混和液体の混合物を意味する。
【0038】
用語「乳化剤」は、本明細書で使用される場合、エマルションの相間の界面に集中し、相間の界面張力を低減させ、したがってエマルションを安定化させる分子を意味する。水中油滴型又は油中水滴型エマルションを安定化することができる非イオン性乳化剤は、乳化剤の溶解度を示す親水性親油性バランス(HLB)によって特徴付けることができる。高HLBを有する乳化剤は、水により可溶であり、本明細書で提供されるような水中油滴型エマルションを促進する。低HLBを有する乳化剤は、油により可溶であり、本明細書で提供されるような油中水滴型エマルションを促進する。
【0039】
用語「増量する」及びその受動態「増量された」は、本明細書で使用される場合、食品の栄養素含有量又は他の特性を向上させることを意味する。
【0040】
用語「増量食肉製品」は、本明細書で使用される場合、本明細書で提供される食肉様食品により増量された動物肉を意味する。
【0041】
用語「粉」は、本明細書で使用される場合、乾燥重量基準で約20%~約40%のタンパク質を一般的に有する天然源由来の脱脂材料の粉砕形態を意味する。
【0042】
用語「食品」は、本明細書で使用される場合、対象者によって消費することができる(例えば、食べられる、飲まれる又は消化される)任意の物品を意味する。
【0043】
用語「ゲル」は、本明細書で使用される場合、粘稠液体から軟弱固体の範囲の特性を有する材料を与える、液体内に分散された固体ポリマーネットワークの集合を意味する。
【0044】
用語「油脂性」は、本明細書で使用される場合、製品中に存在する油の実際の量とは無関係な、食品における油様の滑らかさ又は滑りやすさの定性的知覚を意味する。
【0045】
用語「ガム性」は、本明細書で使用される場合、TPAパラメータの硬さと凝集性との積として計算された、食品のTPAパラメータを意味する(実施例6を参照されたい)。
【0046】
用語「硬さ」は、本明細書で使用される場合、食品のテクスチャパラメータを意味し、TPAアッセイ又は圧縮アッセイのいずれかにおいて食品の第1の圧縮のピーク力から計算される(実施例6を参照されたい)。これは、咀嚼中に大臼歯間で食品を圧縮するために必要な力と相関すると考えられている。本明細書で提供される食肉様食品の硬さを調節するために適量を決めることができる変数には、脂質含有量、異なる密度を有する構造化タンパク質製品、MC、及び異なる粘弾性特性を有する結合剤並びにpHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS)パターン」は、本明細書で使用される場合、食品を取り囲む空気(例えば、食品の包装内に封入された空気)を分析するときに得られた揮発性化合物のGCMSスペクトルを意味する。
【0048】
用語「高可食性繊維構成成分」は、本明細書で使用される場合、少なくとも約10重量%の可食性繊維を含む成分を意味する。
【0049】
用語「ヒドロゲル」は、本明細書で使用される場合、流体が水であるゲルを意味する。
【0050】
用語「リポゲル」は、本明細書で使用される場合、流体が脂質であるゲルを意味する。
【0051】
用語「多汁性」は、本明細書で使用される場合、咀嚼中に口の中に広がり得る潤い感を意味する。多汁性は、食品の水含有量及び油含有量に依存してもよい。実施例6に記載したように、多汁性に対する定量的定義は、抽出された肉汁の質量と肉汁抽出前の調理された試料の質量との間の比である。この比は、百分率で表され、「% Juice Cooked Mass」又は「JCM」と呼ぶ。多汁性に対する別の定量的定義は、抽出された肉汁の「油/水体積」(「OWV」)であり、これは、抽出された油体積と抽出された水体積との間の比である。本明細書で提供される食肉様食品の多汁性を調節するために適量を決めることができる変数には、脂質含有量及び結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
用語「伸展性」は、本明細書で使用される場合、破壊することなく様々な形態へと成形される食品の特性を意味する。本明細書で提供される食肉様食品の伸展性を調節するために適量を決めることができる変数には、脂質含有量、異なる密度を有する構造化タンパク質製品、MC、及び異なる粘弾性特性を有する結合剤並びにpHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
用語「食肉様」は、本明細書で使用される場合、動物肉に類似していることを意味する。
【0054】
用語「食肉様食品」は、本明細書で使用される場合、動物由来ではないが、構造、質感、及び/又は他の特性が動物肉と同等な食品を意味する。この用語は、本明細書に別途記載のない限り又は文脈により明確に否定されない限り、未調理食肉様食品、調理中の食肉様食品、及び調理済食肉様食品を意味する。
【0055】
用語「食肉構造化タンパク質製品」は、本明細書で使用される場合、食肉様テクスチャを生成するタンパク質繊維ネットワーク及び/又は整列されたタンパク質繊維を含む製品を意味する。食肉構造化タンパク質製品は、生地から機械エネルギー(例えば、回転、撹拌、振とう、せん断、加圧、乱流、衝撃、合流、泡立て、摩擦、揺り動かし)、放射エネルギー(例えば、マイクロ波、電磁波)、熱エネルギー(例えば、加熱、蒸気調質)、酵素活性(例えば、トランスグルタミナーゼ活性)、化学薬品(例えば、pH調整剤、コスモトロピック塩、カオトロピック塩、セッコウ、界面活性剤、乳化剤、脂肪酸、アミノ酸)、タンパク質変性及びタンパク質繊維整列を引き起す他の方法、又はこれらの組み合わせを適用した後、続いて、繊維構造及び/又は整列された構造を(例えば、速やかな温度変化及び/又は圧力変化、速やかな脱水、化学固定化、酸化還元によって)固定化して、また繊維構造及び/又は整列された構造が生成かつ固定された後に任意選択的な後処理(例えば、脱水、マリネ、乾燥、着色)によって得ることができる。タンパク質繊維ネットワーク形成及び/又はタンパク質繊維整列の度合を決定するための方法は、当該技術分野で既知であり、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,803号に例示されたような、写真及び顕微鏡画像に基づく視覚測定を含む。一部の実施形態では、タンパク質繊維の少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%又は少なくとも約95%は、略整列している。タンパク質繊維ネットワーク及び/又はタンパク質繊維配列は、凝集及び堅固性を付与し得るが、その一方で、タンパク質繊維ネットワーク及び/又はタンパク質繊維配列内の開放空間により、食肉構造化タンパク質製品を柔らかくすると共に、水、炭水化物、塩、脂質、香料、及び咀嚼中にゆっくりと放出されてせん断過程を滑らかにし、他の食肉様感覚的特徴を付与する他の材料を捕捉するためのポケットを提供してもよい。
【0056】
用語「脂肪溶出」は、本明細書で使用される場合、食品が調理されたときに融解し、食品から放出される(例えば、食品の周りの調理面に液だまりを形成する)脂肪を意味する。食品の脂肪溶出は、融点測定器及びグリドルを使用して判定することができる。本明細書で提供される食肉様食品の脂肪溶出を調節するために適量を決めることができる変数には、脂質含有量及び水含有量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
用語「細菌(microbe)」は、本明細書で使用される場合、微生物(microorganism)の略称であり、単細胞生物を意味する。本明細書で使用される場合、この用語は、すべての細菌、すべての古細菌、単細胞原生生物、単細胞動物、単細胞植物、単細胞菌類、単細胞藻類、すべての原生動物及びすべてのクロミスタを含む。
【0058】
用語「改質非動物源」は、本明細書で使用される場合、そのネイティブな状態から(例えば、突然変異により、遺伝子工学的に)変えられた非動物源を意味する。
【0059】
用語「水分含有量」及びその略語「MC」は、本明細書で使用される場合、食品中の水の量を意味し、試料から水の蒸発後の質量の割合変化として計算される。本明細書で提供される食肉様食品のMCを調節するために適量を決めることができる変数には、保湿剤含有量(例えば、ソルビトール)、異なる水吸収特性を有する構造化タンパク質製品、脂質含有量及び/又は異なる水保持特性を有する結合剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
用語「食感」は、本明細書で使用される場合、食品の全体的な訴求性を意味し、この訴求性は、満足できる感覚的な体験を共にもたらすいくつかの特徴の組み合わせから生じる。食品の食感は、人間官能専門家のパネルを使用して決定することができる。
【0061】
用語「ネイティブ」は、本明細書で使用される場合、天然であることを意味する。例えば、非動物源を自然に、又は制御条件下で生育させたとき、その非動物源にとってネイティブなタンパク質は、その非動物源によって天然に産生する。
【0062】
用語「未精製タンパク質」は、本明細書で使用される場合、あるタンパク質が、タンパク質調製物中の他のタンパク質に対して、そのタンパク質調製物が由来する天然源中に存在するよりも濃縮されていないタンパク質調製物を意味する。
【0063】
用語「水中油滴型エマルション」は、本明細書で使用される場合、油と水との配合物を意味し、油は、水中に液滴として分散されている。
【0064】
用語「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、特徴若しくは構造が存在してもしなくてもよいこと、又は事象若しくは状況が発生してもしなくてもよいこと、並びにその記載が特定の特徴若しくは構造が存在する場合及び特徴若しくは構造が存在しない場合、又は事象若しくは状況が発生する場合及び事象若しくは状況が発生しない場合を含むことを意味する。
【0065】
用語「有機ゲル」は、本明細書で使用される場合、流体が有機液体(例えば、有機溶媒、ミネラルオイル又は植物油)であるゲルを意味する。
【0066】
用語「人間官能専門家のパネル」は、本明細書で使用される場合、食品の評価について訓練を受けた人間対象者の群を意味する。人間官能専門家のパネルの評価は、様々な属性に関して試料を判定するために製品を目視すること、触れること、嗅ぐこと、咀嚼すること及び味わうことを包含することができる。
【0067】
用語「部分精製タンパク質」は、本明細書で使用される場合、1種以上のタンパク質が、タンパク質調製物中の他のタンパク質に対して、そのタンパク質調製物が由来する天然源中に存在するよりも約2倍~約10倍豊富であるタンパク質調製物を意味する。
【0068】
用語「pH及び/又はイオン強度調整剤」は、本明細書で使用される場合、溶液のpH及び/又はイオン強度を上昇又は下降させる作用剤を意味する。pH及び/又はイオン強度調整剤は、酸性(7未満)のpHを有する(「酸性のpH及び/又はイオン強度調整剤」)ことができるか又は塩基性(7超)のpHを有する(「塩基性のpH及び/又はイオン強度調整剤」)ことができる。pH及び/又はイオン強度調整剤のpHは、当該技術分野で既知の方法によって測定することができ、pHメータ、pH試験片、比色キット、伝導度、総溶解固形分又は滴定の使用が挙げられるが、これらに限定されない。pH及び/又はイオン強度調整剤は、有機物又は無機物であってもよい。好適なpH調整剤の例として、塩、イオン性塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び一価又は二価のカチオン性金属が挙げられるが、これらに限定されない。好適な塩の例には、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、塩化物、グルコン酸塩、酢酸塩又は硫化物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な一価又は二価のカチオン性金属の例には、カルシウム、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。好適な酸性のpH調整剤の例には、酢酸、塩酸、リン酸、硝酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、マジック酸、グルコノ-δ-ラクトン及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適な塩基性のpH調整剤の例には、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、エタノールアミン、炭酸水素カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化第一鉄、石灰、炭酸カルシウム、リン酸三ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
用語「前駆体分子」は、本明細書で使用される場合、別の分子と選択的に又は非選択的に相互作用することができ、食品における食肉様の属性を付与又は増強することができる作用剤を生成する分子を意味する。
【0070】
用語「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、任意の長さのアミノ酸の重合形態を意味し、タンパク質は、コード化及び非コード化アミノ酸、化学的又は生化学的に改変又は誘導化されたアミノ酸並びに改変ペプチド骨格を有するポリペプチドを含んでもよい。
【0071】
用語「タンパク質濃縮物」は、本明細書で使用される場合、天然源から可溶炭水化物、灰分及び他の微量構成成分を除去して得られ、乾燥重量基準で約40%~約80%のタンパク質を有する材料を意味する。
【0072】
用語「タンパク質繊維」は、本明細書で使用される場合、ジスルフィド結合、水素結合、静電結合、疎水相互作用、ペプチド鎖の絡合及びタンパク質側鎖間に共有交差結合を生成するメイラード反応化学などの分子間力により一体となった、タンパク質から構成された個別の長さの連続したフィラメントを意味する。
【0073】
用語「タンパク質単離物」は、本明細書で使用される場合、天然源から不溶多糖、可溶炭水化物、灰分及び他の微量構成成分を除去して得られ、乾燥重量基準で少なくとも約80%のタンパク質を一般的に有する材料を意味する。
【0074】
用語「精製タンパク質」は、本明細書で使用される場合、1種以上のタンパク質が、タンパク質調製物中に存在する他のタンパク質に対して、そのタンパク質調製物が由来する天然源中に存在するよりも少なくとも約10倍豊富であるタンパク質調製物を意味する。
【0075】
用語「酸化還元安定性」は、本明細書で使用される場合、酸化還元反応に関与し、かつ酸化又は還元されることとなる作用剤の耐性を意味する。
【0076】
用語「復元性」は、本明細書で使用される場合、食品のTPAパラメータを意味し、第1の圧縮の上向きエネルギーを第1の圧縮の下向きエネルギーによって割ることで計算される(実施例6を参照されたい)。これは、食品がその元の形状に復帰するようにどのくらい十分に抵抗するかを表すと考えられている。
【0077】
用語「保存期間」は、本明細書で使用される場合、食品が人間の消費に対して不適切になることなく保管することができる期間を意味する。
【0078】
用語「シズル音」は、本明細書で使用される場合、2種以上の液体が高温表面上で接触するようになるとき、1種(以上)の液体が他の液体(複数可)の沸点(複数可)よりも熱い場合に生成される、シューという音、跳ね音、パチパチという音及び/又は破裂音を意味する。この相互作用により、一部の液体は、速やかに沸騰し、他の液体又は複数の液体を移動させて、音を生成する。食品のシズル音は、音響記録又はそれから誘導されたスペクトログラムのピッチ、音色、音量、タイミング及び他の音響特徴を分析することによって試験することができる(実施例6を参照されたい)。本明細書で提供される食肉様食品のシズル音を調節するために適量を決めることができる変数には、脂質含有量及び水含有量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
用語「弾力性」は、本明細書で使用される場合、食品のTPAパラメータを意味し、第2の圧縮中の食品の高さと元の圧縮距離との比として計算される(実施例6を参照されたい)。これは、変形後に元に復帰する食品の能力と相関していると考えられている。
【0080】
用語「略整列された(substantially aligned)」は、本明細書で使用される場合、繊維の著しく高い割合が、水平面から見たときに約45°の角度未満で互いに隣接しているような、タンパク質繊維の配列を意味する。タンパク質繊維配列及び三次元タンパク質ネットワークの度合を決定するための方法は、当該技術分野で既知であり、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,803号に記載されているような、写真及び顕微鏡画像に基づく視覚測定を含む。
【0081】
用語「味覚」は、本明細書で使用される場合、味覚系によって認識されるものを意味する。食品の味覚は、人間官能専門家のパネルを使用して試験することができる。あるいは、食品の味覚は、例えば、iNSENT TS-5000Z Taste Testing System(Higuchi USA Inc.(Japan))又はAstree tongue system(Alpha MOS America(Hanover,MD))などの自動化装置を使用して試験することができる。本明細書で提供される食肉様食品の味覚を調節するために適量を決めることができる変数には、味覚剤、味覚安定剤、味覚増強剤、pH、脂質含有量、温度、水分及び塩が挙げられるが、これらに限定されない。用語「味覚剤」は、本明細書で使用される場合、味覚系内の味覚受容体を活性化する化合物を意味する。用語「味覚安定剤」は、本明細書で使用される場合、味覚剤を安定化させるか又は味覚系による味覚剤の知覚を安定化させる化合物を意味する。用語「味覚増強剤」は、本明細書で使用される場合、味覚剤の活性を増強するか又は味覚系内の味覚受容体の感度を増加させる化合物を意味する。味覚剤の例には、油溶性味覚剤、水溶性味覚剤、5’-リボヌクレオチド塩、グルタミン酸塩、グリシン塩、グアニル酸塩、加水分解タンパク質、加水分解植物性タンパク質、インソムニア酸塩、グルタミン酸モノナトリウム、塩化ナトリウム、ガラクトオリゴ糖、ソルビトール、動物肉味覚剤、動物肉油、人工味覚剤、アスパルトアミン、フマレート、ニンニク味覚剤、ハーブ味覚剤、マレート、天然味覚剤、天然煙抽出物、天然煙溶液、タマネギ味覚剤、シイタケ抽出物、スパイス抽出物、スパイスオイル、糖、アミノ酸、酵母抽出物、加水分解タンパク質単離物、互いに又は他の化合物と特異的又は非特異的に反応することができ食肉様の味覚を付与又は増強する作用剤を生成する前駆体分子(例えば、メイラード反応前駆体;ヘム又はヘムタンパク質の非精製、非単離、半精製、部分的精製又は高度精製した形態[例えば、植物又は微生物由来];シトクロム;ポルフィリン;他のヘテロ環[例えば、コリン、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン];味覚及び嗅覚受容体を相乗的に活性化して味を増強するグアノシン及び/又はイノシン=モノ、ジ又はトリホスフェートなどの分子)及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。味覚安定剤の例には、グアーガム、キサンタンガム、改質デンプン、メチルセルロース、抗酸化剤及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。味覚増強剤の例には、塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、砂糖、酸(例えば、乳酸、リンゴ酸、酒石酸)、アミノ酸(例えば、グルタミン酸)、核酸(例えば、グアニル酸、イノシン酸)及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
用語「テクスチャ」は、本明細書で使用される場合、食品の感覚的認知と相関する食品の機械的特徴を意味する。
【0083】
用語「テクスチャプロファイル分析」及びその略語「TPA」は、本明細書で使用される場合、材料を制御された力にさらすことによって材料のテクスチャ特性を評価することを意味し、これにより、材料の応答の変形曲線が生成される(実施例6を参照されたい)。
【0084】
用語「未調理」は、本明細書で使用される場合、加熱されていないことを意味する。
【0085】
用語「用途多様性」は、本明細書で使用される場合、食品を調理又は消費することができる多様な可能性を意味する。動物肉を参照すると、そのような可能性には、ミートボール、ミートローフ、バーガー又はミートソースの調理及び消費が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
用語「体積分率」は、本明細書で使用される場合、混合物の構成成分の体積を混合前の混合物のすべての構成成分の体積で割ることによって混合物の組成を表す無次元量を意味する。
【0087】
用語「油中水滴型エマルション」は、本明細書で使用される場合、水滴が油中に分散されているエマルションを意味する。
【0088】
用語「ワーナー-ブラッツラーせん断強度」及びその略語「WBS強度」は、本明細書で使用される場合、試料を貫いて機械的にせん断するために必要な最大力を意味する。WBS強度は、肉の柔らかさの確立された評価尺度である。WBSを測定するための方法は、実施例1に例示されている。
【0089】
本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書に別途記載のない限り、その範囲内に包括されたそれぞれの個々の値に対して個別に参照する簡単な方法として単に意図され、それぞれの個々の値は、その値があたかも個別に本明細書に列挙されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0090】
食肉様食品
一態様では、動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の属性を有する食品を製造するために、1種以上の結合剤によって一体に結合された、少なくとも約25重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、食肉様食品が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、食肉様食品は、動物挽肉(例えば、牛挽肉、豚挽肉、七面鳥挽肉)に類似している。代表的な一実施形態では、本発明は、図1に示したような、バーガーパティを含む食肉様食品である。一部の実施形態では、食肉様食品は、主に、又は完全に非動物源由来の成分からなる。代替実施形態では、食肉様食品は、動物源に部分的に由来する成分からなるが、非動物源由来の成分で補完されている。一部の実施形態では、食肉様食品は、1種以上の作用剤放出システム及び/又は他の成分を更に含む。
【0091】
本明細書で提供される食肉様食品は、いくつかの利点を有する。食肉様食品は、テクスチャ及び他の特性(例えば、色、芳香、伸展性)並びに栄養学的利点(例えば、タンパク質の含有量)において動物肉に類似しているか、又は上回り、また類似の用途多様性(例えば、ソース、バーガーパティ、ミートローフ、ミートボールなどに使用することができる)、調理経験(例えば、調理中に食肉様の芳香、色の変化、シズル音などを生じる)及び食経験(例えば、味覚、多汁性、咀嚼性、食感)を更に提供する。家畜由来の食肉生産と比較して、食肉様食品の製造は、より低コストとすることができ、環境への負の影響を小さくすることができ(例えば、より少ないカーボンフットプリント、水使用又は土地使用)、動物福祉に負の影響をなくすことができ(例えば、動物の舎飼い、強制給餌、早期離乳又は動物屠殺がない)、かつ生産及び流通用のために必要なリソースを減らすことができる(例えば、ローカルな生産に起因してより少ないエネルギー使用、より少ない運搬)。動物肉と比較して、食肉様食品は、不健康な飽和脂肪及びコレステロールを顕著に低減して有するか又は有さないことができ、動物製品の消費を禁止する宗教的信仰を持つ人々が食べることができ、アレルギー化合物(例えば、グルテン、ダイズ)を非含有とすることができ、かつ好ましくはローカルな供給元からの、廃液流(例えば、醸造所酵母廃液流)又は非動物成分のみを使用して、生産することができる。
【0092】
一部の実施形態では、食肉様食品は、完全菜食主義者向けである。一部の実施形態では、食肉様食品は、GMO成分を含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、ナッツ由来の成分を含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.6重量%未満、約0.5重量%未満、約0.025重量%~約0.6重量%、約0.25重量%~約0.5重量%、約0.025重量%~約0.4重量%、約0.025重量%~約0.3重量%、約0.025重量%~約0.2重量%、約0.025重量%~約0.1重量%、約0.05重量%~約0.1重量%、約0.1重量%~約0.2重量%、約0.2重量%~約0.3重量%、約0.3重量%~約0.4重量%、約0.4重量%~約0.5重量%又は約0.5重量%~約0.6重量%のナトリウムを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、有機成分のみを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、グルテンを含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、ダイズを含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、フィラメント形成を促進する場合がある、グルコマンナン、β-1,3-グルカン、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられるがこれらに限定されない、添加タンパク質架橋剤を含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、約100ppm未満、約50ppm未満、約40ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満又は約10ppm未満のアクリルアミドを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約10分以下、約8分以下又は約6分以下の調理時間を有する。
【0093】
本明細書で提供される食肉様食品は、任意の形状及び形態を有してもよい。一部の実施形態では、食肉様食品は、幅約2mm~約25mm、厚さ約2mm~約25mm及び長さ約2mm~約50mmの寸法の細片形状を有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、約70mm~約150mmの寸法を有するローフの形状を有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、約20mm~約60mmの直径を有する球形の形状を有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、パティの形状を有する。パティは、正方形、長方形、円形及び非幾何学的形状を含む任意の形状を有することができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、パティは、円形であり、約80mm~約100mmの直径及び約4mm~約85mmの厚さを有する。食肉様食品はまた、ソーセージを形成する透過性又は不透過性のケーシング内に詰め込まれてもよい。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、約2mm~約15mm、約3mm~約12mm、約4mm~約10mm又は約5mm~約8mmの厚さを有する。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、その長さ又は幅の少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%又は少なくとも約50%にわたって同じ厚さを有する。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、その幅又は長さの約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下又は約10%以下にわたって同じ厚さを有する。
【0094】
食肉様食品は、薄く切る、切る、すりつぶす、細断する、すりおろす又は他の方法で加工されてよく、又は未加工のままであってもよい。薄切り形状の例には、乾燥肉、保存肉及び薄切りランチミートが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、動物肉ジャーキーに関連するFood Standards and Labeling Policy Book(USDA、2005年8月)の指針を順守して、細断されて次いで一体に結合される、ぶつ切りにされて形成される、すりつぶされて形成される又は刻まれて形成される。
【0095】
本明細書で提供される食肉様食品は、人間又は飼いならした動物(例えば、イヌ、ネコ)、家畜(例えば、乳牛、ブタ、ウマ)及び野生動物(例えば、非家畜化捕食動物)を含む動物によって消費されてもよい。これらの製品は、調理されてもよいか、部分的に調理されてもよいか又は未調理の状態、部分的に調理した状態若しくは調理した状態のいずれかで冷凍されてもよい。調理は、ソテーとして又は油揚げとしてのいずれかのフライ調理、焼き、燻煙、たたき調理、蒸し、グリル、煮込み、ロースト、直火焼き、蒸し煮、電子レンジ処理、強制空気システムでの加熱、風洞内での加熱及びこれらの組み合わせを含んでもよい。一部の実施形態では、食肉様食品は、スープ、ブリトー、チリ、サンドイッチ、ラザニア、ソース、シチュー、ケバブ、ピザのトッピング、タコス、ハンバーガー、チーズバーガー及び串肉を含むが、これらに限定されない、調理された料理に使用される。一部の実施形態では、食肉様食品は、他の植物由来製品及び/又は動物肉を含むがこれらに限定されない、他のタンパク質製品と混合される。食肉様食品は、様々な目的のために使用することができ、給餌、活性成分(例えば、ビタミン、ミネラル、栄養素、治療薬)の送達、並びに豚肉、牛肉、鳥肉、猟獣肉、ハム、子牛肉及び魚肉に対する類似物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書で提供される食肉様食品は、政府規制によって要求される食品安全性に関する基準を満たす。様々な実施形態では、食肉様食品は、米国食品医薬品局(FDA)、米国農務省、欧州食品安全機関又は他の国若しくは地域の食品規制機関によって要求される食品安全性に関する基準を満たす。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも動物肉の保存期間を有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、少なくとも80/20牛挽肉の保存期間を有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、少なくとも90/10牛挽肉の保存期間を有する。
【0097】
本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも約5重量%のタンパク質を含む。理論に束縛されるものではないが、タンパク質が親水性相互作用を介した(例えば、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基及びスルフヒドリル基などのタンパク質の側鎖の極性基によって又はペプチド結合の非開裂カルボニル基及びイミジ基によって媒介される)水のある程度の結合の原因となり、ペプチド鎖間の架橋及び静電気力が水を保持することができるポケットを作り出すと考えられている。タンパク質は、同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド分子から構成されてもよいか又は少なくとも2つの異なるアミノ酸配列を有するポリペプチド分子の混合物から構成されてもよい。タンパク質は、単一の非動物源若しくは改質非動物源又は複数の非動物源若しくは改質非動物源に由来してもよい。一部の実施形態では、タンパク質は、非動物源若しくは改質非動物源に由来しないが、非動物源若しくは改質非動物源に見出されるタンパク質と同一又は類似であり、例えば、タンパク質は、合成的又は生合成的に生成されるが、非動物源に見出されるポリペプチド分子と同一又は類似のアミノ酸配列を有するポリペプチド分子を含む。一部の実施形態では、タンパク質の少なくとも一部は、植物由来である。一部の実施形態では、タンパク質の少なくとも一部は、エンドウ由来である。エンドウタンパク質は、エンドウ全体から又はエンドウの成分から当該技術分野で概ね既知の方法に従って得ることができる。エンドウは、標準エンドウ(すなわち、遺伝子非組み換えエンドウ)、商用エンドウ、遺伝子組み換えエンドウ又はこれらの組み合わせであってもよい。一部の実施形態では、食肉様食品は、動物肉と同様の量のタンパク質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約10重量%~約90重量%、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約25重量%~約35重量%、約10重量%~約20重量%又は約15重量%~約25重量%のタンパク質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、80/20牛挽肉と同様の量のタンパク質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、90/10牛挽肉と同様の量のタンパク質を含む。食品のタンパク質含有量は、AOAC国際標準法AOAC 990.03及びAOAC 992.15を含む、様々な方法によって決定することができるが、方法はこれらに限定されない。一部の実施形態では、食肉様食品は、ダイズタンパク質を含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、変性タンパク質を含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、ネイティブな供給元から抽出されたタンパク質のみを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、未精製タンパク質のみを含む。他の実施形態では、食肉様食品は、少なくともある程度、部分精製タンパク質を含む。更に他の実施形態では、食肉様食品は、少なくともある程度の精製タンパク質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満又は約6重量%未満の単一タンパク質種を含む。一部の実施形態では、食肉様食品内に含まれる最も豊富なタンパク質種は、レグミンである。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、約5重量%以下、約7.5重量%以下又は約10重量%以下のレグミンを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約2重量%~約80重量%、約5重量%~約70重量%、約20重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約34重量%~約50重量%、約30重量%~約60重量%、約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約5重量%~約35重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約15重量%~約25重量%、約17重量%~約25重量%、約15重量%~約30重量%、約20重量%~約35重量%、約2重量%~約25重量%又は約20重量%~約30重量%の植物性タンパク質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約5重量%~約90重量%のピスム・サティヴムタンパク質を含む。
【0098】
本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも約0.05重量%の脂質を含む。理論に束縛されるものではないが、より高い脂質含有量が食肉様食品の柔らかさ及び多汁性を増加させると考えられている。多汁性は、咀嚼中に食品及び唾液の両方から放出された液体の量に依存してもよく、脂質は、食肉様食品が咀嚼される力を制御することによって又は唾液流量を刺激する味覚化合物を導入することによって唾液生産に影響してもよい。柔らかさが脂質の量に依存し得るのは、脂質が咀嚼において潤滑剤として作用し得、飲み込みの過程を容易にし得るためである。好適な脂質の例には、微生物油、植物油、藻類油、菌類油、海産油、(例えば、大西洋産魚油、太平洋産魚油、地中海産魚油、軽度圧搾魚油、アルカリ処理魚油、熱処理魚油、軽質及び重質褐色魚油、カツオ油、マイワシ油、マグロ油、スズキ油、オヒョウ油、フウライカジキ油、カマス油、タラ油、メンハーデン油、イワシ油、カタクチイワシ油、カラフトシシャモ油、タイセイヨウタラ油、タイセイヨウニシン油、タイセイヨウサバ油、タイセイヨウメンハーデン油、サケ類油、及びサメ油、イカ油、コウイカ油、タコ油、オキアミ油、アザラシ油、鯨油)、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、共役脂肪酸、エイコサノイド、パルミチン酸、糖脂質(例えば、セレブロシド、ガラクト脂質、スフィンゴ糖脂質、リポ多糖、ガングリオシド)、膜脂質(例えば、セラミド、スフィンゴミエリン、バクトプレノール)、グリセリド、セカンドメッセンジャー情報伝達脂質(例えば、ジグリセリド)、トリグリセリド、プレノール脂質、プロスタグランジン、サッカロ脂質、油(例えば、ノンエッセンシャルオイル、エッセンシャルオイル、アーモンド油、アロエベラ油、キョウニン油、アボカド油、バオバブ油、キンセンカ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、綿実油、ツキミソウ油、ブドウ油、グレープシードオイル、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、アマニ油、マカダミア油、天然油、ニーム油、非水素化油、オリーブ油、パーム油、ココナツ油、部分的水素化油、ラッカセイ油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、合成油、植物油)、ω-脂肪酸(例えば、アラキドン酸、ω-3-脂肪酸、ω-6-脂肪酸、ω-7-脂肪酸、ω-9-脂肪酸)及びリン脂質(例えば、カルジオリピン、セラミドホスホコリン、セラミドホスホエタノールアミン、グリセロリン脂質、ファスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、ホスファチジルセリン)、ある範囲の炭素原子(例えば、約8個~約40個、約10個~約38個、約12個~約36個、約14個~約34個、約16個~約32個、約18個~約30個又は約20個~約28個の炭素原子)を有する脂肪酸、少なくとも1個の不飽和結合(すなわち、炭素-炭素二重結合又は三重結合;例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個の炭素-炭素二重結合及び/又は三重結合)を含む脂肪酸、共役不飽和結合(=炭素-炭素二重結合及び/又は三重結合の少なくとも1対が互いに結合し、それらの間にメチレン(CH2)基がない(例えば、4CH:CHi CH:CHi))を有する脂肪酸、上記の脂肪酸の誘導体(例えば、エステル[例えば、メチル及びエチルエステル]、塩[例えば、ナトリウム及びカリウム塩]、トリグリセリド誘導体、ジグリセリド誘導体、モノグリセリド誘導体、原油、半精製(アルカリ精製とも呼ぶ)油、精製油、再エステル化トリグリセリドを含む油、低界面張力(例えば、約20未満、約15未満、約11未満、約9未満、約7未満、約5未満、約3未満、約2未満、約1未満又は約0.5未満ダイン/cm、約0.1~約20、約1~約15、約2~約9、約3~約9、約4~約9、約5~約9、約2~約7、約0.1~約5、約0.3~約2又は約0.5~1ダイン/cm、約0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5又は20.0)を有する脂肪酸、人間の消費に好適な脂肪酸(例えば、アボカド、カラシ、ココナツ、綿実、魚、亜麻、ブドウ、オリーブ、ヤシ、ラッカセイ、ナタネ、ベニバナ、ゴマ、ダイズ、ヒマワリのような周辺温度で液体の油;バター脂肪、チョコレート脂肪、ニワトリ脂肪のような周辺温度で固体の油)、従来の脂肪代替物(例えば、脂肪酸エステル化アルコキシ化グリセリン組成物、スクロース脂肪酸エステル、単一脂肪(例えば、パーム油、パーム核油、ココナツ油、ココアバター、シアバター、バター脂肪、乳脂肪)、軟脂肪(例えば、キャノーラ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、オリーブ油、ナッツ油)、植物脂肪及び植物油(例えば、ダイズ、トウモロコシ、綿実、ナタネ、コメ、ラッカセイ及びヤシ)並びにこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。脂質は、任意の1つの天然源若しくは改質天然源又は複数の天然源若しくは改質天然源に由来してもよい。一部の実施形態では、脂質は、天然源若しくは改質天然源に由来しないが、天然源若しくは改質天然源に見出される脂質と同一又は類似であり、例えば、脂質は、合成的又は生合成的に生成されるが、天然源に見出される脂質と同一又は類似である。一部の実施形態では、脂質の少なくとも一部は、植物由来である。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約25重量%、約6重量%~約23重量%又は約15重量%~約20重量%の脂質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、動物肉と同様の量の脂質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、80/20牛挽肉と同様の量の脂質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、90/10牛挽肉と同様の量の脂質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.25重量%未満、約0.1重量%未満又は約0.005重量%未満の飽和脂肪を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、コレステロールを含まない。一部の実施形態では、食肉様食品は、少なくとも約2重量%、約2重量%~約10重量%、約3重量%~約9重量%、約4重量%~約8重量%、約5重量%~約7重量%のモノ不飽和脂質を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、少なくとも約5重量%、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%又は約10重量%~約15重量%のポリ不飽和脂質を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%、約1重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約3重量%~約6重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約4重量%、約4重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約1重量%~約2重量%、約1.5重量%~約3重量%、約1.5重量%~約2.5重量%、約1.5重量%~約2重量%、約2重量%~約2.5重量%又は約2.5重量%~約5重量%の植物性脂質を含んでもよい。食品の脂質含有量は、AOAC国際標準法AOAC954.02を含むがこれらに限定されない、又は肉用のバブコック法(S.S.Nielson,Introduction to the Chemical Analysis of Foods(Jones & Bartlett Publishers,Boston,1994)を使用する、様々な方法によって決定することができる。
【0099】
本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも約0.05重量%の炭水化物を任意選択的に含むことができる。様々な成分は、デンプン、粉、可食性繊維及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、炭水化物の全部又は一部として使用されてもよい。好適なデンプンの例には、マルトデキストリン、イヌリン、フルクトオリゴ糖、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、コーンスターチ、オートムギデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、エンドウデンプン及びコムギデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な粉の例には、アマランス粉、オートムギ粉、キヌア粉、米粉、ライムギ粉、モロコシ粉、ダイズ粉、コムギ粉及びトウモロコシ粉が挙げられるが、これらに限定されない。好適な可食性繊維の例には、竹繊維、オオムギぬか、ニンジン繊維、柑橘繊維、トウモロコシふすま、可溶性食物繊維、不溶性食物繊維、オートムギぬか、エンドウ繊維、米ぬか、もみ殻、ダイズ繊維、ダイズ多糖、コムギぬか及び木材パルプセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。炭水化物は、任意の1つの天然源若しくは改質天然源又は複数の天然源若しくは改質天然源に由来してもよい。一部の実施形態では、炭水化物は、天然源若しくは改質天然源に由来しないが、天然源に見出される炭水化物と同一又は類似であり、例えば、炭水化物は、合成的又は生合成的に生成されるが、天然源に見出される分子と同一又は類似の一次構造を有する分子を含む。一部の実施形態では、炭水化物の少なくとも一部は、植物由来である。一部の実施形態では、炭水化物の少なくとも一部は、エンドウ由来である。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約25重量%、約3重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約4重量%~約7重量%又は約3重量%~約35重量%の炭水化物を含有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約10重量%、約1重量%~約8重量%、約2重量%~約6重量%又は約3重量%~約4.5重量%の繊維を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、約0.1重量%~約25重量%、約1重量%~約10重量%、約2重量%~約9重量%、約1重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約5重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2.5重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、約1重量%~約3重量%、約4重量%~約7重量%又は約2.5重量%~約7.5重量%の植物性炭水化物を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約15重量%、約0.5重量%~約15重量%、約3重量%~約15重量%、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約15重量%、約0.1重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約2重量%~約3重量%、0.1重量%~約1.5重量%、約0.5重量%~約1.5重量%又は約1重量%~約1.5重量%の植物性デンプンを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、エンドウデンプンを含む。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約3重量%、約1重量%~約3重量%、約2重量%~約重量3%、約0.1重量%~約1.5重量%、約0.5重量%~約1.5重量%又は約1重量%~約1.5重量%のピスム・サティヴムデンプンを含有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.4重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約2.5重量%、約0.05重量%~約1.5重量%、約0.05重量%~約1重量%又は約0.05重量%~約0.5重量%の植物性可食性繊維を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、可食性エンドウ繊維を含む。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%、約0.1重量%~約2重量%、約0.4重量%~約0.6重量%、約0.05重量%~約2.5重量%、約0.05重量%~約1.5重量%、約0.05重量%~約1重量%又は約0.05重量%~約0.5重量%のピスム・サティヴム可食性繊維を含む。
【0100】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、約10重量%~約25重量%のタンパク質、約5重量%~約30重量%の脂質、約0.5重量%~約10重量%の総炭水化物及び約0.5重量%~約5重量%の可食性繊維を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、約10重量%~約20重量%のタンパク質、約10重量%~約25重量%の脂質、約3重量%~約8重量%の総炭水化物及び約1重量%~約5重量%の可食性繊維を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、約10重量%~約25重量%のタンパク質、約6重量%~約23重量%の脂質、約4重量%~約7重量%の総炭水化物及び約3重量%~約4.5重量%の可食性繊維を含む。
【0101】
本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも約30%の水分含有量(MC)を有する。MCを決定するための方法は、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,803号に開示されている。理論に束縛されるものではないが、高いMCは、咀嚼時に乾いた感覚を防ぐことがあると考えられている。一部の実施形態では、食肉様食品は、約30重量%~約90重量%、約30重量%~約70重量%、約40重量%~約80重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、約40重量%~約80重量%、約30重量%~約60重量%、約50重量%~約70重量%、約55重量%~約65重量%、約50重量%~約90重量%、約60重量%~約80重量%、約70重量%~約80重量%、約75重量%~約85重量%又は約65重量%~約90重量%のMCを有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、動物肉と同様のMCを有する。
【0102】
一部の実施形態では、食肉様食品は、1種以上の着色剤を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、1種以上の色増強剤を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、2種以上の着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤の混合物を含む。一部の実施形態では、放出用作用剤は、2種以上の着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤の混合物を含む。好適な混合物には、ビート抽出物とアナトー、ビート抽出物とターメリック、ビート抽出物とサフラン、ビート抽出物とムラサキニンジン、ビート抽出物とグレープシード抽出物、ビート抽出物とトマト抽出物、ビート抽出物とリコペン、ビート抽出物とβ-カロテン、ビート抽出物とアントシアニン、ビート抽出物とアントシアニンとアナトー、ビート抽出物とアナトーとリコペン、ビート抽出物とアスコルビン酸、アントシアニンとアナトー、ビート抽出物とアナトーとアスコルビン酸、ビート抽出物とアナトーとβ-カロテン、ビート抽出物とターメリックとアスコルビン酸及びアントシアニンとリコペンとアナトーが挙げられるが、これらに限定されない。一部のそのような実施形態では、着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤は、同じ重量比で存在する。他のそのような実施形態では、着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤は、不均等な重量比で存在する(例えば、55:45、60:40、65:35、2:1、70:30、75:25、80:20、5:1、85:15、90:10、20:1、95:5、99:1)。一部の実施形態では、食肉様食品は、褐色化剤(すなわち、木材の燃焼から作製された天然かつ完全菜食主義着色製品)を含む。好適な褐色化剤の例には、ペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース)、ヘキソース(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース)、デキストリン及び市販の褐色化剤(例えば、Red Arrow社のデクストロース、木材由来の作用剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
一部の実施形態では、食肉様食品は、好適な分画法によって分離することができる、固相、脂質相及び水相を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、低遠心分離速度(すなわち、3,000rpm未満)を伴う分画法によって決定した場合に、約40重量%の水相、約19重量%の脂質相及び約42重量%の固相を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、高遠心分離速度(すなわち、5,000rpm超)を伴う分画法によって決定した場合に、約57重量%の水相、約19重量%の脂質相及び約24重量%の固相を含む。好適な高遠心分離分画法は、実施例6に記載されている。あるいは、低遠心分離速度分画法を使用することができ、次いで、固相のMCが決定され、分画された水相に加えることで総水相構成成分が得られる。
【0104】
食肉構造化タンパク質製品
本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも約25重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約25重量%~約60重量%、約30重量%~約55重量%、約35重量%~約50重量%、約40重量%~約45重量%、約35重量%~約40重量%、約40重量%~約50重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~約60重量%又は約50重量%~約70重量%の食肉構造化タンパク質製品を含む。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、異なる属性を有する2種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む。そのような異なる属性の例には、異なる色、芳香、味覚、タンパク質含有量、脂質含有量、炭水化物含有量、可食性繊維含有量、タンパク質種、脂質種、炭水化物種、可食性繊維種、MC、pH、略整列されたタンパク質繊維の割合、TPAパラメータ、直径及び長さが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、異なる属性を有する2種以上の食肉構造化タンパク質製品は、食肉様食品内に同じ比率で存在する。他の実施形態では、異なる属性を有する2種以上の食肉構造化タンパク質製品は、食肉様食品内に異なる比率で存在する。一部の実施形態では、食肉様食品は、2種の食肉構造化タンパク質製品を含み、食肉構造化タンパク質製品は、互いにサイズが異なり、第1の構造化タンパク質製品は、第1のサイズであり、第2の構造化タンパク質製品は、第2のサイズであり、第1のサイズは、第1の構造化タンパク質製品が約3.125mmの細孔径を有するふるいを通過することができるようなものであり、第2のサイズは、第2の構造化タンパク質製品が約6.35mm以上の細孔径を有するふるいを通過することができるが約3.125mmの細孔径を有するふるいを通過することができないようなものである。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、約40重量%~約50重量%の第1の食肉構造化タンパク質製品及び約50%~約60%の第2の食肉構造化タンパク質製品を含む。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、約45重量%の第1の食肉構造化タンパク質製品及び約55%の第2の食肉構造化タンパク質製品を含む。
【0106】
本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品は、食肉様テクスチャを付与するタンパク質繊維ネットワーク及び/又は整列されたタンパク質繊維を作製する任意の方法によって作製されてもよい。タンパク質繊維配列及び三次元タンパク質ネットワークの度合を決定するための方法は、当該技術分野で既知であり、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,803号に記載されているような、写真及び顕微鏡画像に基づく視覚測定を含む。理論に束縛されるものではないが、本明細書で提供される食肉様食品の微細タンパク質構造は、調理済動物肉のものと類似の、物理的、質感的及び感覚的特性を与え、整列かつ相互結合されたタンパク質繊維は、凝集性及び堅固性を与えることができ、タンパク質ネットワーク内の空間は、繊維構造の一体性を弱め、食肉様食品を柔らかくすることができる一方でまた、咀嚼時にゆっくりと放出される水、炭水化物、塩、脂質、香料及び他の原料を捕捉するためのポケットを提供して、せん断過程を滑らかにし、他の食肉様感覚の特徴を与えると考えられている。一部の実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%又は少なくとも約95%の略整列されたタンパク質繊維を有する。
【0107】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品は、2011年10月13日出願の米国実用出願第13/272,825号、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,803号、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,830号、2015年9月15日出願の米国実用出願第14/855,212号及び2016年8月1日出願の米国実用出願第15/225,646号に記載された食肉構造化タンパク質製品であり、これらの開示は、その全体が参照により本明細書にすべて組み込まれる。
【0108】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品は、約5重量%~約70重量%のタンパク質、約0.5重量%~約25重量%の総炭水化物、約0.05重量%~約10重量%の可食性繊維、約0.1重量%~約25重量%の総脂質及び約30重量%~約80重量%の水を含む。一部のそのような実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、約30重量%~約60重量%のタンパク質、約1重量%~約10重量%の総炭水化物、約0.1重量%~約5重量%の可食性繊維、約1重量%~約5重量%の総脂質及び約40重量%~約60重量%の水を含む。一部の実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、約40重量%~約60重量%のタンパク質、約2重量%~約4重量%の総炭水化物、約2重量%~約4重量%の可食性繊維、約3重量%~約5重量%の総脂質及び約45重量%~約55重量%の水を含む。
【0109】
本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品が少量の(すなわち、2重量%以下の)動物由来のタンパク質、炭水化物、脂質又は他の成分(例えば、アルブミン又はコラーゲン)を含むこともまた、本発明の範囲内である。
【0110】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品は、約0.3~約0.5、約0.3~約0.45、約0.35~約0.4の密度を有する。一部の実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、約1.8~約3、約2~約2.7、約2.1~約2.6、約2.3~約2.5又は約2.5~約3の水和後折り重ね体積変化を有する。一部の実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、約3.5~約4.5の色差、ΔE(CIEDE2000)を有する。密度、水和後折り重ね体積変化及びΔEを決定するための方法は、実施例2に開示されている。
【0111】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品は、少なくとも7.05のアルカリ性pHを有する。一部のそのような実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、7.2~約12のpHを有する。
【0112】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる食肉構造化タンパク質製品は、約10mm未満、約9mm未満、約8mm未満、約7mm未満、約6mm未満、約5mm未満、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm~約10mm、約2mm~約8mm、約3mm~約6mm、約3mm~約5mm、約3mm~約4mm、約2mm~約6mm、約2mm~約5mm、約2mm~約4mm、約2mm~約3mm、約2mm~約2.5mm、約2.5mm~約3mm、約3mm~約3.5mm、約4mm~約8mm、約4mm~約7mm、約4mm~約6mm、約4mm~約5mm、約8.3mm、約6.8mm、約6.35mm、約5.6mm、約4.6mm、約3.8mm、約3.125mm、約2.6mm、約2.2mm、約1.8mm又は約1.5mmの細孔径を有するふるいを通過することができるようなサイズである。一部の実施形態では、食肉構造化タンパク質製品は、約6.35mmの細孔径を有するふるいを通過できるが、約3.125mmの細孔径を有するふるいを通過することができないようなサイズである。本明細書で提供される食肉様食品内の食肉構造化タンパク質製品の存在及びサイズは、例えば、タンパク質を選択的に染色する天然色素又は蛍光色素により染色された冷蔵食肉様食品の薄いストリップの明視野、蛍光又は位相差顕微鏡法を使用する顕微鏡観察を伴う方法などの、当該技術分野で既知の方法によって決定することができる。
【0113】
結合剤
本明細書で提供される食肉様食品は、1種以上の結合剤を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、少なくとも約0.01重量%未満、約0.01重量%~約15重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.25重量%~約7重量%、約0.25重量%~約5重量%、約0.5重量%~約4.5重量%、約1重量%~約4重量%、約1.5重量%~約3.5重量%、約2重量%~約3重量%、約1重量%~約2.5重量%、約2重量%~約2.5重量%、約0.5重量%~約2重量%又は約5重量%~約10重量%の結合剤を含む。
【0114】
好適な結合剤の例には、ピューレ(例えば、豆ピューレ、サツマイモピューレ、カボチャピューレ、アップルソース、ヤムピューレ、バナナピューレ、プランテンピューレ、デーツピューレ、プルーンピューレ、イチジクピューレ、ズッキーニピューレ、ニンジンピューレ、ココナツピューレ)、ネイティブなデンプン又は改質デンプン(例えば、穀物由来のデンプン、塊茎由来のデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、トウモロコシデンプン、ワキシーコーンデンプン、タピオカデンプン、タピオカ、クズウコンデンプン、タロデンプン、エンドウデンプン、ヒヨコマメデンプン、コメデンプン、モチゴメデンプン、レンティルデンプン、オオムギデンプン、もろこしデンプン、コムギデンプン及びこれらの物理的又は化学的改変物[例えば、アルファ化デンプン、アセチル化デンプン、リン酸結合デンプン、カルボキシメチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン])、穀物又は塊茎若しくは根由来の粉(例えば、タロ、バナナ、ジャックフルーツ、コンニャク、レンティル、ソラマメ、ルーピンマメ、エンドウ、マメ類、コメ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、モチゴメ、ダイズ、テフ、ソバ、アマランス、ヒヨコマメ、モロコシ、アーモンド、チアシード、アマニ、ジャガイモ、タピオカ、ジャガイモ由来)、タンパク質単離物(例えば、ジャガイモ、ダイズ、エンドウ、レンティル、ヒヨコマメ、ルーピン、オートムギ、キャノーラ、コムギ由来)、加水分解タンパク質単離物(例えば、加水分解エンドウタンパク質単離物、加水分解ダイズタンパク質単離物)、タンパク質濃縮物(例えば、藻類、レンティル、エンドウ、ダイズ、ヒヨコマメ、コメ、ヘンプ、ソラマメ、キマメ、ササゲ、バイタルコムギグルテン由来)、β-グルカン(例えば、細菌[例えば、カードラン]、オートムギ、ライムギ、コムギ、酵母、オオムギ、藻類、キノコ由来)、ガム(例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ゲランガム、アラビアゴム、植物ガム、タラガム、トラガカントゴム、コンニャクガム、フェヌグリークガム、カラヤガム、ゲランガム、高アセチルゲランガム、低アセチルゲランガム)、ネイティブな又は比較的折り畳まれた(すなわち、完全にネイティブな機能状態にはないが、完全に変性されているわけでもない)タンパク質(例えば、ソラマメタンパク質、レンティルタンパク質、エンドウタンパク質、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ[Rubisco]、ヒヨコマメタンパク質、緑豆タンパク質、キマメタンパク質、ルーピンマメタンパク質、ダイズタンパク質、白インゲンマメタンパク質、黒インゲンマメタンパク質、白インゲンマメタンパク質、アズキマメタンパク質、ヒマワリ種子タンパク質)、多糖及び改質多糖(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、カラギーナン及びその塩、アルギン酸及びその塩、寒天、アガロース、アガロペクチン、ペクチン、アルギネート)、ナッツ及び種子のバター(例えば、アーモンドバター、カシューバター、ヘーゼルナッツバター、マカダミアナッツバター、ピーナッツバター、ペカンバター、ピスタチオバター、クルミバター、カボチャ種子バター、ゴマ種子バター、ダイズバター、ヒマワリ種子バター)、酵素(例えば、トランスグルタミナーゼ、チオオキシドレダクターゼ)、プロラミンタンパク質(例えば、ゼインタンパク質)、ゼラチン、卵タンパク質、ジャガイモフレーク、オクラ、塊茎、繊維(例えば、オオバコ外皮)並びにこれらの誘導体及び組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.1重量%~約4重量%、約0.25重量%~約1.5重量%、約0.5重量%~約1.25重量%、約0.75重量%~約1重量%、約1重量%~約1.5重量%、約1.5重量%~約2重量%、約2重量%~約2.5重量%、約2.5重量%~約3重量%又は約3重量%~約4重量%のデンプンを含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、約0.5重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約2重量%~約3重量%、約1重量%~約2重量%、約3重量%~約4重量%、約4重量%~約5重量%、約0.5重量%~約1.5重量%又は約1重量%~約1.5重量%のメチルセルロースを含む。
【0115】
好適な結合剤及びそのような結合剤の好適な量は、未調理食肉様食品の凝集性、結合性及び伸展性に対して又は調理済食肉様食品の凝集性及び結合性に対して、異なる結合剤を滴定することによって同定することができる。結合性を決定する好適なアッセイは、実施例6に開示されている。本明細書で提供される食肉様食品において結合剤として使用される炭水化物の存在及び分布は、例えば、炭水化物を選択的に染色する天然色素又は蛍光色素により染色された冷蔵食肉様食品の薄いストリップの明視野、蛍光又は位相差顕微鏡法を使用する顕微鏡観察を伴う方法などの、当該技術分野で既知の方法によって決定することができる。
【0116】
作用剤放出システム
本明細書で提供される食肉様食品は、1種以上の作用剤放出システムを任意選択的に含んでもよい。一部の実施形態では、作用剤放出システムの分散システム構成成分は、エマルションの分散相の液滴である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、ゲルである。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、カプセル化体(例えば、リポソーム、微小粒子、ナノ粒子、マイクロリザーバ、細胞壁材料、細胞壁由来グルテン粒子、コアセルベート)である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、可食性ろう分子である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、アルギネート球である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、凝集体である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、シクロデキストリン錯体である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、細菌、菌類又は藻類起源の細胞外高分子物質若しくはエキソ多糖(例えば、デキストラン、カードラン、スクレログルカン、プルラン、レバン)からなるナノ粒子、接合体及び錯体である。一部の実施形態では、分散システム構成成分は、可食性珪藻である。
【0117】
作用剤放出システムを含む食肉様食品は、いくつかの利点を有する。例えば、作用剤放出システムは、油溶性の放出用作用剤(例えば、脂質可溶性トップノート風味剤)又は水溶性の放出用作用剤(例えば、pH及び/又はイオン強度調整剤)用の担持相として作用することができる。そのような作用剤放出システムは、次いで、そのような作用剤を、トリガ条件に達したときに緩徐かつ制御された方法で放出することができ(例えば、調理中に特定の温度に達した際に結合剤を放出し得る)、これにより、食肉様食品の他の構成成分(例えば、着色剤)との放出用作用剤の早期反応が防がれる。
【0118】
本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる作用剤放出システムの好適な量は、作用剤放出システムの組成及び付与又は増強される食肉様の属性の所望する度合いに応じて変化することとなる。一部の実施形態では、食肉様食品は、少なくとも約0.0001重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、約0.5重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約35重量%、約15重量%~約35重量%、約20重量%~約25重量%、約3重量%~約10重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約20重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約30重量%、約30重量%~約35重量%、約35重量%~約40重量%、約40重量%~約45重量%又は約45重量%~約50重量%の作用剤放出システムを含む。
【0119】
食肉様食品は、単一の作用剤放出システム又は2種以上の作用剤放出システムの混合物を含んでもよい。一部のそのような実施形態では、2種以上の作用剤放出システムは、類似の特性(例えば、同一の放出用作用剤、同一の融解温度)を有する。他のそのような実施形態では、2種以上の作用剤放出システムは、異なる特性(例えば、異なる放出用作用剤、異なる融解温度)を有する。
【0120】
作用剤放出システム及び/又は作用剤放出システムによって付与される特性は、本明細書で提供される食肉様食品内に均一又は不均一に分布させることができる。作用剤放出システムの不均一分布の例には、空間(例えば、表面、周縁、内部)にわたる及び相(例えば、脂質相、水相、固相)にわたる不均一分布が挙げられるが、これらに限定されない。作用剤放出システムによって付与される特性の不均一分布の例には、空間(例えば、表面と周縁対内部での異なる色)、相(例えば、様々な相における異なる味覚)及び時間(例えば、調理の経過の間の一定ではない色変化又は芳香放出又は脂肪溶出又はシズル音)にわたる不均一分布が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
一部の実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムは、本明細書で提供される食肉様食品全体に均一に分布している。一部のそのような実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムによって付与された特性は、均等に分布している。他の実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムは、食肉様食品内に不均一に分布している(例えば、一部の作用剤放出システムは、食肉様食品内の表面に局在してもよいのに対して他は食肉様食品の内部の特定の位置に局在してもよい)。一部のそのような実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムによって付与される特性は、局在している(例えば、異なる領域における特定の色、表面からの芳香放出、皮の下の区域からの脂肪溶出)。他の実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムは、食肉様食品の様々な相(すなわち、脂質相、水相、固相)にわたって均一に分布している。一部のそのような実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムによって付与された特性は、均等に分布している。他の実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムは、食肉様食品内の様々な相にわたって不均一に分布している。一部のそのような実施形態では、少なくとも2種の異なる作用剤放出システムによって付与される特性は、局在している(例えば、物理的に局在化、時間的に局在化[例えば、時間的な芳香、味覚の放出、脂肪溶出、色変化)。
【0122】
放出用作用剤は、作用剤放出システムに含まれているときのみ又はトリガ条件が作用剤放出システムからの作用剤の放出を引き起こした後、食肉様の属性を付与又は増強することができる。一部の実施形態では、放出用作用剤は、作用剤放出システムに含まれているとき及びトリガ条件が作用剤放出システムからの作用剤の放出を引き起こした後の両方で、食肉様の属性を付与又は増強する。作用剤放出システムから放出用作用剤の放出を引き起こすことができるトリガ条件の例には、温度(例えば、調理、冷却、冷凍)、pH、圧力、せん断(例えば、咀嚼)、酸化のレベル、時間、塩濃度及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、トリガ条件は、周辺温度よりも低い温度である(例えば、25C未満、約20C未満、約15C未満、約10C未満、約4C未満、約0C未満、約-15C未満、約20C~約25C、約15C~約20C、約10C~約15C、約4C~約10C又は約0C~約4C、約-15C~約0C)。他の実施形態では、トリガ条件は、周辺温度よりも高い温度である(例えば、少なくとも約25C、少なくとも約50C、少なくとも約75C、少なくとも約100C、少なくとも約125C、約25C~約50C、約50C~約75C、約75C~約100C又は約100C~約125C)。一部の実施形態では、トリガ条件は、アルカリ性pH(例えば、7より大きい、7~約8、7~約9、約8~約9及び約7.05~約10のpH)である。他の実施形態では、トリガ条件は、酸性pH(例えば、7未満、約6~7、約5~7及び約4~約5のpH)である。一部の実施形態では、1種以上の一次作用剤放出システム用のトリガ条件は、1種以上の二次作用剤放出システムから1種以上の放出用作用剤の放出によってもたらされる。一部のそのような実施形態では、1種以上の一次作用剤放出システム用のトリガ条件は、1種以上の二次作用剤放出システムからの1種以上のpH及び/又はイオン強度調整剤の放出によってもたらされるpHである。
【0123】
一部の実施形態では、作用剤放出システムは、少なくとも約45重量%の脂質を含む。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、少なくとも約30重量%のキャノーラ油を含む。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、少なくとも約10重量%のパーム油又はココナツ油を含む。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、少なくとも約35℃、約30℃~約100℃又は約37℃~約95℃の融解温度を有する。一部の実施形態では、作用剤放出システムは、食肉様食品の調理温度よりも低い融解温度を有するため、食肉様食品の調理が完了するまでに、食肉様食品内の作用剤放出システムは、融解する。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、食肉様食品が動物肉と同様の色を有するような量の作用剤放出システムを含む。一般的に、食肉様食品内の作用剤放出システム含有量がより多くなると、作用剤放出システムの色相は、食肉様食品の色においてより目立つようになる。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、同様の時間にわたって同様の条件下で保存された動物肉と同様の色を食肉様食品が有するような量の作用剤放出システムを含む。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、未調理動物肉と同様の油脂性を食肉様食品が生じるような量の作用剤放出システムを含む。油脂性は、作用剤放出システムの組成を変化させることによって(例えば、作用剤放出システムの脂質含有量を減少させることによって)更に適量を決めてもよい。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、調理中に調理された動物肉と同様の芳香を食肉様食品が放出するような量の作用剤放出システムを含む。一般的に、食肉様食品内の作用剤放出システムの量がより多くなると、脂肪放出(すなわち、芳香放出)が持続する時間がより長くなる。一部の実施形態では、食肉様食品の表面上に作用剤放出システムを局在化させることは、芳香放出に影響する。
【0127】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、調理済動物肉と同様の味覚を食肉様食品が有するような量の作用剤放出システムを含む。一般的に、食肉様食品内の作用剤放出システムの量がより多くなると、作用剤放出システムによって付与又は増強される食肉様の味覚がより強くなる。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、同様の時間にわたって同様の条件下で保存された調理済動物肉と同様の味覚を食肉様食品が有するような量の作用剤放出システムを含む。
【0128】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、調理中に調理中動物肉と同様のシズル音及び脂肪溶出を食肉様食品が生じるような量の作用剤放出システムを含む。一般的に、食肉様食品内の作用剤放出システムの量がより多くなると、脂肪溶出及びシズル音が持続する時間がより長くなる。一部のそのような実施形態では、食肉様食品の表面上に作用剤放出システムを局在化させることは、脂肪溶出及びシズル音に影響する。
【0129】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、調理済動物肉と同様のテクスチャ及び/又は弾性を食肉様食品が有するような量の作用剤放出システムを含む。一般的に、食肉様食品内の作用剤放出システム含有量がより多くなると、作用剤放出システムの粘弾性特性は、食肉様食品のテクスチャにおいてより目立つようになる。
【0130】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、調理済動物肉と同様の多汁性を食肉様食品が生じるような量の作用剤放出システムを含む。
【0131】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、未調理又は調理済動物肉と同様の結合性を食肉様食品が生じるような量の作用剤放出システムを含む。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、未調理動物肉、調理中の動物肉、又は調理済動物肉と同様の1つ以上のTPAパラメータ(例えば、咀嚼性、ガム性、弾力性、凝集性、復元性、粘着性、硬さ)を食肉様食品が有するような量の作用剤放出システムを含む。一般的に、食肉様食品内の作用剤放出システム量がより多くなると、作用剤放出システムの粘弾性特性は、食肉様食品の1種以上のTPAパラメータにより影響することができる。
【0133】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食肉様の色を付与又は増強する。一部のそのような実施形態では、放出用作用剤は、着色剤である。一部の実施形態では、着色剤は、未調理動物肉のスペクトル吸収プロファイルと類似のスペクトル吸収プロファイルを有する。一部の実施形態では、着色剤は、調理済動物肉のスペクトル吸収プロファイルと類似のスペクトル吸収プロファイルを有する。一部の実施形態では、放出用作用剤は、加熱時に(例えば、化学変換、構造変化、分解、酸化、還元に起因して)第1のスペクトル吸収プロファイルから第2のスペクトル吸収プロファイルへと移行する着色剤であり、第1のスペクトル吸収プロファイルは、未調理動物肉のスペクトル吸収プロファイルに類似し、第2のスペクトル吸収プロファイルは、調理済動物肉のスペクトル吸収プロファイルに類似する。他の実施形態では、放出用作用剤は、色安定剤又は色増強剤である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、移行剤であり、移行剤は、着色剤のそのような第1のスペクトル吸収プロファイルからそのような第2のスペクトル吸収プロファイルへの移行を媒介する。好適な移行剤の例には、pH及び/又はイオン強度調整剤、金属イオン(例えば、第二鉄塩)、金属イオン錯体、遷移金属錯体及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
一部の実施形態では、放出用作用剤は、2種以上の着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤の混合物を含む。好適な混合物には、ビート抽出物とアナトー、ビート抽出物とターメリック、ビート抽出物とサフラン、ビート抽出物とムラサキニンジン、ビート抽出物とグレープシード抽出物、ビート抽出物とトマト抽出物、ビート抽出物とリコペン、ビート抽出物とβ-カロテン、ビート抽出物とアントシアニン、ビート抽出物とアントシアニンとアナトー、ビート抽出物とアナトーとリコペン、ビート抽出物とアスコルビン酸、アントシアニンとアナトー、ビート抽出物とアナトーとアスコルビン酸、ビート抽出物とアナトーとβ-カロテン、ビート抽出物とターメリックとアスコルビン酸及びアントシアニンとリコペンとアナトーが挙げられるが、これらに限定されない。一部のそのような実施形態では、着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤は、同じ重量比で存在する。他のそのような実施形態では、着色剤、色安定剤及び/又は色増強剤は、不均等な重量比で存在する(例えば、55:45、60:40、65:35、2:1、70:30、75:25、80:20、5:1、85:15、90:10、20:1、95:5、99:1)。
【0135】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食肉様の芳香を付与又は増強する。一部の実施形態では、分子は、芳香剤である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、芳香安定剤である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、芳香増強剤である。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食肉様の味覚を付与又は増強する。一部のそのような実施形態では、放出用作用剤は、味覚剤である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、味覚増強剤である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、味覚安定剤である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、互いに又は他の化合物と特異的又は非特異的に反応することができ、食肉様の味覚を付与又は増強する作用剤を生成する前駆体分子である。
【0137】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食肉様の脂肪溶出及び/又はシズル音を付与又は増強する。一部のそのような実施形態では、放出用作用剤は、脂質である。他のそのような実施形態では、放出用作用剤は、互いに又は他の化合物と特異的又は非特異的に反応することができ、食肉様の脂肪溶出及び/又はシズル音を付与又は増強する作用剤を生成する前駆体分子である。一部のそのような実施形態では、脂質は、飽和脂肪である。他のそのような実施形態では、脂質は、不飽和脂肪である。更に他のそのような実施形態では、脂質は、飽和脂肪及び不飽和脂肪の両方である。
【0138】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食肉様の属性を付与又は増強することができる作用剤を生成する化学反応を可能にするpH及び/又はイオン強度調整剤である。
【0139】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食肉様の凝集性及び/又は結合性を付与又は増強する。一部のそのような実施形態では、放出用作用剤は、結合剤である。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、作用剤放出システム中に含まれないとき、特定の温度未満(例えば、周辺温度未満、約4C未満、約-20C未満)で不安定であるが、作用剤放出システム中に含まれているとき、そのような温度で安定である。一部の実施形態では、放出用作用剤は、作用剤放出システム中に含まれないとき、特定の温度を超える(例えば、周辺温度を超える、約40Cを超える、約60Cを超える)と不安定であるが、作用剤放出システム中に含まれているとき、そのような温度で安定である。
【0141】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、食品の保存期間を(例えば、酸化、還元、損傷、混合、加水分解、化学反応、微生物利用又は食品の保存期間の低減に通常関連付けられる他のプロセスを低減することによって)向上させる。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、調理の特定の段階で(例えば、特定の量の熱エネルギーの付与後)食肉様の属性を付与又は増強する。一部のそのような実施形態では、放出用作用剤は、他の前駆体分子又は食品の他の成分と反応することができる前駆体分子であり、消費者が調理過程中の特定の時点及び食品内の特定の位置で動物肉の調理と関連付ける、色変化、芳香放出、味覚生成、脂肪溶出、シズル音及び他の効果に作用する。一部の実施形態では、トリガ条件は、高温であり、放出用作用剤は、食肉様の焼き加減の段階の印象を付与又は増強する。理論に束縛されるものではないが、熱エネルギー付与は、調理中の食品の表面から内部に向かって減少するため、特定の高温でその作用剤を放出する作用剤放出システムは、調理中の食品の表面上で最初に放出し、食品の内部で放出するためにより長い又はより高温の調理を必要とすることとなる。
【0143】
例示的実施形態では、放出用作用剤は、作用剤放出システム中に含まれるとき、未調理の食肉様の色(例えば、未調理牛肉の赤色)を付与若しくは増強するか、又は未調理の食肉様の色を付与若しくは増強する作用剤から分離されて保たれ、トリガ条件は、少なくとも約25C、少なくとも50C、少なくとも約75C又は少なくとも約100Cの温度であり、放出時に、放出された放出用作用剤は、未調理の食肉様の色を除く化学変換(例えば、酸化)を受けるか又は未調理の食肉様の色を除く食肉様食品中の別の作用剤の化学変換と相互作用する若しくは触媒する。一部のそのような実施形態では、化学変換は、調理された食肉様の色(例えば、調理された牛肉の褐色)を付与又は増強する作用剤を与える。他のそのような実施形態では、化学変換は、健康に良い栄養素を送達する作用剤又は栄養素の吸収を補助する作用剤を与える。一部の実施形態では、放出用作用剤は、遷移金属(例えば、硫酸鉄七水和物、フマル酸鉄、グルコン酸マンガン二水和物、Orgen-I天然鉄、塩化マグネシウム、グルタミン酸マンガン、亜鉛、リン酸第二鉄水和物、原子番号21~30)を含む。一部のそのような実施形態では、遷移金属は、他の分子(例えば、ポルフィリン、ヘミン、キレート剤[例えば、ビタミン]、フィチン酸、タンパク質、脂肪、化学物質、植物部位、微生物)と錯体形成されている。他の実施形態では、放出用作用剤は、アントシアニン及び/又はベタニンである。
【0144】
他の例示的実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、作用剤放出システムから放出されるとき、調理された食肉様の色(例えば、調理された牛肉の褐色)を付与又は増強し、放出用作用剤は、pH及び/又はイオン強度調整剤であり、トリガ条件は、少なくとも約25C、少なくとも約50C、少なくとも約75C又は少なくとも約100Cであり、放出用作用剤の放出時に、pHは、アルカリ性pHに調整され、アルカリ性pHは、未調理の食肉様の色を除く化学変換を可能にし、かつ調理された食肉様の色(例えば、調理された牛肉の褐色)を付与又は増強する作用剤を与える。
【0145】
他の例示的実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、作用剤放出システムから放出されるとき、調理された食肉様の味覚を付与又は増強し、トリガ条件は、少なくとも約25C、少なくとも約50C、少なくとも約75C又は少なくとも約100Cであり、放出時に、放出された作用剤は、化学変換を受けるか又は他の作用剤の化学変換を引き起こし、そのような化学変換は、調理された食肉様の味覚を付与又は増強する作用剤を与える。一部のそのような実施形態では、放出用作用剤は、pH及び/又はイオン強度調整剤である。
【0146】
他の例示的実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムに含まれる放出用作用剤は、放出されたとき、存在するアルギネートにアルギネートゲル又は球を形成させるカルシウムイオンであり、そのアルギネートゲル又は球は、製品全体又は制御され局在化した領域においてのいずれかで、食肉様の調理されたテクスチャを付与する。
【0147】
本明細書で提供される食肉様食品の一部の実施形態に含まれる作用剤放出システムは、微生物増殖を抑制するために酸性化されてもよい。一部の実施形態では、作用剤放出システムのpHは、約2.75~約5.75、約2.85~約5.5又は約3.25~約4.25であり、それらに包含されたすべての範囲を含む。
【0148】
本明細書で提供される食肉様食品の一部の実施形態に含まれる作用剤放出システムの組成(すなわち、構成成分の相対的割合)は、製品の所望の最終特性に応じて、広範な範囲にわたって変化してもよい。
【0149】
エマルション
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムは、エマルションである。
【0150】
好適なエマルションの例には、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、油中水中油滴型複合エマルション、水中油中水滴型複合エマルション及びピッケリングエマルションが挙げられるが、これらに限定されない。エマルションは、化学分野で周知であり、可食性エマルションは、多くの種類の食品(例えば、マヨネーズ、牛乳、チョコレートスプレッド)に使用されている。
【0151】
本明細書で提供される食肉様食品中のエマルションの存在は、選択的染色と明視野、蛍光又は位相差顕微鏡法を使用する顕微鏡観察との組み合わせによって半定量的に判定することができる。透過光又は反射光を使用する観察は、食品マトリクス内部のエマルション液滴を識別するために必要であってもよい。例えば、冷蔵食肉様食品は、薄いストリップに組織学的に切断され、選択的天然又は蛍光色素(例えば、油溶性色素、Oil Red O)によって染色され、顕微鏡スライド上に載せてもよい。
【0152】
エマルションの分散相は、連続相に完全には溶解しない任意の分散相とすることができる。一部の実施形態では、分散相は、脂質である。好適な脂質の例には、微生物油、植物油、藻類油、菌類油、海産油(例えば、大西洋産魚油、太平洋産魚油、地中海産魚油、軽度圧搾魚油、アルカリ処理魚油、熱処理魚油、軽質及び重質褐色魚油、カツオ油、マイワシ油、マグロ油、スズキ油、オヒョウ油、フウライカジキ油、カマス油、タラ油、メンハーデン油、イワシ油、カタクチイワシ油、カラフトシシャモ油、タイセイヨウタラ油、タイセイヨウニシン油、タイセイヨウサバ油、タイセイヨウメンハーデン油、サケ類油、及びサメ油、イカ油、コウイカ油、タコ油、オキアミ油、アザラシ油、鯨油)、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、共役脂肪酸、エイコサノイド、パルミチン酸、糖脂質(例えば、セレブロシド、ガラクト脂質、スフィンゴ糖脂質、リポ多糖、ガングリオシド)、膜脂質(例えば、セラミド、スフィンゴミエリン、バクトプレノール)、グリセリド、セカンドメッセンジャー情報伝達脂質(例えば、ジグリセリド)、トリグリセリド、プレノール脂質、プロスタグランジン、サッカロ脂質、油(例えば、ノンエッセンシャルオイル、エッセンシャルオイル、アーモンド油、アロエベラ油、キョウニン油、アボカド油、バオバブ油、キンセンカ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、綿実油、ツキミソウ油、ブドウ油、グレープシードオイル、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、アマニ油、マカダミア油、天然油、ニーム油、非水素化油、オリーブ油、パーム油、ココナツ油、部分的水素化油、ラッカセイ油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、合成油、植物油)、ω-脂肪酸(例えば、アラキドン酸、ω-3-脂肪酸、ω-6-脂肪酸、ω-7-脂肪酸、ω-9-脂肪酸)及びリン脂質(例えば、カルジオリピン、セラミドホスホコリン、セラミドホスホエタノールアミン、グリセロリン脂質、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、ホスファチジルセリン)、ある範囲の炭素原子(例えば、約8個~約40個、約10個~約38個、約12個~約36個、約14個~約34個、約16個~約32個、約18個~約30個又は約20個~約28個の炭素原子)を有する脂肪酸、少なくとも1個の不飽和結合(すなわち、炭素-炭素二重結合又は三重結合;例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個の炭素-炭素二重結合及び/又は三重結合)を含む脂肪酸、共役不飽和結合(=炭素-炭素二重結合及び/又は三重結合の少なくとも1対が互いに結合し、それらの間にメチレン(CH2)基がない(例えば、4CH:CHi CH:CHi))を有する脂肪酸、上記の脂肪酸の誘導体(例えば、エステル[例えば、メチル及びエチルエステル]、塩[例えば、ナトリウム及びカリウム塩]、トリグリセリド誘導体、ジグリセリド誘導体、モノグリセリド誘導体、原油、半精製(アルカリ精製とも呼ぶ)油、精製油、再エステル化トリグリセリドを含む油、低界面張力(例えば、約20未満、約15未満、約11未満、約9未満、約7未満、約5未満、約3未満、約2未満、約1未満又は約0.5未満ダイン/cm、約0.1~約20、約1~約15、約2~約9、約3~約9、約4~約9、約5~約9、約2~約7、約0.1~約5、約0.3~約2又は約0.5~1ダイン/cm、約0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5又は20.0)を有する脂肪酸、人間の消費に好適な脂肪酸(例えば、アボカド、カラシ、ココナツ、綿実、魚、亜麻、ブドウ、オリーブ、ヤシ、ラッカセイ、ナタネ、ベニバナ、ゴマ、ダイズ、ヒマワリのような周辺温度で液体の油;バター脂肪、チョコレート脂肪、ニワトリ脂肪のような周辺温度で固体の油)、従来の脂肪代替物(例えば、脂肪酸エステル化アルコキシ化グリセリン組成物、スクロース脂肪酸エステル、単一脂肪(例えば、パーム油、パーム核油、ココナツ油、ココアバター、シアバター、バター脂肪、乳脂肪)、軟脂肪(例えば、キャノーラ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、オリーブ油、ナッツ油)、植物脂肪及び植物油(例えば、ダイズ、トウモロコシ、綿実、ナタネ、コメ、ラッカセイ及びヤシ由来のもの)並びにこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、エマルションは、約30重量%~約85重量%、約40重量%~約70重量%、約50重量%~約60重量%又は少なくとも約50重量%の脂質を含む。一部のそのような実施形態では、エマルションは、約1重量%~約50重量%、約3重量%~約40重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約60重量%又は約10重量%~約30重量%の油を含む。一部の実施形態では、エマルションは、約70重量%~約90重量%の不飽和脂質を含む。一部の実施形態では、エマルションは、約10重量%~約30重量%の飽和脂質を含む。一部の実施形態では、エマルションは、少なくとも約30重量%のキャノーラ油又はヒマワリ油を含む。一部の実施形態では、エマルションは、少なくとも約10重量%のパーム油又はココナツ油を含む。一部の実施形態では、エマルションは、不飽和脂質及び飽和脂質を約12対1の比で含む。
【0153】
エマルションの連続相は、任意の好適な連続相とすることができる。好ましい実施形態では、水中油滴型エマルションに対して、連続相は、水である。水は、純水、水道水、ボトルドウォーター、脱イオン水、湧き水、天然液汁[すなわち、植物又は植物の任意の部分などの非動物源からの液体ベースの抽出物]、改質天然液汁又はこれらの混合物とすることができる。したがって、水は、塩若しくはミネラル又はその両方を含む水溶液であってもよい。一部の実施形態では、連続相は、連続相の蒸気圧を増加させる作用剤(例えば、アルコール)を含む。
【0154】
一部の実施形態では、エマルションは、乳化剤を更に含む。好適な乳化剤は、調製手順中及びトリガ条件に達するまでエマルションを安定化する必要がある。好適な乳化剤には、アニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、生物乳化剤、立体乳化剤、ピッケリング乳化剤、糖脂質(例えば、トレハロース脂質、ソホロ脂質、ラムノ脂質、マンノシルエリトリオール脂質)、オリゴペプチド(例えば、グラミシジンS、ポリミキシン)、リポペプチド(例えば、サーファクチン)、リン脂質、脂肪酸、中性脂質、高分子バイオサーファクタント、両親媒性多糖、リポ多糖、タンパク質(例えば、エンドウタンパク質、ダイズタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、藻類タンパク質、酵母タンパク質、ジャガイモタンパク質、レンティルタンパク質)、マンノタンパク質、リン酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル、リン脂質、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸のナトリウム/カリウム/カルシウム塩、ステアロイル二乳酸カルシウム、ポリグリセロールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリドの酢酸エステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ポリリシノール酸ポリグリセロール、脂肪酸のプロパン-1,2-ジオールエステル、糖エステル、脂肪酸のスクロースエステル、モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、ラクチル化モノグリセリド、ジグリセリド、リン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸エステル、ステアロイル-2-乳酸ナトリウム/カルシウム、アンモニウムホスファチド、ポリソルベート、ポリソルベート-80、カルボキシメチルセルロース(CMC)、改質セルロース、クエン酸エステル、ローカストビーンガム、グアーガム、リポサン、エマルサン、レシチン、界面活性剤(例えば、トリオレイン酸ソルビタン(Span 85)、トリステアリン酸ソルビタン(Span 65)、セスキオレイン酸ソルビタン(Arlacel 83)、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン(Span 80)、モノステアリン酸ソルビタン(Sapn 60)、モノパルミチン酸ソルビタン(Sapn 40)、モノラウリル酸ソルビタン(Sapn 20)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 65)、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 85)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール400、ポリソルベート60(Tween 60)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリソルベート80(Tween 80)、ポリソルベート40(Tween 40)、ポリソルベート20(Tween 20)、トリステアリン酸PEG 20、トリオレイン酸PEG 20、モノステアリン酸PEG 20、モノオレイン酸PEG 20、モノパルミチン酸PEG 20及びモノラウリル酸PEG 20ソルビタン)並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、乳化剤は、約25重量%のTween 80及び約75重量%のSpan 80を含む。一部の実施形態では、好適な乳化剤は、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約4、少なくとも約6、少なくとも約8、少なくとも約10、少なくとも約12、少なくとも約14、少なくとも約16又は少なくとも約18のHLBを有する。好ましい実施形態では、乳化剤は、脂肪乳化特性を有するタンパク質(例えば、果実タンパク質、植物タンパク質[例えば、コムギ、トウモロコシ、オートムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、サヤエンドウ、レンティル、ヒヨコマメ、ソラマメ、白インゲンマメ、インゲンマメ、ヒマワリ種、ラッカセイ、ナタネ、ダイズ]、乳タンパク質、微生物タンパク質、油糧種子[例えば、ダイズ]の脱脂製品から分離されたタンパク質、動物タンパク質及び穀物タンパク質[例えば、コムギグルテン、トウモロコシグルテン、コメグルテン])である。異なるタンパク質単離物は、異なる油放出及びテクスチャ特徴をもたらし、そのような材料の混合物は、特性の所望の組み合わせをもたらすために使用されてもよい。好ましい実施形態では、タンパク質は、実質的に未変性形態である。一部の実施形態では、エマルションは、約0.1重量%~約10.0重量%、約0.5重量%~約8.0重量%、約2重量%~約4重量%又は約1.5重量%~約6.5重量%の乳化剤を含む。
【0155】
一部の実施形態では、エマルションの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の色を有するようなものである。例えば、黄色に見える水中油滴型エマルションは、そのようなエマルションを含む食品に黄色の色相を加えることができる。また、内部液滴の内側に硫酸第一鉄水溶液を有し、かつ約100nmの液滴にマイクロ流体的に均質化された水中油中水滴型エマルションは、ピンクに見えるように平衡化し、そのようなエマルションを含む食品にピンクの色相を付加することができる。
【0156】
一部の実施形態では、エマルションは、食肉様芳香分子を含み、本明細書で提供される食肉様食品は、調理中に食肉様の芳香を発生させる。一部のそのような実施形態では、芳香分子は、分散相に優先的に可溶である。一部のそのような実施形態では、芳香分子は、連続相に優先的に可溶である。他のそのような実施形態では、芳香分子は、乳化剤に強固に結合している。他のそのような実施形態では、芳香分子は、乳化剤に軽度に結合している。他のそのような実施形態では、芳香分子は、乳化剤ミセルに付着されかつ好都合に相互作用する。
【0157】
一部の実施形態では、エマルションは、食肉様味覚剤を含み、本明細書で提供される食肉様食品は、調理中に食肉様の味覚を生じる。一部のそのような実施形態では、味覚剤は、分散相に優先的に可溶である。一部のそのような実施形態では、味覚剤は、連続相に優先的に可溶である。他のそのような実施形態では、味覚剤は、乳化剤に強固に結合している。他のそのような実施形態では、味覚剤は、乳化剤に軽度に結合している。他のそのような実施形態では、味覚剤は、乳化剤ミセルに付着されかつ好都合に相互作用する。一部の実施形態では、味覚剤は、互いに反応して食肉様の味覚を生じるために熱エネルギーを必要とするメイラード反応前駆体である。
【0158】
一部の実施形態では、エマルションの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様のテクスチャを有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、分散相のより小さな液滴サイズ及び液滴のより高い密度は、エマルションの圧縮率を低減し、かつ弾性を増加させると考えられている。したがって、使用される特定の分散相、連続相、乳化剤並びに液滴サイズ及び密度は、そのようなエマルションを含む任意の食品のテクスチャ(例えば、変形させるために必要な圧縮応力)に影響することができる。
【0159】
一部の実施形態では、エマルションの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の凝集性及び/又は結合性を有するようなものである。一部のそのような実施形態では、エマルションは、加熱時にゲル化する。
【0160】
一部の実施形態では、エマルションの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の多汁性を有するようなものである。
【0161】
一部の実施形態では、エマルションの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が調理中に食肉様のシズル音を生じるようなものである。理論に束縛されるものではないが、シズル音は、様々な因子に依存すると考えられており、食品の構成脂肪の種類及び比並びに食品中の構成脂質の水に対する比が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、一部の実施形態では、連続相の分散相に対する比は、そのような量の連続相及び分散相が食肉様のシズル音を発生させるようなより高温で放出されるようなものである。
【0162】
エマルションは、様々なサイズの液滴を有することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれるエマルションは、多分散系エマルション(すなわち、広範な分布の液滴サイズを有する液滴を含むエマルション)である。他の実施形態では、エマルションは、単分散系である(すなわち、狭い分布の液滴サイズを有する液滴を含むエマルション)。一部の実施形態では、エマルションは、マイクロエマルション(すなわち、連続相中の分散液滴の熱力学的に安定な系)である。他の実施形態では、エマルションは、ナノエマルションである(すなわち、ある液体の準安定性の[又は速度論的に安定な]分散体が別の不混和性液体中で1~100nmの範囲の液滴サイズを有する)。一部の実施形態では、エマルションは、約1,000nm未満、約750nm未満、約500nm未満、約250nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約100nm~約800nm、約100nm~約300nm、約4μm~約8μm、約5μm~約10μm又は約10μm~約50μmの平均液滴サイズを有する。液滴のサイズは、当該技術分野で既知の方法によって決定することができ、光散乱、顕微鏡法及び分光法が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれるエマルションは、4Cで保存したとき、少なくとも7日間、少なくとも10日間又は少なくとも14日間、液滴合体及び重力クリーム化に対して安定なままである。一部の実施形態では、エマルションは、約0.10~約0.25の多分散性指数(PDI)を有する単分散系液滴サイズ分布を有する。
【0163】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の色を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、液滴の平均サイズが100nm未満に減少するにつれて、液滴は、より少ない光を散乱し、したがって、次第に透明に見えるようになると考えられている。しかし、より密に充填された系について、より大きなサイズ、すなわち、可視光の最短波長に相当する平均サイズ(例えば、約100nm~約800nm又は約100nm~約300nm)では、液滴は、青色光を優先的に散乱する。そのようなより大きな平均サイズの液滴を含むエマルションが反射光によって観察されるとき、エマルションは、青味がかった白色に見えるが、その一方で、エマルションが試料を通る透過した光によって観察されるとき、エマルションは、ピンクがかった白色に見える。そのような青味がかった白色及びピンクがかった白色の色相は、そのような作用剤放出システムを含む食品の全体色を調節することができ、したがって、食肉様の色を付与又は増強することができる。
【0164】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が調理中に食肉様の芳香を発生させるようなものである。理論に束縛されるものではないが、エマルションが加熱されるにつれて、システム構成成分の衝突速度が増加し、合体及びシステム構成成分の不安定化を促進すると考えられている。そのような合体及びシステム構成成分の不安定化の事象は、液滴の蒸気圧を増加させ、エマルション中に含まれる食肉様の芳香を付与又は増強する分子を、蒸気相中に揮発させる。システム構成成分のサイズは、2通りの様式で、食肉様の芳香を付与又は増強する分子の量を決定すると更に考えられており、(例えば、乳化剤との相互作用のため)分子が液滴の表面上に熱力学的に存在しやすい場合には、より大きな液滴は、より多くの分子のためのより多くの表面積を意味し、(例えば、連続相よりも分散相により多く溶解するため)分子が液滴の内部に熱力学的に存在しやすい場合には、より大きな液滴は、より多くの分子のためのより多い体積を意味する。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される液滴の平均サイズは、食肉様の芳香を付与又は増強する分子の最適な量がエマルション中に含まれ得、そのようなエマルションを含む食品が調理中に、調理中の動物肉の芳香と同様の強度を有する芳香をもたらすほど、十分に大きい。
【0165】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が調理中に食肉様のシズル音を生じるようなものである。理論に束縛されるものではないが、液滴の平均サイズがより小さくなると、分散相と接触する連続相の割合が増加し、より高温で放出される連続相及び分散相の量がより増加し、したがって、シズル音がより大きくなると考えられている。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供されるエマルションの液滴の平均サイズは、約20μm未満、約5μm未満、約1μm~約500nm又は約500nm~約50nmである。
【0166】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が調理中に食肉様の脂肪溶出を生じるようなものである。理論に束縛されるものではないが、液滴の平均サイズがより小さくなると、連続相と分散相との間で接触する表面積がより多くなり、より高温で放出される連続相及び分散相の量がより増加し、したがって、脂肪溶出がより多くなると考えられている。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供されるエマルションの液滴の平均サイズは、約500nm未満、約100nm未満、約75nm~約100nm又は約45nm~約75nmである。
【0167】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様のテクスチャを有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、液滴の平均サイズがより小さくなると、液滴は、より強固に充填することができ、液滴がもたらすことができるテクスチャは、より堅固になると考えられている。したがって、一部の実施形態では、エマルション中に含まれる液滴の平均サイズは、約500nm未満、約100nm未満、約75nm~約100nm又は約45nm~約75nmである。一部の実施形態では、エマルションは、ナノエマルションである。
【0168】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の弾性を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、システム構成成分の半径が減少するにつれて、ラプラス圧(すなわち、システム構成成分の内側と外側との間の圧力差)は、増加するため、より高いシステム構成成分体積分率では、エマルション(及びそのようなエマルションを含む食品)の弾性(又は粘弾性特性)は、大きなラプラス圧を有する多くの液滴の相互作用全体に影響することができると考えられている。その結果として、液滴の平均サイズがより小さくなると、テクスチャは、粘性が優勢となるよりもむしろ弾性がより優勢となり、液滴の平均サイズがより大きくなると、テクスチャは、弾性が優勢となるよりもむしろ粘性がより優勢となる。したがって、一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、約500nm未満、約100nm未満、約75nm~約100nm又は約45nm~約75nmである。
【0169】
一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の凝集性及び/又は結合性を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、エマルションの弾性が増加すると(すなわち、液滴の平均サイズを減少させることによって)エマルション及びそのようなエマルションを含む食品を固くし、食品構成成分のより強い結合性を可能にすると考えられている。したがって、一部の実施形態では、エマルションの液滴の平均サイズは、約20μm未満、約5μm未満、約1μm~約500nm又は約500nm~約50nmである。
【0170】
エマルションの体積分率は、食肉様の属性を付与又は増強することにおいて中心的な役割を果たすことができる。
【0171】
一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の色を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、エマルションの体積分率は、単一又は複数の光の散乱があるかどうかを決定し、その光の散乱は、調理中の食肉様の色を生成すると考えられている。
【0172】
一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の芳香を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、エマルションの体積分率がより大きくなると、食肉様の芳香を付与又は増強することができる分子は、調理中に液滴の内部又は表面からより多く揮発すると考えられている。したがって、一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、約5%未満、約20%未満、約5%~約20%又は約20%~約40%である。
【0173】
一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、本明細書で提供される食肉様食品が調理中に食肉様のシズル音を生じるようなものである。理論に束縛されるものではないが、エマルションの体積分率は、分散相と接触する連続相の比に影響し、続いてより高温で放出される連続相及び分散相の量を変化させ、したがって、シズル音を変化させると考えられている。したがって、一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、約10%未満、約40%未満、約40%~約60%又は約5%~約40%である。
【0174】
一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の弾性を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、希薄な状況(10%未満の体積分率)におけるエマルションについて、構成成分系密度を増加させると、より粘性の作用剤放出システムをもたらすこととなると考えられている。ランダム密充填が行われるとき(約64%の体積分率で)、大きなラプラス圧を有する液滴の複合弾性寄与が顕著になり、エマルションが弾性挙動を示すのに十分な頻度で、液滴界面は、互いに接触している。充填体積分率が約74%(六方密充填-非変形球体に対して可能な最大充填密度体積分率)まで増加し、更に一層、体積分率がこの体積分率を超えて増加し、かつ液滴が互いに押し合って球形よりもひずんだ多面体となるにつれて、弾性は、増加する。したがって、一部の実施形態では、エマルションの液滴密度は、約64%未満、約74%未満、約64%~約74%又は約74%~約85%である。
【0175】
一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の凝集性及び/又は結合性を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、エマルションの弾性が増加すると(すなわち、系の構成要素体積分率を増加させることによって)、エマルション及びそのようなエマルションを含む食品を固くし、食品構成成分のより強い結合を可能にすると考えられている。したがって、一部の実施形態では、エマルションの体積分率は、約64%未満、約74%未満、約64%~約74%又は約74%~約85%である。
【0176】
一部の実施形態では、エマルションは、複合エマルションである。一部のそのような実施形態では、エマルションは、水中油中水滴型エマルションである。他のそのような実施形態では、エマルションは、油中水中油滴型エマルションである。一部のそのような実施形態では、エマルションの最も内側の液滴は、遷移金属(例えば、硫酸鉄七水和物、フマル酸鉄、グルコン酸マンガン二水和物、Orgen-I(登録商標)天然鉄、塩化マグネシウム)、又はメイラード反応前駆体混合物、又は食肉様の特徴を付与してもよい上記の任意の他の水溶性分子を含む。
【0177】
エマルションは、天然産の植物系脂肪の融点よりも高い融点を有し、食肉様の属性を与えるか又はそのような食肉様の属性を向上させる作用剤の(例えば、食品の調理中に)熱応答性放出用にエマルションの使用を可能にする。一部の実施形態では、そのような作用剤は、着色剤であり、そのような作用剤の放出は、調理中の動物肉に生じる色の変化に類似する様式で、食肉様食品の色を変化させる。一部の実施形態では、そのような作用剤は、芳香分子であり、そのような作用剤の放出は、調理中の動物肉によって放出される芳香に類似した芳香を発生させる。一部の実施形態では、そのような作用剤は、水及び脂肪酸であり、そのような作用剤の放出は、調理中の動物肉により発せられるシズル音を想起させるシズル音を発生させる。一部の実施形態では、そのような作用剤は、テクスチャ化剤であり、そのような作用剤の放出は、動物肉が調理中に受けるテクスチャの変化に類似する様式で食肉様食品のテクスチャを変化させる。一部の実施形態では、そのような作用剤は、脂肪酸であり、そのような作用剤の放出は、調理中の動物肉により生じる脂肪溶出に類似した脂肪溶出を発生させる。一部の実施形態では、そのような作用剤は、結合剤であり、そのような作用剤の放出は、調理中の動物肉の凝集性に類似する食肉様の消費物に対する凝集性をもたらす。
【0178】
一部の実施形態では、エマルションは、少なくとも約30℃の融点を有する。一部の実施形態では、エマルションは、約30℃~約100℃、約40℃~約90℃、約50℃~約80℃、約50℃~約70℃、約55℃~約65℃、約60℃~約70℃又は約37℃~約95℃の融点を有する。
【0179】
理論に束縛されるものではないが、融点は、様々な因子に依存すると考えられており、構成脂質の種類及び構成脂質の比が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、より長い脂肪酸鎖長を有し、より飽和された脂質は、より高い融点を有するものと考えられる。その結果として、単一種類の飽和脂質を含むエマルションは、飽和脂質及び不飽和脂質の配合物を含むエマルションよりも高い融点を有するはずであり、より低い含有量の不飽和脂質を含むエマルションは、より高い含有量の不飽和脂質を含むエマルションよりも高い融点を有するはずである。しかし、発明者らは、一部の実施形態では、より高い含有量の不飽和脂質を有する本明細書で提供されるエマルションが、より低い含有量の不飽和脂質を含むエマルションよりも高い融点を有するという驚くべき観察結果を得た(実施例3を参照されたい)。
【0180】
細胞壁材料
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品内に含まれる作用剤放出システムの分散システム構成成分は、細胞壁材料である。
【0181】
細胞壁材料は、単一の非動物源若しくは改質非動物源又は複数の非動物源若しくは改質非動物源に由来してもよい。細胞壁材料を調製するための方法は、2016年8月1日出願の米国実用出願第15/225,646号に開示されている。
【0182】
一部の実施形態では、細胞壁材料は、細胞壁である。一部の実施形態では、細胞壁は、酵母細胞壁である。一部の実施形態では、細胞壁材料は、酵母細胞壁由来のグルカン粒子である。
【0183】
構成成分の細胞壁材料含有量を決定するための方法は、当該技術分野で既知である。そのような方法の例には、細胞壁物質の組織学的染色とそれに続く顕微鏡法及び細胞壁材料(例えば、多糖、糖タンパク質、オルトケイ酸)中に見られるタンパク質の(例えば、質量分析法による)タンパク質定量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
一部の実施形態では、細胞壁材料は、保護層により被覆されている。一部のそのような実施形態では、保護層は、脂質を含む。一部のそのような実施形態では、保護層は、糖タンパク質を含む。一部のそのような実施形態では、保護層は、多糖を含む。一部のそのような実施形態では、細胞壁材料は、エマルション内でカプセル化されている。
【0185】
一部の実施形態では、細胞壁材料は、細胞壁材料の由来元である、非動物源又は改質非動物源によって生成され、細胞壁材料と共に抽出される放出用作用剤を含む。他の実施形態では、細胞壁材料は、細胞壁材料の抽出後、例えば、放出用作用剤と共に細胞壁材料の抽出後インキュベーション中に導入される、放出用作用剤を含む。
【0186】
可食性ろう分子
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムの分散システム構成成分は、ろう分子である。一部の実施形態では、ろう分子は、パラフィンろう分子である。一部の実施形態では、ろう分子は、天然ろう分子である。好適な天然ろう分子の例には、昆虫ろう分子、カルナバろう分子、黄色蜜ろう分子、白色蜜ろう分子、オウリカリろう分子及びキャンデリラ(candellila)ろう分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
アルギネート球
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムの分散システム構成成分は、アルギネート球である。一部の実施形態では、アルギネート球は、約0.1重量%~約10重量%のアルギネートを含む。
【0188】
ゲル
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品中に含まれる作用剤放出システムは、速度論的に安定化されたかつ/又は硬化されたゲルである。
【0189】
ゲルは、ヒドロゲル(すなわち、流体として水を有するゲル)、オルガノゲル(すなわち、流体として有機液体を有するゲル)、リポゲル(すなわち、流体として脂質を有するゲル)又はキセロゲル(すなわち、流体が除去されたゲル)とすることができる。
【0190】
ゲルは、天然又は合成由来のいずれかのポリマーネットワークを含んでもよい。ゲルは、ホモポリマー性(すなわち、単一モノマー種に由来するポリマーネットワーク)、コポリマー性(すなわち、2種以上の異なるモノマー種由来のポリマーネットワーク)、複合ポリマー相互侵入型ポリマー性(すなわち、2種の独立した架橋合成及び/又は天然ポリマー構成成分由来のポリマーネットワーク)、半複合ポリマー相互侵入型ポリマー性(すなわち、1種の架橋ポリマー及び1種の非架橋ポリマー由来のポリマーネットワーク)、アモルファス性(すなわち、非晶質)、半結晶性(すなわち、アモルファス相及び結晶相の混合物)、結晶性、化学的架橋型(すなわち、永続的連結を有するポリマーネットワーク)、物理的架橋型(すなわち、ポリマー鎖エンタングルメント又はイオン相互作用、水素結合若しくは疎水性相互作用などの物理的相互作用のいずれかから生じる過渡的連結を有するポリマーネットワーク)、非イオン性(すなわち、中性)、イオン性、両性(すなわち、酸性基及び塩基性基の両方を含む)又は両イオン性(すなわち、それぞれの構造反復ユニットにアニオン性基及びカチオン性基の両方を含む)であってもよい。ポリマーネットワークは、親水性、疎水性、不溶性、可溶性、わずかな膨潤性又は強い膨潤性の特性を有してもよい。一部の実施形態では、ゲルは、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約20重量%、約13重量%~約17重量%、約10重量%~約13重量%、約8重量%~約11重量%又は約8重量%~約17重量%のポリマーネットワークを含む。一部の実施形態では、ゲルは、炭水化物ポリマーネットワークを含む。異なる炭水化物ポリマーネットワークは、異なる食肉様の属性(例えば、異なる油放出、異なるテクスチャなど)をもたらし、そのような材料の混合物は、特性の所望の組み合わせをもたらすために使用されてもよい。好適な炭水化物ポリマーネットワークの例には、セルロース繊維(例えば、竹繊維)及びデンプン鎖などのポリマーネットワーク構成成分から作製されたポリマーネットワークが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーネットワークは、様々なサイズのポリマーネットワーク構成成分(例えば、セルロース繊維、デンプン鎖)を含んでもよい。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク構成成分は、多分散系(すなわち、様々な繊維長)である。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク構成成分は、単分散系(すなわち、同様の繊維長)である。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク構成成分は、ゲルの流体全体にわたって分散を維持するように十分小さい。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク構成成分は、ゲルの流体の底部に沈むように十分大きくてもよく、したがって、安定を保つためにエネルギーの投入及び/又はかさ高い作用剤を必要とする。一部の実施形態では、ポリマーネットワーク構成成分は、約400μm未満、約200μm未満、約110μm未満、約60μm未満又は約35μm未満の平均長を有する。ポリマーネットワーク構成成分のサイズは、当該技術分野で既知の方法によって決定することができ、光学的かつ共焦点顕微鏡法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
ゲルは、ゲル化剤を使用して形成することができる。一部の実施形態では、ゲル化剤は、合成化合物である。一部の実施形態では、ゲル化剤は、天然化合物である。一部のそのような実施形態では、天然化合物は、そのゼラチン化又はポリマー化の能力を増加させるために改質されてもよい。好適な天然化合物の例には、多糖及び改質多糖(例えば、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、カラギーナン及びその塩、アルギン酸及びその塩、寒天、アガロース、オートムギ親水コロイド、キトサン、シクロデキストリン、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、酵母β-グルカン、生物乳化剤、デキストラン、カードラン、プルラン、スクレログルカン、シゾフィラン、パキマン、クレスチン、レンチナン、グリフォラン、グロメララン、ペスタロタン、タイロピラン、シネレアン、ケフィラン、ラミナリン、フコイダン、グルコロナン、ペクチン類[例えば、ペクチン、アガロペクチン、低メトキシルペクチン])、ヒアルロナン、炭水化物、デンプン、繊維、タンパク質(例えば、コラーゲン、アルブミン、オボアルブミン、乳タンパク質、ホエータンパク質、ダイズタンパク質、キャノーラタンパク質、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、グロブリン、種子タンパク質)、天然ゴム(例えば、ローカストビーンガム、アラビアゴム、ゲランガム、キサンタンガム、ウィーンガム(wean gum)、スクシノグルカンガム)、ゼラチン(例えば、ゼラチンA、ゼラチンB、ハラールゼラチン、非ハラールゼラチン、コーシャーゼラチン、非コーシャーゼラチン)、ポリリン酸及び他の天然由来ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ゲルは、約3重量%未満、約0.5重量%~約5重量%、約0.75重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約0.2重量%~約2重量%、約0.5重量%~約1.5重量%又は約1.5重量%~約2重量%の寒天を含む。一般的に、ゲル化剤含有量が多くなると、ゲルはより硬くなる。
【0192】
一部の実施形態では、ゲルは、調製手順中及びトリガ条件に達するまでゲルを安定化するゲル安定化剤を更に含む。好適なゲル安定化剤には、高分子バイオサーファクタント、両性多糖(例えば、メチルセルロース)、リポ多糖、タンパク質(例えば、エンドウタンパク質、ダイズタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、藻類タンパク質、酵母タンパク質、ジャガイモタンパク質、レンティルタンパク質)又はマンノタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ゲル安定化剤は、中程度の膨潤特性を有する不溶性繊維又はデンプン(例えば、エンドウ繊維、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、竹繊維、ワキシーコーン、オートムギ繊維、コメデンプン)である。一部の実施形態では、ゲルは、約0.1重量%~約1.0重量%、約1.0重量%~約8.0重量%、約2重量%~約10重量%又は約10重量%~約20重量%の安定化剤を含む。一部の実施形態では、液相は、安定化剤として作用する。
【0193】
一部の実施形態では、ゲルは、流体として主に水及び水中でわずかに又は大幅に膨潤する炭水化物ポリマーネットワークからなるヒドロゲルである。ヒドロゲルは、料理の分野で周知である。例えば、植物セルロースヒドロゲルは、ソース、ドレッシング及びアイスクリームにおいて通常見られ、分子料理学に興味を持つ創造的料理人は、ヒドロゲルを最新の調理法に使用して新規な料理を常に生み出している。ヒドロゲルはまた、ジャム及びゼリー中のペクチンによって、Jell-O中のゼラチンによって、プディング中のデンプンによって、及びアイスクリーム中のガムによって形成される。流体として好適な水の例には、純水、水道水、ボトルドウォーター、脱イオン水、湧き水、天然液汁又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。水は、塩及び/又はミネラルを含んでもよい。好適な炭水化物ポリマーネットワークの例には、キトサン、ゲラン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、オオバコ外皮、コンニャク、キサンタンガム、グアーガム、ラムノース、ガラクツロン酸、キシロース、アピオース、アラビノース、グルコース、ヒドロキシル残基についてメトキシド基、カルボキシメチル基又はヒドロキシプロピル基で置換されたグルコース基、マンノース、グルクロン酸、硫酸化及び非硫酸化3,6-アンヒドロガラクトース、硫酸化及び非硫酸化ガラクトース、マンヌロン酸、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトピラノース並びにグルロン酸などのポリマーネットワーク構成成分から作製されたポリマーネットワークが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロゲルは、エマルション(例えば、水中油滴型エマルション)又は(タンパク質又は炭水化物により任意選択的に安定化された)発泡体を更に含んでもよい。
【0194】
一部の実施形態では、ゲルは、流体として脂質及び脂質中でわずかに又は大幅に膨潤する炭水化物ポリマーネットワークからなるリポゲルである。リポゲルは、料理の分野で周知である。例えば、リポゲルは、粉と脂肪とが一緒に混合されてソース、焼成用生地及び他の食品のテクスチャを高めるときに形成される。リポゲル中に含まれる流体として好適な脂質の例には、微生物油、植物油(例えば、アーモンド油、アロエベラ油、キョウニン油、アボカド油、バオバブ油、キンセンカ油、キャノーラ油、トウモロコシ油、綿実油、ツキミソウ油、ブドウ油、グレープシードオイル、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、アマニ油、マカダミア油、ニーム油、オリーブ油、パーム油、ココナツ油、ラッカセイ油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、合成油、植物油)、藻類油、菌類油、海産油、(例えば、大西洋産魚油、太平洋産魚油、地中海産魚油、軽度圧搾魚油、アルカリ処理魚油、熱処理魚油、軽質及び重質褐色魚油、カツオ油、マイワシ油、マグロ油、スズキ油、オヒョウ油、フウライカジキ油、カマス油、タラ油、メンハーデン油、イワシ油、カタクチイワシ油、カラフトシシャモ油、タイセイヨウタラ油、タイセイヨウニシン油、タイセイヨウサバ油、タイセイヨウメンハーデン油、サケ類油、及びサメ油、イカ油、コウイカ油、タコ油、オキアミ油、アザラシ油、鯨油)、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、共役脂肪酸、エイコサノイド、パルミチン酸、糖脂質(例えば、セレブロシド、ガラクト脂質、スフィンゴ糖脂質、リポ多糖、ガングリオシド)、膜脂質(例えば、セラミド、スフィンゴミエリン、バクトプレノール)、グリセリド、セカンドメッセンジャー情報伝達脂質(例えば、ジグリセリド)、トリグリセリド、プレノール脂質、プロスタグランジン、サッカロ脂質、油(例えば、ノンエッセンシャルオイル、エッセンシャルオイル、天然油、非水素化油、部分的水素化油、合成油)、ω-脂肪酸(例えば、アラキドン酸、ω-3-脂肪酸、ω-6-脂肪酸、ω-7-脂肪酸、ω-9-脂肪酸)及びリン脂質(例えば、カルジオリピン、セラミドホスホコリン、セラミドホスホエタノールアミン、グリセロリン脂質、ホスファチジン酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質、ホスファチジルセリン)、ある範囲の炭素原子(例えば、約8個~約40個、約10個~約38個、約12個~約36個、約14個~約34個、約16個~約32個、約18個~約30個又は約20個~約28個の炭素原子)を有する脂肪酸、少なくとも1個の不飽和結合(すなわち、炭素-炭素二重結合又は三重結合;例えば、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個の炭素-炭素二重結合及び/又は三重結合)を含む脂肪酸、共役不飽和結合(=炭素-炭素二重結合及び/又は三重結合の少なくとも1対が互いに結合し、それらの間にメチレン(CH2)基がない(例えば、4CH:CHi CH:CHi))を有する脂肪酸、上記の脂肪酸の誘導体(例えば、エステル[例えば、メチル及びエチルエステル]、塩[例えば、ナトリウム及びカリウム塩]、トリグリセリド誘導体、ジグリセリド誘導体、モノグリセリド誘導体、原油、半精製(アルカリ精製とも呼ぶ)油、精製油、再エステル化トリグリセリドを含む油、低界面張力(例えば、約20未満、約15未満、約11未満、約9未満、約7未満、約5未満、約3未満、約2未満、約1未満又は約0.5未満ダイン/cm、約0.1~約20、約1~約15、約2~約9、約3~約9、約4~約9、約5~約9、約2~約7、約0.1~約5、約0.3~約2又は約0.5~1ダイン/cm、約0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5又は20.0)を有する脂肪酸、人間の消費に好適な脂肪酸(例えば、アボカド、カラシ、ココナツ、綿実、魚、亜麻、ブドウ、オリーブ、ヤシ、ラッカセイ、ナタネ、ベニバナ、ゴマ、ダイズ、ヒマワリのような周辺温度で液体の油;バター脂肪、チョコレート脂肪、ニワトリ脂肪のような周辺温度で固体の油)、従来の脂肪代替物(例えば、脂肪酸エステル化アルコキシ化グリセリン組成物、スクロース脂肪酸エステル、単一脂肪(例えば、パーム油、パーム核油、ココナツ油、ココアバター、シアバター、バター脂肪、乳脂肪)、軟脂肪(例えば、キャノーラ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、オリーブ油、ナッツ油)、植物脂肪及び植物油(例えば、ダイズ、トウモロコシ、綿実、ナタネ、コメ、ラッカセイ及びヤシ)並びにこれらの組み合わせ及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な炭水化物ポリマーネットワークの例には、セルロース、竹繊維、ニンジン繊維、オーク繊維、冷繊維(chill fiber)、エンドウ繊維及び柑橘繊維などのポリマーネットワーク構成成分から作製されたポリマーネットワークが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、リポゲルは、キャノーラ油と竹繊維、パーム油と竹繊維、ココナツ油と竹繊維、セルロース繊維とキャノーラ油、ニンジン繊維とキャノーラ油、ココナツ油とキャノーラ油とヒマワリ油と繊維、パーム油とオーク繊維、パーム油とトウガラシ繊維、オリーブ油とセルロース繊維、アボカド油とココナツ油と竹繊維、キャノーラ油とエンドウ繊維、ヒマワリ油とナタネ油とセルロース繊維からなる群から選択される脂質と炭水化物ポリマーとの組み合わせを含む。一部の実施形態では、リポゲルは、脂質及び炭水化物ポリマーを約95対約5、約90対約10又は約75対約25の重量比で含む。リポゲルは、エマルション(例えば、水中油滴型エマルション、油中水滴型エマルション)又は脂質可溶分画を更に含んでもよい。一部の実施形態では、リポゲルは、少量の水及び/又はゲル安定化剤を含む。一部のそのような実施形態では、リポゲルは、脂質相内部に分散された油中水滴型エマルション液滴を含む。一部のそのような実施形態では、油中水滴型エマルション液滴は、リポゲルを食肉様食品内に取り込む前に形成される。一部のそのような実施形態では、油中水滴型エマルション液滴は、リポゲルを食肉様食品内に取り込んでいる間に形成される。一部の実施形態では、そのような油中水滴型エマルションは、遷移金属(例えば、硫酸鉄七水和物、フマル酸鉄、グルコン酸マンガン二水和物、Orgen-I(登録商標)天然鉄、塩化マグネシウム)、又はメイラード反応前駆体混合物、又は食肉様の特性を付与してもよい上記の任意の他の水溶性分子を含む。一部の実施形態では、放出用作用剤は、脂質可溶性であり、かつリポゲル中に含まれる脂質に含まれる。他の実施形態では、放出用作用剤は、水溶性であり、かつリポゲル中に含まれる油中水滴型エマルションに含まれる。
【0195】
一部の実施形態では、ゲルは、そのようなゲルを含む食肉様食品の調理中に放出される食肉様の芳香分子を含む。一部の実施形態では、芳香分子は、ゲルの液相に優先的に可溶である。一部の実施形態では、芳香分子は、ゲルのポリマーネットワーク内部に優先的に付着されている。一部の実施形態では、芳香分子は、安定剤に強固に結合している。一部の実施形態では、芳香分子は、油中水滴型エマルション液滴に付着されかつ好都合に相互作用する。
【0196】
一部の実施形態では、ゲルは、そのようなゲルを含む食肉様食品の調理中に放出される食肉様味覚剤を含む。一部の実施形態では、味覚剤は、ゲルの液相に優先的に可溶である。一部の実施形態では、味覚剤は、ゲルのポリマーネットワーク内部に優先的に付着されている。一部の実施形態では、味覚剤は、安定剤に強固に結合している。一部の実施形態では、味覚剤は、油中水滴型エマルション液滴に付着されかつ好都合に相互作用する。一部の実施形態では、味覚剤は、互いに反応して食肉様の味覚を生じるために熱エネルギーを必要とするメイラード反応前駆体である。
【0197】
一部の実施形態では、ゲルの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の色を有するようなものである。例えば、淡褐色に見えるゲルは、そのようなゲルを含む食品に淡褐色の色相を加えることができる。更に、少量の油溶性色素を使用して作製されたゲルは、橙赤色に見え、そのようなゲルを含む食品に改良赤色色相を加えることができる。
【0198】
一部の実施形態では、ゲルの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様のテクスチャを有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、より長いポリマーネットワーク構成成分は、より短いポリマーネットワーク構成成分よりも大きな粘弾性特徴を有するより強固なポリマーネットワークを形成すると考えられている。ゲルを含む食肉様食品のテクスチャに影響することができる他の因子としては、脂質相、安定剤及びゲルの含水量が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
一部の実施形態では、ゲルの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の凝集性及び/又は結合性を有するようなものである。一部のそのような実施形態では、ゲルは、加熱時に固くなる。
【0200】
一部の実施形態では、ゲルの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の多汁性を有するようなものである。
【0201】
一部の実施形態では、ゲルの組成は、本明細書で提供される食肉様食品が調理中に食肉様の脂肪放出を有し、かつ/又は食肉様のシズル音を生じるようなものである。理論に束縛されるものではないが、シズル音は、様々な因子に依存すると考えられており、食品の構成脂肪の種類及び比並びに食品中の構成脂質の水に対する比が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、一部の実施形態では、水の脂質に対する比は、そのような量の水相及び脂質相が食肉様のシズル音を生成するような、より高温で放出されるようなものである。一部の実施形態では、ゲルは、約7対1の脂質の水に対する比を有する水中油滴型エマルションを含む。
【0202】
一部の実施形態では、ゲル中のポリマー鎖ネットワークに対する平均特性メッシュサイズは、本明細書で提供される食肉様食品が食肉様の凝集性を有するようなものである。理論に束縛されるものではないが、ゲルのポリマーネットワークの平均長における増加は、ゲルの弾性を増加させる効果があり、ひいては、そのようなゲルを含む食品を固くすることができ、食品の構成成分のより強固な結合を可能にすると考えられている。したがって、一部の実施形態では、ポリマーネットワークの平均特性メッシュサイズは、約100μm未満、約20μm未満又は約5μm~約1μmである。
【0203】
一部の実施形態では、ゲルは、他の作用剤放出システムを含む。例えば、ゲルは、エマルションを含むことができる。一般的に、エマルションのゲル安定化がエマルションの脂肪溶出又はシズル音に影響しないことが期待される。しかし、発明者らは、特定の実施形態では、提供される食肉様食品にエマルションが含まれるとき、エマルションのゲル安定化が脂肪溶出又はシズル音を生じるために必要であるという驚くべき観察結果を得た。一般的に、エマルションを含むゲルによって生じる脂肪溶出及びシズル音は、エマルションを含むゲルが食肉様食品中で分離されるときに同一であることが期待される。しかし、発明者らは、低脂肪ゲル中のエマルションがグリドル上で加熱されるとき、高脂肪ゲル中のエマルションと比較してより良好な脂肪溶出及びシズル音を示す一方で、高脂肪ゲルエマルションが本明細書で提供される食肉様食品中に含まれるとき、低脂肪ゲルエマルションと比較してより良好な脂肪溶出及びシズル音を生じるという驚くべき観察結果を得た。一般的に、ゲル安定化エマルションのゲル化剤含有量又は乳化剤含有量は、脂質含有量とは無関係に同じ程度に融点に影響することが期待される。しかし、発明者らは、一部の実施形態において、本明細書で提供されるゲル安定化エマルションのゲル化剤含有量又は乳化剤含有量の影響がゲル安定化エマルションの脂質含有量に依存して異なるという驚くべき観察結果を得た。一部の実施形態では、ゲル安定化エマルションは、容易に薄切りにできる。一部の実施形態では、ゲル安定化エマルションは、約0.1kg~約14kg、約2kg~約12kg、約2kg~約10kg、約4kg~約8kg、約10kg~約14kg又は約0.1kg~約2kgの周囲温度での硬さである。一部の実施形態では、ゲル安定化エマルションは、約1~約30、約5~約25、約10~約20又は約12~約17の粘着性を有する。一部の実施形態では、ゲル安定化エマルションは、約20~約70、約30~約60又は約40~約50の復元性を有する。一部の実施形態では、ゲル安定化エマルションは、約0.1~約3、約0.3~約2又は約0.5~約1の凝集性を有する。一部の実施形態では、ゲル安定化エマルションは、約500~約5000、約1000~約4000又は約2000~約3000のガム性を有する。
【0204】
食肉様の属性
本明細書で提供される食肉様食品によって提供される動物肉と類似の又は優れた1つ以上の属性には、色、色安定性、調理時色変化プロファイル、芳香、芳香安定性、調理時芳香放出変化プロファイル、味覚、味覚安定性、調理時味覚変化プロファイル、咀嚼性、咀嚼性安定性、調理時咀嚼性変化プロファイル、ガム性、ガム性安定性、調理時ガム性変化プロファイル、弾力性、弾力性安定性、調理時弾力性変化プロファイル、凝集性、凝集性安定性、調理時凝集性変化プロファイル、復元性、復元性安定性、調理時復元性変化プロファイル、粘着性、粘着性安定性、調理時粘着性変化プロファイル、硬さ、硬さ安定性、調理時硬さ変化プロファイル、MC、MC安定性、調理時MC変化プロファイル、多汁性、多汁性安定性、調理時多汁性変化プロファイル、ヘッドスペースGCMSパターン、ヘッドスペースGCMSパターン安定性、調理時ヘッドスペースGCMSパターン変化プロファイル、タンパク質含有量、脂質含有量、炭水化物含有量、繊維含有量、調理時シズル音変化プロファイル、調理時脂肪溶出変化プロファイル、調理損失、調理損失変化プロファイル、焼き加減変化プロファイル及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これに関連して、属性安定性(例えば、色安定性、芳香安定性、味覚安定性、咀嚼性安定性、ガム性安定性、弾力性安定性、凝集性安定性、復元性安定性、粘着性安定性、硬さ安定性、MC安定性、多汁性安定性、ヘッドスペースGCMSパターン安定性)は、時間の経過にわたる(例えば、保存の時間の経過にわたる)属性の持続性を意味し、調理時属性変化プロファイル(例えば、調理時色変化プロファイル、調理時芳香放出変化プロファイル、調理時味覚変化プロファイル、調理時咀嚼性変化プロファイル、調理時ガム性変化プロファイル、調理時弾力性変化プロファイル、調理時凝集性変化プロファイル、調理時復元性変化プロファイル、調理時粘着性変化プロファイル、調理時硬さ変化プロファイル、調理時水分損失変化プロファイル、調理時ヘッドスペースGCMSパターン変化プロファイル、調理時シズル音変化プロファイル、調理時脂肪溶出変化プロファイル、調理損失変化プロファイル、焼き加減変化プロファイル)は、調理過程の経過にわたる属性の変化プロファイルを意味する。
【0205】
一部の実施形態では、本明細書で提供される未調理食肉様食品は、未調理動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部のそのような実施形態では、未調理食肉様食品は、未調理の80/20牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部のそのような実施形態では、未調理食肉様食品は、未調理の90/10牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。未調理動物肉の好適な食肉様の属性には、色、芳香、味覚、咀嚼性、ガム性、弾力性、凝集性、復元性、粘着性、硬さ、MC、タンパク質含有量、脂質含有量、炭水化物含有量、繊維含有量、多汁性及びヘッドスペースGCMSが挙げられるが、これらに限定されない。
【0206】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約49~約36.7のL*色値、約21.8~約21.3のa*色値及び約22.8~約20.7のb*色値を有する。一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約40.7~約39のL*色値、約18.3~約17.3のa*色値及び約20.7~約16.8のb*色値を有する。一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約43.5~約46.5のL*色値、約18~約19.2のa*色値及び約14.5~約15のb*色値を有する。
【0207】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約1000g~約6000g、約1000g~約5500g、約1000g~約5000g、約1000g~約4500g、約1000g~約4000g、約1000g~約3500g、約1000g~約3000g、約1000g~約2500g、約1000g~約2000g若しくは約1000g~約1500g、約1500g~約6000g、約1500g~約5500g、約1500g~約5000g、約1500g~約4500g、約1500g~約4000g、約1500g~約3500g、約1500g~約3000g、約1500g~約2500g若しくは約1500g~約2000g、約2000g~約6000g、約2000g~約5500g、約2000g~約5000g、約2000g~約4500g、約2000g~約4000g、約2000g~約3500g、約2000g~約3000g若しくは約2000g~約2500g、約2500g~約6000g、約2500g~約5500g、約2500g~約5000g、約2500g~約4500g、約2500g~約4000g、約2500g~約3500g若しくは約2500g~約3000g、約3000g~約6000g、約3000g~約5500g、約3000g~約5000g、約3000g~約4500g、約3000g~約4000g若しくは約3000g~約3500g、約3500g~約6000g、約3500g~約5500g、約3500g~約5000g、約3500g~約4500g若しくは約3500g~約4000g、約4000g~約6000g、約4000g~約5500g、約4000g~約5000g若しくは約4000g~約4500g、約4500g~約6000g、約4500g~約5500g若しくは約4500g~約5000g、約5000g~約6000g若しくは約5000g~約5500g、又は約5500g~約6000gの硬さを有する。
【0208】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約4~約9、約4~約8.5、約4~約8、約4~約7.5、約4~約7、約4~約6.5、約4~約6、約4~約5.5、約4~約5若しくは約4~約4.5、約4.5~約9、約4.5~約8.5、約4.5~約8、約4.5~約7.5、約4.5~約7、約4.5~約6.5、約4.5~約6、約4.5~約5.5若しくは約4.5~約5、約5~約9、約5~約8.5、約5~約8、約5~約7.5、約5~約7、約5~約6.5、約5~約6若しくは約5~約5.5、約5.5~約9、約5.5~約8.5、約5.5~約8、約5.5~約7.5、約5.5~約7、約5.5~約6.5若しくは約5.5~約6、約6~約9、約6~約8.5、約6~約8、約6~約7.5、約6~約7若しくは約6~約6.5、約6.5~約9、約6.5~約8.5、約6.5~約8、約6.5~約7.5若しくは約6.5~約7、約7~約9、約7~約8.5、約7~約8若しくは約7~約7.5、約7.5~約9、約7.5~約8.5若しくは約7.5~約8、約8~約9若しくは約8~約8.5、又は約8.5~約9の復元性を有する。
【0209】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約0.1~約0.5、約0.1~約0.45、約0.1~約0.4、約0.1~約0.35、約0.1~約0.3、約0.1~約0.25、約0.1~約0.2若しくは約0.1~約0.15、約0.15~約0.5、約0.15~約0.45、約0.15~約0.4、約0.15~約0.35、約0.15~約0.3、約0.15~約0.25若しくは約0.15~約0.2、約0.2~約0.5、約0.2~約0.45、約0.2~約0.4、約0.2~約0.35、約0.2~約0.3若しくは約0.2~約0.25、約0.25~約0.5、約0.25~約0.45、約0.25~約0.4、約0.25~約0.35若しくは約0.25~約0.3、約0.3~約0.5、約0.3~約0.45、約0.3~約0.4若しくは約0.3~約0.35、約0.35~約0.5、約0.35~約0.45若しくは約0.35~約0.4、約0.4~約0.5若しくは約0.4~約0.45、又は約0.45~約0.5の凝集性を有する。
【0210】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約20~約60、約20~約55、約20~約50、約20~約45、約20~約40、約20~約35、約20~約30若しくは約20~約25、約25~約60、約25~約55、約25~約50、約25~約45、約25~約40、約25~約35若しくは約25~約30、約30~約60、約30~約55、約30~約50、約30~約45、約30~約40若しくは約30~約35、約35~約60、約35~約55、約35~約50、約35~約45若しくは約35~約40、約40~約60、約40~約55、約40~約50若しくは約40~約45、約45~約60、約45~約55若しくは約45~約50、約50~約60若しくは約50~約55、又は約55~約60の弾力性を有する。
【0211】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約300~約1000、約300~約900、約300~約800、約300~約700、約300~約600、約300~約500若しくは約300~約400、約400~約1000、約400~約900、約400~約800、約400~約700、約400~約600若しくは約400~約500、約500~約1000、約500~約900、約500~約800、約500~約700若しくは約500~約600、約600~約1000、約600~約900、約600~約800若しくは約600~約700、約700~約1000、約700~約900若しくは約700~約800、約800~約1000若しくは約800~約900、又は約900~約1000のガム性を有する。
【0212】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約100~約500、約100~約450、約100~約400、約100~約350、約100~約300、約100~約250、約100~約200若しくは約100~約150、約150~約500、約150~約450、約150~約400、約150~約350、約150~約300、約150~約250若しくは約150~約200、約200~約500、約200~約450、約200~約400、約200~約350、約200~約300若しくは約200~約250、約250~約500、約250~約450、約250~約400、約250~約350若しくは約250~約300、約300~約500、約300~約450、約300~約400若しくは約300~約350、約350~約500、約350~約450若しくは約350~約400、約400~約500若しくは約400~約450、又は約450~約500の咀嚼性を有する。
【0213】
一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、約0.09~約0.15、約0.09~約0.14、約0.09~約0.13、約0.09~約0.12、約0.09~約0.11若しくは約0.09~約0.10、約0.10~約0.15、約0.10~約0.14、約0.10~約0.13、約0.10~約0.12若しくは約0.10~約0.11、約0.11~約0.15、約0.11~約0.14、約0.11~約0.13若しくは約0.11~約0.12、約0.12~約0.15、約0.12~約0.14若しくは約0.12~約0.13、約0.13~約0.15若しくは約0.13~約0.14、又は約0.14~約0.15のJCMを有する。
【0214】
一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、約1~約4、約1~約3.5、約1~約3、約1~約2.5、約1~約2若しくは約1~約1.5、約1.5~約4、約1.5~約3.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5若しくは約1.5~約2、約2~約4、約2~約3.5、約2~約3若しくは約2~約2.5、約2.5~約4、約2.5~約3.5若しくは約2.5~約3、約3~約4若しくは約3~約3.5、又は約3.5~約4のOWVを有する。
【0215】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約30~約150、約30~約140、約30~約130、約30~約120、約30~約110、約30~約100、約30~約90、約30~約80、約30~約70、約30~約60、約30~約50若しくは約30~約40、約40~約150、約40~約140、約40~約130、約40~約120、約40~約110、約40~約100、約40~約90、約40~約80、約40~約70、約40~約60若しくは約40~約50、約50~約150、約50~約140、約50~約130、約50~約120、約50~約110、約50~約100、約50~約90、約50~約80、約50~約70若しくは約50~約60、約60~約150、約60~約140、約60~約130、約60~約120、約60~約110、約60~約100、約60~約90、約60~約80若しくは約60~約70、約70~約150、約70~約140、約70~約130、約70~約120、約70~約110、約70~約100、約70~約90若しくは約70~約80、約80~約150、約80~約140、約80~約130、約80~約120、約80~約110、約80~約100若しくは約80~約90、約90~約150、約90~約140、約90~約130、約90~約120、約90~約110若しくは約90~約100、約100~約150、約100~約140、約100~約130、約100~約120若しくは約100~約110、約110~約150、約110~約140、約110~約130若しくは約110~約120、約120~約150、約120~約140若しくは約120~約130、約130~約150若しくは約130~約140、又は約140~約150の10Cでの結合性(N・mm単位)を有する。一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、約20~約90、約20~約80、約20~約70、約20~約60、約20~約50、約20~約40若しくは約20~約30、約30~約90、約30~約80、約30~約70、約30~約60、約30~約50若しくは約30~約40、約40~約90、約40~約80、約40~約70、約40~約60若しくは約40~約50、約50~約90、約50~約80、約50~約70若しくは約50~約60、約60~約90、約60~約80若しくは約60~約70、約70~約90若しくは約70~約80、又は約80~約90の15Cでの結合性を有する。
【0216】
一部の実施形態では、本明細書で提供される未調理食肉様食品は、未調理動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部のそのような実施形態では、未調理食肉様食品は、未調理の80/20牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部のそのような実施形態では、未調理食肉様食品は、未調理の90/10牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。好適な食肉様属性の安定性には、色安定性、芳香安定性、味覚安定性、咀嚼性安定性、ガム性安定性、弾力性安定性、凝集性安定性、復元性安定性、粘着性安定性、硬さ安定性、MC安定性、多汁性安定性及びヘッドスペースGCMSパターン安定性が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、類似の又は優れた食肉様属性の安定性は、好適な保存条件での食肉様食品の保存中にわたって持続する。一部のそのような実施形態では、好適な保存条件には、約15C未満の温度での保存が挙げられる。一部の実施形態では、類似の又は優れた食肉様属性の安定性は、冷凍解凍の1回以上のサイクルにわたって持続する。一部のそのような実施形態では、冷凍解凍の1回以上のサイクルは、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル及び6サイクル以上の冷凍解凍である。
【0217】
一部の実施形態では、未調理食肉様食品は、ネイティブに、又は、未調理食肉様食品中の他の作用剤の存在に起因して、ミオグロビンと少なくとも同一か又は優れた酸化還元安定性を有する着色剤を含む。
【0218】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の調理中の属性変化プロファイルを有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、80/20牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の調理時属性変化プロファイルを有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、90/10牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の調理時属性変化プロファイルを有する。好適な調理時属性変化プロファイルには、調理時色変化プロファイル、調理時芳香放出変化プロファイル、調理時味覚変化プロファイル、調理時咀嚼性変化プロファイル、調理時ガム性変化プロファイル、調理時弾力性変化プロファイル、調理時凝集性変化プロファイル、調理時復元性変化プロファイル、調理時粘着性変化プロファイル、調理時硬さ変化プロファイル、調理時水分損失変化プロファイル、調理時ヘッドスペースGCMSパターン変化プロファイル、調理時シズル音変化プロファイル、調理時脂肪溶出変化プロファイル、調理損失変化プロファイル及び焼き加減変化プロファイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0219】
一部の実施形態では、食肉様食品の調理時色変化プロファイルは、L***色値が未調理食肉様食品のものから減少することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時咀嚼性変化プロファイルは、咀嚼性が増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時ガム性変化プロファイルは、ガム性が増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時弾力性変化プロファイルは、弾力性が増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時凝集性変化プロファイルは、凝集性が増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時復元性変化プロファイルは、復元性が増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時粘着性変化プロファイルは、粘着性が減少することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時硬さ変化プロファイルは、硬さが増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理時水分損失変化プロファイルは、水分損失が増加することである。一部の実施形態では、食肉様食品の調理損失変化プロファイルは、調理損失が増加することである。これに関連して、用語「調理時」は、350°Fの調理温度で食肉様食品のそれぞれの側面で最大3~6分までの調理時間(すなわち、10分の総調理時間)を意味する。
【0220】
一部の実施形態では、本明細書で提供される調理済食肉様食品は、調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部のそのような実施形態では、調理済食肉様食品は、調理された80/20牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部のそのような実施形態では、調理済食肉様食品は、調理された90/10牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、レア調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、ミディアム調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、ウェルダン調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様の属性を有する。調理済動物肉の好適な食肉様の属性には、色、芳香、味覚、咀嚼性、ガム性、弾力性、凝集性、復元性、粘着性、硬さ、MC、タンパク質含有量、脂質含有量、炭水化物含有量、繊維含有量、多汁性、ヘッドスペースGCMS及び調理時間が挙げられるが、これらに限定されない。
【0221】
一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、約27.8~約26.4のL*色値、約12.8~約12.2のa*色値及び約18.4~約15.2のb*色値を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、約34.8~約28.9のL*色値、約10.6~約9.4のa*色値及び約19~約12.4のb*色値を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、約37~約39.5のL*色値、約13.5~約14.5のa*色値及び約20~約21.5のb*色値を有する。
【0222】
一部の実施形態では、本明細書で提供される調理済食肉様食品は、調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部のそのような実施形態では、調理済食肉様食品は、調理された80/20牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部のそのような実施形態では、調理済食肉様食品は、調理された90/10牛挽肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、レア調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、ミディアム調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。一部の実施形態では、調理済食肉様食品は、ウェルダン調理済動物肉と比較して類似の又は優れた1つ以上の食肉様属性の安定性を有する。好適な食肉様属性の安定性には、色安定性、芳香安定性、味覚安定性、咀嚼性安定性、ガム性安定性、弾力性安定性、凝集性安定性、復元性安定性、粘着性安定性、硬さ安定性、MC安定性、多汁性安定性及びヘッドスペースGCMSパターン安定性が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、類似の又は優れた食肉様属性の安定性は、好適な保存条件での食肉様食品の保存中にわたって持続する。一部のそのような実施形態では、好適な保存条件には、約15℃未満の温度での保存が挙げられる。一部の実施形態では、類似の又は優れた食肉様属性の安定性は、冷凍解凍の1回以上のサイクルにわたって持続する。一部のそのような実施形態では、冷凍解凍の1回以上のサイクルは、1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル及び6サイクル以上の冷凍解凍である。
【0223】
一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、動物肉と比較して1つ以上の異なる(例えば、より少ない、より多い、より短い、より長い)属性、属性の安定性又は属性の調理時変化プロファイルを有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、80/20牛挽肉と比較して1つ以上の異なる属性、属性の安定性又は属性の調理時変化プロファイルを有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、90/10牛挽肉と比較して1つ以上の異なる属性、属性の安定性又は属性の調理時変化プロファイルを有する。一部の実施形態では、食肉様食品は、異なるシズル音の調理時変化プロファイルを有する。一部のそのような実施形態では、食肉様食品は、未調理動物肉とは異なる含有量のタンパク質、脂質、炭水化物、可食性繊維及び水を含む(例えば、食肉様食品は、より多くの水を含んでもよい)が、調理済動物肉と同様の含有量のタンパク質、脂質、炭水化物、可食性繊維及び水を含む。
【0224】
食肉様食品の食肉様の属性は、1種以上の高可食性繊維構成成分の組み入れによって調整することができる。理論に束縛されるものではないが、そのような高可食性繊維構成成分の存在は、食肉様食品の動物肉様の属性を改善することができるが、高濃度では、食肉様食品の動物肉様の属性を害する恐れがあると考えられている。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される食肉様食品は、少なくとも約1重量%、約1重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約8重量%~約13重量%、約1重量%~約10重量%、約2重量%~約9重量%、約3重量%~約8重量%、約4重量%~約7重量%、約2重量%~約7重量%又は約5重量%~約6重量%の高可食性繊維構成成分を含む。好適な高可食性繊維構成成分の例には、オオバコ外皮(実施例1を参照されたい)、アルギン酸カルシウム(実施例1を参照されたい)及びコンニャク粉が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、食肉様食品は、約2重量%~約7重量%のオオバコ外皮を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、コンニャク粉を含み、アルカリ性pH(例えば、約8よりも大きい、約9よりも大きい、約10よりも大きい、約11よりも大きい、約12よりも大きいpH)を有する。一部の実施形態では、高可食性繊維構成成分の平均WBS強度は、約500g/mm2~約4,000g/mm2である。一部の実施形態では、高可食性繊維構成成分の直径は、約1mm~約10mm、約2mm~約9mm、約3mm~約8mm、約4mm~約7mm、約5mm~約6mm、約2mm~約5mm又は約3mm~約4mmである。一部の実施形態では、高可食性繊維構成成分の長さは、約0.5cm~約10cm、約1cm~約9cm、約2cm~約8cm、約3cm~約7cm、約4cm~約6cm、約3cm~約6cm又は約4cm~約5cmである。
【0225】
食肉様食品を製造するためのプロセス
別の態様では、本明細書で提供される食肉様食品を製造するための方法が本明細書で提供される。食肉様食品は、食肉構造化タンパク質製品と、任意選択で、作用剤放出システム及び/又は他の成分とを、1種以上の結合剤を用いて凝固させることにより製造される。
【0226】
食肉構造化タンパク質製品を製造するためのプロセスは、例えば、2011年10月13日出願の米国実用出願第13/272,825号、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,803号、2015年4月15日出願の米国実用出願第14/687,830号、2015年9月15日出願の米国実用出願第14/855,212号又は2016年8月1日出願の米国実用出願第15/225,646号に開示されている。
【0227】
一部の実施形態では、食肉様食品を製造するための方法は、少なくとも1種の食肉構造化タンパク質製品を少なくとも1種の結合剤及び任意選択的な他の成分と組み合わせる工程を含む。一部の実施形態では、食肉様食品を製造するための方法は、少なくとも1種の食肉構造化タンパク質製品を少なくとも1種の作用剤放出システム及び少なくとも1種の結合剤及び任意選択的な他の成分と組み合わせる工程を含む。
【0228】
一部の実施形態では、結合剤及び任意選択的な作用剤放出システム及び/又は他の成分は、食肉様食品内に均等に導入される。一部の実施形態では、結合剤及び任意選択的な作用剤放出システム及び/又は他の成分は、(例えば、作用剤放出システムの局所濃度を生じさせるために)食肉様食品内に不均等に導入される。作用剤放出システムがゲルを含む一部の実施形態では、作用剤放出システムは、ゲルの凝固前に、食肉構造化タンパク質製品及び結合剤及び任意選択的な他の成分と混合される。作用剤放出システムがゲルを含む他の実施形態では、作用剤放出システムは、食肉様食品中に組み入れる前に、細断する又は切断する又は薄く切る必要があってもよい。一部の実施形態では、結合剤及び/又は作用剤放出システム及び/又は他の成分は、食肉様食品の表面に(例えば、噴霧によって)均等に塗布される。一部の実施形態では、結合剤及び/又は作用剤放出システム及び/又は他の成分は、食肉様食品中の特定の位置に注入又は(例えば、乾燥形態で)噴霧される。
【0229】
作用剤放出システムがエマルションである実施形態では、エマルションは、分散相を不混和性連続相と組み合わせることによって一般的に形成される。エマルションを作製するために好適な分散相及び連続相は、本明細書中の他の個所に開示されたものである。好ましい水中油滴型エマルションでは、脂質は、約1重量%~約50重量%、約3重量%~約40重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約60重量%又は約10重量%~約30重量%の量で存在する。一部の実施形態では、エマルションは、少なくとも約30重量%のキャノーラ油を含む。一部の実施形態では、エマルションは、少なくとも約10重量%のパーム油又はココナツ油を含む。一部の実施形態では、液滴サイズは、エマルション及び本明細書で提供される食肉様食品の脂質含有量を低減するために低減される。乳化剤は、分散相、連続相又はエマルションに加えることができる。乳化剤を分散相に加える前に連続相に加えることが通常好ましい。他の成分は、エマルションの品質を向上させるためにエマルションの分散相又は連続相に含まれてもよい。そのような他の成分は、エマルションが作製される前に分散相に加えるか、エマルション化中に加えるか又はエマルションが作製された後に混合することができる。
【0230】
エマルションは、同時に形成することができるか、又は、エマルションは、形成するために機械的エネルギー(例えば、渦流、均質化、撹拌、超音波処理、高圧又は任意の他の好適な機械的活動)を必要としてもよい。エマルション化がより少量の機械的エネルギー(例えば、従来の撹拌機において約100rpm~約1,000rpmの中程度のせん断力下での撹拌)によって促進されるとき、生じるエマルションの平均液滴サイズは、一般的により大きい(例えば、液滴のうちの少なくとも約75%は、約25μmよりも大きい直径を有する)。エマルション化がより大量の機械的エネルギー(例えば、高圧[例えば、約35bar~約650bar]の一段式又は二段式ホモジナイザ[例えば、約1,000rpm~約10,000rpm]での均質化、又は、マイクロ流体均質化[約500~約2,000bar])によって促進されるとき、生じるエマルションの平均液滴サイズは、一般的により小さい(例えば、液滴のうちの少なくとも約75%は、約10μm未満の直径を有する)。ナノエマルションは、マイクロ流動装置での均質化によって得ることができる。高脂質エマルションを得るために、脂質は、混合中に徐々に加える必要がある。
【0231】
加熱は、エマルション化を促進(aide)することができる。一部の実施形態では、エマルション化は、室温超で、30℃超、40℃超、50℃超、60℃超、70℃超、80℃超、約90℃~約120℃、約30℃~約60℃又は約40℃~約50℃で行われる。高温の使用は、微生物安定性を減少させかつ無菌状態を向上させるため好ましい。加熱は、エマルションが熱不安定性又は熱反応性の化合物を含むときに回避される。あるいは、エマルションは、微生物増殖を抑制するために酸性化されてもよい。酸性化されると、エマルションは、加えられた十分な酸性pH及び/又はイオン強度調整剤を一般的に有するため、エマルションのpHは、約2.75~約5.75、好ましくは、約2.85~約5.50、より好ましくは、約3.25~約4.25であり、それらに包含されたすべての範囲を含む。使用されるpH及び/又はイオン強度調整剤の種類に関して、その調整剤が人間の消費に好適な処方で使用され、乳化剤の表面活性に影響しない限り制限はない(すなわち、低すぎる又は高すぎるpHは、乳化剤の化学的性質を変化させる恐れがあり、乳化剤がエマルションの安定化のためにもはや好適ではないようにする)。pH及び/又はイオン強度調整剤は、エマルションが作製される前又は後に加えられてもよい。
【0232】
エマルション化は、混合物の試料を取り出して、顕微鏡法、光散乱又は屈折率測定法などの方法によって分析することにより監視することができる。
【0233】
加熱の後には一般的に冷却が続き、その場合、高密度の液滴を含むエマルションは、放出用作用剤を含む封入された脂質液滴を有する乳化剤の熱凝固マトリックスからなる固体材料内で凝固してもよい。冷却は、当該技術分野で既知の方法(例えば、冷却機の使用)によって達成することができる。冷却の速度は、約1~約100分当たり約1℃とすることができる。例えば、冷却の速度は、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100分当たり約1℃とすることができる。冷却は、混合物が約5℃~約10℃の温度に到達するまで継続することができる。
【0234】
エマルションは、脱水することができる。エマルションを脱水するための方法は、当該技術分野で既知であり、スプレードライ、凍結乾燥、エタノールによる乾燥及び蒸発が挙げられるが、これらに限定されない。スプレードライ技術は、「Spray Drying Hand book」,K.Masters,5th edition,Longman Scientific Technical UK,1991に開示されている。
【0235】
達成されたエマルション化の度合い、したがって、エマルションの最終テクスチャは、エマルション化中に、特定のパラメータを変化させることによってある度合いに制御することができる。例えば、液滴サイズは、乳化剤及び/又は分散相の種類及び量を調整することによって及びエマルション化中に使用される機械的エネルギーの量を調整することによって調整することができる。液滴サイズはまた、フローフォーカス技術又は他のマイクロ流体技術により調整することができる。液滴密度は、遠心分離又はろ過技術によって調整することができ、分散相と連続相との間の密度差に応じて、液滴は、(液滴の密度が連続相の密度よりも低い場合には)遠心分離機内のバイアルの頂部に上昇するか、又は(液滴の密度が連続相の密度よりも高い場合には)底部に沈降するかのいずれかとなり、多分散系エマルションは、マクロろ過及びマイクロろ過を使用してかつ異なる細孔径を有するフィルタを利用して、又は接線流ろ過(TFF)を使用して複数の単分散系試料に分画することができる。乳化剤のエマルション化能力は、連続相のpHにおける変化によって、エマルション化が発生する温度における変動によって(周辺温度よりも40℃でより大幅なエマルション化が発生し、例えば、より多い脂質放出を可能にする)、及び乳化剤の分散に影響する連続相内の塩の存在によって(乳化剤をより多く分散させると、乳化剤がエマルション化のために多く利用できる)影響される可能性がある。
【0236】
液滴密度が高くかつエマルション粘度が高いとき(例えば、0.64を超える体積分率)、エマルションは、ゲルになってもよい。あるいは、ゲル生成は、ゲル化剤をエマルションに加えることによって引き起こされてもよい。そのようなゲル化剤は、分散相の添加及びエマルション化の前に連続相に加えることができる。あるいは、ゲル化剤は、エマルション化後にエマルションに加えることができる。
【0237】
作用剤放出システムがゲルである実施形態では、液体中で架橋ポリマーを生じるために使用することができる任意の技術は、ゲルを作製するために使用することができ、ゲル化、重合及び多機能モノマーのパラレル架橋のような一工程手順、並びに反応性基を有するポリマー分子の合成とそれに続く架橋を含む、場合によりまた、ポリマーを好適な架橋剤を反応させることによる多段階手順が挙げられる。ゲルは、生物分解、機械的強度並びに刺激に対する化学的及び生物的応答などの個々に応じた特性により設計することができる。重合又はゲル化の後、ゲル塊は、調製過程に由来して残存した不純物を除去するために洗浄されてもよく、未反応モノマー、開始剤、架橋剤及び副反応を介して生成された所望しない生成物が挙げられるが、これらに限定されない。エマルションを含むゲルは、エマルションを最初に生成し、理想的には、エマルションの過剰発熱を防止するためにゲルの凝固直前に、溶解されたゲル化剤を含む水中にエマルションを溶解するか又は注入するかのいずれか、そして最後に混合物を冷却することによって生成することができる。あるいは、分散相は、溶解されたゲル化剤を含む連続相の溶液にゆっくりと加えることができる。2種以上の放出用作用剤を含むゲルは、追加の放出用作用剤を含む作用剤放出システムを有する第1の放出用作用剤を含むゲルを注入することによって生成することができる。一部の実施形態では、ゲルは、ゲル堅固性を増加させる成分を含む。ゲル堅固性を増加させる成分の例には、寒天、ゼラチン及び変性タンパク質分画が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、ゲルは、ゲル堅固性を低下させる成分を含む。ゲル堅固性を低下させる成分の例には、希釈剤及び非相互作用性エマルションカーゴが挙げられるが、これらに限定されない。
【0238】
増量食肉製品
更なる態様では、本発明は、動物肉を本明細書で提供される食肉様食品により増量することによって生成される増量食肉製品を提供する。
【0239】
動物肉は、未処理で、塊で、ステーキ形態で、挽かれて、きめ細かく構造化されて、冷凍動物の加工由来の切り落とし若しくは残渣、低温熟成されて、機械的に分離若しくは骨抜きされて(MDM、動物骨から回収された肉ペースト及び未処理骨格筋に見られる天然繊維性テクスチャを欠いた粉砕製品)(すなわち、様々な機械的手段によって骨から取り外された肉)、調理されていてもよいか、又はこれらの組み合わせであってもよい。動物肉は、骨格筋、皮膚、(ラード及び獣脂などの精製脂肪、風味改良動物脂肪、分割又は更に加工された動物脂肪組織を含む)脂肪又は他の動物構成部分を含んでもよい。
【0240】
動物肉は、任意選択的に他の構成成分と一緒に、提供される食肉様食品に配合することによって増量されてもよく、他の構成成分としては、食物繊維、動物性若しくは植物性脂質又は動物由来タンパク質素材(例えば、カゼイン、カゼイネート、ホエータンパク質、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、オボアルブミン、オボグロブリン、オボムシン、オボムコイド、オボトランスフェリン、オボビテラ、オボビテリン、アルブミングロブリン及びビテリン)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、配合された食肉様食品及び動物肉は、同様の粒径を有する。配合中の動物肉の量に対する食肉様食品の量は、増量食肉製品の意図される用途に応じて変化することとなる。一例として、動物の風味が比較的少ない非常に菜食主義的な組成が所望される場合、増量食肉中の動物肉の濃度は、約45重量%、約40重量%、約35重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%又は約10重量%であってもよい。あるいは、動物肉の風味が比較的強い組成が所望される場合、増量食肉製品中の動物肉の濃度は、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%又は約75重量%であってもよい。増量食肉製品の用途に応じて、動物肉は、一般的には、獣肉を部分的に脱水して、更なる処理(例えば、レトルト調理など)の適用中における流体の放出を防止するために、強い風味を有する可能性がある天然の液体又は油を取り除くために、動物タンパク質を凝固させて、骨格から肉を離すために、又は所望の及び食感的な風味特性を持たせるために、事前調理される。事前調理処理は、蒸気、水、油、熱風、煙の中又はこれらの組み合わせで行われてもよい。動物肉は、内温が約60℃~約85℃になるまで一般的に加熱される。
【0241】
他の成分
本明細書で提供される食肉様食品及び増量食肉製品は、様々な他の成分を含んでもよい。大部分の実施形態では、本明細書で提供される食肉様タンパク質製品及び増量食肉製品は、それらの他の成分の任意の1種を約0.01重量%~約5重量%で含んでもよい。
【0242】
そのような成分の例には、アミノ酸及びアミノ酸誘導体(例えば、1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸、2-アミノイソ酪酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、カナバニン、カテコールアミン、シトルリン、システイン、必須アミノ酸、グルタミン酸塩、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ホモシステイン、ヒドロキシプロリン、ヒプシン、イソロイシン、ランチオニン、ロイシン、リジン、リジノアラニン、メチオニン、ミモシン、非必須アミノ酸、オルニチン、フェニルアラニン、フェニルプロパノイド、フォトロイシン、フォトメチオニン、光反応性アミノ酸、プロリン、ピロリシン、セレノシステイン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)、抗炎症剤(例えば、ロイコトリエン拮抗薬、リポキシン、レゾルビン)、抗生物質(例えば、アラメチシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン)、抗微生物剤(例えば、ソルビン酸カリウム)、抗寄生虫剤(例えば、アベルメクチン)、緩衝剤(例えば、クエン酸塩)、凝固剤(例えば、トロンボキサン)、凝集剤(例えば、フマル酸塩)、補酵素(例えば、補酵素A、補酵素C、s-アデノシルメチオニン、ビタミン誘導体)、架橋剤(例えば、β-1,3-グルカントランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、マグネシウム塩)、乳タンパク質(例えば、カゼイン、ホエータンパク質)、栄養素ミネラル(例えば、アンモニウム塩、カルシウム、脂溶性ミネラル、セッコウ、鉄、マグネシウム、カリウム、アルミニウム)、二糖(例えば、ラクトース、マルトース、トレハロース)、甘味料(例えば、人工甘味料、コーンシロップ、砂糖)、卵タンパク質(例えば、オボアルブミン、オボグロブリン、オボムシン、オボムコイド、オボトランスフェリン、オボビテラ、オボビテリン)、弾性化剤(例えば、グルテン)、乳化剤(例えば、レシチン、レシチン類)、酵素(例えば、ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ、ペルオキシダーゼ)、必須栄養素(例えば、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、リノール酸、カルシウム、鉄、ω-3脂肪酸、亜鉛)、脂溶性化合物、フラボン(例えば、アピゲニン、クリシン、ルテオリン、フラボノール、ダエンフェロ、ダチスセチン、ミリセチン)、糖タンパク質、ガム(例えば、イナゴマメガム、グアーガム、トラガカントガム、キサンタンガム)、ヘムタンパク質(例えば、ヘモグロビン、レグヘモグロビン、ミオグロビン)、保湿剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール)、イソプレン、イソプレノイド経路化合物(例えば、メバロン酸、ピロリン酸ジメチルアリル、ピロリン酸イソペンテニル)、イソプレノイド又はイソプレノイド誘導体(例えば、ドリコール、ポリプレノール)、肝臓X受容体(LXR)作動薬及び拮抗薬、食肉タンパク質(例えば、コラーゲン)、機械分離肉、代謝経路中間体(例えば、オキサロ酢酸、スクシニルCoA)、単糖(例えば、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラクトース、リキソース、マルトース、マンノース、リボース、リブロース、キシルロース)、神経活性化合物(例えば、アナンドアミド、カンナビノイド、コルチゾール、エンドカンナビノイド、γ-アミノ酪酸、イノシトール)、栄養補助食品、核酸(例えば、DNA、RNA、rRNA、tRNA)、栄養補給剤(例えば、カルニチン、フマル酸塩、グルコサミン)、油溶性化合物、内臓肉、酸化剤(例えば、キノン)、部分脱脂組織及び血清タンパク質、可塑化材料、ポリオール(例えば、アルキレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール)、多糖(例えば、ペクチン、マルトデキストリン、グリコーゲン、イヌリン)、ポルフィリン、二次代謝物(例えば、ポリケチド)、セコステロイド、香辛料、ステロイド(例えば、C18-炭素含有ステロイド、C19-炭素含有ステロイド、C21-炭素含有ステロイド、コレステロール、シクロアルテノール、エストラジオール、ラノステロール、スクアレン)、ステロール(例えば、β-シトステロール、ブラシカステロール、コレステロール、エルゴステロール、ラノステロール、オキシステロール、植物ステロール、スチグマステロール)、タンニン(例えば、エラグタンニン、焼いたオーク材由来のエラグタンニン、没食子タンニン、芳香ブドウ果皮由来のプロアントシアニジンタンニン、ブドウ種子由来のプロアントシアニジンタンニン、ブドウ果皮由来のプロアントシアニジンタンニン、プロフィセチニジンタンニン、緑茶葉由来のタンニン、竜血(sangre de drago)由来のタンニン)、テルペン(例えば、ジテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、スクアレン、テトラテルペン、トリテルペン)、増粘剤(例えば、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、寒天、アルギン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン及びその塩、ガム、改質デンプン、ペクチン、加工されたキリンサイ属海藻、カルボキシメチルセルロースナトリウム、タラガム)、ビタミン(例えば、α-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコフェロール、β-トコトリエノール、δ-トコフェロール、δ-トコトリエノール、脂溶性ビタミン、γ-トコフェロール、γ-トコトリエノール、パントテン酸、ビタミンA、ビタミンB-12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、水溶性ビタミン)、水溶性化合物、ろうエステル、並びに外因性エストロゲン(例えば、植物エストロゲン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0243】
更なる例として、酸化防止剤(例えば、カロテン、ユビキノン、レスベラトロール、α-トコフェロール、ルテイン、ゼアキサンチン、「2,4-(トリス-3’,5’-ビtert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-メシチレン(すなわち、Ionox 330)」、「2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン」、「2,6-ジ-tert-ブチイフェノール」、「2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシメチルフェノール(すなわち、Ionox 100)」、「3,4-ジヒドロキシ安息香酸」、5-メトキシトリプタミン、「6-エトキシ1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン」、没食子酸アセチル、α-カロテン、ホスフィン酸α-ヒドロキシベンジル、α-ケトグルタル酸、アノキソマー、アスコルビン酸及びその塩、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、イソチオシアン酸ベンジル、βナフトフラボン、β-アポ-カロテン酸、β-カロテン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カフェイン酸、カンタキサンチン、カルノソール、カルバクロール、カタラーゼ、カテキン、クロロゲン酸、クエン酸及びその塩、クローブ抽出物、コーヒー豆抽出物、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸ジラウリル、没食子酸ドデシル、エデト酸、エラグ酸、エリソルビン酸、エスクレチン、エスクリン、没食子酸エチル、エチルマルトール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ユーカリ抽出物、オイゲノール、フェルラ酸、フラバノン、フラボン、フラボノイド、フラボノイド、フラボノール、フラキセチン、フマル酸、没食子酸、ゲンチアナ抽出物、グルコン酸、グリシン、グアヤク樹脂、ヘスペレチン、ヒドロキノン、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシトリロソール、ヒドロキシ尿素、イソフラボン、乳酸及びその塩、レクチン、クエン酸レクチン;R-α-リポ酸、ルテイン、リコペン、リンゴ酸、マルトール、没食子酸メチル、クエン酸モノイソプロピル、クエン酸モノグリセリド、モリン、N-アセチルシステイン、N-ヒドロキシコハク酸、「N,N’ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)」、天然抗酸化剤、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、没食子酸オクチル、シュウ酸、p-クマリン酸、クエン酸パルミチル、フェノチアジン、リン酸塩、ホスファチジルコリン、リン酸、フィチン酸、フィチルユビクロメル、ピメント抽出物、ポリリン酸、没食子酸プロピル、ケルセチン、パルミチン酸レチニル、米ぬか抽出物、ローズマリー抽出物、ロスマリン酸、セージ抽出物、セサモール、シリマリン、シナピン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸ステアリル、コハク酸、活性酸素分解酵素(SOD)、合成抗酸化剤、シリング酸、酒石酸、タウリン、ターシャリーブチルヒドロキノン(TBHO)、チオジプロピオン酸、チモール、トコフェロール、トコトリエノール、トランス-レスベラトロール、トリヒドロキシブチロフェノン、トリプタミン、チラミン、チロソール、ユビキノン、尿酸、バニリン酸、ビタミンK及び誘導体、コムギ胚種油、並びにゼアキサンチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0244】
更なる例として、栄養素ミネラル(例えば、アンモニウム塩、カルシウム、脂溶性ミネラル、セッコウ、鉄、ヨウ素、マグネシウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛)が挙げられる。一部の実施形態では、食肉様食品は、少なくとも約0.005重量%、少なくとも0.006重量%、少なくとも0.007重量%、約0.005重量%~約0.015重量%、約0.006重量%~約0.012重量%、約0.007重量%~約0.01重量%、約0.007重量%~約0.009重量%又は約0.007重量%~約0.008重量%の鉄を含む。一部の実施形態では、食肉様食品は、少なくとも約0.025重量%、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、約0.05重量%~約0.2重量%、約0.075重量%~約0.175重量%、約0.1重量%~約0.15重量%、約0.11重量%~約0.13重量%又は約0.12重量%~約0.13重量%の鉄を含む。好適な鉄源としては、非ヘム鉄の有機及び無機の低分子量鉄源、例えば、クエン酸第二鉄、グルコン酸第一鉄、フマル酸第一鉄、硫酸第一鉄、炭酸第一鉄、塩化第二鉄(pH<2.5)、クエン酸第二鉄、EDTA第二鉄及び塩化第二鉄(pH>4)と;高分子量鉄源、例えば、カルボニル鉄、鉄デキストラン(酸素原子によって結合された第二鉄イオンの小クラスタを有する多糖)及びフェリチン(タンパク質ケージと酸素原子によって結合された何千もの第二鉄イオンのミネラルセンタとを有するタンパク質-イオン複合体)と、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0245】
更なる例には、pH及び/又はイオン強度調整剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0246】
更なる例には、保存期間延長剤(例えば、一酸化炭素、亜硝酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、Bombal、ビタミンE、ローズマリー抽出物、グリート茶(greet tea)抽出物、カテキン、抗酸化物質)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0247】
食肉様食品及び増量食肉製品中に含まれ得る他の成分の更なる例には、味覚剤、味覚増強剤又は味覚安定剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
そのような他の成分は、1種以上の非動物源にとってネイティブなものであってもよいし、1種以上の改質非動物源によって生成することができ、制御条件下で1種以上の非動物源又は改質非動物源によって生成することができる。
【0249】
非動物源及び改質非動物源
本明細書で提供される食肉構造化タンパク質製品、食肉様食品及び増量食肉製品のタンパク質、脂質、炭水化物又は他の成分は、1種以上の非動物源又は改質非動物源に由来してもよい。
【0250】
好適な非動物源は、天然に生じる植物、藻類、菌類又は微生物である。
【0251】
好適な植物の例には、種子植物(スペルマトフィタ)、裸子植物、被子植物(マグノリオフィタ)、イチョウ類、マツ亜綱、主要被子植物、ソテツ、イチョウ、球果植物、グネツム類、イチョウ、イトスギ、セイヨウネズ、クロベ属、シダーウッド、マツ、アンゼリカ、キャラウェー、コリアンダー、クミン、フェンネル、パセリ、ディル、タンポポ、ムギワラギク属、マリーゴールド、オオヨモギ、ベニバナ、カモミール、レタス、ヨモギ、キンセンカ、シトロネラ、セージ、タイム、チアシード、カラシ、オリーブ、コーヒー、トウガラシ、ナス、パプリカ、クランベリー、キーウィ、栽培植物(例えば、ニンジン、セロリ)、マンジュギク、タンジー、タラゴン、ヒマワリ、ウィンターグリーン、バジル、ヒソップ、ラベンダー、レモンバーベナ、マジョラム、メリッサ、パチョリ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ローズマリー、ゴマ、スペアミント、サクラソウ、翼果、コショウ、ピメント、ジャガイモ、サツマイモ、トマト、ブルーベリー、ベラドンナ、ペチュニア、アサガオ、ライラック、ジャスミン、スイカズラ、キンギョソウ、オオバコ、駆虫草、ソバ、アマランス、チャード、キヌア、ホウレンソウ、ダイオウ、ホホバ、菊果、クロレラ、マルーラ、ヘーゼルナッツ、キャノーラ、ケール、チンゲンサイ、ルタバガ、ニュウコウ、ミルラ、エレミ、ヘンプ、カボチャ、カボチャ類、カボチャ属、マニオク、ツルサイカチ属、マメ科植物(例えば、アルファルファ、レンティル、マメ類、クローバー、エンドウ、ハッショウマメ(fava coceira)、フリホール・ボラ・ロハ(frijole bola roja)、フリホール・ネグロ(frijole negro)、ハギ、リコリス、ルーピン、メスキート、イナゴマメ、ダイズ、ラッカセイ、タマリンド、フジ、桂皮、ヒヨコマメ、ヒヨコマメ(garbanzo)、コロハ、グリーンピース、キイロエンドウ、サヤエンドウ、ライマメ、ソラマメ)、ゲラニウム、亜麻、ザクロ、ワタ、オクラ、ニーム、イチジク、クワ、チョウジ、ユーカリ、ティーツリー、ニアウリ、果実植物(例えば、リンゴ、アプリコット、モモ、プラム、ナシ、ネクタリン)、イチゴ、ブラックベリー、ラズベリー、サクランボ、プルーン、バラ、タンジェリン、柑橘類(例えば、グレープフルーツ、レモン、ライム、オレンジ、ダイダイ、マンダリン)、マンゴー、ベルガモットオレンジ、ブッコノキ、ブドウ、ブロッコリー、メキャベツ、スプラウト、カメリナ、カリフラワー、セイヨウアブラナ、レイプシード(キャノーラ)、カブ、キャベツ、キュウリ、スイカ、ハネデューメロン、ズッキーニ、カバノキ、クルミ、キャッサバ、バオバブ、オールスパイス、アーモンド、パンノキ、ビャクダン、マカダミア、タロ、ゲッカコウ、アロエベラ、ニンニク、タマネギ、シャロット、バニラ、ユッカ、ベチバー、ガランガル、オオムギ、トウモロコシ、キョウオウ、ショウガ、レモングラス、オートムギ、ヤシ、パイナップル、コメ、ライムギ、モロコシ、ライコムギ、ターメリック、ヤム、タケ、オオムギ、カユプテ、カンナ、カルダモン、トウモロコシ、オートムギ、コムギ、シナモン、ササフラス、アメリカクロモジ、ゲッケイジュ、アボカド、イランイランノキ、メース、ナツメグ、ワサビノキ、トクサ、オレガノ、コリアンダー、チャービル、チャイブ、集合果、穀物植物、薬用植物、葉菜、非穀物マメ科植物、堅果植物、多肉植物、陸生植物、水生植物、ツルサイカチ属(delbergia)、雑穀、核果、分離果、顕花植物、隠花植物、培養植物、野生植物、高木、灌木、花卉、草本、草本植物、低木、つる植物、サボテン、緑藻類、熱帯植物、亜熱帯植物、温帯植物、並びにこれらの派生品種及び交配種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0252】
好適な藻類の例には、緑色植物、黄色植物、紅藻植物、緑藻植物、PX、ウシケノリ綱、真正紅藻綱、トレボウクシア藻綱、褐藻類、紅藻類、スギノリ目、ウシケノリ目、スギノリ目、クロレラ、マコンブ、ラミナリア・サッカリナ(Laminaria saccharina)、ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)、オオウキモ、アラリア・マルギナータ(Alaria marginata)、アスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum nodosum)、カジメ属、ダルス、フクロフノリ、ポルフィラ・コロンビナ(Porphyra columbina)、ギガルチナ・スコッツベルジ(Gigartina skottsbergii)、グラシラリア・リケノイド(Gracilaria lichenoides)、コンドラス・クリスパス(Chondrus crispus)、ギガルチナ・バルサ・パストリス(Gigartina bursa-pastoris)、紅藻植物、チノリモ(P.プルプレウム)、ポルフィリディウム・アエルギネウム(Porphyridium aerugineum)、ロデラ・マキュラタ(Rhodella maculate)、ロデラ・レチキュラータ(Rhodella reticulata)、ロデラ・ヴィオラケア(Rhodella violacea)、ダルス、ロジメニア・パルマタ(Rhodymenia palmata)、アサクサノリ、ポルフィラ・コロンビナ、ギガルチナ・スコッツベルジ(Gigartina skotsbergii)、コンドラス・クリスパス、グラシラリア・リケノイド、グラシラリア・バルサ・パストリス(Gracilaria bursa-pastoris)並びにこれらの派生品種及びこれらの交配種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
好適な菌類の例には、カンジダ・エチェルシイ、カンジダ・ギリエルモンディ、カンジダ・フミリス、カンジダ・ウティリス、カンジダ・バーサチルス、デバリオミセス・ハンゼニ、クルイベロミセス・ラクチス、クルイベロミセス・マルキサヌス、クルイベロミセス・テルモトレランス、ピキア・パストリス、ロドトルラ属の一種、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・ベチクス、サッカロミセス・セレビシエ、サッカロミセス・ケバリエリ、サッカロミセス・ジアスタチクス、サッカロミセス・エリプソイデウス、サッカロミセス・エクシグウス、サッカロミセス・フロレンチヌス、サッカロミセス・パストリアヌス、サッカロミセス・ポンベ、サッカロミセス・サケ、サッカロミセス・ウバルム、スポリジオボルス・ジョンソニイ、スポリジオボルス・サルモニコロル、スポロボロミセス・ロゼウス、キサントフィロミセス・デンドロロウス、ヤロウィア・リポリチカ、ジゴサッカロミセス・ロウキシィ並びにこれらの派生品種及びこれらの交配種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0254】
好適な微生物の例には、ファーミクテス門、シアノバクテリア(藍藻)、桿菌、オシラトリオフシデア(oscillatoriophcideae)、真正細菌、ラクトバチルス目、ユレモ目、バチルス科、ラクトバチルス科、アルトロスピラ属、バチルス・コアグランス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ロイテリ、スピルリナ、アルトロスピラ・プラテンシス、アルトロスピラ・マキシマ並びにこれらの派生品種及び交配種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0255】
天然非動物源は、自然界(例えば、湖、海、土壌、岩石、庭園、森林、植物、動物)、醸造所及び民間細胞バンク(例えば、ATCC、共同利用調達)を含む様々な起源から得られてもよいが、これらに限定されない。
【0256】
改質非動物源は、以下に限定されるわけではないが、醸造所及び民間細胞バンク(例えば、ATCC、共同利用調達)などの、様々な起源から得られてもよく、又は選択、突然変異若しくは遺伝子操作を含む当該技術分野で既知の方法で非動物源から生成することもできる。選択は、継続的な増殖及び選択圧下での希釈率の一定の増加を概ね伴う。突然変異は、突然変異誘発物質への暴露後の選択を概ね伴う。遺伝子操作は、標的遺伝子の遺伝子組み換え(例えば、遺伝子切断、欠失の挿入、又は相同的組み換えによる改変)を概ね伴う。改質非動物源は、非ネイティブなタンパク質、炭水化物、脂質若しくは他の化合物を生産してもよいか、又は非ネイティブな量のネイティブなタンパク質、炭水化物、脂質若しくは他の化合物を生産してもよい。一部の実施形態では、改質非動物源は、ネイティブなタンパク質又は代謝経路化合物をより高い水準又はより低い水準で発現する。他のそのような実施形態では、改質非動物源は、別の植物、藻類、細菌又は菌類由来の1種以上の新規組み換えタンパク質、RNA又は代謝経路成分を発現する。他の実施形態では、改質非動物源は、そのネイティブな状態と比較して、増加した栄養素含有量を有する。更に他の実施形態では、改質非動物源は、そのネイティブな状態と比較して、より有利な増殖及び生産特徴を有する。一部のそのような実施形態では、改質非動物源は、そのネイティブな状態と比較して、増加した比増殖速度を有する。他のそのような実施形態では、改質非動物源は、そのネイティブな状態とは異なる炭素源を利用することができる。
【0257】
他の用途
本明細書で提供される作用剤放出システムは、広範な様々な他の用途を有する。そのような他の用途の例には、栄養補助剤(例えば、ω-3-脂肪酸)及び医薬製剤の送達が挙げられるが、これに限定されない。作用剤放出システムは、上記の食肉様食品以外の人間又は動物による消費のための食品において使用されてもよく、その場合、本システムは、特定の特性を向上又は増強し得る。このような他の食品の例には、乳製品及び乳製品類似品、パスタ及びパスタ類似品並びに飲料が挙げられるが、これらに限定されない。このような他の食品は、任意の量の本明細書で提供される作用剤放出システムを含んでもよいが、一般的には、所望の効果を与えるように決定された量を含む。
【0258】
包装及びラベリング
本明細書で提供される食肉様食品は、清潔さ、新鮮さ、収容性及び安全性を保つために、在庫管理、出荷、配送、スタッキング、陳列、販売、開封、再閉封、使用若しくは再使用を容易にするために、又は分量管理を可能にするために、包装されてもよい。好適な容器には、トレイ、ラップ付きトレイ、袋、カップ、フィルム、ジャー、タブ、ビン、パッド、ボウル、大皿、箱、缶、紙パック、パレット、包装紙、包装箱、バッグインボックス、チューブ、カプセル、真空パック、パウチなど、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。包装容器は、プラスチック、紙、金属、ガラス、板紙、ポリプロピレン、PET、スタイロフォーム、アルミニウム又はこれらの組み合わせで作製することができる。保存期間を最長にするために、食肉様食品は、真空包装、調整雰囲気包装(一酸化炭素による低酸素)、酸素、アブソーバ及び/又は高圧低温殺菌(HPP)で保存され得る。一部の実施形態では、包装容器は、(例えば、着色剤の分解を低減させるために)UV照射による浸透を減少させるUVバリヤを有する。食肉様食品は、小包又はシェーカーで包装することができ、特定の他の成分は、調理前、調理中又は調理後に、食肉様食品の上にふりかけるか又は塗ることができる。
【0259】
包装容器は、消費者に情報を伝えるか又は食肉様食品のマーケティングを支援する1つ以上のラベルが付けられてもよい。一部の実施形態では、包装容器は、政府規制によって必要とされるラベルが付けられている。一部のそのような実施形態では、ラベルは、米国食品医薬局(FDA)又は米国農務省の規制によって必要とされる。他のそのような実施形態では、ラベルは、欧州食品安全機関の規制によって必要とされる。一部の実施形態では、政府規制は、連邦規則集の第21条FDAの部である。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品が遺伝子組み換え生物を含まないことを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品がグルテンを含まないことを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品がコーシャーであることを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品がコレステロールを含まないことを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品が完全菜食主義者向けであることを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品がアレルゲンを含まないことを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品がダイズを含まないことを表示する。一部の実施形態では、ラベルは、封入された食肉様食品がナッツを含まないことを表示する。
【0260】
マーケティング及び販売
本明細書で提供される食肉様食品は、任意の好適な場で販売することができる。そのような場には、インターネット、食料品店、スーパーマーケット、ディスカウント店、巨大販売店(例えば、Target、Wal-Mart)、会員制大型ディスカウント店(例えば、Costco、Sam’s Club)、軍放出品店、ドラッグストア、レストラン、ファストフードレストラン、デリカテッセン、市場、精肉店、健康食品店、有機食品店、個人経営仕出し店、商業的仕出し店、移動販売車、レストランチェーン、キオスク、屋台、自販機、カフェテリア(例えば、学生食堂、病院食堂、救護施設、長期療養施設)などを含むが、これらに限定されない。
【0261】
本明細書で引用される出版物、特許出願、及び特許を含むすべての参照文献は、それぞれの参照文献が参照により組み込まれていることが、個別にかつ具体的に示されているのと同様に、かつ/又はその全体が本明細書に記載されているのと同様に参照により本明細書に組み込まれている。
【実施例
【0262】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するために挙げられている。以下の実施例で開示されている技術が、本発明の実践において十分に機能する、発明者らによって発見された技術を表していることが当業者によって理解されるであろう。しかしながら、当業者は、本開示の観点から、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示されている具体的な実施形態において、多くの変更を加えることができ、これらの変更によっても同様の又は類似の結果を得ることができ、ゆえに、付随する図面において提示又は図示されたすべての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味でないことを理解するであろう。
【0263】
実施例1-高可食性繊維構成成分の作製及びテクスチャ分析
オオバコ外皮を含む
20重量%のオオバコ外皮粉(5g、香料グラインダ内で細かく挽く)と80重量%の水(20g)とのスラリーを調製した。スラリーを加熱した電気グリドル上に350°Fにて約1~3mm厚で広げ、一定圧力で3分間(それぞれの側を1.5分)焼き、微小な泡立ちを有する薄いシートを生成した。焼いた生成物を10分間冷却し、次いで、2mm又は10mmのいずれかの幅及び1.5mm~2.5mmの範囲の厚さを有する長さ50mmのストリップに切断した(6mm幅に対してn=6、10mm幅に対してn=7)。
【0264】
アルギン酸カルシウム及び米粉を含む
80重量%の水(80g)内の5重量%のアルギン酸ナトリウム(5g)及び15重量%のもち米粉(15g)のスラリー。スラリーの約3mm~約5mmの薄層を清浄なベーキングシート上に広げ、5%CaCl2溶液(300mLの水中の15gのCaCl2)を使用して、アルギン酸ナトリウム及び米粉のスラリーの表面を被覆した。表面を圧縮かつ捏加して、全量がCaCl2溶液に完全にさらされるまで、すべての未暴露アルギネートスラリーを搾り出し、かつ気泡を除去した。固化したアルギン酸カルシウムを水ですすぎ、圧搾してすべての内部水を除去し、ふき取って乾燥させ、6mm又は10mmのいずれかの幅及び1mm~5mmの範囲の厚さを有する50mm長のストリップに切断した(6mm幅に対してn=10、10mm幅に対してn=12)。
【0265】
WBS強度分析
試料は、TA.XT Express Texture Analyzer(Stable Microsystems(UK))でWBSブレード(約1mm)を用いて、試験前速度5mm/秒、試験速度5mm/秒、試験後速度10mm/秒、移動距離15mm及びトリガ荷重10gで分析した。WBS硬さ(g荷重)及び作用(g荷重*秒)を測定し、試料タイプごとに平均値及び標準偏差を記録した。その結果を図2に示す。
【0266】
実施例2-食肉構造化タンパク質製品の作製及びテクスチャ分析
EB31-1
98.5重量%のエンドウタンパク質単離物(F85M、Roquette,Inc.(Lestrem,France))、1重量%の炭酸水素カリウム(Flow K、Church & Dwight Co.,Inc.(Ewing,NJ))及び0.5重量%の水酸化カルシウム(Mississippi Lime(St.Louis,MO))の組成の乾燥混合物は、5分間リボンブレンダ中で配合した。乾燥成分配合物は、ツインスクリュー押出機(MPF 50/25共回転ツインスクュー押出機(APV Baker(Grand Rapids,MI)))の供給口を通って8.2kg/hの速度で配合物を計量する重量測定供給装置のホッパーに移した。同時に、液体混合物(水97%、ソルビトール3%)が、水温を21.1℃に固定して保つインライン温水器を通って水タンクから導入され、(乾燥混合物供給口の100mm下流側に配置された)ツインスクリュー押出機の液体供給口を通ってギアポンプを介して7.6kg/hの速度でポンプ注入された。
【0267】
押出パラメータは、表1に示される。
【0268】
【表1】
【0269】
食肉構造化タンパク質製品EB31-1は、約2mm~約5mmの範囲の直径を有する不規則で凸凹のあるストランドとして押出機から出た。EB31-1の組成は、約40.9重量%のタンパク質、約3重量%の総炭水化物(約0.51重量%の可食性繊維)、約3.07重量%の総脂質、約2.6重量%の灰分及び約50.5重量%の水であった。
【0270】
EB31-27
98.5重量%のエンドウタンパク質単離物(F85M、Roquette,Inc.(Lestrem,France))、1重量%の炭酸水素カリウム(Flow K、Church & Dwight Co.,Inc.(Ewing,NJ))及び0.5重量%の水酸化カルシウム(Mississippi Lime(St.Louis,MO))の組成の乾燥混合物は、5分間リボンブレンダ中で配合した。乾燥成分配合物は、ツインスクリュー押出機(MPF 50/25共回転ツインスクュー押出機(APV Baker(Grand Rapids,MI)))の供給口を通って9.8kg/hの速度で配合物を計量する重量測定供給装置のホッパーに移した。同時に、第1の液体混合物(水100%)及び第2の液体混合物(水30%、ソルビトール70%)を、それぞれ9.3kg/h及び1.2kg/hrの速度で、2つの液体供給口を通してポンプ注入した。
【0271】
押出パラメータは、表2に示される。
【0272】
【表2】
【0273】
食肉構造化タンパク質製品EB31-27は、約2mm~約5mmの範囲の直径を有する不規則で凸凹のあるストランドとして押出機から出た。EB31-27の組成は、約35重量%のタンパク質、約2重量%の総炭水化物(約0.4重量%の可食性繊維)、約2.8重量%の総脂質、約2.2重量%の灰分及び約58重量%の水であった。
【0274】
密度及び水和後折り重ね体積変化分析
粗く(1/8インチ超かつ1/4インチ未満の直径)又は細かく(1/8インチ未満の直径)刻まれた食肉構造化タンパク質製品の試料10gを、目盛り付きの100mLシリンダ内に置き、100mLの水を目盛り付きシリンダに添加する前に、乾燥品によって占められた体積を測定した。30分後、水和食肉構造化タンパク質製品によって占められた体積を測定した。g/cm3単位の密度を次式で計算した。(押出成形品の質量)/(乾燥押出成形品の体積)。水和後折り重ね体積変化を次式で計算した。(水和押出成形品の体積-乾燥押出成形品の体積)/(乾燥押出成形品の体積)。結果を表3に示す。
【0275】
【表3】
【0276】
比色分析
30gの細かく刻まれた食肉構造化タンパク質製品の試料をプラスチック製又はガラス製のペトリ皿上に置いた。試料を数秒間手動で振とうした後、ColorFlex EZベンチトップ分光計(Hunter Associates Laboratory,Inc.(11491 Sunset Hills Road,Reston,VA))を使用して、400nm~700nmのスペクトル範囲で反射率について、試料の色を分析した。分光計は、製造業者から提供された黒色及び白色ガラス板基準を用いて標準化し、試料の分光反射率を、L***色値に変換し、CIE L***色空間について分析した。それぞれの試料は、(それぞれの分析の前に振とうして)3回可視化され、それぞれの試料の3つの読み取り値の平均値を、それぞれの試料の最終比色値として記録した(表3;L***値からΔE[CIEDE2000]を計算するための式は、当該技術分野において周知である)。
【0277】
実施例3-エマルションを含むゲルの作製及び分析
表4に示す組成を有するエマルションを含むゲルを、水及び寒天を混合し、その混合物を沸騰するまで加熱することによって作製した。キャノーラ油、ココナツ油及びパーム油をゆっくりと加える前に、エンドウタンパク質単離物(PPI)乳化剤F85M(Roquette,Inc.(Lestrem,France))と、任意選択的に風味剤と、を添加した。ゲル安定化エマルションを最後に冷却して、固化させた。
【0278】
【表4】
【0279】
溶融プロファイルは、小さな凸型角形のクッキー型を使用しておよそ1gの試料を切り抜き、その試料を速やかに計量することによって決定した。次いで、それぞれの試料を、350°Fに設定されたグリドル上の予熱されたアルミ製計量トレイに置き、初期融解時間(Ti=トレイに対してすべての縁部から油の放出が見られる時間)及び最終融解時間(Tf=認識可能な縁部がすべて消失した時間)を記録した。
【0280】
質量損失は、試料を周辺温度で30分間放置させる前及び後に、試料を計量することによって定量化した。
【0281】
硬さは、TPAによって判定された。ゲル安定化エマルションを、厚さ15mm、直径90mmのプラスチック型に注ぎ込み、4℃で少なくとも24時間冷蔵した。TPAは、冷蔵庫から取り出した直後、又は20分後、又は60分後のいずれかで行われ、その後、試料の温度を、周辺温度まで平衡化させた。TPAは、TA.XT Express Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.(Hamilton,MA))及び25mm直径のポリメチルメタクリレートシリンダプローブ(Texture Technologies Corp.(Hamilton,MA))を使用して行われた。ディスクプローブを使用して、試験速度が5mm/秒で、圧縮間に5秒の間隔を置く2サイクルの分析において、それぞれの試料を、30gのトリガ力で、30%圧縮を行った。試料の変形曲線を取得し、この変形曲線から、製造業者のプロトコルに従って、力1を求めた。Food Texture and Viscosity Second Edition:Concept and Measurement,Dr.Malcolm C.Bourne,April 2002,Academic Press,New Yorkに記載されているように、力1は、試料の硬さ(すなわち、製品の第1の圧縮のピーク力)を表す。平均は、それぞれの製品の個別の3個の試料から推定された。
【0282】
表5に示すように、初期融解時間、最終融解時間及び質量損失は、エマルションの脂質、寒天及び乳化剤の含有量に影響された。
【0283】
【表5】
【0284】
寒天含有量を増加させる効果は、飽和脂肪含有量に依存していた(すなわち、高い飽和脂肪含有量[試料3d~3f]では効果がなく、低い飽和脂肪含有量[80系]ではTi及びTfを増加させることができ、飽和脂肪を含有しない場合[試料3a~3c]ではTi及びTfを減少させた)。飽和脂肪含有量のわずかな増加は、それ自体では、Ti及びTf又は質量損失に対して明確な効果は有していなかった(79系)。寒天含有量が増加すると質量損失が減少した(80系)。乳化剤が増加すると、飽和脂肪が存在しないときにはTi及びTfが増加したが、飽和脂肪が存在するときには影響がなかった。
【0285】
表5に示すように、最大不飽和脂肪含有量で、エマルションを含むゲルは、最大の初期融解時間(Ti)及び最終融解時間(Tf)を有した。不飽和脂肪の含有量が減少し、飽和脂肪の含有量が増加したとき、Ti及びTfは、最初は低下するが、その後は一定のままであった。
【0286】
表6にも示すように、より高い飽和脂肪含有量は、4℃(冷蔵庫から取り出した直後)でより硬いゲルを生成するが、これらは、より飽和度の低い脂肪ゲルと比べると、経時的により軟らかくなり、その硬さは、室温で60分過ぎると、顕著に軟らかくはならなかった。
【0287】
【表6】
【0288】
飽和脂肪の存在がエマルションを不安定化させ、それにより、温度の上昇に伴うゲルの軟化がもたらされると考えられる。このことは、飽和脂肪の添加がより速い溶融をもたらすことから、溶融挙動にも反映されている。
【0289】
表6に示すように、含まれていた味覚剤の種類により、エマルションを含むゲルの硬さが左右された。
【0290】
実施例4-酵母細胞壁材料
水和酵母細胞壁材料
不活性酵母細胞壁材料(3.0g、SIY Cell(Quebec,Canada))を脱イオン水(24.5mL、市販の浸透圧水精製システムによって脱イオン化、Culligan(Rosemont,IL))にファルコンチューブ中で加えた。オービタルシェーカー上で2時間混合後、酵母細胞壁材料は、20℃で10分間3,000rpmでの遠心分離によってペレット化された。上澄みをペレットからデカントして、水和酵母細胞壁材料を得た。酵母細胞壁材料の最終質量が得られ、酵母細胞壁材料のグラム当たり2.80gの水を吸収したことが決定された。
【0291】
色素と結合
不活性酵母細胞壁材料(3.0g、SIY Cell(Lallemand,Quebec,Canada))を2%(wt./wt.)の脱イオン水(24.5mL、Culligan(Rosemont,IL)から市販の浸透圧水精製システムによって脱イオン化)中のVegetone(登録商標)Vivid Red 57.01天然赤色色素(Kalsec Inc.(Kalamazoo,MI))溶液とファルコンチューブ中で混合した。オービタルシェーカー上で2時間混合後、酵母細胞壁材料は、20℃で10分間3,000rpmでの遠心分離によってペレット化された。上澄みをペレットからデカントして、結合した赤色色素を含む酵母細胞壁材料を得た。酵母細胞壁材料の最終質量が得られ、酵母細胞壁材料のグラム当たり2.75gの天然赤色色素溶液を吸収したことが決定された。目視検査から、結合した赤色色素を有する酵母細胞壁材料は、赤色であった。
【0292】
褐色化剤と結合
不活性酵母細胞壁材料(3.0g、SIY Cell(Quebec,Canada))をRA03036天然褐色着色剤溶液(24.5mL、Red Arrow(Manitowoc,WI))とファルコンチューブ中で混合した。オービタルシェーカー上で2時間混合後、酵母細胞壁材料は、20℃で10分間3,000rpmでの遠心分離によってペレット化された。上澄みをペレットからデカントして、結合した褐色着色剤RA03036を含む酵母細胞壁材料を得た。酵母細胞壁材料の最終質量が得られ、酵母細胞壁材料のグラム当たり2.79gの褐色着色剤RA03036溶液を吸収したことが決定された。目視検査から、結合した褐色着色剤RA03036を有する酵母細胞壁材料は、淡黄褐色であった。
【0293】
炭水化物と結合
不活性酵母細胞壁材料(5.0g、SIY Cell(Quebec,Canada))を水(40mL)中のリボース(Pure Assay Ingredient(Walnut,CA))の6M溶液とファルコンチューブ中で混合した。オービタルシェーカー上で2時間混合後、酵母細胞壁材料は、20℃で10分間3,000rpmでの遠心分離によってペレット化された。上澄みをペレットからデカントして、結合したリボースを含む酵母細胞壁材料を得た。酵母細胞壁材料の最終質量が得られ、酵母細胞壁材料のグラム当たり3.8gの6Mリボース溶液を吸収したことが決定された。
【0294】
実施例5-作用剤放出システムとしてヒドロゲル、リポゲル及び/又はエマルションを含む食肉様食品の作製
実施例2の食肉構造化タンパク質製品及び同様に作製された他の製品は、細片が1/4インチのふるいを完全に通過できるように、プロフェッショナルグレードのフードミキサで刻んだ。次いで、1/8インチのふるいに細片を通過させることによって、食肉構造化タンパク質製品を、粗い部分と細かい部分とに分離した。粗い部分の一部を細かい部分の一部と結合させて、食肉構造化タンパク質製品のベースを得た。次いで、ベースを、表7で詳述されている他の成分と組み合わせて、すべての工程で混合した。
【0295】
【表7】
【0296】
113gのパティを形成し、400~450°Fに予熱されたグリドル上にパティを置き、3~4分調理し、ひっくり返して、更に3分間調理することによって、調理済食肉様食品を得た。
【0297】
実施例6-作用剤放出システムとしてリポゲルを含む食肉様食品の分析
リポゲルを含む食肉様食品は、実施例5に記載されたように作製した。
【0298】
テクスチャプロファイル分析(TPA)
試料を113gの球体に分割し、その球体を22mmの厚さに圧縮することによってパティを形成した。試料は、直ちに分析されるか、又は個別に真空封止して、-20℃で冷凍し、冷蔵庫内で4℃まで温めてから、冷蔵庫から取り出して3分以内に分析された。TPAは、TA.XT Express Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.(Hamilton,MA))及び25mm直径のポリメチルメタクリレートシリンダプローブ(Texture Technologies Corp.(Hamilton,MA))を使用して行われた。シリンダプローブを使用して、試験速度0.5mm/秒の2サイクルの分析において、それぞれの試料を、20gのトリガ力で、40%圧縮を行った。試料の変形曲線を取得し、この変形曲線から、製造業者のプロトコルに従って、力1、力2、面積FT1:2、時間差1:2、面積FT1:3、面積FT2:3、面積FT4:6及び時間差4:5を求めた。生データから、機械的特性を以下のように計算した。
【0299】
弾力性=(時間差4:5/時間差1:2)、
凝集性=(面積FT4:6/面積FT1:3)、
硬さ=力1、
ガム性=(硬さ×凝集性)、
咀嚼性=(弾力性×ガム性)、復元性=(面積FT2:3/面積FT1:2)、
(Food Texture and Viscosity Second Edition:Concept and Measurement,Dr.Malcolm C.Bourne,April 2002,Academic Press,New Yorkに記載のとおり)。
【0300】
平均測定値は、3~5個の個別の試料の分析から求めた。その結果を表8に示す。
【0301】
【表7】
【0302】
比色分析
試料は、実施例2に記載のように分析した。それぞれの試料は、分光計上の可視化ステージを90度超回転することによって3回可視化され、それぞれの試料の3つの読み取り値の平均値は、それぞれの試料の最終比色値として記録された。調理された製品については、色読み取り値は、6分調理又は10分調理後に取得された。表9に示したように、色値は、調理の結果として(L*、a*及びb*値が減少して)徐々に変化した。
【0303】
【表8】
【0304】
図3Bに示したように、色及び色変化プロファイルは、冷凍で4週間まで保存した試料について類似していた。
【0305】
シズル音分析
シズルの音特性決定は、音響的に隔離された(静かな)環境で、90gのパティを350°Fで両面5分ずつ調理した際にパティから発せられた音を録音することによって行った。得られたスペクトログラムは、特定の周波数(y軸)における、音の相対振幅を強調表示(ピンク=より高い強度、青=より低い強度)させた時間の経過に伴う音(x軸)の視覚表示である。図4に示すように、パネルBの食肉様食品は、牛挽肉(A)と比較すると、同様のシズル音変化プロファイル(例えば、同様のシズル強度ランプ時間、シズル衰退率、シズル持続時間)を示し、一方パネルCの食肉様食品は、異なるシズル音変化プロファイルを示した。
【0306】
相組成分析
100gの食肉様食品を300gの水とブレンダ中で混合し、3分間又はすべての構成成分が適度に小さくなるまで、高設定で配合した。配合された混合物は、「固形の」構成成分を取り除くためにふるい又はフィルタを通過させ、この固相の質量を記録する。残存した脂質相及び水相は、遠心分離機内に入れ、10分間8000g遠心分離を行った。遠心分離機のチューブを遠心分離機から取り外し、相障害物(phase blockage)について検査し、優しく撹拌し、遠心分離機に再び入れた。遠心分離、検査及び撹拌は、合計3回繰り返す。脂質相を含む上澄み層をデカントし、その質量を記録する。残存した水相の質量もまた記録し、最初に加えた300gの水を差し引いた。
【0307】
肉汁抽出アッセイ
未調理の試料を113gの球体に分割し、その球体を22mmの厚さに圧縮することによってパティを形成した。それぞれの試料は、個別に真空封止し、-20℃で冷凍し、(0℃~10℃の試料内温を確保するために)約24時間4℃で保存した。その後、試料を、218℃(425°F)で4分調理し、5分間冷却し、次いで6回の平行切断及び6回の垂直切断によって、36片に刻んだ。刻まれた試料を、Aeropress Model A80(Aerobie,Inc.(Palo Alto CA))内に置き、7kgの荷重力で5分間圧縮した。抽出された肉汁をガラス製の計量皿に回収し、抽出された肉汁の質量を記録した。% Juice Cooked Mass(JCM)は、抽出された肉汁の質量と肉汁抽出前の調理された試料の質量とを割ることによって求めた。抽出された肉汁は、15mLのポリプロピレン試験チューブに静かに注ぎ、50℃で60分間加熱し、3,500rpm及び2,800相対遠心力(RCF、g)で、15分間遠心分離を行った。遠心分離後の試料は、0.1mLに最も近いおおよその油体積及び水体積を求めるために目視で評価し、そこから油/水体積比(OWR)を計算した。その結果を表10に示す。
【0308】
【表9】
【0309】
結合性アッセイ
未調理の試料は、手動のミートボール成形機を使用して球体を形成する前に、50gの玉を形成して、試験温度まで温めるか又は冷却した。圧縮解析は、TA.XT Express Texture Analyzer(Texture Technologies Corp.(Hamilton,MA))及び直径101.6mm、高さ10mmのTA-40Aポリメチルメタクリレートシリンダプローブ(Texture Technologies Corp.(Hamilton,MA))を使用して行われた。試験シーケンスは、1回の圧縮、0.1Nのトリガ力、60%の張力及び0.5mm/秒の試験速度であった。プローブは、試料を、その元の試料の高さの60%まで圧縮し、試料の変形曲線を求めた。硬さは、ピーク力として定義した。結合性は、0.2Nとピーク力との間の曲線の下の面積として定義した。平均測定値は、3~5個の個別の試料の分析から求めた。図5に示すように、作用剤放出システムとしてリポゲルを含む食肉様食品の脂質組成物は、第2の作用剤放出システムとしてエマルションの組み入れに影響を与えたように、結合性に影響を与えた。
【0310】
人間官能分析
FB12、FB17、FB18及びFB19のテクスチャ特性は、訓練を受けた官能専門家のパネル(SCS Global Services(Emeryville,CA))が評価した。パティを形成し、未調理の状態及び調理された状態で評価を行い、Safewayで購入した80/20牛挽肉バーガー、及び90/10牛挽肉バーガーと比較した。試料は、様々な属性(例えば、表面の色、肉色、褐色化、芳香、におい、表面のテクスチャ、味感、硬さ/堅固性、咀嚼性、咬合力、食感、分解性、脂っこさ、粘着性、弾性、ゴム質、表面の厚み、成形性、結合性/一体性、ザラザラ感、粒状性、固化性、油脂性、保湿性、ぬめり)に関する採点表及び品質要因(例えば、芳香、風味、外観及びテクスチャ)を用いて評価した。表11に示すように、食肉様食品は、多くの属性及び全体的な品質について、80/20牛挽肉バーガー、及び90/10牛挽肉バーガーに類似した点数が付けられた。
【0311】
【表10】
【0312】
未調理食肉様食品に対する官能専門家のコメントとして、「本物の牛挽肉に非常によく似ている。」、「非常に良いテクスチャ及び風味である。」、「生の牛挽肉のようである。」、「テクスチャさえも素晴らしい。噛みちぎる際、肉の繊維のようであり、一部の肉食者を騙せるだろう。」、「生の状態において、今まで見たことのある中で最も牛挽肉に近い。」が挙げられた。
【0313】
調理済食肉様食品に対する官能専門家のコメントとして、「調理された外観が牛肉にとても近い。」、「テクスチャが良い。本当にビーフハンバーガーを食べているようである。」、「ウェルダンのパティのようである。」、「美味しい。」、「大変気に入りました!素晴らしい食感プロファイルである。」、「私が知っている中で最も良い代用肉である。」が挙げられた。
【0314】
実施例6-作用剤放出システムとして酵母細胞壁材料を含む食肉様食品の作製
色素と結合した酵母細胞壁材料
3種の食肉様食品を、以下の成分を組み合わせることによって調製した。
【0315】
1)食肉構造化タンパク質製品材料(完成品のうちの30~40%、十分量、基本的に実施例2に記載のとおりに生成した)
2)0.2%(wt./wt.)のFoodgard(Biosecur Lab Inc.(Quebec,Canada))を含む水混合物(総水混合物は、完成品のうちの38.7%)
3)2.4%(wt./wt.)の天然風味、0.9%(wt./wt.)のNovation 6600 Potato Starch(Ingredion(Westchester,IL))、及び1.1%(wt./wt.)のMethocel MXメチルセルロース(Dow Chemical Company(Midland,MI))を含む乾燥混合物(総混合物は、完成品のうちの4.4%)
4)1.6%(wt./wt.)のQC200 Bamboo Fiber(CreaFill(Chestertown,MD)、9.0%(wt./wt.)のキャノーラ油(Western Pacific Oils(Commerce,CA))を含み、以下のうちいずれかが添加された油-繊維混合物(総混合物は、完成品のうちの10.6%)
・実施例4に記載のとおりに調製した水和酵母細胞壁材料(製品D、2.6%の最終水和酵母細胞壁材料含有量)又は
・Vegetone(登録商標)Vivid Red 57.01(製品E、0.038%の最終Vegetone(登録商標)Vivid Red 57.01含有量)又は
・実施例4に記載のとおりに調製した、結合したVegetone(登録商標)Vivid Red 57.01色素を有する水和酵母細胞壁材料(製品F、0.038%の算出量のVegetone(登録商標)Vivid Red 57.01を送達するための2.6%の結合色素含有量を有する最終酵母細胞壁材料)
5)5.6%(wt./wt.)のキャノーラ油(Western Pacific Oils(Commerce,CA))、及び3.6%(wt./wt.)のココナツ油(Nutiva(Richmond,CA))を含む脂肪配合物(総脂肪配合物は、完成品の9.2%)
生成物混合物を、80mmの平均直径(+/-10mm)を有する113gのバーガーパティに形成し、二酸化炭素及び窒素ガスを含む調整雰囲気下で包装及び封止し、24時間冷凍し、次いで解凍して、調理(350°Fの温度に設定したPresto(登録商標)07211Liddle Griddle[National Presto Industries Inc.(Eau Claire,WI)]上で、両面各3.5分、1回ひっくり返す)の前及び後に分析した。
【0316】
未調理のパティ及び調理されたパティの色を、4名の人間対象者のパネルによって評価した。人間対象者は全員、未調理の製品Eの色は、未調理の製品Fの色よりもより鮮やかな赤色であり、未調理の製品E及び未調理の製品Fの両方とも、未調理の製品Dよりもかなり赤色であると判定した。人間対象者は全員、調理された製品Fの色は、調理された製品Eの色よりもより鮮やかな赤色であると判定した。
【0317】
分光分析は、人間対象者によって行われた主観的評価を裏付けた。分光分析は、L***色空間において動作するHunterLab Colorflex EZ system(HunterLab(Reston,VA))を使用して行った。図6に示すように、未調理の製品Bは、未調理の製品Cよりも高いa*値(+0.9)を有し、一方、未調理の製品B及び未調理の製品Cの両方とも、未調理の製品Aよりも高いa*値(すなわち、それぞれ+1.7及び+0.8)を有していた。加熱すると、すべてのa*値が上昇し、調理された製品Cは、調理された製品Bよりも高いa*値(+1.3)を有していた。
【0318】
つまり、本実験により、酵母細胞壁材料が赤色色素を抑制し(sequester)、未調理の食肉構造化タンパク質製品に対する色素の着色効果を低減させることができることが示された。更に、酵母細胞壁材料は、調理時に赤色色素を放出させることによって、食肉構造化製品の赤色を強化することができた。正味の効果は、酵母細胞壁材料を使用してレアからミディアムに調理された肉の外観とより一致する調理された製品の色を提供する場合の、未調理の状態から調理された状態へのより大幅な赤色の色遷移であった。
【0319】
結合した褐色着色剤を有する酵母細胞壁材料
3種の食肉構造化タンパク質製品は、以下の成分を組み合わせて調製された。
【0320】
1)繊維性タンパク質製品材料(完成品のうちの30~40%、十分量、基本的に実施例2に記載のとおりに生成した)、
2)0.5%(wt./wt.)のVegetone(登録商標)Vivid Red 57.01(Kalsec Inc.(Kalamzoo,MI))、0.1%(wt./wt.)のNatural Dark Red 5493(ColorMaker Inc.(Anaheim,CA))、0.2%(wt./wt.)のFoodgard 柑橘類抽出物(Biosecure Lab Inc.(Quebec,Canada))及び37.9%(wt./wt.)の水を含む着色水混合物(総水混合物は、完成品のうちの38.7%)、
3)2.4%(wt./wt.)の天然風味、0.9%(wt./wt.)のNovation 6600 Potato Starch(Ingredion(Westchester,IL))、及び1.1%(wt./wt.)のMethocel MXメチルセルロース(Dow Chemical Company(Midland,MI))を含む乾燥混合物(総混合物は、完成品のうちの4.4%)
4)1.6%(wt./wt.)のQC200 Bamboo Fiber(CreaFill(Chestertown,MD)、9.0%(wt./wt.)のキャノーラ油(Western Pacific Oils(Commerce,CA))を含み、以下のうちいずれかが添加された油-繊維混合物(総混合物は、完成品のうちの10.6%)
・実施例4に記載のとおりに調製した水和酵母細胞壁材料(製品G、2.6%の最終水和酵母細胞壁材料含有量)又は
・褐色着色剤RA03036(製品H、1.9%の最終褐色着色剤RA03036含有量)又は
・実施例4に記載のとおりに調製した、結合した褐色着色剤RA03036を有する水和酵母細胞壁材料(製品I、1.9%の算出量のRA03036を送達するための2.6%の結合褐色着色剤含有量を有する最終酵母細胞壁材料)
5)5.6%(wt./wt.)のキャノーラ油(Western Pacific Oils(Commerce,CA))、及び3.6%(wt./wt.)のココナツ油(Nutiva(Richmond,CA))を含む脂肪配合物(総脂肪配合物は、完成品の9.2%)
生成物混合物を、80mmの平均直径(+/-10mm)を有する113gのバーガーパティに形成し、二酸化炭素及び窒素ガスを含む調整雰囲気下で包装及び封止し、24時間冷凍し、次いで解凍して、調理(350°Fの温度に設定したPresto(登録商標)07211 Liddle Griddle[National Presto Industries Inc.(Eau Claire,WI)]上で、両面各3.5分、1回ひっくり返す)の前及び後に分析した。
【0321】
未調理のパティ及び調理されたパティの色を、4名の人間対象者のパネルによって評価した。人間対象者は全員、未調理の製品Hの色は、未調理の製品Iよりも赤色強度がより強く、未調理の製品I及び未調理の製品Gは、色及び強度の点で同様であると判定した。人間対象者は全員、調理された製品Iの色は、調理された肉に対する全体的な色の類似性に関して、調理された製品Hよりも好ましいと判定した。調理された製品Iは、調理された製品Gよりもかなり暗く、褐色であると評された。
【0322】
***色空間における分光分析は、人間対象者によって行われた主観的評価を裏付けた。図7に示すように、未調理の製品Iは、未調理の製品Hよりも低いL***値を有していた(L*[+3.9]及びa*[+1.1])。未調理の製品Iは、未調理の製品Gと類似のL***値を有していた。調理後、製品H及び調理された製品Iは、類似のL***値を有していたが、調理された製品Iは、調理された製品Gよりも著しく低いL*値(-3.5)、a*値(-2.6)及びb*値(-6.5)を有していた。
【0323】
つまり、本実験により、酵母細胞壁材料が褐色着色剤を抑制し、未調理の食肉構造化タンパク質製品の色に対する作用剤の着色効果を低減させることができることが示された。更に、酵母細胞壁材料は、調理時に褐色化剤を放出させることによって、褐色着色剤単体によって作用されるのとほぼ同じ程度の調理された食肉構造化タンパク質製品の褐色化を達成することができた。
【0324】
結合した炭水化物を有する酵母細胞壁材料
2種の食肉構造化タンパク質製品は、以下の成分から調製された。
【0325】
1)繊維性タンパク質製品材料(完成品のうちの30~40%、十分量、基本的に実施例2に記載のとおりに生成した)、
2)0.5%(wt./wt.)のVegetone(登録商標)Vivid Red 57.01(Kalsec Inc.(Kalamzoo,MI))、0.1%(wt./wt.)のNatural Dark Red 5493(ColorMaker Inc.(Anaheim,CA))、0.2%(wt./wt.)のFoodgard 柑橘類抽出物(Biosecure Lab Inc.(Quebec,Canada))及び37.9%(wt./wt.)の水を含む着色水混合物(総水混合物は、完成品のうちの38.7%)、
3)2.4%(wt./wt.)の天然風味、0.9%(wt./wt.)のNovation 6600 Potato Starch(Ingredion(Westchester,IL))、及び1.1%(wt./wt.)のMethocel MXメチルセルロース(Dow Chemical Company(Midland,MI))を含む乾燥混合物(総混合物は、完成品のうちの4.4%)
4)1.6%(wt./wt.)のQC200 Bamboo Fiber(CreaFill(Chestertown,MD)、9.0%(wt./wt.)のキャノーラ油(Western Pacific Oils(Commerce,CA))を含み、以下のうちいずれかが添加された油-繊維混合物(総混合物は、完成品のうちの10.6%)
・実施例4に記載のとおりに調製した水和酵母細胞壁材料(製品J、0.75%の最終酵母細胞壁材料含有量)又は
・リボース6M溶液(製品K、0.6%の6M溶液最終含有量)又は
・実施例4に記載のとおりに調製した、結合したリボースを含む水和酵母細胞壁材料(製品L、0.6%の算出最終量のリボース6M溶液を送達するための0.75%の結合したリボースを含む最終酵母細胞壁材料)
5)5.6%(wt./wt.)のキャノーラ油(Western Pacific Oils(Commerce,CA))、及び3.6%(wt./wt.)のココナツ油(Nutiva(Richmond,CA))を含む脂肪配合物(総脂肪配合物は、完成品の9.2%)
生成物混合物を、80mmの平均直径(+/-10mm)を有する113gのバーガーパティに形成し、二酸化炭素及び窒素ガスを含む調整雰囲気下で包装及び封止し、24時間冷凍し、次いで解凍して、調理(350°Fの温度に設定したPresto(登録商標)07211Liddle Griddle[National Presto Industries Inc.(Eau Claire,WI)]上で、両面各3.5分、1回ひっくり返す)の前及び後に分析した。
【0326】
調理されたパティの色を、4名の人間対象者のパネルによって評価した。人間対象者は全員、調理された製品Lは、パティの表面に明確な褐色化及び焦げを有しており、明らかな焦げ効果が示されなかった製品Jを著しく上回っていたと判定した。
【0327】
***色空間における分光分析は、人間対象者によって行われた主観的評価を裏付けた。図8に示すように、製品Lは、製品J(未調理の状態から調理された状態へは、L*-8.9単位、a*-4.6単位及びb*+0.6単位の差異)と比べて減少したL***値(未調理の状態から調理された状態へは、L*-10.6単位、a*-5.4単位及びb*-3.4単位の差異)が示すように、より大幅な色遷移を示した。製品Lはまた、L***値に示すように、製品Kよりもより大幅な色遷移であった(すなわち、製品Lは、製品Kと比べて、L*-0.8単位、a*-0.6単位及びb*-3.6単位であった)。
【0328】
つまり、本実験により、リボースと結合させた酵母細胞壁材料は、調理中に、(例えば、「還元」糖を送達することによって)食肉構造化タンパク質製品における褐色化、焦げ及びカラメル化反応をもたらすことができたことが示された。未調理の状態から調理された状態へのより大幅な色遷移は、リボースが酵母細胞壁材料に結合された場合においてみられた。
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
[1]食肉様食品であって、前記食肉様食品は、動物肉と比較して同等な又は優れた1つ以上の属性を有する食肉様食品が製造されるように、少なくとも約0.1重量%の1種以上の結合剤によって一体に結合された、少なくとも約25重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、食肉様食品。
[2]前記食肉様食品は、約30重量%~約55重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[3]前記食肉様食品は、約35重量%~約40重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記2に記載の食肉様食品。
[4]前記食肉様食品は、異なる属性を有する2種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[5]前記2種以上の食肉構造化タンパク質製品間の属性における前記差異は、前記2種以上の食肉構造化タンパク質製品のサイズである、前記4に記載の食肉様食品。
[6]前記食肉様食品は、第1の食肉構造化タンパク質製品と、第2の食肉構造化タンパク質製品を含み、前記第1の食肉構造化タンパク質製品と前記第2の食肉構造化タンパク質製品とは、互いにサイズが異なり、前記第1の食肉構造化タンパク質製品は、第1のサイズであり、前記第2の食肉構造化タンパク質製品は、第2のサイズであり、前記第1のサイズは、前記第1の食肉構造化タンパク質製品が細孔径約3.125mmのふるいを通過し得るようなサイズであり、前記第2のサイズは、前記第2の食肉構造化タンパク質製品が細孔径約6.35mm以上のふるいを通過し得る一方で、細孔径約3.125mmのふるいを通過し得ないようなサイズである、前記5に記載の食肉様食品。
[7]約40重量%~約50重量%の前記第1の食肉構造化タンパク質製品と、約60%~約50%の前記第2の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記6に記載の食肉様食品。
[8]前記食肉構造化タンパク質製品は、約5重量%~約70重量%のタンパク質と、約0.5重量%~約25重量%の総炭水化物と、約0.05重量%~約10重量%の可食性繊維と、約0.1重量%~約25重量%の総脂質と、約30重量%~約80重量%の水と、を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[9]前記食肉構造化タンパク質製品は、約30重量%~約60重量%のタンパク質と、約1重量%~約10重量%の総炭水化物と、約0.1重量%~約5重量%の可食性繊維と、約1重量%~約5重量%の総脂質と、約40重量%~約60重量%の水と、を含む、前記8に記載の食肉様食品。
[10]前記食肉構造化タンパク質製品は、約40%~約60%のタンパク質と、約2%~約4%の総炭水化物と、約2重量%~約4重量%の可食性繊維と、約3%~約5%の総脂質と、約45重量%~約55重量%の水と、を含む、前記9に記載の食肉様食品。
[11]約0.1重量%~約10重量%の1種以上の結合剤を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[12]約1.0重量%~約4.0重量%の1種以上の結合剤を含む、前記11に記載の食肉様食品。
[13]前記1種以上の結合剤のうちの1種は、デンプンである、前記1に記載の食肉様食品。
[14]前記1種以上の結合剤のうちの1種は、メチルセルロースである、前記1に記載の食肉様食品。
[15]少なくとも約0.0001重量%の1種以上の作用剤放出システムを更に含み、前記作用剤放出システムは、前記食肉様食品が動物肉により良好に近似されるように、前記食肉様食品に食肉様の属性を付与し、前記作用剤放出システムは、1種以上の放出用作用剤を含む分散システム構成成分を含み、トリガ条件により、前記分散システム構成成分からの前記放出用作用剤の放出が引き起こされる、前記1に記載の食肉様食品。
[16]約1重量%~約40重量%の1種以上の作用剤放出システムを含む、前記15に記載の食肉様食品。
[17]約10重量%~約35重量%の1種以上の作用剤放出システムを含む、前記16に記載の食肉様食品。
[18]約10重量%~約15重量%の1種以上の作用剤放出システムを含む、前記17に記載の食肉様食品。
[19]前記1種以上の作用剤放出システムのうちの少なくとも1種は、エマルションである、前記15に記載の食肉様食品。
[20]前記1種以上の作用剤放出システムのうちの少なくとも1種は、速度論的に安定化された又は硬化されたゲルである、前記15に記載の食肉様食品。
[21]前記1種以上の作用剤放出システムのうちの少なくとも1種は、カプセル化体である、前記15に記載の食肉様食品。
[22]前記作用剤放出システムによって付与される特性が均等に分布するように、前記作用剤放出システムが、前記食肉様食品内に均一に分布している、前記15に記載の食肉様食品。
[23]作用剤放出システムは、前記食肉様食品内に不均一に分布している、前記15に記載の食肉様食品。
[24]前記エマルションは、水中油滴型エマルションである、前記19に記載の食肉様食品。
[25]前記エマルションは、油中水滴型エマルションである、前記19に記載の食肉様食品。
[26]前記ゲルは、ヒドロゲルである、前記20に記載の食肉様食品。
[27]前記ゲルは、リポゲルである、前記20に記載の食肉様食品。
[28]前記リポゲルは、流体としての脂質と、脂質中でわずかに又は大幅に膨潤する炭水化物ポリマーネットワークを含む、前記27に記載の食肉様食品。
[29]前記1種以上の作用剤放出システムのうちの少なくとも1種は、トリガ条件に達したとき、前記放出用作用剤のうちの1種以上を緩徐かつ制御された様式で放出する、前記15に記載の食肉様食品。
[30]前記トリガ条件は、温度である、前記15に記載の食肉様食品。
[31]前記作用剤放出システムは、少なくとも約45重量%の脂質を含む、前記15に記載の食肉様食品。
[32]前記作用剤放出システムは、少なくとも約30重量%のキャノーラ油を含む、前記31に記載の食肉様食品。
[33]前記作用剤放出システムは、少なくとも約10重量%のパーム油又はココナツ油を含む、前記31に記載の食肉様食品。
[34]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種以上は、着色剤であり、前記食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉に生じる色の変化に類似する様式で、前記食肉様食品の色を変化させる、前記15に記載の食肉様食品。
[35]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種以上は、芳香分子であり、前記食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉により放出される芳香に類似した芳香を発生させる、前記15に記載の食肉様食品。
[36]前記放出用作用剤のうちの少なくとも2種は、水及び脂肪酸であり、前記食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉により発せられるシズル音を想起させるシズル音を発生させる、前記15に記載の食肉様食品。
[37]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種は、脂肪酸であり、前記食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉により生じる脂肪溶出に類似した脂肪溶出を発生させる、前記15に記載の食肉様食品。
[38]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種は、前記食肉様食品の調理中に放出される食肉様味覚剤を含む、前記15に記載の食肉様食品。
[39]前記ゲルの組成は、前記食肉様食品が食肉様の多汁性を有するような組成である、前記20に記載の食肉様食品。
[40]前記ゲルの組成は、前記食肉様食品が食肉様の結合性を有するような組成である、前記20に記載の食肉様食品。
[41]前記ゲルの組成は、前記食肉様食品が調理中において食肉様の脂肪放出を有し、かつ/又は食肉様のシズル音を発生させるような組成である、前記20に記載の食肉様食品。
[42]約15重量%~約30重量%のタンパク質を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[43]約2重量%~約25重量%の脂質を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[44]約3重量%~約35重量%の総炭水化物を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[45]約2重量%~約6重量%の可食性繊維を含む、前記1に記載の食肉様食品。
[46]約0.5重量%、及び約15重量%の植物性デンプンを含む、前記1に記載の食肉様食品。
[47]約10重量%~約25重量%のタンパク質と、約6重量%~約23重量%の脂質と、約4重量%~約7重量%の総炭水化物と、約3重量%~約4.5重量%の可食性繊維と、を含み、更に、約40重量%~約80重量%の水分含有量を有する、前記1に記載の食肉様食品。
[48]作用剤放出システムであって、前記作用剤放出システムは、食肉様食品が動物肉に近似されるように、前記食肉様食品に食肉様の属性を付与し、前記作用剤放出システムは、1種以上の放出用作用剤を含む分散システム構成成分を含み、トリガ条件により、前記分散システム構成成分からの前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種の放出が引き起こされる、作用剤放出システム。
[49]前記作用剤放出システムは、エマルションである、前記48に記載の作用剤放出システム。
[50]前記作用剤放出システムは、速度論的に安定化された又は硬化されたゲルである、前記48に記載の作用剤放出システム。
[51]前記作用剤放出システムは、カプセル化体である、前記48に記載の作用剤放出システム。
[52]前記エマルションは、水中油滴型エマルションである、前記49に記載の作用剤放出システム。
[53]前記エマルションは、油中水滴型エマルションである、前記49に記載の作用剤放出システム。
[54]前記ゲルは、ヒドロゲルである、前記50に記載の作用剤放出システム。
[55]前記ゲルは、リポゲルである、前記50に記載の作用剤放出システム。
[56]前記リポゲルは、流体としての脂質と、脂質中でわずかに又は大幅に膨潤する炭水化物ポリマーネットワークを含む、前記55に記載の作用剤放出システム。
[57]前記作用剤放出システムは、トリガ条件に達したとき、前記放出用作用剤のうちの1種以上を緩徐かつ制御された様式で放出する、前記48に記載の作用剤放出システム。
[58]前記トリガ条件は、温度である、前記57に記載の作用剤放出システム。
[59]前記作用剤放出システムは、少なくとも約45重量%の脂質を含む、前記48に記載の作用剤放出システム。
[60]前記作用剤放出システムは、少なくとも約30重量%のキャノーラ油を含む、前記59に記載の作用剤放出システム。
[61]前記作用剤放出システムは、少なくとも約10重量%のパーム油又はココナツ油を含む、前記59に記載の作用剤放出システム。
[62]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種以上は、着色剤であり、食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉に生じる色の変化に類似する様式で、前記食肉様食品の色を変化させる、前記48に記載の作用剤放出システム。
[63]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種以上は、芳香分子であり、食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉により放出される芳香に類似した芳香を発生させる、前記48に記載の作用剤放出システム。
[64]前記放出用作用剤のうちの少なくとも2種は、水及び脂肪酸であり、食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉により発せられるシズル音を想起させるシズル音を発生させる、前記48に記載の作用剤放出システム。
[65]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種は、脂肪酸であり、食肉様食品の調理中における前記作用剤の放出は、調理中の動物肉により生じる脂肪溶出に類似した脂肪溶出を発生させる、前記48に記載の作用剤放出システム。
[66]前記放出用作用剤のうちの少なくとも1種は、食肉様食品の調理中に放出される食肉様味覚剤を含む、前記48に記載の作用剤放出システム。
[67]前記ゲルの組成は、食肉様食品内への放出時に、前記食肉様食品が食肉様の多汁性を有するような組成である、前記50に記載の作用剤放出システム。
[68]前記ゲルの組成は、食肉様食品内への放出時に、前記食肉様食品が食肉様の結合性を有するような組成である、前記50に記載の作用剤放出システム。
[69]前記ゲルの組成は、調理中において、食肉様食品内への放出時に、前記食肉様食品が食肉様の脂肪放出を有し、かつ/又は食肉様のシズル音を発生させるような組成である、前記50に記載の作用剤放出システム。
[70]前記食肉様食品を動物肉により増量することによって生成される増量食肉製品を更に含む、前記1に記載の食肉様食品。
[71]食肉様食品を製造するためのプロセスであって、前記食肉様食品が動物肉と比較して同等な又は優れた1つ以上の属性を有し、かつ少なくとも約25重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品と、少なくとも約0.1重量%の1種以上の結合剤を含むように、1種以上の結合剤を用いて1種以上の食肉構造化タンパク質製品を凝固させる工程を含む、プロセス。
[72]前記食肉様食品は、約30重量%~約55重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記71に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
[73]前記食肉様食品は、約35重量%~約40重量%の1種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記72に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
[74]前記食肉様食品は、異なる属性を有する2種以上の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記71に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
[75]前記2種以上の食肉構造化タンパク質製品間の属性における前記差異は、前記2種以上の食肉構造化タンパク質製品のサイズである、前記74に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
[76]前記食肉様食品は、第1の食肉構造化タンパク質製品と、第2の食肉構造化タンパク質製品を含み、前記第1の食肉構造化タンパク質製品と前記第2の食肉構造化タンパク質製品とは、互いにサイズが異なり、前記第1の食肉構造化タンパク質製品は、第1のサイズであり、前記第2の食肉構造化タンパク質製品は、第2のサイズであり、前記第1のサイズは、前記第1の食肉構造化タンパク質製品が細孔径約3.125mmのふるいを通過し得るようなサイズであり、前記第2のサイズは、前記第2の食肉構造化タンパク質製品が細孔径約6.35mm以上のふるいを通過し得る一方で、細孔径約3.125mmのふるいを通過し得ないようなサイズである、前記75に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
[77]約40重量%~約50重量%の前記第1の食肉構造化タンパク質製品と、約60%~約50%の前記第2の食肉構造化タンパク質製品を含む、前記76に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
[78]少なくとも約0.0001重量%の1種以上の作用剤放出システムの添加を更に含み、前記作用剤放出システムは、前記食肉様食品が動物肉により良好に近似されるように、食肉様食品に食肉様の属性を付与し、前記作用剤放出システムは、1種以上の放出用作用剤を含む分散システム構成成分を含み、トリガ条件により、前記分散システム構成成分からの前記放出用作用剤の放出が引き起こされる、前記71に記載の食肉様食品を製造するためのプロセス。
図1
図2
図3A
図3B-1】
図3B-2】
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8