(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】情報可視化システム、情報可視化方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20230310BHJP
【FI】
G06T19/00 600
(21)【出願番号】P 2021099574
(22)【出願日】2021-06-15
(62)【分割の表示】P 2016224308の分割
【原出願日】2016-11-17
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕樹
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149042(JP,A)
【文献】特開2012-065329(JP,A)
【文献】特開2001-052152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00 - 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得
して、収集情報に追加する実画像取得部と、
前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成し、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画
像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させる表示制御部と、
を備え、
前記収集情報には、
前記周囲画像の画像情報と、
前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、
前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれる、
情報可視化システム。
【請求項2】
前記取得した周囲画像の日時の情報には、前記周囲画像の撮影日時の情報、又は前記周囲画像を格納した日時の情報が含まれる、
請求項1に記載の情報可視化システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記観測点に対応する前記3次元仮想空間における基準点の位置と、前記基準点の周りに設けられた射影面を見込む位置とを一致させる
請求項1又は請求項2に記載の情報可視化システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記基準点の位置と前記射影面を見込む位置とを一致させて、前記観測点に対応する空間モデルに前記周囲画像と前記仮想空間画像とを対応付ける
請求項3に記載の情報可視化システム。
【請求項5】
前記空間モデルは、前記基準点を基準に配置された球の球面と円筒の側面の少なくとも何れかを射影面として利用するように形成されている、
請求項4に記載の情報可視化システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、
前記周囲画像と前記仮想空間画像の両方から所定の抽出条件に基づいて抽出した部分画像を重ねて表示させる、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の情報可視化システム。
【請求項7】
実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得して、収集情報に追加する実画像取得部と、
前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成する表示制御部と、
を備え、
前記収集情報には、
前記周囲画像の画像情報と、
前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、
前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれていて、
前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させる、
情報可視化システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、
前記合成した画像に対応する前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像をBIM装置によって生成させる、
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の情報可視化システム。
【請求項9】
実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得
して、収集情報に追加するステップと、
前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成し、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画
像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させるステップと、
を含
み、
前記収集情報には、
前記周囲画像の画像情報と、
前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、
前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれる、
情報可視化方法。
【請求項10】
実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得
して、収集情報に追加するステップと、
前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成し、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画
像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム
であって、
前記収集情報には、
前記周囲画像の画像情報と、
前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、
前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報可視化システム、情報可視化方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の維持管理及びレイアウト設計などの各業務では、対象とされる建物の状況を正確に把握することが必要とされる。上記の各業務では、建物の図面や、建物に付帯する設備の設備台帳などが主に利用されている。関連する図面が多岐にわたる。また、図面や情報の保管者が建物の権利者と異なるなど、必要とされる情報が散在していることがある。このような場合も、多岐にわたる複数の図面を参照しなければ情報が得られないことがある。一方で、図面に書かれた情報は、専門知識を有していないと読み解くことが困難であり、利用しにくいものであった。
近年、BIM(Building Information Modeling)を利用して、建物に関する各種情報を一元的に管理することで、必要とされる情報を散在させることなく建物の管理や設計などの業務に役立てようという試みがされている。BIMは、建物を数値化して3Dモデルとして扱い、その3Dモデルに建物の諸情報を関連付けて管理する。このようなBIMを、情報可視化システムとして利用することにより、建物の各種情報を容易に利用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、BIM等を利用して、詳細な3Dモデルを作成する場合に、3Dモデルを詳細なものにするほど、3Dモデルの作成に掛かる作業量が増加する。特に既存の建物にBIM等を適用する場合には、BIM等を利用可能にするために掛るコストに見合うだけの明示的な効果は得にくいと判定される場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、より簡易な方法で、ある位置の周囲の状況を共有可能にする情報可視化システム、情報可視化方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様の情報可視化システムは、実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得して、収集情報に追加する実画像取得部と、前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成し、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させる表示制御部と、を備え、前記収集情報には、前記周囲画像の画像情報と、前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれる情報可視化システムである。
(2)また、上記の情報可視化システムにおいて、前記取得した周囲画像の日時の情報には、前記周囲画像の撮影日時の情報、又は前記周囲画像を格納した日時の情報が含まれる。
(3)また、上記の情報可視化システムにおいて、前記表示制御部は、前記前記観測点に対応する前記3次元仮想空間における基準点の位置と、前記基準点の周りに設けられた射影面を見込む位置とを一致させる。
(4)また、上記の情報可視化システムにおいて、前記表示制御部は、前記基準点の位置と前記射影面を見込む位置とを一致させて、前記観測点に対応する空間モデルに前記周囲画像と前記仮想空間画像とを対応付ける。
(5)また、上記の情報可視化システムにおいて、前記空間モデルは、前記基準点を基準に配置された球の球面と円筒の側面の少なくとも何れかを射影面として利用するように形成されている。
(6)また、上記の情報可視化システムにおいて、前記表示制御部は、前記周囲画像と前記仮想空間画像の両方から所定の抽出条件に基づいて抽出した部分画像を重ねて表示させる。
(7)本発明の一態様の情報可視化システムは、実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得して、収集情報に追加する実画像取得部と、前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成する表示制御部と、を備え、前記収集情報には、前記周囲画像の画像情報と、前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれていて、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させる情報可視化システムである。
(8)また、上記の情報可視化システムにおいて、前記表示制御部は、前記合成した画像に対応する前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像をBIM装置によって生成させる。
(9)また、本発明の一態様の情報可視化方法は、実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得するステップと、実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得して、収集情報に追加するステップと、前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成し、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させるステップと、を含み、前記収集情報には、前記周囲画像の画像情報と、前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれる情報可視化方法である。
(10)また、本発明の一態様のプログラムは、実空間における観測点の周囲にある対象物の状況を示す周囲画像を取得して、収集情報に追加するステップと、前記実空間に対応する3次元仮想空間の情報が空間モデル情報に登録されていて、前記空間モデル情報から所望の空間モデルを選択し、選択された前記空間モデルに、前記収集情報から選択された周囲画像を合成し、前記合成した画像に前記3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像を対応付けて、前記対象物の状況を表示させるステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記収集情報には、前記周囲画像の画像情報と、前記空間モデルと前記周囲画像とを対応付ける識別情報と、前記取得した周囲画像の日時の情報又は前記周囲画像が最新の情報であるか否かを示す情報と、が含まれるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より簡易な方法で、ある位置の周囲の状況を共有可能にする情報可視化システム、情報可視化方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報可視化システムの構成図である。
【
図2】実施形態に係る射影面Sを形成する空間モデルMの一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る撮像装置100の構成図である。
【
図4A】実施形態に係る正距円筒図法による画像について示す図である。
【
図4B】実施形態に係る
図4Aの画像を、中空の円筒の表面の内側に描かれた状態の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る
図4Aの画像を、中空の球体の表面の内側に射影した状態の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る端末装置200の構成図である。
【
図7】実施形態に係るBIM300による数値データに基づいた3Dモデルで3次元仮想空間を表示する一例を示す図である。
【
図8】比較例としての3次元仮想空間における対象範囲10の表示の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る情報提供支援装置400のハードウェア構成図である。
【
図10】実施形態に係る情報提供支援装置400の機能構成図である。
【
図11A】実施形態に係る空間モデル情報411の内容の一例を示す図である。
【
図11B】実施形態に係る見込む位置情報413の内容の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る収集情報412の内容の一例を示す図である。
【
図13】実施形態に係る実施形態に係る3次元仮想空間における基準点R、射影面S、射影面Sを見込む位置VPの関係を示す図である。
【
図14】実施形態に係る空間モデルMを配置した3次元仮想空間を示す図である。
【
図15A】実施形態に係る情報可視化処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15B】第4施形態に係る情報可視化処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施形態に係る観測点から視点方向を見込む画像の一例を示す図である。
【
図17】第2の実施形態に係る撮像装置100から供給される複数の画像を合成する処理について説明するための図である。
【
図18】第4の実施形態に係る全周囲画像の歪を補正する処理を説明するための図である。
【
図19】第4の実施形態に係る全周囲画像の歪を補正する処理を説明するための図である。
【
図20】第4の実施形態に係る全周囲画像の歪を補正する処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の情報可視化システム、情報可視化方法及びプログラムについて、添付図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る情報可視化システムの構成図である。
【0010】
[情報可視化システム]
情報可視化システム1は、撮像装置100、端末装置200、BIM300、及び、情報提供支援装置400を備える。撮像装置100、端末装置200、BIM300、及び、情報提供支援装置400は、ネットワークNWを介して接続されている。
【0011】
最初に、情報可視化システム1の概要について説明する。情報可視化システム1は、実在する建物2の対象範囲10に関する情報を可視化する。例えば、対象範囲10には、実在する建物2の一部又は全部が含まれる。さらに、対象範囲10には、上記の建物に設けられた設備、什器などが含まれる。対象範囲10は、その範囲が予め決定される。例えば、対象範囲10における位置は、直交座標系(X,Y,Z)を用いて特定される。対象範囲10内に、幾つかの観測点(不図示)が設けられる。例えば、観測点Pは、観測点Pの周囲の状況を掌握しやすい位置に、その位置が決定される。以下の説明では、観測点Pを単に観測点という。
【0012】
情報可視化システム1は、この観測点を基準にして、その周囲の状況に関する情報を可視化する。情報可視化システム1により可視化される情報には、観測点の周囲画像と、BIM300によりデータ化された3Dモデル(以下、単に3Dモデルという。)、2次元図面(2D図面)などが含まれる。観測点の周囲画像とは、撮像装置100が観測点において撮像して得た画像、又は、観測点において撮像して得た複数の画像の組のことである。例えば、観測点の位置は、撮像装置100の光学系の位置に基づいて決定される。周囲画像の詳細については後述する。なお、観測点の周囲画像は、ユーザU1が撮像装置100を操作して撮像したものであってもよく、撮像装置100が予め定められたタイミングで撮像したものであってもよい。3Dモデルとは、対象範囲10を含む建物2の構造、建物2に配置された設備、什器などを3次元情報として示す情報のことである。
【0013】
情報可視化システム1は、観測点の周囲画像と3Dモデルの何れか一方又は両方に基づいて画像を生成して表示する。
【0014】
上記の観測点の周囲画像には、撮影範囲に含まれた対象範囲10における状況を示す正確な情報が含まれる。ただし、上記の画像情報には、画像に示されたもの(被写体)が何であるか、どのようなものであるか、また、個々の被写体の大きさや表面の状態などの物理的特徴などの諸情報は含まれていない。
【0015】
一方、3Dモデルは、3次元仮想空間に形成された仮想の構造物、及び、仮想の構造物を構成する構成要素の種類、性質、特徴量、大きさや表面の状態などの物理的特徴などの諸情報を含めることができる。上記の3Dモデルを利用することで、予め正しく登録された情報を利用することができる。ただし、登録されていない情報の有無、誤って登録された情報があることなどの検出を、3Dモデルだけで判定することは困難である。また、登録されていない情報を補う作業は容易ではない。
【0016】
そこで、情報可視化システム1は、撮像装置100によって撮像された画像のデータとBIM300の3Dモデルとを関連付けることにより、それぞれの情報を補完して利便性を高める。観測点の周囲画像と3Dモデルの両方に基づいて画像を生成する場合を例示する。
【0017】
例えば、情報可視化システム1は、周囲画像と3Dモデルに基づいた画像(3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像)とを対応付ける。情報可視化システム1は、対応付けられた周囲画像を表示する表示領域と3Dモデルに基づいた画像を表示する表示領域のそれぞれに共通する領域が含まれる表示画像を生成させる。
【0018】
本実施形態では、上記の処理を、周囲画像の歪を補正する第1処理と、周囲画像と3Dモデルに基づいた画像の位置を調整する第2処理に大別する。
【0019】
第1処理には、例えば、(1-1)空間モデルMを利用する方法と、(1-2)空間モデルMを利用せずに、幾何学的な演算処理を用いる方法とがある。空間モデルMとは、3次元仮想空間における仮想の構造体として形成される射影面の一例である。空間モデルM及び第1処理の詳細については後述する。
【0020】
第2処理には、例えば、(2-1)空間モデルMを利用する場合に、空間モデルMに沿って画像を回転して調整する方法と、(2-2)周囲画像を3Dモデルに基づいた画像に射影して調整する方法と、(2-3)周囲画像内の特徴点と、3Dモデルに基づいた画像内の特徴点とが一致するように調整する方法とがある。
【0021】
上記の第1の処理と第2の処理の各手法の組み合わせは、「(2-1)」の手法以外は任意の組み合わせを選択することができる。以下、本実施形態では、上記の「(1-1)空間モデルMを利用する方法」と「(2-1)空間モデルMを利用する場合に、空間モデルMに沿って画像を回転して調整する方法」とを組み合わせた一例を挙げ、以下に説明する。なお、その他の手法については、変形例又は第2の実施形態などで後述する。
【0022】
例えば、情報可視化システム1は、周囲画像と3Dモデルに基づいた画像との対応付けを、それらに共通する射影面Sを用いて実施する。情報可視化システム1は、上記の射影面Sを3次元仮想空間における仮想の構造体である空間モデルMとして扱う。3次元仮想空間における空間モデルMは、実空間における観測点に対応して設けられる。空間モデルMは、その観測点から視認できる範囲の状況が射影される仮想の面を有する。例えば、情報可視化システム1は、観測点から視認できる範囲の状況を、上記の観測点から見込む方向を維持するように空間モデルMの面に射影する。情報可視化システム1は、空間モデルMを利用して、観測点の周囲の状況に係る情報を管理してもよい。以下、その詳細について説明する。
【0023】
例えば、情報提供支援装置400は、撮像装置100によって撮像された画像のデータを収集し、収集した画像のデータに基づいた全周囲画像をBIM300に供給する。BIM300は、供給された全周囲画像と3Dモデルによる情報とを合成した画像を生成する。情報提供支援装置400は、BIM300によって生成された画像を、ユーザU2などにより操作される端末装置200からの要求に応じて、当該端末装置200の表示部に表示させる。
【0024】
情報可視化システム1は、上記のように全周囲画像と3Dモデルによる情報とを合成した画像を生成する処理を行うに当たり、空間モデルMを利用する。
【0025】
図2は、実施形態に係る射影面Sを形成する空間モデルMの一例を示す図である。例えば、空間モデルMは、中空の球体として形成される。情報可視化システム1は、球体の表面の内側に、観測点の位置で撮影した周囲画像(全周囲画像)を射影する。球体の中心Cに視点を置くことにより、球体の表面に射影された周囲画像を球体の中心Cから見込む方向と、実空間において観測点P(
図1)の位置から被写体を見込む方向とを一致させることができる。なお、空間モデルMが直交座標系の軸方向に対して傾いている場合には、空間モデルMの極方向が直交座標系の軸方向に一致するように調整するとよい。例えば、情報提供支援装置400は、
図2に示すように空間モデルMの極方向を、直交座標系のZ軸方向に一致するように調整する。例えば、このように空間モデルMの傾きを調整した後、周囲画像を射影するとよい。
【0026】
上記の説明では、観測点における周囲画像を一例として示したが、空間モデルMに対応付ける情報の種類は、これに限らない。情報可視化システム1は、周囲画像に加えて、各種情報を空間モデルMに対応付けてもよい。例えば、情報可視化システム1は、空間モデルMを中空の球体として形成し、球体の表面に収集情報などの各種情報を関連付ける。上記の収集情報とは、観測点の周囲の状況を共有するために収集された情報のことである。上記の収集情報には、観測点の周囲を撮像して得た画像情報、画像情報と異なる種別の情報などが含まれる。画像情報と異なる種別の情報として、例えば、観測点の周囲の状況を示すテキスト(文字情報)が含まれていてもよい。
【0027】
以下、情報可視化システム1に係る各装置について説明する。
【0028】
[撮像装置]
撮像装置100の構成の一例について説明する。
図3は、実施形態に係る撮像装置100の構成図である。撮像装置100は、その周囲を撮影し、得られる周囲画像を出力する。
【0029】
撮像装置100は、光学系111と、光学系112と、撮像部121と、撮像部122と、信号処理部130と、受付部140と、制御部150と、出力部160とを備える。
【0030】
光学系111と光学系112は、それぞれが魚眼系レンズを成し、それぞれ180度以上の画角で撮影可能とする。光学系111と光学系112は、光学系111の光軸と光学系112の光軸が略平行になるように、撮像装置100の筐体などに支持される。光学系111の光軸方向と光学系112の光軸方向は、反対方向に向けられている。
【0031】
撮像部121は、光学系111と対になるように設けられ、光学系111の画角の範囲内の対象物(被写体)を撮像する。撮像部122は、光学系112と対になるように設けられ、光学系112の画角の範囲内の対象物(被写体)を撮像する。
【0032】
信号処理部130は、撮像部121が撮像して得られた画像と、撮像部122が撮像して得られた画像とを合成することにより、撮像された画像から、正距円筒図法に基づいた画像又は全周囲画像などの合成画像を生成する。
【0033】
受付部140は、ユーザの撮像を指示する操作を受け付ける。
【0034】
制御部150は、受付部140によって受け付けた撮像の指示に基づいて、撮像部121と撮像部122に撮像させる。制御部150は、撮像部121と撮像部122が互いに同期して撮像するように、各撮像部を制御する。制御部150は、撮像部121と撮像部122とにより撮像された結果に基づいて、信号処理部130により合成画像を生成させる。制御部150は、出力部160から、信号処理部130によって生成された合成画像を出力させる。
【0035】
例えば、撮像装置100が合成画像として出力する周囲画像には、正距円筒図法による画像、全天周画像などの全方向の画像が含まれていることが望ましい。
図4Aは、実施形態に係る正距円筒図法による画像について示す図である。正距円筒図法は、前述の
図2に示すような球体の表面を展開し、その表面を長方形に射影して示す図法である。球体の緯度経度は、長方形内内で直角かつ等間隔に交差するように各部の尺度が調整される。
図4Bは、
図4Aの画像を、中空の円筒の表面の内側に描かれた状態の一例を示す図である。
【0036】
以下に示す実施形態では、
図4に示す正距円筒図法による画像を、
図2に示す空間モデルMとしての球体の表面の内側に射影する。
図5は、
図4Aの画像を、中空の球体の表面の内側に射影した状態の一例を示す図である。この
図5は、球体の奥行き方向に遠方側の半球を示し、近方側の半球の描画を省略している。この
図5に示すように、球体の表面の内側に射影された画像は、球体の内側から球全体をみれば全天周画像になる。つまり、撮像装置100により撮像された画像を、中空の球体の表面として形成された空間モデルMの表面の内側に射影することにより、観測点の周囲の状態を示す画像情報が球体の表面に配された状態を得ることができる。なお、撮像装置100は、正距円筒図法による画像と全天周画像の少なくとも何れかの画像の一部又は全部を出力する。このような撮像装置100であれば、1回の操作で全周囲を纏めて撮影することができ、周囲を漏れなく撮影できる。
【0037】
つまり、撮像装置100は、画像を合成するためのユーザの手間を省き、更に、画像の空間方向の連続性の品質を高めることができる。また、撮像装置100は、全周囲を1回の操作で撮影することで、撮影に係る時間を短縮する。また、上記のような撮像装置100であれば、撮影漏れなどによる部分的な欠損が生じる虞がない。これらに起因して、ユーザの作業効率が高まる。
【0038】
以下の実施形態の説明では、撮像装置100は、正距円筒図法による画像を、対象の周囲画像として出力するものとする。撮像装置100は、上記の対象の周囲画像を情報提供支援装置400に対して送信する。
【0039】
[端末装置]
図6は、実施形態に係る端末装置200の構成図である。端末装置200は、例えば、CPU200Aと、RAM(Random Access Memory)200Bと、不揮発性記憶装置200Cと、可搬型記憶媒体ドライブ装置200Dと、入出力装置200Eと、通信インターフェース200Fとを備える。端末装置200は、CPU200Aに代えて、任意の形態のプロセッサを備えてもよいし、
図5に示した各構成要素のうち一部を省略してもよい。
【0040】
CPU200Aは、不揮発性記憶装置200Cに格納されたプログラム、又は可搬型記憶媒体ドライブ装置200Dに装着された可搬型記憶媒体に格納されたプログラムをRAM200Bに展開して実行することで、以下に説明する種々の処理を行う。RAM200Bは、CPU200Aによってワーキングエリアとして使用される。不揮発性記憶装置200Cは、例えば、HDDやフラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などである。可搬型記憶媒体ドライブ装置200Dには、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)、SDカードなどの可搬型記憶媒体が装着される。入出力装置200Eは、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、表示装置などを含む。通信インターフェース200Fは、ネットワークNWに接続され、端末装置200における通信を制御する。
【0041】
図6を参照して、実施形態に係る端末装置200の機能構成について説明する。端末装置200は、受付処理部211と、データ取得部212と、表示制御部213とを備える。これらの機能部は、例えば、CPU200Aがプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0042】
受付処理部211は、入出力装置200Eによって検出されたユーザの操作を受け付ける。例えば、受付処理部211は、入出力装置200Eにより表示された画像上のボタンなどを選択する操作を検出して、ユーザの操作として受け付ける。受付処理部211は、検出したユーザの操作に基づいて、情報を共有するための要求を情報提供支援装置400宛に送信する。
【0043】
データ取得部212は、情報提供支援装置400から送信された情報を取得する。情報提供支援装置400から取得する情報には、特定の観測点に対応する取得情報が含まれる。
【0044】
表示制御部213は、情報提供支援装置400から送信された情報に基づいて、入出力装置200Eにおける表示部に表示させる画像を生成する。例えば、表示制御部213は、特定の観測点に対応する取得情報に基づいた閲覧画像を生成して、表示部に表示させる。
【0045】
なお、端末装置200は、受付処理部211、データ取得部212、及び、表示制御部213の一部又は全部を、Webシステムに適用されるブラウザを利用して実現してもよい。端末装置200は、予め定められたユーザに限り、その利用を許可するものとしてもよい。
【0046】
[BIM]
BIM300は、対象範囲を含む建物2に関する情報を数値化して管理するコンピュータである。例えば、
図1に示すように、BIM300は、記憶部310と、制御部320とを備える。
【0047】
記憶部310には、建物2を3Dモデルとして数値化したデータ、建物2に関する各種図面、建物2に付帯する設備を特定するための属性情報、建物2及び付帯する設備の保守点検の履歴情報などが格納されている。例えば、建物2を3Dモデルとして数値化したデータには、建物2の構造図などのデータが含まれる。建物2に関する各種図面には、建物2の構造図、フロアごとの平面図、設備配置図、配管図、電源系統図などの各種図面の一部又は全部が含まれる。
【0048】
制御部320は、プログラムを実行することにより、外部から供給される情報を受け付けて、その情報を記憶部310に書き込む。また、制御部320は、外部からの指示に応じて3Dモデルを生成し、生成した3Dモデルを記憶部310に格納する。制御部320による処理の詳細については後述する。
【0049】
図7は、BIM300による数値データに基づいた3Dモデルで3次元仮想空間を表示する一例を示す図である。
図7に、対象範囲10に対応する3次元仮想空間を俯瞰した図が示されている。
図7に示す3次元仮想空間には、3Dモデルが存在する。その3Dモデルは、建物2の概略を示すものであることが分かる。この3Dモデルは、建物2に対する対象範囲10のデータが登録されている。この
図7に示すように、3Dモデルとして、壁面に設けられた窓、装置などの構成を示す情報の登録を必須としない。なお、この
図7に示す図は、天井部を削除して表示したものである。同図には、建物2の他に、新たに配置する装置の配置案が示されている。
【0050】
なお、
図8は、比較例としての仮想空間画像の表示の一例を示す図である。
図8に示す仮想空間画像は、3次元仮想空間における対象範囲10をパース図で示すものである。上記の
図7に示した対象範囲を、そのままパース図にすると
図8に示すような仮想空間画像が得られる。この
図8に示すように、BIM300に登録された簡易なデータだけからは、
図1に示すような対象範囲10の現況を識別することはできない。
【0051】
そこで、本実施形態では、次に示す情報提供支援装置400を利用することにより、簡易な方法で、特定の位置の周囲の状況を共有可能にする。
【0052】
[情報提供支援装置]
図9は、実施形態に係る情報提供支援装置400のハードウェア構成図である。情報提供支援装置400は、例えば、CPU400Aと、RAM400Bと、不揮発性記憶装置400Cと、可搬型記憶媒体ドライブ装置400Dと、入出力装置400Eと、通信インターフェース400Fとを備える。情報提供支援装置400は、CPU400Aに代えて、任意の形態のプロセッサを備えてもよいし、
図6に示した各構成要素のうち一部を省略してもよい。
【0053】
CPU400Aは、不揮発性記憶装置400Cに格納されたプログラム、又は可搬型記憶媒体ドライブ装置400Dに装着された可搬型記憶媒体に格納されたプログラムをRAM400Bに展開して実行することで、以下に説明する種々の処理を行う。RAM400Bは、CPU400Aによってワーキングエリアとして使用される。不揮発性記憶装置400Cは、例えば、HDDやフラッシュメモリ、ROMなどである。可搬型記憶媒体ドライブ装置400Dには、DVDやCD、SDカードなどの可搬型記憶媒体が装着される。入出力装置400Eは、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、表示装置などを含む。通信インターフェース400Fは、ネットワークNWに接続され、情報提供支援装置400における通信を制御する。なお、通信インターフェース400Fは、Webシステムに適用されるWebサーバとしての機能を有していてもよい。
【0054】
図10は、実施形態に係る情報提供支援装置400の機能構成図である。情報提供支援装置400は、記憶部410と、制御部420とを備える。
【0055】
記憶部410は、RAM400B又は不揮発性記憶装置400Cに設けられた記憶領域である。記憶部410は、情報提供支援装置400からアクセス可能なNAS装置などの外部記憶装置によって実現されてもよい。
【0056】
記憶部410は、空間モデル情報411、収集情報412、見込む位置情報413、積算情報414などの情報を格納する。
【0057】
空間モデル情報411は、観測点ごとに設けられた空間モデルMに関する情報を含む。
図11Aは、実施形態に係る空間モデル情報411の内容の一例を示す図である。例えば、観測点に対して原則的に一つの空間モデルMが割り付けられる。空間モデル情報411には、空間モデルMに関する情報が含まれる。例えば、空間モデル情報411には、空間モデルID、エリアID、実空間上の位置、仮想空間上の位置、半径、方向などの情報が含まれる。空間モデル情報411には、空間モデルごとの情報が含まれる。
【0058】
空間モデルIDは、観測点に対して割り付けられた空間モデルMを識別するための識別情報である。例えば、空間モデルIDは、観測点を識別するための観測点ID(観測点識別情報)であってもよく、観測点の座標値、又は、座標値に基づいて生成された値であってもよい。例えば、空間モデルMには、1又は複数の周囲画像が関連付けられる。空間モデルIDは、それをキーにして、空間モデルMに関連付けられた1又は複数の周囲画像を特定することを可能にする。そのうちから選択された周囲画像が、観測点の位置から見込む画像になる。空間モデルIDを用いて空間モデルMを管理して、特定の空間モデルMに対応付けられた周囲画像を、空間モデルIDを用いて参照することができる。空間モデルMに対応する周囲画像を1:1に対応させてもよく、定めた条件により複数の周囲画像のうちから1つが選択されるようにしてもよい。
【0059】
エリアIDは、空間モデルMを含むエリアを識別するための識別情報である。例えば、エリアIDは、建物における階数、同一階におけるゾーン、テナント、部屋などのように、所望の規則に従って建物内を複数のエリアに区分した場合に、区分された各エリアの識別番号などの情報を含む。
【0060】
実空間上の位置は、エリア毎に決定される座標系における観測点の位置を示す。例えば、エリア毎に決定される座標系は、直交座標系又は極座標系であり、同図に示す例は直交座標系の場合である。仮想空間上の位置は、仮想空間の座標系における観測点の位置を示す。例えば、仮想空間の座標系は、直交座標系又は極座標系であり、同図に示す例は直交座標系の場合である。仮想空間上の観測点は、空間モデルMごとに決定される。本実施形態では、説明を理解しやすくするために実空間の座標系と、実空間に対応する仮想空間の座標系とを対応させる。例えば、実空間の座標系の原点と、実空間に対応する仮想空間の座標系の原点とが一致するものとする。この場合、実空間における観測点の位置と、空間モデルMの基準点の位置とが一致させることができる。なお、上記は一例であり、実空間の座標系の原点と、実空間に対応する仮想空間の座標系の原点とが異なることを制限するものではない。例えば、実空間の座標系の原点が、内装面などを基準に定められてもよく、仮想空間の座標系の原点が、壁芯などを基準に定められてもよい。
半径は、空間モデルMの大きさを示す情報である。例えば、半径(R1)を2mとし、観測点の床面からの高さを1.5mとすると、空間モデルMの下部は、床下側に張り出した状態に配置される。或いは、半径(R1)を0.5mとし、観測点の床面からの高さを1.5mとすると、空間モデルは、床上に浮いた状態に配置される。仮想空間を表示した範囲に空間モデルMが含まれる場合には、当該場所に空間モデルMに対応する半径の球が表示される。この半径は、全ての空間モデルMに同じ値を定めてもよく、用途や目的、登録者の属性などに応じて、異なる値にしてもよい。
【0061】
方向は、仮想空間の座標系に対する空間モデルMの座標系の回転量を示す。例えば、方向の値は、仮想空間の座標X軸周りの空間モデルMの極方向の回転角をαで示し、仮想空間の座標Y軸周りの空間モデルMの極方向の回転角をβで示し、仮想空間の座標Z軸周りの空間モデルMの極方向の回転角をγで示す。前述の
図2に示した空間モデルMは、上記のα、β、γが所望の値に調整された結果である。
【0062】
見込む位置情報413は、空間モデルMの射影面Sを見込む位置VPを示す情報を含む。
図11Bは、実施形態に係る見込む位置情報413の内容の一例を示す図である。例えば、空間モデルMに対して原則的に一つの見込む位置VPが割り付けられる。例えば、見込む位置情報413には、空間モデルID、仮想空間上の位置、方向、画角などの情報が含まれる。仮想空間上の位置は、空間モデルMの射影面Sを見込む位置VPを仮想空間座標の座標系で示す位置を示す。方向は、空間モデルMの射影面Sを見込む位置VPから向けた視点の方向を示す。画角は、視点の方向を基準にした視認範囲を示す。画角の値を大きくすると、広角レンズで写した画像になり、小さくすると、望遠レンズで写した画像になる。
【0063】
収集情報412については、後述する。
【0064】
前述の
図10に戻り、制御部420について説明する。制御部420は、指定情報取得部421と、周囲画像取得部422と、表示制御部423と、位置導出部424と、積算処理制御部426と、出力処理部427とを備える。指定情報取得部421と周囲画像取得部422は、取得部の一例である。
【0065】
指定情報取得部421は、端末装置200におけるユーザの操作の検出結果を、端末装置200から取得する。指定情報取得部421は、端末装置200から取得した情報を、記憶部410における収集情報412に追加する。
【0066】
周囲画像取得部422は、実空間における観測点の周囲画像、実空間の状態を示す図面などを取得して、同様に収集情報412に追加する。
【0067】
ここで、収集情報412の内容の一例について説明する。
図12は、実施形態に係る収集情報412の内容の一例を示す図である。収集情報412には、空間モデルごとに収集された画像情報などが含まれる。
【0068】
例えば、収集情報412は、空間モデルID(観測点ID)、対象物、位置情報、有効フラグ、データ種別、データ識別ID(ファイル名)、日時(時刻)、画角、管理情報、基準方向(θ0φ0)、ユーザIDなどの情報を含む。
【0069】
空間モデルIDは、空間モデル情報411の空間モデルIDに対応する。
対象物は、仮想空間に配置された物、仮想空間の構造物、又は、実空間の対象範囲内に配置された物を示す。この対象物は、2次元又は3次元の形状を持つものとして定義される。なお、この対象物は、仮想空間に配置された物と仮想空間の構造物の場合には、仮想空間における位置から空間モデル上に射影され、空間モデルMの観測点から視認可能になる。或いは、実空間の対象範囲内に配置された物の場合には、実空間の対象範囲の画像が空間モデル上に射影され、空間モデルMの観測点から視認可能になる。
【0070】
位置情報は、上記空間モデルIDに対応する観測点を原点とした極座標系によって示される空間モデル上の点の位置を識別するための識別情報である。上記の対象の位置は、
例えば、上記の「対象物」を代表する点の位置、上記の「対象物」の範囲を代表する点の位置、「対象物」の重心の位置などであってもよい。また、例えば、上記の対象の位置から予め定めた範囲を「対象部」と判定するようにしてもよい。上記の対象の位置から予め定めた範囲を、上記で定めた代表点を中心とする所定の半径の円として定めてもよい。
【0071】
有効フラグは、収集情報としての有効性を示す情報である。例えば、収集情報が利用できない状況にある場合に無効とされ、利用できる状況にある場合に有効とされる。収集情報が利用できない状況とは、データが損傷していると判定された場合、新しい情報が収集されて情報が陳腐化した場合、などの場合が含まれる。
【0072】
データ種別は、画像、テキストなどにより示されるデータの種別を示す情報である。例えば、データの種別には、単独のファイルで全周囲を示す「全周囲画像(画像A)」、複数の画像を組み合わせることで全周囲を示す「未組合せ画像(画像B)」、各設備の個々の状態を示す「個別画像(画像C)」、ユーザが投稿したメモ、設備等の情報を示す「図面」、引き継ぎ事項などを示す「テキスト」などが含まれる。例えば、設備等の情報には、実空間又は仮想空間における設備の位置の情報が含まれていてもよい。データの種別をファイル名の拡張子を流用して識別するようにしてもよい。
【0073】
データ識別IDは、収集情報をファイルとして扱う場合のファイル名など、収集情報として扱うデータを識別するための識別情報である。
【0074】
日時は、収集情報に関連する日時を示す情報である。例えば、データの種別が画像(「全周囲画像」又は「未組合せ画像」)である場合の日時は、画像の撮影日時、画像情報が格納された日時、などである。
【0075】
画角は、情報の種別が全周囲画像(画像A)である場合に適用され、画像の範囲を指定するための情報に対応する。周囲画像取得部422は、空間モデルMに画像を割り付ける際に、画像の範囲に合せてその画像が空間モデルMを覆うように、データ識別IDによって特定される原画像の大きさを調整する。例えば、全周囲画像には、周囲を一巡できる画像と、周囲を一巡できない画像とが含まれる。周囲画像取得部42が空間モデルMに画像を割り付ける際に、当該画像が全周囲画像の一部しか有しておらず、空間モデルMが有する射影面の一部しか満たさないことがある。この場合に、周囲画像取得部422は、この画角に基づいて定まる範囲にデータ識別IDによって特定される原画像の範囲を調整する。この調整により、画像が歪むことなく当該画像を空間モデルMに割り付けることができる。例えば、画角を水平方向(θ方向)の角度で示してもよく、迎角(俯角)方向(φ方向(
図2))で示してもよく、それらを組み合わせて示してもよい。なお、全周囲画像であっても、得られた画像によって天地方向が満たされない場合には、画角は、上記の範囲のφ方向(
図2)の上限と下限の少なくとも何れかを含むものであってもよい。
【0076】
基準方向(θ0φ0)は、情報の種別が全周囲画像(画像A)である場合に適用される。例えば、周囲画像取得部422は、空間モデルMに画像を割り付ける際に、基準方向θ0φ0に基づいて全周囲画像(画像A)の起点の位置を調整する。基準方向θ0に基づいて調整する場合、画像の方向が3次元仮想空間における方向に合うように、鉛直方向のz軸(
図2)周りに画像を回転して、画像の方向を調整する。基準方向φ0に基づいて調整する場合、画像の方向が3次元仮想空間における方向に合うように、φ(
図2)方向に画像を移動して、画像の方向を調整する。基準方向(θ0φ0)は、調整が必要となる場合の補正角であり、調整による補正を行わない場合には、その値を0にする。
【0077】
管理情報は、収集情報の内容に対するステータスなどの情報である。例えば、収集情報の種類が画像情報である場合、最新の情報であるか否かのフラグ、更新の要否のフラグなどを含む。収集情報の種類がテキストである場合、その内容に応じた対応策の進捗などを含む。対応策の進捗は、対策方針の検討中、対策方針が決定された後に、対策についての対応準備中、対応中、対応済み、などの各種段階を示すものであってもよい。
ユーザIDは、収集情報412に情報を書き込む処理を実施させたユーザの識別情報である。
【0078】
データの幾つかの例について説明する。例えば、指定情報取得部421は、空間モデルIDを「1001」、データ識別IDを「FP001」として参照される全周囲画像(画像A)のデータを、ユーザU1の操作に基づいて撮像装置100から取得して、ユーザIDを「U1」とし、上記の各データを収集情報412に追加する。
【0079】
例えば、周囲画像取得部422は、実空間における観測点の周囲画像を、撮像装置100などから取得して、収集情報412に追加する。
図12に示すように、周囲画像取得部422は、空間モデルIDを「1001」、データ識別IDを「FD002」として参照される図面のデータを、運用管理システムなどの外部装置から取得して、上記の各データを収集情報412に追加する。
【0080】
また、例えば、指定情報取得部421は、空間モデルIDを「1001」、データ識別IDを「FP011」として参照される画像Cのデータを、ユーザU1の操作に基づいて撮像装置100から取得して、ユーザIDを「U1」とし、上記の各データを収集情報412に追加する。
【0081】
なお、「FP101」として参照される周囲画像は、全周囲画像(画像A)ではなく、組み合わせることにより全周囲画像になる「未組合せ画像(画像B)」である。例えば、周囲画像取得部422は、上記の「FP101」として特定される未組合せ画像(画像B)を組み合わせて、FP102として特定される全周囲画像(画像A)を生成する。周囲画像取得部422は、生成されたFP102の全周囲画像(画像A)を、収集情報412に追加する。
【0082】
収集情報412には、上記の画像A、画像B、画像Cなどの他にも、情報の種別が画像とは異なる情報が、上記の画像と同様に追加される。
【0083】
上記の通り、指定情報取得部421と周囲画像取得部422は、実画像取得部の一例である。指定情報取得部421と周囲画像取得部422は、実空間における観測点の周囲の状況を示す周囲画像(全方位画像など)を取得する。
【0084】
表示制御部423は、対象範囲10に対応する実空間における観測点に対応する3次元仮想空間における基準点Rの位置と、その基準点Rの周りに設けられた射影面Sを見込む位置VPの双方が所定の範囲内に収まるように、基準点Rの位置と射影面Sを見込む位置VPの3次元仮想空間における位置を調整する。
図13は、実施形態に係る3次元仮想空間における基準点R、射影面S、射影面Sを見込む位置VPの関係を示す図である。基準点Rの位置は、空間モデル情報411に基づいて決定される。射影面Sを見込む位置VPは、見込む位置情報413に基づいて決定される。例えば、基準点Rの位置と、射影面Sを見込む位置VPは、ユーザの端末装置100の操作に基づいて決定され、表示制御部423によって、空間モデル情報411と見込む位置情報413の情報が更新される。
【0085】
なお、上記の観測点に対応する3次元仮想空間とは、その観測点に対応する「空間モデルM(
図2)」を配置するための仮想の3次元空間のことである。
上記の基準点Rの周りに設けられた射影面Sは、基準点Rを基準に配置された中空の球体の表面における内側の面又は中空の円筒の側面における内側の面の少なくとも一部を含む。以下の説明において、基準点Rの周りに設けられた射影面Sは、中空の球体の内側の面を成すものとする。
【0086】
図14は、実施形態に係る空間モデルMを配置した3次元仮想空間を示す図である。基準点Rの周りに設けられた射影面Sは、基準点Rを中心とする球体の表面の一部又は全部である。例えば、基準点Rの周りに設けられた射影面Sは、その基準点Rに対応する空間モデルMの内面である。以下の説明において、上記の空間モデルMの内面のことを、単に射影面Sということがある。
【0087】
また、上記の所定の範囲とは、生成される表示画像の精度に影響のない範囲に相当する微小な範囲である。例えば、表示制御部423は、基準点Rの位置と射影面Sを見込む位置VPとを一致させてもよい。この場合、表示制御部423は、基準点Rの位置と射影面Sを見込む位置VPを、空間モデル情報411を参照して、観測点の実空間上の位置に対応する位置に定めてもよい。
【0088】
表示制御部423は、射影面Sに射影された周囲画像(
図5参照)と3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像(
図8参照)とを対応付ける。表示制御部423は、対応付けた周囲画像と仮想空間画像とにおいて、周囲画像を表示する表示領域と、仮想空間画像を表示する表示領域のそれぞれに共通する領域が含まれる表示画像を、BIM300によって生成させるようにBIM300を制御する。なお、上記の共通する領域とは、例えば、対象範囲10内の一部であって、表示画像に基づいて検討、検証などを実施する対象物を含む領域のことである。
【0089】
表示制御部423は、基準点Rの位置又は射影面Sを見込む位置VPを基準に位置を定め、その定めた位置から見込む仮想構造物を仮想空間画像に示すように、仮想構造物に基づいた表示画像を、BIM300によって生成させるようにBIM300を制御する。表示制御部423は、予め、空間モデルMと、周囲画像と、仮想空間画像との3つの相対的な位置関係を調整する。その調整方法として下記が挙げられる。例えば、第1の調整方法として、表示制御部423は、空間モデルMに対して周囲画像の位置を調整し、その後に、3次元仮想空間に対する空間モデルMの方向を調整する。或いは、第2の調整方法として、表示制御部423は、空間モデルMに対する位置を、周囲画像と仮想空間画像とを独立に調整する。第3の調整方法として、表示制御部423は、まず周囲画像と仮想空間画像との相対位置を調整し、その後に、それらの画像を纏めて空間モデルMに対する位置を調整する。これらの何れかを実施することにより、表示制御部423は、少なくとも3次元仮想空間における周囲画像の代表点の方向を調整する。
【0090】
表示制御部423は、空間モデルMと、周囲画像と、仮想空間画像との3つの相対的な位置関係を調整した後に、周囲画像から抽出した範囲と仮想空間画像から抽出した範囲の双方に共通する範囲が含まれる表示画像を、BIM300によって生成するようにBIM300を制御する。表示制御部423は、周囲画像と仮想空間画像の少なくとも何れか一方を透過性のある透過画像に変換し、その透過画像を他方の画像に重なる位置に配置する。このような制御を受けて、BIM300は、上記の他方の画像を上記の透過画像越しに視認可能な表示画像を生成する。
【0091】
出力処理部427は、端末装置200からの要求に応じて、要求に対する所望の情報を端末装置200に対して出力する。
【0092】
[BIM300における処理について]
BIM300は、3次元仮想空間における3Dモデルのデータ登録、作図、描画、編集、表示等の処理を実施する。例えば、BIM300は、ユーザの操作などに従い、建物2などの構造物を数値化した3Dモデルを構築する。BIM300は、3Dモデルのデータ(以下、3Dモデルデータという。)を特定のファイル形式のデータにして、他のBIMソフト、CADソフト、ビューワーソフトなどを実行するコンピュータとそのデータを共有することができる。
【0093】
本実施形態におけるBIM300は、数値情報として登録された数値データの他に、撮像装置100などにより撮像された画像データを取得して、描画などの処理に利用する。実施形態のBIM300は、例えば、全天球画像、正距円筒図法などの画像のデータを利用する。BIM300は、対応する関係にある全天球画像と3Dモデルデータによる画像とを同じ視点上で重ね合わせる。例えば、全天球画像のデータには、現状の壁面の利用状況が含まれている。一方、3Dモデルデータには、壁面の利用状況についての詳細な情報が含まれていないものとする。BIM300は、画像情報として取得した「現状」の情報と、3Dモデルデータによる「数値データ」、「幾何学モデルデータ」などの情報を組み合わせることで、各データに不足している情報を互いに補う。ユーザは、この結果として得られた画像から、状況を直感的に認識することができ、更には、数値データに基づいた客観的なデータを得ることができる。
【0094】
BIM300は、全天球画像データと3Dモデルデータのそれぞれに基づいた画像を描画する際には、3点透視図法と2点透視図法の何れかのパースペクティブ(透視図法)に揃える。BIM300は、全天球画像データと3Dモデルデータのパースペクティブを揃えて、3次元仮想空間における画像を合成する。
【0095】
(BIM300が表示する画像情報)
ところで、BIM300が3次元仮想空間で扱うデータ(3Dモデルデータ)は、3次元形式である。一方、撮像装置100などにより生成される全天球画像は、2次元形式の情報である。全天球画像を面に表示することは容易であるが、そのまま3次元形式の情報として利用できるものではない。このように全天球画像と3Dモデルデータの2つのデータのデータ構造が異なり、そのまま合成することは困難である。
【0096】
そこで、本実施形態のBIM300は、3次元仮想空間におけるオブジェクトの面に、2次元形式の画像のデータをマッピングすることで、上記の形式が互いに異なるデータを利用可能にする。
以下に一例として示す3次元仮想空間におけるオブジェクトは、中空の球体(空間モデルM)であり、前述の空間モデルMに相当する。BIM300は、この球体の表面の内側に、2次元形式の画像のデータをマッピングする。
【0097】
(BIM300が表示する画像の範囲)
BIM300による表示範囲を、広角にするほど画像にゆがみが生じる。通常視認される画像(標準的な画角の画像)との差が生じると不自然さが出る。これに対して、表示範囲を標準にすれば、画像に生じたゆがみが目立つことはなく、空間認識が容易である。
【0098】
BIM300は、全天球画像と3Dモデルデータに基づく画像の双方を、仮想の球体の表面の内側にマッピングして、それぞれのデータに基づいて描画する。BIM300が仮想の球体表面の一部を選択して、選択した範囲を2次元の画像(2Dビュー)として表示する。上記の通り、球体の表面の内側(射影面S)にマッピングされた画像を切り出して、2次元の画像として表示するが、球体の中心に射影面Sを見込む位置VPを配置していることにより、射影面Sが曲面であることによる歪の発生は軽減する。
【0099】
BIM300は、表示制御部423からの制御により、例えば、全天球画像(周囲画像)から抽出した範囲と、3Dモデルデータに基づく画像(仮想空間画像)から抽出した範囲の双方に共通する範囲が含まれる表示画像を生成してもよい。
【0100】
なお、BIM300は、表示制御部423からの制御により、周囲画像と仮想空間画像の少なくとも何れか一方を透過性のある透過画像に変換してもよい。例えば、BIM300は、その透過画像を他方の画像に重なる位置に配置する。これにより、BIM300は、上記の他方の画像を上記の透過画像越しに視認可能とする表示画像を生成する。
【0101】
図15Aは、実施形態に係る情報可視化処理の一例を示すフローチャートである。現場の画像は、撮像装置100によって撮影される。
【0102】
まず、周囲画像取得部422は、撮像装置100から画像を取得し(S11)、収集情報412に追加する。周囲画像取得部422は、S11において取得した画像が、写真データの合成を必要とする画像であるか否かを、収集情報412のデータ種別に基づいて判定する(S12)。写真データの合成が必要な画像とは、加工をせずに全周囲画像として扱うことができない画像のことである。写真データの合成を必要とする画像である場合には(S12:YES)、周囲画像取得部422は、取得した複数の画像を組み合わせて、画像を撮像した観測点を基準にした全周囲画像を生成し(S13)、生成した画像を、その種別が全周囲画像であるものとして収集情報412に追加する。
【0103】
写真データの合成を必要とする画像ではない場合(S12:NO)、又は、S13における処理を終えた後に、指定情報取得部421は、BIM300からの情報に基づいて、対象範囲10の3Dモデルデータの有無を判定する(S14)。対象範囲10の3Dモデルデータが無い場合(S14:NO)には、指定情報取得部421は、3Dモデルデータを生成するように制御する(S15)。例えば、指定情報取得部421は、BIM300を制御して、BIM300により3Dモデルデータを生成させる。
【0104】
なお、比較例のBIMには、3Dモデルデータとして様々なデータが揃わないと既存の状況を表すことはできないものとされるものがある。これに対し、本実施形態のBIM300は、3Dモデルデータとして、検討の目的に関連する最低限の既存要素(既設物)の情報が含まれていればよいものである。例えば、部屋などの内装についての情報を整理する目的であれば、部屋の形状を示す情報が入力されていればよい。例えば、2次元図面(2D図面)に内壁面、天井面、床面を示すことで、部屋の形状を示すことができる。その部屋に設けられている窓や設備などの情報は必須の情報としない。これらの情報は、後述する画像を重ねる処理で補完される。
【0105】
対象範囲10の3Dモデルデータが有る場合(S14:YES)、又は、S15における処理を終えた後に、指定情報取得部421は、撮像装置100又は端末装置200から観測点の位置を取得する(S16)。
【0106】
次に、指定情報取得部421は、空間モデル情報411に登録されている空間モデルMのうちに所望の空間モデルMが有るか否かを判定する(S17)。空間モデル情報411内に所望の空間モデルMが無いと判定した場合(S17:NO)、指定情報取得部421は、空間モデルMを空間モデル情報411の観測ポイントに追加する(S18)。指定情報取得部421は、BIM300を制御して、BIM300により空間モデルMを3Dモデルデータに追加する。
【0107】
空間モデル情報411内に所望の空間モデルMが有ると判定した場合(S17:YES)、又は、S18における処理を終えた後に、表示制御部423は、周辺画像を加工する(S19)。例えば、カメラから出力された全周囲画像(正距円筒画像)の中央部が必ずしもカメラの正面に一致しないことがある。カメラの正面の向きを画像の起点にした全周囲画像(正距円筒画像)である場合には、表示制御部423は、データ上の起点の位置を補正する。表示制御部423は、上記で決定した補正量を、収集情報412の「基準方向」に反映する。
【0108】
また、画像の範囲や大きさが、BIM300のデータとして利用することが適当ではない場合には、表示制御部423は、BIM300のデータとして利用できるように、予め定められた規格に従って画像の一部を抽出(トリミング)し、また、画像の大きさを調整するなどの加工を、周辺画像に対して施す。表示制御部423は、上記で決定した調整量を、収集情報412の「画角」に反映する。
【0109】
次に、表示制御部423は、空間モデル情報411に登録されている空間モデルMのうちから所望の空間モデルMを選択し、選択された空間モデルMに、収集情報412から選択された周辺画像(全周囲画像)を合成する(S20)。なお、空間モデルMと、周囲画像と、仮想空間画像との3つに、相対的な位置にずれが生じている場合には、表示制御部423は、互いの位置関係を、空間モデルを基準にして調整してもよい。
【0110】
表示制御部423は、端末装置200に表示する画像の方向を定める視点の方向(視点方向)を、端末装置200から取得する(S21)。
表示制御部423は、観測点から視点方向を見込む画像を端末装置200に表示させる(S22)。
図16は、実施形態に係る観測点から視点方向を見込む画像の一例を示す図である。例えば、同図に示すように、対象範囲10内に新たに設置を予定する装置と既存の装置とが干渉することが、明らかになる。
【0111】
表示制御部423は、端末装置200からの指示に従い、視点方向が異なる他の方向を表示するか否かを判定し(S23)、他の方向を表示すると判定した場合には(S23:YES)、S21以降の処理を繰り返す。S23における判定処理により他の方向を表示すると判定しなかった場合には(S23:NO)、図示する一連の処理を終える。
【0112】
以上に示した処理により、情報提供支援装置400は、より簡易な方法で、ある観測点の位置の周囲の状況を共有可能にする。情報提供支援装置400を各種業務の用途に適用して、上記の画像に基づいて所望の情報を共有してもよい。
【0113】
なお、空間モデルMとして設定した射影面Sは、表示する画像を見込む基準点Rと、3次元仮想空間に設けられた仮想構造物とを結ぶ仮想の直線に交差するように設けられる。例えば、射影面Sの位置は、基準点Rと仮想構造物との間である。
【0114】
(第1の実施形態の変形例その1)
第1の実施形態の変形例その1について説明する。第1の実施形態では、周囲画像と仮想空間画像の少なくとも何れか一方を透過性のある透過画像に変換し、他方の画像を上記の透過画像越しに表示することについて説明したが、これに代えて、本変形例では、透過させずに表示することについて説明する。
【0115】
表示制御部423は、周囲画像と仮想空間画像の少なくとも何れか一方の画像から所定の抽出条件に基づいて一部を抽出し、抽出した部分画像を、他方の画像に重ねて配置する。例えば、壁面、床面、天井などで隠れる範囲に布設された屋内配線、配管などの情報が、BIM300に登録されているとする。表示制御部423が、周囲画像をBIM300に供給すると、BIM300は、供給した周囲画像を下敷きにして、屋内配線、配管などを抽出した部分画像を、その周囲画像の上に重ねて配置する。
或いは、上記の屋内配線、配管などの対象物を含む画像情報と、上記の対象物以外の範囲を示すマスク情報とが、BIM300に登録されているとする。表示制御部423が、周囲画像をBIM300に供給すると、BIM300は、供給した周囲画像を下敷きにして、対象物を含む画像情報のうち、マスク情報により指定される範囲以外を、その周囲画像の上に重ねて配置する。
【0116】
本変形例によれば、BIM300が抽出した部分画像を周囲画像に重ねて配置する表示画像を生成することが可能になる。なお、情報提供支援装置400は、上記の表示画像の生成を、BIM300を制御することによって実施するようにしてもよい。
【0117】
なお、情報提供支援装置400は、端末装置200からの制御を受けて、周囲画像と仮想空間画像の少なくとも何れか一方を透過画像に変換し、他方の画像を上記の透過画像越しに表示する第1表示モードと、本変形で例示した透過させずに表示する第2表示モードとを切り替えて、又は、両者を組み合わせて表示するようにしてもよい。
【0118】
(第1の実施形態の変形例その2)
第1の実施形態の変形例その2について説明する。第1の実施形態では、撮像装置100が正距円筒図法に基づく画像又は全周囲画像を周囲画像として撮像し、情報提供支援装置400は、周囲画像を生成する合成処理を不要とする場合を例示して説明した。これに代えて、本実施形態では、情報提供支援装置400は、撮像装置100から供給される複数の画像を合成して周囲画像を生成する合成処理を実施する場合を例示する。第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0119】
実施形態の撮像装置100は、超広角レンズ、広角レンズ、標準レンズなどを用いる。超広角レンズ、広角レンズ、標準レンズなどのレンズは、前述の第1の実施形態に示した魚眼レンズに比べて画角が狭い。超広角レンズ、広角レンズ、標準レンズを使用して全周囲を撮影する場合には、全周囲を3以上の複数に分割して撮像する。情報提供支援装置400は、これらの全周囲を3以上の複数に分割して撮像された画像を取得して、これらの画像を組み合わせる合成処理を施す。
【0120】
図17は、実施形態に係る撮像装置100から供給される複数の画像を合成する処理について説明するための図である。
【0121】
例えば、撮像装置100は、90度以上180度未満の画角を有する超広角レンズを利用して撮影した画像を用いて撮像する。撮像装置100は、光軸を、XC軸の正方向と負方向、YC軸の正方向と負方向、ZC軸の正方向と負方向のそれぞれに向けて、計6枚の画像を撮影する。なお、XC軸、YC軸、ZC軸は、点Cを原点とする直交座標である。この撮像装置100は、上記の各画像に、撮影時の光軸の方向、画像の向きに関する情報を付与してもよい。撮像装置100は、上記の各画像を、情報提供支援装置400に供給する。情報提供支援装置400は、取得した画像を、全周囲画像として、収集情報412に追加する。
【0122】
情報提供支援装置400は、観測点に対応する点Cを中心にして、取得した画像を同図に示すように配置する。
【0123】
例えば、XC軸の正方向の画像と負方向の画像を、XC軸に直交するように配置して、その位置をx軸の正方向と負方向にする。例えば、その位置を決定するXC軸の正方向と負方向の値を、絶対値が等しくなるようにする。つまり、C点からの距離が等しい位置にXC軸の正方向の画像と負方向の画像が配置される。YC軸に対応する画像、ZC軸に対応する画像も、上記のXC軸に対応する画像と同様にする。
【0124】
上記のように6枚の画像を配置することにより、点Cを囲む立方体が形成される。情報提供支援装置400は、立方体の各面の内側に描かれた画像を、空間モデルMとする球体の表面の内側に射影する。これにより、情報提供支援装置400は、空間モデルMに射影された全周囲画像を生成する。
【0125】
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と共通する効果を奏することの他に、撮像装置100から供給される複数の画像を合成して周囲画像を生成することができる。
【0126】
なお、上記の方法で撮影する際には、撮像装置100の位置を管理して、その光軸方向を正確に向けることが重要である。例えば、撮像装置100は、上記の各画像を撮影する際に、光軸の方向を、基準とする座標軸の方向に正確に向け、撮影時の位置が基準とする座標軸の原点の位置からずれないようにするとよい。
【0127】
(第1の実施形態の変形例その3)
第1の実施形態の変形例その3について説明する。第1の実施形態では、「(1-1)空間モデルMを利用する方法」と「(2-1)空間モデルMを利用する場合に、空間モデルMに沿って画像を回転して調整する方法」とを組み合わせた事例について説明した。本変形例では、「(2-1)空間モデルMを利用する場合に、空間モデルMに沿って画像を回転して調整する方法」に代えて、「(2-3)周囲画像の特徴点と、3Dモデルに基づいた画像の特徴点とが一致するように調整する方法」について説明する。第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0128】
前述の
図8に示す仮想空間の画像における点T1は、この仮想空間内の位置を特定する特徴を有する点である。これに対応する実空間の周辺画像、すなわち前述の
図4Aに示す画像内に、上記の点T1に対応する点T2が特定できるものとする。その点T2を、
図4A中に示す。
【0129】
例えば、
図15Aに示したS19の処理を終えた後、情報提供支援装置400は、撮像装置100から取得した情報に基づいて下記の処理をする。
撮像装置100は、上記の点T1、点T2に対応する実空間における点T3(
図1参照)の視覚的な特徴量を検出し、その特徴量を情報提供支援装置400に供給する。例えば、撮像装置100は、点T3を中心とする周囲の色、明るさ等から、点T3を特徴づけることができる特徴量(以下、特徴量Tという。)を決定する。
【0130】
制御部420は、実空間において検出された特徴量Tに基づいて、
図4Aに示す画像内の点として、特徴量Tから特定される点を抽出する。抽出された点が点T2になる。なお、制御部420は、上記の抽出のための処理を、画像処理のパターンマッチングなどの手法により実施してもよい。その際に、制御部420は、特徴量を強調するための処理として、色フィルタ、明るさ又は色成分ごとの2値化、輪郭強調、コントラスト調整、歪補正などの処理を適宜選択して、良好に特徴点が抽出できるような順に実施してもよい。
【0131】
制御部420は、ユーザにより指定された仮想空間の画像(
図8)中の点T1を取得する。制御部420は、上記の点T1の位置に点T2の位置が重なるように、空間モデルMに、周辺画像を合成する(S20)。なお、制御部420は、この合成の際に、周辺画像が空間モデルMにマッピングできるように調整する変換処理を実施してもよい。
【0132】
以降の処理は、前述したとおりである。
【0133】
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と共通する効果を奏することの他に、実空間における周囲画像と仮想空間における仮想空間画像とを、射影面を利用しないで関連付けることができる。
【0134】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、「(1-1)空間モデルMを利用する方法」と「(2-1)空間モデルMを利用する場合に、空間モデルMに沿って画像を回転して調整する方法」とを組み合わせた事例について説明した。これに代えて、第2の実施形態では、「(1-2)空間モデルMを利用しない方法」と「(2-2)周囲画像を3Dモデルに基づいた画像に射影して調整する方法」とを組み合わせた一例を挙げ、以下に説明する。第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0135】
図15Bは、実施形態に係る情報可視化処理の一例を示すフローチャートである。
【0136】
S11からS16までの処理は、
図15Aと同様である。S16までの処理を終えた後、表示制御部423は、端末装置200に表示する画像の方向を定める視点の方向(視点方向)を、端末装置200から取得する(S31)。
【0137】
制御部420は、所望の観測点から見込む画像になるように、S31において指定された視点の方向に基づいて全周囲画像の歪を補正する(S32)。全周囲画像の歪を補正する処理の詳細については後述する。
【0138】
制御部420は、歪補正後の画像の位置補正が必要か否かを判定する(S33)。
歪補正後の画像の位置補正が必要な場合、制御部420は、歪補正後の画像の位置補正を実施する(S34)。
【0139】
歪補正後の画像の位置補正が必要ではない場合、又は、S34の処理を終えた後、制御部420は、歪補正後の画像の位置補正を実施する(S34)。例えば、制御部420は、3次元仮想空間におけるオブジェクトの面に、2次元形式の画像のデータをマッピングする。制御部420は、自らの処理によって、歪補正後の画像の位置補正を実施する。或いは、制御部420は、BIM300を制御して、BIM300の処理により歪補正後の画像の位置補正を実施させてもよい。この場合、BIM300が、歪補正後の画像の位置補正を実施する。
【0140】
表示制御部423は、観測点から視点方向を見込む画像を端末装置200に表示させる(S35)。これにより、前述の
図16に示すような画像が生成され、対象範囲10内に新たに設置を予定する装置と既存の装置とが干渉することが、明らかになる。
【0141】
表示制御部423は、端末装置200からの指示に従い、視点方向が異なる他の方向を表示するか否かを判定し(S36)、他の方向を表示すると判定した場合には(S36:YES)、S31以降の処理を繰り返す。S36における判定処理により他の方向を表示すると判定しなかった場合には(S36:NO)、図示する一連の処理を終える。
【0142】
図18から
図20は、全周囲画像の歪を補正する処理を説明するための図である。
図18に、全周囲画像の画素構成を示す。この全周囲画像が、正距円筒図法によるものである場合、全周囲画像の縦横比は、1対2である。この全周囲画像は、縦v(ピクセル)・横u(ピクセル)の画素を有する。単位画素の偏平率が1であれば、横の画素数(u)は、縦の画素数(v)の2倍の画素数になる。画像の中心を原点とする2次元座標を定義する。
【0143】
全周囲画像内の任意の点PPの位置(u1,v1)を、下記の式(1)により極座標(r、θ、φ)に変換できる。
【0144】
θ=(u1/u)x360
φ=(v1/v)x360 ・・・(1)
【0145】
球の半径rを単位量にすることで、全周囲画像内の任意の点Pの位置(θ,φ)を、下記の式(2)に示すようにベクトルの式で示すことができる。
【0146】
PP=kP
PP=[u1 v1]T
k=[(360/u) (360/v)]
P=[θ φ]T
・・・(2)
【0147】
図19に、空間モデルMを示す球に射影された全周囲画像を、表示画像に射影する場合を例示する。
図19(a)は、空間モデルMを示す球と表示画像が射影される面(以下、表示面という。)を接するように配置した状態を示す。この図に示す例では、球が表示面にその原点O(0、0)で接している。空間モデルMを示す球上の点P(θ、φ)は、表示面上の点PP(x、y)に射影される。
図19(b)は、
図19(a)に示す状態を、表示面のy軸方向に沿って球の上方、つまり球の極方向から平面視した図である。同図からも明らかなように、xは、θの関数になる。その関係を式(3)に示す。
【0148】
x=Atanθ ・・・(3)
【0149】
上記の式(3)におけるAは、表示面に接する球の半径である。
【0150】
図19(c)は、
図19(a)に示す状態を、表示面のx軸方向に沿って球の側方、つまり球の極方向と直交する方向から見た立面図である。同図からも明らかなように、yは、φの関数になる。その関係を式(4)に示す。
【0151】
y=Atanφ ・・・(4)
【0152】
図20に、空間モデルMを示す球が表示面の原点O以外で接する場合を例示する。
図20は、
図19(b)に示した状態から、+x軸方向にΔxだけ移動した点で球が接している状態を示す。この場合のxとθの関係を式(5)に示す。
【0153】
x=Atan(θ0+θ) ・・・(5)
【0154】
式(5)におけるθ
0は、球の軸周りの回転角である。
同様に、
図19(c)に示した状態から、+y軸方向にΔyだけ移動した点で球が接している場合のyとφの関係を式(6)に示す。
【0155】
y=Atan(φ0+φ) ・・・(6)
【0156】
式(6)におけるφ0は、球をx軸方向に平行な軸周りに回転した際の回転角である。
【0157】
上記の通り、本実施形態で示した関係式を利用することにより、全周囲画像上の位置を、表示面に射影することができる。この処理により、全周囲画像の歪を補正した画像を算術的な方法で補正することができる。
【0158】
上記の実施形態によれば、第1の実施形態と共通する効果を奏することの他に、実空間における周囲画像と仮想空間における仮想空間画像とを、空間モデルMの射影面を利用しないで関連付けることができる。
【0159】
少なくとも上記の何れかの実施形態によれば、情報提供支援装置400は、実空間における観測点の周囲の状況を示す周囲画像を取得する実画像取得部(指定情報取得部421と周囲画像取得部422)と、その周囲画像を表示する表示領域と仮想空間画像を表示する表示領域のそれぞれに共通する領域が含まれる表示画像をBIM300に生成させる表示制御部423と、を備えるようにしたことにより、より簡易な方法で、ある位置の周囲の状況を共有可能にする。
また、表示制御部423は、実空間における観測点に対応する3次元仮想空間における基準点Rの位置と基準点Rの周りに設けられた射影面Sを見込む位置VPの双方が所定の範囲内に収まるように、基準点Rの位置と射影面Sを見込む位置VPの3次元仮想空間における位置を調整し、射影面Sに射影された周囲画像と3次元仮想空間における仮想構造物を示す仮想空間画像とを対応付けて、その対応付けた周囲画像を表示する表示領域と前記仮想空間画像を表示する表示領域のそれぞれに共通する領域が含まれる表示画像を画像生成部に生成させる。これにより、より簡易な方法で、ある位置の周囲の状況を共有可能にする。
【0160】
また、上記の実施形態によれば、BIM300に登録する情報は、3Dモデルとして利用する範囲の概略の情報であってよい。これにより、ユーザは、3Dモデルとして利用するのに必要とされる最小限の情報を作図するだけで、詳細な情報まで作図するのと同等の効果が得られる。
【0161】
また、上記の実施形態によれば、情報提供支援装置400は、実空間の現実の状態を、実空間で撮影した画像として取得する。情報提供支援装置400が3Dモデルにその画像を重ねた画像を提供することにより、ユーザは、3Dモデルとしてモデリングされた結果だけの情報よりも、現実の状態の見落としや思い込みを低減できる。
【0162】
また、上記の実施形態によれば、BIM300は、3Dモデルに寸法や、構成品の種別情報などの情報を付与する。情報可視化システム1は、実空間の現実の状態をBIM300上で容易に対比できるようにする。これにより、BIM300を利用する各種業務の効率を高めることができる。BIM300を利用する各種業務には、例えば、設計業務、監理業務、管理業務、数量算定などの積算業務などの寸法を利用する業務が含まれる。
【0163】
また、上記の実施形態によれば、情報可視化システム1は、実空間の現実の状態を反映したパース図(俯瞰図)を作成する。BIM300が、上記の空間モデルMを利用して、観測点の周囲画像の一部又は全部に基づいたパース図を作成することで、実空間の現実の状態を客観的に容易に判別できるようになる。
【0164】
さらに、そのパース図によって、直感的に理解しやすい情報を提供することが可能になる。特に、対象範囲10内に既存物があり、新たに設ける計画物と既存物との関係を示す場合などに有効である。上記のパース図によれば、計画物(新設物)と既存物との干渉が明らかになる。また、上記のパース図は、既存物を撤去する際にも、撤去後の状態を検討するうえで必要な情報をユーザに提供する。
例えば、設計者は、計画物(新設物)と既存物との干渉が無いように調整した後に、その計画を決定する。その計画を実施する場合の積算処理が必要とされる場合には、積算処理制御部426が、指定の範囲の積算処理をBIM300に実施させてもよい。その場合、表示制御部423は、その結果を取得して、積算情報414に追加する。
【0165】
さらに、上記のパース図は、対象範囲10の管理者、利用者などに上記の関係を示す場合などの説明用資料として適している。管理者、利用者などの説明を受ける説明会参加者にも説明が理解しやすくなり、その説明を納得してもらいやすくなる。また、説明会参加者が、質疑や議論の場に参加しやすくなり、その場で得られた説明会参加者の意見に基づいて、設計の改善を図ることが容易になる。
【0166】
また、上記の実施形態によれば、対象範囲10の画像を撮像装置100により撮影するという簡易な作業により、対象範囲10の正確な情報を漏らさずに得ることが可能になる。
撮像装置100に対する比較例として、現場の状況を点群情報として取得するレーザスキャナが知られている。情報可視化システム1は、壁面などの状況などを取得する際などに、レーザスキャナなどの特殊な装置を利用することなく、撮像装置100を利用することで必要とされる情報を容易に得ることができる。なお、情報可視化システム1は、上記のように簡易な作業を提供するものであり、維持管理の業務に適用してもよい。
【0167】
なお、情報可視化システム1は、維持管理の業務の他、建物2に対する設計業務、監理業務、管理業務など以外の業務や用途に適用可能である。
【0168】
以上、本発明の実施形態について説明したが、
図1に示す情報可視化システム1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSなども含むものとする。
【0169】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。例えば、各実施形態とその変形例に例示した手法は、例示した組合せ以外の組みにしてもよい。また、本発明の実施形態は、上記の実施形態を次のように変形したものとすることができる。
例えば、上記の実施形態では、本発明に関連する構成を便宜上、情報可視化システム1を、撮像装置100、端末装置200、BIM300、及び、情報提供支援装置400に分けて説明した。撮像装置100、端末装置200、BIM300、及び、情報提供支援装置400の分割を、上記に例示したものと変更してもよく、各装置同士を一体化してもよい。また、各装置に含まれる一部の構成を、他の装置の構成に含めて構成してもよい。
【0170】
なお、図に示したデータ構造は説明を容易にするために表の形式にしたものを示しているが、データ構造の形式は他の形式であってもよい。
【0171】
なお、上記の実施形態では、撮像装置100により撮影された実空間の画像を利用する方法について例示したが、これに代えて、建物などをモデル化した3次元モデルに基づいて生成された画像を利用してもよい。
【0172】
なお、情報可視化システム1は、建物2に対する設計業務、管理業務など以外の業務や用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0173】
1 情報可視化システム、100 撮像装置、200 端末装置、300 BIM(画像生成部)、400 情報提供支援装置、410 記憶部、411 空間モデル情報、412 収集情報、413 見込む位置情報、414 積算情報、420 制御部、421 指定情報取得部、422 周囲画像取得部(実画像取得部)、423 表示制御部、424 位置導出部、426 積算処理制御部、427 出力処理部。