IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グーグル インコーポレイテッドの特許一覧

特許7241932コリメータ構造に基づくディスプレイを介した画像化のために構成された発光型ディスプレイ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】コリメータ構造に基づくディスプレイを介した画像化のために構成された発光型ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230310BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20230310BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230310BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230310BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230310BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20230310BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20230310BHJP
   G03B 7/14 20210101ALI20230310BHJP
【FI】
G09F9/30 349C
G09F9/30 365
G09F9/302 C
G09F9/00 366A
G09F9/00 366Z
H05B33/14 A
H05B33/02
G02B5/00 C
G06F3/041 490
G03B7/14
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021577039
(86)(22)【出願日】2020-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020070535
(87)【国際公開番号】W WO2021051139
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】62/900,251
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,サンム
(72)【発明者】
【氏名】カリー,ジョティ
(72)【発明者】
【氏名】ビタ,イオン
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-259090(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214601(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293687(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0312321(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110061038(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110021640(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0024182(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0117728(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0125029(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H10K 50/00 - 99/00
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
G02B 5/00
G06F 3/041
G03B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルコンピューティングデバイスであって、
アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイと、
前記AMOLEDディスプレイの下に位置するセンサを有するカメラとを備え、前記センサが受信した光は、前記AMOLEDディスプレイの発光エリアの送信/受信領域を通過し、前記送信/受信領域は、前記発光エリアの他の領域よりも低い画素密度を有し、前記送信/受信領域を通過する可視光を回折させるように配置された回路要素を含み、
前記AMOLEDディスプレイは、
前記送信/受信領域に送信された光が前記回路要素に到達することを防止するために前記回路要素の上に位置決めされて前記回路要素と位置合わせされた不透明な部分の第1のパターンを含む第1の遮光層と、
前記第1の遮光層と前記カメラとの間の第2の遮光層とを含み、前記第2の遮光層は、前記第1のパターンと位置合わせされた不透明な部分の第2のパターンを含み、これにより、前記送信/受信領域に送信されて不透明な部分の前記第1のパターンによって回折された光の少なくとも一部は、不透明な部分の前記第2のパターンによって、前記カメラの前記センサに到達することを阻止される、モバイルコンピューティングデバイス。
【請求項2】
不透明な部分の前記第1のパターンは、光が前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る透過性開口を規定し、前記開口の横方向の大きさは、前記カメラによって画像化される光の波長よりも3倍大きい、請求項1に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記透過性開口を規定する前記第1のパターンの不透明な部分は、前記第2のパターンの不透明な部分よりも、前記開口を通過する中心軸の近くにあり、前記中心軸は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の伝搬方向に平行である、請求項2に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記第1のパターンの不透明な部分および前記第2のパターンの不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の前記伝搬方向から10度を超える角度で前記第1の不透明なパターンと前記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、前記第2の不透明なパターンによって、前記カメラに到達することを阻止されるように配置される、請求項3に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記第1のパターンの不透明な部分および前記第2のパターンの不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の前記伝搬方向から8度を超える角度で前記第1の不透明なパターンと前記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、前記第2の不透明なパターンによって、前記カメラに到達することを阻止されるように配置される、請求項3に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記第1のパターンの不透明な部分および前記第2のパターンの不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の前記伝搬方向から6度を超える角度で前記第1の不透明なパターンと前記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、前記第2の不透明なパターンによって、前記カメラに到達することを阻止されるように配置される、請求項3に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項7】
不透明な部分の前記第2のパターンは、前記AMOLEDディスプレイのTFT層を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項8】
不透明な部分の前記第1のパターンは、前記ディスプレイの画素と位置合わせされた前記送信/受信領域のエリア内に位置して、前記画素からの光が前記第1のパターンにおける開口を通って前記AMOLEDディスプレイから出て行くことを可能にする、請求項1~7のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記第1のパターンの前記不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイのタッチセンサ電極を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記タッチセンサ電極の少なくともいくつかは、90%を超える光吸収を有する材料によって被覆される、請求項9に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記送信/受信領域における前記回路要素は、電気信号を前記AMOLEDディスプレイ内の画素に提供するように構成された導電性線を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記導電性線の幅は、1ミクロンよりも大きい、請求項11に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であり、前記平行な導電性線同士の間の間隙は、5ミクロン未満である、請求項11または12に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であり、前記送信/受信領域における前記平行な導電性線のピッチは、前記AMOLEDディスプレイの他のエリアにおける平行な導電性線のピッチよりも小さい、請求項11から13のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記第2の遮光の不透明な部分は、電力および/または電気制御信号を前記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項16】
電力および/または電気制御信号を前記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線をさらに備え、前記第2の遮光の不透明な部分は、前記制御線の平面に位置する制御線を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記第1の遮光層は、前記第2の遮光層よりも小さな面積を有し、前記第2の遮光層は、前記第1の遮光層によって回折された光および前記制御線によって回折された光が前記カメラに到達することを阻止する、請求項1~16のいずれか1項に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項18】
アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイであって、
発光エリアの送信/受信領域を備え、前記送信/受信領域は、前記発光エリアの他の領域よりも低い画素密度を有し、前記送信/受信領域を通過する可視光を回折させるように配置された回路要素を含み、前記AMOLEDディスプレイはさらに、
前記送信/受信領域に送信された光が前記回路要素に到達することを防止するために前記回路要素の上に位置決めされて前記回路要素と位置合わせされた不透明な部分の第1のパターンを含む第1の遮光層と、
前記第1の遮光層と光が通過する前記AMOLEDディスプレイの部分との間の第2の遮光層とを備え、前記第2の遮光層は、前記第1のパターンと位置合わせされた不透明な部分の第2のパターンを含み、これにより、前記送信/受信領域に送信されて不透明な部分の前記第1のパターンによって回折された光の少なくとも一部は、不透明な部分の前記第2のパターンによって、前記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止される、AMOLEDディスプレイ。
【請求項19】
不透明な部分の前記第1のパターンは、光が前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る透過性開口を規定し、前記開口の横方向の大きさは、前記カメラによって画像化される光の波長よりも3倍大きい、請求項18に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項20】
前記透過性開口を規定する前記第1のパターンの不透明な部分は、前記第2のパターンの不透明な部分よりも、前記開口を通過する中心軸の近くにあり、前記中心軸は、前記AMOLEDディスプレイを通過する光の伝搬方向に平行である、請求項19に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項21】
前記第1のパターンの不透明な部分および前記第2のパターンの不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の前記伝搬方向から10度を超える角度で前記第1の不透明なパターンと前記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、前記第2の不透明なパターンによって、前記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止されるように配置される、請求項20に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項22】
前記第1のパターンの不透明な部分および前記第2のパターンの不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の前記伝搬方向から8度を超える角度で前記第1の不透明なパターンと前記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、前記第2の不透明なパターンによって、前記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止されるように配置される、請求項20に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項23】
前記第1のパターンの不透明な部分および前記第2のパターンの不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイを通過して前記カメラに至る光の前記伝搬方向から6度を超える角度で前記第1の不透明なパターンと前記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、前記第2の不透明なパターンによって、前記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止されるように配置される、請求項20に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項24】
不透明な部分の前記第2のパターンは、前記AMOLEDディスプレイのTFT層を含む、請求項18から23のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項25】
不透明な部分の前記第1のパターンは、前記ディスプレイの画素と位置合わせされた前記送信/受信領域のエリア内に位置して、前記画素からの光が前記第1のパターンにおける開口を通って前記AMOLEDディスプレイから出て行くことを可能にする、請求項18から24のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項26】
前記第1のパターンの前記不透明な部分は、前記AMOLEDディスプレイのタッチセンサ電極を含む、請求項18から23のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項27】
前記タッチセンサ電極の少なくともいくつかは、90%を超える光吸収を有する材料に
よって被覆される、請求項26に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項28】
前記送信/受信領域における前記回路要素は、電気信号を前記AMOLEDディスプレイ内の画素に提供するように構成された導電性線を含む、請求項18から27のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項29】
前記導電性線の幅は、1ミクロンよりも大きい、請求項28に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項30】
前記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であり、前記平行な導電性線同士の間の間隙は、5ミクロン未満である、請求項28から29のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項31】
前記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であり、前記送信/受信領域における前記平行な導電性線のピッチは、前記AMOLEDディスプレイの他のエリアにおける平行な導電性線のピッチよりも小さい、請求項28から30のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項32】
前記第2の遮光の不透明な部分は、電力および/または電気制御信号を前記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線を含む、請求項18から31のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項33】
電力および/または電気制御信号を前記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線をさらに備え、前記第2の遮光の不透明な部分は、前記制御線の平面に位置する制御線を含む、請求項18から32のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【請求項34】
前記第1の遮光層は、前記第2の遮光層よりも小さな面積を有し、前記第2の遮光層は、前記第1の遮光層によって回折された光および前記制御線によって回折された光が前記カメラに到達することを阻止する、請求項18から33のいずれか1項に記載のAMOLEDディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年9月13日に出願された米国出願番号第62/900,251号に対する優先権を主張し、米国出願番号第62/900,251号の開示は全文が本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、フラットパネルディスプレイに関し、より具体的にはディスプレイを介した画像化を可能にするモバイルデバイスのためのディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
モバイルデバイス(たとえば、携帯電話、タブレットなど)のより多くの面積を被覆するようにディスプレイを拡張することは、少なくともユーザエクスペリエンスの観点からは望ましいであろう。しかし、ディスプレイも含んでいるモバイルデバイスの側面に位置決めされた電気光学デバイス(たとえば、前面カメラ、光センサなど)は、ディスプレイを含んでいるデバイスの側面のスペースを得ようと競い合う可能性がある。いくつかの実現例において、電気光学デバイスは、アクティブな(すなわち、発光型)ディスプレイの一部の後ろに位置決めすることができ、これにより、電気光学デバイスを収容するためにディスプレイ面積を犠牲にしなくてもよく、ディスプレイの後ろに位置決めされたデバイスは、ディスプレイを通過する十分な周囲光を受信して周囲光の量を検知することができる。しかし、ディスプレイの後ろに位置するセンサによるディスプレイを介した画像化は、ディスプレイの回路素子によって著しく劣化し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一般的な局面において、モバイルコンピューティングデバイスは、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイと、上記AMOLEDディスプレイの下に位置するセンサを有するカメラとを含み、上記センサが受信した光は、上記AMOLEDディスプレイの発光エリアの送信/受信領域を通過する。上記送信/受信領域は、上記発光エリアの他の領域よりも低い画素密度を有し、上記送信/受信領域を通過する可視光を回折させるように配置された回路要素を含む。上記AMOLEDディスプレイは、第1の遮光層と、第2の遮光層とを含む。上記第1の遮光層は、上記送信/受信領域に送信された光が上記回路要素に到達することを防止するために上記回路要素の上に位置決めされて上記回路要素と位置合わせされた不透明な部分の第1のパターンを含む。上記第2の遮光層は、上記第1の遮光層と上記カメラとの間に位置し、上記第1のパターンと位置合わせされた不透明な部分の第2のパターンを含み、これにより、上記送信/受信領域に送信されて不透明な部分の上記第1のパターンによって回折された光の少なくとも一部は、不透明な部分の上記第2のパターンによって、上記カメラの上記センサに到達することを阻止される。
【0005】
実現例は、以下の特徴のうちのいずれかを単独でまたは互いに組み合わせて含み得る。
たとえば、不透明な部分の上記第1のパターンは、光が上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る透過性開口を規定してもよく、上記開口の横方向の大きさは、上記カメラによって画像化される光の波長よりも3倍大きい。
【0006】
上記透過性開口を規定する上記第1のパターンの不透明な部分は、上記第2のパターンの不透明な部分よりも、上記開口を通過する中心軸の近くにあってもよく、上記中心軸は、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の伝搬方向に平行である。
【0007】
上記第1のパターンの不透明な部分および上記第2のパターンの不透明なパターンは、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の上記伝搬方向から10度を超える角度で上記第1の不透明なパターンと上記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、上記第2の不透明なパターンによって、上記カメラに到達することを阻止されるように配置されてもよい。
【0008】
上記第1のパターンの不透明な部分および上記第2のパターンの不透明なパターンは、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の上記伝搬方向から8度を超える角度で上記第1の不透明なパターンと上記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、上記第2の不透明なパターンによって、上記カメラに到達することを阻止されるように配置されてもよい。
【0009】
上記第1のパターンの不透明な部分および上記第2のパターンの不透明なパターンは、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の上記伝搬方向から6度を超える角度で上記第1の不透明なパターンと上記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、上記第2の不透明なパターンによって、上記カメラに到達することを阻止されるように配置されてもよい。
【0010】
不透明な部分の上記第2のパターンは、上記AMOLEDディスプレイのTFT層を含んでもよい。
【0011】
不透明な部分の上記第1のパターンは、上記ディスプレイの画素と位置合わせされた上記送信/受信領域のエリア内に位置して、上記画素からの光が上記第1のパターンにおける開口を通って上記AMOLEDディスプレイから出て行くことを可能にしてもよい。
【0012】
上記第1のパターンの上記不透明な部分は、上記AMOLEDディスプレイのタッチセンサ電極を含んでもよい。
【0013】
上記タッチセンサ電極の少なくともいくつかは、90%を超える光吸収を有する材料によって被覆されてもよい。
【0014】
上記送信/受信領域における上記回路要素は、電気信号を上記AMOLEDディスプレイ内の画素に提供するように構成された導電性線を含んでもよい。
【0015】
上記導電性線の幅は、1ミクロンよりも大きくてもよい。
上記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であってもよく、上記平行な導電性線同士の間の間隙は、5ミクロン未満である。
【0016】
上記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であってもよく、上記送信/受信エリアにおける上記平行な導電性線のピッチは、上記AMOLEDディスプレイの他のエリアにおける平行な導電性線のピッチよりも小さい。
【0017】
上記第2の遮光の不透明な部分は、電力および/または電気制御信号を上記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線を含んでもよい。
【0018】
上記デバイスおよび/または上記ディスプレイは、電力および/または電気制御信号を上記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線を含んでもよく、上記第2の遮光の不透明な部分は、上記制御線の平面に位置する制御線を含む。
【0019】
第1の遮光層は、上記第2の遮光層よりも小さな面積を有してもよく、上記第2の遮光層は、上記第1の遮光層によって回折された光および上記制御線によって回折された光が上記カメラに到達することを阻止する。
【0020】
別の一般的な局面において、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイは、発光エリアの送信/受信領域と、第1の遮光層と、第2の遮光層とを含む。上記送信/受信領域は、上記発光エリアの他の領域よりも低い画素密度を有し、上記送信/受信領域を通過する可視光を回折させるように配置された回路要素を含む。上記第1の遮光層は、上記送信/受信領域に送信された光が上記回路要素に到達することを防止するために上記回路要素の上に位置決めされて上記回路要素と位置合わせされた不透明な部分の第1のパターンを含む。上記第2の遮光層は、上記第1の遮光層と光が通過する上記AMOLEDディスプレイの部分との間に位置し、上記第2の遮光層は、上記第1のパターンと位置合わせされた不透明な部分の第2のパターンを含み、これにより、上記送信/受信領域に送信されて不透明な部分の上記第1のパターンによって回折された光の少なくとも一部は、不透明な部分の上記第2のパターンによって、上記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止される。
【0021】
実現例は、以下の特徴のうちのいずれかを単独でまたは互いに組み合わせて含み得る。
たとえば、不透明な部分の上記第1のパターンは、光が上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る透過性開口を規定してもよく、上記開口の横方向の大きさは、上記カメラによって画像化される光の波長よりも3倍大きい。
【0022】
上記透過性開口を規定する上記第1のパターンの不透明な部分は、上記第2のパターンの不透明な部分よりも、上記開口を通過する中心軸の近くにあってもよく、上記中心軸は、上記AMOLEDディスプレイを通過する光の伝搬方向に平行である。
【0023】
上記第1のパターンの不透明な部分および上記第2のパターンの不透明なパターンは、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の上記伝搬方向から10度を超える角度で上記第1の不透明なパターンと上記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、上記第2の不透明なパターンによって、上記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止されるように配置される。
【0024】
上記第1のパターンの不透明な部分および上記第2のパターンの不透明なパターンは、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の上記伝搬方向から8度を超える角度で上記第1の不透明なパターンと上記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、上記第2の不透明なパターンによって、上記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止されるように配置される。
【0025】
上記第1のパターンの不透明な部分および上記第2のパターンの不透明なパターンは、上記AMOLEDディスプレイを通過して上記カメラに至る光の上記伝搬方向から6度を超える角度で上記第1の不透明なパターンと上記第2の不透明なパターンとの間を通過する光が、上記第2の不透明なパターンによって、上記AMOLEDディスプレイを通過することを阻止されるように配置される。
【0026】
不透明な部分の上記第2のパターンは、上記AMOLEDディスプレイのTFT層を含んでもよい。
【0027】
不透明な部分の上記第1のパターンは、上記ディスプレイの画素と位置合わせされた上記送信/受信領域のエリア内に位置して、上記画素からの光が上記第1のパターンにおける開口を通って上記AMOLEDディスプレイから出て行くことを可能にしてもよい。
【0028】
上記第1のパターンの上記不透明な部分は、上記AMOLEDディスプレイのタッチセンサ電極を含んでもよい。
【0029】
上記タッチセンサ電極の少なくともいくつかは、90%を超える光吸収を有する材料によって被覆されてもよい。
【0030】
上記送信/受信領域における上記回路要素は、電気信号を上記AMOLEDディスプレイ内の画素に提供するように構成された導電性線を含んでもよい。
【0031】
上記導電性線の幅は、1ミクロンよりも大きくてもよい。
上記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であってもよく、上記平行な導電性線同士の間の間隙は、5ミクロン未満である。
【0032】
上記導電性線のうちの2本またはそれ以上は、互いに平行であってもよく、上記送信/受信エリアにおける上記平行な導電性線のピッチは、上記AMOLEDディスプレイの他のエリアにおける平行な導電性線のピッチよりも小さい。
【0033】
上記第2の遮光の不透明な部分は、電力および/または電気制御信号を上記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線を含んでもよい。
【0034】
上記ディスプレイは、電力および/または電気制御信号を上記AMOLEDディスプレイ内のOLEDエミッタに提供する制御線をさらに含んでもよく、上記第2の遮光の不透明な部分は、上記制御線の平面に位置する制御線を含む。
【0035】
第1の遮光層は、上記第2の遮光層よりも小さな面積を有してもよく、上記第2の遮光層は、上記第1の遮光層によって回折された光および上記制御線によって回折された光が上記カメラに到達することを阻止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】モバイルコンピューティングデバイスの上(前)面を示す図であって、このモバイルコンピューティングデバイスは、前面の異なる部分を占めるディスプレイおよび光学デバイスを含む。
図1B】本開示の可能な実現例に係る、モバイルコンピューティングデバイスの上(前)面を示す図であって、このモバイルコンピューティングデバイスはディスプレイを含み、このディスプレイの送信/受信エリアの後ろに光学デバイスが位置決めされている。
図1C】本開示の可能な実現例に係る、モバイルコンピューティングデバイスの上(前)面を示す図であって、このモバイルコンピューティングデバイスはディスプレイを含み、このディスプレイの送信/受信エリアの後ろに光学デバイスが位置決めされている。
図2A】本開示の可能な実現例に係る、複数の光学デバイスを含むモバイルデバイスの側面断面図であって、各光学デバイスが発光型ディスプレイのそれぞれの送信/受信エリアの後ろに位置決めされている。
図2B】本開示の可能な実現例に係る、発光型ディスプレイの単一の送信/受信エリアによって位置決めされた複数の光学デバイスを含むモバイルデバイスの側面断面図である。
図3A】本開示の可能な実現例に係る、発光型ディスプレイの高解像度部分の画素および信号線の上面(正面)図である。
図3B】本開示の可能な実現例に係る、発光型ディスプレイの解像度低減部分の画素および信号線の上面(正面)図である。
図4図3Bに示される発光型ディスプレイの可能な側面断面図である。
図5図4の発光型ディスプレイを通過する光に対する推定される影響を示す図である。
図6A】回折なしで光から取り込まれた画像の一例を示す図である。
図6B】回折ありで光から取り込まれた画像の一例を示す図である。
図7】光が通過するためのクリアアパーチャを生成するための図3Bの発光型ディスプレイの解像度低減部分の信号線の可能な再配置を示す図である。
図8A】発光型ディスプレイの画素からの光が透過することを可能にしながら光が図7の再配置された信号線に到達することを防止するための不透明なパターンの上面(正面)図である。
図8B】発光型ディスプレイの画素からの光が透過することを可能にしながら光が図7の再配置された信号線に到達することを防止するための別の不透明なパターンの上面(正面)図である。
図9A】本開示の可能な実現例に係る、再配置された信号線の上に不透明層を含む発光型ディスプレイの解像度低減部分の側面断面図である。
図9B】本開示の可能な実現例に係る、再配置された信号線の上に不透明層を含む発光型ディスプレイの解像度低減部分の別の側面断面図である。
図9C】不透明な低反射率材料による被覆の一段階における金属タッチセンサ電極の側面断面図である。
図9D】不透明な低反射率材料による被覆の一段階における金属タッチセンサ電極の側面断面図である。
図9E】不透明な低反射率材料による被覆の一段階における金属タッチセンサ電極の側面断面図である。
図9F】不透明な低反射率材料による被覆の一段階における金属タッチセンサ電極の側面断面図である。
図10A】本開示の可能な実現例における、不透明層に使用することができるタッチセンサ層における電極の上面図である。
図10B図10Aのタッチセンサ層の一部(A-A′)の側面断面図である。
図11】本開示の可能な実現例に係る、再配置された信号線の下に不透明層を含む発光型ディスプレイの解像度低減部分の側面断面図である。
図12】不透明層を信号線の上に含み、かつ、ディスプレイ内の要素によって回折された光がディスプレイの下のカメラに到達することを防止する不透明なコリメーションまたはマスク層も信号線の上に含む発光型ディスプレイの側面断面図である。
図13】第1の不透明層を信号線の上に含み、かつ、ディスプレイ内の要素によって回折された光がディスプレイの下のカメラに到達することをさらに低減する下部不透明コリメーションまたはマスク層も含む別の発光型ディスプレイの側面断面図である。
図14】コリメーションまたはマスク層の例示的なパターンの上面図である。
図15】第1の不透明な遮光層を信号線の上に含み、かつ、ディスプレイ内の要素によって回折された光がディスプレイの下のカメラに到達することを防止するコリメーションまたはマスク層も信号線の下に含む別の発光型ディスプレイの側面断面図である。
図16】第1の不透明な遮光層を信号線の上に含み、かつ、ディスプレイ内の要素によって回折された光がディスプレイの下のカメラに到達することを防止するコリメーションまたはマスク層も信号線の下に含む別の発光型ディスプレイの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺に応じて描かれているとは限らず、互いに対して釣り合いがとれていない場合もある。それぞれの図全体を通して、同様の参照数字は、対応する部分を示す。
【0038】
詳細な説明
本開示は、モバイルデバイス(たとえば、携帯電話、タブレットなど)とともに使用することができるフラットパネルディスプレイについて説明する。モバイルデバイスの前面は、一般にグラフィックユーザインターフェイス(GUI)として動作するディスプレイと、デバイスの外側のエリアのためのセンサ/エミッタとして動作し、デバイスの前面に対向する1つまたは複数の光学デバイスとを含む。1つまたは複数の光学デバイスは、さまざまな機能のために構成され得て、これらの機能としては、照明状態の検知(たとえば、光センサ)、デバイスに対する物体の近接の検知(たとえば、近接センサ)、画像の取り込み(たとえば、前面カメラ)および/または光の提供(たとえば、フラッシュ)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。光学デバイスは、ディスプレイの一部の下に位置することができ、これにより、光学デバイスをモバイルデバイスの前面に収容するためにディスプレイ面積を犠牲にしなくてもよい。回路および光学マスクをモバイルデバイス内に配置することができ、これにより、モバイルデバイスの従来の構成と比較して、ディスプレイを通過して光学デバイスに至る光の回折が低減される。
【0039】
従来、ディスプレイおよび光学デバイスは、モバイルデバイスの前面の別々のエリアを占めてきた。たとえば、図1Aは、前面の異なる部分を占めるディスプレイ110およびカメラ111を有するモバイルデバイス101を示す。発光型ディスプレイ技術(たとえば、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED))における最近の進歩により、ディスプレイ110の発光(すなわち、アクティブ)エリア110aをモバイルデバイス101の端縁の方に(たとえば、端縁まで)拡張することが容易になる。ディスプレイ110のアクティブエリアをモバイルデバイス101の端縁の方に拡張することによって、ユーザは、大型デバイスの欠点なしに大型ディスプレイの利点を得ることができる。
【0040】
開示されている発光型ディスプレイは、モバイルデバイスの前面を1つまたは複数の光学デバイスと共用することにより、光学デバイスのための間隙をディスプレイに残す必要なしにディスプレイのアクティブエリアを端縁まで拡張することができるように構成されている。したがって、1つまたは複数の光学デバイスを被覆する開示されているディスプレイの1つまたは複数の部分は、ディスプレイの後ろに位置決めされた光学デバイスが、ディスプレイを介して電磁放射(たとえば、光)を送信または受信できるように構成され得る。
【0041】
図1Bは、ディスプレイ112がデバイスの端縁の方に拡張されたモバイルデバイス102を示す。光学デバイスのために取っておいたエリアからディスプレイが排除されているモバイルデバイスとは異なって、ディスプレイ112の発光(すなわち、アクティブ)エリア112aは、実質的に前面全体にわたって延在している。したがって、モバイルデバイス102の前面の全体ではないにしてもほとんど全てを使用して、カラー、白黒またはグレースケール画像、グラフィックスおよび/または文字を表示することができる。ディスプレイ112の発光エリア112aは、送信/受信エリア120を含み、この送信/受信エリア120の後ろに(すなわち、下に)光学デバイス(または、複数の光学デバイス)が配置されてもよく、この送信/受信エリア120を光が通過して光学デバイスによって受信されることができ、および/または、この送信/受信エリア120を介して光学デバイスからディスプレイ112の外側に光を伝えることができる。
【0042】
送信/受信エリア120のサイズ、形状および/または位置は、さまざまに実現され得る。たとえば、図1Bに示される送信/受信エリア120は、丸みを帯びた(たとえば、円形)形状を有しており、ディスプレイ112の端縁から離れて位置決めされている。そうである必要はない。実際、さまざまな形状および/または位置には利点(たとえば、信号ルーティング、製造上の複雑さの低減など)が存在し得る。たとえば、図1Cに示される送信/受信エリア122は、形状が長方形であり、モバイルデバイス103のディスプレイ113の発光エリア113aの端縁に沿って位置決めされている。この実現例では、送信/受信エリア122の水平端縁および垂直端縁は、導電性信号線の水平方向および垂直方向に対応し得て、ディスプレイ113における発光画素の格子配置に対応し得る。さらに、図1Cにおける送信/受信領域122のサイズは、図1Bのものよりも大きいであろう。
【0043】
図2Aは、複数の送信/受信領域220A,220Bを備えたディスプレイ212を有するモバイルデバイスの側面断面図である。このモバイルデバイスは、複数の光学デバイス240A,240Bを含み、各光学デバイスは、送信/受信領域のうちの1つの後ろに位置決めされている。いくつかの実現例において、複数の(たとえば、3つの)光学デバイスは、これら複数のデバイスを全て収容するのに十分な大きさの単一の送信/受信領域の後ろに位置決めされてもよい。図2Bは、複数の光学デバイス240A,240B用の単一の送信/受信領域を備えたディスプレイ212を有するモバイルデバイスの側面断面図である。
【0044】
光学デバイス240A,240Bは、送信/受信領域220A,220B,220Cを介して電磁放射225を送信および/または受信し得る。本開示は、一般に、電磁放射(たとえば、ミリ波、電磁スペクトルの可視または赤外部分からのもの)を送信または受信するように構成されたいかなる光学デバイスにも適用可能であるが、本開示全体を通して、可視光および/または赤外光を受信するように構成されたカメラの特定の実現例が検討される。
【0045】
ディスプレイ212の送信/受信領域220A,220B,220C(すなわち、一部)は、ディスプレイの残りの部分とは異なる画素密度および/または画素配置を有し得る。たとえば、ディスプレイの残りの部分の表示領域は、ディスプレイの送信/受信部分220A,220B,220Cの画素解像度よりも高い画素解像度を有してもよい。
【0046】
図3Aは、発光型ディスプレイの高解像度部分における、画素のLED302と、電気信号をLED302に提供する導電性信号線304とを示し、図3Bは、複数の発光サブ画素302,304,306と、これらのサブ画素を駆動する画素回路に電気信号を提供する導電性信号線314とを含む発光エリア312を含む発光型ディスプレイの解像度低減部分を示す。図3Aおよび図3Bにおいて、ディスプレイ内の画素は、さまざまな色を発する複数の発光要素(たとえば、発光ダイオード)を含み得て、これにより、さまざまな要素からの光量を混合することによって全ての目に見える色を画素によって生成することができる。たとえば、いくつかの実現例では、画素は、赤色LED302と、青色LED304と、2つの緑色LED306とを含み得る。図3Bに示されるディスプレイの解像度低減部分は、図3Aに示されるディスプレイの高解像度部分よりも多くの光がディスプレイを通過することを可能にし得る。その理由は、ディスプレイの通常解像度部分よりも、ディスプレイの解像度低減部分に設置された非透過性要素(信号線314、発光エリア312およびトランジスタなど)の数が少ないからである。それでもなお、ディスプレイを通過する光は、いくつかの画素、および、垂直(y)方向に延びるいくつかの信号線342または水平(x)方向に延びる信号線343と相互作用する場合があり、ディスプレイを通り抜ける光の伝搬に影響を及ぼし得る。
【0047】
図4は、図1Bまたは図1Cのモバイルデバイスとの併用に適した発光型ディスプレイ400の側面断面図である。いくつかの実現例において、ディスプレイ400は、AMOLEDディスプレイであり得る。本開示の原理は、さまざまな他のディスプレイ技術に適用可能であるが、本開示全体を通してAMOLEDディスプレイの実現例が検討される。
【0048】
図4に示されるように、AMOLEDディスプレイ400は、複数の層を含む。これらの層は、モバイルデバイス400の前面を形成することができるカバーガラス層410の後ろに(すなわち、下に)位置決めされている。可能な実現例において、ディスプレイ400は、ディスプレイから発せられた光の視覚的品質(たとえば、コントラスト)を向上させることができる偏光フィルム層415を含み得る。ディスプレイ400は、タッチセンサ電極422を含むタッチセンサ層420も含み得る。ディスプレイの個々の画素437は、カソード層430、OLEDエミッタスタック435、およびアノード層436の別個の要素から形成されることができる。アノード層436の要素は、OLEDエミッタスタック435からアノードの方に発せられた光がアノードから反射されて、アノード層436から垂直(z)方向に向けられるように、反射性であり得る。アノード層436の要素は、薄膜トランジスタ(TFT)構造440に結合されることができ、TFT構造440は、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、導電性信号線442を介して送信される電気信号によって制御可能である。ディスプレイ400は、SiNxまたはSiONxの障壁層445と、ポリイミド(PI)の基板層450とをさらに含み得る。
【0049】
ディスプレイ400の層は、透過性回路要素および非透過性回路要素を含み得る。たとえば、TFT構造440、画素437、信号線442および/またはタッチセンサ電極422は全て、光がディスプレイ400を通り抜けて伝搬することを阻止することができる。光は、非透過性(すなわち、不透明な)回路要素によって反射または吸収されることができる。さらに、これらの回路要素は、光が相互作用し得る間隙(すなわち、スリット)を回路要素同士の間に規定し得る。たとえば、光は、同一の層の中の隣接する回路要素同士の間に形成された間隙によって回折され得る。光線300の波長に対する間隙の寸法は、この間隙が光に対して及ぼす影響を決定し得る。間隙を通過する光の波長よりもはるかに広い間隙は、光がこの間隙を通過するので光に対してほとんど影響を及ぼさない。しかし、間隙を通過する光の波長よりも小さいか、または同程度(たとえば、3倍未満)の幅を有する間隙は、間隙を通過する光に対してより大きな回折効果を及ぼし得る。光は、さまざまな層における回路要素同士の間の間隙によっても回折され得るが、その効果は、同一の層の要素に起因する回折よりも弱いであろう。たとえば、いくつかの実現例では、平行な信号線442を3~12ミクロンの中心間ピッチで隣り合って並べることができ、隣接する信号線間の間隙の幅は1~10ミクロンである。同様に、信号線442に加えて、非透過性要素(たとえば、キャパシタ、TFT構造440、画素437、タッチセンサ電極422など)によって規定される間隙およびスリットも、光がディスプレイを通り抜けてカメラまで伝搬するときに光を回折させ得る。
【0050】
図5は、ディスプレイ500の一部の側面断面図であって、光がディスプレイ内の回路要素によって回折されている。示されているように、光線(すなわち、光)502Aは、実質的に変更されることなく、タッチセンサ電極522Aと522Bとの間および画素537Aと537Bとの間を通過し得るが、タッチセンサ電極522A,522Bおよび画素537A,537Bの端縁では光の回折の制限が発生する可能性がある。しかし、光502Aは、非透過性要素(たとえば、2つの隣接する導電性信号線542A,542B)同士の間の間隙の寸法が光の波長未満であるか、またはおよそ光の波長である場合には、それらの非透過性要素同士の間に形成された間隙(すなわち、スリット)によって回折され得る。したがって、回路要素の他の組み合わせによって形成された間隙が好適な寸法を有しているという前提で、光は、これらの形成された間隙によって回折され得る。たとえば、光502Bは、信号線542CとTFT構造540との間に形成された間隙によって回折され得る。
【0051】
光が光線の集合であると考えられる場合、回折は、回折された光線520A,520Bがある回折角度にわたって分散されるようにこれらの光線の集合における光線の一部の角度を効果的に変化させることであると理解することができる。一般に、ディスプレイにおける間隙が狭くなると、回折角度は大きくなる。したがって、ディスプレイの解像度が高くなると、ディスプレイを通過する光の回折がより顕著になり得る(すなわち、回折角度が大きくなり得る)。なぜなら、これらのディスプレイにおける導電性制御線の密度は高く、これらのディスプレイにおける制御線同士の間の間隙は小さいからである。
【0052】
ディスプレイ500の後ろに(すなわち、下に)位置決めされたカメラは、物体からの光をセンサ(たとえば、CMOS、CCDアレイ)上に集束させるためにレンズに依拠しており、センサ表面は、このレンズの焦点面として位置している。しかし、ディスプレイを通過してレンズに至る光線がディスプレイ内の不透明な要素によって回折されると、多くの光線は、センサの表面上に集束されるのではなく、センサ表面の上または下に有効焦点面を有することになる。その結果、ディスプレイを通過する光から取り込まれた画像は、回折によって歪められる可能性がある。
【0053】
図6Aは、回折なしで取り込まれた物体(すなわち、三次元モデル頭部)のシミュレーション画像602を示し、図6Bは、既存のディスプレイパネルのうちの1つを介した回折ありで取り込まれた頭部の写真604を示す。示されているように、回折光を含む光で形成された画像は、激しく劣化しており、回折光線のためにかすんでいるように見える。本開示の一局面は、ディスプレイを介して取り込まれた画像の品質を向上させる(すなわち、画像のかすみを低減する)ために、ディスプレイパネル構造によって引き起こされる回折を低減するというものである。
【0054】
本開示は、カメラの上に(すなわち、前に)位置決めされると、カメラに到達することにより画像歪みを生じさせる光の量を減少させることによって画像化を容易にする送信/受信領域120を有するディスプレイについて説明している。これは、より多くの光がディスプレイを通過することができるように送信/受信領域内の画素(図3Bを参照)の数を減少させる(すなわち、ディスプレイの他のエリアと比較して減少させる)ことによって部分的に実現することができる。送信/受信エリア内の画素は、規則的に(たとえば、格子パターンで)配置されている場合もあれば、不規則に配置されている場合もある。送信/受信エリアにおける単位面積当たりの画素の数は、ディスプレイ画面の残りの部分(たとえば、高解像度エリア)のものよりも少ないであろう。言い換えれば、送信/受信エリア内の画素の一部は、残りの画素がディスプレイの他の部分の画素よりもさらに離間されるように除去することができる。このアプローチだけでは、依然として、光は回路要素(たとえば、導電性信号線442,542)同士の間に形成された間隙から回折し得る。したがって、本開示は、スループットを増加させて回折を減少させるために、(他の領域と比較して)送信/受信領域のさらに他の変更を含む。
【0055】
さらに他の変更は、光の大部分を回折なしに伝搬させることができる不透明な要素を持たない大きなエリアを提供するように設計された態様で信号線をディスプレイ110,112の送信/受信エリア120内の画素にルーティングすることを含む。図7は、ディスプレイの送信/受信エリアの導電性制御線の可能な配置を示す。この例示的な画素配置における各々の2×1クラスタ化画素747は、合計4つのサブ画素、すなわち1つの赤色サブ画素(たとえば、左上)、2つの緑色サブ画素(たとえば、左下および右下)、および1つの青色サブ画素(たとえば、右上)を含み得て、これらのサブ画素は、異なる色の光を発することができる個々のOLEDエミッタに対応する。たとえば、任意の色の光を発することができるディスプレイの画素は、少なくとも3つの異なる色を有する光を発する3つまたはそれ以上のサブ画素を含み得て、それらの異なる色の強さは制御可能であり、これにより、混合した場合に、複数のサブ画素からの光は、任意の色を有する光を生成することができる。サブ画素は、信号を画素に送って画素の照度を制御する導電性制御線742によってアドレス指定される。図7では、左側は、再配置されていない信号線を有するディスプレイの解像度低減部分であり、右側は、開口710を作成するために再配置された(たとえば、束ねられた)信号線を有するディスプレイの解像度低減部分である。開口710は、光が通過して、ディスプレイの後ろに位置決めされた光学デバイス(または、複数のデバイス)に到達することができる実質的にクリアなアパーチャを提供する。言い換えれば、開口710は、画素または光を回折させ得る他の回路要素を持たない。再配置された信号線は、依然として、光を回折させ得る間隙を形成し得る。いくつかの実現例において、開口710を形成するために、ディスプレイの解像度低減部分における画素密度が約165ppi未満であっても(すなわち、画素が隣接する画素から約150ミクロン離間されていても)、隣接する平行な信号線が互いに約5ミクロン未満離れるように信号線を配置することができる。いくつかの実現例において、平行な制御線のピッチ(すなわち、中心間距離)は、ディスプレイの他の高解像度部分よりもディスプレイの低解像度部分の方が小さくなり得る。
【0056】
上記のように、回路要素は、光を回折させ得る間隙(すなわち、スリット)を形成し得て、(たとえば、送信/受信領域に開口を作成するために)強制的に回路要素(たとえば、制御信号線)を束ねられたより小さな領域にすることにより、回折が増大する可能性がある。しかし、回折光がカメラに到達することを低減するために、有害な回折を引き起こすであろうディスプレイの回路要素に向けられた光は、回路要素に到達する前に、または回路要素によって回折された後であるがカメラに到達する前に(すなわち、回路要素を通過した後に)阻止されることができる。したがって、開示されているディスプレイの一局面は、回路要素によって形成された光回折間隙を通り抜けて伝搬する前または後に光を阻止するように送信/受信エリア内の回路要素と位置合わせされた不透明なパターンを含む遮光層を含む。
【0057】
図8Aは、光がディスプレイ内の不透明な要素同士の間の間隙を通過することを阻止して、これらの間隙による光の回折を回避するように構成された不透明なパターン800の上面図である。不透明なパターン800は、図7に示されるディスプレイ部分の一部の回路要素(たとえば、信号線)のパターンに対応し、それに応じて成形されて位置合わせされる。不透明なパターンは、カメラによって取り込まれた光の波長に対して反射性または吸収性がある材料(または、複数の材料)から作られ得る。不透明なパターンは、いかなる厚み(たとえば、配置された金属トレースの厚み)であってもよいが、薄層は、付加的な柔軟性を提供することができ、望ましくない影の影響を低減することができる。遮光層が送信/受信領域の画素の上に位置決めされる実現例では、不透明層は、画素から発せられた光がアパーチャを透過してデバイスの表面から出て行くことを可能にするように送信/受信領域内の画素(すなわち、サブ画素)における発光エリアと位置合わせされたアパーチャ810を含み得る。
【0058】
図8Bは、光がディスプレイ内の不透明な要素同士の間の間隙を通過することを阻止して、これらの間隙による光の回折を回避するように構成された別の不透明なパターン802の上面図である。図8Bに示される不透明なパターンは、全てのサブ画素が、光がアパーチャを透過してデバイスの表面から出て行くことを可能にする単一のアパーチャ811を含み得る。この単一のアパーチャ811は、この大きな単一のアパーチャ811の上または下に位置する回折間隙の一部を露出したままにすることによって、不透明層の利点の一部を減らす可能性があるが、大きなアパーチャ811と発光サブ画素とを位置合わせすることは、図8Aのパターンと発光要素とを位置合わせすることよりも容易であろう。
【0059】
図9Aは、本開示の可能な実現例に係る、再配置された信号線の上に不透明層を含む発光型ディスプレイ900の解像度低減部分の側面断面図である。図4と比較して、図9Aにおける実現例は、画素の数が少なく、回路要素を含まない開口910を形成するように導電性信号線942が配置されており、ディスプレイの外側からの光920は、回路要素と相互作用する(たとえば、回路要素によって回折される)ことなく回路要素を通過することができる。光が通過する開口910の横方向寸法は、開口を通過してディスプレイ900の下に位置するカメラによって画像化される光の最長波長よりも3倍大きいであろう。回路要素は、制御信号線942および/またはTFT構造940を含み得る。回路要素は、タッチセンサ電極または回路要素層942の上の任意の不透明層922を通過した光910を受信することを阻止される(すなわち、隠される)。言い換えれば、タッチセンサ層は、遮光層として使用することができる。画素放出光940は、遮光層922によって形成された不透明なパターンの影響を受けない。その理由は、遮光層パターン922が発光画素と位置合わせされることにより、これらの画素からの光を、ディスプレイスタックの正面にいるユーザによって見られる目標角度範囲にわたって、タッチセンサ電極922からの妨害なしにディスプレイから放出できるからである。
【0060】
ディスプレイの送信/受信エリアに位置するタッチセンサ層内に形成された要素は、電気的に活性である場合もあれば、電気的に不活性である場合もある。たとえば、タッチセンサ層920内の電極は、タッチを検出するために使用されるセンシングまたはアクティブセンサ線に寄与しないダミーセンサ要素を含み得る。ダミーセンサ要素またはアクティブセンサ線のいずれか(または、両方)を使用して、信号線942によって作成された間隙に光が到達することを阻止するための不透明なパターンを形成してもよい。したがって、開示されているディスプレイの一局面は、タッチセンシングのための電極922から、光910(たとえば、可視光および赤外光)を阻止(たとえば、吸収、反射)するための不透明なパターンを形成することによって、タッチセンサ層を遮光層として利用することを含み、光910は、そうでなければ回折されて、ディスプレイパネルの下に位置するセンサによって取り込まれた画像を劣化させるであろう。有利なことに、図9Aのディスプレイ実現例は、層の数が少なくてもよい。その理由は、タッチセンサ層が二役をこなすからである。
【0061】
図9Bは、発光型ディスプレイの解像度低減部分の別の側面断面図である。タッチセンサ電極922は、タッチセンサ層920の一部であり、タッチセンサ電極922は、不透明な金属材料(たとえば、Al、Ti、Mo、Cu、Cr、Ag、Auなど、またはこれらの合金)を含み得る。いくつかの実現例において、タッチセンサ電極922の厚みは、約20~200nmであり得る。
【0062】
タッチセンサ電極922は、金属材料を含むので、この金属材料の反射率は、比較的高いであろう。タッチセンサ電極922の反射率を低減するために、電極は、低反射率材料の層で被覆され得る。たとえば、いくつかの実現例では、金属タッチセンサ電極922は、タッチセンサ電極922の表面を被覆する追加の光吸収材料924によって被覆され得る。いくつかの実施形態において、光吸収材料924は、電極の端縁のまわりに延在して、金属タッチセンサ電極922の端縁を被覆することができる。たとえば、光吸収材料924は、ブラックフォトレジスト材料を含み得て、このブラックフォトレジスト材料は、LCDカラーフィルタ製造に使用される材料と組成が同様であり得て、一般にOLEDとの互換性に必要な低温硬化(たとえば、80~120℃)のために変更される。これらの材料は、高い光吸収(たとえば、1μm厚みのフォトレジスト層では>90%)を有し、金属タッチセンサ電極922によってディスプレイパネルの後ろの画像化デバイスの方に散乱される光の量を減少させるのを手助けすることができる。いくつかの実現例において、光吸収材料924によって被覆されたタッチセンサ電極922の合計組み合わせ厚みは、約200~500nmであり得る。
【0063】
図9C図9D図9Eおよび図9Fは、不透明な低反射率材料による被覆のさまざまな段階における金属タッチセンサ電極922の側面断面図である。図9Cは、支持基板層923の上の金属タッチセンサ式電極層922の側面断面図である。図9Dは、金属層922の上にフォトレジスト層924を有する、支持基板層923の上の金属タッチセンサ式電極層922の側面断面図である。フォトレジスト層924は、図9Dに示されるフォトレジストのパターンを作成するために、従来のフォトリソグラフィ技術(たとえば、下にある金属層922を、基板層923にわたるフォトレジスト層でコーティングし、このフォトレジスト層を光のパターンに露光し、この露光されたフォトレジスト層を現像し、この層を焼成する)を用いてパターン化され得る。フォトレジスト層は、一般に、約1~3μmの厚みであり得る。図9Dに示されるスタックに金属エッチングプロセスを適用して、パターン化されたフォトレジスト層924の下に位置していない金属層922から材料を除去することができる。図9Eは、金属エッチングを適用して、パターン化されたレジスト924の下以外の層922から金属を除去した後の、金属層922の上にフォトレジスト層924を有する、支持基板層923の上の金属タッチセンサ式電極層922の側面断面図である。金属層は、オーバーエッチングされる場合があり、これにより、フォトレジスト層924の端縁は、残りの金属電極層922の端縁を越えて延在する。いくつかの実現例において、図9Eに示される構造は、フォトレジスト層924が金属層922の端縁を被覆するようにさらに処理され得る。たとえば、図9Eに示される構造は、フォトレジスト924が金属層922の端縁の上に流れ落ちて図9Fに示される構造を形成するように加熱され得る。
【0064】
発光型ディスプレイのタッチセンサ層は、それ自体が複数の層を含んでもよい。図10Aは、タッチセンサ層1020における電極の上面図である。これらの電極は、送信(TX)センサ電極1051と、受信(RX)センサ電極1052とを含む。図10Bは、図10Aのタッチセンサ層の一部(A-A′として図示)の側面断面図である。示されているように、TXセンサ電極1051およびRXセンサ電極1052は、同一平面上にあり、第1の金属層1050に形成されている。TX電極およびRX電極は、交差パターンを形成している。したがって、第2の金属層1060は、交差電気接続を可能にするためのジャンパ(すなわち、ブリッジ)電極1061に使用することができる。タッチセンサ層220は、センサパッシベーション層1070および/またはセンサバッファ層1080をさらに含み得る。光を阻止するためのタッチセンサ電極の不透明なパターンは、タッチセンサ層1020の第1の金属層1050および第2の金属層1060のいずれかまたは両方を含み得る。この点で、図9Aに示される電極922は、概して、第1の金属層1050の一部であるか、またはタッチセンサ層1020の第2の金属層1060の上にあるとみなされ得る。
【0065】
いくつかの可能な実現例において、ディスプレイ内で回折された光は、ディスプレイ内の回路要素と相互作用した後にディスプレイの下のカメラに到達することが阻止され得る。図11は、本開示の可能な実現例に係る、信号線の下に不透明層を含む発光型ディスプレイの側面断面図である。このディスプレイは、基板(たとえば、ポリイミド層)250と光を阻止するための一番下の半導体層1132との間に位置する不透明なパターン1130を含み得る。基板1150の上の不透明なパターン1130は、たとえば金属、フォトレジスト、ポリマー、および不透明な構造を形成する他の材料を含む1つまたは複数の層を含み得る。不透明なパターン1130は、回路要素(たとえば、信号線)の下に位置決めされて、回路要素と位置合わせされ、これらの回路要素は、要素同士の間の間隙を通過する光1110の有害な回折を生じさせて、回折光1140をもたらし得る。この回折光1140は、不透明なパターン1130によって阻止することができる。好ましい実施形態では、パターン1130は、トランジスタ要素1132を形成するための安定した表面を保証する障壁層1145によってコーティングされる。
【0066】
遮光層の不透明なパターン1130が画素のOLEDの下にあることにより、画素からの透過光1040が漏れる不透明層におけるアパーチャは不要である。したがって、OLEDにアパーチャを必要とする実現例と比較して、OLEDに対する不透明マスクの位置合わせの精度はいくぶん緩和され得る。図11に示されるように、不透明なパターン1130と回路要素(たとえば、信号線)との間の間隔は、回折光1140が開口1111に到達し得る前に回折光1140を阻止するのに十分に小さくされる。
【0067】
さらに他の実現例は、光の平面波が、大きな開口(すなわち、光の波長よりも十分に大きな開口)でさえも全く回折なしに通過するのではなく、開口の端縁によるいくらかの回折を受けることにより、光がディスプレイを通過してディスプレイの下のカメラに到達するときに光の歪みを生じさせる可能性がある、という事実に対処することができる。
【0068】
たとえば、図12は、発光型ディスプレイ1200の側面断面図であり、この発光型ディスプレイ1200は、導電性信号線1242の上に不透明な部分のパターン1222を含む第1の遮光層を含み、ディスプレイ1200内の要素によって回折された光がディスプレイ1200の下のカメラに到達することをさらに低減する不透明な部分の第2のパターン1260を含む第2の遮光(たとえば、コリメーションまたはマスク)層も含む。
【0069】
発光型ディスプレイ1200は、カバーガラス層1210と、偏光層1215と、タッチセンサ式層1220とを含み得る。ディスプレイ1200は、発光ダイオード(LED)画素構造1235と、ディスプレイの上面から光を発するための構造を駆動するために電力をLED構造に供給する薄膜トランジスタ(TFT)1240とを含み得る。電力は、カソード1230とアノード1236との間のLED構造に供給されることができる。たとえば金属材料を含む不透明な制御線1242は、OLEDエミッタ構造1235を駆動するTFT1240に電気信号および電力を供給することができる。ディスプレイ1200の構成要素は、たとえばポリイミド(PI)材料またはガラスを含み得る基板1250上に作製することができる。ディスプレイは、基板1250とディスプレイ1200の材料スタック内の他の構成要素との間に、たとえばSiNxまたはSiONxの障壁層1245をさらに含み得る。
【0070】
タッチセンサ層1220は、ディスプレイ1200によって受信される光に対して不透明であり得る上記のタッチセンサ電極1222を含み得る。信号線1242は、タッチセンサ電極1222の下であって、タッチセンサ電極1222の横方向の大きさの範囲内に位置することができ、これにより、ディスプレイ1200を通過する光は、不透明な電極1222によって、信号線1242に到達することが阻止されるため、光は信号線1242によって回折されない。
【0071】
いくつかの実現例において、ディスプレイを通過してディスプレイ1200の下に位置するカメラに至る光1262は、非透過性要素を持たない比較的大きな開口510を通過することができ、これにより、光1262は、回路要素と相互作用する(たとえば、回路要素によって回折される)ことなくディスプレイ1200を通過することができる。たとえば、開口1211は、遮光層のアパーチャ(たとえば、図12におけるディスプレイ1200のタッチ層1220内のセンサ電極1222によって規定されるアパーチャ)によって規定されることができる。いくつかの実現例において、開口1211の最小横方向寸法は、開口1211を通過してディスプレイ1200の下に位置するカメラによって画像化される光の最長波長よりも3倍大きいであろう。
【0072】
いくつかの実現例において、ディスプレイ1200の下のカメラによって画像化される光は全て、非透過性要素を持たず、かつ、最小横方向寸法がカメラによって画像化される光の最長波長よりも3倍大きい比較的大きな開口1211を通過することができる。いくつかの実現例において、ディスプレイ1200の下のカメラによって画像化される光の少なくとも95%は、非透過性要素を持たず、かつ、最小横方向寸法がカメラによって画像化される光の最長波長よりも3倍大きい比較的大きな開口1211を通過することができる。いくつかの実現例において、ディスプレイ1200の下のカメラによって画像化される光の少なくとも90%は、非透過性要素を持たず、かつ、最小横方向寸法がカメラによって画像化される光の最長波長よりも3倍大きい比較的大きな開口1211を通過することができる。いくつかの実現例において、ディスプレイ1200の下のカメラによって画像化される光の少なくとも80%は、非透過性要素を持たず、かつ、最小横方向寸法がカメラによって画像化される光の最長波長よりも3倍大きい比較的大きな開口1211を通過することができる。
【0073】
上記のように、比較的大きな開口を通過する光は、この開口によって実質的に歪められない。しかし、開口の境界または端縁における構造は、依然として光を回折させる可能性がある。図12に示されるように、開口1211を通過する平面波1262は、開口1211の境界を形成するセンサ電極1222の端縁によっていくぶん回折される可能性がある。したがって、開口1211の境界を形成するセンサ電極1222の端縁付近を通過する光の一部1264は、その平面波パターンにより歪められる可能性があり、これにより、光のレイトレーシング図では、光の一部1264は、開口1211の中心軸から離れて外向きにそらされる。ディスプレイ1200の下のカメラによるこのような光の画像化は、カメラによって作成された画像にかすみおよび/または歪みを生じさせるであろう。
【0074】
この問題に対処するために、不透明なコリメーションまたはマスク層1260の構造を不透明な回折センサ電極1222の下に位置決めすることができ、これにより、そらされた光の一部1264がディスプレイ1200を通過してカメラに到達することを阻止する。たとえば、光1262の伝搬方向に平行な開口1211の中心軸に対して、マスク層構造1260の内側端縁(すなわち、中心軸に最も近い端縁)は、光を回折させるセンサ電極1222の内側端縁に平行な線の下であって、その線のわずかに外側に(中心軸から離れて)位置し得る。
【0075】
電極1222の端縁をかすめる光の伝搬方向に平行な線と、電極1222の端縁からコリメーション層構造1260の端縁までの線との間の角度αは、ディスプレイ1200の下のカメラに到達する、電極1222の端縁によって回折される光の量を最小化するように選択され得る。この角度αがゼロである場合、平面波からの光1262は、電極1222の端縁だけでなくコリメーション層構造1260の端縁によっても回折され、これにより、コリメーション層構造1260は、カメラに到達するさらに他の有害な回折光を生じさせて、カメラによって形成された画像にさらに他のかすみを生じさせる可能性がある。一方、角度αが大きすぎる場合、電極1222の端縁によって回折される平面波からの光1262は、コリメーション層構造1260によってカメラに到達することを阻止することができない。したがって、最適な角度は、約6度~約10度であり得る。
【0076】
コリメーション構造1260は、ディスプレイの材料のスタックに作製された金属材料または他の不透明な材料を含み得る。たとえば、コリメーション構造1260は、画素回路層の作製中に形成することができる。コリメーション構造1260の端縁からの回折を低減するために、これらの構造の垂直方向厚みは、比較的薄く、たとえばおよそ2マイクロメートル未満であり得て、これにより、コリメータ構造1260は、光1262,1264に対するナイフエッジ障壁に近い。
【0077】
上記の実現例に対する変更例も存在し得る。たとえば、光が制御線1242に到達することを阻止するLEDの上の構造は、タッチセンサ電極1222でなくてもよく、他の不透明な構造であってもよく、または他の不透明な構造を含んでもよく、この他の不透明な構造は、ディスプレイ1200の下のカメラに到達する回折光の量を減らすための遮光構造を提供するというディスプレイ1200における専用の目的を有するか、または、この機能を1つまたは複数の他の機能とともにディスプレイにおいて実行する。
【0078】
別の例において、コリメータ構造1260は、スタンドアロンの構造でなくてもよく、いくつかの実現例ではディスプレイの他の構造と一体化されてもよい。たとえば、コリメータ構造1260は、TFT構造1240の一部であってもよく、TFTの金属または他の不透明な材料は、上部遮光層からの回折光を阻止するコリメータ構造として機能することができる。別の例において、コリメータ構造1260は、アノード1236の一部であってもよく、アノードの金属または他の不透明な材料は、上部遮光層からの回折光を阻止するコリメータ構造として機能することができる。
【0079】
図13は、別の発光型ディスプレイ1300の側面断面図であり、この発光型ディスプレイ1300は、導電性信号線1342の上に不透明層1322を含み、ディスプレイ1300内の要素によって回折された光がディスプレイ1300の下のカメラに到達することをさらに低減する不透明なコリメーションまたはマスク層1360も含む。図13の発光型ディスプレイ1300は、コリメーション層がアノード1336の平面内に位置しているのではなくコリメーション層1360が制御線1342の平面内に位置していること以外は、図12の発光型ディスプレイ1200と同様である。たとえば、一実現例において、金属ソース/ドレイン制御線は、回折光がカメラに到達することを阻止するためのコリメーション層1360構造として機能することができる。別の実現例において、制御線の平面内のコリメーション層1360は、電力または制御信号をOLEDエミッタスタックに供給するための制御線として機能しなくてもよく、いかなるOLEDにも電気的に未接続であってもよい。
【0080】
図14は、回折光がディスプレイの下のカメラに到達することを阻止する役割を果たす遮光層の例示的なパターン1400(たとえば、図15に示される遮光層構造1560)の上面図である。遮光層構造のパターン1400は、OLEDエミッタスタックに対応する発光型ディスプレイの部分にフレームをつける構造1404と、電力および制御信号をOLEDエミッタスタックに提供する制御線とを含む。このパターンの不透明な線1404は、スタックの中のより高いところにある構造から回折された光がディスプレイの下のカメラに到達することを阻止することができる。
【0081】
図15は、別の発光型ディスプレイ1500の側面断面図であり、この発光型ディスプレイ1500は、不透明な遮光層1522を導電性信号線1542の上に含み、ディスプレイ内の要素によって回折された光がディスプレイの下のカメラに到達することを防止するコリメーションまたはマスク層1560も信号線の下に含む。上部遮光層1522は、ディスプレイ内の信号線1542および他の回折構造を陰で覆うことができ、これにより、信号線1542および他の回折構造は、カメラに到達する光を回折させることはない。コリメーションまたはマスク層1560は、ディスプレイ内の構造(たとえば、上部遮光層1522の端縁)によって回折された光を遮り、回折光の少なくとも一部がディスプレイを通過してカメラに到達することを防止するように位置決めされ得る。図12と同様に、上部遮光層1522によって形成されたアパーチャ1511は、下部遮光層1560によって形成されたアパーチャよりも小さいであろう。コリメーションまたはマスク層1560は、基板層1550に一体化されてもよく、または基板層1550の上にパターン化されてもよい。いくつかの実現例において、下部遮光層1560は、TFTを含む層の平面内に位置し得て、遮光層1560は、TFT層が形成される処理ステップにおいて形成され得る。いくつかの実現例において、遮光層1560は、回折光を減衰させる半透明半導体材料(たとえば、アモルファスまたは多結晶シリコン層)を含み得る。
【0082】
図16は、別の発光型ディスプレイ1600の側面断面図であり、この発光型ディスプレイ1600は、不透明な遮光層1622を導電性信号線1642の上に含み、ディスプレイ内の要素によって回折された光がディスプレイ1600の下のカメラに到達することを防止するマスク層1660も信号線1642の下に含む。いくつかの実現例において、上部遮光層1622は、タッチセンサ電極を含み得る。上部遮光層1622は、ディスプレイ内の信号線1642および他の回折構造を少なくとも部分的に陰で覆うことができるが、上部遮光層1622の寸法が比較的小さい場合には、それは、光が信号線1642および他の回折要素に到達することを防止するのに十分な陰付けを提供できない。しかし、下部マスク層1660は、ディスプレイ内の信号線1642および他の回折構造によって回折された光を遮って、光がカメラに到達することを防止するような寸法を有して位置決めされ得る。下部マスク層1660の端縁は、依然としてカメラに到達する光のいくらかの回折を生じさせるので、下部マスク層1660の端縁に到達する光の強さは低減され得て、不透明な角度フィルタリング要素1665が下部マスク層1660の上に位置決めされることにより、角度フィルタリング要素1665は、下部マスク層1660の端縁を陰で覆い、角度フィルタリング要素の端縁によって回折された光は、下部マスク層1660によって少なくとも部分的に遮られる。このように、角度フィルタリング要素1665の端縁は光を回折させるが、その回折光の一部は、下部マスク層1664によって、カメラに到達することを阻止され、より低い強さの光が下部マスク層1660によって回折される。したがって、角度フィルタリング要素1665を含まない図15におけるディスプレイのバージョンと比較して、角度フィルタリング要素1665は、下部マスク層1660とともに、カメラに到達する回折光の総量を減らすことができる。
【0083】
他の実現例において、光を阻止するためだけに層がディスプレイに追加されてもよい。さらに、これまで説明した層以外の層は、光を阻止することを含む二役をこなすように適合されてもよい。遮光層は、回折光が光センサ(たとえば、カメラ)に到達することを阻止する機能が実現される限り、ディスプレイと(すなわち、これまで説明したように)一体化(たとえば、積層)されなくてもよい。
【0084】
開示されているディスプレイは、モバイルデバイス(タブレットまたはスマートフォンなど)の文脈において示されてきた。しかし、開示されている原理および技術は、より一般的に、ディスプレイの後ろにセンサを位置決めすることが望ましいいかなるディスプレイにも適用されてもよい。たとえば、バーチャルエージェント家庭用端末、テレビまたは現金自動預払機(ATM)は、ディスプレイのアクティブエリアの後ろに位置決めされたカメラを利用することができる非限定的な一組の代替適用例である。さらに、ディスプレイの後ろにカメラを設置する動機は、デバイスの端縁へのディスプレイの拡張に限定されるものではない。たとえば、美的な理由または見られないようにするという理由でディスプレイの後ろにカメラを設置することが望ましいであろう。
【0085】
明細書および/または図面には典型的な実施形態が開示されている。本開示は、このような例示的な実施形態に限定されるものではない。「および/または」という用語の使用は、関連付けられた記載されている項目のうちの1つまたは複数の項目のうちのいずれかまたは全ての組み合わせを含む。特に断りのない限り、具体的な用語は、限定の目的ではなく包括的かつ説明的な意味で使用されている。本明細書で使用される空間相対用語(たとえば、正面に、後ろに、上に、下に、など)は、図面に示されている向きに加えて、使用または動作時のデバイスのさまざまな向きを包含するよう意図されている。たとえば、モバイルコンピューティングデバイスの「前面」は、ユーザに対向する表面であってもよく、この場合、「正面に」というフレーズは、ユーザのさらに近くであることを暗に示している。さらに、ディスプレイの「上面」は、ユーザに対向する表面であってもよく、この場合、「下に」というフレーズは、モバイルコンピューティングデバイスの内部のさらに深くであることを暗に示している。
【0086】
記載されている実現例の特定の特徴を本明細書で説明されているように例示してきたが、多くの変形例、置換例、変更例および等価物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、このような全ての変形例および変更例を実現例の範囲内に包含するよう意図されている、ということが理解されるべきである。それらは、限定としてではなく単に例として示されており、形状および詳細の点でさまざまな変更がなされてもよい、ということが理解されるべきである。本明細書に記載されている装置および/または方法のいずれの部分も、相互に排他的な組み合わせ以外のいかなる組み合わせでも組み合わせられてもよい。本明細書に記載されている実現例は、記載されているさまざまな実現例の機能、構成要素および/または特徴のさまざまな組み合わせおよび/または部分的組み合わせを含み得る。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16