(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】アンカーユニット
(51)【国際特許分類】
E02D 27/00 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
E02D27/00 B
(21)【出願番号】P 2022012680
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231855
【氏名又は名称】日本鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 正隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 由昌
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-195834(JP,A)
【文献】特開2012-162882(JP,A)
【文献】特開2021-167540(JP,A)
【文献】登録実用新案第3195881(JP,U)
【文献】特開2007-002606(JP,A)
【文献】特開2015-078591(JP,A)
【文献】特開2003-055983(JP,A)
【文献】特開2000-001916(JP,A)
【文献】特開平11-013065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台の上部に設置されるアンカーユニットであって、
少なくとも4本のアンカーボルトと、
前記架台の上部に設置され、前記アンカーボルトの下端部を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
4つの山形鋼を環状で矩形の枠体となるように配置して接合された構成の支持本体部と、
前記支持本体部の上端部に配置され、各前記アンカーボルトの下端部を固定させる固定部と、を有
し、
前記山形鋼は、L字の一片の先端が前記アンカーボルトを固定させる側に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されている、アンカーユニット。
【請求項2】
架台の上部に設置されるアンカーユニットであって、
少なくとも4本のアンカーボルトと、
前記架台の上部に設置され、前記アンカーボルトの下端部を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
4つの山形鋼を環状で矩形の枠体となるように配置して接合された構成の支持本体部と、
前記支持本体部の上端部に配置され、各前記アンカーボルトの下端部を固定させる固定部と、を有
し、
前記支持本体部は、4つの前記山形鋼のうち、
対向する一方の2つの前記山形鋼が、L字の一片の先端が前記アンカーボルトを固定させる側に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置され、
対向する他方の2つの前記山形鋼が、L字の一片の先端が前記アンカーボルトを固定させる側とは反対側に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されており、
前記固定部は、対向する他方の前記山形鋼の上面に配置されている、アンカーユニット。
【請求項3】
前記アンカーボルトは、下端部が前記支持本体部の外周よりも内側に収まる位置に固定されている、請求項1
又は2に記載のアンカーユニット。
【請求項4】
前記固定部は、前記支持本体部の矩形の角部にそれぞれ設けられている、請求項
1~3のいずれか一項に記載のアンカーユニット。
【請求項5】
前記固定部は、前記アンカーボルトの下端部がネジ込まれるナット部材を有している、請求項1~
4のいずれか一項に記載のアンカーユニット。
【請求項6】
前記固定部は、前記ナット部材の緩み止め部材を含む、請求項
5に記載のアンカーユニット。
【請求項7】
複数の前記アンカーボルトのうち、少なくとも1つには、該アンカーボルトに並列させて別のアンカーボルトを取り付けた保持部材が取り付けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のアンカーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物等の柱脚等の固定に用いられるアンカーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物等の柱脚等の固定に用いられるアンカーユニットが知られている。例えば、特許文献1に開示されたアンカーボルト固定構造は、複数のアンカーボルトを支持する架台として、捨てコンクリート上に立てられた縦架材と、縦架材に高さ方向調整可能に設けたフレームポストと、フレームポストに固着された下部テンプレートと、を備えている。下部テンプレートは、複数のアンカーボルトを固定する複数の定着板を連結部材で一体に結合され、定着板がフレームポストに固着された構成である。架台に支持されたアンカーボルトの周囲には、上下方向及び左右方向に沿って複数の鉄筋が設置される。そして、アンカーボルトは、架台及び鉄筋と共に、打設したコンクリートによって埋設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、アンカーボルトの下端部を定着させる定着板が架台の一部として、該架台の上部に設けられている。定着板は、アンカーボルトの設置位置に応じて予め位置が決められている。また、定着板を支持する縦架材も定着板の位置に合わせて、その位置が決定されている。アンカーユニット及び架台の周囲に設置される鉄筋は、アンカーボルトを避けた位置に設計されて配筋されるが、架台の位置を考慮して設計されてはいない。そのため、施工現場において、アンカーボルト及び架台の周囲に鉄筋を設置する際に、鉄筋が架台の一部と干渉する場合がある。この場合、架台の一部を切り欠いて、鉄筋と架台との干渉を避けるか、或いは定着板を設けた架台を小型とし、小型の架台の下に更に別の架台を設置するなどの対応が行われていた。
【0005】
本発明は、以上のような問題を解決するものであって、アンカーユニット及び架台の周囲に設置させる鉄筋等と干渉しない位置に架台を設置することができる、アンカーユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンカーユニットは、架台の上部に設置されるアンカーユニットであって、少なくとも4本のアンカーボルトと、前記架台の上部に設置され、前記アンカーボルトの下端部を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、4つの山形鋼を環状で矩形の枠体となるように配置して接合された構成の支持本体部と、前記支持本体部の上端部に配置され、各前記アンカーボルトの下端部を固定させる固定部と、を有し、前記山形鋼は、L字の一片の先端が前記アンカーボルトを固定させる側に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るアンカーユニットは、アンカーボルトの下端部を定着させる支持部材をアンカーユニットの一部として設けている。したがって、アンカーユニットを支持する架台は、アンカーボルトの設置位置に応じて位置を決める必要がなく、施工現場において、アンカーユニット及び架台の周囲に鉄筋を設置する際に、鉄筋と干渉しない位置となるように組み立てて設置することができる。よって、従来のように、架台の一部を切り欠いたり、小型の架台の下に更に別の架台を設置したりするなどの対応を行う必要がないので、施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態1に係るアンカーユニットであって、架台に載置させた状態を示した正面図である。
【
図2】本実施の形態1に係るアンカーユニットを
図1のA矢視方向からみた正面図である。
【
図3】本実施の形態1における架台の上面図である。
【
図4】本実施の形態1に係るアンカーユニットのテンプレートの上面図である。
【
図5】本実施の形態1に係るアンカーユニットの支持部材の上面図である。
【
図6】本実施の形態2に係るアンカーユニットであって、架台に載置させた状態を示した正面図である。
【
図7】本実施の形態2に係るアンカーユニットの支持部材の上面図である。
【
図8】本実施の形態3に係るアンカーユニットであって、架台に載置させた状態を示した正面図である。
【
図9】本実施の形態3に係るアンカーユニットの支持部材の上面図である。
【
図10】本実施の形態4に係るアンカーユニットであって、架台に載置させた状態を示した正面図である。
【
図12】本実施の形態4に係るアンカーユニットの要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係るアンカーユニット100であって、架台200に載置させた状態を示した正面図である。
図2は、本実施の形態1に係るアンカーユニット100を
図1のA矢視方向からみた正面図である。
図3は、本実施の形態1における架台200の上面図である。
図4は、本実施の形態1に係るアンカーユニット100のテンプレート2の上面図である。
図5は、本実施の形態1に係るアンカーユニット100の支持部材3の上面図である。
【0011】
本実施の形態1に係るアンカーユニット100は、
図1及び
図2に示すように、例えば建築現場において鉄骨造建造物などの鉄骨柱(図示せず)を基礎コンクリート上に固定させるために設けられるものである。アンカーユニット100は、捨てコンクリート上に設置された架台200の上面に設置される。アンカーユニット100は、架台200の上面に設置された状態で、打設したコンクリートによって上端部近傍まで埋設される。打設したコンクリートは、鉄骨柱の基礎コンクリートとなる。なお、アンカーユニット100は、架台200の上部に設置されていればよく、必ずしも架台200の上面に設置することに限定されない。
【0012】
先ず、
図1~
図3を参照して、アンカーユニット100を支持する架台200の一例について説明する。なお、
図3では、下方に見えるベース部4を省略して示している。架台200は、
図1及び
図2に示すように、捨てコンクリート300の上面に設置され、アンカーユニット100を所定の高さに保持させておくために設けられる。架台200は、捨てコンクリート300の上面に設置されるベース部4と、ベース部4に下端部が固定されて上方に向かって立ち上がる4本の縦架材5と、縦架材5の上端部を連結する2本の横架材6と、を有している。
【0013】
ベース部4は、2本の山形鋼40、40で構成されている。山形鋼40、40は、例えば基礎杭400を間に挟んで並列に対向させて配置されている。なお、山形鋼40、40は、柱芯を間に挟んで並列に対向させて配置してもよい。各山形鋼40は、L字の一片の先端の向きが上方に向くように配置され、且つL字の他片の先端の向きが外側を向くように配置されている。なお、L字の他片の先端の向きは、内側を向くように配置してもよい。各山形鋼40は、捨てコンクリート300の上面に当接させた一方の面に設けられたアンカー部材41によって、捨てコンクリート300に固定されている。アンカー部材41は、一例として山形鋼40の長手方向に沿って間隔をあけて2つ設けられている。
【0014】
なお、ベース部4は、図示した構成に限定されず、例えば4本の山形鋼を矩形の枠状となるように組み合わせた構成としてもよいし、その他の構成でもよい。ベース部4は、4本の山形鋼を矩形の枠状となるように組み合わせた構成の場合、枠内に基礎杭400が位置するように設置される。また、ベース部4は、図示した山形鋼40に限定されず、例えば角鋼や溝形鋼等によって構成してもよいし、その他の部材で構成してもよい。
【0015】
縦架材5は、一例として山形鋼である。縦架材5は、ベース部4の各山形鋼40に間隔をあけて2本ずつ接合されており、合計4本設けられている。縦架材5は、L字の内面が基礎杭400側に向くように配置されている。なお、縦架材5は、架台200の周囲に設置される鉄筋の状況により、L字の外面を基礎杭400側に向くように配置する場合もある。縦架材5は、下端部の外面がベース部4に溶接接合されている。なお、縦架材5は、ベース部4にボルト接合された構成でもよい。また、縦架材5は、例えば2つの山形鋼を上下方向にずらして配置し、下部の縦架材に対して上部の縦架材を上下方向に移動可能にボルト接合した構成でもよいし、その他の構成でもよい。また、縦架材5は、図示した山形鋼に限定されず、例えば角鋼や溝形鋼等でもよいし、その他の部材でもよい。
【0016】
横架材6は、一例として山形鋼である。横架材6は、
図3に示す平面視において、ベース部4の山形鋼40とは、90度程度異なる向きに並列に対向させて配置されている。なお、横架材6は、架台200の周囲に設置される鉄筋の状況により、ベース部4の山形鋼40と同じ向きに配置する場合もある。各横架材6は、隣り合う2本の縦架材5の上面に跨がって配置されている。横架材6は、L字の一片の先端の向きが下方に向くように配置され、且つL字の他片の先端の向きが内側に向くように配置されている。なお、横架材6は、L字の他片の先端の向きが外側に向くように配置してもよい。横架材6は、L字の内面を縦架材5のL字の外面に当接させて、縦架材5に溶接接合されている。横架材6は、縦架材5に溶接させる位置を調整することで、所望の高さ位置に設けることができる。横架材6の上面には、アンカーユニット100が載置される。なお、横架材6は、縦架材5にボルト接合された構成でもよい。また、横架材6は、図示した山形鋼に限定されず、例えば角鋼や溝形鋼等で形成してもよいし、その他の部材を用いて形成してもよい。
【0017】
なお、上記架台200の構成は一例であって、当該構成に限定されない。捨てコンクリート300の上面に設置され、上部でアンカーユニット100を支持できる構成であれば、他の形態でもよい。
【0018】
次に、本実施の形態1に係るアンカーユニット100について説明する。本実施の形態1に係るアンカーユニット100は、捨てコンクリート300に設置された架台200の上面に載置されて固定される。本実施の形態1に係るアンカーユニット100は、アンカーボルト1と、テンプレート2と、支持部材3と、を備えている。アンカーボルト1は、建造物等の柱脚等の大きさ及び形状に合わせて位置及び個数が設計される。アンカーボルト1は、図示例の場合、4本で構成されているが、4本に限定されず、建造物等の柱脚等に応じて適宜本数を変更して設けられる。
【0019】
テンプレート2は、例えば鋼板である。テンプレート2は、アンカーボルト1の上部に配置されて、該アンカーボルト1の位置を保持するために設けられている。
図4に示すように、テンプレート2は、四角形状とされており、角部近傍に各アンカーボルト1の上端部を通す孔部20が形成されている。テンプレート2は、アンカーボルト1の上端部を孔部20に通し、該アンカーボルト1の上端部にねじ込んだナット21を上下面から挟み付けることで、アンカーボルト1に取り付けられる。テンプレート2は、アンカーボルト1を基礎コンクリートで埋設した後に、アンカーボルト1から取り外される。なお、テンプレート2の形状、及び孔部20の個数等は、図示した構成に限定されない。
【0020】
支持部材3は、アンカーボルト1の下端部を固定して支持するものである。支持部材3は、支持本体部30と、支持本体部30の上面に設けられ、各アンカーボルト1の下端部を固定させる4つの固定部31と、を備えている。
【0021】
支持本体部30は、
図5に示すように、4つの山形鋼30a及び30bを、矩形状の枠体となるように配置して接合された構成である。4つの山形鋼30a及び30bは、L字の一片の先端がアンカーボルト1を固定させる側に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の外側に向くように配置されている。隣り合う山形鋼30aと30bは、端部を溶接により接合されている。4つの山形鋼30a、30bは、対向する一方の山形鋼30aが、対向する他方の山形鋼30bよりも長く形成されており、対向する他方の山形鋼30bの両端部が、対向する一方の山形鋼30aの内面に挟み付けられるように配置されている。なお、支持本体部30は、図示した山形鋼30a及び30bに限定されず、例えば角鋼や溝形鋼等によって構成してもよいし、その他の部材で構成してもよい。また、支持本体部30は、矩形状の枠体に限定されず、環状の枠体であれば、例えば円環状等でもよい。また、支持本体部30は、環状であることに限定されず、例えば鋼板等を用いてもよい。
【0022】
固定部31は、支持本体部30の上端縁で形成された矩形の四隅に配置され、各アンカーボルト1の下端部を固定させるものである。固定部31は、アンカーボルト1に対応する位置に設けられている。固定部31は、ナット部材31aと、ナット部材31aの緩み止め部材31bと、を有している。ナット部材31aは、山形鋼30a及び30bの上端縁に、下部が溶接接合されている。緩み止め部材31bは、ナット部材31aの上面に配置される。アンカーボルト1は、下端部がナット部材31aにねじ込まれた後、緩み止め部材31bをナット部材31aに向かって下方に下げることで固定される。なお、アンカーボルト1のネジ軸部にあらかじめナットを設置しておき、アンカーボルト1の下端部をナット部材31aにねじ込んだ後、該ナットをナット部材31aに向かって締結してもよい。また、固定部31は、必ずしも緩み止め部材31bを設ける必要はなく、ナット部材31aのみでもよい。固定部31によって固定されたアンカーボルト1は、下端部が支持本体部30の内周面の内側に収まるように配置される。つまり、アンカーボルト1は、支持本体部30のL字の面に突き当たることがなく、下端部の長さを自由に調整して設置することができる。
【0023】
上記構成のアンカーユニット100は、アンカーボルト1を支持部材3の固定部31に固定させて組み立てた状態で、捨てコンクリート300に設置された架台200の上面に載置される。そして、アンカーユニット100は、支持本体部30を横架材6に溶接等で接合することで、架台200に固定される。なお、アンカーユニット100は、捨てコンクリート300に設置された架台200の上面で組み立ててもよい。アンカーユニット100及び架台200の周囲には、上下方向及び左右方向に沿って複数の鉄筋(図示省略)が設置される。そして、アンカーユニット100は、架台及び鉄筋と共に、打設したコンクリートによって埋設される。
【0024】
なお、各アンカーボルト1には、打設したコンクリートに対する定着性を高めるために定着板10が設けられている。定着板10は、アンカーボルト1に通すための孔部を有している。定着板10は、孔部にアンカーボルト1を通し、アンカーボルト1のねじ軸部にねじ込んだナット11を上下面から挟み付けることで、アンカーボルト1に取り付けられる。
【0025】
ところで、従来では、アンカーボルト1の下端部を定着させる定着板が架台の一部として、該架台の上部に設けられている。定着板は、アンカーボルト1の設置位置に応じて予め位置が決められている。また、定着板を支持する縦架材も定着板の位置に合わせて、その位置が決定されている。アンカーユニット及び架台の周囲に設置される鉄筋は、アンカーボルトを避けた位置に設計されて配筋されるが、架台の位置を考慮して設計されていない。そのため、施工現場において、アンカーボルト及び架台の周囲に鉄筋を設置する際に、鉄筋が架台の一部と干渉する場合がある。この場合、架台の一部を切り欠いて、鉄筋と架台との干渉を避けるか、或いは定着板を設けた架台を小型とし、小型の架台の下に更に別の架台を設置するなどの対応が行われていた。そのため、施工の手間を要し、作業者にとって負担が強いられていた。
【0026】
そこで、本実施の形態1に係るアンカーユニット100では、少なくとも4本のアンカーボルト1と、架台200の上部に設置され、アンカーボルト1の下端部を支持する支持部材3と、を備えている。支持部材3は、支持本体部30と、支持本体部30の上面に配置され、各アンカーボルト1の下端部を固定させる固定部31と、を有している。
【0027】
つまり、本実施の形態1に係るアンカーユニット100では、アンカーボルト1の下端部を定着させる支持部材3をアンカーユニット100の一部として設けたものである。よって、アンカーユニット100を支持する架台200は、アンカーボルト1の設置位置に応じて位置を決める必要がなく、施工現場において、アンカーユニット100及び架台200の周囲に鉄筋を設置する際に、該鉄筋と干渉しないように縦架材5の間隔を調整するなどして組み立てて設置することができる。例えば、基礎コンクリート内の配置を設計する上では、鉄筋(梁配筋)が設置されることがないアンカーボルト1の直下に、架台200の縦架材5を設置するとよい。したがって、本実施の形態1に係るアンカーユニット100を用いることで、従来のように、架台の一部を切り欠いたり、小型の架台の下に更に別の架台を設置したりするなどの対応を行う必要がないので、施工性を向上させることができる。
【0028】
実施の形態2.
次に、
図6及び
図7を参照して、本実施の形態2に係るアンカーユニット101について説明する。
図6は、本実施の形態2に係るアンカーユニット101であって、架台200に載置させた状態を示した正面図である。
図7は、本実施の形態2に係るアンカーユニット101の支持部材3の上面図である。なお、上記実施の形態1で説明した構成と同一の構成については、その説明を適宜省略する。
【0029】
本実施の形態2に係るアンカーユニット101では、支持部材3の構造が実施の形態1と異なる。本実施の形態2に係るアンカーユニット101も、支持本体部30が4つの山形鋼30a及び30bを、環状とされた矩形状の枠体となるように配置して接合された構成である。4つの山形鋼30a及び30bは、L字の一片の先端がアンカーボルト1を固定させる側に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されている。4つの山形鋼30a及び30bは、対向する一方の山形鋼30aの端部が、対向する他方の山形鋼30bのL字の平面に載置され、当接させたL字の平面同士を溶接により接合されている。
【0030】
固定部31は、支持本体部30の上端縁で形成された矩形の四隅に配置され、各アンカーボルト1の下端部を固定させるものである。固定部31は、アンカーボルト1に対応する位置に設けられている。固定部31は、ナット部材31aと、ナット部材31aの緩み止め部材31bと、を有している。ナット部材31aは、山形鋼30a及び30bの上端縁に、下部が溶接接合されている。緩み止め部材31bは、ナット部材31aの上面に配置される。なお、固定部31は、必ずしも緩み止め部材31bを設ける必要はなく、ナット部材31aのみでもよい。固定部31によって固定されたアンカーボルト1は、下端部が支持本体部30の外周よりも内側に収まる位置に固定されている。
【0031】
本実施の形態2に係るアンカーユニット101では、支持本体部30を構成する山形鋼30a及び30bのL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されているので、礎柱のコンクリート被り厚の影響を小さくすることができ、且つ、鉄筋(柱主筋)と支持本体部30の干渉を抑制することができる。
【0032】
また、本実施の形態2に係るアンカーユニット101も、アンカーボルト1の下端部を定着させる支持部材3をアンカーユニット101の一部として設けたものである。よって、アンカーユニット101を支持する架台200は、アンカーボルト1の設置位置に応じて位置を決める必要がなく、施工現場において、アンカーユニット101及び架台200の周囲に鉄筋を設置する際に、鉄筋と干渉しない位置となるように組み立てて設置することができる。
【0033】
実施の形態3.
次に、
図8及び
図9を参照して、本実施の形態3に係るアンカーユニット102について説明する。
図8は、本実施の形態3に係るアンカーユニット102であって、架台200に載置させた状態を示した正面図である。
図9は、本実施の形態3に係るアンカーユニット102の支持部材3の上面図である。なお、上記実施の形態1及び2で説明した構成と同一の構成については、その説明を適宜省略する。
【0034】
本実施の形態3に係るアンカーユニット102では、支持部材3の構造が実施の形態1及び2と異なる。本実施の形態3に係るアンカーユニット102も、支持本体部30が4つの山形鋼30a及び30bを矩形の枠体となるように配置して接合された構成である。
【0035】
4つの山形鋼30a及び30bのうち、対向する一方の2つの山形鋼30aは、L字の一片の先端がアンカーボルト1を固定させる側(
図8においては上方)に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されている。また、4つの山形鋼30a及び30bのうち、対向する他方の2つの山形鋼30bは、L字の一片の先端がアンカーボルト1を固定させる側とは反対側(
図8においては下方)に向くように配置され、且つL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されている。支持本体部30は、一方の山形鋼30aの上部に他方の山形鋼30bが配置され、山形鋼30aの縁辺と山形鋼30bの内面とを溶接により接合されて形成されている。
【0036】
固定部31は、支持本体部30の平面で形成された矩形の四隅に配置され、各アンカーボルト1の下端部を固定させるものである。固定部31は、アンカーボルト1に対応する位置に設けられている。固定部31は、ナット部材31aと、ナット部材31aの緩み止め部材31bと、を有している。ナット部材31aは、山形鋼30bのL字の平面に載置され、該平面に下部が溶接接合されている。緩み止め部材31bは、ナット部材31aの上面に配置される。なお、固定部31は、必ずしも緩み止め部材31bを設ける必要はなく、ナット部材31aのみでもよい。
【0037】
本実施の形態3に係るアンカーユニット102も、支持本体部30を構成する山形鋼30a及び30bのL字の他片の先端が枠体の内側に向くように配置されているので、礎柱のコンクリート被り厚の影響を小さくすることができ、且つ、鉄筋(柱主筋)と支持本体部30の干渉を抑制することができる。また、ナット部材31aをL字の平面に溶接接合するので、ナット部材31aの溶接長さを十分に確保することができ、固定部31を支持本体部30にしっかりと固定させることができる。よって、架台200に設置されたアンカーユニット102の安定性を高めることができる。
【0038】
また、本実施の形態3に係るアンカーユニット102も、アンカーボルト1の下端部を定着させる支持部材3をアンカーユニット102の一部として設けたものである。よって、アンカーユニット102を支持する架台200は、アンカーボルト1の設置位置に応じて位置を決める必要がなく、施工現場において、アンカーユニット102及び架台200の周囲に鉄筋を設置する際に、鉄筋と干渉しない位置となるように組み立てて設置することができる。
【0039】
実施の形態4.
次に、
図10~
図12を参照して、本実施の形態4に係るアンカーユニット103について説明する。
図10は、本実施の形態4に係るアンカーユニット103であって、架台200に載置させた状態を示した正面図である。
図11は、
図10に示したB-B線矢視断面図である。
図12は、本実施の形態4に係るアンカーユニット103の要部拡大斜視図である。なお、上記実施の形態1~3で説明した構成と同一の構成については、その説明を適宜省略する。
【0040】
図10~
図12に示した本実施の形態4に係るアンカーユニット103の支持部材3は、一例として実施の形態3で示した支持部材3と同じ構成であるが、実施の形態1又は2に示した支持部材3で構成してもよい。本実施の形態4に係るアンカーユニット103では、アンカーボルト1に並列させて別のアンカーボルト1aを取り付けるための保持部材7を有している。
【0041】
保持部材7は、定着板を利用したものであり、例えば鋼板である。つまり、保持部材7は、打設したコンクリートに対する定着性を高める定着板としての機能も有する。保持部材7には、アンカーボルト1、1aの軸部を通す孔部70a、71aが並列させて2つ形成されている。一方の孔部70aには、固定部31に固定されたアンカーボルト1の軸部が通されている。保持部材7は、アンカーボルト1の軸部にネジ込まれたナット70、70によって上下面が挟み付けられて、その位置が固定されている。他方の孔部71aには、別途設けられたアンカーボルト1aの軸部が通されている。アンカーボルト1aは、軸部にネジ込まれたナット71、71で保持部材7の上下面を挟み付けることで、保持部材7に固定されている。アンカーボルト1aの上端部は、テンプレート2に設けられた孔部に通され、該上端部にねじ込んだナット22、22を、テンプレート2の上下面から挟み付けることで、該テンプレート2に固定される。
【0042】
上記のように、本実施の形態4に係るアンカーユニット103では、アンカーボルト1に並列させて別のアンカーボルト1aを設けたものであり、基礎コンクリートに埋設されるアンカーボルトの本数を増やすことができるので、引張り及びせん断に対する抵抗を高めることができる。
【0043】
なお、保持部材7の形状、及び孔部の位置と個数等は、図示した構成に限定されず、施工状況に応じて適宜変更して形成するものとする。また、保持部材7は、4つのアンカーボルト1のうち、1つのアンカーボルト1に取り付けてもよいし、2つ以上のアンカーボルト1に取り付けてもよい。また、更に保持部材7を追加し、その保持部材7を別途設けたアンカーボルト1aに取り付けてもよい。つまり、アンカーボルト1に保持部材7を取り付けることによって、別途設けられたアンカーボルト1aに、更に保持部材7を取り付け、アンカーボルト1aに並列させて、3つ目のアンカーボルトを取り付けてもよい。また、保持部材7は、アンカーボルト1に上下に2つ設けて、該アンカーボルト1に並列させた別のアンカーボルト1aを2つ設けてもよい。つまり、保持部材7は、1本のアンカーボルト1に対し、複数設けられてもよい。
【0044】
以上に、アンカーユニット(100~103)を実施の形態に基づいて説明したが、アンカーユニット(100~103)は、上述した実施の形態に限定されない。例えば、アンカーユニット(100~103)は、図示した構成要素の他に、他の構成要素を含んでもよいし、図示した構成要素の一部を省略してもよい。要するに、アンカーユニット(100~103)は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
【符号の説明】
【0045】
1、1a アンカーボルト、2 テンプレート、3 支持部材、4 ベース部、5 縦架材、6 横架材、7 保持部材、10 定着板、11 ナット、20 孔部、21、22 ナット、30 支持本体部、30a、30b 山形鋼、31 固定部、31a ナット部材、31b 緩み止め部材、40 山形鋼、41 アンカー部材、70 ナット、70a 孔部、71 ナット、71a 孔部、100、101、102、103 アンカーユニット、200 架台、300 捨てコンクリート、400 基礎杭。
【要約】
【課題】アンカーユニット及び架台の周囲に設置させる鉄筋等と干渉しない位置に架台を設置することができる、アンカーユニットを提供する。
【解決手段】アンカーユニットは、架台の上部に設置されるものである。アンカーユニットは、少なくとも4本のアンカーボルトと、架台の上部に設置され、アンカーボルトの下端部を支持する支持部材と、を備えている。支持部材は、支持本体部と、支持本体部の上端部に配置され、各アンカーボルトの下端部を固定させる固定部と、を有する。
【選択図】
図1