(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-09
(45)【発行日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 61/06 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
B65B61/06
(21)【出願番号】P 2022046785
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2023-01-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】梅村 広幸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 健太
(72)【発明者】
【氏名】高柳 広人
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-354201(JP,A)
【文献】特開2001-47530(JP,A)
【文献】特開2020-147294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 61/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケット部に内容物が収容された帯状の容器フィルムに対し、該ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着してなる帯状のブリスタフィルムをシート単位に打ち抜くことによりブリスタシートを製造するブリスタ包装機であって、
前記ブリスタフィルムを間欠搬送する搬送手段と、
一時停止された前記ブリスタフィルムを切断するシート切断手段とを備え、
前記シート切断手段は、前記ブリスタフィルムを挟む位置に設けられた第一構成部及び第二構成部を備え、
前記第一構成部は、
前記ブリスタシートの外縁形状に対応する形状の刃部を具備するシート打抜刃と、
該シート打抜刃よりも前記ブリスタフィルムの搬送方向下流側に設けられたスクラップ切断刃とを有し、
前記第二構成部は、
平坦な表面に沿って前記ブリスタフィルムが搬送されるように構成されるとともに、前記ブリスタシートの外縁形状に対応する形状をなし前記表面に開口した打抜孔を具備するシート打抜受部と、
前記シート打抜受部よりも前記搬送方向下流側に設けられたスクラップ切断受部とを有し、
前記シート打抜刃及び前記スクラップ切断刃が前記ブリスタフィルムから離間した状態となる退避位置から所定の両方切断位置へと前記第一構成部が移動することで、前記シート打抜刃が前記打抜孔に挿通されて前記シート打抜刃及び前記シート打抜受部により前記ブリスタフィルムが打抜かれるとともに、前記ブリスタフィルムのうち前記シート打抜刃よりも前記搬送方向下流側に位置するスクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断されるように構成される一方で、
前記第一構成部が前記退避位置から所定の一方切断位置へと移動することで、前記ブリスタフィルムが打抜かれることなく、前記スクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断されるように構成され、
前記第二構成部における前記シート打抜受部と前記スクラップ切断受部との間には、前記スクラップ部を前記スクラップ切断刃の方に接近する経路を通るように案内し、少なくとも前記第一構成部が前記退避位置に配置されている状態において、前記シート打抜受部における前記打抜孔に対応するエッジ部のうち前記搬送方向下流側に位置する下流側エッジ部から前記ブリスタフィルムを浮かせた状態とすることが可能な案内手段が設けられ、
前記スクラップ切断受部のうち、少なくとも前記スクラップ切断刃と協働して前記スクラップ部を切断する部位は、前記第一構成部の移動方向に沿って前記シート打抜受部の前記表面よりも前記スクラップ切断刃側に突出していることを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項2】
前記第一構成部は、前記シート打抜受部の前記表面との間で前記ブリスタフィルムを挟み込み可能であるともに、所定の緩衝手段を具備する押さえ部を有し、
前記退避位置から前記両方切断位置に対する前記第一構成部の移動時においては、前記ブリスタフィルムに対する前記シート打抜刃の接触前に前記押さえ部及び前記シート打抜受部の前記表面によって前記ブリスタフィルムが挟み込まれ、該ブリスタフィルムの挟み込み後には前記緩衝手段により前記両方切断位置に対する該第一構成部の移動が阻害されないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のブリスタ包装機。
【請求項3】
前記退避位置から前記両方切断位置に対する前記第一構成部の移動時においては、前記押さえ部が前記ブリスタフィルムと接触する前に、前記スクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のブリスタ包装機。
【請求項4】
前記スクラップ切断刃は、前記第一構成部の移動方向に沿って、前記シート打抜刃よりも前記スクラップ切断受部側に突出しないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項5】
前記案内手段は、前記スクラップ部が摺動することで該スクラップ部を案内する傾斜面であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項6】
前記シート打抜受部の前記表面を含む仮想面に対する前記傾斜面のなす角のうちの小さい方の角の角度θ1が10°以上20°以下であることを特徴とする請求項5に記載のブリスタ包装機。
【請求項7】
前記シート打抜受部の前記表面を含む仮想面と直交するとともに、前記ブリスタフィルムの搬送方向と平行であり、かつ、前記下流側エッジ部を通る断面において、前記仮想面に対する、前記ブリスタフィルムの搬送方向に沿った前記傾斜面の最下流部から前記下流側エッジ部に引いた仮想線のなす角のうちの小さい方の角の角度θ2が5°以上20°以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のブリスタ包装機。
【請求項8】
前記第一構成部の移動方向に沿った、前記シート打抜受部の前記表面に対する前記スクラップ切断受部の高さHが3mm以上8mm以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【請求項9】
前記シート打抜受部の前記表面は、水平な平坦面であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のブリスタ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤等の内容物を収容してなるブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に医薬品や食料品等の分野において用いられるブリスタシートとしてPTP(プレススルーパック)シートが知られている。PTPシートは、錠剤等の内容物が収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
PTPシートは、ブリスタ包装機の一種であるPTP包装機を用いて製造される。PTP包装機は、ポケット部形成手段、充填手段、シール手段及び打抜手段などを備えている。ポケット部形成手段は、帯状の容器フィルムにポケット部を形成する。充填手段は、ポケット部に内容物を充填する。シール手段は、容器フィルムに対し、ポケット部の開口を塞ぐようにしてカバーフィルムを取着する。打抜手段は、容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなる帯状のPTPフィルムを打抜く。PTPフィルムの打抜きによりPTPシートが得られる。
【0004】
また、PTPフィルムのうち打抜手段よりも下流側に位置する部分であるスクラップ部(例えば打抜後に残った不要部分)は、所定のスクラップ切断手段によって切断される。近年では、打抜手段及びスクラップ切断手段を一体的に備えた装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
特許文献1に係る装置は、シート打抜用カッタ、及び、該シート打抜用カッタよりもPTPフィルムの搬送方向下流側に配置され、該シート打抜用カッタよりもPTPフィルム側に十分に突出したスクラップ切断用カッタを有するヘッドと、シート打抜用カッタを挿通可能な打抜孔(開口部)を有し、前記ヘッドとの間でPTPフィルムを挟む位置に配置されたベースとを備えている。この装置では、ベース側に向けたヘッドの移動量を調節することで、PTPフィルムを打抜くとともにスクラップ部を切断すること、又は、PTPフィルムを打抜かずにスクラップ部のみを切断することを選択的に行うことが可能である。
【0006】
より詳しくは、前記打抜孔にシート打抜用カッタが挿通されるようにヘッドを移動させることで、シート打抜用カッタによりPTPフィルムが打抜かれるとともに、スクラップ切断用カッタによりスクラップ部が切断される。一方、前記打抜孔に打抜用カッタが挿通されず、かつ、スクラップ切断用カッタがPTPフィルムを貫くことになる位置までヘッドを移動させることで、PTPフィルムの打抜きが行われずにスクラップ部の切断のみが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記装置では、
図16(図示の便宜上、
図16ではPTPフィルム6を実際よりも厚肉に示す)に示すように、PTPフィルム6がベース101の表面に沿って搬送される。そのため、
図17に示すように、PTPフィルム6(スクラップ部7)における孔8(PTPシート1に対応する孔)を形成する部分のうちの特に進行方向前方側を向く部分が、ベース101における打抜孔102に対応するエッジ部のうち、特にPTPフィルム6の搬送方向下流側に位置する下流側エッジ部103へと引っ掛かるおそれがある。このような引っ掛かりが生じると、PTPシート1の製造に支障が生じ得る。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブリスタフィルムを打抜く装置に対するブリスタフィルムの引っ掛かりをより確実に防止可能なブリスタ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.ポケット部に内容物が収容された帯状の容器フィルムに対し、該ポケット部を塞ぐようにして帯状のカバーフィルムを取着してなる帯状のブリスタフィルムをシート単位に打ち抜くことによりブリスタシートを製造するブリスタ包装機であって、
前記ブリスタフィルムを間欠搬送する搬送手段と、
一時停止された前記ブリスタフィルムを切断するシート切断手段とを備え、
前記シート切断手段は、前記ブリスタフィルムを挟む位置に設けられた第一構成部及び第二構成部を備え、
前記第一構成部は、
前記ブリスタシートの外縁形状に対応する形状の刃部を具備するシート打抜刃と、
該シート打抜刃よりも前記ブリスタフィルムの搬送方向下流側に設けられたスクラップ切断刃とを有し、
前記第二構成部は、
平坦な表面に沿って前記ブリスタフィルムが搬送されるように構成されるとともに、前記ブリスタシートの外縁形状に対応する形状をなし前記表面に開口した打抜孔を具備するシート打抜受部と、
前記シート打抜受部よりも前記搬送方向下流側に設けられたスクラップ切断受部とを有し、
前記シート打抜刃及び前記スクラップ切断刃が前記ブリスタフィルムから離間した状態となる退避位置から所定の両方切断位置へと前記第一構成部が移動することで、前記シート打抜刃が前記打抜孔に挿通されて前記シート打抜刃及び前記シート打抜受部により前記ブリスタフィルムが打抜かれるとともに、前記ブリスタフィルムのうち前記シート打抜刃よりも前記搬送方向下流側に位置するスクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断されるように構成される一方で、
前記第一構成部が前記退避位置から所定の一方切断位置へと移動することで、前記ブリスタフィルムが打抜かれることなく、前記スクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断されるように構成され、
前記第二構成部における前記シート打抜受部と前記スクラップ切断受部との間には、前記スクラップ部を前記スクラップ切断刃の方に接近する経路を通るように案内し、少なくとも前記第一構成部が前記退避位置に配置されている状態において、前記シート打抜受部における前記打抜孔に対応するエッジ部のうち前記搬送方向下流側に位置する下流側エッジ部から前記ブリスタフィルムを浮かせた状態とすることが可能な案内手段が設けられ、
前記スクラップ切断受部のうち、少なくとも前記スクラップ切断刃と協働して前記スクラップ部を切断する部位は、前記第一構成部の移動方向に沿って前記シート打抜受部の前記表面よりも前記スクラップ切断刃側に突出していることを特徴とするブリスタ包装機。
【0012】
上記手段1によれば、案内手段によって、スクラップ部がスクラップ切断刃の方に接近する経路を通るように案内され、少なくとも第一構成部が退避位置に配置されている状態において、シート打抜受部における下流側エッジ部からブリスタフィルムが浮いた(離間した)状態となる。そのため、下流側エッジ部からブリスタフィルムが浮いている状態でブリスタフィルムを搬送することができる。従って、ブリスタフィルムの引っ掛かりが特に懸念される下流側エッジ部に対するブリスタフィルムの引っ掛かりを効果的に抑えることができ、シート打抜受部(ブリスタフィルムを打抜く装置)に対しブリスタフィルムが引っ掛かるといった事態をより確実に防止することができる。これにより、ブリスタフィルムをより円滑に搬送することができ、装置の動作安定性を高めることができる。
【0013】
また、スクラップ切断受部のうち、スクラップ切断刃と協働してスクラップ部を切断する部位は、シート打抜受部の表面よりもスクラップ切断刃側に突出している。そのため、第一構成部の移動方向に沿ってシート打抜刃からスクラップ切断刃があまり又は全く突出しないように第一構成部を構成したとしても、第一構成部が一方切断位置(スクラップ部のみを切断するときの位置)に配置されたときに、ブリスタフィルムに対しシート打抜刃が接触することをより確実に防止できる。これにより、第一構成部の小型化を図りつつ、第一構成部を一方切断位置へと移動させることによるスクラップ部のみの切断を安定的に行うことができる。また、スクラップ切断刃及びシート打抜刃の位置関係に係る設計自由度をより高めることができる。
【0014】
手段2.前記第一構成部は、前記シート打抜受部の前記表面との間で前記ブリスタフィルムを挟み込み可能であるともに、所定の緩衝手段を具備する押さえ部を有し、
前記退避位置から前記両方切断位置に対する前記第一構成部の移動時においては、前記ブリスタフィルムに対する前記シート打抜刃の接触前に前記押さえ部及び前記シート打抜受部の前記表面によって前記ブリスタフィルムが挟み込まれ、該ブリスタフィルムの挟み込み後には前記緩衝手段により前記両方切断位置に対する該第一構成部の移動が阻害されないように構成されていることを特徴とする手段1に記載のブリスタ包装機。
【0015】
上記手段2によれば、ブリスタフィルムを打抜くべく、第一構成部が退避位置から両方切断位置へと移動するときには、シート打抜刃がブリスタフィルムと接触する前(両方切断位置へと到達する前)に、シート打抜受部の表面と押さえ部とでブリスタフィルムが挟み込まれる。これにより、案内手段によってシート打抜受部の表面から浮いていたブリスタフィルムは、シート打抜受部の表面と接触した状態となる。そして、この状態で、第一構成部が両方切断位置へと移動することにより、ブリスタフィルムが打抜かれる。従って、ブリスタフィルムがシート打抜受部の表面から浮いた状態のまま該ブリスタフィルムを打抜く場合と比べて、打抜位置にずれが生じることをより確実に防止できる。その結果、得られるブリスタシートの製品品質を高めることができる。
【0016】
また、シート打抜刃がブリスタフィルムと接触する前に押さえ部等によってブリスタフィルムを挟み込み可能としながら、押さえ部が有する緩衝手段によって、挟み込み後における第一構成部の更なる移動を許容することができる。
【0017】
手段3.前記退避位置から前記両方切断位置に対する前記第一構成部の移動時においては、前記押さえ部が前記ブリスタフィルムと接触する前に、前記スクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断されるように構成されていることを特徴とする手段2に記載のブリスタ包装機。
【0018】
上記手段3によれば、スクラップ部の切断時に、第一構成部に対しその移動を妨げる方向の力が押さえ部から加わることがない。従って、第一構成部を移動させるための駆動手段(例えばモータなど)に加わる負荷(モーメント力など)の増大抑制を図ることができる。
【0019】
尚、「前記退避位置から前記両方切断位置に対する前記第一構成部の移動時においては、前記押さえ部が前記シート打抜受部の前記表面との間で前記ブリスタフィルムを挟み込む前に、前記スクラップ部が前記スクラップ切断刃及び前記スクラップ切断受部により切断される」ように構成されていてもよい。この構成においても、第一構成部を移動させるための駆動手段に加わる負荷の増大抑制を図ることができる。
【0020】
手段4.前記スクラップ切断刃は、前記第一構成部の移動方向に沿って、前記シート打抜刃よりも前記スクラップ切断受部側に突出しないように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0021】
上記手段4によれば、第一構成部におけるその移動方向に沿ったサイズをより小さなものとすることができる。これにより、装置の小型化をより確実に図ることができる。また、各種コストの増大抑制などをより効果的に図ることができる。
【0022】
手段5.前記案内手段は、前記スクラップ部が摺動することで該スクラップ部を案内する傾斜面であることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0023】
上記手段5によれば、案内手段は単なる傾斜面であるから、案内手段の構造を簡素化することができる。これにより、各種コストの増大抑制を一層効果的に図ることができる。
【0024】
手段6.前記シート打抜受部の前記表面を含む仮想面に対する前記傾斜面のなす角のうちの小さい方の角の角度θ1が10°以上20°以下であることを特徴とする手段5に記載のブリスタ包装機。
【0025】
上記手段6によれば、角度θ1が10°以上とされているため、下流側エッジ部からブリスタフィルムをより確実に浮かすことができる。
【0026】
一方、角度θ1が20°以下とされているため、シート打抜受部の表面(仮想面)に対するスクラップ切断受部の突出量(高さ)が過度に大きなものとなることをより確実に防止できる。そのため、退避位置から一方切断位置へと移動する際における第一構成部のストローク量と比べて、退避位置から両方切断位置へと移動する際における第一構成部のストローク量が極端に増大することをより確実に防止できる。これにより、装置の小型化をより効果的に図ることができるとともに、第一構成部を移動させるための駆動手段(例えばモータなど)に加わる負荷の増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0027】
手段7.前記シート打抜受部の前記表面を含む仮想面と直交するとともに、前記ブリスタフィルムの搬送方向と平行であり、かつ、前記下流側エッジ部を通る断面において、前記仮想面に対する、前記ブリスタフィルムの搬送方向に沿った前記傾斜面の最下流部から前記下流側エッジ部に引いた仮想線のなす角のうちの小さい方の角の角度θ2が5°以上20°以下であることを特徴とする手段5又は6に記載のブリスタ包装機。
【0028】
上記手段7によれば、角度θ2が5°以上とされているため、下流側エッジ部からブリスタフィルムを一層確実に浮かすことができる。
【0029】
一方、角度θ2が20°以下とされているため、シート打抜受部の表面(仮想面)に対するスクラップ切断受部の突出量(高さ)が過度に大きなものとなることを一層確実に防止できる。これにより、退避位置から両方切断位置へと移動する際における第一構成部のストローク量を比較的小さなものとすることができる。従って、装置の小型化を一層確実に図ることができるとともに、第一構成部を移動させるための駆動手段(例えばモータなど)に加わる負荷の増大抑制を一層効果的に図ることができる。
【0030】
手段8.前記第一構成部の移動方向に沿った、前記シート打抜受部の前記表面に対する前記スクラップ切断受部の高さHが3mm以上8mm以下であることを特徴とする手段5乃至7のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0031】
上記手段8によれば、高さHが3mm以上とされているため、下流側エッジ部からブリスタフィルムをより一層確実に浮かすことができる。
【0032】
一方、高さHが8mm以下とされているため、結果的に、退避位置から両方切断位置へと移動する際における第一構成部のストローク量を比較的小さなものとすることができる。これにより、装置の小型化を一層確実に図ることができる。また、第一構成部を移動させるための駆動手段(例えばモータなど)に加わる負荷の増大抑制をより一層効果的に図ることができる。
【0033】
手段9.前記シート打抜受部の前記表面は、水平な平坦面であることを特徴とする手段1乃至8のいずれかに記載のブリスタ包装機。
【0034】
上記手段9のように、シート打抜受部の表面が水平な平坦面である場合、この水平な平坦面に沿って搬送されるブリスタフィルムは、自重によってシート打抜受部側に向けて弛みやすくなるおそれがある。そのため、下流側エッジ部に対するブリスタフィルムの引っ掛かりがより生じやすくなるおそれがある。
【0035】
この点、上記手段1等を採用することで、上記手段9のようにブリスタフィルムの引っ掛かりが生じやすい構成であっても、ブリスタフィルムの引っ掛かりをより確実に防止することができる。換言すれば、上記手段1等は、上記手段9の構成において特に有効であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
【
図6】シート打抜刃の中心で切断した状態における、シート切断装置の一部破断斜視模式図である。
【
図7】押さえ部の配設位置にて切断した状態における、シート切断装置の一部破断斜視模式図である。
【
図8】第二構成部について説明するための
図5のJ-J線拡大断面図である。
【
図9】PTPフィルムの切断前において、第一構成部が退避位置に配置された状態のシート切断装置などを示す斜視模式図である。
【
図10】PTPフィルムの切断前において、第一構成部が退避位置に配置された状態のシート切断装置などを示す正面模式図である。
【
図11】第一構成部が一方切断位置に配置された状態におけるシート切断装置などの正面模式図である。
【
図12】押さえ部等によりPTPフィルムが挟み込まれた状態を示すシート切断装置などの正面模式図である。
【
図13】第一構成部が両方切断位置に配置された状態におけるシート切断装置などの斜視模式図である。
【
図14】第一構成部が両方切断位置に配置された状態におけるシート切断装置などの正面模式図である。
【
図15】第一構成部が退避位置に戻った状態におけるシート切断装置などの斜視模式図である。
【
図17】従来技術において、下流側エッジ部に対するPTPフィルムの引っ掛かりを説明するための斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、「ブリスタシート」としてのPTPシートの構成について説明する。
【0038】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0039】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0040】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(
図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。本実施形態では、PTPフィルム6が「ブリスタフィルム」を構成する。PTPフィルム6は、その長手方向に沿ってPTPシート1となる部位が連続的に隙間なく並ぶ構成となっている。
【0041】
PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された2個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計4個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、「内容物」としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0042】
次に、上記PTPシート1を製造するためのPTP包装機10の概略構成について説明する。本実施形態では、PTP包装機10が「ブリスタ包装機」を構成する。
【0043】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0044】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0045】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0046】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、充填装置21及び検査装置22が順に配設されている。
【0047】
充填装置21は、例えば所定間隔毎にシャッタを開いて錠剤5を自由落下させること等により各ポケット部2に錠剤5を充填する。
【0048】
検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無などに関する検査を行う。検査装置22による検査結果は、後述する制御装置61へと送られる。
【0049】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0050】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0051】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0052】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。本実施形態では、間欠送りロール32が「搬送手段」を構成する。
【0053】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、
図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0054】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、シート切断装置37へと送られる。本実施形態では、シート切断装置37が「シート切断手段」を構成する。シート切断装置37は、間欠搬送ロール32によるPTPフィルム6の搬送動作間のインターバルであって、PTPフィルム6が一時停止しているときに、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能と、後述するスクラップ部7を切断する機能とを有する。
【0055】
シート切断装置37によりPTPフィルム6を打抜くことで得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に貯留される。一方、シート切断装置37により切断されたスクラップ部7は、スクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。尚、検査装置22によって不良判定がなされた場合、PTPフィルム6のうちの不良判定に係るPTPシート1に対応する部分は、打抜かれることなくスクラップ部7となり、シート切断装置37により切断される。
【0056】
次に、シート切断装置37についてより詳しく説明する。シート切断装置37は、PTPフィルム6(PTPフィルム6の搬送経路)を上下に挟む位置に設けられた第一構成部51及び第二構成部52を備えている。
【0057】
第一構成部51は、PTPフィルム6の上方に設置されており、
図5~7に示すように、ベース511、シート打抜刃512、スクラップ切断刃513及び押さえ部514を備えている。一方、第二構成部52は、PTPフィルム6の下方に設置されており、シート打抜受部521、スクラップ切断受部522及びフィルム案内部523を備えている。本実施形態では、フィルム案内部523が「案内手段」を構成する。
【0058】
まず、第一構成部51について説明する。ベース511は、シート打抜刃512やスクラップ切断刃513などが設置される基台である。ベース511は、図示しない所定の駆動手段(例えばモータ等)により上下方向に往復移動可能に構成されている。
【0059】
さらに、ベース511には、PTPフィルム6側に向けて開口し、押さえ部514が挿設される穴部511a(
図7参照)が設けられている。穴部511aは、シート打抜受部521の表面5212(PTPフィルム6側を向く面)のうち後述する打抜孔5211よりもPTPフィルム6の搬送方向下流側に位置する面と相対する位置に2箇所設けられている。この2つの穴部511aは、それぞれPTPフィルム6の幅方向端縁側部分(すなわち、PTPフィルム6のうち打抜後にも残存することになる部分)と相対向する位置に存在している。
【0060】
また、ベース511の移動に伴い、第一構成部51が上下に往復移動するところ、第一構成部51は所定の退避位置から所定の両方切断位置へと移動することが可能となっており、また、前記退避位置から所定の一方切断位置へと移動することも可能となっている。
【0061】
ここで、「退避位置」とは、シート打抜刃512、スクラップ切断刃513及び押さえ部514がPTPフィルム6から離間した状態となる位置をいう。一方、「両方切断位置」とは、シート打抜刃512が後述する打抜孔5211に挿通されるとともに、スクラップ切断刃513の先端部(下端部)がPTPフィルム6(の搬送経路)を越えることになる位置をいう。また、「一方切断位置」とは、シート打抜刃512が打抜孔5211に挿通されず、スクラップ切断刃513の先端部がPTPフィルム6(の搬送経路)を越えることになる位置をいう。
【0062】
シート打抜刃512は、シート打抜受部521と協働してPTPフィルム6を打抜くためのものである。シート打抜刃512の先端部(PTPフィルム6側の端部)には、PTPシート1の外縁形状に対応する形状をなす先鋭形の刃部512a(
図6参照)が設けられている。
【0063】
スクラップ切断刃513は、スクラップ切断受部522と協働してスクラップ部7を切断するためのものである。スクラップ切断刃513は、シート打抜刃512よりもPTPフィルム6の搬送方向下流側に設けられている。
【0064】
尚、スクラップ部7とは、PTPフィルム6のうちシート打抜刃512よりもPTPフィルム6の搬送方向下流側に位置する部位をいう。従って、スクラップ部7とは、基本的にはPTPフィルム6のうちシート打抜刃512等による打抜後に残存する部分をいうが、PTPフィルム6のうち打抜きが行われないままシート打抜刃512よりも前記搬送方向下流側に搬送された部分もスクラップ部7に含まれる。
【0065】
また、スクラップ切断刃513は、第一構成部51の移動方向に沿って、シート打抜刃512よりもスクラップ切断受部522側に突出しないように構成されている(
図10参照)。本実施形態では、スクラップ切断刃513の先端部(下端部)とシート打抜刃512の先端部(下端部)とが、第一構成部51の移動方向に沿って同じ高さ位置に配置されている。尚、スクラップ切断刃513が、第一構成部51の移動方向に沿って、シート打抜刃512よりもスクラップ切断受部522から離れる側に引っ込むように構成してもよい。また、スクラップ切断刃513が、第一構成部51の移動方向に沿って、シート打抜刃512よりもスクラップ切断受部522側に若干だけ突出するように構成してもよい。
【0066】
押さえ部514は、PTPフィルム6を切断する際に、シート打抜受部521の表面5212との間でPTPフィルム6を挟み込むためのものである。本実施形態では、押さえ部514が2つ設けられており、各押さえ部514はそれぞれ前記穴部511aに設置されている。各押さえ部514は、ばね514a及び押さえピン514bを備えている(
図7参照)。本実施形態では、ばね514aが「緩衝手段」を構成する。
【0067】
ばね514aは、第一構成部51の移動方向に沿って弾性変形可能なコイルばねにより構成されており、穴部511aに挿設されている。ばね514aは、ベース511及び押さえピン514b間において両者に固定されている。これにより、押さえ部514は、第一構成部51の移動方向に沿って弾性変形可能となっている。
【0068】
押さえピン514bは、先端面(下端面)が平坦状をなし、その基端部(上端部)が穴部511aに挿通された棒状部品である。押さえピン514bは、ばね514aの弾性変形時に、ベース511(特に穴部511aを形成する部位)によってその移動がガイドされるようになっている。加えて、穴部511aが上記のように構成されることにより、押さえピン514bは、PTPフィルム6の幅方向端縁側部分の搬送経路に対応する位置に設けられ、また、押さえピン514bの先端面は、シート打抜受部521の表面5212のうち後述する打抜孔5211よりも前記搬送方向下流側に位置する面と相対した状態となっている。
【0069】
加えて、押さえピン514bの先端面は、第一構成部51の移動方向に沿って、シート打抜刃512よりもシート打抜受部521側に突出している。これにより、第一構成部51が第二構成部52側に移動したときには、シート打抜刃512がPTPフィルム6と接触する前に、押さえピン514bの先端面がPTPフィルム6と接触する。
【0070】
加えて、第一構成部51が前記退避位置に配置されている状態において、第一構成部51の移動方向に沿った、押さえピン514bの先端面からPTPフィルム6の搬送経路までの距離は、同移動方向に沿ったスクラップ切断刃513からスクラップ切断受部522(特に後述するスクラップ受刃522a)までの距離よりも十分に大きなものとなるように構成されている。これにより、第一構成部51が第二構成部52側に移動したときには、押さえピン514bの先端面がPTPフィルム6に接触する前に、スクラップ切断刃513及びスクラップ受刃522aによるスクラップ部7の切断が可能である。
【0071】
次に、第二構成部52について説明する。シート打抜受部521は、PTPフィルム6を挟んでシート打抜刃512と相対する位置に配置されており、PTPシート1の外縁形状に対応する形状の打抜孔5211を備えている。打抜孔5211は、シート打抜受部521の表面5212(PTPフィルム6側に位置する面)にて開口している。尚、本実施形態において、シート打抜受部521の表面5212は水平な平坦面であり、PTPフィルム6は、前記間欠送りロール32によって、この表面5212に沿ってほぼ水平方向に搬送されるようになっている。
【0072】
また、シート打抜受部521は、前記表面5212側に、前記打抜孔5211に対応するエッジ部5213を有している。エッジ部5213は、PTPシート1の外縁形状に対応する矩形状をなしている。本実施形態において、エッジ部5213は、前記搬送方向下流側に位置し、PTPフィルム6を平面視したときに、PTPフィルム6の搬送方向と交差する方向に延びる下流側エッジ部5213aを有している。
【0073】
スクラップ切断受部522は、シート打抜受部521よりも前記搬送方向下流側に設けられており、スクラップ切断刃513と協働してスクラップ部7の切断を行う部位であるスクラップ受刃522aを備えている。本実施形態において、スクラップ受刃522aは、スクラップ切断受部522における前記搬送方向最下流側の端面(第一構成部51の移動方向と平行な面)とスクラップ切断受部522の表面(PTPフィルム6側に位置する面)とによって形成されており、角張った形状をなしている。尚、スクラップ受刃522aは、PTPフィルム6側に向けて尖った形状をなすものであってもよい。
【0074】
また、スクラップ切断受部522は、少なくともスクラップ受刃522aが第一構成部51の移動方向に沿ってシート打抜受部521の前記表面5212よりもスクラップ切断刃513側に突出するように構成されている。本実施形態において、第一構成部51の移動方向に沿った、シート打抜受部521の表面5212に対するスクラップ切断受部522の高さH(
図8参照)は、3mm以上8mm以下とされている。尚、
図8では、図示の便宜上、ハッチングの一部を省略している。
【0075】
フィルム案内部523は、シート打抜受部521及びスクラップ切断受部522との間に設けられており、スクラップ切断刃513の方に接近する経路を通るようにスクラップ部7を案内する。本実施形態において、フィルム案内部523は、シート打抜受部521の前記表面5212に連続し、スクラップ部7が摺動することで該スクラップ部7を案内する傾斜面523aによって構成されている。
【0076】
加えて、
図8に示すように、前記表面5212を含む仮想面VSに対する傾斜面523aのなす角のうちの小さい方の角の角度θ1は10°以上20°以下(より好ましくは、10°以上15°以下)となるように設定されている。
【0077】
さらに、前記仮想面VSと直交するとともに、PTPフィルム6の搬送方向と平行であり、かつ、下流側エッジ部5213aを通る断面において、PTPフィルム6の搬送方向に沿った傾斜面523aの最下流部Mpから下流側エッジ部5213aへと仮想線VLを引いたとする。このとき、仮想面VSに対する仮想線VLのなす角のうちの小さい方の角の角度θ2が5°以上20°以下(より好ましくは、5°以上15°以下)となるように設定されている。尚、図示の便宜上、図面では、角度θ1やθ2を上述した各範囲よりも大きな角度で示している。
【0078】
また、本実施形態において、PTP包装機10は、該PTP包装機10を構成する各種装置(例えば、間欠送りロール32やシート切断装置37など)の動作を制御可能な制御装置61(
図4参照)を備えている。制御装置61は、演算用のCPUやデータ記憶用のROM、RAMなどを備えたコンピュータシステムによって構成されている。
【0079】
制御装置61は、間欠送りロール32によるPTPフィルム6の搬送時には、第一構成部51が前記退避位置に配置された状態となるように、シート切断装置37の動作を制御する。一方、制御装置61は、PTPフィルム6のうちのシート切断装置37(シート打抜刃512等)による打抜対象となる部分(PTPシート1となる部分)がシート打抜刃512及びシート打抜受部521間にて一時停止された状態(
図9,10参照)になると、検査装置22から送られた検査結果に対応した動作を行うように、第一構成部51の動作を制御する。
【0080】
より詳しくは、検査装置22によって、PTPフィルム6のうちのシート切断装置37による打抜対象となる部分が不良であると判定されている場合、制御装置61は、前記退避位置から前記一方切断位置へと移動するように第一構成部51の動作を制御する(
図11参照)。これにより、PTPフィルム6が打抜かれることなく、スクラップ部7がスクラップ切断刃513及びスクラップ切断受部522(スクラップ受刃522a)により切断される。その後、制御装置61は、前記退避位置へと戻り移動するように第一構成部51の動作を制御する。
【0081】
一方、検査装置22によって、PTPフィルム6のうちのシート切断装置37による打抜対象となる部分が良であると判定されている場合、制御装置61は、前記退避位置から前記両方切断位置へと移動するように第一構成部51の動作を制御する。このとき、第一構成部51がまず前記一方切断位置に至ることで、押さえ部514がPTPフィルム6と接触する前に、スクラップ切断刃513及びスクラップ切断受部522によってスクラップ部7が切断される(
図11参照)。
【0082】
その後、第一構成部51がさらに第二構成部52側へと移動することで、PTPフィルム6に対するシート打抜刃512の接触前に、押さえ部514(押さえピン514b)及びシート打抜受部521の表面5212によってPTPフィルム6が挟み込まれる(
図12参照)。これにより、フィルム案内部523によって表面5212から浮いた状態となっていたPTPフィルム6は、打抜孔5211の周囲に位置する表面5212に接触した状態となる。
【0083】
その上で、第一構成部51がさらに第二構成部52側へと移動し、前記両方切断位置へと至ることで、シート打抜刃512(刃部512a)が打抜孔5211に挿通されてシート打抜刃512及びシート打抜受部521によりPTPフィルム6が打抜かれる(
図13,14参照)。尚、押さえ部514等によるPTPフィルム6の挟み込み後には、ばね514aが弾性変形することで、前記両方切断位置に向けた第一構成部51の移動が阻害されることはない。
【0084】
その後、制御装置61は、前記退避位置へと戻り移動するように第一構成部51の動作を制御する。第一構成部51が前記退避位置へと移動することに伴い、押さえ部514がPTPフィルム6から離間し、PTPフィルム6は少なくとも下流側エッジ部5213aから浮いた状態に戻る(
図15参照)。その上で、制御装置61は、PTPフィルム6が一定量だけ搬送されるように間欠送りロール32の動作を制御する。このとき、PTPフィルム6は、少なくとも下流側エッジ部5213aから浮いた状態で搬送される。
【0085】
以降においては、PTPフィルム6が一時停止される度に、検査装置22による検査結果に対応した動作を行うように第一構成部51が制御され、その結果、PTPフィルム6を打抜かずにスクラップ部7のみを切断すること、又は、PTPフィルム6を打抜くとともにスクラップ部7を切断することが選択的に行われることとなる。そして、スクラップ部7の切断やPTPフィルム6の打抜きが行われた後となる度に、PTPフィルム6は下流側エッジ部5213aから浮いた状態で一定量搬送されることとなる。
【0086】
以上詳述したように、本実施形態によれば、少なくとも第一構成部51が前記退避位置に配置されている状態においては、フィルム案内部523により、下流側エッジ部5213aからPTPフィルム6が浮いた(離間した)状態となる。そのため、下流側エッジ部5213aからPTPフィルム6が浮いている状態でPTPフィルム6を搬送することができる。従って、PTPフィルム6の引っ掛かりが特に懸念される下流側エッジ部5213aに対するPTPフィルム6の引っ掛かりを効果的に抑えることができ、シート打抜受部521に対しPTPフィルム6が引っ掛かるといった事態をより確実に防止することができる。これにより、PTPフィルム6をより円滑に搬送することができ、PTP包装機10の動作安定性を高めることができる。
【0087】
また、特に本実施形態では、打抜後に残存する、PTPシート1の外縁角部に対応するコーナー対応部9(
図15参照)のうち特に進行方向前方側を向く部分が、下流側エッジ部5213aに引っ掛かるおそれがあるが、本実施形態によれば、下流側エッジ部5213aに対するコーナー対応部9の引っ掛かりをより確実に防止することができる。
【0088】
加えて、スクラップ切断受部522のうち、スクラップ切断刃513と協働してスクラップ部7を切断する部位(スクラップ受刃522a)は、シート打抜受部521の表面5212よりもスクラップ切断刃513側に突出している。そのため、第一構成部51の移動方向に沿ってシート打抜刃512からスクラップ切断刃513が突出しないように第一構成部51を構成したとしても、第一構成部51が一方切断位置(スクラップ部7のみを切断するときの位置)に配置されたときに、PTPフィルム6に対しシート打抜刃512が接触することをより確実に防止できる。これにより、第一構成部51の小型化を図りつつ、第一構成部51を一方切断位置へと移動させることによるスクラップ部7のみの切断を安定的に行うことができる。また、スクラップ切断刃513及びシート打抜刃512の位置関係に係る設計自由度をより高めることができる。
【0089】
さらに、PTPフィルム6を打抜くべく、第一構成部51が退避位置から両方切断位置へと移動するときには、シート打抜刃512がPTPフィルム6と接触する前(両方切断位置へと到達する前)に、シート打抜受部521の表面5212と押さえ部514とでPTPフィルム6が挟み込まれる。これにより、フィルム案内部523によって表面5212から浮いていたPTPフィルム6は、表面5212と接触した状態となる。そして、この状態で、第一構成部51が両方切断位置へと移動することにより、PTPフィルム6が打抜かれる。従って、PTPフィルム6が表面5212から浮いた状態のまま該PTPフィルム6を打抜く場合と比べて、打抜位置にずれが生じることをより確実に防止できる。その結果、得られるPTPシート1の製品品質を高めることができる。
【0090】
併せて、本実施形態によれば、シート打抜刃512がPTPフィルム6と接触する前に押さえ部514等によってPTPフィルム6を挟み込み可能としながら、押さえ部514が有するばね514aによって、挟み込み後における第一構成部51の更なる移動を許容することができる。
【0091】
また、押さえ部514がPTPフィルム6と接触する前に、スクラップ部7がスクラップ切断刃513及びスクラップ切断受部522により切断されるから、スクラップ部7の切断時に、第一構成部51に対しその移動を妨げる方向の力が押さえ部514から加わることがない。従って、第一構成部51を移動させるための前記駆動手段に加わる負荷(モーメント力など)の増大抑制を図ることができる。
【0092】
さらに、スクラップ切断刃513は、第一構成部51の移動方向に沿って、シート打抜刃512よりもスクラップ切断受部522側に突出しないように構成されているため、第一構成部51におけるその移動方向に沿ったサイズをより小さなものとすることができる。これにより、シート切断装置37の小型化をより確実に図ることができる。また、各種コストの増大抑制などをより効果的に図ることができる。
【0093】
加えて、フィルム案内部523は単なる傾斜面523aであるから、フィルム案内部523の構造を簡素化することができる。これにより、各種コストの増大抑制を一層効果的に図ることができる。
【0094】
また、角度θ1が10°以上とされること、角度θ2が5°以上とされること、又は、高さHが3mm以上とされることにより、下流側エッジ部5213aからPTPフィルム6をより確実に浮かすことができる。
【0095】
一方、角度θ1,θ2がそれぞれ20°以下とされること、又は、高さHが8mm以下とされることにより、シート打抜受部521の表面5212(仮想面VS)に対するスクラップ切断受部522の突出量(高さ)が過度に大きなものとなることをより確実に防止できる。そのため、退避位置から一方切断位置へと移動する際における第一構成部51のストローク量と比べて、退避位置から両方切断位置へと移動する際における第一構成部51のストローク量が極端に増大することをより確実に防止できる。これにより、シート切断装置37の小型化をより効果的に図ることができる。また、第一構成部51を移動させるための前記駆動手段に加わる負荷の増大抑制をより効果的に図ることができる。
【0096】
尚、下流側エッジ部5213aからPTPフィルム6を浮かせるという技術事項は、本実施形態のように、シート打抜受部521の表面5212が水平な平坦面であり、この水平な平坦面に沿ってPTPフィルム6が搬送される構成において、特に有効である。この構成では、PTPフィルム6が自重によってシート打抜受部521側に向けて弛みやすくなるから、下流側エッジ部5213aに対するPTPフィルム6の引っ掛かりがより生じやすいためである。
【0097】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0098】
(a)上記実施形態において、押さえ部514は、シート打抜受部521の表面5212のうち打抜孔5211よりもPTPフィルム6の搬送方向下流側に位置する面との間でPTPフィルム6を挟み込み可能に構成されている。これに対し、シート打抜受部521の表面5212のうち、PTPフィルム6の幅方向に沿って打抜孔5211を挟む位置に存在する面であって、前記打抜孔5211の中心よりも前記搬送方向下流側に位置する面との間でPTPフィルム6を挟み込むように押さえ部514を構成してもよい。
【0099】
また、押さえ部514は、必ずしもばね514a及び押さえピン514bを備えている必要はない。例えば、押さえ部は、ばね514aのみを有し、該ばね514aによってPTPフィルム6の挟み込みを行うものであってもよい。また、緩衝手段として、第一構成部51の移動方向に沿って弾性変形可能な部品(例えば、発泡樹脂などからなるクッション部品や、エアクッションなど)を用いてもよいし、該移動方向に沿って伸縮変形可能なエアシリンダなどを用いてもよい。さらに、押さえピン514bに代えて、PTPフィルム6の幅方向に延びる板状又は棒状の部品などを用いてもよい。
【0100】
(b)上記実施形態において、フィルム案内部523は傾斜面523aによって構成されているが、フィルム案内部は、スクラップ部7をスクラップ切断刃513の方に接近する経路を通るように案内し、下流側エッジ部5213aからPTPフィルム6を浮かせた状態とすることが可能なものである限り、適宜変更可能である。従って、例えば、フィルム案内部を、シート打抜受部521の前記表面5212よりもスクラップ切断刃513側に突出した段部や、回転可能なローラなどによって構成してもよい。また、フィルム案内部は、例えば階段状のものであってもよい。
【0101】
(c)上記実施形態において、PTPフィルム6は、シート打抜受部521の配置箇所において、水平な表面5212に沿ってほぼ水平方向に搬送されるように構成されているが、シート打抜受部521の配置箇所におけるPTPフィルム6の搬送方向を適宜変更してもよい。例えば、シート打抜受部の表面を平坦な鉛直面とし、該表面に沿ってPTPフィルム6がほぼ鉛直方向に搬送されるように構成してもよい。
【0102】
(d)上記実施形態で挙げたPTPシート1の構成は一例であり、例えば、PTPシート1が有するポケット部2の数や配列などを適宜変更してもよい。
【0103】
(e)上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、PTPフィルム6の構成はこれに限定されるものではない。例えば、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って2シート分以上に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その長手方向に沿ってPTPシート1となる部位が連続的に隙間なく並ぶ構成となっているが、その長手方向に沿ってPTPシート1となる部位が一定の間隔をあけて並ぶ構成であってもよい。
【0105】
(f)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品等が内容物として収容される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、6…PTPフィルム(ブリスタフィルム)、7…スクラップ部、10…PTP包装機(ブリスタ包装機)、32…間欠送りロール(搬送手段)、37…シート切断装置(シート切断手段)、51…第一構成部、52…第二構成部、512…シート打抜刃、513…スクラップ切断刃、514…押さえ部、514a…ばね(緩衝手段)、521…シート打抜受部、522…スクラップ切断受部、523…フィルム案内部(案内手段)、523a…傾斜面、5211…打抜孔、5212…(シート打抜受部の)表面、5213…エッジ部、5213a…下流側エッジ部、VL…仮想線、VS…仮想面。
【要約】
【課題】ブリスタフィルムを打抜く装置に対するブリスタフィルムの引っ掛かりをより確実に防止可能なブリスタ包装機を提供する。
【解決手段】PTP包装機は、シート打抜受部521とスクラップ切断受部522との間に、スクラップ部7をスクラップ切断刃513の方に接近する経路を通るように案内し、シート打抜受部521における打抜孔5211に対応するエッジ部5213のうちPTPフィルム6の搬送方向下流側に位置する下流側エッジ部5213aからPTPフィルム6を浮かせることが可能なフィルム案内部523を備える。これにより、PTPフィルム6の引っ掛かりが特に懸念される下流側エッジ部5213aに対するPTPフィルム6の引っ掛かりが効果的に抑えられ、ひいてはシート打抜受部521(PTPフィルム6を打抜く装置)に対するPTPフィルム6の引っ掛かりをより確実に防止できる。
【選択図】
図10