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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】配管支持装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20230313BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20230313BHJP
   F16L 3/23 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
F16L5/00 M
G21D1/00 H
F16L5/00 P
F16L3/23
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018174365
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020045959
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 信弘
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 次男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-047652(JP,A)
【文献】実開昭63-201274(JP,U)
【文献】実開昭61-187498(JP,U)
【文献】特開昭61-197870(JP,A)
【文献】実開平05-075699(JP,U)
【文献】特開平06-088899(JP,A)
【文献】実開昭59-152496(JP,U)
【文献】特開2001-343479(JP,A)
【文献】米国特許第04249353(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/00
G21D 1/00
F16L 3/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の貫通部に挿通される配管を支持する配管支持装置であって、
前記貫通部の開口部に固定される端部支持部材と、
前記貫通部内に配置された放射線遮蔽材と、
前記放射線遮蔽材を挟んで前記端部支持部材の反対側に配置されたストッパと、
前記端部支持部材と前記ストッパとを連結する連結部材と、
前記放射線遮蔽材と前記ストッパとの間に配置された中間支持部材と、
前記連結部材の長手方向に沿って前記端部支持部材と前記放射線遮蔽材との間に挿入された筒状のカラーと、を備え、
前記中間支持部材は、前記貫通部の内面と所定の隙間を有する外径を備えた板部材であるとともに、複数に分割された分割片により構成されており、
前記カラーにより前記放射線遮蔽材の位置決めを行うようにした、
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項2】
前記分割片は、前記配管又は前記連結部材との干渉を回避するための係合溝又は切欠部を備えている、請求項1に記載の配管支持装置。
【請求項3】
前記分割片は、組み合わせたときに前記配管の外周を覆うように構成されている、請求項2に記載の配管支持装置。
【請求項4】
前記配管が前記貫通部内に一列に配置されている場合には、前記分割片は、前記配管の一方の側面から配置される第一分割片と、前記配管の他方の側面から配置される第二分割片と、により構成される、請求項1に記載の配管支持装置。
【請求項5】
前記配管が前記貫通部内に二列に配置されている場合には、前記分割片は、前記配管の第一列の外側から配置される第一分割片と、前記配管の第二列の外側から配置される第二分割片と、前記第一列と前記第二列との間に挿入される第三分割片と、により構成される、請求項1に記載の配管支持装置。
【請求項6】
前記配管が前記第一列と前記第二列との間に配置された中間配管を有する場合に、前記第三分割片は前記中間配管を挟んで更に二分割されている、請求項5に記載の配管支持装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管支持装置に関し、特に、ペネトレーション等の貫通部に挿通される配管を支持する配管支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子炉格納容器、原子炉建屋等のコンクリート構造物には、計装用ケーブル用配管、流体用配管等の配管を挿通するための貫通部(ペネトレーション)が設けられている。かかる貫通部に配管を敷設する際に、振動、熱膨張、熱収縮等の影響による配管の変動を考慮する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ペネトレーション内に配置される止金具(7)とペネトレーションの端部に配置される止金具(5)とをラウンドバー(8)で連結し、配管(2)を両方の止金具(5,7)を貫通させることによって支持する構造が開示されている。また、止金具(5)と止金具(7)との間には放射線遮蔽材としての鉛毛(3)が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-92279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、大地震やシビアアクシデント等の発生に備えて、構造物の設計基準が変更されていることもあり、貫通部(ペネトレーション)における配管の支持構造について、耐震性及び安全性の向上を図る必要がある。この場合、貫通部に配置された配管の両端部を支持するだけでは不十分であり、貫通部に挿通された配管の中間部においても支持構造が必要となる。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された配管支持構造は、貫通部内に止金具(7)が配置されているものの、この止金具(7)は放射線遮蔽材を充填させる空間を形成するための金具であり、耐震性及び安全性には何ら寄与するものではない。
【0007】
また、貫通部に挿通された配管の中間部に配置する支持構造は、既設の配管にも適用することが必要となるところ、原子力発電設備等のプラントに使用されている配管では、既設の配管を安易に取り外すことはできない。したがって、配管を取り外すことなく設置することができる配管支持構造の開発が待たれている。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、貫通部に挿通された既設の配管であっても耐震性及び安全性を向上することができる配管支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、構造物の貫通部に挿通される配管を支持する配管支持装置であって、前記貫通部の開口部に固定される端部支持部材と、前記貫通部内に配置された放射線遮蔽材と、前記放射線遮蔽材を挟んで前記端部支持部材の反対側に配置されたストッパと、前記端部支持部材と前記ストッパとを連結する連結部材と、前記放射線遮蔽材と前記ストッパとの間に配置された中間支持部材と、前記連結部材の長手方向に沿って前記端部支持部材と前記放射線遮蔽材との間に挿入された筒状のカラーと、を備え、前記中間支持部材は、前記貫通部の内面と所定の隙間を有する外径を備えた板部材であるとともに、複数に分割された分割片により構成されており、前記カラーにより前記放射線遮蔽材の位置決めを行うようにした、ことを特徴とする配管支持装置が提供される。

【0010】
前記分割片は、前記配管又は前記連結部材との干渉を回避するための係合溝又は切欠部を備えていてもよい。また、前記分割片は、組み合わせたときに前記配管の外周を覆うように構成されていてもよい。
【0011】
前記配管が前記貫通部内に一列に配置されている場合には、前記分割片は、前記配管の一方の側面から配置される第一分割片と、前記配管の他方の側面から配置される第二分割片と、により構成されていてもよい。
【0012】
前記配管が前記貫通部内に二列に配置されている場合には、前記分割片は、前記配管の第一列の外側から配置される第一分割片と、前記配管の第二列の外側から配置される第二分割片と、前記第一列と前記第二列との間に挿入される第三分割片と、により構成されていてもよい。
【0013】
前記配管が前記第一列と前記第二列との間に配置された中間配管を有する場合に、前記第三分割片は前記中間配管を挟んで更に二分割されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係る配管支持装置によれば、貫通部に挿通された配管の中間部を支持する中間支持部材を放射線遮蔽材とストッパとの間に配置したことにより、既存の配管支持構造を利用しつつ中間支持部材を設置することができ、貫通部の耐震性及び安全性を向上することができる。また、中間支持部材を複数の分割片に構成したことにより、既存の配管や連結部材との干渉を回避しつつ中間支持部材を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る配管支持装置を示す断面図である。
図2図1に示した中間支持部材を示す正面図である。
図3】既存の配管支持装置に中間支持部材を設置する方法を示す断面図であり、(a)は初期状態、(b)は設置箇所の開放状態、(c)は中間支持部材の組み込み状態、を示している。
図4】中間支持部材の変形例を示す正面図であり、(a)は第一変形例、(b)は第二変形例、(c)は第三変形例、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図1図4(c)を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る配管支持装置を示す断面図である。図2は、図1に示した中間支持部材を示す正面図である。なお、図2において、説明の便宜上、貫通部を二点鎖線で図示してある。
【0017】
本発明の一実施形態に係る配管支持装置1は、図1及び図2に示したように、構造物の貫通部2に挿通される配管3を支持する装置であって、貫通部2の開口部に固定される端部支持部材4と、貫通部2内に配置された放射線遮蔽材5と、放射線遮蔽材5を挟んで端部支持部材4の反対側に配置されたストッパ6と、端部支持部材4とストッパ6とを連結する連結部材7と、放射線遮蔽材5とストッパ6との間に配置された中間支持部材8と、を備え、中間支持部材8は、貫通部2の内面と所定の隙間を有する外径を備えた板部材であるとともに、複数に分割された分割片(第一分割片81~第三分割片83)により構成されている。
【0018】
貫通部2は、例えば、原子炉格納容器、原子炉建屋等のコンクリート構造物の壁部材9の内外を連通するためのペネトレーションである。貫通部2には、計装用ケーブル用配管、流体用配管等の配管3が挿通される。なお、図1では、説明の便宜上、貫通部2の一方の端部のみを図示し、反対側の端部については図を省略してある。
【0019】
貫通部2の端部は、図1に示したように、壁部材9から外側に突き出した突出部21を有している。端部支持部材4は、例えば、貫通部2の開口部に配置される蓋部材により構成される。蓋部材は、配管3及び連結部材7を挿通可能な開口部を備えている。蓋部材は、ボルト等の締結具で貫通部2に固定されてもよいし、突出部21の外周に配置されるクランプによって固定されてもよい。
【0020】
なお、上述した端部支持部材4の構成は、単なる一例であり、図示した構成に限定されるものではない。端部支持部材4の構成は、従来から使用されている支持構造を任意に選択して適用することができる。
【0021】
放射線遮蔽材5は、例えば、貫通部2を通り抜ける放射線を遮蔽する部材である。放射線遮蔽材5は、例えば、鉛板、鉛毛等である。放射線遮蔽材5が鉛板の場合には、鉛板は配管3及び連結部材7を挿通する開口部を備えている。放射線遮蔽材5が鉛毛の場合には、鉛毛は配管3及び連結部材7の外周に充填される。
【0022】
ストッパ6は、放射線遮蔽材5の位置決めを行う板材である。板材には連結部材7を挿通可能な開口部が形成されている。連結部材7は、例えば、両端がネジ切りされたスタッドボルトである。連結部材7は、端部支持部材4及びストッパ6に挿通され、端部支持部材4及びストッパ6の外側からナットを螺合することによって固定される。また、端部支持部材4と放射線遮蔽材5との間には、放射線遮蔽材5の位置決めを行う筒状のカラー71を挿入するようにしてもよい。
【0023】
既設の配管支持装置は、上述した端部支持部材4によって配管3を支持している。ストッパ6は、貫通部2の中間部に配置されているものの放射線遮蔽材5の位置決めをする部品であって、一般に耐震性及び安全性に寄与し得る強度を備えていない。また、一般に、ストッパ6と貫通部2との間の隙間は、耐震性及び安全性を考慮した管理がなされておらず、大きな隙間が空いている。
【0024】
したがって、端部支持部材4を貫通部2の両端に配置して配管3を支持した場合には、端部支持部材4間の配管3は何ら支持されていない。その結果、大地震やシビアアクシデント等が発生し、配管3に大きな力が作用した場合には、配管3の振動や変動が大きくなってしまうことから、新しい設計基準を満足できない場合がある。
【0025】
そこで、本実施形態では、端部支持部材4間の配管3を支持する中間支持部材8を配置している。中間支持部材8は、図1に示したように、既設の配管支持装置を利用して、放射線遮蔽材5とストッパ6との間に配置される。
【0026】
ここで、既設の配管支持装置では配管3が貫通部2に挿通されており、配管3を取り外して中間支持部材8を設置することが困難である。そこで、本実施形態に係る中間支持部材8では、例えば、図2に示したように、複数の分割片に分割されており、配管3の側面からアクセスして配管3の外周に配置できるようにしている。
【0027】
図2に示した中間支持部材8は、配管3が貫通部2内に二列に配置されている場合であって、分割片は、配管3の第一列31の外側から配置される第一分割片81と、配管3の第二列32の外側から配置される第二分割片82と、第一列31と第二列32との間に挿入される第三分割片83と、により構成されている。
【0028】
説明の便宜上、図示したように、配管3は、第一配管3a、第二配管3b、第三配管3c、第四配管3d、第五配管3e、第六配管3f、によって構成されているものとする。このとき、図の右側に縦に配列された三本の配管3(第一配管3a~第三配管3c)によって第一列31が構成され、図の左側に縦に配列された三本の配管3(第四配管3d~第六配管3f)によって第二列32が構成される。
【0029】
そして、第一列31の右側から配管3に配置される分割片が第一分割片81であり、第二列32の左側から配管3に配置される分割片が第二分割片82である。また、第一列31と第二列32との間に下側から挿入される分割片が第三分割片83である。なお、図示しないが、第三分割片83は、上側から第一列31と第二列32との間に挿入するようにしてもよい。
【0030】
第一分割片81は、略弓形形状(円弧とその両端を直線で結んだ形状)の外形を有し、第一配管3aとの干渉を回避するための係合溝81aと、第二配管3bとの干渉を回避するための係合溝81bと、連結部材7との干渉を回避するための切欠部81cと、ボルト等の締結具を挿通するための切欠部81dと、を備えている。
【0031】
第二分割片82は、第一分割片81と線対称の形状を有している。具体的には、第二分割片82は、略弓形形状の外形を有し、第四配管3dとの干渉を回避するための係合溝82aと、第五配管3eとの干渉を回避するための係合溝82bと、連結部材7との干渉を回避するための切欠部82cと、ボルト等の締結具を挿通するための切欠部82dと、を備えている。
【0032】
第三分割片83は、略T字形状の外形を有し、その上端と下端は円弧形状に形成されている。また、第三分割片83は、第三配管3cとの干渉を回避するための係合溝83aと、第六配管3fとの干渉を回避するための係合溝83bと、第一列31と第二列32との間に配置された連結部材7との干渉を回避するための係合溝83cと、他の連結部材7との干渉を回避するための切欠部83dと、ボルト等の締結具を挿通するための切欠部83eと、を備えている。
【0033】
上述した第一分割片81~第三分割片83によれば、第一配管3a及び第二配管3bを第一分割片81の係合溝81a,81bに挿入し、第四配管3d及び第五配管3eを第二分割片82の係合溝82a,82bに挿入し、第三配管3c及び第六配管3fを第三分割片83の係合溝83a,83bに挿入することによって、第一分割片81の係合溝81a,81bは第三分割片83によって封止され、第二分割片82の係合溝82a,82bは第三分割片83によって封止され、第三分割片83の係合溝83aは第一分割片81によって封止され、第三分割片83の係合溝83bは第二分割片82によって封止される。
【0034】
したがって、第一分割片81~第三分割片83は、図2に示したように、組み合わせたときに配管3(第一配管3a~第六配管3f)の外周を覆うように構成されている。また、第一分割片81~第三分割片83を組み合わせて形成される中間支持部材8は、略円形状の外形を有する板部材であり、貫通部2の内面と所定の隙間(例えば、数mm程度の隙間)を有する外径を備えている。このように、中間支持部材8で配管3の外周を覆うとともに、貫通部2との隙間を管理することによって、貫通部2の耐震性及び安全性を向上することができる。
【0035】
次に、既存の配管支持装置に中間支持部材8を設置する場合について、図3(a)~図3(c)を参照しつつ説明する。ここで、図3は、既存の配管支持装置に中間支持部材を設置する方法を示す断面図であり、(a)は初期状態、(b)は設置箇所の開放状態、(c)は中間支持部材の組み込み状態、を示している。なお、図3(a)~図3(c)において、説明の便宜上、壁部材9の図を省略してある。
【0036】
図3(a)に示したように、既存の配管支持装置では中間支持部材8が配置されておらず、配管3は端部支持部材4のみによって支持されている。放射線遮蔽材5とストッパ6との間に中間支持部材8を配置するためには、放射線遮蔽材5とストッパ6との間に空間を形成するとともに、貫通部2の開口部からその空間にアクセスできるようにしなければならない。
【0037】
そこで、まず、端部支持部材4(蓋部材)を固定している部品を取り外し、端部支持部材4を配管3に沿って外側に移動させる。次に、カラー71を貫通部2から取り外した後、連結部材7を貫通部2に沿って外側に引き出す。ストッパ6が貫通部2の開口部付近に到達した後、連結部材7の引き出しを停止し、放射線遮蔽材5のみを配管3に沿って外側に移動させる。かかる操作によって、図3(b)に示したように、放射線遮蔽材5とストッパ6との間を開放することができる。
【0038】
次に、貫通部2の開口部の外側に露出した配管3に、第一分割片81、第二分割片82及び第三分割片83を組み付けてボルト等の締結具で連結し、中間支持部材8を形成する。そして、図3(c)に示したように、配管3に設置した中間支持部材8を貫通部2内に押し込み、ストッパ6に当接させる。
【0039】
その後、放射線遮蔽材5を配管3に沿って貫通部2内に押し込み、中間支持部材8に当接させる。続いて、放射線遮蔽材5、ストッパ6、中間支持部材8及び連結部材7を貫通部2内に移動させ、所定の位置に到達した後、カラー71を挿入し、端部支持部材4を移動させて固定することにより、図1に示した状態にすることができる。
【0040】
上述した本実施形態に係る配管支持装置1によれば、貫通部2に挿通された配管3の中間部を支持する中間支持部材8を放射線遮蔽材5とストッパ6との間に配置したことにより、既存の配管支持構造を利用しつつ中間支持部材8を設置することができる。また、中間支持部材8を複数の分割片(第一分割片81~第三分割片83)に構成したことにより、既存の配管3や連結部材7との干渉を回避しつつ中間支持部材8を配置することができる。
【0041】
次に、中間支持部材8の変形例について、図4(a)~図4(c)を参照しつつ説明する。ここで、図4は、中間支持部材の変形例を示す正面図であり、(a)は第一変形例、(b)は第二変形例、(c)は第三変形例、を示している。なお、上述した実施形態と同じ構成部品については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図4(a)~図4(c)において、説明の便宜上、貫通部を二点鎖線で図示してある。
【0042】
図4(a)に示した第一変形例は、配管3が一本の場合を示している。配管3が一本の場合は、配管3が貫通部2内に一列に配置されているとも言い換えることができる。この場合、分割片は、配管3の一方の側面(例えば、図の下側)から配置される第一分割片84と、配管3の他方の側面(例えば、図の上側)から配置される第二分割片85と、により構成される。
【0043】
第一分割片84は、略半円形状の外形を有し、配管3との干渉を回避するための係合溝84aと、連結部材7との干渉を回避するための切欠部84bと、を備えている。第二分割片85は、略半円形状の外形を有し、連結部材7との干渉を回避するための係合溝85aを備えている。切欠部84bには、第一分割片84と第二分割片85とを連結するボルト等の締結具が配置される。
【0044】
かかる構成により、配管3を第一分割片84の係合溝84aに挿入し、連結部材7を第二分割片85の係合溝85aに挿入し、第一分割片84と第二分割片85とを連結することによって、係合溝84aを第二分割片85で封止することができる。
【0045】
したがって、第一分割片84及び第二分割片85は、図示したように、組み合わせたときに配管3の外周を覆うように構成されている。また、第一分割片84及び第二分割片85を組み合わせて形成される中間支持部材8は、略円形状の外形を有する板部材であり、貫通部2の内面と所定の隙間を有する外径を備えている。このように、中間支持部材8で配管3の外周を覆うとともに、貫通部2との隙間を管理することによって、貫通部2の耐震性及び安全性を向上することができる。
【0046】
図4(b)に示した第二変形例は、配管3が二本の場合を示している。配管3が二本の場合は、配管3は必ず貫通部2内に一列に配置されることとなる。この場合、分割片は、配管3の一方の側面(例えば、図の下側)から配置される第一分割片84と、配管3の他方の側面(例えば、図の上側)から配置される第二分割片85と、により構成される。
【0047】
第一分割片84は、略半円形状の外形を有し、一方の配管3との干渉を回避するための係合溝84aと、他方の配管3との干渉を回避するための係合溝84cと、連結部材7との干渉を回避するための切欠部84bと、を備えている。
【0048】
すなわち、第一分割片84は、図4(a)に示した第一変形例に係合溝84cを追加した構成を有している。その他の構成については、第一変形例と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
図4(c)に示した第三変形例は、配管3が五本の場合を示している。ここでは、十字形状の各端部及び中心部に配管3が配置されている場合を図示してある。説明の便宜上、外周に配置された四本の配管3を、第一配管3a、第二配管3b、第三配管3c、第四配管3dとし、中心に配置された配管3を第五配管3eとする。
【0050】
このとき、第一配管3a及び第二配管3bによって第一列31が形成され、第三配管3c及び第四配管3dによって第二列32が形成され、第一列31と第二列32との間に第五配管3eが配置されている。したがって、第三変形例は、図2に示した実施形態と同様に配管3が二列に配置されており、第一列31と第二列32との間に配置された中間配管(第五配管3e)を有する構成となっている。また、かかる第三変形例は、配管3が三列に配置されていると換言することもできる。
【0051】
第三変形例に係る分割片は、配管の第一列31の外側(例えば、図の右側)から配置される第一分割片86と、配管3の第二列32の外側(例えば、図の左側)から配置される第二分割片87と、第一列31と第二列32との間に一方の側(例えば、図の上側)から挿入される第三分割片88と、配管3の第一列31と第二列32との間に他方の側(例えば、図の下側)から挿入される第四分割片89と、により構成される。
【0052】
第一分割片86は、略L字形状の外形を有し、その両端は円弧形状に形成されている。また、第一分割片86は、第二配管3bとの干渉を回避するための係合溝86aと、連結部材7との干渉を回避するための切欠部86bと、を備えている。
【0053】
第二分割片87は、第一分割片86と線対称の形状を有している。具体的には、第二分割片87は、略L字形状の外形を有し、その両端は円弧形状に形成されている。また、第二分割片87は、第四配管3dとの干渉を回避するための係合溝87aと、連結部材7との干渉を回避するための切欠部87bと、を備えている。
【0054】
第三分割片88は、略T字形状の外形を有し、その上端は円弧形状に形成されている。また、第三分割片88は、第一配管3aとの干渉を回避するための係合溝88aと、第三配管3cとの干渉を回避するための係合溝88bと、第一列31と第二列32との間に配置された連結部材7との干渉を回避するための係合溝88cと、ボルト等の締結具を挿通するための切欠部88dと、を備えている。
【0055】
第四分割片89は、略I字形状の外形を有し、その下端は円弧形状に形成されている。また、第四分割片89は、第五配管3eとの干渉を回避するための係合溝89aを備えている。第四分割片89は、第三分割片88の一部を、中間配管(第五配管3e)を挟んで更に二分割したものと言い換えることもできる。
【0056】
上述した第一分割片86~第四分割片89によれば、第二配管3bを第一分割片86の係合溝86aに挿入し、第四配管3dを第二分割片87の係合溝87aに挿入し、第一配管3a及び第三配管3cを第三分割片88の係合溝88a,88bに挿入し、第五配管3eを第四分割片89の係合溝89aに挿入することによって、第一分割片86の係合溝86aは第四分割片89によって封止され、第二分割片87の係合溝87aは第四分割片89によって封止され、第三分割片88の係合溝88aは第一分割片86によって封止され、第三分割片88の係合溝88bは第二分割片87によって封止され、第四分割片89の係合溝89aは第三分割片88によって封止される。
【0057】
したがって、第一分割片86~第四分割片89は、図4(c)に示したように、組み合わせたときに配管3(第一配管3a~第五配管3e)の外周を覆うように構成されている。また、第一分割片86~第五分割片89を組み合わせて形成される中間支持部材8は、略円形状の外形を有する板部材であり、貫通部2の内面と所定の隙間を有する外径を備えている。このように、中間支持部材8で配管3の外周を覆うとともに、貫通部2との隙間を管理することによって、貫通部2の耐震性及び安全性を向上することができる。
【0058】
上述した実施形態及び変形例では、配管3が一本、二本、五本及び六本の場合について説明しているが、本発明は、同様の考え方により、配管3が三本、四本及び七本以上の場合にも適用することができる。
【0059】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、新設の配管支持装置にも適用することができる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
1 配管支持装置
2 貫通部
3 配管
3a 第一配管
3b 第二配管
3c 第三配管
3d 第四配管
3e 第五配管
3f 第六配管
4 端部支持部材
5 放射線遮蔽材
6 ストッパ
7 連結部材
8 中間支持部材
9 壁部材
21 突出部
31 第一列
32 第二列
71 カラー
81 第一分割片
81a,81b 係合溝
81c,81d 切欠部
82 第二分割片
82a,82b 係合溝
82c,82d 切欠部
83 第三分割片
83a,83b,83c 係合溝
83d,83e 切欠部
84 第一分割片
84a,84c 係合溝
84b 切欠部
85 第二分割片
85a 係合溝
86 第一分割片
86a 係合溝
86b 切欠部
87 第二分割片
87a 係合溝
87b 切欠部
88 第三分割片
88a,88b,88c 係合溝
88d 切欠部
89 第四分割片
89a 係合溝

図1
図2
図3
図4