(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】検出装置および身体装着装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20230313BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61B5/02 310C
A61B5/0245 B
(21)【出願番号】P 2021051244
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2020200944
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】大村 明久
(72)【発明者】
【氏名】大坪 宏彰
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/220020(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0348048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過させる透過部が設けられた取付部材と、
前記透過部に対向して前記取付部材に取り付けられたホルダ部材と、
前記取付部材と前記ホルダ部材との間に配置される回路基板と、
前記透過部に対向する前記回路基板の一面に設けられ、光を検出する光学センサと、
前記ホルダ部材と前記回路基板との間に配置されて前記回路基板を前記光学センサと共に前記透過部に向けて付勢する
、弾力性のある付勢部材と、
を備えていることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記付勢部材は、前記ホルダ部材と前記回路基板との間に圧縮された状態で配置されている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項3】
光を透過させる透過部が設けられた取付部材と、
前記透過部に対向して前記取付部材に取り付けられたホルダ部材と、
前記取付部材と前記ホルダ部材との間に配置される回路基板と、
前記透過部に対向する前記回路基板の一面に設けられ、光を検出する光学センサと、
前記ホルダ部材と前記回路基板との間に配置されて前記回路基板を前記光学センサと共に前記透過部に向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記光学センサは、前記回路基板を付勢する前記付勢部材の付勢力によって前記透過部に押し当てられている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項4】
光を透過させる透過部が設けられた取付部材と、
前記透過部に対向して前記取付部材に取り付けられたホルダ部材と、
前記取付部材と前記ホルダ部材との間に配置される回路基板と、
前記透過部に対向する前記回路基板の一面に設けられ、光を検出する光学センサと、
前記ホルダ部材と前記回路基板との間に配置されて前記回路基板を前記光学センサと共に前記透過部に向けて付勢する付勢部材と、
を備え、
前記回路基板は、前記取付部材および前記ホルダ部材に対して接触せずに浮いた状態で配置されている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の検出装置において、
前記光学センサは、発光領域と受光領域とを備えている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項6】
請求項1~請求項
5のいずれかに記載の検出装置において、
前記付勢部材は、クッション部材であり、前記回路基板における前記一面と反対側の他面の外周部に前記光学センサに対応する箇所を除いて配置されている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の検出装置において、
前記ホルダ部材には、前記光学センサに対応して開口部が設けられている
ことを特徴とする検出装置。
【請求項8】
請求項
6に記載の検出装置において、
前記ホルダ部材には、前記光学センサに対応して開口部が設けられており、
前記開口部は、前記回路基板の前記他面に前記付勢部材を避けて設けられた電子部品が配置される
ことを特徴とする検出装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれかに記載の検出装置において、
前記透過部は、特定波長の光を透過する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれかに記載された検出装置を備えている
ことを特徴とする身体装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脈拍などの生体情報を検出する検出装置およびそれを備えた身体装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、脈拍などの生体情報を検出する検出装置においては、特許文献1に記載されているように、腕などの身体に装着されるハウジングと称するケースの下部に取り付けられた裏蓋に設けられているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
特許文献1の検出装置は、裏蓋に透過部である保護ガラスを嵌め込み、裏蓋の内面に光学センサを有するフレキシブル基板を保護ガラスに対向させて取り付け、このフレキシブル基板の光学センサをフレキシブル基板の弾力によって保護ガラスに近づけた構造になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような検出装置では、裏蓋にフレキシブル基板を取り付け、このフレキシブル基板の弾力によって光学センサを保護ガラスに近づける構造であるから、保護ガラスに対する光学センサの接触状態が不安定で、光学センサを保護ガラスに確実に且つ良好に密接させることが難しいという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、透過部に光学センサを良好に密接させることができる検出装置およびそれを備えた身体装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、光を透過させる透過部が設けられた取付部材と、前記透過部に対向して前記取付部材に取り付けられたホルダ部材と、前記取付部材と前記ホルダ部材との間に配置される回路基板と、前記透過部に対向する前記回路基板の一面に設けられ、光を検出する光学センサと、前記ホルダ部材と前記回路基板との間に配置されて前記回路基板を前記光学センサと共に前記透過部に向けて付勢する、弾力性のある付勢部材と、を備えていることを特徴とする検出装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、透過部に光学センサを良好に密接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明を適用した身体装着装置の一実施形態を示した拡大正面図である。
【
図2】
図1に示された身体装着装置を裏面側から見た拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示された身体装着装置の裏蓋の内面側を示した拡大平面図である。
【
図4】
図3に示された裏蓋のA-A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図5】
図3に示された裏蓋のB-B矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図6】
図4および
図5に示された検出装置のホルダ部材を裏蓋に取り付ける状態を分解して示した拡大斜視図である。
【
図7】
図6に示されたホルダ部材を下側から見た拡大裏面図である。
【
図8】
図6に示された回路基板を下側から見た拡大斜視図である。
【
図9】
図6に示された回路基板を上側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図9を参照して、この発明を適用した身体装着装置の一実施形態について説明する。
この身体装着装置は、
図1に示すように、腕に装着して使用する腕時計タイプのものであり、ケース1を備えている。このケース1の12時側と6時側との外周部には、ケース1を腕などの身体に装着するためのバンド2が取り付けられている。
【0011】
また、このケース1の外周部の複数個所には、
図1に示すように、押釦スイッチ3がそれぞれバンド2に対応する箇所を除いて設けられている。このケース1の上部開口部には、ガラス4が取り付けられている。このケース1の下部には、
図2に示すように、取付部材である裏蓋5が複数のビス5bによって取り付けられている。
【0012】
また、このケース1の内部には、モジュール(図示せず)が設けられている。このモジュールは、脈拍などの生体情報、時刻や日付、曜日などの各種の情報を表示する表示部、およびこの表示部を電気的に制御する回路部などの各種の部品を備えている。
【0013】
ところで、裏蓋5の内面には、
図3に示すように、電極板6、クッション部材7、および絶縁シート(図示せず)が設けられている。電極板6は、ほぼ四角形の枠状に形成されて、裏蓋5の内面にビス止めされている。この電極板6には、複数の接触片6aが設けられている。これにより、電極板6は、裏蓋5がケース1の下部に取り付けられた際に、複数の接触片6aがケース1内のモジュールの回路部に接触するように構成されている。
【0014】
クッション部材7は、
図3および
図4に示すように、電極板6の枠外における裏蓋5の内面に設けられ、裏蓋5がケース1の下部に取り付けられた際に、モジュールをケース1内に弾力的に押え付けるように構成されている。絶縁シートは、図示しないが、後述する検出装置10を絶縁するためのものであり、検出装置10の後述する回路基板13の電子部品16に対応する箇所を除いて、電極板6の枠内における裏蓋5の内面に検出装置10を覆って設けられている。
【0015】
また、この裏蓋5の下面における中央部には、
図2に示すように、ほぼ円板状の突出部8が設けられている。この突出部8は、ケース1がバンド2によって腕に取り付けられた際に、腕の皮膚に食い込んで押し当てられるように構成されている。この突出部8の内面には、
図3~
図6に示すように、検出装置10が配置される設置凹部9が設けられている。
【0016】
検出装置10は、
図1および
図2に示すように、ケース1がバンド2によって腕に取り付けられた状態で、脈拍などの生体情報を検出するように構成されている。すなわち、検出装置10は、
図4および
図5に示すように、裏蓋5の突出部8に設けられ、光を透過させる透過部である保護ガラス11と、この保護ガラス11に対向して裏蓋5の設置凹部9内に取り付けられたホルダ部材12と、を備えている。
【0017】
また、この検出装置10は、
図4および
図5に示すように、ホルダ部材12と裏蓋5の設置凹部9の底部との間に配置される回路基板13と、保護ガラス11に対向する回路基板13の一面である下面に設けられ、特定波長の光を検出する光学センサ14と、ホルダ部材12と回路基板13との間に配置されて回路基板13を光学センサ14と共に保護ガラス11に向けて付勢する付勢部材15と、を備えている。
【0018】
保護ガラス11は、
図4および
図5に示すように、裏蓋5の突出部8に設けられた装着凹部8a内に防水パッキン11aを介して下側から嵌め込まれている。また、この保護ガラス11は、第1の両面粘着テープ11bによって装着凹部8aの内面、つまり装着凹部8a内における上部の下面に接着されている。これにより、保護ガラス11は、ケース1がバンド2によって腕に取り付けられた際に、裏蓋5の突出部8と共に腕の皮膚に食い込んで押し当てられるように構成されている。
【0019】
この場合、突出部8の装着凹部8aと裏蓋5の設置凹部9との間には、
図4および
図5に示すように、その両方に貫通する貫通孔5aが設けられている。このため、第1の両面粘着テープ11bは、内径が貫通孔5aの内径よりも少し大きいほぼリング状に形成されている。これにより、第1の両面粘着テープ11bは、装着凹部8a内の下面における貫通孔5aの外周部に設けられて、貫通孔5aを塞がないように構成されている。
【0020】
回路基板13は、
図4および
図5に示すように、エポキシ樹脂やガラスエポキシ樹脂などの硬質の合成樹脂によってほぼ円板状に形成されている。この回路基板13の裏面である下面(
図8では表面)には、
図8に示すように、光学センサ14が設けられている。また、この回路基板13の表面である上面(
図9では表面)には、
図9に示すように、各種の電子部品16が設けられている。
【0021】
この場合、各種の電子部品16は、
図9に示すように、光学センサ14を電気的に制御する集積回路チップ(ICチップ)16a、フレキシブルな配線基板(図示せず)が接続されるコネクタ16b、および検出装置10による生体情報を検出するのに必要な他の複数の部品16cを備えている。
【0022】
また、光学センサ14および各種の電子部品16は、
図4および
図5に示すように、回路基板13の上下両面にそれぞれ形成された複数の配線パターン13aに半田付けによって電気的に接続された状態で取り付けられている。これら複数の配線パターン13aは、回路基板13に設けられた複数のスルーホール(図示せず)によって上下両面の配線パターン13aが電気的に接続されている。
【0023】
また、この回路基板13は、
図3に示す状態で、電子部品16のコネクタ16bにフレキシブルな配線基板(図示せず)が接続され、このフレキシブルな配線基板が絶縁シート(図示せず)の接続孔を通してケース1内に設けられたモジュールの回路部と電気的に接続されるように構成されている。
【0024】
光学センサ14は、
図8に示すように、脈拍を検出するためのものであり、四角形のほぼ板状に形成され、回路基板13の下面(
図8では表面)におけるほぼ中央部に設けられている。この光学センサ14は、
図4および
図5に示すように、裏蓋5の突出部8における装着凹部8aと裏蓋5の設置凹部9との間に設けられた貫通孔5a内に配置されて、光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に密接するように構成されている。
【0025】
すなわち、この光学センサ14は、
図4および
図5に示すように、その厚みが貫通孔5aの軸方向の長さ(深さ)よりも長い厚さで形成されている。これにより、光学センサ14は、回路基板13の下面に取り付けられた状態で貫通孔5a内に配置された際に、光学センサ14の下部が貫通孔5aの下側に突出するように構成されている。このため、この光学センサ14は、その下面が保護ガラス11の上面に押し当てられた際に、回路基板13を設置凹部9の底部の上方に押し上げるように構成されている。
【0026】
また、この光学センサ14は、
図8に示すように、発光領域14aと受光領域14bとを備えている。発光領域14aは、発光ダイオード(LED)などの発光素子を備え、特定波長の光、例えば緑波長の光を発光するように構成されている。受光領域14bは、ホトカプラ(PD)などの受光素子を備え、発光領域14aで発光した光が腕に照射された際に、その反射光を受光して電気信号に変換するように構成されている。
【0027】
すなわち、この光学センサ14は、
図2に示されたケース1をバンド2によって腕に取り付けた状態で、
図8に示す発光領域14aで特定波長の光を発光させて腕に照射させた際に、照射された一部の光が血管内の血液によって吸収され、他の光の一部が反射され、この反射された光を受光領域14bで受光するように構成されている。
【0028】
この場合、光学センサ14は、血管内の血液が脈を打って流れることにより、脈を打つごとに血液量が変化し、この血液量の変化に応じて照射された光の反射光量が変化し、この反射光量の変化に応じた反射光を
図8に示す受光領域14bで受光して電気信号に変換することにより、脈拍を検出するように構成されている。
【0029】
一方、ホルダ部材12は、
図3~
図7に示すように、硬質の合成樹脂によってほぼ円板状に形成されている。このホルダ部材12は、その厚みが回路基板13の厚みよりも十分に厚く、裏蓋5の内面に設けられた設置凹部9の深さとほぼ同じ大きさに形成されている。このホルダ部材12は、その内部に回路基板13が配置される基板収納部12cが設けられ、この基板収納部12c内に回路基板13が下側に突出することなく配置されるように構成されている。
【0030】
また、このホルダ部材12は、
図4~
図7に示すように、その外周部12bが回路基板13の下側に突出し、この突出した外周部12bの下面が第2の両面粘着テープ17によって裏蓋5の設置凹部9の底部に貼り付けられて、裏蓋5の設置凹部9内に固定されている。この場合、第2の両面粘着テープ17は、
図7に示すように、ホルダ部材12の外周部12bにおける下面の複数個所、例えば11時側から1時側の間、3時側から5時側の間、7時側から9時側の間の3か所に設けられている。
【0031】
また、このホルダ部材12には、
図4~
図7に示すように、回路基板13に設けられた光学センサ14および各種の電子部品16に対応して開口部12aが設けられている。すなわち、この開口部12aは、ほぼ四角形状の孔であり、ホルダ部材12のほぼ中央部から6時側の外周端に亘って切り欠かれて設けられている。
【0032】
これにより、ホルダ部材12は、
図3~
図7に示すように、その内部の基板収納部12c内に回路基板13が配置された状態で裏蓋5の設置凹部9の底部に取り付けられた際に、回路基板13の上面に設けられた各種の電子部品16がホルダ部材12の開口部12a内に配置されると共に、回路基板13の下面に設けられた光学センサ14がホルダ部材12の開口部12aに対応して配置されるように構成されている。
【0033】
付勢部材15は、
図4および
図7に示すように、クッション材であるが、コイルばねや板ばねなどのばね部材であっても良い。この付勢部材15は、回路基板13を保護ガラス11に向けて、つまり裏蓋5の設置凹部9の底部に向けて付勢するように構成されている。この付勢部材15は、回路基板13に設けられた光学センサ14および各種の電子部品16に対応する箇所を避けて、ホルダ部材12の下面と回路基板13の上面との間に圧縮された状態で配置されている。
【0034】
すなわち、この付勢部材15は、
図7に示すように、ホルダ部材12に設けられた第2の両面粘着テープ17に対応する箇所、および回路基板13に設けられた光学センサ14や各種の電子部品16に対応する箇所を除いて、ホルダ部材12の基板収納部12cの内部の下面における開口部12aの外周部の複数個所、例えばほぼ3時側、ほぼ9時側、およびほぼ11時側の3か所に設けられている。
【0035】
これにより、付勢部材15は、
図4および
図7に示すように、裏蓋5の設置凹部9内に固定されたホルダ部材12によって回路基板13を裏蓋5の設置凹部9の底部に向けて圧縮された状態でバランス良く均一に付勢して、回路基板13に設けられた光学センサ14の下面を保護ガラス11の上面に安定した状態で均一に押し当てて密接させるように構成されている。この場合、裏蓋5の装着凹部8aに対する保護ガラス11の嵌め込み力は、付勢部材15の付勢力よりも強く設定されている。
【0036】
このため、回路基板13は、
図4に示すように、圧縮された状態の付勢部材15の付勢力によって光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に押し当てられた際に、保護ガラス11とホルダ部材12との間に挟まれ、この状態で設置凹部9の底面およびホルダ部材12の基板収納部12c内における上部の下面に接触することがなく、設置凹部9内に浮いた状態つまりフローティング状態で配置されるように構成されている。
【0037】
すなわち、光学センサ14は、
図4および
図5に示すように、上下方向の厚みが裏蓋5の突出部8における装着凹部8aと裏蓋5の設置凹部9との間に設けられた貫通孔5aの軸方向の長さ(深さ)よりも長い厚さであることにより、この貫通孔5a内に挿入された際に、光学センサ14の下部が貫通孔5aの下側に突出するように構成されている。これにより、回路基板13は、光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に押し当てられて、設置凹部9の底部の上方に押し上げるように構成されている。
【0038】
このため、この回路基板13は、
図4および
図5に示すように、その下面が設置凹部9の底面に接触することがなく、また回路基板13の上面がホルダ部材12の基板収納部12c内における上部の下面に接触することがなく、保護ガラス11とホルダ部材12との間に挟まれて、設置凹部9内においてホルダ部材12の基板収納部12c内で浮いた状態で配置されるように構成されている。
【0039】
次に、このような身体装着装置の作用について説明する。
この身体装着装置を使用する場合には、まず、ケース1の裏蓋5を腕に配置させた状態で、ケース1をバンド2によって腕に取り付ける。このときには、裏蓋5の突出部8が腕の皮膚に押し当てられて、突出部8に嵌め込まれた保護ガラス11が腕の皮膚に食い込んだ状態で密着する。
【0040】
この状態で、ケース1の複数の押釦スイッチ3のうち、いずれかの押釦スイッチ3を操作して脈拍検出モードにする。すると、裏蓋5に設けられた検出装置10が脈拍を検出する。このときには、検出装置10における光学センサ14の発光領域14aから特定波長の光、例えば緑波長の光を発光する。この発光した特定波長の光は、保護ガラス11を通して腕の皮膚に照射される。
【0041】
このときには、保護ガラス11が腕の皮膚に食い込んだ状態で密着しているので、ケース1の外部からの光が遮断され、発光領域14aからの特定波長の光のみが腕の皮膚に照射される。この照射された特定波長の光のうち、一部の光は皮膚の血管内の血液に吸収され、他の一部の光は反射される。この反射された光は、保護ガラス11を通して光学センサ14の受光領域14bで受光されて、電気信号に変換される。
【0042】
この場合、血管内の血液は、脈を打って流れることにより、脈を打つごとに血液量が変化し、この血液量の変化に応じて照射された特定波長の光の反射光量が変化する。この反射光量の変化に応じた反射光が保護ガラス11を通して光学センサ14の受光領域14bで受光される。この受光された反射光は、受光領域14bで受光されて電気信号に変換され、この変換された電気信号に基づいて回路基板13の電子部品16の集積回路チップ15aで脈拍として測定される。
【0043】
また、このように検出装置10で脈拍を検出する際には、回路基板13が圧縮された状態の付勢部材15によって保護ガラス11に向けて付勢されて、回路基板13に設けられた光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に密接している。このため、光学センサ14における発光領域14aで発光された特定波長の光は、保護ガラス11の上面で反射される反射光が抑えられる。
【0044】
すなわち、発光領域14aで発光された特定波長の光が保護ガラス11の上面で反射されると、その反射光がノイズとして、つまり腕の皮膚で反射された反射光以外の反射光として受光領域14bで受光される。このため、発光領域14aで発光された光は、保護ガラス11の上面での反射が抑えられることにより、保護ガラス11を効率よく透過して腕の皮膚に照射される。これにより、検出装置10の検出性能が向上する。
【0045】
また、この検出装置10は、付勢部材15の付勢力によって光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に押し当てられた際に、回路基板13が保護ガラス11とホルダ部材12との間に挟まれて、設置凹部9の底面およびホルダ部材12の基板収納部12c内における下面に接触することがなく、設置凹部9内に浮いた状態つまりフローティング状態で配置されている。
【0046】
これにより、この検出装置10は、回路基板13に設けられた光学センサ14が付勢部材15の付勢力によって保護ガラス11にバランスよく均一に押し当てられる。また、この検出装置10は、ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃が付勢部材15によって緩衝され、回路基板13が衝撃の影響を受けることがない。これによっても、検出装置10の検出性能が向上する。
【0047】
このように、この身体装着装置の検出装置10によれば、光を透過する透過部である保護ガラス11が設けられた取付部材である裏蓋5と、保護ガラス11に対向して裏蓋5に取り付けられたホルダ部材12と、裏蓋5とホルダ部材12との間に配置される回路基板13と、保護ガラス11に対向する回路基板13の一面である下面に設けられ、特定波長の光を検出する光学センサ14と、ホルダ部材12と回路基板13との間に配置されて回路基板13を光学センサ14と共に保護ガラス11に向けて付勢する付勢部材15と、を備えていることにより、保護ガラス11に光学センサ14を良好に密接させることができる。
【0048】
すなわち、この検出装置10では、裏蓋5とホルダ部材12との間に配置される回路基板13が付勢部材15によって保護ガラス11に向けて付勢されているので、この付勢部材15の付勢力によって回路基板13が光学センサ14を保護ガラス11に押し当てることができ、これにより光学センサ14を保護ガラス11に安定した状態で確実に且つ良好に密接させることができる。
【0049】
この場合、この検出装置10では、光学センサ14が発光領域14aと受光領域14bとを備えていることにより、発光領域14aで発光した光を腕などの身体に照射させることができると共に、腕などの身体に照射された光の反射光を受光領域14bで受光することができ、これにより脈拍などの生体情報を検出することができる。
【0050】
すなわち、この検出装置10では、光学センサ14の発光領域14aから特定波長の光、例えば緑波長の光を発光させて腕の皮膚に照射させることができ、照射された特定波長の光のうち、一部の光が皮膚の血管内の血液に吸収され、他の一部の光が反射され、この反射された光を光学センサ14の受光領域14bで受光して電気信号に変換することができ、これにより脈拍を検出することができる。
【0051】
この場合、この検出装置10では、血管内の血液が脈を打って流れることにより、脈を打つごとに血液量が変化し、この血液量の変化に応じて照射された特定波長の光の反射光量が変化し、この反射光量の変化に応じた反射光が光学センサ14の受光領域14bで受光されることにより、受光された反射光を受光領域14bで受光して電気信号に変換し、この変換された電気信号に基づいて回路基板13の電子部品16の集積回路チップ15aで脈拍として測定することができる。
【0052】
また、この検出装置10では、回路基板13を付勢する付勢部材15の付勢力によって光学センサ14が保護ガラス11に押し当てられていることにより、保護ガラス11に光学センサ14を安定した状態で確実に且つ良好に密接させることができる。このため、この検出装置10では、光学センサ14で発光して光が保護ガラス11を透過する際に、保護ガラス11の上面で反射されるノイズとしての反射光を抑えることができ、これにより検出性能を向上させることができる。
【0053】
すなわち、この検出装置10では、光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に密接していることにより、光学センサ14の発光領域14aで発光した光が保護ガラス11を透過する際に、保護ガラス11の上面で反射されるノイズとしての反射光を抑えることができるので、発光領域14aで発光された光が保護ガラス11を効率よく透過して、発光領域14aで発光された光を良好に腕の皮膚に照射さることができる。
【0054】
このため、この検出装置10では、保護ガラス11を透過して腕などの身体で反射された光を光学センサ14で受光する際に、保護ガラス11の上面で反射された光がノイズとして腕の皮膚で反射された反射光以外の反射光として受光するのを防ぐことができるので、より一層、検出装置10の検出性能を向上させることができる。
【0055】
また、この検出装置10では、回路基板13が取付部材である裏蓋5およびホルダ部材12に対して接触せずに浮いた状態で配置されていることにより、回路基板13に設けられた光学センサ14を付勢部材15の付勢力によって保護ガラス11にバランスよく均一に押し当てることができると共に、ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃を付勢部材15によって緩衝して回路基板13が衝撃の影響を受けないようにすることができる。これによっても、検出装置10の検出性能を向上させることができる。
【0056】
すなわち、この検出装置10では、付勢部材15の付勢力によって光学センサ14の下面が保護ガラス11の上面に押し当てられて、保護ガラス11とホルダ部材12との間に挟まれた状態で、回路基板13が設置凹部9の底面およびホルダ部材12の基板収納部12c内の下面に接触することなく、設置凹部9内に浮いた状態つまりフローティング状態で配置されている。
【0057】
このため、この検出装置10では、回路基板13に設けられた光学センサ14を付勢部材15の付勢力によって保護ガラス11にバランスよく均一に押し当てることができると共に、ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃を付勢部材15によって緩衝することができ、これにより回路基板13が衝撃の影響を受けないようにすることができる。
【0058】
また、この検出装置10では、付勢部材15がクッション部材であり、回路基板13の他面である上面の外周部に光学センサ14に対応する箇所を除いて配置されていることにより、付勢部材15が回路基板13を付勢する際に、光学センサ14に対応する回路基板13の箇所を押すことがないので、付勢部材15の付勢力によって回路基板13を良好に押え付けて、光学センサ14を保護ガラス11に良好に押し当てることができる。
【0059】
すなわち、この検出装置10では、付勢部材15が回路基板13の上面における外周部の複数個所、例えば、ほぼ3時側、ほぼ9時側、ほぼ11時側の3か所に配置されていることにより、光学センサ14に対応する箇所を除くほか、回路基板13に搭載された各種の電子部品16に対応する箇所も除いて、回路基板13を付勢部材15の付勢力によってバランス良く均一に押え付けることができ、より一層、光学センサ14を保護ガラス11に安定した状態で確実に且つ良好に密接させることができる。
【0060】
この場合、この検出装置10では、付勢部材15がホルダ部材12と回路基板13との間に圧縮された状態で配置されていることにより、付勢部材15の付勢力によって、より一層、バランス良く均一に押え付けることができ、これにより光学センサ14を保護ガラス11に更に安定した状態で確実に且つ良好に密接させることができる。
【0061】
さらに、この検出装置10では、ホルダ部材12に光学センサ14と対応して開口部12aが設けられていることにより、ホルダ部材12と回路基板13との間に配置された付勢部材15によって回路基板13が付勢されても、光学センサ14に対応する回路基板13の箇所がホルダ部材12の開口部12aによって押されることがないので、ホルダ部材12の影響を受けずに、付勢部材15によって光学センサ14を保護ガラス11に良好に設置させることができる。
【0062】
この場合、この検出装置10では、開口部12aが回路基板13における他面である上面に付勢部材15を避けて設けられた電子部品16が配置されていることにより、ホルダ部材12内に回路基板13が配置されていても、回路基板13の電子部品16をホルダ部材12の開口部12a内に配置させることができ、これにより回路基板13の電子部品16がホルダ部材12に当接しないようにすることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、光を透過する透過部として保護ガラス11を用いた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、アクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの光を透過する合成樹脂で形成されたプレートであっても良い。また、この発明は、これに限らず、例えば、透過部として、透明な素材に特定波長の光を透過するフィルムや蒸着幕などのフィルタ層を設けたものであっても良い。
【0064】
また、上述した実施形態では、付勢部材15が回路基板13の上面の外周部における複数個所に設けられている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、回路基板13に搭載された光学センサ14および各種の電子部品16に対応する箇所を除いた箇所であれば、付勢部材15を回路基板13の上面のいかなる箇所に設けても良い。
【0065】
また、上述した実施形態では、付勢部材15がクッション材である場合について述べたが、この発明は、これに限らず、付勢部材15が引張コイルばねなどのばね部材であっても良い。この場合には、透過部である保護ガラス11を光学センサ14側に引っ張るようにしても良く、また回路基板13を光学センサ14と共に保護ガラス11に向けて引っ張るようにして良く、さらにホルダ部材12を回路基板13に向けて引っ張るようにしても良い。
【0066】
また、上述した実施形態では、ホルダ部材12の外周部12bの下面が第2の両面粘着テープ17によって裏蓋5の設置凹部9の底部に貼り付けられて固定されている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、ねじ部材などの締結部材によってホルダ部材12を裏蓋5の設置凹部9内に取り付けて固定させても良い。
【0067】
さらに、上述した実施形態では、身体装着装置を腕に取り付けて使用した場合について述べたが、この発明は、これに限らず、腕以外の身体に取り付けて使用しても良い。
【0068】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0069】
(付記)
請求項1に記載の発明は、光を透過させる透過部が設けられた取付部材と、前記透過部に対向して前記取付部材に取り付けられたホルダ部材と、前記取付部材と前記ホルダ部材との間に配置される回路基板と、前記透過部に対向する前記回路基板の一面に設けられ、光を検出する光学センサと、前記ホルダ部材と前記回路基板との間に配置されて前記回路基板を前記光学センサと共に前記透過部に向けて付勢する付勢部材と、を備えていることを特徴とする検出装置である。
【0070】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出装置において、前記光学センサは、発光領域と受光領域とを備えていることを特徴とする検出装置である。
【0071】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の検出装置において、前記光学センサは、前記回路基板を付勢する前記付勢部材の付勢力によって前記透過部に押し当てられていることを特徴とする検出装置である。
【0072】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の検出装置において、前記回路基板は、前記取付部材および前記ホルダ部材に対して接触せずに浮いた状態で配置されていることを特徴とする検出装置である。
【0073】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載の検出装置において、前記付勢部材は、クッション部材であり、前記回路基板における前記一面と反対側の他面の外周部に前記光学センサに対応する箇所を除いて配置されていることを特徴とする検出装置である。
【0074】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の検出装置において、前記付勢部材は、前記ホルダ部材と前記回路基板との間に圧縮された状態で配置されていることを特徴とする検出装置である。
【0075】
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれかに記載の検出装置において、前記ホルダ部材には、前記光学センサに対応して開口部が設けられていることを特徴とする検出装置である。
【0076】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の検出装置において、前記開口部は、前記回路基板の前記他面に前記付勢部材を避けて設けられた電子部品が配置されることを特徴とする検出装置である。
【0077】
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載の検出装置において、前記透過部は、特定波長の光を透過することを特徴とする検出装置である。
【0078】
請求項10に記載の発明は、請求項1~請求項9のいずれかに記載された検出装置を備えていることを特徴とする身体装着装置である。
【符号の説明】
【0079】
1 ケース
2 バンド
3 押釦スイッチ
4 ガラス
5 裏蓋
8 突出部
8a 装着凹部
9 設置凹部
10 検出装置
11 保護ガラス
12 ホルダ部材
12a 開口部
12b 外周部
12c 基板収納部
13 回路基板
14 光学センサ
14a 発光領域
14b 受光領域
15 付勢部材
16 電子部品
17 第2の両面粘着テープ