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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20230313BHJP
   F24F 1/42 20110101ALI20230313BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20230313BHJP
【FI】
F24F1/02 371J
F24F1/0007 361F
F24F1/02 371F
F24F1/42
F24F11/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019232212
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021099209
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝典
(72)【発明者】
【氏名】永田 隼大
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 栄治
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-308190(JP,A)
【文献】特開2002-317961(JP,A)
【文献】特開2004-036921(JP,A)
【文献】特開2008-095996(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215237(JP,U)
【文献】特開2007-278636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0010882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/22
F24F 1/42
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルにおける蒸発器が筐体内に収容されると共に、当該筐体内に導入された空気と当該蒸発器内の冷媒との熱交換によって当該蒸発器に結露した結露水を当該筐体外に排出可能に構成された空気調和装置であって、
前記結露水を貯留可能な貯留部、当該貯留部に貯留された前記結露水の量を検出する第1のセンサ、前記貯留部に貯留された前記結露水を圧送するポンプ、当該ポンプによって圧送される前記結露水を前記筐体外に案内する第1の案内用配管、前記蒸発器から流れ落ちた前記結露水を集水可能に前記貯留部とは別個に形成されて前記蒸発器の下方に配設された集水部、当該集水部から前記貯留部に前記結露水を案内する第2の案内用配管、前記集水部に集水された前記結露水の量を検出する第2のセンサ、および前記ポンプによる前記結露水の圧送を制御する制御部を備えると共に、少なくとも、前記貯留部、前記第1のセンサおよび前記ポンプが前記筐体内に収容され、
前記制御部は、前記第1のセンサによる検出結果に基づいて前記貯留部に予め規定された第1の量の前記結露水が貯留されたと判別したときに前記ポンプを制御して当該貯留部から前記第1の案内用配管に当該結露水を圧送させる圧送処理と、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量を当該ポンプの動作状態に基づいて特定する圧送量特定処理と、当該圧送量特定処理において特定した量が予め規定された第2の量に達したときに、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量が当該第2の量に達したことを報知する第1の報知処理とを実行可能に構成されると共に、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に予め規定された第3の量の前記結露水が滞留している状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していることを報知する第2の報知処理と、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に前記第3の量の前記結露水が滞留していない状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していないことを報知する第3の報知処理との双方を実行可能に構成されている空気調和装置。
【請求項2】
冷凍サイクルにおける蒸発器が筐体内に収容されると共に、当該筐体内に導入された空気と当該蒸発器内の冷媒との熱交換によって当該蒸発器に結露した結露水を当該筐体外に排出可能に構成された空気調和装置であって、
前記結露水を貯留可能な貯留部、当該貯留部に貯留された前記結露水の量を検出する第1のセンサ、前記貯留部に貯留された前記結露水を圧送するポンプ、当該ポンプによって圧送される前記結露水を前記筐体外に案内する第1の案内用配管、前記蒸発器から流れ落ちた前記結露水を集水可能に前記貯留部とは別個に形成されて前記蒸発器の下方に配設された集水部、当該集水部から前記貯留部に前記結露水を案内する第2の案内用配管、前記集水部に集水された前記結露水の量を検出する第2のセンサ、当該空気調和装置の構成要素に電源を供給する電源部、並びに前記ポンプによる前記結露水の圧送および前記電源部による電源の供給を制御する制御部を備えると共に、少なくとも、前記貯留部、前記第1のセンサおよび前記ポンプが前記筐体内に収容され、
前記電源部は、商用交流をAC/DC変換して当該空気調和装置の構成要素に電源を供給すると共に前記制御部の制御に従ってバッテリから当該空気調和装置の構成要素に電源を供給可能に構成され、
前記制御部は、前記第1のセンサによる検出結果に基づいて前記貯留部に予め規定された第1の量の前記結露水が貯留されたと判別したときに前記ポンプを制御して当該貯留部から前記第1の案内用配管に当該結露水を圧送させる圧送処理と、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量を当該ポンプの動作状態に基づいて特定する圧送量特定処理と、当該圧送量特定処理において特定した量が予め規定された第2の量に達したときに、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量が当該第2の量に達したことを報知する第1の報知処理とを実行可能に構成されると共に、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に予め規定された第3の量の前記結露水が滞留している状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していることを報知する第2の報知処理と、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に前記第3の量の前記結露水が滞留していない状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していないことを報知する第3の報知処理との少なくとも一方を実行可能に構成され、かつ前記第3の量の前記結露水が前記集水部に滞留していると判別している状態、および前記第1の量の前記結露水が前記貯留部に貯留されていると判別している状態において、電源遮断の操作が行われたとき、および前記電源部が前記商用交流から遮断されたときに、当該電源部を制御して前記バッテリから前記ポンプに電源を継続して供給させる空気調和装置。
【請求項3】
前記制御部が前記ポンプの動作状態に基づいて当該ポンプによって圧送されたと特定している前記結露水の量の積算値をリセットするリセット操作が可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記リセット操作が行われたときに、前記ポンプによって圧送されたと特定している前記結露水の量の積算値をリセットする請求項1または2記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記冷凍サイクルにおける凝縮器が前記筐体内に収容されると共に、
前記ポンプが圧送する前記結露水を前記凝縮器に案内する第3の案内用配管と、
前記ポンプによる前記結露水の圧送先を前記第1の案内用配管および前記第3の案内用配管のいずれかに切り替える切替弁とを備えている請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の報知処理の実行後に前記切替弁を制御して前記ポンプによる前記結露水の圧送先を前記第3の案内用配管に切り替える請求項4記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発器が筐体内に収容されると共に蒸発器に結露した結露水を筐体外に排出可能に構成された空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の空気調和装置として、室内に設置して使用可能に構成された冷風機が下記の特許文献に開示されている。この冷風機は、冷凍サイクルの各構成要素が扁平箱状の本体(外殻:以下、「筐体」ともいう)内に収容されると共に、蒸発器の表面に結露した結露水を貯留可能に構成されて筐体に対して取り外し可能に取り付けられた排水タンクを備えている。
【0003】
この冷風機の冷風運転時には、蒸発器と共に第1の通気路内に配設されている第1の送風機を動作させることにより、第1の吸込み口から第1の通気路内に筐体外の空気が吸い込まれて蒸発器を通過した後に第1の吹出し口から筐体外に吹き出されると共に、凝縮器と共に第2の通気路内に配設されている第2の送風機を動作させることにより、第2の吸込み口から第2の通気路内に筐体外の空気が吸い込まれて凝縮器を通過した後に第2の吹出し口から筐体外に吹き出される。この際には、蒸発器内の冷媒との熱交換によって温度低下させられた空気が第1の吹出し口から吹き出されると共に、凝縮器内の冷媒との熱交換によって温度上昇させられた空気が第2の吹出し口から吹き出される。
【0004】
また、この冷風運転時には、第1の吸込み口から吸い込まれた空気に含まれている水分が蒸発器の表面に結露し、この結露水が蒸発器を流れ落ちて排水口から第1の通気路外(筐体外)に排出され、連結管を介して排水タンクに流入する。したがって、ある程度の時間に亘って冷風機を動作させ続けることにより、排水タンク内に多量の結露水が貯留された状態となる。この際には、排水タンク内に満水状態まで結露水が貯留されたことが水位センサによって検知されたときに、表示ランプの点灯や警告音の出力などによって結露水を廃棄すべき状況であることが報知される。したがって、排水タンクが満水状態であることを認識した使用者は、排水タンクを筐体から取り外して任意の廃棄場所まで搬送して排水タンク内の結露水を廃棄し、その後に、空の排水タンクを冷風機の設置場所まで持ち帰って筐体に装着する。
【0005】
なお、詳細な説明を省略するが、この冷風機では、衣類等の乾燥を目的とする乾燥運転時に第2の通気路が第1の通気路に連通させられ、これにより、蒸発器の通過時に除湿された低温の空気と、凝縮器の通過時に温度上昇させられた高温の空気とが混ざり合った状態で第1の吹出し口から冷風機の正面上方に向かって吹き出される。これにより、第1の吹出し口から吹き出される空気によって衣類等を好適に乾燥させることが可能となる。この乾燥運転時においても、蒸発器の表面に結露した結露水が排水タンクに流入して貯留されるため、上記の冷風運転時と同様にして、排水タンク内の結露水を廃棄する作業が定期的に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-190803号公報(第4-7頁、第1-5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献に開示の冷風機には、以下のような解決すべき課題が存在する。具体的には、上記の冷風機では、動作時に蒸発器の表面に結露した結露水を筐体に取り付けられた排水タンクに貯留させると共に、排水タンク内が満水状態となったことが検知されたときに表示ランプの点灯や警告音の出力などによって結露水を廃棄すべき旨を報知する構成が採用されている。この場合、この冷風機は、「発明を実施するための最良の形態」に「運転時には室内の適所で床上に置かれるものであり」と明記されているように、固定設置状態(移動させることを想定せずに1箇所に固定的に設置した状態)での使用を想定していない可搬型の空気調和装置(任意の場所に移動させて動作させることが可能な移動可能設置状態での使用が想定された装置)である。このため、この冷風機には、蒸発器の表面に結露した結露水が冷風機の設置場所に流れ出すのを阻止するための排水タンクが必要不可欠となっている。
【0008】
一方、可搬型の空気調和装置のなかには、移動可能設置状態での使用だけでなく、固定設置状態や、半固定設置状態(ある程度の手間と時間をかければ移動させることが可能な設置状態)での使用が想定された装置も存在する。この場合、排水タンクに貯留された結露水の廃棄作業が煩雑のため、固定設置状態や半固定設置状態での使用時には、蒸発器の表面に結露した結露水を排水タンク等に貯留せずに、屋外の排水場所などに直接排出(廃棄)するのが好ましい。特に、大型の空気調和装置では、単位時間あたりに処理する空気の量が多いことで単位時間あたりに生じる結露水の量も多量となるため、結露水を貯留するには大容量の排水タンクが必要となる。しかしながら、大きな排水タンクを備えた構成では、大量の結露水が貯留された大きく重い排水タンクを廃棄場所まで搬送するのが困難となるだけでなく、排水タンクの分だけ空気調和装置の小型化が困難となる。
【0009】
したがって、移動可能設置状態だけでなく半固定設置状態および固定設置状態での使用も想定される空気調和装置については、前述の冷風機における排水タンクのような容器体を一体的に備えずに蒸発器の表面に結露した結露水を筐体外に直接排出させる構成を採用するのが好ましい。これにより、排水タンクを一体的に備えない分だけ空気調和装置を小型化することができると共に、半固定状態や固定状態での使用時には、筐体における結露水の排出口に廃棄用の配管を接続して廃棄場所まで直接流出させることで結露水の廃棄作業自体を不要とすることができ、移動可能設置状態での使用時には、筐体から排出された結露水を別途用意した任意の大きさの容器内に貯留させることで、搬送が困難なほど大量の結露水を廃棄場所まで搬送する作業を回避することができる。
【0010】
しかしながら)、筐体から排出される結露水を別途用意した容器内に貯留させる使用形態においては、貯留された結露水を廃棄する前に容器が満水状態となり、容器から溢れた結露水が設置場所に流れ出すおそれがある。この場合、空気調和装置から単位時間あたりに排水される結露水の量は、処理対象の空気の湿度や温度に応じて大きく変化するため、用意した容器がどの程度の時間で満水状態となるかを正確に予測するのは極めて困難となっている。このため、単位時間あたりに予測を超える結露水が排出されたとしても容器から溢れることのないように、容器内にどの程度の結露水が貯留されたかを頻繁に確認する必要が生じる結果、この確認作業が煩雑となる。また、確認作業の周期を長くするには、大きな容器を用意する必要が生じ、その場合には、大型の排水タンクを一体的に備えた構成における上記の課題を解決するのが困難となる。
【0011】
また、上記特許文献に開示の冷風機では、蒸発器に結露した結露水を排水タンクまで自然流下させる構成を採用している。このため、上記特許文献に開示の冷風機における排水タンクに代えて、蒸発器の下方に設けられた結露水排出口に廃棄用の配管を直接接続して廃棄場所まで流出させる構成を採用した際に、廃棄場所が結露水排出口よりも高所に位置しているときには廃棄用の配管から結露水を排水することができない。この場合、配管の先端(廃棄場所側の端部)が結露水排出口よりも高所に位置した状態で空気調和装置が動作させられたときには、配管から排水されない結露水が筐体内で蒸発器側に溢れ出し、空気調和装置の設置場所に流れ出してしまう。しかしながら、結露水排出口および廃棄用の配管の先端(廃棄場所)のいずれが高所に位置しているかを正しく把握するのが困難なこともあり、空気調和装置の設置場所に結露水が流れ出す事態を確実に防止するのが困難となっている。
【0012】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、装置全体としての小型化を図りつつ、筐体内で発生した結露水を確実かつ容易に廃棄場所に廃棄し得る空気調和装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の空気調和装置は、冷凍サイクルにおける蒸発器が筐体内に収容されると共に、当該筐体内に導入された空気と当該蒸発器内の冷媒との熱交換によって当該蒸発器に結露した結露水を当該筐体外に排出可能に構成された空気調和装置であって、前記結露水を貯留可能な貯留部、当該貯留部に貯留された前記結露水の量を検出する第1のセンサ、前記貯留部に貯留された前記結露水を圧送するポンプ、当該ポンプによって圧送される前記結露水を前記筐体外に案内する第1の案内用配管、前記蒸発器から流れ落ちた前記結露水を集水可能に前記貯留部とは別個に形成されて前記蒸発器の下方に配設された集水部、当該集水部から前記貯留部に前記結露水を案内する第2の案内用配管、前記集水部に集水された前記結露水の量を検出する第2のセンサ、および前記ポンプによる前記結露水の圧送を制御する制御部を備えると共に、少なくとも、前記貯留部、前記第1のセンサおよび前記ポンプが前記筐体内に収容され、前記制御部は、前記第1のセンサによる検出結果に基づいて前記貯留部に予め規定された第1の量の前記結露水が貯留されたと判別したときに前記ポンプを制御して当該貯留部から前記第1の案内用配管に当該結露水を圧送させる圧送処理と、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量を当該ポンプの動作状態に基づいて特定する圧送量特定処理と、当該圧送量特定処理において特定した量が予め規定された第2の量に達したときに、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量が当該第2の量に達したことを報知する第1の報知処理とを実行可能に構成されると共に、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に予め規定された第3の量の前記結露水が滞留している状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していることを報知する第2の報知処理と、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に前記第3の量の前記結露水が滞留していない状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していないことを報知する第3の報知処理との双方を実行可能に構成されている。
【0014】
請求項2記載の空気調和装置は、冷凍サイクルにおける蒸発器が筐体内に収容されると共に、当該筐体内に導入された空気と当該蒸発器内の冷媒との熱交換によって当該蒸発器に結露した結露水を当該筐体外に排出可能に構成された空気調和装置であって、前記結露水を貯留可能な貯留部、当該貯留部に貯留された前記結露水の量を検出する第1のセンサ、前記貯留部に貯留された前記結露水を圧送するポンプ、当該ポンプによって圧送される前記結露水を前記筐体外に案内する第1の案内用配管、前記蒸発器から流れ落ちた前記結露水を集水可能に前記貯留部とは別個に形成されて前記蒸発器の下方に配設された集水部、当該集水部から前記貯留部に前記結露水を案内する第2の案内用配管前記集水部に集水された前記結露水の量を検出する第2のセンサ、当該空気調和装置の構成要素に電源を供給する電源部、並びに前記ポンプによる前記結露水の圧送および前記電源部による電源の供給を制御する制御部を備えると共に、少なくとも、前記貯留部、前記第1のセンサおよび前記ポンプが前記筐体内に収容され、前記電源部は、商用交流をAC/DC変換して当該空気調和装置の構成要素に電源を供給すると共に前記制御部の制御に従ってバッテリから当該空気調和装置の構成要素に電源を供給可能に構成され、前記制御部は、前記第1のセンサによる検出結果に基づいて前記貯留部に予め規定された第1の量の前記結露水が貯留されたと判別したときに前記ポンプを制御して当該貯留部から前記第1の案内用配管に当該結露水を圧送させる圧送処理と、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量を当該ポンプの動作状態に基づいて特定する圧送量特定処理と、当該圧送量特定処理において特定した量が予め規定された第2の量に達したときに、前記ポンプによって圧送された前記結露水の量が当該第2の量に達したことを報知する第1の報知処理とを実行可能に構成されると共に、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に予め規定された第3の量の前記結露水が滞留している状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していることを報知する第2の報知処理と、前記第2のセンサによる検出結果に基づいて前記集水部に前記第3の量の前記結露水が滞留していない状態と判別したときに当該集水部に当該第3の量の当該結露水が滞留していないことを報知する第3の報知処理との少なくとも一方を実行可能に構成され、かつ前記第3の量の前記結露水が前記集水部に滞留していると判別している状態、および前記第1の量の前記結露水が前記貯留部に貯留されていると判別している状態において、電源遮断の操作が行われたとき、および前記電源部が前記商用交流から遮断されたときに、当該電源部を制御して前記バッテリから前記ポンプに電源を継続して供給させる
【0015】
請求項3記載の空気調和装置は、請求項1または2記載の空気調和装置において、前記制御部が前記ポンプの動作状態に基づいて当該ポンプによって圧送されたと特定している前記結露水の量の積算値をリセットするリセット操作が可能な操作部を備え、前記制御部は、前記リセット操作が行われたときに、前記ポンプによって圧送されたと特定している前記結露水の量の積算値をリセットする。
【0016】
請求項4記載の空気調和装置は、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和装置において、前記冷凍サイクルにおける凝縮器が前記筐体内に収容されると共に、前記ポンプが圧送する前記結露水を前記凝縮器に案内する第3の案内用配管と、前記ポンプによる前記結露水の圧送先を前記第1の案内用配管および前記第3の案内用配管のいずれかに切り替える切替弁とを備えている。
【0017】
請求項5記載の空気調和装置は、請求項4記載の空気調和装置において、前記制御部は、前記第1の報知処理の実行後に前記切替弁を制御して前記ポンプによる前記結露水の圧送先を前記第3の案内用配管に切り替える。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,2記載の空気調和装置では、制御部が、第1のセンサによる検出結果に基づいて貯留部に予め規定された第1の量の結露水が貯留されたと判別したときにポンプを制御して貯留部から第1の案内用配管に結露水を圧送させる圧送処理と、ポンプによって圧送された結露水の量をポンプの動作状態に基づいて特定する圧送量特定処理と、圧送量特定処理において特定した量が予め規定された第2の量に達したときに、圧送された結露水の量が第2の量に達したことを報知する第1の報知処理とを実行可能に構成されている。
【0019】
したがって、請求項1,2記載の空気調和装置によれば、蒸発器に結露した結露水を案内用配管などで廃棄場所に直接流出させる際に、廃棄場所が空気調和装置よりも高所であったとしても、ポンプによる圧送処理によって筐体の外に排出された結露水を廃棄場所まで確実に移動させることができる。これにより、空気調和装置の設置場所に結露水が流れ出す事態を好適に回避することができる。また、廃棄場所まで届く案内用配管を接続して筐体から排出された結露水を廃棄場所に直接流出させることで結露水の廃棄作業を不要とすることができ、別途用意した容器体に案内用配管から結露水を流出させる使用形態においては、用意した容器体の容量に応じて第1の量を規定しておくことで、筐体から排出されて容器体に貯留される結露水の量を監視していなくても、第1の報知処理による報知に基づいて容器体内の結露水を廃棄すべき状態となったことを確実かつ容易に認識することができ、容器体から結露水が溢れ出す前に廃棄作業を実施することができる。これにより、容器体から結露水が溢れて空気調和装置の設置場所に流れ出す事態を確実に回避することができる。さらに、固定設置状態や半固定設置状態において不要な結露水貯留用の容器体を一体的に備えないことで、空気調和装置全体としての大きさを十分に小型化することができる。
【0020】
また、請求項1,2記載の空気調和装置では、制御部が、第2のセンサによる検出結果に基づいて集水部に予め規定された第3の量の結露水が滞留している状態と判別したときに集水部に第3の量の結露水が滞留していることを報知する第2の報知処理と、第2のセンサによる検出結果に基づいて集水部に第3の量の結露水が滞留していない状態と判別したときに集水部に第3の量の結露水が滞留していないことを報知する第3の報知処理との双方(または、少なくとも一方を実行可能に構成されている。したがって、請求項1,2記載の空気調和装置によれば、電源が遮断されてポンプが動作しない状態となったときに集水部や貯留部から結露水が流れ出すおそれがあるときに電源が遮断されたり、空気調和装置を移動させたときに集水部や貯留部から結露水が流れ出すおそれがあるときに空気調和装置が移動されたりする事態を好適に回避することができる。
また、請求項2記載の空気調和装置では、制御部が、第3の量の結露水が集水部に滞留していると判別している状態、および第1の量の結露水が貯留部に貯留されていると判別している状態において、電源遮断の操作が行われたとき、および電源部が商用交流から遮断されたときに、電源部を制御してバッテリからポンプに電源を継続して供給させる。したがって、第3の量の結露水が集水部に滞留していたり第1の量の結露水が貯留部に貯留されていたりすることを把握していない者が電源遮断の操作を行ったり、使用者の意に反して停電などで商用交流から遮断されたりしても、集水部内の結露水が、別途用意した容器体などに圧送される状態を維持することができる。
【0021】
請求項3記載の空気調和装置によれば、制御部が、リセット操作が行われたときに、ポンプによって圧送されたと特定している結露水の量の積算値をリセットすることにより、例えば、筐体の外に排出されて容器体内に貯留された結露水を第1の報知処理が実行される前に(すなわち、容器体内に十分な量の結露水が貯留される前)に廃棄したときに、空の容器体内に新たに貯留される結露水の量を正しく特定して好適なタイミングで第1の報知処理を実行させることができる。これにより、容器体から結露水が溢れて空気調和装置の設置場所に流れ出す事態を一層確実に回避することができる。
【0022】
請求項4記載の空気調和装置によれば、ポンプが圧送する結露水を凝縮器に案内する第3の案内用配管、およびポンプによる結露水の圧送先を第1の案内用配管および第3の案内用配管のいずれかに切り替える切替弁とを備えたことにより、第3の案内用配管から凝縮器に結露水を噴射することで凝縮器における冷媒の凝縮効率を向上させることができると共に、筐体から排出した結露水を容器体に貯留して容器体と共に廃棄場所まで搬送して廃棄する使用形態においては、第3の案内用配管から凝縮器に噴射した分だけ、容器体に貯留される結露水の量を低減できるため、廃棄作業の負担を十分に軽減することができる。
【0023】
請求項5記載の空気調和装置によれば、制御部が、第1の報知処理の実行後に切替弁を制御してポンプによる結露水の圧送先を第3の案内用配管に切り替えることにより、第1の報知処理の実行後にポンプが圧送する結露水が第3の案内用配管から凝縮器に噴射されるため、筐体から排出した結露水を貯留している容器体に対してさらに多くの結露水が流入して容器体から結露水が溢れ出す事態を好適に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の構成を示す構成図である。
図2】空気調和装置1の内部構造について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、空気調和装置の実施の形態について説明する。
【0026】
最初に、空気調和装置1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1,2に示す空気調和装置1は、「空気調和装置」の一例である可搬型の一体型冷風機であって、一例として、畜舎、温室栽培用建屋、体育館、工場、倉庫および劇場などの比較的大きな建物内や、屋外のイベント会場やスポーツ会場などに設置して使用可能に構成されている。この空気調和装置1は、図1に示すように、冷凍サイクル2、送風用ファン3a,3b、ポンプ4、切替弁5、操作部6、表示部7、制御部8、記憶部9および電源部10が直方体状の筐体20(図2参照)内に収容されている(「蒸発器」および「凝縮器」の双方が「筐体」内に収容された構成の一例)。
【0028】
冷凍サイクル2は、圧縮機21、凝縮器22、膨張弁23および蒸発器24を備え、圧縮機21によって圧送されて凝縮器22において凝縮させられた冷媒が膨張弁23を通過して蒸発器24内に供給されることで、後述するように蒸発器24を通過させられる空気と冷媒との熱交換によって空気の温度を低下させる。なお、実際には、冷凍サイクル2内の冷媒圧力を特定するための圧力センサや、冷媒温度を特定するための温度センサなどを備えているが、これらセンサについての図示および説明を省略する。この場合、本例の空気調和装置1では、図2に示すように、一例として、筐体20内の下方部位に凝縮器22が配設され、かつ筐体20内の上方部位に蒸発器24が配設されている(「凝縮器」および「蒸発器」を「筐体」内で上下方向に並べて配置した構成の例)。なお、このような構成に代えて、凝縮器22および蒸発器24を「筐体」内に横並びに配置することもできる。
【0029】
また、蒸発器24の下方には、後述するように、筐体20内に導入された空気と蒸発器24内の冷媒との熱交換によって蒸発器24に結露して蒸発器24から流れ落ちた結露水(蒸発器24を流れ落ちる結露水)を集水するドレンパン31(「集水部」の一例)が配設されている。さらに、ドレンパン31には、集水された結露水の量(ドレンパン31内に滞留している結露水の量)を検出する水位センサ31s(「第2のセンサ」の一例)が配設されている。また、一例として、凝縮器22の側方(筐体20における底板上)には、ドレンパン32(「貯留部」の一例)が配設されると共に、蒸発器24からドレンパン31内に流れ落ちた結露水をドレンパン32に案内する案内用配管33(「第2の案内用配管」の一例)がドレンパン31の底部からドレンパン32内まで配管されている。この場合、本例の空気調和装置1では、水平接地面に空気調和装置1を設置した状態においてドレンパン31における最深部となる部位に案内用配管33が接続されると共に、案内用配管33の接続部位の近傍に水位センサ31sが設置されている。
【0030】
送風用ファン3aは、一例として、蒸発器24において熱交換された空気を筐体20外に吹き出すことで筐体20内に新たな空気(蒸発器24において熱交換させる空気)を導入可能に空気流路における蒸発器24の下流側に配設されている。送風用ファン3bは、一例として、凝縮器22において熱交換された空気を筐体20外に吹き出すことで筐体20内に新たな空気(凝縮器22において熱交換させる空気)を導入可能に空気流路における凝縮器22の下流側に配設されている。
【0031】
ポンプ(ドレンポンプ)4は、「ポンプ」の一例であって、ドレンパン32内に貯留された結露水を筐体20の外や凝縮器22に向けて圧送可能に構成されている。このポンプ4は、一例として、電源部10から供給される電力によって動作する機構部4pと、ドレンパン32に貯留された結露水の量を検出する水位センサ4s(「第1のセンサ」の一例)と、水位センサ4sからのセンサ信号に応じて機構部4pの動作を制御する制御部4cとを備えて構成されている。この場合、本例の空気調和装置1では、圧送能力固定型のポンプ(単位時間当りに圧送する液体量が一定のポンプ)でポンプ4(機構部4p)が構成されている。
【0032】
また、本例の空気調和装置1では、ポンプ4の機構部4pに切替弁5(「切替弁」の一例)が接続されると共に、切替弁5には、ポンプ4(機構部4p)によって圧送される結露水を、凝縮器22に案内する(結露水を凝縮器22の表面に噴射させる)案内用配管34(「第3の案内用配管」の一例)と、筐体20の外に案内する案内用配管35(「第1の案内用配管」の一例)とが接続されている。この場合、切替弁5は、一例として制御部8の制御に従ってポンプ4による結露水の圧送先を案内用配管34(凝縮器22)および案内用配管35(筐体20の外)のいずれかに切り替える。また、案内用配管34の先端部(凝縮器22側の端部)には、ポンプ4によって圧送される結露水を噴射可能なノズルが装着され、案内用配管35の先端部(筐体20の外側に引き出されている端部)には、任意の長さの案内用配管Pxを接続可能なコネクタが装着されている。
【0033】
なお、本例の空気調和装置1では、ポンプ4の制御部4cおよび制御部8が相俟って「制御部」を構成する。具体的には、制御部4cは、後述するように制御部8の制御下で機構部4pの動作を制御すると共に、水位センサ4sからのセンサ信号に基づいてドレンパン32内の結露水の量を特定する。また、制御部4cは、水位センサ4sによる検出結果に基づいてドレンパン32に規定量(「予め規定された第1の量」の一例)の結露水が貯留されたと判別したときに機構部4pを制御してドレンパン32から切替弁5(案内用配管34または案内用配管35)に向けて結露水を圧送させる「圧送処理」を実行する。さらに、制御部4cは、機構部4pの動作状態を示すデータを制御部8に出力する。
【0034】
操作部6は、「操作部」の一例であって、空気調和装置1の動作条件の設定を行うための操作スイッチ、空気調和装置1の動作開始/停止の指示を行う操作スイッチ、および後述するようにポンプ4によって圧送された結露水について制御部8が積算した値(制御部8が、凝縮器22に向けて噴射させたと特定している結露水の積算値や、筐体20の外に排出されたと特定している結露水の量の積算値)をリセットするためのリセットボタンなどを備え、それらの操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。表示部7は、空気調和装置1の動作条件や動作状態などの各情報を制御部8の制御下で表示する。
【0035】
制御部8は、空気調和装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、冷凍サイクル2の圧縮機21を制御して冷媒を圧縮させると共に膨張弁23を制御して必要量の冷媒を蒸発器24内に吐出させる。また、制御部8は、送風用ファン3a,3bを制御して送風させると共に、空気調和装置1の動作状態を表示部7に表示させる。さらに、制御部8は、ポンプ4(制御部4c)を制御して結露水の圧送処理を実行させると共に、ポンプ4(制御部4c)から送信されるデータ(機構部4pの動作状態を特定可能なデータ)に基づいてポンプ4(機構部4p)によって圧送された結露水の量を特定する「圧送量特定処理」を実行する。
【0036】
また、制御部8は、切替弁5を制御することでポンプ4(機構部4p)を案内用配管35に接続させると共に、上記の「圧送量特定処理」において特定した量、すなわち、案内用配管35から筐体20の外に排出された結露水の量が予め設定された量(「第2の量」の一例)に達したときに、筐体20の外に排出された結露水の量が設定量に達したことを報知する「第1の報知処理」を実行する。この場合、本例の空気調和装置1では、「第1の報知処理」の一例として、「排水量が設定量に達しました。廃棄完了後にリセットボタンを操作して下さい。」とのメッセージを表示部7に表示させ、かつ、空気調和装置1(筐体20)から排水された結露水の量が設定量に達したことを示す図示しないインジケータを点灯させると共に、図示しないスピーカから警告音を出力する。
【0037】
さらに、制御部8は、「第1の報知処理」の実行後に切替弁5を制御することでポンプ4(機構部4p)を案内用配管34に接続させる(「ポンプによる結露水の圧送先を第3の案内用配管に切り替える」との処理の一例)と共に、「第1の報知処理」の後に実行される「圧送量特定処理」において特定した量、すなわち、案内用配管34から凝縮器22の表面に向けて噴射された結露水の量が予め設定された量に達したときに、凝縮器22に向けて噴射された結露水の量が設定量に達したことを特定可能に報知する。この場合、本例の空気調和装置1では、一例として、「結露水が流出するおそれがあります。廃棄完了後にリセットボタンを操作して下さい。」とのメッセージを表示部7に表示させ、かつ、凝縮器22に向けて噴射された結露水の量が設定量に達したことを示す図示しないインジケータを点灯させると共に、図示しないスピーカから警告音を出力する。
【0038】
また、制御部8は、水位センサ31sによって検出された結露水の量、すなわち、ドレンパン31に滞留している結露水の量を特定する。また、制御部8は、予め規定された量(「第3の量」の一例)の結露水がドレンパン31に滞留している状態と判別したときに、一例として、図示しないインジケータを赤色で点灯させることにより、ドレンパン31に規定量を超える結露水が滞留していることを報知する「第2の報知処理」と、予め規定された量(「第3の量」)の結露水がドレンパン31に滞留していない状態と判別したときに、図示しないインジケータを緑色で点灯させることにより、ドレンパン31に規定量を超える結露水が滞留していないことを報知する「第3の報知処理」とを実行する(「第2の報知処理」および「第3の報知処理」の双方を実行する構成の例)。
【0039】
記憶部9は、制御部8の動作プログラムや、空気調和装置1の動作条件のデータなどを記憶する。電源部10は、上記の各構成要素2~9に電源を供給する。この場合、図1に示すように、本例の空気調和装置1における電源部10は、常態においては、商用交流をAC/DC変換して降圧した後に各部に供給すると共に、上記のように予め規定された量の結露水がドレンパン31やドレンパン32に滞留している状態と制御部8が判別している状態において商用交流との接続を遮断されたときに、ポンプ4、表示部7および制御部8などに電源を供給するためのバッテリ10aを備えている。
【0040】
筐体20は、「筐体」の一例であって、図2に示すように、全体として直方体状に形成されている。この場合、本例の空気調和装置1では、凝縮器22が収容される空間と、蒸発器24が収容される空間と、圧縮機21や電源部10などが収容される空間と、制御部8などが収容される空間とが別個独立して筐体20内に設けられている。また、筐体20には、凝縮器22と熱交換させる空気を導入する導入口、凝縮器22と熱交換させた空気を吹き出す吹出口、蒸発器24と熱交換させる空気を導入する導入口、および蒸発器24と熱交換させた空気を吹き出す吹出口がそれぞれ開口されている(図示せず)。
【0041】
この空気調和装置1の使用に際しては、蒸発器24によって温度低下させられた空気(冷風)を供給すべき場所に空気調和装置1を設置して電源部10を商用交流に接続する。この際に、半固定設置状態または固定設置状態において空気調和装置1を使用するときには、図2に破線で示すように、案内用配管35の先端部に案内用配管Pxを接続して結露水を廃棄する廃棄場所まで案内させる。これにより、空気調和装置1から排出される結露水が案内用配管Pxによって廃棄場所まで直接案内される状態となる。次いで、空気調和装置1に電源を投入すると共に、操作部6を操作して動作条件の設定を行う。この際に、半固定設置状態または固定設置状態において使用する本例では、案内用配管35から筐体20の外に排出される結露水の量に関する上述の警告を発しない動作モードを選択する。
【0042】
次いで、操作部6に対するスイッチ操作によって運転開始を指示されたときに、制御部8は、切替弁5を制御してポンプ4(機構部4p)を案内用配管34に接続させると共に、冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bの動作を開始させ、かつ動作状態を表示部7に表示させる。この際には、送風用ファン3aが電源部10から供給される電力によって送風を開始することにより、蒸発器24の収容空間内の空気が吹出口から筐体20外に吹き出され、これにより、筐体20外の空気が導入口から蒸発器24の収容空間内に導入される。また、送風用ファン3bが電源部10から供給される電力によって送風を開始することにより、凝縮器22の収容空間内の空気が吹出口から筐体20外に吹き出され、これにより、筐体20外の空気が導入口から凝縮器22の収容空間内に導入される。さらに、圧縮機21が電源部10から供給される電力によって冷凍サイクル2内の冷媒を圧縮(圧送)することにより、凝縮器22において凝縮された冷媒が膨張弁23を介して蒸発器24に供給される。
【0043】
この際に、蒸発器24の収容空間内に導入された空気は、蒸発器24を通過する際に蒸発器24内の冷媒との熱交換によって温度低下させられた後に筐体20外に吹き出される。したがって、吹出口からの空気の吹出方向の先の空間の温度が低下する。また、上記のように蒸発器24を空気が通過させられるときには、空気中に含まれる水分が蒸発器24の表面に結露し、この結露水がドレンパン31内に流れ落ちる。また、ドレンパン31によって集水された結露水は、案内用配管33を介してドレンパン32内に流入して貯留される。したがって、空気調和装置1の動作を開始させてからの経過時間に応じてドレンパン32に貯留された結露水の量が徐々に増加する。
【0044】
また、ポンプ4では、制御部4cが水位センサ4sからのセンサ信号に基づいてドレンパン32内に貯留された結露水の量を特定し、予め規定された量のドレン水が貯留されたと判別したときに、機構部4pを制御して「圧送処理」を実行させる。この際には、ドレンパン32内の結露水が切替弁5および案内用配管34を介して凝縮器22に向かって圧送されて案内用配管34の先端部(図示しないノズル)から凝縮器22の表面に噴射される。これにより、噴射された結露水の気化熱によって凝縮器22内の冷媒の温度が低下させられる結果、結露水を噴射しなかったときよりも冷媒の凝縮効率が向上する。また、制御部4cは、「圧送処理」を開始したことを示すデータを制御部8に出力する。
【0045】
この場合、上記のように結露水を噴射することで冷媒の凝縮効率が向上するものの、単位時間あたりに噴射する量が多過ぎるときには、噴射した結露水の一部が気化せずに凝縮器22の表面を流れ落ちてしまう。このような場合には、凝縮器22から流れ落ちた結露水が空気調和装置1の設置場所に流れ出すおそれがある。
【0046】
一方、本例の空気調和装置1では、制御部8がポンプ4(制御部4c)から出力されるデータに基づいてポンプ4(機構部4p)が圧送した結露水の量、すなわち、ポンプ4が案内用配管34に接続されているこの例では、案内用配管34から凝縮器22に噴射された結露水の量を特定する「圧送量特定処理」を実行している。具体的には、圧送能力固定型のポンプ4が採用されている本例の空気調和装置1では、ポンプ4の圧送能力(単位時間あたりの圧送量)、およびポンプ4が「圧送処理」を実行している時間長に基づいて結露水の圧送量を特定することができる。したがって、制御部8は、ポンプ4から「圧送処理」を開始した旨のデータが出力された時点からの経過時間に基づいてポンプ4(機構部4p)が圧送した結露水の量を特定する。なお、本例の空気調和装置1(ポンプ4)では、制御部4cが、水位センサ4sからのセンサ信号に基づいてドレンパン32内の結露水の量が予め規定された量を下回ったと特定したときに機構部4pを停止させ、「圧送処理」を停止した旨を示すデータを制御部8に出力する構成が採用されている。
【0047】
また、制御部8は、特定した量(凝縮器22に噴射した量)が予め規定された量に達したときに、切替弁5を制御してポンプ4を案内用配管34から案内用配管35に切り替えて接続させる。これにより、案内用配管34から凝縮器22への結露水の噴射が停止するため、過剰な結露水が噴射されて凝縮器22の表面を結露水が流れ落ちる事態を回避することができる。また、ポンプ4を案内用配管35に接続した後の「圧送処理」時には、ドレンパン32内の結露水が案内用配管34、切替弁5および案内用配管Pxを介して廃棄場所に案内される。これにより、案内用配管Pxの先端部から廃棄場所に結露水が廃棄される。
【0048】
なお、制御部8がポンプ4を案内用配管35に接続させるよう切替弁5を制御するときの上記の「予め規定された量」については、ポンプ4の圧送能力や凝縮器22の大きさ(表面積)に応じて固定的な量を規定しておくこともできるが、例えば、ドレンパン32に規定量の結露水が貯留されるまでの時間に応じて、ある程度短い時間で規定量の結露水が貯留されたとき(すなわち、蒸発器24を通過する空気の湿度が高く、凝縮器22に噴射した結露水が気化し難いとき)の量よりも、ある程度長い時間で規定量の結露水が貯留されたとき(すなわち、蒸発器24を通過する空気の湿度が低く、凝縮器22に噴射した結露水が気化し易いとき)の量の方が多くなるように可変量を規定しておくこともできる。
【0049】
また、制御部8は、ポンプ4を案内用配管35に切り替えて接続した時点からの経過時間を計測し、凝縮器22に対して結露水を再び噴射しても凝縮器22から流れ落ちるおそれがない時間が経過したとき(凝縮器22において結露水を十分に気化させることができる程度に凝縮器22内の冷媒温度が上昇するまでに要する時間が経過したとき)に、切替弁5を制御してポンプ4を案内用配管35から案内用配管34に切り替えて接続させる。これにより、ポンプ4によって圧送される結露水が案内用配管34から凝縮器22に噴射されるため、凝縮器22における冷媒の凝縮効率が向上する状態となる。なお、上記の例のように凝縮器22に対する結露水の噴射を停止した時点からの経過時間に基づいて凝縮器22に対する結露水の噴射を再開する構成に代えて(または、そのような構成に加えて)、冷凍サイクル2内の冷媒温度や冷媒圧力を監視することで凝縮器22に対して噴射した結露水が十分に気化する状態となったと判別したときに結露水の噴射を再開する構成を採用することもできる。
【0050】
一方、移動可能設置状態において空気調和装置1を使用するときには、空気調和装置1から排出される結露水を貯留可能な任意の容量の容器体を用意すると共に、図2に実線で示すように、案内用配管35の先端部に案内用配管Pxを接続して結露水を容器体まで案内させる。次いで、空気調和装置1に電源を投入すると共に、操作部6を操作して動作条件の設定を行う。この際に、移動可能設置状態において使用する本例では、案内用配管35から筐体20の外に排出された結露水の量に関する警告を発する動作モードを選択する。また、この動作モードでの使用時には、用意した容器体の容量の範囲内で任意の貯留許容量(容器体と共に廃棄場所まで搬送可能と判断した量)を設定する。
【0051】
次いで、操作部6に対するスイッチ操作によって運転開始を指示されたときに、制御部8は、切替弁5を制御してポンプ4(機構部4p)を案内用配管35に接続させると共に、冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bの動作を開始させ、かつ動作状態を表示部7に表示させる。なお、蒸発器24や凝縮器22において熱交換された空気の流れなどに関しては、半固定設置状態または固定設置状態における上記の動作例のときと同様のため、詳細な説明を省略する。この場合、移動可能設置状態での使用時にも、空気調和装置1の動作時に蒸発器24の表面に結露してドレンパン31によって集水された結露水が、案内用配管33を介してドレンパン32内に流入して貯留される。したがって、空気調和装置1の動作を開始させてからの経過時間に応じてドレンパン32に貯留された結露水の量が徐々に増加する。
【0052】
また、ポンプ4では、制御部4cが水位センサ4sからのセンサ信号に基づいてドレンパン32内に貯留された結露水の量を特定し、予め規定された量のドレン水が貯留されたと判別したときに、機構部4pを制御して「圧送処理」を実行させる。この際には、ドレンパン32内の結露水が切替弁5および案内用配管35を介して筐体20の外に排出されて、案内用配管Pxから容器体内に流れ落ちる。これにより、「圧送処理」を開始してからの経過時間に応じて容器体内に貯留される結露水の量が徐々に増加する。また、制御部4cは、「圧送処理」を開始したことを示すデータを制御部8に出力する。
【0053】
これに応じて、制御部8は、ポンプ4(制御部4c)から出力されるデータに基づいてポンプ4(機構部4p)が圧送した結露水の量、すなわち、ポンプ4が案内用配管35に接続されているこの例では、案内用配管35から案内用配管Pxを介して容器体まで圧送された結露水の量(容器体に貯留された結露水の量)を特定する「圧送量特定処理」を実行する。なお、「圧送量特定処理」の具体的な処理手順については、前述の使用形態における動作例のときと同様のため、詳細な説明を省略する。
【0054】
また、制御部8は、特定した量(筐体20から排出された量:すなわち、用意した容器体に貯留された量)が予め規定された量に達したときに、切替弁5を制御してポンプ4を案内用配管35から案内用配管34に切り替えて接続させると共に、案内用配管35から筐体20の外に排出された結露水の量が予め設定された量(「第2の量」)に達したことを報知する「第1の報知処理」を実行する。具体的には、制御部8は、「第1の報知処理」の一例として、「排水量が設定量に達しました。廃棄完了後にリセットボタンを操作して下さい。」とのメッセージを表示部7に表示させ、かつ、空気調和装置1(筐体20)から排水された結露水の量が設定量に達したことを示す図示しないインジケータを点灯させると共に、図示しないスピーカから警告音を出力する。なお、ポンプ4を案内用配管34に切り替えた状態の動作(凝縮器22への結露水の噴射)については、半固定設置状態または固定設置状態における前述の動作例のときと同様のため、詳細な説明を省略する。
【0055】
また、上記のようなメッセージの表示、インジケータの点灯、および警告音の出力によって空気調和装置1からの結露水の排水量が設定量に達したことを認識した使用者は、排出された結露水が貯留されている容器体を搬送場所まで搬送して結露水を廃棄する。この場合、本例の空気調和装置1では、上記の報知処理に先立ってポンプ4の圧送先を案内用配管34に切り替える構成を採用しているため、結露水の排水量が設定量に達したことを使用者が認識した時点においては、案内用配管Px(案内用配管35)から結露水が排出されずに案内用配管34から凝縮器22に噴射される状態となっている。したがって、案内用配管Pxの先に容器体が存在しなくても結露水が流れ出すことがないため、結露水が貯留されている容器体を廃棄場所まで搬送する作業を直ちに開始することができる。
【0056】
一方、廃棄場所における結露水の廃棄を完了したときには、空の容器体を空気調和装置1の設置場所まで搬送して案内用配管Pxの先に配置した後に、操作部6のリセットボタンを操作する。この場合、制御部8は、使用者によってリセット操作が行われるまで、上記のようなメッセージの表示、インジケータの点灯、および警告音の出力を継続して実行する。したがって、空気調和装置1からの結露水の排水量が設定量に達したことを使用者に対して確実に認識させることができる。また、リセットボタンが操作されたときに、制御部8は、切替弁5を制御してポンプ4を案内用配管34から案内用配管35に切り替えて接続させると共に、上記のメッセージの表示、インジケータの点灯、および警告音の出力を停止し、かつ「圧送量特定処理」によって筐体20の外に排出されたと特定している結露水の量の積算値をリセットする。これにより、動作開始時と同様にして、ドレンパン32内の結露水が切替弁5および案内用配管35を介して筐体20の外に排出されて、案内用配管Pxから容器体内に貯留される状態となり、排出された結露水の量が新たに積算される。
【0057】
一方、筐体20から排出された量(すなわち、用意した容器体に貯留された量)が予め規定された量に達したと判別して、ポンプ4を案内用配管34に切り替えさせたときに、制御部8は、ドレンパン32から案内用配管34を介して凝縮器22に圧送された結露水の量を特定する「圧送量特定処理」を実行する。この際に、結露水の圧送先を案内用配管34(凝縮器22)に切り替えた後に、使用者によってリセットボタンが操作されることなく、「圧送量特定処理」によって特定した量(凝縮器22に噴射した量)が予め規定された量に達したとき、制御部8は、一例として、インジケータの点灯を継続しつつ、操作部6に表示させていたメッセージを「結露水が流出するおそれがあります。直ちに廃棄作業を完了してリセットボタンを操作して下さい。」とのメッセージに表示替えすると共に、警告音の音量や種類を変更する。これにより、凝縮器22に対して過剰に多くの結露水が噴射されて空気調和装置1の設置場所に結露水が流出する以前に、筐体20から排出された(容器体に貯留された)結露水の量が規定量に達したことを使用者に対して認識させることができる。
【0058】
一方、移動可能設置状態での使用時には、動作中の空気調和装置1を他の設置場所へ移動させる必要が生じることがある。この際に、空気調和装置1の動作中には、前述したように、蒸発器24に結露した結露水がドレンパン31に流れ落ちて集水されている。この場合、蒸発器24の表面に結露した結露水が自重によってドレンパン31内に流れ落ちる構成のため、蒸発器24からドレンパン31内に結露水が流れ落ちるまでには、ある程度の時間を要する。
【0059】
また、本例の空気調和装置1では、ドレンパン31における最深部に案内用配管33が接続されているため、蒸発器24から流れ落ちてドレンパン31によって集水された結露水のすべてが案内用配管33を介してドレンパン32に案内される。しかしながら、ドレンパン31の底部に異物が蓄積されて結露水の流れが滞る状態となっていたり、空気調和装置1に導入される空気の湿度が高いことで単位時間当りに生じる結露水の量が多い状態となったりしたときには、ドレンパン31内の結露水がドレンパン32まで移動するのにある程度の時間を要する。
【0060】
さらに、本例の空気調和装置1では、ドレンパン32内の結露水をポンプ4が常時圧送するのではなく、予め規定された量の結露水がドレンパン32内に貯留されたときに、ポンプ4が「圧送処理」を実行する構成が採用されている。したがって、ポンプ4による「圧送処理」が完了するまでは、ある程度の量の結露水がドレンパン32内に貯留された状態となっている。また、上記のように蒸発器24からドレンパン31に結露水が流れ落ちるのにある程度の時間を要し、ドレンパン31からドレンパン32に結露水が移動するのにもある程度の時間を要することから、「圧送処理」が完了した後にも、案内用配管33を介して新たな結露水がドレンパン32に流れ込んでドレンパン32内にある程度の結露水が貯留された状態となってしまう。
【0061】
このため、動作中の空気調和装置1を停止させたときには、筐体20内(蒸発器24の表面やドレンパン31,32内)に、ある程度の量の結露水が存在した状態となっている。したがって、動作中の空気調和装置1を新たな設置場所に移動させるために電源を遮断したとき(操作部6の操作によってオフ状態に移行させたり、電源部10を商用交流から切断したりしたとき)には、貯留可能量を超える結露水がドレンパン32に流れ込み、ドレンパン32から流れ出すおそれがある。また、ドレンパン32内に流れ込む結露水の量が貯留可能量の範囲内であったとしても、空気調和装置1を移動させたときにドレンパン32から結露水が流れ出すおそれがある。
【0062】
一方、本例の空気調和装置1では、前述したように、制御部8が水位センサ31sからのセンサ信号に基づいてドレンパン31内に滞留している結露水の量を常時特定し、予め規定された量(「第3の量」)の結露水がドレンパン31に滞留している状態と判別したときに、インジケータを赤色で点灯させ(「第2の報知処理」)、予め規定された量(「第3の量」)の結露水がドレンパン31に滞留していない状態と判別したときに、インジケータを緑色で点灯させる(「第3の報知処理」)構成が採用されている。また、本例の空気調和装置1では、ポンプ4の動作状態に基づいてドレンパン32内に貯留されている結露水の量を常時特定し、予め規定された量の結露水がドレンパン32に貯留された状態と判別したときにも、インジケータを赤色で点灯させる構成が採用されている。
【0063】
これにより、動作中の空気調和装置1の移動に際して電源を遮断しようとしたときや、電源を遮断せずに移動させようとしたときにインジケータの点灯色を確認することにより、インジケータが赤色で点灯しているときには、ドレンパン31,32から結露水が流れ出すおそれがあり、インジケータが緑色で点灯しているときには、ドレンパン31,32から結露水が流れ出すおそれがないことを確実かつ容易に把握することが可能となっている。したがって、インジケータが赤色で点灯しているとき、すなわち、ドレンパン31内に規定量を超える結露水が滞留していたり、ドレンパン32内に規定量を超える結露水が貯留されていたりするときには、電源を遮断したり、空気調和装置1を移動させたりしないことで、結露水が筐体20から流れ出す事態を回避することができる。
【0064】
また、本例の空気調和装置1では、予め規定された量(「第3の量」)の結露水がドレンパン31に滞留していると判別している状態や、予め規定された量の結露水がドレンパン32に貯留されていると判別している状態において、操作部6に対する電源遮断の操作が行われたり、電源部10が商用交流から遮断されたりしたときに、制御部8が、電源部10を制御してバッテリ10aからポンプ4に電源を継続して供給させると共に、ポンプ4が案内用配管34に切り替えられているときには、ポンプ4を案内用配管35に切り替えて接続する構成が採用されている。これにより、インジケータが赤色で点灯していることを認識していない者や、赤色での点灯によって報知されている状態を把握していない者が電源を遮断したり、使用者の意に反して停電などで電源が遮断されたりしても、ドレンパン32内の結露水が、別途用意した容器体に圧送される状態が維持される。
【0065】
このように、この空気調和装置1では、制御部4cが、水位センサ4sによる検出結果に基づいてドレンパン32に「予め規定された第1の量」の結露水が貯留されたと判別したときに機構部4pを制御してドレンパン32から案内用配管35に結露水を圧送させる「圧送処理」を実行すると共に、制御部8が、ポンプ4(機構部4p)によって圧送された結露水の量をポンプ4の動作状態に基づいて特定する「圧送量特定処理」と、「圧送量特定処理」において特定した量が「予め規定された第2」の量に達したときに、ポンプ4によって圧送された結露水の量が「第2の量」に達したことを報知する「第1の報知処理」とを実行可能に構成されている。
【0066】
したがって、この空気調和装置1によれば、蒸発器24に結露した結露水を案内用配管Pxなどで廃棄場所に直接流出させる際に、廃棄場所が空気調和装置1よりも高所であったとしても、ポンプ4による「圧送処理」によって筐体20の外に排出された結露水を廃棄場所まで確実に移動させることができる。これにより、空気調和装置1の設置場所に結露水が流れ出す事態を好適に回避することができる。また、廃棄場所まで届く案内用配管Pxを接続して筐体20から排出された結露水を廃棄場所に直接流出させることで結露水の廃棄作業を不要とすることができ、別途用意した容器体に案内用配管Pxから結露水を流出させる使用形態においては、用意した容器体の容量に応じて「第1の量」を規定しておくことで、筐体20から排出されて容器体に貯留される結露水の量を監視していなくても、「第1の報知処理」による報知に基づいて容器体内の結露水を廃棄すべき状態となったことを確実かつ容易に認識することができ、容器体から結露水が溢れ出す前に廃棄作業を実施することができる。これにより、容器体から結露水が溢れて空気調和装置1の設置場所に流れ出す事態を確実に回避することができる。さらに、固定設置状態や半固定設置状態において不要な結露水貯留用の容器体を一体的に備えないことで、空気調和装置1全体としての大きさを十分に小型化することができる。
【0067】
また、この空気調和装置1では、制御部8が、水位センサ31sによる検出結果に基づいてドレンパン31に「予め規定された第3の量」の結露水が滞留している状態と判別したときにドレンパン31に「第3の量」の結露水が滞留していることを報知する「第2の報知処理」と、水位センサ31sによる検出結果に基づいてドレンパン31に「第3の量」の結露水が滞留していない状態と判別したときにドレンパン31に「第3の量」の結露水が滞留していないことを報知する「第3の報知処理」との少なくとも一方(本例では、双方)を実行可能に構成されている。
【0068】
したがって、この空気調和装置1によれば、電源が遮断されてポンプ4が動作しない状態となったときにドレンパン31やドレンパン32から結露水が流れ出すおそれがあるときに電源が遮断されたり、空気調和装置1を移動させたときにドレンパン31やドレンパン32から結露水が流れ出すおそれがあるときに空気調和装置1が移動されたりする事態を好適に回避することができる。
【0069】
さらに、この空気調和装置1によれば、制御部8が、リセット操作が行われたときに、ポンプ4によって圧送されたと特定している結露水の量の積算値をリセットすることにより、例えば、筐体20の外に排出されて容器体内に貯留された結露水を「第1の報知処理」が実行される前に(すなわち、容器体内に十分な量の結露水が貯留される前)に廃棄したときに、空の容器体内に新たに貯留される結露水の量を正しく特定して好適なタイミングで「第1の報知処理」を実行させることができる。これにより、容器体から結露水が溢れて空気調和装置1の設置場所に流れ出す事態を一層確実に回避することができる。
【0070】
また、この空気調和装置1によれば、ポンプ4が圧送する結露水を凝縮器22に案内する案内用配管34と、およびポンプ4による結露水の圧送先を案内用配管34,35のいずれかに切り替える切替弁5とを備えたことにより、案内用配管34から凝縮器22に結露水を噴射することで凝縮器22における冷媒の凝縮効率を向上させることができると共に、筐体20から排出した結露水を容器体に貯留して容器体と共に廃棄場所まで搬送して廃棄する使用形態においては、案内用配管34から凝縮器22に噴射した分だけ、容器体に貯留される結露水の量を低減できるため、廃棄作業の負担を十分に軽減することができる。
【0071】
さらに、この空気調和装置1によれば、制御部8が、「第1の報知処理」の実行後に切替弁5を制御してポンプ4による結露水の圧送先を案内用配管34に切り替えることにより、「第1の報知処理」の実行後にポンプ4が圧送する結露水が案内用配管34から凝縮器22に噴射されるため、筐体20から排出した結露水を貯留している容器体に対してさらに多くの結露水が流入して容器体から結露水が溢れ出す事態を好適に回避することができる。
【0072】
なお、「空気調和装置」の構成は、上記の空気調和装置1の構成の例に限定されない。例えば、供給対象に対して冷風(蒸発器24における冷媒との熱交換によって温度低下させられた空気)を供給可能に構成された空気調和装置1の構成を例に挙げて説明したが、供給対象に対して温風(「凝縮器」における冷媒との熱交換によって温度上昇させられた空気)を供給可能に構成した「空気調和装置」においても上記の空気調和装置1と同様に「蒸発器」において生じた結露水を「ポンプ」によって圧送すると共に「ポンプ」の動作状態に基づいて結露水の圧送量を特定して「第1の報知処理」などを実行する構成を採用することで、空気調和装置1によって奏される上記の効果と同様の効果を奏することができる。
【0073】
また、「圧送量特定処理」において、ポンプ4の圧送能力、および「圧送処理」を実行している時間長に基づいて結露水の圧送量を特定する構成を例に挙げて説明したが、例えば、「圧送処理」を開始してから終了するまでの圧送量が定められている「ポンプ」(「」圧送処理」を開始してから規定量の液体を圧送した時点で自動停止するポンプ)を採用している場合には、「ポンプ」による「圧送処理」の実行回数に基づいて結露水の圧送量を特定する構成を採用することができる(「圧送された結露水の量をポンプの動作状態に基づいて特定する」との処理の他の一例)。また、圧送能力可変型の「ポンプ」を採用した場合には、「ポンプ」の運転速度、および「圧送処理」を実行している時間長に基づいて結露水の圧送量を特定する構成を採用することができる。
【0074】
さらに、ポンプ4によって圧送される結露水を凝縮器22に案内するための案内用配管34、および結露水の圧送先を案内用配管34,35のいずれかに切り替える切替弁5を備えた構成の空気調和装置1を例に挙げて説明したが、「第3の案内用配管」や「切替弁」を備えずに、「貯留部」に貯留された結露水を「筐体」の外のみに圧送する構成(結露水を「凝縮器」に噴射しない構成)を採用することもできる。
【0075】
また、水位センサ31sによる検出結果に基づいてドレンパン31に「予め規定された第3の量」の結露水が滞留している状態と判別したときにインジケータを赤色で点灯させる「第2の報知処理」と、水位センサ31sによる検出結果に基づいてドレンパン31に「第3の量」の結露水が滞留していない状態と判別したときにインジケータを青色で点灯させる「第3の報知処理」の双方を実行可能な構成の空気調和装置1を例に挙げて説明したが、「第2の報知処理」および「第3の報知処理」のいずれか一方の処理のみを実行可能に構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、畜舎、温室栽培用建屋、体育館、工場、倉庫および劇場などの比較的大きな建物内や、屋外のイベント会場やスポーツ会場などに設置して使用可能に構成された空気調和装置の発明である。
【符号の説明】
【0077】
1 空気調和装置
2 冷凍サイクル
3a,3b 送風用ファン
4 ポンプ
4p 機構部
4s,31s 水位センサ
4c,8 制御部
5 切替弁
6 操作部
7 表示部
9 記憶部
10 電源部
10a バッテリ
20 筐体
21 圧縮機
22 凝縮器
23 膨張弁
24 蒸発器
31,32 ドレンパン
33~35,Px 案内用配管
図1
図2