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特許7242020コンピュータシステム、その端末装置および出退勤情報の蓄積方法
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  • 特許-コンピュータシステム、その端末装置および出退勤情報の蓄積方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】コンピュータシステム、その端末装置および出退勤情報の蓄積方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1091 20230101AFI20230313BHJP
   G07C 1/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G06Q10/1091
G07C1/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021068231
(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2022163355
(43)【公開日】2022-10-26
【審査請求日】2022-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510072009
【氏名又は名称】株式会社イードクトル
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【弁理士】
【氏名又は名称】寒川 潔
(72)【発明者】
【氏名】菜子 彪宏
(72)【発明者】
【氏名】吉永 大祐
(72)【発明者】
【氏名】正田 直人
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154105(JP,A)
【文献】特開2021-026359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G07C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続可能な端末装置と、前記ネットワークに接続され、前記端末装置のユーザ認証を行う認証サーバと、前記ネットワークに接続可能な記憶装置と、を含むコンピュータシステムであって、
前記端末装置は、前記認証サーバが提供するユーザ認証処理が完了するまで表示部に、当該端末装置はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す所定のロック画面を表示させる制御部を有し、
前記制御部は、前記ロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、前記出退勤情報が入力された時刻の情報と前記出退勤情報と前記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を前記記憶装置に送信する制御構成を備えている
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記制御部は、オペレーティングシステムの起動時に前記認証サーバによるユーザ認証処理を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記制御部は、操作部の無操作状態が所定時間継続すると前記表示部に前記所定のロック画面を表示させるように構成されており、このロック画面にも前記出退勤情報入力画面と前記ユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、前記出退勤情報が入力された時刻の情報と前記出退勤情報と前記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を前記記憶装置に送信する制御構成を備えている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
前記制御部は、操作部の所定操作を受け付けると前記所定のロック画面を表示させるように構成されており、このロック画面にも前記出退勤情報入力画面と前記ユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、前記出退勤情報が入力された時刻の情報と前記出退勤情報と前記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を前記記憶装置に送信する制御構成を備えている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータシステム。
【請求項5】
前記端末装置はICカードリーダを備えており、前記ユーザ情報の入力がこのICカードリーダを介して行われるように構成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【請求項6】
前記端末装置は生体情報の読取装置を備えており、前記ユーザ情報の入力はこの生体情報の読取装置を介して行われるように構成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【請求項7】
前記記憶装置は、複数の端末装置から対応づけられた状態で送信される時刻情報、出退勤情報およびユーザ情報を記憶するデータウェアハウスの形態とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【請求項8】
所定のユーザ認証処理が完了するまで表示部に、この端末装置はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す所定のロック画面を表示する制御部を有し、
前記制御部は、前記ロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、前記出退勤情報が入力された時刻の情報と前記出退勤情報と前記ユーザ情報とを対応づけて外部の記憶装置に送信する制御構成を備えている
ことを特徴とする端末装置。
【請求項9】
ネットワークに接続可能な端末装置と、前記ネットワークに接続され、前記端末装置のユーザ認証を行う認証サーバと、前記ネットワークに接続可能な記憶装置と、を含むコンピュータシステムにおいて、前記端末装置ユーザの出退勤情報を前記記憶装置に蓄積する方法であって、
前記端末装置は、前記認証サーバによるユーザ認証処理が完了するまで表示部に、当該端末装置はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す所定のロック画面を表示し、このロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示し、これらの入力要求に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、前記出退勤情報が入力された時刻の情報と前記出退勤情報と前記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記端末装置から対応づけられて送信される時刻情報、出退勤情報およびユーザ情報を記憶する
ことを特徴とする出退勤情報の蓄積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンピュータシステム、その端末装置および出退勤情報の蓄積方法に関し、より詳細には、労働時間が変則的になりがちな従業員の労働時間を正確に把握する機能を備えたコンピュータシステムと、その端末装置および出退勤情報の蓄積技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、従業員の出退勤時刻の管理は、出勤/退勤時に従業員がタイムレコーダを使ってタイムカードに出退勤時刻を打刻することによって管理していたが、情報技術が進化した近年では、このようなタイムレコーダによる出退勤管理に代えて、コンピュータを使った出退勤管理が行われるようになってきている。
【0003】
たとえば、特許文献1に示す出退勤管理システムでは、勤怠管理サーバと端末装置とをネットワークを介して通信接続するとともに、勤怠管理サーバにユーザの生体認証機能を備えさせておき、従業員が出退勤の打刻を行う際には、端末装置に出退勤の打刻画面を表示させ、この画面にしたがって出退勤の種別(出勤、退勤、外出、戻りなど)を選択させるとともに、従業員の生体情報を入力させ、この生体情報に基づいて勤怠管理サーバにユーザ認証を行わせ、ユーザ認証が正常であれば出退勤の種別および時刻を勤怠管理サーバに記録するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-154105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のやり方には以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1に示す出退勤管理システムによれば、出退勤の種別や時刻を勤怠管理サーバに記録するにあたり、従業員の生体認証を行うのでなりすましによる出退勤打刻を防止できるという利点はあるものの、出退勤の打刻画面は、店舗端末について店長等のユーザ認証後が行われた後に表示されるようになっており、しかも、従業員が自らの意思で出退勤の打刻画面を表示させるようになっているので、一時的な外出などの際に打刻漏れが発生する可能性が高い。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、出退勤打刻の打刻漏れを抑制でき、労働時間を適正に管理できるコンピュータシステムとその端末装置および出退勤情報の蓄積方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンピュータシステムは、
ネットワークに接続可能な端末装置と、上記ネットワークに接続され、上記端末装置のユーザ認証を行う認証サーバと、上記ネットワークに接続可能な記憶装置と、を含むコンピュータシステムであって、
上記端末装置は、上記認証サーバが提供するユーザ認証処理が完了するまで表示部に、当該端末装置はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す所定のロック画面を表示させる制御部を有し、
上記制御部は、上記ロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、上記出退勤情報が入力された時刻の情報と上記出退勤情報と上記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を上記記憶装置に送信する制御構成を備えていることを特徴とする。
【0008】
そして、本発明はその好適な実施態様として、以下の構成を備えている。
(1)上記制御部は、オペレーティングシステムの起動時に上記認証サーバによるユーザ認証処理を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
(2)上記制御部は、操作部の無操作状態が所定時間継続すると上記表示部に上記所定のロック画面を表示させるように構成されており、このロック画面にも上記出退勤情報入力画面と上記ユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、上記出退勤情報が入力された時刻の情報と上記出退勤情報と上記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を上記記憶装置に送信する制御構成を備えていることを特徴とする。
【0010】
(3)上記制御部は、操作部の所定操作を受け付けると上記所定のロック画面を表示させるように構成されており、このロック画面にも上記出退勤情報入力画面と上記ユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、上記出退勤情報が入力された時刻の情報と上記出退勤情報と上記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を上記記憶装置に送信する制御構成を備えていることを特徴とする。
【0011】
(4)上記端末装置はICカードリーダを備えており、上記ユーザ情報の入力がこのICカードリーダを介して行われるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
(5)上記端末装置は生体情報の読取装置を備えており、上記ユーザ情報の入力はこの生体情報の読取装置を介して行われるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
(6)上記記憶装置は、複数の端末装置から対応づけられた状態で送信される時刻情報、出退勤情報およびユーザ情報を記憶するデータウェアハウスの形態とされていることを特徴とする。
【0014】
そして、本発明に係る端末装置は、
所定のユーザ認証処理が完了するまで表示部に、この端末装置はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す所定のロック画面を表示する制御部を有し、
上記制御部は、上記ロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、上記出退勤情報が入力された時刻の情報と上記出退勤情報と上記ユーザ情報とを対応づけて外部の記憶装置に送信する制御構成を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る出退勤情報の蓄積方法は、
ネットワークに接続可能な端末装置と、上記ネットワークに接続され、上記端末装置のユーザ認証を行う認証サーバと、上記ネットワークに接続可能な記憶装置と、を含むコンピュータシステムにおいて、上記端末装置ユーザの出退勤情報を上記記憶装置に蓄積する方法であって、
上記端末装置は、上記認証サーバによるユーザ認証処理が完了するまで、当該端末装置はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す表示部に所定のロック画面を表示し、このロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示し、これらの入力要求に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、上記出退勤情報が入力された時刻の情報と上記出退勤情報と上記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を上記記憶装置に送信し、
上記記憶装置は、上記端末装置から対応づけられて送信される時刻情報、出退勤情報およびユーザ情報を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、認証サーバが提供するユーザ認証処理が完了するまで表示部に所定のロック画面を表示させる制御構成を備えた端末装置において、ロック画面に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、上記出退勤情報が入力された時刻の情報と上記出退勤情報と上記ユーザ情報とを対応づけて、これらの情報を上記記憶装置に送信する制御構成を備えているので、少なくともユーザ認証を実施するタイミングで出退勤情報の入力を促す画面が表示されるので、出退勤の打刻忘れを抑制することができ、労働時間を適正に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るコンピュータシステムの概略構成の一例を示すシステム構成図である。
図2】同コンピュータシステムの端末装置において、ロック画面に表示される出退勤情報入力画面の一例を示す画面構成図である。
図3】同出退勤情報入力画面からユーザ情報入力画面への画面遷移の一例を示す画面構成図である。
図4】同ユーザ情報入力画面の他の一例を示す画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【0019】
図1は、本発明が適用されるコンピュータシステムの概略構成の一例を示している。
このコンピュータシステム1は、病院などの医療機関に勤務する医師や看護師、事務職員などの従業員の労働時間の管理、特に、勤務時間が変則的になりがちな医師や看護師の労働時間の管理に適したコンピュータシステムであって、従業員が使用する複数の端末装置2,2,…と、これら端末装置2,2,…とネットワークNを介して接続され、端末装置2,2,…のユーザ認証を行う認証サーバ3と、ネットワークNに接続可能な記憶装置4とを主要部として構成されている。
【0020】
具体的には、このコンピュータシステム1は、端末装置2を電子カルテの利用端末とする電子カルテシステムの一部を構成するコンピュータシステムであって、ネットワークNには電子カルテサービスを提供する電子カルテサーバ5が接続されている。そして、本実施形態では、後述するように、端末装置2のユーザの出退勤情報等が記憶装置4に記憶されるように構成されているので、これら出退勤情報等を利用する勤怠管理サーバ6や給与計算サーバ7がネットワークNに接続されている。なお、図中の符号8は、コンピュータシステム1に統一された標準時刻の情報を提供するタイムサーバである。
【0021】
端末装置2は、ネットワークNに接続可能に構成され、ネットワークNを介して電子カルテサーバ5が提供する電子カルテ(診療簿の電子情報)の閲覧・更新などを行うコンピュータであって、図示しない表示部、入力部、制御部などを備え、所定のアプリケーションソフトウェアが動作可能に構成された端末装置、たとえば、デスクトップ型、ノート型、タブレット型のパーソナルコンピュータ、スマートフォンなどで構成されている。そして本実施形態では、この端末装置2には、少なくとも、電子カルテの閲覧・更新等を行うアプリケーションソフトウェア(以下、「電子カルテアプリ」と称する。)と、認証サーバ3と連携してユーザ認証処理を実行するアプリケーションソフトウェア(以下、「認証アプリ」と称する。)と、後述するユーザの出退勤情報の送信処理を実行するアプリケーションソフトウェア(以下、「出退勤アプリ」と称する。)とが備えられている。
【0022】
そして、本実施形態の端末装置2は、制御部によって、少なくとも、認証サーバ3が提供するユーザ認証処理が完了するまでは表示部に所定のロック画面、つまり、当該端末装置2はアプリケーションソフトウェアの利用ができない状態であることを示す画面を表示部に表示するように構成されている。
【0023】
また、この端末装置2には、上記出退勤アプリに関連して、ICカードに記録された情報を読み取るためのカードリーダ、具体的には、端末装置2のユーザを特定する情報が記録されたICカード、たとえば、医療機関の職員証を兼ねたICカードの読取が可能なカードリーダ9がそれぞれに備えられている。なお、このカードリーダ9は、認証サーバ3によるユーザ認証の際に所持情報提供するICカードの読取装置としても用いられる。
【0024】
認証サーバ3は、端末装置2のユーザ認証を行うサーバコンピュータであって、端末装置2に備えられた認証アプリと連携して所定のタイミングで端末装置2の画面上にユーザ認証を求めるユーザ認証要求画面(図示せず)を表示させ、端末装置2のユーザに、あらかじめ認証サーバ3が定めている認証要素の入力を要求し、入力された認証要素が適正ユーザの者であるかを照合・判別して、適正ユーザのものであれば当該端末装置2の制御部に対して端末装置2の使用を許可する一方、適正ユーザでなければ当該端末装置2の使用を許可しない処理(たとえば、ロック画面で固定するなどの処理)を端末装置2の制御部に実行させ、端末装置2を使用できない状態とするように構成されている。
【0025】
ここで、認証サーバ3が端末装置2のユーザに要求する認証要素は複数(多要素)であることが好ましい。たとえば、あらかじめユーザに割り当てたID番号やパスワードなどの知識情報、あらかじめユーザに付与したICカードなどに格納した所持情報、指紋、虹彩、静脈、顔のパターンなどユーザ自身の特徴である生体情報を組み合わせて多要素でユーザを認証するのが好ましい。本実施形態の認証サーバ3によるユーザ認証は、ID番号およびパスワードの知識情報と、個々のユーザにあらかじめ付与しておいた職員証を兼ねたIDカードによる所持情報を用いた2要素認証とされ、この所持情報の読取手段として上記カードリーダ9が用いられるようになっている。
【0026】
また、認証サーバ3がユーザ認証を実施するタイミングは、端末装置2の認証アプリの設定によって適宜設定されるが、たとえば、オペレーティングシステムの起動時、電子カルテアプリの起動時、電子カルテアプリの起動後一定時間無操作継続後の再操作時、さらには、操作部に対する所定操作時などが採用され得る。
【0027】
記憶装置4は、ネットワークNに接続された記憶装置であって、本実施形態では大容量の記憶容量を備えたデータウェアハウスの形態とされ、複数の端末装置2から送信されるユーザの出退勤に関する各種データ(詳細は後述する)を蓄積・記憶するように構成されている。なお、この記憶装置4に記憶されたユーザの出退勤に関するデータは、ネットワークN上に備えたられた勤怠管理サーバ6や給与計算サーバ7でも利用可能となっている。
【0028】
電子カルテサーバ5は、ネットワークNを介して端末装置2に電子カルテサービスを提供するサーバコンピュータである。電子カルテサービスの詳細は公知であるので詳細な説明は省略するが、この電子カルテサービスによって端末装置2のユーザは患者の電子カルテの閲覧・更新などができるようになっている。
【0029】
勤怠管理サーバ6は、記憶装置4に記憶されたユーザの出退勤に関する各種データを基にしてユーザの勤怠管理を行うためのサーバコンピュータである。給与計算サーバ7は、記憶装置4に記憶されたユーザの出退勤に関する各種データを基にしてユーザの給与計算を行うためのサーバコンピュータである。これら勤怠管理サーバ6および給与計算サーバ7の詳細はいずれも公知であるので詳細な説明は省略するが、これらによってユーザの勤怠管理や給与計算が行われるようになっている。また、タイムサーバ8は、ネットワークNに接続された端末装置2、各種サーバ3,5~7および記憶装置4に対して基準となる標準時刻を配信するサーバであり、この構成も公知であるので詳細な説明は省略する。
【0030】
ネットワークNは、端末装置2、認証サーバ3、記憶装置4、電子カルテサーバ5、勤怠管理サーバ6、給与計算サーバ7およびタイムサーバ8を通信接続するコンピュータネットワークであって、本実施形態では、医療機関の施設内でLAN(Local Area Network)を構成するコンピュータネットワークで構成されている。このネットワークNとしては、有線LANまたは無線LANが適宜採用される。なお、本実施形態では、ネットワークNは医療機関の施設外とは接続されないクローズドネットワークで構成される場合を示したが、記憶装置4を外部のクラウドサーバで構成するような場合には、ネットワークNはインターネットに接続されたオープンネットワークとして構成される。
【0031】
次に、このように構成されたコンピュータシステム1において、端末装置2がユーザの出退勤情報を記憶装置4に送信し、蓄積させるデータ処理の方法(端末装置2からの出退勤情報の送信処理)について説明する。
【0032】
図2は、端末装置2のロック画面の一例を示している。この図2に示すロック画面101は、上述したように、認証サーバ3によるユーザ認証処理が完了するまで端末装置2の表示部に表示される画面である。具体的には、本実施形態の端末装置2では、認証サーバ3によるユーザ認証処理が、オペレーティングシステムの起動時、電子カルテアプリの起動時、電子カルテアプリの起動後一定時間無操作継続後の再操作時(操作部の無操作状態が所定時間継続したとき)、および操作部に対する所定操作(たとえば、特定のキーボード操作)受付時に実施されるようになっているので、それぞれのタイミングでこのロック画面101が表示されるようになっている。
【0033】
そして、本実施形態のコンピュータシステム1では、端末装置2の制御部は、このロック画面101を表示する際に、ロック画面101の中に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面102と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面103とを表示させるように構成されている。
【0034】
ここで、出退勤情報入力画面102でユーザに選択を求める出退勤の種別は、コンピュータシステム1を導入する職場環境などに応じて適宜設定されるが、図示例のように、出退勤の種別を「出勤」と「退勤」の2択で選択させる(どちらか一方をクリックして選択する)シンプルな構成を採用することができるほか、たとえば、一時的に勤務外の行動をとる場合(たとえば、自己研鑽としての研修会参加など)を考慮して、「外出」と「戻り」を選択肢に加えた構成など、出退勤の種別をより細分化して選択可能に表示することも可能である。
【0035】
また、本実施形態では、出退勤の種別の表示に際して、出退勤情報入力画面102に「出勤」、「退勤」のボタンを表示し、一方のボタンをクリックすることで、「出勤」または「退勤」の選択・入力ができるように構成した場合を示しているが、たとえば、出退勤の種別をプルダウンメニューで表示し、プルダウンされた項目の中から該当する出退勤の種別を選択・入力するように構成するなど、他の態様で出退勤の種別を表示・選択・入力させるように構成することも勿論可能である。
【0036】
図3は、出退勤情報入力画面102からユーザ情報入力画面103への遷移の一例を示している。図3に示すように、出退勤情報入力画面102で「出勤」または「退勤」のボタンが選択・入力される、つまり、ユーザにより出退勤の種別を示す出退勤情報が入力されると、端末装置2の制御部は、出退勤情報が入力されたときの時刻情報(本実施形態ではタイムサーバ8が提供する標準時刻の情報)を取得するとともに、出退勤情報を入力したユーザのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面103を表示部に表示させる。
【0037】
本実施形態では、上述したように、ユーザを特定するユーザ情報は、職員証を兼ねたICカードに記録されたICカードの所持情報を用いているので、ユーザ情報入力画面103には、当該ICカードをカードリーダ9に読み取らせることを要求する表示(図示例では「ICカードをかざしてください」との表示)が表示され、ユーザにユーザ情報の入力が求められる。その際、本実施形態では、ユーザ情報入力画面103に出退勤情報の入力時刻として取得した時刻情報(図示例では「出勤」選択時は「08:27」、「退勤」選択時は「18:11」を例示)を併せて表示するようにすることで、ユーザが出退勤情報の入力時刻を目視で確認できるようにしている。
【0038】
このようにしてユーザ情報入力画面103の要求に応じてユーザがカードリーダ9にICカードをかざすと、ICカードに記憶・格納されているユーザを特定する情報が端末装置2に読み取られ、端末装置2によってユーザの特定が行われる。なお、このICカードによるユーザの特定は、たとえば、認証サーバ3によるユーザ認証用のICカードを出退勤情報の入力ユーザを特定するICカードと兼用させることで認証サーバ3に蓄積された情報を利用してユーザを特定することが可能であるが、ユーザ認証用のICカードとは異なるICカードを使用し、ユーザ認証とは独立した方法で出退勤情報を入力したユーザを特定するように構成することもできる。
【0039】
そして、本実施形態に示すコンピュータシステム1では、ICカードによるユーザの特定が完了すると、端末装置2の制御部は、ICカードをかざしたユーザが本人に間違いないか(真正のユーザか否か)を確認するため、ICカードとは別の要素のユーザ情報の入力を求める第2のユーザ情報入力画面104を表示するように構成している。
【0040】
図4は、この第2のユーザ情報入力画面104の一例を示している。この図4に示す例では、ICカードとは別の要素として、あらかじめユーザごとに設定しておいたパスワードの入力を求めるようにしている。つまり、本実施形態のコンピュータシステム1では、ユーザの出退勤情報の入力に関して、ICカードとパスワードの2要素でユーザの本人確認を行うようにしている。
【0041】
そして、第2のユーザ情報入力画面104の求めに応じてパスワードが入力される、つまり、出退勤情報入力画面102に応じた出退勤情報と、ユーザ情報入力画面103および第2のユーザ情報入力画面104に応じたユーザ情報とが入力されると、端末装置2の制御部は、出退勤情報が入力された時刻の情報と出退勤情報とユーザ情報とを対応付け(たとえば、図3図4の例で「出勤」が選択された場合には、時刻情報「08:27」、出退勤情報「出勤」、ユーザ情報「12345678 熊本太郎」を対応づけ)て、これらの情報をネットワークNを介して記憶装置4に送信する。
【0042】
記憶装置4は、このようにして端末装置2から送信される対応付けられた時刻情報、出退勤情報、ユーザ情報を順次記憶・蓄積する。本実施形態では、ネットワークNには複数の端末装置2が接続されているので、記憶装置4にはこれら複数の端末装置2からそれぞれ端末装置ユーザの対応付けられた時刻情報、出退勤情報、ユーザ情報が送信され、記憶・蓄積されることとなり、これらの蓄積された情報が、ネットワークNに接続された勤怠管理サーバ6や給与計算サーバ7によって利用できるように提供される。
【0043】
このように、本発明に係るコンピュータシステム1では、端末装置2は、認証サーバによるユーザ認証処理が完了するまで表示部にロック画面101を表示させるとともに、当該ロック画面101に、ユーザに出退勤の種別を選択させる出退勤情報入力画面102と、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報の入力を求めるユーザ情報入力画面103(104)とを表示させ、これらの画面に応じて出退勤情報とユーザ情報とが入力されると、出退勤情報が入力された時刻の情報と出退勤情報とユーザ情報とを対応づけて、これらの情報が記憶装置4に送信される。そのため、本発明に係るコンピュータシステム1では、ユーザは、端末装置2のユーザ認証前に必ず出退勤情報の入力を促されるようになるので、出退勤情報の入力漏れを防止することができる。特に、本実施形態に示すコンピュータシステム1では、端末装置2のオペレーティングシステム起動時にユーザ認証を行うので、出勤当初の打刻忘れを効果的に防止することができる。
【0044】
また、本発明に係るコンピュータシステム1では、ユーザ認証処理における認証要素の入力とは独立して、ユーザ認証処理とは別個の手順として出退勤情報の入力の度に出退勤情報入力者のユーザ情報を求めるようにしているので、出退勤情報の電子化に伴うユーザのご認識をなくすことができ、出退勤情報を正確に管理することができる。
【0045】
また、本実施形態に示すコンピュータシステム1では、端末装置2の操作部に対する所定操作によってもロック画面101を表示させることができるので、退勤時や一時的な退出・離席時など、ユーザが望むタイミングで出退勤情報を入力することができ、労働時間を正確・適正に管理することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0047】
たとえば、上述した実施形態では、出退勤情報を入力したユーザを識別するためのユーザ情報として、IDカードの所持情報とパスワードの知識情報の2要素でユーザの識別・特定を行う場合を示したが、2要素以上の要素を用いてユーザの識別を行うように構成することが可能である一方、1要素でユーザを識別する簡易な構成を採用することも勿論可能である。
【0048】
また、上述した実施形態では、出退勤情報を入力したユーザの特定に、職員証を兼ねたICカードとパスワードを用いる場合を示したが、ユーザを特定するユーザ情報としては、これら以外の要素、たとえば、生体情報を用いることも可能であり、端末装置2に生体情報の読取装置を備えさせ、この読取装置を介してユーザのユーザ情報を入力するように構成することも可能である。
【0049】
また、上述した実施形態では、記憶装置4に記憶されたユーザの出退勤に関するデータを勤怠管理サーバ6と給与計算サーバ7とで利用するように構成した場合を示したが、記憶装置4に記憶されたデータの利用は、これらのサーバに限らず、他のシステムやサーバでも利用できるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 コンピュータシステム
2 端末装置
3 認証サーバ
4 記憶装置
5 電子カルテサーバ
6 勤怠管理サーバ
7 給与計算サーバ
8 タイムサーバ
9 カードリーダ
101 ロック画面
102 出退勤情報入力画面
103 ユーザ情報入力画面
104 第2のユーザ情報入力画面
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4