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特許7242065局所エリスロポエチン製剤および前記製剤を用いて創傷治癒を改善するための方法および前記製剤の美容用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】局所エリスロポエチン製剤および前記製剤を用いて創傷治癒を改善するための方法および前記製剤の美容用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/22 20060101AFI20230313BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230313BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230313BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230313BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K38/22
A61K38/39
A61K9/06
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/18
A61K47/14
A61P17/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020115585
(22)【出願日】2020-07-03
(62)【分割の表示】P 2018511688の分割
【原出願日】2016-09-01
(65)【公開番号】P2020180137
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】62/214,618
(32)【優先日】2015-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510042688
【氏名又は名称】レメドー バイオメッド リミテッド
【住所又は居所原語表記】12 HAAVODAH ST., NAZARETH ILIT, 17000, ISRAEL
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ハーメド,サヘル
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-536745(JP,A)
【文献】特表2011-507920(JP,A)
【文献】特表2001-510463(JP,A)
【文献】特開2006-104466(JP,A)
【文献】特開平11-246420(JP,A)
【文献】日本医薬品添加剤協会,医薬品添加物事典 2007,株式会社薬事日報社,2007年07月25日,pp.65,82-83,194,215-216,249
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 9/00
A61K 47/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル、エリスロポエチン、および、フィブロネクチンを含有する創傷治癒用の医薬組成物であって、
5重量/重量%のエリスロポエチン、
30重量/重量%のフィブロネクチン、
5重量/重量%のグリセロール、
1重量/重量%のカルボマー940、
2重量/重量%のベンジルアルコール、
0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、
0.2重量/重量%のメチルパラベン、
0.05重量/重量%のプロピルパラベン、とを含有し、
ここで前記フィブロネクチンは、創傷に適用されると前記エリスロポエチンの有益な作用を強化する量で組成物中に存在する医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年9月4日に出願され、前記出願の内容が参照により本明細書に全体として組み込まれる米国仮特許出願第62/214,618号明細書に対する優先権の利益を主張するものである。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、エリスロポエチン(EPO)、およびさらに好ましくはフィブロネクチン(FN)を含有する局所製剤、特にはゲル製剤に関する。本発明はさらに、このような製剤が適用されない治癒プロセスと比較して、例えば、熱傷からの創傷治癒を加速させるためのこれらの局所製剤の使用にも関する。前記製剤を調製する方法もまた、本発明の一部である。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
米国疾病対策予防センター(CDC)によると、世界中で三億八千万人を超える人々が真性糖尿病(DM)に罹患している。CDCはさらに、これら個人の5%が糖尿病性皮膚潰瘍(DSU)を発生するであろうこと、および1%は下肢切断術を必要とするようになると推定している。創傷のケアおよび管理における数多くの進歩にもかかわらず(Sen,2009)、DMにおける創傷治癒は、創傷治癒の細胞事象および生化学的事象の組織的なカスケードの全期が破壊されているために遅延する(Brown,1992(非特許文献1)、Shukla,1998(非特許文献2)、Mustoe,2004(非特許文献3))。さらに、DSUの治癒は、損傷した血管形成、血流不足、増加した炎症、線維芽細胞の減少した増殖(Hehenberger,1999(非特許文献4))および角化細胞による減少した再上皮化(Mansbridge,1999(非特許文献5)、Stadelmann,1998(非特許文献6)、Sheetz,2002(非特許文献7))のために遅延する。
【0004】
糖タンパク質ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)は、赤血球質量を調節し、貧血を治療するための承認薬である。EPOはさらに、皮膚における非造血性標的を有し、さらにこれらの標的が皮膚創傷の治癒に関与することが証明されている(Hamed,2014(非特許文献8))。以前に、実験的に誘導されたDMを有するラットおよびマウスにおける皮膚創傷の治癒が、(a)血管新生、再上皮化およびコラーゲン沈着を刺激すること、および(b)炎症反応およびアポトーシスを抑制することによって皮膚創傷への組換えヒトEPOの局所塗布後に加速されることが報告されている(Hamed,2010(非特許文献9))。EPOがDMにおける創傷治癒に及ぼす有益な作用は、フィブロネクチン(FN)によって補完される。FNは一時的な創傷マトリックスの形成を促進し、創傷マトリックスの解離を防止する(Hamed,2011(非特許文献10))。
【0005】
アクアポリン(AQP)は、機能が水およびグリセロールの輸送を可能にすることによって細胞内流体恒常性を調節することである内在性膜タンパク質である。AQPは、皮膚の基底層および腎臓の髄質集合管内の角化細胞の原形質膜内で発現する(Agre,1998(非特許文献11))。AQPのダウンレギュレートされた発現は、急性腎不全における尿濃縮能力の低下の原因である可能性があり、EPOはこのダウンレギュレーションを防止できる(Gong,2004(非特許文献12))。AQP3は、創傷治癒中の細胞移動および増殖ならびに再上皮化を促進する(Hara-Chikuma 2006(非特許文献13)、Levin,2006(非特許文献14)、Hara-Chikuma,2008(非特許文献15))皮膚内で発現する(Hara-Chikuma,2005(非特許文献16))AQPである。皮膚創傷を治癒させる際の水分が果たす積極的な役割は、Winterがブタの皮膚におけるかさぶたの形成および表在性創傷の上皮化率を調査し、湿潤創傷が乾燥創傷より迅速に治癒する(Winter,1962(非特許文献17))ことを報告した1962年に最初に証明された。当然の結果として、足の皮膚の乾燥はDMを有する患者における足部潰瘍形成と相関する。糖尿病性創傷治癒においてAQP3が果たす特別な役割は、AQP3がDMを有するラットにおける全層皮膚創傷の治癒中に再生する表皮においてはダウンレギュレートされる(Sugimoto,2012(非特許文献18))ことが見いだされた時点に推定された。研究は、EPOが進行性創傷の治癒を刺激するために使用できることを示した。このような観察所見は、さらに、(a)血管新生に関与するそれらの細胞の運動および増殖の損傷、(b)線維芽細胞による細胞外マトリックス(ECM)の減少した生成、および(c)角化細胞が皮膚創傷を再上皮化する失敗を包含する、DMにおける損傷したAQP3発現と遅延した再上皮化との間の因果関係の存在をさらに示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Brown, et al., "Expression of vascular permeability factor ( vascular endothelial growth factor) by epidermal keratinocytes during wound healing." J Exp Med. 1992; 176: 1375-9
【文献】Shukla, et al., "Differential expression of proteins during healing of cutaneous wounds in experimental normal and chronic models." BiochemBiophys Res Commun. 1998; 244:434-9
【文献】Mustoe, "Understanding chronic wounds: a unifying hypothesis on their pathogenesis and implications for therapy." Am J Surg2004, 187:65S-70S
【文献】Hehenberger, et al., "Impaired proliferation and increased L-lactate production of dermal fibroblasts in the GK-rat, a spontaneous model of non-insulin dependent diabetes mellitus." Wound Repair Regen 1999, 7:65-71)
【文献】Mansbridge, et al., "Growth factors secreted by fibroblasts: role in healing diabetic foot ulcers." Diabetes Obes Metab1999, 1:265-79、
【文献】Stadelmann, et al., "Physiology and healing dynamics of chro nic cutaneous wounds." Am J Surg. 1998; 176:26S-38S
【文献】Sheetz & King, "Molecular understanding of hyperglycemia's a dverse effects for diabetic complications." JAMA 2002, 288:2579-88
【文献】Hamed, et al., "Erythropoietin, a novel repurposed drug: An innovative treatment for wound healing in patients with diabetes mellitus." Wound Repair Regen. 2014 Jan-Feb; 22(l):23-33.
【文献】Hamed, et al., "Topical erythropoietin promotes wound repair in diabetic rats." J Invest Dermatol 2010; 130: 287-94.
【文献】Hamed, et al., "Fibronectin potentiates topical erythropoietin-induced wound repair in diabetic mice." J Invest Dermatol2011; 6: 1365-74.
【文献】Agre, et al. "The aquaporins, blueprints for cellular plumbing systems." J Biol Chem. 1998; 12;273(24): 14659-62.
【文献】Gong, et al., "EPO and alpha-MSH prevent ischemia/reperfus ion-induced down-regulation of AQPs and sodium transporters in rat kidney." Kidney Int. 2004; 66:683-695.
【文献】Hara-Chikuma & Verkman, "Physiological roles of glycerol-t ransporting aquaporins: the aquaglyceroporins." Cell MolLife Sci. 2006; 63(12): 1386-92.
【文献】Levin & Verkman, "Aquaporin-3-dependent cell migration and proliferation during corneal re-epithelialization." Invest Ophthalmol Vis Sci. 2006; 47(10):4365-72.
【文献】Hara-Chikuma & Verkman, "Aquaporin-3 facilitates epidermal cell migration and proliferation during wound healing." J Mol Med. 2008; 86:221-31
【文献】Hara-Chikuma & Verkman, "Aquaporin-3 functions as a glycerol transporter in mammalian skin." Biol Cel 2005; 97:479-86.
【文献】Winter, "Formation of the scab and the rate of epithelialization of superficial wounds in the skin of the young domestic pig." Nature. 1962; 20; 193:293-4.
【文献】Sugimoto, et al., "Impaired Aquaporin 3 Expression in Reepithelializationof Cutaneous Wound Healing in the Diabetic Rat." BiolRes Nurs. 2012; 15(3): 347-55.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エリスロポエチン(EPO)および、さらに好ましくはフィブロネクチン(FN)を含有する局所製剤、特には、ゲル製剤は、このような製剤が塗布されない治癒プロセスと比較して、例えば、熱傷からの創傷治癒を加速させるために使用される。前記製剤を調製するための方法もまた提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エリスロポエチン(EPO)、およびさらに好ましくはフィブロネクチン(FN)を含有する局所製剤、特にはゲル製剤に関する。一部の実施形態では、ゲル、エリスロポエチンおよびフィブロネクチンを含む医薬組成物について記載される。一部の態様では、フィブロネクチンは、組成物中に、創傷に適用されるとエリスロポエチンの有益な作用を強化する量で存在する。他の態様では、治療有効量のゲル、エリスロポエチンおよびフィブロネクチンを含む医薬組成物を局所塗布する工程を含む創傷を治療する方法であって、ここでフィブロネクチンは、創傷を治療するために創傷に塗布されるとエリスロポエチンの有益な作用を強化する量で組成物中に存在する方法が記載される。一部の実施形態では、創傷は、高血糖を有すると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である。他の実施形態では、創傷は、インスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である。さらに他の実施形態では、創傷は、インスリン生成の欠損を有する、または、インスリン耐性であると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である。さらに別の実施形態では、創傷は、糖尿病性であると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である。特定の態様では、創傷は、ヒト被験者の創傷である。
【0009】
詳細には、本発明の代表的な実施形態は以下の通りである。
(1)ゲル、エリスロポエチン、および、フィブロネクチンを含有する医薬組成物であって、ここで前記フィブロネクチンは、創傷に適用されると前記エリスロポエチンの有益な作用を強化する量で組成物中に存在する医薬組成物。
(2)創傷を治療する方法であって、前記創傷を治療するために前記創傷に治療有効量の上記(1)の製剤を局所塗布する工程を含む方法。
(3)前記創傷は、高血糖を有すると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である上記(1)の組成物。
(4)前記創傷は、インスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である上記(1)の組成物。
(5)前記創傷は、インスリン産生の欠損を有すると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である上記(1)の組成物。
(6)前記創傷は、糖尿病性であると診断されている、または、疑われている被験者の創傷である、上記(1)の組成物。
(7)前記創傷は、ヒト被験者の創傷である請求項1に記載の組成物。
(8)前記エリスロポエチンは、5重量/重量%の濃度で存在する上記(1)の組成物。
(9)前記フィブロネクチンは、30重量/重量%の濃度で存在する上記(1)の組成物。
(10)前記組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度の前記エリスロポエチン、0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度の前記フィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のプロピルパラベンを含む上記(1)の組成物。
(11)前記組成物は、5重量/重量%の前記グリセロール、1重量/重量%の前記カルボマー940、2重量/重量%の前記ベンジルアルコール、0.9重量/重量%の前記トリエタノールアミン、0.2重量/重量%の前記メチルパラベン、0.05重量/重量%の前記プロピルパラベンを含む上記10の組成物。
(12)前記組成物は、5重量/重量%の前記グリセロール、1重量/重量%の前記カルボマー940、2重量/重量%の前記ベンジルアルコール、0.9重量/重量%の前記トリエタノールアミン、0.2重量/重量%の前記メチルパラベン、0.05重量/重量%の前記プロピルパラベン、および、100重量/重量%までの水を含む上記(11)の組成物。
(13)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸ゲルである上記(1)の組成物。
(14)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸を含む上記(1)の組成物。
(15)前記ゲルは、ヒドロゲルである上記(1)の組成物。
(16)エリスロポエチンを含む医薬組成物であって、ゲルとして処方される医薬組成物。
(17)前記組成物は、フィブロネクチンを含む上記(16)の組成物。
(18)前記エリスロポエチンは、5重量/重量%の濃度で存在する上記(16)の組成物。
(19)前記フィブロネクチンは、30重量/重量%の濃度で存在する上記(17)の組成物。
(20)前記組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度の前記エリスロポエチン、0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度の前記フィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のプロピルパラベンを含む上記(17)の組成物。
(21)前記組成物は、5重量/重量%の前記グリセロール、1重量/重量%の前記カルボマー940、2重量/重量%の前記ベンジルアルコール、0.9重量/重量%の前記トリエタノールアミン、0.2重量/重量%の前記メチルパラベン、0.05重量/重量%の前記プロピルパラベンを含む上記(20)の組成物。
(22)前記組成物は、5重量/重量%の前記グリセロール、1重量/重量%の前記カルボマー940、2重量/重量%の前記ベンジルアルコール、0.9重量/重量%の前記トリエタノールアミン、0.2重量/重量%の前記メチルパラベン、0.05重量/重量%の前記プロピルパラベン、および、100重量/重量%までの水を含む上記(21)の組成物。
(23)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸ゲルである上記(16)の組成物。
(24)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸を含む上記(16)の組成物。
(25)前記ゲルは、ヒドロゲルである上記(16)の組成物。
(26)被験者における創傷を治療する方法であって、前記被験者にエリスロポエチンを含む治療有効量の組成物を投与する工程を含み、前記組成物がゲルである方法。
(27)前記組成物は、フィブロネクチンを含む上記(26)の方法。
(28)前記エリスロポエチンは、5重量/重量%の濃度で存在する上記(26)の方法。
(29)前記フィブロネクチンは、30重量/重量%の濃度で存在する上記(27)の方法。
(30)前記組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度の前記エリスロポエチン、0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度の前記フィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のプロピルパラベンを含む上記(27)の方法。
(31)前記組成物は、5重量/重量%の前記グリセロール、1重量/重量%の前記カルボマー940、2重量/重量%の前記ベンジルアルコール、0.9重量/重量%の前記トリエタノールアミン、0.2重量/重量%の前記メチルパラベン、0.05重量/重量%の前記プロピルパラベンを含む上記(30)の方法。
(32)前記組成物は、5重量/重量%の前記グリセロール、1重量/重量%の前記カルボマー940、2重量/重量%の前記ベンジルアルコール、0.9重量/重量%の前記トリエタノールアミン、0.2重量/重量%の前記メチルパラベン、0.05重量/重量%の前記プロピルパラベン、および、100重量/重量%までの水を含む上記(31)の方法。
(33)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸ゲルである上記(26)~(32)のいずれかの方法。
(34)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸を含む上記(26)~(32)のいずれかの方法。
(35)前記ゲルは、ヒドロゲルである上記(33)または(34)の方法。
(36)前記被験者は、高血糖を有すると診断されている、または、疑われている上記(26)~(35)のいずれかの方法。
(37)前記被験者は、インスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている上記(26)~(35)のいずれかの方法。
(38)前記被験者は、インスリン産生の欠損を有すると診断されている、または、疑われている、上記(26)~(35)のいずれかの方法。
(39)前記被験者は、糖尿病性であると診断されている、または、疑われている上記(26)~(35)のいずれかの方法。
(40)前記被験者は、ヒト被験者である上記(26)~(35)のいずれかの方法。
(41)組成物は、複数回投与にわたり投与される上記(26)~(40)のいずれかの方法。
(42)前記組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、または、それ以上投与される上記(41)の方法。
(43)前記組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、または、24週間にわたり提供される上記(41)の方法。
(44)前記組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、または、24カ月間にわたり提供される上記(41)の方法。
(45)前記投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または、14日間である上記(41)の方法。
(46)前記投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、または、8週間である上記(41)の方法。
(47)前記ゲルは、皮膚投与のために処方される、または、皮膚投与される上記(26)~(46)のいずれかの方法。
(48)前記創傷は、潰瘍である上記(26)~(47)のいずれかの方法。
(49)前記創傷は、糖尿病性潰瘍である上記(26)~(48)のいずれかの方法。
(50)前記創傷は、慢性糖尿病性潰瘍である上記(26)~(49)のいずれかの方法。
(51)前記創傷は、四肢の慢性糖尿病性潰瘍である上記(26)~(50)のいずれかの方法。
(52)前記創傷は、慢性糖尿病性足部潰瘍である上記(26)~(51)のいずれかの方法。
(53)被験者における創傷を治療する方法であって、前記被験者にアクアポリンの発現を誘導する治療有効量の組成物を投与する工程を含む方法。
(54)前記アクアポリンは、アクアポリン-3である上記(53)の方法。
(55)前記組成物は、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸ゲルである上記(53)~(54)のいずれかの方法。
(56)前記ゲルは、フィブリン、コラーゲン、または、ヒアルロン酸を含む上記(55)の方法。
(57)前記ゲルは、ヒドロゲルである上記(55)または(56)の方法。
(58)前記被験者は、高血糖を有すると診断されている、または、疑われている上記(53)~(57)のいずれかの方法。
(59)前記被験者は、インスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている上記(53)~(57)のいずれかの方法。
(60)前記被験者は、インスリン産生の欠損を有すると診断されている、または、疑われている、上記(53)~(57)のいずれかの方法。
(61)前記被験者は、糖尿病性であると診断されている、または、疑われている上記(53)~(57)のいずれかの方法。
(62)前記被験者は、ヒト被験者である上記(53)~(57)のいずれかの方法。
(63)組成物は、複数回投与にわたり投与される上記(53)~(62)のいずれかの方法。
(64)前記組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、または、それ以上投与される上記(63)の方法。
(65)前記組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、または、24週間にわたり提供される上記(63)の方法。
(66)前記組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、または、24カ月間にわたり提供される上記(63)の方法。
(67)前記投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または、14日間である上記(63)の方法。
(68)前記投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、または、8週間である上記(63)の方法。
(69)前記ゲルは、皮膚投与のために処方される、または、皮膚投与される上記(53)~(68)のいずれかの方法。
(70)前記創傷は、潰瘍である上記(53)~(69)のいずれかの方法。
(71)前記創傷は、糖尿病性潰瘍である上記(53)~(70)のいずれかの方法。
(72)前記創傷は、慢性糖尿病性潰瘍である上記(53)~(71)のいずれかの方法。
(73)前記創傷は、四肢の慢性糖尿病性潰瘍である上記(53)~(72)のいずれかの方法。
(74)前記創傷は、慢性糖尿病性足部潰瘍である上記(53)~(73)のいずれかの方法。
(75)擦傷のある皮膚表面を美容処置する方法であって、例えば、前記擦傷のある皮膚表面がかき傷、軟組織亀裂、座瘡などの結果である場合に、前記表面を美容的に処置するために十分量の上記(1)の組成物を前記擦傷のある皮膚表面に適用する工程による方法。
(76)擦傷のある皮膚表面を治癒させる方法であって、例えば、前記擦傷のある皮膚表面がかき傷、軟組織亀裂、座瘡などの結果である場合に、前記擦傷のある皮膚表面を治癒させるために十分量の上記(1)の組成物を前記擦傷のある皮膚表面に適用する工程による方法。
【0010】
ゲル製剤は、好ましくは、例えば、ベンジルアルコール、グリセロールもしくは他のアルコール、例えば粘度増強剤、ゲル化剤もしくは懸濁化剤として使用できるカルボマー940などのポリビニルカルボキシポリマーなどのポリマー(カルボマー940はペンタエリトリトールのエーテルと架橋結合されている)、メチルパラベン、プロピルパラベンなどのパラベン、トリエタノールアミンおよびゲルを製造するための当分野において公知である他の賦形剤ならびにそれらの任意の組み合わせを含む賦形剤の非限定的リストの少なくとも一つのメンバーを含有する。本発明のゲル製剤は、さらに水を含むはずである。
【0011】
ゲル、エリスロポエチンおよびフィブロネクチンを含む医薬組成物の所定の態様では、エリスロポエチンは、組成物の5重量/重量%の濃度で存在する。他の態様では、フィブロネクチンは、30重量/重量%の濃度で存在する。さらに他の態様では、組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のエリスロポエチンおよび0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度のフィブロネクチンを含む。他の実施形態では、組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のエリスロポエチンおよび0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度のフィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のプロピルパラベンを含む。さらにまた別の態様では、組成物は、5重量/重量%のグリセロール、1重量/重量%のカルボマー940、2重量/重量%のベンジルアルコール、0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、0.2重量/重量%のメチルパラベン、0.05重量/重量%のプロピルパラベンを含む。特定の態様では、組成物は、5重量/重量%のグリセロール、1重量/重量%のカルボマー940、2重量/重量%のベンジルアルコール、0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、0.2重量/重量%のメチルパラベン、0.05重量/重量%のプロピルパラベンおよび100重量/重量%までの水を含む。一部の実施形態では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸ゲルである。他の実施形態では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸を含む。特定の実施形態では、ゲルは、ヒドロゲルである。
【0012】
所定の態様では、エリスロポエチンを含む医薬組成物であって、ゲルとして処方される組成物について記載される。特定の実施形態では、組成物は、フィブロネクチンを含む。さらに他の態様では、エリスロポエチンは、5重量/重量%の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、フィブロネクチンは、30重量/重量%の濃度で存在する。他の態様では、組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のエリスロポエチンおよび0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度のフィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のプロピルパラベンを含む。さらにまた他の態様では、組成物は、5重量/重量%のグリセロール、1重量/重量%のカルボマー940、2重量/重量%のベンジルアルコール、0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、0.2重量/重量%のメチルパラベン、0.05重量/重量%のプロピルパラベンを含む。さらに他の実施形態では、組成物は、5重量/重量%のグリセロール、1重量/重量%のカルボマー940、2重量/重量%のベンジルアルコール、0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、0.2重量/重量%のメチルパラベン、0.05重量/重量%のプロピルパラベンおよび100重量/重量%までの水を含む。所定の実施形態では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸ゲルである。他の態様では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸を含む。一部の実施形態では、ゲルは、ヒドロゲルである。
【0013】
さらに、被験者における創傷を治療する方法であって、被験者にエリスロポエチンを含む治療有効量の組成物を投与する工程を含み、組成物がゲルである方法も提供される。所定の実施形態では、組成物は、フィブロネクチンを含む。他の実施形態では、エリスロポエチンは、5重量/重量%の濃度で存在する。一部の他の実施形態では、フィブロネクチンは、30重量/重量%の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のエリスロポエチン、0.01重量/重量%~50重量/重量%の濃度のフィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の濃度のプロピルパラベンを含む。他の特定の実施形態では、組成物は、5重量/重量%のグリセロール、1重量/重量%のカルボマー940、2重量/重量%のベンジルアルコール、0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、0.2重量/重量%のメチルパラベン、0.05重量/重量%のプロピルパラベンを含む。なおさらに他の実施形態では、組成物は、5重量/重量%のグリセロール、1重量/重量%のカルボマー940、2重量/重量%のベンジルアルコール、0.9重量/重量%のトリエタノールアミン、0.2重量/重量%のメチルパラベン、0.05重量/重量%のプロピルパラベンおよび100重量/重量%までの水を含む。さらに他の態様では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸ゲルである。さらに他の態様では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸を含む。特定の態様では、ゲルは、ヒドロゲルである。
【0014】
一部の態様では、被験者における創傷を治療する方法であって、被験者にエリスロポエチンを含む治療有効量の組成物を投与する工程を含み、組成物はゲルであり、被験者は高血糖を有すると診断されている、または、疑われている方法が提供される。他の態様では被験者は、インスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている。別の態様では、被験者は、インスリン産生の欠陥を有すると診断されている、または、疑われている。さらにまた別の態様では、被験者は糖尿病性であると診断されている、または、疑われている。一部の実施形態では、被験者は、ヒト被験者である。他の実施形態では、組成物は、複数回投与にわたり提供される。特定の態様では、組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、または、それ以上投与される。追加の態様では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23もしくは24週間にわたり提供される。さらにまた別の実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23もしくは24カ月間にわたり提供される。追加の実施形態では、投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14日間である。さらに他の実施形態では、投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7もしくは8週間である。追加の実施形態では、ゲルは、皮膚投与のために処方される、または、皮膚投与される。さらに他の実施形態では、創傷は、潰瘍または熱傷である。一部の他の態様では、創傷は、糖尿病性潰瘍である。追加の実施形態では、創傷は、慢性糖尿病性潰瘍である。一部の実施形態では、創傷は、四肢の慢性糖尿病性潰瘍である。さらにまた別の態様では、創傷は、慢性糖尿病性足部潰瘍である。
【0015】
さらに、被験者における創傷を治療する方法であって、被験者にアクアポリンの発現を誘導する治療有効量の組成物を投与する工程を含む方法も提供される。特定の実施形態では、アクアポリンは、アクアポリン-3である。一部の態様では、組成物は、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸ゲルである。さらに他の実施形態では、ゲルは、フィブリン、コラーゲンもしくはヒアルロン酸を含む。さらに他の実施形態では、ゲルは、ヒドロゲルである。特定の実施形態では、被験者は、高血糖を有すると診断されている、または、疑われている。他の態様では、被験者は、インスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている。別の態様では、被験者は、インスリン産生の欠陥を有すると診断されている、または、疑われている。さらにまた別の態様では、被験者は糖尿病性であると診断されている、または、疑われている。一部の実施形態では、被験者は、ヒト被験者である。他の実施形態では、組成物は、複数回投与をかけて提供される。特定の態様では、組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、または、それ以上投与される。追加の態様では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23もしくは24週間にわたり提供される。さらにまた別の実施形態では、組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23もしくは24カ月間にわたり提供される。追加の実施形態では、投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14日間である。さらに他の実施形態では、投与間の時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7もしくは8週間である。追加の実施形態では、ゲルは、皮膚投与のために処方される、または、皮膚投与される。さらに他の実施形態では、創傷は、潰瘍または熱傷である。一部の他の態様では、創傷は、糖尿病性潰瘍である。追加の実施形態では、創傷は、慢性糖尿病性潰瘍である。一部の実施形態では、創傷は、四肢の慢性糖尿病性潰瘍である。さらにまた別の態様では、創傷は、慢性糖尿病性足部潰瘍である。
【0016】
一部の組成物もしくは方法では、エリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチンは、マトリックス内に組み込まれる。所定の態様では、エリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチンは、マトリックス内に組み込まれ、少なくとも一方は切断可能(cleavable)である。他の態様では、マトリックスは、一種以上の切断可能なケモカイン、化学誘引物質、化学忌避剤、成長因子または一種以上の切断可能なサイトカインを組み込んでいる。例えば、ケモカインは、CCL1、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9/CCL10、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL28、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、XCL1、XCL2およびCX3CL1からなる群から選択されるケモカインの一つまたは任意の組み合わせであってよい。本明細書に開示した方法もしくは組成物とともに使用するためのサイトカインは、IL-17、IL-10、インターロイキン、リンホカイン、モノカイン、ミオカイン、腫瘍壊死因子もしくは炎症促進性サイトカインファミリーのメンバーを含む可能性がある。本明細書に記載した方法および組成物とともに使用するためのサイトカインの特定の例としては、GcMAF、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、肝細胞増殖因子、IL1A、インターフェロン、インターフェロンβ-1a、インターフェロンβ-1b、インターフェロンγ、インターフェロンI型、インターフェロンII型、インターフェロンIII型、インターロイキン1β、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、インターロイキン10、インターロイキン12、インターロイキン13、インターロイキン16、インターロイキン2、インターロイキン23、インターロイキン23サブユニットα、インターロイキン34、インターロイキン35、インターロイキン6、インターロイキン7、インターロイキン8、インターロイキン-1フェミリー、インターロイキン-12サブユニットβ、インターロイキン-36、白血病抑制因子、白血球促進因子、リンホトキシン、リンホトキシンα、リンホトキシンβ、マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージ炎症性タンパク質、マクロファージ活性化因子、ミオネクチン、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ、オンコスタチンM、オプレルベキン、血小板因子4、プロメガポエチン、RANKL、間質細胞誘導因子1、腫瘍壊死因子αもしくは血管内皮増殖因子の一つ、または、任意の組み合わせが挙げられる。特に企図された増殖因子には、例えば、FGF1、FGF2、IGF1、IGF2、PDGF、EGF、KGF、HGF、VEGF、SDF-1、GM-CSF、CSF、G-CSF、TGFα、TGFβ、NGFおよびECGFが含まれる。さらに企図されるのは、低酸素症誘導性因子(例えば、HIF-1αおよびβならびにHIF-2)、ホルモン(例えば、インスリン、増殖因子(GH)、CRH、レプチン、プロラクチンおよびTSH)、血管新生因子(例えば、アンジオゲニンおよびアンジオポエチン)、凝固因子および抗凝固因子[例えば、第I因子、第XIII因子、組織因子、カルシウム、vWF、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、フィブロネクチン、アンチトロンビン、ヘパリン、プラスミノーゲン、低分子量ヘパリン(Clixan)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン、プラスミノーゲンプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(ΡΑI1)、プラスミノーゲンプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター2(PAI2)、ウロキナーゼ、トロンボモジュリン、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、α2-抗プラスミンおよびプロテインZ関連プロテアーゼインヒビター(ZPI)である。
【0017】
一部の実施形態では、マトリックスはゲルである。さらに、他の実施形態では、マトリックスはヒドロゲルである。所定の例では、ヒドロゲルは、大量の水および生体液を溶解せずに吸収できる三次元親水性架橋結合ポリマー網目を意味する。ヒドロゲルは、物理的架橋結合(例えば、結晶領域、分子間相互作用および絡み合い)または化学的架橋結合(例えば、共有結合)の存在に起因して不溶性であるポリマーから構成されてよい。特定の実施形態では、ヒドロゲルは、フィブリンヒドロゲルもしくはフィブリンドメイン修飾ポリエチレングリコールヒドロゲルである。
【0018】
一つの実施形態では、ヒドロゲルは、架橋剤と架橋しているフィブリンヒドロゲルである。所定の実施形態では、架橋フィブリンヒドロゲルは、被験者もしくは患者の体内への植込みにおいて、特に皮下植込みにおいて、それらを使用するために好適である化学的、物理的または機械的特性を有する。
【0019】
限定するものではないが、ゲルは、任意の比率の架橋剤対フィブリン比を含む可能性がある。したがって、ゲルは、約0.1:1~約10:1の範囲内の架橋剤対フィブリン比を含む可能性がある。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、0.1:1~5:1、0.1:1~4:1、0.1:1~2:1、0.1:1~1.5:1、0.1:1~1:1、0.1:1~0.9:1、0.2~0.8:1および/または0.25~0.75:1の架橋剤対フィブリン比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.20:1~0.5:1の架橋剤対フィブリン比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.25:1もしくは0.5:1の架橋剤対フィブリン比を含む。
【0020】
ヒドロゲルは、広範囲の濃度のフィブリンを含むフィブリン溶液から製造することができる。したがって、ゲルは、約50mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、150mg/mL~約300mg/mL、20mg/mL~約250mg/mLのフィブリン、またはそれらから引き出せる任意の範囲を含むフィブリン溶液から製造することができる。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、約200mg/mLのフィブリンを含むフィブリン溶液から製造される。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ヒドロゲルは、約250mg/mLのフィブリンを含むフィブリン溶液から製造される。本明細書に記載した態様のさらに一部の他の実施形態では、ヒドロゲルは、約300mg/mLのフィブリンを含むフィブリン溶液から製造される。
【0021】
他の実施形態では、ヒドロゲルは、高分子を固定する三次元ポリマー網目構造を形成するためにゲル化および架橋された親水性モノマー溶液のフリーラジカル重合によって形成される。高分子は、例えば天然コラーゲンなどの組織の基質の構成成分を含む可能性がある。コラーゲンは、コラーゲン-ヒドロゲルを形成するポリマー網目構造内に散在している可能性がある。一部の実施形態では、コラーゲンヒドロゲルは、上皮細胞増殖を促進することができる。
【0022】
架橋結合のための可溶性コラーゲンは、当分野で認識された技術によって調製することができる。さらに、架橋ヒドロゲルを形成するために、細胞付着および増殖を支持する他のタンパク質を使用することができる。細胞増殖を支持することが公知である追加のタンパク質の一つの例は、フィブロネクチンである。
【0023】
本発明のヒドロゲルには、多糖類およびムコ多糖類もまた添加することができる。
【0024】
モノマー溶液のフリーラジカル重合によって形成されるヒドロゲルポリマーは、水溶液をゲル化するためには網目の三次元ポリマー構造を形成するために架橋結合を必要とする。重合プロセスへのエチレングリコールジメタクリレートなどの架橋剤の添加は、結果として生じるヒドロゲルを変化させることができる。一般に、架橋剤の添加は、ヒドロゲルの剛性および機械的強度を増加させる傾向がある。天然コラーゲンの存在下での重合混合物への例えばエチレングリコールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートなどの架橋剤の添加は、さらにヒドロゲルの物理的特性を変化させ、重合混合物へのこのような添加は天然コラーゲンと適合し、結果としてコラーゲン-ヒドロゲルを生じさせる。コラーゲン-ヒドロゲルを製造する際に申し分なく使用できる他の公知の架橋剤には、ジアクリレートおよびジメタクリレートまたは他の二価分子が含まれる。
【0025】
限定されるものではないが、ゲルは、任意の比率の架橋剤対コラーゲンを含むことができる。したがって、ゲルは、約0.1:1~約10:1の範囲内の架橋剤対コラーゲン比を含む可能性がある。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、0.1:1~5:1、0.1:1~4:1、0.1:1~2:1、0.1:1~1.5:1、0.1:1~1:1、0.1:1~0.9:1、0.2~0.8:1および/または0.25~0.75:1の架橋剤対コラーゲン比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.20:1~0.5:1の架橋剤対コラーゲン比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.25:1もしくは0.5:1の架橋剤対コラーゲン比を含む。
【0026】
ヒドロゲルは、広範囲の濃度のコラーゲンを含むコラーゲン溶液から製造することができる。したがって、ゲルは、約50mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、150mg/mL~約300mg/mL、20mg/mL~約250mg/mLのコラーゲン、または、それらから引き出せる任意の範囲を含むコラーゲン溶液から製造することができる。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、約200mg/mLのコラーゲンを含むコラーゲン溶液から製造される。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ヒドロゲルは、約250mg/mLのコラーゲンを含むコラーゲン溶液から製造される。本明細書に記載した態様のさらに一部の他の実施形態では、ヒドロゲルは、約300mg/mLのコラーゲンを含むコラーゲン溶液から製造される。
【0027】
合成「刺激応答性」ポリマーとして使用できるヒドロゲルは、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(ポリ(NiPAAm))などの合成ポリマーをベースとしてよい。このようなヒドロゲルは、数多くの再生医療用途において使用されてきた(例えば、参照により本明細書に組み込まれるN.A.Peppas,P.Bures,W.Leobandung,and H.Ichikawa.Hydrogels in pharmaceutical formulations.Eur.J.Pharm.Biopharm.50:27-46(2000)を参照されたい)。
【0028】
所定の態様では、ヒドロゲルは、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)もしくはポリアクリルアミドなどの様々なポリマーを用いて調製される。典型的なPVA系ヒドロゲルは、例えば、それらの内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,231,605号明細書、同第5,346,935号明細書、同第5,981,826号明細書、同第4,663,358号明細書、および、同第4,988,761号明細書に開示されている。所定の実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)系ヒドロゲルは、水溶液中で高度の膨潤を提供する。様々なPEG系ヒドロゲルは、例えば、それらの内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,514,379号明細書;同第6,362,276号明細書および同第6,541,015号明細書に開示されている。参照により本明細書に組み込まれた国際公開第2006125082号パンフレットは、前駆ヒドロゲル溶液中の前固化ヒドロゲル粒子を含有するヒドロゲル製剤を提供する。
【0029】
限定するものではないが、ゲルは、任意の比率の架橋剤対ポリ(エチレングリコール)(PEG)を含む可能性がある。したがって、ゲルは、約0.1:1~約10:1の範囲内の架橋剤対PEG比を含むことができる。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、0.1:1~5:1、0.1:1~4:1、0.1:1~2:1、0.1:1~1.5:1、0.1:1~1:1、0.1:1~0.9:1、0.2~0.8:1および/または、0.25~0.75:1の架橋剤対PEG比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.20:1~0.5:1の架橋剤対PEG比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.25:1もしくは0.5:1の架橋剤対PEG比を含む。
【0030】
ヒドロゲルは、広範囲の濃度のPEGを含むPEG溶液から製造することができる。したがって、ゲルは、約50mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、150mg/mL~約300mg/mL、20mg/mL~約250mg/mLのPEG、またはそれらから引き出せる任意の範囲を含むPEG溶液から製造することができる。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、約200mg/mLのPEGを含むPEG溶液から製造される。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ヒドロゲルは、約250mg/mLのPEGを含むPEG溶液から製造される。本明細書に記載した態様のさらに一部の他の実施形態では、ヒドロゲルは、約300mg/mLのPEGを含むPEG溶液から製造される。
【0031】
また別の実施形態では、ヒドロゲルは、架橋剤と架橋しているヒアルロン酸ヒドロゲルである。所定の実施形態では、架橋ヒアルロン酸ヒドロゲルは、特定の皮下植込みにおいて、被験者もしくは患者の体内への植込みにおいてそれらを使用するために好適である化学的、物理的または機械的特性を有する。他の実施形態では、架橋ヒアルロン酸ヒドロゲルは、被験者もしくは患者の皮膚創傷の治療において、特に皮膚適用において、それらを使用するために好適である化学的、物理的または機械的特性を有する。
【0032】
限定するものではないが、ゲルは、任意の比率の架橋剤対ヒアルロン酸を含む可能性がある。したがって、ゲルは、約0.1:1~約10:1の範囲内の架橋剤対ヒアルロン酸比を含む可能性がある。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、0.1:1~5:1、0.1:1~4:1、0.1:1~2:1、0.1:1~1.5:1、0.1:1~1:1、0.1:1~0.9:1、0.2~0.8:1、および/または、0.25~0.75:1の架橋剤対ヒアルロン酸比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.20:1~0.5:1の架橋剤対ヒアルロン酸比を含む。一部の実施形態では、ゲルは、0.25:1もしくは0.5:1の架橋剤対ヒアルロン酸比を含む。
【0033】
ヒドロゲルは、広範囲の濃度のヒアルロン酸を含むヒアルロン酸溶液から製造することができる。したがって、ゲルは、約50mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、150mg/mL~約300mg/mL、20mg/mL~約250mg/mLのヒアルロン酸、または、それらから引き出せる任意の範囲を含むヒアルロン酸溶液から製造することができる。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ゲルは、約200mg/mLのヒアルロン酸を含むヒアルロン酸溶液から製造される。本明細書に記載した態様の一部の実施形態では、ヒドロゲルは、約250mg/mLのヒアルロン酸を含むヒアルロン酸溶液から製造される。本明細書に記載した態様のさらに一部の他の実施形態では、ヒドロゲルは、約300mg/mLのヒアルロン酸を含むヒアルロン酸溶液から製造される。
【0034】
本明細書で使用するように、「一つの」は、一つ以上を意味することができる。特許請求の範囲で使用するように、用語「~を含む」と結び付けて使用した場合、用語「一つの」は、一つもしくは一つ以上を意味することができる。
【0035】
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、他の選択だけ、または相互排他的であることを意味することを明示的に指示していない限り「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、他の選択だけおよび「および/または」を意味する用語の定義を指示する。本明細書で使用する「もう一つの」は、少なくとも第2もしくは第3以上を意味することができる。
【0036】
本出願を通して、用語「約」は、数値が前記数値を決定するために使用される装置、前記方法についての固有の誤差変動または試験被検者間に存在する変動を含むことを意味するために使用される。
【0037】
本発明の他の目的、特徴および長所は、下記に詳述する説明から明白になるであろう。しかし、詳述した説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、本発明の精神および範囲内の様々な変化および修飾がこの詳細な説明から当業者に明白になるであろうから、例示する目的でのみ提供されると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
下記の図面は本願の明細書の一部を形成し、本発明の所定の態様を詳細に明示するために含まれる。本発明は、本明細書に提示した特定の実施形態の詳細な説明と結び付けてこれらの図面の1枚以上を参照することにより、より明確に理解することができる。
図1】局所的EPOは、用量依存様式で、糖尿病性創傷の再生皮膚における創傷閉 鎖を促進し、血流量を増加させる。FNによって強化された作用。非糖尿病性および糖尿病性ブタの再生皮膚内での創傷閉鎖率および血流量は、様々な治療後の第0日、第2日、第4日、第7日、第9日、第11日および第14日に決定した。(A)糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の創傷閉鎖率。(B)糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、低用量EPO治療および高用量EPO治療熱傷創の創傷閉鎖率。(C)非糖尿病性(左)ブタおよび糖尿病性ブタの第0日、第2日、第4日、第7日、第9日、第11日および第14日(右)におけるビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の代表的な写真画像およびレーザードップラースキャン。(D)非糖尿病性(左)および糖尿病性ブタの第0日、第2日、第4日、第7日、第9日、第11日および第14日(右)における同一のビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の代表的セットの写真画像およびレーザードップラースキャン。レーザードップラースキャン内の白丸は、第0日の熱傷創部を表す。濃紺色は非血管形成領域を表し、黄色および赤色は血管形成領域を表し、赤色領域は黄色領域よりも高度に血管形成している領域を描出している。各治療群におけるサンプルサイズは、サンプル数が6例であった低用量EPO治療熱傷創群を除いて12例であった。*p<0.05および**p<0.01であり、ボンフェローニ補正を伴う二元配置によるANOVA(分散分析)の結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である。†p<0.05であり、ボンフェローニ補正を伴う二元配置によるANOVAの結果にしたがった(a)EPO治療もしくはEPO/FN治療熱傷創およびFN治療熱傷創と(b)高用量EPO治療熱傷創および低用量EPO治療熱傷創間の有意差である。
図2】局所FNは、非糖尿病性の再生皮膚内での創傷閉鎖率および血流量には影響 を及ぼさない。非糖尿病性ブタの再生皮膚内での創傷閉鎖率および血流量は、様々な治療後の第0日、第4日、第9日および第14日に決定した。(A)非糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の創傷閉鎖率。(B)第0日、第4日、第9日および第14日の非糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、FN治療熱傷創、EPO治療熱傷創およびEPO/FN治療熱傷創の代表的なセットの写真画像(左)およびレーザードップラースキャン(右)。レーザードップラースキャン内の白丸は、第0日の熱傷創部を表す。濃紺色は非血管形成領域を表し、黄色および赤色は血管形成領域を表し、赤色領域は黄色領域よりも高度に血管形成している領域を描出している。二頭の非糖尿病性ブタにおける各治療群のサンプルサイズは12例であった。*p<0.05および**p<0.01であり、ボンフェローニ補正を伴う二元配置によるANOVA(分散分析)の結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である。†p<0.05であり、スチューデントの両側t検定の結果にしたがった、EPO/FN治療とEPO治療熱傷創間の有意差である。
図3】局所EPOは、糖尿病性創傷の再生皮膚内での微小血管密度(MVD)およ びeNOS発現を増加させ、これらの作用はFNによって強化される。(A)14日間の治療後に収集した、非糖尿病性ブタ(上のパネル)および糖尿病性ブタ(下のパネル)のビヒクル治療熱傷創、FN治療熱傷創、EPO治療熱傷創およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内での毛細血管の血管内皮細胞によるCD31発現についての免疫組織学的染色を示している顕微鏡写真の代表的なセット。再生皮膚内のMVDは、各創傷部位における光学顕微鏡下での五カ所の無作為顕微鏡視野(倍率×200)における毛細血管の数を計数することによって決定した。(B)非糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内のMVD。(C)糖尿病性ブタのビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内のMVD。(DおよびE)非糖尿病性ブタ(D)および糖尿病性ブタ(E)のビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚から第14日に収集され、この後それらから調製された溶解物中で測定された組織内でのeNOS発現の代表的なウェスタンブロット。α-アクチンを使用してタンパク質負荷を正規化し、ブロットは個別ゲル上で同時に分析したサンプルから引き出した。各治療群のサンプルサイズは12例であり、データは各治療群について二回ずつの測定の平均値±SD(BおよびC)として表示した。*p<0.05および**p<0.01であり、チューキーの事後検定を伴う一元配置によるANOVAの結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である(BおよびC)。†p<0.05であり、チューキーの事後検定を伴う一元配置によるANOVAの結果にしたがった、EPO/FN治療とEPO治療熱傷創間の有意差である(C)。スケールバー:200μm(A)。
図4】局所的EPOは、糖尿病性創傷の再生皮膚内のヒドロキシプロリン(HP) およびヒアルロン酸(HA)合成の量を増加させ、この作用はFNによって強化される。(A)14日間の治療後に収集した、非糖尿病性ブタ(上のパネル)および糖尿病性ブタ(下のパネル)のビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内でのマッソン三色染色法によるHPの量についての免疫組織学的染色を示している顕微鏡写真の代表的なセット。(B)第14日の非糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内のHP含量。(C)糖尿病性ブタのビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内のHP含量。(D)非糖尿病性ブタのビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内のHA含量。(E)糖尿病性ブタのビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内のHA含量。(FおよびG)非糖尿病性ブタ(F)および糖尿病性ブタ(G)のビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚から第14日に収集され、この後それらから調製された溶解物中で測定された組織内でのHAS1およびHAS2発現レベルの代表的なウェスタンブロット。α-アクチンを使用してタンパク質負荷を正規化し、ブロットは個別ゲル上で同時にランして分析したサンプルから引き出した。各治療群のサンプルサイズは12例であり、データはHP(BおよびC)またはHA(DおよびE)量の二回ずつの測定の平均値±SDとして表示した。*p<0.05および**p<0.01であり、チューキーの事後検定を伴う一元配置によるANOVAの結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である。†p<0.05であり、チューキーの事後検定を伴う一元配置によるANOVAの結果にしたがった、EPO/FN治療(C)とEPO治療熱傷創(E)間の有意差である。スケールバー:200μm(A)。
図5】AQP3発現は、創傷のない糖尿病性皮膚では減少する。非糖尿病性ブタ(A)および糖尿病性ブタ(B)の創傷のない皮膚内でのAQP3についての免疫組織学的染色の顕微鏡写真の代表的セット。スケールバー:(左)50μm;(右)200μm(AおよびB)。非糖尿病性ブタ(C)および糖尿病性ブタ(D)の創傷のない皮膚内でのAQP3についての免疫組織学的染色の顕微鏡写真の代表的セット。スケールバー:200μm(CおよびD)。(E)糖尿病性ブタのDM誘導30日後の創傷のない皮膚内および非糖尿病性ブタの創傷のない皮膚内のAQP3発現の代表的なウェスタンブロット。数値は、AQP3タンパク質発現の三回ずつの測定の平均値±標準偏差および創傷のない非糖尿病性皮膚内の数値(100%)のパーセンテージとして表示した。(G)α-アクチンを使用してタンパク質負荷を正規化し、ブロットは個別ゲル上で同時にランしたサンプルから引き出した。(F)全RNAは二頭の糖尿病性ブタおよび二頭の非糖尿病性ブタの熱傷創組織由来の、第14日に収集した再生皮膚のサンプルから調製した創傷のない皮膚溶解物から単離した。AQP3 mRNAは、RT-PCRによって定量した。数値は、AQP3 mRNA発現の三回ずつの測定の平均値±SDおよび創傷のない非糖尿病性皮膚内の発現(100%)のパーセンテージとして表示した。**p<0.01であり、スチューデントの両側t検定の結果にしたがった、健常ブタおよび糖尿病性ブタ間の有意差である。
図6】局所EPOは、糖尿病性創傷の再生皮膚内でのAQP3発現を増加させ、この作用はFNによって強化される。(AおよびB)14日間の治療後に収集した、非糖尿病性ブタ(A)および糖尿病性ブタ(B)のビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚内でのAQP3についての免疫組織学的染色を示している顕微鏡写真の代表的なセット。スケールバー:(AまたはB;左)50μm;(AまたはB;右)200μm。(CおよびD)ビヒクル含有、FN含有、EPO含有およびEPO/FN含有ゲルを用いた、(C)二頭の非糖尿病性ブタおよび二頭の糖尿病性ブタの熱傷創の14日間の治療後のAQP3タンパク質発現の代表的なウェスタンブロット。数値は、非糖尿病性ブタのビヒクル治療熱傷創(100%)におけるAQP3タンパク質発現の三回ずつの測定の平均値±SDとして表示した。非糖尿病性ブタ(E)および糖尿病性ブタ(F)由来の熱傷創の14日間の治療後の再生皮膚の溶解物中でのAQP3タンパク質発現の代表的なウェスタンブロット。α-アクチンを使用してタンパク質負荷を正規化し、ブロットは個別ゲル上で同時にランしたサンプルから引き出した(GおよびH)。全RNAは、非糖尿病性ブタ(G)および糖尿病性ブタ(H)のビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚の溶解物から単離した。AQP3 mRNAは、RT-PCRによって定量した。数値は、AQP3 mRNA発現の三回ずつの測定の平均値±SDおよび創傷のない非糖尿病性皮膚内の発現(100%)のパーセンテージとして表示した。**p<0.01であり、ボンフェローニ補正を伴う二元配置によるANOVAの結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である。†p<0.05であり、スチューデントの両側t検定の結果にしたがった、EPO/FN治療熱傷創とEPO治療熱傷創間の有意差である。
図7】AQP3タンパク質発現は、糖尿病性創傷の再生皮膚内の血管新生の程度な らびにヒドロキシプロリン(HP)およびヒアルロン酸(HA)の量と正相関する。AQP3タンパク質の発現は、非糖尿病性ブタの熱傷創においては、(a)微小血管密度(MVD)(r=0.61)、(b)HPの量(r=0.79)および(c)HAの量(r=0.88)と有意に相関する。AQP3タンパク質の発現は、さらに糖尿病性ブタの熱傷創においても、(a)MVD(r=X)、(b)HP量(r=0.60)および(c)HA量(r=0.93)と有意に相関する。各点は、六例の創傷におけるAQP3タンパク質発現、MVDならびにHPおよびHAの量の平均値を表す。
図8】HgClによるAQP3阻害は、糖尿病性創傷の創傷閉鎖率、血管新生の程度ならびにヒドロキシプロリン(HP)量およびヒアルロン酸(HA)量に局所的EPOが及ぼす作用を減少させる。糖尿病性ブタの再生皮膚内での創傷閉鎖率および血流量は、ビヒクル含有、高用量EPO含有およびEPO/HgCl含有ゲルを用いた14日間の治療後に決定した。(A)糖尿病性ブタのビヒクル治療、EPO治療およびEPO/HgCl治療熱傷創の創傷閉鎖率。(B)糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療、EPO治療およびEPO/HgCl治療熱傷創の14日間の治療後の写真画像(上のパネル)およびレーザードップラースキャン(下のパネル)の代表的なセット。濃紺色は非血管形成領域を表し、黄色および赤色は血管形成領域を表し、赤色領域は黄色領域よりも高度に血管形成している領域を表している。糖尿病性ブタの一頭における各治療群における熱傷創(n=6)を評価して比較した。(C)糖尿病性ブタのビヒクル治療、FN治療、EPO治療およびEPO/FN治療熱傷創の再生皮膚から第14日に収集され、この後それらから調製された溶解物中で測定された組織内でのeNOS、HAS1およびHAS2発現レベルの代表的なウェスタンブロット。α-アクチンを使用してタンパク質負荷を正規化し、ブロットは個別ゲル上で同時にランしたサンプルから引き出した。(D)糖尿病性ブタのビヒクル治療、EP O治療およびEPO/HgCl治療熱傷創の再生皮膚のMVD。(E)糖尿病性ブタのビヒクル治療、EPO治療およびEPO/HgCl治療熱傷創の再生皮膚のHP含量。(F)糖尿病性ブタのビヒクル治療、EPO治療およびEPO/HgCl治療熱傷創の再生皮膚のHA含量。*p<0.05および**p<0.01であり、ボンフェローニ補正を伴う二元配置によるANOVAの結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である(A)。**p<0.01であり、チューキーの事後検定を伴う一元配置によるANOVAの結果にしたがったビヒクル治療熱傷創と他の治療間の有意差である(D~F)。†p<0.05であり、スチューデントの両側t検定の結果にしたがった、EPO/HgCl治療とEPO治療熱傷創間の有意差である(D~F)。
図9】高グルコースはヒト皮膚に由来する角化細胞および線維芽細胞内でのAQP 3発現をダウンレギュレートする;EPOによって遮断された作用。(A)低グルコース(正常)および高グルコース培地中のHEKCの増殖にEPOが及ぼす作用。(B)低グルコース(正常、NG)および高グルコース(HG)培地中のNHBCの増殖にEPOが及ぼす作用(CおよびD)。NGもしくはHGいずれかの培地中の5日間培養後のEPO治療HEKCおよびNHBCから調製した溶解物中のAQP3発現レベルの代表的なウェスタンブロット。α-アクチンを使用して個別ゲル上でのランを正規化した(EおよびF)。HEKC(E)およびNHBC(F)中のAQP3発現レベルについての免疫組織学的染色の顕微鏡写真の代表的なセット。スケールバー:500μm。**p<0.01であり、チューキーの事後検定を伴う一元配置によるANOVAの結果にしたがった有意差である。
図10】EPO/FN治療を用いた数週間にわたる慢性糖尿病性足部潰瘍の長さおよび幅における減少を示す折れ線グラフ。
図11】EPO/FN治療を用いた数週間にわたる慢性糖尿病性足部潰瘍の潰瘍領域における減少を示す折れ線グラフ。
図12】EPO/FN治療を用いた数週間にわたる慢性糖尿病性足部潰瘍の創傷閉鎖の代表的な写真。
図13】数週間のEPO/FN治療の前後の慢性糖尿病性足部潰瘍の代表的な写真。
【発明を実施するための形態】
【0039】
I.本発明
この技術背景とは反対に、本発明者は、DSUの治癒にEPOが及ぼす治療上有益な作用が一部には、EPOが皮膚内でのAQP3発現を刺激する能力に起因すると推測した。この仮説は、実験によって誘発した1型DMおよび中間層皮膚熱傷を備えるブタにおいて試験された。糖尿病性ブタにおける熱傷の局所的EPO治療は、血管新生およびECM産生を刺激することによるAQP3依存性機序を通してそれらの治癒を促進することが見いだされた。追加の証拠は、FNが糖尿病性ブタにおける熱傷の治癒にEPOが及ぼす促進作用を強化できることを示唆している。さらに、糖尿病性足部創傷を本発明によって治療できることも示唆されている。ヒトの治療もまた企図されている。
【0040】
したがって、本発明は、一部には、本明細書の上記および他の個所で記載された製剤および創傷の治療に関する。本発明はさらに、一部には、ゲル、エリスロポエチンおよびフィブロネクチンを含有する医薬組成物であって、ここでフィブロネクチンは、創傷に塗布されるとエリスロポエチンの有益な作用を強化する量で組成物中に存在する医薬組成物に関する。
【0041】
創傷、例えば、熱傷もしくは糖尿病性足部創傷を治療するため、および/または、治癒を促進するために、治療有効量の例えば本明細書の上記および他の個所で記載したような製剤を局所塗布する工程を含む創傷を治療する方法。
【0042】
任意の特定の理論に限定されなくても、治癒は、血管新生を活性化する、コラーゲンおよびヒアルロン酸合成ならびに細胞外マトリックス(ECM)の形成を誘発する、および角化細胞による再上皮化を刺激するAQP3依存性機序によって作動すると考えられる。製剤中へのフィブロネクチンの添加は、熱傷の治癒にEPOが及ぼす促進作用を強化することができる。
【0043】
II.定義
したがって、本発明の一つの態様によると、それを必要とする被験者における創傷治癒および結合組織の再建を促進する方法が提供される。一部の実施形態では、被験者は、糖尿病を有すると診断されている、または、疑われている。他の実施形態では、被験者は、高血糖もしくはインスリン耐性を有すると診断されている、または、疑われている。
【0044】
本明細書で使用する語句「結合組織」は、この中で細胞外マトリックス(ECM)および詳細にはコラーゲンが主要部分を形成する動物組織を意味しており、組織は他の身体組織および身体部分を支持してそれらを相互に結合させるために機能する。典型的な例は、皮膚および内臓である。
【0045】
本明細書で使用する語句「結合組織の再建」は、損傷もしくは非健常組織にとっての美観、構造、機能および生理機能の回復を意味する。この再建は、再生治癒をもたらす。さらに、結合組織の再建とは、健常組織内のコラーゲン産生の増加を意味する。典型的な実施形態では、再建は、組織劣化の停止をもたらす。他の典型的な実施形態では、結合組織の再建は、線維症を回避する。
【0046】
本明細書で使用する語句「損傷もしくは非健常組織」は、健常機能性組織からの逸脱を意味する。皮膚の場合には、皮膚は、健常な皮膚より弱く、低弾性であり、より損傷しやすい傾向がある。非健常もしくは損傷皮膚の構造は、健常な皮膚の構造より劣っている(例えば、真皮および上皮が含有する細胞およびコラーゲンが少ない)。非健常皮膚を治療するための一つの目的は、皮膚の一層の劣化を減少させ、機能を正常もしくは正常に近いレベルに回復させることである。
【0047】
本明細書で使用する語句「健常組織」は、強力で弾性があり、平滑およびふっくらしている皮膚を意味する。健常な皮膚を治療する一つの目的は、過度の太陽光および微生物感染を含む老化もしくは環境ストレスによって誘発される皮膚の劣化を予防することである。
【0048】
結合組織に関連した用語「促進する(工程)」は、組織再生を可能にする様式で、例えば、線維芽細胞および角化細胞などの皮膚細胞によるコラーゲンの産生を増加させるプロセスを意味する。したがって本発明の一部の実施形態では、「促進する(工程)」は、組織再生の少なくとも約10%、20%、50%、80%の増加または組織変性における少なくとも約10%、20%、50%、80%の停止を意味する。当業者であれば、組織再生の促進を評価するために様々な方法およびアッセイを使用することができ、同様に組織変性の停止を評価するために様々な方法およびアッセイを使用できることを理解するであろう。
【0049】
本明細書で使用する用語「創傷」は、様々な方法(例えば、糖尿病性潰瘍、長期間の床上安静からの床ずれ、外傷によって誘発された創傷、外科手技中もしくは外科手技後に受けた創傷など)のいずれか一つで開始され、様々な特徴を備える皮膚および皮下組織ならびに内臓への損傷を広汎に意味する。例としては、打撲傷、擦傷、熱傷創、日焼け傷、切開創傷、切除創傷、外科創傷、壊死性筋膜炎、潰瘍、静脈うっ滞潰瘍、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、アフタ性潰瘍、褥瘡、瘢痕、円形脱毛症、皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ベルロック皮膚炎、おむつ皮膚炎、汗疱状皮膚炎、乾癬、湿疹、紅斑、いぼ、肛門いぼ、血管腫、サクランボ色血管腫、足部白癬、異常なほくろ、基底細胞癌、ベートマン紫斑、水疱性類天疱瘡、カンジダ症、耳輪軟骨皮膚炎、クラーク母斑、口唇ヘルペス、コンジローム、嚢胞、ダリエ病、皮膚線維腫、円板状エリテマトーデス、貨幣状湿疹、アトピー性湿疹、異汗性湿疹、手湿疹、多形性結節性紅斑、フォーダイス状態、項部息肉性毛嚢炎、毛嚢炎、環状肉芽種、グレーバー病、あせも、単純ヘルペス、帯状疱疹(帯状ヘルペス)、化膿性汗腺炎、汗腺膿瘍、じんましん、多汗症、魚鱗病、膿痂疹、毛孔性角化症、ケロイド、角化棘細胞腫、扁平苔癬、扁平苔癬様角化症、慢性単純性苔癬、硬化性苔癬、リンパ腫様丘疹症、皮膚狼瘡、ライム病、腺状苔癬、粘液様嚢胞、菌状息肉腫、伝染性軟属腫、あざ、爪真菌症、糖尿病性リポイド類壊死、貨幣状皮膚炎、爪甲層状分裂症、爪糸状菌症、苔癬状粃糠疹、バラ色粃糖疹、毛孔性紅色粃糠疹、足底疣贅、ツタウルシ、ウルシ、汗疱、偽鬚髯毛嚢炎、肛門そう痒症および白色粃糠疹が挙げられるが、それらに限定されない。
【0050】
創傷は、典型的には、創傷の深さに依存して四つのグレード、(i)グレードI:上皮に限定される創傷、(ii)グレードII:真皮に及ぶ創傷、(iii)グレードIII:皮下組織内に伸びる創傷、および、(iv)グレードIV(もしくは全層性創傷)、骨が露出している創傷(例えば、大転子もしくは仙骨などの骨圧点)の一つに分類される。
【0051】
本明細書で使用する用語「中間層創傷」は、グレードI~IIIを含む創傷を意味するが、中間層創傷の例としては、熱傷創、褥瘡、静脈うっ滞潰瘍および糖尿病性潰瘍が挙げられる。
【0052】
本明細書で使用する用語「深創傷」は、グレードIIIおよびグレードIV創傷の両方を含むことが意図されている。
【0053】
本明細書で使用する用語「慢性創傷」は、30日間以内で治癒しなかった創傷を意味する。
【0054】
創傷に関連する用語「治癒する(工程)」は、瘢痕形成によるなどの創傷を修復するプロセスを意味する(典型的な実施形態では、治癒する(工程)には線維組織形成が欠けている)。
【0055】
特定の実施形態では、本発明の一部の実施形態の組成物は、治癒プロセスを促進する、すなわち加速する。
【0056】
語句「皮膚創傷の治癒プロセスを誘発もしくは加速する(工程)」は、創傷収縮の肉芽組織の形成の誘導および/または上皮形成(すなわち、上皮内の新規な細胞の生成)の誘導のいずれかを意味する。創傷治癒は、便宜的には創傷部の減少によって測定される。
【0057】
一部の態様では、深創傷および慢性創傷を含む全創傷タイプの治療が企図されている。
【0058】
本明細書で使用する用語「治療する(工程)」は、例えば潅流を増強することなどによって、虚血状態の有害作用を予防する、治癒する、逆転する、減衰する、緩和する、最小限に抑える、抑制する、または、停止させることを意味する。当業者であれば、状態の発生を評価するために様々な方法およびアッセイを使用することができ、同様に状態の軽減、寛解もしくは回帰を評価するために様々な方法およびアッセイを使用できることを理解するであろう。
【0059】
治療は、例えば下記の実施例の項で記載したモデルなどの日常的実験によって評価することができる。例えば潅流および生存率ならびに組織学的基準および機能的基準などの結果判定法は、皮膚創傷を治療する際の最高治療価値を有する多数の細胞中での最適効率に取り組むために、様々なパラメーターを変動させることの効率を評価するために使用することができる。罹患組織における潅流を決定するために定量できる当分野において公知の追加のパラメーターは、血管造影法およびMRIならびに罹患組織内での組織壊死の程度、組織潰瘍化および手足の指および/または手足の切断術などの臨床パラメーターである。
【0060】
創傷治癒の状況では、「促進する(工程)」は、それらの治療を可能にする方法で、創傷治癒を許容もしくは支援する能力を意味する。したがって本発明の一部の実施形態では、「促進する(工程)」は、治癒を達成するために要する時間の少なくとも約10%、20%、50%、80%の軽減または創傷閉鎖率における少なくとも約10%、20%、50%、80%の増加を意味する。
【0061】
本明細書で使用する用語「被験者」は、任意の段階および/または程度で、組織損傷を経験する、もしくは経験する可能性がある、または創傷もしくは虚血に苦しむ任意の年齢にある男性もしくは女性である任意の哺乳動物(例えば、人間または家畜)を意味する。
【0062】
上記のように、本発明のこの態様による方法は、指示した用量のEPOおよびFNを被験者に局所投与することによって達成される。
【0063】
本明細書で使用する用語「エリスロポエチン」(EPO)は、哺乳動物(例えば、ヒト)エリスロポエチンタンパク質(ポリペプチドと互換的に使用される)もしくはGenBankアクセッション番号NP_000790に規定されたミメティックなどのそれらのミメティックを意味する。エリスロポエチンは、組換えDNA技術もしくは固相テクノロジーを使用して合成することができる。エリスロポエチンは、さらに市販でも入手できる(例えば、Cytolab/Peprotech,Rehovot Israel,Arenesp,Amgen,Thousand Oaks,Calif,USA;およびEpogen,Amgen,Thousand Oaks,Calif,USA,Bristol-Myers Squibb,Roche and Sanofi-Aventis)。エリスロポエチンは、全糖タンパク質として、または結合糖が欠けているタンパク質サブユニットのみとして使用することができる。本実施形態のエリスロポエチンは臨床用途のために使用されるので、好ましくは無菌性である、または可能性のある汚染因子(例えば、フィルターなどによって、細菌もしくは細菌成分)から精製することができる。
【0064】
本明細書で使用する用語「フィブロネクチン」(FN)は、哺乳動物(例えば、ヒト)フィブロネクチンタンパク質(ポリペプチドと互換的に使用される)もしくはGenBankアクセッション番号NP_002017に規定されたミメティックなどのそれらのミメティックを意味する。フィブロネクチンは、組換えDNA技術もしくは固相テクノロジーを使用して合成することができる。フィブロネクチンは、さらに市販で入手できる(例えば、Chemicon International Inc.,Temecula,Calif,USA)。本発明のフィブロネクチンは臨床用途のために使用されるので、好ましくは無菌性である、または可能性のある汚染因子(例えば、フィルターなどによって、細菌もしくは細菌成分)から精製することができる。
【0065】
ミメティック組成物が使用される場合は、FNおよびEPOの用量は例えばモル値(molar value)にしたがうなどによって較正すべきであることは理解されるであろう。このような較正は、当業者にとっては日常的計算である。
【0066】
本発明の医薬組成物もしくは化粧品組成物は、(例えば、下記の実施例1でさらに提供するような)共製剤または二つの別個の組成物中にエリスロポエチンおよびフィブロネクチンを含むことができる。
【0067】
本明細書で使用する語句「局所投与する(工程)」は、本発明の組成物を身体の表面、すなわち皮膚、頭皮、毛髪、爪などの上に、好ましくは損傷組織(例えば、皮膚)の表面上、創傷もしくは創傷の表面または糖尿病性潰瘍上に適用もしくは塗布する工程を意味する。共処方されない場合、エリスロポエチンおよびフィブロネクチンの投与は、同時または連続的に実施することができる。
【0068】
本発明の教示にしたがって塗布されたエリスロポエチンおよびフィブロネクチンの用量が変動する可能性があることは理解されるであろう。したがって、エリスロポエチンは、治療対象の組織損傷もしくは創傷の重症度に依存して組織1cm当たり10~30μgの用量で投与することができる。一つの実施形態では、エリスロポエチンの用量は、組織1cm当たり15~25μgである。別の実施形態では、エリスロポエチンの用量は、組織1cm当たり約20μgである。フィブロネクチンは、治療対象の組織損傷もしくは創傷の重症度に依存して組織1cm当たり100~300μgの用量で投与することができる。一つの実施形態では、フィブロネクチンの用量は、組織1cm当たり150~250μgである。別の実施形態では、フィブロネクチンの用量は、組織1cm当たり約200μgである。
【0069】
特定の実施形態では、投与されるエリスロポエチンの用量は、組織1cm当たり0.1~10μgである。他の実施形態では、投与されるフィブロネクチンの用量は、組織1cm当たり10~100μgである。所定の態様では、エリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチンの用量は、化粧品において使用するために適合させられる。例えば、エリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチンの用量は、擦傷のある皮膚を治療するために適合させることができる。したがって、本発明の製剤は、さらにまた美容的に、および/または少数の非限定的な例を挙げるとかき傷、軟組織亀裂、座瘡などの結果として範囲の狭い小さな創傷を伴う皮膚状態を治療するための範囲の狭い創傷治癒のためにも使用することができる。したがって、本発明は、例えば、擦傷のある皮膚表面がかき傷、軟組織亀裂、座瘡などの結果である場合に、表面を美容的に治療するために十分量の本発明の組成物を擦傷のある皮膚表面に塗布することによる、一部には擦傷のある皮膚表面を美容のために治療する方法に関する。
【0070】
本発明は、例えば、擦傷のある皮膚表面がかき傷、軟組織亀裂、座瘡などの結果である場合に、擦傷のある皮膚表面を治癒させるために十分量の本発明の組成物を擦傷のある皮膚表面に塗布することによる、擦傷のある皮膚表面を治癒させる方法に関する。
【0071】
実施形態のエリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチンを含む組成物は、被験者自体または医薬組成物もしくは化粧組成物に投与することができる。一部の態様では、実施形態のエリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチンは、マトリックス内で処方される。特定の態様では、マトリックスは、ゲルである。他の特定の実施形態では、ゲルは、ヒドロゲルである。
【0072】
本明細書で使用する用語「医薬組成物もしくは化粧組成物」は、例えば生理学的に好適な担体および賦形剤などの他の化学成分を含む、本明細書に記載した有効成分の調製物を意味する。組成物の目的は、被験者への有効成分(例えば、EPOおよびFN)の投与を促進することである。
【0073】
本明細書で使用する用語「有効成分」は、意図される生物学的作用(すなわち、創傷治癒、結合組織の再建および虚血症の治療を促進する)の責任を負うエリスロポエチンおよびフィブロネクチン組成物を意味する。
【0074】
以下では、互換的に使用できる語句「生理学的に許容される担体」および「医薬上許容される担体」は、被験者に有意な刺激を誘発しない、および投与された有効成分の生物学的活性および特性を無効にしない担体もしくは希釈剤を意味する。アジュバントは、これらの語句の下に含まれる。
【0075】
本明細書では、用語「賦形剤」は、本発明の有効成分の投与をさらに促進するために組成物(医薬組成物もしくは化粧組成物)に添加される不活性物質を意味する。
【0076】
薬物を調製および投与するための技術は、参照により本明細書に組み込まれる‘‘Remington’s Pharmaceutical Sciences,’’Mack Publishing Co.(ペンシルベニア州イーストン)、最新版の中に見いだすことができる。
【0077】
組成物は、単位剤形として処方することができる。このような形態では、本製剤は、例えば単回投与用などの適切な量の有効成分を含有する単位用量に細分される。単位剤形は、包装が別個の量の製剤を含有する包装された製剤、例えば接着ガーゼ包帯、非接着ガーゼ包帯、ティッシュ、赤ちゃん用ウェットティッシュ、ガーゼ、パッドおよび生理用ナプキンであってよい。
【0078】
本発明の教示にしたがった単位剤形は、約10~30μgの用量のエリスロポエチン、約100~300μgの用量のフィブロネクチンまたは約10~30μgの用量のエリスロポエチンおよび約100~300μgの用量のフィブロネクチンの両方を含む。一つの実施形態では、単位剤形は、約15~25μgの用量のエリスロポエチン、約150~250μgの用量のフィブロネクチンまたは約15~25μgの用量のエリスロポエチンおよび約150~250μgの用量のフィブロネクチンの両方を含む。また別の実施形態では、単位剤形は、約20μgの用量のエリスロポエチン、約200μgの用量のフィブロネクチンまたは約20μgの用量のエリスロポエチンおよび約200μgの用量のフィブロネクチンの両方を含む。追加して、本発明の教示にしたがった単位剤形は、約0.1~10μgの用量のエリスロポエチン、約10~100μgの用量のフィブロネクチンまたは約0.1~10μgの用量のエリスロポエチンおよび約10~100μgの用量のフィブロネクチンの両方を含む。
【0079】
製剤の単位用量中の活性化合物の量は、特定の用途にしたがって変化させられてよい、または調整されてよい。
【0080】
本発明の組成物(例えば、医薬組成物もしくは化粧組成物)は、局所的様式で、例えば、患者の組織領域(例えば、創傷)への組成物の直接的な投与によって適用することができる。組成物の好適な投与経路は、例えば、局所(例えば、皮膚、毛髪、爪、頭皮などの角質組織へ)および粘膜(例えば、口腔、膣、眼)投与を含む可能性がある。
【0081】
本発明の組成物は、さらに有効成分(例えば、EPOおよびFN)および生理学上許容される担体を含む組成物を注射する工程によって適用することもできる。局所投与のためには、組成物は創傷に、および/または創傷皮膚を取り囲む健常皮膚または両方に注射することができる。
【0082】
本発明の組成物は、当分野において周知のプロセスによって、例えば、従来型の混合、溶解、造粒、糖衣錠作成、研和、乳化、カプセル封入、封入または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
【0083】
有効成分は、さらに使用前に、好適なビヒクル、例えば、無菌のパイロジェン非含有水溶液を用いて構成するための粉末形にあってもよい。
【0084】
したがって、本発明にしたがって使用するための組成物は、有効成分の製剤への加工処理を促進する賦形剤および助剤を含む一種以上の生理学上許容される担体を使用して従来型方法で処方することができる。適正な製剤は、選択される投与アプローチに依存する。
【0085】
治療有効量の決定は、特に、本明細書に提供した詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内に明確に含まれる。
【0086】
本発明の方法に使用された任意の製剤については、(治療)有効量もしくは用量は、最初にin vitroアッセイから推定することができる。さらに、用量は、所望の濃度もしくは力価を達成するために組織培養系または動物モデルにおいて処方することができる。このような情報を使用すると、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
【0087】
本明細書に記載した有効成分の毒性および治療有効性は、in vitro、細胞培養または実験動物における標準医薬手法によって決定することができる。これらのin vitroおよび細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおいて使用するためのある範囲の用量を調整する際に使用できる。用量は、使用された剤形および利用された投与経路に依存して変動する可能性がある。正確な製剤、投与経路および用量は、患者の状態に照らして個々の医師が選択することができる。(例えば、Fingl,E.et al.(1975),‘‘The Pharmacological Basis of Therapeutics,’’、第一章、1頁を参照されたい)。
【0088】
状態(例えば、組織損傷、創傷もしくは虚血の面積、深さおよび程度)の重症度および組織の応答性に依存して、投与する工程は、単回投与であってよい、または数日間から数週間持続する治療の経過に伴って、または治癒が成立するか皮膚状態の減少が達成されるまで複数回の投与であってよい。好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも一日一回投与される。
【0089】
投与すべき組成物の量は、当然ながら、治療される被験者、苦痛の重症度、投与方法、処方医師の判断などに依存するであろう。
【0090】
本発明の組成物は、所望であれば、有効成分を含有する一つ以上の単位剤形を含有していてよいFDA承認キットなどのパックもしくはディスペンサー器具で提示されてよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属箔もしくはプラスチック箔を含む可能性がある。パックもしくはディスペンサー器具には投与のための取扱説明書が添付されてよい。パックもしくはディスペンサー器具には、さらに医薬品の製造、使用もしくは販売を規制する行政機関によって規定された書式での通知であって、ヒトもしくは獣医用投与のための組成物の形態の当局による承認を反映している通知が添付されてよい。このような通知は、例えば、処方薬または承認製品インサートについて米国食品医薬品局によって承認されたラベル表示を含む可能性がある。医薬上許容される担体中で処方された本発明の製剤を含む組成物は、適切な容器中に配置し、上記で詳細に説明したように指示した状態の治療についてラベル表示して調製されてよい。
【0091】
本発明の組成物はin vivoで利用されるので、組成物は好ましくは高純度で実質的に潜在的に有害な汚染物質を含まない、例えば、少なくとも国家食品(NF)等級、一般には少なくとも分析等級および好ましくは少なくとも医薬品等級である。所定の化合物が使用前に合成されなければならない限り、このような合成もしくはこの後の精製は、好ましくは、合成もしくは精製手順中に使用されている可能性があるあらゆる潜在的汚染毒性物質を実質的に含んでいない製品を生じさせなければならない。
【0092】
追加の因子は、本発明の組成物もしくはゲル(すなわち、本明細書で上記したエリスロポエチンおよびフィブロネクチン)に組み込むことができる。これらには、細胞外マトリックス成分(例えば、ビトロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン)、成長因子(例えば、FGF1、FGF2、IGF1、IGF2、PDGF、EGF、KGF、HGF、VEGF、SDF-1、GM-CSF、CSF、G-CSF、TGFα、TGFβ、NGFおよびECGF)、低酸素症誘導性因子(例えば、HIF-1αおよびβおよびHIF-2)、ホルモン(例えば、インスリン、成長ホルモン(GH)、CRH、レプチン、プロラクチンおよびTSH)、血管新生因子(例えば、アンジオゲニンおよびアンジオポエチン)、凝固および抗凝固因子[例えば、第I因子、第ΧIII因子、組織因子、カルシウム、vWF、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、フィブロネクチン、アンチトロンビン、ヘパリン、プラスミノーゲン、低分子量ヘパリン(Clixan)、高分子量キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI1)プラスミノーゲン活性化因子阻害剤2(ΡAI2)、ウロキナーゼ、トロンボモジュリン、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、α2-抗プラスミンおよびプロテインZ関連プロテアーゼ阻害剤(ZPI)]、サイトカイン(IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13およびINF-α、INF-βおよびINF-γ)、ケモカイン(例えば、MCP-1もしくはCCL2)、酵素(例えば、エンドグリコシダーゼ、エキソグリコシダーゼ、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、オキシダーゼ、デカルボキシラーゼ、ヒドラーゼ、コンドロイチナーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、ヒアルロニダーゼ、ケラタナーゼ、へパラナーゼ、ヘパラナーゼスプライス変異、コラゲナーゼ、トリプシン、カタラーゼ)、神経伝達物質(例えば、アセチルコリンおよびモノアミン)、神経ペプチド(例えば、サブスタンスP)、ビタミン類(例えば、D-ビオチン、塩化コリン、葉酸、ミオイノシトール、ナイアシンアミド、D-パントテン酸、カルシウム塩、塩酸ピリドキサール、塩酸ピリドキシン、リボフラビン、塩酸チアミン、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンB1~6、ビタミンK、ビタミンAおよびビタミンPP)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、マルトースおよびフルクトースを含む単糖/二糖/多糖)、イオン、キレート剤(例えば、Feキレート剤、Caキレート剤)、酸化防止剤(例えば、ビタミンE、クエルセチン(Quarcetin)、スーパーオキシドスカベンジャー、スーパーオキシドジスムターゼ)、Hスカベンジャー、フリーラジカルスカベンジャー、Feスカベンジャー)、脂肪酸(例えば、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、遊離脂肪酸および非遊離脂肪酸、脂肪族アルコール、リノール酸、オレイン酸およびリポ酸)、抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリンおよびテトラサイクリン)、鎮痛剤、麻酔薬、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、プロバイオティクス剤、抗原虫薬、痒み止め薬、抗皮膚炎薬、制吐薬、抗炎症薬、抗角化症薬、制汗剤、抗乾癬薬、抗脂漏薬、抗ヒスタミン剤、アミノ酸(例えば、必須および非必須(A~Z)、詳細にはグルタミンおよびアルギニン)、塩類(例えば、ピルビン酸(prurivat salt)および硫酸塩)、硫酸エステル(例えば、硫酸カルシウム)、ステロイド(例えば、アンドロゲン、エストロゲン、黄体ホルモン、グルココルチコイドおよび鉱質コルチコイド)、カテコールアミン(例えば、エピネフリンおよびノルエピネフリン)、ヌクレオシドおよびヌクレオチド(例えば、プリンおよびピリミジン)、プロスタグランジン(例えば、プロスタグランジンE2)、ロイコトリエン、エリスロポエチン(例えば、トロンボポエチン)、プロテオグリカン(例えば、硫酸ヘパラン、硫酸ケラタン)、ヒドロキシアパタイト[例えば、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))]、ハプトグロビン(Hp1-1、Hp2-2およびHp1-2)、スーパーオキシドジスムターゼ(例えば、SOD1/2/3)、一酸化窒素、一酸化窒素供与体(例えば、ニトロプルシド、Sigma Aldrich(米国ミズーリ州セントルイス)、グルタチオンペルオキシダーゼ、水和化合物(例えば、バソプレッシン)、細胞(例えば、血小板)、細胞培地(例えば、M199、DMEM/F12、RPMI、Iscovs)、血清(例えば、ヒト血清、ウシ胎仔血清、ウシ胎児血清)、バッファー(例えば、HEPES、重炭酸ナトリウム)、洗剤(例えば、Tween)、消毒剤、ハーブ、果実抽出物、野菜抽出物(例えば、キャベツ、キュウリ)、花抽出物、植物抽出物、フラビノイド(例えば、ザクロジュース)、スパイス、葉(例えば、緑茶、カモミール)、ポリフェノール(例えば、赤ワイン)、ハチミツ、レクチン、微粒子、ナノ粒子(リポソーム)、ミセル、炭酸カルシウム(CaCO、例えば、沈降炭酸カルシウム、重質/粉末状炭酸カルシウム、Albacar、PCC、GCC)、カルサイト、石灰岩、粉砕大理石、粉砕石灰岩、石灰、チョーク(例えば、白亜、シャンパンチョーク、フレンチチョーク)およびBH4(テトラヒドロビオブテリン)などの補因子が含まれるがそれらに限定されない。
【0093】
組成物は、さらに、水素、アルキル基、アリール基、ハロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、カルボアミド基、スルホンアミド基、アミノアシル基、アミド基、アミン基、ニトロ基、有機セレニウム化合物、炭化水素および環状炭化水素を含有する成分、物質、要素および材料もまた含有する可能性がある。
【0094】
組成物は、例えば、過酸化ベンゾール、血管収縮薬、血管拡張薬、サリチル酸、レチノイン酸、アゼライン酸、乳酸、グリコール酸、ピルビン酸(pyreuric acid)、タンニン、ベンジリデンカンファー(benzlidenecamphor)およびそれらの誘導体、αヒドロキシリス、界面活性剤などの物質と結合することができる。
【0095】
本発明の一部の実施形態の組成物は、それらの生物学的活性を維持してそれらの半減期を延長しながら、有効成分(すなわち、本発明のEPOおよび/またはFN組成物)の安定性(例えば、プロテアーゼ活性に対して)および/または溶解度(例えば、血液、消化液などの生体液内)を維持するポリエチレングリコール(例えば、PEG、SE-PEG)にバイオコンジュゲートさせることができる。
【0096】
本明細書に開示した医薬上有効量の物質に加えて、本発明のこの態様の組成物もまた、皮膚学上許容される担体をさらに含む。
【0097】
語句「皮膚学上許容される担体」は、皮膚、すなわち角質組織上への局所塗布のために好適である、優れた審美的特性を有する、本発明の活性物質および任意の他の成分と適合する、および、哺乳動物において使用するために安全で非毒性である担体を意味する。
【0098】
有効成分(例えば、本発明のエリスロポエチンおよび/またはフィブロネクチン)の経皮吸収を強化するために、組成物にジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン、アルコール、アセトン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールを含むがそれらに限定されない多数の作用物質の一つ以上を添加することができる。
【0099】
本発明の組成物において利用される担体は、広汎な形態にあってよい。これらには、水中油型、油中水型、水中油中水型および水中シリコーン中油型エマルジョン、クリーム、軟膏、水溶液、ローション、石鹸、ペースト、エマルジョン、ゲル、スプレーまたはエーロゾルを含むがそれらに限定されないエマルジョン担体が含まれる。当業者であれば理解できるように、特定の成分は、組成物中の成分の水溶性/分散性に依存して、主として水相もしくは油/シリコーン相のいずれかに分散するであろう。
【0100】
本発明によるエマルジョンは、一般に、本明細書に開示した医薬有効量の作用物質および脂質もしくは油を含有している。脂質および油は、動物、植物もしくは石油に由来してよく、天然または合成(すなわち、人工)であってよい。好適な乳化剤の例は、例えば、それぞれが本明細書に全体として参照により組み込まれる、1973年8月28日にDickertらへ発行された米国特許第3,755,560号明細書;1983年12月20日にDixonらへ発行された米国特許第4,421,769号明細書:およびMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、北米版、317-324頁(1986)に記載されている。
【0101】
エマルジョンは、さらに角質組織上に塗布後の泡立ちを最小限に抑えるための消泡剤を含有することができる。消泡剤には、高分子量シリコーンおよびこのような使用のために当分野において周知である他の物質が含まれる。
【0102】
好適なエマルジョンは、所望の製品形態に依存して、広範囲の粘度を有することができる。
【0103】
水中油型エマルジョンを含む好適な担体の例については、それぞれが全体として参照により完全に組み込まれる1991年12月17日に発行されたTurner,D.J.et alへの米国特許第5,073,371号明細書および1991年12月17日に発行されたTurner,D.J.et alへの米国特許第5,073,372号明細書に記載されている。構造化剤(structuring agent)、親水性界面活性剤および水を含有する特に好ましい水中油型エマルジョンについては、以下で詳細に記載する。
【0104】
好ましい水中油型エマルジョンは、結晶ゲル網目構造の形成を支援するための構造化剤を含む。理論によって限定されなくても、構造化剤は、組成物の安定性に寄与する組成物に流動学的特性を提供することを支援すると考えられる。構造化剤は、さらに乳化剤もしくは界面活性剤として機能することができる。
【0105】
本明細書では広範囲のアニオン性界面活性剤もまた有用である。例えば、参照によりこの全体として本明細書に完全に組み込まれる、1975年12月30日に発行されたLaughlinらへの米国特許第3,929,678号明細書を参照されたい。さらに、両性および両性イオン性界面活性剤もまた本明細書では有用である。
【0106】
本発明の組成物は、下記に記載するような液剤、ローション剤、スプレー剤、クリーム剤、軟膏(ointments)、軟膏(salves)、ゲル剤、油剤、洗浄液などを含む皮膚適用のために製薬業によって利用された様々な形態のいずれかで処方することができる。
【0107】
本発明の組成物は、治療された皮膚領域上に残留するために十分な粘性で処方することができ、容易に蒸発しない、および/または水で容易に洗い流すことができないが、石鹸、クレンザーおよび/またはシャンプーを用いると除去できる。
【0108】
このような特性を有する組成物を調製するための方法は、当業者には周知であり、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1990(上記);およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第六版、Williams & Wilkins(1995)の中で詳述されている。
【0109】
ローション剤およびクリーム剤を含むがそれらに限定されない本発明の局所組成物は、皮膚学上許容される皮膚軟化剤を含む可能性がある。本明細書で使用する用語「皮膚軟化剤」は、皮膚の乾燥の予防もしくは緩和ならびに保護のために有用な物質を意味する。多種多様な好適な皮膚軟化剤は公知であり、本明細書で使用できる。例えば、皮膚軟化剤として好適な物質の数多くの例を含有しており、参照により本明細書に完全に組み込まれるSagarin,Cosmetics,Science and Technology、第二版、第一巻、3243頁(1972)を参照されたい。好ましい皮膚軟化剤は、グリセリンである。
【0110】
本発明によるローション剤およびクリーム剤は、一般には液剤担体系および一種以上の皮膚軟化剤を含む。
【0111】
本発明の局所塗布される組成物は、さらに、例えば、香料および皮膚栄養因子を備える組成物を濃縮するために添加される追加の成分をさらに含む可能性がある。
【0112】
着実な医学的判断の範囲内で毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを誘発することなくヒト角質組織上に使用するために好適な成分が選択される。さらに、このような任意選択的成分は、それらが本発明の活性化合物の利点を許容できないほど変化させないことを前提に有用である。
【0113】
The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第二版(1992)は、本発明の組成物において使用するために好適である、スキンケア産業において一般に使用される広範囲の非限定的な化粧用成分について記載している。これらの成分クラスの例としては、研磨剤、吸収剤、審美的成分、例えば香料、顔料、カラーリング剤/着色剤、精油、皮膚温感剤、収斂剤など(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、ウィッチヘーゼル蒸留液)、抗座瘡剤、凝固防止剤、消泡剤、抗菌物質(例えば、ヨードプロピルカルバミン酸ブチル)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学的添加物、着色剤、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物用収斂剤、外用鎮痛剤、フィルム形成剤もしくはフィルム材料、例えば、フィルム形成特性および組成物の直接性を援助するためのポリマー(例えば、エイコセンとビニルピロリドンとのコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、封鎖剤、皮膚コンディショニング剤(例えば、混合型および密封型を含む湿潤剤)、皮膚平滑剤および/または治癒剤(例えば、パンテノールおよび/または誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエ・ベラ、パントテン酸および誘導体、アラントイン、ビサボロールおよびグリチルリジン酸(glycyffhizinate)二ナトリウム)、皮膚治療剤、増粘剤ならびにビタミン類およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0114】
本発明の組成物は、皮膚に直接塗布することができる。または、本発明の組成物は、例えば徐放性様式で皮膚内に組成物を放出する経皮パッチなどの、当分野において公知である様々な経皮薬物送達系による通常の皮膚塗布によって送達することができる。当分野において公知の他の薬物送達系には、加圧エアロゾルボトル、イオントフォレーシスもしくはソノフォレーシスが含まれる。イオントフォレーシスは、皮膚透過性を増加させて経皮送達を促進するために使用される。米国特許第5,667,487号明細書および同第5,658,247号明細書は、皮膚を越えた治療薬の超音波-イオン導入法媒介性輸送のために好適なイオン音波装置を開示している。または、もしくは加えて、リポソームもしくはミセルもまた送達ビヒクルとして使用することができる。
【0115】
創傷および虚血は頭皮に関与する可能性があるので、本発明の組成物にはさらに、頭皮および毛髪上で使用するために好適である皮膚軟化剤、界面活性剤および/またはコンディショナーが含まれる。
【0116】
皮膚軟化剤には、炭化水素油およびワックス、例えば鉱油、石油など、植物油および動物油および脂肪、例えばオリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、コーン油、大豆油など、ならびに、ラノリンおよび誘導体、例えばラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコールなどが含まれるがそれらに限定されない。他の皮膚軟化剤には、例えばミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸などの10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のエステル、例えばミリスチン酸メチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸ブチル、ステアリン酸プロピル、イソステアリン酸プロピル、パルミチン酸プロピルなどが含まれる。他の皮膚軟化剤には、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸などを含む、10~20個の炭素原子を有する脂肪酸が含まれる。皮膚軟化剤には、さらに、例えばセチル、ミリスチル、ラウリル、イソステアリル、ステアリルなどの10~20個の炭素原子を有する脂肪族アルコールが含まれる。
【0117】
乳化剤/界面活性剤は、好ましくは毛髪上に使用するために本発明の組成物を処方する場合に利用される。
【0118】
界面活性剤の例としては、親水性酸化アルキレン、酸化ポリエチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化ポリエチレンもしくはポリエチレングリコールとの縮合のために利用できる遊離反応性水素を有する疎水性アルキル、アルケンもしくはアルキル芳香族官能基の酸化ポリオキシアルキレン縮合生成物が挙げられるがそれらに限定されない。特に効果的であるのは、オクチルフェノールとRohm & Haas Companyによって商標名TRITON(登録商標) 100シリーズ製品の下で販売される約7~約13モルの酸化エチレンとの縮合生成物である。
【0119】
例えば香料、安定剤、色素、抗微生物剤、抗菌剤、抗凝集剤、紫外線吸収剤などの他の成分もまた、実施形態の組成物中に含まれる。
【0120】
エトキシル化モノクアットと一緒に少なくとも一つの第四級アンモニウム部分を有するシリコーン化合物などの酸加水分解に対して安定性であるコンディショナー剤は、さらにまた実施形態の組成物を安定化および任意選択的に増粘するために利用される。
【0121】
本発明の組成物を乳白化するために使用できる材料には、脂肪酸エステル、乳白化ポリマー、例えばMorton,International,Inc.からのOPACIFIER 653(商標)のようなスチレンポリマー、および、脂肪族アルコールが含まれる。下記のセチルアルコール;ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、および、アラキジルアルコールは、脂肪族アルコールの非限定的リストである。透明ではない本発明のコンディショニング組成物は、さらにLexamine S-13、塩化ジセチルアンモニウムおよびセテアレス-20を含む可能性がある。
【0122】
特定の実施形態では、エリスロポエチンおよびフィブロネクチン製剤は、約10~30μg/mLのエリスロポエチンおよび約100~300μg/mLのフィブロネクチン、約0.20%のメチルパラベン、約9%のラウレスおよびイソパラフィンおよびポリアクリルアミド、約12%の脱イオン水ならびに100%までのリン酸緩衝液を含んでいる。
【0123】
さらに別の実施形態では、エリスロポエチンおよびフィブロネクチン製剤は、エリスロポエチン(EPO)(5重量/重量%)、フィブロネクチン(FN)(30重量/重量%)、グリセロール(5重量/重量%)、carbomer 940(1重量/重量%)、ベンジルアルコール(BA)(2重量/重量%)、トリエタノールアミン(0.9重量/重量%)、メチルパラベン(0.2重量/重量%)、プロピルパラベン(PP)(0.05重量/重量%)および水(100重量/重量%まで)を含む。
【0124】
さらに他の実施形態では、エリスロポエチンおよびフィブロネクチン製剤もしくは組成物は、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のエリスロポエチン、0.01重量/重量%~50重量/重量%の任意の数値の濃度のフィブロネクチン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のグリセロール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のカルボマー940、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のベンジルアルコール、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のトリエタノールアミン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のメチルパラベン、0.01重量/重量%~30重量/重量%の任意の数値の濃度のプロピルパラベンおよび0.01重量/重量%~100重量/重量%の任意の数値の濃度の水を含む。
【0125】
したがって、本発明の実施形態は、血管新生および創傷治癒のための局所組成物を含む。
【0126】
本発明の組成物が例えば光線療法(例えば、National Biological Corp.(オハイオ州ビーチウッド)による創傷ケア用のDermanwand(商標))および超音波療法(例えば、米国特許第6,960,173号明細書を参照されたい)などであるがそれらに限定されない他の現在実践されている療法と組み合わせて使用できることは理解されるであろう。
【0127】
本出願から発達して特許権の存続期間中には、多数の関連エリスロポエチンおよびフィブロネクチン組成物が開発され、用語「エリスロポエチンおよびフィブロネクチン組成物」の範囲はこのような新規なテクノロジー全てを先験的に含むことが意図されることは予測される。
【0128】
本明細書で使用する用語「約」は、±10%を意味する。
【0129】
エリスロポエチンおよびフィブロネクチンの組成物および製剤は、どちらの内容も全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2014/0154205(Al)号明細書(「治療および美容用途のためのエリスロポエチンおよびフィブロネクチン組成物」)および米国特許出願第2010/0310626(Al)号明細書(「骨再生のためのエリスロポエチンおよびフィブロネクチン組成物」)に記載されている。
【実施例
【0130】
III.実施例
下記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を例証するために含まれる。当業者であれば、下記に示す実施例に開示した技術は、本発明の実践において明確に機能するために実践のために好ましい様式を構成すると見なすことができる本発明者によって見いだされた技術を表すと理解すべきである。しかし、当業者であれば、本開示に照らせば、本明細書に開示した、およびさらに本発明の精神および範囲から逸脱せずに同様もしくは類似の結果を得るために特定の実施形態において多数の変化を加えられることを理解すべきである。
【0131】
実施例1
四頭のブタ、DMを備える二頭のブタおよび二頭のコントロールブタが14日間の試験期間を完了した。二頭の糖尿病性ブタは二頭のコントロールブタよりも有意に高い血糖およびグリコシル化ヘモグロビン(HbAlc)レベルならびに低い体重を有していた。ビヒクル含有、FN含有、EPO含有およびEPO/FN含有ゲルを用いた熱傷の局所治療は、(a)糖尿病性ブタにおける赤血球数、白血球数もしくは血小板数ならびに上昇した血糖レベルおよび(b)コントロールおよび糖尿病性ブタにおける血中ヘモグロビンおよびHbAlcレベルを変化させなかった(表1)。
【0132】
【表1】
【0133】
局所的EPOは、用量依存法で創傷閉鎖を促進して糖尿病性創傷の再生皮膚中への血流量を増加させる。
この作用は、FNによって強化される。EPO治療、FN治療およびEPO/FN治療糖尿病性創傷は、ビヒクル治療糖尿病性創傷より速く閉鎖した。創傷閉鎖率における最も有意な差は、第4日以降のビヒクル治療とEPO/FN治療糖尿病性創傷との間で検出された。第4日以降では、EPO/FN治療創傷の創傷閉鎖率はFN治療およびEPO治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率より有意に速かった。第9日以降では、EPO治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率はFN治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率より速かった(図1A)。
【0134】
ビヒクル治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率は、ビヒクル治療健常創傷の創傷閉鎖率より有意に緩徐であった。EPO治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率は、用量依存性であった。高用量EPO治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率は、低用量EPO治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率より有意に速かった。さらに、低用量EPO治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率は、ビヒクル治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率より有意に速かった(図1B)。
【0135】
ビヒクル治療糖尿病性創傷における血流量は、第2日以降のビヒクル治療非糖尿病性創傷における血流量より少なかった。さらにまた、EPO治療糖尿病性創傷における血流量はEPO/FN治療糖尿病性創傷の血流量と有意には相違しなかった、および、ビヒクル治療およびFN治療糖尿病性創傷における血流量より有意に高かったこともまた見いだされた(図1C;右側のパネル)。高用量EPO治療糖尿病性創傷における血流量は、第4日以降のビヒクル治療糖尿病性創傷における血流量および第7日以降の低用量EPO治療糖尿病性創傷における血流量より有意に高かった。低用量EPO治療糖尿病性創傷における血流量は、第9日以降のビヒクル治療糖尿病性創傷における血流量より有意に高かった(図1D;右側のパネル)。
【0136】
局所FNは、非糖尿病性創傷の再生皮膚内での創傷閉鎖率および血流量には影響を及ぼさない。
健常ブタのビヒクル治療およびFN治療創傷の創傷閉鎖率および血流量は、極めて類似であった。第4日以降、EPO治療非糖尿病性創傷の創傷閉鎖率および血流量は、ビヒクル治療およびFN治療非糖尿病性創傷の創傷閉鎖率および血流量より有意に高かった。興味深いことに、創傷閉鎖率および血流量における最も有意な差は、第4日~第11日の期間にわたる健常ブタにおけるEPO/FN治療創傷およびビヒクル治療間、およびFN治療およびEPO治療創傷間で検出された(図2A&2B)。
【0137】
局所EPOは、糖尿病性創傷の再生皮膚内での微小血管密度(MVD)およびeNOS発現レベルを増加させ、FNはこれらの作用を強化する。
ビヒクル治療糖尿病性創傷におけるMVDおよびeNOS発現レベルは、14日後のビヒクル治療非糖尿病性創傷におけるMVDおよびeNOS発現レベルより低かった(図3A~E)。14間にわたる局所FN治療は、糖尿病性および非糖尿病性創傷におけるMVDおよびeNOS発現レベルに作用を及ぼさなかった(図3B~E)。他方、14日間にわたる局所EPO治療は、糖尿病性および非糖尿病性創傷におけるMVDおよびeNOS発現レベルを有意に増加させる(図3B~E)。EPO治療非糖尿病性創傷においては、MVDおよびeNOS発現レベルはEPO治療非糖尿病性創傷におけるMVDおよびeNOS発現レベルとは有意に相違しなかった(図3B&3D)。これとは対照的に、EPO/FN治療糖尿病性創傷のMVDおよびeNOS発現レベルは、EPO治療糖尿病性創傷におけるMVDおよびeNOS発現レベルより有意に高かった(図3C&3E)。
【0138】
局所EPOは、糖尿病性創傷の再生皮膚内でのコラーゲン沈着および(HA)合成を増加させ、FNはこの作用を強化する。
ビヒクル治療糖尿病性創傷におけるヒドロキシプロピン(HP)およびHAの量ならびに二種のHAシンターゼであるHAS1およびHAS2の発現レベルは、14日後のビヒクル治療非糖尿病性創傷におけるより低かった(図4A~G)。14間にわたる局所FN治療は、糖尿病性および非糖尿病性創傷におけるHPおよびHA量ならびにHAS1およびHAS2の発現レベルを変化させなかった(図4B~G)。他方、14日間にわたる局所EPO治療は、糖尿病性および非糖尿病性創傷におけるHPおよびHA量ならびにHAS1およびHAS2の発現レベルを有意に増加させた(図4B~G)。EPO/FN治療非糖尿病性および糖尿病性創傷におけるHP量は、それぞれEPO治療非糖尿病性および糖尿病性創傷におけるHP量よりも有意に高かった(図4A~C)。EPO/FN治療非糖尿病性創傷のHA量ならびにHAS1およびHAS2発現レベルは、EPO治療非糖尿病性創傷のHA量ならびにHAS1およびHAS2発現レベルと極めて類似であった(図4D&4F)。これとは対照的に、EPO/FN治療糖尿病性創傷内のHA量ならびにHAS1およびHAS2S発現レベルは、EPO治療糖尿病性創傷におけるHA量ならびにHAS1およびHAS2発現レベルより有意に高かった(図4E&4G)。
【0139】
AQP3発現は、創傷のない糖尿病性皮膚では減少する。
創傷のない糖尿病性ブタの皮膚内のAQP3発現レベルは、創傷のない健常ブタの皮膚におけるより低かった(図5A~D)。創傷のない糖尿病性ブタの皮膚内のAQP3プロテイン発現レベルは、創傷のない健常ブタの皮膚におけるより有意に低かった(p<0.01)(図5E&G)。この結果は、さらにAQP3 mRNA発現レベルにおいても反映されている。創傷のない糖尿病性皮膚内のAQP3 mRNA発現レベルは、創傷のない健常ブタの皮膚におけるAQP3 mRNA発現レベルより有意に低かった(p<0.01)(図5F)。
【0140】
局所EPOは、糖尿病性創傷の再生皮膚内でのAQP3発現を刺激し、FNはこの作用を強化する。
14日後、ビヒクル治療糖尿病性創傷におけるAQP3タンパク質およびmRNA発現レベルは、ビヒクル治療非糖尿病性創傷におけるAQP3タンパク質およびmRNA発現レベルより有意に低かった(図6A~H)。糖尿病性およびコントロールブタでは、(a)EPO治療創傷におけるAQP3タンパク質およびmRNA発現はビヒクル治療およびFN治療創傷のAQP3タンパク質およびmRNA発現より有意に高く、(b)EPO/FN治療創傷はEPO治療創傷のAQP3タンパク質およびmRNA発現より有意に高く、および(c)ビヒクル治療およびFN治療創傷は相互に相違しなかった(図6A~6H)。
【0141】
AQP3タンパク質発現は、糖尿病性熱傷創の再生皮膚内の血管新生の程度ならびにHPおよびHAの量と正相関する。
ピアソンの相関関係を使用して、健常ブタおよび糖尿病性ブタの熱傷創内のAQP3タンパク質発現レベル、血管新生の程度ならびにHPおよびHA量間の相関関係を調査した。糖尿病性ブタおよび健常ブタにおいて、AQP3タンパク質発現レベルは、血管新生の程度(図7A&7B)、HP量(図7C&7D)およびHA量(図7E&7f)と正相関していた。興味深いことに、これらの相関は、糖尿病性ブタの熱傷創の再生皮膚内では健常ブタの熱傷創の再生皮膚内で見いだされる相関よりも有意に強度であった。
【0142】
AQP3阻害は、糖尿病性熱傷創における創傷閉鎖率、血管新生の程度ならびにHPおよびHA量に局所的EPOが及ぼす作用を減少させる。
AQP3活性がHgClによって遮断されると、EPO/HgCl治療糖尿病性創傷の創傷閉鎖率が有意に減少した(図8A)。創傷閉鎖率におけるこの減少には、減少した血流量(図8B)、低いeNOS発現レベル(図8C)、低いHAS1およびHAS2発現レベル(図8C)、血管新生の低い程度(図8D)、減少したHP量(図8E)および減少したHA量(図8F)が付随した。さらに、EPO/HgCl治療糖尿病性創傷における創傷閉鎖率、eNOS、HAS1およびHAS2の発現レベル、HPおよびHAの量は、EPO治療糖尿病性創傷におけるより有意に低かった。
【0143】
高グルコースはヒト皮膚に由来する角化細胞および線維芽細胞内でのAQP3発現をダウンレギュレートするが、この作用はEPOによって遮断される。
5日間にわたり高グルコース(HG)レベルに曝露させたHEKCおよびNHFCの増殖率は、正常グルコース(NG)レベルに曝露させられた細胞の増殖率より低かった(図9A&9B)。HG曝露細胞内でのAQP3発現レベルは、NG曝露細胞におけるAQP3発現レベルより相当に低かった(図9C&9D)。EPO治療は、5日間にわたりHGにおいてインキュベートした細胞の正常AQP3発現レベルおよび増殖率を回復させた。
【0144】
方法
1型DMのブタモデル。
本試験は、Lahav Institute of Animal Research Institute(イスラエル国Kibbutz Lahav)から購入された四頭の体重60kgの健常雌性ブタ(Sus domesticus)を含んでいた。ブタは、ブタにおける皮膚創傷治癒がヒトの皮膚創傷治癒と類似であるために、この調査のための実験動物として選択された(Sullivan,2001)。ブタは、一定の温度範囲(24±2℃)および相対湿度(55±10%)で12時間の人工明暗周期を備える室内の囲い内に一頭ずつ収容した。ブタを試験前の1週間にわたり順化させ、標準実験動物用飼料および水を自由に摂取させた。ブタの維持管理および福祉は、(a)‘‘Guide for the Care and Use of Laboratory Animals’’、第七版、National Academies Press(米国ワシントンDC)に描出されている動物の福祉および人道的な動物治療に関するガイドラインならびに(b)実験および他の科学的目的についての動物の使用に関するイスラエル国の法令にしたがったTechnionガイドラインを順守していた。
【0145】
DMの誘導、熱傷創の作製、創傷治療、ドレッシングの交換およびデータ収集は、固定化せずに意識のあるブタの創傷の清浄化、治療および包帯貼付が極めて困難であるために、全身麻酔下で実施した。全身麻酔は、プロポフォールの静脈内投与(5mg/kg)を使用して誘導し、次に気管内挿管後に2:1の酸素/一酸化窒素混合液中の5%のイソフルランを使用して維持した。二頭のブタにおける調査中の血液採取およびDM誘導中の流体の注入のために、静脈内カテーテルを四頭のブタにおける全身麻酔下で右頸静脈内に永久的に配置した。麻酔をかけたブタの心拍数および血中酸素飽和度は、非侵襲性耳酸素測定法を使用して監視し、ブタの体温はデジタル式直腸体温計を使用して監視した。全手技後、ブタは手術台上で麻酔から回復するに任せ、抜管し、次にブタの囲いに戻した。実験最終日である第14日に、ブタはデータおよび検体収集のために麻酔を施し、次にKCl(2mmol/kg;40mL)および過量のイソフルラン(5%)の静脈内注射によって人道的に殺めた。
【0146】
DMは、以前に記載されたプロトコール(Hara,2008)にしたがってブタ二頭において誘導した。手短には、ブタは一晩絶食させ、次にストレプトゾトシン(STZ;Alexis Biochemicals(米国カリフォルニア州サンディエゴ)の投与前1時間にわたり0.9%のNaCl(10mL/kg/時)を静脈内投与することで水和させた。STZ(200mg/kg)を0.9%のNaCl中に溶解させ、1分間かけて植込み静脈内カニューレを通して静脈内投与した。血糖レベルは、グルコメーターを使用してSTZ投与後6時間にわたり15分毎にチェックした(FreeStyle FREEDOM Lite,Abbot Diabetes Care Inc.(米国カリフォルニア州アラメダ)。膵β細胞の急性STZ誘導性損傷によって誘発される可能性がある重症低血糖を回避するために、グルコース(水100mL中に溶解させた50g)をSTZ投与後初期2時間中に継続的もしくは間欠的いずれかで静脈内注入した。血糖値は、試験期間中に血糖計によって少なくとも毎日二回チェックした。DMの誘導は、血糖値がSTZ投与の6時間後に300mg/dL以上であり、14日間の試験期間の継続中に持続した場合に成功であると見なされた。300~400mg/dLの糖尿病性ブタの絶食時血糖値を維持するために、長時間作用型インスリン(24IU Lantus;Aventis Pharmaceuticals(米国ミズーリ州カンザスシティー)を静脈内注射した。
【0147】
中間層皮膚熱傷創の作製
DMは、中間層皮膚熱傷創が麻酔下で作製される前の一カ月間維持された。麻酔を施したら、VEET脱毛クリーム(Reckitt Benckiser plc(英国バークシャー州スラウ)を使用して、各ブタの脊柱の両側上の背面皮膚の剛毛を除去した。次に無菌技術を使用して、皮膚を水で浄化して組織を乾燥させ、この後にブタの清浄な背面皮膚上に12cmの環状中間層皮膚熱傷創を作製した。熱傷創は、以前に記載された方法(Davis,1990)を使用して作製した。手短には、それぞれが約2.25cmの径および重量358gを備える四本の真ちゅう製の円筒形棒を2分間にわたり温水(92℃)中に配置した。4群の六カ所の中間層熱傷創は、追加の圧力を加えずに20秒間にわたり麻酔を施した各ブタの背面皮膚上に棒を垂直に配置することによって作製した。二頭の糖尿病性ブタにおいて、六カ所の中間層熱傷創の一つの追加群を作製した。皮膚に加熱した棒を適用する前に、水滴が蒸発することから皮膚上の蒸気による熱傷創の作製を防止するために、棒を拭いて乾かした。
【0148】
局所創傷治療のためのEPO製剤
局所創傷治療のための六種のゲルは、米合衆国薬局方に規定の勧告にしたがってRemedor Biomed laboratoryにおいて調製された:(a)有効成分を全く含有していなかったゲル(ビヒクルゲル)、(b)2,000IU/gのEPO(高用量EPO)を含有していたゲル、(c)500IU/gのEPO(低用量EPO)を含有していたゲル、(d)300μg/gのFNを含有していたゲル、(e)2,000IU/gのEPOおよび300μg/gのFNを含有していたゲル、ならびに(f)0.1mMのHgClおよび2,000IU/gのEPOを含有していたゲル。組換えヒトEPOは、注射液(EPREX(登録商標)、40,000IU(Janssen Cilag Bucks(英国))として購入された。FNは、lmg/mL溶液(EMD Millipore(米国マサチューセッツ州ビルリカ))として購入された。HgCl(0.lmM)は、創傷内の皮膚AQP3活性を遮断するために2,000IU/gのEPOを含有し、Sigma(Sigma-Aldrich(米国))から購入されたゲル内に組み込まれた(陰性コントロール)。ゲルの安定性試験の結果は、EPOおよびFNが、ELISAによって決定されたように、4℃で少なくとも3カ月間にわたりゲル内で安定性であることを確証した。
【0149】
【表2】
【0150】
製剤の調製方法
製剤は、下記のように調製した。
1.メチルパラベン(MP)およびプロピルパラベン(PP)をガラス製ビーカー内に測り入れ、グリセロールおよびベンジルアルコール(BA)中に溶解させた。
2.1/3バッチサイズのWFIを加え、加熱プレートおよび上方ミキサーを使用して60℃で30分間撹拌した。
3.混合物を撹拌しながら30℃へ冷却した。
4.加熱せずに撹拌しながら必要量のカルボマー940をゆっくりと加えた。
5.混合物にEPOを加え、10分間混合した。
6.混合物にFNを加え、10分間混合した。
7.十分量のトリエタノールアミンを添加することによってpHを6.5±0.3に調整した。
8.必要な重量を得るために十分量のWFIを加えた。
9.室温で30分間混合した。
【0151】
【表3】
【0152】
調製方法
調製すべき総量のために必要とされる各成分の量。各成分は正確に計量した。メチルパラベンおよびプロピルパラベンの総量をグリセリンおよびベンジルアルコールと混合した。混合物に約40gの水を加え、混合液を30分間にわたり60℃までしっかりと混合した。Carbopol 940pを迅速に撹拌した混合物上に緩徐にまき散らし、30℃でしっかりと混合した。次に混合物へEPOの全部を加えて10分間にわたりしっかりと混合した。次に混合物へFNを加え、10分間にわたりしっかりと混合した。混合物に十分なトリエタノールアミンを加え、次に所望の粘度が得られるまで混合し、この後に混合物中にCarbopol 940pの塊が全くないことを確認した。総量が100gになるまで十分な水を加え、混合物をしっかりと混合した。次にゲルを各1gのエッペンドルフバイアル中に充填した。バイアルには次にバッチ番号、調製日および保管条件をラベル表示した。30gのゲルのサンプルは、安定性および微生物学試験のために採取し、次のように配分した。a.Elisa試験のために4℃で20g、b.微生物学試験のために4℃で10g。
【0153】
様々な局所EPO製剤を用いた創傷の治療
六カ所の中間層熱傷創の各群を下記の局所ゲル:ビヒクル含有ゲル、高用量EPO含有ゲル、FN含有ゲルおよびEPO/FN含有ゲルの一つで治療するように無作為割り付けした。一頭の糖尿病性ブタにおける熱傷創の追加の群は、EPO/HgCl含有ゲルで治療し、二頭目の糖尿病性ブタにおける熱傷創の追加の群は、低用量EPO含有ゲル(低用量EPO)を用いて治療した。ゲル(3g)は、14日間の試験期間の2日毎に各創傷に局所塗布した。摩擦による塗布後のゲルの除去を防止し、治療間の熱傷創を保護するために、治療創傷は非接着性ガーゼパッドを用いて被覆し、これらはTensoplast弾性接着性包帯法(Smith & Nephew(英国ロンドン)によって安定化した。術後鎮痛薬および抗生物質は、これらの薬物が治癒プロセスに影響を及ぼし、それによってデータの解釈を混乱させる可能性があるので、投与しなかった。
【0154】
試験パラメーター
各ブタの体重は、14日間の試験期間の開始時および終了時ならびに試験期間中に計量した。各治療日に、各創傷は12メガピクセルのデジタルカメラ(Olympus,Styles Tough(日本国東京))を使用して写真撮影し、血液サンプルは、赤血球数、白血球数および血小板数ならびに血漿ヘモグロビンおよびHbAlcレベルを決定するために採取した。ビヒクル治療および治療創傷の再生皮膚および糖尿病性ブタおよび非糖尿病性ブタの非損傷皮膚の無作為選択領域からのパンチ生検は、6mmのサーキュラーブレードを使用して第2日、第7日および第14日に採取した。各生検材料のサンプルは、MVDの組織学的決定のための10%の中性緩衝ホルマリン中で直ちに固定し(詳細については下記を参照されたい)、免疫組織化学、ウェスタンブロット分析、ELISAおよびPCRを使用するタンパク質レベルの決定(詳細については下記を参照されたい)のために液体窒素中に貯蔵した。
【0155】
創傷閉鎖率の決定
創傷閉鎖率は、熱傷創内の再上皮化組織の領域から計算した。閉鎖率を計算するために、各熱傷創の領域は、三つの領域:(a)やけどした皮膚が熱傷の作成後に剛性外皮となる痂皮領域、(b)痂皮を剥離できるが上皮細胞を有していない赤色領域および(c)痂皮を剥離できて新規な上皮細胞を含有する白色領域に分類した。創傷閉鎖率は、創傷を治療して包帯を交換した第2日、第4日、第7日、第9日、第11日および第14日に白色領域を測定することによって計算した。このために、各創傷の上方に透明紙を配置し、白色領域の形状を紙上に描出した。透明紙は次に、創傷内の白色領域を測定するために1mmの方眼紙上に載せた。白色率のサイズにおける時間依存性変化は、次の式を使用して計算した。
【0156】
白色領域(創傷閉鎖)率(%)=第X日の白色領域/第0日の白色領域×100
【0157】
白色領域の全測定値は、治療様式について遮蔽された三人の検査官によって作製された。
【0158】
熱傷創内の血流量の決定
創傷内の血流量は、14日間の試験期間の開始時および終了時ならびに試験期間中に、レーザードップラー潅流イメージングシステム(PeriScan PIM2 System,Perimed(スウェーデン国ストックホルム))によって非侵襲的に測定した。創傷の走査は、下記の設定で実施した:レーザー波長-670nm(可視赤色光)、熱傷創からの距離-25cm、走査解像率-256×64ピクセル、および走査時間-180秒間。走査装置のプローブは、機器のマニュアルで推奨されたように、非有効領域からのレーザー光線の反射を防止するために皮膚への垂直からわずかにずれた角度で配置した。各熱傷創について、組織潅流と正比例して増減するレーザードップラー潅流指数である潅流パラメーターは、移動する赤血球からレーザー光線の反射から計算した。関心領域(ROI)内の潅流は、紺青色が最低潅流速度を描出し、赤色は最高潅流速度を描出する6色のスケール上で血液潅流イメージングについてのPIMSoftソフトウエア(Lisca Development AB、スウェーデン国リンチェピング)を使用して測定した。各熱傷創について、ROIは、初期熱傷創の周囲に描かれた12cmの円であり、創傷内の血流量は、ROI内の全色の平均値である。
【0159】
熱傷創組織の再生皮膚内での血管新生の程度の決定
CD31は、血管内皮細胞により発現し、組織内の内皮細胞および新規に形成された毛細管の存在を証明するためのマーカーとして広く使用されている接着分子である。このマーカーを使用して、回復期創傷のMVDおよび再生皮膚内の血管新生の程度を決定した。このために、第2日、第7日および第14日に収集した創傷のホルマリン維持サンプルパンチ生検の厚さ5μmの切片を調製し、CD31染色のためにスライドグラス上に載せた。手短には、検体は、キシレンを使用して脱パラフィン化したパラフィンブロック内に包埋し、二重脱イオン水(ddHO)中の一連の段階的なプロパノール溶液(100~0%)中で再水和させ、それらを次に5分間にわたりTris緩衝食塩液(TBS、pH7.5)中に浸漬した。TBSを用いた処置後、切片内の内因性ペルオキシダーゼは、スライドを20分間にわたり3%の過酸化水素/メタノール溶液中に浸漬することによって遮断した。スライドは次にリン酸緩衝食塩液(PBS)ですすぎ洗い、マイクロ波加熱によって抗原を曝露させるために10分間にわたり90℃で10mMのクエン酸緩衝液(pH6.0)中に浸漬した。スライドは、抗原による非特異的染色を排除するために30分間にわたり1:50の正常ヤギ血清(Sigma)を用いて最初に遮断し、PBS中ですすぎ洗い、次に暗所で1:100のCD31抗体(R&D Systems、米国ミネソタ州)を用いて4℃の暗所で一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後に、スライドをPBS中ですすぎ洗いし、マイヤーのヘマトキシリン(Sigma)を用いて10秒間対比染色し、この後に組織切片を識別するために1%の酢酸を適用し、水道水を流しながらすすぎ洗いした。スライドをNikon Eclipse E800直立顕微鏡により撮影し、切片の画像はMetamorph(登録商標)画像分析ソフトウエア(Nikon Instruments Inc.、米国ニューヨーク州メルビル)によって捕捉して分析した。各創傷部位での再生皮膚内での毛細管の数は、治療様式について遮蔽された三人の検査官によって五カ所の無作為顕微鏡視野(倍率×200)内で計数された。
【0160】
熱傷創組織の再生皮膚内でのAQP3の検出
AQP3は、創傷のない健常ブタおよび糖尿病性ブタの皮膚内で、DM誘導の1カ月後および熱傷創の作製1日前、ならびに14日間の試験期間中の創傷の再生皮膚内で免疫組織化学検査および免疫蛍光検査によって検出された。AQP3免疫組織化学検査のためには、14日間の試験期間中の再生皮膚から第2日、第7日および第14日に創傷のない非糖尿病性および糖尿性ブタの皮膚から収集した検体からの厚さ5μmの切片を調製し、CD31染色について記載した方法と同一の方法でスライドグラス上に載せた。切片は最初に30分間にわたり1:50のヤギ血清(Sigma)を用いて遮断し、1:200のウサギポリクローナルAQP3一次抗体(Santa Cruz Biotechnology、米国カリフォルニア州サンタクルーズ)とともに4℃の暗所で一晩インキュベートした。一晩のインキュベーション後、スライドをPBS中ですすぎ洗いし、1:400のビオチン化IgG二次抗体(Vector Laboratories Inc.、米国カリフォルニア州バーリンゲーム)とともに室温の暗所で30分間インキュベートした。インキュベーション後、切片はPBSで穏やかに洗浄し、室温の暗所で30分間にわたりストレプトアビジンペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch、ペンシルベニア州ウェストグローブ)とともにインキュベートした。抗原検出は、カラー信号の発生が観察されるまで、基質としてS-(2-アミノエチル)-1-システイン(AEC/RED;Invitrogen Corp.、米国カリフォルニア州カマリロ)を使用して促進された。次にスライドはPBSを用いて直ちにすすぎ洗いし、10秒間にわたりマイヤーのヘマトキシリン溶液(Sigma)を用いて対比染色し、この後に組織切片を識別するためにPBS中の1%酢酸を適用した。切片を水道水ですすぎ洗いし、5分間にわたり一連の段階的エタノール中で脱水させ、この後にImmu-Mount(Thermo Scientific、米国ピッツバーグ)を用いて載せた。切片の画像は、以前に記載されたようにMetamorph(登録商標)画像分析ソフトウエアによって分析した。
【0161】
創傷のない健常および糖尿病性ブタ皮膚内および創傷の再生皮膚内での免疫蛍光検査によるAQP3の存在を確証するために、また別のセットの脱パラフィン化パラフィン切片を4℃で一晩、1:100のウサギポリクローナルAQP3抗体(サンタクルーズ)とともにインキュベートした。インキュベーション後、スライドを水道水で穏やかに洗浄し、室温の暗所で30分間にわたり1:200のローダミン抱合IgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch)とともにインキュベートし、次に30分間にわたり核染色TOPRO-3(Invitrogen)を用いて対比染色した。TOPRO-3のインキュベーションの終了時に、スライドはPBS中で穏やかに洗浄した後に共焦点顕微鏡(Bio-Rad MRC1024、米国カリフォルニア州)下で検査した。切片の画像は、以前に記載されたようにMetamorph(登録商標)画像分析ソフトウエアによって分析した。
【0162】
熱傷創組織の再生皮膚内でのコラーゲンの検出
再生皮膚内でのコラーゲンの量は、CD31およびAQP3免疫染色のために調製された厚さ5μmの切片の一部のマッソンの三重染色(Sigma-Aldrich)の第2日、第7日および第14日に収集した検体中で決定した。この方法を使用すると、コラーゲン繊維は青色に染まり、核は黒色に染まり、細胞質および筋繊維は赤色に染まった。切片の画像は、以前に記載されたようにMetamorph(登録商標)画像分析ソフトウエアによって分析した。
【0163】
熱傷創組織の再生皮膚内でのコラーゲン量の決定
ヒドロキシプロリン(HP)はI型コラーゲンのアミノ酸構成成分であり、コラーゲンのためのマーカーとして使用されることが多い。したがって、第2日、第7日および第14日に健常ブタおよび糖尿病性ブタから収集した皮膚検体内のHPの量は、熱傷創の再生皮膚内でのコラーゲンの量の指標として使用した。このために、100mgの皮膚サンプルは、組織ホモジナイザー(HG-300;MRC、イスラエル国ホロン)を使用して完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma-Aldrich、米国ミズーリ州)を含有しているPBS中で均質化した。ホモジネートは、最初に4℃で5分間にわたり1,500gで遠心分離した。上清を収集し、Whatmanのグレード540濾紙(Sigma-Aldrich)に通して濾過し、HCl中で加水分解し、次に脱イオン水で希釈した。希釈溶液のアリコート(2μL)を最初にクロラミン-T溶液と混合し、この後に以前に記載されたプロトコールを使用してp-ジメチル-アミノ-ベンズアルデヒドを添加した(Hamed,2009)。結果として生じた溶液のアリコート(150μL)を次にマイクロタイタープレートに移し、各サンプルの吸光度を557nmで蛍光マイクロプレートリ-ラー内で測定した。結果は、健常ブタのビヒクル治療熱傷創(100%)におけるHPの量の三回ずつの測定の平均パーセンテージとして表示した。
【0164】
熱傷創組織の再生皮膚内でのHAの量の決定
HAは皮膚の強度および水和に結び付いているので、熱創傷組織の再生皮膚内でのHA量は、製造業者のプロトコールにしたがってヒアルロナンQuantikine ELISAキット(R&D Systems)を使用して第2日、第7日および第14日に非糖尿病性および糖尿病性ブタから収集した検体中で決定した。手短には、熱傷創の再生皮膚内でのHA量を決定するために調製した同一希釈液のアリコート(150μL)をマイクロタイタープレートに移した。各サンプルの吸光度は、次に570nmに設定した波長補正を用いて450nmで蛍光マクロプレートリーダー内で測定した。結果は、健常ブタのビヒクル治療熱傷創(100%)におけるHAの量の三回ずつの測定の平均パーセンテージとして表示した。
【0165】
ウェスタンブロット分析による熱傷創組織の再生皮膚内でのAQP3、eNOSならびにHAS1およびHAS2発現レベルの決定
再生皮膚内でのAQP3発現は皮膚の水和と結び付いているので、AQP3が細胞への水進入を促進するために、EPOが熱傷創床内のAQP3および細胞水和に及ぼす作用を調査した。HAは皮膚の強度および水和と結び付いているので、HAが皮膚の水分に含まれる重要な分子であり、HAS1およびHAS2によって合成されるために、EPOがHAS1およびHAS2の発現に及ぼす作用を調査した。血管新生は再生皮膚内で発生するので、eNOSが血管構造内の主要NOSアイソフォームであり、発現レベルは血管新生の程度を指示するために、EPOがeNOS発現に及ぼす作用を調査した。AQP3、eNOS、HAS1およびHAS2の発現レベルは、第14日に健常および糖尿病性ブタから収集した熱傷創組織の再生皮膚内で決定した。手短には、サンプルは、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Applied Science)を含有するPBS中で最初に均質化し、次にRIPAバッファー中で溶解させた。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法を使用して、溶解液の40μgのタンパク質サンプル中のタンパク質を分離した。分離したタンパク質は次に、最初に4℃の暗所で1:100のポリクローナルAQP3抗体、1:150のモノクローナルeNOS抗体、1:100のモノクローナルHAS1抗体および1:100のモノクローナルHAS2抗体(全部がSanta Cruz Biotechnology、米国カリフォルニア州サンタクルーズから購入された)とともに一晩インキュベートし、次に室温の暗所で30分間にわたり、ホースラディッスペルオキシダーゼ(HRP)抱合IgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch、欧州)とともにインキュベートしたニトロセルロース膜に移した。α-アクチン(サンタクルーズ)を使用して、タンパク質負荷を正規化した。タンパク質発現レベルは、Bio-Rad Immune-Star HRP化学発光検出システム(Bio-Rad、米国)を使用してデンシトメトリーによって検出した。結果は、健常ブタのビヒクル治療熱傷創(100%)における平均タンパク質レベルの二回ずつの示度のパーセンテージとして表示した。
【0166】
AQP3 mRNAレベルを定量するためのリアルタイム(RT)PCR
RT-PCRを使用して、EPOがAQP3発現に及ぼす作用がEPOがAQP3遺伝子に及ぼす作用に起因するかどうかを調査した。糖尿病性ブタおよび健常ブタの熱傷創組織からの再生皮膚のサンプルは、第14日に収集してPBS中で均質化した。全RNAは、MasterPure RNA精製キット(EPICENTER Biotechnologies、米国ウィスコンシン州マディソン)を使用してホモジネートから抽出した。各サンプルについて、およそ2μLのRNAをどちらもABgene(英国)から購入された絶対QPCR Mixes逆転写試薬およびVerso cDNA逆転写酵素キットを使用して三回ずつ逆転写させた。再生皮膚サンプル中のAQP3遺伝子発現の定量は、Rotor-Gene 6000サイクラ-(Corbett Life Science、オーストラリア国シドニー)内でSYBRグリーンPCRマスターミックス(Molecular Probes、オレゴン州ユージン)を使用してRT-PCRによって実施した。標準曲線に基づく方法を使用して、PCR効率およびアッセイ内変動を評価した。熱サイクル条件は、1サイクル(95℃で10分間)、この後に40サイクル(95℃で30秒間、60℃で1分間および72℃で30秒間)、この後に1サイクル(95℃で1分間、55℃で30秒間および95℃で30秒間)であった。2-ΔΔCT方法を使用して非糖尿病性および糖尿病性創傷から収集した治療、ビヒクル治療および未治療組織サンプル中でのAQP3遺伝子発現における相対変化を分析した。これらの結果は、内因性参照遺伝子(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;GAPDH)に正規化した後のコントロール下の変化率(%)として表示した。
【0167】
細胞培養
どちらも新生仔陰茎包皮(Cell Systems、米国ワシントン州カークランド)に由来した一次ヒト表皮角化細胞(HEKC)および一次ヒト線維芽細胞(NHFC)は、AQP3を発現する。二種の細胞タイプを個別に、10%の胎児ウシ血清(FBS)、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび2μg/mLのアムホテリシンが補給されたCSC培地(Cell Systems)中で1型コラーゲンコーティングフラスコ上で繁殖させた。AQP3はそれらの増殖のために必須であると考えられるので、それらがNG濃度(5mmol/mLのD-グルコース)およびHG濃度(30mmol/mLのD-グルコース)およびEPO(100IU/mL)の存在下で増殖する能力を決定した。このために、細胞を最初に採取し、10%のFBSを含むCSC培地を含有していた1型コラーゲンコーティングの24ウエルプレートのウエル(約100,000cell/ウエル)に移し、次に5%のCO2および37℃に設定した加湿インキュベーター内で5日間にわたりEPO(100IU/mL)を含む、または含まないHG濃度に曝露させた。5日後、HEKCおよびNHFCの増殖は、製造業者のプロトコールにしたがってMTTアッセイ(Sigma)を使用して測定した。アッセイを三回繰り返し、結果はコントロールの非治療細胞の増殖率(100%)の平均パーセント±標準偏差(SD)として表示した。以前に記載したように、ウェスタンブロット分析を使用してAQP3発現レベルを決定するために、二種の細胞タイプのタンパク質抽出物を調製した。免疫蛍光アッセイを使用して、接着性HEKCおよびNHFC内のAQP3を局在化した。このために、細胞は最初の2%パラホルムアルデヒド中で固定し、次に1:100のウサギポリクローナルAQP3抗体(Santa Cruz)とともに4℃で2時間にわたりインキュベートした。インキュベーション後、細胞はPBS中で穏やかに洗浄し、この後に1:200のローダミン抱合IgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch)とともに室温の暗所で30分間インキュベートした。細胞の核は、次に30分間にわたりTOPRO-3(Invitrogen)を用いて対比染色した。TOPRO-3を用いた対比染色後、細胞をPBS中で穏やかに洗浄し、次に共焦点顕微鏡下で検査した(Bio-Rad MRC 1024、米国カリフォルニア州)。染色細胞の画像は、以前に記載されたようにMetamorph(登録商標)画像分析ソフトウエアによって分析した。
【0168】
統計学
全統計学的分析は、コンピューター化統計プログラム(GraphPad Prismバージョン5.0、GraphPad Software Inc、米国カリフォルニア州)を使用して実施し、全データは、平均値もしくはパーセンテージ±SDとして提示した。統計学的有意性は、5%に設定した。スチューデントの両側t検定を使用して、健常および糖尿病性ブタの試験パラメーターを比較し、I型誤差を制御するためのボンフェローニの補正を伴う二元配置ANOVAを使用して多重比較を実施した。ピアソンの補正係数を使用してAQP3タンパク質発現と(a)MVDによって提示された血管新生、(b)HP量によって提示されたコラーゲン含量、および(c)熱傷創組織の再生皮膚内でのHA量との関係を決定した。群間の創傷閉鎖率は、チューキーの事後検定を伴う一元配置ANOVAおよび多重比較におけるI型誤差についてのコントロールに対するボンフェローニの補正を伴う二元配置ANOVAを使用して比較および分析した。健常および糖尿病性ブタ由来のデータは、スチューデントの両側t検定を使用して比較した。
【0169】
考察
DSUの治癒は、損傷した血管新生、減少した皮膚細胞活性および増加した炎症反応のために遅延する。結果として、慢性創傷が発生し、重症例では、四肢欠損が発生することがある。以前には、局所EPOが(a)血管新生の刺激、(b)増加したコラーゲン沈着、(c)炎症反応の抑制、および(d)創傷床内の減少した細胞アポトーシス(10,11)(Hamed,2010;2011)を含む数種の機序を通して糖尿病性のマウスおよびラットの全層皮膚創傷の治癒を加速させると報告されている。現在では、それによって局所EPOが糖尿病性皮膚創傷の治癒を加速させる新規な機序が見いだされている;局所塗布されたEPOは健常および糖尿病性ブタの創傷床内のAQP3発現を増加させる。
【0170】
局所EPO治療後の糖尿病性ブタの熱傷創内のAQP3発現レベルが上昇することは、血管新生ならびにHPおよびHA量に及ぼすEPOの正味性作用を反映しており、加速された創傷閉鎖を生じさせる。本発明者は創傷のない糖尿病性ブタの皮膚内ではAQP3発現が減少することを見いだしたので、低レベルの細胞AQP3は、少なくとも一部には、DSUの非治癒を実証すると仮定された。さらに、(a)AQP3発現レベルはHG治療角化細胞および線維芽細胞内ではNG治療角化細胞および線維芽細胞内よりも低い、および(b)HG治療角化細胞および線維芽細胞が増殖する能力はNG治療角化細胞および線維芽細胞の増殖能力よりも低いこともまた見いだされた。興味深いことに、EPOによる治療はHGが角化細胞および線維芽細胞に及ぼすこの負の作用を遮断することができた。これらの観察所見は、HGレベルが皮膚細胞内のAQP3発現を損傷させ、DMを備えるブタの皮膚内での本発明者の実験結果についてのin vitroでの裏付けを提供することを暗示している。これらは、可能性のある説明的機序として提供される;本発明者は、このような理論によって拘束されることを意図していない。
【0171】
AQP3発現レベルには糖尿病性皮膚創傷における創傷閉鎖率が結び付いていることが見いだされた。増え続ける一連の証拠は、DSUの再生皮膚内でのAQP3欠損症が上皮細胞の移動および増殖を損傷させ、結果として再上皮形成の減少および創傷治癒の遅延を生じさせることを示唆した(Levin,2006;Sigomoto,2012)。角膜上皮細胞の移動、増殖および再上皮化はAQP3によって刺激されることは報告されている(Levin,2006)。さらにAQPのダウンレギュレートされた発現は、急性腎不全における尿濃縮能力の低下の原因である可能性があり、EPOはこのダウンレギュレーションを防止できることもまた報告されている(Gong,2004)。したがって、DSUにおけるEPOによる局所AQP3発現が創傷治癒を加速できると推測されてきた。この試験の結果は、糖尿病性ブタの皮膚内の熱傷害の局所EPO治療が血管新生を刺激することによるAQP3依存性機序を通してそれらの治癒およびECM産生を加速するという本発明者の仮説を支持する証拠を提供する。この試験の結果は、さらにEPOによる非治癒性潰瘍におけるAQP3発現を刺激することが細胞水和を増加させ、創傷の含水レベルを上昇させることによって治癒をさらに加速するという証拠もまた提供する。細胞の水和を増加させて含水レベルを上昇させることは、様々な細胞タイプとECM成分との相互作用を促進する。このような相互作用は、適正な細胞運動、移動および分化ならびに最終的に無傷皮膚の回復を生じさせる。
【0172】
創傷床内の血管新生、例えばコラーゲンおよびHAなどのECM成分の合成および適正な細胞水和は、正常創傷治癒のために不可欠である。EPOは内皮細胞増殖ならびに血管新生サイトカインおよび例えば内皮細胞および角化細の血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、およびインスリン様成長胞由来因子1などの成長因子の分泌を刺激して新規血管の創傷床内への萌芽を誘発する(Anagnostou,1990)。この研究調査では、創傷の局所EPO治療がレーザードップラー走査によって測定される糖尿病性熱傷創の再生皮膚内での血流量を実質的に増加させることが見いだされた。この作用は、糖尿病性熱傷創の再生皮膚内でのMVDおよびeNOS発現レベルが測定された場合に、EPO治療糖尿病性熱傷創の再生皮膚内でのMVDおよびeNOS発現レベルがビヒクル治療糖尿病性熱傷創の再生皮膚内でのMVDおよびeNOS発現レベルより高かった場合に確証された。局所EPO治療はさらに、糖尿病性熱傷創における有意に増加したHPおよびHA量を生じさせた。Vedrenneは、ECMと、細胞とECMとの付着、血管新生、皮膚創傷治癒および常在皮膚線維芽細胞の代謝回転を調節する分子の合成との密接な関係の存在について報告した(Vedrenne,2012)。細胞の水和および湿潤環境は、創傷治癒中の線維芽細胞の代謝回転、血管新生および角化細胞による再上皮化を促進するために極めて重要である。このため、局所的AQP3タンパク質発現および/または活性化を防止もしくは制限する任意の因子もしくは事象は、細胞水和のレベルを減少させて創傷治癒を損傷させる可能性がある。コラーゲンおよびHAはECMにおける多数の機能を有しており、それらの一つは、細胞の運動および移動を支持し、皮膚層内のECMが圧縮に抵抗することを可能にする、細胞の形状および分化を維持するための組織骨格となることである。
【0173】
HAは、極めて親水性の分子であり、この特性はHAが水を誘引して結合するために組織水和を調節することを可能にする。AQP3発現レベルは、糖尿病性ブタの創傷のない皮膚では減少することが見いだされた。さらに、減少した血管新生ならびに低いHPおよびHA量に加えて、糖尿病性ブタにおけるビヒクル治療熱傷創の再生皮膚内でのAQP3発現レベルは、健常ブタにおけるビヒクル治療熱傷創の再生皮膚内でのAQP3発現レベルより低いこともまた見いだされた。さらに、局所EPO治療は糖尿病性創傷内の血管新生ならびにHPおよびHA量を有意に増加させ、これらの増加にはAQP3発現レベルにおける有意な増加が付随することもまた見いだされた。さらにまた、糖尿病性ブタの熱傷創内のHgClによるAQP3の阻害はEPOの積極的な作用に拮抗することもまた見いだされたが、この結果は、AQP3のEPO媒介性刺激がDMにおける創傷治癒を刺激できることを示唆している。さらに、AQP3発現レベルが健常および糖尿病性ブタのEPO治療熱傷創における血管新生の程度ならびにHPおよびHA量と相関することもまた見いだされた。さらに、これらの相関が糖尿病性ブタのEPO治療およびEPO/FN治療熱傷創における方が健常ブタのEPO治療およびEPO/FN治療熱傷創における相関より強力であることもまた見いだされた。(a)EPOが糖尿病性ブタの創傷の再生皮膚内でのAQP3発現にプラスの効果を及ぼし、および(b)局所治療の前後の創傷組織内のAQP3発現レベルと血管新生の程度ならびにHPおよびHA量との相関が強力であるので、AQP3依存性機序を通して治癒のEPO誘導性加速が媒介されると結論付けることができる。この(これらの)機序が活性化されると、創傷治癒プロセスの重要な事象、つまり血管新生、コラーゲンおよびHA合成ならびに再上皮化は刺激され、創傷閉鎖率は加速される。
【0174】
糖尿病性ラットの皮膚全層創傷の治癒中の再生皮膚内での減少したAQP3発現は、Sugimoto et al,2012によって報告された。Hara-Chikuma and Verkmanもまた、AQP3ノックアウトマウスにおいては野生型マウスにおけるよりも角質層の含水量および弾性が低いこと、および創傷治癒およびECM生合成が緩徐であることも報告した(Hara-Chikuma,2008a)。興味深いことに、ヒト皮膚内のAQP3発現は、例えばアトピー性湿疹および皮膚癌などの一部の皮膚疾患(Hara-Chikuma,2008b)および皮膚熱傷創(Sebastian,2015)においては増加する。これらの観察所見は、AQP3が表皮生物学において重要な役割を果たしており、AQP3が刺激されると損傷後の皮膚回復が促進されることを示唆している。
【0175】
さらに、糖尿病性創傷の緩徐な創傷閉鎖率には減少した血管新生ならびに創傷床内の低いHPおよびHA量が結び付いていることも見いだされた。さらにHG治療HEKCおよびNHBCが増殖する減少した能力には細胞内の減少したAQP3発現レベルが結び付いていることも見いだされた。これらの観察所見は、減少したAQP3発現レベルがHG濃度に起因し、DMにおける角化細胞および線維芽細胞の減少した増殖の基礎であることを示唆している。細胞増殖およびAQP3発現に及ぼすHG濃度の有害作用はEPOによって防止されることもまた見いだされたので、この証拠は、EPOがHG濃度の作用の一部を組織から免れさせるAQP3依存性機序を通して糖尿病性創傷の治癒を促進することを示唆している。
【0176】
また別の興味深い観察所見は、EPO/FN治療糖尿病性創傷内のAQP3発現レベルは、EPO治療糖尿病性創傷内のAQP3発現レベルより四倍高いことであった。EPO/FN治療糖尿病性創傷におけるAQP3発現レベルにおけるこの実質的な増加には、迅速な創傷閉鎖率ならびに上昇した血流量および創傷組織内のMVDならびにHPおよびHA量における二倍の増加が結び付いている。FNおよびフィブリンは、マクロファージ、線維芽細胞および血管新生を支持する暫定的マトリックスの二つの極めて重要な構成成分である(Stadelmann,1998)。暫定的マトリックスおよび肉芽組織の適正な形成は、再上皮化および創傷閉鎖を可能にする(Martin,1997)。DMでは、FNの欠損症および/またはプロテアーゼによるFNの分解は、暫定的マトリックスの崩壊をもたらし、再上皮化は発生しない、または遅延する。以前に、糖尿病性マウスの局所EPO/FN治療皮膚創傷の治癒は糖尿病性マウスの局所EPO治療皮膚創傷の治癒よりも速いと報告されている(Hamed,2011)。FNは、創傷治癒の増殖期中の肉芽組織の形成において重要な機能を有する。そこで、本発明者は、外因性FNが糖尿病性創傷における正常な暫定的マトリックスを回復できると推測した。FN単独は、健常ブタの熱傷創内での創傷閉鎖率、血流量、血管新生の程度ならびにHPおよびHA量に影響を全く及ぼさないことが見いだされた。さらに、健常ブタ内では内因性FNが正常レベルで存在して変性しないために、外因性FNは健常ブタの熱傷創の治癒へのEPOの加速作用を強化しないことが見いだされた。内因性FNはDSU内では分解されるので、FNをEPO含有ゲルに組み込むことが望ましいが、これはFNがEPO含有ゲルの有益な作用を強化するためである。
【0177】
そこで本発明者は、糖尿病性創傷への局所EPO塗布が再上皮化および創傷閉鎖率を加速することを証明したので、そこで糖尿病性ブタにおける観察所見に基づいて、局所EPOの塗布が皮膚AQP3発現レベルを上昇させることによってDSUの治癒を刺激するために治療上有益な可能性があると推測される。
【0178】
実施例2-ヒトにおける慢性糖尿病性潰瘍の治療
ヒト患者における慢性糖尿病性潰瘍を治療するための有効性を決定するために、実施例1の処方を試験した。真性糖尿病、高血圧および高脂血症を有すると診断された77歳の男性患者が右内側足背上の糖尿病性潰瘍を示した。病変はおよそ9.6cmであった(図13の「治療前」パネルを参照されたい)。
【0179】
患者のパラメーター
性別:男性
年齢:77歳
民族:北アフリカ
喫煙:喫煙歴なし
病歴:真性糖尿病、高血圧、高脂血症

身長: 176cm
体重: 96kg
BMI: 30.99kg・m-2
ABI 0.76(軽度閉塞)

ヘモグロビン 12.3 g/dL
HCT 36.5 %
RBC 4.13 10^8/μl
血小板数 169 10^3/μl
グルコース 159 g/dL

併用薬(継続中)
アムロジピン 2015年以降
メトホルミン 2015年以降
プラバスタチン 2015年以降
カルチア 2015年以降
Enaladex 2012年以降
【0180】
糖尿病性足部潰瘍
場所: 背部内側位置
面積: 9.6cm
履歴: 2カ月超改善なし
Wagner型:I
好気性細菌(緑膿菌)
【0181】
創傷は、第1日に組成物の塗布前に穏やかに創傷清拭した。実施例1の組成物は、治療当日の潰瘍の面積によって、創傷の0.25g/cmの用量で週に5日間にわたり創傷に局所適用した。治療はほぼ8週間(55日間)継続し、医師が診断した創傷の完全閉鎖まで実施例1の組成物の36回の局所塗布を含んでいた。治療は、患者の自宅で訪問看護師によって提供された。患者は潰瘍の判定、検査および評価のために週一回外来診療部門を訪れた。図13(「治療後」パネル)は、8週間の治療後の完全に閉鎖した創傷の写真である。
【0182】
8週間にわたる実施例1の組成物を用いた治療は、特筆すべき全身性作用を有していなかった。すなわち、血液パラメーターもしくは血圧の有意な変化を誘発しなかった。パラメーターの一部を下記の表3に表示した。
【0183】
【表4】
【0184】
有害作用
3週間の治療後には高肉芽形成(hyper granulation)が観察された。これは小さな有害作用と見なされた。このために治療は3日間休止され、3日間の一日一回の薬物投与は省略された。3日間の間隔の後に高肉芽形成作用が減少したので、治療を継続した。治療経過の終了時まで、それ以上の高肉芽形成の徴候は観察されなかった。
【0185】
結論
RMD-G1による患者Kの治療は安全および効率的であった。8週間の治療中に慢性糖尿病性創傷の完全な閉鎖が観察された。
【0186】
本明細書に開示および要求した方法の全部は、本開示を踏まえると過度の実験を行わずに実行および達成することができる。本発明の組成物および方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者には、これらの方法および本明細書に記載した方法の工程もしくは一連の工程に本発明の概念、精神および範囲から逸脱せずに変化を加えられることは明白であろう。より詳細には、化学的および生理学的にどちらも関連する所定の作用物質は、本明細書に記載した作用物質と置換することができ、それでも同一もしくは類似の結果が達成されることは明白であろう。当業者には明白である全てのこのような類似の代替物および修飾は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲および概念の中に含まれると見なされている。
【0187】
参考文献
下記の参考文献は、それらが本明細書に規定したものを補足する典型的な手技的もしくは他の詳細を提供する程度まで、特には参照により本明細書に組み込まれる。

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