(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】動脈の壁を支配する機能的な神経をマッピングするためのシステムと方法、そのための3Dマッピング、およびカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230313BHJP
A61B 5/021 20060101ALI20230313BHJP
A61B 5/024 20060101ALI20230313BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20230313BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/021
A61B5/024
A61B5/33 100
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021150367
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2018526622の分割
【原出願日】2016-12-01
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2015-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518175061
【氏名又は名称】サイマップ メディカル (スーチョウ),エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエ
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505249(JP,A)
【文献】特開2015-112114(JP,A)
【文献】特表2009-500052(JP,A)
【文献】特表2014-525814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0306851(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腎血管の壁を支配する機能的な神経をマッピングするためのシステムであって、該システムは
、
a.電気刺激を送達するためにマルチチャンネル電源に接続された1つ以上の電極を含む、電極の第1のセットであって、
前記腎血管の遠位部分への挿入のために採用される
前記電極の
前記第1のセット
と、
b.アブレーションエネルギーを送達するために前記マルチチャンネル電源に接続された1つ以上の電極を含む、電極の第2のセットであって、
腎臓の腎動脈口に隣接する前記腎血管の近位側3分の1内への挿入のために採用される、
前記電極の
前記第2のセット
と、
c.前記腎血管の刺激に関連する1つ以上の生理学的パラメータを測定するための1つ以上の測定装置と、
d.前記1つ以上の測定装置に結合され、前記腎血管の刺激に応答してベースラインに対する前記生理学的パラメータの増加または減少を計算するように構成されるコンピューティングデバイス、および
e.前記腎動脈を神経支配する副交感神経または交感神経の位置または識別を表示するための表示装置と、を含むシステムであって、
前記電極の前記第1のセットが前記腎血管の前記遠位部分に配置されるとき、前記電極の前記第2のセットが前記腎血管の前記近位側3分の1内に位置するように、前記電極の前記第1のセットおよび前記電極の前記第2のセットが間隔を空けて配置されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記電極の第1のセットは、複数の部位にて腎血管壁の前記遠位部分に接触する構成で配置され、前記構成は、3.5mm
乃至20mmの直径を有している、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電極の
前記第1のセット又は前記電極の
前記第2のセットは、1つ以上のループを持つ渦巻を含む構成で配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記構成は、近位端から遠位端へと次第に小さくなっていくループを有する渦巻ピラミッドを含む、ことを特徴とする請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電極の第1のセットは、遠位端を含むカテーテル上に位置し、前記カテーテルの遠位端は、予め形成された湾曲を有する1つ以上の弾性部材を収容する管状構造を含み、前記電極の第1のセットは、前記1つ以上の弾性部材上に配置され、前記1つ以上の弾性部材はそれらの近位端で制御シャフトに取り付けられ、前記制御シャフトの移動によって前記1つ以上の弾性部材は、前記管状構造から押し出されて前記予め形成された湾曲を回復し、或いは前記管状構造へと引き戻される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の弾性部材を覆う制御リングを更に含み、ここで前記弾性部材に沿った前記制御リングの移動は、前記1つ以上の弾性部材の拡張を制御し、その予め形成された湾曲を回復させる、ことを特徴とする請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御シャフト内に制御ロッドを更に含み、ここで前記制御ロッドの遠位端は、前記1つ以上の弾性部材の遠位端に取り付けられ、前記1つ以上の弾性部材が前記管状構造から押し出された後に前記制御ロッドを引き戻すと、前記1つ以上の弾性部材はその真中で膨らむ、ことを特徴とする請求項
5に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスは、前記腎血管の
データを受信し、前記腎血管の3D構造に関連づけるように構成される、ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項9】
前記生理
学的パラメータは、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、心拍数、生化学物質のレベル、心臓の電気的活動、筋活動、骨格神経活動、および細胞の活動電位から成る群から選択される、ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項10】
前記生理
学的パラメータは、生化学物質のレベルを含み、前記生化学物質は、エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンギオテンシンII、およびバソプレシンから成る群から選択される、ことを特徴とする請求項
9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願全体にわたって様々な公開公報を参照する。こうした公開公報の全体としての開示は、本発明が関連する最先端技術をより詳細に記載するために本出願に参照することで本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、エネルギー送達プロセスの間、およびその後に、動脈壁上の交感神経と副交感神経に関連する神経によって神経支配を受ける領域の正確かつ精密な位置特定と識別のためのシステムと方法に関する。本発明は腎神経のマッピングとアブレーションで使用するための特別に設計されたカテーテルシステムにも関する。
【背景技術】
【0003】
うっ血性心不全、高血圧、糖尿病、および慢性腎不全には様々な初期の原因があるが、すべてが末期の疾患に進行するなかで、ある共通の経路を辿っている。その共通の経路とは腎交感神経機能亢進である。腎交感神経は、求心性の腎神経活動を介する脊髄と脳に位置する高次の交感神経中心に対する信号入力経路として役立ち、全身の交感神経の緊張を高め、一方で、遠心性の活動を介して、腎神経と腎動脈は脳からの信号に応じて交感神経機能亢進に関与し、全身の交感神経の緊張をさらに高める(Dibona and Kopp, 1977)。交感神経性の活性化は当初は有利なことがあるが、最終的には適応性がなくなる。交感神経機能亢進の状態では、多くの病的な事象:カテコールアミン、レニン、およびアンジオテンシンIIのレベルの上昇などのホルモン分泌の異常、末梢血管収縮および/または水とナトリウムの貯留による血圧上昇、糸球体濾過障害とネフロン喪失による腎不全、左室肥大による心機能不全と心不全、および筋細胞の喪失、卒中、ならびに糖尿病でさえ起こる。したがって、この交感神経活動の増加の調節(減少/除去)により、こうした疾患の進行を遅らせたり、防いだりすることができる。近年、高周波を用いる腎神経の除神経は、薬剤耐性の高血圧(Esler et al., 2010 and Krum et al., 2009)とグルコース代謝異常(Mahfoud, 2011)を処置する方法として認められるようになった。しかしながら、腎神経のアブレーションあるいは腎臓の除神経を行う特定の方法は原始的であるか、あるいは疾患経路で重要な腎神経の位置特定に関して医療従事者が過度に不確実なまま操作する方法で行われている。本発明はこうした問題を是正しようとするものである。
【0004】
腎交感神経機能亢進と高血圧
腎交感神経機能亢進の高血圧の発生と永続化への貢献について体系的に調査されてきた。この関係は、様々な医薬品と医薬品の組み合わせと患者のライフスタイルの変化を支援する資源の利用可能性にもかかわらず、高血圧の処置の割合が驚くほど低いままであるという事実に主に基づいて調査されてきた。とりわけ、高血圧患者のおよそ1/3は、最適な薬物療法にさえ十分に反応せず、このコホートで測定された血圧範囲は異常なままである。この徴候は薬剤耐性の高血圧と呼ばれる。高血圧患者の約半数では、血圧は許容される治療標的レベルよりも高いままである。「本態性の」高血圧(つまり、特定の原因を見つけることができない持続性かつ病的な高血圧)を抱えるこうした患者のあいだで、現在の処置レジメンに反応しない根本的な病態生理が存在することが示唆されてきた。さらに、遠心性の腎交感神経性流出がレニン放出を刺激し、尿細管のナトリウム再吸収を増加させ、腎血流を減少させる一方で、腎臓からの求心性神経信号は中央の交感神経流出を調節し、それによりナトリウムと水の代謝の制御、血管緊張/抵抗および血圧に寄与することが上記の患者で認められている。
【0005】
各種データは、高血圧を減少させることに対する腎神経遮断のプラスの効果を確認した。データはさらに、交感神経系の活動の増加と高血圧との間の関係を確認した。特に、研究によれば、高血圧を引き起こす交感神経系の活動の増加のメカニズムとして腎機能障害が示され(Campese,2002;Ye,2002)、腎神経活動の遮断により、慢性腎機能不全を抱える動物の高血圧が制御されること(Campese,1995)、および多発性嚢胞腎を患う患者の難治性疼痛を取り除くために行われた腎臓の除神経手術も高血圧をなくす(Valente 2001)ことが明らかになっている。さらなる研究によれば、本態性高血圧の犯人として腎静脈へのノルアドレナリンの溢流の増加が特定され(Esler et al.,1990)、腎摘出術による除神経は多剤併用療法が効かない重篤な高血圧を患う透析を受けているヒトの高血圧をなくすことが示されている(Converse 1992)。腎臓の除神経は、動物の高血圧の多くの実験形態の進行を遅らせるか、防ぐ事も分かっている(例えば、高血圧自然発症ラット(SHR)、脳卒中易発症SHR、ニュージーランドSHR、境界域高血圧ラット(BHR)、ゴールドブラット1K、1C(ラット)、ゴールドブラット2K、2C(ラット)、大動脈絞窄(イヌ)、大動脈神経切断(ラット)、DOCA-NaCL(ラット、ブタ)、アンジオテンシンII(ラット、ウサギ)、脂肪摂食-肥満(イヌ)、腎ラップ(ラット))(DiBona and Kopp,1997)。
【0006】
治療抵抗性高血圧を減少させるようとするこれまでの試みは治療薬によるアプローチ、とりわけ、神経の部位における局所麻酔薬、ケタミン、三環系抗うつ薬、あるいは神経毒などの神経遮断薬の局所投与に焦点を当ててきた。
【0007】
イヌで行われた研究は、こうした治療薬によるアプローチに関する概念実証を実証した。1つの研究では、急性心不全を引き起こすために行われた微小塞栓術を受けた合計11匹のイヌを利用してデータを集めた。8匹のイヌを、ゲロタ筋膜の内部で10mlのブピバカイン(Marcaine(登録商標))を注入することにより作成された腎神経ブロックで処置し、3匹は対照としての役割を果たした。対照と比較して、15分ごと測定された尿量はブピバカインで処置された動物で有意に増加し、ナトリウム排泄増加と利尿の両方が観察され、抗高血圧効果の生理学的な根拠が確認された。同じ結果が慢性心不全を引き起こす微小塞栓術を受けた6匹の他のイヌで見られた(Vigilance 2005)。
【0008】
腎交感神経機能亢進、インスリン感受性、およびグルコース代謝
腎神経機能亢進はインスリン感受性とグルコース代謝においてある役割を果たすと仮定される。具体的には、腎神経機能亢進に伴って起こるノルアドレナリン放出の増大は血流を減少させ、これはグルコース取り込みの減少に関連付けられる。このことは、細胞がその細胞膜を介してグルコースを輸送する能力が損なわれたことを示す。腎神経機能亢進は、開いた毛細管の数の神経媒介性の減少に関し、その結果、血管内部分から細胞膜に到達するためにインスリンが移動しなければならない距離が増える。筋潅流のインスリン媒介性の増大は、インスリン抵抗性状態でおよそ30%減少する。結果的に、筋肉交感神経活動とインシュリン抵抗性との間には直接的な関係があり、インシュリン抵抗性と開いた毛細管の数との間には反比例の関係がある。したがって、腎交感神経機能亢進は、真性糖尿病および/またはメタボリック症候群のある態様に関連しており、交感神経機能亢進はインシュリン抵抗性と高インスリン血症を引き起こし、これは、さらなる交感神経性の活性化をもたらす。研究は糖尿病の基準に対する腎臓の除神経の効果を評価して行われた。
【0009】
Mahfoud et al (2011)による研究は、 少なくとも3つの降圧剤(1つの利尿薬を含む)で処置されているにもかかわらず、≧160mmのHg(あるいは、2型糖尿病の患者で≧150mmのHg)の高血圧に加えて2型糖尿病を患っている患者に対する腎臓の除神経の効果を試験した。ベースライン時と、処置の1ヶ月後と3ヶ月後に行われるフォローアップ訪問時に、血液化学および空腹時のグルコース、インスリン、Cペプチド、およびHbA1cが測定される一方で、ベースライン時と3か月後に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行われた。血漿ブドウ糖濃度をグルコースオキシダーゼ法で評価し、その一方で、血漿インスリンとCペプチド濃度を化学発光アッセイによって測定した。腎臓の除神経の3か月後に、糖尿病の指標は大幅に改善した。ベースライン時では、治療群中の13人の患者はインスリンレベル≧20μIU/mLを有していた。処置はこの数字を77%(n=10)減少させ、対照群ではなんの変化も生じなかった。インスリン感受性も腎臓の除神経後に著しく増加した。34人の患者(試験群、n=25;対照群、n=9)では、ベースライン時のOGTTは、8人の患者が障害性の空腹時血糖を抱えており、18人の患者が障害性の耐糖能異常を抱えており、および8人の患者が真性糖尿病を患っていたことを明らかにした。処置の後、25人の患者のうちの7人はOGTTにおいて改善を示した。OGTTに基づいて真性糖尿病と診察された患者の数は12%(n=3)減少し、正常耐糖能の患者の数は16%(n=4)増加した。対照群の患者は、フォローアップの間にグルコースまたはインスリン代謝の有意な変化がなかった。
【0010】
したがって、Mahfoud et alの研究は最終的に、腎交感神経系がインシュリン抵抗性の重要な制御因子であることを実証し、かつ腎神経のアブレーションがインスリン感受性とグルコース代謝を実質的に改善することを示している。
【0011】
腎神経のアブレーション試験研究
1950年代、外科的な交感神経切除は降圧剤による医療の有効性の前に深刻な高血圧の治療としてヒトで利用されていた(Smithwick and Thompson, 1953)。しかしながら、こうした外科的な腎臓の除神経は非常に侵襲的であり、主要な外科的処置を含んでいた。したがって、臨床研修では大きな制約があった(DiBona, 2003)。
【0012】
近年では、ヒトの腎臓で選択的な除神経を引き起こすために血管内カテーテル技術が利用されるのが好ましい。腎神経は主に腎動脈の外膜空間内の血管中膜の外側にある。結果的に、高周波エネルギー、レーザーエネルギー、高密度焦点式超音波、およびアルコールを腎動脈壁に送達し、腎動脈管腔を介して冷凍アブレーション技術を腎動脈壁で利用することで腎交感神経を切除することができる。
【0013】
カテーテル方法による腎神経のアブレーションの最初の人体研究は2009年に高血圧患者の被験者で行われた。3回を超える降圧剤服用(利尿薬を含む)を受けているにもかかわらず起立時の血圧(SBP)が160mmHg以上であるか、あるいは降圧剤服用への不耐性が確認された患者の被験者が登録された。45人の患者のこの研究では、全体的なベースラインの患者の血圧は177/101±20/15(mmHg)で構成されていた。登録された患者の間で、患者の89%が腎臓の除神経治療に応答し、血圧の減少が観察された。
【0014】
腎神経のアブレーションの後、腎臓の除神経が有効に行われたかどうかを評価するために、腎ノルアドレナリン溢流を測定して交感神経の除神経の成功を判定した。血圧をベースライン時、および処置後1か月、3か月、6か月、9か月、12か月に測定した。それぞれの時点において、収縮期圧と拡張期圧の両方の減少が登録され、時間が経過するにつれ減少は継続していった。処置後、45人の被験者で28%(p=0.043)の全身ノルアドレナリン溢流の全体的な減少が見られ、その約三分の一が腎交感神経の除神経に起因しうるものであった。処置は43/45人の患者で合併症を伴わずに施され、慢性的な血管の合併症はなかった。
【0015】
腎臓の除神経での現在のプロトコル
Krum et al.の研究のあと、複数のバリエーションを含むが、カテーテル手段を介して腎神経のアブレーションを行うための特別に容認された方法が確立された。典型的には、腎神経のアブレーションは、患者が1つの腎動脈当たり4-6回の2分の高周波(RF)処置を施されるカテーテルベースの方法を含み、高周波は、自動化され、低電力であり、かつ、安全性アルゴリズムを内蔵する高周波(RF)発生器によって生成される。高周波は通常5-8ワットであり、大動脈の遠位側から大動脈の近位側へのカテーテルの運動を介して腎動脈のカテーテルによって投与され、高周波の適用は5mm以上ごとに間隔を開けて行われた。
【0016】
前述のMahfoud et al.の糖尿病研究において、以下の特定のアブレーションプロトコルに従った:腎二重曲線(renal double curve)あるいは左内胸動脈ガイディングカテーテルを使用して、処置カテーテルを各腎動脈へ挿入し、それぞれ最大で2分間続く高周波アブレーションを8ワットの低電力で適用して、各腎動脈内で長手方向と回転方向に分離された最大で6つの切除された部分を得た。第1の遠位の腎大動脈分岐から小孔へと処置を行った。カテーテル先端のインピーダンスと温度は絶えずモニタリングし、あらかじめ決められたアルゴリズムに従って高周波エネルギー送達を調節した。
【0017】
上に列挙されたもののような血管内のカテーテル処置は血流を保護し、内皮の損傷を最小限に抑えるように意図されており、腎血管に沿って一定間隔で配置された焦点切除部により迅速な治癒が可能となる。結果としての神経のアブレーションは、全身的な交感神経性の活性化に対する腎臓の貢献と腎臓の交感神経性の活性化の遠心性の効果を同時に低下させ、一方で、臨床的に永続的な結果を与える。
【0018】
機能的に、腎動脈のアブレーションの最適化された目標は、他の臓器への交感神経シグナル伝達を損なうことなく、腎交感(求心性と遠心性の両方)神経を選択的に不能にすることと、神経を除神経するために腎交感神経が分布している位置にエネルギーを正確に送達することである。現在、腎神経のアブレーションは「盲目」的に行われている-すなわち、アブレーションの高周波が伝わる前、処置を行う医師は腎動脈の全長が切除されるように腎交感神経が分布している場所を知らない。さらに、腎神経が実際に除去されたかどうかは、処置の完了後に、副次的効果-つまり、ノルエピネフリン溢流を測定することによってのみ確認することができる。現在、患者のおよそ89%は腎臓の除神経治療に反応する(Krum et al., 2009 and Esler et al. 2010)。しかしながら、処置の少なくとも1か月後に腎臓の除神経の有効性を確認するために、患者の血圧の測定によってこれらのデータを判定した。場合によっては、処置の失敗は腎神経の再生が原因であることもあれば(Esler et al., Lancet 2010, p. 1908)、その一方で、処置の失敗は腎神経を正確に標的としたり、腎神経のアブレーションを十分に完了させたりすることができなかったためであることもある。したがって、アブレーション標的を医師に提供することができるように腎神経の分布が腎動脈に沿ってどこで生じるかを正確に検知し、および、効率的なアブレーションが伝えられるかどうかを評価するために、臨床的に関連のある指数(血圧、心拍数、および筋肉交感神経活動など)をモニタリングする方法が切に必要とされている。上記の議論のように、腎臓の求心性および遠心性の神経系は、交感神経機能亢進のための共通する経路として役立ち、ゆえに、腎神経の刺激は血圧の増大と心拍数の変化を引き起こす場合がある。心拍数の変化は交感神経系を直接刺激することにより増加するか、あるいは圧反射による間接反射調節によって血圧が減少することがある。
【0019】
改善された方法は腎神経マッピング手法を含むことになり、この手法では、血圧、心拍数、および筋肉交感神経活動が測定されている間に、腎動脈の個々のセグメントが低電力電流によって刺激される。血圧の増大、あるいは心拍数の変化、あるいは筋肉交感神経活動の減少などの血圧、心拍数、および筋肉交感神経活動の測定可能な変化が検知されると、より正確なやり方で神経繊維を破壊し、結果的に臨床的尺度を所望のとおりに改善するように、その部位でのアブレーションは行われなければならないという合理的な期待がある。こうした改善された腎神経マッピングとカテーテル挿入技術は、記載された除神経処置のタイプで不必要なアブレーションを最小限に抑え、腎臓のアブレーション処置を行うように手順を行うようにオペレーターにガイドし、および高血圧、心不全、腎不全、および糖尿病の処置のために腎神経のアブレーションの臨床結果を最適化しようとする。
【0020】
腎神経のアブレーションにおける解剖学的マッピングと標的
解剖学的に言えば、腎臓に/から出入りする線維を運ぶ神経は、腹腔神経叢(a/k/a 太陽神経叢)とその下位区分、腰内臓神経と腸間膜動脈間神経叢に由来する(DiBona and Kopp,1997,p.79)。腹腔神経叢は、腎上神経節(つまり、大動脈腎動脈神経節)、腹腔神経節、および主要な内臓神経からなる。腹腔神経節は、胸部交感神経幹(胸内臓神経)と迷走神経からの寄与を受け取る(DiBona and Kopp,1997,p.79)。
【0021】
腎上神経節は、副腎へ向かう多くの分岐を出し、その一部は副腎動脈に沿って、腎門部に入る腎動脈のまわりの血管周囲の神経束へ進み、他の分岐は、腎門部領域の外側の腎臓に入る。腹腔神経節に向かう途中の主要な内臓神経は腎上神経節を超えた点で腎臓に分岐する。腹腔神経節は腎臓に分岐して、これが腎門部に入る腎動脈のまわりの血管周囲の神経束に延びる(DiBona and Kopp,1997,p.79)。
【0022】
腰内臓神経と胸内臓神経は、胸部と腰椎の脊椎傍交感神経幹にそれぞれ由来する。これらは、腹腔神経節に入る分岐を介するだけでなく、腎門部に入る腎動脈のまわりの血管周囲の神経束に入る分岐を介しても腎臓の神経支配をもたらす(DiBona and Kopp, 1997,p.79)。
【0023】
上腸間膜動脈神経節を含む腸間膜動脈間神経叢は、腰内臓神経から寄与を受け取り、腎臓に達する前に卵巣または精巣の動脈にしばしば伴う分岐を出す(DiBona and Kopp,1997,p.79)。腎神経は腎動脈と腎静脈とともに腎門部に入る(DiBona and Kopp,1997,p.81)。腎神経はその後、葉間動脈、弓状動脈、および小葉間動脈と、糸球体輸入および輸出細動脈を含む、腎皮質と髄質外部中の腎動脈血管セグメントに沿って分布する(DiBona and Kopp,1997,p.81)。
【0024】
アブレーションを行うことができるようになる前は腎神経構造が最優先の検討課題であるが、除神経のためのカテーテル挿入を企図することができるようになる前は、個々の腎臓の構造を注意深く検討しなければならない。Krum et al./Esler et al.の研究に関して明記されたように、カテーテル挿入の適格性は、腎動脈の解剖学的形態、腎動脈狭窄症、従来の腎臓ステント挿入あるいは血管形成術、および二重腎動脈(dual renal arteries)の評価によって判定された。異常な、または普通でない腎臓構造がカテーテル挿入にとっての障害となるだけでなく、とりわけ、適応外のカテーテルシステム(つまり、それ自体が腎動脈のアブレーションのために特別に設計されたものではないカテーテル)が使用される場合、腎臓構造の正常な変化も課題であると判明することがある。最適以下のカテーテルシステムを用いる腎臓のカテーテル挿入の危険は、繊細な組織を通るこうしたカテーテル先端の雑なまたはギクシャクとした操作を原因とする腎動脈の破裂、過度のアブレーションエネルギーを適用したことを原因とする動脈壁または腎動脈内皮の破裂または損傷、および動脈の解剖を含むこともある。したがって、多くの適格の難治性患者集団が処置されるように、腎臓の構造と腎臓の構造内の共通する異常のために特別に設計されたカテーテルシステムが望ましい。
【0025】
カテーテルシステム
冠状動脈系のために設計されたあるカテーテルシステムは、腎神経のアブレーションで使用されることがあるシステムに似ている。とりわけ、頻脈を改善するために調整される、冠状動脈での使用を念頭に設計されたアブレーションカテーテルシステムが腎神経のアブレーション処置に使用されてもよい。そのため、このようなシステムは典型的には、カテーテルの電極が通過する際に通る心臓の組織中のあらかじめ存在する電流を評価することを目的とした電極を含んでいる。対照的に、腎臓の除神経のための理想的なカテーテルシステムは二元機能を備えて最適に設計されることになる:腎神経分布をマッピングすること、および電気刺激を提供することにより腎神経活動を刺激することで、そうすることで、医師のオペレーターが上記電気刺激と腎臓の除神経の結果生じるリアルタイムの患者の生理学的変化を評価するようになる。しかしながら、そのようなカテーテルは以前には開発されていなかった。
【0026】
既知のカテーテルシステムはしばしば心臓の用途のための複数の機能性を有する。市場のあるある著名なカテーテルシステムは以下を含む:
【0027】
A)Medtronic Achieve(商標)電気生理マッピングカテーテル
発作性心房細動を処置する際、このカテーテルは通常、肺静脈分離の評価に使用される。これはMedtronicのArctic Front 冷凍アブレーションシステムと共に使用される。Achieve(商標)マッピングカテーテルは2つのループ直径(15mmと20mm)で利用可能な円形のループを備えた遠位マッピング部を有する。それはArctic Front ガイドワイヤ管腔を通って展開され、1回の経中隔穿刺を可能にする。カテーテルは、医師が左心房と肺静脈との間の電気伝導をマッピングすることを可能にする、ループ上の平等に間隔を置いて配された8つの電極を特色とする。さらに、カテーテルは、冷凍アブレーションの前後に肺静脈電位を評価することができ、さらに、医師が冷凍アブレーション中の時間対効果を評価するのを助ける。その仕様は以下のとおりである:
i. 3.3 Fr、1.1mm(0.043’’)のカテーテルシャフトサイズ
ii. 全長165cm;使用可能な長さ146cm
iii.2つのループサイズ:15mmと20mm
IV. 2つの電極間隔:4mmと6mm
v. 8つの1mm電極
vi. カテーテルは3.8 Fr、1.3mm(0.049’’)の最小限のIDと適合する。
【0028】
B)ノースウェスタン大学/イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の一体型の心臓Epマッピングおよびアブレーションカテーテル
このカテーテルは心臓の電気生理マッピングとアブレーションを行うために利用された組み合わせカテーテルである。バルーンカテーテルは温度、圧力、およびEKGのセンサーと、心臓の組織を切除することができるLEDとを含む。カテーテルは相互連結型の「ポップアウト」設計と、伸縮自在な電子機器の概念に基づいている。この設計では、必要な医療用具はすべて、壁が残りの部分よりも薄い標準的な心内膜バルーンカテーテルの一部に(薄い可撓管)に押されており、この部分はカテーテルの表面の残りの部分からわずかにくぼんでいる。このくぼんだ部分では、カテーテルの先端が身体を通って心臓にたどり着く間、敏感な装置とアクチュエーターが保護される。いったんカテーテルが心臓に達すると、カテーテルは膨張し、この薄い部分は著しく拡大して、その結果電子機器が露出して心臓と接する。
【0029】
カテーテルが適所にあるとき、個々のデバイスは、必要とされるような特定のタスクを実行することができる。圧力センサーは心臓に対する圧力を判定し、EKGセンサーは処置中の心臓の状態をモニタリングし、LEDは画像化のために光を当て、かつ、組織(この場合、典型的には頻脈を誘発する組織)を切断するためのアブレーション治療のためにエネルギーを与え、温度センサーは他の健康な組織に損傷を与えないように温度を制御する。システム全体は、バルーンが膨張かつ収縮すると、いかなる特性の変化も生じさせることなく確実に作動するように設計される。
【0030】
システムは、外科医のチームに対し、温度、機械的な力、血流、および電気記録図などの重大な高品質の情報をリアルタイムで送達するように設計される。
【0031】
C)Medtronic Artic Front(登録商標)
Arctic Front(登録商標)は、FDAに承認されたクライオバルーン組織アブレーションシステムである。バルーンは、付随のFlexCath(登録商標)の操縦可能なシースを介して送達され、冷却液は、CryoConsoleの制御ユニットを使用してポンプでくみ上げられる。このユニットは通常、発作性心房細動を処置するために使用される。その仕様は以下のとおりである:
i. 2つのバルーンの直径:23mmと28mm
ii. 二重のバルーンの安全システム
iii.双方向の偏向(最大45度)
iv. 12F FlexCath(登録商標)の操縦可能なシースに適合可能
v. 102cmの作業長さ
【0032】
D)診断製品としてLassoの円形マッピングカテーテル(Diagnostic Products Lasso Circular Mapping Catheter)
LASSO 2515の可変円形マッピングカテーテルは、25~15mmに大きさを合わせた静脈に適合するように調節される可変ループを特色とする。
【0033】
E)Ardian Symplicity(登録商標)のカテーテルシステム
アブレーションカテーテルおよび高周波発生器の両方を含む腎臓のアブレーションのために利用される現行のカテーテルシステム、すなわちSymplicity(登録商標)のカテーテルシステムは、Ardian Inc.(Mountain View,CA,USA)により特別に設計されている。しかし、Symplicity(登録商標)のカテーテルはマッピング機能を持たず、アブレーションのみが唯一の機能であり、第2に、そのようなカテーテルシステム(同様に、血管形成、並びに血管形成用の遠位の保護デバイス)は冠状動脈と頚動脈の系のために設計されたものであり、従って、このようなシステムは高血圧症、心不全、腎不全、および糖尿病を処置するための腎神経のアブレーションおよび除神経のために「適応外」に使用される。
【0034】
高血圧症のいくつかの症例が純粋な薬理学的手段による処置に耐性があるという事実は、こうした症例の処置における侵襲的技術の使用を再び呼び起こした。歴史的に、外科的な腎臓の除神経は、経口投与された降圧剤の導入前の高血圧症の重篤な症例の卓越した処置であった(Smithwick and Thompson, 1953)。しかし、この種の従来の手術は非常に侵襲的であり、それを実務的に大きく制限する主要な外科的処置を含んでいた(DiBona, 2003)。少なくとも2つの臨床研究が、抵抗性の高血圧症の処置における最小限に侵襲的なカテーテルベースの高周波(RF)腎神経のアブレーションの使用への支持を、ある程度までもたらした。利用可能な降圧剤に耐性のある高血圧症の患者は、このような研究に選択され、この介入の処置は、少数かつ非常に選択的な患者集団で血圧を低下させる際に89%の臨床的成功率を実証した。
【0035】
そのような最小限の侵襲性の介入技術を高血圧症の処置に使用することに関心が増えつつある一方で、Ardian Symplicity(登録商標)のカテーテルシステムを含む市場に出ている全てのシステムが、この目的のために最適に設計されているとは限らない。Ardian Symplicity(登録商標)のカテーテルシステムでも介入の結果の確実性を制限するという明白な欠点がある。
【0036】
現行の介入システムや技術で考慮されない重要な態様は、動脈壁における適切なアブレーションスポットへ有効量のエネルギーを位置付けかつ送達する際の精度と正確性である。カテーテルを介して腎神経のアブレーションを実行するための、現時点で一般に認められている処置は典型的には、動脈壁に4~6のアブレーションを施す工程からなり、各アブレーションは2分のRFエネルギーにより行われ、各腎動脈の内壁に沿って長手方向かつ回転方向に間隔を置いて配される。アブレーションカテーテルに関して腎動脈を支配する神経の正確な場所は、アブレーションエネルギーの送達の前およびその間には分かっていないので、アブレーションはこの螺旋状の様式で「盲目的に」送達されなければならなかった。不正確に配向された用量のエネルギーは健康な組織および非交感神経系に不必要な損傷をもたらすだけでなく、介入処置が意図された高血圧症に対して有望な解決策を提供することができない。実際に、2つの公表された研究以外の特定の臨床設定において、現行の「盲目的な」型の介入処置のレスポンダーの割合は、50%もの低さである(Medical devices: pg 1-2, February 22, 2012)。
【0037】
理論上、エネルギーの用量の送達前に動脈壁を支配する神経の場所をマッピングすることにより、動脈壁における正確な神経のアブレーションを達成が可能なこともある。動脈壁上の選択された場所に刺激が伝えられる間に、血圧、心拍数、および筋活動などの自律神経系に関連する生理的パラメータをモニタリングすることにより、この場所のすぐ近くに自律神経が存在することが、モニタリングされた生理的パラメータの変化から反映される(Wang, US 2011/0306851 A1)。
【0038】
さらに、自律神経系の交感神経性と副交感神経は頻繁に、血圧と心拍数に対する制御を含む、人体における逆効果を及ぼす。動脈壁を神経支配する交感神経系のアブレーションは高血圧症を和らげる一方で、副交感神経など他の組織が「盲目的な」型の介入処置において切除され得る可能性が等しく存在する。盲目的に神経活性を減少または除去した結果、様々な動物研究から推測できるように、高血圧症を悪化させることもある(Ueda et al.,1967;Beacham and Kunze,1969;Aars and Akre,1970;Ma and Ho,1990;Lu et al.1995)。
【0039】
現行の処置における失敗の原因は、アブレーション後の神経の再生に起因し(Esler et al., 2010)、かつ、標的とされた神経にある用量のエネルギーを送達することができないことや、有効なアブレーションには不十分な用量のエネルギーが送達されることにも関連し得る。現在、腎臓の除神経の成功は、介入処置の少なくとも数日後のノルエピネフリンの溢流として知られる副次的な効果の測定によってのみ評価され(Krum et al.,2009)、処置直後の評価の方法が欠けている。介入処置の成功率を改善するために、動脈壁上で適切なアブレーションスポットを位置特定するだけでなく、アブレーションプロセス中に標的とされた神経へとエネルギーを正確かつ的確に送達するようにして、ある用量の送達エネルギーが標的とされた組織を効果的に切除したことをアブレーション直後に確認することが、重要である。
【0040】
神経のアブレーションのための現行のシステムと方法の欠点に応じて、本発明は、腎臓の動脈壁上での適切なアブレーションスポットの正確かつ的確な位置特定のためのシステムと方法を提供することによる改善を導入し、十分なアブレーションエネルギーを標的とした神経へ正確に配向することを確実にすることにより、処置直後の神経のアブレーションの評価を行う。腎神経のマッピングに最適なカテーテルシステムも本発明により提供される。
【発明の概要】
【0041】
先の必要性を念頭において本発明が開発された。本開示の実施形態は、動脈壁上で神経により神経支配される領域の正確かつ的確な位置特定のためのカテーテル、システム、および方法に向けられ、十分なアブレーションエネルギーを標的とされた神経へと正確に配向することを確実にすることにより、刺激とアブレーションなどの望ましい反応を誘発して、処置直後の十分な神経のアブレーションの評価を行う。さらに、本開示の実施形態は、動脈壁上で探索される場所を支配する神経の場所と種類の明確な表示のための界面を提供することにも向けられる。
【0042】
本発明は、ある用量のエネルギーの場所に関して人体において動脈壁を神経支配する機能的な交感神経および副交感神経の存在を識別する方法を提供する。上記方法は、動脈壁へある用量のエネルギーを送達する前に生理的パラメータの1つ以上のベースラインを調製する工程、動脈壁にある用量のエネルギーを送達する工程、送達したエネルギーの結果として生理学的変化を検出する工程、経験的に予め定めた値のセットに基づいて変化を評価する工程、および、評価に基づいて、エネルギーが送達された領域が、機能的な交感神経または副交感神経の付近にあるかどうかを判定する工程の1以上を含む。
【0043】
一実施形態では、上記方法は、神経のアブレーション処置の前に動脈壁において交感神経系と副交感神経系の両方を含む、圧反射に関連する適切な神経のアブレーション部位を位置特定するために使用される。特定の実施形態では、神経のアブレーション処置は腎動脈の除神経のためのものである。別の実施形態では、上記方法は、神経のアブレーションプロセス中に動脈壁において標的とされた神経へのアブレーションエネルギーの正確な送達を確実にするために使用される。さらなる実施形態では、上記方法は、神経のアブレーション処置で送達されたエネルギーにより標的とされた神経が確実に切除されるように、神経のアブレーションプロセスの処置直後の評価に使用される。
【0044】
特定の実施形態では、エネルギーは神経刺激に適した用量で動脈壁に送達される。他の実施形態では、エネルギーは神経のアブレーションに適した用量で動脈壁に送達される。
【0045】
一実施形態では、生理的パラメータは、血圧、心拍数、エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンギオテンシンIIおよびバソプレシンなどの生化学物質(biochemicals)のレベル、心臓の電気的活動、筋活動、骨格神経活動、細胞の活動電位、または、瞳孔の反応、筋電図、および血管収縮などのこれら生理学的変化の結果としての他の測定可能な反応を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、刺激後に血圧と心拍数の増大を引き起こす動脈壁上の領域は、交感神経により神経支配されるとみなされるが、対照的に、刺激後に血圧と心拍数の低下を引き起こす動脈壁上の領域は、副交感神経により神経支配されるとみなされる。
【0047】
実施形態では、アブレーションのエネルギーは、生理的パラメータがアブレーションプロセス中にベースラインを著しく逸脱する時に、動脈壁を支配する標的とされた神経へと正確に送達されると考慮される。
【0048】
一実施形態では、神経のアブレーション処置は、アブレーションエネルギーの送達前に上記方法を用いて神経に支配されていることを確認された領域が、このスポットへの刺激エネルギーの送達の際に血圧および心拍数などの生理的パラメータの変化をこれ以上引き起こさないときに成功であるとみなされる。
【0049】
本発明は、動脈壁を支配する神経を位置特定しかつ識別するためのシステムも提供する。該システムは、動脈壁にある用量のエネルギーを送達することが可能な1つ以上のデバイス、生理的パラメータの信号を受信する1つ以上のセンサー、センサーからの信号の分析のための1つ以上のデバイス、および、分析の結果を表示することが可能な1つ以上のインジケータまたはパネルを含む。
【0050】
一実施形態では、エネルギー送達デバイスにより送達されたエネルギーの用量は、神経刺激または神経のアブレーションのいずれかを達成するように制御可能である。別の実施形態では、2つの別個のデバイスが、神経刺激および神経のアブレーションを独立的に行うために使用される。
【0051】
別の実施形態では、送達されたエネルギーは、電気、機械、超音波、放射線、光、および熱のエネルギーの1以上である。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記センサーは、血圧、心拍数、エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンギオテンシンIIおよびバソプレシンなどの生化学物質のレベル、心臓の電気的活動、筋活動、骨格神経活動、細胞の活動電位、および、瞳孔の反応、筋電図、および血管収縮などの上記の結果としての他の測定可能な反応を含む生理的パラメータを検出する。特定の実施形態では、生理的パラメータに対応する信号は、当該技術分野で既知の市販で入手可能な技術により検出される。
【0053】
別の実施形態では、生理的信号のデジタル解析のためのデバイスは、マイクロコントローラまたはコンピューターである。
【0054】
一実施形態では、分析された結果は、異なる色を付けたインジケータを使用して表示される。交感神経系により神経支配された領域は緑のインジケータで表され、副交感神経により神経支配された領域は赤のインジケータで表される。別の実施形態では、分析されたデータは、デジタル目視パネルに表示される。
【0055】
一実施形態では、インジケータまたはパネルのセットは、エネルギー送達デバイスなどシステム中のデバイスに組み込まれてもよい。特定の実施形態では、インジケータまたはパネルのセットは、システム中で別個の実体として存在してもよい。
【0056】
本発明はさらに、腎神経分布をマッピングし、腎臓のアブレーションを実行し、アブレーション後の評価を実行し、および血管造影術を実行するために1つ以上の電極を持つ、腎臓の構造に応じてカスタマイズされた形状の遠位端(すなわち、カテーテル先端)を有する、特別に設計されたカテーテルを提供する。特定の実施形態では、こうしたカテーテルの電極は、カテーテル先端の長さに沿って連続して間隔をおいて配され、そこでは、電極面は腎動脈内腔の分割された部分と接触する。特定の実施形態では、カテーテルの先端は操縦可能であり、高周波エネルギーを発するための単電極を有している。特定の実施形態では、カテーテル先端の形状は単一の螺線であり、螺線のコイルは円形または平らのいずれかの形状である。他の実施形態では、カテーテル先端は二重螺旋であり、螺線のコイルは円形または平らのいずれかの形状である。さらなる実施形態では、カテーテル先端は、螺旋コイルが周囲に巻き付けられたバルーンを含み、ここで電極は螺旋コイルの長さに沿って間隔をおいて配され、代替的に、カテーテル先端は、バルーンを包む傘型の構成要素であるバルーンを含み、ここで電極は傘型の構成要素に沿って間隔を置いて配されている。両実施形態の変形において、コイル型または傘型の構成要素は、円形または平らのいずれかの形状であり、結果的に、コイルまたは傘の長さに沿って間隔をおいて配された電極は、コイルまたは傘の基礎的な形状に依存して、円形または平らのいずれかの形状でもよい。
【0057】
さらなる実施形態では、カテーテル先端は、閉端を持つ傘型の形状またはフレーム、または開放端を含む傘を含み得る。
【0058】
特定の実施形態では、上記カテーテル先端は、ステントの機能を実行するために動脈構造へと導入されてもよい。
【0059】
一実施形態では、これらカテーテル先端の直径は0.5mmから10mmまで変動し、カテーテル先端の長さは20mmから80mmまで変動し、コイルの直径は3.0mmから7.5mmまで変動し、各コイル間の距離は4mmから6mmまで変動し、および、コイルの十分に巻かれていない長さは31mmから471mmまで変動してもよい。
【0060】
カテーテルの電極は、互いに独立して活性化されてもよく、或いは、電気刺激または高周波エネルギーを発するための組み合わせで活性化されてもよい。電極には各々、電気刺激または高周波エネルギーを送達する二元機能がある。電気刺激は、重要な腎神経が下に位置する腎動脈内腔のセグメントを識別かつマッピングするために使用される。上記識別とマッピングは、血圧反応および心拍数または筋交感神経活動の変化などの、生理反応または加えられた電気刺激に対する反応(Schlaich et al., NEJM 2009)、または腎臓のノルエピネフリン溢流(Esler et al. 2009, and Schlaich et al., J Htn. 2009)のモニタリングを通じて達成され、生理反応の変化は、活性化された電極の付近の基礎的な交感神経分布の存在を示す。別の実施形態では、カテーテルの個々の電極は、最大の生理反応、および基礎の腎神経の結果として生ずる場所を評価するために、医師である操作者により選択された組み合わせで活性化されてもよい。カテーテルの電極はまた、腎神経を刺激するのに十分な強度の電流だけでなく、腎神経のマッピングの結果に基づいて基礎的な腎神経組織を除去するための高周波エネルギーなどの熱エネルギーをも発することができる。他の実施形態では、カテーテルの別個の電極は、高周波エネルギーなどのアブレーション用のエネルギーを発するために選択的に活性化可能であり、ここで、活性化された電極の選択は、神経のマッピングの結果に基づく。さらなる実施形態では、腎神経のマッピングに基づいて、レーザーエネルギー、高密度焦点式超音波、または冷凍アブレーション(cryoablative)技術などの他のタイプのアブレーション用のエネルギーを使用するアブレーション技術は、腎交感神経を切除するために腎動脈壁上で利用され得る。
【0061】
特定の実施形態では、こうしたカテーテルは、既存の心臓カテーテルシステムと共に現在利用される既存の高周波発生器と共に交換可能に使用される。
【0062】
一実施形態では、前述のカテーテルシステムは、望ましい場所へとカテーテル先端を誘導するために患者の身体へと以前に挿入された様々な許容可能なカテーテルガイドワイヤーと共に利用可能である。これらは、シースおよび拡張器などの心臓血管系および腎臓血管系内の同様のデバイスの通過を容易にするために使用され得るデバイスおよび他の器具と共に使用されてもよい。必要に応じて、前述のカテーテルシステムは、カテーテル先端を位置決めするためにプラーワイヤーと共に利用されてもよい。
【0063】
本発明はまた、腎神経分布をマッピングするために本明細書に記載されるカテーテルを使用する方法を提供し、該方法は、腎神経分布をマッピングしかつ腎神経の理想的な除神経のための腎動脈内のアブレーションスポットを識別するために、血圧や心拍数などの生理反応の変化をモニタリングする間に電気刺激を使用する工程を含む。このような方法は、血圧や心拍数などの生理反応をモニタリングする間に基礎的な腎神経を刺激するための電荷を発するために、記載されたカテーテルの独立した電極を活性化する工程を含み、生理反応の変化の存在は、アブレーションのために活性化された電極および上方の場所の付近にある基礎的な交感神経の存在を示している。マッピングデータの集合は、臨床医によるアブレーションの実行を補助するために腎神経分布を尊重する、臨床的に有用なガイドの形態を取る場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】動脈壁を神経支配する機能的な神経を位置特定しかつ識別するための本発明のシステムの図である。該システムは、動脈壁へのエネルギーの送達のためのデバイス(101)、デバイス(101)に動力を供給するための電源(102)、生理的パラメータの信号を検出するためのセンサー(103)、センサー(103)からのデータを分析するためのデバイス(104)、およびデバイス(104)からの結果を表示するインジケータ(105)を含む。
【
図2】機能的な交感神経または副交感神経が、動脈壁へ送達されたある用量のエネルギーの付近にあるかどうかを判定する方法の実施形態における工程を表す、概略図である。グラフは、起こり得る記録された生理的信号を例示する。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る単一の螺線アブレーションカテーテルの遠位部(カテーテル先端)の立面図を示す。ここで、電極(301)は螺線の長さに沿って90°の間隔で配され、螺旋コイル(303)自体は円形であり、「L」は遠位部の長さを明示し、「l」は単一のコイルの一巻きの長さを明示し、「d」は、カテーテル先端の直径を明示し、「D」は螺旋コイルの直径を明示している。
【
図3B】
図3Aに示されるアブレーションカテーテルの螺線における単一の完全なコイル中での電極(301)の分布を示す。
【
図3C】リードの送達方向からの、
図3Aに示される実施形態に係る単一の螺線アブレーションカテーテルの遠位部の末端図(end-on view)を示し、電極(301)を備えたコイルの最初の一巻きのみを表示する。
【
図3D】本発明の実施形態に係る単一の螺線アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(305)は螺線の長さに沿って120°の間隔で配され、螺旋コイル(307)自体は円形である。
【
図3E】
図3Dに示されるアブレーションカテーテルの螺線における単一の完全なコイル中での電極(305)の分布を示す。
【
図3F】リードの送達方向からの、
図3Dに示される実施形態に係る単一の螺線アブレーションカテーテルの遠位部の末端図を示し、電極(305)を備えたコイルの最初の一巻きのみを表示する。
【
図3G】本発明の実施形態に係る単一の螺線アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(309)は螺線の長さに沿って90°の間隔で配され、螺旋コイル(311)自体は平らである。
【
図3H】
図3Gに示されるアブレーションカテーテルの螺線における単一の完全なコイル中での電極(309)の分布を示す。
【
図3I】本発明の実施形態に係る単一の螺線アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(313)は螺線の長さに沿って120°の間隔で配され、螺旋コイル(315)自体は平らである。
【
図3J】
図3Iに示されるアブレーションカテーテルの螺線における単一の完全なコイル中での電極(313)の分布を示す。
【
図4A】本発明の実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示す。電極(417)は別個の螺線それぞれの長さに沿って90°の間隔で配され、螺旋コイル(419)は円形であり、「L」は遠位部の長さを明示し、「l」は各螺旋コイルの一巻きの長さを明示する。
【
図4B】リードの送達方向からの、
図4Aに示される実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部の末端図を示し、電極(417)を備えた各コイルの最初の一巻きのみを表示する。
【
図4C】本発明の実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示す。電極(421)は別個の螺線それぞれの長さに沿って120°の間隔で間隔をおいて配され、螺旋コイル(423)は円形であり、「L」は遠位部の長さを明示し、「l」は各螺旋コイルの1回転の長さを明示する。
【
図4D】リードの送達方向からの、
図4Cに示される実施形態に係る二重螺旋アブレーションカテーテルの遠位部の末端図を示し、電極(421)を備えた各コイルの最初の一巻きのみを表示する。
【
図4E】本発明の実施形態に係る二重螺線アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(425)は別個の螺線それぞれの長さに沿って90°の間隔をおいて配され、螺旋コイル(427)は平らである。
【
図4F】本発明の実施形態に係る二重螺線アブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(429)は別個の螺線それぞれの長さに沿って120°の間隔をおいて配され、螺旋コイル(431)は平らである。
【
図5A】本発明の実施形態に係るバルーンアブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示す。バルーン(533)は膨張しており、電極(535)は、円形でありかつバルーンの周囲に巻き付けられた螺旋コイル(537)に沿って均一に間隔を置いて配される。
【
図5B】バルーン(541)を包む傘のような構成要素(539)を組み込んだ本発明の実施形態に係るバルーンアブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示す。バルーンは膨張しており、電極(543)はバルーンを包む傘に沿って間隔を置いて配されている。
【
図6A】閉端を持つ傘のようなフレーム(645)を組み込んだ本発明の実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(647)は傘のようなフレームに沿って間隔を置いて配されている。
【
図6B】リードの送達方向からの、
図6Aに示されるような実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部の末端図を示す。
【
図6C】開放端を持つ傘のようなフレーム(649)を組み込んだ本発明の実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示し、電極(651)は傘のようなフレームに沿って間隔を置いて配されている。
【
図6D】リードの送達方向からの、アブレーションカテーテルの遠位部の末端図を示す。
【
図7A】単電極(755)が操縦可能なカテーテル先端(753)に位置する、本発明の実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部の立面図を示す。
【
図7B】リードの送達方向からの、
図7Aに示されるような実施形態に係るアブレーションカテーテルの遠位部の末端図を示し、電極(755)を表示している。
【
図8】神経のマッピング実験に使用されるブタを用いた急性実験のための実験処置を示す。
【
図9A】動脈収縮期血圧(ASP)に対する左腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。左腎動脈(LRA)を電気的に刺激した後の動脈収縮期血圧(ASP、mmHgで測定される)が示され;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の応答が示される。
【
図9B】動脈拡張期血圧(ADP)に対する左腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。左腎動脈(LRA)を電気的に刺激した後の動脈拡張期血圧(ADP、mmHgで測定される)が示され;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の応答が示される。
【
図9C】平均動脈圧(MAP)に対する左腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。左腎動脈(LRA)を電気的に刺激した後の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定される)が示され;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の応答が示される。
【
図9D】心拍数(HR)に対する左腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。左腎動脈(LRA)を電気的に刺激した後の心拍数の最大および最小の変化が示され;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の心拍数が示される。
【
図10A】動脈収縮期血圧(ASP)に対する右腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。右腎動脈(RRA)を刺激した後の動脈収縮期血圧(ASP、mmHgで測定される)が示され;ベースライン尺度、および電気的に刺激した後の最大および最小の応答が示される。
【
図10B】動脈拡張期血圧(ADP)に対する右腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。右腎動脈(RRA)を電気的に刺激した後の動脈拡張期血圧(ADP、mmHgで測定される)が示され;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の応答が示される。
【
図10C】右腎動脈(LRA)を電気的に刺激した後の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定される)を示し;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の応答が示される。
【
図10D】心拍数(HR)に対する右腎動脈の刺激の最大および最小の効果を示す。右腎動脈(RRA)を電気的に刺激した後の心拍数の最大および最小の変化が示され;ベースライン尺度、および刺激した後の最大および最小の心拍数が示される。
【
図11】腎内動脈への刺激を腎動脈の特定の位置へ適用してすぐの心拍数の減少を示す。
【
図12A】左腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈収縮期血圧(ASP)の変化を示す。左腎動脈(LRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈収縮期血圧(ASP、mmHgで測定される)の変化が示される。
【
図12B】左腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈拡張期血圧(ADP)の変化を示す。左腎動脈(LRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈拡張期血圧(ADP、mmHgで測定される)の変化が示される。
【
図12C】左腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の平均動脈圧(MAP)の変化を示す。左腎動脈(LRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定される)の変化が示される。
【
図12D】左腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の心拍数(HR)の変化を示す。左腎動脈(LRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の心拍数の変化が示される。
【
図13A】右腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈収縮期血圧(ASP)の変化を示す。右腎動脈(RRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈収縮期血圧(ASP、mmHgで測定される)の変化が示される。
【
図13B】右腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈拡張期血圧(ADP)の変化を示す。右腎動脈(RRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の動脈拡張期血圧(ADP、mmHgで測定される)の変化が示される。
【
図13C】右腎動脈の4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の平均動脈圧(MAP)の変化。右腎動脈(RRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の平均動脈圧(MAP、mmHgで測定される)の変化が示される。
【
図13D】右腎動脈における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の心拍数(HR)の変化を示す。右腎動脈(RRA)における4回に分けられた腎臓のアブレーションの間の心拍数の変化が示される。
【
図14】慢性の腎神経のアブレーション実験のための実験装置を示す。
【
図15】屠殺された動物から採取された腎動脈のセクションのための組織図のスキームを示す。
【
図16】様々な位置(RA:腎動脈;AA:腹部大動脈)における電気的刺激の結果としての動脈収縮期血圧の変化を示す。
【
図17A】本発明に記載の一実施形態における全長のアブレーションのアブレーションスキームを示し;腎動脈上の各灰色の円はアブレーション部位を表す。
【
図17B】本発明に記載の一実施形態における近位のアブレーションのアブレーションスキームを示し;腎動脈上の各灰色の円はアブレーション部位を表す。
【
図18A】本発明に記載の一実施形態における全長のアブレーションの結果としての血圧の減少を示す。
【
図18B】本発明に記載の一実施形態における近位のアブレーションの結果としての血圧の減少を示す。
【
図19A】中国人のサンプル集団における左の主腎動脈(mRA)の長さの分布を示す。左のmRAの平均の長さは28.46±12.09mmであった。1mmから70mmまで、長さを5mmの間隔で14セクションに分割した。25-30mmの長さを有する左の主腎動脈を持つ人々が、この集団において最大の群(18.6%)を構成した。
【
図19B】中国人のサンプル集団における右の主腎動脈(mRA)の長さの分布を示す。右のmRAの平均の長さは35.94±15.57mmであった。1mmから70mmまで、長さを5mmの間隔で14セクションに分割した。左のmRAと比較して、右のmRAの長さは比較的多様化した。40-45mmの長さを有する右の主腎動脈を持つ人々が、この集団において最大の群(16.4%)を構成した。
【
図20A】中国人のサンプル集団における小孔の左の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20B】中国人のサンプル集団における1/3の長さの腎動脈の左の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20C】中国人のサンプル集団における2/3の長さの腎動脈の左の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20D】中国人のサンプル集団における腎動脈の分岐部の左の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20E】中国人のサンプル集団における小孔の右の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20F】中国人のサンプル集団における1/3の長さの腎動脈の右の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20G】中国人のサンプル集団における2/3の長さの腎動脈の右の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図20H】中国人のサンプル集団における腎動脈の分岐部の右の主腎動脈の直径の分布を示す。
【
図21A】本発明の一実施形態における複数電極(2101)を有する1ループ渦巻状構造(2100)を含むカテーテル先端を示す。
【
図21B】複数の電極(2101)を有する1ループ渦巻状構造(2100)を含む、遠心端から見た、
図21Aと同じカテーテル先端を示す。
【
図21C】本発明の一実施形態における複数の電極(2111)を有する2ループ渦巻ピラミッド状構造(2110)を含むカテーテル先端を示す。
【
図21D】複数の電極(2111)を有する2ループ渦巻ピラミッド状構造(2110)を含む、遠心端から見た、
図21Cと同じカテーテル先端を示す。
【
図22A】複数の電極(2201)を有する弾性部材(2200)を含む本発明の一実施形態におけるカテーテル先端を示す。弾性部材(2200)は、それらの近位端で制御軸(2203)へ取り付けられている。弾性部材(2200)は管状構造(2204)へと引き戻される。
【
図22B】制御軸(2203)によって管状構造(2204)から外へ押し出される弾性部材(2200)および電極(2201)を備えた、
図22Aと同じカテーテル先端を示す。
【
図22C】
図22Aの実施形態に変更を加えたカテーテル先端を示す。制御リング(2205)は、弾性部材(2200)を収めて、弾性部材(2200)および電極(2201)が制御軸(2203)によって管状構造(2204)から外へ押し出されるときに、弾性部材(2200)の拡張量を制御するために使用することができる。
【
図23A】複数の電極(2301)を有する弾性部材(2300)を含む本発明の一実施形態におけるカテーテル先端を示す。弾性部材(2300)は、それらの遠心端が制御ロッド(2305)に取り付けられている一方、それらの近位端で制御軸(2303)に取り付けられている。弾性部材(2300)は管状構造(2304)へと引き戻される。
【
図23B】制御ロッド(2305)上に引き戻すことなく制御軸(2303)によって管状構造(2304)から外へ押し出される弾性部材(2300)を備えた、
図23Aと同じカテーテル先端を示す。
【
図23C】制御軸(2303)によって管状構造(2304)から外へ押し出される弾性部材(2300)を備えた、
図23Aと同じカテーテル先端を示す。制御ロッド(2305)は弾性部材(2300)を膨らませるように引き戻される。
【
図24】近位のアブレーションのためのカテーテルの設計の実施形態を示し、ここで単一のカテーテルは、電気的刺激のための電極(2411)の第一セット、およびアブレーションのための電極(2421)の第二セットを有する。
【
図25】近位のアブレーションのためのカテーテルの設計の実施形態を示し、ここで1つのカテーテル(2510)は電気的刺激のために使用され、別のカテーテル(2520)はアブレーションのために使用される。
【
図26】本発明の一実施形態のカテーテルを使用するときの生理学的パラメータの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本明細書の全体にわたって言及されるように、用語「カテーテル」は、アブレーションまたは他の動作のための望ましい標的の解剖学的構造への導入を意図した遠位部から、カテーテルがRF発生装置にカテーテルを連結するケーブルに接する接合部を通って延びるカテーテル装置の全長を言及することを留意すること。本明細書を通じて言及されるように、用語「カテーテル先端」は、電極を備え、かつ標的とされた作用部位において身体内で刺激、アブレーション、およびマッピングの機能を実行するカテーテルの遠位部を言及するために使用される。用語「カテーテル先端」は、任意の列挙されたカテーテルの「遠位部」を言及する用語と交換可能に使用される。
【0066】
アブレーションの成功を可能にする前に、腎神経の構造を最も考慮しなければならず;したがって、除神経のためのカテーテル処置の成功を可能にする前に、個々の腎神経の構造を慎重に検討するか、マッピングしなければならない。異常な、または、普通ではない腎構造の存在、および個体間の腎神経の構造における正常な変動には、アブレーション前に腎神経のマッピングが必要となる。言い換えれば、アブレーションのための最善なスポットが人それぞれ、かつ動脈によって変動するという意味で、アブレーションのための最善なスポットが「ランダム」であるため、カテーテル除神経前に腎神経のマッピングが必要である。したがって、最適なアブレーションは、カテーテルアブレーション前に腎神経の特定またはマッピングを必要とする。
【0067】
本発明は、動脈、とりわけ腎動脈の壁における機能的な神経を用いて支配された部位を位置付けるためのシステムおよび方法を提供するが、当業者は、人体の他の動脈または血管を支配する神経が、本発明を使用して位置付けられこともあることを理解する。システムは、動脈の壁に対する1回分のエネルギーを送達することが可能な1つ以上のデバイスと;生理学的シグナルの入力を受信する1つ以上のセンサーと;センサーからのシグナルを分析するための1つ以上のデバイスと;分析の結果を表示可能な1つ以上のインジケータまたはパネルと;を含む。
【0068】
図1は、神経応答を識別するための生理学的パラメータとして血圧および心拍数を使用する、本発明、すなわち腎除神経システムの態様に従って、典型的なシステムを図示する。システムは、電源(102)と電気的に接続される動脈壁へエネルギーを送達するための1つ以上のデバイス(101)を含む。システムは、生理学的シグナルを分析するためのデバイス(104)と電気的に接続される、生理学的シグナルを検出するためのセンサー(103)をさらに含む。デバイス(104)と電気的に接続されるインジケータ(105)は、デバイス(104)からの分析の結果を表示する。デバイス(101)は、二重機能カテーテルの形をとって示され、本実施形態における最小限で侵襲性の介入処置によって、腎動脈へと挿入されるデバイス(101)の電極の少なくとも1つは画定された位置において腎の動脈壁と接触し、電極が接触した動脈壁の領域を支配することもある神経を刺激またはアブレーションするために、電源(102)から1回分のエネルギーを送達することができる。神経を刺激またはアブレーションするのに十分なエネルギーが、デバイス(101)上の電極から、動脈壁上で電極が接触しているスポットへ送達されるため、センサー(103)は血圧および/または心拍数の変化を検出する。センサー(103)からのシグナルは、誘発されたシグナルが交感神経もしくは副交感神経、またはそれらの不足に起因するかどうかデジタル方式で測定するデバイス(104)に入力されるだろう。その後、インジケータ(105)は、デバイス(104)からの分析の結果を表示するだろう。
【0069】
本発明の一実施形態では、デバイス(101)は、動脈を支配する神経へエネルギーを送達可能な動脈へと挿入される侵襲性のデバイスであり、結果として神経の刺激またはアブレーションをもたらす。別の実施形態では、デバイス(101)は2つの別々の構成要素から構成され、1つが神経を刺激するためのエネルギーを送達し、他の構成要素が神経のアブレーションを行う。異なる実施形態では、デバイス(101)は単電極カテーテルまたはマルチ電極カテーテルである。
【0070】
一実施形態では、電源(102)はデバイス(101)によって動脈壁にエネルギーを送達する。別の実施形態では、エネルギーは、デバイス(101)を用いることなく、人体を介して電源(102)により動脈壁へと遠隔的に送達される。さらなる実施形態では、電源(102)は、動脈壁上の別個の位置に、分割した量のエネルギーを独立して送達する事ができるマルチチャネル電源である。他の実施形態では、電源(102)は、1回分のエネルギーのみを毎回送達することができる単一チャネル電源である。別の実施形態では、電源(102)により送達されるエネルギーの量は、刺激またはアブレーションなどの、標的とされた神経における様々な効果を誘発するように調整可能である。さらなる実施形態では、電源(102)により送達されるエネルギーは、電気的、機械的、超音波、放射線、光、および熱エネルギーの1つ以上である。
【0071】
一実施形態では、センサー(103)は、血圧、心拍数、エピネフリン(ノルエピネフリン)、レニン-アンジオテンシンII、およびバソプレシンなどの生化学物質の値、心臓の電気的活動、筋活動、骨格神経活動、細胞の活動電位、ならびに瞳孔反応、筋電図、および血管狭窄などの上記の結果としての他の測定可能な反応を含む生理学的パラメータからのシグナルを検出する。さらなる実施形態では、センサー(103)は、任意の人体の部分と接触して、または接触することなく上記シグナルを外部的に検出する。別の実施形態では、センサー(103)は、腎動脈もしくは大腿動脈、または他のいかなる動脈などの目的の内腔に接触させて置く、またはその内腔の付近に置くことによって、人体の内部で上記シグナルを検出する。さらなる別の実施形態では、センサー(103)は、介入処置の間に本発明と合わせて使用される、別の設備の部分からのセンサーでありうる。
【0072】
一実施形態では、デバイス(104)は、センサー(103)から直接または間接的に発生するシグナルのデジタル分析が可能な、1つ以上のマイクロコントローラまたはコンピュータである。
【0073】
一実施形態では、インジケータ(105)は、デバイス(104)の分析からの結果を表示する1つ以上のデジタル目視パネルである。別の実施形態では、動脈壁上の多数の位置からの上記分析の1つ以上の結果は、インジケータ(105)に同時に表示される。さらなる実施形態では、インジケータ(105)は、センサー(103)からの以下の1以上の生理学的シグナルも表示する;電流、周波数、電圧などの電源(102)からのエネルギー関連情報;インピーダンスなどの組織電極インターフェース関連情報;および、温度などのデバイス(101)に関連する情報。特定の実施形態では、インジケータ(105)は、各に明確に交感神経または副交感神経を表すか、神経を表さない様々な着色光のセットを含む。他の実施形態では、インジケータ(105)は、テキスト、記号、色、音、または上記のものの組み合わせを用いて、デバイス(104)の分析からの結果を表す。
【0074】
特定の実施形態では、デバイス(104)およびインジケータ(105)は単一のデバイスとして統合され、さらなる実施形態では、デバイス(104)およびインジケータ(105)の両方は電源(102)へと統合される。
【0075】
さらなる別の実施形態では、センサー(103)、デバイス(104)、およびインジケータ(105)が、高強度焦点式超音波などの、血管壁へとエネルギーを送達するための他の外部の方法、または侵襲性の方法を用いて使用することができるように、センサー(103)、デバイス(104)、およびインジケータ(105)は、デバイス(101)および電源(102)から独立して存在する。
【0076】
本発明は、1回分のエネルギーにより誘発された生理学的パラメータの変化に基づく、動脈壁上の選択した領域を支配する、機能的な交感神経または副交感神経の存在を識別する方法をさらに提供する。方法は、動脈壁へ1回分のエネルギーを送達する前に測定される生理学的パラメータのベースラインを準備する工程;1回分のエネルギーを動脈壁へ送達する工程;送達されたエネルギーの結果としての生理学的変化を検出する工程;経験に基づいて前もって決めた値のセットに基づいて変化を評価する工程;その評価に基づいて、エネルギーを送達した部位の付近に機能的な交感神経または副交感神経が存在するかどうかを判定する工程;の1つ以上を含む。
【0077】
図2は、動脈壁の選択した領域を支配する、任意の機能的な交感神経または副交感神経の存在を判定するための方法の工程を例示するフローチャートである。
【0078】
工程(1)において、センサー(103)からの生理学的シグナルは、シグナルの任意の瞬間的な変化を反映する確かなベースラインを生成するデバイス(104)により継続的に記録される。
【0079】
その後、エネルギーは、デバイス(101)の電極のうち1つにより、この電極が接している動脈壁上の領域に送達される(工程(2))。センサー(103)は、送達されたエネルギーにより引き起こされた任意の生理学的変化を検出し、その変化を、その後デバイス(104)に送信されるシグナルとして記録する(工程(3))。
【0080】
工程(4)において、デバイス(104)は、工程(1)のベースラインから生理学的シグナルの偏差を測定し、工程(5)において、ベースライン情報からの偏差に基づいて動脈壁上の領域を支配する神経のタイプを測定する。
【0081】
一実施形態では、センサー(103)により検出された生理学的シグナルは、血圧、心拍数、エピネフリン(ノルエピネフリン)、レニン-アンジオテンシンII、およびバソプレシンなどの生化学物質の値、心臓の電気的活動、筋活動、骨格神経活動、細胞の活動電位、ならびに瞳孔反応、および血管狭窄などの上記の結果としての他の観察可能な生体反応の1つ以上を含む。
【0082】
一実施形態では、工程(2)において送達されたエネルギーの量は。神経刺激または神経のアブレーションなどの、標的とされた神経との様々な相互作用を誘発するように調整可能である。
【0083】
特定の実施形態では、生理学的シグナルの値は、他の外部デバイスを使用して測定され、デバイス(104)により形成されたベースラインを置き換えるためにエネルギーを送達する前にデバイス(104)へと入力される。
【0084】
一実施形態では、生理学的パラメータの変化は、工程(2)におけるエネルギー送達プロセスの間に、またはそのエネルギー送達プロセスの後に検出される。別の実施形態では、生理学的パラメータの変化は数値または波形の形式である。さらなる実施形態では、工程(1)のベースラインからの偏差は、シグナルから工程(1)のベースラインを減じることにより評価される。
【0085】
一実施形態では、経験に基づいて前もって決めた値のセットは、臨床データのセットから得られる、または臨床医の経験から推定されうる。いくつかの実施形態では、動脈壁上の領域は、その領域に送達されるエネルギーが心拍数を10拍動/分ずつ増加させる、および/または血圧を6mmHgずつ増加させるときに、交感神経により支配されると考慮される。他の実施形態では、動脈壁上の領域は、その領域に送達されるエネルギーが心拍数を5拍動/分ずつ減少させる、および/または血圧を2mmHgずつ減少させるときに、副交感神経により支配されると考慮される。
【0086】
さらなる実施形態では、工程(5)の結果はインジケータ(105)に表示されるだろう。
【0087】
一実施形態では、方法は、交感神経系および副交感神経系によって圧反射を妨害するように、動脈壁の神経のアブレーションに適切な部位を識別するために使用される。別の実施形態では、方法は、アブレーションのエネルギーが動脈壁の標的とされた神経に正確に送達されるかどうかの指標を提供する。さらなる実施形態では、方法は神経のアブレーションの直後の手順を評価するために使用される。
【0088】
別の実施形態では、血管の神経支配された領域のマップは、血管の全内壁の全体にわたって上記方法を反復して適用することにより得られる。さらなる実施形態では、生成された上記マップは、介入処置の間に医師へ神経支配された領域の3D画像を表示するために、核磁気共鳴画像法、コンピュータ断層撮影、または超音波などの断層画像技術から、前もって決めたデータを使用して得られるように血管の3次元(3D)構造に関連づけられうる。介入処置の間にX線または超音波などの実際の画像処理技術を用いて、血管内のカテーテルの瞬間的位置を画像化することができる。さらなる別の実施形態では、高度な画像処理技術によって、血管の3D構造が、マッピングするカテーテルの瞬間的位置と関係づけられ、それにより電気的刺激の位置と、神経の支配、アブレーションの位置と、および血管の3D構造との間の関係が確立される。
【0089】
本発明は、腎構造へカスタマイズされた形状の操作可能な遠心端(すなわちカテーテル先端)を備える特別に設計されたカテーテルに提供し、それによって腎神経の分布をマッピングし、腎臓のアブレーションを実行し、血管造影検査を行うための1つ以上の電極を有する。特定の実施形態では、そのようなカテーテルの電極は、カテーテル先端の長さに沿って連続して間隔を置かれ、ここで電極面は腎動脈内腔の分割される部分と接触する。特定の実施形態では、カテーテル先端の形状は単一の螺旋であり、ここで螺旋のコイルは丸または平坦のいずれかの形状である(
図3A-J)。他の実施形態では、カテーテル先端は二重螺旋であり、ここでその螺旋のコイルは丸または平坦のいずれかの形状である(
図4A-F)。さらなる実施形態では、カテーテル先端は、周囲を螺旋コイルで巻き付けられているバルーンを含むこともあり、ここで、電極は螺旋コイルの長さに沿って一定間隔で配置され(
図5A);代替的に、カテーテル先端は、傘型の構成要素よって包まれるバルーンを含むこともあり、ここで、電極は傘型の構成要素に沿って一定間隔で配置される(
図5B)。
図5Aおよび5Bに示される実施形態の両方の変化形体では、コイルまたは傘型の構成要素は丸または平坦な形状のいずれかであってもよく;それゆえ、コイルまたは傘の長さに沿って一定間隔で配置された電極は、コイルまたは傘の根本的な形状に依存して、丸または平坦な形状であってもよい。
【0090】
さらなる実施形態では、カテーテル先端は閉塞端を備える傘の形状またはフレームを含むか(
図6A-B)、または開放端を備える傘(
図6C-D)を含むこともある。
【0091】
別の実施形態では、カテーテルは、その先端において単電極を備える操作可能なカテーテル先端を有する(
図7A-B)。
【0092】
特定の実施形態では、上記のカテーテル先端は、ステントの機能を果たすように動脈の構造へと導入されることもある。
【0093】
一実施形態では、これらのカテーテル先端の直径であるdは、0.5mmから10mmまで変動することもあり;カテーテル先端の長さであるLは、20mmから80mmまで変動することもあり;コイルの直径であるDは、3.0mmから7.5mmまで変動することもあり;各コイル間の距離であるlは、4mmから6mmまで変動することもあり;コイルの巻数(numbers of coils)は、3.3から20まで変動することもあり;そしてコイルの十分に巻かれていない長さは、31mmから471mmまで変動することもある。
【0094】
カテーテルの電極は、電気刺激または高周波エネルギーを放射するために、互いに独立して活性化されてもよく、あるいは任意の組み合わせで活性化され得る。電極の各々は、電気刺激あるいは高周波エネルギーを送達するという二重機能を備える。電気刺激は、重要な腎神経がその下に位置する、腎動脈内腔のセグメントを特定し、マッピングするために使用される。上記の特定およびマッピングは、血圧の反応および心拍数の変化、あるいは筋肉の交感神経活動(Schlaich et al.,NEJM 2009)、あるいは腎臓のノルエピネフリン溢流(Esler et al.2009,およびSchlaich et al.,J Htn.2009)などの生理反応、または、用いられた電気刺激に対する反応をモニタリングすることによって達成される。その生理反応における変化は、活性化された電極の近くの下層に交感神経が分布することを示す。別の実施形態では、カテーテルの個々の電極を、最大の生理反応、および下にある腎神経の必然の位置を評価するために、医師のオペレーターが選択した組み合わせにおいて活性化してもよい。カテーテルの電極は、単に腎神経を刺激するのに十分な強さの電流だけでなく、腎神経のマッピング結果に基づいて下にある腎神経組織を切除するために、高周波エネルギー等の熱エネルギーを放射することもできる。他の実施形態では、カテーテルの個別の電極を、高い高周波エネルギーなどのアブレーションエネルギーを放射するために選択的に活性化することができ、活性化される電極の選択は、神経のマッピング結果に基づく。さらなる実施形態では、腎神経のマッピングに基づいて、レーザーエネルギーなどの他のタイプのアブレーションエネルギーを使用する切除技術、高密度焦点式超音波、あるいは冷凍アブレーション技術を、腎交感神経を切除するために腎動脈壁に対して使用することができる。
【0095】
特定の実施形態では、これらのカテーテルを、既存の心臓カテーテルシステムで現在利用されている既存の高周波発生器と、互換的に使用する。
【0096】
ある実施形態では、前述のカテーテルシステムを、望ましい位置にカテーテル先端を誘導するために予め患者の体に挿入された、任意の種類の許容可能なカテーテルガイドワイヤーと共に使用してもよい。さらに、心臓血管および腎脈管系内で同様の装置の通過を促進するために使用することができるシースおよび拡張器などの、装置および他の器具と共に使用してもよい。必要な時には、前述のカテーテルシステムをさらに、カテーテル先端を配置するためにプラーワイヤーと共に使用してもよい。
【0097】
本発明はさらに、腎神経分布をマッピングするために本明細書に記載のカテーテルを使用する方法を提供し、該方法は、腎神経分布をマッピングするために、また腎神経の理想的な除神経のための腎動脈内のアブレーションスポットを特定するために、血圧および心拍数などの生理反応の変化をモニタリングしながら電気刺激を使用する工程を含む。これらの方法は、血圧および心拍数などの生理反応をモニタリングしながら、下にある腎神経を刺激するための電荷を放射するために、記載されるカテーテルの独立した電極を活性化する工程を含み、生理反応に変化があることは、活性化された電極の近く、およびアブレーションのための上部位置において、交感神経が下にあることを示す。マッピングデータの凝集は、臨床医がアブレーションを行うのを助けるために、腎神経分布に関する臨床的に有用な誘導形式をとってもよい。
【0098】
一実施形態では、腎動脈内腔の望ましい部分と接触させるために、特定のプロトコルに従って、上記カテーテル先端を血管内で随意に移動させてもよい。一実施形態では、上記の方法でカテーテル先端を移動させるための随意のプロトコルは、カテーテル先端の刺激用またはアブレーション用の部分を、腎臓の内部に近接する腎動脈の半分から、大動脈に近接する腎動脈の半分へと移動させ、そして1回以上の電気刺激を2つの半分それぞれに与えることを含む。
【0099】
別の実施形態では、カテーテル先端を移動させるための任意のプロトコルには、以下の順序でカテーテル先端の刺激用またはアブレーション用の部分を腎動脈内で回すことを含む:(a)動脈の前壁から動脈まで回す;(b)動脈の後壁から上壁まで回す;および(c)動脈の上壁から下壁まで回す、それぞれの回転は90°以下である。一実施形態では、腎動脈内でのカテーテル先端の回転の後に、1回以上の電気刺激が加えられる。
【0100】
一実施形態では、与えられた電気刺激は以下のパラメータ内に収まる:(a)2~30ボルト間の電圧;(b)100~1000オーム間の抵抗;(c)5~40ミリアンペア間の電流;(d)0.1~20ミリ秒間での適用;およびe)1~5分間の合計適用時間。
【0101】
本発明はさらに、全身性の腎神経活動過多によって引き起こされる疾病を治療するために腎神経を切除する方法を提供し、該方法は:(a)腎神経をマッピングするために、本明細書に記載のマッピング方法を適用する;(b)マッピングされた腎神経を切除するために、カテーテルを介して、腎動脈内腔の部位特異的な部分に高周波エネルギーを適用する;および(C)アブレーションの効果を評価するために再度、刺激を与える、を含む。さらなる実施形態では、腎神経のマッピングに基づいて、当技術分野において周知の他のアブレーション技術、例えば、レーザーエネルギーなどの他のアブレーションエネルギーを使用するアブレーション技術、高密度焦点式超音波、あるいは冷凍アブレーション技術などを、腎交感神経を切除するために腎動脈壁に使用することができる。
【0102】
本発明はさらに、被験体の血管壁を支配する機能的な神経の位置を特定する、あるいは識別する方法を提供し、該方法は、a)血管の神経支配に関連する1つ以上の生理的パラメータを変化させるのに十分なように、上記血管壁上の1つ以上の位置へ、交感神経あるいは副交感神経によってエネルギーを送達する;およびb)エネルギーの各送達の後に、上記1つ以上の生理的パラメータを測定し、および、上記血管へのエネルギー送達をせずに得られた対応するパラメータからの変化を判定する;工程を含み、ここで、工程bにおける上記生理的パラメータに変化がないのは、エネルギー送達位置に機能的な神経が存在しないことを示し、工程bにおける上記生理的パラメータの有意な変化は、エネルギー送達位置に機能的な神経が存在することを示し、また、工程bにおける上記生理的パラメータの変化の動向は、エネルギー送達位置の神経が交感神経か副交感神経であるかを判定する。一実施形態では、血管は腎動脈を含む動脈である。一実施形態では、機能的な神経は圧反射に関係する。別の実施形態では、該方法の被験体はヒトあるいはヒト以外の動物である。変化がないことは、当業者がその変化を無視してもよい、あるいは統計的に有意ではないと見なすだろうことを意味し、有意な変化は、当業者がその変化を意義あるものとして、あるいは統計的に有意であると見なすであろうことを意味する、と理解される。
【0103】
一実施形態では、被験体の血管壁を支配する機能的な神経の位置を特定する、あるいは識別するために使用される方法は、神経が切除された位置へとエネルギーを送達する工程を含み、ここにおいて上記生理的パラメータに変化がないことにより神経のアブレーションが確認される。一実施形態では、送達されたエネルギーは調整可能であり、また、電気、機械、超音波、放射線、光、および熱のエネルギーから成る。別の実施形態では、送達されたエネルギーは神経刺激または神経のアブレーションを引き起こす。
【0104】
一実施形態では、被験体の血管壁を支配する機能的な神経の位置を特定する、あるいは識別するために使用される方法において記載された生理的パラメータは、血圧、心拍数、心臓の電気的活動、筋活動、骨格の神経活動、細胞の活動電位、瞳孔の反応、筋電図、血管収縮、および、エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンジオテンシンIIおよびバソプレシンから選ばれた生化学物質のレベル、から選択される。別の実施形態では、機能的な神経は交感神経または副交感神経である。
【0105】
一実施形態では、被験体の血管壁を支配する機能的な神経の位置を特定する、あるいは識別するためのシステムは:a)上記血管を支配する神経を刺激するのに十分なように、上記の壁上の1つ以上の位置にエネルギーを送達するように構成されたエネルギー送達装置;b)上記エネルギー送達装置によってエネルギーが上記神経に送達される前または後に、交感神経または副交感神経による上記血管の神経支配に関連する1つ以上の生理的パラメータを測定するための、1つ以上の測定器;およびc)上記血管壁を支配する神経の位置および正体を表示するために、1つ以上の測定器に連結するように構成された装置、を含む。一実施形態では、測定器は血管内部、あるいは体外に配置される。別の実施形態では、測定器は1つ以上のマイクロコントローラあるいはコンピューターを含む。
【0106】
一実施形態では、上記システムは神経の位置および正体を、文字、マーク、色、音、波形、あるいはそれらの組み合わせによって表示する。
【0107】
一実施形態では、上記システムは、被験体の血管壁を支配する機能的な神経を位置付ける、あるいは識別するための方法において使用され、該方法は、a)上記血管の神経支配に関連する1つ以上の生理的パラメータを変化させるのに十分なように、上記血管壁上の1つ以上の位置へと、交感神経あるいは副交感神経によってエネルギーを送達する;およびb)エネルギーの各送達の後に、上記1つ以上の生理的パラメータを測定し、および、上記血管へのエネルギー送達をせずに得られた対応するパラメータからの変更を判定する;工程を含み、ここで、工程bにおける上記生理的パラメータに変化がないのは、エネルギー送達位置に機能的な神経が存在しないことを示し、工程bにおける上記生理的パラメータの有意な変化は、エネルギー送達位置に機能的な神経が存在することを示し、また、工程bにおける上記生理的パラメータの変化の動向は、エネルギー送達位置の神経が交感神経か副交感神経であるかを判定する。
【0108】
本発明は、被験体の血管壁を支配する機能的な神経を位置付ける、あるいは識別するための方法への使用に適したカテーテルを提供し、該カテーテルはシャフトを含み、上記シャフトの近位端は、エネルギー源に連結されるように構成され、上記シャフトの遠位端(カテーテル先端)は、単一の螺旋、二重螺旋、あるいは1つ以上の電極を有する多数の突起の形状をしている。
【0109】
一実施形態では、上記カテーテルは、上記血管上の神経を刺激あるいは切除するのに十分なエネルギーを放射するように構成された1つ以上の電極を含む。さらなる実施形態では、上記電極を互いに独立して活性化してもよい。
【0110】
一実施形態では、上記カテーテルは長さ1~2mであり、そのカテーテル先端は長さ2~8cm、および直径0.5mm~10mmである。
【0111】
一実施形態では、上記カテーテルは、本質的に円形あるいは平らな形の螺旋コイルあるいは突起を含み、および電極は、上記コイルまたは突起の長さに沿って一定間隔で配置され、上記電極は上記コイルあるいは突起に埋め込まれている、あるいは上記コイルまたは突起の表面上にある。一実施形態では、突起は遠位端で再結合される。さらに別の実施形態では、電極は、互いから90°または120°で、上記コイルの長さに沿って等間隔で配置される。
【0112】
一実施形態では、上記カテーテルは、上記螺旋コイルまたは突起内の空間を充填する膨張式バルーンを支えるように構成されたカテーテル先端を有する。
【0113】
本発明はさらに、被験体の血管壁を支配する機能的な神経を位置付ける、あるいは識別するためにカテーテルを使用する方法を提供し、該方法は:a)上記血管に上記カテーテルを挿入し、そして、上記血管の神経支配に関連する1つ以上の生理的パラメータを変化させるのに十分な、上記血管壁上の1つ以上の位置への、交感神経あるいは副交感神経によるエネルギーの送達のためにカテーテル上の電極を活性化する;およびb)各エネルギーの送達の後に、上記1つ以上の生理的パラメータを測定し、および、上記血管へのエネルギー送達をせずに得られた対応するパラメータからの変化を判定する;工程を含み、ここで、工程bにおける上記生理的パラメータに変化がないのは、エネルギー送達位置に機能的な神経が存在しないことを示し、工程bにおける上記生理的パラメータの有意な変化は、エネルギー送達位置に機能的な神経が存在することを示し、また、工程bにおける上記生理的パラメータの変化の動向は、エネルギー送達位置の神経が交感神経か副交感神経であるかを判定する。一実施形態では、上記血管は腎動脈を含む動脈である。一実施形態では、機能的な神経は圧反射に関係する。一実施形態では、エネルギーが送達される位置は、神経が切除された領域であり、ここで、工程bにおいて上記生理的パラメータに変化がないことにより神経切除が確認される。幾つかの実施形態では、被験体はヒト以外の動物である。別の実施形態において、記載された生理的パラメータは、血圧、心拍数、心臓の電気的活動、筋活動、骨格の神経活動、細胞の活動電位、瞳孔の反応、筋電図、血管収縮、および、エピネフリン、ノルエピネフリン、レニン-アンジオテンシンIIおよびバソプレシンから選ばれた生化学物質のレベル、から選択される。さらに別の実施形態では、上記エネルギーは調整可能であり、1つ以上の電気、機械、超音波、放射線、光、および熱のエネルギーから成る。一実施形態では、上記エネルギーは神経刺激あるいは神経のアブレーションを引き起こす。別の実施形態では、機能的な神経は交感神経または副交感神経である。さらに別の実施形態では、エネルギーを以下の範囲内で送達した:a)2~30ボルト間の電圧;b)100~1000オーム間の抵抗;c)5~40ミリアンペア間の電流;d)0.1~20ミリ秒間の適用時間;およびe)1~5分間の合計適用時間。
【0114】
一実施形態では、上記カテーテルを以下の順序で、血管内で移動させる:a)動脈の前壁から動脈へと、90°以下で回転;b)動脈の後壁から上壁まで、90°以下で回転;およびc)動脈の上壁から下壁まで、90°以下で回転。
【0115】
一実施形態では、本発明は、被験体の腎動脈に隣接する腎神経のアブレーションのための方法を提供し、該方法は:a)i)内腎動脈壁上の第1の部位を、1つ以上の第1の電極と接触させること;ii)上記第1の電極を介して上記第1の部位へ電流をもたらすことにより、第1の電気刺激を加えることであって、上記第1の部位の下に神経がある時、1つ以上の生理的パラメータの変化を誘発するのに十分であるように上記電流は制御され、上記1つ以上の生理的パラメータは、収縮期圧、拡張期圧、平均動脈圧、および心拍数から成る群から選択される;および、上記第1の電気刺激の後に上記1つ以上の生理的パラメータを測定することであって、上記第1の電気刺激の前に得られた測定値と比較した、上記生理的パラメータの増加は、腎神経の存在を示すことになることによって腎神経の存在を判定する工程;b)1つ以上の第2の電極に内腎動脈壁の第2の部位を接触させる工程であって、上記第2の部位は上記第1の部位と比較して、上記腎動脈の心門に近接する工程;c)上記第2の電極を介して上記第2の部位へアブレーションエネルギーを送達する工程;およびd)上記第1の電極を介して上記第1の部位に2回目の電気刺激を与え、上記2回目の電気刺激の後に上記生理的パラメータを測定する工程であって、上記2回目の電気刺激の後に上記生理的パラメータに増加がないのは、上記被験体の腎神経が切除されたことを示す工程、を含む。
【0116】
一実施形態では、該方法はさらに、もし上記被験体の最初の第2の部位でのアブレーションが腎神経を切除しなかった場合、新たな第2の部位で(b)から(d)への工程を繰り返すことを含む。
【0117】
一実施形態では、工程(c)でアブレーションエネルギーを送達するのに先立って、上記1つ以上の第2の電極によって上記第2の部位に電気刺激が与えられ、ここで、アブレーションエネルギーは、上記電気刺激前に得られた測定値と比較して上記生理的パラメータの増加を上記電気刺激が誘発した時にのみ送達される。
【0118】
一実施形態では、第2の部位は、心門に隣接する上記腎動脈の長さの3分の1内にある部位である。
【0119】
一実施形態では、第1の電極および第2の電極は一つのカテーテルに配置される。
【0120】
一実施形態では、第1の電極および第2の電極は異なるカテーテルに配置される。
【0121】
一実施形態では、電流は以下のパラメータのうちの1つ以上を有する:a)2~30ボルト間の電圧;b)100~1000オーム間の抵抗;c)5~40ミリアンペア間の電流;
d)0.1~20ミリ秒間の適用時間;およびe)1~5分間の合計適用時間。
【0122】
一実施形態では、第1の電極あるいは第2の電極を、その遠位端に拡張可能な先端を含むカテーテルに配置する。別の実施形態では、拡張可能な先端は、遠位端から見た時に3.5mmから20mmの範囲の直径を有する。さらなる実施形態では、拡張可能な先端は、あらかじめ形成された湾曲を有する1つ以上の弾性部材を収容する管状構造を含み、上記第1または第2の電極は上記1つ以上の弾性部材上に配され、上記1つ以上の弾性部材はそれらの近位端で制御シャフトに取り付けられ、上記制御シャフトの移動によって上記1つ以上の弾性部材は、上記管状構造から押し出されて上記あらかじめ形成された湾曲を回復し、あるいは上記管状構造へと引き戻される。
【0123】
一実施形態では、第1あるいは第2の電極を、1つ以上のループを持つ渦巻を含む構成を有するカテーテルの一部分に配する。別の実施形態において、該構成は、近位端から遠位端へと次第に小さくなっていくループを有する渦巻ピラミッドを含む。
【0124】
一実施形態では、本発明は、腎動脈上に分布する腎神経をマッピングおよび切除するためのカテーテルを提供し、該カテーテルは:a)電気刺激およびアブレーションエネルギーの一方あるいは両方を送達するように構成された1つ以上の電極を含む第1の電極セット;b)電気刺激およびアブレーションエネルギーの一方あるいは両方を送達するように構成された1つ以上の電極を含む第2の電極セット;を含み、ここで、上記第1と第2の電極セットは、上記カテーテルの遠位端に位置し、上記第1の電極セットは、上記第2の電極セットと比較して上記カテーテルの遠位端により近い。
【0125】
一実施形態では、上記第1の電極セットと上記第2の電極セットの相対距離は、調節可能である。
【0126】
一実施形態では、上記カテーテルの遠位端は、上記第1の電極セットまたは上記第2の電極セットが、多数の部位で腎動脈壁と接触できるようにする構成に含まれ、遠位端から見た時に上記構成は3.5mmから20mmの範囲の直径を有する。
【0127】
一実施形態では、第1あるいは第2の電極セットは、1つ以上のループを持つ渦巻を含む構成を有する上記遠位端に配される。別の実施形態において、該構成は近位端から遠位端へと次第に小さくなっていくループを有する渦巻ピラミッドを含む。ある実施形態では、上記カテーテルの遠位端は、あらかじめ形成された湾曲を有する1つ以上の弾性部材を収容する管状構造を含み、上記第1または第2の電極セットは上記1つ以上の弾性部材上に配され、上記1つ以上の弾性部材はそれらの近位端で制御シャフトに取り付けられ、上記制御シャフトの移動によって上記1つ以上の弾性部材は、上記管状構造から押し出されて上記あらかじめ形成された湾曲を回復し、あるいは上記管状構造へと引き戻される。別の実施形態では、カテーテルはさらに、上記1つ以上の弾性部材を覆う制御リングを含み、上記弾性部材に沿った上記制御リングの移動は、上記1つ以上の弾性部材の拡張を制御し、そのあらかじめ形成された湾曲を回復させる。さらなる実施形態では、カテーテルはさらに、上記制御シャフト内に制御ロッドを含み、上記制御ロッドの遠位端は、上記1つ以上の弾性部材の遠位端に取り付けられ、上記1つ以上の弾性部材が上記管状構造から押し出された後に上記制御ロッドを引き戻すと、上記1つ以上の弾性部材はその真中で膨れるだろう。
【0128】
本明細書に開示されたカテーテル、システムおよび方法を、交感神経および副交感神経系を介して圧反射を分裂させるために、腎動脈の神経のアブレーションにおいて使用してもよいが、その適用は体内の神経支配された血管へと広がるであろうことが、当業者によって理解されるだろう。
【0129】
本発明は、続く実験の詳細を参照することによってよりよく理解されるだろう。しかし、特定の実施例は説明の目的のためだけのものであり、続く特許請求の範囲によって特定される本発明の範囲を制限すべきでないことは、当業者によって容易に理解されるだろう。
【0130】
暫定的な用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」あるいは「特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的または無制限であり、さらなる記載されていない要素または方法工程を除外するものではないことに留意すべきである。
【0131】
実施例1
動脈壁を支配する神経位置の特定
適量のエネルギーの送達の後に生理的パラメータの変化を検査することにより、動脈壁を支配する神経を位置づけるための方法は、ブタを使用した急性実験において設計され、実行された。本実験の目的は:
1.腎神経マッピングおよびアブレーションのための、現存の心臓アブレーションカテーテル(7F,B-Type,spacing 2-5-2mm,CELSIUS(登録商標)RMT Diagnostic/Ablation Steerable Catheter,Biosense Webster,Diamond Bar,CA 91765,USA)、および高周波発生器(STOCKERT 70 RF Generator,Model Stockert GmbH EP-SHUTTLE ST-3205,STOCKERT GmbH,Freiburg,Germany)をテストすること。
2.左右の腎動脈の内腔内の様々な部位における電気刺激の放射中の、血圧および心拍数の変化を検査することによる腎神経マッピングをテストすること。
3.腎動脈壁および組織像の視覚的変化を検査することによって、腎動脈へ放射される腎神経切除用の高い高周波エネルギーの安全な範囲を判定すること。
4.腎臓のアブレーション中の、腎神経の効果的なアブレーションの指標として、血圧と心拍数の変化を使用すること、
である。
【0132】
3匹のブタ(50-52kgの体重)に、15mg/kgのナトリウムペントバルビタールの静脈内注射による麻酔をかけた。生理的パラメータ:収縮期圧、拡張期圧、平均動脈圧および心拍数をモニタリングした。実験計画とプロトコルは
図8に示される。
【0133】
この一連の実験で使用したアブレーションカテーテルは、7F,B-Type,spacing 2-5-2mm,CELSIUS(登録商標)RMT Diagnostic/Ablation Steerable Catheter(Biosense Webster,Diamond Bar,CA 91765,USA)、および摂氏高周波発生器(STOCKERT 70 RF Generator,Model Stockert GmbH EP-SHUTTLE ST-3205,STOCKERT GmbH,Freiburg,Germany)であった。
【0134】
収縮期、拡張期、平均動脈圧、および心拍数のベースラインは、腎動脈壁の様々な領域へ電気エネルギーを送達する前に測定された。エネルギーの送達の後、何らかの効果を見出すために、平均動脈圧と心拍数を5秒から2分測定した。血圧および心拍数の有意な変化が神経刺激に関連することを認識することで、神経支配される動脈壁のセグメントは動物ごとに異なるが、本明細書に記載された方法は、各動物におけるこれらのセグメントを正確に位置づけ、腎動脈内の神経支配された領域のマッピングを生成した。
【0135】
実施例2
生理的パラメータと、動脈壁を支配する神経の関係
動脈壁の異なる位置へ送達されたエネルギーが、血圧や心拍数などの生理的パラメータに異なる効果をもたらすかもしれないこと、および、そのような特性を、動脈壁を支配する神経の種類を特定するために利用することができることを実証するために、いくつかの手順に従って、ブタモデルの腎動脈壁の神経支配領域に電気エネルギーを送達した。ブタ#1、ブタ#2、ブタ#3、ブタ#4、ブタ#5、ブタ#6、およびブタ#7に送達された電気エネルギーにおける詳細なパラメータは、それぞれ表1に示される。ブタ#4から#7については、使用される装置はSyMap Cath S07A600およびSYMPIONEER S1 v01/01である。
【0136】
ブタ#1では、4つの別個の刺激を左腎動脈の中で行い、また2つの別個の刺激を右腎動脈の中で行なった。予備的アプローチとして、左腎動脈の腹部側に、電気エネルギーを2回:1回は前壁へ、もう1回は動脈の後壁へと別々に送達した。左腎動脈の腎臓側に、電気エネルギーを2回:1回は前壁へ、もう1回は動脈の後壁へと別々に送達した。血圧と心拍数に対するこれらのエネルギーの異なる効果を観察した。右腎動脈では、1回分の電気エネルギーを、腹部側および腎臓側の腎動脈にそれぞれ送達した。同じ刺激の方策を、ブタ#2およびブタ#3に用いた。
【0137】
腎動脈の異なる位置へ送達された電気エネルギーは、テストされたすべてのブタにおいて、収縮期圧、拡張期圧、平均血圧、および心拍数に対して異なる効果をもたらした。例えば、左腎に送達された電気エネルギーに応じた、収縮期圧における最大の変化はそれぞれ、ブタ#1で19.5mmHg、ブタ#3で29mmHgであった;収縮期圧の最小の変化はそれぞれ、ブタ#1で2mmHg、ブタ#3で1mmHgであった。しかしながら、ブタ#2では、電気エネルギーが腹大動脈側と腎臓側の両方に送達された時、収縮期圧の変化は一貫していた。さらに、最大の効果または最小の効果をもたらした刺激位置は、動物間で異なり、腎自立神経の分布が動物間で一貫していないことを示した。左腎動脈壁への電気エネルギーの送達中の、収縮期圧、拡張期圧、平均動脈圧および心拍数におけるこれらの現象を観察し、さらにそれぞれ表8A、8B、8C、および8Dに概括した。右腎動脈の電気刺激中の、収縮期圧、拡張期圧、平均動脈圧、および心拍数における類似の減少も観察し、さらにそれぞれ表9A、9B、9C、および9Dに概括した。
【0138】
これらのデータは、動脈壁を支配する神経を位置づけ、識別するための概念証明-特に、本質的な生理反応、この場合は測定された血圧の最大の増加または低下は、腎神経枝が豊富に分布する定義された位置に配置されたカテーテルを介して電気エネルギーを送達することにより誘発されたこと-を提供する。表8A-Dおよび表9A-Dから算出された平均データ(平均±SD)は、
図9および
図10にグラフで示され、全ての下位図面を包括する。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
前に記載されたプロトコルによるブタにおいて実行されたすべての刺激実験の中で、腎動脈壁における特定の場所が、血圧の変化を引き起こさずに心拍数の有意な減少につながったか、あるいは血圧の変化が、心拍数の減少と比較して最小である(
図11)。血圧、特に、拡張期血圧のわずかな減少をしばしば記録した。本実験で評価された4つの生理的パラメータすべてを含む56のデータポイントから、値の低下または変化なし/有意でない変化によってエネルギーの量で反応した各生理的パラメータからの少なくとも1つのデータポイントがあり、これは、この実験におけるデータポイントの23%以上を占めた。刺激に応じたこれらの特有な生理学的変化は、これらの場所を支配する神経が、副交感神経の性質であり、その場所を神経支配するこれらの交感神経とは異なり、結果として、刺激後に血圧および心拍数の増加をもたらすことを示すように見える。表10は、イヌ、ネコおよびウサギの動物モデルに関する異なる試験においてエネルギーの適切な量を求心性腎神経に送達する効果を要約した。本発明に関連して、表10の試験は、エネルギーの適切な量が腎臓を支配する神経に送達されるときに、副交感神経の活動と類似した効果を誘発することが珍しくないことを実証した。言いかえれば、腎動脈の神経回路において、交感神経の活動ではなくむしろ副交感神経の活動を誘発することができる神経が存在し、それ故、それが血圧関連の疾患を処置するときに切除されるべきでないということが示唆されている。
【0156】
実施例3
エネルギーの確保は、アブレーション中に標的神経に向けられる
動脈壁において神経を位置付けて特定する試験に続いて、アブレーションに適した量のエネルギーを、同じブタの腎臓の動脈壁中の神経支配を受けたスポットに送達した。4つの切除された部分をそれぞれ、前部から、後部、上部、およびその後、下部壁への移動の順序で、腎臓側から開始して腹部大動脈側へと、左腎動脈および右腎動脈に送達し、前のアブレーションの場所から5mm離し、アブレーションカテーテルの電極ヘッド(カテーテル先端)を各アブレーション後に90度回転させた。文献(Krum 2009,2010)に基づいて、腎臓のアブレーションには、低エネルギーレベル(5-8ワット)が使用されるべきであり、それ故、腎臓のアブレーションに5ワットおよび8ワットを使用した。左腎動脈のアブレーションに関しては、適用されたエネルギーレベルは5ワットであって、アブレーションの時間長は120秒であり、右腎動脈に関しては、適用されたアブレーションのエネルギーレベルは8ワットであって、時間長は120秒であった。アブレーション部位での温度を、40℃から50℃までであると測定した。生理的パラメータ:収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧および心拍数を、アブレーション中に検査した。データは、腎動脈内の異なる場所でのアブレーションが、結果として血圧および心拍数の異なる変化をもたらしたことを明確に示し、これはさらに、血圧および心拍数などの生理的パラメータの変化が、標的とされた神経へのアブレーションエネルギーの正確な送達のための指標として使用され得ることを実証しており、動脈壁中の神経の分布がケースごとに異なったことのさらなる証拠を提供した。
【0157】
左腎の腎動脈の4つの別々の腎臓の切除された部分における収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧および心拍数の変化を、それぞれ、
図12A、12B、12Cおよび12Dに要約した。右腎の腎動脈の4つの別々の腎臓の切除された部分における動脈の収縮期血圧および拡張期血圧、平均動脈圧、および心拍数の変化を、それぞれ、
図13A、13B、13Cおよび13Dに要約した。
【0158】
実施例4
慢性腎神経のアブレーションの実験結果
実験のこのセットでは、腎神経の除神経における既存の心臓用のアブレーションカテーテルにおいて使用されるエネルギーレベルの安全性プロフィールを判定する方法が伴う。
図14は、本実験の詳細を記載している。
【0159】
実験のこのセットにおいて使用されるアブレーションカテーテルは、7F、Bタイプ、間隔2-5-2mm、CELSIUS(登録商標)RMT Diagnostic/Ablation Steerable Catheter(Biosense Webster, Diamond Bar, CA 91765, USA)およびCelsius高周波発生器(STOCKERT 70 RF Generator, Model Stockert GmbH EP-SHUTTLE ST-3205, STOCKERT GmbH, Freiburg, Germany)であった。4匹のブタを試験に使用した。
【0160】
アブレーションに使用される適用されるエネルギーレベルは、以下の通りであった:右腎動脈のアブレーション、8W、120s;左腎動脈のアブレーション、16W。120s(n=3)。右腎動脈のアブレーション、16W、120s;左腎動脈のアブレーション、8W、120s(n=3)。
【0161】
ブタに麻酔をかけ、4-5回の腎臓のアブレーションを、各腎動脈(右および左)に対して別々に実行した。腎動脈の開存性を検査するために、アブレーション前後に腎血管造影を実行した。ブタを処置から回復させた。アブレーションエネルギーの安全レベルを判定するために、1匹のブタ(右腎動脈、16W、120s;左腎動脈のアブレーション、8W、120年s)を、アブレーションの2つの異なるエネルギーレベルが原因の急性期の病変の評価のために殺した(terminated)。アブレーション処置の12週間後に、動物の両方の腎動脈に対する血管造影を実行した。その後、動物を屠殺し、腎動脈および腎臓を、あらゆる目に見える異常に関して検査し、無傷で切開された腎動脈および切断の写真を撮り、両方の腎臓は長手方向に切開された。両方の腎動脈からのサンプルを、
図15に示される組織図に従って、さらなる組織学的研究のために収集した。
【0162】
実施例5
腎臓マッピングのカテーテル設計
刺激、マッピング、アブレーションおよび血管造影の機能を有するように設計された新しいカテーテルが、本明細書に開示される。
【0163】
カテーテル装置は、遠位端上にカテーテル先端を有している細長いカテーテルであって、該カテーテル先端が、一旦挿入されると、腎血管構造内の静止位置にとどまるように意図されている、細長いカテーテル;近位端;および複数のアブレーション電極を含む。一実施形態では、アブレーション電極は、細長いカテーテル先端の長さに沿って均一に間隔を置かれている。複数のこれらのアブレーション電極は、非電導性部分によって近位端および細長いカテーテル先端の遠位端から間隔を置かれている。一実施形態では、カテーテルの先端側またはカテーテルの端部側の第1の電極は、電気刺激を送達するために他の電極に対する刺激基準として使用され得るか、代替的に、これらの電極のいずれか1つが、他の電極に対する基準として使用され得る。
【0164】
一実施形態では、細長いカテーテル先端は螺旋形状である。
【0165】
別の実施形態では、1つ以上の導線が連結され、直流または交流が、1つ以上の導線を介して複数の電極に供給される。制御装置が、独立した方法あるいはカテーテル先端が腎動脈における静止位置にとどまりながらの同時の方法のいずれかで、複数の電極への電流を制御するように構成されている。
【0166】
別の実施形態では、1つ以上の導線が連結され、高周波(RF)エネルギーが複数の電極に供給され、RFエネルギーは、単極RFエネルギーまたは双極RFエネルギーのいずれかである。高周波発生器は、1つ以上の導線を介して複数の電極にエネルギーを供給する。制御装置が、独立した方法、連続した方法、またはカテーテル先端が腎動脈における静止位置にとどまりながらの同時の方法のいずれかで、エネルギーを複数の電極に供給するようにエネルギー源を制御するように構成されている。
【0167】
基礎的な神経組織、および特に腎臓神経組織を単に刺激するために、電極に送られたRFエネルギーは、低レベルの電気エネルギーインパルスのみが電極によって生成されるように制御され得る。代替的に、基礎的な神経組織、および特に腎臓神経組織を切除するために、電極に送られたRFエネルギーは、より大きな電気エネルギーインパルスが電極によって生成されるように制御され得る。カテーテル先端、および特に電極は、刺激およびアブレーションの全体にわたって、同じ場所において腎動脈内腔に接触したままであるように設計されている。
【0168】
別の実施形態では、カテーテルは、心臓組織のアブレーションの実施において現在利用されている高周波発生器とともに使用することができる。これらの高周波発生器は、必ずしも限定されないが、Medtronic, Cordis/Johnson & Johnson, St. Jude Medical, and Biotronicによって現在製造されているものを含み得る。
【0169】
本発明の典型的な実施形態は、より詳細に以下に記載されるように、腎神経の除神経のための装置を提供する。
【0170】
図3乃至7は、これらのアブレーションカテーテルおよび電極の例および例示である。本発明の様々な実施形態によるアブレーションカテーテル先端の遠位部の立面図、断面図、および末端図が示される。
【0171】
一実施形態では、カテーテルは、螺旋形状の細長い先端を有する。複数の電極が、非電導性部分によってカテーテル先端の近位端でのそれらの配置からカテーテル先端の遠位端を通って均一に間隔を置かれている。
【0172】
特定の実施形態では、アブレーションカテーテルのカテーテル先端は、単一の螺旋を含み、他の実施形態では、二重螺旋で構成される。カテーテル先端の螺旋のコイルは、円形または平面のいずれかであり得る。電極は、コイルの長さに沿って均一に置かれ得る、例えば、60°、90°または120°離れて間隔を置かれ得るが、他の構造で置かれるか、または異なる角度で分離され得る。
【0173】
一実施形態では、螺旋のコイル自体が平らにされた場合、電極は、平ら且つ長方形の形状であるか又は正方形であり得る。代替的に、コイル自体が円形である場合に、電極は、円形であり得る及び/又は螺旋に構築され得る。別の実施形態では、カテーテル先端は、2.0cmから8.0cm長さ及び0.5mmから10.0mmの直径を有している。コイルの直径は、3.0mmから7.5mmまで様々であり、各コイルの距離は、4mmから6mmまで様々であり、コイルの十分に巻かれていない長さは、31mmから471mmまで様々であり得、およびカテーテルの全長は1mから2mまでである。
【0174】
別の実施形態では、アブレーションカテーテルのカテーテル先端は、バルーンカテーテルシステムを含む。一実施形態では、電極は、形状が円形または平らのいずれかであり、バルーンに巻き付けられている螺旋コイルに沿って均一に間隔を置かれ、他の実施形態では、形状が円形または平らのいずれかであり、その長さのバルーンに巻き付けられている傘骨装置に沿って間隔を置かれている。特定の実施形態では、傘骨装置は、開放端を有し、他の実施形態では、閉端を有している。電極は、バルーン装置の膨張で腎臓構造と接触する。一実施形態では、バルーンが膨張していないときに、カテーテル先端は、2.0cmから8.0cmの長さ及び0.5mmから10.0mmの直径を有し、コイルの直径は、3.0mmから8mmまで様々であり、各コイルの距離は、4mmから6mmまで様々であり、コイルの数は、3.3から20まで様々であり得、およびコイルの十分に巻かれてない長さは、31mmから471mmまで様々であり得、カテーテルの全長は、1mから2.0mまでである。
【0175】
一実施形態では、バルーンが膨張されているときのカテーテル先端の直径は、0.5mmから10mmの範囲であり得る。バルーンのまわりのコイルの直径は、3mmから10mmの範囲であり得、十分に膨張されたバルーンの直径は、3mmから10mmまでである。
【0176】
本発明はまた、サイズを調整可能なチューブ状で、円筒状の、および自己拡張するカテーテル先端を含み得る。これらのカテーテル先端に使用される物質は、特定の実施形態において、ニッケル-チタン(ニチノール)合金を含み得る。
【0177】
本発明の一実施形態では、左腎動脈(LRA)または右腎動脈(RRA)のいずれかへの上に記載されるカテーテルの1つの挿入、続く実質的に上に記載されるような腎神経のマッピング、およびそれに続く個々の電極による標的とされたアブレーションを含む、(左側腎臓、右側腎臓、またはその両方上の)腎神経の調節およびアブレーションのプロセスが提供される。
【0178】
一実施形態では、神経刺激は、以下のパラメータの適用によって生じる:0.1ms-20ms、2V-30V、5mA-40mA、および100オーム-1000オーム。一実施形態では、神経のアブレーションは、以下のパラメータの適用によって生じる:12ワット未満および30秒-180秒。
【0179】
実施例6
近位腎臓のアブレーション
腎動脈刺激および血圧及び/又は心拍数の変化を伴う上記の腎臓のマッピングのアプローチを使用して、ブタにおける腎動脈の刺激の近位部が、
図16に示されるように血圧のより有意な増加を引き起こしたことが分かった。動脈の収縮期血圧および拡張期血圧に対する十分な腎動脈のアブレーション(n=21)(
図17A)対近位腎動脈のアブレーション(n=19)(
図17B)の効果を、患者の2つの群においてさらに比較した。結果は、表11に示されるように、腎臓の交感神経のマッピングのアプローチによって、および全長の腎動脈のアブレーション方策を使用して、左腎動脈および右腎動脈に対して、それぞれ、6つまたは7つのアブレーション部位のみが必要とされたことを明らかにした。近位腎臓の交感神経のマッピングのアプローチが適用されると、腎動脈の両側に対して、アブレーション部位をおよそ3までさらに減少し、一方で、合計のアブレーション時間、処置時間およびインピーダンスも、全長のアブレーション方策と比較して著しく縮小した。これらの患者は、血圧をモニタリングするために6か月間フォローアップされた。腎動脈の近位部のまわりの有意に少ない腎臓のアブレーションによって、血圧の比較可能な低下が達成された(表12および
図18Aおよび18B)。P値は、反復測定ANOVAの結果に関するものである。個体群を、フィッシャーの最小有意差検定を使用して各群内で比較した。群間の血圧(BP)値を、独立t検定を用いて各時間点で比較した。最近、Sakakura et alは、人における交感神経の動脈周囲の腎神経の分布を実証し、動脈周囲の腎臓の交感神経線維の密度が、遠位および背部の位置ではより低いが、近位の位置ではより高いことを示した(J Am Coll Cardiol 2014;64:635-643)。これらの結果は、臨床診療でのこの近位のアブレーション方策の使用のための解剖学的基礎を提供した。
【0180】
【0181】
【0182】
一実施形態では、本発明は、腎動脈の近位部上のみでのマッピングおよびアブレーションによる、全身性腎神経活動亢進によって引き起こされた疾患の処置のための方法を提供する。一実施形態では、腎動脈の近位部における全く同じ部位がマッピングされ除去される。別の実施形態では、アブレーションは、腎動脈の近位部での1つ以上の部位で行われ、一方で、アブレーションの成功を確認するために、アブレーションの前後に腎動脈における1つ以上の部位がマッピングされ、電気刺激が送達される。
【0183】
一実施形態では、本発明は、アブレーションの成功を確認するべく、腎動脈の近位部のアブレーションの前後に電気刺激を送達するために、マッピングが腎動脈の遠位部で行われる方法を提供する。一実施形態では、腎動脈の遠位部でマッピングされた部位での電気刺激は、近位部でのアブレーションがアブレーションが成功することを示した後に、生理学的変化(physiological)を誘発しない。
【0184】
一実施形態では、本発明は、腎動脈の近位部での電気刺激によって腎臓のアブレーションに対するレスポンダーを特定し、誘発された生理学的変化を観察するための方法を提供する。
【0185】
本発明はまた、有効な腎臓のアブレーションに対する方策を提供する。一実施形態では、マッピングおよびアブレーションの処置は、腎動脈の近位部上で始まり、電気刺激が送達されたときに反応が観察されなくなるまで、遠位部の方へと進行する。一実施形態では、遠位部の1つ以上の部位がマッピングされ、アブレーション処置は、腎動脈の近位部上で始まり、電気刺激が腎動脈の遠位部での1つ以上のマップされた部位で送達されたときに反応が観察されなくなるまで、遠位部の方へと進行する。
【0186】
一実施形態では、1つ以上の電極の第1のセットは、腎動脈の遠位部で腎神経を神経支配した1つ以上の部位をマッピングするために使用され、その結果、1つ以上のマッピングされた位置で送達された電気刺激は、生理的パラメータの変化を誘発する。その後、電極の第2のセットが、腎動脈の近位部でアブレーションを実行する。一実施形態では、電極の第2のセットからのアブレーションエネルギーは、腎動脈の近位部でランダムな位置に送達される。別の実施形態では、電極の第2のセットからの電極はまた、アブレーションエネルギーがマッピングされた位置に送達される前に腎神経をマッピングするために電気刺激を送達する。さらなる実施形態では、電極の第2のセットがアブレーションエネルギーを送達した後に、腎神経が電極の第2のセットからのアブレーションエネルギーによって遮断されたことを確認するべく、生理的パラメータの変化が誘発されるかどうかをチェックするために、電極の第1のセットは、腎動脈の遠位部でのマッピングされた位置で電気刺激を送達する。
【0187】
実施例7
腎臓マッピングのカテーテル設計
この出願での発見に基づいて、電気刺激およびアブレーション機能を備えたカテーテルは、特に腎動脈の近位部のアブレーションで使用するために設計されている。
【0188】
一実施形態では、カテーテルの遠位端は、腎動脈の近位部内の1つ以上の位置で内腎動脈壁と接触する任意の形状に設計することができる。一実施形態では、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは8つの電極を備えたカテーテルは、渦巻状で設計することができるが、腎動脈の近位部だけを覆うことができる。別の実施形態では、実施例5におけるカテーテルのいずれかを腎動脈の近位部のみと接触するように調整し適合させることができる。一実施形態では、カテーテルのカテーテル先端は、アジア人の集団に見られる典型的な直径を有する腎動脈に適合する。一実施形態では、アジア人の集団は中国人の集団を含む。
図19Aは、中国人のサンプル集団における左の主な腎動脈の長さの分布を示し、一方、
図19Bは、同サンプルにおける右の主な腎動脈の長さの分布を示している。
図20A~Dは、それぞれ、中国人のサンプル集団における、小孔、長さの1/3、長さの2/3、および、分岐部にて測定された左の腎動脈の直径の分布を示す。
図20E~Hは、それぞれ、同サンプルにおける、小孔、長さの1/3、長さの2/3、および、分岐部にて測定された右の腎動脈の直径の分布を示す。
【0189】
一実施形態では、本発明のカテーテル先端における螺旋状の、渦巻状の、または他の、構造の直径は3.5mm~20mmである。別の実施形態では、カテーテル先端の長さは2mm~1.5cmの間である。
【0190】
一実施形態では、カテーテル先端は渦巻状の構造を含む。別の実施形態では、カテーテル先端は、活性化すると渦巻状になる。一実施形態では、カテーテル先端は、特定の転移温度まで加熱または冷却された時に渦巻状になる形状記憶合金またはポリマーを含む。別の実施形態では、カテーテル先端の様々な部分が、異なる転移温度を有する形状記憶合金またはポリマーから作られており、その結果、カテーテル先端を作動させて2つ以上の構成をとることができる。一実施形態では、渦巻構造は腎動脈のサイズに基づく様々な直径となるように作動可能である。例えば、渦巻構造の直径は、3.5mmから20mmの範囲であり得る。一実施形態では、渦巻状構造は、渦巻ピラミッドの形をとることができる弾性部材を含む。別の実施形態では、渦巻状の構造は1ループの渦巻を含む。
図21Aは、本発明の一実施形態において複数の電極(2101)を含む1ループ渦巻状構造(2100)を含むカテーテル先端を示す。
図21Bは遠位端から見た同じカテーテル先端を示す。一実施形態では、遠位端から見た時、渦巻構造は完全な円を形成する。別の実施形態では、渦巻の直径は3.5mmから20mmまで選択される。一層の実施形態では、渦巻構造に複数のループが存在する。例えば、渦巻構造に1、1.5、または2ループが存在しうる。一実施形態では、渦巻構造に沿って複数の電極が存在する。例えば、渦巻構造上に4、5、6、または8つの電極が存在する。
【0191】
一実施形態では、渦巻状構造は、遠位ループの直径が、より近位のループよりも小さい、
図21CおよびDに示されるような渦巻ピラミッドである。カテーテル先端が腎動脈へ挿入される時、第1のループが小さすぎて動脈壁に接触できない場合に、第2のより大きなループが動脈壁に接触できるだろう。一実施形態では、渦巻構造は、それぞれのループが遠位端から近位端へと直径が縮小していく複数のループを含む。別の実施形態では、その範囲内のすべての直径が覆われるように、それぞれのより小さなループは大きなループの内径に適合する。
【0192】
一実施形態では、カテーテル先端は拡張構造を含む。一実施形態では、拡張構造の直径は、3.5mmから20mmの間で拡張することができる。一実施形態では、拡張構造は、その近位端で制御シャフトに取り付けられ、管状構造の内側または外側で動くように操作され得る湾曲があらかじめ形成された1つ以上の弾性部材を含む。本発明の様々な実施形態における拡張構造の例を
図22A~Cに示す。
図22Aは、弾性部材(2200)が管状構造(2204)の内部に閉じ込められていることを示している。
図22Bは、管状構造(2204)の外から移動するように制御シャフト(2203)によって押されたときに、予め形成された湾曲に再びなる弾性部材(2200)を示す。
図22Cは、制御リング(2205)が弾性部材(2200)の近位端にあり、すべての弾性部材(2200)をスリーブ処理する(sleeve)、本発明のさらなる実施形態を示す。制御リング(2205)は、弾性部材(2200)の長さに沿って独立して上下に押すことができ、弾性部材(2200)の拡張量を制御することができる。
【0193】
一実施形態では、1つ以上の弾性部材の遠位端は、制御シャフトから独立して移動することができる制御ロッドに取り付けられている。
図23A~Cは、この特徴を有する本発明の実施形態を示す。
図23Bで示されるように、弾性部材(2300)は、遠位端で制御ロッド(2305)に取り付けられているので、管状構造の外に押されたときに、予め形成された湾曲に再びならない。制御ロッド(2305)が後方に引かれた時、制御シャフトから延出された制御ロッド(2305)の長さは弾性部材(2300)よりも短く、これは弾性部材を
図23Cに示すように膨らませる。制御ロッド(2305)が後方に引かれるほど、弾性部材(2300)はより膨らむだろう。言いかえれば、これは、このカテーテル先端が様々なサイズの腎動脈へ適合することを可能にするだろう。
【0194】
一実施形態では、本発明の弾性部材は、超弾性材料を含む。一実施形態では、超弾性材料は形状記憶合金を含む。一実施形態では、形状記憶合金は、ニッケルチタン、または銅亜鉛アルミニウムを含む。別の実施形態では、超弾性材料は超弾性ポリマーを含む。
【0195】
一実施形態では、腎動脈のマッピングおよびアブレーションは、
図24に示されるものと同じカテーテルの異なる部分で行われる。一実施形態では、本発明のカテーテルは、少なくとも 腎動脈の遠位部で腎神経のマッピングを実行するように適合された電極の第1のセット(2411)と、腎動脈の近位部でアブレーションを実行するように適合された電極の第2のセット(2421)と、を含む2つ以上の電極のセットを有する。一実施形態では、電極の第1のセット(2411)は拡張可能なカテーテル先端にあり、その結果、腎動脈の遠位部の複数の部位に接触させることができ、電気刺激をこれらの部位のそれぞれに単独でまたは一緒に送達することができるであろう。別の実施形態では、電極の第1のセット(2411)は、腎動脈の一つの部位に電気刺激を送達するためのただ一つの電極を含む。一実施形態では、電極の第1のセット(2411)は、カテーテル先端の湾曲を調節することができる操縦可能なカテーテル先端にある。一実施形態では、電極の第1のセットと第2のセットとの間の距離を調節することができる。一実施形態では、電極の第1のセットは、
図3-7および21-23に示されるカテーテル先端のうちのいずれか1つに置かれる。
【0196】
一実施形態では、電極の第2のセット(2421)は拡張可能なカテーテル先端に配置され、その結果、腎動脈の近位部の複数の部位に接触させることができ、アブレーションエネルギーをこれらの部位のそれぞれに単独でまたは一緒に送達することができるであろう。別の実施形態では、電極の第2のセット(2421)は、腎動脈の一つの部位にアブレーションエネルギーを送達するためのただ一つの電極を含む。一実施形態では、電極の第2のセット(2421)は、
図3-7および21-23に示されるカテーテル先端のうちのいずれか1つに置かれる。
【0197】
一実施形態では、腎動脈の内からの腎神経の電気刺激およびアブレーションは、
図25に示されるような2つの別個のカテーテルで行われる。一実施形態では、第1のカテーテル(2510)は電気刺激を送達するために腎動脈の遠位部に挿入される。例えば、第1のカテーテル(2510)の先端は
図3-7および21-23に示されるもののうちの1つであってもよい一実施形態では、第2のカテーテル(2520)はアブレーションエネルギーを送達するために腎動脈の近位部に挿入される。例えば、第2のカテーテル(2520)の先端は
図3-7および21-23に示されるもののうちの1つであってもよい。
【0198】
図26は、腎動脈のアブレーションのための本発明の1つの態様における
図24のカテーテルの使用と関連する生理的な変化を示す。カテーテルがまず腎動脈へ挿入されて、電極の第1のセットが複数の部位で腎動脈の遠位部の内壁と接触し、かつ、電極の第2のセットは、
図24に示されるような腎動脈の近位部の内壁と接触する。電気刺激は、これらの電極の各々から接触する部位へ送達される。刺激の結果としての生理的なパラメーターの変化が観察されると(時点A)、電極の第2のセットは、腎動脈の近位部にアブレーションエネルギーを送達するだろう(時点B)。刺激の結果としての生理的なパラメーターの変化が観察されなければ(時点O)、電極の第1のセットが、電極がそれぞれ新しい部位と接触し、電気刺激がこれらの新しい部位に再び送達され、かつ、生理的なパラメーターの変化が電気刺激に応じて観察されるまで(時点A)、このプロセスが繰り返されるように操作される。電極の第1のセットと電極の第2のセットとの間の長さは、電極のセットの両方が腎動脈におけるそれらの機能に最適な位置に配置されるように調整することができる。電極の第2のセットがアブレーションエネルギーを送達した後(時点B)、腎動脈の壁上の多数の部位との接触を維持した電極の第1のセットは、腎神経が切除されたことを確認するために電気刺激を伝える。電気刺激に応じて生理的な変化がまだ存在している場合、完全に腎神経を切除するために、アブレーションエネルギーが同じ部位で送達されるだろう(時点D)。完全な神経のアブレーションは、生理的な変化が結果として生じることのない、電極の第1のセットからのさらなる電気刺激によって確認することができる(時点E)。随意に、腎神経が切除されたことを電極の第1のセットが確認したとしても、これらの電極は、電極の第2のセットによって切除されなかった腎神経に代替経路が存在しないことを確実にするために、腎動脈と送達された電気刺激と、の新しい位置に接触するように操作される(時点F)。
【0199】
一実施形態では、腎動脈の遠位部にランダムに挿入される電極の第1のセット上に複数の電極が存在する。複数の電極が存在するので、1つ以上の電極が腎神経に支配された部位と接触する可能性が高く、どの電極(複数可)が生理的な変化を引き起こしているかを正確に示すことなく、電気刺激エネルギーを送達することができるだろう。別の実施形態では、腎動脈の近位部にランダムに挿入される電極の第2のセット上に複数の電極がある。電極の第2のセット上に複数の電極が存在するので、これらの電極の1つ以上が腎神経に支配された部位と接触する可能性が高く、電極(複数可)が腎神経に支配された部位と接触しているかどうかを正確に示すことなく、アブレーションエネルギーを送達することができるだろう。一実施形態では、電極の第2のセットは、従来の螺旋状のアブレーションパターンを容易に完成することができるように、螺旋状に配置される。別の実施形態では、電極は、異なるサイズの腎動脈の内壁に接触するように電極を調整できるように、
図5および
図6のもののような拡張可能なカテーテル先端上に配置される。別の実施形態では、電極の第2のセットは、
図7および
図24に示されるような操縦可能なカテーテル先端上のただ一つの電極を含み、螺旋状のアブレーションパターンはこの機構を備える従来の方法で完成することができる。別の実施形態では、ただ一つの電極を含む電極の第2のセットはまた、電気刺激を送達し、アブレーションエネルギーは、同じ電極からの電気刺激によって生理的な変化が引き起こされる特定の部位に、単に送達されるだろう。アブレーション前後の電極の第1のセットからの電気刺激は、腎動脈の近位部のアブレーションが所望の効果を達成するのに十分かどうかを確認するのに役立つだろう。
【0200】
一実施形態では、複数の電極を有する電極の第2のセットは、腎動脈の近位部の電極から開始してアブレーションエネルギーを送達し、腎動脈の遠位部の電極に向かって進行するようにプログラムされているが、電気刺激は、アブレーションエネルギーの各送達の前後の両方において、腎動脈の遠位部の1つ以上のマッピングされた部位で電極の第1のセットによって送達される。別の実施形態では、アブレーションエネルギーの送達は、電極の第1のセットからの電気刺激エネルギーが生理的なパラメーターの変化をもはや引き起こさなくなると自動的に停止される。さらに別の実施形態では、電極の第1のセットからの電気刺激は、電極の第2のセットにおけるすべての電極がアブレーションエネルギーを送達した前後にのみ、送達される。生理的な変化が未だに観察されている場合、電極がそれぞれアブレーションのための腎動脈の近位部の新しい部位と接触し、電極の第1のセットからの電気刺激エネルギーがもはや生理的なパラメーターの変化を引き起こさなくなるまで、このプロセスが続くように、電極の第2のセットが操作される。
【0201】
一実施形態では、腎動脈の遠位部のための電極の第1のセット、および、腎動脈の近位部のための電極の第2のセットを有するカテーテルを、
図1に示されるシステムにおいて使用することができる。
【0202】
実施例8
腎臓のアブレーションレスポンダーの特定
特定の血液神経ホルモンレベルの検出により、腎交感神経の除神経治療の適切な候補を選択することができる。しかしながら、カテコールアミンのレベルは他の多くの要因に影響を受けるため、エピネフリンと、ノルエピネフリンと、ドーパミンとを含むカテコールアミンは、交感神経系の緊張とは特に連動していない。例えば、血漿ノルエピネフリンは、以下のものに応じて増加することが示されている;年齢(Zieglcr MG et al: Plasma noradrenaline in-creases with age. Nature 1976, 261:333)、喫煙(Cryer PE et al: Norepinephrine and epinephrine release and adrenergic mediation of smoking associated hemodynamic and metabolic events. N Engl J Med 1976, 295:573)、カフェイン (Robertson D et al: Effects of caffeine on plasma renin activity, catecholamines and blood pressure. N Engl J Med 1978, 298:181)、身体活動(Planz G et al: Correlation between increased dopamine-β-hydroxylase activity and catecholamine concentration in plasma: Determination of acute changes in sympathetic activity in man. Eur J Clin Pharmacol 1975, 8:181) および、ナトリウム制限(Robertson D et al: Salt restriction increases serum catecholamines andurinary normetanephrine excretion. Fed Proc 1977, 36:956)。血漿および尿中のメタネフリンおよびノルメタネフリンのレベルは、交感神経系の活性化を反映しており、さらに、メタネフリンとノルメタネフリンの両方が他の要因にあまり影響を受けないので、交感神経の緊張のレベルを暗示する(Robertson D et al, Hypertension 1979, I:118-124)。しかしながら、尿中のメタネフリンおよびノルメタネフリンの正確な評価は、通常の検査室手法では行えない。交感神経の活性化中に尿メタネフリンおよびノルメタネフリンを測定するために、Robertsonらは、交感神経系を活性化するためにナトリウム欠乏特別食および運動を使用し、次いで、尿メタネフリンとノルメタネフリンを測定するためのガスクロマトグラフィー質量分析を利用する同位体比法と、血漿エピネフリンとノルエピネフリンを測定するための放射性酵素法とを使用した。これらの調査者達は、正常な被験体、および、高血圧レベルの間に正常な血圧が散在する「境界域」高血圧の被験体、から24時間中に尿および血液のサンプルを収集した。ナトリウム欠乏および運動の両方が、正常な被験体および境界域高血圧の被験体の両方において血漿ノルエピネフリンおよび尿ノルメタネフリンのレベルの増大を誘発したが、境界域高血圧のグループでは、これらの反応は、正常な被験体と比較して有意により高い血漿ノルエピネフリンおよび尿ノルメタネフリンのレベルによって示されるように過剰になった(exaggerated)。今日、褐色細胞腫および傍神経節腫を診断するために、メタネフリンと、ノルメタネフリンと、血漿および尿中のカテコールアミンと、の遊離O-メチル化代謝産物を測定するためのより感受性の高い特異的な方法、例えばタンデム質量分析を用いた液体クロマトグラフィーが開発されている(LC-MS/MS)(Lagerstedt SA: Clinical Chemistry 2014, 50:3603-611; Gabler et al., J Chromatograph Separat Techniq 2012, 4:7; Marrington R et al: Ann Clin Biochem 2010; 47:467-475; Peitzsch M: Clinica Chimica Acta 2013, 418:50-58)。しかしながら、これらの調査者達はすべてメタネフリンとノルメタネフリンを測定するためにLC-MS/MSを使用したが、その方法は異なっていた。例えば、Lagerstedtらは、このアプローチの感受性および特異性を増強するために固相抽出(SPE)にOasis HLBを使用しなければならなかった。Lagerstedtらはクロマトグラフィーでエピネフリンを分離しなかったので、そのレベルが血漿中で10.0nmol/Lより上だと、この方法はエピネフリンからの干渉を受ける。さらに感受性を増強し、かつこの干渉を取り除くために、Gablerらは、ノルメタネフリンをエピネフリンからクロマトグラフィーで分離した。「血漿代謝産物よりも尿中のものが高濃度であることで、その測定がより単純で容易かつ広く利用可能になる」(Peitzsch M: Clinica Chimica Acta 2013: 418, 50-58)ため、MarringtonのグループおよびPeitzschのグループは、LC-MS/MSを用いた尿中のメタネフリンおよびノルメタネフリンの測定は、血液サンプルを使用することよりも優れていると考えた。Marringtonらは、遊離形態および共役形態を含む総尿メタネフリンと総尿ノルメタネフリンの両方を測定した。Peitzschらは、尿中のメタネフリンおよびノルメタネフリンの遊離形態のレベルが、副腎クロマフィン細胞および褐色細胞腫腫瘍細胞におけるこれらの2つのホルモンの産生を反映すると考えた。これらのアプローチは、尿のカテコールアミンおよびそれらの遊離Oメチル化代謝産物かつ脱共役Oメチル化代謝産物が1.2nmol/Lのレベルまで測定されることを可能にした。これらの研究はすべて、褐色細胞腫および傍神経節腫の診断のためにメタネフリンおよびノルメタネフリンを測定するLC-MS/MSの使用を実証した。原発性高血圧患者におけるノルメタネフリンのレベルと交感神経の緊張のレベルとの間の関係は、放射酵素アッセイによって血漿中の合計ノルメタネフリンおよび遊離ノルメタネフリンを測定したFotiら(Foti et al, The Relationships of Free to Conjugated Normetanephrine in Plasma and Spinal Fluid of Hypertensive Patients. J Clin Endocrinol Metab 1982, 55:81-85)によって予測された。彼らは、正常血圧および高血圧における遊離ノルメタネフリンの平均濃度がそれぞれ117±10および155±33ng/リットルであることを見出した。共役ノルメタネフリンの平均濃度は、それぞれ、正常血圧および原発性高血圧では1417±109および1670±320 ng / Lであった。遊離ノルメタネフリン濃度および共役ノルメタネフリン濃度は、原発性高血圧の患者においてより高い30%および18%だった。まとめると、血漿と尿中のメタネフリンおよびノルメタネフリン、特に、これらの2つのホルモンの合計および遊離形式の組み合わせ、を測定するLC-MS/MSを使用することで、交感神経系の緊張を評価することができ、かつ、さらには、腎交感神経の除神経治療のための適切な患者の集団を選択することができると考えられる。
【0203】
一実施形態では、本発明は、腎臓の調節による処置のためにレスポンダーとして全身性腎神経活動亢進を有する被験体を特定する方法を提供し、該方法は:上記被験体から体液を採取する工程と;HPLC-MSで上記体液中の代謝産物の量を測定する工程であって、上記代謝産物は、遊離メタネフリン、共役メタネフリン、遊離ノルメタネフリン、および、共役ノルメタネフリン、の一つ以上を含む、工程と;基準値に対する上記代謝産物のレベルを比較する工程と;上記代謝産物のレベルが特定の量だけ上記基準値よりも高い場合、上記被験体をレスポンダーとして特定する工程と、を含む。
【0204】
一実施形態では、体液は血液または尿である。
【0205】
一実施形態では、基準値は正常な集団の代謝産物の濃度である。一実施形態では、共役ノルメタネフリンの基準値は1417±109ng/リットルである。別の実施形態では、遊離ノルメタネフリンの基準値は117±10ng/リットルである。
【0206】
一実施形態では、測定された量は、遊離ノルメタネフリンの基準値より30%高い。別の実施形態では、測定された量は、共役ノルメタネフリンの基準値より18%高い。
【0207】
一実施形態では、ベースラインは同じ体液中の基準代謝産物から得られる。
【0208】
一実施形態では、腎臓の調節による処置のためにレスポンダーとして全身性腎神経活動亢進を有する被験体を特定する上記の方法の後に、本明細書の実施例1~7および他の部分に記載されたマッピングとアブレーションの処置が続く。
【0209】
前に指摘したように、利用可能な降圧剤に耐性がある高血圧の患者を腎臓のアブレーション研究のために選択し、この介入処置は、血圧を低下させる際に89%の臨床成功率を示した。本発明では、腎動脈からの電気刺激が被験体の生理的な反応を引き起こすことができ、したがって、腎神経が高血圧に役割を果たすかどうかを示すものであることが実証された。一実施形態では、したがって、本発明のマッピング方法は、アブレーションに対するレスポンダーを特定する方法として役立つ。
【0210】
一実施形態では、本発明は、全身性腎神経活動亢進によって引き起こされる疾患の処置のための腎臓のアブレーションに反応する患者を特定するための方法を提供し、該方法は:a)カテーテル先端が内部の腎動脈壁の部位に接触するように、患者の腎動脈の内腔にカテーテルを導入する工程と;b)部位へ電流を導入する前にベースライン尺度を得るために1つ以上の生理的なパラメーターを測定する工程であって、そのような生理的なパラメーターは収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、および/または心拍数を含む、工程と;c)カテーテルを介して部位へ電流を導入することにより、電気刺激をかける工程であって、部位の根底に神経が存在するとき、電流は生理的なパラメーターの増大を引き起こすのに十分であるように制御される、工程と;d)それぞれの電気刺激後に所望の時間間隔で上記の生理的なパラメーターを測定する工程であって、電気刺激後のベースライン尺度に対する生理的なパラメーターの増大は、患者が腎臓のアブレーションに反応することを示す、工程と、を含む。
【0211】
一実施形態では、カテーテルは、心臓不整脈を処置するために設計されたアブレーションカテーテルである。別の実施形態では、カテーテルは、アブレーション処置のために腎神経をマッピングするため、特別に設計されたアブレーションカテーテルである。
【0212】
一実施形態では、工程(d)における所望の時間間隔は、約5秒から約2分である。
【0213】
一実施形態では、1つ以上の生理的なパラメーターは収縮期血圧を含み、かつ、収縮期血圧の増加は4~29mmHgの範囲内にある。
【0214】
一実施形態では、1つ以上の生理的なパラメーターは拡張期血圧を含み、かつ、拡張期血圧の増加は1.5~20mmHgの範囲内にある。
【0215】
一実施形態では、1つ以上の生理的なパラメーターは平均動脈圧を含み、かつ、平均動脈圧の増加は3~17mmHgの範囲内にある。
【0216】
一実施形態では、1つ以上の生理的なパラメーターは心拍数を含み、かつ、心拍数の増加は、4~12拍動/分の範囲内にある。
【0217】
一実施形態では、生理的なパラメーターの変化を引き起こすのに十分な電流は、以下のパラメーターの1つ以上を含む:
a)2から30ボルトの電圧;
b)100から1000オームの抵抗;
c)5から40ミリアンペアの電流;
d)0.1から20ミリ秒間の適用;
e)1から5分間の総適用時間。
【0218】
実施例9
腎動脈以外の位置での腎臓のアブレーション
腎動脈刺激は、全身血圧/心拍数の増加または減少をそれぞれにもたらし、それによって、腎臓の交感神経および副交感神経の神経支配を示す。実験的に、電気刺激は腎動脈の内部から送達され得ることが示されている。腎神経は血管の危険(vascular adventures)の中で腎動脈周囲を進み、腎静脈は腎動脈と平行であるので、したがって、電気刺激は腎静脈アプローチ(Madhavan et al:J Cardiovasc Electrophysiol、pp.1-4)を介して、または腎動脈の外側から、すなわち、直接的な腎神経刺激で、達成されうる。腎神経の刺激によって血圧が上昇することを示したChinushiら(Hypertension 2013; 61:450-456.)の研究に基づいて、Madhavanは、腎交感神経の静脈内刺激によって血圧の上昇が達成できると考えた。7頭の犬と1頭のヒヒを研究に用いた。カテーテルを動物の静脈に置き、高周波刺激(800~900pps、10V、30~200秒)を送達した。これらの研究者らは、収縮期血圧が117(±28)から128(±33)mmHgに有意に上昇し、拡張期血圧が75±19mmHgから87±29mmHgに増加することを観察した。この研究は、腎交感神経の刺激による血圧の上昇の以前の発見を確認した(Wang、US2011/0306851)。しかしながら、本研究者らは、腎交感神経刺激が血圧に及ぼす影響を、神経心臓性失神のような低血圧状態の処置に利用できると考えている。したがって、本明細書に記載の腎神経刺激の方法は、腎内動脈アプローチ、直接腎動脈刺激のような腎外動脈アプローチ、または腎内静脈刺激を介して行うことができる。
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