(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2021199147
(22)【出願日】2021-12-08
【審査請求日】2022-05-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100217191
【氏名又は名称】林 信吾
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴晶
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】浅賀 崇雅
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 海
(72)【発明者】
【氏名】西村 仁
【審査官】井上 昌宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-183067(JP,A)
【文献】特開2017-070534(JP,A)
【文献】特開2016-140595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報を表示可能な識別情報表示手段と、
取得情報を取得可能な取得手段と、
前記取得手段により取得された取得情報を所定の上限数まで記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段と、
前記取得情報に基づいて前記識別情報を変動表示した後に停止表示する変動遊技を実行可能な変動遊技実行手段と、
前記変動遊技で停止表示された前記識別情報の表示態様が特定態様である場合に、遊技者に所定の利益を付与する特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記変動遊技の開始前に前記取得情報の事前判定を実行可能な事前判定手段と、
前記事前判定の結果に基づいて先読み演出を実行可能な演出実行手段と
、
前記変動遊技が実行されるときの遊技モードを制御可能なモード制御手段と、を備え
前記記憶表示手段は、前記記憶手段による前記取得情報の記憶数に応じた数の前記記憶表示を表示することが可能であり、
前記演出実行手段は、
前記記憶表示手段により表示される前記記憶表示の数が所定数以上となる前記取得情報を対象として前記先読み演出を実行する場合、前記先読み演出を第1の態様で実行可能であり、
前記記憶表示の数が前記所定数未満となる前記取得情報を対象として前記先読み演出を実行する場合、前記先読み演出を第2の態様で実行可能であ
り、
前記モード制御手段により制御される遊技モードに応じて、前記所定数は変動し得る
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、始動口への遊技球の入球を契機に変動表示される識別情報が停止表示したときの表示態様が特定態様である場合に、遊技者にとって有利な特別遊技が実行可能となる遊技機が知られている。この種の遊技機において、始動口への遊技球の入球に基づいて取得される乱数等の取得情報(保留)の事前判定を行い、当該事前判定の結果に基づいて演出を行うものがある(例えば特許文献1を参照)。このような事前判定の結果に基づく演出は「先読み演出」とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の先読み演出は、遊技者を飽きさせないようにするための一手法として既に多くの遊技機に採用されており、先読み演出を備えた遊技機の興趣を高めるには更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、先読み演出を備えた遊技機の興趣を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0007】
手段1の遊技機は、
識別情報を表示可能な識別情報表示手段と、
取得情報を取得可能な取得手段と、
前記取得手段により取得された取得情報を所定の上限数まで記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段と、
前記取得情報に基づいて前記識別情報を変動表示した後に停止表示する変動遊技を実行可能な変動遊技実行手段と、
前記変動遊技で停止表示された前記識別情報の表示態様が特定態様である場合に、遊技者に所定の利益を付与する特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記変動遊技の開始前に前記取得情報の事前判定を実行可能な事前判定手段と、
前記事前判定の結果に基づいて先読み演出を実行可能な演出実行手段と、
前記変動遊技が実行されるときの遊技モードを制御可能なモード制御手段と、を備え
前記記憶表示手段は、前記記憶手段による前記取得情報の記憶数に応じた数の前記記憶表示を表示することが可能であり、
前記演出実行手段は、
前記記憶表示手段により表示される前記記憶表示の数が所定数以上となる前記取得情報を対象として前記先読み演出を実行する場合、前記先読み演出を第1の態様で実行可能であり、
前記記憶表示の数が前記所定数未満となる前記取得情報を対象として前記先読み演出を実行する場合、前記先読み演出を第2の態様で実行可能であり、
前記モード制御手段により制御される遊技モードに応じて、前記所定数は変動し得る
ことを要旨とする。
【0008】
このような遊技機によれば、記憶表示手段により表示される記憶表示の数が所定数以上となる取得情報を対象として実行される先読み演出は、第1の態様で実行可能となる。一方、記憶表示手段により表示される記憶表示の数が所定数未満となる取得情報を対象として実行される先読み演出は、第2の態様で実行可能となる。このため、先読み演出が実行されるときの記憶表示の表示数(取得情報の記憶数)によって、先読み演出の態様を異ならせる(変化させる)ことが可能となる。これにより、先読み演出の演出効果を高めて興趣を向上させることが可能となる。
【0012】
また、先読み演出の態様を異ならせる(変化させる)基準となる記憶表示の表示数(取得情報の記憶数)、すなわち所定数が、遊技モードに応じて可変とされる。これにより、変化に富んだ先読み演出が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明によれば、先読み演出を備えた遊技機の興趣を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る遊技機の正面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る遊技機の裏面図である。
【
図3】本発明の実施例の遊技盤の構成を示す正面図である。
【
図4】
図3に示す主表示器の拡大図であり、同遊技機が備える表示器類を示す図である。
【
図5】同遊技機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図6】大当りの種別と大入賞口の開放パターンとの対応等を示す表である。
【
図7】遊技制御用マイコンが取得する各種乱数を示す表である。
【
図8】(A)は大当り判定テーブルであり、(B)は大当り種別判定テーブルであり、(C)は普通図柄当り判定テーブルであり、(D)は普通図柄変動パターン選択テーブルである。
【
図10】主制御メイン処理のフローチャートである。
【
図12】始動口センサ検知処理のフローチャートである。
【
図15】普通図柄待機処理のフローチャートである。
【
図16】普通図柄当否判定処理のフローチャートである。
【
図17】普通図柄乱数シフト処理のフローチャートである。
【
図18】普通図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図19】普通図柄確定処理のフローチャートである。
【
図20】普通電動役物処理のフローチャートである。
【
図22】特別図柄待機処理のフローチャートである。
【
図23】特
図2当否判定処理のフローチャートである。
【
図24】特
図2変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図25】特
図2変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図26】特
図2乱数シフト処理のフローチャートである。
【
図27】特
図1当否判定処理のフローチャートである。
【
図28】特
図1変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図29】特
図1変動パターン選択処理のフローチャートである。
【
図30】特
図1乱数シフト処理のフローチャートである。
【
図31】特別図柄変動中処理のフローチャートである。
【
図32】特別図柄確定処理のフローチャートである。
【
図33】特別電動役物処理(大当り遊技)のフローチャートである。
【
図35】遊技状態設定処理のフローチャートである。
【
図36】特定領域センサ検知処理のフローチャートである。
【
図37】非特定領域センサ検知処理のフローチャートである。
【
図40】サブ制御メイン処理のフローチャートである。
【
図41】受信割り込み処理のフローチャートである。
【
図42】2msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図43】10msタイマ割り込み処理のフローチャートである。
【
図44】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図45】受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図46】変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図47】保留アイコン予告処理のフローチャートである。
【
図48】大当りの種別とVラウンドでの可動片動作タイミング(第1所定値および第2所定値)との対応を示す表である。
【
図49】第2大入賞口センサと特定領域(可動片)との関係を示すタイミングチャートである。
【
図51】(A)は第1保留アイコン予告実行判定テーブルであり、(B)は第2保留アイコン予告実行判定テーブルである。
【
図52】第1保留アイコン予告パターン決定テーブルである。
【
図53】第2保留アイコン予告パターン決定テーブルである。
【
図54】(A)は保留アイコンの表示態様を示す説明図であり、(B)はパターンY4(金ハート)に基づいて実行される第1保留アイコン予告の流れを示す説明図であり、(C)はパターンY1(青ハート)に基づいて実行される第1保留アイコン予告の流れを示す説明図である。
【
図55】保留アイコン予告の変形例を示す説明図である。
【
図57】実施例2の始動入球時処理のフローチャートである。
【
図58】実施例2の演出状態設定処理のフローチャートである。
【
図59】実施例2の保留アイコン予告処理のフローチャートである。
【
図60】(A)は実施例2の第1保留アイコン予告実行判定テーブルAであり、(B)は実施例2の第1保留アイコン予告実行判定テーブルBである。
【
図61】(A)は実施例2の第2保留アイコン予告実行判定テーブルAであり、(B)は実施例2の第2保留アイコン予告実行判定テーブルBである。
【
図62】(A)は実施例2の第1保留アイコン予告パターン決定テーブルAであり、(B)は実施例2の第1保留アイコン予告パターン決定テーブルBである。
【
図63】(A)は実施例2の第2保留アイコン予告パターン決定テーブルAであり、(B)は実施例2の第2保留アイコン予告パターン決定テーブルBである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。以下では、遊技に用いる遊技媒体が遊技球とされ、遊技盤面(遊技領域)に向けて遊技球を発射することで遊技を進行させることが可能なパチンコ遊技機(弾球遊技機)に本発明を適用した例を説明する。なお、以下に例示するパチンコ遊技機は、始動口への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示した後に停止表示する図柄変動遊技(単に「変動遊技」ともいう。)を行い、当該特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば賞球)が付与され得る大当り遊技(特別遊技)が実行可能となる所謂「デジパチタイプ」の遊技機である。
【0018】
また、以下の説明において、単に前側(前方)とは、遊技機を正面視した場合の表面側(手前側)であって、遊技時に遊技者が位置する側のことである。また、単に後側(後方)とは、遊技機を正面視した場合の背面側のことである。さらに、単に上側(上方)、下側(下方)、左側(左方)、右側(右方)とは、遊技機を正面視した場合の上・下・左・右の各方向のことであり、例えば、
図1や
図3における上側、下側、左側、右側を指す。
【実施例1】
【0019】
図1~
図3に示すように、本実施例のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。
図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
【0020】
前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62、装飾用の枠ランプ66及びスピーカ67等が設けられている。
【0021】
また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中などに、遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a、第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう。)が設けられている。複数の演出ボタンは、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。なお、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者からの入力を検知できるものであればたり、遊技者がボタンに直接触れて入力を行う手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。
【0022】
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されている。レール部材4の先端には球戻り防止片6が設けられており、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止することができる。また遊技盤2には、装飾用の盤面ランプ5が設けられている。
【0023】
遊技盤2の中央付近(遊技領域内)には画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7は液晶表示器を備えてなるもので、その表示画面7aが遊技盤2(遊技領域3)の略中央に設けられた開口を介して前方から視認可能となるように、遊技盤2の裏面側に設けられる。
【0024】
表示画面7aには、演出図柄8L,8C,8R(単に「演出図柄8」ともいう。)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう。)が設けられている。演出図柄8は、後述の第1特別図柄及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様があり、本実施例では、原則、上から下へスクロール表示する。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。
【0025】
本実施例の演出図柄8L,8C,8Rは、それぞれ「1」~「9」の数字を表す数字図柄(図柄種)からなるもので、その数字図柄が順に表示されるものとなっている。具体的に、演出図柄8の変動表示は、「1」→「2」・・・「8」→「9」の順(昇順)で数字図柄をスクロール表示させることによって行われるものとなっており、「9」まで到達したら「1」に戻って、スクロール表示を変動終了(停止表示)まで繰り返すものとなっている。
【0026】
演出図柄表示領域7bに表示(停止表示)される左、中、右の演出図柄の組み合わせ(停止表示態様)によって、後述の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう。)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果や、第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう。)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果、つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう。)の結果を、遊技者が認識し易いように表示する。本実施例では、変動表示している3つの演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する順序(停止順序)を、原則「左→右→中」としている。すなわち、停止順が1番目の停止図柄を左演出図柄8Lとし、停止順が2番目の停止図柄を右演出図柄8Rとし、停止順が3番目(最後)の停止図柄を中演出図柄8Cとしている。なお、停止順が1番目の停止図柄のことを「第1停止図柄」ともいい、停止順が2番目の停止図柄のことを「第2停止図柄」ともいい、停止順が3番目の停止図柄のことを「第3停止図柄」や「最終停止図柄」ともいう。
【0027】
ここで、第1特別図柄、第2特別図柄及び演出図柄8の何れか又は全部を指して単に「図柄」や「識別情報」ともいう。また、普通図柄のことを「普図」や「普通識別情報」ともいい、演出図柄のことを「演出識別情報」ともいい、特別図柄のことを「特図」ともいい、第1特別図柄のことを「特
図1」、「第1特図」、「第1図柄」又は「第1識別情報」ともいい、第2特別図柄のことを「特
図2」、「第2特図」、「第2図柄」又は「第2識別情報」ともいう。さらに、演出図柄8を表示する画像表示装置7のことを「演出識別情報表示手段」又は「演出表示手段」ともいい、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示器41aのことを「第1識別情報表示手段」ともいい、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示器41bのことを「第2識別情報表示手段」ともいい、画像表示装置7、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bの何れか又は全部を指して「識別情報表示手段」ともいう。
【0028】
演出図柄8の停止表示態様は次のように定めることができる。例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りである場合には、「222」や「777」等の3桁同一のゾロ目(「大当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、特別図柄当否判定の結果が外れである場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう。)で演出図柄を停止表示することが可能である。遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果(大当りか外れか)を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。
【0029】
なお、左・中・右の図柄表示エリアは夫々区別して設ける必要はなく、3つの演出図柄を表示する一の図柄表示エリアとしてもよい。また、本実施例では、左・中・右の演出図柄8を表示するものとしているが、例えば、表示画面上に3行3列のマトリックス状の図柄表示エリアを設けて9つの演出図柄を表示し、各図柄が変動表示を経て停止表示したときの縦一列、横一列、斜め一列の各列の並び(図柄組合せ)により演出図柄の停止態様(停止図柄)を表示したり、図柄表示エリア(演出図柄表示領域)を複数(例えば4つ)の領域に分割して各領域で3つの演出図柄の変動表示及び停止表示を行ったりする等、演出図柄の数や図柄表示エリアの態様は特に問わない。
【0030】
ここで、特別図柄当否判定の結果のうち「大当り」のことを「特定結果」ともいい、「外れ」のことを「非特定結果」ともいう。また、識別情報(特別図柄及び/又は演出図柄)の停止表示態様のうち、特別図柄当否判定の結果が「大当り」の場合に対応する停止表示態様のことを「大当り態様」、「特定態様」又は「特定表示結果」ともいい、特別図柄当否判定の結果が「外れ」の場合に対応する停止表示態様のことを「外れ態様」、「非特定態様」又は「非特定表示結果」ともいう。さらに、特別図柄当否判定の結果が大当りであることに基づいて実行される変動表示のことを「大当り変動」又は「特定変動」ともいい、特別図柄当否判定の結果が外れであることに基づいて実行される変動表示のことを「外れ変動」又は「非特定変動」ともいう。
【0031】
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄8を用いた遊技演出(「演出図柄遊技演出」ともいう。)のほか、大当り遊技に伴って実行される大当り遊技演出(特別遊技演出)や、客待ち用のデモ演出などが表示される。また、演出図柄遊技演出や大当り遊技演出、デモ演出等の各種演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
【0032】
画像表示装置7の表示画面7aには、演出図柄表示領域7bの他、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)とが設けられている。第1演出保留又は第2演出保留の表示態様(表示数)により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数及び第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
【0033】
ここで、第1演出保留表示領域9cに表示される第1演出保留9aのことを「第1記憶表示」ともいい、第2演出保留表示領域9dに表示される第2演出保留9bのことを「第2記憶表示」ともいい、第1演出保留9a及び第2演出保留9bの何れか一方又は両方を指して「記憶表示」又は「保留アイコン」ともいう。また。第1演出保留表示領域9cのことを「第1記憶表示部」又は「第1記憶表示手段」ともいい、第2演出保留表示領域9dのことを「第2記憶表示部」又は「第2記憶表示手段」ともいい、第1演出保留表示領域9c及び第2演出保留表示領域9dの何れか一方又は両方を指して「記憶表示部」又は「記憶表示手段」ともいう。
【0034】
また表示画面7aには、現在変動表示している特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)に対応する演出保留、すなわち、消化された特図保留に対応する演出保留(第1演出保留9aまたは第2演出保留9b)を表示する変動保留表示領域9eが設けられている(
図3を参照)。本実施例では、第1演出保留表示領域9cと第2演出保留表示領域9dとの間に変動保留表示領域9eが設けられている。このことから本実施例では、
図3に示すように、第1演出保留表示領域9cに表示される第1演出保留9aは、右端から左端に向かって順に特
図1保留球数「1」、「2」、「3」、「4」に対応するものとなっており、第2演出保留表示領域9dに表示される第2演出保留9bは、左端から右端に向かって順に特
図2保留球数「1」、「2」、「3」、「4」に対応するものとなっている。そして、特
図1保留球数「1」に対応する第1特別図柄の変動表示の開始(第1特図保留の消化)に伴って、当該保留に対応する第1演出保留9aが第1演出保留表示領域9cから変動保留表示領域9eへ移動する(移動表示される)。また、特
図2保留球数「1」に対応する第2特別図柄の変動表示の開始(第2特図保留の消化)に伴って、当該保留に対応する第2演出保留9bが第2演出保留表示領域9dから変動保留表示領域9eへ移動する(移動表示される)。
【0035】
なお、変動保留表示領域9eも「記憶表示部」又は「記憶表示手段」ということができ、変動保留表示領域9eに表示される演出保留も「記憶表示」又は「保留アイコン」ということができる。また、変動保留表示領域9eに表示される演出保留のことを「アクティブ保留アイコン」ともいい、演出保留表示領域9c、9dに表示される演出保留(保留アイコン)及び変動保留表示領域9eに表示される演出保留(アクティブ保留アイコン)のことを総じて「記憶表示」又は「保留アイコン」ともいう。
【0036】
遊技盤2(遊技領域3)の中央付近であって画像表示装置7の前方には、演出図柄表示領域7bを取り囲むようにしてセンター装飾体10が設けられている。センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられている。またセンター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出しステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。さらにセンター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を有し遊技状態に応じて点灯可能であって、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。
【0037】
センター装飾体10の上部であって装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。
図3では、可動装飾部材14の一部分のみが視認可能となっているが、例えば、比較的大当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って可動装飾部材14が下方に落下し、当該可動装飾部材14が表示画面7aの前面を覆うことで、その大部分が視認可能となる。これにより、遊技者は大当りへの期待感を高めることとなる。
【0038】
遊技領域3における画像表示装置7の下方(ステージ部11の下方)には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(「第1特別図柄当否判定」ともいう。)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
【0039】
遊技領域3における画像表示装置7の右方には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第2始動口21(「可変始動口」ともいう。)を備える可変入賞装置22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
【0040】
つまり、第1特別図柄の変動表示(第1特別図柄当否判定)は、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて実行され、第2特別図柄の変動表示(第2特別図柄当否判定)は、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて実行される。
【0041】
可変入賞装置22は、開閉部材(羽根部材)23を備え、開閉部材23の動作によって第2始動口21を開閉するものである。開閉部材23の開閉動作により、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)と当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)とに変化可能である。開閉部材23は、第2始動口ソレノイド24(
図5を参照)により駆動される。本実施例では、第2始動口21は、開閉部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、開閉部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。なお、第2始動口21は、開閉部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、開閉部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
【0042】
遊技領域3における第1始動口20の右方には、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第1大入賞口30(「第1可変入球口」ともいう。)を備えた第1大入賞装置31と、遊技球の入球し易さ(入球可能性)が変化する可変式の第2大入賞口35(「第2可変入球口」ともいう。)を備えた第2大入賞装置36と、が設けられている。本実施例では、第1大入賞口30(第1大入賞装置31)の真上に第2大入賞口35(第2大入賞装置36)が配置されている。第1大入賞口30(第1大入賞装置31)及び第2大入賞口35(第2大入賞装置36)の何れか一方又は両方を指して「特別入球口」ともいう。
【0043】
第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の動作により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(
図5を参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。開閉部材32の開閉動作により、第1大入賞口30は、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化し得る。
【0044】
第2大入賞装置36は、開閉部材37を備え、開閉部材37の動作により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(
図5を参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。開閉部材37の開閉動作により、第2大入賞口35は、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化し得る。
【0045】
また第2大入賞装置36は、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39(「V領域」ともいう。)及び非特定領域49(「非V領域」ともいう。)と、第2大入賞口35に入球した遊技球を特定領域39又は非特定領域49に誘導する(振り分ける)ための可動片150を含んで構成されている。
【0046】
詳細には後述するが、可動片150は、後述の第2大入賞口センサ35aにより検知された遊技球の数に基づいて動作可能とされており、可動片ソレノイド151(
図5を参照)により駆動される。可動片ソレノイド151がOFFのとき、すなわち可動片150が動作していないときは(非動作状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は非特定領域49(特定領域以外の領域)に誘導されて、特定領域39を通過することが不可能となる。一方、可動片ソレノイド151がONのとき、すなわち可動片150が動作しているときは(動作状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は特定領域39に誘導されて、特定領域39を通過すること(「V通過」ともいう。)が可能となる。なお、可動片150のことを「可動部材」又は「振分部材」ともいう。また、可動片150を含んで構成される第2大入賞装置36又は第2大入賞口35のことを「Vアタッカー」ともいう。
【0047】
本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の高確率状態を発生させるように構成されている。高確率状態は、特別遊技とは別に遊技者に付与される遊技上の特典の一つである。特定領域39への遊技球の通過有無に基づいて高確率状態を発生させるか否かを決定する本パチンコ遊技機1は、所謂「V確機」と呼ばれるものであり、特定領域39は確変作動口(確変領域)として機能するものである。このような特定領域39は、第1大入賞装置31(第1大入賞口30)には設けられていない。なお、第1大入賞装置31(第1大入賞口30)に特定領域39を設けてもよい。
【0048】
ここで、第2大入賞装置36の構成について詳しく説明する。
図50は第2大入賞装置36を示す模式図である。同図に示すように、第2大入賞口35に入球した遊技球は、第2大入賞装置内の所定の遊技球誘導通路を通って、全て第2大入賞口センサ35a(「入球検知手段」又は「入球検知センサ」ともいう。)を通過する。第2大入賞口センサ35aは第2大入賞口35への遊技球の入球を検知するためのセンサであり、第2大入賞口センサ35aでの検知に基づいて第2大入賞口35への入球数を計数することが可能である。遊技球が第2大入賞口センサ35aで検知されると、その検知数(つまり、入球数)が後述する主制御部によりラウンド単位で計数される(入球数計数手段)。この計数結果(計数値)はラウンド終了によりクリアされる。
【0049】
また、第2大入賞口センサ35aで検知された遊技球は、その後、所定の遊技球誘導通路を通って、必ず特定領域39又は非特定領域49を通過する(
図50(a)、(b)を参照)。特定領域39は、可動片150が動作中(動作状態)のときにだけ、換言すると、特定領域39が開放中のときにだけ、遊技球が通過可能となる。特定領域39には特定領域センサ39aが設けられており、特定領域39を通過する遊技球は特定領域センサ39aにより検知される(
図50(b)を参照)。特定領域センサ39aは、特定領域39への遊技球の通過を検知するためのセンサである。また、非特定領域49には非特定領域センサ49aが設けられており、非特定領域49を通過する遊技球は非特定領域センサ49aにより検知される(
図50(a)を参照)。非特定領域センサ49aは、非特定領域49への遊技球の通過を検知するためのセンサである。特定領域センサ39a及び非特定領域検知センサ49aは、第2大入賞口35からの遊技球の排出を検知するためのセンサでもあり、特定領域センサ39a及び非特定領域検知センサ49aの検知に基づいて第2大入賞口35からの排出数を計数することが可能となる。遊技球が特定領域センサ39a又は非特定領域検知センサ49aで検知されると、その検知数(つまり、排出数)が後述する主制御部によりラウンド単位で計数される(排出数計数手段)。この計数結果(計数値)はラウンド終了によりクリアされる。
【0050】
入球数及び排出数の計数は、例えば一のカウンタ(カウント値)を遊技球の入球検知毎に1ずつ加算し、排出検知毎に1ずつ減算することにより行ったり、入球数を計数(カウント)するカウンタと排出数を計数(カウント)するカウンタとを設け各カウンタを入球又は排出の検知毎に1ずつ加算することにより行ったりすることができる。
【0051】
また、特定領域センサ39aにより検知された遊技球の数は、後述する主制御部により特定領域通過数として計数され(特定領域通過計数手段)、非特定領域センサ49aにより検知された遊技球の数は、後述する主制御部により非特定領域通過数として計数される(非特定領域通過計数手段)。これらの計数もラウンド単位で行われ、計数結果(計数値)はラウンド終了によりクリアされる。
【0052】
なお、第2大入賞口35に入球した遊技球が排出されるのを検知する特定領域センサ39a(「第1排出検知手段」又は「第1排出検知センサ」ともいう。)および非特定領域検知センサ49a(「第2排出検知手段」又は「第2排出検知センサ」ともいう。)のことを、総じて「排出検知手段」又は「排出検知センサ」ともいう。
【0053】
本実施例では、主制御部の制御プログラムによって、第2大入賞口35に係る遊技球の入球数および排出数を計数し、その計数結果を基に入球数と排出数の一致・不一致を判定することにより、特定領域39を有する第2大入賞装置36(第2大入賞口35)への入球に係る異常や不正等の発生の有無を監視することが可能となっている。第2大入賞装置36(第2大入賞口35)の内部では、特定領域39を開閉するための可動片150を動作させるため、可動片150に遊技球が噛む等して、第2大入賞装置36(第2大入賞口35)に遊技球が詰まってしまう虞がある。このような球詰まりが発生した場合には、第2大入賞口35に入球した遊技球がその後排出されないことから、入球数と排出数とが一致しないこととなる。このように入球数と排出数とを監視することで、球詰まりの有無を確認することが可能となる。また、いわゆる糸吊りゴト等の不正行為により遊技球を特定領域センサ39aに検知させた場合にも入球数と排出数とが一致しないため、このことに基づいて不正行為の有無を監視して、不測の損害が発生するのを未然に防止することも可能となる。
【0054】
また本実施例では、主制御部の制御プログラムによって、特定領域39への遊技球の通過に関するエラーの発生を判定することが可能となっている。具体的には、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効なものとして扱う特定領域有効期間が、可動片150の動作開始を契機に設定され、その特定領域有効期間を除いた期間(特定領域有効期間以外の期間)において遊技球が特定領域センサ39aにより検知された場合(特定領域センサ39aによる検知がなされた場合)にはエラーの発生と判定して、その検知を無効なものとして扱うものとしている。また、特定領域センサ39aの接続不良等により当該センサの信号(特定領域通過信号)に異常が発生した場合にも、エラーの発生とすることが可能となっている。こうした特定領域有効期間や特定領域センサ39aの接続不良等に基づくエラーの判定によっても、不正行為や機器の故障・破損等の有無を監視することが可能であり、これにより不測の損害が発生するのを未然に防止することが可能となる。
【0055】
遊技領域3のうち、センター装飾体10より右側の領域には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21は開状態となる。
【0056】
さらに遊技領域3の下部には、複数の一般入賞口27が設けられている。本実施例では、一般入賞口27を4個設けてあり、そのうちの3個を第1始動口20の左方に設けられた左一般入賞口とし、1個を第1大入賞口30の右方に設けられた右一般入賞口としている。第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35及び一般入賞口27は、それぞれ賞球の払い出し契機となる入球口であり、各入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう。)が払い出される。具体的には、第1始動口20の賞球数は「3」、第2始動口21の賞球数は「1」、一般入賞口27の賞球数は「10」、第1大入賞口20及び第2大入賞口35の賞球数は「15」としている。
【0057】
このように複数の入球口(第1始動口20、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、一般入賞口27及びゲート28)等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域3A(第1領域)と、右側の右遊技領域3B(第2領域)と、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「左打ち」ともいい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「右打ち」ともいう。
【0058】
複数の入球口のうち、第1始動口20及び3個の左一般入賞口27は、遊技領域3のうち左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けられる。また、第2始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、右一般入賞口27及びゲート28は、遊技領域3のうち右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように設けられる。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際には、原則、左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく特別図柄当否判定で大当りになる等して遊技状態が変化した際には、原則、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30および第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。
【0059】
図3及び
図4に示すように、遊技領域3の外側(遊技領域外)であって遊技盤2の右下部には主表示器40が設けられている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示および停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)と、第2特別図柄を変動表示および停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)と、普通図柄を変動表示および停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)と、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44と、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が大当り(特定結果)となった場合に実行される大当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45と、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46と、遊技球の発射方向(左打ちすべき状態か右打ちすべき状態か)を示す発射方向表示器47と、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が大当りになったことを示す当り表示器48と、が含まれている(
図4を参照)。
【0060】
なお、以下の説明では、第1特別図柄及び第2特別図柄を総称して特別図柄ということがあり、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示部ということがあり、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示部ということがある。
【0061】
特別図柄表示部では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示した特別図柄(停止図柄)によって第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定の結果に基づいて複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定識別情報)である場合、すなわち、大当り図柄や小当り図柄等の当り図柄である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技)が行われる。特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30、第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
【0062】
図4に示すように、第1特別図柄表示器41aは「i~p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第1特別図柄当否判定の結果として「7R第1~第7大当り」の7種類の大当りが設けられており(
図8を参照)、第1特別図柄表示器41aのLEDは、それら7種類の大当りの各々に応じた表示態様(「特定態様」又は「特定表示結果」)を表示することが可能となっている。
【0063】
具体的には、第1特別図柄当否判定の結果が「7R第1大当り」の場合は「ijn」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第1大当り図柄)、「7R第2大当り」の場合は「imn」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第2大当り図柄)、「7R第3大当り」の場合は「jln」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第3大当り図柄)、「7R第4大当り」の場合は「jkn」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第4大当り図柄)、「7R第5大当り」の場合は「kln」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第5大当り図柄)、「7R第6大当り」の場合は「klp」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(7R第6大当り図柄)、「7R第7大当り」の場合は「kln」の3個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(7R第7大当り図柄)。また、第1特別図柄当否判定の結果が「外れ」の場合は「n」の1個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(外れ図柄、非特定態様)。
【0064】
一方、第2特別図柄表示器41bは「a~h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。本実施例では、第2特別図柄当否判定の結果として「10R第8大当り」及び「10R第9大当り」の2種類の大当りが設けられており(
図8を参照)、第2特別図柄表示器41bのLEDは、それら2種類の大当りの各々に応じた表示態様(「特定態様」又は「特定表示結果」)を表示することが可能となっている。
【0065】
具体的には、第2特別図柄当否判定の結果が「10R第8大当り」の場合は「acde」の4個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとし(10R第8大当り図柄)、「10R第9大当り」の場合は「bfgh」の4個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(10R第9大当り図柄)。また、第2特別図柄当否判定の結果が「外れ」の場合は「g」の1個のLEDを点灯させて残りを消灯させるものとする(外れ図柄、非特定態様)。
【0066】
なお、特別図柄の停止表示態様(停止図柄)や大当りの種類(ラウンド数の種類、大当りの数など)は本実施例に限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0067】
特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示が行われる。特別図柄の変動表示の態様は、例えば、時計回り方向や反時計回り方向など、予め定められた順序で光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様とすることができる。また、第1特別図柄表示器41aに停止表示された第1特別図柄は、次の第1特別図柄の変動表示が開始されるまで、その停止表示態様が維持される。同様に、第2特別図柄表示器41bに停止表示された第2特別図柄は、次の第2特別図柄の変動表示が開始されるまで、その停止表示態様が維持される。
【0068】
特別図柄の停止表示(停止表示態様の維持)は、所定の停止表示時間(「停止表示期間」ともいう。)が経過するまで行われる。本実施例では、特別図柄当否判定の結果が外れであることに基づく特別図柄の停止表示時間(「外れ停止表示時間」ともいう。)と、特別図柄当否判定の結果が大当りであることに基づく特別図柄の停止表示時間(「大当り停止表示時間」ともいう。)とをそれぞれ「0.6秒(600ms)」としており、外れ停止表示時間と大当り停止表示時間を同じ時間としている。なお、外れ停止表示時間と大当り停止表示時間と異なる時間としてもよく、この場合、大当り停止表示時間を外れ停止表示時間よりも長くしたり、外れ停止表示時間を大当り停止表示時間よりも長くしたりすることができる。また、後述の低ベース状態や高ベース状態等の遊技状態により停止表示時間を異ならせてもよい。
【0069】
停止表示された特別図柄が外れ図柄(非特定態様)であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されている場合には、停止表示期間(外れ停止表示時間)が経過すると、記憶順の最も古い(最先の)特図保留が消化され、これにより次の特別図柄の変動表示が開始される。また、停止表示された特別図柄が外れ図柄であって、当該停止表示の際に特図保留が記憶されていない場合には、停止表示期間(外れ停止表示時間)が経過した後も、特別図柄の停止表示状態が維持される。一方、停止表示された特別図柄が大当り図柄(特定態様)である場合には、停止表示期間(大当り停止表示時間)が経過すると、後述する大当り遊技のオープニング期間に移行し、当該オープニング期間を経て大当り遊技の1ラウンド目が開始される。
【0070】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう。)が取得され(取得手段)、この取得された各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。各々の特図保留記憶部に記憶可能な特図保留の数には上限が設定されており、本実施例における上限値はそれぞれ「4」となっている。これら第1特図保留記憶部および第2特図保留記憶部を、夫々「第1取得情報記憶手段」および「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
【0071】
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示がその入球時にすぐに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。
【0072】
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものとなっている。例えば、保留数が「0」の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「3」の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「4(上限数)」の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。
【0073】
また、第2特図保留表示器43bは「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数「1」~「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
【0074】
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。第2始動口21の開放パターンについては後述する。
【0075】
図4に示すように、普通図柄表示器42は「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示することが可能となっている。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。なお、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば、両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。また、普通図柄表示器42に停止表示された普通図柄は、次の普通図柄の変動表示が開始されるまで、その停止表示態様が維持される。
【0076】
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう。)が取得され、この取得された各種情報は、主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数には上限が設定されており、本実施例における上限値は「4」となっている。普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。
【0077】
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には、普図保留表示器44は「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数「2」~「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
【0078】
図4に示すように、ラウンド表示器45は、7R用ランプと10R用ランプの2個のLEDで構成されている。このラウンド表示器45では、例えば、7R第1~第7大当りの何れかになると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、7R用ランプが点灯表示される。具体的には「7R▲10R△」の様な表示態様(例えば、△:消灯、▲:点灯)となる。また、10R第8大当り又は10R第9大当りになると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、10R用ランプが点灯表示される。具体的には、「7R△10R▲」の様な表示態様(例えば、△:消灯、▲:点灯)となる。
【0079】
図4に示すように、当り表示器48は「b1~b3」で示す3個のLEDで構成されており、特別図柄表示部に前述の大当り図柄(特定態様、特定表示結果)が表示されたときに、これに伴ってLEDを所定の態様で点灯させることにより、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が大当りになったことを表示(報知)するものである。具体的には、例えば、第1特別図柄当否判定の結果が大当り(特定結果)であり、これに基づく第1特別図柄の変動表示が第1特別図柄表示器41aで行われた後、前述の7R第1~第7大当り図柄の何れかが第1特別図柄表示器41aに表示(停止表示)された場合には、「b1■b2■b3□」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように「b1」及び「b2」のLEDを点灯させて「b3」のLEDを消灯させる。また、第2特別図柄当否判定の結果が大当り(特定結果)であり、これに基づく第2特別図柄の変動表示が第2特別図柄表示器41bで行われた後、前述の10R第8大当り図柄又は10R第9大当り図柄が第2特別図柄表示器41bに表示(停止表示)された場合には、「b1■b2□b3■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように「b1」及び「b3」のLEDを点灯させて「b2」のLEDを消灯させる。
【0080】
このように当り表示器48は、「b1~b3」の3個のLEDの点灯態様によって、大当りが発生したとき(大当り図柄が表示されたとき)の当該大当りの契機となった特別図柄当否判定が、第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを報知することが可能となっている。こうした当り表示器48による大当りの契機となった特別図柄当否判定の種別の報知のことを「判定報知」ともいい、当り表示器48のことを「判定報知手段」ともいう。
【0081】
当り表示器48による判定報知は、大当りの発生(大当り図柄の表示)から所定期間に亘って行われ、本実施例では、大当りの発生(大当り図柄の表示)から、次の大当りが発生するまで(次の大当り図柄が表示されるまで)の間、行われるものとなっている。例えば、左打ちで遊技を進める中(第1特別図柄の変動表示が行われる中)、第1特別図柄表示器41aに大当り図柄が表示(停止表示)されて、その後、大当り遊技を経て右打ちで遊技を進める中(第2特別図柄の変動表示が行われる中)、第2特別図柄表示器41bに大当り図柄が表示(停止表示)される場合、第1特別図柄表示器41aでの大当り図柄の表示を契機として当り表示器48の表示態様(点灯態様)が「b1■b2■b3□」となり、その後、第2特別図柄表示器41bに大当り図柄が表示されるまでの間、その当り表示器48の表示態様「b1■b2■b3□」が維持される。そして、第2特別図柄表示器41bに大当り図柄が表示されると、それまで点灯していた当り表示器48の2個のLED「b1」及び「b2」のうち「b2」が消灯され、当り表示器48の表示態様(点灯態様)が「b1■b2□b3■」となる。また、例えば、第1特別図柄表示器41aに大当り図柄が表示され、その後、大当り遊技を経て再び第1特別図柄表示器41aに大当り図柄が表示される場合、第1特別図柄表示器41aでの先の大当り図柄の表示を契機として当り表示器48の表示態様(点灯態様)が「b1■b2■b3□」となり、その後、第1特別図柄表示器41aに次の大当りに係る大当り図柄が表示された後も、その当り表示器48の表示態様「b1■b2■b3□」が維持される。このため、本実施例では、「先(前回)の大当り」と「後(次回)の大当り」との間(大当り間)において、先(前回)の大当りの契機となった特別図柄当否判定の種別を示す(報知する)ことが可能となっている。
【0082】
なお、当り表示器48による判定報知の実行期間(判定報知期間)は、本実施例のように大当り間に亘るものでなくてもよい。例えば、大当りの発生(大当り図柄の表示)から当該大当りに係る大当り遊技の終了までとしたり、大当りの発生(大当り図柄の表示)から当該大当りに係る大当り遊技後の所定時間が経過するまでとしたり、大当りの発生(大当り図柄の表示)から当該大当りに係る大当り遊技後の特別図柄の変動表示が所定回数行われるまでとしたりすることが可能である。また、大当り遊技終了後の遊技状態が、後述の高確率状態や時短状態等の通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態(「特定遊技状態」ともいう。)となる場合、判定報知期間を、大当りの発生(大当り図柄の表示)からその特定遊技状態が終了するまでの間とすることも可能である。さらに、大当り遊技中に後述する特定領域異常通過が発生した場合、その特定領域異常通過の発生から所定期間を判定報知期間とすることも可能である。この場合、特定領域異常通過が発生したときに実行中の大当り遊技の契機となった特別図柄当否判定の種別(第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定)を示す表示態様(点灯態様)で、当り表示器48のLEDを点灯させる。
【0083】
また本実施例では、パチンコ遊技機1の電源を投入したときの当り表示器48の表示態様(初期表示態様)を、原則、「b1~b3」の3個のLEDがすべて消灯した態様(全消灯)としている。さらに、本実施例では、当り表示器48による表示(つまり「判定報知」)をバックアップの対象としている。このため、例えば、当り表示器48の表示態様が「b1■b2■b3□」である状態で電源断となった場合、その表示態様に係るLEDの点灯パターンデータがRAMに記憶(バックアップ)され、次に電源を投入したときには、そのバックアップされた点灯パターンデータによって、当り表示器48の表示態様が電源断発生前と同様とされる。但し、パチンコ遊技機1の電源投入の際にRAMクリアを実行した場合には、バックアップされた点灯パターンデータが消去され、当り表示器48の表示態様は前述の初期表示態様(全消灯)とされる。なお、当り表示器48による判定報知をバックアップの対象としないように構成してもよい。また、当り表示器48は必ずしも設ける必要はない。
【0084】
次に
図2及び
図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」又は「遊技制御部」ともいう。)と、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行う副制御基板90(「副制御部」、「サブ制御部」又は「演出制御部」ともいう。)と、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)と、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(「画像制御部」ともいう。)等を備えている。
【0085】
図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上には副制御基板90を収納した副制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板110を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
【0086】
電源基板109は、外部からの供給電力を受けて本パチンコ遊技機1に電力を供給する電力供給手段として機能する。具体的には、
図5のブロック図に示された各種の基板類や装置・機器類、センサ、スイッチ、モータ、ソレノイドなど、本パチンコ遊技機1の作動に必要となる様々な電気部品に電力を供給する。電源基板109には、電源基板ケースの外部に露出した状態で電源スイッチ(図示せず)が設けられており、電源スイッチをONにすることで電力の供給が開始され、OFFにすることで電力の供給が停止される。
【0087】
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(「遊技制御用マイコン」ともいう。)81が実装されている。遊技制御用マイコン81(遊技制御手段)には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、上述の特図保留記憶部(第1特図保留記憶部及び第2特図保留記憶部)と普図保留記憶部が設けられている。
【0088】
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されており、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的には、センサ類として、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ49aおよび一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサの何れか又は全部を指して「遊技球検知手段」ともいう。
【0089】
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。非特定領域センサ49aは、第2大入賞口35内の非特定領域49に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち非特定領域49を通過した遊技球を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球を検知するものである。遊技制御用マイコン81(主制御部)のRAMには、これらの各センサ(遊技球検知手段)による遊技球の検知数を計数、記憶するための領域が設けられており、遊技制御用マイコン81の制御(プログラム)により、各センサによる検知数を計数することが可能となっている(計数手段)。
【0090】
またソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38及び可動片ソレノイド151が接続されている。これら各種ソレノイドのことを「電気的駆動源」や「駆動手段」ともいう。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の開閉部材23を駆動するためのもので、第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。また、第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのもので、可動片ソレノイド151は、第2大入賞装置36の可動片150を駆動するものである。
【0091】
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47及び当り表示器48が接続されている。これらの各表示器を含む主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81により行われる。
【0092】
主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう。)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には発射ハンドル60(
図1を参照)が含まれる。
【0093】
払出制御基板110は、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン(「払出制御用マイコン」ともいう。)116が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。遊技者による発射装置112のハンドル60(
図1を参照)の操作があった場合には、タッチセンサ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。
【0094】
主制御基板80は、副制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80と副制御基板90との接続は、主制御基板80から副制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80と副制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
【0095】
図5に示すように、副制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(「演出制御用マイコン」ともいう。)91が実装されている。演出制御用マイコン91(演出制御手段)には、遊技の進行に伴って遊技演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。
【0096】
副制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。なお、副制御基板90(サブ制御部)や画像制御基板100(画像制御部)、音声制御基板106(音声制御部)、ランプ制御基板107(ランプ制御部)は、遊技の状況に応じて表示演出や音演出、ランプ演出(光演出)等の各種演出を、対応する演出用の装置や部材等(演出手段)に実行させる制御を行う演出制御手段(「演出実行手段」ともいう。)として機能するものである。
【0097】
副制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」ともいう。)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2特図保留表示器103bの表示制御を行わせる。
【0098】
画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字及び記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
【0099】
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示及び停止表示にあわせて変動表示及び停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103a及び演出第2特図保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、演出第1特図保留表示器103aは、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、第1演出保留表示領域9c及び第1特図保留表示器43aに表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。同様に、演出第2特図保留表示器103bは、2個のLEDの点灯・消灯又は色の組合せにより、第2演出保留表示領域9d及び第2特図保留表示器43bに表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、演出表示を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)の略全体を被覆したりすることで、演出図柄8や第1演出保留9a、第2演出保留9b等、表示画面7aに表示される各種画像の一部または全部が視認できない状態になることがあるため、この様な保留表示器103a,103bが設けられている。なお、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えて、VDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
【0100】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、副制御基板90のROMに格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
【0101】
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
【0102】
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を動作させる。可動装飾部材14は、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の動作態様で動作させるための動作パターンデータ(「駆動データ」ともいう。)を、副制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した動作パターンデータに基づいて可動装飾部材14の動作を制御する。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
【0103】
また副制御基板90には、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63b(
図1を参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチから副制御基板90に対して信号が出力される。なお、第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dを総称して単に「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
【0104】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御について説明する。本実施例では、特別図柄当否判定の結果として「大当り(特定結果)」と「外れ(非特定結果)」とがある。特別図柄当否判定の結果が大当りの場合には、特別図柄表示部に「大当り図柄」が停止表示され、外れの場合には、特別図柄表示部に「外れ図柄」が停止表示される。大当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにしたがって第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。特別遊技は、所定の開放パターンで開放する第1大入賞口30又は第2大入賞口35(特別入球口)に遊技球を入球させる遊技である。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」といもいう。
【0105】
大当りには複数の種別がある。
図6に示すように大当りの種別としては、「7R(ラウンド)第1大当り」、「7R第2大当り」、「7R第3大当り」、「7R第4大当り」、「7R第5大当り」、「7R第6大当り」、「7R第7大当り」「10R第8大当り」及び「10R第9大当り」の計9種類がある。7R第1~第7大当りは、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が7回の大当りであり、10R第8,第9大当りは、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が10回の大当りである。
【0106】
ここで、7R第1~第7大当りのことを総じて「7R大当り」ともいい、10R第8,第9大当りのことを総じて「10R大当り」ともいう。また、7R大当りに係る大当り遊技のことを「7R大当り遊技」ともいい、10R大当りに係る大当り遊技のことを「10R大当り遊技」ともいう。
【0107】
なお、本実施例では、ラウンド数の違いによる大当り種別を、7R大当り及び10R大当りの2種類としているが、例えば、5R大当りと10R大当りの2種類としたり、7R大当りの1種類としたりする等、種々の大当り種別を設けることが可能である。また本実施例では、大当り遊技の最大ラウンド数を10R(10R大当り)としているが、最大ラウンド数はこれに限られず、例えば、10Rよりも多いラウンド(例えば15R)を最大ラウンド数としたり、10Rよりも少ないラウンド(例えば9R)を最大ラウンド数としたりすることも可能である。
【0108】
本実施例の大当りに係る大当り遊技の各ラウンドでは、第1大入賞口30及び第2大入賞口35のうち一方が開放した状態(入球可能状態、遊技球受入可能状態)となり、他方は閉鎖した状態(入球不能状態、遊技球受入不能状態)となる。すなわち、2つの大入賞口30,35(特別入球口)が同時に開放することはなく、何れか一方の大入賞口(特別入球口)が開放する。具体的には、1ラウンド目では第1大入賞口30(下大入賞口)が閉鎖して第2大入賞口35(上大入賞口)が開放し、2ラウンド目では第1大入賞口30(下大入賞口)が開放して第2大入賞口35(上大入賞口)が閉鎖し、3ラウンド目では1ラウンド目と同様に第1大入賞口30(下大入賞口)が閉鎖して第2大入賞口35(上大入賞口)が開放し、4ラウンド目では2ラウンド目と同様に第1大入賞口30(下大入賞口)が開放して第2大入賞口35(上大入賞口)が閉鎖する。以後、5ラウンド目、6ラウンド目とラウンドが進む毎に、第1大入賞口30(下大入賞口)の閉鎖および第2大入賞口35(上大入賞口)の開放と、第1大入賞口30(下大入賞口)の開放および第2大入賞口35(上大入賞口)の閉鎖とが、交互に発生する。つまり、本実施例の大当り遊技は、奇数ラウンドで第2大入賞口35(上大入賞口)が開放し、偶数ラウンドで第1大入賞口30(下大入賞口)が開放するものとなっており、第1大入賞口30(下大入賞口)と第2大入賞口35(上大入賞口)とが、第2大入賞口35(上大入賞口)の開放を先として交互に開放する。
【0109】
ここで、大当り遊技中の大入賞口開放パターンについて説明する。本実施例では、第1大入賞口30と第2大入賞口35の開放パターンを同様としている。すなわち、大当り遊技中の奇数ラウンドでは、第2大入賞口35をラウンド開始から25000ms(25秒)が経過するまで開放させ、25000ms(25秒)の経過により閉鎖させて、ラウンドを終了させる。つまり、開放時間25000ms、開放回数1回の開放パターンで第2大入賞口35の開放を行う。この開放パターンで開放する第2大入賞口35には、右打ちを行うことで遊技球を容易に入球させることが可能となる。一方、大当り遊技中の偶数ラウンドでは、第1大入賞口30をラウンド開始から25000ms(25秒)が経過するまで開放させた後、25000ms(25秒)の経過により閉鎖させて、ラウンドを終了させる。つまり、開放時間25000ms、開放回数1回の開放パターンで、第1大入賞口30の開放を行う。この開放パターンで開放する第1大入賞口30には、右打ちを行うことで遊技球を容易に入球させることが可能となる。
【0110】
また、大当り遊技中の5ラウンド目では、第2大入賞口35の開放に加えて、当該第2大入賞口35に入球した遊技球の数が所定数になることに基づいて可動片150を動作させるものとしている。具体的には、第2大入賞口35に遊技球が入球すると、その入球した遊技球は第2大入賞口センサ35aにより検知され、その検知された遊技球の数(つまり、第2大入賞口35への入球数)が、主制御部のRAMに設けられたカウンタ(図示せず)を用いて計数される(入球数計数手段)。この計数値が所定値になると、これを契機に可動片150が動作する。つまり、所定値(第2大入賞口35への入球数)によって、可動片150の動作タイミングが規定されるものとなっている。
【0111】
可動片150の動作契機となる所定値(計数値)は、1ラウンド中に第2大入賞口35への入球が許容される遊技球の数(規定数)の範囲内で設定されるもので、本実施例では、大別して「第1所定値(第1計数値)」と該第1所定値よりも大きな値である「第2所定値(第2計数値)」の2つの所定値を設けている。
【0112】
具体的には、
図48に示すように、「大当り種別」と「第1所定値および第2所定値」との対応関係が、主制御部のROMに予め記憶されている(値記憶手段)。本実施例では、第1所定値(第1計数値:c1)を「1」とし、第2所定値(第2計数値:c2)を「2」としている。第1所定値は全ての大当り種別に対して設定される。一方、第2所定値は、特定の大当り種別(本例では7R第1,第3,第5,第7大当り及び10R第8大当り)に対して設定されるものとなっており、それ以外の大当り種別(本例では7R第2,第4,第6大当り及び10R第9大当り)については設定されない。このため、本実施例では、大当り遊技の5ラウンド目で可動片150が少なくとも1回動作し、最大で2回動作し得るものとなっている。
【0113】
なお、
図48に示す第1所定値(c1)および第2所定値(c2)の設定態様はあくまでも一例であり、この他にも種々の態様を採ることが可能である。また本実施例では、第2所定値として「2」が設定されるものとしているが、第2所定値は「3」以上の値(例えば「3」~「9」の何れか)とすることも可能である。さらに第2所定値は、例えば7R第1大当りが「2」、7R第3大当りが「3」といったように、大当り種別に応じて異なる値が設定されるようにしてもよい。
【0114】
また、第1所定値(c1)を設けずに第2所定値(c2)を設け、可動片150の2回目の動作を第2大入賞口35への入球数に基づいて行うようにしてもよい。つまり、可動片150の動作契機となる所定値(計数値)を1つとして、当該所定値に基づいて可動片150の2回目の動作を行うようにしてもよい。所定値を1つとして可動片150の2回目の動作を制御する場合、可動片150の1回目の動作は、例えば、第2大入賞口35の開放開始を契機に行うように構成することができる。
【0115】
本実施例では、可動片150が動作する際の動作態様(動作パターン)として、特定領域39への遊技球の通過可能性が相対的に異なる2種類の態様が予め設けられている。すなわち、特定領域39への遊技球の通過可能性が低い態様(第1動作態様)と、特定領域39への遊技球の通過可能性が高い態様(第2動作態様)との2つの態様が設けられており、可動片150が動作する際には何れかの態様で動作するものとなっている。可動片150を何れの態様で動作させるかは、可動片150が動作する際の当該動作契機となった前述の所定値、すなわち、入球数計数手段による計数値(第2大入賞口センサ35aによる遊技球の検知数、つまり、第2大入賞口35への入球数)によって決まる。
【0116】
具体的には、計数値(第2大入賞口35への入球数)が第1所定値(本例では「1」)となって可動片150が動作する場合、すなわち1回目の動作の場合、特定領域39への遊技球の通過可能性が低い態様(第1動作態様)で動作し、計数値(第2大入賞口35への入球数)が第2所定値(本例では「2」)となって可動片150が動作する場合、すなわち2回目の動作の場合、特定領域39への遊技球の通過可能性が高い態様(第2動作態様)で動作する。可動片150が第1動作態様で動作する場合(1回目の動作)、遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いものとなり、特定領域39への遊技球の通過は困難(実質的に不可能)となる。一方、可動片150が第2動作態様で動作する場合(2回目の動作)、遊技球が特定領域39を通過する可能性は高いものとなり、特定領域39への遊技球の通過は容易となる。
【0117】
前述したように、第2所定値は特定の大当り種別について設定され、他の大当り種別については設定されない。このため、第2所定値が設定される特定の大当り種別に該当する5種類の大当り、すなわち、7R第1,第3,第5,第7大当り及び10R第8大当りは、特定領域39への遊技球の通過可能性が高い態様で可動片150を動作させる大当り(「V通過予定大当り」ともいう。)となっている(
図48を参照)。一方、第2所定値が設定されない大当り、すなわち、7R第2,第4,第6大当り及び10R第9大当りは、特定領域39への遊技球の通過可能性が低い態様で可動片150を動作させる大当り(「V非通過予定大当り」ともいう。)となっている(
図48を参照)。つまり、「V通過予定大当り」は、後述の高確率状態を発生させる(特典を付与する)ことが前提の大当り(確変大当り)となっており、「V非通過予定大当り」は、後述の高確率状態を発生させない(特典を付与しない)ことが前提の大当り(非確変大当り)となっている。なお、V非通過予定大当りに係る大当り遊技(特別遊技)のことを「第1特別遊技」ともいい、V通過予定大当りに係る大当り遊技(特別遊技)のことを「第2特別遊技」ともいう。
【0118】
ここで、可動片150の動作と、第2大入賞口35に入球した遊技球との関係は、次のようになる。
図49に示すように、前述の入球数計数手段による計数値が第1所定値(本例では「1」)になると(c1=1)、可動片150を80ms動作状態(可動片ソレノイド151をON)とする。すなわち、第2大入賞口35への1個目の入球が検知されると、特定領域39が80ms(0.08秒)だけ開放状態(V開放)となる。つまり、動作時間(開放時間)80ms、動作回数(開放回数)1回の動作パターンで可動片150の動作を行う。この場合、可動片150の動作は80msという極短時間(一瞬)だけ行われるので、当該動作の契機となった遊技球(第2大入賞口35への1個目(最初)の入球に該当する遊技球)が第2大入賞口センサ35aを通過して可動片150の配設部位に到達する頃には、可動片150の動作は終了している(非動作状態となっている)可能性が極めて高い(
図50(a)を参照)。よって、当該遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いもの(実質的に不可能)となる。
【0119】
一方、
図49に示すように、前述の入球数計数手段による計数値が第2所定値(本例では「2」)になると(c2=2)、可動片150を3000ms動作状態(可動片ソレノイド151をON)とする。すなわち、第2大入賞口35への2個目の入球が検知されると、特定領域39が3000ms(3秒)の間、開放状態(V開放)となる。つまり、動作時間(開放時間)3000ms、動作回数(開放回数)1回の動作パターンで可動片150の動作を行う。この場合、可動片150の動作は3000msという比較的長めの時間で行われるので、当該動作の契機となった遊技球(第2大入賞口35への2個目の入球に該当する遊技球)が第2大入賞口センサ35aを通過して可動片150の配設部位に到達する頃には、可動片150の動作は未だ終了していない(動作状態となっている)可能性が極めて高い(
図50(b)を参照)。よって、当該遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高いものとなる。なお、ラウンド遊技が終了するときに可動片150が動作状態にある場合、そのラウンド遊技の終了に伴って可動片150の動作も終了する。
【0120】
このように可動片150は、入球数計数手段による計数値が第1所定値となった場合、特定領域39を極短時間(80ms)開放させる短開放動作パターン(第1動作態様)で動作し、入球数計数手段による計数値が第2所定値となった場合、特定領域39を短開放動作パターンより長い時間(3000ms)開放させる長開放動作パターン(第2動作態様)で動作する。そして、「V非通過予定大当り」では、5ラウンド目に可動片150が短開放動作パターン(第1動作態様)で動作するものの、その後に長開放動作パターン(第2動作態様)で動作することはなく、「V通過予定大当り」では、5ラウンド目に可動片150が短開放動作パターン(第1動作態様)で動作した後、長開放動作パターン(第2動作態様)で動作することが可能となっている。
【0121】
このため、「V非通過予定大当り」は、5ラウンド目に遊技球が第2大入賞口35に入球しても当該ラウンド中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低い(実質的にゼロである)ことから、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の高確率状態となる可能性が低い大当り、換言すると、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が高い大当りとなる。一方、「V通過予定大当り」は、5ラウンド目に遊技球が第2大入賞口35に2個以上入球すれば、当該ラウンド中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高い(略100%である)ことから、大当り遊技終了後の遊技状態が後述の高確率状態となる可能性が高い大当りとなる。このように、本実施例では、大当り遊技の5ラウンド目を、特定領域39への遊技球の通過有無に基づいて大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態とするか否かを決定するVラウンドとしている。このようなVラウンドのことを「特典決定遊技」や「特定ラウンド遊技」、「特定ラウンド」ともいう。
【0122】
ここで、可動片150は、Vアタッカー(第2大入賞口35)に入球した遊技球を特定領域39または非特定領域49に誘導する(振り分ける)部材であり、Vアタッカー内の遊技球に関与するものである。このため、可動片150は、例えば、Vアタッカーの内部や奥側など等、遊技盤2(遊技領域3)やVアタッカー周りを一見しただけでは分かり難い部位に設けられるのが通常である(
図50を参照)。加えて、本実施例の大当り遊技中における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンは、7R大当り及び10R大当りの各々について、V通過予定大当りとV非通過予定大当りとで、開放時間や開放回数、開放順序は同じとなっており、Vラウンド(本例では5ラウンド目)での開放パターンも同じとなっている(
図6を参照)。これらのことと、Vラウンドでの入球数計数手段による計数値(Vアタッカーへの入球数)に基づく可動片150の動作制御により、例えば、「Vアタッカーに入球した遊技球がどのタイミングで特定領域39を通過し得るのか」や「遊技球が特定領域39を通過したか否か」等、Vラウンドでの遊技球の特定領域通過状況(V通過状況)を判別し難くすることが可能となる。
【0123】
この結果、本実施例のパチンコ遊技機1によれば、例えば、従来のようにVアタッカーの動き(開放パターン)を注視したとしても、Vラウンドの結果をその確定前に判別(把握、予測)することは難しいものとなるので、Vラウンドの結果(特定領域への遊技球の通過有無)が事前に判別(予測)できてしまうことによる遊技興趣の低下を排除することが可能となる。
【0124】
なお、大入賞口開放パターンは本実施例に限定されるものではなく、第1大入賞口30と第2大入賞口35とで開放パターンを異ならせてもよい。また、本実施例では、大当りの種別によってラウンド数が異なる(7Rまたは10R)だけで、大入賞口開放パターンは同様となっているが、大当りの種別によって大入賞口開放パターンを異ならせてもよい。さらに、可動片150の動作パターン(第1動作態様、第2動作態様)についても本実施例に限定されるものではない。
【0125】
第1特別図柄(特
図1)の当否判定における各大当りの振分確率は、7R第1大当りが5%、7R第2大当りが15%、7R第3大当りが12%、7R第4大当りが15%、7R第5大当りが18%、7R第6大当りが10%、7R第7大当りが25%となっている。これらをV通過予定大当りとV非通過予定大当りとに分けると、V通過予定大当りが60%(5%+12%+18%+25%=60%)、V非通過予定大当りが40%(15%+15%+10%=40%)となっている(
図6、
図8を参照)。一方、第2特別図柄(特
図2)の当否判定における各大当りの振分確率は、10R第8大当りが80%、10R第9大当りが20%となっており、V通過予定大当りとV非通過予定大当りとに分けると、V通過予定大当りが80%、V非通過予定大当りが20%となっている(
図6、
図8を参照)。このため、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の当否判定により大当りとなった場合には、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄の当否判定によって大当りになった場合に比べ、V通過予定大当りとなる可能性が高くなる。また、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄の当否判定により大当りとなった場合には、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄の当否判定では出現しない10R大当りが出現する。
【0126】
このように本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入球して行われる当否判定(第1特別図柄当否判定)で大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる当否判定(第2特別図柄当否判定)で大当りとなる方が、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されている。このため、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行う。特に第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中においては顕著である。
【0127】
本パチンコ遊技機1では、特別図柄当否判定(大当り判定)は特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう。)に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」や「図柄決定用情報」ともいう。)に基づいて行われる。
図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0~629」の範囲で値をとり、大当り種別決定用乱数は「0~99」の範囲で値をとる。また、第1始動口20や第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数および大当り種別決定用乱数の他に変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう。)がある。
【0128】
変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は「0~198」の範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、
図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は「0~240」の範囲で値をとる。
【0129】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。本パチンコ遊技機1は、変動遊技が実行されるときの遊技状態を、特別図柄及び普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能(時短機能)、及び開放延長機能の各機能が、作動状態又は非作動状態となる組合せにより制御することが可能となっている。変動遊技(変動表示)が実行されるときの遊技状態のことを「遊技モード」又は「変動モード」ともいう。
【0130】
特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態」や「低確率状態」という。通常状態では、通常状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行い、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が通常状態よりも多くされた高確率状態用の大当り判定テーブルを用いて、当否判定を行う(
図8(A)を参照)。このため高確率状態では、特別図柄当否判定において大当りと判定される確率が通常状態よりも高くなる。すなわち、特別図柄の確率変動機能が作動しているときは、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の結果が大当りとなる(停止図柄が大当り図柄となる)確率が高くなる。
【0131】
また、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について変動時間短縮機能(時短機能)が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均よりも短くなっている。すなわち、時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(
図9を参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。
【0132】
特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。また、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しないものとなっている。このため、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなる。具体的に、時短状態では、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(
図8(C)を参照)。これにより、時短状態(普通図柄についての確率変動機能が作動しているとき)は、非時短状態(普通図柄についての確率変動機能が作動していないとき)に比して、普通図柄の変動表示の表示結果が当りとなる(停止図柄が普通当り図柄となる)確率が高くなる。
【0133】
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例では、普通図柄の変動時間を非時短状態では30秒とし、時短状態では1秒としている(
図8(D)参照)。
【0134】
さらに時短状態では、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。加えて時短状態では、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動し、補助遊技における第2始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。具体的には、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22(第2始動口21)の開閉部材23が0.2秒の開放動作を1回行い、時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22(第2始動口21)の開閉部材23が2.0秒の開放動作を3回行うものとなっている。
【0135】
普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放時間延長機能及び開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(これを「高頻度状態」ともいう。)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」や「電サポ状態」ともいい、作動していない状態を「低ベース状態」ともいう。高ベース状態(高頻度状態)では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
【0136】
なお、高ベース状態は、上記した全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときに比べ第2始動口21が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生させる機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
【0137】
本実施例のパチンコ遊技機1では、7R第1,第3,第5,第7大当り及び10R第8大当りの何れかになった場合の大当り遊技後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性が極めて高いことから、特定領域39への遊技球の通過に基づいて特別図柄の高確率状態になるとともに、特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(
図6を参照)。この遊技状態のことを「高確高ベース状態」ともいう。高確高ベース状態は、いわゆる「確変遊技状態」であり、予め定められた回数の特別図柄の変動表示(変動遊技)が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が開始されることにより終了する。なお、特定領域39への遊技球の通過がなされていなければ、特別図柄の通常状態かつ時短状態かつ高ベース状態(低確高ベース状態)となる。
【0138】
そして、7R第1,第3,第5大当りの何れかに係る大当り遊技後の高確高ベース状態で、大当りが発生することなく所定回数(例えば、50回、75回又は100回)の特別図柄の変動表示が実行されると、特別図柄の高確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態となる(
図6を参照)。この遊技状態のことを「高確低ベース状態」ともいう。
【0139】
また、7R第2,第4,第6大当り及び10R第9大当りの何れかになった場合の大当り遊技後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて低いことから、特別図柄の通常状態になるとともに、特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(
図6参照)。この遊技状態のことを「低確高ベース状態」ともいう。低確高ベース状態は、いわゆる「時短遊技状態」(「時短状態」ともいう。)であり、所定回数(例えば、50回、75回又は100回)の特別図柄の変動表示(変動遊技)が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。なお、可能性は限りなく低いが、仮に遊技球が特定領域39を通過した場合には「高確高ベース状態」となる。
【0140】
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、第1始動口20への入球よりも第2始動口21への入球の方が容易となるからである。そのため、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより、左打ちを行う場合に比べ、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域3Bを狙って遊技球を発射すべきことを報知する(右打ち指示報知)。
【0141】
これに対して、低ベース状態(例えば低確低ベース状態)では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、第2始動口21への入球よりも第1始動口20への入球の方が容易となるからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う。これにより、右打ちを行う場合に比べ、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域3Aを狙って遊技球を発射すべきことを報知する(左打ち指示報知)。
【0142】
具体的には発射方向表示器47は、「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
【0143】
また本実施例では、遊技領域3のうち左遊技領域3Aと右遊技領域3Bの何れに向けて遊技球を発射するかを指示する指示報知を、発射方向表示器47によるLEDの表示態様だけでなく、画像表示装置7(表示画面7a)における発射指示画像の表示(図示せず)によっても行うこととしている。遊技者にしてみれば、発射方向表示器47に比べ画像表示装置7(表示画面7a)の方が、表示内容の視認や理解等が容易である。したがって、遊技者は、一般的には、画像表示装置7(表示画面7a)に表示される発射指示画像を見て、「左打ち」と「右打ち」の何れを行うべきなのか、つまり、現在の遊技状態が左打ちを行う「左打ち遊技状態」なのか右打ちを行う「右打ち遊技状態」なのかを認識する。左打ち遊技状態は、変動遊技が実行される低ベース状態であり、右打ち遊技状態は、大当り遊技が実行される状態(特別遊技状態)及び変動遊技が実行される高ベース状態である。
【0144】
以上のように、本実施例のパチンコ遊技機1においては、大当り遊技が行われていない低確低ベース状態を基準とすると、この低確低ベース状態を「通常遊技状態」もしくは「通常状態」として捉えることができ、低確低ベース状態にて行われる変動遊技を「通常遊技」として捉えることができる。また、大当り遊技は、特別図柄を変動表示させて大当り図柄が停止表示されることで実行され得る遊技であって、遊技者にとっては大入賞口(第1大入賞口30、第2大入賞口35)への遊技球の入球により多量の賞球を得ることが可能な有利な遊技であることから、大当り遊技を「特別遊技」として捉えることができ、当該大当り遊技が行われる遊技状態を「特別遊技状態」として捉えることができる。
【0145】
そして、遊技状態(遊技モード)が低ベース状態にあるときは左打ちにより遊技を進行させるため、第1始動口20への入球に基づく第1特別図柄当否判定(第1特別図柄の変動表示)が主として実行される。一方、遊技状態(遊技モード)が高ベース状態にあるときは右打ちにより遊技を進行させるため、第2始動口21への入球に基づく第2特別図柄当否判定(第2特別図柄の変動表示)が主として実行される。
【0146】
なお、低確低ベース状態(通常遊技状態)や高確低ベース状態のこと(つまり、「低ベース状態」のこと)を「第1遊技状態」又は「第1遊技モード」ともいい、低確高ベース状態(時短遊技状態)や高確高ベース状態(確変遊技状態)のこと(つまり、「高ベース状態」のこと)を「第2遊技状態」又は「第2遊技モード」ともいう。
【0147】
[主制御メイン処理]
次に、
図10~
図39に基づいて遊技制御用マイコン81の動作(主制御部による制御処理)について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられる。また、本明細書においてS101等の「S」(フローチャート中の「S」)はステップを意味する。
【0148】
遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、
図10に示す主制御メイン処理のプログラムを主制御基板80のROMから読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(S101)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお、初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0149】
初期設定(S101)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、
図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
【0150】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
【0151】
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。
図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、副制御基板90や払出制御基板110等に出力する。出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄(大当り図柄)、変動パターン等に関する情報等が含まれる。なお、コマンドは、例えば2バイトの情報からなる。この場合、上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
【0152】
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に設けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、一般入賞口センサ27a等(
図5参照))が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検知する下皿満杯検知センサからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAMの出力バッファに記憶する。
【0153】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、
図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、
図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われる。
【0154】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、普図動作処理(S206)、特図動作処理(S207)、特定領域センサ検知処理(S208)、非特定領域センサ検知処理(S209)、保留球数処理(S210)および電源断監視処理(S211)を実行する。その後、本発明に深く関連しないその他の処理(図示せず)を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のS102~S104の処理が繰り返し実行され(
図10参照)、割り込みパルスが入力されると(約4ms後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
【0155】
[始動口センサ検知処理]
図12に示すように、始動口センサ検知処理(S204)ではまず、遊技球がゲート28を通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305に進み、ゲート28を遊技球が通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4未満であるか否かを判定する(S302)。
【0156】
普通図柄保留球数が4未満でなければ(S302でNO)、S305に進む。一方、普通図柄保留球数が4未満であれば(S302でYES)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H)を取得し、その取得した値(「取得乱数値」ともいう。)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0157】
S305では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合には(S305でNO)、S306~S308の処理を行うことなくS309に進み、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特
図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否か判定する(S306)。そして、特
図2保留球数が4未満でない場合(S306でNO)には、S307及びS308の処理を行うことなくS309に進みが、特
図2保留球数が4未満である場合には(S306でYES)、特
図2保留球数に1を加算する(S307)。
【0158】
続いて特
図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特
図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図7(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(「特
図2取得乱数値」ともいう。)を第2特図保留記憶部のうち現在の特
図2保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0159】
続いて始動口センサ検知処理(S204)では、第1始動口20に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口20に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には、S310以降の処理を行うことなく本処理を終え、第1始動口20に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特
図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には主制御部のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否かを判定する(S310)。そして、特
図1保留球数が4未満でない場合(S310でNO)には、S311以降の処理を行うことなく本処理を終え、特
図1保留球数が4未満である場合には(S310でYES)、特
図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
【0160】
続いて特
図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特
図1関係乱数取得処理(S312)では、特
図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル-TRND-A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり
図7(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値(「特
図1取得乱数値」ともいう。)を第1特図保留記憶部のうち現在の特
図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
【0161】
なお、特
図1関係乱数取得処理(S312)及び特
図2関係乱数取得処理(S308)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は、「取得手段」として機能するものである。また、特
図1関係乱数取得処理(S312)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第1取得手段」として機能するものであり、特
図2関係乱数取得処理(S308)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第2取得手段」として機能するものである。
【0162】
[始動入球時処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで始動入球時処理(S205)を行う。
図13に示すように、始動入球時処理(S205)ではまず、特
図2保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S315)。その結果、特
図2保留球数が「1」増加したと判定した場合(S315でYES)、S316の処理に移行する。これは、第2始動口21に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)のS307で特
図2保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、特
図2保留球数が増加していないと判定した場合(S315でNO)、S316~S318の処理を行うことなく、S319の処理に移行する。
【0163】
S316では、始動口センサ検知処理(S204)の特
図2関係乱数取得処理(S308)で取得して第2特図保留記憶部に記憶した最新の特
図2取得乱数値(取得情報)を読み出す(S316)。そして、読み出した特
図2取得乱数値(取得情報)の判定を行う(S317)。具体的には、第2始動口21への入球時に取得した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)が、現在の遊技状態(低確率状態又は高確率状態)に応じて、大当りなのか外れなのかを判定する。また、その判定結果が大当りである場合には、大当りの種別を判定する。S317の処理は、第2特図保留についての当否判定を、特
図2当否判定処理(S1202)における当否判定(S1303、S1304)に先立って行う事前判定(所謂「保留先読み」)に相当するものである。
【0164】
事前判定では、大当り判定テーブル(
図8(A)を参照)、すなわち、高確率状態であれば高確率状態用の大当り判定テーブル、通常状態(低確率状態)であれば通常状態用の大当り判定テーブルに基づいて、大当り判定値と一致するか否かを判定することが可能である。
【0165】
次いでS318では、S317による事前判定の結果に係る情報(事前判定情報)、具体的には、特別図柄当否判定用乱数値が大当り判定値と一致するか否かを示す情報(当否情報)や、大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)を示す情報、変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報等を少なくとも含むコマンドデータを特
図2始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S318)。なお、特
図2始動入球コマンドには、S316で読み出した特
図2取得乱数値の一部又は全部を示す情報を事前判定情報として含めてもよい。但し、不正防止等の観点から、S316で読み出した特
図2取得乱数の値を示す情報をサブ制御部に送信しないようにするのが望ましい。
【0166】
サブ制御部(副制御基板90)では、主制御部により送信された特
図2始動入球コマンドを解析することで、大当りに係る情報であるか否か、大当り種別は何れであるか、変動パターンは何れであるか等を識別(判別)することが可能とされている。また本実施例では、これに加えて、特
図2始動入球コマンドを解析することで、取得した特
図2取得乱数が高確率状態で判定した場合に大当りとなるか否か、及び低確率状態で判定した場合に大当りとなるか否かを特定可能としている。これにより、サブ制御部は、受信した特
図2始動入球コマンドにより特定される情報を演出保留情報として記憶し、特定のタイミングで当該演出保留情報を事前判定し、低確率状態で当否判定した場合に大当りと判定される演出保留情報が記憶されているか否かを判定することが可能となる。このことは、後述の特
図1始動入球コマンドをサブ制御部が受信した場合についても同様である。
【0167】
次いでS319では、前述の特
図2に係る処理と同様に、特
図1保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S319)。その結果、特
図1保留球数が「1」増加したと判定した場合(S319でYES)、S320の処理に移行する。これは、第1始動口20に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS311で特
図1保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、特
図1保留球数が増加していないと判定した場合(S319でNO)、S320以降の処理を行うことなく本処理を終える。
【0168】
S320では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S320)、時短フラグがONである、すなわち高ベース状態であると判定した場合(S320でYES)、S321以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、時短フラグがOFFである、すなわち低ベース状態であると判定した場合(S320でNO)、S321以降の事前判定に係る処理に進む。
【0169】
ここで、時短フラグがONである場合、すなわち現在の遊技状態が高ベース状態である場合、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能が作動しており、特
図2の当否判定(第2特別図柄当否判定)が行われやすい状態となっている。また本実施例のパチンコ遊技機1は、第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行するもの(所謂「特
図2優先変動機」)としている。このような構成において、例えば、高ベース状態にて特
図1の事前判定を行い、その結果を予告等の演出により遊技者に報知し、その事前判定の結果が大当りであることが明示された場合、遊技者は、第2特図保留の消化優先を利用して、任意のタイミングで第2特図保留を意図的に無くして(「0」にして)、事前判定の結果が示された特
図1に係る大当りを意図的に発生させるといった技術介入が可能となる。このような大当りの発生タイミングを遊技者が調整できることは、遊技の公平性の観点から好ましくない。このため、現在の遊技状態が低ベース状態でなく高ベース状態である場合(S320でYES)、S321以降の特
図1の事前判定に係る処理を行わず、本処理を終えることとしている。
【0170】
S321~S323の処理は、前述したS316~S318と同様の処理を特
図1について行うものである。すなわち、始動口センサ検知処理(S204)における特
図1関係乱数取得処理(S312)で取得して第1特図保留記憶部に記憶した最新の特
図1取得乱数値(取得情報)を読み出す(S321)。そして、読み出した特
図1取得乱数値(取得情報)の事前判定を行い(S322)、S322で事前判定の結果に係る情報(事前判定情報)を含むコマンドデータを特
図1始動入球コマンドとして生成し、当該コマンドをRAMの出力バッファにセットする(S323)。なお、S322の事前判定(保留先読み)は、特
図1当否判定処理(S1207)における当否判定(S1603、S1604)に先立って行うものである。
【0171】
以上の始動入球時処理(S205)におけるS317及びS322の処理を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「事前判定手段」として機能するものである。また、第1始動口20への入球に基づいて取得された特
図1取得乱数値(取得情報)の事前判定(S322)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第1事前判定手段」として機能するものであり、第2始動口21への入球に基づいて取得された特
図2取得乱数値(取得情報)の事前判定(S317)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第2事前判定手段」として機能するものである。
【0172】
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで、
図14に示す普図動作処理(S206)を行う。普図動作処理(S206)では、普通図柄表示器42及び可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に普図動作ステータス「1」~「4」を割り当てている。そして、普図動作ステータスが「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。なお普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0173】
[普通図柄待機処理]
図15に示すように、普通図柄待機処理(S402)ではまず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)、S502以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、普通図柄の保留球数が「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行い(S502)、次いで普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、
図8(D)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。
【0174】
次いで、後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行った後、普通図柄変動開始処理を行い(S505)、本処理を終える。普通図柄変動開始処理(S505)では、S503で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また普通図柄変動開始処理では、副制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
【0175】
[普通図柄当否判定処理]
図16に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)ではまず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONであるか否か(遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。時短フラグがONである、すなわち時短状態であると判定した場合(S602でYES)、
図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」~「239」)に基づく高確率普図当否判定を行い(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。
【0176】
S602で時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態であると判定した場合(S602でNO)、
図8(C)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定を行い(S603)、S605の処理に移行する。そして、普図当否判定(S603、S604)の結果が当り(普図当り)であるか否かを判定し(S605)、当りでない(外れである)と判定した場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、当り(普図当り)と判定した場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
【0177】
[普通図柄乱数シフト処理]
図17に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)ではまず、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、本処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
【0178】
[普通図柄変動中処理]
図18に示すように、普通図柄変動中処理(S404)ではまず、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)、S802以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、普通図柄の変動時間が経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットする(S802)とともに、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で普通図柄を停止表示させる等のその他の処理を行い(S804)、本処理を終える。
【0179】
[普通図柄確定処理]
図19に示すように、普通図柄確定処理(S406)ではまず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、本処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中であるか否かを判定する(S902)。そして時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンは、前述の通り、2.0秒の開放を3回繰り返す開放パターンである。このことに対応して、S903では、第2始動口21の時短状態中の開放パターンをセットするとともに、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「3」をセットする。
【0180】
これに対して、非時短状態中であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンは、前述の通り、0.2秒の開放を1回行う開放パターンである。このことに対応して、S906では、第2始動口21の非時短状態中の開放パターンをセットするとともに、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、本処理を終える。
【0181】
[普通電動役物処理]
図20に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
【0182】
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中であるか否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)本処理を終え、至っていれば第2始動口21を開放させ(S1004)、本処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)本処理を終え、至っていれば(S1005でYES)第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
【0183】
第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま本処理を終える。一方、第2始動口開放カウンタの値が「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理(S1009)を行うとともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)、本処理を終える。なお、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第2始動口21の開放(開閉部材23の開放動作)が3回行われると「0」になり、非時短状態中であれば第2始動口21の開放が1回行われると「0」になる。
【0184】
これに対して、S1001にて普図当り終了フラグがONであると判定した場合(S1001でYES)、S903又はS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFにするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFにし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)、本処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(S206)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
【0185】
[特図動作処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S206)に次いで特図動作処理(S207)を行う。
図21に示すように、特図動作処理(S207)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31、第2大入賞装置36)に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に特図動作ステータス「1」~「4」の何れかを割り当てている。
【0186】
特図動作ステータスが「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、「3」である場合には(S1101、S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、「4」である場合には(S1101、S1103、S1105で共にNO)、大当り遊技としての特別電動役物処理(S1107)を行う。なお、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
【0187】
[特別図柄待機処理]
図22に示すように、特別図柄待機処理(S1102)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特
図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特
図2保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値(取得情報)の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特
図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1206)。そして、特
図1保留球数も「0」である場合(S1206でYES)、即ち、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値(取得情報)の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1211)、そうであれば(S1211でYES)、S1212の処理を行うことなく本処理を終え、そうでなければ(S1211でNO)、待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
【0188】
S1201で特
図2保留球数が「0」でないと判定した場合(S1201でNO)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特
図2当否判定処理(S1202)、特
図2変動パターン選択処理(S1203)、特
図2乱数シフト処理(S1204)、特
図2変動開始処理(S1205)をこの順に行う。また、特
図2保留球数が「0」であるが特
図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)、即ち、第2始動口21に係る乱数カウンタ値の記憶はないが、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特
図1当否判定処理(S1207)、特
図1変動パターン選択処理(S1208)、特
図1乱数シフト処理(S1209)、特
図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
【0189】
このように本実施例では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、特
図2保留球数が「0」の場合(S1201でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)は、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行される。そして本実施例では、第2特図保留に基づく当否判定の方が、第1特図保留に基づく当否判定よりも、遊技者にとって利益の大きい大当りになり易いものとなっている(
図8(B)を参照)。
【0190】
[特
図2当否判定処理]
図23に示すように、特
図2当否判定処理(S1202)ではまず、判定値として、RAMの第2特図保留記憶部の最下位の領域(即ち第2特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-A)を読み出す(S1301)。次いで、確変フラグがONであるか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち通常状態であれば、大当り判定テーブル(
図8(A)を参照)のうち通常状態用の大当り判定テーブル(大当り判定値が「3」及び「397」)に基づいて当否判定を行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、大当り判定テーブル(
図8(A)を参照)のうち高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行う(S1304)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値は、「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。
【0191】
当否判定(S1303、S1304)の結果が「大当り」である場合(S1305でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル-TRND-AS)を読み出して、
図8(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1307)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1308)、大当りフラグをONにして(S1309)、本処理を終える。一方、当否判定(S1303、S1304)の結果が「大当り」でない(「外れ」である)場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1306)、本処理を終える。
【0192】
ここで、大当り種別を判定するにあたり、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。なお、特別図柄当否判定や大当り種別決定判定を、夫々「判定」といってもよいし、大当り判定を行い何れの大当り図柄となるかを含めて「判定」といってもよい。また、第2特別図柄に係る当否判定(S1303、S1304)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第2当否判定手段」として機能するものである。第2当否判定手段のことを「第2判定手段」ともいう。
【0193】
[特
図2変動パターン選択処理]
図22に示すように、特別図柄待機処理(S1102)では、特
図2当否判定処理(S1202)に次いで、特
図2変動パターン選択処理を行う(S1203)。
図24及び
図25に示すように、特
図2変動パターン選択処理(S1203)ではまず、遊技状態が時短状態であるか否か(時短フラグがONであるか否か)を判定する(S1401)。その結果、時短状態でないと判定した場合(S1401でNO)、すなわち非時短状態であれば、次いで、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S1402)。
【0194】
大当りフラグがONであると判定した場合(S1402でYES)、非時短状態大当り用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。本実施例では、変動パターンP1~P3の何れかが選択される。なお、特別図柄の変動パターンが決まる(選択される)ことで、特別図柄の変動時間が決まることとなる。
【0195】
一方、S1402で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1402でNO)、次いで第2特別図柄の保留数が「1」又は「2」であるか否かを判定する(S1405)。ここでいう保留数とは、本処理により変動パターンを決定している情報も含めた記憶数であるので、保留記憶の数は「1」~「4」の何れかの値とされる。そして、S1405で保留数が「1」又は「2」の何れかであると判定した場合(S1405でYES)、第1保留数外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「1、2」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1406)。本実施例では、変動パターンP4~P7の何れかが選択される。
【0196】
一方、S1405で保留数が「1」又は「2」の何れでもない、すなわち「3」又は「4」の何れかであると判定した場合(S1405でNO)、第2保留数外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ外れかつ保留球数「3、4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。本実施例では、変動パターンP8~P11の何れかが選択される。また、第1保留数外れ用テーブルは、第2保留数外れ用テーブルよりも、比較的長時間の変動時間の変動パターンを選択する可能性が高く設定されている。また、選択可能な最も短時間の変動時間(12000ms)も、第2保留数外れ用テーブルのもの(4000ms)よりも長い時間とされている。
【0197】
また、S1401で時短状態であると判定した場合(S1401でYES)、
図25に示すように、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S1408)。その結果、大当りフラグがONであると判定した場合(S1408でYES)、時短状態大当り用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。本実施例では、変動パターンP12~P14の何れかが選択される。
【0198】
一方、S1408で大当りフラグがONでないと判定した場合(S1408でNO)、保留数が「1」であるか否かを判定する(S1410)。ここでいう保留数も前述と同様であり、保留数は「1」~「4」の何れかの値とされている。S1410で保留数が「1」であると判定した場合(S1410でYES)、第3保留数外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「1」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1411)。本実施例では、変動パターンP15~P18の何れかが選択される。
【0199】
また、S1410で保留数が「1」でない、すなわち、保留数が「2」~「4」のうちの何れかであると判定した場合(S1410でNO)、第4保留数外れ用テーブル(
図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ外れかつ保留球数「2~4」に該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1411)。本実施例では、変動パターンP19~P22の何れかが選択される。
【0200】
ここで、時短状態でかつ外れの場合に選択される変動パターンは、非時短状態でかつ外れの場合に選択される変動パターンと比較して、変動時間の短い変動パターンが選択される可能性が高くされている。これは、時短状態中は特図保留の消化スピードを早める(時短中の遊技を迅速に進行させる)ためである。
【0201】
以上のようにして変動パターンの選択を行った後は、
図24に示すその他の処理を行い(S1404)、本処理を終える。その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする等の処理を行う。変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御部に送信される。
【0202】
[特
図2乱数シフト処理]
図26に示すように、特
図2乱数シフト処理(S1204)ではまず、特
図2保留球数を1ディクリメントする(S1501)。次いで、第2特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば第2特図保留記憶部がアドレス「0000」~「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、第2特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして(S1503)、本処理を終える。
【0203】
特
図2乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、
図22に示すように特
図2変動開始処理(S1205)を実行する。特
図2変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットするとともに、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。
【0204】
[特
図1当否判定処理]
図27に示すように、特
図1当否判定処理(S1207)では、
図23に示した特
図2当否判定処理(S1202)と同様の流れでS1601~S1609の各処理を行う。従って、本処理の詳細な説明は省略する。但し、本処理は特
図1に関する処理であるので、S1601では、RAMの第1特図保留記憶部の最下位の領域(第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)を読み出して処理を行う。なお、第1特別図柄に係る当否判定(S1603、S1604)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第1当否判定手段」として機能するものである。第1当否判定手段のことを「第1判定手段」ともいう。
【0205】
[特
図1変動パターン選択処理]
図28及び
図29に示すように、特
図1変動パターン選択処理(S1208)では、
図24及び
図25に示した特
図2変動パターン選択処理(S1403)と同様の流れで処理(S1701~S1712)を行う。従って本処理の詳細な説明は割愛する。
【0206】
[特
図1乱数シフト処理]
図30に示すように、特
図1乱数シフト処理(S1209)ではまず、特
図1保留球数を1ディクリメントする(S1801)。次いで、第1特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S2002)。そして、第1特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして(S1803)、本処理を終える。
【0207】
特
図1乱数シフト処理(S1209)を実行した後は、
図22に示すように特
図1変動開始処理(S1210)を実行する。特
図1変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
【0208】
[特別図柄変動中処理]
図31に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)ではまず、特別図柄の変動時間(
図22のS1203又はS1208で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、
図9を参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
【0209】
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。次いで、確変フラグがONであるか否か判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1905)。確変カウンタの値が「0」であると判定した場合(S1905でYES)、確変フラグをOFFにし(S1906)、S1907の処理に移行する。S1906の処理により高確率状態(確変状態)が終了する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合(S1903でNO)、又は、確変カウンタの値が「0」でないと判定した場合(S1905でNO)、S1907の処理に移行する。
【0210】
S1907では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S1907)、時短フラグがONであると判定した場合(S1907でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1909)。時短カウンタの値が「0」であれば(S1909でYES)、時短フラグをOFFにし(S1910)、S1911の処理に進む。S1910の処理により時短状態(及び高ベース状態)が終了する。また、時短フラグがONでないと判定した場合(S1907でNO)、又は、時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合(S1909でNO)、S1911の処理に進む。
【0211】
S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。次いで、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた表示結果で特別図柄を停止表示させる等のその他の処理を行い(S1912)、本処理を終える。遊技制御用マイコン81は、特別図柄の変動表示を停止(終了)する際、特別図柄(停止図柄)の停止表示時間(停止表示期間)を設定する。そして、その設定した停止表示時間(停止表示期間)が経過すると、特別図柄確定処理(S1106)を行う。
【0212】
なお、確変カウンタの値が「0」になることに基づいて確変フラグをOFFにしたり、時短カウンタの値が「0」になることに基づいて時短フラグをOFFにしたりする処理(S1906、S1910)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「遊技状態制御手段」として機能するものである。遊技状態制御手段のことを「モード制御手段」ともいう。
【0213】
[特別図柄確定処理]
図32に示すように、特別図柄確定処理(S1106)ではまず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、今回の大当りの種別が10R大当り(10R第8大当り又は10R第9大当り)であるか否かを判定する(S2002)。その結果、今回の大当りの種別が10R大当りであると判定した場合(S2002でYES)、大当り遊技中に実行するラウンドの回数をカウントするラウンドカウンタの値に「10」をセットし(S2003)、S2006の処理に移行する。一方、今回の大当りの種別が10R大当りでないと判定した場合(S2002でNO)、大当り種別は7R大当り(7R第1~第7大当りの何れか)であるため、ラウンドカウンタの値に「7」をセットし(S2005)、S2006の処理に移行する。
【0214】
S2006では、ラウンド表示器45の表示態様(点灯態様)を決める点灯パターンデータをセットし(S2006)、S2007の処理に移行する。具体的に、前述のS2002の判定結果、すなわち、今回の大当りの種別(ラウンド数)に応じて、ラウンド表示器45を構成する2個のLED(7R用ランプ、10R用ランプ)の点灯パターンデータをセットする(S2006)。このセットした点灯パターンデータが出力処理(S201)により出力されると、その点灯パターンデータにしたがってラウンド表示器45のLED(ラウンドランプ)が点灯する。
【0215】
S2007では、当り表示器48の表示態様(点灯態様)を決める点灯パターンデータをセットし(S2007)、S2008の処理に移行する。前述したように、当り表示器48は、大当りが発生したとき(大当り図柄が表示されたとき)の当該大当りの契機となった特別図柄当否判定が、第1特別図柄当否判定と第2特別図柄当否判定の何れであるのかを示すものである。本実施例のパチンコ遊技機1は、大当りの種別として「7R大当り」(7R第1~第7大当り)と「10R大当り」(10R第8,第9大当り)の2種類があり、「7R大当り」は第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合の大当り種別であり、「10R大当り」は第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合の大当り種別である(
図6を参照)。そこで、本実施例では、前述のS2002の判定結果に基づいて、当り表示器48を構成する3個のLEDの点灯パターンデータをセットする(S2007)。すなわち、S2002にて今回の大当りの種別が10R大当りであると判定した場合(S2002でYES)、今回の大当りは第2特別図柄当否判定によるもの(「特
図2大当り」ともいう。)であるため、これに応じた点灯パターンデータとして、
図4に示す「b1~b3」の3個のLEDのうち「b1」及び「b3」のLEDを点灯させるデータをセットする。一方、S2002にて今回の大当りの種別が10R大当りでないと判定した場合(S2002でNO)、今回の大当りの種別は7R大当りであり、その大当りは第1特別図柄当否判定によるもの(「特
図1大当り」ともいう。)であるため、これに応じた点灯パターンデータとして、
図4に示す「b1~b3」の3個のLEDのうち「b1」及び「b2」のLEDを点灯させるデータをセットする。このセットした点灯パターンデータが出力処理(S201)により出力されると、その点灯パターンデータにしたがって当り表示器48のLEDが点灯する。
【0216】
なお、本実施例では、7R大当りを特
図1大当りとして設定するとともに、10R大当りを特
図2大当りとして設定しており、第1特別図柄当否判定の結果として10R大当りが導出されず、第2特別図柄当否判定の結果として7R大当りが導出されない構成となっている(
図6を参照)。このため、S2007にて当り表示器48の点灯パターンデータをセットするにあたり、S2002の判定結果(発生した大当りの種別)に基づいてセットするものとしている。これに対し、例えば、特
図1大当りと特
図2大当りとで共通する大当りの種別が設定されている場合、発生した大当りの種別だけでは当該大当りの契機となった特別図柄当否判定の種別(第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定)を判別することはできないため、発生した大当りの種別に基づいて当り表示器48の点灯パターンデータを定めることはできない。そこで、そのような場合には、例えば、前述のS1309及びS1609でセットされる大当りフラグを、特
図1大当りに対応するもの(例えば「特
図1大当りフラグ」)と特
図2大当りに対応するもの(例えば「特
図2大当りフラグ」)とに分けて設けるようにすればよい。こうすれば、ONになっている大当りフラグの種類(特
図1大当りフラグ又は特
図2大当りフラグ)を判定することで、大当りが発生したときの当該大当りの契機となった特別図柄当否判定の種別を判別することが可能となり、これにより、当り表示器48の点灯パターンデータを適切に定めることが可能となる。
【0217】
次いでS2008では、大当りの種別(大当りの種類)に応じた大入賞口開放パターンをセットし(S2008)、S2009の処理に移行する。前述したように、大入賞口の開放パターンは、大当りの種別に応じて定められている(
図6を参照)。具体的には、7R第1大当り~第7大当りの何れかであれば、それぞれの大当りに対応した7R大当り用の開放パターンをセットし、10R第8大当り又は10R第9大当りであれば、それぞれの大当りに対応した10R大当り用の開放パターンをセットする。大当り遊技では、S2008でセットした大当り用開放パターンにしたがって大入賞口(特別入球口)の開閉動作が実行される。
【0218】
次いで、大当りの種別に応じた可動片動作タイミングをセットし(S2009)、S2010の処理に移行する。前述したように、Vラウンド(本実施例では5ラウンド目)での可動片150の動作は、第2大入賞口35(Vアタッカー)への遊技球の入球数に基づいて行われるものとなっており、その動作契機となる入球数が、大当りの種別に応じて定められている(
図48を参照)。具体的には、大当りの種別に応じて予め定められた「1回目の動作タイミングを規定する入球数に該当する第1所定値(c1)」と「2回目の動作タイミングを規定する入球数に該当する第2所定値(c2)」とをセットする(所定値設定手段)。本実施例では、第1所定値(c1)として「1」とセットし、第2所定値(c2)として「2」をセットする。このS2009でセットした値と、Vラウンド(5ラウンド目)での入球数計数手段による計数値(Vアタッカーへの入球数)とに基づいて、可動片150の動作制御が行われる。なお、第2所定値(c2)は、大当りの種別が「V非通過予定大当り」である場合にはセットせず、「V通過予定大当り」である場合にのみセットするものである。
【0219】
S2010では、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットする(S2010)。オープニングコマンドは、大当りの種別によって定められており、7R第1大当り用オープニングコマンド、7R第2大当り用オープニングコマンド等、各大当りに対応して夫々設けられている。そして、セットされたオープニングコマンドに対応するオープニング期間が設定される。
【0220】
主制御部は、セットしたオープニングコマンドを出力処理(S201)により所定のタイミングでサブ制御部に対して送信する。そして、オープニングコマンドを受信したサブ制御部では、オープニング期間に対応した所定の遊技演出を行うものとされる。
【0221】
またS2011では、大当り遊技のオープニング期間を開始し(S2011)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2012)。また、S2001において大当りフラグがONでないと判定された場合(S2001でNO)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2013)、処理を終える。
【0222】
オープニング期間は、大当り遊技における大入賞口の最初の開放動作を開始する前であって、大当り図柄で停止表示した特別図柄(演出図柄)の停止表示時間(停止表示期間)の経過後に設定される期間であり、特別図柄(演出図柄)の変動表示が実行不能とされる期間である。オープニング期間のことを「開始期間」ともいう。また、オープニング期間(開始期間)に実行する演出を「オープニング演出」又は「開始演出」ともいう。オープニング期間の長さ(オープニング時間)は、大当り遊技が開始されることを遊技者に認識させることができる程度の長さとされるのが一般的であり、例えば、大当り停止表示時間よりも長い時間とすることができる。また、大当りが発生したときの遊技状態や大当りの種別に応じてオープニング期間の長さ(オープニング時間)を異ならせてもよい。
【0223】
以上の特別図柄待機処理(S1102)、特別図柄変動中処理(S1104)及び特別図柄確定処理(S1106)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は、「変動遊技実行手段」として機能するものである。また、それらの処理(S1102、S1104及びS1116)を第1特別図柄について実行する場合の主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第1変動表示実行手段」として機能し、第2特別図柄について実行する場合の主制御部(遊技制御用マイコン81)は「第2変動表示実行手段」として機能するものである。
【0224】
[特別電動役物処理(大当り遊技)]
図33に示すように、特別電動役物処理(S1107)ではまず、確変フラグがONであるか否かを判定し(S2101)、確変フラグがONであると判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFにし(S2102)、次いで、時短フラグがONであるか否かを判定する(S2103)。S2103で、時短フラグがONであると判定した場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFにし(S2104)、S2105の処理に移行する。なお、S2101で確変フラグがONでないと判定した場合(S2101でNO)、確変フラグはOFFであるため、S2102の処理を行うことなくS2103の処理に移行する。また、S2103で時短フラグがONでないと判定した場合(S2103でNO)、時短フラグはOFFであるため、S2104の処理を行うことなくS2105の処理に移行する。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態かつ非時短状態に制御される。本実施例では非時短状態中は常に低ベース状態であるので、大当り遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
【0225】
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)の開放処理が全て終了(全ラウンドが終了)したことを示すフラグである。大当り終了フラグがONでないと判定した場合(S2105でNO)、次いでラウンドの開始時期であるか否かを判定する(S2106)。これは、前述のS2008で大当り種別毎に設定した大入賞口開放パターンに基づいて判定する。例えば、1ラウンド目の開始前であれば、オープニング期間が終了して1ラウンド目の最初の開放処理を実行するタイミングであるか否かによって判定する。また、既に1ラウンド目を開始した後であれば、前のラウンドが終了し、かつ、所定のインターバル期間が終了したか否かによって判定する。なお、ラウンドを単に「R」ともいい、「ラウンド遊技」ともいう。
【0226】
S2106にてラウンド開始時期であると判定した場合(S2106でYES)、対応するラウンドのラウンド開始コマンドをセットし(S2107)、大入賞口開放処理を行って(S2108)、本処理を終える。これにより、大入賞口が開放状態となり所定のラウンドが開始することとなる。なお、S2107では、1ラウンド目の開始であれば「1R開始コマンド」、2ラウンド目の開始であれば「2R開始コマンド」のように、開始するラウンドを特定可能なラウンド開始コマンドがセットされる。セットされたラウンド開始コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部に送信される。また、S2108の大入賞口開放処理では、実行される大当りの種別に応じて定められた大入賞口開放パターンであって、開始されるラウンドに定められた開放パターンが開始される。
【0227】
一方、S2106にてラウンド開始時期でないと判定した場合(S2106でNO)、S2111の処理に移行する。ここで、ラウンド開始時期でないと判定する場合として、例えば、1ラウンド開始前のオープニング期間中、ラウンド実行中、ラウンド終了後のインターバル期間中などを挙げることができる。S2111では、ラウンドの実行中であるか否か、すなわち、S2108で開始した所定の開放パターンに基づく大入賞口開放動作の実行中であるか否かを判定する(S2111)。その結果、ラウンド実行中(大入賞口開放動作の実行中)であると判定した場合(S2111でYES)、その実行中のラウンドがVラウンドであるか否かを判定する(S2112)。前述したように、本実施例では大当り遊技の5ラウンド目をVラウンドとしていることから、ここでは5ラウンド目であるか否かを判定する。そして、実行中のラウンドがVラウンド(5ラウンド目)であれば(S2112でYES)、後述するVラウンド処理を行い(S2113)、Vラウンドでなければ(S2112でNO)、Vラウンド処理(S2113)を行うことなくS2114の処理に移行する。
【0228】
S2114では、実行中のラウンドのラウンド終了条件が成立したか否かを判定する(S2114)。ここで、本実施例のラウンド終了条件として、(1)実行中のラウンドに定められたラウンド実行時間(本実施例では「25秒」)が経過したこと(又は、実行中のラウンドに定められた開放パターンを終了したこと)、(2)実行中のラウンドにおいて当該実行中のラウンドに定められた規定数(本実施例では「9個」)の遊技球が入球したこと、の2つの条件が定められている。そして、何れか一方の条件が成立すると、当該先に成立した条件に基づいてラウンド終了条件が成立となる。S2114でラウンド終了条件が成立していないと判定した場合(S2114でNO)、S2115以降の処理を行うことなく本処理を終える。
【0229】
一方、S2114でラウンド終了条件が成立したと判定した場合(S2114でYES)、対応するラウンドのラウンド終了コマンドをセットし(S2115)、S2116の処理に移行する。S2115では、1ラウンド目の終了であれば「1R終了コマンド」、2ラウンド目の終了であれば「2R終了コマンド」のように、終了するラウンドを特定可能なラウンド終了コマンドがセットされる。セットされたラウンド終了コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部に送信される。
【0230】
S2116では、ラウンド終了に伴い大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖するとともに、所定のインターバル時間をセットする処理(大入賞口閉鎖処理)を行う(S2116)。本実施例では、ラウンド間のインターバル時間として「2000ms(2秒)」と「200ms(0.2秒)」の2種類の時間を備えており、Vラウンド終了に際してセットするインターバル時間(5ラウンド目と6ラウンド目との間のインターバル期間)を「2000ms」とし、それ以外のラウンド終了に際してセットするインターバル時間を「200ms」としている。Vラウンドの終了に際しては、前述した球詰まり有無の監視や不正防止等の観点から当該Vラウンドでの入球数と排出数の一致・不一致を判定するための時間を確保すべく、Vラウンド終了後のインターバル時間を「2000ms」とし、それ以外のラウンドのラウンド間のインターバル時間は「200ms」としている。これにより、Vラウンドでの球詰まり監視や不正防止を図りつつ、その他のラウンドについては第1大入賞口30と第2大入賞口35の交互開放を素早く円滑に進行させることが可能となる。
【0231】
次いでS2117では、先の大入賞口閉鎖処理(S2116)でセットしたインターバル時間が経過したか否かを判定する(S2117)。このS2117の処理は、S2111にてラウンド実行中でないと判定した場合(S2111でNO)に続いて行われる処理でもある。S2117で、インターバル時間が経過していないと判定した場合(S2117でNO)、そのまま本処理を終え、経過したと判定した場合(S2117でYES)、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2118)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2119)。そして、ラウンドカウンタの値が「0」でないと判定した場合(S2119でNO)、次のラウンドを開始するため、本処理を終える。一方、ラウンドカウンタの値が「0」であると判定した場合(S2119でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理(S2120)を実行する。大当り終了処理(S2120)では、大当りのエンディングコマンドをセットするとともに大当りのエンディング期間を開始する。次いで、大当り終了フラグをONにし(S2121)、本処理を終える。なお、ラウンドカウンタの値は、実行する大当りにおける全てのラウンドが終了すると「0」になる。
【0232】
ここで、大当り終了処理(S2120)では、エンディングコマンドをセットする処理が行われるところ、セットされるエンディングコマンドは、複数のエンディングコマンドの中から、大当りとなった際の遊技状態、大当りの種別情報及びVフラグのON/OFFに基づいて、何れかのエンディングコマンドを選択し、セットするものとされる。セットされるエンディングコマンドの種類によって、実行される(設定される)エンディング期間が異なるものとなっている。
【0233】
エンディング期間は、大当り遊技における大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)の全ての開放動作を終了した後であって、特別図柄(演出図柄)の変動表示を実行可能とする前に設定される期間である。エンディング期間のことを「終了期間」ともいう。エンディング期間(終了期間)では大入賞口が閉鎖状態とされる。エンディング期間(終了期間)に実行する演出を「エンディング演出」又は「終了演出」ともいう。
【0234】
また、Vラウンドにおいて(大当り遊技において)、遊技球が特定領域を通過したか否かの特定領域通過結果を示す情報を「特定領域情報」ともいう。この特定領域情報は、Vラウンドにおいて遊技球が特定領域を通過したこと(Vフラグ:ON)を示す情報と、Vラウンドにおいて遊技球が特定領域を通過しなかったこと(Vフラグ:OFF)を示す情報と、を有し、エンディング期間を決定するエンディング期間決定手段(終了期間決定手段)は、この特定領域情報に基づいてエンディング期間を決定することが可能である。
【0235】
S2105にて大当り終了フラグがONであると判定した場合(S2105でYES)、大当り遊技の最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間が経過したか否かを判定し(S2122)、エンディング時間が経過していないと判定した場合(S2122でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過したと判定した場合(S2122でYES)、大当り終了フラグをOFFにし(S2123)、後述する遊技状態設定処理(S2124)を行う。次いで、大当りフラグをOFFにし(S2125)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2126)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(S207)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
【0236】
以上の特別電動役物処理(S1107)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は「特別遊技実行手段」として機能するものである。
【0237】
[Vラウンド処理]
図34に示すように、Vラウンド処理(S2113)では、まず、Vラウンド中のVアタッカー(第2大入賞口35)への遊技球の入球数、すなわち、前述の入球数計数手段による計数値が第1所定値(c1)であるか否かを判定する(S2701)。前述したように、Vラウンドでは、Vラウンド中のVアタッカーへの遊技球の入球数に基づいて可動片150を動作させるものとなっており、その動作契機となる入球数を定める「第1所定値(第1計数値)」および「第2所定値(第2計数値)」が、前述のS2009でセットされている。S2701では、今回のVラウンドでの入球数計数手段による計数値が、S2009でセットした「1回目の動作タイミングを規定する入球数に該当する第1所定値(c1)」となっているか否かを判定するのである。本実施例では、第1所定値(c1)を大当り種別にかかわらず「1」としているので(
図48を参照)、入球数計数手段による計数値が「1」であれば(S2701でYES)、S2702の処理を行い、「1」でなければ(S2701でNO)、S2702の処理を行うことなくS2703の処理に移行する。
【0238】
S2702では、可動片150を動作させることで特定領域39を開閉させる特定領域開閉処理を行う(S2702)。ここでの特定領域開閉処理は、Vアタッカーへの入球数が「1」であることに基づく1回目の可動片150の動作に該当することから、この場合における可動片150の動作は、特定領域39を80msだけ開放させる短開放動作パターン(第1動作態様)で行う。
【0239】
また、S2702では、可動片150を動作させることに伴い、特定領域有効期間が設定される。特定領域有効期間は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効(特典付与)と判定する期間のことである。そして、当該有効期間以外の期間は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効(特典非付与)と判定する期間としている。特定領域有効期間以外の期間(特定領域有効期間外)に遊技球が特定領域センサ39aにより検知された場合、当該検知は無効と判定されるとともに、特定領域39への遊技球の通過に関するエラーの一種である「特定領域異常通過」が発生したと判定される(エラー判定手段)。本実施例では、Vラウンドでの可動片150の動作開始から、当該動作終了後の所定時間(例えば2秒)が経過するまでの間を、特定領域有効期間として設定するものとしている。可動片150の動作終了後も有効期間を継続させるのは、可動片150の動作終了間際に遊技球が特定領域39を通過して当該遊技球が特定領域39aにより検知された場合、その検知を有効なものとして扱うためである。なお、S2702での可動片150の動作は短開放動作パターンによるものであることから、当該動作によって遊技球が特定領域センサ39aにより検知される可能性は極めて低いものとなる。
【0240】
次いでS2703では、実行中のVラウンド(大当り遊技)が「V通過予定大当り」に係るものであるか否かを判定する(S2703)。V通過予定大当りの場合、Vラウンド中に可動片150の1回目の動作(短開放動作パターン)が行われた後、その後のVアタッカーへの遊技球の入球により2回目の動作が実行可能となっている。そこで、S2703では、実行中のVラウンドが「V通過予定大当り」に係るものであるか否かを判定し、V通過予定大当りでないと判定した場合(S2703でNO)、すなわち、実行中のVラウンドが「V非通過予定大当り」に係るものである場合、S2704及びS2705の処理を行うことなく本処理を終える。
【0241】
これに対し、実行中のVラウンドが「V通過予定大当り」に係るものであると判定した場合(S2703でYES)、入球数計数手段による計数値が第2所定値(c2)であるか否かを判定する(S2704)。ここでは、当該Vラウンドでの入球数計数手段による計数値(Vアタッカーへの入球数)が、S2009でセットした「2回目の動作タイミングを規定する入球数に該当する第2所定値(c2)」となっているか否かを判定する。本実施例では、第2所定値(c2)を「2」としているので(
図48を参照)、入球数計数手段による計数値が「2」であれば(S2704でYES)、S2705の処理を行い、「2」でなければ(S2704でNO)、S2705の処理を行うことなく本処理を終える。
【0242】
S2705では、前述のS2702と同様、可動片150を動作させることで特定領域39を開閉させる特定領域開閉処理を行う(S2705)。但し、S2705の特定領域開閉処理は、Vアタッカーへの入球数が「2」であることに基づく2回目の可動片150の動作に該当することから、この場合における可動片150の動作は、特定領域39を3000ms(3秒)開放させる長開放動作パターン(第2動作態様)で行う。また、S2705においても、可動片150を動作させることに伴い、特定領域有効期間が設定される。これにより、S2705での可動片150の動作によって特定領域39が開放し、特定領域有効期間中に遊技球が特定領域センサ39aにより検知されると、その検知は有効と判定されることとなる。一方、特定領域有効期間以外の期間に遊技球が特定領域センサ39aにより検知されると、その検知は無効と判定されるとともに特定領域異常通過(特定領域エラー)の発生と判定される(エラー判定手段)。
【0243】
ここで、特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミング(有効期間内に特定領域センサ39aで遊技球を検知したタイミング)で、遊技状態表示器46を所定の表示態様とし、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となることを報知する。具体的には、遊技状態表示器46は「a1a2a3」の3個のLEDで構成されている。そして、本実施例では、通常状態(低確率状態)においては、「a1□a2□a3□」(例えば、□:消灯、■:点灯)の表示態様とされる。また、大当り遊技中の特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで「a1■a2■a3■」の表示態様とされる。そして、大当り遊技が終了し、遊技状態が高確率状態に設定されると「a1□a2□a3□」の表示態様とされる。また、遊技状態表示器46の点灯制御タイミングはこのようなタイミングに限定されず、大当り遊技中は、遊技球が特定領域を通過しても「a1□a2□a3□」の表示態様のままとし、大当り遊技終了後の高確率状態へ移行するタイミングで「a1■a2■a3■」とし、高確率状態から低確率状態に移行するタイミングで「a1□a2□a3□」の表示態様としてもよい。
【0244】
すなわち、後述の特定領域センサ検知処理(S208)では、特定領域有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、特定領域有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。なお、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる。すなわち、大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(S2124)を参照)。こうすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち、不正に高確率状態に設定されることのないようにしている。
【0245】
[遊技状態設定処理]
図35に示すように、遊技状態設定処理(S2124)ではまず、VフラグがONであるか否かを判定する(S2201)。Vフラグは、特定領域への遊技球の通過有無(V通過有無)を示すフラグであり、Vラウンド中に遊技球が特定領域39を通過した場合に、後述の特定領域センサ検知処理(S208)でONされる。S2201でVフラグがONであると判定した場合(S2201でYES)、確変フラグをONにするとともに(S2202)、確変カウンタをセットし(S2203)、VフラグをOFFにする(S2204)。
【0246】
S2203では、高確率状態で実行可能な変動遊技(特別図柄当否判定)の回数に相当する値を確変カウンタにセットする。本実施例では、その確変カウンタに「10,000」をセットする(S2203)。この「10,000」という値(10,000回)は、高確率状態における大当り確率や遊技店の1日の営業時間、当該営業時間内に実行可能な変動遊技の回数等を考慮すると、実質的には次回の大当りが発生するまで又は営業時間が終了するまで、高確率状態を保証しているのと同じことである。従って、遊技状態が高確率状態に設定された場合には、次回の大当りが発生するまで高確率状態が保証されるといってもよい(実質的に同義である)。なお、本実施例のように確変カウンタに「10,000」の値を設定して、実質的に次回大当りまで高確率状態を設定するようにしてもよいし、確変フラグをONにする場合には確変カウンタをセットすることなく、次回大当りが発生するまで高確率状態を設定するようにしてもよい。
【0247】
S2201でVフラグがONであると判定し(S2201でYES)、S2202~S2204の処理を行った場合、又は、S2201でVフラグがONでない(OFFである)と判定した場合(S2201でNO)YES)、次いで、時短フラグをONにすると共に(S2206)、時短カウンタをセットし(S2207)、本処理を終える。
【0248】
S2207では、時短状態かつ高ベース状態(高頻度状態)で実行可能な変動遊技(特別図柄当否判定)の回数に相当する値を時短カウンタにセットする。時短機能及び高ベース発生機能の作動期間(「時短期間」又は「電サポ期間」ともいう。)は、特別図柄の変動回数(変動遊技の実行回数)により定められる。本実施例では、その回数が大当りの種別に応じて予め定められており、大当りの種別によって異なるものとなっている。具体的には、
図6に示すように、7R第1大当り及び7R第2大当りの場合は「50回」、7R第3大当り及び7R第4大当りの場合は「75回」、7R第5大当り、7R第6大当り及び10R第9大当りの場合は「100回」、7R第7大当り及び10R第8大当りの場合は「10,000回」、となっている。このことに対応して、S2207では、終了した大当り(今回の大当り)の種別に応じて、「50」、「75」、「100」又は「10,000」をセットする。
【0249】
ここで、確変カウンタに「10,000」がセットされた場合、10,000回の特別図柄の変動表示(変動遊技)が実行されるまで(実質的には次回大当りまで)、高確率状態は継続されるが、時短カウンタにセットされた値によって、高確高ベース状態の終了時期(終期)は異なるものとなる。
【0250】
すなわち、確変カウンタに「10,000」、時短カウンタに「50」がそれぞれセットされた場合、大当り遊技終了後、変動遊技(特別図柄の変動表示)が50回実行されるまで高確高ベース状態となり、50回目の変動遊技が終了すると高確高ベース状態が終了して、高確低ベース状態となる。その後(51回目以降)、大当りが発生するまで高確低ベース状態は継続される。なお、高確高ベース状態において変動遊技の実行回数が50回になるまでに大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機に高確高ベース状態は終了する。
【0251】
また、確変カウンタに「10,000」、時短カウンタに「75」がそれぞれセットされた場合、大当り遊技終了後、変動遊技(特別図柄の変動表示)が75回実行されるまで高確高ベース状態となり、75回目の変動遊技が終了すると高確高ベース状態が終了して、高確低ベース状態となる。その後(76回目以降)、大当りが発生するまで高確低ベース状態は継続される。なお、高確高ベース状態において変動遊技の実行回数が75回になるまでに大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機に高確高ベース状態は終了する。
【0252】
また、確変カウンタに「10,000」、時短カウンタに「100」がそれぞれセットされた場合、大当り遊技終了後、変動遊技(特別図柄の変動表示)が100回実行されるまで高確高ベース状態となり、100回目の変動遊技が終了すると高確高ベース状態が終了して、高確低ベース状態となる。その後(101回目以降)、大当りが発生するまで高確低ベース状態は継続される。なお、高確高ベース状態において変動遊技の実行回数が100回になるまでに大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機に高確高ベース状態は終了する。
【0253】
一方、確変カウンタがセットされない場合、時短カウンタにセットされた値によって、低確高ベース状態の終了時期(終期)は異なるものとなる。すなわち、確変カウンタがセットされずに時短カウンタに「50」がセットされた場合、大当り遊技終了後、変動遊技(特別図柄の変動表示)が50回実行されるまで低確高ベース状態となり、50回目の変動遊技が終了すると低確高ベース状態が終了して、低確低ベース状態となる。なお、低確高ベース状態において変動遊技の実行回数が50回になるまでに大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機に低確高ベース状態は終了する。
【0254】
また、確変カウンタがセットされずに時短カウンタに「75」がセットされた場合、大当り遊技終了後、変動遊技(特別図柄の変動表示)が75回実行されるまで低確高ベース状態となり、75回目の変動遊技が終了すると低確高ベース状態が終了して、低確低ベース状態となる。なお、低確高ベース状態において変動遊技の実行回数が75回になるまでに大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機に低確高ベース状態は終了する。
【0255】
また、確変カウンタがセットされずに時短カウンタに「100」がセットされた場合、大当り遊技終了後、変動遊技(特別図柄の変動表示)が100回実行されるまで低確高ベース状態となり、100回目の変動遊技が終了すると低確高ベース状態が終了して、低確低ベース状態となる。なお、低確高ベース状態において変動遊技の実行回数が100回になるまでに大当りが発生した場合、当該大当りの発生を契機に低確高ベース状態は終了する。
【0256】
本実施例では、第2特別図柄当否判定の結果が10R第8大当り又は10R第9大当りである場合、演出図柄8の停止表示態様や当該停止表示までに実行される演出等を通じて大当りの種別を遊技者が判別するのを容易(可能)としている。具体的には、例えば、10R第8大当りに対応する演出図柄8の停止表示態様を奇数のゾロ目(333や777等)とし、10R第9大当りに対応する演出図柄8の停止表示態様を偶数のゾロ目(222や888等)とすることで、遊技者にとって大当り種別の判別が容易(可能)となる。
【0257】
一方、第1特別図柄当否判定の結果が7R第1~第7大当りの何れかである場合、演出図柄8の停止表示態様や当該停止表示までに実行される演出等を通じて大当りの種別を遊技者が判別するのを困難(不可能)としている。そして、大当り遊技終了後の特別図柄の変動表示回数が100回を過ぎても高ベース状態(時短状態)が継続する場合に、次回大当りまで高確高ベース状態(確変状態)であることが遊技者に明らかになるものとしている。また、大当り遊技終了後、50回目、75回目又は100回目の変動表示で高ベース状態が終了して低ベース状態に移行した場合、遊技状態は低確低ベース状態又は高確低ベース状態であるが、大当り確率の状態が高確率状態なのか低確率状態なのかを演出等を通じて遊技者が判別するのを困難(不可能)としている。これにより、大当り遊技終了後の変動遊技の実行回数(変動回数)が増えるにつれて高確率状態であるか否に関する遊技者の緊張や不安を煽ることが可能となり、大当り遊技終了後の興趣を高めることが可能となる。また、大当り遊技終了後、少なくとも100回の変動表示が実行されるまで遊技を続けさせることが可能となり、その分稼働を上げることが可能となる。
【0258】
なお、7R第1~第7大当りのうち、7R第7大当りについては演出図柄8を「7」のゾロ目(777)で停止表示し、7R第1~第6大当りについては演出図柄8を7以外のゾロ目(111や444等)で停止表示するようにして、7R第7大当りのみ演出図柄の停止表示態様を通じて遊技者が大当り種別を判別できるようにいてもよい。これによっても、7R第1~第6大当りに係る大当り遊技の終了後の興趣を高めたり稼働を上げたりすることが可能となる。
【0259】
時短カウンタ及び確変カウンタは、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数を計数するものである。時短カウンタ及び確変カウンタにセットする値は本実施例に限定されるものではなく、遊技性や出球率等を考慮してその値を定めることができる。
【0260】
以上の遊技状態設定処理(S2124)を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は、「遊技状態制御手段(モード制御手段)」として機能するものである。
【0261】
[特定領域センサ検知処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S207)に次いで特定領域センサ検知処理(S208)を行う。
図36に示すように、特定領域センサ検知処理(S208)ではまず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。その結果、特定領域センサ39aによる検知がないと判定した場合(S2401でNO)、S2402以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、特定領域センサ39aによる検知があったと判定した場合(S2401でYES)、その検知が特定領域有効期間中であるか否かを判定する(S2402)。
【0262】
S2402にて特定領域有効期間中であると判定した場合(S2402でYES)、VフラグをONにすると共に(S2403)、特定領域通過コマンドをRAMの出力バッファにセットして(S2404)、本処理を終える。つまり、Vラウンド(5ラウンド目)にて第2大入賞口35に入球した遊技球が特定領域有効期間中に特定領域39を通過すると(特定領域センサ39aにより検知されると)、これを契機にVフラグがONになり(S2403)、特定領域通過コマンドがセットされる(S2404)。
【0263】
S2403及びS2404の処理は、V通過予定大当り又はV非通過予定大当りのVラウンドにて可動片150が短開放動作パターンで動作したことを契機に遊技球が特定領域39を通過した場合と、V通過予定大当りのVラウンドにて可動片150が長開放動作パターンで動作したことを契機に遊技球が特定領域39を通過した場合との何れにおいても実行される。したがって、本実施例では、V通過を前提としないV非通過予定大当りでV通過するというイレギュラーな事象が発生しても、そのイレギュラーなV通過は有効なV通過として処理される。
【0264】
S2404でセットされた特定領域通過コマンドは、出力処理(S201)により、所定のタイミングで副制御基板90に送信される。副制御基板90は、特定領域通過コマンドを受信したことに基づいて、VラウンドでV通過が発生したこと(V通過が発生してVラウンドが終了したこと)を認識する。
【0265】
一方、S2402にて特定領域有効期間中でない(無効期間である)と判定した場合(S2402でNO)、VフラグをONにすることなく、無効期間通過コマンドをRAMの出力バッファにセットして(S2405)、本処理を終える。つまり、特定領域有効期間以外の期間(無効期間)にて遊技球が特定領域39を通過した場合(特定領域センサ39aにより検知された場合)、当該通過は特定領域異常通過(特定領域エラー)であり、そのことを示す無効期間通過コマンドがセットされる。この無効期間通過コマンドが、出力処理(S201)により、所定のタイミングで副制御基板90に送信されると、副制御基板90は、受信した無効期間通過コマンドに基づいて、画像表示装置7(表示画面7a)や枠ランプ66、盤面ランプ5、スピーカ67等を用いて所定のエラー報知を行う。こうした無効期間通過コマンドのセット(S2405)の契機となり得るS2402の処理を実行する主制御部(遊技制御用マイコン81)は、「エラー判定手段」として機能するものである。
【0266】
[非特定領域センサ検知処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特定領域センサ検知処理(S208)に次いで、非特定領域センサ検知処理(S209)を行う。
図37に示すように、非特定領域センサ検知処理(S209)ではまず、非特定領域センサ49aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2411)。その結果、非特定領域センサ49aによる検知がないと判定した場合(S2401でNO)、S2412以降の処理を行うことなく本処理を終える。これに対し、非特定領域センサ49aによる検知があったと判定した場合(S2411でYES)、VフラグがOFFであるか否かを判定し(S2412)、OFFであれば(S2412でYES)、S2413に進み、OFFでなければ(S2412でNO)、S2413以降の処理を行うことなく本処理を終える。なお、VフラグがOFFでない場合(S2412でNO)、すなわちVフラグがONである場合、VラウンドでV通過が発生しているため、S2413以降の処理を行わないこととしている。
【0267】
S2413では、非特定領域49を通過した遊技球の数が「9」であるか否かを判定する(S2413)。前述したように、非特定領域センサ49aにより遊技球が検知されると、その検知数が図示しない非特定領域通過計数手段によって非特定領域通過数として計数されるので、S2413ではその計数値(カウント値)を参照して、非特定領域通過数が「9」であるか否かを判定する。そして、非特定領域49を通過した遊技球の数が「9」でない場合には(S2413でNO)、そのまま本処理を終え、非特定領域49を通過した遊技球の数が「9」である場合には(S2413でYES)、特定領域非通過コマンドをRAMの出力バッファにセットして(S2414)、本処理を終える。つまり、Vラウンド(5ラウンド目)で遊技球がVアタッカー(第2大入賞口35)に入球するなか、VフラグがONになることなく(V通過せず)9個(規定数)の遊技球が非特定領域49を通過すると(非特定領域センサ49aにより9個の遊技球が検知されると)、これを契機に特定領域非通過コマンドがセットされる(S2414)。
【0268】
S2414でセットされた特定領域非通過コマンドは、出力処理(S201)により、所定のタイミングで副制御基板90に送信される。副制御基板90は、特定領域非通過コマンドを受信したことに基づいて、VラウンドでV通過が発生しなかったこと(V通過が発生せずにVラウンドが終了したこと)を認識する。
【0269】
[保留球数処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、非特定領域センサ検知処理(S209)に次いで保留球数処理(S210)を行う。
図38に示すように、保留球数処理(S210)ではまず、主制御基板80のRAMに記憶されている特
図1保留球数、特
図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、その保留球数を示すデータ(保留球数を示す情報を副制御基板90等に送信するための保留球数コマンド)を、RAMの出力バッファにセットする(S2502)。この保留球数を示すデータ(保留球数コマンド)は、次回の割り込み処理(S105)での出力処理(S201)によって出力され、割り込み処理毎に、保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)の出力バッファへのセット(S2502)と、出力処理(S201)とが順次行われる。
【0270】
保留球数コマンドを受信したサブ制御部は、受信した保留球数コマンドに基づいて特図保留球数に増減が生じたと判断すると、これに応じて、画像表示装置7の表示画面7aにおける演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d、変動保留表示領域9e)の表示内容を更新する。具体的には、例えば、特
図1保留球数が「3」から「4」に1増加した場合、その増加した分の特
図1保留球数「4」に対応する第1演出保留9aを第1演出保留表示領域9cに追加表示する。また、特
図1保留球数が「2」から「1」に1減少した場合(つまり、第1特図保留が消化された場合)、第1演出保留表示領域9cの左端(特
図1保留球数「1」に対応する箇所、
図3を参照)に表示されている第1演出保留9aを変動保留表示領域9eに移動して表示するとともに、第1演出保留表示領域9cに表示されている残りの第1演出保留9aを左側に1つ移動(シフト)する。一方、第2演出保留9b(第2特図保留)についても、第1演出保留9a(第1特図保留)と同様に表示内容を更新することができる。
【0271】
なお、特図保留球数が加算された際の特図保留球数のデータ、すなわち始動入球(始動入賞)の発生に伴う特図保留球数のデータについては、前述の始動入球コマンドに含めるか、加算後(始動入球後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを始動入球コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。また、特図保留球数が減算された際の保留球数のデータ、すなわち特別図柄の変動開始(特図保留の消化)に伴う特図保留球数のデータについては、前述の変動開始コマンドに含めるか、減算後(特図保留消化後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを変動開始コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。
【0272】
[電源断監視処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S210)に次いで電源断監視処理(S211)を行う。
図39に示すように、電源断監視処理(S211)ではまず、電源断信号の入力の有無を判定し(S2601)、入力がなければ(S2601でNO)、本処理を終了する。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(高確率状態であるか否か、大当り遊技中であるか否か、保留球数はいくつか、確変・時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶(バックアップ)するとともに(S2602)、電源断フラグをONにし(S2603)、割り込み処理(S105)に戻ることなくループ処理を行う。S2602では、現在の遊技機の状態に関するデータの他にも、バックアップの対象として予め定めた任意のデータを記憶(バックアップ)することが可能である。本実施例では、前述したように当り表示器48の表示態様を定める点灯パターンデータをバックアップ対象としていることから、S2602ではその表示態様に係る点灯パターンデータも記憶される。
【0273】
[サブ制御メイン処理]
次に、
図40~
図47に基づいて演出制御用マイコン91の動作(サブ制御部による制御処理)について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、副制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられる。
【0274】
演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると(電源基板109による電力の供給が開始されると)、
図40に示すサブ制御メイン処理のプログラムを副制御基板90のROMから読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
【0275】
次いでS4002では、電源断信号がONでかつ副制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。電源断信号は、本パチンコ遊技機1の電源を投入すると、電源基板109から副制御基板90に出力される。そして、S4002の判定結果がNOであれば(S4002でNO)、副制御基板90のRAMの初期化をし(S4003)、S4004に進む。一方、S4002の判定結果がYESであれば(S4002でYES)、副制御基板90のRAMを初期化することなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、副制御基板90のRAMを初期化するが、電源断信号がONであってRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。なお、このS4001~S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。このことから、S4001~S4003の処理のことを「電源投入時処理」ともいう。
【0276】
ここで、演出制御用マイコン91は、電源投入時処理(S4001~S4003)を実行する場合、その電源投入時処理が終了するまでの間、電源投入時処理の実行中である旨の報知(電源投入時報知)を実行する(第2報知手段)。具体的に、電源投入時処理の実行中である旨を示すメッセージを画像表示装置7の表示画面7aに表示するとともに、その旨を示す報知音をスピーカ67から出力する(第2報知手段)。前述したように、電源投入に際しては、少なくともCPU初期化処理(S4001)が実行され、S4002の判定が否定判定の場合(S4002でNO)にはRAMの初期化(S4003)も実行されるが、CPU初期化処理(S4001)を実行してRAMの初期化(S4003)を実行しない場合には「電源復旧中」のメッセージを表示し、CPU初期化処理(S4001)とRAMの初期化(S4003)の両方を実行する場合には「ラムクリア中」のメッセージを表示する。これらメッセージの表示は、副制御基板90から画像制御基板100に向けてコマンド(電源投入時コマンド)を送信し、当該コマンドを受信した画像制御基板100のCPU(画像制御用マイコン101)の処理によって実行される。「電源復旧中」と「ラムクリア中」の何れのメッセージを表示するかは、副制御基板90から画像制御基板100へ送信されるコマンドの内容(種類)によって定まる。また、本実施例では電源投入時処理の報知音を1種類としており、音声制御基板106を介してスピーカ67から出力される。
【0277】
S4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値は副制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。なお、演出決定用乱数には、予告演出を決定する予告演出決定用乱数や、演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたときや、後述の変動演出パターンを決定するとき等とすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、副制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。
【0278】
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、副制御基板90のRAMの出力バッファ(「サブ出力バッファ」ともいう。)に格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106、及びランプ制御基板107に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従って各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出、大当り遊技に係る特別遊技演出等)を実行する。
【0279】
次いでS4007で割り込みを許可し、以降、S4004~S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7a(演出図柄表示領域7b)上で実行される演出図柄等の表示制御や各種ランプの点灯制御、可動装飾部材の動作制御、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。
【0280】
[受信割り込み処理]
図41に示すように、受信割り込み処理(S4008)ではまず、ストローブ信号(STB信号)がONであるか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。その結果、ストローブ信号がONでないと判定した場合(S4101でNO)、S4102の処理を行うことなく本処理を終える。一方、ストローブ信号がONであると判定した場合(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドを副制御基板90のRAMに格納して(S4102)、本処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
【0281】
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、副制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。
図42に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。このスイッチデータは、第1演出ボタン63a及び第2演出ボタン63bの夫々についての操作有無(ON、OFF)を示すもので、演出ボタン63の操作に基づく操作対応演出の実行に供されるものである。次いで、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ類を発光させるためのランプデータを出力するランプデータ出力処理(S4202)と、可動演出部材14(電気的駆動源)を駆動するための駆動データを出力する駆動データ出力処理(S4203)とを行う。ランプデータおよび駆動データは、後述の10msタイマ割り込み処理で作成される。そして、ウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S4204)。
【0282】
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、副制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。
図43に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4302)を行う。次いで、2msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして副制御基板90のRAMに格納するスイッチ状態取得処理を行い(S4303)、当該スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理を行う(S4304)。その後、ランプデータ(盤面ランプ5や枠ランプ66の点灯を制御するデータ)を作成したり、演出決定用乱数を更新したりする等のその他の処理を実行する(S4305)。
【0283】
[受信コマンド解析処理]
図44に示すように、受信コマンド解析処理(S4302)ではまず、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したか否かを判定し(S4390)、始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4390でNO)、S4401の処理に移行し、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4390でYES)、演出保留情報記憶処理(S4395)及び保留アイコン予告処理(S4400)を行って、S4401の処理に移行する。
【0284】
演出保留情報記憶処理(S4395)は、S4390で受信した始動入球コマンド(特
図1始動入球コマンド又は特
図2始動入球コマンド)に含まれる各種情報(事前判定結果、大当り種別決定用乱数値、変動パターン乱数値等の情報)を、特別図柄の種類(第1特別図柄、第2特別図柄)及び始動入球コマンドの送受信時(コマンド生成時)の特図保留球数に応じて、副制御基板90のRAMの所定の演出保留情報記憶領域にシフトメモリ形式で記憶する。例えば、受信した始動入球コマンドが特
図1の保留球数「4」に対応する特
図1始動入球コマンドである場合、その特
図1始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や当り種別等の情報を、特
図1演出保留情報記憶領域のうち保留数4に対応する領域に、特
図1演出保留情報として記憶する。また、受信した始動入球コマンドが特
図2始動入球コマンドである場合も同様にして、特
図2始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や当り種別等の情報を特
図2演出保留情報として特
図2演出保留情報記憶領域に記憶する。
【0285】
こうして記憶される演出保留情報は、後述する変動演出や予告演出、演出モード等の各種演出の実行に用いられる。副制御基板90における演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)は、前述の主制御基板(主制御部)80における特図保留記憶部(第1特図保留記憶部、第2特図保留記憶部)の記憶内容(取得情報)と一致するものである。このことから、副制御基板90の演出保留情報記憶領域も「取得情報記憶手段」といえる。
【0286】
なお、演出保留情報のことを「先読み情報」ともいい、特
図1演出保留情報のことを「第1先読み情報」ともいい、特
図2演出保留情報のことを「第2先読み情報」ともいう。また、演出保留情報記憶領域(取得情報記憶手段)のことを「先読み情報記憶手段」ともいい、特
図1演出保留情報記憶領域のことを「第1先読み情報記憶手段」ともいい、特
図2演出保留情報記憶領域のことを「第2先読み情報記憶手段」ともいう。
【0287】
保留アイコン予告処理(S4400)は、S4395で記憶された演出保留情報(事前判定結果)に基づく予告演出の一種である保留アイコン予告に関する処理である。保留アイコン予告とは、表示画面7aの演出保留表示領域(第1演出保留表示領域9c、第2演出保留表示領域9d)や変動保留表示領域9eに表示される演出保留(保留アイコン、アクティブ保留アイコン)の表示態様を通常と異なる表示態様に変化させて当該変化後の表示態様(「予告表示態様」ともいう。)により大当りの可能性(期待度)を示唆する演出のことである。保留アイコン予告処理(S4400)及び保留アイコン予告についての詳細は後述する。
【0288】
次いでS4401では、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S4401)。その結果、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、後述する変動演出開始処理(S4402)を行って、S4406の処理に移行し、変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、変動演出開始処理(S4402)を行うことなく、S4406の処理に移行する。
【0289】
S4406では、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否かを判定する(S4406)。その結果、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4406でYES)、演出図柄8を停止表示して演出図柄8の変動表示(変動演出)を終了させる変動演出終了処理(S4407)を行って、S4408の処理に移行し、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4406でNO)、変動演出終了処理(S4407)を行うことなく、S4408の処理に移行する。
【0290】
S4408では、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否かを判定する(S4408)。その結果、オープニングコマンドを受信したと判定した場合(S4408でYES)、特別遊技(大当り遊技)の際に実行する特別遊技演出の演出パターン(演出態様)を選択する特別遊技演出選択処理(S4409)を行い、S4410の処理に移行する。一方、オープニングコマンドを受信していないと判定した場合(S4408でNO)、特別遊技演出選択処理(S4409)を行うことなく、S4410の処理に移行する。
【0291】
ここで、特別遊技演出には、少なくとも、特別遊技開始に伴う大入賞口開放前(1ラウンド目開始前)のオープニング期間中に実行するオープニング演出と、特別遊技中(大当り遊技中)のラウンド遊技(大入賞口入球遊技)の進行に合わせて実行するラウンド演出(大当り遊技演出)と、が含まれる。
【0292】
本実施例では、大当りの種別に応じたオープニングコマンドが主制御基板80から送信されるものとなっており、そのオープニングコマンドによって、今回開始される大当りの種別に応じたオープニング期間の長さ(オープニング時間)やオープニング演出、ラウンド演出等が特定される。そして、特別遊技演出選択処理(S4409)では、選択した特別遊技演出(オープニング演出、ラウンド演出等)の演出パターンや、受信したオープニングコマンドに基づく情報(オープニングコマンドの種類、オープニング時間、開始タイミングにある大当り遊技に係る大当り種別等)を特定可能な特別遊技開始時コマンドをサブ出力バッファにセットする。このセットした特別遊技開始時コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、大当り遊技の進行状況に合わせて、対応する特別遊技演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
【0293】
具体的には、例えば、今回開始される大当りの種別が7R大当り(7R第1~第7大当りの何れか)の場合、その大当りが「V通過予定大当り」であるか「V非通過予定大当り」であるかを問わず、7R大当り遊技の開始に対応する同じ態様(共通)のオープニング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のオープニング演出は、今回開始される大当りが「V通過予定大当り」なのか「V非通過予定大当り」なのかを示さない態様の演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「大当り」等の文字画像を表示することにより行われる。そして、オープニング演出に続いて、7R大当りに対応するラウンド演出が、ラウンドの進行に合わせて(後述するS4418でのラウンド開始コマンド受信に基づいて)画像表示装置7の表示画面7a上で展開される。なお、7R大当り遊技が終了した後の高ベース状態(高確高ベース状態又は低確高ベース状態)では、高確率状態であるか否かが秘匿される演出モード(「状態非報知モード」ともいう。)で演出が展開される。
【0294】
また、今回開始される大当りの種別が10R第8大当りの場合には、「V通過予定大当り」に係る大当り遊技、すなわち、高確率状態を発生させることが前提の10R大当り遊技の開始に対応するオープニング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のオープニング演出は、多量の賞球獲得とともに高確高ベース状態への移行を前提とする大当り遊技の開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「超大当り」や「V大当り」等の文字画像を表示することにより行われる。そして、オープニング演出に続いて、10RV通過予定大当りに対応するラウンド演出が、ラウンドの進行に合わせて(後述するS4418でのラウンド開始コマンド受信に基づいて)画像表示装置7の表示画面7a上で展開される。
【0295】
また、今回開始される大当りの種別が10R第9大当りの場合には、「V非通過予定大当り」に係る大当り遊技、すなわち、高確率状態を発生させないことが前提の10R大当り遊技の開始に対応するオープニング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のオープニング演出は、多量の賞球獲得とともに時短状態(低確高ベース状態)への移行を前提とする大当り遊技の開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「大当り」等の文字画像を表示したりする。そして、オープニング演出に続いて、10RV非通過予定大当りに対応するラウンド演出が、ラウンドの進行に合わせて(後述するS4418でのラウンド開始コマンド受信に基づいて)画像表示装置7の表示画面7a上で展開される。
【0296】
次いでS4410では、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否かを判定する(S4410)。その結果、エンディングコマンドを受信したと判定した場合(S4410でYES)、特別遊技終了時演出(エンディング演出)のパターンや特別遊技終了後の演出モード等を選択するエンディング演出選択処理(S4411)を行い、
図45に示すS4412の処理に移行する。一方、エンディングコマンドを受信していないと判定した場合(S4410でNO)、エンディング演出選択処理(S4411)を行うことなく、S4412の処理に移行する。
【0297】
本実施例では、今回の大当りに係る大当り種別及びV通過有無に応じたエンディングコマンドが主制御基板80から送信されるものとなっており、そのエンディングコマンドによってエンディング期間の長さ(エンディング時間)が特定される。そして、エンディング演出選択処理(S4411)では、選択したエンディング演出の演出パターンや、受信したエンディングコマンドに基づく情報(エンディングコマンドの種類、エンディング時間、終了した大当り遊技に係る大当りの種別、大当り遊技後の演出モード等)を特定可能な特別遊技終了時コマンドをサブ出力バッファにセットする。このセットした特別遊技終了時コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101が、大当り遊技の終了に係るエンディング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
【0298】
具体的には、例えば、終了した大当り遊技の大当り種別が7R大当り(7R第1~第7大当りの何れか)の場合、その大当りが「V通過予定大当り」であるか「V非通過予定大当り」であるか、及び、V通過したか否かを問わず、7R大当り遊技の終了に対応する同じ態様(共通)のエンディング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のエンディング演出は、状態非報知モードの開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「チャンスモード突入」等の文字画像を表示することにより行われる。
【0299】
また、終了した大当り遊技の大当り種別が10R第8大当り(V通過予定大当り)であって当該大当り遊技中にV通過した場合、10R大当り遊技の終了に対応するエンディング演出として、確変遊技状態(高確高ベース状態)への移行を示すエンディング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のエンディング演出は、確変遊技状態(高確高ベース状態)の開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「確変突入」等の文字画像を表示することにより行われる。
【0300】
また、終了した大当り遊技の大当り種別が10R第9大当り(V非通過予定大当り)であって当該大当り遊技中にV通過しなかった場合、10R大当り遊技の終了に対応するエンディング演出として、時短遊技状態(低確高ベース状態)への移行を示すエンディング演出を画像表示装置7の表示画面7a上で行う。この場合のエンディング演出は、時短遊技状態(低確高ベース状態)の開始を印象付ける演出とされ、例えば、画像表示装置7の表示画面7a上に「時短突入」等の文字画像を表示することにより行われる。
【0301】
次いでS4412では、主制御基板80から特定領域通過コマンドを受信したか否かを判定する(S4412)。その結果、特定領域通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4412でNO)、S4413及びS4414の処理を行うことなくS4418の処理に移行し、特定領域通過コマンドを受信したと判定した場合(S4412でYES)、その特定領域通過コマンドが10R大当りでのV通過に基づくものであるか否かを判定する(S4413)。
【0302】
受信した特定領域通過コマンドが10R大当りでのV通過に基づくものである場合(S4413でYES)、V通過指定コマンドをサブ出力バッファにセットする(S4414)。一方、受信した特定領域通過コマンドが10R大当りでのV通過に基づくものでない場合(S4413でNO)、すなわち7R大当りでのV通過に基づくものである場合、S4414の処理を行うことなくS4418の処理に移行する。
【0303】
S4414でセットしたV通過指定コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、V通過があったことを報知するための画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによるV通過報知演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。V通過報知演出としては、例えば「V」の文字画像を表示画面7aに表示したり、V通過を表す効果音を出力したりすることが挙げられる。V通過報知演出は、10R大当りでV通過した場合に実行されるものであり、7R大当りでV通過した場合には実行されない。7R大当りでは、その大当りが「V通過予定大当り」なのか「V非通過予定大当り」なのかを遊技者に報知しない(秘匿する)からである。なお、可能性は限りなく低いが、V非通過予定大当りである10R第9大当りでV通過した場合にも、V通過指定コマンドがセットされ(S4414)、V通過報知演出が実行される。
【0304】
次いでS4418では、主制御基板80からラウンド開始コマンドを受信したか否かを判定する(S4418)。その結果、ラウンド開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4418でNO)、S4419の処理を行うことなくS4420の処理に移行する。一方、ラウンド開始コマンドを受信したと判定した場合(S4418でYES)、受信したラウンド開始コマンドに対応するラウンド指定コマンドをサブ出力バッファにセットして(S4419)、S4420の処理に移行する。
【0305】
主制御基板80から送信されるラウンド開始コマンドには、開始するラウンド(開始ラウンド)が何ラウンド目なのかを特定することが可能な情報が含まれており、副制御基板90のCPU(演出制御用マイコン91)は、受信したラウンド開始コマンドに基づいて開始ラウンドのラウンド数を特定し、当該ラウンド数を示すラウンド指定コマンドをサブ出力バッファにセットする。ラウンド指定コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、ラウンド指定コマンドに基づき特定されるラウンド数に応じて、実行中の大当り遊技に即したラウンド演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
【0306】
最後にS4420で、その他の演出制御に係る処理を行い(S4420)、本処理を終える。S4420で行うその他の処理としては、前述のコマンド以外の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンド、普通図柄変動停止コマンド、無効期間通過コマンド、特定領域非通過コマンド等)に基づく処理を行う。
【0307】
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)において、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したことに基づいて実行される変動演出開始処理(S4402)について説明する。
図46に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、変動演出決定用乱数や予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数、特定演出決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数処理を行う(S4501)。本実施例では、主制御部から変動開始コマンドを受信したタイミングでS4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値(取得情報)を取得する。この取得した値に基づいて、実行する変動演出や予告演出、停止表示する演出図柄等を決定する。なお、変動演出とは、特別図柄が変動表示を開始してから終了(停止表示)するまでの当該変動表示(変動遊技)に伴って実行される演出を意味し、演出図柄遊技演出(演出図柄8の変動表示及び停止表示)を含む。
【0308】
次いでS4502では、前述のS4401で受信した変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。変動パターン指定コマンドには、例えば、
図9に示す変動パターン情報(P1~P22)、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の判定結果を指定する判定結果情報、大当り種別(大当り図柄)を指定する図柄情報等が含まれる(
図8を参照)。また変動パターン指定コマンドには、第1特別図柄に対応するものと第2特別図柄に対応するものとが存在し、変動パターン指定コマンドを解析することで、今回開始する演出図柄遊技演出(変動演出)が特
図1に係るものなのか特
図2に係るものなのかを判別することが可能となる。なお、変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報や遊技状態情報、図柄情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の他の処理においても利用可能である。
【0309】
次いでS4503では、現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。モードステータスは「1」~「5」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA~Eに対して割り当てられている。具体的には、モードステータス「1」が演出モードAに対応し、モードステータス「2」が演出モードBに対応し、モードステータス「3」が演出モードCに対応し、モードステータス「4」が演出モードDに対応し、モードステータス「5」が演出モードEに対応する。現在のモードステータスを参照することで、現在の演出モードを特定することが可能である。
【0310】
ここで、演出モードとは、変動遊技が実行されるときの演出環境(演出形式)のことであり、演出モードが異なると、表示画面7aの背景や変動演出、リーチ演出、予告演出等の各種演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なる等、画像表示装置7に表示される画像が異なり、演出図柄遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができる。また、複数の遊技演出(リーチ演出、予告演出等)を設ける場合に、演出モードによって異なる遊技演出を実行可能としてもよい。
【0311】
演出モードA(モードステータス「1」)は、遊技状態が低確低ベース状態に制御されているときに設定される演出モードである。本実施例では、演出モードAを通常(基本)の演出モードとしている。演出モードAが設定されているとき、遊技者はその演出モードを通じて、現在の遊技状態が低確低ベース状態であることを認識することができる。
【0312】
演出モードB(モードステータス「2」)は、7R大当り遊技の終了後に設定される演出モードである。本実施例では、演出モードBを状態非報知モードとしている。演出モードBが設定されているときの遊技状態は低確高ベース状態又は高確高ベース状態であるが、このとき遊技者は演出モードを通じて、現在の遊技状態が低確高ベース状態であるか高確高ベース状態であるかを認識(判別)することができない。演出モードBは、低確高ベース状態と高確高ベース状態とで共通(同様)の演出モードであるといえる。
【0313】
演出モードC(モードステータス「3」)は、演出モードBで大当りが発生することなく所定回数(例えば、50回、75回又は100回)の変動遊技が実行されて遊技状態が高確低ベース状態に移行した場合に設定される演出モードである。本実施例では、演出モードCをリベンジモードとしている。演出モードCが設定されているとき、遊技者はその演出モードを通じて、現在の遊技状態が高確低ベース状態であることを認識することができる。なお、演出モードBで大当りが発生することなく所定回数の変動遊技が実行されて遊技状態が低確低ベース状態に移行した場合、演出モードはB(モードステータス「2」)からA(モードステータス「1」)に移行する。
【0314】
演出モードD(モードステータス「4」)は、演出モードBで大当りが発生することなく所定回数(例えば100回)の変動遊技が実行されてもなお遊技状態が高確高ベース状態となる場合に設定される演出モードである。また、10R第8大当り(10RV通過予定大当り)に係る大当り遊技後に遊技状態が高確高ベース状態に制御された場合に設定される演出モードでもある。本実施例では、演出モードDを確変確定モードとしている。演出モードDが設定されているとき、遊技者は演出モードを通じて、現在の遊技状態が高確高ベース状態(確変遊技状態)であることを認識することができる。
【0315】
演出モードE(モードステータス「5」)は、10R第9大当り(10RV非通過予定大当り)に係る大当り遊技後に遊技状態が低確高ベース状態に制御された場合に設定される演出モードである。本実施例では、演出モードEを時短モードとしている。演出モードEが設定されているとき、遊技者はその演出モードを通じて、現在の遊技状態が低確高ベース状態(時短遊技状態)であることを認識することができる。
【0316】
なお、可能性は限りなく低いが、10R第8大当りに係る大当り遊技でV通過が発生せず当該大当り遊技後の遊技状態が低確高ベース状態に制御された場合には、演出モードEが設定される。また、可能性は限りなく低いが、10R第9大当りに係る大当り遊技でV通過が発生して当該大当り遊技後の遊技状態が高確高ベース状態に制御された場合には、演出モードDが設定される。
【0317】
次いでS4504では、画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等を用いて行う変動演出の演出パターン(「変動演出パターン」ともいう。)を決めるための図示しない変動演出パターン決定テーブルをセットする(S4504)。具体的には、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)と主制御部から受信した変動パターン指定コマンドとに基づいて、使用する変動演出パターン決定テーブルをセットする。例えば、受信した変動パターン指定コマンドの指定する変動パターン情報が「P1(変動パターンP1)」(
図9を参照)である場合、変動演出パターン決定テーブルとして、現在の演出モードに対応した大当り時変動演出パターン決定テーブルがセットされる。本実施例では、演出モード(モードステータス)に対応した複数の変動演出パターン決定テーブルが副制御基板90のROMに予め格納されているので、S4504では、それらの変動演出パターン決定テーブルの中から、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)に対応するテーブルが選択されてセットされる。変動演出パターン決定テーブルは、主に、演出図柄遊技演出の実行態様(演出図柄の変動態様等)を決定するためのもので、複数の変動演出パターン決定テーブルが副制御基板90のROMに予め格納されている。S4504では、それら複数の変動演出パターン決定テーブルのうちの何れかをセットする。
【0318】
次いでS4505では、S4501で取得した変動演出決定用乱数及びS4504でセットした変動演出パターン決定テーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合した変動演出パターンを選択し、これを設定する(S4505)。変動演出パターンとしては、主に、演出図柄表示領域7bで表示される演出図柄8の変動態様(演出図柄遊技演出の実行態様)が設定される。これにより、演出図柄遊技演出(変動演出)において、リーチ演出を実行する場合(リーチあり変動演出)、リーチ演出を実行しない場合(ノーマル変動演出)等が決定される。また、変動演出パターンには、演出図柄8の変動態様の他、演出図柄8の変動表示に付随して実行される表示演出や音演出、光演出、可動演出等の実行態様も含まれ、これら演出の実行有無についても決定される。
【0319】
なお、リーチ演出とは、例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りであることを示す場合の演出図柄8の表示態様として、3個の演出図柄8L,8C,8Rがすべて同一(ゾロ目)となる態様(大当り態様、特定態様)を設けている場合において、3個の演出図柄8L,8C,8Rのうちの2個(例えば第1停止図柄及び第2停止図柄)が大当り態様を構成する図柄(「リーチ図柄」又は「リーチ態様」ともいう。)で停止表示(仮停止)され、残り1個(例えば第3停止図柄)が変動表示を続けている状態(「リーチ状態」ともいう。)で、その残り1個の演出図柄が大当り態様を完成させる図柄で停止表示されるか否かを示す演出のことをいう。このリーチ演出によれば、大当りを狙う遊技者の期待感を効果的に煽ることが可能となる。
【0320】
またS4505では、S4501で取得した演出図柄決定用乱数および図示しない停止図柄決定テーブルに基づいて、停止表示する演出図柄8(「停止演出図柄」ともいう)を決定し、これを設定する。停止表示の種類には、仮停止表示(仮停止)と確定停止表示(確定停止)とがある。仮停止とは、演出図柄8のスクロール表示(変動表示)が一旦停止(一時停止)され、演出図柄8が表示画面上の所定の停止位置(例えば演出図柄表示領域7b)にて、その数字やキャラクタ等を認識できる程度に僅かに動いた状態で表示されることを意味する。僅かに動いた状態のことを「揺れ変動」ともいう。一方、確定停止とは、演出図柄8のスクロール表示(変動表示)が終了して、演出図柄8が表示画面上の所定の停止位置(例えば演出図柄表示領域7b)にて、その数字やキャラクタ等を認識できる状態で完全に停止して表示されることを意味する。演出図柄8が変動表示を経て確定停止されると、その変動表示の表示結果(変動演出の結果)が確定的に表示(確定表示)されること(導出表示されること)となる。したがって、演出図柄8の仮停止は、確定停止に至るまで1回または複数回行うことが可能である。
【0321】
S4505で決定(選択)する停止演出図柄は、仮停止する図柄(「仮停止図柄」ともいう。)と、確定停止する図柄(「確定停止図柄」ともいう。)である。具体的には、変動演出の結果として停止表示(確定停止)される演出図柄8、すなわち確定停止図柄は、特別図柄当否判定の結果が外れであって、リーチあり外れの場合は「787」等の3個の演出図柄8L,8C,8Rのうち1個の演出図柄が他の演出図柄と異なるバラケ目(リーチ外れ目)とされ、リーチなし外れのときは「635」等の3個の演出図柄8L,8C,8Rのうち少なくとも1個の演出図柄が他の演出図柄が異なるバラケ目(完全バラケ目)とされる。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りであって、7R第1~第7大当り及び10R第9大当りの何れかの場合は、「777」以外のゾロ目とされ、10R第8大当りの場合は「777」のゾロ目とされる。これにより、7R大当りについては、演出図柄8の停止表示態様を通じて、その大当りがV通過予定大当りなのかV非通過予定大当りなのかを判別することは不可能となる。また、10R第8大当り及び10R第9大当りについては、演出図柄8の停止表示態様を通じて、その大当りがV通過予定大当りなのかV非通過予定大当りなのかを判別することが可能となる。
【0322】
また、確定停止に至る前の変動表示の途中で一旦仮停止される演出図柄8、すなわち仮停止図柄は、基本的には前述のゾロ目(大当り態様)以外の出目(リーチ外れ目、完全外れ目等)とされる。但し、例えば、演出図柄8をゾロ目で停止した後に再度変動表示させる所謂「再抽選」を実行する変動演出パターンの場合には、仮停止図柄がゾロ目(大当り態様)とされる。この場合、仮停止図柄は、相対的に有利度合の低い大当り(例えば、10RV通過予定大当りよりも有利度合の低い10RV非通過予定大当り)に対応する出目とされる。また、再抽選後の確定停止図柄は、再度、相対的に有利度合の低い大当りに対応する出目としたり、相対的に有利度合の高い大当りに対応する出目としたりすることができる。さらに演出図柄8は、変動表示が終了して確定停止する直前(間際)にも仮停止されることから、確定停止直前に仮停止する演出図柄8も仮停止図柄であるが、この場合の仮停止図柄は確定停止図柄と同じとなる。なお、前述した演出図柄8の停止表示態様はあくまでも一例であり、停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜設定可能である。
【0323】
本実施例のパチンコ遊技機1には、演出図柄8の変動態様(変動演出パターン)として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう。)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出等が設定されている。S4505では、変動演出パターン決定テーブルに基づいて、これらのうち何れの演出を行うか、又はこれらの演出を行わない(これを「ノーマル変動」ともいう。)かが決定される。
【0324】
そして、例えば、リーチあり変動演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び変動演出パターン決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。ここで、スーパーリーチ演出(SPリーチA~Cの何れか)が実行される場合には、ノーマルリーチ演出(リーチA~Cの何れか)が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はノーマルリーチ演出と比較して大当りとなる可能性(大当り期待度)の高い遊技演出であるといえる。
【0325】
本実施例では、主制御基板80からの変動パターン指定コマンドとして、変動時間が30000ms以上の変動パターン(
図9を参照)を指定する変動パターン指定コマンドを副制御基板90が受信した場合に、当該コマンドに基づいてリーチ演出(リーチあり変動演出)が設定(実行)され得る。そのうち、変動時間が30000msの場合には、リーチ演出としてノーマルリーチ演出が設定(実行)され(ノーマルリーチ変動演出)、変動時間が45000ms以上の場合には、リーチ演出としてSPリーチ演出が設定(実行)される(SPリーチ変動演出)。なお、本実施例では、リーチ演出の種類としてリーチA~Cの3種類のノーマルリーチと、SPリーチA~Cの3種類のスーパーリーチを備えるものとしているが、リーチ演出の種類(数)はこれに限定されるものではなく、さらに多くのリーチ演出を備えることとしてもよい。
【0326】
ここで、演出図柄8の変動表示は、基本的に次のようにして行われる。すなわち、3つの演出図柄8L,8C,8Rが変動表示を開始した後、全図柄の変動速度が高速で略一定となり、その後、所定時間(例えば9秒)が経過したタイミングで、第1停止図柄(本例では左演出図柄8L)の変動速度が低下して第1停止図柄が停止(仮停止)する。これに次いで第2停止図柄(本例では右演出図柄8R)の変動速度が低下して第2停止図柄が停止(仮停止)し、最後に第3停止図柄(本例では中演出図柄8C)の変動速度が低下して第3停止図柄が停止(仮停止)する。この後、3つの演出図柄8L,8C,8Rが確定停止することで、変動表示の表示結果が導出表示され、これをもって1回の変動表示が終了する。このような変動表示の開始から終了までの流れをベースとして、ノーマル変動やリーチ演出等が行われる。
【0327】
例えば、特図保留球数や遊技状態に応じた特別図柄の変動時間短縮機能が作動していない場合(変動時間短縮機能非作動時)において、3つの演出図柄8L,8C,8Rが変動表示を開始した場合、当該変動開始から所定時間(例えば9秒)が経過したタイミングで左演出図柄8L(第1停止図柄)が停止(仮停止)し、これに続いて右演出図柄8R(第2停止図柄)が停止(仮停止)する。このとき、左右の演出図柄8L,8Rが同じ数字の図柄(リーチ態様)で停止(仮停止)すればリーチ成立となり、その後、リーチ演出に発展する。一方、リーチ成立とならなければ(つまり、ノーマル変動であれば)、右演出図柄8R(第2停止図柄)の停止(仮停止)に続いて中演出図柄8C(第3停止図柄)が停止(仮停止)する。本実施例では、ノーマル変動にて、演出図柄8の変動開始から第3停止図柄(本例では中演出図柄8C)が停止(仮停止)するまでにかかる時間は約11秒となっている。但し、特別図柄の変動時間短縮機能が作動している場合のノーマル変動では、変動表示の開始から左演出図柄8L(第1停止図柄)が停止(仮停止)するまでにかかる時間が通常(変動時間短縮機能非作動時)よりも短くなり、これに伴って、右演出図柄8R(第2停止図柄)および中演出図柄8C(第3停止図柄)が停止(仮停止)するまでにかかる時間も短くなる。
【0328】
なお、S4505で設定される変動演出パターンや、後述のS4506で設定される予告演出パターンによっては、例えば、演出図柄8の変動表示の開始後、3つの演出図柄8L,8C,8Rが同時期に一斉に停止(仮停止)したり、第1停止図柄が停止するまでの所定時間(例えば9秒)を越えても全図柄が変動し続けたりする等、演出図柄の停止表示の順序やタイミング等が前述した態様と異なる場合がある。
【0329】
次いでS4506では、予告演出の設定に係る処理(予告演出設定処理)を行う(S4506)。ここで、予告演出とは、現在実行中の変動表示に関する示唆や、記憶されている保留(後に実行される変動表示)に関する示唆を行う演出のことであり、例えば、現在実行中の変動表示の表示結果が大当り態様となる可能性を示唆したり、後に実行される変動表示の表示結果が大当り態様となる可能性を示唆したりする演出である。予告演出のことを「示唆演出」ともいう。本実施例では、S4395で記憶した演出保留情報(事前判定結果)に基づく予告演出(「保留先読み予告」ともいう。)や、現在(今回)の変動表示(「当該変動」ともいう。)に係る予告演出(「当該変動予告」ともいう。)など、種々の予告演出が実行可能となっていることから、S4506では、各予告演出について実行するか否か(実行有無)を判定したり、実行する予告演出の実行パターン(予告演出パターン)を設定したりする。
【0330】
具体的には、S4501で取得した予告演出決定用乱数と、副制御基板90のROMに記憶された予告演出決定テーブル(図示せず)とに基づいて、予告演出の実行有無や予告演出パターンを決定し、この決定結果に基づいて予告演出パターンを設定する。予告演出(示唆演出)は、例えば、大当り期待度を示唆する画像(「予告画像」又は「示唆画像」ともいう。)を表示画面7aに表示すること(「予告表示」又は「示唆表示」ともいう。)により行われる。また、表示演出(予告表示、示唆表示)の他、音演出や光演出、可動演出によっても予告演出を行うことが可能であり、これら各演出の組み合わせにより行うことも可能である。さらに、当該変動予告も特図保留の事前判定結果に基づいて行うことが可能である。
【0331】
なお、予告演出設定処理(S4506)は、演出図柄8の変動表示(変動演出)の開始を契機として変動表示中(変動演出中)を含めた所定時期に実行可能な予告演出に関する処理を行うものであり、ここでの予告演出には保留アイコン予告は含まれないものとなっている。すなわち、保留アイコン予告に関する処理は、予告演出設定処理(S4506)でなく保留アイコン予告処理(S4400)で行うものとしている。
【0332】
ここで、演出保留情報(先読み情報)に基づいて実行される予告演出のことを「先読み演出」ともいい、特
図1演出保留情報(第1先読み情報)に基づいて実行される予告演出のことを「第1先読み演出」ともいい、特
図2演出保留情報(第2先読み情報)に基づいて実行される予告演出のことを「第2先読み演出」ともいう。
【0333】
S4395で記憶される演出保留情報の記憶内容(演出保留情報記憶領域の記憶内容)や、S4502での変動開始コマンドの解析結果により特定される特別図柄当否判定の結果(今回の特図変動表示に係る当否判定の結果)、同じく変動開始コマンドの解析結果により特定される特別図柄の変動パターン情報(今回の特図変動表示に係る変動パターンや停止図柄)によって、S4506で設定する予告演出パターン、すなわち、実行する予告演出の種類(予告種)や態様、予告演出の有無等は、異なるものとなる。ある時期に予告演出を実行する場合、複数の予告演出のうち、一の予告演出(一種類の予告演出)を実行することもあれば、二以上の予告演出(複数種の予告演出)を同時期に実行することもある。
【0334】
次いでS4507では、S4505で設定した変動演出パターン及びS4506で設定した予告演出パターンに基づいて変動演出等を開始するための変動演出開始コマンドをサブ出力バッファにセットし(S4507)、変動演出開始処理を終える。S4507でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドに基づき特定される変動演出パターン、すなわちS4505で設定された変動演出パターンに対応する所定の変動演出用画像データ(演出図柄8の変動開始、変動中、変動停止等を構成する画像データ)と、変動演出開始コマンドに基づき特定される予告演出パターン、すなわちS4506で設定された予告演出パターンに対応する所定の予告演出用画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出や予告演出等を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。また、演出表示器102での2個のLEDによる変動表示(点滅表示)も実行する。さらに、当該変動演出の実行に合わせて、音声制御基板106及びランプ制御基板107を介して、音演出や光演出、可動演出等の各演出が実行される。
【0335】
[保留アイコン予告処理]
次に、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したこと(S4390でYES)に基づいて実行される保留アイコン予告処理(S4400)について説明する。
図47に示すように、保留アイコン予告処理(S4400)ではまず、保留アイコン予告フラグがOFFであるか否かを判定する(S4601)。保留アイコン予告フラグは、保留アイコン予告を実行中であるか否かを示すフラグであり、保留アイコン予告を実行する場合に後述のS4605でONされ、保留アイコン予告の実行契機となった特図保留に対応する変動表示(変動遊技)が終了するとOFFされる。
【0336】
なお、保留アイコン予告の実行契機となった特図保留に対応する変動表示(変動遊技)の開始(特図保留の消化)に伴って保留アイコン予告がOFFされるようにしてもよい。この場合、変動保留表示領域に演出保留が予告表示態様で表示された状態で、演出保留表示領域に新たに表示(追加表示)される演出保留が予告表示態様で表示可能となるため、現在実行中の変動遊技に加え、後続の特図保留(予告対象保留)に対応する変動遊技についても遊技者に期待感を抱かせることが可能となる。
【0337】
S4601で保留アイコン予告フラグがOFFでない(ONである)と判定した場合(S4601でNO)、現在、保留アイコン予告を実行中であるため、S4602以降の処理を行うことなく本処理を終える。このため、本実施例では保留アイコン予告の実行中、新たに記憶(追加記憶)された特図保留(後の特図保留)を対象とする保留アイコン予告が実行されることはない。すなわち、演出保留表示領域に予告表示態様の演出保留が2以上表示されることはない。なお、保留アイコン予告フラグを設けず、保留アイコン予告の実行中に後の特図保留を対象とする保留アイコン予告が実行可能となるようにしてもよい。すなわち、演出保留表示領域に予告表示態様の演出保留が2以上表示され得る構成としてもよい。
【0338】
一方、S4601で保留アイコン予告フラグがOFFであると判定した場合(S4601でYES)、保留アイコン予告を実行するか否かの判定(抽選)を行う(S4602)。本実施例では、遊技状態が低確低ベース状態である場合と高確低ベース状態である場合、すなわち、第1特別図柄の変動表示(「第1変動遊技」ともいう。)が主として実行される低ベース状態である場合、第1演出保留9aによる保留アイコン予告(「第1保留アイコン予告」ともいう。)が実行可能となるように構成されている。また、遊技状態が低確高ベース状態である場合と高確高ベース状態である場合、すなわち、第2特別図柄の変動表示(「第2変動遊技」ともいう。)が主として実行される高ベース状態である場合、第2演出保留9bによる保留アイコン予告(「第2保留アイコン予告」ともいう。)が実行可能となるように構成されている。このことに対応して、S4602では、現在の遊技状態が低ベース状態である場合には第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行い、高ベース状態である場合には第2保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行う。
【0339】
保留アイコン予告を実行するか否かの判定(保留アイコン予告実行判定)は、例えば、
図51(A),(B)に示す保留アイコン予告実行判定テーブルに基づいて行うことができる。具体的には、例えば、演出決定用乱数として保留アイコン予告実行判定用乱数(例えば「0~99」)を設け、当該乱数から1つの値をランダムに取得してその取得した値(保留アイコン予告実行判定用乱数値)を保留アイコン予告実行判定テーブルに基づいて判定することにより行うことができる。保留アイコン予告実行判定用乱数値は、例えば、始動入球コマンドを受信したタイミング(S4390)や、保留アイコン予告の実行判定を行うタイミング(S4601)で取得可能である。
【0340】
図51(A)に示す保留アイコン予告実行判定テーブルは、第1特図保留(第1演出保留9a)を対象とした第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定に用いる第1保留アイコン予告実行判定テーブルの一例である。第1保留アイコン予告実行判定テーブルは、第1特別図柄の変動表示(第1始動口20への遊技球の入球)が主となる低ベース状態で使用可能なテーブルである。
【0341】
図51(B)に示す保留アイコン予告実行判定テーブルは、第2特図保留(第2演出保留9b)を対象とした第2保留アイコン予告を実行するか否かの判定に用いる第2保留アイコン予告実行判定テーブルの一例である。第2保留アイコン予告実行判定テーブルは、第2特別図柄の変動表示(第2始動口21への遊技球の入球)が主となる高ベース状態で使用可能なテーブルである。
【0342】
図51(A),(B)に示すように、本実施例の保留アイコン予告実行判定テーブルは、前述のS4395で新たに記憶した演出保留情報(新たに取得された特図保留に対応する演出保留情報)に基づいて特定可能な事前判定結果を「リーチなし外れ」、「ノーマルリーチ外れ」、「SPリーチ外れ」及び「大当り」に区別して、それぞれの事前判定結果について、保留アイコン予告実行判定用乱数値を保留アイコン予告の実行有無に割り当てて、保留アイコン予告を実行するか否かを決定することが可能なデータ構造となっている。
【0343】
ここで、事前判定結果のうち、リーチなし外れは、特別図柄当否判定に係る事前判定の結果が外れで、変動パターンがP7、P11、P18及びP22の何れか(変動時間が12000ms以下の変動パターン)になる場合である(
図9を参照)。また、ノーマルリーチ外れは、特別図柄当否判定に係る事前判定の結果が外れで、変動パターンがP6、P10、P17及びP21の何れか(変動時間が30000msの変動パターン)になる場合である(
図9を参照)。また、SPリーチ外れは、特別図柄当否判定に係る事前判定の結果が外れで、変動パターンがP4、P5、P8、P9、P15、P16、P19及びP20の何れか(変動時間が45000ms以上の変動パターン)になる場合である(
図9を参照)。また、大当りは、特別図柄当否判定に係る事前判定の結果が大当りで、変動パターンがP1、P2、P3、P12、P13、及びP14の何れか(変動時間が30000ms以上の変動パターン)になる場合である(
図9を参照)。
【0344】
本実施例では、第1保留アイコン予告実行判定テーブル及び第2保留アイコン予告実行判定テーブルの何れについても、サブ制御部が始動入球コマンドを受信したときの特図保留球数、すなわち、始動入球により1加算された最新(現在)の特図保留球数に応じて、使用するテーブルデータ(判定条件)を異ならせるように構成されている。そして、判定条件を異ならせる特図保留球数が、第1保留アイコン予告実行判定テーブルと第2保留アイコン予告実行判定テーブルとで異なるものとなっている。具体的に、第1保留アイコン予告実行判定テーブルでは、特
図1保留球数が「1又は2」の場合と「3又は4」の場合とで判定条件を異ならせており、第2保留アイコン予告実行判定テーブルでは、特
図2保留球数が「1」の場合と「2~4」の場合とで判定条件を異ならせている。
【0345】
このため、例えば、低ベース状態にて特
図1始動入球コマンドをサブ制御部が受信したときの特
図1保留球数が「1」又は「2」である場合、第1保留アイコン予告実行判定テーブルの特
図1保留球数「1,2」に対応するテーブルデータに基づいて第1保留アイコン予告の実行判定が行われ(第2の実行態様)、そのときの特
図1保留球数が「3」又は「4」である場合、第1保留アイコン予告実行判定テーブルの特
図1保留球数「3,4」に対応するテーブルデータに基づいて第1保留アイコン予告の実行判定が行われる(第1の実行態様)。
【0346】
また例えば、高ベース状態にて特
図2始動入球コマンドをサブ制御部が受信したときの特
図2保留球数が「1」である場合、第2保留アイコン予告実行判定テーブルの特
図2保留球数「1」に対応するテーブルデータに基づいて第2保留アイコン予告の実行判定が行われ(第2の実行態様)、そのときの特
図2保留球数が「2~4」である場合、第2保留アイコン予告実行判定テーブルの特
図2保留球数「2~4」に対応するテーブルデータに基づいて第2保留アイコン予告の実行判定が行われる(第1の実行態様)。
【0347】
また本実施例では、第1保留アイコン予告実行判定テーブル及び第2保留アイコン予告実行判定テーブルの何れについても、事前判定結果が「リーチなし外れ」、「ノーマルリーチ外れ」、「SPリーチ外れ」、「大当り」の順で、保留アイコン予告の出現率(実行可能性)が高くなるように構成されている。つまり、保留アイコン予告が実行される場合の方が、実行されない場合に比べ、ノーマルリーチやSPリーチの実行可能性が高くなり、また、大当りの可能性が高くなるように構成されている。
【0348】
また本実施例では、第1保留アイコン予告実行判定テーブルの方が、第2保留アイコン予告実行判定テーブルに比べ、保留アイコン予告の実行可能性が高くなるように構成されている。つまり、低ベース状態の方が高ベース状態よりも保留アイコン予告の実行可能性が高くなるように構成されている。
【0349】
また本実施例では、第1保留アイコン予告実行判定テーブルにおいて、特
図1保留球数が「1又は2」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」である場合を除いて第1保留アイコン予告が実行され得るように構成されている。つまり、低ベース状態では、特
図1保留球数が「1又は2」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」である場合、第1保留アイコン予告が実行されないようになっている。
【0350】
また本実施例では、第2保留アイコン予告実行判定テーブルにおいて、特
図2保留球数が「1」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」である場合を除いて第2保留アイコン予告が実行され得るように構成されている。つまり、高ベース状態では、特
図2保留球数が「1」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」である場合、第2保留アイコン予告が実行されないようになっている。
【0351】
このような保留アイコン予告実行判定テーブルを用いることで、高ベース状態に比べ始動入球の発生頻度が低く特図保留球数が増えにくい(特図保留が貯まりにくい)低ベース状態の方が、高ベース状態よりも保留アイコン予告が実行されやすくなるため、低ベース状態中の興趣を高めることが可能となる。
【0352】
また低ベース状態では、第1始動口20に遊技球を入球させて遊技を進行させるところ、第1始動口20は非可変式(固定式)であるため、特
図1保留球数が上限(本実施例では「4」)に達し難く、低ベース状態の遊技進行過程において特
図1保留球数が「1」や「2」にとどまる頻度は高くなる。この点、低ベース状態では、特
図1保留球数が「1」又は「2」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」である場合には第1保留アイコン予告が実行されないので、特
図1保留球数「1」又は「2」のときに第1保留アイコン予告が出現した場合にはリーチ以上が確定することとなる。これにより、低ベース状態では遊技者にとって無駄(無益)な保留アイコン予告の出現可能性が低くなり、無駄(無益)な保留アイコン予告が出現し過ぎることによる興趣の低下を抑制することが可能となる。
【0353】
また高ベース状態では、第2始動口21に遊技球を入球させて遊技を進行させるところ、第2始動口21は可変式であり高ベース状態中は開放延長機能が作動するため、特
図2保留球数が上限(本実施例では「4」)に達しやすく、高ベース状態の遊技進行過程において特
図2保留球数が「1」に止まる頻度は低くなる。この点、高ベース状態では、特
図2保留球数が「1」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」である場合には第2保留アイコン予告が実行されないので、高ベース状態の遊技進行過程において発生頻度の低い状況下(特
図2保留球数「1」)での無駄(無益)な保留アイコン予告は排除され、特
図2保留球数「1」のときに第2保留アイコン予告が出現した場合にはリーチ以上が確定することとなる。これにより、高ベース状態において特
図2保留球数が「1」にとどまる状況が発生になったとしても、興趣の低下を抑制することが可能となる。
【0354】
図47に戻り、保留アイコン予告実行判定(S4602)の結果、保留アイコン予告をしない場合(S4603でNO)、S4604以降の処理を行うことなく本処理を終え、保留アイコン予告を実行する場合(S4603でYES)、保留アイコン予告の実行パターン(「保留アイコン予告パターン」ともいう。)を設定する(S4604)。
【0355】
S4604では、保留アイコン予告実行判定(S4602)で第1保留アイコン予告を実行することが決定された場合には、第1保留アイコン予告の実行パターン(「第1保留アイコン予告パターン」ともいう。)を設定し、第2保留アイコン予告を実行することが決定された場合には、第2保留アイコン予告の実行パターン(「第2保留アイコン予告パターン」ともいう。)を設定する。なお、第1保留アイコン予告パターン及び第2保留アイコン予告パターンのことを総じて「保留アイコン予告パターン」ともいう。
【0356】
S4604で設定する保留アイコン予告パターンは、例えば、
図52及び
図53に示す保留アイコン予告パターン決定テーブルに基づいて決定(選択)することができる。具体的には、例えば、演出決定用乱数として保留アイコン予告パターン決定用乱数(例えば「0~99」)を設け、当該乱数から1つの値をランダムに取得してその取得した値(保留アイコン予告パターン決定用乱数値)を保留アイコン予告パターン決定テーブルに基づいて判定することにより、予め定められた複数の保留アイコン予告パターンの中から実行するパターンを決定(選択)する。保留アイコン予告パターン決定用乱数値は、例えば、始動入球コマンドを受信したタイミング(S4390)や、保留アイコン予告パターンを決定するタイミング(S4604)で取得可能である。
【0357】
図52に示す保留アイコン予告パターン決定テーブルは、第1保留アイコン予告パターンを決定(選択)するのに用いる第1保留アイコン予告パターン決定テーブルの一例である。第1保留アイコン予告パターン決定テーブルは、第1特別図柄の変動表示(第1始動口20への遊技球の入球)が主となる低ベース状態で使用可能なテーブルである。
【0358】
図53に示す保留アイコン予告パターン決定テーブルは、第2保留アイコン予告パターンを決定(選択)するのに用いる第2保留アイコン予告パターン決定テーブルの一例である。第2保留アイコン予告パターン決定テーブルは、第2特別図柄の変動表示(第2始動口21への遊技球の入球)が主となる高ベース状態で使用可能なテーブルである。
【0359】
ここで、本実施例の保留アイコン予告パターン及び保留アイコン予告について説明する。本実施例では、演出保留表示領域9c、9d及び変動保留表示領域9eに表示可能な保留アイコン(第1演出保留9a、第2演出保留9b)として、表示態様が異なる複数種の保留アイコン(演出保留)が設けられている。具体的には、
図54(A)に示すように、保留アイコン予告が実行されていないときの表示態様(「通常表示態様」ともいう。)からなる通常保留アイコンと、保留アイコン予告が実行されるときの表示態様(「予告表示態様」ともいう。)からなる特別保留アイコンと、が設けられている。通常保留アイコン及び特別保留アイコンは、それぞれ1種類又は2種類以上(複数種)設けることができる。通常保留アイコンのことを「通常保留表示」又は「通常記憶表示」ともいい、特別保留アイコンのことを「特別保留表示」又は「特別記憶表示」ともいう。
【0360】
通常保留アイコン(保留アイコンの通常表示態様)は、例えば、所定の色や形状等で構成される保留図柄(演出保留画像)とすることができ、保留数を表す文字、数字、記号等を含むものとしてもよい。また、特別保留アイコン(保留アイコンの予告表示態様)は、例えば、通常保留アイコン(通常表示態様)と比較して色、大きさ、形状(デザイン)等を異ならせたり、通常保留アイコン(通常表示態様)に対してキャラクタやアイテム、文字、記号等の特別な表示を付加したりする等して構成される保留図柄(演出保留画像)とすることができる。すなわち、特別保留アイコンは、通常保留アイコンよりも視覚的に目立つ態様とされる。
【0361】
本実施例では、
図54(A)に示すように、通常保留アイコン(通常表示態様)を、白色の丸形状の保留図柄としている。また、特別保留アイコン(予告表示態様)を、青色、緑色、赤色又は金色のハート形状の保留図柄としており、その特別保留アイコンの表示色(青色、緑色、赤色又は金色)により大当り期待度(特定表示結果が導出される期待度)を示唆するものとしている。本実施例では、通常保留アイコン及び特別保留アイコンを含め、大当り期待度が最も高い表示色を金色としており、以下、赤色、緑色、青色、白色の順に大当り期待度が低くなるものとしている。すなわち、大当り期待度の関係は「白色<青色<緑色<赤色<金色」となっている。なお、
図54(A)では、説明の便宜上、色を文字で示しているが、実際には文字は表示されない。
【0362】
S4604では、
図54(A)に示す4種類の予告表示態様のうち何れかの表示態様を、保留アイコン予告パターンとして設定する。すなわち、保留アイコン予告パターン(演出保留の予告表示態様)として、保留アイコンを青色ハート形状(単に「青ハート」ともいう。)で表示する「パターンY1」、保留アイコンを緑色ハート形状(単に「緑ハート」ともいう。)で表示する「パターンY2」、保留アイコンを赤色ハート形状(単に「赤ハート」ともいう。)で表示する「パターンY3」、及び、保留アイコンを金色ハート形状(単に「金ハート」ともいう。)で表示する「パターンY4」の計4種類が設けられており、この中から一のパターンが選択されて設定される。
【0363】
本実施例では、第1保留アイコン予告パターンと第2保留アイコン予告パターンとで同様の保留アイコン予告パターンを用いることとしており、その保留アイコン予告パターンとして、上記パターンY1~Y4の4種類が設けられている。なお、第1保留アイコン予告パターンと第2保留アイコン予告パターンとで保留アイコン予告パターンの種類や数等を異ならせてもよい。また、保留アイコン予告パターンの種類(数)は4種類より多くしてもよく、少なくしてもよい。
【0364】
本実施例では、第1演出保留9a(「第1保留アイコン」ともいう。)の通常表示態様及び予告表示態様と、第2演出保留9b(「第2保留アイコン」ともいう。)の通常表示態様及び予告表示態様とを、同様にしている。すなわち、第1特図保留に対応する通常保留アイコン(通常表示態様)及び特別保留アイコン(予告表示態様)と、第2特図保留に対応する通常保留アイコン(通常表示態様)及び特別保留アイコン(予告表示態様)とを、同様にしている。なお、第1演出保留9aと第2演出保留9bとで表示態様(通常表示態様及び/又は予告表示態様)を異ならせてもよい。
【0365】
図52及び
図53に示すように、本実施例の保留アイコン予告パターン決定テーブルは、前述の保留アイコン予告実行判定テーブル(
図51(A),(B)を参照)と同様に、「リーチなし外れ」、「ノーマルリーチ外れ」、「SPリーチ外れ」及び「大当り」の各事前判定結果について、保留アイコン予告パターン決定用乱数値を保留アイコン予告パターンY1~Y4に割り当てて、パターンY1~Y4の何れかを決定(選択)することが可能なデータ構造となっている。また、前述の保留アイコン予告実行判定テーブルと同様に、始動入球コマンドを受信したときの特図保留球数(始動入球に基づく1加算後の特図保留球数)に応じて、使用するテーブルデータを異ならせるように構成されている。
【0366】
なお、第1保留アイコン予告実行判定テーブルに基づく保留アイコン予告実行判定(S4602)では、特
図1保留球数が「1」又は「2」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」の場合、第1保留アイコン予告は実行されないことから(
図51(A)を参照)、
図52に示す第1保留アイコン予告パターン決定テーブルの特
図1保留球数「1,2」に対応する事前判定結果には「リーチなし外れ」が含まれないものとなっている。
【0367】
同様に、第2保留アイコン予告実行判定テーブルに基づく保留アイコン予告実行判定(S4602)では、特
図1保留球数が「1」であって事前判定結果が「リーチなし外れ」の場合、第2保留アイコン予告は実行されないことから(
図51(B)を参照)、
図53に示す第2保留アイコン予告パターン決定テーブルの特
図2保留球数「1」に対応する事前判定結果には「リーチなし外れ」が含まれないものとなっている。
【0368】
また、
図52及び
図53に示す保留アイコン予告パターン決定テーブルの保留アイコン予告パターン決定用乱数値の列(割り当て乱数値、乱数範囲)のうち、「-」は保留アイコン予告パターン決定用乱数値が割り当てられていないこと、すなわち、「-」に対応する保留アイコン予告パターン(保留アイコン予告パターン決定用乱数値の右側に示される保留アイコン予告パターン)は選択されない(選択対象でない)ことを意味する。
【0369】
第1保留アイコン予告パターン決定テーブル(第1特図保留を対象にした保留アイコン予告)では、特
図1保留球数が「1」又は「2」の場合と「3」又は「4」の場合とで、選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせている。具体的には、
図52に示すように、特
図1保留球数が「1」又は「2」の場合には、パターンY2~Y4(緑ハート、赤ハート、金ハート)を選択可能な第1保留アイコン予告パターンとしており、特
図1保留球数が「3」又は「4」の場合には、パターンY1~Y3(青ハート、緑ハート、赤ハート)を選択可能な第1保留アイコン予告パターンとしている。すなわち、特
図1保留球数が「1」又は「2」の場合には、パターンY1(青ハート)が選択不能(選択対象外)となり、特
図1保留球数が「3」又は「4」の場合には、パターンY4(金ハート)が選択不能(選択対象外)となるように構成されている。
【0370】
このため、低ベース状態において、特
図1保留球数が3(所定数)以上となる第1特図保留(取得情報)を対象として第1保留アイコン予告が実行される場合、第1保留アイコン予告はパターンY1~Y3の何れかに基づいて実行されるようになり、特
図1保留球数が3(所定数)未満となる第1特図保留(取得情報)を対象として第1保留アイコン予告が実行される場合、第1保留アイコン予告はパターンY2~Y4の何れかに基づいて実行されるようになる。
【0371】
つまり、第1保留アイコン予告パターンとしてのパターンY1~Y4のうち、パターンY2(緑ハート)及びY3(赤ハート)は、特
図1保留球数が3以上となる第1特図保留(取得情報)を対象とする第1保留アイコン予告と、特
図1保留球数が3未満となる第1特図保留(取得情報)を対象とする第1保留アイコン予告とで選択可能(実行可能)なパターン(共用パターン)である。また、第1保留アイコン予告パターンとしてのパターンY1(青ハート)は、特
図1保留球数が3以上となる第1特図保留(取得情報)を対象とする第1保留アイコン予告のみで選択可能(実行可能)なパターン(専用パターン)である。また、第1保留アイコン予告パターンとしてのパターンY4(金ハート)は、特
図1保留球数が3未満となる第1特図保留(取得情報)を対象とする第1保留アイコン予告のみで選択可能(実行可能)なパターン(専用パターン)である。
【0372】
第2保留アイコン予告パターン決定テーブル(第2特図保留を対象にした保留アイコン予告)では、特
図2保留球数が「1」の場合と「2~4」の場合とで、選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせている。具体的には、
図53に示すように、特
図2保留球数が「1」の場合には、パターンY2~Y4(緑ハート、赤ハート、金ハート)を選択可能な第2保留アイコン予告パターンとしており、特
図2保留球数が「2~4」の場合には、パターンY1~Y3(青ハート、緑ハート、赤ハート)を選択可能な第2保留アイコン予告パターンとしている。すなわち、特
図2保留球数が「1」の場合には、パターンY1(青ハート)が選択不能(選択対象外)となり、特
図2保留球数が「2~4」の場合には、パターンY4(金ハート)が選択不能(選択対象外)となるように構成されている。
【0373】
このため、高ベース状態において、特
図2保留球数が2(所定数)以上となる第2特図保留(取得情報)を対象として第2保留アイコン予告が実行される場合、第2保留アイコン予告はパターンY1~Y3の何れかに基づいて実行されるようになり、特
図2保留球数が2(所定数)未満となる第2特図保留(取得情報)を対象として第2保留アイコン予告が実行される場合、第2保留アイコン予告はパターンY2~Y4の何れかに基づいて実行されるようになる。
【0374】
つまり、第2保留アイコン予告パターンとしてのパターンY1~Y4のうち、パターンY2(緑ハート)及びY3(赤ハート)は、特
図2保留球数が2以上となる第2特図保留(取得情報)を対象とする第2保留アイコン予告と、特
図2保留球数が2未満となる第2特図保留(取得情報)を対象とする第2保留アイコン予告とで選択可能(実行可能)なパターン(共用パターン)である。また、第2保留アイコン予告パターンとしてのパターンY1(青ハート)は、特
図2保留球数が2以上となる第2特図保留(取得情報)を対象とする第2保留アイコン予告のみで選択可能(実行可能)なパターン(専用パターン)である。また、第2保留アイコン予告パターンとしてのパターンY4(金ハート)は、特
図2保留球数が2未満となる第2特図保留(取得情報)を対象とする第2保留アイコン予告のみで選択可能(実行可能)なパターン(専用パターン)である。
【0375】
S4604では、以上に説明した保留アイコン予告パターン決定テーブルに基づいて保留アイコン予告パターンを決定(選択)し、これを設定する。例えば、低ベース状態にて遊技球が第1始動口20に入球して第1保留アイコン予告を実行することが決定されたときの特
図1保留球数が「2」である場合、
図52に示す第1保留アイコン予告パターン決定テーブルの特
図1保留球数「1,2」に対応するテーブルデータに基づいて第1保留アイコン予告パターンを決定し、これを設定する。また、高ベース状態にて遊技球が第2始動口21に入球して第2保留アイコン予告を実行することが決定されたときの特
図2保留球数が「3」である場合、
図53に示す第2保留アイコン予告パターン決定テーブルの特
図2保留球数「2~4」に対応するテーブルデータに基づいて第2保留アイコン予告パターンを決定(選択)し、これを設定する。
【0376】
演出制御用マイコン91は、保留アイコン予告パターンの設定(S4604)に次いで、保留アイコン予告フラグをONにする(S4605)。そして、S4604で設定した保留アイコン予告パターンに基づく保留アイコン予告の実行を指示する保留アイコン予告コマンドをサブ出力バッファにセットし(S4606)、本処理を終える。
【0377】
S4606でセットした保留アイコン予告コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信した保留アイコン予告コマンドに基づき特定される保留アイコン予告パターン、すなわちS4604で設定された保留アイコン予告パターンに対応する保留アイコン予告用の画像データ(演出保留画像データ等)を画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる保留アイコン予告を画像表示装置7の表示画面7a上(演出保留表示領域、変動保留表示領域)で実行する。
【0378】
[保留アイコン予告]
次に、先読み演出として保留アイコン予告が実行される場合の具体例について、
図54(B),(C)等を参照しながら説明する。なお、ここでは低ベース状態において実行される第1保留アイコン予告を例に説明する。
【0379】
例えば、低ベース状態にて遊技球が第1始動口20に入球して第1保留アイコン予告を実行することが決定されたときの特
図1保留球数が「1」である場合、
図52に示した第1保留アイコン予告パターン決定テーブルの特
図1保留球数「1,2」に対応するテーブルデータに基づいて、第1保留アイコン予告パターンとしてパターンY2~Y4の何れかが決定される。この決定された第1保留アイコン予告パターンによる予告表示態様で、第1演出保留9a(第1保留アイコン)が第1演出保留表示領域9cの特
図1保留球数「1」に対応する位置に表示される(
図54(B)を参照)。こうして表示された第1演出保留9aは、その後、当該第1演出保留9aに対応する第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示が開始(予告対象保留が消化)されると、これに伴って変動保留表示領域9eに移動表示される(
図54(B)を参照)。
図54(B)は、特
図1保留球数「1」に対応する第1特図保留を対象としてパターンY4(金ハート)に基づいて実行される第1保留アイコン予告の流れ(表示例)を示している。
【0380】
ここで、低ベース状態で特
図1保留球数が「1」又は「2」となって第1保留アイコン予告が実行されるとき、当該実行契機となる第1特図保留(「予告対象保留」又は「先読み対象保留」ともいう。)の事前判定結果がノーマルリーチ外れである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY2に決定され、予告対象保留の事前判定結果がSPリーチ外れである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY2又はパターンY3に決定され、予告対象保留の事前判定結果が大当りである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY2、パターンY3又はパターンY4に決定される(
図52の特
図1保留球数「1,2」に対応するテーブルを参照)。そして、予告対象保留の事前判定結果がノーマルリーチ外れである場合のパターンY2の選択率(出現率)は100%となっており、予告対象保留の事前判定結果がSPリーチ外れである場合のパターンY2とパターンY3の選択率(出現率)はそれぞれ70%、30%となっており、予告対象保留の事前判定結果が大当りである場合のパターンY2とパターンY3とパターンY4の選択率(出現率)はそれぞれ40%、58%、2%となっている(
図52の特
図1保留球数「1,2」に対応するテーブルを参照)。また、パターンY4は、特
図1保留球数が「1」又は「2」かつ予告対象保留の事前判定結果が大当りの場合にのみ選択可能となっている(
図52を参照)。
【0381】
このため、低ベース状態では、特
図1保留球数が「1」又は「2」のときに第1保留アイコン予告が実行される場合、第1演出保留9aがパターンY1(青ハート)で表示されることはなく、パターンY2(緑ハート)で表示されれば予告対象保留はノーマルリーチ以上であることが確定し、パターンY3(赤ハート)で表示されれば予告対象保留はSPリーチ以上であることが確定する。また、パターンY4(金ハート)で表示されれば予告対象保留は大当りであることが確定する。リーチ(ノーマルリーチ又はSPリーチ)となる保留のことを「リーチ保留」又は「特別保留」ともいい、大当りとなる保留のことを「大当り保留」又は「特定保留」ともいう。
【0382】
つまり、低ベース状態において特
図1保留球数が「1」又は「2」のときに第1保留アイコン予告が実行される場合、第1演出保留9aがパターンY2(緑ハート)で表示されるよりもパターンY3(赤ハート)で表示される方が大当り期待度は高くなり、パターンY3(赤ハート)で表示されるよりもパターンY4(金ハート)で表示される方が大当り期待度は更に高くなる。
【0383】
また例えば、低ベース状態にて遊技球が第1始動口20に入球して第1保留アイコン予告を実行することが決定されたときの特
図1保留球数が「3」である場合、
図52に示した第1保留アイコン予告パターン決定テーブルの特
図1保留球数「3,4」に対応するテーブルデータに基づいて、第1保留アイコン予告パターンとしてパターンY1~Y3の何れかが決定される。この決定された第1保留アイコン予告パターンによる予告表示態様で、第1演出保留9a(第1保留アイコン)が第1演出保留表示領域9cの特
図1保留球数3に対応する位置に表示される(
図54(C)を参照)。こうして表示された第1演出保留9aは、その後、当該第1演出保留9aに対応する第1特図保留(予告対象保留)より前に記憶された2つの第1特図保留の消化を経て予告対象保留が消化されると、これに伴って変動保留表示領域9eに移動表示される(
図54(C)を参照)。
図54(C)は、特
図1保留球数「3」に対応する第1特図保留を対象としてパターンY1(青ハート)に基づいて実行される第1保留アイコン予告の流れ(表示例)を示している。
【0384】
ここで、低ベース状態で特
図1保留球数が「3」又は「4」となって第1保留アイコン予告が実行されるとき、当該実行契機となる第1特図保留(予告対象保留)の事前判定結果がリーチなし外れである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY1に決定され、予告対象保留の事前判定結果がノーマルリーチ外れである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY1又はパターンY2に決定され、予告対象保留の事前判定結果がSPリーチ外れである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY1、パターンY2又はパターンY3に決定され、予告対象保留の事前判定結果が大当りである場合、第1保留アイコン予告パターンはパターンY1、パターンY2又はパターンY3に決定される(
図52の特
図1保留球数「3,4」に対応するテーブルを参照)。そして、予告対象保留の事前判定結果がリーチなし外れである場合のパターンY1の選択率(出現率)は100%となっており、予告対象保留の事前判定結果がノーマルリーチ外れである場合のパターンY1とパターンY2の選択率(出現率)はそれぞれ90%、10%となっており、予告対象保留の事前判定結果がSPリーチ外れである場合のパターンY1とパターンY2とパターンY3の選択率(出現率)はそれぞれ2%、68%、30%となっており、予告対象保留の事前判定結果が大当りである場合のパターンY1とパターンY2とパターンY3の選択率(出現率)はそれぞれ2%、38%、60%となっている(
図52の特
図1保留球数「3,4」に対応するテーブルを参照)。
【0385】
このため、低ベース状態では、特
図1保留球数が「3」又は「4」のときに第1保留アイコン予告が実行される場合、第1演出保留9aがパターンY4(金ハート)で表示されることはなく、パターンY1(青ハート)で表示されれば予告対象保留はリーチなし外れで終わる可能性もあり、パターンY2(緑ハート)で表示されれば予告対象保留はノーマルリーチ以上であることが確定し、パターンY3(赤ハート)で表示されれば予告対象保留はSPリーチ以上であることが確定する。
【0386】
つまり、低ベース状態において特
図1保留球数が「3」又は「4」のときに第1保留アイコン予告が実行される場合、第1演出保留9aがパターンY1(青ハート)で表示されるよりもパターンY2(緑ハート)で表示される方が大当り期待度は高くなり、パターンY2(緑ハート)で表示されるよりもパターンY3(赤ハート)で表示される方が大当り期待度は更に高くなる。
【0387】
なお、高ベース状態において実行される第2保留アイコン予告も、上述した低ベース状態における第1保留アイコン予告と同じ要領で、
図53に示した第2保留アイコン予告パターン決定テーブルを用いて決定される保留アイコン予告パターンに基づいて実行される。従って、第2保留アイコン予告の具体例については説明を省略する。
【0388】
[実施例1の作用効果]
以上に説明した本実施例のパチンコ遊技機1では、低ベース状態において特
図1保留球数が「1」又は「2」であるときに第1保留アイコン予告が実行される場合や、高ベース状態において特
図2保留球数が「1」であるときに第2保留アイコン予告が実行される場合には、保留アイコン予告がパターンY1(青ハート)で実行されることはなく、リーチ以上(ノーマルリーチ、SPリーチ又は大当り)の確定を示唆するパターンY2(緑ハート)、パターンY3(赤ハート)又はパターンY4(金ハート)で実行される(
図52、
図53を参照)。このため、特図保留球数が十分に確保できていない状況下でも、大当り確定を示唆するパターンY4を含めた比較的大当り期待度の高い保留アイコン予告(パターンY2~Y4)により興趣を持続させることが可能となる。
【0389】
一方、低ベース状態において特
図1保留球数が「3」又は「4」であるときに第1保留アイコン予告が実行される場合や、高ベース状態において特
図2保留球数が「2~4」であるときに第2保留アイコン予告が実行される場合には、保留アイコン予告がパターンY4(金ハート)で実行されることはなく、パターンY1(青ハート)、パターンY2(緑ハート)又はパターンY3(赤ハート)で実行される(
図52、
図53を参照)。このため、特図保留球数が十分に確保できている状況下では、パターンY4を除いた保留アイコン予告(パターンY1~Y3)により遊技者の大当りに対する期待感を煽りつつ遊技機の稼働を向上させることが可能となる。
【0390】
つまり、本実施例のパチンコ遊技機1によれば、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数以上(低ベース状態では「3」以上、高ベース状態では「2」以上)となる特図保留を対象として実行される保留アイコン予告は、パターンY1~Y3の何れか(第1の態様)で実行可能となる。一方、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数未満(低ベース状態では「3」未満、高ベース状態では「2」未満)となる特図保留を対象として実行される保留アイコン予告は、パターンY2~Y4の何れか(第2の態様)で実行可能となる。このため、保留アイコン予告が実行されるときの演出保留の表示数(特図保留球数)によって、保留アイコン予告の態様を異ならせる(変化させる)ことが可能となる。これにより、保留アイコン予告の演出効果を高めて興趣を向上させることが可能となる。
【0391】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、第1保留アイコン予告パターンとしてのパターンY1~Y4のうち、パターンY2(緑ハート)及びパターンY3(赤ハート)は、特
図1保留球数が3以上となる第1特図保留を対象とする第1保留アイコン予告と、特
図1保留球数が3未満となる第1特図保留を対象とする第1保留アイコン予告とで選択可能(実行可能)な共用パターンとなっている。また、第2保留アイコン予告パターンとしてのパターンY1~Y4のうち、パターンY2(緑ハート)及びパターンY3(赤ハート)は、特
図2保留球数が2以上となる第2特図保留を対象とする第2保留アイコン予告と、特
図2保留球数が2未満となる第2特図保留を対象とする第2保留アイコン予告とで選択可能(実行可能)な共用パターンとなっている。このように共用パターンを設けることで、保留アイコン予告が実行されるときの演出保留の表示数(特図保留球数)によって保留アイコン予告の態様を異ならせる場合の演出態様の共用化が可能となる。これにより、保留アイコン予告に係るデータ量の増加を抑えつつ保留アイコン予告のバリエーションを増やすことが可能となる。
【0392】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、低ベース状態(低確低ベース状態又は高確低ベース状態)において、特
図1保留球数が3(所定数)以上となる第1特図保留を対象として第1保留アイコン予告が実行される場合、第1保留アイコン予告はパターンY1~Y3の何れかに基づいて実行されるようになっており(第1の態様)、特
図1保留球数が3(所定数)未満となる第1特図保留を対象として第1保留アイコン予告が実行される場合、第1保留アイコン予告はパターンY2~Y4の何れかに基づいて実行されるようになっている(第2の態様)。
【0393】
一方、高ベース状態(低確高ベース状態又は高確高ベース状態)において、特
図2保留球数が2(所定数)以上となる第2特図保留を対象として第2保留アイコン予告が実行される場合、第2保留アイコン予告はパターンY1~Y3の何れかに基づいて実行されるようになっており(第1の態様)、特
図2保留球数が2(所定数)未満となる第2特図保留を対象として第2保留アイコン予告が実行される場合、第2保留アイコン予告はパターンY2~Y4の何れかに基づいて実行されるようになっている(第2の態様)。
【0394】
つまり、本実施例のパチンコ遊技機1によれば、保留アイコン予告の態様を異ならせる(変化させる)基準となる特図保留球数(演出保留の表示数)が、遊技状態(遊技モード)に応じて可変とされる。これにより、変化に富んだ保留アイコン予告が可能となる。
【0395】
なお、保留アイコン予告の態様を異ならせる(変化させる)基準となる特図保留球数(演出保留の表示数)は、本実施例のように可変とするのではなく、遊技状態(遊技モード)間で同じ(固定)としてもよい。具体的に、実施例1では、第1保留アイコン予告パターン決定テーブル(低ベース状態)において特
図1保留球数が「1」又は「2」の場合と「3」又は「4」の場合とで選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせ、第2保留アイコン予告パターン決定テーブル(高ベース状態)において特
図2保留球数が「1」の場合と「2~4」の場合とで選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせるものとしていた(
図52、
図53を参照)。これに対し、例えば、第2保留アイコン予告パターン決定テーブルにおいても特
図2保留球数が「1」又は「2」の場合と「3」又は「4」の場合とで選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせるようにしてもよい。つまり、第1保留アイコン予告パターン決定テーブルと第2保留アイコン予告パターン決定テーブルとで、選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせる基準となる特図保留球数を同じとしてもよい。
【0396】
この場合、保留アイコン予告の態様を異ならせる(変化させる)基準となる特図保留球数(演出保留の表示数)が、遊技状態(遊技モード)にかかわらず固定とされる。これにより、遊技状態にかかわらず保留アイコン予告が同じように出現するようになるので、保留アイコン予告を安定的に実行することが可能となり、遊技者にとって分かり易い予告(先読み演出)が可能となる。また、保留アイコン予告パターン決定テーブルのデータ構造を遊技状態(遊技モード)間で同様にすることができるので、プログラム設計の容易化を図ることが可能となる。
【0397】
また実施例1では、始動入球に基づいて特図保留球数が1加算された際(新たな特図保留が記憶された際)に保留アイコン予告が実行され得るものなっており、その保留アイコン予告が実行されるときの特図保留球数(1加算後の保留球数)に応じて選択可能な保留アイコン予告パターンの種類を異ならせるものとしていた(
図52、
図53を参照)。これに代えて又は加えて、保留アイコン予告の実行契機となる予告対象保留の対応する特図保留球数に応じて、保留アイコン予告で表示する演出保留(保留アイコン)や演出保留表示領域の表示態様を異ならせるようにしてもよい(変形例1)。
【0398】
具体的には、第1特図保留を対象とする第1保留アイコン予告を例にして変形例1を説明すると、第1始動口20への遊技球の入球により特
図1保留球数が「3」又は「4」となり、その特
図1保留球数に対応する第1特図保留を対象(予告対象保留)として第1保留アイコン予告を実行する場合、当該第1保留アイコン予告で表示される第1演出保留9a(予告対象保留に対応する演出保留)の表示態様を、示唆する大当り期待度が不明とされる(秘匿される)表示態様(「特殊表示態様」ともいう。)とする(第1の態様)。この特殊表示態様は、例えば、
図55(A1)に示すように、丸形状の保留図柄の真ん中にクエスチョンマーク(?)が表示される態様や、
図55(A2)に示すように、実施例1の予告表示態様で表示される第1演出保留9aの手前側に当該第1演出保留9aを覆う画像9g(「第2演出保留画像」ともいう。)が表示される態様等とすることができる。なお、
図55(A2)では、画像9g(第2演出保留画像)で覆われる第1演出保留9aを破線で示しているが、実際に破線を表示してもしなくてもどちらでもよく、画像9gで覆われる第1演出保留9aにより示唆される大当り期待度が視認困難(視認不能)となるように表示されればよい。
【0399】
その後、予告対象保留より前に記憶された第1特図保留が消化(特
図1保留球数が減算)され、予告対象保留の特
図1保留球数が「2」になった場合、当該予告対象保留に対応する演出保留の表示態様を、示唆する大当り期待度が明らかになる表示態様(予告表示態様)とする(第2の態様)。この予告表示態様は、例えば、
図54(A)に示した予告表示態様と同様にすることができ(
図55(B1)を参照)、特殊表示態様として画像9g(第2演出保留画像)を表示した場合には、画像9g(第2演出保留画像)を演出保留表示領域から消去して(非表示として)、それまで画像9g(第2演出保留画像)により隠されていた第1演出保留9a(予告表示態様)が出現して視認容易(視認可能)となるようにすることができる(
図55(B2)を参照)。
【0400】
このような変形例1によっても、実施例1と同様に、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数(例えば3)以上となる特図保留を対象として実行される保留アイコン予告と、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数(例えば3)未満となる特図保留を対象として実行される保留アイコン予告とで、保留アイコン予告の態様を異ならせることが可能である。そして、特図保留球数の加算(特図保留の発生)だけでなく減算(特図保留の消化)によっても保留アイコン予告の態様が変化するので、視覚的変化に富んだ保留アイコン予告が可能となる。
【0401】
なお、演出保留の手前側に画像9g(第2演出保留画像)を表示する場合、この画像9g(第2演出保留画像)を表示する態様(特殊表示態様)は、後に大当り期待度の示唆が行われる(大当り期待度が判明する)ことを予告する「期待度示唆前予告演出」であるともいえる。
【0402】
また、先読み演出として保留アイコン予告だけでなく他の予告演出も採用することが可能である。例えば、先読み演出として、前述の保留アイコン予告や、大当り期待度を示唆するキャラクタを表示するキャラクタ予告、大当り期待度を示唆するセリフやメッセージ、コメント等を表示する文字予告等、複数種の先読み演出を備えるものとする。そして、先読み演出を実行するときの特図保留球数(演出保留の表示数)に応じて、当該実行する先読み演出の種類を異ならせるようにしてもよい(変形例2)。
【0403】
具体的には、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)を例にして変形例2を説明すると、第1始動口20への遊技球の入球により特
図1保留球数が「3」又は「4」となった場合、その特
図1保留球数に対応する第1特図保留を対象(予告対象保留)として実行される先読み演出を、
図55(C1)に示すようにキャラクタ予告とする。これに対し、第1始動口20への遊技球の入球により特
図1保留球数が「1」又は「2」となった場合、その特
図1保留球数に対応する第1特図保留を対象(予告対象保留)として実行される先読み演出を、
図55(C2)に示すように文字予告とする。
【0404】
図55(C1)及び
図55(C2)に示す例では、キャラクタ予告及び文字予告ともに、予告対象保留との対応関係を分かり易くするために、予告対象保留に対応する通常表示態様の第1演出保留9a(通常保留アイコン)と関連付けて(紐付けて)キャラクタ予告画像9xや文字予告画像9yを表示するものとしている。なお、キャラクタ予告や文字予告の態様はこれに限定されるものではなく、例えば、予告対象保留に対応する演出保留画像をキャラクタ予告画像や文字予告画像に置き換えて表示する等、予告対象保留との対応関係が遊技者に分かるようにキャラクタ予告画像や文字予告画像を表示するように構成すればよく、その態様は問わない。
【0405】
このような変形例2によっても、実施例1と同様に、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数(例えば3)以上となる特図保留を対象として実行される先読み演出と、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数(例えば3)未満となる特図保留を対象として実行される先読み演出とで、先読み演出の態様を異ならせることが可能であり、多様な先読み演出が可能となる。
【0406】
なお、変形例2においても、変形例1のように、一の予告対象保留(同じ予告対象保留)について、特図保留球数が所定数(例えば3)以上のときにはキャラクタ予告を実行(キャラクタ予告画像を表示)し、特図保留球数が所定数(例えば3)未満のときには文字予告を実行(文字予告画像を表示)するようにしてもよい。
【0407】
また、キャラクタ予告画像や文字予告画像と関連付けて表示する演出保留を、実施例1と同様に予告表示態様で表示するようにしてもよい。すなわち、キャラクタ予告と保留アイコン予告の組み合わせにより先読み演出を構成したり、文字予告と保留アイコン予告との組み合わせにより先読み演出を構成したりすることも可能である。これによっても、多様な先読み演出が可能となる。
【0408】
また、前述の実施例1及び変形例1,2では、演出保留表示領域に表示される画像(演出保留画像、第2演出保留画像、キャラクタ予告画像、文字予告画像等)を用いて行う先読み演出を例示したが、先読み演出はこれに限定されるものではなく、例えば、演出図柄や背景画像が表示される領域(演出図柄表示領域7b)、すなわち、表示画面7a上の演出保留表示領域以外の領域に表示される画像を用いて行うものであってもよい。
【0409】
さらに、表示演出の他、音演出や光演出、可動演出によっても先読み演出を行うことが可能である。この場合、例えば、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数(例えば3)以上となる特図保留を対象として実行される先読み演出は可動演出を含むものとし、演出保留表示領域に表示される演出保留の数(特図保留球数)が所定数(例えば3)未満となる特図保留を対象として実行される先読み演出は音演出を含むものとする等、演出保留の表示数(特図保留の記憶数)に応じて先読み演出の態様(内容)を異ならせるようにすることができる。これによっても、多様な先読み演出が可能となる。
【実施例2】
【0410】
次に、実施例2のパチンコ遊技機1について説明する。以下では、主に実施例1と異なる部分について説明し、実施例1と共通する部分(構成、作用効果等)については説明を省略する。また以下の説明では、実施例1と共通する構成については実施例1と同じ符号、制御ステップ数等を用いることとする。
【0411】
前述の実施例1では、第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行するタイプのパチンコ遊技機(特
図2優先変動機)において、高ベース状態(時短フラグON)では特
図1の事前判定に係る処理(特
図1保留先読み)が実行されないものとなっていた(
図13を参照)。このため、高ベース状態では、第1特図保留を予告対象保留とした先読み演出(第1先読み演出)が実行されず、第2特図保留を予告対象保留とした先読み演出(第2先読み演出)が実行され得るようになっていた。つまり、主制御部(遊技制御用マイコン81)の制御下で、高ベース状態での特
図1事前判定(特
図1保留先読み)が制限され、これに伴って第1先読み演出も制限されるようになっていた。
【0412】
これに対し本実施例(実施例2)は、特
図1事前判定の制限に係る制御を主制御部(遊技制御用マイコン81)で行わないようにし、サブ制御部(演出制御用マイコン91)の制御下で第1先読み演出及び第2先読み演出の夫々の実行度合いを制御可能に構成したものである。この構成は、例えば、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化とに優先順位を設定せず、第1特図保留および第2特図保留のうち最も古く記憶されたものから順に消化するタイプ(所謂「入球順変動機」)や、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化と第2特図保留の消化)とを並行して実行するタイプ(所謂「特
図1,2並行変動機」)、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化と第2特図保留の消化)とを交互に実行するタイプ(所謂「特
図1,2交互変動機」)に好適である。以下では、本実施例に係る構成を特
図1,2並行変動機に適用した場合について説明する。なお、特
図1,2並行変動(同時変動)を実現する特別図柄の変動表示(変動遊技)に係る制御(当否判定、変動パターン設定、一方の特別図柄が変動表示中に他方の特別図柄が大当り図柄で停止表示した場合の変動中断等)は公知であるため、これについての説明は省略する。
【0413】
本実施例では、画像表示装置7の表示画面7aに表示される演出図柄として、第1特別図柄に対応する演出図柄(「第1演出図柄」ともいう。)と、第2特別図柄に対応する演出図柄(「第2演出図柄」ともいう。)と、を備えており、遊技状態に応じて何れか一方が他方よりも大きく表示されるようになっている。
【0414】
具体的には、第1特別図柄の変動表示が主となる低ベース状態では、
図56に示すように、表示画面7aの略中央に第1演出図柄800が表示され、表示画面7aの右下角部に第2演出図柄810が第1演出図柄800よりも小さく表示される。一方、第2特別図柄の変動表示が主となる高ベース状態では、
図56に示す画面内容とは逆に、表示画面7aの略中央に第2演出図柄810が表示され、表示画面7aの右下角部に第1演出図柄800が第2演出図柄810よりも小さく表示される。
【0415】
また本実施例では、画像表示装置7の表示画面7aに、第1演出保留9aが表示される第1演出保留表示領域9c及び第1変動保留表示領域91eが設けられるともに、第2演出保留9bが表示される第2演出保留表示領域9d及び第2変動保留表示領域92eが設けられる。そして、遊技状態に応じて何れか一方が他方よりも大きく表示されるようになっている。
【0416】
具体的には、第1特別図柄の変動表示が主となる低ベース状態では、
図56に示すように、表示画面7aの左下部及び中央下部(第1演出図柄800の下方左側及び下方中央)に、それぞれ第1演出保留表示領域9c及び第1変動保留表示領域91eが設けられ、当該保留表示領域に第1演出保留9aが表示される。また、第1演出保留表示領域9c及び第1変動保留表示領域91eよりも小さな第2演出保留表示領域9d及び第2変動保留表示領域92eが、表示画面7aの右下角部(第2演出図柄810の下方)に設けられ、当該保留表示領域に第2演出保留9bが第1演出保留9aよりも小さく表示される。一方、第2特別図柄の変動表示が主となる高ベース状態では、
図56に示す画面内容とは逆に、表示画面7aの左下部及び中央下部に、それぞれ第2演出保留表示領域9d及び第2変動保留表示領域92eが設けられ、当該保留表示領域に第2演出保留9bが表示される。また、第2演出保留表示領域9d及び第2変動保留表示領域92eよりも小さな第1演出保留表示領域9c及び第1変動保留表示領域91eが、表示画面7aの右下角部に設けられ、当該保留表示領域に第1演出保留9aが第2演出保留9bよりも小さく表示される。
【0417】
本実施例のパチンコ遊技機1は、前述のように、特
図1事前判定の制限に係る制御を主制御部(遊技制御用マイコン81)で行わないものとしている。すなわち、本実施例では、
図13に示した実施例1の始動入球時処理(S205)に代えて、
図57に示す始動入球時処理(S205)を行うものとしている。本実施例の始動入球時処理(S205a)は、実施例1の始動入球時処理(S205)のS320を備えていないものであり、その他は実施例1と同様である。このため、本実施例では、遊技状態が低ベース状態(左打ち遊技状態)の場合と高ベース状態(右打ち遊技状態)の場合との何れにおいても、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて特
図1の事前判定に係る処理(S321~S322)が実行可能とされるとともに、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて特
図2の事前判定に係る処理(S316~S318)が実行可能とされる。本実施例の始動入球時処理(S205a)によれば、遊技状態によって特
図1事前判定を制限したりしなかったりする制御が不要となるため、その分、主制御部(遊技制御用マイコン81)の制御処理を簡素化することが可能となり、遊技進行に係る制御負担を軽減することが可能となる。
【0418】
本実施例では、例えば、低ベース状態において第1特別図柄が大当り図柄で停止表示(所謂「初当り」)したときに第1特図保留が残っており(特
図1保留球数>0)、その後、大当り遊技を経て高ベース状態に移行した場合、当該高ベース状態の開始により残りの第1特図保留が消化されるとともに、第2始動口21への遊技球の入球に基づいて第2特別図柄の変動表示が実行(第2特図保留が消化)される。このため、初当り後の高ベース状態開始当初は、第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)と第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)とが同時期に並行して実行され得る。また可能性は低いものの、高ベース状態において遊技球が第1始動口20に入球した場合にも、第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)と第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)とが同時期に並行して実行され得る。
【0419】
また例えば、高ベース状態において第2特別図柄が大当り図柄で停止表示するか、所定回数の第2特別図柄の変動表示が実行されることにより、高ベース状態の終了条件が成立して低ベース状態に移行したときに、第2特図保留が残っている場合(特
図2保留球数>0)、当該低ベース状態の開始により残りの第2特図保留が消化されるとともに、第1始動口20への遊技球の入球に基づいて第1特別図柄の変動表示が実行(第1特図保留が消化)される。このため、高ベース状態終了後の低ベース状態開始当初は、第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)と第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)とが同時期に並行して実行され得る。また可能性は低いものの、低ベース状態において遊技球が第2始動口21に入球した場合にも、第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)と第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)とが同時期に並行して実行され得る。
【0420】
このように、低ベース状態において第1特別図柄だけでなく第2特別図柄も変動表示したり、高ベース状態において第2特別図柄だけでなく第1特別図柄も変動表示したりすることが起こり得るなか、例えば、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)と、第2特図保留を対象とする先読み演出(第2先読み演出)とが同じように実行されると、先読み演出が煩雑となり、却って興趣を損ねてしまう虞がある。
【0421】
そこで本実施例では、
図58に示す演出状態設定処理(S5000)及び
図59に示す保留アイコン予告処理(S5100)を演出制御用マイコン91(演出制御手段)が実行することにより、上記問題の解決を図るものとしている。以下、本実施例の演出状態設定処理(S5000)及び保留アイコン予告処理(S5100)について説明する。
【0422】
[演出状態設定処理]
演出状態設定処理(S5000)は、前述の10msタイマ割り込み処理(S4010)で受信コマンド解析処理(S4302)等とともに実行される処理である。
図58に示すように、演出状態設定処理(S5000)ではまず、主制御基板80から遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定する(S5001)。本実施例のパチンコ遊技機1がとり得る遊技状態には、前述の実施例1と同様に、低確低ベース状態、高確低ベース状態、低確高ベース状態及び高確高ベース状態がある。遊技状態指定コマンドは、それら遊技状態のうち何れの遊技状態に制御(何れの遊技状態が設定)されるのかを示すものである。つまり、現在の遊技状態を示すコマンドである。
【0423】
主制御基板80(主制御部)が遊技状態指定コマンドを送信するタイミングは、例えば、本パチンコ遊技機1の電源がONされたとき(電源投入時)、大当り遊技が終了して遊技状態が移行するとき(大当り遊技終了後の変動遊技開始時)、高確高ベース状態の終了条件が成立して高確低ベース状態に移行するとき(高確高ベース状態の最終回の変動遊技終了後の次の変動遊技開始時)等、遊技状態が変化(移行)するタイミングである。なお、特別図柄の変動開始毎(変動遊技の開始毎)に遊技状態指定コマンドを送信するようにしてもよい。遊技中(稼働中)に停電等の不測の事態が発生しても、電源再投入により早期に正しい遊技状態をサブ制御側で認識できるようになるからである。
【0424】
S5001で遊技状態指定コマンドを受信していないと判定した場合(S5001でNO)、S5002以降の処理を行うことなく本処理を終える。一方、遊技状態指定コマンドを受信したと判定した場合(S5001でYES)、その受信した遊技状態指定コマンドに基づいて特定される遊技状態が低ベース状態(低確低ベース状態又は高確低ベース状態)であるか否かを判定する(S5002)。そして、低ベース状態であると判定した場合(S5002でYES)、第1演出フラグをONにして(S5003)、本処理を終える。一方、低ベース状態でないと判定した場合(S5002でNO)、すなわち、受信した遊技状態指定コマンドに基づいて特定される遊技状態が高ベース状態(低確低ベース状態又は高確高ベース状態)である場合、第2演出フラグをONにして(S5004)、本処理を終える。
【0425】
第1演出フラグ及び第2演出フラグは、後述の保留アイコン予告処理(S5100)で保留アイコン予告(先読み演出)の実行に係る判定(実行判定)を行う際に参照されるフラグである。
【0426】
第1演出フラグは、遊技状態が低確低ベース状態である場合と高確低ベース状態である場合とにONされるフラグである。すなわち、第1演出フラグがONになるのは、演出モードA(モードステータス「1」)のときと演出モードC(モードステータス「3」)のときである。
【0427】
第2演出フラグは、遊技状態が低確高ベース状態である場合と高確高ベース状態である場合とにONされるフラグである。すなわち、第2演出フラグがONになるのは、演出モードB(モードステータス「2」)のとき、演出モードD(モードステータス「4」)のとき、及び演出モードE(モードステータス「5」)のときである。
【0428】
パチンコ遊技機1の稼働中は、第1演出フラグ及び第2演出フラグの何れか一方がONになり他方がOFFになる。第1演出フラグがONになる状態のことを「第1演出状態」ともいい、第2演出フラグがONになる状態のことを「第2演出状態」ともいう。
【0429】
[保留アイコン予告処理]
本実施例の保留アイコン予告処理(S5100)は、実施例1の保留アイコン予告処理(S4400)に置き換わるものであり、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したこと(S4390でYES)に基づいて実行される。
【0430】
図59に示すように、保留アイコン予告処理(S5100)ではまず、第1演出フラグがONであるか否かを判定する(S5101)。そして、第1演出フラグがONであると判定した場合、保留アイコン予告の実行に係る判定処理として第1実行判定を行う(S5102)。一方、第1演出フラグがONでない(OFFある)と判定した場合(S5101でNO)、すなわち、第2演出フラグがONである場合、保留アイコン予告の実行に係る判定処理として第2実行判定を行う(S5103)。
【0431】
第1実行判定(S5102)及び第2実行判定(S5103)では、受信した始動入球コマンドに基づいて特定される特図保留の種類に応じた処理を実行する。すなわち、受信した始動入球コマンドが特
図1始動入球コマンドである場合には、第1特図保留を対象とする第1保留アイコン予告の実行に係る判定処理を実行し、特
図2始動入球コマンドである場合には、第2特図保留を対象とする第2保留アイコン予告の実行に係る判定処理を実行する。
【0432】
具体的には、まず、保留アイコン予告フラグを参照して、現在、保留アイコン予告を実行中であるか否かを判定する。本実施例では、保留アイコン予告フラグとして、第1保留アイコン予告に対応する第1保留アイコン予告フラグと、第2保留アイコン予告に対応する第2保留アイコン予告フラグとが設けられている。
【0433】
第1保留アイコン予告フラグは、第1保留アイコン予告を実行する場合に後述のS5106でONされ、第1保留アイコン予告の実行契機となった第1特図保留に対応する変動表示(第1変動遊技)が終了するとOFFされる。
【0434】
第2保留アイコン予告フラグは、第2保留アイコン予告を実行する場合に後述のS5106でONされ、第2保留アイコン予告の実行契機となった第2特図保留に対応する変動表示(第2変動遊技)が終了するとOFFされる。
【0435】
受信した始動入球コマンドが特
図1始動入球コマンドである場合、第1保留アイコン予告フラグを参照し、第1保留アイコン予告フラグがONであれば第1保留アイコン予告を実行しないと判定し(S5104でNO)、本処理を終える。また、受信した始動入球コマンドが特
図2始動入球コマンドである場合、第2保留アイコン予告フラグを参照し、第2保留アイコン予告フラグがONであれば第2保留アイコン予告を実行しないと判定し(S5104でNO)、本処理を終える。
【0436】
このため、第1保留アイコン予告の実行中、新たに記憶(追加記憶)された第1特図保留(後の第1特図保留)を対象とする第1保留アイコン予告が実行されることはない。すなわち、第1演出保留表示領域9cに予告表示態様の第1演出保留9aが2以上表示されることはない。また、第2保留アイコン予告の実行中、新たに記憶(追加記憶)された第2特図保留(後の第2特図保留)を対象とする第2保留アイコン予告が実行されることはない。すなわち、第2演出保留表示領域9dに予告表示態様の第2演出保留9bが2以上表示されることはない。
【0437】
なお、本実施例では、第1保留アイコン予告フラグがONであって第2保留アイコン予告フラグがOFFである場合、第2保留アイコン予告の実行は許容される。また、第1保留アイコン予告フラグがOFFであって第2保留アイコン予告フラグがONである場合、第1保留アイコン予告の実行は許容される。すなわち、第1保留アイコン予告と第2保留アイコン予告は同時期に(重複して)実行可能である。
【0438】
受信した始動入球コマンドが特
図1始動入球コマンドであり、第1保留アイコン予告フラグがOFFである場合、第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定(抽選)を行う(S5102,S5103)。また、受信した始動入球コマンドが特
図2始動入球コマンドであり、第2保留アイコン予告フラグがOFFである場合、第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定(抽選)を行う(S5102,S5103)。
【0439】
第1実行判定(S5102)において、第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行う場合、
図60(A)に示す第1保留アイコン予告実行判定テーブルAに基づいて当該判定を行い、第2保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行う場合、
図61(A)に示す第2保留アイコン予告実行判定テーブルAに基づいて当該判定を行う。
【0440】
第2実行判定(S5103)において、第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行う場合、
図60(B)に示す第1保留アイコン予告実行判定テーブルBに基づいて当該判定を行い、第2保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行う場合、
図61(B)に示す第2保留アイコン予告実行判定テーブルBに基づいて当該判定を行う。
【0441】
ここで、実施例1の保留アイコン予告実行判定テーブル(
図51を参照)は、特図保留球数に応じて使用するテーブルデータ(判定条件)を異ならせる構成(データ構造)となっていたが、本実施例の保留アイコン予告実行判定テーブルはそのような構成となっていない。このため、本実施例の保留アイコン予告実行判定テーブルは、
図60及び
図61に示すように特図保留球数を考慮しない(含まない)ものとなっている。その他のデータ構造は実施例1と同様である。但し、保留アイコン予告の実行有無に割り当てられる保留アイコン予告実行判定用乱数値(保留アイコン予告の出現率)は、実施例1と一部異なるものとなっている。なお、保留アイコン予告の実行有無に割り当てられる保留アイコン予告実行判定用乱数値(保留アイコン予告の出現率)は任意に定めることができる。
【0442】
第1実行判定(S5102)を行うのは、第1演出フラグがONのとき(第1演出状態)であり、このときの遊技状態は低ベース状態である(
図58を参照)。このため、第1実行判定(S5102)では、
図60(A)に示す第1保留アイコン予告実行判定テーブルAに基づく第1保留アイコン予告の実行判定を行うのが通常であり、
図61(A)に示す第2保留アイコン予告実行判定テーブルAに基づく第2保留アイコン予告の実行判定を行うのは稀である。
【0443】
そこで、第1保留アイコン予告実行判定テーブルAは、事前判定結果が「リーチなし外れ(変動時間12000ms以下)」、「ノーマルリーチ外れ(変動時間30000ms)」、「SPリーチ外れ(変動時間45000ms以上)」及び「大当り(変動時間30000ms以上)」の何れであっても、第1保留アイコン予告が実行され得るように保留アイコン予告実行判定用乱数値を割り当てて構成される。そして、「リーチなし外れ」、「ノーマルリーチ外れ」、「SPリーチ外れ」、「大当り」の順で、第1保留アイコン予告の出現率(実行可能性)が高くなるように構成される(
図60(A)を参照)。
【0444】
一方、第2保留アイコン予告実行判定テーブルAは、事前判定結果が「リーチなし外れ(変動時間12000ms以下)」、「ノーマルリーチ外れ(変動時間30000ms)」、「SPリーチ外れ(変動時間45000ms以上)」の場合には第2保留アイコン予告が実行されず、「大当り(変動時間30000ms以上)」の場合に限り第2保留アイコン予告が実行され得るように、保留アイコン予告実行判定用乱数値を割り当てて構成される。そして、第2保留アイコン予告の出現率は、第1保留アイコン予告実行判定テーブルAで設定される事前判定結果毎の出現率のどれよりも低くなるように(本実施例では2%)に設定される(
図60(A)、
図61(A)を参照)。
【0445】
このため、第1演出状態(低ベース状態)では、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され易い(出現し易い)ものとなる。換言すると、第2保留アイコン予告(第2先読み演出)の方が第1保留アイコン予告(第1先読み演出)よりも実行され難い(出現し難い)ものとなる。つまり、第1保留アイコン予告は、第1演出状態(低ベース状態)において適度に出現し得る標準的な予告演出であるといえ、第2保留アイコン予告は、第1演出状態(低ベース状態)であるにもかかわらず第2特図保留の大当り確定を示唆する出現率の低いレアな予告演出(所謂「プレミア演出」)であるといえる。
【0446】
また、第2実行判定(S5103)を行うのは、第1演出フラグがOFFのとき、すなわち、第2演出フラグがONのとき(第2演出状態)であり、このときの遊技状態は高ベース状態である(
図58を参照)。このため、第2実行判定(S5103)では、
図61(B)に示す第2保留アイコン予告実行判定テーブルBに基づく第2保留アイコン予告の実行判定を行うのが通常であり、
図60(B)に示す第1保留アイコン予告実行判定テーブルBに基づく第1保留アイコン予告の実行判定を行うのは稀である。
【0447】
そこで、第2保留アイコン予告実行判定テーブルBは、事前判定結果が「リーチなし外れ(変動時間12000ms以下)」、「ノーマルリーチ外れ(変動時間30000ms)」、「SPリーチ外れ(変動時間45000ms以上)」及び「大当り(変動時間30000ms以上)」の何れであっても、第2保留アイコン予告が実行され得るように保留アイコン予告実行判定用乱数値を割り当てて構成される。そして、「リーチなし外れ」、「ノーマルリーチ外れ」、「SPリーチ外れ」、「大当り」の順で、第2保留アイコン予告の出現率(実行可能性)が高くなるように構成される(
図61(B)を参照)。
【0448】
なお、本実施例では、第2保留アイコン予告実行判定テーブルBの事前判定結果が「リーチなし外れ」の場合と「ノーマルリーチ外れ」の場合における第2保留アイコン予告の出現率を、第1保留アイコン予告実行判定テーブルAの事前判定結果が「リーチなし外れ」の場合と「ノーマルリーチ外れ」の場合における第1保留アイコン予告の出現率よりも低くしている(
図60(A)及び
図61(B)を参照)。第2保留アイコン予告実行判定テーブルBを用いる第2演出状態は高ベース状態であり、高ベース状態では第2特図保留(第2始動口21への入球)が高頻度で発生し、第2特別図柄の変動表示(第2変動遊技)が高頻度で実行されるので、このような状況下におけるノーマルリーチ以下の外れ保留に対応する第2保留アイコン予告は、却って遊技者に煩わしさを感じさせてしまう虞がある。そこで本実施例では、第2保留アイコン予告実行判定テーブルBの事前判定結果が「リーチなし外れ」の場合と「ノーマルリーチ外れ」の場合における第2保留アイコン予告の出現率を相対的に低くしてある。
【0449】
また本実施例では、第2保留アイコン予告実行判定テーブルBの事前判定結果が「SPリーチ外れ」の場合における第2保留アイコン予告の出現率を、第1保留アイコン予告実行判定テーブルAの事前判定結果が「SPリーチ外れ」の場合における第1保留アイコン予告の出現率よりも高くしている(
図60(A)及び
図61(B)を参照)。前述のように、高ベース状態では第2特別図柄の変動表示(第2変動遊技)が高頻度で実行される反面、時短状態でもあるため遊技が単調になりがちであり、高ベース状態でのSPリーチ以上(変動時間45000ms以上)の変動表示は遊技者の大当りに対する期待感をより煽るものとなる。そこで本実施例では、第2保留アイコン予告実行判定テーブルBの事前判定結果が「SPリーチ外れ」の場合における第2保留アイコン予告の出現率を相対的に高くしてある。
【0450】
一方、第1保留アイコン予告実行判定テーブルBは、事前判定結果が「リーチなし外れ(変動時間12000ms以下)」、「ノーマルリーチ外れ(変動時間30000ms)」、「SPリーチ外れ(変動時間45000ms以上)」の場合には第1保留アイコン予告が実行されず、「大当り(変動時間30000ms以上)」の場合に限り第1保留アイコン予告が実行され得るように、保留アイコン予告実行判定用乱数値を割り当てて構成される。そして、第1保留アイコン予告の出現率は、第2保留アイコン予告実行判定テーブルBで設定される事前判定結果毎の出現率のどれよりも低くなるように(本実施例では2%)に設定される(
図60(B)、
図61(B)を参照)。
【0451】
このため、第2演出状態(高ベース状態)では、第2保留アイコン予告(第2先読み演出)の方が第1保留アイコン予告(第1先読み演出)よりも実行され易い(出現し易い)ものとなる。換言すると、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され難い(出現し難い)ものとなる。つまり、第2保留アイコン予告は、第2演出状態(高ベース状態)において適度に出現し得る標準的な予告演出であるといえ、第1保留アイコン予告は、第2演出状態(高ベース状態)であるにもかかわらず第1特図保留の大当り確定を示唆する出現率の低いレアな予告演出(プレミア演出)であるといえる。
【0452】
以上のようにして第1実行判定(S5102)又は第2実行判定(S5103)で第1保留アイコン予告又は第2保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行い、その結果、保留アイコン予告を実行しない場合には(S5104でNO)、S5105~S5107の処理を行うことなく本処理を終える。一方、第1保留アイコン予告又は第2保留アイコン予告を実行する場合には(S5104でYES)、当該実行する保留アイコン予告の実行パターン(保留アイコン予告パターン)を設定する(S5105)。
【0453】
S5105で設定する保留アイコン予告パターンは、例えば、
図62及び
図63に示す保留アイコン予告パターン決定テーブルに基づいて決定(選択)することができる。
【0454】
図62(A)に示す第1保留アイコン予告パターン決定テーブルAは、第1実行判定(S5102)により第1保留アイコン予告を実行することが決定された場合、すなわち、第1演出状態において第1保留アイコン予告を実行する場合に、その実行パターン(第1保留アイコン予告パターン)を決定(選択)するのに用いるテーブルの一例である。
【0455】
図62(B)に示す第1保留アイコン予告パターン決定テーブルBは、第2実行判定(S5103)により第1保留アイコン予告を実行することが決定された場合、すなわち、第2演出状態において第1保留アイコン予告を実行する場合に、その実行パターン(第1保留アイコン予告パターン)を決定(選択)するのに用いるテーブルの一例である。
【0456】
図63(A)に示す第2保留アイコン予告パターン決定テーブルAは、第1実行判定(S5102)により第2保留アイコン予告を実行することが決定された場合、すなわち、第1演出状態において第2保留アイコン予告を実行する場合に、その実行パターン(第2保留アイコン予告パターン)を決定(選択)するのに用いるテーブルの一例である。
【0457】
図63(B)に示す第2保留アイコン予告パターン決定テーブルBは、第2実行判定(S5103)により第2保留アイコン予告を実行することが決定された場合、すなわち、第2演出状態において第2保留アイコン予告を実行する場合に、その実行パターン(第2保留アイコン予告パターン)を決定(選択)するのに用いるテーブルの一例である。
【0458】
ここで、実施例1の保留アイコン予告パターン決定テーブル(
図52、
図53を参照)は、特図保留球数に応じて使用するテーブルデータ(判定条件)を異ならせる構成(データ構造)となっていたが、本実施例の保留アイコン予告パターン決定テーブルはそのような構成となっていない。このため、本実施例の保留アイコン予告パターン決定テーブルは、
図62及び
図63に示すように特図保留球数を考慮しない(含まない)ものとなっている。その他のデータ構造は実施例1と同様である。但し、保留アイコン予告パターンに割り当てられる保留アイコン予告パターン決定用乱数値は、実施例1と異なるものとなっている。なお、保留アイコン予告パターンに割り当てられる保留アイコン予告パターン決定用乱数値は任意に定めることができる。
【0459】
前述したように、第1保留アイコン予告は、第1演出状態(低ベース状態)において適度に出現し得る標準的な予告演出であり、第2演出状態(高ベース状態)では滅多に出現しないレア(プレミア的)な予告演出である。このことから、第1保留アイコン予告パターン決定テーブルAでは、事前判定結果に応じてパターンY1~Y4の何れかが選択されるようになっており、第1保留アイコン予告パターン決定テーブルBでは、事前判定結果が大当りである場合に限りパターンY4が選択されるようになっている。そして、第1演出状態(低ベース状態)において、第1演出保留9aがパターンY2(緑ハート)で表示されれば予告対象保留はノーマルリーチ以上であることが確定し、パターンY3(赤ハート)で表示されれば予告対象保留はSPリーチ以上であることが確定し、パターンY4(金ハート)で表示されれば予告対象保留は大当りであることが確定する(
図62(A)を参照)。一方、第2演出状態(高ベース状態)において、第1演出保留9a(第1特図保留)を対象とする保留アイコン予告が実行された場合、すなわち、第2演出状態(高ベース状態)であるにも関わらず第1演出保留9aがパターンY4(金ハート)で表示された場合、予告対象保留は大当りであることが確定する(
図62(B)を参照)。
【0460】
また前述したように、第2保留アイコン予告は、第2演出状態(高ベース状態)において適度に出現し得る標準的な予告演出であり、第1演出状態(1ベース状態)では滅多に出現しないレア(プレミア的)な予告演出である。このことから、第2保留アイコン予告パターン決定テーブルBでは、事前判定結果に応じてパターンY1~Y4の何れかが選択されるようになっており、第2保留アイコン予告パターン決定テーブルAでは、事前判定結果が大当りである場合に限りパターンY4が選択されるようになっている。そして、第2演出状態(高ベース状態)において、第2演出保留9bがパターンY2(緑ハート)で表示されれば予告対象保留はノーマルリーチ以上であることが確定し、パターンY3(赤ハート)で表示されれば予告対象保留はSPリーチ以上であることが確定し、パターンY4(金ハート)で表示されれば予告対象保留は大当りであることが確定する(
図63(B)を参照)。一方、第1演出状態(低ベース状態)において、第1演出保留9a(第1特図保留)を対象とする保留アイコン予告が実行された場合、すなわち、第1演出状態(低ベース状態)であるにも関わらず第1演出保留9aがパターンY4(金ハート)で表示された場合、予告対象保留は大当りであることが確定する(
図63(A)を参照)。
【0461】
S5015では、以上に説明した第1保留アイコン予告パターン決定テーブルA、第1保留アイコン予告パターン決定テーブルB、第2保留アイコン予告パターン決定テーブルA、及び第2保留アイコン予告パターン決定テーブルBの何れかに基づいて保留アイコン予告パターンを決定(選択)し、これを設定する。
【0462】
次いでS5106では、実行する保留アイコン予告の種類に対応する保留アイコン予告フラグをONにする(S5106)。すなわち、第1保留アイコン予告を実行する場合(S5015で第1保留アイコン予告パターンを設定した場合)、第1保留アイコン予告フラグをONにし、第2保留アイコン予告を実行する場合(S5015で第2保留アイコン予告パターンを設定した場合)、第2保留アイコン予告フラグをONにする。そして、S5015で設定した保留アイコン予告パターンに基づく保留アイコン予告の実行を指示する保留アイコン予告コマンドをサブ出力バッファにセットし(S5107)、本処理を終える。
【0463】
S5107でセットした保留アイコン予告コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、受信した保留アイコン予告コマンドに基づき特定される保留アイコン予告パターン、すなわちS5015で設定された保留アイコン予告パターンに対応する保留アイコン予告用の画像データ(演出保留画像データ等)を画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる保留アイコン予告を画像表示装置7の表示画面7a上(演出保留表示領域、変動保留表示領域)で実行する。
【0464】
[実施例2の作用効果]
以上に説明した本実施例のパチンコ遊技機1では、第1特別図柄の変動表示(第1特図保留の消化)が主となる第1演出状態では、第1保留アイコン予告の方が第2保留アイコン予告よりも実行され易くなり、第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)が主となる第2演出状態では、第2保留アイコン予告の方が第1保留アイコン予告よりも実行され易くなる(
図60~
図63を参照)。つまり、演出制御用マイコン91(演出制御手段)の制御下で、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され易くなる第1演出状態と、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され難くなる第2演出状態とに制御可能となっている。このため、遊技状況に応じて保留アイコン予告(先読み演出)を適切に行えるようになる。これにより、始動口(特別図柄)を複数備えたパチンコ遊技機に好適な先読み演出が可能となる。
【0465】
また、本実施例のパチンコ遊技機1では、第2始動口21への遊技球の入球頻度が相対的に低い低ベース状態(第1遊技状態)では、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され易くなり(第1演出状態)、第2始動口21への遊技球の入球頻度が相対的に高い高ベース状態(第2遊技状態)では、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され難くなる(第2演出状態)。これにより、第2始動口21への遊技球の入球頻度が異なる夫々の遊技状態に見合った先読み演出が可能となる。
【0466】
なお、実施例2においても、先読み演出として保留アイコン予告を例示したが、保留アイコン予告以外の予告演出を採用することが可能である。また例えば、第1演出状態(低ベース状態)では、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)として保留アイコン予告を実行し、第2特図保留を対象とする先読み演出(第2先読み演出)として、キャラクタ予告や文字予告等の保留アイコン予告以外の予告演出を実行するようにしてもよい。また、第2演出状態(高ベース状態)では、第2特図保留を対象とする先読み演出(第2先読み演出)として保留アイコン予告を実行し、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)として、キャラクタ予告や文字予告等の保留アイコン予告以外の予告演出を実行するようにしてもよい。あるいは、これとは逆に、第1演出状態(低ベース状態)では、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)として、キャラクタ予告や文字予告等の保留アイコン予告以外の予告演出を実行するようにしたり、第2演出状態(高ベース状態)では、第2特図保留を対象とする先読み演出(第2先読み演出)として、キャラクタ予告や文字予告等の保留アイコン予告以外の予告演出を実行するようにしたりすることも可能である。さらに、第1演出状態(低ベース状態)では、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)を表示演出とし、第2特図保留を対象とする先読み演出(第2先読み演出)を音演出としたり、第2演出状態(高ベース状態)では、第2特図保留を対象とする先読み演出(第2先読み演出)を表示演出とし、第1特図保留を対象とする先読み演出(第1先読み演出)を音演出としたりすることも可能である。これらの構成によれば、遊技進行の主となる特別図柄(特図保留)に対応する先読み演出とそうでない特別図柄(特図保留)に対応する先読み演出との差別化を図ることが可能となり、遊技者にとって分かり易い先読み演出が可能となる。
【0467】
また実施例2では、低ベース状態では第1演出状態に制御され(第1演出フラグがONとされ)、第1演出状態では第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され易くなる一方、高ベース状態では第2演出状態に制御され(第2演出フラグがONとされ)、第2演出状態では第1保留アイコン予告(第1先読み演出)の方が第2保留アイコン予告(第2先読み演出)よりも実行され難くなるように構成していた。これに対し、第1演出状態において第1保留アイコン予告(第1先読み演出)が実行され難くなったり、第2演出状態において第2保留アイコン予告(第2先読み演出)が実行され難くなったりするように構成することも可能である。この構成の一具体例として変形例3を説明する。
【0468】
変形例3は、例えば、低ベース状態(例えば、低確低ベース状態)での特別図柄の変動回数(変動遊技の実行回数)を計数し、その回数が所定回数(例えば500回)になることに基づいて、当該所定回数目の次の変動遊技から、遊技状態が高ベース状態(例えば、低確高ベース状態)となるように構成される。すなわち、低ベース状態(第1遊技状態)にて特別図柄(第1特別図柄)の変動表示の実行回数が所定回数になることに基づいて高ベース状態(第2遊技状態)に制御可能に構成される。そして、低ベース状態において特別図柄の変動回数が所定回数になる前(高ベース状態に移行する前)の特定期間では、当該特定期間の開始前に比べ、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)が実行され難くなるように構成される。なお、低ベース状態(第1遊技状態)から高ベース状態(第2遊技状態)への移行制御は主制御部(遊技制御手段)により行われる(
図31を参照)。また、低ベース状態での特別図柄の変動回数(変動遊技の実行回数)の計数は、主制御部(遊技制御手段)及び/又はサブ制御部(演出制御手段)により実行可能である。
【0469】
このような変形例3に係る構成は、演出制御用マイコン91(演出制御手段)が、例えば、低ベース状態での特別図柄の変動回数が所定回数(例えば500回)よりも少ない特定回数(例えば490回)になることに基づいて特定期間フラグをONにし、特定期間フラグがONのときには、特
図1始動入球コマンドを受信するごとに、
図60(A)に示した第1保留アイコン予告実行判定テーブルAよりも第1保留アイコン予告の出現率が低くされた図示しない判定テーブル(特定期間用の第1先読み演出実行判定テーブル)を用いて、第1保留アイコン予告を実行するか否かの判定を行うようにすることで、実現可能である。この場合、特定期間では、第1保留アイコン予告が実行されないようにすること(出現率0%)も可能である。また、第1保留アイコン予告と第2保留アイコン予告の両方が実行されないようにすることも可能である。
【0470】
なお、特定期間フラグは、低ベース状態での特別図柄の変動表示の実行回数が特定回数(例えば490回)になることでONになった後、所定回数(例えば500回)目の変動表示が開始され又は終了することによりOFFになる。
【0471】
このような変形例3によれば、第2始動口21への遊技球の入球頻度が相対的に低い低ベース状態(第1遊技状態)において、第1特別図柄の変動表示の実行回数が所定回数(例えば500回)になると、第2始動口21への遊技球の入球頻度が相対的に高い高ベース状態(第2遊技状態)に移行し、以後、高ベース状態(第2遊技状態)で遊技を進行させることが可能となる。そして、低ベース状態(第1遊技状態)において、第1特別図柄の変動表示の実行回数が所定回数になる前の特定回数(例えば490回)になると、そこから所定回数になるまでの間、第1保留アイコン予告の出現率が低くなり、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)が実行され難くなる。このため、低ベース状態(第1遊技状態)において高ベース状態(第2遊技状態)への移行タイミングが近づいた場合には、第1保留アイコン予告(第1先読み演出)よりも高ベース状態(第2遊技状態)への移行に遊技者の興味を惹きつけることが可能となる。これにより、低ベース状態(第1遊技状態)において高ベース状態(第2遊技状態)への移行タイミングが近づいたときの興趣を高めることが可能となる。
【0472】
なお、変形例3では、特別図柄の変動回数に基づいて遊技状態が低ベース状態(例えば、低確低ベース状態)から高ベース状態(例えば、低確高ベース状態)へ移行する場合を例示したが、特別図柄の変動回数に基づいて遊技状態が高ベース状態(例えば、高確高ベース状態又は低確高ベース状態)から低ベース状態(例えば、高確低ベース状態又は低確低ベース状態)へ移行する場合についても、変形例3と同様の構成を適用することが可能である。例えば、高ベース状態(第2遊技状態)において、第2特別図柄の変動表示の実行回数が所定回数(例えば100回)になる前の特定回数(例えば90回)になると、そこから所定回数になるまでの間、第2保留アイコン予告の出現率が低くなり、第2保留アイコン予告(第2先読み演出)が実行され難くなるように構成することが可能である。これによっても、遊技状態の移行タイミングが近づいたときの興趣を高めることが可能となる。
【0473】
また実施例2では、第2演出状態において第1保留アイコン予告(第1先読み演出)が出現率は低いものの、大当り確定を示唆する予告演出として実行され得るものとしていた(
図60(B)、
図62(B)を参照)。これに対し、第2演出状態において第1保留アイコン予告(第1先読み演出)が実行されないように構成することも可能である。すなわち、演出制御用マイコン91(副制御部)の制御下で、第2演出状態(高ベース状態)において第1保留アイコン予告(第1先読み演出)が実行されないように構成することも可能である。この構成の一具体例として変形例4を説明する。
【0474】
変形例4は、例えば、大当り遊技終了後の遊技状態が高ベース状態に制御されたり、前述の変形例3のように遊技状態が低ベース状態から高ベース状態に制御されたりする場合に、特
図1演出保留情報記憶領域を初期化可能に構成される。すなわち、第2演出状態(高ベース状態)に制御される場合に、特
図1演出保留情報記憶領域に記憶される特
図1演出保留情報を初期化(消去)することが可能に構成される(初期化手段)。そして、保留アイコン予告処理(S5100)で、第2演出状態の場合(S5101でNO)に実行する第2実行判定(S5103)において、第1保留アイコン予告の実行判定、すなわち、
図60に示した第1保留アイコン予告判定テーブルに基づく判定を行わないように構成される。
【0475】
このような変形例4によれば、第2演出状態(高ベース状態)において第1保留アイコン予告が実行されないのは勿論のこと、第2演出状態(高ベース状態)に制御される(移行する)場合に特
図1演出保留情報記憶領域が初期化されるので、例えば、第2演出状態(高ベース状態)に制御される(移行する)前の第1演出状態(低ベース状態)で記憶されて未だ消化されていない第1特図保留に対応する特
図1演出保留情報(第1先読み情報)に基づく先読み演出(第1先読み演出)が、第2演出状態(高ベース状態)において一切実行されないようになる。これにより、第2特別図柄の変動表示(第2特図保留の消化)が主となる第2演出状態において、第1先読み演出の方が第2先読み演出よりも実行され難くなる状態(第1先読み演出が実行されない状態)を確実なものとすることが可能となり、延いては、演出状態に適した先読み演出が可能となる。
【0476】
なお、変形例4では、第2演出状態(高ベース状態)に制御される場合に特
図1演出保留情報記憶領域に記憶される特
図1演出保留情報を初期化する構成を例示したが、第1演出状態(低ベース状態)に制御される場合に、特
図2演出保留情報記憶領域に記憶される特
図2演出保留情報を初期化するように構成することも可能である。この場合、例えば、第1演出状態(低ベース状態)に制御される(移行する)前の第2演出状態(高ベース状態)で記憶されて未だ消化されていない第2特図保留に対応する特
図2演出保留情報(第2先読み情報)に基づく先読み演出(第2先読み演出)が、第1演出状態(低ベース状態)において一切実行されないようになる。これによっても、演出状態に適した先読み演出が可能となる。
【0477】
また、第2演出状態(高ベース状態)に制御される場合に特
図1演出保留情報記憶領域に記憶される特
図1演出保留情報を初期化(消去)しなくても、第2演出状態で第1先読み演出が実行されないようにすることも可能である。具体的には、例えば、前述のS4604やS5105で設定可能な始動入球に伴う先読み演出、及び前述のS4506で設定可能な変動演出に伴う先読み演出を含む複数種類の予告演出(予告演出パターン)のうち、第1先読み演出として実行可能な予告演出(第1保留アイコン予告等の特
図1演出保留情報に基づく各種予告)を、前述のS4506、S4604及びS5105で設定(選択)しないようにすることで、第2演出状態(高ベース状態、第2遊技状態)において第1先読み演出が実行されないようにすることが可能である。この場合、第1演出状態(低ベース状態、第1遊技状態)では、予告演出として第1先読み演出が実行され得る一方、第2演出状態(高ベース状態、第2遊技状態)では、予告演出として第1先読み演出が実行されないようになる。これにより、遊技状態に応じて第1先読み演出を適切に実行することが可能となる。
【0478】
また、第1演出状態(低ベース状態)に制御される場合に特
図2演出保留情報記憶領域に記憶される特
図2演出保留情報を初期化(消去)しなくても、第1演出状態で第2先読み演出が実行されないようにすることも可能である。具体的には、例えば、前述のS4604やS5105で設定可能な始動入球に伴う先読み演出、及び前述のS4506で設定可能な変動演出に伴う先読み演出を含む複数種類の予告演出(予告演出パターン)のうち、第2先読み演出として実行可能な予告演出(第2保留アイコン予告等の特
図2演出保留情報に基づく各種予告)を、前述のS4506、S4604及びS5105で設定(選択)しないようにすることで、第1演出状態(低ベース状態、第1遊技状態)において第2先読み演出が実行されないようにすることが可能である。この場合、第2演出状態(高ベース状態、第2遊技状態)では、予告演出として第2先読み演出が実行され得る一方、第1演出状態(低ベース状態、第1遊技状態)では、予告演出として第2先読み演出が実行されないようになる。これにより、遊技状態に応じて第2先読み演出を適切に実行することが可能となる。
【0479】
また実施例2では特
図1,2並行変動機を例示したが、本実施例2に係る構成は、入球順変動機や特
図1,2交互変動機にも適用することが可能であり、また、実施例1で例示した特
図2優先変動機にも適用することが可能である。
【0480】
以上、本発明の実施の形態として実施例及び変形例を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
【0481】
例えば前述の実施例等では、大当り遊技中に遊技球が第2大入賞口35(Vアタッカー)内の特定領域を通過(V通過)したか否かに基づいて確率変動機能を作動させるか否かを決定するV確機に本発明を適用したものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、大当り図柄の種類に基づいて確率変動機能を作動させるか否かを決定する1種タイプのパチンコ遊技機(所謂「図柄確変機」)にも本発明を適用することが可能である。あるいは、特別図柄当否判定の結果が小当りとなることで入球可能となる大入賞口内に特定領域(V領域)を備え、小当り遊技の際にその大入賞口に入球した遊技球が特定領域を通過(V通過)すると大当りとなり、大当り遊技が実行される1種2種タイプのパチンコ遊技機にも本発明を適用することも可能である。
【0482】
また前述の実施例等では、確変カウンタに「10,000」をセットすることにより、実質的に次回大当りが発生するまで高確率状態に制御されるタイプのパチンコ遊技機に本発明を適用したものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、次回大当りが発生することなく高確率状態が終了し得る値(例えば「100」や「200」等)を確変カウンタにセットすることにより、大当り遊技終了後の特別図柄の変動回数(変動遊技の実行回数)が所定回数になることに基づいて高確率状態が終了するタイプのパチンコ遊技機(所謂「ST機」)にも本発明を適用することが可能である。あるいは、高確率状態にて特別図柄の変動表示の開始ごとに高確率状態を終了させるか否かの抽選(所謂「転落抽選」)を行うタイプのパチンコ遊技機(所謂「転落抽選機」)にも本発明を適用することが可能である。
【0483】
また前述の実施例等では、大当り遊技中のVラウンドで遊技球が特定領域を通過したことに基づいて高確率状態を発生させるという遊技上の特典を遊技者に付与するものを例示したが、その特典は高確率状態の発生に限られるものではない。例えば、始動口への遊技球の入球頻度を高くする高ベース状態や、識別情報の変動時間を通常より短くする変動時間短縮状態(時短状態)等、遊技者に何らかの利益を付与するものであれば、その特典の内容(種類)は問わない。また、遊技球が特定領域を通過したことに基づいて、一の特典を付与するものであっても複数の特典を付与するものであってもよい。
【0484】
また前述の実施例等では、始動入球に基づく事前判定について、特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出して、当該読み出した取得乱数値(取得情報)を判定(事前判定)するものとしていたが(始動入球時処理(S205)、
図11、
図13等を参照)、事前判定の手法はこれに限定されるものではない。例えば、特図保留記憶部に加え、事前判定の対象となる取得情報(つまり、始動入球に基づいて取得された取得情報)を記憶する領域(取得情報記憶手段)を主制御部やサブ制御部のRAMに設け、当該記憶領域(事前判定用記憶部)に記憶した取得情報を判定(事前判定)するものとしてもよい。この場合、事前判定の結果を主制御部やサブ制御部のRAMに記憶することで、事前判定に用いた取得情報(別の記憶領域に記憶した取得情報)を消去することも可能である。あるいは、特図保留記憶部に記憶した取得情報について事前判定するのではなく、始動入球に基づいて取得された取得情報について事前判定するものとしてもよい。つまり、取得情報を特図保留記憶部に記憶する前に事前判定するようにしてもよい。この場合、特図保留記憶部と別に、事前判定の対象となる取得情報を記憶する領域を設ける必要はなく、また、特図保留記憶部に記憶した取得情報を事前判定のために読み出す必要もない。
【0485】
また前述の実施例等では、確率変動機能の非作動・作動により、大当り確率を低確率(第1確率)または高確率(第2確率)に設定可能としていたが、大当り確率の種類(数)はこれに限定されるものではなく、例えば、低確率(第1確率)よりも高く高確率(第2確率)よりも低い中確率(第3確率)等、3種類以上の確率を設定可能としてもよい。さらに、第1低確率と第1高確率(第1確率条件)、第2低確率と第2高確率(第2確率条件)、第3低確率と第3高確率(第3確率条件)など、低確率と高確率との関係を定めた複数種の確率条件を設け、当該複数種の確率条件のうちの何れかを、例えば、遊技機の電源投入時に任意に設定可能(選択可能)としてもよい。
【0486】
[その他]
以下、本明細書で開示した実施形態(実施例、他の形態)に関連する発明を参考発明として開示しておく。
【0487】
(参考発明1)
従来、始動口への遊技球の入球を契機に変動表示される識別情報が停止表示したときの表示態様が特定態様である場合に、遊技者にとって有利な特別遊技が実行可能となる遊技機が知られている。この種の遊技機において、始動口への遊技球の入球に基づいて取得される乱数等の取得情報(保留)の事前判定を行い、当該事前判定の結果に基づいて演出を行うものがある(例えば、特開2014-108268号公報を参照)。このような事前判定の結果に基づく演出は「先読み演出」とも呼ばれる。
【0488】
上述の先読み演出は、遊技者を飽きさせないようにするための一手法として既に多くの遊技機に採用されており、先読み演出を備えた遊技機の興趣を高めるには更なる改善の余地がある。
【0489】
本参考発明1は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、先読み演出を備えた遊技機の興趣を向上させることにある。
【0490】
参考発明1-1の遊技機は、
識別情報を表示可能な識別情報表示手段と、
取得情報を取得可能な取得手段と、
前記取得手段により取得された取得情報を所定の上限数まで記憶可能な記憶手段と、
前記記憶手段に取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段と、
前記取得情報に基づいて前記識別情報を変動表示した後に停止表示する変動遊技を実行可能な変動遊技実行手段と、
前記変動遊技で停止表示された前記識別情報の表示態様が特定態様である場合に、遊技者に所定の利益を付与する特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記変動遊技の開始前に前記取得情報の事前判定を実行可能な事前判定手段と、
前記事前判定の結果に基づいて先読み演出を実行可能な演出実行手段と、を備え
前記記憶表示手段は、前記記憶手段による前記取得情報の記憶数に応じた数の前記記憶表示を表示することが可能であり、
前記演出実行手段は、
前記記憶表示手段により表示される前記記憶表示の数が所定数以上となる前記取得情報を対象として前記先読み演出を実行する場合、前記先読み演出を第1の態様で実行可能であり、
前記記憶表示の数が前記所定数未満となる前記取得情報を対象として前記先読み演出を実行する場合、前記先読み演出を第2の態様で実行可能である
ことを特徴とする。
【0491】
このような遊技機によれば、記憶表示手段により表示される記憶表示の数が所定数以上となる取得情報を対象として実行される先読み演出は、第1の態様で実行可能となる。一方、記憶表示手段により表示される記憶表示の数が所定数未満となる取得情報を対象として実行される先読み演出は、第2の態様で実行可能となる。このため、先読み演出が実行されるときの記憶表示の表示数(取得情報の記憶数)によって、先読み演出の態様を異ならせる(変化させる)ことが可能となる。これにより、先読み演出の演出効果を高めて興趣を向上させることが可能となる。
【0492】
参考発明1-2の遊技機は、前述した参考発明1-1の遊技機において、
前記第1の態様及び前記第2の態様には、それぞれ同様の演出態様が含まれている
ことを特徴とする。
【0493】
このような遊技機によれば、第1の態様と第2の態様とで演出態様の共用化が可能となる。これにより、先読み演出に係るデータ量の増加を抑えつつ先読み演出のバリエーションを増やすことが可能となる。
【0494】
参考発明1-3の遊技機は、前述した参考発明1-1又は1-2の遊技機において、
前記変動遊技が実行されるときの遊技モードを制御可能なモード制御手段を備え、
前記モード制御手段により制御される遊技モードに応じて、前記所定数は変動し得る
ことを特徴とする。
【0495】
このような遊技機によれば、先読み演出の態様を異ならせる(変化させる)基準となる記憶表示の表示数(取得情報の記憶数)、すなわち所定数が、遊技モードに応じて可変とされる。これにより、変化に富んだ先読み演出が可能となる。
【0496】
参考発明1-4の遊技機は、前述した参考発明1-1又は1-2の遊技機において、
前記変動表示が実行されるときの遊技モードを制御可能なモード制御手段を備え、
前記モード制御手段により制御される遊技モードにかかわらず前記所定数は固定とされる
ことを特徴とする。
【0497】
このような遊技機によれば、先読み演出の態様を異ならせる(変化させる)基準となる記憶表示の表示数(取得情報の記憶数)、すなわち所定数が、遊技モードにかかわらず固定化される。これにより、先読み演出を安定的に実行することが可能となる。
【0498】
以上の本参考発明1によれば、先読み演出を備えた遊技機の興趣を向上させることが可能である。
【0499】
(参考発明2)
従来、第1始動口への遊技球の入球に基づいて第1識別情報の変動表示を行い、第2始動口への遊技球の入球に基づいて第2識別情報の変動表示を行い、何れかの変動表示の表示結果が大当り等の特定表示結果である場合に、遊技者にとって有利な特別遊技が実行可能となる遊技機が知られている(例えば、特開2010-94207号公報を参照)。この種の遊技機において、始動口への遊技球の入球に基づいて取得される乱数等の取得情報(保留)の事前判定を行い、当該事前判定の結果に基づいて演出を行うものがある(例えば、特開2014-108268号公報を参照)。このような事前判定の結果に基づく演出は「先読み演出」とも呼ばれる。
【0500】
始動口を複数備えた遊技機では、第1始動口への入球を契機とする先読み演出と、第2始動口への入球を契機とする先読み演出とを実行することが可能であるが、過度な先読み演出は遊技者に煩わしさを感じさせることもあり、却って興趣の低下を招く虞がある。
【0501】
本参考発明2は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、始動口を複数備えた遊技機に好適な先読み演出を可能とすることにある。
【0502】
参考発明2-1の遊技機は、
第1始動口と、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得情報を取得可能な第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得された取得情報の判定を実行可能な第1判定手段と、
前記第1判定手段による判定結果に基づいて第1識別情報の変動表示を実行可能な第1変動表示実行手段と、
第2始動口と、
前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得情報を取得可能な第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得された取得情報の判定を実行可能な第2判定手段と、
前記第2判定手段による判定結果に基づいて第2識別情報の変動表示を実行可能な第2変動表示実行手段と、を備え、
前記第1識別情報又は前記第2識別情報の変動表示の表示結果が特定表示結果であることに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
前記第1取得手段により取得された取得情報の判定を、前記第1判定手段による判定よりも前に実行可能な第1事前判定手段と、
前記第1事前判定手段による判定結果を特定可能な情報を含む第1先読み情報を記憶可能な第1先読み情報記憶手段と、
前記第2取得手段により取得された取得情報の判定を、前記第2判定手段による判定よりも前に実行可能な第2事前判定手段と、
前記第2事前判定手段による判定結果を特定可能な情報を含む第2先読み情報を記憶可能な第2先読み情報記憶手段と、
演出を制御可能な演出制御手段と、を備え、
前記演出制御手段は、
前記第1先読み情報に基づいて第1先読み演出を実行可能であり、
前記第2先読み情報に基づいて第2先読み演出を実行可能であり、
前記第1先読み演出の方が前記第2先読み演出よりも実行され易くなる第1演出状態と、前記第1先読み演出の方が前記第2先読み演出よりも実行され難くなる第2演出状態とに制御可能である
ことを特徴とする。
【0503】
このような遊技機によれば、第1先読み演出の方が第2先読み演出よりも実行され易くなる第1演出状態と、第1先読み演出の方が第2先読み演出よりも実行され難くなる第2演出状態とに制御可能であるため、状況に応じて先読み演出を適切に行えるようになる。これにより、始動口を複数備えた遊技機に好適な先読み演出が可能となる。
【0504】
参考発明2-2の遊技機は、前述した参考発明2-1の遊技機において、
遊技状態を制御可能な遊技制御手段を備え、
前記遊技状態には、少なくとも、第1遊技状態と、前記第1遊技状態に比して前記第2始動口への遊技球の入球頻度が高まる第2遊技状態とがあり、
前記演出制御手段は、
前記第1遊技状態に制御される場合に前記第1演出状態に制御可能であり、
前記第2遊技状態に制御される場合に前記第2演出状態に制御可能である
ことを特徴とする。
【0505】
このような遊技機によれば、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に低い第1遊技状態では、第1先読み演出の方が第2先読み演出よりも実行され易くなり(第1演出状態)、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に高い第2遊技状態では、第1先読み演出の方が第2先読み演出よりも実行され難くなる(第2演出状態)。これにより、第2始動口への遊技球の入球頻度が異なる夫々の遊技状態に見合った先読み演出が可能となる。
【0506】
参考発明2-3の遊技機は、前述した参考発明2-1又は2-2の遊技機において、
遊技状態を制御可能な遊技制御手段を備え、
前記遊技状態には、少なくとも、第1遊技状態と、前記第1遊技状態に比して前記第2始動口への遊技球の入球頻度が高まる第2遊技状態とがあり、
前記遊技制御手段は、前記第1遊技状態にて前記第1識別情報の変動表示の実行回数が所定回数になることに基づいて前記第2遊技状態に制御可能であり、
前記演出制御手段は、前記第1遊技状態にて前記実行回数が前記所定回数より少ない特定回数になると、前記所定回数になるまでの間、前記第1先読み演出が実行され難くなるように制御可能である
ことを特徴とする。
【0507】
このような遊技機によれば、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に低い第1遊技状態において、第1識別情報の変動表示の実行回数が所定回数になると、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に高い第2遊技状態に移行し、以後、第2遊技状態で遊技を進行させることが可能となる。そして、第1遊技状態において、第1識別情報の変動表示の実行回数が所定回数になる前の特定回数になると、そこから所定回数になるまでの間、第1先読み演出が実行され難くなる。このため、第1遊技状態において第2遊技状態への移行タイミングが近づいた場合には、第1先読み演出よりも第2遊技状態への移行に遊技者の興味を惹きつけることが可能となる。これにより、第1遊技状態において第2遊技状態への移行タイミングが近づいたときの興趣を高めることが可能となる。
【0508】
参考発明2-4の遊技機は、前述した参考発明2-1から2-3の何れか一つの遊技機において、
前記第2演出状態に制御される場合、前記第1先読み情報記憶手段に記憶される前記第1先読み情報を初期化することが可能な初期化手段を備える
ことを特徴とする。
【0509】
このような遊技機によれば、第2演出状態に制御される場合には、第1先読み情報記憶手段に記憶される第1先読み情報が初期化されるようになるため、第2演出状態では第1先読み演出が実行されないようにすることが可能となる。これにより、第1先読み演出の方が第2先読み演出よりも実行され難くなる状態を確実なものとすることが可能となる。
【0510】
参考発明2-5の遊技機は、
第1始動口と、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得情報を取得可能な第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得された取得情報の判定を実行可能な第1判定手段と、
前記第1判定手段による判定結果に基づいて第1識別情報の変動表示を実行可能な第1変動表示実行手段と、
第2始動口と、
前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得情報を取得可能な第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得された取得情報の判定を実行可能な第2判定手段と、
前記第2判定手段による判定結果に基づいて第2識別情報の変動表示を実行可能な第2変動表示実行手段と、を備え、
前記第1識別情報又は前記第2識別情報の変動表示の表示結果が特定表示結果であることに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
前記第1取得手段により取得された取得情報の判定を、前記第1判定手段による判定よりも前に実行可能な第1事前判定手段と、
前記第1事前判定手段による判定結果を特定可能な情報を含む第1先読み情報を記憶可能な第1先読み情報記憶手段と、
遊技状態を制御可能な遊技制御手段と、
演出を制御可能な演出制御手段と、を備え
前記遊技状態には、少なくとも、第1遊技状態と、前記第1遊技状態に比して前記第2始動口への遊技球の入球頻度が高まる第2遊技状態とがあり、
前記演出制御手段は、前記第1識別情報の変動表示の表示結果が前記特定表示結果である可能性を示唆する予告演出を実行可能であり、
前記予告演出には、前記第1先読み情報に基づく第1先読み演出を含む複数種類の予告演出があり、
前記演出制御手段は、
前記予告演出を実行する場合、前記複数種類の予告演出の中から選択して実行可能であり、
前記第1遊技状態に制御されているときは前記第1先読み演出を選択することがあり、
前記第2遊技状態に制御されているときは前記第1先読み演出を選択することがない
ことを特徴とする。
【0511】
このような遊技機によれば、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に低い第1遊技状態では、予告演出として第1先読み演出が選択されることがあり、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に高い第2遊技状態では、予告演出として第1先読み演出が選択されることがないものとなる。このため、第1遊技状態では予告演出として第1先読み演出が実行され得る一方、第2遊技状態では予告演出として第1先読み演出が実行されないようになる。これにより、遊技状態に応じて第1先読み演出を適切に実行することが可能となる。
【0512】
参考発明2-6の遊技機は、
第1始動口と、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得情報を取得可能な第1取得手段と、
前記第1取得手段により取得された取得情報の判定を実行可能な第1判定手段と、
前記第1判定手段による判定結果に基づいて第1識別情報の変動表示を実行可能な第1変動表示実行手段と、
第2始動口と、
前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得情報を取得可能な第2取得手段と、
前記第2取得手段により取得された取得情報の判定を実行可能な第2判定手段と、
前記第2判定手段による判定結果に基づいて第2識別情報の変動表示を実行可能な第2変動表示実行手段と、を備え、
前記第1識別情報又は前記第2識別情報の変動表示の表示結果が特定表示結果であることに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技が実行可能となる遊技機であって、
前記第2取得手段により取得された取得情報の判定を、前記第2判定手段による判定よりも前に実行可能な第2事前判定手段と、
前記第2事前判定手段による判定結果を特定可能な情報を含む第2先読み情報を記憶可能な第2先読み情報記憶手段と、
遊技状態を制御可能な遊技制御手段と、
演出を制御可能な演出制御手段と、を備え
前記遊技状態には、少なくとも、第1遊技状態と、前記第1遊技状態に比して前記第2始動口への遊技球の入球頻度が高まる第2遊技状態とがあり、
前記演出制御手段は、前記第1識別情報の変動表示の表示結果が前記特定表示結果である可能性を示唆する予告演出を実行可能であり、
前記予告演出には、前記第2先読み情報に基づく第2先読み演出を含む複数種類の予告演出があり、
前記演出制御手段は、
前記予告演出を実行する場合、前記複数種類の予告演出の中から選択して実行可能であり、
前記第1遊技状態に制御されているときは前記第2先読み演出を選択することがなく、
前記第2遊技状態に制御されているときは前記第2先読み演出を選択することがある
ことを要旨とする。
【0513】
このような遊技機によれば、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に低い第1遊技状態では、予告演出として第2先読み演出が選択されることがなく、第2始動口への遊技球の入球頻度が相対的に高い第2遊技状態では、予告演出として第2先読み演出が選択されることがあるものとなる。このため、第1遊技状態では予告演出として第2先読み演出が実行されないようになる一方、第2遊技状態では予告演出として第2先読み演出が実行され得るようになる。これにより、遊技状態に応じて第2先読み演出を適切に実行することが可能となる。
【0514】
以上の本参考発明2によれば、始動口を複数備えた遊技機に好適な先読み演出が可能となる。
【符号の説明】
【0515】
1 パチンコ遊技機、2 遊技盤、3 遊技領域、4 レール部材、5 盤面ランプ、7 画像表示装置、7a 表示画面、7b 演出図柄表示領域、8 演出図柄、9a 第1演出保留、9b 第2演出保留、9c 第1演出保留表示領域、9d 第2演出保留表示領域、9e 変動保留表示領域、10 センター装飾体、16 遊技釘、19 固定入賞装置、20 第1始動口、21 第2始動口、22 可変入賞装置、23 開閉部材、30 第1大入賞口、31 第1大入賞装置、32 開閉部材、35 第2大入賞口、36 第2大入賞装置、37 開閉部材、39 特定領域、40 主表示器、41a 第1特別図柄表示器、41b 第2特別図柄表示器、50 遊技機枠、51 前面枠、52 本体枠、53 外枠、60 発射ハンドル、63a 第1演出ボタン、63b 第2演出ボタン、66 枠ランプ、67 スピーカ、80 主制御基板(主制御部)、90 副制御基板(サブ制御部)、91e 第1変動保留表示領域、92e 第2変動保留表示領域、800 第1演出図柄、810 第2演出図柄。