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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】注入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/22 20060101AFI20230313BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20230313BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20230313BHJP
   A61J 15/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61M39/22 100
A61M39/24
A61M5/168 506
A61J15/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022014045
(22)【出願日】2022-02-01
【審査請求日】2022-07-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻村 裕次
(72)【発明者】
【氏名】石山 博章
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/017865(WO,A1)
【文献】米国特許第05807312(US,A)
【文献】特開2009-281492(JP,A)
【文献】特開2001-275943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/22
A61M 39/24
A61M 5/168
A61J 15/00
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジの外筒内に挿入されるプランジャを動作させることで栄養剤をチューブを介して人体の胃に注入可能な注入装置であって、
コネクタと、
前記チューブと、
前記外筒及び前記プランジャを備えるシリンジとを有し、
前記コネクタは、
箱状のコネクタ本体と、
栄養剤を前記コネクタ本体の内部に流入させるための第一流入口が形成された第一ノズルと、
前記コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を吐出するための第一吐出口が形成されて、前記チューブに接続されることで前記第一吐出口から吐出された栄養剤を前記チューブに導くことが可能な第二ノズルと、
前記外筒の先端に形成される吸排ノズルに接続されることで前記コネクタ本体の内部と前記シリンジの外筒の内部とを連通させる第三ノズルと、
前記第一流入口を開閉するための第一開閉弁と、
前記第一吐出口を開閉するための第二開閉弁とを備え、
前記プランジャを後退させて前記コネクタ本体の内部を減圧することで、前記第一開閉弁が前記第一流入口を開放した状態となり、且つ、前記第二開閉弁が前記第一吐出口を閉塞した状態となって、前記減圧により、栄養剤を、前記第一ノズル内に流入させるとともに、前記第一流入口を通過させて前記コネクタ本体の内部に流入させることが可能であり、前記プランジャを前進させて前記コネクタ本体の内部を加圧することで、前記第開閉弁が前記第一吐出口を開放した状態となり、且つ、前記第開閉弁が前記第一流入口を閉塞した状態となって、前記加圧によって、前記コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を、前記第一吐出口及び前記第二ノズル内を通過させて、前記チューブ内に導くことが可能であり、
前記第三ノズルは、第七筒状部と、第八筒状部と、第九筒状部とを備え、
前記第七筒状部は、前記コネクタ本体の外壁から突出するように設けられて、前記第七筒状部の底は、前記コネクタ本体の外壁によって構成されており、前記第七筒状部の底に前記コネクタ本体の内部と連通する第一吸排口が形成されており、
前記第九筒状部は、一端側の大径部と、他端側の小径部とを備えるものであって、前記大径部の内側に前記第八筒状部の一端側が通過するように配置されて、前記小径部が前記第八筒状部の外壁に接続されており、
前記吸排ノズルは、前記外筒の先端壁から突出するように設けられて、前記吸排ノズルの底は、前記外筒の先端壁によって構成されており、前記吸排ノズルの底には、前記外筒の内部と連通する第二吸排口が形成されており、
前記第八筒状部の一端側と前記第九筒状部の前記大径部との間に前記吸排ノズルが挿入されるように、前記第三ノズルが前記吸排ノズルに接続され、且つ、前記第八筒状部の他端側が前記第七筒状部内に挿入されるように、前記第八筒状部が前記第七筒状部に取り付けられることで、前記コネクタの内部と前記外筒の内部とが、前記第一吸排口、前記第八筒状部の内部、前記吸排ノズルの内部、及び前記第二吸排口を介して連通して、前記プランジャの後退により前記コネクタの内部を減圧し、前記プランジャの前進により、前記コネクタの内部を加圧することが可能である注入装置。
【請求項2】
前記第一ノズルは、第一筒状部と、第一底板部と、第二筒状部と、第三筒状部とを備え、
前記第一筒状部は、前記第一底板部から突出するように設けられて、前記第一底板部によって底が構成されており、前記第一流入口は、前記第一底板部に形成され、
前記第二筒状部は、前記第一底板部から前記第一筒状部の反対側へ突出するように設けられており、前記第二筒状部の内部は、前記第一流入口に連通しており、
前記第三筒状部は、前記コネクタ本体の外壁から突出するように設けられて、前記第三筒状部の底は、前記コネクタ本体の外壁によって構成されており、前記第三筒状部の底には、前記コネクタ本体の内部と連通する第二流入口が形成されており、
前記第一開閉弁は、第一環状体と、前記第一流入口よりも大径に形成されて、前記第一環状体の内側に配置される第一フラップと、前記第一環状体の内周の一部と前記第一フラップの外周の一部とを接続する第一接続部とを備えており、前記第一開閉弁が前記第一筒状部内に入れられて、前記第一フラップが前記第一流入口を覆うように、前記第一底板部に前記第一環状体が載置された状態で、前記第三筒状部が前記第一筒状部内に挿入されることで、前記第一環状体が前記第一底板部と前記第三筒状部の先端とに挟み込まれた状態とされ、
前記プランジャを後退させて前記コネクタ本体の内部を減圧することで、前記第一フラップが前記第三筒状部内へ傾いて前記第一流入口を開放し、前記減圧によって、栄養剤を、前記第二筒状部の先端開口から前記第二筒状部内に流入させるとともに、前記第一流入口、前記第三筒状部内、及び前記第二流入口を通過させて、前記コネクタ本体の内部に流入させることが可能であり、前記プランジャを前進させて前記コネクタ本体の内部を加圧することで、前記第一フラップの外周縁が前記第一底板部に押し付けられて前記第一フラップが前記第一流入口を閉塞した状態となる請求項1に記載の注入装置
【請求項3】
前記第一筒部は、前記第三筒状部が前記第一筒状部内に挿脱可能となるように、前記第三筒状部に取り付けられる請求項2に記載の注入装置
【請求項4】
前記第二ノズルは、第四筒状部と、第二底板部と、第五筒状部と、第六筒状部とを備え、
前記第四筒状部は、前記第二底板部から突出するように設けられて、前記第二底板部によって底が構成されており、前記第二底板部には第二吐出口が形成され、
前記第五筒状部は、前記第二底板部から前記第四筒状部の反対側へ突出するように設けられており、前記第五筒状部の内部は、前記第二吐出口に連通しており、前記チューブは前記第五筒状部に接続され、
前記第六筒状部は、前記コネクタ本体の外壁から突出するように設けられて、前記コネクタ本体の外壁によって底が構成されており、前記第六筒状部の底に前記コネクタ本体の内部を連通する前記第一吐出口が形成されており、
前記第二開閉弁は、第二環状体と、前記第一吐出口よりも大径に形成されて、前記第二環状体の内側に配置される第二フラップと、前記第二環状体の内周の一部と前記第二フラップの外周の一部とを接続する第二接続部とを備えており、前記第二開閉弁が前記第六筒状部内に入れられて、前記第二フラップが前記第一吐出口を覆うように、前記第六筒状部の底に前記第二環状体が載置された状態で、前記第四筒状部が前記第六筒状部内に挿入されることで、前記第二環状体が前記第六底状部の底と前記第四筒状部の先端とに挟み込まれた状態とされ、
前記プランジャを後退させて前記コネクタ本体の内部を減圧することで、前記第二フラップの外周縁が前記第六筒状部の底に押し付けられて前記第二フラップが前記第一吐出口を閉塞した状態となり、前記プランジャを前進させて前記コネクタ本体の内部を加圧することで、前記第二フラップが前記第四筒状部内へ傾いて前記第一吐出口を開放した状態となって、前記加圧によって、前記コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を、前記第一吐出口、前記第四筒状部内、前記第二吐出口、前記第五筒状部内を通過させて、前記チューブ内に導くことが可能である請求項1乃至3のいずれかに記載の注入装置
【請求項5】
前記第四筒状部は、前記第四筒状部が前記第六筒状部内に挿脱可能となるように、前記第六筒状部に取り付けられる請求項4に記載の注入装置
【請求項6】
前記第三ノズルは、前記吸排ノズルが前記第八筒状部の一端側と前記第筒状部の前記大径部との間に挿脱可能となるように、前記吸排ノズルに接続される請求項1乃至5のいずれかに記載の注入装置。
【請求項7】
前記第八筒状部は、前記第八筒状部の他端側を前記第七筒状部内に挿脱可能に、前記第七筒状部に取り付けられる請求項1乃至6のいずれかに記載の注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の胃に栄養剤を注入するために使用されるコネクタ及び注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1,2に開示されるような外筒内にプランジャが挿入されるシリンジを用いて、経腸栄養と称される作業(胃ろうチューブを介して流動食等の栄養剤を胃に注入する作業)が行われている。この種の作業では、十分な量の栄養剤が胃に注入されるまで、以下の工程1~5を実施することが繰り返されている。
【0003】
工程1:椀に入った栄養剤に外筒のノズルを浸漬させた状態で、プランジャを後退させることで、栄養剤を外筒内に吸い上げる。
工程2:外筒のノズルに付着した栄養剤を、水で洗い流す、或いは、布で拭う。
工程3:胃ろうチューブに外筒のノズルを接続する。
工程4:プランジャを前進させて、外筒内を加圧することで、外筒内の栄養剤を胃ろうチューブに送る。
工程5:外筒のノズルを胃ろうチューブから取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-272843号公報
【文献】特開2003-199828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の経調栄養では、上記の工程1~5が繰り返されるたびに、工程3の「胃ろうチューブにノズルを接続する」ことや、工程5の「外筒のノズルを胃ろうチューブから取り外す」ことを行わなければならない。このため、多大な手間を要しており、経調栄養を行う作業者(看護婦など)が、手首を痛める問題が生じていた。またノズルと胃ろうチューブとの接続が螺子で行われている場合には、螺子溝に栄養剤が入り込むことで、工程3,5の実施が困難となる問題も生じていた。
【0006】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、シリンジの外筒内に挿入されるプランジャの動作によって栄養剤をチューブを介して人体の胃に注入する注入装置に設けられるコネクタであって、当該コネクタがチューブ及び外筒の吸排ノズルに接続された状態で、プランジャを後退及び前進させる簡易な作業が行われることにより、栄養剤をチューブを介して胃に注入できるコネクタ、及び当該コネクタを有する注入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0008】
項1.シリンジの外筒内に挿入されるプランジャを動作させることで栄養剤をチューブを介して人体の胃に注入可能な注入装置に設けられるコネクタであって、
箱状のコネクタ本体と、
栄養剤を前記コネクタ本体の内部に流入させるための第一流入口が形成された第一ノズルと、
前記コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を吐出するための第一吐出口が形成されて、前記チューブに接続されることで前記第一吐出口から吐出された栄養剤を前記チューブに導くことが可能な第二ノズルと、
前記外筒の先端に形成される吸排ノズルに接続されることで前記コネクタ本体の内部と前記シリンジの外筒の内部とを連通させる第三ノズルと、
前記第一流入口を開閉するための第一開閉弁と、
前記第一吐出口を開閉するための第二開閉弁とを備え、
前記プランジャを後退させて前記コネクタ本体の内部を減圧することで、前記第一開閉弁が前記第一流入口を開放した状態となり、且つ、前記第二開閉弁が前記第一吐出口を閉塞した状態となって、前記減圧により、栄養剤を、前記第一ノズル内に流入させるとともに、前記第一流入口を通過させて前記コネクタ本体の内部に流入させることが可能であり、前記プランジャを前進させて前記コネクタ本体の内部を加圧することで、前記第一開閉弁が前記第一流入口を開放した状態となり、且つ、前記第二開閉弁が前記第一吐出口を閉塞した状態となって、前記加圧によって、前記コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を、前記第一吐出口及び前記第二ノズル内を通過させて、前記チューブ内に導くことが可能である、コネクタ。
【0009】
項2.前記第一ノズルは、第一筒状部と、第一底板部と、第二筒状部と、第三筒状部とを備え、
前記第一筒状部は、前記第一底板部から突出するように設けられて、前記第一底板部によって底が構成されており、前記第一流入口は、前記第一底板部に形成され、
前記第二筒状部は、前記第一底板部から前記第一筒状部の反対側へ突出するように設けられており、前記第二筒状部の内部は、前記第一流入口に連通しており、
前記第三筒状部は、前記コネクタ本体の外壁から突出するように設けられて、前記第三筒状部の底は、前記コネクタ本体の外壁によって構成されており、前記第三筒状部の底には、前記コネクタ本体の内部と連通する第二流入口が形成されており、
前記第一開閉弁は、第一環状体と、前記第一流入口よりも大径に形成されて、前記第一環状体の内側に配置される第一フラップと、前記第一環状体の内周の一部と前記第一フラップの外周の一部とを接続する第一接続部とを備えており、前記第一開閉弁が前記第一筒状部内に入れられて、前記第一フラップが前記第一流入口を覆うように、前記第一底板部に前記第一環状体が載置された状態で、前記第三筒状部が前記第一筒状部内に挿入されることで、前記第一環状体が前記第一底板部と前記第三筒状部の先端とに挟み込まれた状態とされ、
前記プランジャを後退させて前記コネクタ本体の内部を減圧することで、前記第一フラップが前記第三筒状部内へ傾いて前記第一流入口を開放し、前記減圧によって、栄養剤を、前記第二筒状部の先端開口から前記第二筒状部内に流入させるとともに、前記第一流入口、前記第三筒状部内、及び前記第二流入口を通過させて、前記コネクタ本体の内部に流入させることが可能であり、前記プランジャを前進させて前記コネクタ本体の内部を加圧することで、前記第一フラップの外周縁が前記第一底板部に押し付けられて前記第一フラップが前記第一流入口を閉塞した状態となる項1に記載のコネクタ。
【0010】
項3.前記第一筒部は、前記第三筒状部が前記第一筒状部内に挿脱可能となるように、前記第三筒状部に取り付けられる項2に記載のコネクタ。
【0011】
項4.前記第二ノズルは、第四筒状部と、第二底板部と、第五筒状部と、第六筒状部とを備え、
前記第四筒状部は、前記第二底板部から突出するように設けられて、前記第二底板部によって底が構成されており、前記第二底板部には第二吐出口が形成され、
前記第五筒状部は、前記第二底板部から前記第四筒状部の反対側へ突出するように設けられており、前記第五筒状部の内部は、前記第二吐出口に連通しており、前記チューブは前記第五筒状部に接続され、
前記第六筒状部は、前記コネクタ本体の外壁から突出するように設けられて、前記コネクタ本体の外壁によって底が構成されており、前記第六筒状部の底に前記コネクタ本体の内部を連通する前記第一吐出口が形成されており、
前記第二開閉弁は、第二環状体と、前記第一吐出口よりも大径に形成されて、前記第二環状体の内側に配置される第二フラップと、前記第二環状体の内周の一部と前記第二フラップの外周の一部とを接続する第二接続部とを備えており、前記第二開閉弁が前記第六筒状部内に入れられて、前記第二フラップが前記第一吐出口を覆うように、前記第六筒状部の底に前記第二環状体が載置された状態で、前記第四筒状部が前記第六筒状部内に挿入されることで、前記第二環状体が前記第六底状部の底と前記第四筒状部の先端とに挟み込まれた状態とされ、
前記プランジャを後退させて前記コネクタ本体の内部を減圧することで、前記第二フラップの外周縁が前記第六筒状部の底に押し付けられて前記第二フラップが前記第一吐出口を閉塞した状態となり、前記プランジャを前進させて前記コネクタ本体の内部を加圧することで、前記第二フラップが前記第四筒状部内へ傾いて前記第一吐出口を開放した状態となって、前記加圧によって、前記コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を、前記第一吐出口、前記第四筒状部内、前記第二吐出口、前記第五筒状部内を通過させて、前記チューブ内に導くことが可能である項1乃至3のいずれかに記載のコネクタ。
【0012】
項5.前記第四筒状部は、前記第四筒状部が前記第六筒状部内に挿脱可能となるように、前記第六筒状部に取り付けられる項4に記載のコネクタ。
【0013】
項6.栄養剤を人体の胃に注入する注入装置であって、
項1乃至5のいずれかに記載のコネクタと、
前記チューブと、
前記外筒及び前記プランジャを備える前記シリンジとを有する注入装置。
【0014】
項7.前記第三ノズルは、第七筒状部と、第八筒状部と、第九筒状部とを備え、
前記第七筒状部は、前記コネクタ本体の外壁から突出するように設けられて、前記第七筒状部の底は、前記コネクタ本体の外壁によって構成されており、前記第七筒状部の底に前記コネクタ本体の内部と連通する前記第一吸排口が形成されており、
前記第九筒状部は、一端側の大径部と、他端側の小径部とを備えるものであって、前記大径部の内側に前記第八筒状部の一端側が通過するように配置されて、前記小径部が前記第八筒状部の外壁に接続されており、
前記吸排ノズルは、前記外筒の先端壁から突出するように設けられて、前記吸排ノズルの底は、前記外筒の先端壁によって構成されており、前記吸排ノズルの底には、前記外筒の内部と連通する第二吸排口が形成されており、
前記第八筒状部の一端側と前記第九筒状部の前記大径部との間に前記吸排ノズルが挿入されるように、前記第三ノズルが前記吸排ノズルに接続され、且つ、前記第八筒状部の他端側が前記第七筒状部内に挿入されるように、前記第八筒状部が前記第七筒状部に取り付けられることで、前記コネクタの内部と前記外筒の内部とが、前記第一吸排口、前記第八筒状部の内部、前記吸排ノズルの内部、及び前記第二吸排口を介して連通して、前記プランジャの後退により前記コネクタの内部を減圧し、前記プランジャの前進により、前記コネクタの内部を加圧することが可能である項6に記載の注入装置。
【0015】
項8.前記第三ノズルは、前記吸排ノズルが前記第八筒状部の一端側と前記第八筒状部の前記大径部との間に挿脱可能となるように、前記吸排ノズルに接続される項7に記載の注入装置。
【0016】
項9.前記第八筒状部は、前記第八筒状部の他端側を前記第七筒状部内に挿脱可能に、前記第七筒状部に取り付けられる項7又は8に記載の注入装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コネクタがチューブ及び外筒の吸排ノズルに接続された状態で、プランジャを後退及び前進させる簡易な作業が行われることにより、栄養剤をチューブを介して胃に注入できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るコネクタを備える注入装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る注入装置の使用時の状態を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る注入装置の動作を示す断面図であり、(A)は、コネクタ本体の内部に栄養剤を流入させているときの状態を示し、(B)は、コネクタ本体の内部に存在する栄養剤を吐出させているときの状態を示す。
図4】本発明の実施形態に係る注入装置を分解した状態を示す斜視図である。
図5】第一ノズルが分解された状態にあるコネクタを示す斜視図であり、(A)は、第一開閉弁を第一筒状部内に入れる以前の状態を示し、(B)は、第一開閉弁を第一筒状部内に入れた状態を示す。
図6】第二ノズルが分解された状態にあるコネクタを示す斜視図であり、(A)は、第二開閉弁を第六筒状部内に入れる以前の状態を示し、(B)は、第二開閉弁を第六筒状部内に入れた状態を示す。
図7】第三ノズルが設けられた側からコネクタを視た状態を示す斜視図である。
図8】吸排ノズルが設けられた側からシリンジを視た状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ1を備える注入装置3を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る注入装置3の使用時の状態を示す側面図である。図3は、本発明の実施形態に係る注入装置3の動作を示す断面図であり、図3(A)は、コネクタ本体10の内部に栄養剤2を流入させているときの状態を示し、図3(B)は、コネクタ本体10の内部に存在する栄養剤2を吐出させているときの状態を示す。
【0021】
本発明の実施形態に係るコネクタ1は、栄養剤2を人体の胃に注入するために使用される注入装置3に設けられる。栄養剤2は、特に限定されないが、例えば流動食(流動性を有した食材)とされる。
【0022】
注入装置3は、上記のコネクタ1と、チューブ4と、シリンジ7とを備える。シリンジ7は、外筒5と、外筒5内に挿入されるプランジャ6を備えており、注入装置3は、プランジャ6を動作させることで(具体的にはプランジャ6を後退及び前進させることで)、栄養剤2をチューブ4を介して人体の胃に注入可能である。
【0023】
チューブ4は、人体に空けられた孔に通されることで、チューブ4内を通過した栄養剤2を胃に供給可能である。なお人体に空けられた孔に通されたカテーテルにチューブ4が接続されることで、チューブ4内を通過した栄養剤2がカテーテルを介して胃に供給されてもよい。
【0024】
シリンジ7の外筒5の先端には、吸排ノズル8が設けられる、プランジャ6は、外筒5の基端の開口から外筒5内に挿入されるものであり、作業者によってプランジャ6を前進及び後退させることが可能である。なお「プランジャ6を前進させる」とは、「吸排ノズル8が設けられた側(外筒5の先端側)にプランジャ6を移動させること」を意味する(図3(B)はプランジャ6を前進させているときの状態を示す)。「プランジャ6を後退させる」とは、「吸排ノズル8が設けられていない側(外筒5の基端側)にプランジャ6を移動させること」を意味する(図3(A)はプランジャ6を後退させているときの状態を示す)。シリンジ7及びチューブ4は、それぞれ従来の経調栄養で使用されているシリンジ及びチューブと同様の材料を用いて形成され得る。
【0025】
コネクタ1は、箱状のコネクタ本体10と、第一ノズル11と、第二ノズル12と、第三ノズル13と、第一開閉弁14と、第二開閉弁15とを備える。コネクタ本体10、第一ノズル11、第二ノズル12、及び第三ノズル13を構成する部材は、例えば樹脂から形成され、当該樹脂として例えばABS樹脂が使用され得る。第一開閉弁14及び第二開閉弁15を構成する部材は、可撓性材料から形成されており、当該可撓性材料として例えばポリプリプレンを使用できる。
【0026】
第一ノズル11には、栄養剤2をコネクタ本体10の内部10aに流入させるための第一流入口16が形成される。第二ノズル12には、コネクタ本体10の内部10aに存在する栄養剤2を吐出するための第一吐出口17が形成される。第二ノズル12は、チューブ4に接続されて、第一吐出口17から吐出された栄養剤2をチューブ4に導くことが可能である。第三ノズル13は、外筒5の吸排ノズル8に接続されて、コネクタ本体10の内部10aとシリンジ7の外筒5の内部5aとを連通させる。第一開閉弁14は、第一流入口16を開閉するために設けられる。第二開閉弁15は、第一吐出口17を開閉するために設けられる。上記の「シリンジ7の外筒5の内部5a」とは、外筒5とプランジャ6の先端とによって囲まれる外筒5の内部空間を意味する。プランジャ6の先端にガスケットが設けられる場合には、上記の「シリンジ7の外筒5の内部5a」は、外筒5とガスケットとによって囲まれる外筒5の内部空間に相当する。
【0027】
注入装置3の使用時には、図2に示すように、椀18内に貯留させた栄養剤2に第一ノズル11が浸漬された状態とされる。この状態で、プランジャ6を後退させてコネクタ本体10の内部10aを減圧することで、第一開閉弁14が第一流入口16を開放した状態となり、且つ、第二開閉弁15が第一吐出口17を閉塞した状態となって、上記の減圧により、椀18内の栄養剤2が、第一ノズル11内に流入するとともに、第一流入口16を通過してコネクタ本体10の内部10aに流入する(図3(A))。そして、プランジャ6を前進させてコネクタ本体10の内部10aを加圧することで、第一開閉弁14が第一流入口16を閉塞した状態となり、且つ、第二開閉弁15が第一吐出口17を開放した状態となる(図3(B))。これにより、コネクタ本体10の内部10aに存在する栄養剤2が、上記の加圧によって、第一吐出口17及び第二ノズル12内を通過して、チューブ4内に導かれる。
【0028】
以下、注入装置3の詳細な構造及び機能について説明する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る注入装置3を分解した状態を示す斜視図である。図5は、第一ノズル11が分解された状態にあるコネクタ1を示す斜視図であり、図5(A)は、第一開閉弁14を後述の第一筒状部20内に入れる以前の状態を示し、図5(B)は、第一開閉弁14を第一筒状部20内に入れた状態を示す。
【0030】
第一ノズル11は、第一筒状部20と、第一底板部21と、第二筒状部22と、第三筒状部23とを備える。
【0031】
第一筒状部20は、第一底板部21から突出するように設けられる。第一筒状部20の底は、第一底板部21によって構成されており、第一流入口16は、第一底板部21を貫通するように、第一底板部21に形成される。
【0032】
第二筒状部22は、第一底板部21から第一筒状部20の反対側へ突出するように設けられる。第二筒状部22の内部は、第一流入口16に連通する(図3)。注入装置3の使用時には、椀18内に貯留させた栄養剤2に第二筒状部22が浸漬された状態とされる(図2)。
【0033】
第三筒状部23は、コネクタ本体10の外壁24から突出するように設けられる。第三筒状部23の底は、コネクタ本体10の外壁24によって構成されており、第三筒状部23の底には第二流入口25が形成される。第二流入口25は、コネクタ本体10の内部10aと連通する(図3)。
【0034】
第一開閉弁14は、第一環状体30と、第一フラップ31と、第一接続部32とを備える(図5)。第一フラップ31は、第一流入口16よりも大径に形成されており、第一環状体30の内側に設けられる。第一接続部32は、第一環状体30の内周の一部と第一フラップ31の外周の一部とを接続する。第一開閉弁14を形成する可撓性材料としてポリプロピレンが使用される場合には、第一開閉弁14の厚さは例えば0.2mm程度とされる。
【0035】
注入装置3を組み立てる際には、第一開閉弁14が第一筒状部20内に入れられて、第一フラップ31が第一流入口16を覆うように第一底板部21に第一環状体30が載置される(図5(B))。そしてこの状態で、第三筒状部23が第一筒状部20内に挿入されることで、第一環状体30が第一底板部21と第三筒状部23とに挟み込まれた状態とされる(図3)。
【0036】
なお本実施形態では、第三筒状部23が第一筒状部20内に挿脱可能に第一筒状部20を第三筒状部23に取り付けるために(すなわち第三筒状部23が第一筒状部20内に挿脱可能に、第一筒状部20をコネクタ本体10に取り付けるために)、第一筒状部20の内周面に雌螺子33(図5)が形成され、第三筒状部23の外周面に雄螺子34(図5)が形成される。第三筒状部23を第一筒状部20内に挿入する際には、雌螺子33と雄螺子34とを螺合させることで、第一筒状部20が第三筒状部23に取り付けられる(すなわち第一筒状部20がコネクタ本体10に取り付けられる)。そして雌螺子33と雄螺子34との螺合を解除することで、第三筒状部23が第一筒状部20内から抜かれて、第一筒状部20が第三筒状部23から取り外される(すなわち第一筒状部20がコネクタ本体10から取り外される)。
【0037】
なお第三筒状部23が第一筒状部20内に挿脱可能となるように第一筒状部20を第三筒状部23に取り付ける方法は、上記の方法に限定されない。例えば、第一筒状部20の内周面と、第三筒状部23の外周面とのうち、一方に凸部を形成し、他方に当該凸部と係合する凹部を形成してもよい。この場合、第三筒状部23を第一筒状部20内に挿入する際に、上記の凸部と凹部とを係合させることで、第一筒状部20が第三筒状部23に取り付けられる(すなわち第一筒状部20がコネクタ本体10に取り付けられる)。そして第一筒状部20内から第三筒状部23を抜く際に、凸部と凹部との係合を解除することで、第一筒状部20が第三筒状部23から取り外される(すなわち第一筒状部20がコネクタ本体10から取り外される)。
【0038】
図6は、第二ノズル12が分解された状態にあるコネクタ1を示す斜視図であり、図6(A)は、第二開閉弁15を後述の第六筒状部43内に入れる以前の状態を示し、図6(B)は、第二開閉弁15を第六筒状部43内に入れた状態を示す。
【0039】
第二ノズル12は、第四筒状部40と、第二底板部41と、第五筒状部42(図1図4)と、第六筒状部43とを備える。
【0040】
第四筒状部40は、第二底板部41から突出するように設けられる。第四筒状部40の底は、第二底板部41によって構成されており、第二底板部41には第二吐出口44が形成される。
【0041】
第五筒状部42は、第二底板部41から第四筒状部40の反対側へ突出するように設けられる。第五筒状部42の内部は、第二吐出口44に連通する(図3)。チューブ4は第五筒状部42に接続される(図1図4)。
【0042】
第六筒状部43は、コネクタ本体10の外壁24から突出するように設けられる。当該第六筒状部43の底は、コネクタ本体10の外壁24によって構成されており、第六筒状部43の底には第一吐出口17が形成される。第一吐出口17はコネクタ本体10の内部10aと連通する(図3)。
【0043】
第二開閉弁15(図6)は、第一開閉弁14(図5)と類似した構造を有するものであり、第二環状体50と、第二フラップ51と、第二接続部52とを備える。第二フラップ51は、第一吐出口17よりも大径に形成されて、第二環状体50の内側に設けられる。第二接続部52は、第二環状体50の内周の一部と第二フラップ51の外周の一部とを接続する。第二開閉弁15を形成する可撓性材料としてポリプロピレンが使用される場合には、第二開閉弁15の厚さは例えば0.2mm程度とされる。
【0044】
注入装置3を組み立てる際には、第二開閉弁15が第六筒状部43内に挿入されて、第二フラップ51が第一吐出口17を覆うように、第六筒状部43の底に第二環状体50が載置される(図6(B))。この状態で、第四筒状部40が第六筒状部43内に挿入されることで、第二環状体50が第六筒状部43の底をなすコネクタ本体10の外壁24と第四筒状部40の先端とに挟み込まれた状態とされる(図3)。
【0045】
なお本実施形態では、第四筒状部40が第六筒状部43内に挿脱可能に第四筒状部40を第六筒状部43に取り付けるために(すなわち第四筒状部40をコネクタ本体10に取り付けるために)、第四筒状部40の外周面に雄螺子53(図6)が形成され、第六筒状部43の内周面に雌螺子54(図6)が形成される。第四筒状部40を第六筒状部43内に挿入する際には、雄螺子53と雌螺子54とを螺合させることで、第四筒状部40が第六筒状部43に取り付けられる(すなわち第四筒状部40がコネクタ本体10に取り付けられる)。そして雄螺子53と雌螺子54との螺合を解除することで、第三筒状部23が第一筒状部20内から抜かれて、第四筒状部40が第六筒状部43から取り外される(すなわち第四筒状部40がコネクタ本体10から取り外される)。
【0046】
なお第四筒状部40が第六筒状部43内に挿脱可能に第四筒状部40を第六筒状部43に取り付ける方法は、上記に限定されない。例えば、第四筒状部40の外周面と、第六筒状部43の内周面とのうち、一方に凸部を形成し、他方に当該凸部と係合する凹部を形成してもよい。この場合、第四筒状部40を第六筒状部43内に挿入する際に、上記の凸部と凹部とを係合させることで、第四筒状部40が第六筒状部43に取り付けられる(第四筒状部40がコネクタ本体10に取り付けられる)。そして第六筒状部43内から第四筒状部40を抜く際に、凸部と凹部との係合を解除することで、第四筒状部40が第六筒状部43から取り外される。
【0047】
図7は、第三ノズル13が設けられた側からコネクタ1を視た状態を示す斜視図である。
【0048】
第三ノズル13は、第七筒状部60と、第八筒状部61と、第九筒状部62とを備える。
【0049】
第七筒状部60は、コネクタ本体10の外壁24から突出するように設けられる。第七筒状部60の底は、コネクタ本体10の外壁24によって構成されており、第七筒状部60の底には第一吸排口63が形成される(図3)。第一吸排口63はコネクタ本体10の内部10aと連通する。
【0050】
第九筒状部62は、一端側の大径部64と、他端側の小径部65(図3図4)とを備える。当該第九筒状部62は、大径部64の内側に第八筒状部61の一端側が通過するように配置されて、小径部65が第八筒状部61の外壁に接続される。この接続は、例えば小径部65と第八筒状部61の外壁とを溶着することで実現される。
【0051】
図8は、吸排ノズル8が設けられた側(外筒5の先端側)からシリンジ7を視た状態を示す斜視図である。
【0052】
吸排ノズル8は、外筒5の先端壁70から突出するように設けられる。吸排ノズル8の底は、外筒5の先端壁70によって構成されており、当該吸排ノズル8の底には第二吸排口71が形成される。第二吸排口71は外筒5の内部5aと連通する(図3)。
【0053】
注入装置3を組み立てる際には、第八筒状部61の一端側と第九筒状部62の大径部64との間に吸排ノズル8が挿入されるように、第三ノズル13が吸排ノズル8に接続され、且つ、第八筒状部61の他端側が第七筒状部60内に挿入されるように、第八筒状部61が第七筒状部60に取り付けられる(すなわち第八筒状部61がコネクタ本体10に取り付けられる)。これにより、コネクタ1の内部と外筒5の内部5aとが、第一吸排口63、第八筒状部61の内部、吸排ノズル8の内部、及び第二吸排口71を介して連通して、プランジャ6の後退によりコネクタ1の内部を減圧し、プランジャ6の前進により、コネクタ1の内部を加圧することが可能とされる。
【0054】
なお本実施形態では、第八筒状部61の他端側を第七筒状部60内に挿脱可能に、第八筒状部61を第七筒状部60に取り付けるために、第八筒状部61の他端側の外周面に雄螺子72(図3図4)が形成され、第七筒状部60の内周面に雌螺子73(図3)が形成される。第八筒状部61の他端側を第七筒状部60内に挿入する際には、雄螺子72と雌螺子73とを螺合させることで、第八筒状部61が第七筒状部60に取り付けられる(すなわち第八筒状部61ががコネクタ本体10に取り付けられる)。そして、雄螺子72と雌螺子73との螺合を解除することで、第八筒状部61が第七筒状部60内から抜かれて、第八筒状部61が第七筒状部60から取り外される(すなわち第八筒状部61がコネクタ本体10から取り外される)。
【0055】
なお第八筒状部61の他端側の外周面と、第七筒状部60の内周面とのうち、一方に凸部を形成し、他方に当該凸部と係合する凹部を形成してもよい。この場合、凸部と凹部とを係合させることで、第八筒状部61が第七筒状部60に取り付けられ、凸部と凹部との係合を解除することで、第八筒状部61が第七筒状部60から取り外される。
【0056】
また本実施形態では、吸排ノズル8が第八筒状部61の一端側と第九筒状部62の大径部64との間に挿脱可能に、第三ノズル13を吸排ノズル8に取り付けるために、吸排ノズル8の外周面に一対の螺子山74,74(図8)が形成され、大径部64の内周面に雌螺子75(図7)が形成される。吸排ノズル8を第八筒状部61の他端側と大径部64との間に挿入する際には、螺子山74,74を雌螺子75に螺合させることで、第三ノズル13が吸排ノズル8に接続される(すなわち第三ノズル13がシリンジ7の外筒5に接続される)。そして螺子山74,74と雌螺子75との螺合を解除することで、第三ノズル13が吸排ノズル8から取り外される(すなわち第三ノズル13がシリンジ7の外筒5から取り外される)。
【0057】
なお、上記の一対の螺子山72,72の代わりに、螺旋状の雄螺子を吸排ノズル8の外周面に形成してもよい。この場合には、上記の雄螺子に螺合可能な螺旋状の雄螺子が大径部64の内周面に形成され、上記の雄螺子と雌螺子との螺合により、第三ノズル13が吸排ノズル8に接続され、上記の雄螺子と雌螺子との螺合を解除することで、第三ノズル13が吸排ノズル8から取り外される。
【0058】
或いは、吸排ノズル8の外周面と、大径部64の内周面とのうち、一方に凸部を形成し、他方に当該凸部と係合する凹部を形成してもよい。この場合、凸部と凹部とを係合させることで、第三ノズル13が吸排ノズル8に接続され、凸部と凹部との係合を解除することで、第三ノズル13が吸排ノズル8から取り外される。
【0059】
注入装置3の使用時には、プランジャ6を後退させてコネクタ本体10の内部10aを減圧することで、第二フラップ51の外周縁が第六筒状部43の底に押し付けられて、第二フラップ51が第一吐出口17を閉塞した状態となる(図3(A))。また上記のプランジャ6の後退でコネクタ本体10の内部10aが減圧されることで、第一フラップ31が第三筒状部23内へ傾いて第一流入口16を開放する(図3(A))。これにより上記の減圧で、椀18内にある栄養剤2が、第二筒状部22の先端開口から第二筒状部22内に流入するとともに、第一流入口16、第三筒状部23内、及び第二流入口25を通過して、コネクタ本体10の内部10aに流入する。
【0060】
そしてプランジャ6を前進させてコネクタ本体10の内部10aを加圧することで、第一フラップ31の外周縁が第一底板部21に押し付けられて、第一フラップ31が第一流入口16を閉塞した状態となる(図3(B))。また上記のプランジャ6の前進でコネクタ本体10の内部10aが加圧されることで、第二フラップ51が第四筒状部40内へ傾いて第一吐出口17を開放した状態となる(図3(B))。これにより、上記の加圧で、コネクタ本体10の内部10aに存在する栄養剤2が、第一吐出口17、第四筒状部40内、第二吐出口44、第五筒状部42内を通過して、チューブ4内に導かれて、当該チューブ4内を通過した栄養剤2が胃に供給される。なお、栄養剤2が粘性を有する流動食とされる場合には、第二筒状部22の内径、第一流入口16の径、第二流入口25の径、第一吐出口17の径、第二吐出口44の径、第五筒状部42の内径、第一吸排口63の径、第八筒状部61の内径、及び第二吸排口71の径は、例えば、2.9mm以上5mm以下とされる。
【0061】
本実施形態に係るコネクタ1によれば、第二ノズル12がチューブ4に接続され、第三ノズル13が外筒5の吸排ノズル8に接続された状態で、プランジャ6を後退及び前進させる簡易な作業を行うことで栄養剤2をチューブ4を介して胃に注入できる。当該コネクタ1によれば、従来技術のように、1回の栄養剤2の注入を行うたびに、チューブ4にノズルを接続することや、チューブ4からノズルを取り外すことを要しないため、経調栄養を行う作業者(看護婦など)の作業負担を軽減できる。
【0062】
また本実施形態によれば、第三筒状部23が第一筒状部20内に挿脱可能であることで、第一筒状部20及び第三筒状部23の洗浄を行うことができる。さらに第一筒状部20内から第三筒状部23を抜くことで、第一筒状部20内から第一開閉弁14を取り出すことができる。このため第一開閉弁14の洗浄及び交換が可能である。したがって、栄養剤2を第一ノズル11を介してコネクタ本体10の内部10aに流入させることや、第一開閉弁14が第一流入口16を開閉することを、長期に亘って安定して継続できる。
【0063】
また本実施形態によれば、第四筒状部40が第六筒状部43内に挿脱可能であることで、第四筒状部40及び第六筒状部43の洗浄を行うことができる。さらに第四筒状部40を第六筒状部43内から抜くことで、第六筒状部43内から第二開閉弁15を取り出すことができる。第一開閉弁14の洗浄及び交換が可能である。したがって、栄養剤2を第二ノズル12を介してチューブ4に導くことや、第二開閉弁15が第一吐出口17を開閉することを、長期に亘って安定して継続できる。
【0064】
また第三ノズル13が、吸排ノズル8が第八筒状部61と第八筒状部61の大径部64との間に挿脱可能であることで、吸排ノズル8、第八筒状部61、及び第九筒状部62の洗浄を行うことができる。このため、第一吸排口63、第八筒状部61の内部、吸排ノズル8の内部、及び第二吸排口44を介して、コネクタ1の内部と外筒5の内部5aとが連通した状態を安定して維持できる。これにより、プランジャ6の動作(後退及び前進)でコネクタ本体10の内部10aを減圧及び加圧することを、長期に亘って安定して継続できる。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変できる。
【0066】
例えば上記の実施形態では、椀18内に貯留させた栄養剤2を、注入装置3を用いて人体の胃に注入する例を示したが、バッグ内に収容された栄養剤2を、注入装置3を用いて人体の胃に注入してもよい。この場合、例えばバッグから延びるチューブに第一ノズル11が接続される。そしてプランジャ6の後退によりコネクタ本体10の内部10aを減圧することで、バッグ内の栄養剤2を、チューブ4及び第一ノズル11を介してコネクタ本体10内に流入させることが行われる。
【0067】
また第一ノズル11及び第一開閉弁14の構造は、図示例の構造に限定されない。例えば、第一ノズル11の全体が、コネクタ本体10の外壁24の一部によって構成されてもよい。この場合、第一ノズル11を構成する外壁24に第一流入口16が形成されて、第一流入口16はコネクタ本体10の内部10aと連通するものとされる。そして第一開閉弁14は、プランジャ6の後退によるコネクタ本体10の内部10aの減圧で、第一流入口16を開放し、プランジャ6の前進によるコネクタ本体10の内部10aの加圧で第一流入口16を閉塞するものとされる。
【0068】
また第一開閉弁14として、ボール(例えば鉄球)の動きによって第一流入口16を開閉可能なボールバルブ、或いは第一流入口16を開閉可能なダックビルバルブが使用されてもよい。
【0069】
また、第二ノズル12及び第二開閉弁15の構造も、図示例の構造に限定されない。例えば、第二ノズル12の全体は、コネクタ本体10の外壁24の一部によって構成されてもよい。この場合、第二ノズル12を構成する外壁24に第一吐出口17が形成されて、第一吐出口17は、コネクタ本体10の内部10aと連通するものとされる。そして第二開閉弁15は、プランジャ6の後退によるコネクタ本体10の内部10aの減圧で、第一吐出口17を閉塞し、プランジャ6の前進によるコネクタ本体10の内部10aの加圧で第一吐出口17を開放するものとされる。
【0070】
また第二開閉弁15として、ボール(例えば鉄球)の動きによって第一吐出口17を開閉可能なボールバルブ、或いは第一吐出口17を開閉可能なダックビルバルブが使用されてもよい。
【0071】
また第三ノズル13及び吸排ノズル8の構造も、図示例の構造に限定されない。例えば、第三ノズル13の全体は、コネクタ本体10の外壁24の一部によって構成されてもよい。この場合、第三ノズル13を構成する外壁24に形成される開口に吸排ノズル8が挿入されることにより、コネクタ本体10の内部10aと、内部とが連通するものとされる。
【符号の説明】
【0072】
1 コネクタ
2 栄養剤
3 注入装置
4 チューブ
5 外筒
6 プランジャ
7 シリンジ
8 吸排ノズル
10 コネクタ本体
11 第一ノズル
12 第二ノズル
13 第三ノズル
14 第一開閉弁
15 第二開閉弁
16 第一流入口
17 第一吐出口
20 第一筒状部
21 第一底板部
22 第二筒状部
23 第三筒状部
24 コネクタ本体の外壁
25 第二流入口
30 第一環状体
31 第一フラップ
32 第一接続部
40 第四筒状部
41 第二底板部
42 第五筒状部
43 第六筒状部
44 第二吐出口
50 第二環状体
51 第二フラップ
52 第二接続部
60 第七筒状部
61 第八筒状部
62 第九筒状部
63 第一吸排口
64 大径部
65 小径部
70 外筒の先端壁、
71 第二吸排口
【要約】
【課題】シリンジの外筒に挿入されるプランジャを後退及び前進させる簡易な作業が行されることにより、栄養剤をチューブを介して胃に注入できるコネクタを提供する。
【解決手段】本発明のコネクタ1は、プランジャ6を後退させてコネクタ本体10の内部10aを減圧することで、第一開閉弁14が第一流入口16を開放した状態となり、且つ、第二開閉弁15が第一吐出口17を閉塞した状態となって、前記減圧により、栄養剤2を、コネクタ本体10の内部10aに流入させることが可能であり、プランジャ6を前進させてコネクタ本体10の内部10aを加圧することで、第一開閉弁14が第一流入口16を開放した状態となり、且つ、第二開閉弁15が第一吐出口17を閉塞した状態となって、前記加圧によって、コネクタ本体10の内部10aに存在する栄養剤2を、チューブ4内に導くことが可能である、
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8