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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】毛髪脱色・脱染剤及び毛髪の処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20230313BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 8/38 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230313BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/41
A61K8/22
A61K8/25
A61K8/38
A61K8/02
A61Q5/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019058519
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020158427
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 研
(72)【発明者】
【氏名】井口 顕策
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-104326(JP,A)
【文献】特開2018-104330(JP,A)
【文献】特開2009-196916(JP,A)
【文献】特開2011-093823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、
酸化剤と、3級アミン型カチオン性界面活性剤とを含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備え、
前記3級アミン型カチオン性界面活性剤が、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、及びステアリルジメチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記第2剤100質量%中、前記3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量が1.5質量%以上であり、
前記第2剤のpHが1.0以上、4.5以下であり、
前記第1剤1質量部に対して、前記第2剤2質量部を混合した液の25℃での粘度が18000mPa・s以上であり、
前記第1剤1質量部に対して、前記第2剤2質量部を混合した液のpHが6以上、11以下であり、
前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤を得るために、前記第1剤1質量部に対して、前記第2剤を0.8質量部以上、8.0質量部以下で混合して用いられる、毛髪脱色・脱染剤。
【請求項2】
前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上となるように、前記複数の剤を混合して用いられる、請求項1に記載の毛髪脱色・脱染剤。
【請求項3】
アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、
酸化剤と、3級アミン型カチオン性界面活性剤とを含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備え、
前記3級アミン型カチオン性界面活性剤が、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、及びステアリルジメチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記第2剤100質量%中、前記3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量が1.5質量%以上であり、
前記第2剤のpHが1.0以上、4.5以下であり、
前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上であり、
前記混合剤のpHが6以上、11以下であり、
前記混合剤を得るために、前記第1剤1質量部に対して、前記第2剤を0.8質量部以上、8.0質量部以下で混合して用いられる、毛髪脱色・脱染剤。
【請求項4】
前記アルカリ剤が、過硫酸塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪脱色・脱染剤。
【請求項5】
アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤及び3級アミン型カチオン性界面活性剤を含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備える毛髪脱色・脱染剤を用いて、前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合して混合剤を得る工程と、
前記混合剤を毛髪に塗布する工程とを備え、
前記3級アミン型カチオン性界面活性剤が、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、及びステアリルジメチルアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記第2剤100質量%中、前記3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量が1.5質量%以上であり、
前記第2剤のpHが1.0以上、4.5以下であり、
前記混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上であり、
前記混合剤のpHが6以上、11以下であり、
前記混合剤を得るために、前記第1剤1質量部に対して、前記第2剤を0.8質量部以上、8.0質量部以下で混合する、毛髪の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とを少なくとも備える毛髪脱色・脱染剤に関する。また、本発明は、上記毛髪脱色・脱染剤を用いる毛髪の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を脱色又は脱染するために、アルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とを備える2剤式の毛髪脱色・脱染剤が広く用いられている。このような毛髪脱色・脱染剤は、第1剤と第2剤とを混合し、得られた混合剤を毛髪に塗布して用いられる。
【0003】
下記の特許文献1には、酸化クロム及び/又はベンガラ、アルカリ剤、並びに過硫酸塩を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤とからなる毛髪脱色剤が開示されている。
【0004】
下記の特許文献2には、過酸化水素と、芳香族ニトロ化合物とを含み、着色されている組成物が開示されている。特許文献2には、この組成物を毛髪脱色剤の第2剤として用いることができることが記載されている。
【0005】
下記の特許文献3には、1種又は2種以上の酸化染料を用いて、第1剤と第2剤とのどちらか一方が着色されたか、又は、第1剤と第2剤との双方が互いに異なる色で着色された染毛剤組成物が開示されている。この染毛剤組成物は、第1剤と第2剤を同時に吐出する機構を有する容器に充填して用いられる2剤式泡沫状染毛剤組成物である。なお、特許文献3には、該染毛剤組成物を毛髪脱色剤として用いることができることが記載されている。
【0006】
下記の特許文献4には、過硫酸塩と塩化ナトリウムとを含有する粉末状脱色補助剤組成物、及び粉末状脱色補助剤組成物を含有する毛髪脱色剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2006-342125号公報
【文献】特開昭63-035406号公報
【文献】特開平10-287534号公報
【文献】特開2006-225354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の多剤式の毛髪脱色・脱染剤では、第1剤と第2剤との混合性に劣ることがある。第1剤が粉末状であると、混合性が特に低下しやすく、例えば、第1剤と第2剤との混合時に第1剤が飛散することがある。また、第1剤が過硫酸塩を含む場合に、第1剤と第2剤との混合が不十分であると、過硫酸塩が混合剤中で局所的に高濃度になり、酸化剤の分解反応が過度に促進されるため、混合剤が発泡したり、発熱したりする。
【0009】
混合性を良好にするために、混合剤の粘度を低くした場合には、毛髪への付着性が低下し、混合剤が毛髪から垂れ落ちやすくなる。混合剤の粘度が低い場合には、特に、短毛部分(例えば刈り上げ部分)への付着性が低下し、垂れ落ちがより一層生じやすくなる。毛髪への付着性が低下すると、脱色力が低下する。
【0010】
上記の特許文献1-3に記載の毛髪脱色剤では、第1剤又は第2剤を着色しているため、第1剤と第2剤との混合状態を容易に確認することができるものの、第1剤と第2剤との混合性を高めることは困難である。また、特許文献1-3に記載の毛髪脱色剤では、混合剤の粘度が十分に高くならず、毛髪への付着性を高めることは困難である。
【0011】
上記の特許文献4に記載の毛髪脱色剤では、混合性をある程度高めることができる。しかしながら、特許文献4に記載の毛髪脱色剤であっても、混合性を十分に高めることが困難なことがある。また、特許文献4に記載の毛髪脱色剤では、混合剤の粘度が十分に高くならず、毛髪への付着性を十分に高めることは困難である。
【0012】
本発明の目的は、第1剤と第2剤とを良好に混合することができ、かつ得られる混合剤の毛髪への付着性を高めることができる毛髪脱色・脱染剤を提供することである。また、本発明の目的は、混合剤の毛髪への付着性を高めることができる毛髪の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤と、3級アミン型カチオン性界面活性剤とを含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備え、前記第1剤1質量部に対して、前記第2剤2質量部を混合した液の25℃での粘度が18000mPa・s以上である、毛髪脱色・脱染剤を提供する。
【0014】
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上となるように、前記複数の剤を混合して用いられることが好ましい。
【0015】
本発明は、アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤と、3級アミン型カチオン性界面活性剤とを含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備え、前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上である、毛髪脱色・脱染剤を提供する。
【0016】
本発明の毛髪脱色・脱染剤では、前記アルカリ剤が、過硫酸塩を含むことが好ましい。
【0017】
また、本発明は、アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤及び3級アミン型カチオン性界面活性剤を含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備える毛髪脱色・脱染剤を用いて、前記第1剤及び前記第2剤を含む複数の剤を混合して混合剤を得る工程と、前記混合剤を毛髪に塗布する工程とを備え、前記混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上である、毛髪の処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤と、3級アミン型カチオン性界面活性剤とを含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備える。本発明の毛髪脱色・脱染剤では、上記第1剤1質量部に対して、上記第2剤2質量部を混合した液、又は、上記第1剤及び上記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上である。本発明の毛髪脱色・脱染剤では、上記の構成が備えられているので、第1剤と第2剤とを良好に混合することができ、かつ得られる混合剤の毛髪への付着性を高めることができる。
【0019】
本発明の毛髪の処理方法は、アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤及び3級アミン型カチオン性界面活性剤を含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備える毛髪脱色・脱染剤を用いる。本発明の毛髪の処理方法は、上記第1剤及び上記第2剤を含む複数の剤を混合して混合剤を得る工程と、上記混合剤を毛髪に塗布する工程とを備える。本発明の毛髪の処理方法では、上記混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上である。本発明の毛髪の処理方法では、混合剤の毛髪への付着性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、アルカリ剤を含み、かつ粉末状である第1剤と、酸化剤と、3級アミン型カチオン性界面活性剤とを含み、かつ25℃での粘度が11000mPa・s以下である第2剤とを少なくとも備える。
【0022】
本発明の毛髪脱色・脱染剤では、上記第1剤1質量部に対して、上記第2剤2質量部を混合した液、又は、上記第1剤及び上記第2剤を含む複数の剤を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上である。
【0023】
本発明の毛髪脱色・脱染剤では、上記の構成が備えられているので、第1剤と第2剤とを良好に混合することができ、かつ得られる混合剤の毛髪への付着性を高めることができる。本発明では、第1剤と第2剤との混合中には低粘度の状態が維持され、第1剤と第2剤とを良好に混合することができ、かつ混合後は、混合剤の粘度が高くなり、毛髪への付着性を高めることができる。
【0024】
また、本発明の毛髪脱色・脱染剤では、上記の構成が備えられているので、脱色・脱染力を高めることができる。
【0025】
上記アルカリ剤、上記酸化剤及び上記3級アミン型カチオン性界面活性剤は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0026】
上記第1剤と上記第2剤とは混合して、又は、毛髪脱色・脱染剤が3剤以上の剤を備える場合に3剤以上の複数の剤(上記第1剤と上記第2剤とその他の組成物(例えば第3剤等))は混合して、混合液を作製した後、得られる混合液を毛髪に塗布して用いられる。本明細書においては、上記混合液を「混合剤」と称する場合がある。したがって、混合剤は、毛髪に塗布される塗布液である。
【0027】
以下、本発明の毛髪脱色・脱染剤に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0028】
[第1剤(第1剤組成物)]
第1剤の性状は、粉末状である。
【0029】
(アルカリ剤)
上記第1剤は、アルカリ剤を含む。アルカリ剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0030】
上記アルカリ剤としては、過硫酸塩、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0031】
上記過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム等が挙げられる。
【0032】
毛髪中のメラニンの分解をより一層効果的に促進させ、短時間で優れた脱色・脱染効果を発揮させる観点から、上記アルカリ剤は、過硫酸塩、ケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれるアルカリ剤(少なくとも1のアルカリ剤)を含むことが好ましく、過硫酸塩、及びメタケイ酸ナトリウムからなる群より選ばれるアルカリ剤(少なくとも1のアルカリ剤)を含むことがより好ましく、過硫酸塩を含むことが更に好ましい。
【0033】
上記アルカリ剤100質量%中、上記過硫酸塩の含有量は、好ましくは60.0質量%以上、より好ましくは65.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは80.0質量%以下である。上記過硫酸塩の含有量が上記下限以上であると、脱色・脱染力をより一層高めることができる。上記過硫酸塩の含有量が上記上限以下であると、第1剤と第2剤との混合時の過度の発熱及び過度の発泡を抑えることができる。
【0034】
第1剤100質量%中、アルカリ剤の含有量は、好ましくは60.0質量%以上、より好ましくは70.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは85.0質量%以下である。上記アルカリ剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、混合剤のpHを好適な範囲内に調整しやすくなり、混合剤の粘度を好適な範囲とすることができ、毛髪への付着性及び塗布性をより一層高めることができる。上記アルカリ剤の含有量は、第1剤中の全てのアルカリ剤の含有量の合計である。
【0035】
(他の成分)
上記第1剤は、アルカリ剤以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分の性状は、粉末状である。
【0036】
上記他の成分としては、塩化ナトリウム、無水ケイ酸、及び炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0037】
上記第1剤は、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。第1剤が塩化ナトリウムを含むことにより、第1剤と第2剤との混合性をより一層高めることができる。
【0038】
上記第1剤がケイ酸ナトリウムと塩化ナトリウムとを含む場合に、第1剤中の塩化ナトリウムの含有量の第1剤中のケイ酸ナトリウムの含有量に対する質量比(塩化ナトリウムの含有量/ケイ酸ナトリウムの含有量)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上、好ましくは7.0以下、より好ましくは5.0以下である。上記質量比(塩化ナトリウムの含有量/ケイ酸ナトリウムの含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、塗布性を高めることができる。
【0039】
[第2剤(第2剤組成物)]
(3級アミン型カチオン性界面活性剤)
上記第2剤は、3級アミン型カチオン性界面活性剤を含む。3級アミン型カチオン性界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0040】
3級アミン型カチオン性界面活性剤を用いることにより、第1剤と第2剤とを良好に混合することができ、かつ得られる混合剤の毛髪への付着性を高めることができる。3級アミン型カチオン性界面活性剤は、比較的低いpH(例えばpHが4以下)の場合には低い粘度を有し、pHが高くなるにつれて増粘する性質を有する。3級アミン型カチオン性界面活性剤を用いることにより、第1剤と第2剤との混合中には低粘度の状態が維持され、第1剤と第2剤とを良好に混合することができ、混合後には第1剤に含まれるアルカリ剤の作用により混合剤のpHが高くなるため、混合剤の粘度が高くなり、毛髪への付着性を高めることができる。
【0041】
また、3級アミン型カチオン性界面活性剤を用いることにより、トリートメント性及びコンディショニング性を良好にすることができる。
【0042】
3級アミン型カチオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂肪酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、及びステアロキシプロピルジメチルアミン等が挙げられる。上記3級アミン型カチオン性界面活性剤は、上記化合物の塩類であってもよく、上記化合物の塩類の形態で第2剤中に配合されてもよい。
【0043】
第1剤と第2剤との混合性をより一層良好にし、かつ得られる混合剤の毛髪への付着性をより一層高める観点からは、上記3級アミン型カチオン性界面活性剤は、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドからなる群より選ばれる3級アミン型カチオン性界面活性剤(少なくとも1の3級アミン型カチオン性界面活性剤)を含むことが好ましい。
【0044】
第1剤と第2剤との混合性を更により一層良好にし、かつ得られる混合剤の毛髪への付着性を更により一層高める観点からは、上記3級アミン型カチオン性界面活性剤は、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドからなる群より選ばれる3級アミン型カチオン性界面活性剤であることがより好ましい。上記第2剤は、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドからなる群より選ばれる3級アミン型カチオン性界面活性剤を含むことが好ましい。
【0045】
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、及びステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドからなる群より選ばれる3級アミン型カチオン性界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0046】
上記第2剤100質量%中、3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上、最も好ましくは3.0質量%以上、好ましくは25.0質量%以下、より好ましくは18.0質量%以下、更に好ましくは15.0質量%以下である。上記3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、混合剤の粘度を好適な範囲とすることができるので、塗布性及び毛髪への付着性をより一層高めることができる。また、上記3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量が上記下限以上であると、トリートメント性及びコンディショニング性を良好にすることができる。上記3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量は、上記第2剤中の全ての3級アミン型カチオン性界面活性剤の含有量の合計である。
【0047】
(酸化剤)
上記第2剤は酸化剤を含む。酸化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0048】
上記酸化剤としては、過酸化水素等が挙げられる。
【0049】
上記第2剤100質量%中、酸化剤の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下である。上記酸化剤の含有量が上記下限以上であると、脱色・脱染効果がより一層高くなる。上記酸化剤の含有量が上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【0050】
(水)
上記第2剤は、水を含むことが好ましい。上記水は、精製水であることが好ましい。
【0051】
上記第2剤100質量%中、水の含有量は、第2剤を収容する容器の種類や目的とする第2剤の性状により適宜調整することができるが、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは80.0質量%以下である。
【0052】
(他の成分)
上記第2剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、3級アミン型カチオン性界面活性剤及び酸化剤以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、炭素数2~5の低級アルコール、多価アルコール、糖アルコール、炭素数12~18の高級アルコール、エステル油、炭化水素油、油脂、ロウ、シリコーン油、3級アミン型カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤、安定剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、植物抽出エキス、pH調整剤、香料、防腐剤及び溶剤等が挙げられる。
【0053】
上記低級アルコールとしては、エタノール等が挙げられる。
【0054】
上記多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール及びポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0055】
上記糖アルコールとしては、ソルビトール、マルチトール及びトレハロース等が挙げられる。
【0056】
上記高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0057】
上記エステル油としては、パルミチン酸イソプロピル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
【0058】
上記炭化水素油としては、流動パラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
【0059】
上記油脂としては、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油等が挙げられる。
【0060】
上記ロウとしては、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリン等が挙げられる。
【0061】
上記安定剤としては、エデト酸二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、及びリン酸等が挙げられる。
【0062】
上記第2剤は、上記多価アルコールを含まないか、又は、上記多価アルコールを0.5質量%以上で含むことが好ましい。上記第2剤が上記多価アルコールを含む場合に、上記第2剤100質量%中、多価アルコールの含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下である。上記多価アルコールの含有量が上記下限以上であると、混合剤の粘度を容易に好適な範囲とすることができる。上記多価アルコールの含有量が上記上限以下であると、上記3級アミン型カチオン性界面活性剤による混合剤の増粘効果より一層効果的に発揮させることができる。
【0063】
第2剤の性状は、特に限定されず、液状、ジェル状、及びクリーム状のいずれであってもよい。第2剤の性状は、液状、ジェル状又はクリーム状であることが好ましく、クリーム状であることがより好ましい。
【0064】
(第1剤及び第2剤の他の詳細)
上記第2剤の25℃での粘度は、11000mPa・s以下である。上記第2剤の25℃での粘度が11000mPa・sを超えると、第1剤と第2剤との混合性に劣ることがある。
【0065】
上記第2剤の25℃での粘度は、好ましくは1000mPa・s以上、好ましくは10100mPa・s以下、より好ましくは9000mPa・s以下、更に好ましくは7000mPa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、取扱性を高めることができる。上記粘度が上記上限以下であると、第1剤と第2剤とをより一層良好に混合することができる。なお、上記第2剤の25℃での粘度は1000mPa・s未満であってもよい。
【0066】
上記粘度は、粘度計を用いて、No.4ローターを使用して回転速度12rpm又は6rpm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、東機産業社製、TV-25型粘度計を使用可能である。
【0067】
上記第2剤のpHは、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。上記pHが上記下限以上であると、酸化剤(過酸化水素)の安定性が向上する。上記pHが上記上限以下であると、第2剤の25℃における粘度を上記の好適な範囲内に調整しやすくなり、第1剤と第2剤とをより一層良好に混合することができる。
【0068】
第1剤及び第2剤の製造方法としては、公知の第1剤及び第2剤の製造方法を採用することができる。第1剤及び第2剤の製造方法としては、例えば、各成分をパドルミキサー等で撹拌して均一化する方法等が挙げられる。
【0069】
(毛髪脱色・脱染剤の他の詳細)
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記第1剤と上記第2剤とを少なくとも備える。本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記第1剤と上記第2剤とを少なくとも備える毛髪脱色・脱染剤キットである。本発明の毛髪脱色・脱染剤は、多剤式の毛髪脱色・脱染剤である。
【0070】
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記第1剤及び上記第2剤に加えて、第3剤(第3剤組成物)をさらに備えていてもよい。第3剤としては、脱色剤、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤及びヘアコンディショニング剤等が挙げられる。また、本発明の毛髪脱色・脱染剤は、脱色剤等の第3剤と、ヘアリンス剤、ヘアトリートメント剤又はヘアコンディショニング剤等の第4剤(第4剤組成物)とを備えていてもよい。
【0071】
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、2剤式の毛髪脱色・脱染剤であってもよく、3剤式の毛髪脱色・脱染剤であってもよく、4剤式の毛髪脱色・脱染剤であってもよい。操作性に優れることから、本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記第1剤と上記第2剤とを備える2剤式の毛髪脱色・脱染剤であることが好ましい。
【0072】
上記第1剤及び上記第2剤は、容器に収容された形態で保存したり、用いたりできる。上記容器としては、例えば、ポリ容器、アルミニウムチューブ容器、パウチ容器、エアゾール容器等が挙げられる。上記容器は、特に限定されないが、利便性を高める観点からは、アルミニウムチューブ容器であることが好ましい。
【0073】
本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記第1剤と上記第2剤とを混合して、又は、上記第1剤と上記第2剤とその他の成分(例えば第3剤等)とを混合して、混合剤を作製した後、得られる混合剤を毛髪に塗布して用いられる。本発明の毛髪脱色・脱染剤は、混合されて混合剤として用いられる。
【0074】
上記混合剤の性状は、特に限定されず、液状、ジェル状、及びクリーム状のいずれであってもよい。混合剤の毛髪への付着性を効果的に高める観点からは、上記混合剤の性状は、ジェル状又はクリーム状であることが好ましい。
【0075】
一般的に、毛髪脱色・脱染剤の市販品では、複数の剤の混合比が定まっていることが多い。また、毛髪脱色・脱染剤の市販品では、複数の剤の全量が混合されて用いられることがある。
【0076】
上記第1剤と上記第2剤との2剤式の毛髪脱色・脱染剤では、上記第1剤と上記第2剤とを混合して、混合剤が得られる。上記第1剤と上記第2剤と第3剤との3剤式の毛髪脱色・脱染剤では、上記第1剤と上記第2剤と上記第3剤とを混合して、混合剤が得られる。上記第1剤と上記第2剤と第3剤と第4剤との4剤式の毛髪脱色・脱染剤では、上記第1剤と上記第2剤と上記第3剤と上記第4剤を混合して、混合剤が得られる。
【0077】
毛髪への付着性を高める観点から、第1剤1質量部に対して、第2剤2質量部を混合した液(以下、「液X」と記載することがある)、又は、第1剤及び第2剤を含む複数の剤(毛髪脱色・毛髪脱色・脱染剤が2剤式である場合には、第1剤及び第2剤)を混合した混合剤の25℃での粘度は、18000mPa・s以上である。
【0078】
液Xは、上記粘度を測定するために調製される。上記液Xは、混合剤であってもよく、混合剤とは異なっていてもよい。
【0079】
毛髪への付着性をより一層高める観点から、液Xの25℃での粘度は、好ましくは20000mPa・s以上、好ましくは60000mPa・s以下、より好ましくは50000mPa・s以下である。
【0080】
毛髪への付着性をより一層高める観点から、第1剤及び第2剤を含む複数の剤(毛髪脱色・毛髪脱色・脱染剤が2剤式である場合には、第1剤及び第2剤)を混合した混合剤の25℃での粘度は、好ましくは20000mPa・s以上、好ましくは60000mPa・s以下、より好ましくは50000mPa・s以下である。
【0081】
毛髪への付着性を高める観点から、本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記第1剤及び上記第2剤を含む複数の剤(毛髪脱色・毛髪脱色・脱染剤が2剤式である場合には、第1剤及び第2剤)を混合した混合剤の25℃での粘度が18000mPa・s以上となるように、上記複数の剤を混合して用いられることが好ましい。毛髪への付着性をより一層高める観点から、本発明の毛髪脱色・脱染剤は、上記混合剤の25℃での粘度が、好ましくは20000mPa・s以上、好ましくは60000mPa・s以下、より好ましくは50000mPa・s以下となるように、上記複数の剤を混合して用いられることが好ましい。
【0082】
上記粘度は、粘度計を用いて、No.4ローターを使用して回転速度12rpm又は6pm、回転時間1分間の条件で測定される。上記粘度計としては、東機産業社製、TV-25型粘度計を使用可能である。
【0083】
液Xの25℃での粘度の、第2剤の25℃での粘度に対する比(液Xの25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)は、好ましくは1.5以上、好ましくは60以下である。上記比(液Xの25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記比(液Xの25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)が上記上限以下であると、取扱性を高めることができる。なお、上記比(液Xの25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)は、60を超えていてもよい。
【0084】
混合剤の25℃での粘度の、第2剤の25℃での粘度に対する比(混合剤の25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)は、好ましくは1.5以上、好ましくは60以下である。上記比(混合剤の25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記比(混合剤の25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)が上記上限以下であると、取扱性を高めることができる。なお、上記比(混合剤の25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)は、60を超えていてもよい。
【0085】
上記液X又は上記混合剤のpHは、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、好ましくは11以下、より好ましくは10以下である。上記pHが上記下限以上であると、混合剤の25℃における粘度を上記の好適な範囲内に調整しやすくなり、毛髪への付着性及び塗布性を高めることができる。上記pHが上記上限以下であると、皮膚刺激が少なくなる。
【0086】
第1剤と第2剤とを混合する際の混合比は、特に限定されない。第1剤と第2剤とを良好に混合する観点からは、第1剤1質量部に対して、第2剤を、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下で混合して、混合剤を得ることが好ましい。
【0087】
(毛髪脱色・脱染剤を用いた毛髪の脱色・脱染方法)
本発明の毛髪脱色・脱染剤を用いて、毛髪を脱色又は脱染をすることができる。
【0088】
上記毛髪脱色・脱染剤を用いた毛髪の脱色・脱染方法は、上記第1剤及び上記第2剤を含む複数の剤を混合して混合剤を得る第1の工程と、該混合剤を毛髪に塗布する第2の工程とを備えることが好ましい。上記毛髪脱色・脱染剤が2剤式の上記毛髪脱色・脱染剤である場合に、該毛髪脱色・脱染剤を用いた毛髪の処理方法は、第1剤と第2剤とを混合して混合剤を得る第1の工程と、該混合剤を毛髪に塗布する第2の工程とを備えることが好ましい。
【0089】
上記第2の工程における塗布の方法は特に限定されない。塗布の方法としては、保護手袋を着用した手で塗布する方法、並びに、櫛及びブラシ等の塗布器具を用いる方法等が挙げられる。
【0090】
脱色・脱染効果を高める観点から、上記毛髪の処理方法は、上記混合剤が毛髪に塗布された状態で放置する第3の工程を備えることが好ましい。脱色・脱染効果をより一層高める観点から、上記放置する時間は、好ましくは5分以上、好ましくは30分以下である。
【実施例
【0091】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。なお、以下の実施例1,11は参考例である。
【0092】
実施例及び比較例において、第1剤及び第2剤の調製には下記の成分を用いた。
【0093】
[第1剤]
(アルカリ剤)
過硫酸カリウム
過硫酸アンモニウム
過硫酸ナトリウム
ケイ酸ナトリウム
メタケイ酸ナトリウム
(他の成分)
炭酸マグネシウム
塩化ナトリウム
無水ケイ酸
【0094】
[第2剤]
(3級アミン型カチオン性界面活性剤)
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド
ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド
(3級アミン型カチオン性界面活性剤に相当しない成分)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム:4級アミン型カチオン性界面活性剤
(酸化剤)
過酸化水素
(水)
精製水
(他の成分)
セタノール
ポリオキシエチレンセチルエーテル1:(青木油脂工業社製、商品名「ブラウノン CH-305」)
ポリオキシエチレンセチルエーテル2:(CRODA INC製、商品名「BRIJ C20-PA-(SG)」)
流動パラフィン:(Sonneborn社製、商品名「CARNATION」)
プロピレングリコール
グリセリン
ジプロピレングリコール
1,3-ブチレングリコール
リン酸
【0095】
(実施例1~13及び比較例1~7)
第1剤及び第2剤の調製:
下記の表1~3に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、第1剤及び第2剤を調製した。表中の配合量(第1剤100質量%中の配合量、及び第2剤100質量%中の配合量)は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0096】
実施例1~13及び比較例1~7で得られた第1剤の性状はいずれも粉末状であった。
【0097】
混合剤の調製:
下記の表1~3に示す第1剤と第2剤との組み合わせにおいて、得られた第1剤1質量部に対して、得られた第2剤を2質量部で混合し、専用の攪拌棒を用いて第1剤と第2剤とが完全に混ざるまで撹拌し、混合剤を得た。なお、得られた混合剤は、上記の液Xにも相当する。
【0098】
(評価)
得られた第1剤、第2剤及び混合剤について、以下の評価を行った。評価結果は表1~3中に示した。
【0099】
(試験例1:粘度)
得られた第2剤及び混合剤の25℃での粘度を測定した。また、測定した第2剤の粘度及び混合剤の粘度から、比(混合剤の25℃での粘度/第2剤の25℃での粘度)を算出した。
【0100】
なお、粘度は、TV-25型粘度計(東機産業社製)を用いて、No.4ローターを使用して回転速度12rpm、回転時間1分間の条件で測定した。なお、この条件で測定された粘度の測定値が50000mPa・s以下である場合には、その測定値を第2剤及び混合剤の25℃での粘度として採用した。また、この条件で測定された粘度の測定値が50000mPa・sを超える場合には、回転速度を6rpmに変更したこと以外は上記の条件と同様にして再度測定し、得られた測定値を第2剤及び混合剤の25℃での粘度とした。
【0101】
(試験例2:混合性)
得られた第1剤20gと得られた第2剤40gとを混合し、専用の攪拌棒を用いて30秒間撹拌した。撹拌後の混合状態を専門パネル3名が目視にて観察し、協議して評価結果を決定した。
【0102】
<混合性の評価基準>
○○(かなり良好):不均一な部分がなく、完全に混合している
○(良好):不均一な部分がほぼなく、ほぼ完全に混合している
△(やや良好):不均一な部分が一部残っている
×(不良):不均一な部分が多く残っている
【0103】
(試験例3:毛髪への付着性)
得られた混合剤10gを、専用のはけを用いて、水平に置いた10cmの平毛束(ビューラックス社製)に塗布した後、毛束を垂直に置き、3分間観察した。毛髪への付着性を以下の基準で判定した。
【0104】
<毛髪への付着性の評価基準>
○○(かなり良好):塗布後3分間で混合剤が毛髪から垂れ落ちず、かつ毛髪上での移動がない
○(良好):塗布後3分間で混合剤が毛髪上で下部へ2cm未満で移動している
△(やや良好):塗布後1分間で混合剤が毛髪上で下部へ2cm以上、10cm未満で移動しており、かつ塗布後3分間で混合剤が毛髪から垂れ落ちない
×(不良):塗布後3分間で混合剤が毛髪から垂れ落ちる
【0105】
(試験例4:脱色力)
得られた混合剤2gを、長さ10cmの黒色人毛毛束(ビューラックス社製「レベル4毛束」)に均一に塗布し、30℃の雰囲気下で30分間放置した。その後、水で洗浄し、ドライヤーを用いて毛束を乾燥した。脱色状態を専門パネル3名が目視にて観察し、協議して評価結果を決定した。
【0106】
<脱色力の評価基準>
○(良好):脱色前の毛束より明らかに明るい
△(やや良好):脱色前の毛束より僅かに明るい
×(不良):脱色前の毛束と同等の明るさ
【0107】
第1剤及び第2剤の組成、並びに結果を下記の表1~3に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】