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特許7242152折りたたみ自在車輪の回転保持機構及びそれを備えた自転車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】折りたたみ自在車輪の回転保持機構及びそれを備えた自転車
(51)【国際特許分類】
   B62K 15/00 20060101AFI20230313BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20230313BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20230313BHJP
   B60B 21/00 20060101ALI20230313BHJP
   B60B 25/02 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B62K15/00
B62K17/00
B60B19/00 Z
B60B21/00 D
B60B25/02 A
B60B25/02 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022151822
(22)【出願日】2022-09-22
【審査請求日】2022-09-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522377284
【氏名又は名称】スオ スノー
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】スオ スノー
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-212675(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111619721(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0059373(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109606524(CN,A)
【文献】特開平6-321169(JP,A)
【文献】特開2010-149792(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2426962(GB,A)
【文献】中国実用新案第207985094(CN,U)
【文献】実開昭54-32440(JP,U)
【文献】米国特許第8371659(US,B2)
【文献】特表2022-530999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 15/00
B62K 17/00
B60B 19/00
B60B 21/00
B60B 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数に分割可能に構成された折りたたみ自在車輪を回転保持する折りたたみ自在車輪の回転保持機構であって、
前記折りたたみ自在車輪は、
リム及びタイヤによって構成される車輪であって、所定の移動体のフレームの前方及び後方に配置された前車輪及び後車輪を含んで構成され、
前記前車輪及び前記後車輪が、夫々複数の円弧状の片部に分割可能に構成されるとともに、該片部が、所定の締結手段によって連結可能に構成され、
前記折りたたみ自在車輪を回転保持する回転保持機構は、
前記フレームの前端部に配置され前記前車輪を回転保持する前車輪回転保持部と、
前記フレームの後端部に配置され前記後車輪を回転保持する後車輪回転保持部であって、更に該後車輪を駆動させる後車輪回転保持部と、を備える、
折りたたみ自在車輪の回転保持機構。
【請求項2】
前記前車輪回転保持部は、
前記前車輪の前記リムの内周面に当接しながら所定の第1固定軸を中心に回転運動することで該リムを回転保持する第1保持部と、
前記前車輪の前記タイヤの外周面に当接しながら所定の第2固定軸を中心に回転運動することで該タイヤを回転保持する第2保持部と、
前記前車輪の前記リムの側面に当接しながら所定の第3固定軸を中心に回転運動することで該リムの倒れを保持する第3保持部と、を有し、
前記後車輪回転保持部は、
前記後車輪の前記リムの内周面に形成されたギヤ部に噛み合いながら所定の第4固定軸を中心に回転運動することで該リムを回転保持するとともに該ギヤ部を介して該後車輪を駆動させる第4保持部と、
前記後車輪の前記タイヤの外周面に当接しながら所定の第5固定軸を中心に回転運動することで該タイヤを回転保持する第5保持部と、
前記後車輪の前記リムの側面に当接しながら所定の第6固定軸を中心に回転運動することで該リムの倒れを保持する第6保持部と、を有する、
請求項1に記載の折りたたみ自在車輪の回転保持機構。
【請求項3】
前記第1保持部は、前記第1固定軸を中心軸として前記リムの内周面に当接しながら回転する第1回転ローラーを有し、
前記第1回転ローラーは、樹脂材料に固体潤滑剤が充填された樹脂軸受によって形成される、
請求項2に記載の折りたたみ自在車輪の回転保持機構。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の折りたたみ自在車輪の回転保持機構を備えた自転車。
【請求項5】
前記前車輪回転保持部は、
前記前車輪の径方向の移動を拘束する前記第1保持部と前記第2保持部との組を2つ有する、
請求項4に記載の自転車。
【請求項6】
前記後車輪は、2つの前記後車輪回転保持部によって駆動され、
前記2つの後車輪回転保持部の各前記第4保持部が有する第4ギヤであって、前記第4固定軸を中心軸として前記リムの内周面に形成された前記ギヤ部に噛み合いながら回転する第4ギヤが、アイドルギヤによって接続される、
請求項4に記載の自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数に分割可能に構成された折りたたみ自在車輪を回転保持する折りたたみ自在車輪の回転保持機構及びそれを備えた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フレームを折りたたみ可能な構造とすることで、コンパクトにして持ち運ぶことのできる自転車が広く用いられている。
【0003】
また、コンパクトに折りたたみ可能な折りたたみ自転車においては、持ち運び時などに自転車車輪の体積を小さくして容易な運搬が可能となるように、車輪を折りたたむ技術も開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、直線状に細長く折りたたむことを可能とする自転車用折りたたみ自在車輪が開示されている。この技術では、車輪のスポークが、ハブに対して固定した固定スポークと回転固定自在にした可動スポークで構成され、このスポークに、分割されたリムおよびタイヤが連結されることで、車輪を細長い状態にして折りたたむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-212675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から広く用いられている折りたたみ自転車は、主にフレームを折りたたみ可能な構造とするものであって車輪を折りたたむことができず、自転車の折りたたみ時に十分にコンパクト化することができなかった。一方、特許文献1に記載の技術によれば、車輪を細長い状態にして折りたたむことができるため、折りたたみ自転車のコンパクト化に寄与するようにも思われる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、分割されたリムおよびタイヤがスポークに連結されたまま車輪が折りたたまれるため、折りたたまれた車輪の全長が長くなってしまう。
【0007】
そこで、スポークを設けずに車輪を構成し、車輪を複数に分割可能で折りたたみ自在にすることが考えられる。しかしながら、この場合、ハブや、ハブとリムとを連結するスポークを介して車輪を保持することができないため、複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を、自転車のフレーム等に保持することが困難になり得る。
【0008】
本開示の目的は、複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を所定の移動体構造に好適に保持できる機構、及びそれを用いてコンパクトに折りたたみ可能で容易に運搬することができる自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の折りたたみ自在車輪の回転保持機構は、複数に分割可能に構成された折りたたみ自在車輪を回転保持するための機構である。この折りたたみ自在車輪の回転保持機構では、前記折りたたみ自在車輪は、リム及びタイヤによって構成される車輪であって、所定の移動体のフレームの前方及び後方に配置された前車輪及び後車輪を含んで構成され、前記前車輪及び前記後車輪が、夫々複数の円弧状の片部に分割可能に構成されるとともに、該片部が、所定の締結手段によって連結可能に構成される。そして、前記折りたたみ自在車輪を回転保持する回転保持機構は、前記フレームの前端部に配置され前記前車輪を回転保持する前車輪回転保持部と、前記フレームの後端部に配置され前記後車輪を回転保持する後車輪回転保持部であって、更に該後車輪を駆動させる後車輪回転保持部と、を備える。
【0010】
上記の折りたたみ自在車輪の回転保持機構では、複数の円弧状の片部に分割されることで十分にコンパクト化される車輪について、走行時に、ハブや、ハブとリムとを連結するスポークを介して保持することができないにもかかわらず、前車輪回転保持部および後車輪回転保持部を用いて好適にフレームに回転保持することができる。これにより、複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を、走行時には好適にフレームに保持することができ、また、運搬時にはコンパクトに折りたたむことができる。
【0011】
ここで、本開示の折りたたみ自在車輪の回転保持機構では、上記の構成において、前記前車輪回転保持部は、前記前車輪の前記リムの内周面に当接しながら所定の第1固定軸を中心に回転運動することで該リムを回転保持する第1保持部と、前記前車輪の前記タイヤの外周面に当接しながら所定の第2固定軸を中心に回転運動することで該タイヤを回転保持する第2保持部と、前記前車輪の前記リムの側面に当接しながら所定の第3固定軸を中心に回転運動することで該リムの倒れを保持する第3保持部と、を有してもよい。そして、前記後車輪回転保持部は、前記後車輪の前記リムの内周面に形成されたギヤ部に噛み合いながら所定の第4固定軸を中心に回転運動することで該リムを回転保持するとともに該ギヤ部を介して該後車輪を駆動させる第4保持部と、前記後車輪の前記タイヤの外周面に当接しながら所定の第5固定軸を中心に回転運動することで該タイヤを回転保持する第5保持部と、前記後車輪の前記リムの側面に当接しながら所定の第6固定軸を中心に回転運動することで該リムの倒れを保持する第6保持部と、を有してもよい。これによれば、車輪がハブとスポークを有さない場合であっても、該車輪の径方向の移動と幅方向の移動を拘束することができ、以て、車輪を自転車のフレーム等に保持することができる。
【0012】
そして、このような折りたたみ自在車輪の回転保持機構において、前記第1保持部は、前記第1固定軸を中心軸として前記リムの内周面に当接しながら回転する第1回転ローラーを有し、前記第1回転ローラーは、樹脂材料に固体潤滑剤が充填された樹脂軸受によって形成されてもよい。これによれば、リムの内周面との良好な摺動性を実現するとともに、比較的大きな荷重を支えることができる。
【0013】
また、本開示は、自在車輪の回転保持機構を備えた自転車の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の自転車は、上記の自在車輪の回転保持機構を備えた自転車である。
【0014】
そして、この場合、上記の自転車において、前記前車輪回転保持部は、前記前車輪の径方向の移動を拘束する前記第1保持部と前記第2保持部との組を2つ有してもよい。これによれば、前車輪が操舵される自転車において、安定して前車輪を保持することができる。また、上記の自転車において、前記後車輪は、2つの前記後車輪回転保持部によって駆動され、前記2つの後車輪回転保持部の各前記第4保持部が有する第4ギヤであって、前記第4固定軸を中心軸として前記リムの内周面に形成された前記ギヤ部に噛み合いながら回転する第4ギヤが、アイドルギヤによって接続されてもよい。これによれば、後車輪を2つの第4ギヤによって駆動することができるため、ギヤの噛み合いにおける1歯あたりの荷重を低減することができ、駆動トルクを後車輪により好適に伝達することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を所定の移動体構造に好適に保持できる機構、及びそれを用いてコンパクトに折りたたみ可能で容易に運搬することができる自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態における、折りたたみ自在車輪の回転保持機構を備えた自転車の概略構成を示す図である。
図2】従来の折りたたみ自転車の概略構成を示す図である。
図3】第1実施形態における自転車の折りたたみ構造を説明するための図である。
図4】第1実施形態における車輪の連結構造を説明するための図である。
図5】第1実施形態における前車輪回転保持部の機能を説明するための図である。
図6】第1実施形態における後車輪回転保持部の機能を説明するための図である。
図7】第2実施形態における後車輪回転保持部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0018】
<第1実施形態>
第1実施形態における折りたたみ自在車輪の回転保持機構及びそれを備えた自転車の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における、折りたたみ自在車輪の回転保持機構を備えた自転車の概略構成を示す図である。本実施形態に係る自転車1は、複数に分割可能に構成された折りたたみ自在車輪を回転保持するための回転保持機構2を備えた自転車である。
【0019】
図1に示すように、自転車1は、前車輪31および後車輪32を含んで構成される車輪3を備え、該車輪3が、回転保持機構2によって、フレーム4に回転保持される。詳しくは、フレーム4の前方に配置された前車輪31が、フレーム4の前端部に配置された前車輪回転保持部21によって回転保持され、フレーム4の後方に配置された後車輪32が、フレーム4の後端部に配置された後車輪回転保持部22によって回転保持される。
【0020】
ここで、本実施形態における自転車1について、従来までのフレームのみを折りたたみ可能な折りたたみ自転車である自転車1´と比較しながら説明する。
【0021】
従来の自転車1´は、図2に示すように、本開示の自転車1と同様にフレーム4´を備える。なお、図2は、従来の折りたたみ自転車の概略構成を示す図である。
【0022】
そして、フレーム4´は、該フレームの折りたたみを可能にするヒンジ41´を有する。そうすると、折りたたまれた状態の自転車を表す図2(b)に示されるように、自転車1´の前部が後方に向かって折りたたまれることになる。
【0023】
このようにフレーム4´が折りたたまれることで、自転車1´の容易な運搬に寄与し得る。しかしながら、このような従来の折りたたみ自転車では、主にフレームを折りたたみ可能な構造とするものであって車輪を折りたたむことができず、自転車の折りたたみ時に十分にコンパクト化することができない。
【0024】
これに対して、本実施形態における自転車1では、従来の折りたたみ自転車と同様にフレームが折りたたみ可能に構成されるだけでなく、車輪も折りたたむことができる。これにより、自転車の折りたたみ時に十分にコンパクト化することができる。これについて、図3に基づいて説明する。
【0025】
図3は、本実施形態における自転車1の折りたたみ構造を説明するための図である。本実施形態における自転車1では、図3(a)に示されるように、車輪3が、複数に分割可能な折りたたみ自在車輪として構成される。本実施形態では、前車輪31が、円弧状の片部31a、31b、31cに分割可能に構成され、後車輪32が、円弧状の片部32a、32b、32cに分割可能に構成される。そして、自転車1の折りたたみ時には、図3(a)に示すように、前車輪31および後車輪32が、夫々複数の円弧状の片部に分割される。なお、このように車輪3が複数に分割された状態において、片部31aは前車輪回転保持部21によってフレーム4に固定され、片部32aは後車輪回転保持部22によってフレーム4に固定される。また、後述するように、これら片部は、所定の締結手段によって連結・分解が可能に構成されている。
【0026】
なお、このように複数に分割可能な折りたたみ自在車輪として構成される車輪3において、タイヤは、ゴム材料によって中実に形成される。つまり、車輪3のタイヤには、空気が充填されない。そのため、車輪3が複数に分割されたとしても、空気漏れが生じる虞がなくなる。
【0027】
そして、自転車1は、図3(b)に示されるように、フレーム4に設けられたヒンジ41によって、その前部が後方に向かって折りたたまれる。なお、このとき、片部31aは前車輪回転保持部21によってフレーム4に固定され、片部32aは後車輪回転保持部22によってフレーム4に固定されている。
【0028】
また、分割された車輪3の残りの片部(片部31b、31c、32b、32c)は、フレーム4に設けられたアタッチメント42によって、該フレーム4に固定することができる。なお、自転車1のペダル部分も折りたたみ可能に構成されてもよい(ペダル部分の折りたたみ構造の図示は省略)。
【0029】
以上に述べた自転車1の折りたたみ構造によれば、自転車の折りたたみ時に十分にコンパクト化することができる。
【0030】
なお、複数に分割可能な折りたたみ自在車輪として構成される車輪3は、所定の締結手段によって連結・分解が可能に構成される。ここで、図4は、本実施形態における車輪3の連結構造を説明するための図である。本実施形態では、図4に示すように、締結ネジ300によって、車輪3の片部が締結される。なお、車輪3のリムにおける各片部の端部の側には、ネジ穴が形成されていて、該ネジ穴を介して締結ネジ300が各片部を締結することで、該片部が車輪3として連結される。また、締結ネジ300が取り外されることで、車輪3が各片部に分解される。
【0031】
このように、複数に分割可能な折りたたみ自在車輪を備えた自転車では、自転車の折りたたみ時に十分にコンパクト化することができる。しかしながら、上記の折りたたみ自在車輪では、走行時に、ハブや、ハブとリムとを連結するスポークを介して車輪を保持することができないため、車輪を自転車のフレームに保持することが困難になり得る。
【0032】
そこで、本実施形態における自転車1において、上記の前車輪回転保持部21が、前車輪31のリム310bの内周面に当接しながら第1固定軸211bを中心に回転運動することで該リム310bを回転保持する第1保持部211と、前車輪31のタイヤ310aの外周面に当接しながら第2固定軸212bを中心に回転運動することで該タイヤ310aを回転保持する第2保持部212と、前車輪31のリム310bの側面に当接しながら第3固定軸213bを中心に回転運動することで該リム310bの倒れを保持する第3保持部213と、を有する。
【0033】
ここで、図5は、本実施形態における前車輪回転保持部21の機能を説明するための図である。図5に示すように、前車輪回転保持部21が、第1保持部211と、第2保持部212と、第3保持部213と、を有することで、車輪がハブとスポークを有さない場合であっても、該車輪の径方向の移動と幅方向の移動を拘束することができ、以て、車輪を自転車のフレームに保持することができる。
【0034】
そして、本実施形態における自転車1は、図5(a)に示すように、前車輪回転保持部21が、前車輪31の径方向の移動を拘束する第1保持部211と第2保持部212との組を2つ有する。つまり、本実施形態における前車輪回転保持部21は、2組の第1保持部211と第2保持部212との組と、1組の第3保持部213(該第3保持部213は、組となって、前車輪31のリム310bを両側面から保持する。)と、を有する。更に、これらが1つの構造体として、具体的には、第3保持部213に対して4方に配置された第1保持部211と第2保持部212とが、該第3保持部213を中心に接続され、前車輪31の両側面に配置されたこれらがフレーム4に繋がれることで1つの構造体として、構成される。これにより、前車輪31が操舵される自転車1において、安定して前車輪31を保持でき、且つ、その保持構造をコンパクト化することができる。
【0035】
前車輪回転保持部21について、詳しくは、図5(b)、(c)に示すように、各保持部(第1保持部211、第2保持部212、第3保持部213)が、固定軸と回転ローラーとを有して構成される。なお、図5(b)は、図5(a)における矢bからの投影図であって、図5(c)は、図5(b)における車輪3を省略して各保持部を拡大して示すである。第1保持部211では、第1回転ローラー211aが第1固定軸211bを中心軸としてリム310bの内周面に当接しながら回転し、第2保持部212では、第2回転ローラー212aが第2固定軸212bを中心軸としてタイヤ310aの外周面に当接しながら回転し、第3保持部213では、第3回転ローラー213aが第3固定軸213bを中心軸としてリム310bの側面に当接しながら回転する。
【0036】
なお、リム310bの内周面に当接しながら回転する第1回転ローラー211aは、ゴム材料または樹脂材料に固体潤滑剤が充填された樹脂軸受によって形成され得る。ここで、上記の樹脂軸受は、例えば、ポリアセタールやポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチックにフッ素樹脂等の固体潤滑剤が充填されたものであって、リム310bの内周面との良好な摺動性を実現するとともに、比較的大きな荷重を支えることができる。
【0037】
また、タイヤ310aの外周面に当接しながら回転する第2回転ローラー212aは、アルミニウム等の金属材料によって形成され、リム310bの側面に当接しながら回転する第3回転ローラー213aは、ゴム材料によって形成され得る。
【0038】
更に、本実施形態における自転車1において、上記の後車輪回転保持部22が、後車輪32のリム320bの内周面に形成されたギヤ部に噛み合いながら第4固定軸224bを中心に回転運動することで該リム320bを回転保持するとともに該ギヤ部を介して該後車輪32を駆動させる第4保持部224と、後車輪32のタイヤ320aの外周面に当接しながら第5固定軸225bを中心に回転運動することで該タイヤ320aを回転保持する第5保持部225と、後車輪32のリム320bの側面に当接しながら第6固定軸226bを中心に回転運動することで該リム320bの倒れを保持する第6保持部226と、を有する。
【0039】
ここで、図6は、本実施形態における後車輪回転保持部22の機能を説明するための図である。図6(a)に示すように、後車輪回転保持部22が、第4保持部224と、第5保持部225と、第6保持部226と、を有することで、車輪がハブとスポークを有さない場合であっても、前車輪回転保持部21と同様に、該車輪の径方向の移動と幅方向の移動を拘束することができ、以て、車輪を自転車のフレームに保持することができる。
【0040】
なお、後車輪回転保持部22において、第5保持部225および第6保持部226は、前車輪回転保持部21の第2保持部212および第3保持部213と同様に、第5回転ローラー225aおよび第6回転ローラー226aを有する。
【0041】
一方、後車輪回転保持部22の第4保持部224では、第4ギヤ224aが第4固定軸224bを中心軸としてリム320bの内周面に形成されたギヤ部に噛み合いながら回転することで、該リム320bを回転保持するとともに該ギヤ部を介して後車輪32を駆動させる。
【0042】
ここで、図6(b)に示すように、第4保持部224は、ペダルのトルクを伝達するチェーンに繋がれたスプロケットと同軸に接続されていて、第4ギヤ224aが該スプロケットと同一に回転する。これにより、ペダルのトルクを後車輪32に伝達することができる。なお、説明のため、図6(b)において、ギヤおよびスプロケットの歯やフレーム4の詳細形状等の図示は省略している。
【0043】
以上に述べた自転車1によれば、複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を、走行時には好適にフレームに保持することができ、また、運搬時にはコンパクトに折りたたむことができる。
【0044】
<第2実施形態>
第2実施形態における後車輪回転保持部22について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態における後車輪回転保持部22を説明するための図である。
【0045】
図7に示すように、本実施形態における自転車1において、後車輪32は、2つの後車輪回転保持部22によって、回転保持されるとともに駆動される。
【0046】
そして、2つの後車輪回転保持部22の各第4保持部224が有する第4ギヤ224aは、アイドルギヤ2241によって接続される。なお、アイドルギヤ2241は、後車輪回転保持部22と同様に、フレーム4の後端部に固定される。
【0047】
これによれば、後車輪32を2つの第4ギヤ224aによって駆動することができるため、ギヤの噛み合いにおける1歯あたりの荷重を低減することができ、ペダルのトルクを後車輪32により好適に伝達することが可能になる。
【0048】
以上に述べた自転車1によっても、複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を、走行時には好適にフレームに保持することができ、また、運搬時にはコンパクトに折りたたむことができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・・・自転車
2・・・・・回転保持機構
21・・・・前車輪回転保持部
22・・・・後車輪回転保持部
3・・・・・車輪
31・・・・前車輪
32・・・・後車輪
300・・・締結ネジ
4・・・・・フレーム
【要約】
【課題】複数に分割してコンパクト化が可能な折りたたみ自在車輪を所定の移動体構造に好適に保持できる機構、及びそれを用いてコンパクトに折りたたみ可能で容易に運搬することができる自転車を提供する。
【解決手段】本開示の折りたたみ自在車輪の回転保持機構では、折りたたみ自在車輪3の前車輪31及び後車輪32が、夫々複数の円弧状の片部に分割可能に構成されるとともに、該片部が、締結ネジ300によって連結可能に構成される。そして、折りたたみ自在車輪を回転保持する回転保持機構2は、フレーム4の前端部に配置され前車輪31を回転保持する前車輪回転保持部21と、フレーム4の後端部に配置され後車輪32を回転保持するとともに該後車輪32を駆動させる後車輪回転保持部22と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7