(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】試験紙の収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D41/04 100
(21)【出願番号】P 2015256891
(22)【出願日】2015-12-28
【審査請求日】2018-12-03
(31)【優先権主張番号】201520182020.5
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000120456
【氏名又は名称】栄研化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517316373
【氏名又は名称】蘇州工業園区大成化工塑業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【氏名又は名称】大塚 明博
(72)【発明者】
【氏名】平井 利志
(72)【発明者】
【氏名】三宅 美恵子
(72)【発明者】
【氏名】関根 和宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 信悟
(72)【発明者】
【氏名】西倉 英生
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-026750(JP,U)
【文献】特開2014-234184(JP,A)
【文献】特開昭58-001659(JP,A)
【文献】特開2004-051168(JP,A)
【文献】特開2003-231537(JP,A)
【文献】特開2007-301871(JP,A)
【文献】特開昭58-216552(JP,A)
【文献】実開平05-035690(JP,U)
【文献】実開平05-046754(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55-16
B65D 35/44-35/54
B65D 81/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その一端部が開口した筒状の収納本体と、
前記収納本体の一端部にねじ機構によって着脱可能に螺着し、前記収納本体の開口部を開閉可能な蓋部材と、
前記蓋部材の上壁の内面から下方へ垂直に延伸して設けられ、前記収納本体の一端部に前記蓋部材を螺合し30度~120度の角度回転された時点から前記収納本体の一端部内に嵌合密着して密封状態を確保し、前記収納本体に対して前記蓋部材が回転締めされる時点まで密封状態を確保できる筒状のシール部材と、
前記収納本体の一端部の外周面に、前記ねじ機構の下方に位置して円周均等で配置された4つの収納本体側突起を備え、前記蓋部材の周壁の内周面に、前記収納本体側突起の個数よりも多くの縦方向に伸びる蓋部材側突起を備え、前記蓋部材側突起の下端は前記シール部材が前記収納本体の一端部内に嵌合密着して密封状態を確保すると同時に前記収納本体側突起に接触する位置に設けられ、前記蓋部材側突起の上端は前記収納本体に対して前記蓋部材が回転締めされた時点の前記収納本体側突起の
下端より上側位置に設けられ、前記収納本体側突起と前記蓋部材側突起とが触れることで報知音及び/または振動を発生させる報知機構と、を備え、
前記収納本体に対して前記蓋部材が30度~120度の角度回転された時点から前記収納本体に対して前記蓋部材が完全に回転締めされる時点まで、前記シール部材が前記収納本体の一端部に密着して前記収納本体が密封状態になるとともに、前記報知機構が前記密封状態を断続的に報知することを特徴とする試験紙の収納容器。
【請求項2】
前記収納本体に対して前記蓋部材が完全に回転締めされた時点で、前記蓋部材の回転された角度は90度~180度であることを特徴とする請求項1に記載の試験紙の収納容器。
【請求項3】
前記ねじ機構は、前記蓋部材の周壁の内周面に設けられた雌ねじ条と、前記収納本体の一端部の外周面に設けられた雄ねじ条とを備え、前記雌ねじ条及び前記雄ねじ条はいずれも2条であり、前記雌ねじ条及び前記雄ねじ条のピッチはいずれも3mm~10mmであることを特徴とする請求項1に記載の試験紙の収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の試験紙を収納する試験紙の収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の試験紙には吸湿性があり、収納容器の蓋部材がしっかりと回転締めされていなかった場合には、収納容器から試験紙を取り出してみると、試験紙が吸湿又は受光して変質していて、検査結果に影響が生じて商品の質が損なわれてしまうことがある。
【0003】
従来、一般に使用されている収納容器は収納本体と、収納本体の開口部に螺着される蓋部材とを備えている(例えば、特許文献1参照。)。このような収納容器を医療用の試験紙の収納容器として使用する場合、蓋部材で収納本体を強く締め付けるようにして閉じることが求められるが、収納本体の開口部に螺着される蓋部材は、開口部を密封するためには、少なくとも複数回回転しなければ完全に密封することができない構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような収納容器では、収納本体の開口部が蓋部材により完全に締め付けられて密封されているかどうかの確認は、操作する人の締め付け力の感覚に委ねられている。そのため、蓋部材の回転不足による締め付けの不十分による非密封状態での使用状況がよく起こり得る。また、蓋部材を複数回回転しなければ完全に密封することができない構成であるため、このような収納本体の開口部を密封する操作は手間がかかり、蓋部材の回転不足による締め付けの不十分を引き起こし易い。
これにより、試験紙が容易に吸湿又は受光して変質し、それによって、検査結果に影響が生じて商品の質が損なわれやすくなっていた。
【0006】
本発明は、蓋部材が収納本体を密封していない使用状況の発生を防止することによって、試験紙を良好に保管することができる試験紙の収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、その一端部が開口した筒状の収納本体と、前記収納本体の一端部にねじ機構によって着脱可能に螺着し、前記収納本体の開口部を開閉可能な蓋部材と、前記蓋部材の上壁の内面から下方へ垂直に延伸して設けられ、前記収納本体の一端部に前記蓋部材を螺合し30度~120度の角度回転された時点から前記収納本体の一端部内に嵌合密着して密封状態を確保し、前記収納本体に対して前記蓋部材が回転締めされる時点まで密封状態を確保できる筒状のシール部材と、前記収納本体の一端部の外周面に、前記ねじ機構の下方に位置して円周均等で配置された4つの収納本体側突起を備え、前記蓋部材の周壁の内周面に、前記収納本体側突起の個数よりも多くの縦方向に伸びる蓋部材側突起を備え、前記蓋部材側突起の下端は前記シール部材が前記収納本体の一端部内に嵌合密着して密封状態を確保すると同時に前記収納本体側突起に接触する位置に設けられ、前記蓋部材側突起の上端は前記収納本体に対して前記蓋部材が回転締めされた時点の前記収納本体側突起の下端より上側位置に設けられ、前記収納本体側突起と前記蓋部材側突起とが触れることで報知音及び/または振動を発生させる報知機構と、を備え、前記収納本体に対して前記蓋部材が30度~120度の角度回転された時点から前記収納本体に対して前記蓋部材が完全に回転締めされる時点まで、前記シール部材が前記収納本体の一端部に密着して前記収納本体が密封状態になるとともに、前記報知機構が前記密封状態を断続的に報知することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、前記収納本体の一端部に前記蓋部材を螺合し30度~120度の角度回転された時点から前記収納本体の一端部内に嵌合密着して密封状態を確保し、収納本体に対して蓋部材を比較的少ない角度の回転で収納本体を密封することができる。
また、前記収納本体の一端部の外周面のねじ機構の下方に円周均等で配置された4つの収納本体側突起を備え、前記蓋部材の周壁の内周面に前記収納本体側突起の個数よりも多くの縦方向に伸びる蓋部材側突起を備え、前記蓋部材側突起の下端は前記シール部材が前記収納本体の一端部内に嵌合密着して密封状態を確保すると同時に前記収納本体側突起に接触する位置に設けられ、前記蓋部材側突起の上端は前記収納本体に対して前記蓋部材が回転締めされた時点の前記収納本体側突起の下端より上側位置に設けられ、前記収納本体側突起と前記蓋部材側突起とが触れることで報知音及び/または振動を発生させる報知機構と、を備えているので、収納本体に対して蓋部材を回転させる際に一定の傾斜があったとしても、報知音及び/又は振動を断続的に発生させることができる。
このように密封状態を報知することによって、蓋部材が収納本体を密封していない使用状況の発生を防止して、試験紙を良好に保管することができる。また、報知機構は構造が簡単であり、製造コストが抑えられる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記収納本体に対して前記蓋部材が完全に回転締めされた時点で、前記蓋部材の回転された角度は90度~180度であることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、収納本体に対して蓋部材を比較的少ない角度の回転で収納本体を完全に回転締めすることができ、収納本体に対する密封が容易になる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の、 前記ねじ機構は、前記蓋部材の周壁の内周面に設けられた雌ねじ条と、前記収納本体の一端部の外周面に設けられた雄ねじ条とを備え、前記雌ねじ条及び前記雄ねじ条はいずれも2条であり、前記雌ねじ条及び前記雄ねじ条のピッチはいずれも3mm~10mmであることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ねじ機構のねじ条の条数を少なくし、ピッチを大きくして、収納本体の開閉を容易にしている。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る試験紙の収納容器によれば、蓋部材が収納本体を密封していない使用状況の発生を防止することによって、試験紙を良好に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る
試験紙の収納容器の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る
試験紙の収納容器の収納本体の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る
試験紙の収納容器の収納本体の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る
試験紙の収納容器の蓋部材の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る
試験紙の収納容器の蓋部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1~
図5に示すように、本発明発明に係る試験紙の収納容器は、その一端部13が開口した筒状の収納本体1と、収納本体1の一端部13をねじ機構3によって開閉可能な蓋部材2と、蓋部材2の上壁の内面に設けられたシール部材4と、収納本体1の一端部13の外周面及び蓋部材2の周壁の内周面に設けられた報知機構5とを備えており、収納本体1
に対して蓋部材2が所定の角度回転された時点から収納本体1に対して蓋部材2が完全に回転締めされる時点にかけて、シール部材4が収納本体1の一端部13に密着して収納本体1が密封状態に
なると同時に、報知機構5がこの密封状態を報知する。
【0027】
具体的には、収納本体1は着色周面11と着色底面12とを備えている。この収納本体1の一端部13、すなわち着色底面12に対向する端部は開口している。この一端部13の直径は収納本体1のこの一端部13以外の部分よりも短く、両者の間には段差が形成されている。
【0028】
蓋部材2は上壁と周壁とを備えている。蓋部材2の上壁の外面には印字部となる凹部22a,22bが形成されている。凹部22aは円形であり、上壁の外面の中央部に設けられている。凹部22bは環状であり、上壁の外面の外周部に設けられて、凹部22aを取り囲んでいる。
【0029】
ねじ機構3は、蓋部材2の周壁の内周面に設けられた雌ねじ条31と、収納本体1の一端部13の外周面に設けられた雄ねじ条32とを備えており、雌ねじ条31及び雄ねじ条32はいずれも2条とし、雌ねじ条31及び雄ねじ条32のピッチはいずれも3mm~10mmとする。
【0030】
シール部材4は蓋部材2の上壁の内面から下方へ垂直に延伸している。シール部材4はこの内面において1周囲むように設けられている。蓋部材2の上壁の内面のうち、シール部材4の基部付近であってシール部材4よりも周壁側の部分には、凹溝21が形成されている。
【0031】
報知機構5は、収納本体1の一端部13の外周面に設けられ、この外周面の周方向に配列された複数の収納本体側突起51と、蓋部材2の周壁の内周面に設けられ、この内周面の周方向に配列された複数の蓋部材側突起52とを備えている。
【0032】
収納本体側突起51は一端部13から突出した環状の凸部14に設けることができる。収納本体側突起51の個数は4つとする。
【0033】
蓋部材側突起52は縦方向の寸法が横方向の寸法よりも大きくなるように設けられており、蓋部材側突起52の個数が収納本体側突起51の個数よりも多くなっている。
【0034】
収納本体1に対して蓋部材2が所定の角度回転された時点から収納本体1に対して蓋部材2が完全に回転締めされる時点にかけて、収納本体側突起51が蓋部材側突起52に触れて報知音及び/又は振動を発生させる。
【0035】
上記所定の角度は30度~120度とし、収納本体1に対して蓋部材2が完全に回転締めされた時点で回転された角度が90度~180度とされる。
【0036】
以上、本発明の最良の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。具体的な構造については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができ、上述した実施形態を任意に組み合わせてもよい。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、収納本体側突起51は一端部13から突出した環状の凸部14に設けることができ、収納本体側突起51の個数が4つである。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、収納本体側突起51は一端部13の周面に直接設けてもよい。また、収納本体側突起51の個数も5つ、6つ等他の数としてもよい。
【0038】
また、例えば、上述した実施形態では、凹部22aは円形であり、上壁の外面の中央部に設けられている。凹部22bは環状であり、上壁の外面の外周部に設けられて、凹部22aを取り囲んでいる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、凹部22aは四角形であってもよく、凹部22bは枠形状であってもよい。凹部の個数も3つ又は4つ等の他の数としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 収納本体
2 蓋部材
3 ねじ機構
4 シール部材
5 報知機構
11 着色周面
12 着色底面
13 一端部
14 凸部
21 凹溝
22a,22b 凹部
31 雌ねじ条
32 雄ねじ条
51 収納本体側突起
52 蓋部材側突起