(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】シングル磁気記録型のハードディスクドライブ
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20230313BHJP
G11B 33/12 20060101ALI20230313BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20230313BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
H02J7/34 B
G11B33/12 305Z
H02J9/06 110
H02M3/155 B
(21)【出願番号】P 2017175894
(22)【出願日】2017-09-13
【審査請求日】2020-06-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 聡
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】赤穂 美香
【審判官】猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-263852(JP,A)
【文献】特開2012-115094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B21/00
H02J9/00
H02J7/34
G11B33/12
H02M3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電力供給を受けて機器へ電力を供給する電源部と、
前記電源部からの電力供給を受けて、当該供給される電力により充電される充電器を有し、前記電源部からの電力供給が喪失したときに、
前記機器に対して前記充電器から電力を供給する予備電源部と、
前記電源部から前記予備電源部への電力供給を制御する充電制御部であって、電源投入後、前記機器の消費電流量が上昇する一時的な期間の経過後に、前記予備電源部への電力の供給を開始する遅延手段を有する充電制御部と、
を含むシングル磁気記録型のハードディスクドライブ。
【請求項2】
請求項1に記載のシングル磁気記録型のハードディスクドライブであって、
前記予備電源部は
、前記電源部からの電力供給が喪失したときに、
前記機器に対して前記充電器から電力を供給してバッファしているデータのディスクへの書き込みを可能とする予備電源部である
シングル磁気記録型のハードディスクドライブ。
【請求項3】
請求項1または2記載のシングル磁気記録型のハードディスクドライブであって、
前記充電制御部が備える遅延手段が、前記電源投入後、前記機器の消費電流量が上昇する一時的なスピンアップの期間を超える時間の経過後、消費電流量が前記スピンアップの期間に比べ低下している期間に、前記予備電源部への電力を供給して充電を行うシングル磁気記録型のハードディスクドライブ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のシングル磁気記録型のハードディスクドライブであって、
前記充電器は、電気二重層コンデンサを含む
シングル磁気記録型のハードディスクドライブ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のシングル磁気記録型のハードディスクドライブであって、
前記遅延手段は、受動回路からなるシングル磁気記録型のハードディスクドライブ。
【請求項6】
請求項5に記載のシングル磁気記録型のハードディスクドライブであって、
前記受動回路は、RC回路であるシングル磁気記録型のハードディスクドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク装置等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器では、所定の動作停止の操作を行うことなく電源を遮断しないよう求めるものが多くなっている。例えばハードディスク装置等では、記録指示を行ってもすぐにディスクに書き込まれるとは限らず、半導体メモリによるバッファが行われている。このためハードディスク装置等では、動作停止の操作を行わずに電源を遮断した場合に、半導体メモリ内の記録が失われ、結果として記録指示をしたはずのデータが喪失するということが発生し得る。このためハードディスク装置等では、電源遮断前には動作停止の操作を必ず行うよう求めているのが一般的である。
【0003】
近年では電子機器内で行われる情報処理がますます高度化しているため、半導体メモリに保持されるデータ量も大きくなっており、動作停止の操作を行わずに電源を遮断することによるデータの喪失量が増大する可能性が懸念される。
【0004】
また、ハードディスクドライブの情報の記録容量を増大させる技術の一つとして、例えば、記録媒体の円周内側から外側へと順次、隣接するデータトラックで一部を上書きしながら、板葺き屋根(shingle)のようにデータトラックを記録していくハードディスクドライブがある(以下、シングル磁気記録型のハードディスクドライブと呼ぶ)。このようなシングル磁気記録型のハードディスクドライブを用いる場合は、一般に、従来のシングル磁気記録型でないハードディスクドライブよりも、半導体メモリ内にバッファされるデータ量が大きくなっている。このため、所定の停止操作が行われないまま電源が遮断されると、それにより喪失するデータ量は従来のものに比べて大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、電源が不安定な環境(入力電圧が一定しないなどの環境)での使用を考慮して、電気二重層コンデンサを用いたバックアップ電源装置の例が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示の技術では、電気二重層コンデンサを含んだ充電池部に充電する充電制御部を有しており、この充電制御部が、電気二重層コンデンサを急速充電し、その電圧が満充電の状態になると、出力制御部が負荷への電力供給を開始するようにしている。
【0007】
このようなバックアップ電源により、所定の停止操作が行われずに電源が遮断されたときに、ハードディスクドライブ等への半導体メモリからの書き込みを完了するだけの電力が供給されることにより、データの喪失量がなるべく低減される、ということも考えられる。
【0008】
しかしながら、上記従来の電気二重層コンデンサを用いたバックアップ電源では、例えば電子機器の電源投入時、電子機器の動作開始前に電気二重層コンデンサを充電することとすると、電子機器の起動が遅れてしまう。一方、電子機器の起動と並行して電気二重層コンデンサを充電することとすると、電子機器の電源容量を大きくせざるを得ず、一時的に大電流を要するうえ、電源部が大型化してしまう懸念もある。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、電源容量を増大させることなく、また起動の遅れを抑えて、電気二重層コンデンサ等のバックアップ電源を充電できる電子機器を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決する本発明の電子機器は、外部からの電力供給を受けて機器へ電力を供給する電源部と、前記電源部が供給する電力により充電される充電器を有し、前記電源部からの電力供給が喪失したときに、機器に対して前記充電器から電力を供給する予備電源部と、前記電源部から前記予備電源部への電力供給を制御する充電制御部であって、電源投入後、所定の時間だけ遅延してから前記予備電源部への電力の供給を開始する遅延手段を有する充電制御部と、を含むこととしたものである。
【0011】
これにより電子機器の起動を行ってから予備電源部への充電を開始でき、電源容量を増大させることなく、また起動の遅れを抑えて、予備電源部を充電できる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記充電器は、電気二重層コンデンサを含んでもよい。また本発明の一態様では、前記遅延手段は、受動回路からなる。この受動回路は、RC回路であってもよい。さらに、前記機器は、シングル磁気記録型のハードディスクドライブを有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、電源容量を増大させることなく、また起動の遅れを抑えて、予備電源部を充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の構成例を表すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る電子機器の電力供給部の構成例を表す回路図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る電子機器の動作例を表す説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る電子機器における遅延部のもう一つの例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る電子機器1は、
図1に例示するように、電力供給部11と、機器部12とを含んで構成されている。また電力供給部11は、安定化電源部20と、第1の整流部21と、第2の整流部22と、電流制限部23と、バックアップ電源部24と、DC/DCコンバータ部25と、遅延部26とを含んで構成される。
【0016】
機器部12は、起動時(電源投入後から一定の時間)に比較的大きい電力を消費するが、その後は消費電力が(起動時よりも)低下する機器であるものとする。このような機器部12としては例えば、起動時にスピンアップのために、電力消費が比較的大きくなるハードディスクドライブを含む機器がある。またこのハードディスクドライブは、シングル磁気記録型のハードディスクドライブであってもよい。
【0017】
第1の整流部21は、安定化電源部20が供給する電流を受け入れて整流し、機器部12へ電流を供給する。この安定化電源部20と第1の整流部21とが本発明の電源部として機能する。また第2の整流部22は、安定化電源部20が供給する電流を受け入れて整流し、電源制限部23に電流を供給する。これら第1、第2の整流部21,22は、例えばショットキバリアダイオードまたはMOS-FET等のスイッチング素子を含んで構成され、電流制限部23または機器部12側から、電力供給側である安定化電源部20への電流の逆流を阻止する。
【0018】
電流制限部23は、第2の整流部22が供給する電流を、バックアップ電源部24に伝達する。またこの電流制限部23は、バックアップ電源部24に供給する電流量(充電電流量)が過大にならないよう制限している。
【0019】
バックアップ電源部24は、例えば電気二重層コンデンサを含んで構成される、充電可能な電源である。DC/DCコンバータ部25は、バックアップ電源部24が供給する電圧を制御して、予め定められた出力電圧の電源を、機器部12に対して供給する。このDC/DCコンバータ部25は、バックアップ電源部24が供給する電圧が低下した場合にも、一定の出力電圧となるよう、昇圧を行うこととなる。本実施の形態では、バックアップ電源部24が本発明の充電器に相当し、電流制限部23及びDC/DCコンバータ部25が予備電源部に相当する。
【0020】
充電制御部としての遅延部26は、電源投入(第2の整流部22が電流の供給を開始した時点)から所定の時間だけ、電流制限部23に対する第2の整流部22からの電流供給を遅延させる。
【0021】
図2は、本実施の形態の一例に係る電子機器1の電力供給部11の例を表す回路図である。この例では、バックアップ電源部24は電気二重層コンデンサを用いることとしている。
【0022】
図2に例示するように、安定化電源部20が供給する電流はVin端子を介してこの電力供給部11に入力される。また、安定化電源部20,電力供給部11,機器部12の各部に共通する共通端子(GND)とVin端子と間の電圧は、安定化電源部20により5Vとなっている。
【0023】
ショットキバリアダイオードD1は、第1の整流部21に相当し、Vin端子側にそのアノード端子(A)が接続され、電力供給部11の出力(Vout)端子に、そのカソード端子(K)が接続されている。
【0024】
ショットキバリアダイオードD2は、第2の整流部22に相当し、Vin端子側にそのアノード端子(A)が接続されている。このショットキバリアダイオードD2のカソード端子(K)には、直列に接続されたコンデンサC1及び抵抗器R2を介して、GNDに接続される。このコンデンサC1及び抵抗器R2が、受動回路としてのRC回路で実現された遅延部26に相当する。
【0025】
また、ショトキバリアダイオードD2のカソード端子(K)は、PNP型トランジスタQ2のエミッタ端子に接続されるとともに、抵抗器R1を介してPチャネルパワー電界効果トランジスタ(FET)Q1のソース端子S、及びトランジスタQ2のベース端子Bに接続される。トランジスタQ2のコレクタ端子Cは、遅延部26を実現するコンデンサC1と抵抗器R2との間(中点)に接続され、また、トランジスタQ1のゲート端子Gに接続されている。またトランジスタQ1のドレイン端子Dは、バックアップ電源部24の入力端子に接続される。これらトランジスタQ1,Q2、抵抗器R1が電流制限部23として機能する。
【0026】
遅延部26として機能するコンデンサC1,抵抗器R2からなるRC回路は、コンデンサC1に電荷が蓄積されるまでの間、ショットキバリアダイオードD2が供給する電流を、コンデンサC1側に引き込む。このため、コンデンサC1に電荷が蓄積されるまでの間、トランジスタQ1のゲート電圧が、トランジスタQ1がオンとなる閾値以下に抑えられる。これにより電流制限部23への電流供給が、電源投入(第2の整流部22が電流の供給を開始した時点)から所定の時間だけ遅延される。この遅延時間は、コンデンサC1,抵抗器R2の定数を適宜設定することで調整する。
【0027】
バックアップ電源部24は、バランス抵抗(R3,R4)と、電気二重層コンデンサEDCL(C2,C3)とを含んで構成される。このバランス抵抗R3,R4は直列に、電流制限部23のトランジスタQ1のドレイン端子DとGNDとの間に接続される。また一対の電気二重層コンデンサC2,C3も直列に、電流制限部23のトランジスタQ1のドレイン端子DとGNDとの間に接続される。さらにこのバランス抵抗R3,R4の中点と、電気二重層コンデンサC2,C3の中点とは互いに接続される。なお、バランス抵抗により、電気二重層コンデンサの各セル間のバランスを調整することは広く知られた技術であるため、ここでの詳しい説明を省略する。
【0028】
この電気二重層コンデンサC2(バランス抵抗R3)の、電流制限部23のトランジスタQ1のドレイン端子D側の接点が、バックアップ電源部24の出力端子となり、DC/DCコンバータ部25として機能する、スイッチングレギュレータU1の入力端子Vin(及び、チップイネーブル端子CE)に接続され、コンデンサC4を介してGNDに接続される。このスイッチングレギュレータU1のGND端子は、そのまま電力供給部11のGNDに接続される。また、バックアップ電源部24の出力端子は、リアクタンスL1を介して、スイッチングレギュレータU1のスイッチング端子Lxに接続される。
【0029】
スイッチングレギュレータU1の出力端子Voutは、キャパシタC5を介してGNDに接続されるとともに、電力供給部11の出力(Vout)端子に接続される。
【0030】
このスイッチングレギュレータU1の周辺回路の構成及び定数は、利用するスイッチングレギュレータU1の種類によって適宜異ならせることができるが、スイッチングレギュレータU1の出力電圧が5V(電力供給部11への入力電圧相当)となるようにしておく。
【0031】
本実施の形態の電子機器1は、以上のような構成を有しており、次のように動作する。なお、以下の例では、機器部12はシングル磁気記録型のハードディスクドライブを含むものとする。この場合、遅延部26は、電源投入後、少なくともハードディスクドライブのスピンアップに要する時間だけ遅延してからバックアップ電源部24への充電を開始するよう制御する。
【0032】
具体的に遅延部26がコンデンサC1,抵抗器R2からなるRC回路である場合は、これらコンデンサC1,抵抗器R2の定数を、少なくともハードディスクドライブのスピンアップに要する時間だけ遅延するように設定する。
【0033】
本実施の形態の例では、電源投入とともに第1の整流部21が、安定化電源部20から供給される電流を受け入れて整流し、機器部12への電流供給を開始する。これにより機器部12のハードディスクドライブがスピンアップを開始する。このスピンアップの間(
図3のT1)、機器部12の消費電流量I12は一時的に上昇する(
図3(a))。
【0034】
一方、第2の整流部22も、安定化電源部20が供給する電流を受け入れて整流するが、この第2の整流部22が供給する電流は、遅延部26の動作により、直ちに電流制限部23に対して供給されることはなく、電源投入から、ハードディスクドライブのスピンアップに要する時間T1を超える時間T2の経過後、バックアップ電源部24への電流供給が開始される(
図3(b))。なお、
図3の例では、時間T2の経過後、すぐに充電電流が一定の電流量に達するように図示しているが、実際には、電流量は時間経過とともに徐々に上昇する。
【0035】
電流制限部23は、上記時間T2の経過後、供給する電流量(充電電流量)が過大にならないよう制限しつつ、バックアップ電源部24に対して電流を供給する。この時点では、機器部12の消費電流量I12は、スピンアップの期間に比べて低下している。
【0036】
バックアップ電源部24は、電流制限部23からの電流供給を受けて充電を開始し、電源投入後、時間T2の経過した時点から、時間T3の時間で充電を完了する。この時間T3の期間では、バックアップ電源部24への充電のため、安定化電源部20が供給する電力は比較的大きくなるが、ハードディスクがスピンアップする期間を避けているので、電源容量を増大させる必要はない。
【0037】
バックアップ電源部24の充電中、またその充電完了後は、機器部12は、第1の整流部21を介して安定化電源部20から供給される電源で動作する。
【0038】
さらにバックアップ電源部24の充電完了後に、電源が遮断されたときには、安定化電源部20からの電力供給が停止されるので、バックアップ電源部24に含まれる電気二重層コンデンサC2,C3が放電を開始する。
【0039】
この電気二重層コンデンサC2,C3の放電により、バックアップ電源部24がDC/DCコンバータ部25を介して機器部12に対して電源の供給を維持する。この間、電気二重層コンデンサC2,C3が供給する電源の電圧は時間とともに低下するが、DC/DCコンバータ部25の働きにより、出力電圧が一定となるよう、昇圧される。
【0040】
そしてこのバックアップ電源部24からの電力供給により、機器部12のハードディスクドライブは、バッファしていたデータをディスク内に書き込むこととする。このような動作は広く知られているので、詳しい説明を省略するが、これにより、データの損失機会を低減できる。
【0041】
このように本実施の形態によると、機器部12の消費電力が比較的大きくなる電源投入直後(起動時)からの一定の時間は、バックアップ電源部24に対する充電を行わず、電源投入時から所定の時間だけ遅延してから充電を開始することで、機器部12の消費電力が増大している期間と、充電により消費電力が増大する期間とが重なり合わないように制御する。これにより、電源容量を増大させずにバックアップ電源部24への充電が可能となる。
【0042】
[電源遮断時のリセット回路]
また、遅延部26がコンデンサC1,抵抗器R2からなるRC回路である場合、遅延時間は、コンデンサC1への電荷蓄積に要する時間によって主に決定されるので、電源が遮断されたときには、このコンデンサC1に蓄積された電荷がなるべく迅速に逃がされることが好ましい。そのため、本実施の形態のある例では、
図4に示すように、遅延部26としてのコンデンサC1,抵抗器R1の中点からGND端子へダイオードD3が接続されてもよい。このダイオードD3は、そのカソード端子がコンデンサC1,抵抗器R1の中点に接続され、アノード端子がGNDに接続されている。この遅延部26の回路によれば、電源が遮断されると、このダイオードD3を介して、コンデンサC1に蓄積された電荷が比較的迅速にGNDに向けて流れることとなり、遅延部26の遅延時間がリセットされる。
【0043】
[遅延部の別の例]
また、本実施の形態のここまでの例では、遅延部26が、受動素子のみを用いたRC回路等で構成されるものとしていたが、本実施の形態はこれに限られない。例えば遅延部26は、第1の整流部21から機器部12に供給される電流量を検出する電流センサと、制御部としてのマイクロコンピュータと、第2の整流部22と電流制限部23との間に接続され、第2の整流部22から電流制限部23への電流供給をオン/オフするスイッチ回路とを含んで構成されてもよい。
【0044】
この場合、マイクロコンピュータは、その内部にあるメモリ、または外部のメモリに格納されたプログラムに従って動作し、電源が投入された後にスイッチ回路をオフとして第2の整流部22から電流制限部23への電流供給を停止しておき、その後、電流センサが検出する電流量が所定のしきい値を低下したときに、スイッチ回路をオンとして第2の整流部22から電流制限部23への電流供給を行わせるように制御してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 電子機器、11 電力供給部、12 機器部、20 安定化電源部、21 第1の整流部、22 第2の整流部、23 電流制限部、24 バックアップ電源部、25 DC/DCコンバータ部、26 遅延部。