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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】ロフルミラストの結晶成長の妨害
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/44 20060101AFI20230313BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230313BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230313BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230313BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K31/44
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K31/573
A61K45/00
A61K47/08
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/22
A61P1/04
A61P11/00
A61P17/02
A61P17/04
A61P17/06
A61P17/10
A61P17/14
A61P19/02
A61P25/00
A61P27/02
A61P29/00
A61P37/08
A61P43/00 111
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2018167139
(22)【出願日】2018-09-06
(62)【分割の表示】P 2018105928の分割
【原出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2018203769
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】15/616,409
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/676,356
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/676,373
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518194257
【氏名又は名称】アーキュティス・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド・ダブリュー・オズボーン
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0152273(US,A1)
【文献】特開2011-219364(JP,A)
【文献】米国特許第09884050(US,B1)
【文献】米国特許第09895359(US,B1)
【文献】米国特許第09907788(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/44
A61K 9/06
A61K 9/08
A61K 9/10
A61K 9/12
A61K 31/573
A61K 45/00
A61K 47/08
A61K 47/10
A61K 47/14
A61K 47/20
A61K 47/22
A61P 1/04
A61P 11/00
A61P 17/02
A61P 17/04
A61P 17/06
A61P 17/10
A61P 17/14
A61P 19/02
A61P 25/00
A61P 27/02
A61P 29/00
A61P 37/08
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のホスホジエステラーゼ4を阻害するために、必要としている患者に投与される、少なくとも2種の活性剤をヘキシレングリコールと共に含む医薬組成物であって、前記活性剤の1つがロフルミラストである、
上記医薬組成物。
【請求項2】
前記活性剤の1つが前記医薬組成物中に溶解している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ロフルミラストが前記医薬組成物中に溶解している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
活性剤の1つが、アントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキセート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル、コルチコステロイド、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張剤および抗生物質からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物が、エアロゾール剤、フォーム剤、スプレー剤、乳剤、ゲル剤、液剤、軟膏剤、ペースト剤、シャンプー剤、懸濁剤および経皮的貼付剤よりなる群から選択される形態で投与される局所用組成物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記局所用組成物が水中油型乳剤、増粘された水性ゲル剤、増粘された水性アルコールゲル剤、親水性ゲル剤、および親水性または疎水性の軟膏剤からなる群から選択される形態で投与される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が、皮膚透過を改変する溶媒をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記溶媒が、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、N-メチルピロリジノン、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコールおよびSDアルコールよりなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
さらに界面活性剤を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が、アルキルアリールナトリウムスルホン酸塩、Amerchol-CAB、ラウリル硫酸アンモニウム、キョウニン油PEG-6エステル、アラセル、塩化ベンザルコニウム、セテアレス-6、セテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-30、セテアリルアルコール(セトステアリルアルコール)/セテアレス-20、エチルヘキサン酸セテアリル、セテス-10ホスフェート、セテス-10、セテス-2、セテス-20、セテス-23、コレス-24、コカミドエーテル硫酸塩、コカミン酸化物、ココベタイン、ココジエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、ジセチルホスフェート、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、二ナトリウムオレアミドモノエタノールアミンスルホサクシネート、ドキュセートナトリウム、ラウレス-2、ラウレス-23、ラウレス-4、ラウリン酸ジエタノールアミド、レシチン、メトキシPEG-16、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、セスキステアリン酸メチルグルコース、オレス-2、オレス-20、ステアリン酸PEG6-32、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-12グリセリル、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、PEG-15コカミン、ジステアリン酸PEG-150、ステアリン酸PEG-2、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、PEG-22メチルエーテル、ステアリン酸PEG-25プロピレングリコール、ジラウリン酸PEG-4、ラウリン酸PEG-4、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、オレイン酸PEG-5、ステアリン酸PEG-50、PEG-54水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-6、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-7メチルエーテル、PEG-75ラノリン、ラウリン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-8、Pegoxol7ステアレート、ペンタエリトリトールココエート(cocoate)、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、オレイン酸ポリグリセリル-3、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシル6およびポリオキシル32、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、オレイン酸PPG-26、PROMULGEN(商標)12、プロピレングリコールジアセタート、ジカプリル酸プロピレングリコール、プロピレングリコールモノステアラート、キシレンスルホン酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアレート、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-40、牛脂脂肪酸グリセリル、ならびに乳化ワックスよりなる群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記患者が、急性および慢性気道障害;増殖性、炎症性、およびアレルギー性皮膚疾患;TNFおよびロイコトリエンの過剰放出に基づく障害;PDE阻害剤により処置できる心臓の障害;胃腸系または中枢神経系の炎症;眼の障害;関節疾患;ならびにPDE阻害剤の組織-弛緩薬の作用により処置できる障害よりなる群から選択される症状に罹患している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記患者が、乾癬(尋常性)、湿疹、ざ瘡、単純性苔癬、日焼け、掻痒、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデスおよび膿皮症よりなる群から選択される、増殖性、炎症性、およびアレルギー性皮膚疾患に罹患している、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記追加の活性剤が抗生物質である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記追加の活性剤がコルチコステロイドである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項15】
少なくとも2種の活性剤をヘキシレングリコールと共に含む医薬組成物であって、前記活性剤の1つがロフルミラストである、上記医薬組成物。
【請求項16】
前記活性剤の1つが前記医薬組成物中に溶解している、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ロフルミラストが前記医薬組成物中に溶解している、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記活性剤の1つが、アントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキセート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル、コルチコステロイド、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張剤および抗生物質からなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物が、エアロゾール剤、フォーム剤、スプレー剤、乳剤、ゲル剤、液剤、軟膏剤、ペースト剤、シャンプー剤、懸濁剤および経皮的貼付剤よりなる群から選択される形態で投与される局所用組成物である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記局所用組成物が水中油型乳剤、増粘された水性ゲル剤、増粘された水性アルコールゲル剤、親水性ゲル剤、および親水性または疎水性の軟膏剤からなる群から選択される形態で投与される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記医薬組成物が、皮膚透過を改変する溶媒をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記溶媒が、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、N-メチルピロリジノン、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコールおよびSDアルコールよりなる群から選択される、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
さらに界面活性剤を含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記界面活性剤が、アルキルアリールナトリウムスルホン酸塩、Amerchol-CAB、ラウリル硫酸アンモニウム、キョウニン油PEG-6エステル、アラセル、塩化ベンザルコニウム、セテアレス-6、セテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-30、セテアリルアルコール(セトステアリルアルコール)/セテアレス-20、エチルヘキサン酸セテアリル、セテス-10ホスフェート、セテス-10、セテス-2、セテス-20、セテス-23、コレス-24、コカミドエーテル硫酸塩、コカミン酸化物、ココベタイン、ココジエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、ジセチルホスフェート、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、二ナトリウムオレアミドモノエタノールアミンスルホサクシネート、ドキュセートナトリウム、ラウレス-2、ラウレス-23、ラウレス-4、ラウリン酸ジエタノールアミド、レシチン、メトキシPEG-16、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、セスキステアリン酸メチルグルコース、オレス-2、オレス-20、ステアリン酸PEG6-32、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-12グリセリル、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、PEG-15コカミン、ジステアリン酸PEG-150、ステアリン酸PEG-2、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、PEG-22メチルエーテル、ステアリン酸PEG-25プロピレングリコール、ジラウリン酸PEG-4、ラウリン酸PEG-4、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、オレイン酸PEG-5、ステアリン酸PEG-50、PEG-54水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-6、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-7メチルエーテル、PEG-75ラノリン、ラウリン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-8、Pegoxol7ステアレート、ペンタエリトリトールココエート(cocoate)、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、オレイン酸ポリグリセリル-3、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシル6およびポリオキシル32、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、オレイン酸PPG-26、PROMULGEN(商標)12、プロピレングリコールジアセタート、ジカプリル酸プロピレングリコール、プロピレングリコールモノステアラート、キシレンスルホン酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアレート、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-40、牛脂脂肪酸グリセリル、ならびに乳化ワックスよりなる群から選択される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ヘキシレングリコールが、0.1~20%w/wの量である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記ヘキシレングリコールが、0.25~8%w/wの量である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記ヘキシレングリコールが、0.5~2%w/wの量である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記ロフルミラストが、0.005~2%w/wの量である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項29】
薬学的に許容される充填剤、担体および/または賦形剤をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項30】
ジエチレングリコールモノエチルエーテルをさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記薬学的に許容される充填剤、担体および/または賦形剤が局所投与に適切である、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記追加の活性剤が抗生物質である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記追加の活性剤がコルチコステロイドである、請求項18に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁した、または医薬製品から沈殿しているロフルミラストの保存時の、結晶成長または粒径の増大の妨害に関する。より具体的には、本発明は、懸濁または沈殿したロフルミラスト粒子が経時的に粒径分布において変化することを妨害するために製剤化された、薬学的に許容される乳剤、懸濁剤、ゲル剤または溶液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ロフルミラストは、気管支治療剤としても、炎症性障害の処置用にも適切であると知られている。ロフルミラストを含有する組成物は、ヒトおよび獣医学的な薬で使用され、ならびに、以下を含むがこれらに限定されない疾患の処置および予防に提案されている:炎症およびアレルゲン誘導性気道障害(例えば、気管支炎、喘息、COPD)、皮膚疾患(例えば、増殖性、炎症性およびアレルゲン誘導性皮膚障害)、ならびに、胃腸領域の全身性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)。
【0003】
ロフルミラストおよびその合成法は、米国特許第5,712,298号(「’298特許」)に記載されており、参照として本明細書に組み込まれている。(別段の指示がない限り、参照により本明細書に組み込まれる参照文献は、全ての目的においてその全体が組み込まれる。)ロフルミラストなどのホスホジエステラーゼ(PDE)阻害特性を有する医薬化合物が、乾癬およびアトピー性皮膚炎(’298特許、コラム11、52~61行)ならびに他の慢性炎症およびアレルゲン誘導性皮膚疾患の処置に有用であることは早くから認識されている。このような皮膚疾患の処置について、局所塗布用のロフルミラストの乳剤、懸濁剤、ゲル剤または溶液剤は記載されている(’298特許、コラム12、37~64行)。ロフルミラストの経口錠剤は市販されているが、化合物の低水溶解度が21℃で0.53mg/lしかないことがWO95/01338において、報告されている(’298特許に対応し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)。この低水溶解度は、水を含有する、非経口製剤および局所的な乳剤、懸濁剤、ゲル剤または溶液剤の開発にとって問題である。米国特許第9,205,044号(参照により本明細書に組み込まれる)において、ロフルミラストの低い水溶性は、アルコキシル化脂肪、特にポリオキシエチル化12-ヒドロキシステアリン酸を、非経口投与用の共溶媒として使用することで克服された。EP1511516B1(公開された米国特許出願第14/075,035号に対応し、参照により本明細書に組み込まれる)において、ロフルミラストの低い水溶性は、ポリエチレングリコール400(PEG400)を、10%未満の水重量百分率を保持しながら、62%(w/w)超の濃度で製剤化することによる、局所乳剤(クリーム剤)製剤で克服された。
【0004】
皮膚疾患の処置用のロフルミラストのような強力な薬剤の局所塗布は、送達に優れ、全身曝露が低く、患者が使用しやすいことが見出されている。化合物の分子構造は、最終的に、製品を塗布する組織の上皮を交差する薬物の能力を必要とする。皮膚への局所塗布のために、製剤の成分の選択には、製剤者が達成できる最大限の皮膚透過が必要である。クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤およびフォーム剤は、皮膚への塗布用の活性医薬成分(API)を含有する局所製品のより知られている形態のほんの一部である。皮膚内にまたは皮膚を通したAPIの一貫した送達を確実にするために、1)局所製品の貯蔵寿命にわたって溶解させた状態、または2)局所製品の貯蔵寿命にわたって晶癖が変化せず粒径分布が変化しない粒子として懸濁させた状態のいずれかのままにしておかなければならない。
【0005】
皮膚のバリアを透過する溶解した活性成分の能力は、その分子構造によって決定される。分子構造と皮膚浸透の周知の関係は、分子量が増加すると、活性剤が皮膚を交差する率が低下することである(JD Bos、MM Meinardi、Exp Dermatol.2000年6月;9(3):165~9頁)。別のよく理解されている関係は、親水性活性剤のオクタノール-水分配係数が増加すると、最初は活性剤が皮膚を透過する率は増加するが、次に一旦、活性剤が非常に親油性となるために角質層から表皮のより下層に分割できなくなると、皮膚透過は低下する(D.W.OsborneおよびW.J.Lambert、Prodrugs for Dermal Delivery、K.B. Sloane編、Marcel Dekker、New York 163~178頁(1992))。最適なオクタノール-水分配係数は、通常logP値で2~3である。活性成分が生きた表皮を交差する率は、局所製品の組成物に基づいてさらに改変することができる。製剤の最終的なpHは、重要であり得るが、その理由は、溶解したイオン化活性成分が、典型的には、電荷を担持しない活性成分と同様には効果的に皮膚を透過しない(N.Li、X.Wu、W.Jia、M.C.Zhang、F.TanおよびJ Zhang. Drug Dev Indust Pharm 38(8)985~994頁)。皮膚浸透エンハンサーなどの機能性成分(D.W.OsborneおよびJ.J.Henke、Pharmaceutical Technology 21(11)58~66頁(1997))は、局所製品に添加して皮膚透過を増加することができる。局所製品に溶解した活性剤について、薬物濃度が薬物製品を飽和するのに必要な量の活性剤に近づくほど、皮膚を交差する活性剤の熱力学的駆動力がより大きくなる、すなわち活性剤の皮膚フラックスがより大きくなる。科学文献により、製剤者は、極性経路、非極性経路、および細胞間脂質経路または経毛包浸透を通した浸透が増すやり方が方向づけられる。これら理論および機構が時に矛盾するが、局所製品からの薬物の最も一貫した皮膚透過は、活性成分が製剤に溶解する場合に起こることが概ね認められている。そのため、製剤者は一般に、標識された保存指示に従って、保存中の活性成分の沈殿物の粒子または結晶を有する局所製品の発生を回避する。活性成分の沈殿は、様々な要因で起こり得る。特定の医薬賦形剤で製剤化される場合、特定の活性成分は、過飽和溶液を形成する傾向がある。製造の時に、活性成分は全て、溶液中にある。数日後、数週間後、または数か月後、この準安定な局所製品は平衡し、活性成分粒子が形成される。次いで、局所製品がエタノールなどの揮発性溶媒を含有する場合、保存時の溶媒の蒸発は、活性成分の沈殿に起因し得る。溶解しにくい多形体(PudipeddiおよびSerajuddin、J.Pharm.Sci.、94(5)929~939頁(2005))は、局所製品中で核となり得、再溶解しない活性成分粒子を形成し得る。他の製品は、活性成分の飽和限度に非常に近づけて製剤化され得、結果的に保存温度をわずかに変化させることで沈殿を起こす。輸送中に起こり得る劇的な温度変化が、活性成分の可逆的な沈殿の原因となることが予期できることに注意すべきである。原因に関わらず、局所製品の保存中の活性成分の不可逆的な沈殿は、局所製品の生物学的利用能および効能に対し多大な影響を及ぼし得るが、それは溶解した活性成分のみが、無処置の角質層、すなわち皮膚の上皮の表層に浸透できるからである。
【0006】
懸濁した活性成分について、分子構造に加えて、特性は皮膚透過に影響を与える。溶解した活性成分対懸濁した活性成分の比は、局所塗布後に送達された活性剤の量に著しい影響を及ぼす可能性がある。最適な薬物送達は、表皮の角質層を容易に交差しない微粒子の状態での活性成分に加えて、表皮の角質層を透過する能力を有し、全身で使用可能になる、溶解した活性成分を含む局所組成物を利用することにより、特定の薬物および特定の疾患に対して達成できることを示す(米国特許第5,863,560号、これによって参照により組み込まれる)。その送達に影響する懸濁した活性成分の別の特性には、懸濁した粒径の分布がある。6ミクロン粒子は、毛包を標的とし、硬毛の500マイクロメーターの深さまで浸透することを示す。0.75ミクロン~1.5ミクロンのサイズの懸濁した粒子について、粒子は、硬毛の毛幹の800マイクロメーターの深さまで浸透する(A Patzelt、F Knorr、U Blume-Peytavi、W Sterry、J Lademann、Drug Discovery Today:Disease Mechanisms、5(2)2008年、e173~e181頁)。したがって、懸濁した活性成分について、皮膚透過性は、以下の特性に依存する:1)溶解した活性成分の分子構造、2)懸濁した活性成分の微粒子/結晶構造、3)懸濁した活性成分の粒径、および、4)懸濁した活性成分の粒径分布。皮膚透過を改変する局所製品の組成物の能力は、懸濁した活性成分、および溶解した活性成分に類似する。皮膚透過性は、懸濁した活性成分の追加特性に依存するため、懸濁した活性剤を含有する局所製品からの一貫した送達は、溶解した活性成分のみを含有する局所製品より維持することが難しい。
【0007】
局所製品からの懸濁した活性成分の一貫した送達は、懸濁した粒子のサイズまたは量が製品の貯蔵寿命にわたって著しく変化しない製品に製剤化することで確実になる。溶解した活性成分対微粒子活性成分の比の経時的な変化により、活性成分の皮膚透過は劇的に変化できる。溶解した活性成分の沈殿の原因となり得る上記の同様の機構(過飽和、温度変化、蒸発、多形変体)により、懸濁した活性成分に対する溶解した対微粒子の比は変化できる。分散した活性成分の粒径または粒径分布の経時的な変化により、活性成分の皮膚透過もまた劇的に変化できる。時に、粒径または粒径分布のこの変化は、粒子のオストワルド熟成により説明できる。オストワルド熟成は、局所製品の小粒子が溶解し、局所製品の同じ容器内で懸濁したより大きな粒子上に再付着する場合に起こる。経時的なこの現象により、より小さい粒子が低下して、より大きな粒子に粒径分布は変化する。オストワルド熟成および溶解しにくい多形体の沈殿は、懸濁した活性剤を含有する局所製品の開発の2つの重要な問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5,712,298号
【文献】WO95/01338
【文献】米国特許第9,205,044号
【文献】EP1511516B1
【文献】米国特許出願第14/075,035号
【文献】米国特許第5,863,560号
【非特許文献】
【0009】
【文献】JD Bos、MM Meinardi、Exp Dermatol.2000年6月;9(3):165~9頁
【文献】D.W.OsborneおよびW.J.Lambert、Prodrugs for Dermal Delivery、K.B.Sloane編、Marcel Dekker、New York 163~178頁(1992)
【文献】N.Li、X.Wu、W.Jia、M.C.Zhang、F.TanおよびJ Zhang. Drug Dev Indust Pharm 38(8)985~994頁
【文献】D.W.OsborneおよびJ.J.Henke、Pharmaceutical Technology 21(11)58~66頁(1997)
【文献】PudipeddiおよびSerajuddin、J.Pharm.Sci.、94(5)929~939頁(2005)
【文献】A Patzelt、F Knorr、U Blume-Peytavi、W Sterry、J Lademann、Drug Discovery Today:Disease Mechanisms、5(2)2008年、e173~e181頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
局所的なロフルミラスト製品を安全に添加して懸濁した活性成分の粒径変化を防止できる非刺激性で非敏感性の添加剤が必要である。このような添加剤は、保存中の結晶成長または粒径の増加を起こす可能性のある、任意のロフルミラスト組成物で有用である。結晶成長または粒径の変化はまた、非経口製剤および肺内製剤などの局所製剤を除いた、ロフルミラスト医薬製剤の投与および/または生物学的利用能に影響し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、ヘキシレングリコールは、水を含む薬学的に許容される溶媒を含有する製剤中の懸濁または沈殿したロフルミラスト粒子の結晶成長を妨害することが発見された。懸濁または沈殿したロフルミラスト粒子の結晶成長を妨害することは、皮膚透過性により局所的に適用される製剤で特に重要である。
【0012】
本発明または出願ファイルは、カラーで制作された少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図を伴う本発明または特許出願公開の写しは、請求があり、必要な手数料が納付されたときに官庁から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書の実施例全てで使用される原薬である、Ferrer-Interquim S.A.バッチA14367Pからの試料19-2の「乾燥」ロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.01mm~0.02mmである。
図2】10倍の倍率下での、室温で6週間保存後の等モルのヘキシレングリコール:水の溶液で懸濁した試料20-3のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.01mm~0.02mmである。
図3】室温で6週間保存後の等モルのジエチレングリコールモノエチルエーテル:水の溶液で懸濁した試料20-2のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.04mm~0.20mmで、幅が0.01mm~0.02mmである。
図4】4倍の倍率下での、室温で6週間保存後の等モルのヘキシレングリコール:水の溶液で懸濁した試料20-3のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.01mm~0.02mmである。
図5】室温で6週間保存後の等モルのエタノール:水の溶液で懸濁した試料21-2のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.05mm~0.25mmで、幅が0.02mmである。
図6】室温で6週間保存後の等モルのPEG400:水の溶液で懸濁した試料21-3のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.05mm~0.07mmで、幅が0.02mmである。
図7】室温で6週間保存後の等モルのDMSO:水の溶液で懸濁した試料21-4のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.10mm~0.67mmで、幅が0.02mm~0.10mmである。
図8】室温で6週間保存後の等モルのプロピレングリコール:水の溶液で懸濁した試料21-5のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.20mm~1.60mmで、幅が0.02mmである。
図9】室温で6週間保存後の等モルのNMP:水の溶液で懸濁した試料20-1のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.10mm~1.55mmで、幅が0.02mm~0.13mmである。
図10】室温で6週間保存後の等モルのHG:NMP:水(水のモル分率=1.2)の溶液で懸濁した試料21-1のロフルミラスト結晶を示す図である。ロフルミラスト結晶は、長さが0.02mm~0.04mmで、幅が0.02mmである。
図11A】1回の凍結融解サイクル後のクリーム剤組成物中に沈殿したロフルミラスト粒子を示す図である。図11aは、ヘキシレングリコールを伴わず、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)でクリーム剤組成物中に沈殿した試料36-1のロフルミラスト粒子を示す。3つの最も大きなロフルミラスト粒子を測定し(0.07mm×0.09mm、0.06mm×0.06mm、および0.10mm×0.05mm)、平均表面積は5,000平方ミクロンであることが見出された。
図11B】1回の凍結融解サイクル後のクリーム剤組成物中に沈殿したロフルミラスト粒子を示す図である。図11bは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)およびヘキシレングリコールの両方でクリーム剤組成物中に沈殿した試料36-2のロフルミラスト粒子を示す。3つの最も大きなロフルミラスト粒子を測定し(0.05mm×0.03mm、0.05mm×0.03mm、および0.05mm×0.03mm)、平均表面積は1,500平方ミクロンであることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ロフルミラストは、式(I)の化合物である:
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R1はジフルオロメトキシであり、R2はシクロプロピルメトキシであり、R3は3,5-ジクロロピリド-4-イルである)。
本化合物は、化学名N-(3,5-ジクロロピリド-4-イル)-3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシベンズアミド(difluoromethoxybenzamid-e)(INN:ロフルミラスト)である。
【0017】
ヘキシレングリコール(医薬品グレードUSP/NF)は、式(II)の2-メチル-2,4-ペンタンジオールである。
【0018】
【化2】
【0019】
本発明は、組成物中のロフルミラスト結晶の成長を妨害するために、ヘキシレングリコールの、水を含む薬学的に許容される溶媒を含有するロフルミラスト含有医薬組成物への添加に関する。懸濁したロフルミラスト粒子または結晶を含有するように設計された局所製品に対して、ヘキシレングリコールの、ロフルミラストを含有する組成物への添加は、製品の貯蔵寿命にわたって粒径分布の変化を妨害(すなわち、ヘキシレングリコールを含有しない組成物と比較して、防止または実質的に低減)し、一貫した生物学的利用能を確実にする。ロフルミラストを完全に溶解するように設計された局所製品に対して、ヘキシレングリコールは、沈殿したロフルミラスト粒子の成長を妨害する。
【0020】
製品の貯蔵寿命にわたって標識された保存条件で完全に溶解した原薬である薬物製品は、製品を製剤化して著しい熱力学的駆動力を維持する場合、活性沈殿物を有する。局所的な医薬クリーム剤に対する局所的な保存条件は以下の通りである:室温での保存:60°F/15℃~80°F/26℃。凍結しない。局所製品がこの温度範囲にわたって常に保存されるわけでないことは、製品開発の科学者および規制当局の審査官により理解される。したがって、FDAでは、全ての局所製品が凍結融解サイクルおよび温度可動域試験を実施する必要がある。活性剤は、製品が標識された保存条件の15℃(60°F)より劇的に低い-20℃の温度に曝露する場合、溶液中に保持する必要も予期もない。完全に溶解した薬物を含有する局所製品は、通常、飽和近傍で、すなわち最大熱力学的駆動力近傍で製剤化されるので、多くの局所製品は、凍結融解サイクルおよび温度可動域試験の間に活性成分の沈殿を起こす。ヘキシレングリコールの添加は、沈殿が標識された保存条件未満の温度可動域によって起こる場合、ロフルミラストの結晶成長を防止する。結晶成長を妨害することは、任意の沈殿した活性剤が、一旦、製品が制御された室温に戻ると、迅速に回復して完全に溶解することを確実にする。沈殿したロフルミラストの完全に溶解した状態への敏速な回復は、局所適用した製品の一貫した再現可能な生物学的利用能、効能、および安全性を確実にする。ヘキシレングリコールは、重量/重量を基準として0.1%~20%、好ましくは重量/重量を基準として0.25%~8%、最も好ましくは重量/重量を基準として0.5%~2%で添加できる。
【0021】
ヘキシレングリコールの添加から利益を得る局所的なロフルミラスト製品の製剤として、エアロゾール剤、フォーム剤、スプレー剤、乳剤(クリーム剤、ローション剤または軟膏剤とも称することができる)、ゲル剤(二層または単相)、液剤、軟膏剤、ペースト剤、シャンプー剤、懸濁剤およびシステムが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、活性医薬成分を含有する剤形に対して分類学概説でTier2の用語である(米国薬局方<1151>)。
【0022】
ロフルミラスト製剤は、当該技術で公知の方法により調製できる(例えば、’298特許および米国特許出願第14/075,035号参照)。
好ましくは、ヘキシレングリコールは、以下の形態の1つであり得る、0.005~2.0%のロフルミラストを含有する組成物に添加する:
水中油型乳剤:製品は、ヘキシレングリコールが、疎水性成分の分離相、ならびに、水および場合により1つまたは複数の極性親水性賦形剤ならびに溶媒、共溶媒、塩、界面活性剤、乳化剤、ならびに他の成分を含む、連続水相を含む、乳剤に添加される製剤であり得る。これらの乳剤は、乳剤の安定化の助けとなる水溶性または水膨潤性のポリマーを含み得る。
【0023】
増粘された水性ゲル剤:これらのシステムは、下記のような適切な天然増粘剤、改変された天然増粘剤、または合成増粘剤により増粘された水相を含む。あるいは、増粘された水性ゲル剤は、適切なアルキルポリエトキシレート鎖の界面活性剤、または他の非イオン性、カチオン性もしくはアニオン性のシステムを使用して増粘することができる。
【0024】
増粘された水性アルコールゲル剤:これらのシステムは、下記のような適切な天然増粘剤、改変された天然増粘剤、または合成増粘剤により増粘された極性相として、水およびアルコールのブレンドを含む。あるいは、増粘された水性アルコールゲル剤は、適切なアルキルポリエトキシレート鎖の界面活性剤、または他の非イオン性、カチオン性もしくはアニオン性のシステムを使用して増粘することができる。アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコールまたは他の薬学的に許容されるアルコールであり得る。
【0025】
親水性ゲル剤:これらは、連続相が水以外の少なくとも1つの水溶性または水分散性の親水性成分を含む、システムである。製剤はまた、場合により、最大60重量%の水を含有する。より高いレベルが、いくつかの組成物において適切となり得る。適切な親水性成分として、1つまたは複数のグリコール、例えばポリオール、例としてグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのランダムコポリマーまたはブロックコポリマー、分子当たり1つまたは複数の疎水部分を有するポリアルコキシル化界面活性剤、シリコーンコポリオール、セテアレス-6およびステアリルアルコールのブレンド、ならびにそれらの組合せなどが挙げられる。
【0026】
油中水型乳剤:組成物は、ロフルミラストが、疎水性成分の連続相、および、水および場合により1つまたは複数の極性親水性担体ならびに塩または他の成分を含む水相を含む、乳剤に組み込まれる製剤であり得る。これらの乳剤は、乳剤の安定化の助けとなる油溶性または油膨潤性のポリマーならびに1種または複数の乳化剤を含み得る。
【0027】
親水性または疎水性の軟膏剤:組成物は、疎水性の基材(例えば、ワセリン、増粘またはゲル化された水不溶性油など)、および、場合によりごく少量の水溶性相を有する基材で製剤化される。親水性軟膏剤は、一般に、1種または複数の界面活性剤または湿潤剤を含有する。
溶媒
本発明による組成物は、局所製品で所望のレベルの活性成分の溶解度を得るための、1つまたは複数の溶媒または共溶媒を含み得る。溶媒はまた、皮膚透過または製剤に含有される他の賦形剤を改変し得る。溶媒として、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、N-メチルピロリジノン、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコールおよびSDアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
保湿剤
本発明による組成物は、水和のレベルを増加するための、保湿剤を含み得る。保湿剤は、保水剤を含む親水性材料であり得、または、エモリエント剤を含む疎水性材料であり得る。適切な保湿剤として、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200-8000、ステアリン酸ブチル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、パルミチン酸セチル、カカオ脂、ヤシ油、シクロメチコン、ジメチコン、ドコサノール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、脂肪酸、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラノリン、鉱物油、リモネン、中鎖トリグリセリド、メントール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、オリーブ油、パラフィン、ピーナッツ油、ワセリン、プラスチベース-50W、および、ステアリルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
界面活性剤および乳化剤
本発明による組成物は、場合により、組成物を乳化し、活性剤または賦形剤の表面が湿るのを助けるための、1種または複数の界面活性剤を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「界面活性剤」は、水の表面張力および/または水と不溶性液体の間の界面張力の低減が可能な両親媒性物質(共有結合している極性および非極性の領域両方を有する分子)を意味する。界面活性剤として、アルキルアリールナトリウムスルホン酸塩、Amerchol-CAB、ラウリル硫酸アンモニウム、キョウニン油PEG-6エステル、アラセル、塩化ベンザルコニウム、セテアレス-6、セテアレス-12、セテアレス-15、セテアレス-30、セテアリルアルコール(セトステアリルアルコール)/セテアレス-20、エチルヘキサン酸セテアリル、セテス-10、セテス-2、セテス-20、セテス-23、コレス-24、コカミドエーテル硫酸塩、コカミン酸化物、ココベタイン、ココジエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、二ナトリウムオレアミドモノエタノールアミンスルホサクシネート、ドキュセートナトリウム、ラウレス-2、ラウレス-23、ラウレス-4、ラウリン酸ジエタノールアミド、レシチン、メトキシPEG-16、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、セスキステアリン酸メチルグルコース、オレス-2、オレス-20、ステアリン酸PEG6-32、ステアリン酸PEG-100、ラウリン酸PEG-12グリセリル、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース、PEG-15コカミン、ジステアリン酸PEG-150、ステアリン酸PEG-2、セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース、PEG-22メチルエーテル、ステアリン酸PEG-25プロピレングリコール、ジラウリン酸PEG-4、ラウリン酸PEG-4、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、オレイン酸PEG-5、ステアリン酸PEG-50、PEG-54水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-6、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-7メチルエーテル、PEG-75ラノリン、ラウリン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-8、Pegoxol7ステアレート、ペンタエリトリトールココエート(cocoate)、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、オレイン酸ポリグリセリル-3、ポリオキシエチレンアルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシル6およびポリオキシル32、ステアリン酸ポリオキシルグリセリル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、オレイン酸PPG-26、PROMULGEN(商標)12、プロピレングリコールジアセタート、ジカプリル酸プロピレングリコール、プロピレングリコールモノステアラート、キシレンスルホン酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアレート、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-40、牛脂脂肪酸グリセリル、ならびに乳化ワックスが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリマーおよび増粘剤
ある種の塗布のために、溶解性、膨潤性または不溶解性の有機高分子増粘剤、例えば、天然および合成ポリマー、または、無機増粘剤、例えば、アクリレートコポリマー、カルボマー1382、カルボマーコポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプA、カルボマーホモポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプC、カルボキシビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カラゲナン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性ワックスおよびメチルセルロースである、増粘された製品を製剤化することが望ましい。
追加成分
本発明による組成物は、化粧品および医薬品の局所製品で従来見られる、充填剤、担体および賦形剤などの追加成分で製剤化され得る。消泡剤、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール、フェニル水銀塩、クロロクレゾール)、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整液、皮膚浸透エンハンサー、膜形成剤、染料、色素剤、希釈剤、充填剤、芳香剤および安定性または美観を改善する他の賦形剤を含むがこれらに限定されない追加成分を、組成物に添加し得る。
【0028】
本発明による組成物は、処置された状態に依存する追加の活性剤で製剤化され得る。追加の活性剤として、アントラリン(ジスラノール)、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキセート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル(Propylthouracil)、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル、コルチコステロイド(例えば、アルクロメタゾン(Aclometasone)、アムシノニド、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロコルトロン(Clocotolone)、モメタゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ジフロラゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾン)、コルチコトロピン、ビタミンD類似体(例えば、カルシポトリエン、カルシトリオール)、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張剤(bronchodialator)(例えば、ベータ作用薬、抗コリン作用薬、テオフィリン)、および抗生物質(例えば、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、メトロニダソール)が挙げられるが、これらに限定されない。
投与および投与量
本発明による組成物は、経口、直腸、非経口(例えば、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、髄内、動脈内、鞘内、硬膜外)、眼、吸入、噴霧、皮膚に(局所的に)、経皮的に、および粘膜に(例えば、舌下、バッカル、経鼻的に)を含むがこれらに限定されない任意の適切な投与経路により投与されることができる。好ましい実施形態において、組成物は局所的に投与される。
【0029】
適切な医薬剤形として、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、油剤、軟膏剤、脂肪性軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤、フォーム剤、経皮的貼付剤および溶液剤(例えば、注射剤、経口剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
組成物は、好ましくは、ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN-オキシドまたはそれらの塩を、投与単位当たり、0.005~2%w/w(重量%)、より好ましくは0.05~1%w/w、最も好ましくは0.1~0.5%w/wの量で含有する。
【0031】
組成物は、好ましくは、ヘキシレングリコールを、0.1%~20%w/w、より好ましくは0.25%~8%w/w、最も好ましくは0.5%~2%w/wの量で含有する。
組成物は1日当たり1回または複数回投与することができ、好ましくは、組成物は1日当たり1~2回投与する。
【0032】
組成物は、急性および慢性気道障害;増殖性、炎症性、およびアレルギー性皮膚疾患;TNFおよびロイコトリエンの過剰放出に基づく障害;PDE阻害剤により処置できる心臓の障害;胃腸系または中枢神経系の炎症;眼の障害;関節疾患;ならびにPDE阻害剤の組織-弛緩薬の作用により処置できる障害を含むがこれらに限定されない、ロフルミラストを使用することにより治療または予防可能とみなされる全ての疾患の処置または予防のために、獣医学的およびヒトでの薬で使用できる。好ましくは、組成物は、乾癬(尋常性)、湿疹、ざ瘡、単純性苔癬、日焼け、掻痒、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデスおよび膿皮症などの、増殖性、炎症性、およびアレルギー性皮膚疾患を処置するために使用される。
【0033】
組成物は、患者の状態を処置するのに適切な追加の活性剤を含み得る。例えば、増殖性、炎症性、およびアレルギー性皮膚疾患を処置する場合、組成物は、加えて、アントラリン(ジスラノール)、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキセート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル、コルチコステロイド(例えば、アルクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、モメタゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ジフロラゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾン)、コルチコトロピン、ビタミンD類似体(例えば、カルシポトリエン、カルシトリオール)、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、および抗生物質を含み得る。
【0034】
以下の実施例は、当業者が本発明の方法および組成物を、作成および使用することを可能とするように提供される。これらの実施例は、発明者が本発明としてみなすものの範囲を制限することを意図していない。追加の利点および改変は、当業者には容易に分かるであろう。
【実施例1】
【0035】
数mgのロフルミラストAPI(Interquim S.A.からのバッチA14367P)乾燥粉末をスライドガラスに載せ、カバーガラスを移動し、APIの晶癖および粒径を、10倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図1、顕微鏡試料19-2)。
【0036】
0.0092グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ヘキシレングリコール(ロット1AC0818、Spectrum)および蒸留水の等モルブレンドを、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴下して、溶解度限界を超過するロフルミラストの懸濁液を生成する。等モルブレンドは、重量/重量パーセントを基準としてヘキシレングリコール86.7%および水13.3%である。ヘキシレングリコール:水のブレンドをそれぞれ追加して混合した後、密栓したバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。0.0092グラムのロフルミラストに完全に溶解し、等モルのヘキシレングリコール:水(wt/wt%)溶液中で1.14%のロフルミラストとするために、0.7962グラムの等モルのヘキシレングリコール:水のブレンドを必要とした。0.0064グラムのロフルミラストを本試料(12-3と標識)に添加して、25℃で微分散した懸濁液を形成し、次いでバイアルを、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、10倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図2、顕微鏡試料20-3)。
【0037】
0.0111グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ジエチレングリコール(DEGEE)(Transcutol P、ロット146063、Gattefosse)および蒸留水の等モルブレンドを、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴下して、溶解度限界を超過するロフルミラストの懸濁液を生成する。等モルブレンドは、重量/重量パーセントを基準としてDEGEE88.3%および水11.7%である。DEGEE:水のブレンドをそれぞれ追加して混合した後、密栓したバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。0.0111グラムのロフルミラストに完全に溶解し、等モルのDEGEE:水(wt/wt%)溶液中で4.29%のロフルミラストとするために、0.2477グラムの等モルのDEGEE:水のブレンドを必要とした。本試料(13-1と標識)を、25℃でロフルミラストの溶液とし、次いでバイアルを、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶は、より低い保存温度だったため沈殿した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、10倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図3、顕微鏡試料20-2)。
【実施例2】
【0038】
0.0092グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ヘキシレングリコール(ロット1AC0818、Spectrum)および蒸留水の等モルブレンドを、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴下して、溶解度限界を超過するロフルミラストの懸濁液を生成する。等モルブレンドは、重量/重量パーセントを基準としてヘキシレングリコール86.7%および水13.3%である。ヘキシレングリコール:水のブレンドをそれぞれ追加して混合した後、密栓したバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。0.0092グラムのロフルミラストに完全に溶解し、等モルのヘキシレングリコール:水(wt/wt%)溶液中で1.14%のロフルミラストとするために、0.7962グラムの等モルのヘキシレングリコール:水のブレンドを必要とした。0.0064グラムのロフルミラストを本試料(12-3と標識)に添加して、25℃で微分散した懸濁液を形成し、次いでバイアルを、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図4、顕微鏡試料20-3)。
【0039】
0.0260グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。1.0705グラムのエタノール:水のブレンド(重量/重量パーセントを基準としてエタノール74.98%および水25.02%である、または体積でアルコール95%であるEverclear)を添加して、溶解度限界を超過するエタノール:水のブレンド中のロフルミラストの分散液を生成した。次いで、本試料(2頁に「Alc」として標識)を、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図5、顕微鏡試料20-3)。
【0040】
0.0180グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ポリエチレングリコール400(ロット1DE0880、Spectrum)を、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴下して、溶解度限界を超過するロフルミラストの懸濁液を生成する。ポリエチレングリコール400をそれぞれ追加して混合した後、密栓したバイアルを25℃に設定した水浴に戻した。0.0180グラムのロフルミラストに完全に溶解し、ポリエチレングリコール400溶液中で3.18%のロフルミラストとするために、0.5486グラムのプロピレングリコール400を必要とした。本試料(1頁に「PEG400」として標識)を、25℃で溶液とし、次いで、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶は、より低い保存温度だったため沈殿した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図6、顕微鏡試料21-3)。
【0041】
0.0103グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中に秤量し、0.2501グラムのジメチルスルホキシド(ロットUS150、Gaylord Chemical)を混合して、25℃でロフルミラストの28.5%溶液を得た。次いで、本試料(2頁に「DMSO」として標識)を、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。沈殿したロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図7、顕微鏡試料21-4)。
【0042】
0.0061グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)、1.9332グラムのプロピレングリコール(ロット1EC0004、Spectrum)および蒸留水0.2335グラムを混合して、25℃で透明溶液を最初に形成した。試料の組成物は、重量/重量%を基準として、ロフルミラスト0.28%、プロピレングリコール88.97%、および水10.75%であった。25℃で105分間保存した後、ロフルミラストの微細結晶の「ちり」を、バイアルの底で観察した。6日後、追加の結晶が、バイアルの底に積もった。次いで、本試料(7-2と標識)を、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。沈殿したロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図8、顕微鏡試料21-5)。
【実施例3】
【0043】
劇的に増したロフルミラストの結晶成長を、溶解度限界を超過して添加されロフルミラストを有するヘキシレングリコール:N-メチルピロリドン:水(水のモル分率1.2)の溶液の12:4:3(wt/wt/wt)ブレンドと比較して薬物飽和を超過するロフルミラストを含有する、等モルのN-メチルピロリドン:水の溶液中で観察した。
【0044】
0.0202グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)は、液体シンチレーションバイアル中の0.0682グラムの等モルのN-メチル-2-ピロリドン:水のブレンドと混合した。等モルブレンドは、重量/重量パーセントを基準としてN-メチル-2-ピロリドン(ロットSYYN-HJ、TCI)84.5%および水15.5%である。等モルのN-メチル-2-ピロリドン:水中のロフルミラスト22.85%を、25℃で完全に溶解した。次いで、本試料(13-2と標識)を、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶は、より低い保存温度だったため沈殿した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図10、顕微鏡試料20-1)。
【0045】
ロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)3.6%、ヘキシレングリコール(ロット1AC0818、Spectrum)60.8%、N-メチル-2-ピロリドン(ロットSYYN-HJ、TCI)20.0%、および、蒸留水15.6%の試料0.8152グラムを、重量/重量パーセントを基準として混合した。本試料(13-4と標識)を、25℃でロフルミラストの微分散した懸濁液とした。次いで、試料を、約15~18℃で光から保護したまま6週間、静かに保存した。ロフルミラスト結晶の試料を、バイアルから取り出し、スライドガラスに(カバーガラスと)載せ、次いで、4倍の倍率で偏光顕微鏡を使用して試験した(図11、顕微鏡試料21-1)。
【実施例4】
【0046】
ロフルミラストのクリーム剤を、以下の処方に従って調製した。
処方1(比較)
【0047】
【表1】
【0048】
処方2
【0049】
【表2】
【0050】
調製後、0.4222グラムの処方1を、1.0mLのCryoTube(商標)バイアルに密閉し、36-1として標識した。同様に、0.3961グラムの処方2を、1.0mLのCryoTube(商標)バイアルに密閉し、36-2として標識した。2つのCryoTube(商標)バイアルを、包みの末端間で密閉し、17.5時間冷凍庫に置いた。冷凍庫から迅速に取り出すとすぐに、スライドガラスを各試料で準備し、室温(18℃)に試料を「融解した」後、顕微鏡写真の画像を得て、沈殿したロフルミラストの結晶成長での差を特徴付けた。図11Aおよび図11Bを参照のこと。
[発明の態様]
[1]
組成物中のロフルミラストの結晶成長または粒径の変化を妨害するための方法であって、ロフルミラストを含む組成物中にヘキシレングリコールを含ませることを含む、方法。
[2]
前記組成物が、懸濁したロフルミラスト粒子を含む、パラグラフ1に記載の方法。
[3]
懸濁したロフルミラストの粒径の変化が、20~26℃で6週間保存中に妨害される、パラグラフ2に記載の方法。
[4]
前記ヘキシレングリコールが、0.1~20%w/wの量で添加される、パラグラフ1に記載の方法。
[5]
前記ヘキシレングリコールが、0.5~2%w/wの量で添加される、パラグラフ4に記載の方法。
[6]
前記ロフルミラスト組成物が、0.005~2%のロフルミラストを含む、パラグラフ1に記載の方法。
[7]
前記ロフルミラスト組成物が、水中油型乳剤、増粘された水性ゲル剤、増粘された水性アルコールゲル剤、親水性ゲル剤、および親水性若しくは疎水性の軟膏剤からなる群から選択される、パラグラフ1に記載の方法。
[8]
前記ロフルミラスト組成物が、溶媒、保湿剤、界面活性剤または乳化剤、ポリマーまたは増粘剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整液、皮膚浸透エンハンサー、膜形成剤、染料、色素剤および芳香剤からなる群から選択される、少なくとも1つの追加成分をさらに含む、パラグラフ1に記載の方法。
[9]
前記ロフルミラスト組成物が、アントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキセート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル、コルチコステロイド、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張剤および抗生物質からなる群から選択される追加の活性剤をさらに含む、パラグラフ1に記載の方法。
[10]
前記ヘキシレングリコールが、保存前に前記組成物に添加される、パラグラフ1に記載の方法。
[11]
前記組成物が、局所的、非経口または肺内投与に適切な担体を含む、パラグラフ1に記載の方法。
[12]
前記組成物が、局所的投与に適切な担体を含む、パラグラフ1に記載の方法。
[13]
ジエチレングリコールモノエチルエーテルを前記組成物に加えることをさらに含む、パラグラフ1に記載の方法。
[14]
前記組成物が、ロフルミラスト、白色ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、セトステアリルアルコール、ジセチルホスフェート、セテス-10ホスフェート、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メチルパラベン、プロピルパラベン、及び精製水を含む、パラグラフ1に記載の方法。
[15]
前記組成物が、0.5%w/wのロフルミラスト、10.0%w/wの白色ワセリン、5.0%w/wのパルミチン酸イソプロピル、10.0%w/wのセトステアリルアルコールとジセチルホスフェートとセテス-10ホスフェート、2.0%w/wのヘキシレングリコール、25.0%w/wのジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.2%w/wのメチルパラベン、0.05%w/wのプロピルパラベン、及び合計で100%w/wとなる量の精製水(47.25%)を含む、パラグラフ14に記載の方法。
[16]
ヘキシレングリコールが0.25~8%w/wの量で加えられる、パラグラフ4に記載の方法。
[17]
ロフルミラストおよびヘキシレングリコールを含む、医薬組成物。
[18]
前記ヘキシレングリコールが、ロフルミラストの結晶成長または粒径の変化を妨害するのに充分な量である、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[19]
前記ヘキシレングリコールが、0.1~20%w/wの量である、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[20]
前記ロフルミラストが、0.005~2%w/wの量である、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[21]
薬学的に許容される充填剤、担体および/または賦形剤をさらに含む、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[22]
ジエチレングリコールモノエチルエーテルをさらに含む、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[23]
前記薬学的に許容される充填剤、担体および/または賦形剤が局所投与に適切である、パラグラフ21に記載の医薬組成物。
[24]
前記医薬組成物が、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、油剤、軟膏剤、脂肪性軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、フォーム剤、経皮的貼付剤および溶液剤の形態である、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[25]
ロフルミラスト、白色ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、セトステアリルアルコール、ジセチルホスフェート、セテス-10ホスフェート、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メチルパラベン、プロピルパラベン、及び精製水を含む、パラグラフ17に記載の医薬組成物。
[26]
0.5%w/wのロフルミラスト、10.0%w/wの白色ワセリン、5.0%w/wのパルミチン酸イソプロピル、10.0%w/wのセトステアリルアルコールとジセチルホスフェートとセテス-10ホスフェート、2.0%w/wのヘキシレングリコール、25.0%w/wのジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.2%w/wのメチルパラベン、0.05%w/wのプロピルパラベン、及び合計で100%w/wとなる量の精製水(47.25%)の成分を含む、パラグラフ25に記載の医薬組成物。
[27]
ヘキシレングリコールが0.25~8%w/wの量である、パラグラフ19に記載の医薬組成物。
[28]
ヘキシレングリコールが0.5~2%w/wの量である、パラグラフ27に記載の医薬組成物。
[29]
患者のホスホジエステラーゼ4を阻害するために、必要としている患者に投与される、ロフルミラストおよびヘキシレングリコールを含む組成物を含む医薬組成物。
[30]
前記患者が、炎症性状態に罹患している、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[31]
前記患者が、アトピー性皮膚炎に罹患している、パラグラフ30に記載の医薬組成物。
[32]
前記医薬組成物が懸濁させたロフルミラスト粒子を含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[33]
ヘキシレングリコールが0.1~20%w/wの量で添加されている、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[34]
ヘキシレングリコールが0.25~8%w/wの量で添加されている、パラグラフ33に記載の医薬組成物。
[35]
ヘキシレングリコールが0.5~2%w/wの量で添加されている、パラグラフ34に記載の医薬組成物。
[36]
前記医薬組成物が0.005~2%w/wのロフルミラストを含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[37]
前記医薬組成物が水中油型乳剤、増粘された水性ゲル剤、増粘された水性アルコールゲル剤、親水性ゲル剤、および親水性または疎水性の軟膏剤からなる群から選択される、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[38]
前記医薬組成物が、溶媒、保湿剤、界面活性剤または乳化剤、ポリマーまたは増粘剤、消泡剤、保存剤、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整液、皮膚浸透エンハンサー、膜形成剤、染料、色素剤および芳香剤からなる群から選択される、少なくとも1つの追加成分をさらに含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[39]
前記医薬組成物が、アントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキセート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル、コルチコステロイド、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張剤および抗生物質からなる群から選択される追加の活性剤をさらに含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[40]
前記医薬組成物が、局所的、非経口または肺内投与に適切な担体を含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[41]
前記医薬組成物が、局所投与によって投与される、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[42]
ジエチレングリコールモノエチルエーテルが前記医薬組成物に加えられていることをさらに含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[43]
前記医薬組成物が、ロフルミラスト、白色ワセリン、パルミチン酸イソプロピル、セトステアリルアルコール、ジセチルホスフェート、セテス-10ホスフェート、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メチルパラベン、プロピルパラベン、及び精製水を含む、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
[44]
前記医薬組成物が、0.5%w/wのロフルミラスト、10.0%w/wの白色ワセリン、5.0%w/wのパルミチン酸イソプロピル、10.0%w/wのセトステアリルアルコールとジセチルホスフェートとセテス-10ホスフェート、2.0%w/wのヘキシレングリコール、25.0%w/wのジエチレングリコールモノエチルエーテル、0.2%w/wのメチルパラベン、0.05%w/wのプロピルパラベン、及び合計で100%w/wとなる量の精製水(47.25%)を含む、パラグラフ43に記載の医薬組成物。
[45]
前記医薬組成物が1日あたり1~2回投与される、パラグラフ29に記載の医薬組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B