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特許7242251トリアジン基、フルオレン基およびアリール基を含む化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】トリアジン基、フルオレン基およびアリール基を含む化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/24 20060101AFI20230313BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230313BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20230313BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20230313BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20230313BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20230313BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230313BHJP
   H01L 29/227 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C07D251/24 CSP
C07D405/14
C07D405/10
C07D405/04
C07D401/10
H05B33/22 B
H05B33/14 A
H01L29/227
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018206422
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2019116464
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】17200890.6
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミーン,シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】レギーナ,ルシュティネッツ
(72)【発明者】
【氏名】ドマゴイ,パヴィチッチ
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/065419(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/171376(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1847347(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0250349(US,A1)
【文献】国際公開第2017/164574(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
H10K
H01L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

(式中、
は、C~C16アルキル基、置換もしくは非置換C~C24アリール基、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリール基であり、前記置換C~C24アリール基および前記置換C~C24ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、F、CN、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され;
Lは、非置換もしくは置換C~C24アリーレン基から選択され、前記置換C~C24アリーレン基の置換基はC~C16アルキルまたはC~C12アリールから選択され;
Arは、置換もしくは非置換C~C24アリール、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリールから選択され、前記置換C~C24アリールまたは置換C~C24ヘテロアリールの置換基は、C~C16アルキル、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、F、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され;
Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C24ヘテロアリールからなる基から選択され;
Arは、置換もしくは非置換C~C24アリーレンまたは置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリーレンから選択され、前記置換C~C24アリーレンの置換基または前記置換C~C24ヘテロアリーレンの置換基は、C~C16アルキル、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、F、C~C18アリールまたはC~C25ヘテロアリールから選択され;
Arの置換C~C24アリールまたは置換C~C24ヘテロアリールは、一置換または二置換されており;
Arの置換C~C24アリーレンまたは置換C~C24ヘテロアリーレンは、一置換または二置換されている)
の化合物であって、
前記式1の化合物が、F1~F11から選択される、化合物
【化2】

【化3】

【化4】
【請求項2】
請求項1に記載の式1の化合物の少なくとも1つを含
前記式1の化合物が、F1~F11から選択される、有機半導体層。
【請求項3】
金属、金属塩、または有機アルカリ金属錯体をさらに含む、請求項に記載の有機半導体層。
【請求項4】
請求項に記載の有機半導体層を含む、有機電子デバイス。
【請求項5】
ハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体の少なくとも1つを含む有機半導体層の少なくとも1つを含む、請求項に記載の有機電子デバイス。
【請求項6】
発光デバイス、薄膜トランジスタ、電池、表示装置または光電池であり、好ましくは発光デバイスである、請求項に記載の有機電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、電子デバイス用の層材料としての使用に好適な化合物、特にトリアジン基、フルオレン基およびアリール基を含む化合物、およびその化合物の少なくとも1つを含む有機半導体層、ならびにその有機半導体層の少なくとも1つを含む有機電子デバイスおよびそれを製造する方法に関する。
【0002】
(背景技術)
有機電子デバイス(例えば、自家発光デバイスである有機発光ダイオード(OLED))は、広い視野角、優れたコントラスト、迅速な反応、高い輝度、優れた動作電圧特性、および色再現性を有する。典型的なOLEDは、アノード、正孔伝達層HTL、発光層EML、電子輸送層ETLおよびカソードを備え、これらが順に基板上に積層されている。ここで、HTL、EMLおよびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0003】
電圧がアノードおよびカソードに印加される際、アノードから注入された正孔はHTLを通ってEMLに移動し、カソードから注入された電子はETLを通ってEMLに移動する。正孔および電子は、EMLにおいて再結合し、励起子を発生させる。励起子が励起状態から基底状態になるとき、光が発せられる。上述した構造を有するOLEDが優れた効率および長寿命の少なくともいずれかを有するように、正孔および電子の注入および流れは、均衡が保たれるべきである。
【0004】
有機発光ダイオードの性能は、有機半導体層の特性に影響され、中でも、有機半導体層の有機材料の特性に影響され得る。
【0005】
特に、有機電子デバイス(例えば、有機発光ダイオード)を大型のフラットパネルディスプレイに適用できるように、電子の移動度を高めると同時に電子の化学的安定性も増すことができる有機材料の開発が求められている。
【0006】
WO2017065419は、有機エレクトロルミネセント化合物、ならびにそれを含んでいるホスト材料、電子緩衝材、電子伝達材料、および有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。本開示の有機エレクトロルミネセント化合物を用いることにより、有機エレクトロルミネセントデバイスは、分子間のスタッキングおよび相互作用による速い電子流特性を保証し、それにより、低い駆動電圧特性および/または優れた発光効率特性および/または効率的な寿命特性を有する有機エレクトロルミネセントデバイスを提供することができる。
【0007】
WO2017171376は、化学式1の化合物および当該化合物を含む有機電子素子に関する。
【0008】
それらの有機半導体層、有機半導体材料および有機電子デバイスの性能を向上させること、とりわけ、それらに含まれている化合物の特性を向上させることによって、長寿命およびより高い効率を実現する必要性が、依然としてある。
【0009】
長寿命および/または低動作電圧における高い効率を有している、代替的な有機半導体材料および有機半導体層、ならびに有機電子デバイスが求められている。
【0010】
特に、動作電圧を保ったまま、長寿命および/または高い効率(それによって、例えば携帯電子デバイスに長い電池寿命をもたらすような低い消費電力)を有している、代替的な化合物が求められている。
【0011】
(開示)
本発明の一態様は、式1の化合物を提供する。
【0012】
【化1】
【0013】
式1において、Rは、C~C16アルキル基、置換もしくは非置換C~C24アリール基、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリール基であり、前記置換C~C24アリール基および前記置換C~C24ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、F、CN、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され、
Lは、非置換または置換C~C24アリーレン基から選択され、前記置換C~C24アリーレン基の置換基はC~C16アルキルまたはC~C12アリールから選択され、
Arは、置換もしくは非置換C~C24アリール、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリールから選択され、前記置換C~C24アリール、または置換C~C24ヘテロアリールの置換基は、C~C16アルキル、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、F、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され、
Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C24ヘテロアリールからなる基から選択され、
Arは、置換もしくは非置換C~C24アリーレン、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリーレンから選択され、前記置換C~C24アリーレンの置換基、または前記置換C~C24ヘテロアリーレンの置換基は、C~C16アルキル、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、F、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され、
Arの置換C~C24アリールまたは置換C~C24ヘテロアリールは、一置換または二置換されており、
Arの置換C~C24アリーレンまたは置換C~C24ヘテロアリーレンは、一置換または二置換されている。
【0014】
他の実施形態によれば、式1の化合物は、C~C16アルコキシを有さなくてよい。
【0015】
他の実施形態によれば、式1の化合物は、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、および/またはFを有さなくてよい。
【0016】
他の実施形態によれば、式1の化合物は、C~C16アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C16アルコキシ、および/またはFを有さなくてよい。
【0017】
他の実施形態によれば、式1の化合物は、規定され得る:
【0018】
【化2】
【0019】
式中、Rは、C~C16アルキル基、置換もしくは非置換C~C24アリール基、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリール基から選択され、前記置換C~C24アリール基の置換基および前記置換C~C24ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され、
Lは、非置換もしくは置換C~C24アリーレン基から選択され、前記置換C~C24アリーレン基の置換基は、C~C16アルキルまたはC~C12アリールから選択され、
Arは、置換もしくは非置換C~C24アリール、または置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリールから選択され、前記置換C~C24アリールの置換基または置換C~C24ヘテロアリールの置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され、
Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C24ヘテロアリールを含む基から選択され、
Arは、置換もしくは非置換C~C24アリーレンまたは置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリーレンから選択され、前記置換C~C24アリーレンの置換基または前記置換C~C24ヘテロアリーレンの置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択され、
ここで、Arの置換C~C24アリールまたは置換C~C24ヘテロアリールは、一置換または二置換されており、
ここで、Arの置換C~C18アリーレンまたは置換C~C24ヘテロアリーレンは、一置換または二置換されている。
【0020】
Ar基は、式1の化合物のフルオレン基と、単結合を介して繋がっている。
【0021】
一置換または二置換Arは、本明細書全体を通して、一置換Arの場合は、Ar基が1つの付加的な置換基を有し、二置換Arの場合は、Ar基が2つの付加的な置換基を有し、該2つの付加的な置換基はそれぞれ独立して選択できることを意味する。
【0022】
Ar基は、式1の化合物のAr基と、単結合を介して繋がっている。
【0023】
Ar基は、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C24ヘテロアリール、好ましくはNもしくはOを含有するC~C24ヘテロアリール、さらに好ましくは、Oを含有するC~C24ヘテロアリールを含む基から選択し得る。
【0024】
Ar基は、式1の化合物のトリアジン基と、単結合を介して繋がっている。
【0025】
一置換または二置換Arは、本明細書全体を通して、一置換Arの場合は、Ar基が1つの付加的な置換基を有し、二置換Arの場合は、Ar基が2つの付加的な置換基を有し、該2つの付加的な置換基はそれぞれ独立して選択できることを意味する。
【0026】
ヘテロ原子は、特段の断りがない限り、N、O、S、B、Si、P、Seを含む基から個別に選択し得、好ましくは、N、OおよびSを含む基から選択し得、より好ましくは、NおよびOを含む基から選択し得、さらに好ましくは、該ヘテロ原子はNである。
【0027】
一実施形態によれば、式1で表される化合物は、カルバゾリレン基を有さなくてよい。
【0028】
一実施形態によれば、式1の化合物
【0029】
【化3】
【0030】
をさらに定めることができ、
式中、Rは、C~C12アルキル基、置換もしくは非置換C~C18アリール基、または置換もしくは非置換C~C18ヘテロアリール基から選択することができ、
前記置換C~C18アリール基の置換基および前記置換C~C18ヘテロアリール基の置換基は、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C12アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C12アルコキシ、F、CN、C~C18アリール、またはC~C18ヘテロアリールから選択することができ、
Lは、非置換もしくは置換C~C18アリーレン基から選択することができ、前記置換C~C18アリーレン基の置換基は、C~C12アルキルまたはC~C12アリールから選択され、
Arは、置換もしくは非置換C~C18アリール、または置換もしくは非置換C~C18ヘテロアリールから選択することができ、
前記置換C~C18アリールの置換基および置換もしくは非置換C~C24ヘテロアリールは、C~C12アルキル、C~C12アルコキシ、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C12アルキル、部分フッ素化もしくは全フッ素化C~C12アルコキシ、F、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、またはCNから選択され、
Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C18ヘテロアリールを含む基から選択することができ、
Arは、置換もしくは非置換C~C18アリーレンまたは置換もしくは非置換C~C18ヘテロアリーレンから選択することができ、前記置換C~C18アリーレンの置換基または前記置換C~C18ヘテロアリーレンの置換基は、C~C12アルキル、C~C18アリール、またはC~C18ヘテロアリールから選択され、
Arの置換C~C18アリール、または置換C~C18ヘテロアリールは、一置換または二置換されており、
Arの置換C~C18アリーレンまたは置換C~C18ヘテロアリーレンは、一置換または二置換されている。
【0031】
他の実施形態によれば、式1の化合物
【0032】
【化4】
【0033】
をさらに定めることができ、
は、置換もしくは非置換C~C18アリール基または置換もしくは非置換C~C18ヘテロアリール基から選択することができ、
前記置換C~C18アリール基の置換基および前記置換C~C18ヘテロアリール基の置換基は、C~C12アルキル、C~C18アリール、またはC~C18ヘテロアリールから選択することができ、
Lは、非置換もしくは置換C~C12アリーレン基から選択することができ、
前記置換C~C12アリーレン基の置換基は、C~C12アルキルまたはC~C12アリールから選択され、
Arは、置換もしくは非置換C~C18アリールから選択することができ、
前記置換C~C18アリールの置換基は、C~C12アルキル、C~C18アリール、C~C18ヘテロアリール、またはCNから選択され、
Arは、-CCN、またはN、O、もしくはSを含有するC~C17ヘテロアリールを含む基から選択することができ、
Arは、置換もしくは非置換C~C18アリーレンから選択することができ、前記置換C~C18アリーレンの置換基は、C~C12アルキル、C~C18アリール、またはC~C18ヘテロアリールから選択され、
Arの置換C~C18アリールは、一置換または二置換されており、
Arの置換C~C18アリーレンは、一置換または二置換されている。
【0034】
他の実施形態によれば、式1の化合物
【0035】
【化5】
【0036】
をさらに定めることができ、
は、フェニル、ビフェニル、フルオレン、ジベンゾチオフェニル、またはジベンゾフラニルを含む基から選択することができ、
Lは、非置換C~C12アリーレン基から選択することができ、
Arは、非置換C~C18アリール基から選択することができ、
Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C17ヘテロアリールを含む基から選択することができ、
Arは、非置換C~C18アリーレンから選択することができる。
【0037】
他の実施形態によれば、式1の化合物
【0038】
【化6】
【0039】
をさらに定めることができ、
は、フェニル、ビフェニル、ジベンゾチオフェニル、またはジベンゾフラニルを含む基から選択することができ、
Lは、フェニレンまたはビフェニレンから選択することができ、
Arは、フェニルまたはビフェニルから選択することができ、
Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C11ヘテロアリールを含む基から選択することができ、
Arは、フェニレンまたはビフェニレンから選択することができる。
【0040】
他の実施形態によれば、式1の化合物
【0041】
【化7】
【0042】
をさらに定めることができ、
は、フェニルを含む基から選択することができ、
Lは、フェニレンから選択することができ、
Arは、フェニルから選択することができ、
Arは、-CCNを含む基から選択することができ、
Arは、フェニレンから選択することができる。
【0043】
他の実施形態によれば、式1の化合物
【0044】
【化8】
【0045】
をさらに定めることができ、
は、ジベンゾフラニルから選択することができ、
Lは、フェニレンから選択することができ、
Arは、フェニルから選択することができ、
Arは、少なくとも1つのNを含有するC~C11ヘテロアリールから選択することができ、
Arは、フェニレンから選択することができる。
【0046】
一実施形態によれば、Rは、置換C~C24アリール基または置換C~C24ヘテロアリール基から選択することができ、前記置換C~C24アリール基の置換基および前記置換C~C24ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択される。
【0047】
一実施形態によれば、Rは、C~C16アルキル基、非置換C~C24アリール基、または非置換C~C24ヘテロアリール基から選択することができる。
【0048】
一実施形態によれば、Rは、置換C~C18アリール基または置換C~C17ヘテロアリール基から選択することができ、前記置換C~C18アリール基の置換基および前記置換C~C17ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C17ヘテロアリールから選択される。
【0049】
一実施形態によれば、Rは、C~C12アルキル基、非置換C~C18アリール基、または非置換C~C17ヘテロアリール基から選択することができる。
【0050】
一実施形態によれば、Rは、置換C~C12アリール基または置換C~C11ヘテロアリール基から選択することができ、前記置換C~C12アリール基の置換基および前記置換C~C11ヘテロアリール基の置換基は、C~C12アルキル、C~C12アリール、またはC~C11ヘテロアリールから選択される。
【0051】
一実施形態によれば、Rは、C~Cアルキル基、非置換C~C12アリール基、または非置換C~C11ヘテロアリール基から選択することができる。
【0052】
一実施形態によれば、Rは、非置換C~C12アリール基または非置換C~C11ヘテロアリール基、好ましくはジベンゾフラニルから選択することができる。
【0053】
一実施形態によれば、Rは、非置換C~C12アリール基、好ましくはフェニル基から選択することができる。
【0054】
一実施形態によれば、Lは、非置換もしくは置換C~C18アリーレン基から選択することができ、前記置換C~C18アリーレン基の置換基は、C~C16アルキルまたはC~C12アリールから選択される。
【0055】
一実施形態によれば、Lは、非置換C~C18アリーレン基から選択することができる。
【0056】
一実施形態によれば、Lは、置換C~C18アリーレン基から選択することができ、前記置換C~C18アリーレン基の置換基は、C~C16アルキルまたはC~C12アリールから選択される。
【0057】
一実施形態によれば、Lは、非置換C~C12アリーレン基から選択することができる。
【0058】
一実施形態によれば、Lは、置換C~C12アリーレン基から選択することができ、前記置換C~C12アリーレン基の置換基は、C~C12アリールから選択される。
【0059】
一実施形態によれば、Lは、フェニレンまたはビフェニレン、好ましくはフェニレンから選択することができる。
【0060】
一実施形態によれば、Lは、置換フェニレンまたはビフェニレン、好ましくはフェニレンから選択することができ、前記置換フェニレンまたはビフェニレンの置換基は、C~CアルキルまたはC~C12アリールから選択される。
【0061】
一実施形態によれば、Arは、置換C~C24アリール基または置換C~C24ヘテロアリール基から選択することができ、前記置換C~C24アリール基の置換基および前記置換C~C24ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C25ヘテロアリールから選択される。
【0062】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C24アリール基または非置換C~C24ヘテロアリール基から選択することができる。
【0063】
一実施形態によれば、Arは、置換C~C18アリール基または置換C~C17ヘテロアリール基から選択することができ、前記置換C~C18アリール基の置換基および前記置換C~C17ヘテロアリール基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリール、またはC~C17ヘテロアリールから選択される。
【0064】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C18アリール基または非置換C~C17ヘテロアリール基から選択することができる。
【0065】
一実施形態によれば、Arは、置換C~C12アリール基または置換C~C11ヘテロアリール基から選択することができ、前記置換C~C12アリール基の置換基および前記置換C~C11ヘテロアリール基の置換基は、C~C12アルキル、C~C12アリール、またはC~C11ヘテロアリールから選択される。
【0066】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C12アリール基または非置換C~C11ヘテロアリール基から選択することができる。
【0067】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C12アリール基または非置換C~C11ヘテロアリール基、好ましくはフェニルまたはビフェニル基から選択することができる。
【0068】
一実施形態によれば、Arは、フェニル基から選択することができる。
【0069】
一実施形態によれば、Arは、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C23ヘテロアリールから選択することができる。
【0070】
Arがこの基から選択される場合、特にすぐれた性能を実現し得る。
【0071】
理論によって制約されるものではないが、-CCN、またはN、OもしくはSを含有するC~C23ヘテロアリールを含む基は、式1の化合物に0.6デバイを超える双極子モーメントを与えることができる。
【0072】
双極子モーメントが高いと、式1の化合物とドーパント材料との相互作用を向上することができると考えられている。特に、ドーパント材料が金属ハロゲン化物および/または金属錯体から選択される場合、向上した性能を得ることができる。
【0073】
一実施形態によれば、Arは、-CCN、またはN、OもしくはS、好ましくはNを含有するC~C17ヘテロアリールから選択することができる。
【0074】
一実施形態によれば、Arは、-CCN、またはN、OもしくはS、好ましくはNを含有するC~C11ヘテロアリールから選択することができる。
【0075】
一実施形態によれば、Arは、-CCNから選択することができる。
【0076】
一実施形態によれば、Arは、Nを含有するC~C11ヘテロアリールから選択することができる。
【0077】
式1の一実施形態によれば、トリアジニル、カルバゾリル、および/またはインドロ-カルバゾリル基を含むArは除外される。
【0078】
式1の一実施形態によれば、トリアジニル基を含むArは除外される。
【0079】
式1の一実施形態によれば、カルバゾリル基を含むArは除外される。
【0080】
式1の一実施形態によれば、インドロ-カルバゾリル基を含むArは除外される。
【0081】
式1の一実施形態によれば、Arは、-CCN、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジベンゾフラニル、またはジベンゾチオフェニルから選択されてよい。Arがこれらの基から選択される場合、特によい性能を得ることができる。
【0082】
一実施形態によれば、Arは、置換C~C24アリーレン基または置換C~C24ヘテロアリーレン基から選択することができ、前記置換C~C24アリーレン基の置換基および前記置換C~C24ヘテロアリーレン基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリーレン、またはC~C25ヘテロアリーレンから選択される。
【0083】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C24アリーレン基またはC~C24非置換ヘテロアリーレン基から選択することができる。
【0084】
一実施形態によれば、置換C~C18アリーレン基または置換C~C17ヘテロアリーレン基から選択することができ、前記置換C~C18アリーレン基の置換基および前記置換C~C17ヘテロアリーレン基の置換基は、C~C16アルキル、C~C18アリーレン、またはC~C17ヘテロアリーレンから選択される。
【0085】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C18アリーレン基または非置換C~C17ヘテロアリーレン基から選択することができる。
【0086】
一実施形態によれば、Arは、置換C~C12アリーレン基または置換C~C11ヘテロアリーレン基から選択することができ、前記置換C~C12アリーレン基の置換基および前記置換C~C11ヘテロアリーレン基の置換基は、C~C12アルキル、C~C12アリーレン、またはC~C11ヘテロアリーレンから選択される。
【0087】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C12アリーレン基または非置換C~C11ヘテロアリーレン基から選択することができる。
【0088】
一実施形態によれば、Arは、非置換C~C12アリーレン基または非置換C~C11ヘテロアリーレン基、好ましくはフェニレンまたはビフェニレン基から選択することができる。
【0089】
一実施形態によれば、Arは、フェニレン基から選択することができる。
【0090】
一実施形態によれば、Arの置換C~C24アリール、または置換C~C24ヘテロアリールは一置換であり得る。
【0091】
一実施形態によれば、Arの置換C~C18アリーレンまたは置換C~C24ヘテロアリーレンは一置換であり得る。
【0092】
一実施形態によれば、Arの置換C~C24アリール、または置換C~C24ヘテロアリールは二置換であり得る。
【0093】
一実施形態によれば、Arの置換C~C18アリーレンまたは置換C~C24ヘテロアリーレンは二置換であり得る。
【0094】
他の実施形態によれば、式1は、少なくとも約5~約16のCアリール環を有してよい。
【0095】
他の実施形態によれば、式1は、少なくとも約5~約16のCアリール環および少なくとも約1~約5の六員環ヘテロアリール環を有し、ヘテロ原子はN、O、S、好ましくはNから個別に選択することができる。
【0096】
一態様によれば、式1の化合物は、ドーパント材料のマトリクス材料として用いることができる。
【0097】
一態様によれば、層材料は有機半導体層であり得、有機電子デバイスに用いられる。例えば、当該有機電子デバイスはOLEDなどでよい。
【0098】
式1で表される化合物、および式1の化合物からなる有機半導体層または式1の化合物を含む有機半導体層は、非発光性でよい。
【0099】
本明細書の文脈において、「実質的に非発光性」または「非発光」という用語は、その化合物または層の、デバイスからの可視発光スペクトルに対する寄与が、当該可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルとは、波長が約380nm以上~約780nm以下の発光スペクトルである。
【0100】
好ましくは、式1の化合物を含む有機半導体層は、実質的に非発光性または非発光である。
【0101】
「有さない(free of)」、「含まない(does not contain)」、「備えない(does not comprise)」という記載は、堆積前の化合物に存在し得る不純物を排除しない。不純物は、本発明によって達成される目的に対して技術的な効果を有さない。
【0102】
動作電圧(Uとも呼ばれる)は、平方センチ当たり10ミリアンペア(mA/cm)で、ボルト(V)で測定される。
【0103】
アンペア効率当たりのカンデラ(cd/A効率とも呼ばれる)は、平方センチメートル当たり10ミリアンペア(mA/cm)で、アンペア当たりのカンデラで測定される。
【0104】
外部量子効率(EQEとも呼ばれる)は、パーセント(%)で測定される。
【0105】
色空間は、座標CIE‐xおよびCIE‐y(国際照明委員会、1931年)によって記述される。青色発光には、CIE‐yは特に重要である。CIE‐yが小さいほど青色が濃くなる。
【0106】
最高被占分子軌道(HOMOとも呼ばれる)および最低空軌道(LUMOとも呼ばれる)は、電子ボルト(eV)で算出される。
【0107】
還元電位は、サイクリックボルタンメトリーによりボルト(V)で測定される。
【0108】
「OLED」、「有機発光ダイオード(organic light emitting diode)」、「有機発光デバイス」、「有機オプトエレクトロニクス素子」、および「有機発光ダイオード(organic light-emitting diode)」という語は同時に用いられ、同じ意味を持つ。
【0109】
「遷移金属」という語は、周期表のdブロック中の任意の元素を意味し、かつ包含している。dブロックは、周期表上で3族から12族の元素を含む。
【0110】
「III~VI族金属」という語は、周期表のIII~VI族中の任意の金属を意味し、かつ包含している。
【0111】
本明細書において、「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt.-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」、およびそれらの変形は、それぞれの電子輸送層の組成物、成分、物質、または剤の重量を、該電子輸送層の組成の総重量で割り、かつ100倍したときの、組成物、成分、物質、または剤を指す。それぞれの電子輸送層のすべての組成物、成分、物質、または剤の重量パーセントの合計は、100重量%を超えないように選択される。
【0112】
本明細書において、「体積パーセント(volume percent)」、「体積%(vol.-%)」、「体積パーセント(percent by volume)」、「体積%(% by volume)」およびそれらの変形は、それぞれの電子輸送層の元素金属、組成物、成分、物質、または剤の体積を、該それぞれ電子輸送層の組成の総体積で割り、かつ100倍したときの、元素金属、組成物、成分、物質、または剤を指す。それぞれのカソード電極層のすべての元素金属、組成物、成分、物質、または剤の体積パーセントの合計は、100体積%を超えないように選択される。
【0113】
本明細書において、数値はすべて、明示の有無を問わず、「約」という語によって修飾されていると見なされる。本明細書において、「約」という語は、数量において起こり得る変動を意味する。
【0114】
「約」という語による修飾の有無を問わず、本願請求項は前記量に対する均等物を含む。
【0115】
本明細書および添付の請求項において、単数形「a」、「an」、「the」は、明確な断りがない限り、複数の対象を含むことに留意されたい。
【0116】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「*」は、特段の断りのない限り、化学結合の位置を示す。
【0117】
アノード電極およびカソード電極は、アノード電極/カソード電極、またはアノード電極/カソード電極、またはアノード電極層/カソード電極層と記載してよい。
【0118】
別の一態様によれば、有機オプトエレクトロニクス素子は、互いに対向するアノード層およびカソード層、ならびに該アノード層およびカソード層の間にある少なくとも1つの有機半導体層を含んでおり、該有機半導体層は式1の化合物を含むまたは式1の化合物からなる。
【0119】
さらに別の一態様によれば、有機電子デバイス(有機オプトエレクトロニクス素子であり得る)を備える表示装置が提供される。
【0120】
本明細書において、他に定義されていない場合、「アルキル基」は脂肪族炭化水素基を意味し得る。アルキル基は、二重結合または三重結合を有しない「飽和アルキル基」を意味し得る。アルキル基は、直鎖状、環状、または分岐状アルキル基でよい。
【0121】
アルキル基は、C~C16アルキル基、または好ましくはC~C12アルキル基でよい。より具体的には、アルキル基はC~C14アルキル基、または好ましくはC~C10アルキル基もしくはC~Cアルキル基でよい。例えば、C~Cアルキル基は、アルキル鎖に1~4つの炭素を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルから選択されてもよい。
【0122】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0123】
本明細書において、Rは、独立して、H、分岐状または直鎖状のC~C16アルキル、C~C18アリール、およびC~C25ヘテロアリールから選択することができ、好ましくは、RはC~CアルキルまたはC~C12アリールである。
【0124】
本明細書において、他に定義されていない場合、Rは、独立して、H、C~C16アルキル、C~C18アリールから選択することができる。
【0125】
本明細書において、「アリーレン基」は、少なくとも1つの炭化水素芳香族部分を含む基を指し得、該炭化水素芳香族部分のすべての元素はp軌道を有し、該p軌道は共役を形成する。例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基などである。
【0126】
アリーレン/アリール基は、単環、多環、または縮合環多環(つまり、炭素原子の対を共有する、隣接する環)の官能基を含んでもよい。
【0127】
「ヘテロアリーレン」/「ヘテロアリール」という語は、少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族ヘテロ環を指し得、炭化水素ヘテロ芳香族部分のすべての元素はp軌道を有し、該p軌道は共役を形成する。ヘテロ原子は、N、O、S、B、Si、P、Se、好ましくはN、OおよびSから選択されてよい。
【0128】
ヘテロアリーレン/ヘテロアリール環は、少なくとも1つ~3つのヘテロ原子を含んでよい。好ましくは、ヘテロアリーレン/ヘテロアリール環は、N、S、および/またはOから個別に選択された少なくとも1つ~3つのヘテロ原子を含んでよい。
【0129】
さらに好ましくは、式1のトリアジン基に加えて、少なくとも1つの付加的なヘテロアリール/ヘテロアリーレン環が、少なくとも1~3つのN原子、または少なくとも1つ~2つのN原子、または少なくとも1つのN原子を含んでよい。
【0130】
一実施形態によれば、式1のトリアジン基に加えて、式1の化合物は1つまたは2つのN原子、好ましくは1つのN原子を含んでよい。
【0131】
一実施形態によれば、式1のトリアジン基に加えて、式1の化合物は、1つまたは2つのN原子、好ましくは1つのN原子と、少なくとも1つまたは2つのO原子、好ましくは1つのO原子とを含んでよい。
【0132】
本明細書において、「ヘテロアリーレン」/「ヘテロアリール」という語は、ジベンゾフラン、ジベンゾチオペン、ピリジン、キノリン、キナゾリン、ピリミジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾ[4,5]チエノ[3,2-d]ピリミジン、キサンテン、フェノキサジン、ベンゾアクリジン、ジベンゾアクリジンなどを含む。
【0133】
本明細書において、単結合とは直接結合を指す。
【0134】
他の好ましい実施形態によれば、式1の化合物は、
少なくとも7つ~25の芳香族環、好ましくは少なくとも8つ~22の芳香族環、さらに好ましくは少なくとも9つ~20の芳香族環、その上好ましくは少なくとも10~15の芳香族環、より好ましくは少なくとも10~14の芳香族環を有してよく、
少なくとも2つ~5つ、好ましくは3つ~4つまたは2つ~3つはヘテロ芳香族環である。
【0135】
一実施形態によれば、式1の化合物は、
少なくとも約8~約20の芳香族環、好ましくは少なくとも約9~約18の芳香族環、さらに好ましくは少なくとも約10~約16の芳香族環、その上好ましくは少なくとも約11~約15の芳香族環、より好ましくは少なくとも約10~約14の芳香族環を有し、および/または、
式1の化合物は、少なくとも約2つ~約6つ、好ましくは約3つ~約5つまたは約2つ~約4つのヘテロ芳香族環を有し、ヘテロ原子はN、O、Sから選択することができ、および/または、
式1の化合物は、少なくとも1つのフルオレン環および少なくとも1つのヘテロフルオレン環を有し、ヘテロ原子はN、O、Sから選択することができ、および/または、
式1の化合物は、少なくとも1つのトリアジン環、好ましくは少なくとも2つのトリアジン環を有する。
【0136】
1つの好ましい実施形態によれば、式1の化合物は、少なくとも約8つ~約20の芳香族環、好ましくは少なくとも約9つ~18の芳香族環、さらに好ましくは少なくとも10~約16の芳香族環、その上好ましくは少なくとも8つ~15の芳香族環、より好ましくは少なくとも約10~約14の芳香族環を有してよく、
前記芳香族環の少なくとも1つは非置換の5員環であり、前記芳香族環の少なくとも1つは5員環のヘテロ環である。
【0137】
1つの好ましい実施形態によれば、式1の化合物は、少なくとも約8つ~約20の芳香族環、好ましくは少なくとも約9つ~18の芳香族環、さらに好ましくは少なくとも10~約16の芳香族環、その上好ましくは少なくとも8つ~15の芳香族環、より好ましくは少なくとも約10~約14の芳香族環を有してよく、
前記芳香族環の少なくとも1つは非置換の5員環であり、前記芳香族環の少なくとも1つは5員環のヘテロ環である。
【0138】
さらに好ましい実施の形態によれば、式1の化合物は、少なくとも2つ~7つ、好ましくは2つ~5つまたは2つ~3つのヘテロ芳香族環を有する。
【0139】
さらに好ましい実施の形態によれば、式1の化合物は、少なくとも2つ~7つ、好ましくは2つ~5つまたは2つ~3つのヘテロ芳香族環を有し、前記芳香族環の少なくとも1つは5員環のヘテロ芳香族環である。
【0140】
さらに好ましい実施の形態によれば、式1の化合物は、少なくとも3つ~7つ、好ましくは3つ~6つまたは3つ~5つのヘテロ芳香族環を有し、前記ヘテロ芳香族環の少なくとも2つは5員環のヘテロ芳香族環である。
【0141】
一実施形態によれば、式1の化合物は、少なくとも6つ~12の非ヘテロ芳香族環および2つ~3つのヘテロ芳香族環を有してよい。
【0142】
1つの好ましい実施形態によれば、式1の化合物は、少なくとも7つ~12の非ヘテロ芳香族環および2つ~5つのヘテロ芳香族環を有してよい。
【0143】
1つの好ましい実施形態によれば、式1の化合物は、少なくとも7つ~11の非ヘテロ芳香族環および2つ~3つのヘテロ芳香族環を有してよい。
【0144】
用語「C-アリーレン/アリール環」は、単一のC-アリーレン/アリール環、および、縮合環系を形成するC-アリーレン/アリール環を意味する。例えば、ナフタレン基は2つのC-アリーレン/アリール環として数えられる。
【0145】
他の実施形態によれば、式1の化合物のガラス転移温度Tgは、約100℃以上、約380℃以下、好ましくは約105℃以上、約350℃以下、さらに好ましくは約110℃以上、約320℃以下、その上好ましくは約115℃以上、約200℃以下、また好ましくは約125℃以上、約180℃以下でよい。
【0146】
他の実施形態によれば、式1の化合物のガラス転移温度Tgは、約120℃以上、約150℃以下でよい。
【0147】
ガラス転移温度は窒素雰囲気下で測定され、当該測定は、示差走査熱量計Mettler Toledo DSC 822eを用いて10K/分の加熱速度で行われる。当該測定については、DIN EN ISO 11357(2010年3月公開)を参照。
【0148】
室温(環境温度とも称する)は23℃である。
【0149】
驚くべきことに、式1の化合物および本発明の有機電子デバイスは、従来技術で知られている有機エレクトロルミネセントデバイスおよび化合物に比べて、とりわけcd/A効率(電流効率とも称する)および寿命に関して勝っており、それにより、本発明の課題を解決することがわかった。同時に、動作電圧は、同様の、あるいはさらに向上したレベルに保たれる。これは、例えば、携帯表示装置の電力消費を抑え、電池寿命を延ばすのに重要である。高いcd/A効率は高効率を達成するために重要であり、これにより、携帯機器(例えば携帯表示装置)の電池寿命が増す。電池の長寿命はデバイスの寿命にとって重要である。
【0150】
有機エレクトロルミネセントデバイスを青色蛍光素子として使用した場合に特に良好な性能が実現されることを発明者らは驚くべきことに発見した。
【0151】
本明細書に記載の、好ましい特定の構成が特に有益であることが分かった。
【0152】
同様に、本発明の最も広い定義の範囲に含まれるいくつかの化合物は、驚くべきことに、上述したcd/A効率特性および寿命に関して特に良好な性能を示すことが分かった。本明細書において説明するこの化合物は特に好適である。
【0153】
さらに、高効率および/または長寿命の有機オプトエレクトロニクス素子を実現可能である。
【0154】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは、少なくとも1つのNもしくは少なくとも1つのCN置換基を含む少なくとも1つのヘテロアリール/ヘテロアリーレンを含んでよく、
さらに好ましくは、ArおよびArはヘテロ原子を含まなくてよく、Arは、少なくとも1つのNおよび/または少なくとも1つのCN置換基を含む少なくとも1つのヘテロアリール/ヘテロアリーレンを含んでよい。
【0155】
「ヘテロアリール/ヘテロアリーレン」という略記は、ヘテロアリールまたはヘテロアリーレンを指す。
【0156】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは電子アクセプタ特性を有してよい。
【0157】
「電子アクセプタ特性」は、他の化合物または化合物の原子の他の基から移される電子を受け取る化学物質を意味する。International Union of Pure and Applied Chemistry, Compendium of Chemical Technology, Gold Book, Version 2.3.2, 19. August 2012, page 477も参照のこと。
【0158】
特に、式1の化合物が電子伝達材料または電子注入材料として用いられる場合、Arが電子アクセプタ特性を有していると、とりわけよい性能を実現できる。
【0159】
式1の化合物の一実施形態によれば、式1の化合物の双極子モーメントは0.6デバイより大きく10デバイ以下であり、算出されたHOMOは-5.4eVよりネガティブである。
【0160】
式1の化合物の一実施形態によれば、式1の化合物の双極子モーメントは0.6デバイより大きく10デバイ以下であり、算出されたHOMOは-5.4eVよりネガティブであり、-8eVよりはネガティブでない。
【0161】
好ましくは、式1の化合物の双極子モーメントは1デバイより大きく10デバイ以下であり、より好ましくは2デバイより大きく10デバイ以下であり、また好ましくは3デバイより大きく10デバイ以下である。好ましくは、算出されたHOMOは-5.6eVよりネガティブであり、より好ましくは-5.8eVよりネガティブである。
【0162】
N原子を含む分子の双極子モーメント
【0163】
【数1】
【0164】
は、以下の式によって与えられる。
【0165】
【数2】
【0166】
式中、
【0167】
【数3】
【0168】
は、分子における原子iの部分電荷および位置である。
【0169】
双極子モーメントは、半経験的な分子軌道法によって求められる。
【0170】
分子構造の形状は、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5 (TURBOMOLE GmbH, Litzenhardtstrasse 19, 76135 Karlsruhe, Germany)で実行されるhybrid functional B3LYP with the 6-31G* basis set を適用することによって、最適化される。複数の配座が可能な場合、もっとも低い全エネルギーを有する配座を選択して分子の結合長を求める。双極子モーメントがこの範囲で選択されると、特にドーパント材料とともに用いられた場合、とりわけよい性能を得ることができる。
【0171】
HOMOは、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5で算出する。分子構造の最適化された形状およびHOMOエネルギーレベルは、hybrid functional B3LYP with a 6-31G* basis set を適用することによって決定される。複数の配座が可能な場合、もっとも低い全エネルギーを有する配座を選択する。
【0172】
この範囲のHOMOを有する化合物は、一般的に、電子アクセプタ特性を有する。HOMOがこの範囲で選択される場合、特に、式1の化合物が電子伝達層および/または電子注入層でマトリクス化合物として用いられる場合、とりわけよい性能を得ることができる。
【0173】
式1の化合物の一実施形態によれば、
は、C~C12アルキル基または非置換C~C12アリール基、好ましくは非置換C~C12アリール基、さらに好ましくは非置換Cアリーレン基から選択され、
Lは、非置換C~C12アリーレン基、好ましくは非置換Cアリーレン基から選択され、
Arは、非置換C~C18アリール、好ましくは非置換C~C12アリール基、さらに好ましくは非置換フェニル基から選択され、
Arは、非置換C~C18アリーレン、好ましくは非置換C~C12アリーレン基、さらに好ましくは非置換フェニレン基から選択され、
Arは、-CCN、またはNを含有するC~C24ヘテロアリール、好ましくは-CCNを含む基から選択される。
【0174】
式1の化合物の一実施形態によれば、
は、独立して、B1~B16、B17~B20、およびB21~B25から選択され、好ましくは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、フェナントレニル、ピレニルから選択され、
は、独立して、H、C~C16アルキル、C~C18アリール、およびC~C25ヘテロアリールから選択され、好ましくは、RはC~CアルキルまたはC~C12アリールであり、
B1~B11は非置換アリール基であり、B12~B16は置換アリール基であり、
【0175】
【化9】
【0176】
B17~B20は非置換ジベンゾフラニル基であり、
【0177】
【化10】
【0178】
B21~B25は非置換ジベンゾチオフェニル基である。
【0179】
【化11】
【0180】
式1の化合物の一実施形態によれば、Rは独立してB1~B6から選択される。
【0181】
式1の化合物の一実施形態によれば、Rは独立してB7~B12から選択される。
【0182】
式1の化合物の一実施形態によれば、Rは独立してB13~B16から選択される。
【0183】
式1の化合物の一実施形態によれば、Rは独立してB17~B20から選択される。
【0184】
式1の化合物の一実施形態によれば、Rは独立してB21~B25から選択される。
【0185】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは独立してB1~B25から選択され、好ましくはフェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチルから選択され、さらにフェニルから選択される。
【0186】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは独立してB1~B6から選択される。
【0187】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは独立してB7~B12から選択される。
【0188】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは独立してB13~B16から選択される。
【0189】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは独立してB17~B20から選択される。
【0190】
式1の化合物の一実施形態によれば、Arは独立してB21~B25から選択される。
【0191】
式1の化合物の一実施形態によれば、ArはC1~C13から選択され、
【0192】
【化12】
【0193】
好ましくは、ArはC1~C9から選択され、より好ましくは、ArはC2, C4~C6およびC8~C9から選択される。
【0194】
式1の化合物の一実施形態によれば、LはC1~C13から選択することができる。
【0195】
【化13】
【0196】
式1の化合物の一実施形態によれば、LはC1~C13から選択され、好ましくは、LはC1~C9から選択され、より好ましくは、LはC2、C4~C6、およびC8~C9から選択され、最も好ましくは、LはC2から選択される。
【0197】
式1の化合物の一実施形態によれば、LはC2およびC4~C6から選択され、好ましくはC2およびC5から選択される。
【0198】
一実施形態によれば、式1の化合物のArは、D1~D22から選択されてもよい。
【0199】
【化14】
【0200】
一実施形態によれば、式1の化合物はF1~F11から選択されてもよい。
【0201】
【化15】
【0202】
【化16】
【0203】
アノード
アノード用の材料は、金属もしくは金属酸化物、または有機材料、好ましくは仕事関数が約4.8eV超、より好ましくは約5.1eV超、最も好ましくは約5.3eV超の材料でよい。好ましい金属は、Pt、Au、またはAgのような貴金属、好ましい金属酸化物はITOまたはIZOのような透明金属酸化物である。透明金属酸化物は、反射カソードを有する底面発光OLEDに好適に用いることができる。
【0204】
透明金属酸化物アノードまたは反射金属アノードを有するデバイスにおいて、アノードの厚さは約50nm~100nmでよく、一方、半透明金属アノードは約5nm~15nmの薄さでよく、不透明金属アノードの厚さは約15nm~約150nmでよい。
【0205】
正孔注入層(HIL)
正孔注入層は、アノードと正孔伝達層に用いられる有機材料との間の界面特性を向上させることができる。また、正孔注入層を非平坦なアノード上に適用することで、アノードの表面が平坦になり得る。正孔注入層は、アノードの仕事関数と正孔伝達層の最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギーレベルとの間の差を調節するために、例えば、自身のHOMOのエネルギーレベルの中央値が、アノード材料の仕事関数と正孔伝達層のHOMOのエネルギーレベルとの間の値である材料を含んでもよい。
【0206】
正孔伝達領域が正孔注入層36を備えている場合、正孔注入層は、例えば、真空蒸着、スピンコーティング、キャスティング、およびラングミュア・ブロジェット法(Langmuir Blodgett, LB)等の様々な方法のいずれかによって、アノード上に形成されてもよい。
【0207】
正孔注入層が真空蒸着を用いて形成される場合、真空蒸着条件は、正孔注入層の形成に使用される材料、目的の構造、および形成される正孔注入層の熱特性によって異なり得る。例えば、真空蒸着は、約100℃~約500℃の温度、約10-6Pa~約10-1Paの圧力、および約0.1nm/秒~約10nm/秒の蒸着速度で行われてもよい。しかし、蒸着条件はこれらに限定されない。
【0208】
正孔注入層がスピンコーティングを用いて形成される場合、コーティング条件は、正孔注入層の形成に使用される材料、目的の構造、および形成される正孔注入層の熱特性によって異なり得る。例えば、コーティング速度は約2000rpm~約5000rpmの範囲内であってもよく、コーティング後に溶媒を除去するために行われる熱処理の温度は約80℃~約200℃の範囲内であってもよいが、コーティング条件はこれらに限定されない。
【0209】
正孔注入層はさらに、伝導率および/またはアノードからの正孔注入を向上させるpドーパントを含んでよい。
【0210】
pドーパント
別の一態様では、pドーパントは正孔注入層中に均質に分散されてよい。
【0211】
別の一態様では、pドーパントは正孔注入層中で、アノードに近いほど濃度が高く、カソードに近いほど濃度が低いように存在してよい。
【0212】
pドーパントは、キノン誘導体またはラジアレン化合物のうち1つでよいが、これらに限定されない。pドーパントの例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)、2,3,5,6-テトラフルオロ-テトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4-TCNQ)、4,4’,4''-((1E,1’E,1''E)-シクロプロパン-1,2,3-トリイリデントリス(シアノメタニルイリデン))-トリス(2,3,5,6-テトラフルオロベンゾニトリル)のようなキノン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
正孔伝達層(HTL)
正孔伝達層および電子ブロッキング層を形成する条件は、上述した正孔注入層の形成条件に基づいて定められてもよい。
【0214】
電荷伝達領域における正孔伝達部の厚さは約10nm~約1000nmであってもよく、例えば、約10nm~約100nmであってもよい。電荷伝達領域の正孔伝達部が正孔注入層および正孔伝達層を備える場合、正孔注入層の厚さは約10nm~約1000nm、例えば約10nm~約100nmであってもよく、正孔伝達層の厚さは約5nm~約200nm、例えば約10nm~約150nmであってもよい。電荷伝達領域の正孔伝達部、HIL、およびHTLの厚さがこれらの範囲内である場合、動作電圧を実質的に上昇させることなく、十分な正孔伝達特性を得ることができる。
【0215】
正孔伝達領域に使用される正孔伝達マトリクス材料は特に限定されない。好ましいのは、少なくとも6つの非局在化電子の共役系を有する共役化合物であり、好ましくは、少なくとも1つの芳香族環を有する有機化合物、より好ましくは、少なくとも2つの芳香族環を有する有機化合物、さらに好ましくは、少なくとも3つの芳香族環を有する有機化合物、最も好ましくは、少なくとも4つの芳香族環を有する有機化合物である。正孔伝達層に広く使用されている正孔伝達マトリクス材料の典型例としては、多環式芳香族炭化水素、トリアリーレンアミン化合物、および複素環式芳香族化合物が挙げられる。正孔伝達領域の様々な層において有用な正孔伝達マトリクスのフロンティア軌道エネルギーレベルの好適な範囲はよく知られている。レドックス対HTLマトリクスのレドックス電位/HTLマトリクスのカチオンラジカルとして表した場合(例えば、基準としてのフェロセン/フェロセニウムレドックス対に対するサイクリックボルタンメトリーによって測定した場合)、好ましい値は0.0V~1.0Vの範囲内であり、より好ましくは0.2V~0.7Vの範囲内であり、さらに好ましくは0.3V~0.5Vの範囲内であってもよい。
【0216】
バッファ層
電荷伝達領域の正孔伝達部はさらにバッファ層を含んでもよい。
【0217】
好適に用い得るバッファ層は、US6140763、US6614176、およびUS2016/248022に開示されている。
【0218】
バッファ層はEMLから発せられた光の波長に応じて当該光の光学共鳴距離を補うことが可能であり、これによって効率を向上させることができる。
【0219】
発光層(EML)
発光層は、真空蒸着、スピンコーティング、キャスティング、またはLB法等を用いて正孔伝達領域上に形成されてもよい。発光層が真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合、蒸着およびコーティングの条件は発光層の形成に使用される材料によって異なり得るが、蒸着およびコーティングの条件は正孔注入層の形成条件と同様であってもよい。発光層はエミッターホスト(EMLホスト)およびエミッタードーパント(さらに、エミッターのみ)を含んでもよい。
【0220】
発光層の厚さは約100Å~約1000Åであってもよく、例えば、約200Å~約600Åであってもよい。発光層の厚さがこれらの範囲内である場合、動作電圧を実質的に上昇させることなく、発光層の発光特性を向上させることができる。
【0221】
エミッターホスト
他の実施形態によれば、発光層は式1の化合物をエミッターホストとして含む。
【0222】
エミッターホスト化合物は少なくとも3つの芳香族環を有し、該3つの芳香族環は独立して、炭素環および複素環から選択される。
【0223】
エミッターホストとして用いることができる他の化合物は、下記式400で表されるアントラセンマトリクス化合物である。
【0224】
【化17】
【0225】
式400中、Ar111およびAr112はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換C~C60アリーレン基であってもよく;Ar113~Ar116はそれぞれ独立して、置換もしくは非置換C~C10アルキル基または置換もしくは非置換C~C60アリーレン基であってもよく;g、h、iおよびjはそれぞれ独立して、0~4の整数であってもよい。
【0226】
いくつかの実施形態において、式400中のAr111およびAr112はそれぞれ独立して、フェニレン基、ナフタレン基、フェナントレニレン基もしくはピレニレン基;または、
それぞれがフェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基の少なくとも1つによって置換されたフェニレン基、ナフタレン基、フェナントレニレン基、フルオレニル基もしくはピレニレン基であってもよい。
【0227】
式400中、g、h、iおよびjはそれぞれ独立して、0、1または2の整数であってもよい。
【0228】
式400中、Ar113~Ar116はそれぞれ独立して、下記のうちの1つであってもよいが、本発明の実施形態はこれらに限定されない:
‐フェニル基、ナフチル基もしくはアントリル基の少なくとも1つによって置換されたC~C10アルキル基;
‐フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基もしくはフルオレニル基;
‐それぞれが、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基もしくはそれらの塩の少なくとも1つによって置換された、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基もしくはフルオレニル基、
‐スルホン酸基もしくはその塩、リン酸基もしくはその塩、
‐C~C60アルキル基、C~C60アルケニル基、C~C60アルキニル基、C~C60アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、フェナントレニル基、または、
‐フルオレニル基
【0229】
【化18】
【0230】
;または、
‐式7もしくは8
【0231】
【化19】
【0232】
(式7および式8中、Xは酸素原子および硫黄原子から選択される)。
【0233】
式7において、R11~R14の何れか1つはAr111との結合に使用される。Ar111との結合に使用されないR11~R14およびR15~R20は、R~Rと同じである。
【0234】
式8において、R21~R24の何れか1つはAr111との結合に使用される。Ar111との結合に使用されないR21~R24およびR25~R30は、R~Rと同じである。
【0235】
好ましくは、EMLホストはN、OまたはSからなる群から選択される1つ~3つのヘテロ原子を含む。より好ましくは、EMLホストはSまたはOから選択される1つのヘテロ原子を含む。
【0236】
エミッタードーパント
ドーパントは発光を起こすために少量混合され、一般的には、三重項以上への多重励起によって発光する金属錯体等の物質であり得る。ドーパントは、例えば、無機化合物、有機化合物、または有機/無機化合物であってもよく、それらの1つ以上が使用されてもよい。
【0237】
エミッターは、赤色エミッター、緑色エミッター、または青色エミッターであってもよい。
【0238】
ドーパントは蛍光性ドーパント(例えばt-フルオレン)であってもよく、その構造を以下に示す。青色蛍光性ドーパントの例としては、4,4’-ビス(4-ジフェニルアミノスチリル)ビフェニル(DPAVBI、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルペリレン(TBPe))、および下記の化合物8が挙げられる。
【0239】
【化20】
【0240】
ドーパントは燐光性ドーパントであってもよい。燐光性ドーパントの例としては、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはそれらの組み合わせを含む有機金属化合物が挙げられる。燐光性ドーパントは、例えば、式Zに表す化合物であってもよいが、これに限定されない。
MX (Z)。
【0241】
式Z中、Mは金属であり、JおよびXは、Mと錯体化合物を形成する同一のまたは異なる配位子である。
【0242】
Mは、例えば、Ir、Pt、Os、Ti、Zr、Hf、Eu、Tb、Tm、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、またはそれらの組み合わせであってもよく、JおよびXは、例えば、二座配位子であってもよい。
【0243】
電子輸送層(ETL)
他の実施形態によれば、式1の化合物を含む有機半導体層は電子輸送層である。他の実施形態では、電子輸送層は式1の化合物から成ってよい。
【0244】
本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードは少なくとも1つの電子輸送層を備え、この場合、電子輸送層は、式1の化合物、または好ましくは式F1~F11の少なくとも1つの化合物を含む。
【0245】
他の実施形態では、有機電子デバイスは、2層以上の電子輸送層で形成された有機層の積層からなる電子輸送領域を備え、少なくとも1層の電子輸送層が式1の化合物を含む。
【0246】
電子輸送層は、1つまたは2つ以上の異なる電子伝達化合物を含んでもよい。
【0247】
他の実施形態によれば、第2電子輸送層は本発明に係る式1の少なくとも1つの化合物を含み、第1電子輸送層はマトリクス化合物を含む。該マトリクス化合物は、本発明に係る式1の化合物とは異なるように選択され、以下から選択されてよい。
‐アントラセン系化合物またはヘテロ置換アントラセン系化合物、好ましくは2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾールおよび/またはN4,N4''-ジ(ナフタレン-1-イル)-N4,N4''-ジフェニル-[1,1’:4’,1''-テルフェニル]-4,4''-ジアミン。
【0248】
他の実施形態によれば、第1電子輸送層は本発明に係る式1の少なくとも1つの化合物を含み、第2電子輸送層はマトリクス化合物を含む。該マトリクス化合物は、本発明に係る式1の化合物とは異なるように選択され、以下から選択されてよい。
‐ホスフィンオキシド系化合物、好ましくは(3-(ジベンゾ[c,h]アクリジン-7-イル)フェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、および/またはフェニルビス(3-(ピレン-1-イル)フェニル)ホスフィンオキシド、および/または3-フェニル-3H-ベンゾ[b]ジナフト[2,1-d:1’,2’-f]ホスフェピン-3-酸化物、または、
‐置換フェナントロリン化合物、好ましくは2,4,7,9-テトラフェニル-1,10-フェナントロリンまたは2,9-ジ(ビフェニル-4-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン。
【0249】
他の実施形態によれば、第1電子輸送層は本発明に係る式1の少なくとも1つの化合物を含み、第2電子輸送層はマトリクス化合物を含む。該マトリクス化合物は、本発明に係る式1の化合物とは異なるように選択され、ホスフィンオキシド系化合物、好ましくは(3-(ジベンゾ[c,h]アクリジン-7-イル)フェニル)ジフェニルホスフィンオキシド、および/またはフェニルビス(3-(ピレン-1-イル)フェニル)ホスフィンオキシド、および/または3-フェニル-3H-ベンゾ[b]ジナフト[2,1-d:1’,2’-f]ホスフェピン-3-酸化物から選択されてよい。
【0250】
他の実施形態によれば、第1および第2電子輸送層は式1の化合物を含み、該式1の化合物は異なるように選択される。
【0251】
第1電子輸送層の厚さは約0.5nm~約100nmであってもよく、例えば、約2nm~約40nmであってもよい。第1電子輸送層の厚さがこれらの範囲内である場合、動作電圧を実質的に上昇させることなく、第1電子輸送層の電子伝達能力を向上させることができる。
【0252】
任意の第2電子輸送層の厚さは約1nm~100nmであってもよく、例えば、約2nm~20nmであってもよい。電子輸送層の厚さがこれらの範囲内である場合、動作電圧を実質的に上昇させることなく、電子輸送層は十分な電子伝達能力を有することができる。
【0253】
電子輸送層は、さらに、ハロゲン化アルカリおよび/またはアルカリ有機錯体を含んでよい。
【0254】
他の実施形態によれば、第1および第2電子輸送層は式1の化合物を含み、該第2電子輸送層はさらに、ハロゲン化アルカリおよび/またはアルカリ有機錯体を含む。
【0255】
ハロゲン化アルカリ
ハロゲン化アルカリ(アルカリ金属ハロゲン化物としても知られる)は、化学式MX(Mはアルカリ金属、Xはハロゲン)を有している一群の無機化合物である。
【0256】
Mは、Li、Na、カリウム、ルビジウム、およびセシウムから選択することができる。
【0257】
Xは、F、Cl、Br、およびIから選択することができる。
【0258】
本発明の種々の実施形態によれば、ハロゲン化リチウムが好ましい場合がある。ハロゲン化リチウムは、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIを含む群から選択することができる。しかし、LiFが最も好ましい。
【0259】
ハロゲン化アルカリは実質的に非発光性または非発光である。
【0260】
アルカリ有機錯体
アルカリ有機錯体は、アルカリ金属および少なくとも1つの有機配位子を含む。アルカリ金属は好ましくはリチウムから選択される。
【0261】
本発明の種々の実施形態によれば、リチウム有機錯体の有機配位子は、キノラート、ホウ酸塩、フェノラート、ピリジノラート、またはシッフ塩基配位子である。好ましくは、リチウムキノラート錯体は、式III、IV、またはVを有する。
【0262】
【化21】
【0263】
式中、A~Aは、同じである、または独立してCH、CR、NおよびOから選択され、
Rは、同じである、または独立して水素、ハロゲン、1~20の炭素原子を有しているアルキルまたはアリーレンまたはヘテロアリーレンから選択され、より好ましくは、A~AはCHであり;
‐好ましくは、前記ホウ酸系の有機配位子はテトラ(1H-ピラゾール-1-イル)ホウ酸塩であり;
‐好ましくは、前記フェノラートは、2-(ピリジン-2-イル)フェノラート、2-(ジフェニルホスホリル)フェノラート、イミダゾールフェノラート、または2-(ピリジン-2-イル)フェノラートであり、より好ましくは2-(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェノラートであり;
‐好ましくは、前記ピリジノラートは、2-(ジフェニルホスホリル)ピリジン-3-オラートである。
【0264】
本発明の種々の実施形態によれば、アルカリ有機錯体の有機配位子(好ましくは、リチウム有機錯体の有機配位子)はキノラートでよい。好適に用い得るキノラートは、参照によって援用されるWO2013079217A1に開示されている。
【0265】
本発明の種々の実施形態によれば、リチウム有機錯体の有機配位子は、ホウ酸系の有機配位子でよい。好ましくは、リチウム有機錯体は、リチウムテトラ(1H-ピラゾール-1-イル)ホウ酸塩である。好適に用い得るホウ酸系の有機配位子は、参照によって援用されるWO2013079676A1に開示されている。
【0266】
本発明の種々の実施形態によれば、リチウム有機錯体の有機配位子は、フェノラート配位子でよい。好ましくは、リチウム有機錯体は、リチウム2-(ジフェニルホスホリル)フェノラートである。好適に用い得るフェノラート配位子は、参照によって援用されるWO2013079678A1に開示されている。
【0267】
さらに、フェノラート配位子はピリジノラートの基から選択することができ、好ましくは2-(ジフェニルホスホリル)ピリジン-3-オラートである。好適に用い得るピリジンフェノラート配位子は、参照によって援用されるJP2008195623に開示されている。
【0268】
その上、フェノラート配位子はイミダゾールフェノラートの基から選択することができ、好ましくは2-(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェノラートである。好適に用い得るイミダゾールフェノラート配位子は、参照によって援用されるJP2001291593に開示されている。
【0269】
また、フェノラート配位子は、オキサゾールフェノラートの基から選択することができ、好ましくは2-(ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)フェノラートである。好適に用い得るオキサゾールフェノラート配位子は、参照によって援用されるUS20030165711に開示されている。
【0270】
アルカリ有機錯体は実質的に非発光性であってもよい。
【0271】
nドーパント
種々の実施形態によれば、式1の化合物を含む有機半導体層は、さらに、nドーパントを含んでよい。
【0272】
nドーパントとして好適な電気的に中性な金属錯体としては、例えば、低酸化状態にある、いくつかの遷移金属の強還元性の錯体であってもよい。特に強いnドーパントは、例えば、WO2005/086251により詳細に記載されているように、W(hpp)等のCr(II)、Mo(II)および/またはW(II)グアニジナート錯体から選択され得る。
【0273】
nドーパントとして好適な電気的に中性な有機ラジカルは、例えば、EP1837926B1、WO2007/107306、またはWO2007/107356により詳細に記載されているように、有機ラジカルの安定した二量体、オリゴマーまたは重合体からの付加的なエネルギーの供給によって生成された有機ラジカルであってもよい。そのような好適なラジカルの具体例として、ジアゾリルラジカル、オキサゾリルラジカル、および/またはチアゾリルラジカルを挙げることができる。
【0274】
他の実施形態では、有機半導体層はさらに元素金属を含んでよい。元素金属は、元素形態の金属状態にある金属、合金状態の金属、または金属クラスター状態の金属である。金属相(例えば、バルク金属)からの真空熱蒸着によって蒸着された金属は、当該金属の元素形態で蒸発すると理解されている。蒸発した元素金属が共有結合マトリクスと共に蒸着される場合、金属原子および/またはクラスターが共有結合マトリクスに埋め込まれることがさらに理解されている。言い換えれば、真空熱蒸着によって調製された、金属ドープされた共有結合材料はいずれも、少なくとも部分的に元素形態の金属を含んでいることが理解されている。
【0275】
民生電子機器における使用については、安定した核種を含む金属または放射性崩壊の非常に長い半減期を有する核種を含む金属のみが適用可能である。核安定性の許容レベルとしては、天然カリウムの核安定性とすることができる。
【0276】
一実施形態において、nドーパントは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、および第1遷移系列の金属Ti、V、CrおよびMnから選択される電気陽性金属から選択される。好ましくは、nドーパントはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Sm、Eu、Tm、Ybから選択され;より好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、MgおよびYbから選択され、さらに好ましくはLi、Na、CsおよびYbから選択され、最も好ましくはLi、NaおよびYbから選択される。
【0277】
nドーパントは実質的に非発光性であってもよい。
【0278】
電子注入層(EIL)
本発明の別の一態様によれば、有機エレクトロルミネセントデバイスは、電子輸送層およびカソードの間にさらに電子注入層(第1-ETL)を含み得る。
【0279】
電子注入層(EIL)はカソードからの電子の注入を促進することができる。
【0280】
本発明の別の一態様によれば、電子注入層は下記を含む:
(i)実質的に元素形態であるアルカリ金属、アルカリ土類金属、および希土類金属から選択される電気陽性金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、EuおよびYb、より好ましくはLi、Na、Mg、Ca、SrおよびYb、さらに好ましくはLiおよびYb、最も好ましくはYbから選択される電気陽性金属;および/または、
(ii)アルカリ金属錯体および/またはアルカリ金属塩、好ましくはLi錯体および/または塩、より好ましくはLiキノリノラート、さらに好ましくはリチウム8-ヒドロキシキノリノラート、最も好ましくは第2電子輸送層(第2-ETL)のアルカリ金属塩および錯体の少なくともいずれかであって注入層のアルカリ金属塩および錯体の少なくともいずれかと同一であるアルカリ金属錯体およびアルカリ金属塩。
【0281】
電子注入層は、LiF、NaCl、CsF、LiO、およびBaOから選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0282】
EILの厚さは、約0.1nm~約10nmまたは約0.3nm~約9nmであってもよい。電子注入層の厚さがこれらの範囲内である場合、動作電圧を実質的に上昇させることなく、電子注入層は十分な電子注入能力を有することができる。
【0283】
電子注入層は式1の化合物を含んでよい。
【0284】
カソード
カソードの材料としては、仕事関数の低い金属、合金、もしくは導電性化合物、またはそれらの組み合わせであってもよい。カソードの材料の具体例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)、銀(Ag)等が挙げられる。基板上に蒸着された反射アノードを有するトップエミッション型発光デバイスを製造するために、カソードは、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、または銀(Ag)からなる透光性電極として形成されてもよい。
【0285】
透明金属酸化物カソードまたは反射金属カソードを含むデバイスにおいて、カソードの厚さは約50nm~100nmでよく、一方、半透明金属カソードは約5nm~15nmほど薄くてよい。
【0286】
基板
基板をアノードの下、またはカソード上にさらに配置してもよい。基板は、一般的な有機発光ダイオードに使用される通常の基板であってもよく、優れた機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い性、および耐水性を有する、ガラス基板または透明プラスチック基板であってもよい。
【0287】
以下、実施形態について、実施例に基づきより詳細に説明する。しかし、本開示は以下の実施例に限定されない。
【0288】
(図面の簡単な説明)
本発明のこれらの態様および/または他の態様および利点は、例示的な実施形態の以下の記載および添付の図面により明らかになり、より容易に理解されるであろう。
図1は、発光層、1つの電子輸送層、および電子注入層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図2は、発光層および2つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図3は、発光層および3つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係るOLEDの模式的な断面図である。
図4は、発光層および1つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図5は、発光層および2つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図6は、発光層および3つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係るOLEDの模式的な断面図である。
【0289】
例示的な態様を以下に詳述する。例示的な態様の例は添付の図面に示されており、すべての図面において同じ参照番号は同じ要素を指す。態様を説明するため、図面を参照して例示的な実施例を以下に記載する。
【0290】
本明細書において、第1の要素が第2の要素の「上に」形成されているまたは配置されていると言及されている場合、第1の要素は第2の要素の上に直接配置されていてもよいし、または1つ以上の他の要素が第1の要素と第2の要素の間に配置されていてもよい。第1の要素が第2の要素の「上に直接」形成されているまたは配置されていると言及されている場合、他の要素は第1の要素と第2の要素の間に配置されない。
【0291】
「接触しながら挟まれる」という記載は、3つの層を配置する場合に真ん中の層が隣接する2つの層に直接接触する配置を指す。
【0292】
本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードは、正孔伝達領域;発光層;および式1に記載の化合物を含む第1電子輸送層を備えてもよい。
【0293】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード100の模式的な断面図である。OLED100は、発光層150と、式1の化合物を含む電子輸送層(ETL)161と、電子注入層180と備えており、第1電子輸送層161は発光層150の上に直接配置され、電子注入層180は第1電子輸送層161の上に直接配置されている。
【0294】
図2は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード100の模式的な断面図である。OLED100は、発光層150と、式1の化合物を含む第1電子輸送層161および第2電子輸送層162を含む電子輸送層積層体(ETL)160とを備えており、第2電子輸送層162は第1電子輸送層161の上に直接配置されている。代替的に、電子輸送層積層体(ETL)160は、第1電子輸送層161と式1の化合物を含む第2電子輸送層162とを備えており、第2電子輸送層162は第1電子輸送層161の上に直接配置されている。
【0295】
図3は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード100の模式的な断面図である。OLED100は、発光層150および電子輸送層積層体(ETL)160を備えており、電子輸送層積層体(ETL)160は、式1の化合物を含む第1電子輸送層161、第1電子輸送層の化合物と異なる式1の化合物を含む第2電子輸送層162、および第3電子輸送層163を備えており、第2電子輸送層162は第1電子輸送層161の上に直接配置され、第3電子輸送層163は第1電子輸送層162の上に直接配置されている。
【0296】
図4は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード100の模式的な断面図である。OLED100は、基板110、第1アノード電極120、正孔注入層(HIL)130、正孔伝達層(HTL)140、発光層(EML)150、1層の第1電子輸送層(ETL)161、電子注入層(EIL)180、およびカソード電極190を備えている。第1電子輸送層(ETL)161は、式1の化合物、および任意にハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体を含んでいる。電子輸送層(ETL)161はEML150の上に直接形成される。
【0297】
図5は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード100の模式的な断面図である。OLED100は、基板110、第1アノード電極120、正孔注入層(HIL)130、正孔伝達層(HTL)140、発光層(EML)150、電子輸送層積層体(ETL)160、電子注入層(EIL)180、およびカソード電極190を備えている。電子輸送層(ETL)160は、第1電子輸送層161および第2電子輸送層162を備えており、第1電子輸送層はアノード(120)の近傍に配置され、第2電子輸送層はカソード(190)の近傍に配置される。第1および/または第2電子輸送層は、式1の化合物、および任意にハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体を含む。
【0298】
図6は、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード100の模式的な断面図である。OLED100は、基板110、第1アノード電極120、正孔注入層(HIL)130、正孔伝達層(HTL)140、発光層(EML)150、電子輸送層積層体(ETL)160、電子注入層(EIL)180、および第2カソード電極190を備えている。電子輸送層積層体(ETL)160は、第1電子輸送層161、第2電子輸送層162、および第3電子輸送層163を備えている。第1電子輸送層161は、発光層(EML)150の上に直接形成される。第1電子輸送層、第2電子輸送層、および/または第3電子輸送層は、各層毎に異なる式1の化合物、および任意にハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体を含む。
【0299】
有機半導体層
別の一態様によれば、有機半導体層は式1の少なくとも1つの化合物を含んでよい。
【0300】
一実施形態によれば、有機半導体層は式1の少なくとも1つの化合物を含んでよく、さらに、金属、金属塩、または有機アルカリ金属錯体、好ましくはアルカリ金属錯体、より好ましくはLiQまたはアルカリホウ酸塩を含んでよい。
【0301】
一実施形態によれば、少なくとも1つの有機半導体層が発光層とカソードとの間、好ましくは補助電子輸送層とカソードとの間に配置される。
【0302】
他の実施形態では、有機半導体層は発光層と電子輸送層との間に配置される。
【0303】
一実施形態によれば、有機半導体層は第1発光層と第2発光層との間に配置される。有機半導体層は、電子輸送層、発光層、正孔ブロッキング層、電荷生成層および/または電子注入層でよく、好ましくは電子輸送層または電荷生成層でよく、より好ましくは電子輸送層でよい。
【0304】
一実施形態によれば、有機半導体層は、光活性層とカソード層との間、好ましくは発光層または光吸収層とカソード層との間に配置されることができ、好ましくは、有機半導体層は電子輸送層である。
【0305】
一実施形態によれば、有機半導体層は、少なくとも1つのハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体を含んでよい。
【0306】
式1の化合物を含む有機半導体層は、実質的に非発光性または非発光である。
【0307】
有機電子デバイス
他の実施形態によれば、本発明の有機半導体層を有する有機電子デバイスが提供される。
【0308】
本発明に係る有機電子デバイスは少なくとも1つの有機半導体層を備え、少なくとも1つの有機半導体層は式1の化合物を含む。
【0309】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、式1の化合物を含む少なくとも1つの有機半導体層を備え、この層は実質的に非発光性または非発光である。
【0310】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは少なくとも1つの有機半導体層を備え、有機半導体層は、電子輸送層、正孔ブロッキング層、n型電荷生成層、または電子注入層でよく、好ましくは電子輸送層またはn型電荷生成層でよく、より好ましくは電子輸送層でよい。
【0311】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは少なくとも1つの有機半導体層を備え、該有機半導体層は、光活性層とカソード層との間、好ましくは発光層または光吸収層とカソード層との間に配置されてよく、好ましくは、該有機半導体層は電子輸送層である。
【0312】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは少なくとも1つの有機半導体層を備え、少なくとも1つの有機半導体層は、発光層とカソードとの間、好ましくは補助電子輸送層とカソードの間に配置される。
【0313】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つのアノード層、少なくとも1つのカソード層、および少なくとも1つの発光層を備え、好ましくは有機半導体層が発光層とカソード層との間に配置される。
【0314】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは、式1の化合物を含む少なくとも1つの有機半導体層を備え、該少なくとも1つの有機半導体層は、電子輸送層、発光層、正孔ブロッキング層、電荷生成層、および/または電子注入層であり、好ましくは電子輸送層または電荷生成層であり、より好ましくは電子輸送層である。
【0315】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、基板、アノード層、式1の化合物を含む有機半導体層、およびカソード層を有してよい。
【0316】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、少なくとも1つの有機半導体層を有してよく、式1の化合物を含む該有機半導体層は、光活性層とカソード層との間、好ましくは発光層または光吸収層とカソード層との間に配置され、好ましくは、該有機半導体層は電子輸送層である。
【0317】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、式1の化合物を含む少なくとも1つの有機半導体層を有してよく、該少なくとも1つの有機半導体層はさらに、少なくとも1つのハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体を含む。
【0318】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、式1の少なくとも1つの化合物を含む少なくとも1つの有機半導体層、少なくとも1つのアノード層、少なくとも1つのカソード層、少なくとも1つの発光層を備え、式1の少なくとも1つの化合物を含む有機半導体層は、好ましくは、発光層とカソード層との間に配置される。
【0319】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、式1の少なくとも1つの化合物を含み、かつ少なくとも1つのハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体をさらに含む少なくとも1つの有機半導体層を備えている。
【0320】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、少なくとも1つの有機半導体層、少なくとも1つのアノード層、少なくとも1つのカソード層、および少なくとも1つの発光層を備え、式1の少なくとも1つの化合物を含む該有機半導体層は、好ましくは、発光層とカソード層との間に配置される。好ましくは、前記少なくとも1つの有機半導体層は電子輸送層である。
【0321】
本発明に係る有機発光ダイオード(OLED)は、アノード、正孔伝達層(HTL)、発光層(EML)、式1の少なくとも1つの化合物を含む電子輸送層(ETL)、カソードを備え、これらは基板上に順次積層されている。ここで、HTL、EML、およびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0322】
一実施形態に係る有機電子デバイスは、発光デバイス、薄膜トランジスタ、電池、表示装置、または光電池でよく、好ましくは発光デバイスである。発光デバイスはOLEDでよい。
【0323】
一実施形態によれば、OLEDは以下の層構造を有し得、各層は以下の順序を有する。
【0324】
アノード層、正孔注入層、任意に第1正孔伝達層、任意に第2正孔伝達層、発光層、本発明に係る式1の化合物を含む電子輸送層、電子注入層、およびカソード層。
【0325】
本発明の別の一態様によれば、有機電子デバイスを製造する方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの堆積源、好ましくは2つの堆積源、より好ましくは少なくとも3つの堆積源を用いる。
【0326】
好適に用い得る堆積方法として以下の方法が挙げられる。
‐真空熱蒸着による堆積、
‐溶液処理による堆積(好ましくは、該処理は、スピンコーティング、プリンティング、キャスティングから選択される)、および/または、
‐スロットダイコーティング。
【0327】
本発明の種々の実施形態によれば、
‐本発明に係る式1の化合物を放出する第1堆積源、
‐ハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体、好ましくはリチウムハロゲン化物またはリチウム有機錯体を放出する第2堆積源、
を用いる方法であって、
電子輸送層積層体を形成する工程であって、有機発光ダイオード(OLED)の場合、本発明に係る式1の化合物を第1堆積源から放出し、ハロゲン化アルカリまたはアルカリ有機錯体、好ましくはリチウムハロゲン化物またはリチウム有機錯体を第2堆積源から放出することにより、第1電子輸送層を形成する工程を含む、方法が提供される。
【0328】
本発明の種々の実施形態によれば、前記方法はさらに、アノード電極上に、発光層および少なくとも1つの層を形成する工程を含んでよく、該少なくとも1つの層を形成する工程は、前記アノード電極と第1電子輸送層の間に、正孔注入層を形成する工程、正孔伝達層を形成する工程、または正孔ブロッキング層を形成する工程から選択される。
【0329】
本発明の種々の実施形態によれば、前記方法はさらに、有機発光ダイオード(OLED)を形成する各工程を含んでよく、各工程において、
‐基板上に第1アノード電極が形成され、
‐前記第1アノード電極上に発光層が形成され、
‐前記発光層上に電子輸送層積層体が形成され、好ましくは、第1電子輸送層が前記発光層上に形成され、任意に第2電子輸送層が形成され、
‐最後に、カソード電極が形成され、
‐任意に、前記第1アノード電極と前記発光層との間に、正孔注入層、正孔伝達層および正孔ブロッキング層がこの順序で形成され、
‐任意に、前記電子輸送層と前記カソード電極との間に電子注入層が形成される。
【0330】
本発明の種々の実施形態によれば、前記方法はさらに、第1電子輸送層上に電子注入層を形成する工程を含んでよい。しかし、本発明のOLEDの種々の実施形態によれば、OLEDは電子注入層を有さなくてよい。
【0331】
種々の実施形態によれば、OLEDは以下の層構造を有してよく、各層は以下の順序を有する;
アノード、第1正孔伝達層、第2正孔伝達層、発光層、任意で第2電子輸送層、本発明に係る式1の化合物を含む第1電子輸送層、任意に電子注入層、およびカソード。
【0332】
本発明の別の一態様によれば、本願の全体に説明されている任意の実施形態に係る少なくとも1つの有機発光デバイスを備える電子デバイスを提供し、好ましくは、前記電子デバイスは、本願の全体に説明されている実施形態の1つにおける有機発光ダイオードを備えている。より好ましくは、電子デバイスは表示装置である。
【0333】
以下、実施形態について、実施例に基づきより詳細に説明する。しかしながら、本開示は以下の実施例に限定されない。例示的な各態様を以下に詳述する。
【0334】
式1の化合物の調製
式1の化合物を、以下に記載されている通りに合成してよい。
【0335】
Ar=ピリジルである式1の化合物の合成
【0336】
【化22】
【0337】
2-クロロ-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン
【0338】
【化23】
【0339】
フラスコに窒素を流し、2,4-ジクロロ-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(18.0g、79.4mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,2-ジオキサボロラン(30g、67.5mol)、Pd(PPh(4.6g、3.98mmol)、およびKCO(27.5g、199mmol)で満たした。脱気トルエン/THF/水の混合物(1:1:1、660mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下で6時間、65℃に加熱した。それから、すべての揮発物を真空内で除去し、残留物をジクロロメタンに懸濁させ、水で3回洗浄した。MgSOで乾燥させた後、有機相を最少量になるまで濃縮し、アセトニトリルを添加して沈殿を生じさせた。沈殿物を吸引濾過で回収し、追加のアセトニトリルで洗浄した。熱酢酸エチルを用いた粉砕(trituration) によってさらに精製し、乾燥後、オフホワイトの固形物10g(30%)を得た。m/z=508([M])。
【0340】
2-フェニル-4-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-6-(3-(ピリジン-3-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン
【0341】
【化24】
【0342】
フラスコに窒素を流し、2-クロロ-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(7.3g、14.37mmol)、3-(3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリジン(4.5g、16.01mmol)、Pd(PPh(0.34g、0.3mmol)およびKCO(4.1g、29.5mmol)で満たした。脱気THF/水の混合物(5:1、90mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下で22時間、加熱して還流させた。室温まで冷却後、THFを真空内で除去し、ジクロロメタンと水を添加して各相を分離した。有機相をナトリウムジエチルカルバモジチオアート水溶液および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し蒸発させて乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(シリカ、n-ヘキサン/クロロホルム1:1からn-ヘキサン/クロロホルム/酢酸エチル3:3:1)を繰り返し行い、続いてシクロヘキサンから再結晶化させることによって精製し、乾燥後、白色の固形物3.5g(39%)を得た。昇華により最終的な精製を行った。m/z=627([M+H])であった。
【0343】
2-フェニル-4-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-6-(4-(ピリジン-2-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン
【0344】
【化25】
【0345】
フラスコに窒素を流し、2-クロロ-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(7.4g、14.6mmol)、2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピリジン(4.71g、16.75mmol)、Pd(PPh(0.34g、0.29mmol)、およびKCO(4.03g、29mmol)で満たした。脱気THF/水の混合物(2:1、90mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下で23時間、加熱して還流させた。5℃まで冷却した後、得られた沈殿物を吸引濾過で分離し、THFおよびn-ヘキサンで洗浄した。得られた白色の固形物をクロロホルムに溶解し、水で3回洗浄した。MgSOで乾燥させた後、Florisilのパッドで有機相を濾過した。追加のクロロホルムで洗浄した後、無色の濾過物を真空内で最小体積になるまで濃縮し、n-ヘキサンを添加した。30分間撹拌した後、得られた白色の沈殿物を吸引濾過で分離し、n-ヘキサンで洗浄した。さらに、カラムクロマトグラフィー(シリカ、クロロホルムから クロロホルム/メタノール99:1)を行って精製し、乾燥後、白色の固形物6.8g(75%)を得た。昇華により最終的な精製を行った。m/z=627([M+H])であった。
【0346】
Ar=CCNである式1の化合物の合成
【0347】
【化26】
【0348】
3’-(4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニトリル
【0349】
【化27】
【0350】
フラスコに窒素を流し、2-クロロ-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(14.27g、28.1mmol)、3’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニトリル(9.0g、29.5mmol)、Pd(PPh(0.65g、0.56mmol)、KCO(7.76g、56mmol)で満たした。脱気THF/水の混合物(2:1、135mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下で23時間、加熱して還流させた。室温まで冷却した後、THFを真空内で除去し、ジクロロメタンを添加して、有機相を水で4回洗浄した。それから、有機相をMgSOで乾燥させた後、Florisilのパッドで濾過した。追加のジクロロメタンで洗浄した後、無色の濾過物を蒸発させて乾燥させた。さらに、カラムクロマトグラフィー(シリカ、トルエン/n-ヘキサン1:1からトルエン/n-ヘキサン3:1)を行って精製し、乾燥後、白色の固形物17.7g(97%)を得た。昇華により最終的な精製を行った。m/z=651([M+H])であった。
【0351】
3’-(4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル
【0352】
【化28】
【0353】
2-クロロ-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(11.4g、22.5mmol)、3’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル(7.2g、23.6mmol)、Pd(PPh(0.52g、0.45mmol)、KCO(6.2g、44.9mmol)、および脱気THF/水(2:1、110mL)を用いる上述の手順に従い、反応時間を18時間とし、カラムクロマトグラフィーの代わりにトルエンによる粉砕(trituration) およびトルエン/n-ヘキサンからの沈殿の後、白色の固形物5.8g(40%)を得た。昇華により最終的な精製を行った。m/z=651([M+H])であった。
【0354】
4’-(4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル
【0355】
【化29】
【0356】
フラスコに窒素を流し、2-クロロ-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(10g、19.7mmol)、4’-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリル(6.6g、21.7mmol)、Pd(PPh(0.46g、0.39mmol)、およびKCO(5.4g、39.4mmol)で満たした。脱気THF/水の混合物(13:1、270mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下、16時間、加熱して還流させた。室温まで冷却した後、THFを真空内で除去し、ジクロロメタンを添加して、有機相を水で3回洗浄した。その後、有機相をNaSOで乾燥させ、シリカのパッドで濾過した。追加のジクロロメタンで洗浄した後、無色の濾過物を濃縮し、n-ヘキサンを添加した。1時間撹拌した後、沈殿物を吸引濾過で回収し、n-ヘキサンで洗浄して、乾燥後、白色の固形物を12.1g(94%)得た。昇華により最終的な精製を行った。m/z=651([M+H])であった。
【0357】
Ar=CCNである式1の化合物の合成
【0358】
【化30】
【0359】
2-(4-クロロフェニル)-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン
【0360】
【化31】
【0361】
フラスコに窒素を流し、2-クロロ-4-(4-クロロフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン(9.8g、32.3mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,2-ジオキサボロラン(15.1g、33.9mmol)、Pd(PPh(0.75g、0.65mmol)、およびKCO(8.9g、64.6mmol)で満たした。脱気THF/水の混合物(2:1、160mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下、70時間加熱して還流させた。室温まで冷却した後、THFを真空内で除去し、ジクロロメタンを添加して、有機相を水で3回洗浄した。それから、有機相をMgSOで乾燥させた後、Florisilのパッドで濾過した。追加のジクロロメタンで洗浄した後、濾過物を蒸発させて乾燥させ、得られた固形物をn-ヘキサンで粉砕(trituration) した。さらに、カラムクロマトグラフィー(シリカ、n-ヘキサン/ジクロロメタン8:2)を行って精製し、乾燥後、白色の固形物14.4g(76%)を得た。
【0362】
4’-(4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-カルボニトリル
【0363】
【化32】
【0364】
フラスコに窒素を流し、2-(4-クロロフェニル)-4-フェニル-6-(3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(7g、12mmol)、(3-シアノフェニル)ボロン酸(2.1g、14.4mmol)、クロロ(クロチル)(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル)パラジウム(II)(0.15g、0.24mmol)、およびKPO(5.08g、24mmol)で満たした。脱気THF/水の混合物(4:1、130mL)を添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下、20.5時間、50℃に加熱した。室温まで冷却後、THFを真空内で除去し、ジクロロメタンを添加して、有機相を水で3回洗浄した。それから、有機相をMgSOで乾燥させ、シリカおよびFlorisilのパッドで濾過した。追加のジクロロメタンで洗浄した後、濾過物を濃縮し、n-ヘキサンを添加して、沈殿を完了させた。得られた固形物を吸引濾過で回収し、n-ヘキサンで洗浄した。熱酢酸エチルで繰り返し粉砕(trituration) してさらに精製し、乾燥後、白色の固形物を6.5g(83%)得た。昇華により最終的な精製を行った。m/z=651([M+H])であった。
【0365】
融点
融点(mp)は、上述のTGA-DSC測定の各DSC曲線から、または個別のDSC測定から、ピーク温度として測定される(Mettler Toledo DSC 822e、サンプルを、室温から溶融の完了まで、純窒素を流しながら、加熱率10K/分で加熱する。4~6mgのサンプル量を、蓋付きの40μLのMettler Toledo アルミニウムパンに入れる。蓋にはa<1mmの孔が開けられている)。
【0366】
還元電位
還元電位は、定電位装置Metrohm PGSTAT 30およびソフトウェア Metrohm Autolab GPESを用いた室温でのサイクリックボルタンメトリーによって測定される。特定の化合物に与えられるレドックス電位は、被測定物質のアルゴン脱気した乾燥THF(0.1M)溶液中、アルゴン雰囲気下で、白金作用電極間の0.1Mヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム支持電解質およびAg/AgCl疑似標準電極(Metrohm社製の銀棒電極)を用いて、走査速度100mV/sで測定した。ここで、当該Ag/AgCl疑似標準電極は塩化銀に覆われた銀ワイヤからなり、測定溶液に直接含浸されている。最初の測定は、作用電極に設定される電位の最大範囲で行われ、以降の測定においてその範囲を適宜調整した。最後の3回の測定は、基準としてフェロセン(濃度0.1M)を添加して行った。対象化合物のカソードおよびアノードのピークに対応する電位の平均は、基準Fc/Fcレドックス対について測定されたカソードおよびアノードの電位の平均を差し引いた後、最終的に上述の報告された値をもたらした。報告された比較化合物だけでなく、すべての対象化合物も明確な可逆的電気化学性質を示した。
【0367】
OLED製作の一般的手順
トップエミッション型デバイスについて、実施例1~8および比較例1では、ガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさに切り、イソプロピルアルコールで5分間超音波洗浄した後、純水で5分間超音波洗浄し、その後UVオゾンで30分間洗浄した。アノードを形成するために、100nmのAgを10-5mbar~10-7mbarの圧力で基板上に蒸着させた。
【0368】
その後、92体積%のビフェニル-4-イル(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-アミン(CAS 1242056-42-3)および8体積%の2,2’,2''-(シクロプロパン-1,2,3-トリイリデン)トリス(2-(p-シアノテトラフルオロフェニル)アセトニトリル)をアノードに真空蒸着させて、10nmの厚さを有するHILを形成した。その後、ビフェニル-4-イル(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-アミンをHILに真空蒸着させて、118nmの厚さを有するHTLを形成した。
【0369】
その後、N,N-ビス(4-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)フェニル)-[1,1’:4’,1''-テルフェニル]-4-アミン(CAS 1198399-61-9)をHTLに真空蒸着させて、5nmの厚さを有する電子ブロッキング層(EBL)を形成した。
【0370】
それから、97体積%のH09(Sun Fine Chemicals)をEMLホストとして、3体積%のBD200(Sun Fine Chemicals)を蛍光青ドーパントとして、EBL上に蒸着し、厚さ20nmの青色発光EMLを形成した。
【0371】
その後、2,4-ジフェニル-6-(4’,5’,6’-トリフェニル-[1,1’:2’,1'':3'',1''':3''',1''''-キンキフェニル]-3''''-イル)-1,3,5-トリアジンを、発光層に蒸着させて、5nmの厚さを有する正孔ブロッキング層を形成した。
【0372】
それから、実施例1~8および比較例1に従って、厚さ31nmの電子輸送層を正孔ブロッキング層上に形成した。電子輸送層は50重量%のマトリクス化合物と、50重量%のアルカリ有機錯体とを含む。組成は表2に示されている。
【0373】
それから、厚さ2nmのYbを蒸着して、電子注入層を電子輸送層上に形成した。
【0374】
Agを、10-7mbarで0.01~1Å/sの割合で蒸着して、厚さ11nmのカソードを形成した。
【0375】
ビフェニル-4-イル(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-アミンのキャップ層を厚さ75nmのカソードに形成した。
【0376】
OLED積層体は、ガラススライドを用いてデバイスを密閉することにより、周囲環境から保護されている。これにより、さらなる保護のためのゲッター物質を含んだ空洞が形成される。
【0377】
先行技術と比較した本発明の実施例のパフォーマンスを判定するために、周囲条件下(20℃)における電流効率を測定する。Keithley 2400ソースメータを用いて電流電圧の測定を行い、「V」として記録する。トップエミッション型デバイスについて、10mA/cmにおけるCIE座標および輝度(単位:カンデラ)を、Instrument Systems製の較正済み分光計CAS140を用いて測定する。デバイスの寿命LTを、Keithley 2400ソースメータを用いて、周囲条件(20℃)および30mA/cmで測定し、「時間単位」で記録する。
【0378】
デバイスの輝度を、較正済みフォトダイオードを用いて測定する。寿命LTは、デバイスの輝度がその初期値の97%に減少するまでの時間として定義する。
【0379】
トップエミッション型デバイスについては、10mA/cmにおける光出力の外部効率EQEおよび出力効率(lm/W効率)を判定する。
【0380】
効率EQEを%単位で判定するために、デバイスの光出力を、較正済みフォトダイオードを用いて測定する。
【0381】
出力効率をlm/W単位で判定するために、第1ステップにおいて、Deutsche Akkreditierungsstelle(DAkkS)によって較正済みのアレイ分光計CAS140CT(Instrument Systems製)を用いて1平方メートルあたりのカンデラ(cd/m)を単位とした輝度を測定する。その後、第2ステップにおいて、輝度にπを乗算し、電圧および電流密度で除算する。
【0382】
ボトムエミッション型デバイスにおいて、発光の単位は主にランバートであり、外部量子効率(EQE)のパーセンテージとして定量化され、出力効率の単位はlm/Wである。
【0383】
トップエミッション型デバイスにおいて、発光は前方に向けられ、非ランバート反射によるものであり、また、微小空洞に大きく依存する。したがって、外部量子効率(EQE)および出力効率(lm/W)は、ボトムエミッション型デバイスと比べて高い。
【0384】
(発明の技術的効果)
表1からわかるように、式1の化合物の、mp、Tgおよび還元電位、算出されたHOMOおよび算出された双極子モーメントは、有機電子デバイスにおける使用に好適な範囲にある。
【0385】
トップエミッション型デバイス
表2には、式1の化合物を含む有機半導体層とアルカリ有機錯体とを有する有機電子デバイスの性能が示されている。
【0386】
比較例1では、化合物ETM-1をマトリクス化合物として用いた。
【0387】
【化33】
【0388】
ETM-1の双極子モーメントは0.51デバイであり、算出されたHOMOレベルは-5.80eVである。
【0389】
有機半導体層は50体積%のETM-1および50体積%のLiQを含んでいる。動作電圧は3.5Vであり、cd/A効率は7.5cd/Aである。寿命は41時間である。
【0390】
実施例1では、有機半導体層は式1のF9の化合物を50体積%、LiQを50体積%含む。動作電圧は3.6Vである。cd/A効率は8cd/Aまで向上し、寿命は51時間まで向上する。
【0391】
実施例2および3では、有機半導体層は、実施例1と同じ式1の化合物を含む。実施例2では、LiQの代わりにリチウムテトラ(1H-ピラゾール-1-イル)ホウ酸塩 LI-1が用いられる。実施例3では、LiQの代わりにリチウム2-(ジフェニルホスホリル)フェノラート LI-2が用いられる。cd/A効率は、それぞれ8cd/Aおよび8.3cd/Aと高い。実施例2および3の寿命は、それぞれ48時間および49時間と長い。
【0392】
実施例4では、有機半導体層は、式1のF8の化合物およびアルカリ有機錯体LiQを含む。cd/A効率は7.6cd/Aと高く、寿命はさらに向上して88時間である。
【0393】
実施例5では、有機半導体層は、式1のF3の化合物およびアルカリ有機錯体LiQを含む。寿命はさらに向上して61時間である。
【0394】
実施例6では、有機半導体層は、実施例5と同じ式1の化合物を含む。実施例6では、LiQの代わりにリチウムテトラ(1H-ピラゾール-1-イル)ホウ酸塩 LI-1が用いられる。寿命は56時間と長い。
【0395】
実施例7では、有機半導体層は、式1のF2の化合物およびアルカリ有機錯体LiQを含む。cd/A効率は7.9cd/Aと高く、寿命は53時間と長い。
【0396】
実施例8では、有機半導体層は、実施例7と同じ式1の化合物を含む。実施例7では、LiQの代わりにリチウムテトラ(1H-ピラゾール-1-イル)ホウ酸塩 LI-1が用いられる。cd/A効率は7.7 cd/Aと高く、寿命は50時間と長い。
【0397】
まとめると、有機半導体層が式1の化合物を含む場合、cd/A効率および/または寿命を向上させることができる。広範囲のアルカリ有機錯体について高性能を達成できる。
【0398】
【表1】
【0399】
【0400】
【0401】
【表2】
【0402】
本発明は、実用的な実施形態の例として現在考えられるものと関連させて説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、反対に、添付されている特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれる様々な変更および等価な構成を包含するものとして理解されるべきである。したがって、上述の実施形態は、例示的であり、本発明をなんら限定しないと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0403】
図1】発光層、1つの電子輸送層、および電子注入層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図2】発光層および2つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図3】発光層および3つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係るOLEDの模式的な断面図である。
図4】発光層および1つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図5】発光層および2つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係る有機発光ダイオード(OLED)の模式的な断面図である。
図6】発光層および3つの電子輸送層を有する、本発明の例示的な実施形態に係るOLEDの模式的な断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6