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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】即席麺用品質改良剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20230313BHJP
   A23L 7/113 20160101ALI20230313BHJP
【FI】
A23L7/109 A
A23L7/113
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018236210
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2019170367
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2018058775
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中森 慶祐
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-292848(JP,A)
【文献】特開2017-127212(JP,A)
【文献】特開2010-207107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23D
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤で被覆されたプロテアーゼ含有粒子を含むことを特徴とする粉末状の即席麺用湯戻り性改良剤。
【請求項2】
請求項1に記載の即席麺用湯戻り性改良剤を麺生地に添加する工程を含むことを特徴とする即席麺の湯戻り性の改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席麺用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
油揚げ即席麺、ノンフライ(非油揚げ)即席麺等の即席麺は、熱湯を注ぐ、又は短時間湯煮するだけで極めて簡単に喫食可能に復元できるという即席性及び良好な保存性等の点から、消費者の広い支持を得ている。
【0003】
即席麺の中でも、油揚げ即席麺は、麺塊を油揚げすることで得られ、製造が容易であり、しかも短時間で喫食可能に湯戻りできることから、従来から即席麺の主流となっている。また、ノンフライ即席麺は、麺線を蒸煮した後、種々の乾燥法によって乾燥して得られ、その乾燥方法としては熱風乾燥や凍結乾燥等があるが、熱風乾燥の場合、麺線の表面皮膜が硬くなるため、復元に時間がかかるという難点がある。
【0004】
更に、一般に麺類は、滑らかで粘弾性のある独特の食感を持つ食品であるため、即席麺は、短時間での湯戻りが可能であるだけでなく、湯戻り後の食感にも優れていることが求められる。
【0005】
即席麺について湯戻り性の改善と食感の向上の両立を図った技術としては、例えば、α化加工物に老化処理を施して、含有されている澱粉を老化させる老化工程と、該老化処理が施されたα化加工物を用いる製麺工程とを有する、麺類の製造方法(特許文献1)、アセチル化酸化澱粉を有効成分とする麺類用復元又は茹で上がり時間改良剤(特許文献2)、小麦粉と1-ケストースとを含有することを特徴とする即席麺(特許文献3)、食用油脂、被覆剤、乳化剤を含むO/W型エマルジョンを乾燥粉末化した粉末油脂であって、乳化剤としてグリセリン有機酸脂肪酸エステル及びレシチンを含有することを特徴とするノンフライ即席麺用粉末油脂(特許文献4)等が知られている。
【0006】
しかし、これらの技術は、実用上必ずしも満足できるものではない。また、これらの技術は、即席麺の製造における製麺性への影響について特に検討を行ったものではない。従って、湯戻り性及び湯戻り後の食感に優れた即席麺を製造可能であり、製麺性が良好な即席麺用品質改良剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-012155号公報
【文献】特開2011-254805号公報
【文献】特開2009-142202号公報
【文献】特開2007-222139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、湯戻り性及び湯戻り後の食感に優れた即席麺を製造可能であり、製麺性が良好な即席麺用品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤で被覆されたプロテアーゼ粒子を即席麺の製造に用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記の(1)及び(2)からなっている。
(1)常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤で被覆されたプロテアーゼ含有粒子を含むことを特徴とする粉末状の即席麺用品質改良剤。
(2)前記(1)に記載の即席麺用品質改良剤を麺生地に添加する工程を含むことを特徴とする即席麺の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の即席麺用品質改良剤を使用することにより、製麺性を良好に保ちつつ、湯戻り性及び湯戻り後の食感に優れた即席麺を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の即席麺用品質改良剤は、常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤で被覆されたプロテアーゼ含有粒子を含む粉末状の製剤である。
【0013】
本発明で用いられる常温で固体状の油脂としては、常温(10~35℃)で固体又は半固体である公知の食用油脂を用いることができ、例えば、乳脂肪、やし油、パーム油、牛脂、豚脂(ラード)、カカオ脂等の固体脂、常温で液状の液体油(サフラワー油、大豆油、綿実油、コメ油、ナタネ油、オリーブ油等)若しくは該固体脂に水素添加(硬化)処理を施して得られる硬化油又はこれらにさらに分別、エステル交換等の処理を施した加工油脂が挙げられる。中でも、硬化油、とりわけヨウ素価が通常2以下、好ましくは1以下であり、融点が通常40~100℃、好ましくは55~65℃の極度硬化油が好ましい。これら常温で固体状の油脂は、いずれか1種のみを単独で用いても良く、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0014】
本発明で用いられる常温で固体状の乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はレシチン等の食品用乳化剤であって常温(10~35℃)で固体又は半固体のものが挙げられる。中でも、融点が通常40~100℃、好ましくは50~75℃のものが好ましい。常温で固体状の乳化剤は、いずれか1種のみを単独で用いても良く、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0015】
本発明で用いられるプロテアーゼとしては、アミノ酸が鎖状に結合する蛋白質やペプチド内部のペプチド結合を加水分解する酵素であれば特に制限されるものではなく、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾープス属等の微生物由来の酸性プロテアーゼ、アスペルギルス属、ストレプトマイセズ属、バキルス属等の微生物由来の中性プロテアーゼ、アスペルギルス属、バキルス属等の微生物由来のアルカリ性プロテアーゼ、パパイン等の植物由来プロテアーゼ、豚膵臓等の動物由来のプロテアーゼ等が挙げられ、本発明ではいずれも好ましく用いることができる。
【0016】
また、一般にプロテアーゼは、作用様式によってエンドペプチダーゼ(プロテイナーゼ)とエキソペプチダーゼ(ペプチダーゼ)に分類される。更に、エキソペプチダーゼは、蛋白質やペプチドのN末端からのアミノ酸の遊離を触媒するアミノペプチダーゼと、同C末端からのアミノ酸の遊離を触媒するカルボキシペプチダーゼに分類される。本発明ではいずれの作用様式のプロテアーゼも好ましく用いることができる。
【0017】
これらプロテアーゼは、いずれか1種のみを単独で用いても良く、2種以上を任意に組み合わせて用いても良い。
【0018】
常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤で被覆されるプロテアーゼ含有粒子としては、プロテアーゼを含有する粒子であれば特に制限はなく、例えば、プロテアーゼを含有する溶液を公知の方法により乾燥及び粉末化したものであっても良く、粉末状のプロテアーゼ製剤として市販されているものであっても良い。市販の粉末状のプロテアーゼ製剤としては、例えば、スミチームFP-G(商品名;中性プロテアーゼ;50000U/g;新日本化学工業社製)、スミチームBR(商品名;中性プロテアーゼ;2000U/g;新日本化学工業社製)、スミチームLPL(商品名;酸性プロテアーゼ;500000U/g;新日本化学工業社製)、スミチームMP(商品名;弱アルカリ性プロテアーゼ;130000U/g;新日本化学工業社製)、スミチームACP-G(商品名;カルボキシペプチダーゼ;1000U/g;新日本化学工業社製)等が商業的に製造・販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0019】
本発明の即席麺用品質改良剤に含まれる粒子は、プロテアーゼ含有粒子の表面の一部又は全部に常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤の被覆層を有するものである。当該粒子の被覆層を形成する常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤の量は、常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤で被覆されたプロテアーゼ含有粒子100質量%中、通常5~99.9質量%、好ましくは90~99.5質量%である。また、当該粒子の平均粒子径は、通常30~1000μm、好ましくは50~500μmである。当該平均粒子径は、「第十七改正日本薬局方、粒度測定法 第2法 ふるい分け法」に記載の方法に準じて測定することが好ましい。
【0020】
更に、本発明の即席麺用品質改良剤に含まれる粒子は、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、任意の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、酸化防止剤、調味料、香辛料、増粘剤、安定剤、pH調整剤(例えば、クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、リン酸及びこれらの塩)等が挙げられる。
【0021】
本発明の即席麺用品質改良剤の製造方法としては、プロテアーゼ含有粒子の表面の一部又は全部に常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤の被覆層を形成し得る方法であれば特に制限はなく、自体公知の被覆方法により実施することができる。このような被覆方法としては、例えば、(1)常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤とプロテアーゼ含有粒子との混合物を攪拌しながら、当該常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤の融点以上の温度に加熱し、得られた混合物を-196℃~常温の温度条件で噴霧冷却することにより粒子化する方法、(2)(1)で得られた混合物を例えば-196℃~常温の温度条件で、例えば1~72時間静置して冷却固化した後、自体公知の方法により粉砕することにより粒子化する方法、(3)攪拌型混合造粒機に常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤とプロテアーゼ含有粒子を入れ、室温下で混合し、次に攪拌を続けながら槽内を加熱し、好ましくは40~90℃の温度で、約15~180分間混合することにより粒子化する方法が挙げられる。中でも、本発明においては、被覆効率の観点から、前記(1)の方法が望ましい。
【0022】
上記(1)及び(2)の方法において、加熱温度は、常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤が溶融する温度であれば特に制限はないが、酵素の失活を抑制する観点から、その上限値は90℃であることが好ましい。また、同方法において、冷却温度は、常温で固体状の油脂及び/又は乳化剤が再び固化する温度であれば特に制限はないが、通常-196~30℃である。また、上記(2)の方法において、粉砕方法としては、溶融物を物理的に粉砕可能な方法であれば特に制限はないが、例えば、圧縮破砕機、剪断粗砕機、衝撃破砕機等を使用して粉砕することができる。また、上記(3)の方法において、上記攪拌型混合造粒機としては、攪拌・混合羽根と造粒羽根を併せ持った混合造粒機であれば特に制限はなく、例えば、ハイスピードミキサー(深江パウテック社製)、ハイフレックスグラル(深江パウテック社製)、グラニュレーター(奈良機械製作所社製)、バーチカル・グラニュレーター(パウレック社製)等が挙げられる。
【0023】
本発明の即席麺用品質改良剤は、上記のようにして得られた粒子のみをそのまま粉末製剤として用いても良いし、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で該粒子と他の任意の成分とを混合し、混合粉末製剤として調製しても良い。本発明の即席麺用品質改良剤を混合粉末製剤として調製する場合、例えば、粒子同士の凝集を抑制するため、流動化剤として、第三リン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、二酸化ケイ素、微粒二酸化ケイ素、酸化チタン、タルク等を混合しても良い。
【0024】
本発明の即席麺用品質改良剤の使用方法に特に制限はないが、通常麺生地を調製する際に麺生地に添加して用いられる。本発明の即席麺用品質改良剤を麺生地に添加する工程を含む即席麺の製造方法及び当該製造方法を採ることによる製麺性の改善方法並びに即席麺の湯戻り促進及び食感の改良方法も本発明に含まれる。
【0025】
本発明の即席麺用品質改良剤の使用量は、例えば、小麦粉等の穀粉及び/又は澱粉100gに対してプロテアーゼが0.1U以上、好ましくは1U以上、より好ましくは10U以上添加されるように調整することができる。尚、その上限は特に設けられないが、例えば50000Uである。
【0026】
尚、プロテアーゼについてのU(活性単位)の値は、商業的に販売されている酵素製剤の公称値に従うものとする。
【0027】
また、本発明の即席麺用品質改良剤を添加した即席麺を製造する際に、麺線同士の付着を防止し、喫食時における麺のほぐれ性を高めるために用いられる公知の麺用品質改良剤(以下、「麺用ほぐれ改良剤」という。)を使用することができる。このような麺用ほぐれ改良剤は、例えば、即席麺の製造において、麺の表面に麺用ほぐれ改良剤を含有する水分散液を付着させること(例えば、噴霧、塗布、浸漬等)により使用することができる。
【0028】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0029】
[即席麺用品質改良剤の調製]
(1)原材料
1)パーム極度硬化油(融点57℃;ヨウ素価1;横関油脂工業社製)
2)菜種極度硬化油(融点67℃;ヨウ素価1;横関油脂工業社製)
3)大豆極度硬化油(融点67℃;ヨウ素価1;横関油脂工業社製)
4)ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名:ポエムJ-46B;融点約70℃;理研ビタミン社製)
5)グリセリン有機酸脂肪酸エステル(商品名:ポエムB-10;融点約65℃;理研ビタミン社製)
6)ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS-60;融点約55℃;理研ビタミン社製)
7)中性プロテアーゼ1(商品名:スミチームFP-G;50000U/g;新日本化学工業社製)
8)中性プロテアーゼ2(商品名:スミチームBR;2000U/g;新日本化学工業社製)
9)酸性プロテアーゼ(商品名:スミチームLPL;500000U/g;新日本化学工業社製)
10)弱アルカリ性プロテアーゼ(商品名:スミチームMP;130000U/g;新日本化学工業社製)
11)カルボキシペプチダーゼ(商品名:スミチームACP-G;1000U/g;新日本化学工業社製)
12)α-アミラーゼ(商品名:スミチームL;12000U/g;新日本化学工業社製)
13)β-アミラーゼ(商品名:βアミラーゼ#1500S;15000U/g;ナガセケムテックス社製)
14)ペクチナーゼ(商品名:スミチームPME;1000U/g;新日本化学工業社製)
15)セルラーゼ(商品名:スミチームAC;2000U/g;新日本化学工業社製)
16)ヘミセルラーゼ(商品名:スミチームX;5000U/g;新日本化学工業社製)
【0030】
(2)即席麺用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて調製した即席麺用品質改良剤1~21の配合組成を表1~3に示す。このうち、表1及び2の即席麺用品質改良剤1~13は本発明に係る実施例であり、表3の即席麺用品質改良剤14~21はそれらに対する比較例である。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
(3)即席麺用品質改良剤の調製方法
(3-1)即席麺用品質改良剤1~18について
表1~3に示した配合割合に従って原材料を量りとり、300mL容量のガラス製ビーカーに入れて恒温槽で80~90℃に加熱し、ガラス棒で撹拌して溶融混合した。得られた溶融物を4℃の冷却槽で冷却固化した後、フードミル(商品名:イワタニミルサーIFM-620DG;イワタニ社製)を用いて粉砕し、得られた粉砕物を目開き355μmの篩で篩って、平均粒子径が160μmの粉末状の即席麺用品質改良剤1~18各90gを得た。
【0035】
(3-2)即席麺用品質改良剤19について
即席麺用品質改良剤19は、原材料が1種類のみであり、当該原材料がフレーク状であるため、これをフードミル(商品名:イワタニミルサーIFM-620DG;イワタニ社製)を用いて粉砕し、得られた粉砕物を目開き355μmの篩で篩って、平均粒子径が125μmの粉末状の即席麺用品質改良剤19を90g得た。
【0036】
(3-3)即席麺用品質改良剤20及び21について
即席麺用品質改良剤20及び21は、原材料が1種類のみであり、当該原材料は、平均粒子径がそれぞれ256μm(中性プロテアーゼ1)及び86μm(弱アルカリ性プロテアーゼ)の粉末状であるため、当該原材料そのものを即席麺用品質改良剤20及び21とした。
【0037】
[即席麺用品質改良剤の評価]
(1)ノンフライ即席麺の調製
準強力粉(商品名:特ナンバーワン;日清製粉社製)700g、アセチル化澱粉(商品名:松谷さくら;松谷化学社製)300g、即席麺用品質改良剤1~19のうちいずれか各10g又は即席麺用品質改良剤20若しくは21各0.1g、粉末かんすい2g及び食塩12gに水400gを加え、一体型製麺機(型式:MODEL-MG-77;スズキ麺工社製)を用いてミキサーで10分混捏した。得られた麺生地について圧延及び切出し(切刃#20角;麺線厚み1.2mm)を行い麺線とし、これを蒸し器で15分間蒸煮した。次いで、麺用ほぐれ改良剤(商品名:エマテックS-550;理研ビタミン社製)1gを水20mLに加え、スパチュラで撹拌して麺用ほぐれ改良剤の水分散液を調製し、これを蒸煮した麺線83gに全量均一に噴霧した。その後、その麺線を熱風乾燥機により95℃で10分間、110℃で20分間乾燥し、ノンフライ即席麺1~19を得た。尚、即席麺用品質改良剤20及び21を用いた場合、麺生地のベタツキや麺線の切れのために著しく製麺に支障があったため、ノンフライ即席麺の製造を中止した。また、対照例として、即席麺用品質改良剤を使用しないこと以外は同様に調製し、ノンフライ即席麺20を得た。
【0038】
(2)製麺性の評価試験
上記(1)を実施する際に、表4に示す評価基準に従い10名のパネラーで製麺性を評価した。結果は10名の評点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。
◎:極めて良好 平均点3.5以上
○:良好 平均点2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
【0039】
【表4】
【0040】
(3)湯戻り性及び食感の評価試験
ノンフライ即席麺1~20に熱湯350gを各々注ぎ、蓋をして5分間放置した後、箸で麺をほぐしてから喫食し、即席麺の湯戻り性、粘弾性及び滑らかさついて官能評価試験を行った。試験では、表5に示す評価基準に従って10名のパネラーで評価し、評点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。
◎:極めて良好 平均点3.5以上
○:良好 平均点2.5以上、3.5未満
△:やや悪い 平均点1.5以上、2.5未満
×:悪い 平均点1.5未満
【0041】
【表5】
【0042】
(4)結果
上述した(2)及び(3)の評価試験の結果を表6に示した。
【0043】
【表6】
【0044】
本発明の即席麺用品質改良剤1~13を添加した場合、製麺性、湯戻り性、粘弾性及び滑らかさの全ての評価項目において「○」以上の優れた結果であった。これに対し、比較例の即席麺用品質改良剤14~19を添加した場合及び対照の場合、製麺性を除く評価項目において「△」以下であり、本発明に比べて劣っていた。また、即席麺用品質改良剤20及び21を添加した場合、製麺性の評価項目において「×」であり、本発明のものに比べて劣っていた。