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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】塵埃除去装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 11/00 20060101AFI20230313BHJP
   B08B 1/02 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B08B11/00 A
B08B1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019028037
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020131116
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】神林 卓也
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-071359(JP,A)
【文献】特開平05-309349(JP,A)
【文献】特開2002-126670(JP,A)
【文献】特開2002-123933(JP,A)
【文献】特開2004-189967(JP,A)
【文献】特開平11-222333(JP,A)
【文献】特開2014-185028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 11/00
B08B 1/02
B41J 15/00
B41J 29/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間内において水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体に接触する清掃位置と、前記空間から離れた離脱位置との間で移動可能とされた塵埃除去手段を有する塵埃除去装置であって、
前記塵埃除去手段は前記清掃位置において連続帯状の長体の下面に接触しており、
前記塵埃除去手段は、前記塵埃除去手段が連続帯状の長体の下面から除去した塵埃を受け取る塵埃受容手段の開口部に取り付けられており、
前記所定の空間の外に移動可能とされていることを特徴とする塵埃除去装置。
【請求項2】
前記塵埃除去手段はブラシであることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項3】
水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体の一部では第1の面が前記下面となり、水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体の他の一部では第2の面が前記下面となるように、前記空間内において連続帯状の長体を搬送する搬送手段をさらに有しており、
前記塵埃除去装置は、前記空間内の連続帯状の長体の前記一部の下方を第1の前記清掃位置とする第1の前記塵埃除去装置と、前記空間内の連続帯状の長体の前記他の一部の下方を第2の前記清掃位置とする第2の前記塵埃除去装置を含むことを特徴とする請求項に記載の塵埃除去装置。
【請求項4】
前記搬送手段は連続帯状の長体を搬送する搬送経路を変更できるように構成されており、
前記搬送経路の変更の有無に係わらず、前記第1の塵埃除去装置は、連続帯状の長体の第1の面に常に接触し、前記第2の塵埃除去装置は、連続帯状の長体の第2の面に常に接触することを特徴とする請求項3に記載の塵埃除去装置。
【請求項5】
連続帯状の長体を送り出す用紙供給部と、
前記用紙供給部から送り出された連続帯状の長体に印刷を施す印刷部と、
印刷された連続帯状の長体を巻き取る巻き取り部と、
前記用紙供給部から前記印刷部に至る連続帯状の長体の搬送経路の一部を内包する所定の空間内において、水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体に接触する清掃位置と、前記空間から離れた離脱位置との間で移動可能とされた塵埃除去手段を有する塵埃除去装置と、
を有する印刷装置であって、
前記塵埃除去手段は前記清掃位置において連続帯状の長体の下面に接触しており、
前記塵埃除去手段は、前記塵埃除去手段が連続帯状の長体の下面から除去した塵埃を受け取る塵埃受容手段の開口部に取り付けられており、前記塵埃除去装置は前記所定の空間の外に移動可能とされている
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続帯状の長体である連続紙に付着した塵埃を除去するために有用な塵埃除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれた連続紙(ロール紙)を用紙供給部から繰り出して搬送しつつ、これに印刷部で所望の画像を印刷し、印刷済みの連続紙を巻き取り部に巻き取る機能を備えた印刷装置が知られている。このような印刷装置で使用されるロール紙の表面には、製造過程などで発生した紙粉や、環境雰囲気中に存在するその他の塵や埃等の微小な不要物(本願明細書では以上を総称して塵埃と呼ぶ。)が付着することがある。このような塵埃は、例えば印刷装置においてインクジェットヘッドのノズル詰まりを起こし印刷不良を発生させるなど、様々なトラブルを招来する原因となる。
【0003】
そこで、印刷装置において連続紙の搬送経路に紙粉除去手段としての除電ブラシを配置し、連続紙に付着した紙粉を当該除電ブラシで除去する発明が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この技術では用紙供給口に除電ブラシを設けておき、用紙が用紙供給口を通過する際に用紙の表面に除電ブラシが接することによって紙粉が除去されるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-202449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロール紙を用いる前述のような印刷機では、印刷に先立ち、ロール状のロール紙を用紙供給部に設定し、用紙供給部から引き出したロール紙を連続搬送手段の搬送経路に沿って引き回していき、用紙巻き取り部に接続して印刷済みのロール紙を巻き取れるようにする準備作業が必要となる。このようなロール紙を使用する印刷装置における紙粉の対策として、上述した紙粉除去手段のように、用紙に接触して塵埃を除去する塵埃除去部を装置内の所定位置に固定的に取り付けた場合には、前述したロール紙を引き回す準備作業が困難になるという問題があった。
【0006】
なぜなら、搬送経路内のロール紙と接触する位置に塵埃除去部を固定的に設けると、搬送経路に沿ってロール紙を引き回す際にロール紙と塵埃除去部が干渉しまうので、ロール紙に負荷や損傷を与えることなく、かつ塵埃除去部との接触状態が適正となるように、ロール紙を能率よく搬送経路内に配置する作業を行なうことは容易とは言えないからである。
【0007】
また、ロール紙の引き回しの仕方によっては、搬送経路内でのロール紙の配置等が変化し、その結果として塵埃除去部とロール紙の接触状態が変化するため、ロール紙をセットした後で塵埃除去部の位置調整を行なうことが必要になり、さらにロール紙の位置の再調整が必要になる場合がある等、ユーザにとって操作性の面で不便な点があった。
【0008】
さらにまた、この種の印刷装置の通常の使用態様としては、印刷装置の使用時間が一定の基準に達し、塵埃除去部が紙粉で汚れて清掃が必要になったと思われるタイミングで印刷装置を一旦停止し、塵埃除去部を清掃することが考えられる。しかし、このような使用方法によれば、印刷装置は使用途中であり、搬送経路内にはロール紙が存在しているため、ロール紙が障害になり、ロール紙と接触した状態にある塵埃除去部をそのままの状態で清掃することは困難である。ロール紙が存在しない状態で清掃することにすれば、このような問題は生じないが、それでは前記準備作業の前の段階等、清掃タイミングが限られてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、以上説明した従来の技術とその課題に鑑みてなされたものであり、搬送される連続紙に付着した塵埃を除去する塵埃除去手段を備えた塵埃除去装置において、塵埃除去手段の設置・清掃等におけるユーザの操作性、利便性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の塵埃除去装置は、所定の空間内において水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体に接触する清掃位置と、前記空間から離れた離脱位置との間で移動可能とされた塵埃除去手段を有する塵埃除去装置であって、
前記塵埃除去手段は前記清掃位置において連続帯状の長体の下面に接触しており、
前記塵埃除去手段は、前記塵埃除去手段が連続帯状の長体の下面から除去した塵埃を受け取る塵埃受容手段の開口部に取り付けられており、
前記所定の空間の外に移動可能とされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の塵埃除去装置によれば、連続帯状の長体に付着した塵埃を除去する場合には、塵埃除去手段を清掃位置に設定して水平な連続帯状の長体に接触させておき、連続帯状の長体の搬送を開始する。連続帯状の長体に付着した塵埃は、連続帯状の長体の搬送に伴って塵埃除去手段で擦られ、連続帯状の長体から除去される。塵埃除去手段を清掃する場合には、連続帯状の長体の搬送が停止した状態で、清掃位置にある塵埃除去手段を離脱位置まで移動させる。塵埃除去手段は、所定の空間から出て連続帯状の長体との接触から解放され、連続帯状の長体と干渉しない状態となるため、塵埃の汚れを容易に清掃することができる。また、塵埃除去手段を離脱位置まで移動させれば、所定の空間は空になるため連続帯状の長体を配設する作業を容易に行なうことができる。また、塵埃除去手段が連続帯状の長体の下面から除去した塵埃は、空間内に飛散することなく、塵埃受容手段に落下して受容されるため、塵埃除去手段を離脱位置まで移動させて装置外で回収し、廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のインクジェット印刷装置の全体構成を示す構成図である。
図2】実施形態のインクジェット印刷装置に設けられた塵埃除去装置の第2の構造例を示す斜視図である。
図3図2に示した塵埃除去装置において、第1及び第2の塵埃除去手段が清掃位置に設定された状態示す斜視図である。
図4図3に示した第1及び第2の塵埃除去手段の一方をフレームの外に引き出して分離した状態を示す斜視図である。
図5】塵埃除去装置の第2の構造例において、上段の第1の塵埃除去手段が清掃位置から離脱位置に向けて移動する中途にあり、下段の第2の塵埃除去手段が清掃位置にある状態を示す斜視図である。
図6】塵埃除去装置の第2の構造例において、上段の第1の塵埃除去手段と下段の第2の塵埃除去手段がともにフレームの外に引き出されて分離された状態を示す斜視図である。
図7】塵埃除去装置の第3の構造例における搬送手段の基本構成を示す模式的な正面図である。
図8】塵埃除去装置の第3の構造例における搬送手段の第1変形例を示す模式的な正面図である。
図9】塵埃除去装置の第3の構造例における搬送手段の第2変形例を示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態に係る塵埃除去装置100、及びこの塵埃除去装置100を備えるインクジェット印刷装置1について、図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態であるインクジェット印刷装置1を示す正面側から見た構成図である。図1に示す上下方向、左右方向(以上2方向は図1中に矢印で示す。)及び前後方向(図1において紙面垂直方向)は、説明の便宜上の指称にすぎず、具体的には、例えば上下方向は鉛直方向であり、左右方向及び前後方向は水平面内の互いに直交する方向である。
【0014】
図1に示すように、インクジェット印刷装置1は、連続帯状の長体P、すなわち連続紙Pを送り出す用紙供給部である巻出装置10と、巻出装置10から送り出された連続紙Pに印刷を施す印刷部20と、連続紙Pを搬送する搬送部30と、印刷された連続紙Pを巻き取る巻き取り部である巻取装置40と、筐体50と、2つの塵埃除去装置100を備えている。塵埃除去装置100 については、後に詳述する。
【0015】
図1に示すインクジェット印刷装置1は、ロール状に巻かれたウェブ(巻取紙)である長尺帯状の連続紙Pに印刷を行う。この連続紙Pは連続媒体の一例である。連続媒体としては、フィルム等の紙以外からなるものであってもよい。また、インクジェット印刷装置1としては、巻出装置10及び巻取装置40がインクジェット印刷装置1とは独立して配置されるもの、すなわち巻出装置10及び巻取装置40を備えないインクジェット印刷装置であってもよい。すなわち、巻出装置10及び巻取装置40が別体として印刷部20に後付けされるような構造でもよい。また、印刷方式はインクジェット印刷方式に限定されない。
【0016】
図1に示すように、巻出装置10は、ロール支持軸11と、ブレーキ12と、ガイドローラ13を有する。ロール支持軸11は、ロール状の連続紙Pを回転可能に支持する。ロール状の連続紙Pは、巻き出される際にロール支持軸11とともに回転する。ブレーキ12は、ロール支持軸11の回転にブレーキをかける手段であり、例えばパウダブレーキで構成できる。ブレーキ12がロール支持軸11の回転にブレーキをかけることによって、ロール状の連続紙Pと後述する搬送ローラ対34との間で連続紙Pに張力が付与される。ガイドローラ13は、前後方向を長手方向(軸線方向)としており、巻き出される連続紙Pをガイドする。なお、巻出装置10は、二点鎖線で示すフレームや、ブレーキ12を駆動するモータ(図示せず。)を更に有している。
【0017】
図1に示すように、印刷部20は、ヘッドユニット21と、循環ポンプ22と、サブタンク23と、インク補給タンク24とを有する。印刷部20は、筐体50内に配置されている。ヘッドユニット21、循環ポンプ22、及びサブタンク23は、表面印刷用の5色分と裏面印刷用の5色分とで例えば計10個配置されている。また、インク補給タンク24は、5色分で例えば計5個配置されている。なお、インクIKの色は、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及び予備色である。この予備色は、例えば、レッド、ライトシアン、グレーなどの任意の色である。
【0018】
ヘッドユニット21は、インクジェットヘッド21aと、加圧タンク21bと、負圧タンク21cとを有する。なお、10個のヘッドユニット21は、個々に着脱可能にインクジェット印刷装置1に配置されている。
【0019】
負圧タンク21cには、インク補給タンク24からサブタンク23を介してインクIKが補給される。また、インクジェットヘッド21aによって消費されなかったインクIKは、循環ポンプ22によって負圧タンク21c及び加圧タンク21bを介してインクジェットヘッド21aへ再供給される。このように、印刷部20は、インクIKが循環する循環式の印刷部20であるが、循環式でない印刷部20であってもよい。
【0020】
図1に示すように、搬送部30は、搬送手段としてのガイドローラ31a~31jと、蛇行制御部32と、支持部材33と、搬送ローラ対34とを有する。搬送部30は、筐体50内に配置されている。
【0021】
ガイドローラ31a~31jは、前後方向を長手方向(軸線方向)としており、巻出装置10から巻き出された連続紙Pを筐体50内でガイドする。ガイドローラ31a,31bは、巻出装置10と蛇行制御部32との間で連続紙Pをガイドする。ガイドローラ31c~31iは、蛇行制御部32と搬送ローラ対34との間で連続紙Pをガイドする。ガイドローラ31jは、搬送ローラ対34と巻取装置40との間で連続紙Pをガイドする。
【0022】
蛇行制御部32は、蛇行制御ローラ32a,32bを有し、連続紙Pの蛇行を補正する。蛇行制御ローラ32a,32bは、前後方向を長手方向(軸線方向)としている。蛇行制御部32は、図示しないセンサによって検知された連続紙Pの蛇行状態に基づき、前後方向に対する連続紙Pの傾きを調整する。
【0023】
支持部材33は、前後方向を長手方向(軸線方向)としており、各ヘッドユニット21の下方において2つずつ配置されている。ガイドローラ31d,31e間及びガイドローラ31f,31g間のそれぞれにおいて、10本の支持部材33が、上方に凸状のアーチを描くように配置されている。これにより、ガイドローラ31d,31e間及びガイドローラ31f,31g間のそれぞれにおいて、連続紙Pには張力が働き、安定した姿勢が保たれる。
【0024】
搬送ローラ対34は、図示しないモータ(搬送駆動手段(アクチュエータ)の一例)の駆動によって連続紙Pをニップしつつ搬送する。
【0025】
図1に示すように、巻取装置40は、巻取軸41と、巻取モータ42と、ガイドローラ43を有する。巻取軸41は、連続紙Pをロール状に巻き取る。なお、巻き取られた連続紙Pには、例えば裁断等の後処理が行われる。巻取モータ42は、搬送駆動手段(アクチュエータ)の他の一例であり、巻取軸41を図1における時計回りに回転させる。ガイドローラ43は、前後方向を長手方向(軸線方向)としており、巻取軸41に巻き取られる直前の連続紙Pをガイドする。なお、巻取装置40は、二点鎖線で示すフレームを更に有している。
【0026】
図1に示すように、インクジェット印刷装置1には、2基の塵埃除去装置100,100が設けられている。これら2基の塵埃除去装置100,100は、インクジェット印刷装置1の筐体50内の左下方である所定の空間内に配置されている。連続紙Pは、この空間内において、ガイドローラ31b,31c及び蛇行制御部32の蛇行制御ローラ32a,32bに掛け回されることによって搬送方向が変わっており、ガイドローラ31bと蛇行制御ローラ32aの間の上流位置と、蛇行制御ローラ32aとガイドローラ31cとの間の下流位置では、連続紙Pはそれぞれ水平な姿勢となっており、これら上流位置と下流位置は上下方向に並ぶ位置関係にある。上流位置では、連続紙Pは裏面(ロールの内側)を下面としており、下流位置では、連続紙Pは表面(ロールの外側)を下面としている。そして、2基の塵埃除去装置100,100は、上流位置と下流位置において連続紙Pの下面、すなわち裏面及び表面に接するように上下に並んで配置されている。なお、2基の塵埃除去装置100,100が設けられている上流位置及び下流位置との呼称は、2基の塵埃除去装置100,100の相対的な位置関係を連続紙Pの搬送方向を基準に示しているものであり、印刷部20との位置関係では2基の塵埃除去装置100,100は何れも印刷部20の上流側にある。
【0027】
塵埃除去装置100は、連続紙Pの下面に接触して連続紙Pから塵埃を除去するブラシである塵埃除去手段101と、塵埃除去手段101が取り付けられ、塵埃除去手段101が連続紙Pから除去した塵埃を受け取るトレイ状の塵埃受容手段102を備えている。塵埃除去装置100は、塵埃除去手段101が連続紙Pの下面に接触する清掃位置(図1参照)と、塵埃除去手段101及び塵埃受容手段102が図1の紙面垂直方向に移動して筐体50の外に移動し、塵埃除去手段101が連続紙Pの下面から離れる離脱位置との間で、移動可能とされている。なお、塵埃除去装置100を図1に示す清掃位置から離脱位置まで移動させるためには、作業者が塵埃除去装置100を掴んで図1の紙面垂直方向(例えば紙面垂直手前方向)に引き出せばよい。
【0028】
図1に示す第1実施形態のインクジェット印刷装置1によれば、2基の塵埃除去装置100,100を筐体50から引き出し、所定の空間の内部に塵埃除去装置100が存在しない状態で連続紙Pを搬送部30の搬送経路に沿って引き回すことができる。当該空間内には作業の障害になるものがないため、連続紙Pの引き回し作業は容易である。その後、2基の塵埃除去装置100,100を連続紙Pの下面に接触させた清掃位置に設定する。連続紙Pと接触状態にある塵埃除去手段101は、連続紙Pに押し下げられて弾性的に撓んで上端部が所定の位置よりもやや下方の位置にあり、また連続紙Pは塵埃除去手段101に押し上げられて塵埃除去手段101が存在しない場合の位置よりもやや上方の位置にある。
【0029】
印刷を開始すると巻出装置10から連続紙Pが送り出され、連続紙Pは搬送部30によって搬送されながら印刷部20で印刷される。印刷された連続紙Pはさらに搬送されて巻取装置40に巻き取られる。その間、印刷前の連続紙Pの裏面及び表面に付着している塵埃は、印刷部30の上流側にある2基の塵埃除去装置100,100の塵埃除去手段101,101で擦られ、連続紙Pから除去される。連続紙Pから除去された塵埃は落下し、塵埃受容手段102,102に収納される。
【0030】
塵埃除去手段101を清掃する場合には、連続紙Pの搬送及び印刷を停止し、筐体50内の清掃位置にある塵埃除去装置100を筐体50外の離脱位置まで移動させる。すなわち、塵埃除去装置100をインクジェット印刷装置1の筐体50の外に引き出す。そして、塵埃受容手段102に溜まった塵埃を捨て、塵埃除去手段101に付着した塵埃を払って、清掃を行なう。清掃後、塵埃除去装置100をインクジェット印刷装置1の筐体50の清掃位置に挿入する。
【0031】
このように、本発明の塵埃除去装置は、連続紙Pに付着した塵埃を除去することができるため、特に塵埃の影響を受けやすいような印刷原理の印刷装置に配置されると有効である。従って、本実施形態のようにインクジェット印刷装置1に設けると大きな効果が得られる。しかしながら、本発明の塵埃除去装置は必ずしも印刷装置に配置されなくてもよく、連続紙を搬送する装置に設ければ当該連続紙に付着した塵埃を除去できる効果が得られ、これによって当該装置が連続紙を搬送する目的に応じた2次的な効果を得ることができる。
【0032】
次に、第2実施形態の塵埃除去装置100について図2図6を参照して説明する。
この塵埃除去装置100は、第1実施形態のインクジェット印刷装置1の筐体50内の所定空間に設けることができるが、連続紙Pの搬送経路、搬送手段である搬送ローラ等の配置等が第1実施形態とは異なっている。以下の説明では、説明の便宜上、機能において第1実施形態と対応する構成部分には同一の参照符合を付して説明する。
【0033】
図2に示すように、所定の空間を区画するフレーム60には、連続紙Pを搬送する搬送手段とである複数本のガイドローラa~fが設けられている。連続紙P(図示せず。)は、図2中左方にある用紙供給部から右方に向けて連続的に供給され、ガイドローラa,bを通過し、第1の塵埃除去装置100aが設けられた上流側の清掃位置を経てガイドローラc,dを通過する。さらに、連続紙Pは下方に向きを変え、ガイドローラeを経て図中右方に向きを変え、フレーム60の外に導かれる。その後、図2には示していないが、図1に示した蛇行制御部32を経て上方に導かれ、さらに水平方向上流側(図2において斜め左側)に戻るように向きを変え、第2の塵埃除去装置100bが設けられた下流側の清掃位置を経てガイドローラfを通過し、向きを変えて上方に導かれていく。
【0034】
図3は、図2に示した塵埃除去装置100の構成の一部を示した斜視図であり、第1及び第2の塵埃除去装置100a,100bは清掃位置に設定されている。図4は、図3に示した第1及び第2の塵埃除去装置100の一方を示す斜視図であり、塵埃除去装置100はフレーム60の外に引き出された状態にある。これらの図に示すように、塵埃除去装置100は、移動方向を長手方向とする矩形浅型のトレイである塵埃受容手段102と、塵埃受容手段102の上面中央に長手方向に沿って上向きに取り付けられた2列の塵埃除去手段101,101を有している。塵埃除去手段101はブラシなどで構成することができる。塵埃受容手段102の後方側には、横軸103で連結された一対のリニア軸受104,104が設けられ、この一対のリニア軸受104,104は一対の案内軸(図2に一対の一方を図示する。)に摺動可能に案内されている。塵埃受容手段102の後方側の一端には一対の係止部材106,106が設けられ、係止部材106は横軸103に着脱可能に係合されている。塵埃受容手段102の前方側の他端には正面板107が設けられ、案内軸105に沿って塵埃除去装置100を移動させる際に作業者が把持するための持ち手108が正面板107に取り付けられている。また、正面板107には、フレーム60に固定された位置決めピン109が挿入される位置決め孔111(図4参照)と、フレーム60の所定位置に正面板107を固定するための固定ねじ110が設けられている。
【0035】
図5は、下段の第1の塵埃除去装置100aは清掃位置にあり、上段の第2の塵埃除去装置100bは清掃位置から離脱位置に向けて移動する中途にある状態を示しており、図6は、下段の第1の塵埃除去装置100aと上段の第2の塵埃除去装置100bが何れもフレーム60外の離脱位置に引き出され、図中には表れていない状態を示している。第1実施形態でも説明したが、このように第2実施形態によれば、上下に並んだ2基の塵埃除去手段100a,100bをフレーム60から引き出し、フレーム60の内部を広く空いた空間S(図6参照)とすることができるため、連続紙Pを搬送部30(ガイドローラa~fを含む)の搬送経路に沿って引き回す作業を、余裕をもって行なうことができる。その後、2基の塵埃除去装置100a,100bを清掃位置に設定して塵埃除去手段101,101を連続紙Pの下面に接触させ、連続紙Pの搬送を開始する。連続紙Pの裏面及び表面に付着している塵埃は、2基の塵埃除去装置100a,100bの塵埃除去手段101,101で擦られ、連続紙Pから除去される。連続紙Pから除去された塵埃は塵埃受容手段102,102に収納される。
【0036】
塵埃除去手段100a,bを清掃する場合には、連続紙Pの搬送を停止し、固定ねじ110を外し、持ち手108を掴み、フレーム60内の清掃位置にある塵埃除去装置100をフレーム60外の離脱位置まで手動で引き出す。そして、塵埃受容手段102に溜まった塵埃を捨て、塵埃除去手段101に付着した塵埃を払って、清掃を行なう。清掃後、塵埃除去装置100a,bをフレーム60内の清掃位置に挿入する。
【0037】
次に、第3実施形態の塵埃除去装置100について図7図9を参照して説明する。
この塵埃除去装置100は、第1実施形態のインクジェット印刷装置1の筐体50内の所定空間、又は第2実施形態と同様の装置におけるフレーム60内の所定空間に設けることができるが、連続紙Pの搬送経路、搬送手段である搬送ローラ、ガイドローラ等の構成が第1及び第2実施形態とは異なっている。以下の説明では、説明の便宜上、機能において第1実施形態と対応する構成部分には同一の参照符合を付して説明する。
【0038】
この塵埃除去装置100は、適用する印刷装置の構成や搬送する連続紙Pの種類等に応じて、搬送手段に各種の機能ローラを適宜追加し、搬送経路を変更できるように構成されている。また、上流側にある第1の塵埃除去装置100aは、相対的に上方に配置されて連続紙Pの表面に接触しており、第2の塵埃除去装置100bは、相対的に下方に配置されて連続紙Pの裏面に接触しているが、以下に説明するように、各塵埃除去装置100a,100bと連続紙Pの表裏との対応関係は、機能ローラの追加による搬送経路の変更の有無に係わらず変わらない。
【0039】
図7は、第3実施形態の塵埃除去装置100における搬送手段の基本構成を示す模式的な正面図である。連続紙Pは、図中左方の用紙供給部から矢印で示すように右下方に向けて連続的に供給され、ガイドローラA,Bを通過して向きを左向きに反転させ、第1の塵埃除去装置100aが設けられた上流側かつ相対的に上方の清掃位置を経てガイドローラCを通過する。連続紙PはガイドローラCにおいて右向きに反転し、第2の塵埃除去装置100aが設けられた下流側かつ相対的に下方の清掃位置を経て、図7には示していない下流側に導かれる。
【0040】
この塵埃除去装置100では、上流側である第1の塵埃除去装置100aは、連続紙Pの表面に常に接触してこれを清掃しており、下流側である第2の塵埃除去装置100bは、連続紙Pの裏面に常に接触してこれを清掃している。
【0041】
図8は、第3実施形態の塵埃除去装置における搬送手段の第1変形例を示す模式的な正面図である。第1変形例は、図7に示した基本構成において、ガイドローラA,Bの間にニップローラNとブレーキローラRを加えたものである。図1に示した第1実施形態では、巻出装置10にブレーキ12を設けて連続紙Pに張力を発生させるようにしたが、このようなブレーキ12がないインクジェット印刷装置では搬送経路内の何れかの位置で連続紙Pに制動を掛ける手段が必要になるが、ニップローラNとブレーキローラRを有する第3実施形態・第1変形例であれば、連続紙Pに張力を発生させることができるので、ブレーキ12がないインクジェット印刷装置1にも好適に利用することができる。
【0042】
図8に示す搬送手段の構成であっても、上流側である第1の塵埃除去装置100aは、連続紙Pの表面に常に接触してこれを清掃しており、下流側である第2の塵埃除去装置100bは、連続紙Pの裏面に常に接触してこれを清掃している。
【0043】
図9は、第3実施形態の塵埃除去装置における搬送手段の第2変形例を示す模式的な正面図である。第2変形例は、図8に示した第1変形例において、ガイドローラAとブレーキローラRの間に皺取りローラWを加えたものである。皺ができやすい薄い連続紙Pを搬送する場合には、ブレーキローラRとニップローラNで連続紙Pを挟むことによって皺が固定されてしまう場合があるため、搬送される連続紙Pに生じた皺を皺取りローラWで伸ばしてからブレーキローラRとニップローラNの間に導入することにより、皺の固定化を防止している。
【0044】
図9に示す搬送手段の構成であっても、上流側である第1の塵埃除去装置100aは、連続紙Pの表面に常に接触してこれを清掃しており、おり、下流側である第2の塵埃除去装置100bは、連続紙Pの裏面に常に接触してこれを清掃している。
【0045】
以上説明したように、図7図9に示した第3実施形態の塵埃除去装置100a,100bによれば、機能ローラの追加による搬送経路の変更の有無に係わらず、上流側にある第1の塵埃除去装置100aは常に連続紙Pの表面を清掃し、第2の塵埃除去装置100bは常に連続紙Pの裏面を清掃し、各塵埃除去装置100a,bと連続紙Pの表裏との対応関係は変わることがない。
【0046】
搬送する連続紙Pの種類によっては表又は裏の何れか一方が他方よりも塵埃で汚れている程度が大きいという場合がありうるので、2つの塵埃除去装置と、連続紙Pの表裏との対応関係が常に一定であれば、一定期間内により多くの塵埃が回収されていると考えられる塵埃除去装置と、その他の塵埃除去装置とでメンテナンス周期を変えることにより、作業をより容易かつ効率的にする効果が得られる。適用する印刷装置の構成や搬送する連続紙Pの種類等に応じて搬送手段に機能ローラを追加し、これによって搬送経路が変わったような場合であっても、2つの塵埃除去装置と連続紙Pの表裏との対応関係は常に一定であるから、前記効果は変わらない。
【0047】
以上、図1図9を参照して説明した各実施形態では、塵埃除去手段101は連続紙Pの下面に接触するものとしていた。しかしながら本発明では、塵埃除去手段101が連続紙Pの上面に接触するものとしてもよい。例えば、図7図9に示す実施形態において、第1の塵埃除去装置100aと第2の塵埃除去装置100bを、これらが接触している連続紙Pの上側に上下反転した姿勢で配置し、各塵埃除去手段101が連続紙Pの上面に接触するようにしてもよい。この場合、塵埃受容手段102は必ずしも必要ないが、各塵埃除去手段101の下流側に、連続紙Pに接するように紙粉処理手段をそれぞれ設けるとともに、塵埃除去手段101と当該紙粉処理手段を一体とし、これらが前記清掃位置と前記離脱位置との間で移動可能となるように構成することが必要である。ここで、前記紙粉処理手段は、連続紙Pの搬送を阻害することなく、連続紙Pの上面から分離された紙粉を確実に処理して連続紙Pから取り去る機能を備えている。このような紙粉処理手段としては、適度な粘着力を備えて連続紙Pに接した状態に配置される紙粉粘着部材でもよいし、また空気の吸引によって連続紙Pから紙粉のみを吸い取る紙粉吸い取り装置でもよい。
【0048】
《実施形態における各態様の塵埃除去装置及び印刷装置の構成とその効果について》
第1態様の塵埃除去装置100は、
所定の空間S内において水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体Pに接触する除去位置と、前記空間Sから離れた離脱位置との間で移動可能とされた塵埃除去手段101を有する塵埃除去装置であって、
前記塵埃除去手段100は前記清掃位置において連続帯状の長体Pの下面に接触しており、
前記塵埃除去手段100は、前記塵埃除去手段100が連続帯状の長体Pの下面から除去した塵埃を受け取る塵埃受容手段102の開口部に取り付けられており、
前記所定の空間の外に移動可能とされていることを特徴としている。
【0049】
第1態様の塵埃除去装置100によって、連続紙Pに付着した塵埃を除去する場合には、塵埃除去手段101を清掃位置に設定して水平な連続紙Pに接触させておき、連続紙Pの搬送を開始する。連続紙Pに付着した塵埃は、連続紙Pの搬送に伴って塵埃除去手段101で擦られ、連続紙Pから除去される。塵埃除去手段101を清掃する場合には、連続紙Pの搬送が停止した状態で、清掃位置にある塵埃除去手段101を離脱位置まで移動させる。塵埃除去手段101は、所定の空間Sから出て連続紙Pとの接触から解放され、連続紙Pと干渉しない状態となるため、塵埃の汚れを容易に清掃することができる。また、塵埃除去手段101を離脱位置まで移動させれば、所定の空間Sは空になるため連続紙Pを配設する作業を容易に行なうことができる。また、塵埃除去手段101が連続紙Pの下面から除去した塵埃は、空間S内に飛散することなく、塵埃受容手段102に落下して受容されるため、塵埃除去手段101を離脱位置まで移動させて装置外で回収し、廃棄することができる。
【0050】
第2態様の塵埃除去装置100は、前記塵埃除去手段がブラシであることを特徴としている。
【0052】
第3態様の塵埃除去装置100は、
水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体Pの一部では第1の面が前記下面となり、水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体Pの他の一部では第2の面が前記下面となるように、前記空間S内において連続帯状の長体Pを搬送する搬送手段をさらに有しており、
前記塵埃除去装置100は、前記空間S内の連続帯状の長体Pの前記一部の下方を前記除去位置とする第1の前記塵埃除去装置100aと、前記空間S内の連続帯状の長体Pの前記他の一部の下方を前記除去位置とする第2の前記塵埃除去装置100bを含むことを特徴としている。
【0053】
第3態様の塵埃除去装置100によれば、連続帯状の長体Pの表面と裏面を、それぞれ下に向けた姿勢で、第1の塵埃除去装置100aと第2の塵埃除去装置100bによって清掃できる。このため、連続帯状の長体Pの表裏両面から塵埃を確実に除去し、これを確実に回収して廃棄することができる。特に、二つの塵埃除去装置100a,bを上下方向等について近接した配置とすれば、これら二つの塵埃除去装置100a,bが配置される空間Sは、二つの塵埃除去装置100a,bを離れた異なる位置に配置した場合に比べて全体としてより大きくなるため、当該空間Sの内部における連続帯状の長体Pの引き回しの作業が容易になる。
【0054】
第4態様の塵埃除去装置100は、
前記搬送手段は連続帯状の長体Pを搬送する搬送経路を変更できるように構成されており、
前記搬送経路の変更の有無に係わらず、前記第1の塵埃除去装置100aは、連続帯状の長体Pの第1の面に常に接触し、前記第2の塵埃除去装置100bは、連続帯状の長体Pの第2の面に常に接触することを特徴としている。
【0055】
第4態様の塵埃除去装置100によれば、
この塵埃除去装置100を適用する印刷装置の構成や、搬送する連続帯状の長体Pの種類等に応じて、搬送手段に各種の機能ローラを適宜追加し、搬送経路を変更することができる。しかも、第1の塵埃除去装置100aは常に連続帯状の長体Pの一方の面(例えば表面)に接触しており、第2の塵埃除去装置100bは常に連続帯状の長体Pの他方の面(例えば裏面)接触しているため、例えば一定期間でより多くの塵埃が回収されると考えられる塵埃除去装置100a,bと、その他の塵埃除去装置100b,aとでメンテナンス周期を変えることにより、作業をより容易かつ効率的にする効果が得られる。しかも、このような効果は、機能ローラの追加による搬送経路の変更の有無に係わらず変わることがない。
【0056】
実施態様の印刷装置1は、
連続帯状の長体Pを送り出す用紙供給部10と、
前記用紙供給部10から送り出された連続帯状の長体Pに印刷を施す印刷部20と、
印刷された連続帯状の長体Pを巻き取る巻き取り部40と、
前記用紙供給部10から前記印刷部20に至る連続帯状の長体Pの搬送経路の一部を内包する所定の空間S内において、水平な姿勢で搬送される連続帯状の長体Pに接触する除去位置と、前記空間Sから離れた離脱位置との間で移動可能とされた塵埃除去手段101を有する塵埃除去装置100と、
を有する印刷装置1であって、
前記塵埃除去手段101は前記清掃位置において連続帯状の長体の下面に接触しており、
前記塵埃除去手段101は、前記塵埃除去手段101が連続帯状の長体の下面から除去した塵埃を受け取る塵埃受容手段102の開口部に取り付けられており、前記塵埃除去装置100は前記所定の空間の外に移動可能とされていることを特徴としている。
【0057】
実施態様の印刷装置1によれば、
塵埃除去手段101を空間Sから外に引き出し、空間Sの内部に塵埃除去手段101が存在しない状態で連続紙Pを搬送経路に沿って引き回す。空間S内には作業の障害になるものがないため、連続紙Pの引き回し作業は容易である。次に、塵埃除去手段101を連続紙Pに接触させた清掃位置に設定し、印刷を開始する。用紙供給部10から送り出された連続紙Pに付着している塵埃は塵埃除去手段101によって確実に除去され、その後に印刷部20で印刷されて巻き取り部40に巻き取られる。少なくとも塵埃除去手段101によって除去された分の塵埃に起因する印刷部20の不具合は防止され、その分については印刷品質が向上する。また、塵埃除去手段101が連続紙Pの下面から除去した塵埃は、空間S内に飛散することなく、塵埃受容手段102に落下して受容されるため、塵埃除去手段101を離脱位置まで移動させて装置外で回収し、廃棄することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…印刷装置としてのインクジェット印刷装置
10…用紙供給部としての巻出装置
20…印刷部
30…搬送手段を有する搬送部
31a~31j…搬送部を構成するガイドローラ
32…搬送部を構成する蛇行制御部
34…搬送部を構成する搬送ローラ対
40…巻き取り部としての巻取装置
50…筐体
60…フレーム
100…塵埃除去装置
100a…第1の塵埃除去装置
100b…第2の塵埃除去装置
101…塵埃除去手段
102…塵埃受容手段
P…連続紙
S…空間
a~f,A~C…搬送手段としてのガイドローラ
N…搬送手段としてのニップローラ
R…搬送手段としてのブレーキローラ
W…搬送手段としての皺取りローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9