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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】遺体ホテル運営システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230313BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019053492
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020154833
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】516217309
【氏名又は名称】株式会社クーロン
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】阪口 茂
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036023(JP,A)
【文献】特開2004-086582(JP,A)
【文献】特開2002-211760(JP,A)
【文献】特開2019-024874(JP,A)
【文献】特開2017-093972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体安置サービスを提供するための遺体ホテル運営システムであって、
前記遺体安置サービスは、
遺体ホテルの運営に携わる少なくとも1つの運営業者が、複数の葬儀業者を遺体ホテル
の契約者として登録するとともに、前記複数の葬儀業者の中から一の葬儀業者を選択して
葬儀の依頼者に斡旋し、
前記登録および斡旋された葬儀業者が、前記遺体ホテルへの遺体の搬入および搬出を実
行または手配し、前記遺体ホテルの利用時に前記運営業者に利用料を支払うことにより運
営されるサービスであり、
前記遺体ホテルの利用に係る情報を収集し、前記運営業者の管理下に置かれたコンピュ
ータに転送する利用情報収集手段と、
前記コンピュータ上で、前記収集された情報を一元管理する利用情報管理手段と
を備える遺体ホテル運営システム。
【請求項2】
遺体安置サービスを提供するための遺体ホテル運営システムであって、
前記遺体安置サービスは、
遺体ホテルの運営に携わる少なくとも1つの運営業者が、複数の葬儀業者を遺体ホテル
の契約者として登録するとともに、前記複数の葬儀業者の中から一の葬儀業者を選択して
葬儀の依頼者に斡旋し、
前記登録および斡旋された葬儀業者が、前記遺体ホテルへの遺体の搬入および搬出を実
行または手配し、前記遺体ホテルの利用時に前記運営業者に利用料を支払うことにより運
営されるサービスであり、
前記遺体ホテルへの遺体の搬入および/または搬出を監視し記録する監視装置と、
前記遺体ホテルの利用に係る情報を利用登録情報として登録する利用登録端末と、
前記監視装置により記録された情報および前記利用登録情報を、前記遺体ホテルの利用
履歴として所定の記録媒体に保存する利用履歴保存手段と、
前記記録媒体に保存された情報を閲覧可能な形式で提供する閲覧表示手段と
を備える遺体ホテル運営システム。
【請求項3】
前記記録媒体に保存された利用履歴に基づいて、参照目的ごとに利用履歴を集計し、該集
計した結果を前記記録媒体に保存する集計手段を、さらに備えることを特徴とする請求項
2記載の遺体ホテル運営システム。
【請求項4】
前記遺体ホテルが、
外部環境から断熱された庫内空間を画定する遺体収納庫と、
前記庫内空間に冷気を循環させて前記庫内空間の温度をマイナスの設定温度に制御する
庫内温度制御手段と、
前記庫内空間に静電波を放出する静電波放出手段と
を備えることを特徴とする請求項2または3記載の遺体ホテル運営システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体安置サービスを提供するための遺体ホテル運営システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に都市部では、火葬場や斎場の混雑により、臨終から火葬までの期間が長期化
する傾向にある。また住宅事情の変化により、火葬を待つ間、自宅に遺体を安置できない
ケースも増えている。このような問題への解決策として、近年、遺体安置ビジネスへの関
心が高まっている。
【0003】
遺体ホテルは、遺体を適切な環境下に安置することにより、そのままの姿で長期間保存
する施設である。遺体の保存方法として最も一般的なのは、棺内にドライアイスを置いて
毎日交換する方法であるが、ドライアイスによる長期間の冷却はコストが嵩むことが知ら
れている。
【0004】
遺体の長期保存に適した設備としては、例えば特許文献1に、複数の遺体を凍結しない
状態(氷点下非凍結状態)で保存することができる複数遺体保存装置が開示されている。
この装置は、断熱された収納庫内に冷気を循環させて庫内空間をマイナス温度に保ちなが
ら、その庫内空間に静電気(静電波)を放出し、水分子に電子微細振動を与えることで、
氷点下の環境に安置された遺体を凍結させることなく保存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-024874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遺体の一時預かりを行う業者は、従来は葬儀の専門業者、すなわち葬儀社、斎場、火葬
場に限られていた。しかし、保存期間の長期化、保存技術の進歩、終活ブームに伴う葬儀
の多様化により、これまで葬儀と無縁だった業者が、遺体安置ビジネスに関心を示し始め
ている。今後は、例えば、冷却設備の提供および保守管理を行う設備業者、ポータルサイ
トを介して各種サービスの紹介・斡旋を行う斡旋業者、土地活用に関心のある不動産業者
など、葬儀に直接関わることがない業者が、遺体ホテルの運営に関わるようになることが
予想される。複数多業種の業者が運営に関わる場合、遺体ホテルの利用に係る情報を効率
的に参照し、業者間で情報を共有するためのしくみが必要になる。
【0007】
ここで、多業種の業者が運営に関わる場合、各業者が利用情報を参照する目的は必ずし
も同じではない。例えば、葬儀に直接関わる業者は、指定日に間違いなく遺体が搬入出さ
れたことを確認するために利用情報を参照するであろう。利用申込みの窓口となる業者は
請求書を発行する目的で利用情報を参照し、収益を得ることのみを目的として運営に参画
する業者は稼働率や売上げを確認するために利用情報を参照するであろう。あるいは、遺
体ホテルの警備に関わる業者が、不正利用を防止するために、利用映像を確認する場合も
あるだろう。
【0008】
本発明は、上記のように複数多業種の業者が協働して遺体ホテルを運営する場合に、遺
体ホテルの利用情報を一元的に管理し、活用しやすい形式で提供するためのしくみを提案
する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遺体安置サービスを提供するための遺体ホテル運営システムである。遺体安
置サービスでは、まず、遺体ホテルの運営に携わる少なくとも1つの運営業者が、複数の
葬儀業者を遺体ホテルの契約者として登録する。ここで「葬儀業者」とは、葬儀に直接関
わる業者を意味し、葬儀社のほか斎場なども含むものとする。運営業者は、一方で、複数
の葬儀業者の中から一の葬儀業者を選択して葬儀の依頼者に斡旋する。登録および斡旋さ
れた葬儀業者は、遺体ホテルへの遺体の搬入および搬出を実行または手配し、遺体ホテル
の利用時に運営業者に利用料を支払う。
【0010】
遺体ホテル運営システムは上記遺体安置サービスを提供するにあたり、遺体ホテルの利
用に係る情報を収集し、運営業者の管理下に置かれたコンピュータに転送する利用情報収
集手段と、そのコンピュータ上で、収集された情報を一元管理する利用情報管理手段とを
備える。
【0011】
利用情報収集手段として、例えば、以下に説明するような監視装置と利用登録端末を備
えることが好ましい。また、利用情報管理手段としては、以下に説明するような利用履歴
保存手段および閲覧表示手段を備えることが好ましい。
【0012】
監視装置は、例えば遺体ホテルの出入口付近に設置されるビデオカメラ等であり、遺体
ホテルへの遺体の搬入や搬出を監視し記録する。搬入と搬出は両方とも監視することが望
ましいが、いずれか一方のみの監視でもよい。
【0013】
利用登録端末は、遺体ホテルの出入口付近に設置されるパソコンあるいはタブレット等
であり、遺体ホテルの利用に係る情報を利用登録情報として登録する。ここで、利用に係
る情報とは、例えば、契約者名、利用者名、利用開始日、利用終了日などである。利用登
録情報は、例えば入力画面において所定の入力操作を行うことにより登録する。
【0014】
利用履歴保存手段と閲覧表示手段は、遺体ホテルの運営に関わるいずれかの業者の管理
下に置かれたコンピュータ上に、プログラムとして実装される。利用履歴保存手段は、監
視装置により取得された情報と、利用登録端末により取得された利用登録情報を、遺体ホ
テルの利用履歴として所定の記録媒体に保存する。閲覧表示手段は、記録媒体に保存され
た情報を閲覧可能な形式で提供する。閲覧表示手段は、例えばログイン認証により閲覧を
制限できるWebサイトなどとすることが好ましい。
【0015】
また、上記遺体ホテル運営システムは、記録媒体に保存された利用履歴に基づいて、参
照目的ごとに利用履歴を集計する集計手段を備えることが好ましい。この際、集計された
結果は、利用履歴が記録されていたのと同じ記録媒体に保存されることが好ましい。ここ
で「参照目的ごとに」とは、利用情報を参照する目的が業種ごと業者ごとに異なるため、
それぞれの業者が必要とする集計結果を提供するという意味である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の遺体ホテル運営システムによれば、遺体ホテルの利用に係る情報は、自動的に
収集され、一元的に管理され、遺体ホテルを運営または利用する業者間で、共有される。
利用情報を共有し、必要に応じて参照できるようにすることで、遺体ホテルを効率的に運
営することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】遺体ホテルの位置づけを示す図である。
図2】複数業者が遺体ホテルの運営に関わる場合の業者間の関係性を例示する図である。
図3】遺体ホテルの運営について説明するための図である。
図4】遺体ホテル運営システムの構成例を示す図である。
図5】遺体ホテルの利用の流れを示すフローチャートである。
図6】契約内容を登録するマスター登録画面の一例を示す図である。
図7】利用登録画面の一例を示す図である。
図8】利用履歴の一覧表示画面の一例を示す図である。
図9】利用履歴の個別表示画面の一例を示す図である。
図10】利用履歴の集計結果表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための具体的な形態について説明する。はじめに、遺体ホテル
の位置づけについて、図1を参照して説明する。
【0019】
矢印R0は、従来型の葬儀における遺体の搬送経路である。従来型の葬儀では、故人の
遺体は、亡くなった場所(病院・施設等2)から故人宅3へと搬送され、故人宅3から葬
儀が行われる斎場4へと搬送され、葬儀終了後に斎場4から火葬場5へと搬送されること
が一般的である。
【0020】
これに対し近年、搬送経路R0とは異なる経路でご遺体が搬送されるケースも増えてい
る。例えばマンションの管理規約により故人宅3に遺体を搬入することができず、病院・
施設等2から斎場4に遺体を直接搬送するケースや、斎場4での儀式を行わず、故人宅3
から火葬場5にご遺体を直接搬送するケースなどがある。
【0021】
遺体ホテル1は、各搬送経路において、受け入れ先の準備が整わず、24時間以上の待
ち時間が発生してしまった場合の、一時的な受け入れ先として位置づけられる。搬送経路
R1として示されるように、遺体ホテル1には、病院・施設等2、故人宅3、斎場4など
、様々な場所から遺体が搬入される。また、搬送経路R2として示されるように、遺体ホ
テル1から搬出される遺体は、故人宅3、斎場4、火葬場5など、様々な場所に搬送され
る。また、遺体ホテル1が、斎場や火葬場とは切り離された独立した施設として運営され
る場合には、搬送先となる斎場や火葬場は1か所とは限らない。
【0022】
遺体ホテルでは、遺体の搬入元と搬出先は上記のとおり多岐に亘る。また、遺体ホテル
の利用は、突然の臨終で混乱する中、急遽決まることが少なくない。さらに、遺体ホテル
の利用者である故人は、一般のホテルの宿泊者と異なり、自身の身元を自ら示すことがで
きない。このため、遺体ホテルの運営では、遺体の取り違えや誤搬送がないよう、出入り
に関して慎重な管理が求められる。
【0023】
遺体ホテルは、斎場等が単独で運営することも可能であるが、規模によっては設営コス
トもかかるため、複数の業者が互いに業務提携しながら運営に関わるケースが多くなるこ
とが予想される。
【0024】
図2は、複数の業者が遺体ホテルの運営に関わる場合の業者間の関係性を例示する図で
ある。斡旋業者6は、葬儀依頼者9(遺族または生前の故人)から葬儀に関する希望を聞
きとり、一緒に葬儀のプランを練り、提携している葬儀社8および斎場4の中から希望の
葬儀プランを実現できる葬儀社等を選択、斡旋する。設備業者7は、土地を確保して遺体
ホテルを設営し、設営後も継続的にホテル内の遺体保存設備を保守・管理する。
【0025】
同図の例では、斡旋業者6と設備業者7が遺体ホテルの運営母体となり、葬儀社8や斎
場4を介して遺体安置サービスを提供する。遺体の搬送は、葬儀社8や斎場4の遺体搬送
係、もしくは葬儀社8や斎場4が手配した遺体搬送業者が行う。遺体搬送業者を利用する
場合、その手配は、斡旋業者6や設備業者7が行ってもよい。
【0026】
遺体安置サービスを提供するにあたり、斡旋業者6は、提携している葬儀社8や斎場4
と、遺体ホテルの利用契約を締結する。利用契約が締結されると、契約者に対し、後述す
る遺体ホテル運営システムを利用するためのパスワードが発行される。遺体ホテルの利用
を、利用契約を締結した葬儀社、斎場を限定し、契約により予め利用条件を定めておくこ
とで、急な利用申込みにも対応できるようにするためである。さらには、遺体ホテルへの
遺体の搬入出を、契約者とその関係者に限定することで、遺体ホテルが不正に利用される
ことを防止するためでもある。
【0027】
図3は、遺体ホテルの運営について説明するための図である。葬儀依頼者9からの葬儀
依頼を受けると、斡旋業者6は葬儀社8を斡旋し、葬儀依頼者9と葬儀社8の間で葬儀契
約が結ばれる。葬儀社8により、遺体ホテル1の利用が必要と判断された場合、遺体は搬
送元から遺体ホテルへと搬送される。遺体の搬送は、葬儀社8の係が自ら実行する場合と
、葬儀社8が手配した搬送業者81が行う場合がある。遺体ホテルが利用された場合、遺
体ホテルの運営者(斡旋業者6および設備業者7)から葬儀社8に対し、利用料が請求さ
れ、葬儀社8から運営者側に利用料が支払われる。これにより運営者側が得た収益は、運
営に関わる業者間で分配される。
【0028】
ここで、運営者が利用料の請求を行うためには、遺体ホテルの利用者、利用日、利用日
数などを、正確に把握する必要がある。遺体ホテルの利用情報の収集・管理は、人手によ
り行うこともできなくはないが、遺体ホテル運営の効率化を図るためには、運営者側が遺
体ホテルの利用状況を把握するための何らかのシステムが必要である。
【0029】
図4に、本発明の一実施形態における遺体ホテル運営システムの概要を示す。遺体ホテ
ル運営システム10は、遺体ホテル1に設置される監視装置11および利用登録端末12
と、斡旋業者6または設備業者7の元で管理される履歴管理装置15とにより構成される
。監視装置11、利用登録端末12および履歴管理装置15は、インターネット等のネッ
トワークを介して接続されている。
【0030】
遺体ホテル1に設置される監視装置11は、遺体ホテルへの遺体の搬入および搬出を、
映像として記録する装置であり、ビデオカメラと、ビデオカメラの映像を記録するディス
クと、ディスクに記録された映像をネットワークを介して履歴管理装置15に転送するた
めの通信機能を備える。ビデオカメラは、遺体搬送係の顔を識別できる程度に高精細な映
像を取得できるよう、遺体ホテル1の出入口付近に、望ましくは複数台設置する。映像の
転送は、リアルタイムに、もしくは所定期間ごとに定期的に行う。
【0031】
利用登録端末12は、表示画面、入力インタフェースを備えたパソコンまたはタブレッ
ト端末であり、以下に説明する機能を実現するためのプログラムが組み込まれている。利
用登録端末12は、契約者(葬儀社、斎場等)、利用者名(故人名)、利用開始日、利用
終了日(予定日)等の入力画面を表示し、同画面で入力された情報を利用登録情報として
保存する。
【0032】
利用登録が完了すると、利用登録端末12は、利用者(故人)名、利用開始日、利用終
了日が記載された名札ラベルを、端末に接続されたラベルプリンタに出力する。出力され
た名札ラベルは遺体の胸に貼り付けられ、遺体ホテル内ではその名札ラベルにより遺体が
識別、管理される。利用登録端末12は、保存された利用登録情報を、ネットワークを介
してリアルタイムに履歴管理装置15に転送する。
【0033】
遺体ホテル1の設備としては、監視装置11と利用登録端末12のほか、遺体収納庫1
3と面会室14がある。遺体収納庫13は、外部環境から断熱された収納庫であり、収納
庫内部には、複数の遺体を安置するためのラックが備えられている。また、遺体収納庫1
3は、庫内空間をマイナス温度に保つための冷却設備と、庫内空間に静電気(静電波)を
放出して水分子に電子微細振動を与える設備も備えており、氷点下の環境に安置された遺
体を凍結させることなく保存することができる。遺体収納庫13の詳細な構成は、特開2
019-024874号公報に開示されている。
【0034】
面会室14は、ご遺体との対面を希望する遺族その他関係者のためのスペースであり、
遺体収納庫13と同等の非凍結保存設備を備えた一人用の棺が用意されている。遺族等と
の面会時には、ご遺体は遺体収納庫13から一人用の棺に移され、その棺が面会室に運ば
れる。
【0035】
一方、履歴管理装置15はネットワークに接続されたコンピュータであり、斡旋業者6
または設備業者7の社屋内に設置される。但し、設置場所は特に問わないため、レンタル
サーバなどでもよい。履歴管理装置15には、コンピュータを、以下に説明する利用履歴
保存手段16、マスター登録手段17、集計手段18および閲覧表示手段19として機能
させるためのプログラムが組み込まれている。
【0036】
利用履歴保存手段16は、遺体ホテルから転送された映像および利用登録情報を、別個
に、または関連づけて、遺体ホテルの利用履歴情報として、予め構築されたデータベース
20に登録する。マスター登録手段17は、後述するマスター登録画面を表示し、同画面
で入力された契約内容、例えば契約者名、閲覧時パスワード、1日あたりの利用料(利用
単価)等をデータベース20に登録する。マスター登録画面では、遺体ホテルが複数の業
者により運営される場合、それぞれの手数料率(全体の収益に対するその業者の取り分)
を登録することもできる。
【0037】
集計手段18は、利用履歴情報とマスター登録された契約内容に基づいて、請求金額や
売上金額を集計する。請求書の発行を目的とした集計では、契約者である葬儀社・斎場ご
とに利用履歴を集計し、月ごとの請求金額を算出する。遺体ホテル運営の利回りの確認を
目的とした集計では、ホテルごとに利用履歴を集計し、月ごとの売上金額や利回りを算出
する。また、遺体ホテルが複数の業者により運営される場合には、全ての利用履歴を集計
した上で、業者ごとにその業者の収益を算出する。集計結果は、データベースに保存され
、定期的に更新される。
【0038】
閲覧表示手段19は、データベースに保存された情報を、インターネットを介して閲覧
可能にする手段であり、具体的にはWebサイトとして実装される。Webサイトのログ
イン画面では、マスター登録画面において登録されたIDとパスワードの入力が求められ
る。
【0039】
ログイン認証が完了すると、閲覧者の端末のブラウザ画面に、監視映像、利用登録情報
、各種集計結果等が、表示される。但し、閲覧できる情報の内容および様式は、閲覧者ご
とに異なる。例えば、遺体ホテルの運営者である斡旋業者6および設備業者7はすべての
情報を閲覧することができるが、葬儀社8や斎場4の担当者は、自身が利用登録をした遺
体の利用情報しか閲覧することができない。
【0040】
図5は、遺体ホテルの利用の流れを、システムの動作と関連づけて示したフローチャー
トである。前述のとおり、遺体ホテルを利用するためには事前の契約が必要であり、契約
が締結された段階でマスター登録が行われる(S101)。
【0041】
遺体ホテルの利用を開始するときは、遺体の搬入者が利用登録端末12でチェックイン
操作を行う(S102)。チェックイン操作で入力された利用登録情報は、履歴管理装置
15に転送され、利用履歴として記録される(S103)。遺体ホテルの利用を終了する
ときは、遺体の搬出者が利用登録端末でチェックアウト操作を行う(S104)。チェッ
クアウト操作が行われると、チェックアウトをした利用者の情報が履歴管理装置15に転
送され、チェックアウトしたことが利用履歴として記録される(S105)。
【0042】
利用履歴の集計は、予め設定した曜日等にシステムにより自動的に実行される。但し、
手動操作により閲覧者が所望する集計処理ができるようにしてもよい。(S106)。ス
テップS106の利用履歴集計が行われた後は、収集された個々の利用履歴のみならず、
集計結果も、閲覧可能となる(S107)。
【0043】
図6は、ステップS101のマスター登録を行う画面の一例を示す図である。マスター
登録画面21には、ID、契約者名、パスワード、契約者の連絡先、基本利用料(利用単
価)、手数料率を入力する枠31~37が配置されている。各項目の入力後、画面下に配
置される登録ボタン22をクリックすると、マスター登録が完了し、画面上に新規登録の
ための一列分の入力枠が追加される。
【0044】
マスター登録画面21において設定されたID31とパスワード33は、利用情報を閲
覧する際のログイン認証に用いられる。基本利用料35や手数料率36は、集計時の計算
に用いられる。
【0045】
停止チェックボタン38は、契約が終了した契約者について、遺体ホテル運営システム
の利用を停止する場合に使用する。停止チェックボタン38のチェックにより利用を一時
的に停止しておけば、再度契約が締結された際の登録入力の負担を軽減することができる
【0046】
図7は、ステップS102のチェックインの際、利用登録端末12が表示する利用登録
画面の一例を示す図である。利用登録画面23には、自動的に付与される利用番号41と
、契約者名、利用者名、喪主連絡先、搬送担当業者、利用開始日、利用終了日、利用日数
、基本利用料、合計金額、備考を入力または表示するための枠32,35、42~49が
配置されている。
【0047】
契約者名の入力枠32では、マスター登録された契約者の名称がドロップダウンリスト
として表示される。ドロップダウンリストでは、マスター登録されていない業者もしくは
停止ボタンにチェックがついている業者は、選択することができない。契約者名を選択す
ると、基本利用料の入力枠35に、その契約者のマスター登録で登録された基本利用料の
額が表示される。
【0048】
利用開始日、利用終了日の入力枠45、46では、日付がリスト表示またはカレンダー
表示され、選択操作により開始日、終了日を登録することができる。利用開始日と利用終
了日が入力されると、利用日数の入力枠47に自動的に利用日数が表示され、その利用日
数と枠35の基本利用料から自動計算された合計金額が、枠48に表示される。契約者名
、利用者名、利用開始日、利用終了日の入力後に、画面上の確認画面へボタン22をクリ
ックすると、確認画面へと表示が切り替わり、確認画面上にある確認ボタンを押すと、利
用登録が完了する。
【0049】
図8は、閲覧表示手段19により表示される画面の一例であり、利用履歴を一覧表示す
る画面である。この利用履歴一覧表示画面25は、1件の利用ごとに、利用番号41、契
約者名32、利用開始日45、利用終了日46、利用日数47、利用者名42、搬送担当
業者44、基本利用料35、合計金額48が横並びに表示され、列ごとにその列の右端に
表示ボタン26、修正ボタン27、削除ボタン28が表示される。
【0050】
表示ボタン26がクリックされると、図9に示すような利用履歴の個別表示画面29が
表示される。個別表示画面29では、利用登録画面23において登録された内容がそのま
ま表示される。
【0051】
修正ボタン27がクリックされると、利用登録端末が表示する利用登録画面23と同じ
仕様の修正画面が現れる。修正画面の各項目枠には、先に登録された内容が編集可能な状
態で表示されている。修正したい項目を編集し、画面上の確定ボタンをクリックすると、
データベースに記録されている利用登録情報が、修正後の内容に更新される。
【0052】
削除ボタン28がクリックされると、画面上から該当する列の表示が消え、同時にデー
タベースに記録されている利用登録情報のうち該当する情報が削除される。
【0053】
図10に、閲覧表示手段19により表示される画面の、他の例を示す。図8図9の画
面は、利用履歴保存手段16が保存した情報を表示形式を整えてほぼそのまま表示したも
のであるが、図10に示す画面は、集計手段18が出力した集計結果を表示する画面であ
る。
【0054】
売上集計画面60では、利用履歴が契約者ごとに分類され、利用料の合計金額のみなら
ず、斡旋業者6の手数料率と、その手数料率で計算された手数料、すなわち斡旋業者の売
上額が表示される。延べ利用日数、合計利用料および合計手数料は、契約者ごとに集計さ
れて小計欄61に表示され、さらに3社分の小計61を集計した延べ日数、合計利用料お
よび合計手数料が総計欄62に表示される。
【0055】
売上集計画面60に表示される情報は、画面上のExcel出力ボタン63をクリック
することで、Excel形式のデータとして出力ことができる。出力されたExcelデ
ータは、他のソフトに取り込んで、請求書の発行や毎月の売上管理に活用することができ
る。
【0056】
図10に例示する画面は、利用情報の参照目的が、斡旋業者6の売上げ確認である場合
に適しているが、この画面では設備業者7の売上げは確認することができない。一般に、
利用情報の参照目的は、運営側か利用側かによって異なるものであり、同じ運営側でも業
者ごとに異なっている。このため、本実施形態のシステムでは、集計手段18は、利用情
報の参照目的に応じて複数種類の集計処理を選択的に実行し、閲覧表示手段19も、利用
情報の参照目的に応じて画面表示を選択的に切り替えるように設計されている。
【0057】
例えば、設備業者7の売上確認用の画面として、図10の売上確認画面60における手
数料率を差し替えた集計画面を表示する。また、運営する遺体ホテルが複数ある場合、ホ
テル別の売上確認画面として、利用履歴をホテルごとに分類して集計した画面を表示する
。集計方法および閲覧画面の仕様は、遺体ホテルを運営または利用する者の要望に応じて
カスタマイズすることができる。
【0058】
以上に、利用登録情報とその集計結果を表示する画面を例示したが、閲覧表示手段19
により表示される情報としては、利用登録情報以外に、監視装置11により取得された監
視映像がある。前述のとおり、映像は、利用履歴としてデータベース20に保存されてい
るため、閲覧表示手段19は、映像も画面に表示することができる。例えば、図9の個別
表示画面29を表示するときに、その個別表示画面に表示される利用開始日から利用終了
日までに取得された映像を、あわせて表示するようにしてもよい。
【0059】
また、利用登録情報を集計する集計手段18とは別に、映像を加工する加工手段(図示
せず)を設け、加工した動画または静止画をデータベース20に保存しておいてもよい。
例えば、映像データに顔識別処理を施して、搬送係の顔部分のみを静止画像として抽出し
、個別表示画面29と並べて表示してもよい。
【0060】
データベース20に保存される利用履歴の集計、加工、その他の活用方法は、本発明の
要旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、遺体ホテル運営システムを提供または利用する
者の要望に応じて適宜カスタマイズすることが好ましい。
【符号の説明】
【0061】
10 遺体ホテル運営システム
20 データベース
21 マスター登録画面
23 利用登録画面
25 利用履歴一覧表示画面
29 利用履歴個別表示画面
60 売上集計画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10