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特許7242383ガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラム
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  • 特許-ガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】ガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/16 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
F02C9/16 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019067133
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020165382
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】織田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】春田 尚
(72)【発明者】
【氏名】小塚 満
(72)【発明者】
【氏名】不破 暁
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035794(JP,A)
【文献】特開平07-167398(JP,A)
【文献】特開2007-315281(JP,A)
【文献】米国特許第04273508(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/16
F02C 1/02
F01D 17/04
F01D 17/10
F01D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを供給元側から需要先側に向けて供給するガス供給系統上に、流通する燃料ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナと、一次側から流通する燃料ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービンとを、並列に接続して連結されたガス差圧式発電装置に、電気的な制御を行う制御手段と、前記膨張タービンの一次側に流入する燃料ガスの流れを制御するガス流量制御手段と、を備え、
前記膨張タービンは、接続する発電機と組みをなした態様で、複数有し、前記複数の膨張タービンは、並列に接続された状態で、前記ガス供給系統と連結され、少なくとも第1の膨張タービンと第2の膨張タービンとを含むこと、
前記ガス供給系統で流通可能な燃料ガスの流量帯域のうち、前記膨張タービンで発電可能となる燃料ガスの流量帯域とした発電許容領域内で、稼働させる前記膨張タービンを変更するタイミングとして、前記発電機で発電した出力、または前記ガス流量制御手段の弁開度の少なくとも一方に対応して設定された閾値が、前記発電許容領域内に設けられていること、
燃料ガスの流通時、前記制御手段は、前記発電機で発電した出力値を取得しながら、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御する共に、稼働中の前記膨張タービンで、前記閾値に達する状態になるのを機に、少なくとも前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとに対し、前記閾値を境に、継続して稼働させる前記膨張タービンを変更すること、
前記制御手段は、電力計で検出する前記発電機の発電出力に基づいて、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御することにより、電力を提供する電力供給先で、事前に発電計画を定めた発電計画値に沿う電力需要に対応可能に、前記発電機の発電出力を制御して調整すること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記第1の膨張タービンは、前記第2の膨張タービンの前記発電機で可変する出力の範囲内で、最も大きな第2最大出力を発揮可能であるのに対し、可変する出力の範囲内に前記第2最大出力を包含し、かつ前記第2最大出力より大きい第1最大出力を発揮可能とする前記発電機に接続されていること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記ガス流量制御手段は、前記複数の膨張タービンに対し、個々の前記膨張タービンと1対1で組をなして設けられていること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとを含む前記複数の膨張タービンの中で、前記閾値を境に、運転する前記膨張タービンの交替を伴って、前記発電機で発電を続けるとき、
前記制御手段は、前記閾値に到達する時点に合わせて、新たに稼働させる次の前記膨張タービンの運転を前もって開始させると共に、前記閾値に到達した時点で、既に稼働していた先の前記膨張タービンの運転を停止させ、
前記閾値に到達した時点以降、前記次の膨張タービンが、前記発電機に対し、定常な運転状態で稼働し始めていること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとを含む前記複数の膨張タービンに対し、前記閾値を境に、運転する前記膨張タービンの数を増やして、前記発電機で発電を続けるとき、
前記制御手段は、前記閾値に到達する時点に合わせて、新たに稼働させる追加対象の前記膨張タービンの運転を前もって開始させ、
前記閾値に到達した時点以降、前記追加対象の膨張タービンが、前記発電機に対し、定常な運転状態で稼働し始めていること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記制御手段は、前記閾値に到達した時点で、前記追加対象の膨張タービンの運転状態に基づいて、前記ガス流量制御手段により、稼働していた継続対象の前記膨張タービンに流通させる燃料ガスの流量を制御すること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとを含む前記複数の膨張タービンの中で、前記閾値を境に、運転する前記膨張タービンの数を減らして、前記発電機で発電を続けるとき、
前記制御手段は、前記閾値に到達した時点で、稼働していた削減対象の前記膨張タービンの運転を停止させ、
前記閾値に到達した時点以降、稼働していた継続対象の前記膨張タービンは、前記発電機に対し、定常な運転状態を持続して稼働していること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記制御手段は、前記閾値に到達した時点で、前記削減対象の膨張タービンの運転状態に基づいて、前記ガス流量制御手段により、前記継続対象の前記膨張タービンに流通させる燃料ガスの流量を制御すること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載するガス差圧式発電装置の制御方法において、
前記ガス供給系統のうち、前記複数の膨張タービンが設置された発電管路で、
流れる燃料ガスが、前記発電許容領域上限の流量を超えるとき、前記ガバナは開路していること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御方法。
【請求項10】
燃料ガスを供給元側から需要先側に向けて供給するガス供給系統上に、流通する該燃料ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナと、一次側から流通する該燃料ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービンとを、並列に接続した状態で連結されたガス差圧式発電装置において、
前記膨張タービンは、接続する発電機と組みをなした態様で、複数有し、前記複数の膨張タービンは、並列に接続された状態で、前記ガス供給系統に連結されていること、
前記複数の膨張タービンのうち、少なくとも第1の膨張タービンと第2の膨張タービンでは、各々の前記発電機で発電可能な最大出力の大きさが、互いに異なっていること、
前記膨張タービンの一次側に流入する燃料ガスの流れを制御するガス流量制御手段と、
電気的な制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記発電機と前記ガス流量制御手段とに対し、電気的に接続され、
前記複数の膨張タービンのうち、前記第1の膨張タービンまたは前記第2の膨張タービンの少なくとも一方を含む前記膨張タービンが、前記ガス流量制御手段により制御された前記燃料ガスの流量に基づいて、選択的に作動すること、
前記発電機で発電した出力を検出する電力計を有し、
前記制御手段は、前記電力計で検出する前記発電機の発電出力に基づいて、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御することにより、電力を提供する電力供給先で、事前に発電計画を定めた発電計画値に沿う電力需要に対応可能に、前記発電機の発電出力を制御して調整すること、
を特徴とするガス差圧式発電装置。
【請求項11】
請求項10に記載するガス差圧式発電装置において、
前記ガス流量制御手段は、前記複数の膨張タービンに対し、個々の前記膨張タービンと1対1で組をなして設けられていること、
を特徴とするガス差圧式発電装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載するガス差圧式発電装置において、
燃料ガスを加熱するガス加熱手段を備えていること、
を特徴とするガス差圧式発電装置。
【請求項13】
燃料ガスを供給元側から需要先側に向けて供給するガス供給系統上に、流通する燃料ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナと、一次側から流通する燃料ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービンとを、並列に接続して連結され、電気的な制御を行う制御手段と、記憶手段と、前記膨張タービンの一次側に流入する燃料ガスの流れを制御するガス流量制御手段と、を備え、
前記膨張タービンは、接続する発電機と組みをなした態様で、複数有し、前記複数の膨張タービンは、並列に接続された状態で、前記ガス供給系統と連結され、前記複数の膨張タービンのうち、少なくとも第1の膨張タービンと第2の膨張タービンでは、前記第1の膨張タービンは、前記第2の膨張タービンの前記発電機で可変する出力の範囲内で、最も大きな第2最大出力を発揮可能であるのに対し、可変する出力の範囲内に前記第2最大出力を包含し、かつ前記第2最大出力より大きい第1最大出力を発揮可能とする前記発電機に接続されたガス差圧式発電装置向けの制御プログラムでは、
前記ガス供給系統で流通可能な燃料ガスの流量帯域のうち、前記膨張タービンで発電可能となる燃料ガスの流量帯域とした発電許容領域内で、稼働させる前記膨張タービンを変更するタイミングとして、前記発電機で発電した出力、または前記ガス流量制御手段の弁開度の少なくとも一方に対応して設定された閾値を、前記発電許容領域内に設けること
燃料ガスの流通時、前記発電機で発電した出力を継続的に取得し、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御させ、稼働中の前記膨張タービンで、前記閾値に達する状態になるのを機に、少なくとも前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとに対し、前記閾値を境に、継続して稼働させる前記膨張タービンを変更させること
電力計で検出する前記発電機の発電出力に基づいて、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御することにより、電力を提供する電力供給先で、事前に発電計画を定めた発電計画値に沿う電力需要に対応可能に、前記発電機の発電出力を制御して調整することを、前記制御手段に実行させること、
を特徴とするガス差圧式発電装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LNGターミナル、ガバナステーション等のガス整圧設備所において、供給する燃料ガスの整圧を行うのにあたり、生じた燃料ガスの差圧を利用して発電を行うガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスである液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)等を原料とする都市ガスは、LNGターミナル等の供給元から連通する導管を通じて需要先に供給される。都市ガスの使用量は、需要先の規模に応じて異なるため、導管は、供給元側から順に、大規模需要先向けに供給するための高圧導管と、中規模需要先向けに供給するための中圧導管と、最後に一般家庭用など小規模需要先向けに供給するための低圧導管とにより、段階的に分けて連通されている。導管のうち、供給元と高圧導管との間、高圧導管と中圧導管との間、及び中圧導管と低圧導管との間には、ガバナステーション等が設置されている。
【0003】
ガバナステーション等では、都市ガスの整圧が行われ、ガス整圧装置は、供給元側となる都市ガスの一次圧力を減圧し、二次側となる需要先側の使用に適した都市ガスの圧力に整圧している。また、ガバナステーション等では、整圧時に、膨張する都市ガスに有するエネルギーを回収する目的で、都市ガスの整圧を行うのに伴って、生じた都市ガスの差圧を利用した発電が行われることもある。そのガス差圧式発電装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1は、一次側の圧力を減圧して予め定める二次側圧力に整圧するガバナと、一次側からの都市ガスを膨張させて二次側圧力に減圧する膨張タービンとを、都市ガス供給系統中に並列に接続したエネルギー回収装置付き都市ガス差圧装置である。特許文献1では、都市ガスの二次側への供給流量を検出しておき、ガバナにおいて、都市ガスの供給流量が、予め設定した安定作動流量範囲内で最低流量を越える流量帯域で変化するとき、膨張タービンでは、安定に動作可能な範囲内で、かつ予め定める変化率以下で追従しながら、最低流量を越えた都市ガスの供給流量分が、膨張タービンに流される。都市ガスが供給された膨張タービンの駆動で、発電機が発電して、電気エネルギーが得られる。
【0005】
特許文献1によれば、都市ガスに対し、二次側の圧力を安定した状態に制御しながら、都市ガスの圧力差により、そのエネルギー(電気エネルギー)を有効に回収することができる。ガバナは、急激な都市ガスの需要変化に対応し、膨張タービンは、緩やかな需要変化に対応して、電気エネルギーを回収するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3597552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガバナステーション等は、複数箇所にわたって、都市ガスの供給元から需要先に至る流通過程で段階的に設けられ、何れの段階でも、ガバナステーション等では、膨大な流量の都市ガスが整圧されることから、整圧時に都市ガスに潜在するエネルギー量は、非常に大きい。そのため、このエネルギーを有効に利用できる余地が、十分にあることから、省エネルギー化等を促進する観点で、整圧時に都市ガスの差圧を利用して得られる電力を、特に市場に提供しようとすると、定量的でより精緻な電力量の管理が、ガバナステーション等側で必須となる。
【0008】
しかしながら、このような場合、特許文献1では、膨張タービンの駆動が、ガス供給系統中の二次側を流れる都市ガスの供給流量や圧力に基づいて、制御されているものであり、発電電力を直に制御するものになっていない。そのため、膨張タービンの駆動に伴った発電時の電力を、より精緻に制御し調整することは困難である。従って、発電した電力量を、より正確に制御し調整した上で、電力を系統に供給し、需要管理を精緻に行う用途では、特許文献1の技術は、適していない。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、供給する燃料ガスの整圧時に、生じた燃料ガスの差圧に基づいて、発電電力を直に制御して発電することができるガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様であるガス差圧式発電装置の制御方法は、燃料ガスを供給元側から需要先側に向けて供給するガス供給系統上に、流通する燃料ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナと、一次側から流通する燃料ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービンとを、並列に接続して連結されたガス差圧式発電装置に、電気的な制御を行う制御手段と、前記膨張タービンの一次側に流入する燃料ガスの流れを制御するガス流量制御手段と、を備え、前記膨張タービンは、接続する発電機と組みをなした態様で、複数有し、前記複数の膨張タービンは、並列に接続された状態で、前記ガス供給系統と連結され、少なくとも第1の膨張タービンと第2の膨張タービンとを含むこと、前記ガス供給系統で流通可能な燃料ガスの流量帯域のうち、前記膨張タービンで発電可能となる燃料ガスの流量帯域とした発電許容領域内で、稼働させる前記膨張タービンを変更するタイミングとして、前記発電機で発電した出力、または前記ガス流量制御手段の弁開度の少なくとも一方に対応して設定された閾値が、前記発電許容領域内に設けられていること、燃料ガスの流通時、前記制御手段は、前記発電機で発電した出力値を取得しながら、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御する共に、稼働中の前記膨張タービンで、前記閾値に達する状態になるのを機に、少なくとも前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとに対し、前記閾値を境に、継続して稼働させる前記膨張タービンを変更すること、を特徴とする。
【0011】
この態様によれば、本発明に係るガス差圧式発電装置では、発電機で発電する電力について、制御手段により、定量的でより精緻な電力量の管理を行うことができる。また、需要先で燃料ガスの使用量が変化して、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量が変動しても、例えば、ガバナステーション等では、本発明に係るガス差圧式発電装置は、整圧によって生じる燃料ガスの潜在エネルギー(電気エネルギー)を、有効に回収することができる。また、本発明に係るガス差圧式発電装置では、制御手段が、ガス流量制御手段を制御することにより、発電計画値に沿う電力需要に対応すべく、膨張タービンの発電機の発電出力を制御して調整する。そのため、本発明に係るガス差圧式発電装置は、事前に発電計画を定める「計画値同時同量」を、容易に達成することができる。
【0012】
上記の態様においては、前記第1の膨張タービンは、前記第2の膨張タービンの前記発電機で可変する出力の範囲内で、最も大きな第2最大出力を発揮可能であるのに対し、可変する出力の範囲内に前記第2最大出力を包含し、かつ前記第2最大出力より大きい第1最大出力を発揮可能とする前記発電機に接続されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、ガス供給系統上を流れる燃料ガスの流量が大幅に変動しても、整圧によって生じる都市ガスのエネルギーを、持続的して回収することができる。加えて、本発明に係るガス差圧式発電装置では、供給する燃料ガスの整圧時に、生じた燃料ガスの差圧に基づいて発電される電力に対し、発電効率をより高く、かつ出力レンジをより幅広くして発電することができる。
【0014】
上記の態様においては、前記ガス流量制御手段は、前記複数の膨張タービンに対し、個々の前記膨張タービンと1対1で組をなして設けられていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、複数の膨張タービンは、個々のガス流量制御手段に基づいて、最適な条件下で運転することができる。
【0016】
上記の態様においては、前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとを含む前記複数の膨張タービンの中で、前記閾値を境に、運転する前記膨張タービンの交替を伴って、前記発電機で発電を続けるとき、前記制御手段は、前記閾値に到達する時点に合わせて、新たに稼働させる次の前記膨張タービンの運転を前もって開始させると共に、前記閾値に到達した時点で、既に稼働していた先の前記膨張タービンの運転を停止させ、前記閾値に到達した時点以降、前記次の膨張タービンが、前記発電機に対し、定常な運転状態で稼働し始めていること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量の変動に対応する場合に、発電機による発電が、例えば、第1の膨張タービンの発電機と第2の膨張タービンの発電機等で切り替わっても、閾値に到達した時点で、発電出力に大きな変動が生じることなく、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量に応じた発電出力で、発電を継続することができる。
【0018】
上記の態様においては、前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとを含む前記複数の膨張タービンに対し、前記閾値を境に、運転する前記膨張タービンの数を増やして、前記発電機で発電を続けるとき、前記制御手段は、前記閾値に到達する時点に合わせて、新たに稼働させる追加対象の前記膨張タービンの運転を前もって開始させ、前記閾値に到達した時点以降、前記追加対象の膨張タービンが、前記発電機に対し、定常な運転状態で稼働し始めていること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、需要先で燃料ガスの使用量が増え、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量が増加する場合でも、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量に応じた発電出力で、発電を継続することができる。
【0020】
上記の態様においては、前記制御手段は、前記閾値に到達した時点で、前記追加対象の膨張タービンの運転状態に基づいて、前記ガス流量制御手段により、稼働していた継続対象の前記膨張タービンに流通させる燃料ガスの流量を制御すること、が好ましい。
【0021】
この態様によれば、運転する膨張タービンの追加で、発電機の数が増えても、閾値に到達した直後の時点で、発電出力に大きな変動が生じることない。
【0022】
上記の態様においては、前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとを含む前記複数の膨張タービンの中で、前記閾値を境に、運転する前記膨張タービンの数を減らして、前記発電機で発電を続けるとき、前記制御手段は、前記閾値に到達した時点で、稼働していた削減対象の前記膨張タービンの運転を停止させ、前記閾値に到達した時点以降、稼働していた継続対象の前記膨張タービンは、前記発電機に対し、定常な運転状態を持続して稼働していること、が好ましい。
【0023】
この態様によれば、需要先で燃料ガスの使用量が減り、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量が減少する場合でも、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量に応じた発電出力で、発電を継続することができる。
【0024】
上記の態様においては、前記制御手段は、前記閾値に到達した時点で、前記削減対象の膨張タービンの運転状態に基づいて、前記ガス流量制御手段により、前記継続対象の前記膨張タービンに流通させる燃料ガスの流量を制御すること、が好ましい。
【0025】
この態様によれば、運転する膨張タービンの削減で、発電機の数が減っても、閾値に到達した直後の時点で、発電出力に大きな変動が生じることない。
【0026】
上記の態様においては、前記ガス供給系統のうち、前記複数の膨張タービンが設置された発電管路で、流れる燃料ガスが、前記発電許容領域上限の流量を超えるとき、前記ガバナは開路していること、が好ましい。
【0027】
この態様によれば、燃料ガスが、発電許容領域内で発電可能な流量を満たして、大量にガス供給系統を流れる場合、流通する燃料ガスを無駄なく利用して、効率良く発電機で発電を行うことができると共に、発電許容領域上限の流量を超えた燃料ガスは、ガバナによって整圧されて、需要先側に供給できる。
【0028】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様であるガス差圧式発電装置は、燃料ガスを供給元側から需要先側に向けて供給するガス供給系統上に、流通する該燃料ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナと、一次側から流通する該燃料ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービンとを、並列に接続した状態で連結されたガス差圧式発電装置において、前記膨張タービンは、接続する発電機と組みをなした態様で、複数有し、前記複数の膨張タービンは、並列に接続された状態で、前記ガス供給系統に連結されていること、前記複数の膨張タービンのうち、少なくとも第1の膨張タービンと第2の膨張タービンでは、各々の前記発電機で発電可能な最大出力の大きさが、互いに異なっていること、前記膨張タービンの一次側に流入する燃料ガスの流れを制御するガス流量制御手段と、電気的な制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記発電機と前記ガス流量制御手段とに対し、電気的に接続され、前記複数の膨張タービンのうち、前記第1の膨張タービンまたは前記第2の膨張タービンの少なくとも一方を含む前記膨張タービンが、前記ガス流量制御手段により制御された前記燃料ガスの流量に基づいて、選択的に作動すること、を特徴とする。
【0029】
この態様によれば、需要先で燃料ガスの使用量が変化し、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量の変動に対応する場合でも、発電機による発電出力に大きな変動が生じることなく、ガス供給系統を流れる燃料ガスの流量に応じた発電出力で、発電を行うことができる。
【0030】
上記の態様においては、前記ガス流量制御手段は、前記複数の膨張タービンに対し、個々の前記膨張タービンと1対1で組をなして設けられていること、が好ましい。
【0031】
この態様によれば、複数の膨張タービンは、個々のガス流量制御手段に基づいて、最適な条件下で運転することができる。
【0032】
上記の態様においては、燃料ガスを加熱するガス加熱手段を備えていること、が好ましい。
【0033】
この態様によれば、燃料ガスが、膨張タービンによって減圧されても、燃料ガスの温度は、供給に必要な温度を維持することができることから、膨張タービンの通過後、燃料ガスを、引き続きガス供給系統の下流側に向けて供給していく上で、その運用に支障をきたすことが回避できる。
【0034】
さらに、上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様であるガス差圧式発電装置の制御プログラムは、燃料ガスを供給元側から需要先側に向けて供給するガス供給系統上に、流通する燃料ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナと、一次側から流通する燃料ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービンとを、並列に接続して連結され、電気的な制御を行う制御手段と、記憶手段と、前記膨張タービンの一次側に流入する燃料ガスの流れを制御するガス流量制御手段と、を備え、前記膨張タービンは、接続する発電機と組みをなした態様で、複数有し、前記複数の膨張タービンは、並列に接続された状態で、前記ガス供給系統と連結され、前記複数の膨張タービンのうち、少なくとも第1の膨張タービンと第2の膨張タービンでは、前記第1の膨張タービンは、前記第2の膨張タービンの前記発電機で可変する出力の範囲内で、最も大きな第2最大出力を発揮可能であるのに対し、可変する出力の範囲内に前記第2最大出力を包含し、かつ前記第2最大出力より大きい第1最大出力を発揮可能とする前記発電機に接続されたガス差圧式発電装置向けの制御プログラムでは、前記ガス供給系統で流通可能な燃料ガスの流量帯域のうち、前記膨張タービンで発電可能となる燃料ガスの流量帯域とした発電許容領域内で、稼働させる前記膨張タービンを変更するタイミングとして、前記発電機で発電した出力、または前記ガス流量制御手段の弁開度の少なくとも一方に対応して設定された閾値を、前記発電許容領域内に設けること、燃料ガスの流通時、前記発電機で発電した出力を継続的に取得し、前記ガス流量制御手段の弁開度を制御させ、稼働中の前記膨張タービンで、前記閾値に達する状態になるのを機に、少なくとも前記第1の膨張タービンと前記第2の膨張タービンとに対し、前記閾値を境に、継続して稼働させる前記膨張タービンを変更させること、を特徴とする。
【0035】
この態様によれば、本発明に係るガス差圧式発電装置の制御プログラムの対象となるガス差圧式発電装置は、ガス供給系統上を流れる燃料ガスの流通に基づいて、自動運転で、整圧時に生じた燃料ガスの差圧により発電することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラムによれば、供給する燃料ガスの整圧時に、生じた燃料ガスの差圧に基づき、発電電力を直に制御して発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施形態に係るガス差圧式発電装置の概要を示す系統図である。
図2】都市ガスを供給元から需要先に供給するまでの一連の系統図である。
図3】実施形態に係るガス差圧式発電装置に構成された複数の膨張タービンに対し、1つ膨張タービンに付き、定格流量に対する流通流量の比率と、発電機の定格出力に対する発電出力の比率との関係を例示したグラフである。
図4】実施形態に係るガス差圧式発電装置の制御方法に関するタイムチャート図であり、(a)は発電管路を流れるガスの流量との関係を、(b)は第2膨張タービンの発電出力W2との関係を、(c)は第1膨張タービンの発電出力W1との関係を、(d)は双方の膨張タービンの総発電出力(W1+W2)との関係を、(e)は第2流量制御弁の弁開度D2との関係を、(f)は第1流量制御弁の弁開度D1との関係を、(g)は二次側管路部を流れるガスの圧力との関係を、それぞれ示す図である。
図5】実施形態に係るガス差圧式発電装置による供給発電電力と、発電電力計画値との関係を、一例で示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係るガス差圧式発電装置の制御方法、ガス差圧式発電装置、及びその制御プログラムについて、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係るガス差圧式発電装置は、例えば、LNGターミナルやガバナステーションのほか、燃料ガスを整圧する設備を有した工場等のガス整圧設備所に設置され、以下、本実施形態では、ガバナステーションに設置される場合を代表に挙げて、説明する。
【0039】
はじめに、都市ガスが供給元から需要先に供給されるまでの一連の流通過程について、簡単に説明する。図2は、都市ガスを供給元から需要先に供給するまでの一連の系統図ある。図2に示すように、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)等を原料とする都市ガス(燃料ガス)は、LNGターミナル等の供給元56から連通するガス供給系統50を通じて需要先57に供給される。なお、図2には図示していないが、実際のガス供給系統50では、ガバナステーション60以外にも、工場内にガス整圧発電設備を有したガス整圧設備所もあるが、本実施形態では、説明の便宜上、ガバナステーション60だけを図2に図示し、このようなガス整圧設備所の言及は省略している。
【0040】
都市ガスの使用量は、需要先の規模に応じて異なる。そのため、ガス供給系統50は、供給元56側から順に、大規模需要先57A向けに供給するための高圧導管53と、病院・娯楽施設など中規模需要先57B向けに供給するための中圧導管54と、一般家庭など小規模需要先57C向けに供給するための低圧導管55により、段階的に分けて連通されている。高圧導管53内では、都市ガスの圧力は、1.0MPa以上の高圧となっている。中圧導管54内では、都市ガスの圧力は、0.1MPa以上、1.0MPa未満の中圧であり、低圧導管55内では、0.1MPa未満の低圧である。
【0041】
ガス供給系統50のうち、供給元56と高圧導管53との間、高圧導管53と中圧導管54との間、及び中圧導管54と低圧導管55との間には、ガバナステーション60が設置される。ガバナステーション60では、ガス供給系統50を流れる都市ガスは、供給元56側となる一次側の圧力を減圧し、二次側となる需要先57側の使用に適した圧力に整圧される。また、整圧時に、膨張する都市ガスに有するエネルギーを回収する目的で、生じた都市ガスの差圧を利用した発電が行われ、その発電を行うのに、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1が用いられる。
【0042】
ガス差圧式発電装置1は、図2に示すように、複数箇所のガバナステーション60に設けられる。具体的には、ガス差圧式発電装置1は、供給元56と高圧導管53との間にある第1ガバナステーション61に設けられる。第1ガバナステーション61では、ガス差圧式発電装置1により、ガス供給系統50を流れる都市ガスは、供給元56側(一次側)において、高圧導管53側の圧力よりも高い状態から、高圧導管53側(二次側)の高圧状態に整圧される。また、高圧導管53を敷設したエリア内においても、第1ガバナステーション61と大規模需要先57Aとの間に、第4ガバナステーション64が設けられ、高圧導管53を流れる都市ガスの整圧が行われている。
【0043】
また、ガス差圧式発電装置1は、高圧導管53と中圧導管54との間にある第2ガバナステーション62に設けられる。第2ガバナステーション62では、ガス差圧式発電装置1により、ガス供給系統50を流れる都市ガスは、高圧導管53側(一次側)の高圧状態から、中圧導管54側(二次側)の中圧状態に整圧される。また、中圧導管54を敷設したエリア内においても、第2ガバナステーション62と中規模需要先57Bとの間に、第5ガバナステーション65が設けられ、中圧導管54を流れる都市ガスの整圧が行われている。
【0044】
また、ガス差圧式発電装置1は、中圧導管54と低圧導管55との間にある第3ガバナステーション63に設けられる。第3ガバナステーション63では、ガス差圧式発電装置1により、ガス供給系統50を流れる都市ガスは、中圧導管54側(一次側)の中圧状態から、低圧導管55側(二次側)の低圧状態に整圧される。
【0045】
なお、本実施形態では、第1ガバナステーション61において、都市ガスを、一次側に対し、高圧導管53側の圧力よりも高い状態から二次側の高圧状態に整圧した。第2ガバナステーション62において、都市ガスを、一次側の高圧状態から二次側の中圧状態に整圧した。第3ガバナステーション63において、都市ガスを、一次側の中圧状態から二次側の低圧状態に整圧した。しかしながら、ガバナステーション60で都市ガスを整圧するにあたり、一次側の圧力、二次側の圧力、及び一次側と二次側との圧力差等の整圧条件については、現場の設備で実際に必要とされる都市ガスの整圧条件を満たすものであれば良く、適宜変更可能である。
【0046】
次に、ガス差圧式発電装置の概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係るガス差圧式発電装置の概要を示す系統図ある。図1に示すように、ガス差圧式発電装置1は、発電管路5と、ガバナ9と、複数の流量制御弁10(ガス流量制御手段)と、遮断弁15と、圧力計16と、複数の膨張タービン20と、熱交換器35(ガス加熱手段)と、制御ユニット2(制御手段)と、記憶部3(記憶手段)と、発電機30と、第1電力計36及び第2電力計37等を備えている。流量制御弁10と膨張タービン20は何れも、本実施形態では、2つである。ガバナ9は、ガス供給系統50の主管上に設置され、ガス供給系統50を流通する都市ガスに対し、一次側ガス供給系統51を流れる一次側の圧力を減圧し、二次側ガス供給系統52を流れる二次側の圧力に整圧する。
【0047】
なお、都市ガスが発電管路5を通じて発電するにあたり、都市ガスが、ガス供給系統50を十分な流量で流れており、発電管路5にとって、都市ガスの流れが余剰となる場合には、ガバナ9は開路して、都市ガスをガス供給系統50の主管上にも流し、余剰な都市ガスがガバナ9で整圧される。その反対に、余剰な都市ガスがない場合には、ガバナ9は開路していることもある。
【0048】
まず、ガス差圧式発電装置1のガス配管系統について、説明する。2つの膨張タービン20を設置した発電管路5は、ガス供給系統50の一部をなす支管上に、ガバナ9と並列に接続されて連通している。この発電管路5は、一次側管路部6と、並列管路部7と、二次側管路部8とからなる。具体的には、発電管路5のうち、一次側管路部6は、一次側ガス供給系統51と並列に接続して連通されており、二次側管路部8は、二次側ガス供給系統52と並列に接続して連通されている。並列管路部7は、構成する膨張タービン20等の数に合わせた複数系統(本実施形態では、2系統)の管路を並列に接続してなり、一次側管路部6と二次側管路部8とに対し、直列に接続されている。
【0049】
この並列管路部7を流れる都市ガスを加熱するガス加熱手段として、本実施形態では、熱交換器35が、一次側管路部6に設けられている。また、一次側管路部6には、遮断弁15が、熱交換器35と直列に接続して設けられ、一次側管路部6を流通する都市ガスの流れを許容、または完全に遮断する弁である。圧力計16は、二次側管路部8を流通する都市ガスの圧力を計測する。
【0050】
2つの膨張タービン20(第1膨張タービン21、第2膨張タービン22)は、並列管路部7に設置されている。具体的には、膨張タービン20は、並列管路部7の各管路に一つ設置され、並列管路部7では、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22とが、並列に接続されている。2つの膨張タービン20は何れも、接続する発電機30と組みをなした態様で構成されている。膨張タービン20は、一次側ガス供給系統51から流通する都市ガスを膨張させることにより、一次側の圧力を減圧して、二次側ガス供給系統52に流通する都市ガスの二次側の圧力に整圧すると共に、都市ガスの流通に基づくタービンの回転により、発電機30で発電可能となっている。
【0051】
次に、膨張タービン20の発電機30について、説明する。ガバナステーション60(第1ガバナステーション61~第5ガバナステーション65)では、第1膨張タービン21の第1発電機31で発電可能な最大出力W1maxは、第2膨張タービン22の第2発電機32で発電可能な最大出力W2maxより大きくなっている。その一例として、実際に現場で整圧される都市ガスの流通条件にもより、設置する発電機30の出力等の能力は異なるが、第1ガバナステーション61に設置されるガス差圧式発電装置1の場合、発電機30(第1発電機31、第2発電機32)の出力として、例えば、第1発電機31による発電可能な出力W1は、最大300kW(W1max)で、第2発電機32による発電可能な出力W2は、最大125kW(W2max)等である。
【0052】
すなわち、第2膨張タービン22は、可変する出力W2の範囲内で、最も大きな第2最大出力W2maxを発揮可能な発電機32と接続されている。第2膨張タービン22に対し、第1膨張タービン21は、可変する出力W1の範囲内に第2最大出力W2maxを包含し、かつ第2最大出力W2maxより大きい第1最大出力W1maxを発揮可能とする発電機31に接続されている。
【0053】
図3は、実施形態に係るガス差圧式発電装置に構成された複数の膨張タービンに対し、1つ膨張タービンに付き、定格流量に対する流通流量の比率と、発電機の定格出力に対する発電出力の比率との関係を例示したグラフである。膨張タービン20において、一次側から流入可能な都市ガスの定格流量は、第1膨張タービン21が第2膨張タービン22よりも大きくなっている。他方、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22では、それぞれの定格流量に対し、実際に一次側から流入する都市ガスの流量の割合が、図3に示すように、何れも40%以上になると、第1膨張タービン21、第2膨張タービン22とも、一次側から流入する都市ガスの流量が、後述する発電許容領域PBとなる。第1膨張タービン21の発電機30と第2膨張タービン22の第2発電機32は、発電許容領域PBにある都市ガスの流量の下で発電する。
【0054】
発電機30(第1発電機31、第2発電機32)により発電された出力は、例えば、外部の市場に向けた売電先や、ガバナステーション60の設置場所での使用先等の電力供給先40に送電される。あるいは、電力供給先40に送電するにあたり、一時的に蓄電池等で蓄電される。
【0055】
次に、流量制御弁10等について、説明する。流量制御弁10は、膨張タービン20の一次側に流入する都市ガスの流れを制御する弁である。流量制御弁10は、2つの膨張タービン20のそれぞれに、1つの膨張タービン20と1対1の組みをなして設置されている。2つの流量制御弁10(第1流量制御弁11、第2流量制御弁12)は何れも、並列管路部7に設けられている。
【0056】
具体的には、並列管路部7の第1管路(図1中、上側管路)では、第1流量制御弁11は、第1膨張タービン21の一次側と直列に接続されており、第1膨張タービン21と1対1の関係で組をなしている。また、並列管路部7の第2管路(図1中、下側管路)では、第2流量制御弁12は、第2膨張タービン22の一次側と直列に接続されており、第2膨張タービン22と1対1の関係で組をなしている。
【0057】
ところで、都市ガスは、膨張タービン20を流通すると、都市ガスは、減圧に伴って膨張するときに、都市ガスの温度が下がってしまう。膨張タービン20を通過した後、冷えた都市ガスが、ガス供給系統50の下流側に供給されてしまうと、冷えた都市ガスに起因して、ガス供給系統50を流す都市ガスの運用に支障をきたす虞がある。このような現象を防ぐため、熱交換器35が、膨張タービン20の一次側に設けられ、都市ガスの温度が、熱交換器35により、予め高められている。なお、ガス加熱手段は、熱交換器35以外にも、例えば、ヒータ等でも良く、一次側管路部6を流れ、膨張タービン20の一次側に流入する都市ガスを加温できるものであれば、特に熱交換器35に限定されるものではない。また、熱交換器35等のガス加熱手段を設ける位置は、発電管路5のうち、膨張タービン20を通過した都市ガスを加温できる管路であれば、本実施形態のように、一次側管路部6に限定されるものではない。
【0058】
次に、ガス差圧式発電装置1の電気配線系統について、説明する。制御ユニット2は、記憶部3と、第1流量制御弁11と、第2流量制御弁12と、遮断弁15と、圧力計16と、第1膨張タービン21の第1発電機31と、第2膨張タービン22の第2発電機32と、第1電力計36と、第2電力計37と、図示しない温度センサ等と、それぞれ電気的に接続されている。制御ユニット2は、大別して、制御部と、演算部と、記憶部3とからなり、中央演算ユニット(CPU)やメモリ等からなる公知のマイクロコンピュータ(図示省略)を備えている。
【0059】
記憶部3のメモリには、後述するガス差圧式発電装置1の制御方法で発電を行うのにあたり、自動化して行うためのガス差圧式発電装置1向けの制御プログラムが格納されている。この制御プログラムでは、ガス供給系統50で流通可能な都市ガスの流量帯域のうち、膨張タービン20で発電可能となる都市ガスの流量帯域とした発電許容領域PB内で、稼働させる膨張タービン20を変更するタイミングとして、発電機30で発電した出力W、または流量制御弁10の弁開度Dに対応して設定された閾値TPを、発電許容領域PB内に設けている。都市ガスの流通時、発電機30の発電出力Wを継続的に取得し、流量制御弁10の弁開度Dを制御させ、稼働中の膨張タービン20で、この閾値TPに達する状態になるのを機に、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22とに対し、閾値TPを境に、継続して稼働させる膨張タービン20を変更させる。
【0060】
また、この記憶部3のメモリには、第1電力計36により、第1発電機31の発電出力W1を検出すると共に、第2電力計37により、第2発電機32の発電出力W2を検出し、これらの検出値を制御ユニット2にフィードバックすることで、運転する膨張タービン20の発電機30を自動的に選択するのに必要なプログラムが格納されている。また、発電電力計画量をフィードフォワードすることで、運転する膨張タービン20の発電機30を自動的に選択するのに必要なプログラムが格納されている。また、図4(g)に示すように、二次側管路部8の圧力がコンスタントになるよう、圧力計16で検出した圧力値を制御ユニット2にフィードバックすることで、流量制御弁10(第1流量制御弁11、第2流量制御弁12)の弁開度Dを自動的に制御するのに必要なプログラムが格納されている。また、図示しない温度計で都市ガスの温度を計測するプログラムや、図示しない電磁弁自動開閉を制御するプログラム、その他のプログラムが予め格納されている。また、記憶部3のメモリには、遮断弁15の作動基準として、発電管路5を流通する都市ガスが、例えば、過大な流量、過大な圧力、過大な温度等で異常状態とみなすための設定値や、圧力計16により検出される整圧後の圧力の設定値等が記憶可能となっている。
【0061】
制御ユニット2は、記憶部3に格納された制御プログラムに基づいて、流量制御弁10の弁開度の制御、膨張タービン20の運転、発電機30で発電される出力の制御をはじめ、種々の電装品や制御機器等に対し、電気的な制御を行う。ガス差圧式発電装置1では、2つの膨張タービン20のうち、第1の膨張タービン21または第2の膨張タービン22は、流量制御弁10により制御された都市ガスの流量に基づいて、選択的に作動する。
【0062】
次に、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係るガス差圧式発電装置の制御方法に関し、需要先に向けて都市ガスを供給するにあたり、一日当たりの例示的なタイムチャート図である。図4(a)は、発電管路を流れるガスの流量との関係を示す図である。なお、図4に示すタイムチャート図は、説明の便宜上、あくまでも例示したものに過ぎず、グラフの挙動は、実際に供給される都市ガスの流通態様と異なることがある。
【0063】
ガス供給系統50を流通させる都市ガスの流量は、需要先57での都市ガスの使用量に対応している。図4(a)に示すように、一日のうち、都市ガスの使用量が比較的少ない時間帯は、例えば、人の活動が比較的少ない早朝等の第1時間帯Iや、活動を終えた人が就寝した深夜等の第5時間帯V等である。都市ガスの使用量が最も増える時間帯は、例えば、人の活動が活発化する昼間等の第3時間帯III等である。また、第1時間帯Iから第3時間帯IIIに向けたその中間の第2時間帯IIは、都市ガスの使用量が第1時間帯Iから徐々に増加する傾向にある時間帯である。その反対に、第3時間帯IIIから第5時間帯Vに向けたその中間の第4時間帯IVは、都市ガスの使用量が第3時間帯IIIから徐々に減少する傾向にある時間帯である。
【0064】
本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法は、ガス供給系統50で流通可能な都市ガスの流量帯域のうち、膨張タービン20で発電可能となる都市ガスの流量帯域とした発電許容領域PB内で、稼働させる膨張タービン20を変更するタイミングとして、発電機30で発電した出力W、または流量制御弁10の弁開度Dの少なくとも一方に対応して設定された閾値TPを、発電許容領域PB内に設けている。また、ガス差圧式発電装置1の制御方法は、都市ガスが発電管路5を流通する時、制御ユニット2は、発電機30で発電した出力Wを検知して取得しながら、流量制御弁10の弁開度Dを制御する共に、稼働中の膨張タービン20で、閾値TPに達する状態になるのを機に、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22とに対し、閾値TPを境に、継続して稼働させる膨張タービン20を変更する。
【0065】
また、ガス差圧式発電装置1の制御方法では、ガス供給系統50の一次側ガス供給系統51から供給される都市ガスは、ガバナ9の開閉に関わらず、ガス供給系統50から発電管路5を通じて、発電許容領域PB内で流通し、二次側ガス供給系統52に圧送される。なお、都市ガスが、発電許容領域PB内で発電管路5を流通している間、ガバナ9は閉路していても良い。制御ユニット2は常時、第2発電機32による発電出力W2と、第2流量制御弁12の弁開度D2とを検知し、取得している。また、制御ユニット2は常時、第1発電機31による発電出力W1と、第1流量制御弁11の弁開度D1とを検知し、取得している。
【0066】
具体的に説明する。図4(b)は、第2膨張タービンの発電出力W2との関係を示す図である。図4(c)は、第1膨張タービンの発電出力W1との関係を示す図である。図4(d)は、双方の膨張タービンの総発電出力(W1+W2)との関係を示す図である。図4(e)は、第2流量制御弁の弁開度D2との関係を示す図である。図4(f)は、第1流量制御弁の弁開度D1との関係を示す図である。図4(g)は、二次側管路部を流れるガスの圧力との関係を示す図である。本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法で、2つの膨張タービン20(第1膨張タービン21、第2膨張タービン22)を変更する場合には、「膨張タービン20を交替する場合」と、「膨張タービン20の数を増やす場合」と、「膨張タービン20の数を減らす場合」とがある。
【0067】
(1)膨張タービン20を交替する場合
第1膨張タービン21と第2膨張タービン22との間で、閾値TPを境に、運転する膨張タービン20の交替を伴って、発電機30で発電を続けるとき、制御ユニット2は、閾値TPに到達する時点に合わせて、新たに稼働させる次の膨張タービン20の運転を前もって開始させる。この開始と共に、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、既に稼働していた先の膨張タービン20の運転を停止させる。制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点以降、次の膨張タービン20が、発電機30に対し、定常な運転状態で稼働し始めている。
【0068】
図4を用いて、具体的に説明する。まず、運転する膨張タービン20が、第1時間帯Iから第2時間帯IIにかけて交替する場合、第1時間帯Iでは、都市ガスは、並列管路部7の第2管路(図1中、下側管路)を通じて、第2流量制御弁12を流通している。第2膨張タービン22は、第2流量制御弁12による都市ガスの流量制御に基づいて、発電許容領域PB内で稼働(図4(b)参照)している。その一方で、第1膨張タービン21は停止中(図4(c)参照)である。第2膨張タービン22の稼働中、第2発電機32による発電出力W2が、その第2最大出力W2maxに近づいた閾値TP1(図4(b)参照)(図3中、閾値TP(TPU)参照)に到達する時点に合わせ、制御ユニット2は、図4(f)に示すように、第1流量制御弁11の弁開度D1を開いた状態にする。これにより、制御ユニット2は、並列管路部7の第1管路に都市ガスを流通させて、新たに稼働させる次の膨張タービン20(第1膨張タービン21)の運転を前もって開始させる。
【0069】
この第1膨張タービン21の運転と同時に、制御ユニット2は、閾値TP1に到達した時点で、第2流量制御弁12の弁開度D2を閉じた状態にすることにより、これまで並列管路部7の第2管路を流通していた都市ガスの流れを完全に遮断する。これにより、制御ユニット2は、既に稼働していた先の膨張タービン20(第2膨張タービン22)の運転を止めて、第2発電機32による発電を停止させる(図4(b)参照)。予め次の膨張タービン20(第1膨張タービン21)の運転が開始され、第1発電機31が発電を開始しているため、閾値TP1に到達した時点以降、次の膨張タービン20(第1膨張タービン21)が、図4(c)に示すように、発電機30(第1発電機31)に対し、定常な運転状態で稼働し始めている。かくして、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22との間で、第2時間帯IIで運転する膨張タービン20が、閾値TP1を境に交替する。従って、発電機30による発電が、第2発電機32から第1発電機31に切り替わっても、ガス差圧式発電装置1では、閾値TP1に到達した時点で、発電出力Wに大きな変動が生じることなく、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力Wで、発電を継続することができている。
【0070】
次に、運転する膨張タービン20が、第4時間帯IVから第5時間帯Vにかけて交替する場合、第4時間帯IVでは、都市ガスは、並列管路部7の第1管路(図1中、上側管路)を通じて、第1流量制御弁11を流通している。第1膨張タービン21は、第1流量制御弁11による都市ガスの流量制御に基づいて、発電許容領域PB内で稼働(図4(c)参照)している。その一方で、第2膨張タービン22は停止中(図4(b)参照)である。第1膨張タービン21の稼働中、第1流量制御弁11を通じる都市ガスの流量が、次第に減少すると、第1流量制御弁11による都市ガスの流量制御に基づいて、第1膨張タービン21が、発電許容領域PB内で稼働できなくなる状況となる閾値TP4(図4(a)参照)(図3中、閾値TP(TPL)参照)に近づく。制御ユニット2は、閾値TP4(図4(c)参照)に到達する時点に合わせ、図4(e)に示すように、第2流量制御弁12の弁開度D2を開いた状態にする。これにより、制御ユニット2は、並列管路部7の第2管路に都市ガスを流通させて、新たに稼働させる次の膨張タービン20(第2膨張タービン22)の運転を前もって開始させる。
【0071】
この第2膨張タービン22の運転と同時に、制御ユニット2は、閾値TP4に到達した時点で、第1流量制御弁11の弁開度D1を閉じた状態にすることにより、これまで並列管路部7の第1管路を流通していた都市ガスの流れを完全に遮断する。これにより、制御ユニット2は、既に稼働していた先の膨張タービン20(第1膨張タービン21)の運転を止めて、第1発電機31による発電を停止させる(図4(c)参照)。予め次の膨張タービン20(第2膨張タービン22)の運転が開始され、第2発電機32が発電を開始しているため、閾値TP4に到達した時点以降、次の膨張タービン20(第2膨張タービン22)が、図4(b)に示すように、発電機30(第2発電機32)に対し、定常な運転状態で稼働し始めている。かくして、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22との間で、第5時間帯Vで運転する膨張タービン20が、閾値TP4を境に交替する。従って、発電機30による発電が、第1発電機31から第2発電機32に切り替わっても、ガス差圧式発電装置1では、閾値TP4に到達した時点で、発電出力Wに大きな変動が生じることなく、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力Wで、発電を継続することができている。
【0072】
(2)膨張タービン20の数を増やす場合
第1膨張タービン21と第2膨張タービン22に対し、閾値TPを境に、運転する膨張タービン20の数を増やして、発電機30で発電を続けるとき、制御ユニット2は、閾値TPに到達する時点に合わせて、新たに稼働させる追加対象の膨張タービン20の運転を前もって開始させ、閾値TPに到達した時点以降、追加対象の膨張タービン20が、発電機30に対し、定常な運転状態で稼働し始めている。また、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、追加対象の膨張タービン20の運転状態に基づいて、流量制御弁10により、稼働していた継続対象の膨張タービン20に流通させる都市ガスの流量を制御する。
【0073】
図4を用いて、具体的に説明する。第2時間帯IIから第3時間帯IIIにかけて、都市ガスの使用量が徐々に増加し、発電管路5を流れる都市ガスの流量が増えると、第2時間帯IIで運転を行っている第1膨張タービン21では、第1発電機31による発電出力W1が、その第1最大出力W1maxに近づく。その第1最大出力W1maxに近づいた閾値TP2(図4(c)参照)(図3中、閾値TP(TPU)参照)に到達する時点に合わせ、制御ユニット2は、図4(e)に示すように、第2流量制御弁12の弁開度D2を開いた状態にする。これにより、制御ユニット2は、並列管路部7の第2管路に都市ガスを流通させて、新たに稼働させる追加対象の膨張タービン20(第2膨張タービン22)の運転を前もって開始させる。追加対象の膨張タービン20(第2膨張タービン22)は、図4(b)に示すように、閾値TP2に到達した時点以降、発電機30(第2発電機32)に対し、定常な運転状態で稼働し始めている。
【0074】
その一方、閾値TP2に到達した時点で、制御ユニット2は、追加対象の膨張タービン20(第2膨張タービン22)の運転状態に基づき、図4(f)に示すように、流量制御弁10(第1流量制御弁11)の弁開度Dを少し絞り、稼働していた継続対象の膨張タービン20(第1膨張タービン21)に流通させる都市ガスの流量を、所定量だけ減少させる。これにより、第1膨張タービン21では、図4(c)にように、第1発電機31による発電出力W1が、多少低下するが、図4(a)に示すように、発電管路5の並列管路部7に流入する都市ガスの流量が増えているため、第2膨張タービン22の第2発電機32による発電出力W2は、次第に増大している。それ故に、発電機30による発電が、第2時間帯IIでは、第1発電機31単体で行われていた状態から、第3時間帯IIIでは、第1発電機31に第2発電機32を加えて行う状態に切り替わっても、ガス差圧式発電装置1では、閾値TP2に到達した直後の時点で、発電出力Wに大きな変動が生じることはない。従って、ガス差圧式発電装置1は、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力W(W1+W2)で、図4(d)に示すように、発電を継続することができている。
【0075】
(3)膨張タービン20の数を減らす場合
第1膨張タービン21と第2膨張タービン22に対し、閾値TPを境に、運転する膨張タービン20の数を減らし、発電機30で発電を続けるとき、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、稼働していた削減対象の膨張タービン20の運転を停止させ、閾値TPに到達した時点以降、稼働していた継続対象の膨張タービン20は、発電機30に対し、定常な運転状態を持続して稼働している。また、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、削減対象の膨張タービン20の運転状態に基づいて、流量制御弁10により、継続対象の膨張タービン20に流通させる都市ガスの流量を制御する。
【0076】
図4を用いて、具体的に説明する。第3時間帯IIIから第4時間帯IVにかけて、都市ガスの使用量が徐々に減少し、発電管路5を流れる都市ガスの流量は減る。第3時間帯IIIで運転を行っている第1膨張タービン21と第2膨張タービン22に対し、削減対象の膨張タービン20は、本実施形態では、優先的に、発電出力Wの小さい発電機30と接続された膨張タービン20としている。第3時間帯IIIから第4時間帯IVにかけて、都市ガスの使用量は徐々に減少し、発電管路5を流れる都市ガスの流量が減ると、閾値TP3に到達した時点で、第2流量制御弁12の弁開度D2を閉じた状態にすることにより、これまで並列管路部7の第2管路を流通していた都市ガスの流れを完全に遮断する。これにより、制御ユニット2は、稼働していた削減対象の膨張タービン20(第2膨張タービン22)の運転を止めて、第2発電機32による発電を停止させる(図4(b)参照)。これに対し、これまで稼働していた継続対象の膨張タービン20(第1膨張タービン21)は、発電機30(第1発電機31)に対し、定常な運転状態を持続して稼働している。
【0077】
その一方で、第1膨張タービン21では、図4(c)に示すように、第1発電機31による発電出力W1は低下している。制御ユニット2は、閾値TP3に到達した時点で、削減対象の膨張タービン20の運転状態に基づいて、図4(f)に示すように、流量制御弁10(第1流量制御弁11)の弁開度Dを少し拡げ、稼働していた継続対象の膨張タービン20(第1膨張タービン21)に流通させる都市ガスの流量を、所定量だけ増加させる。図4(a)に示すように、発電管路5の並列管路部7に流入する都市ガスの流量が減り、第1膨張タービン21では、図4(c)に示すように、第1発電機31による発電出力W1は減少する傾向にある。しかしながら、第1膨張タービン21では、第1流量制御弁11の弁開度Dの増大により、第1発電機31による発電出力W1は、削減対象の第2膨張タービン22の運転停止に伴い、第2発電機による発電出力W2の欠損分を吸収することができる。それ故に、発電機30による発電が、第3時間帯IIIでは、第1発電機31に第2発電機32を加えて行われていた状態から、第4時間帯IVでは、第1発電機31単体で行う状態に切り替わっても、ガス差圧式発電装置1では、閾値TP3に到達した直後の時点で、発電出力に大きな変動が生じることない。従って、ガス差圧式発電装置1は、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力W(W1)で、発電を継続することができている。
【0078】
次に、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法、ガス差圧式発電装置1、及びその制御プログラムの作用・効果について説明する。
【0079】
本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法は、都市ガスを供給元56側から需要先57側に向けて供給するガス供給系統50上に、流通する都市ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナ9と、一次側から流通する都市ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービン20とを、並列に接続して連結されたガス差圧式発電装置に、電気的な制御を行う制御ユニット2と、膨張タービン20の一次側に流入する都市ガスの流れを制御する流量制御弁10と、を備え、膨張タービン20は、接続する発電機30と組みをなした態様で、本実施形態では、N=2つ有し、2つの膨張タービン20は、並列に接続された状態で、ガス供給系統50と連結され、2つの膨張タービン20のうち、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22では、第1膨張タービン21は、第2膨張タービン22の第2発電機32で可変する出力の範囲内で、最も大きな第2最大出力W2maxを発揮可能であるのに対し、可変する出力の範囲内に第2最大出力W2maxを包含し、かつ第2最大出力W2maxより大きい第1最大出力W1maxを発揮可能とする第1発電機31に接続されていること、ガス供給系統50で流通可能な都市ガスの流量帯域のうち、膨張タービン20で発電可能となる都市ガスの流量帯域とした発電許容領域PB内で、稼働させる膨張タービン20を変更するタイミングとして、発電機30で発電した出力W、または流量制御弁10の弁開度Dの少なくとも一方に対応して設定された閾値TPが、発電許容領域PB内に設けられていること、都市ガスの流通時、制御ユニット2は、発電機30で発電した出力Wを取得しながら、流量制御弁10の弁開度Dを制御する共に、稼働中の膨張タービン20で、閾値TPに達する状態になるのを機に、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22とに対し、閾値TPを境に、継続して稼働させる膨張タービン20を変更すること、を特徴とする。
【0080】
この特徴により、需要先57で都市ガスの使用量が変化して、発電管路5を流れる都市ガスの流量が大幅に変動しても、ガバナステーション60では、ガス差圧式発電装置1は、整圧によって生じる都市ガスの潜在エネルギー(電気エネルギー)を、持続的して回収することができる。加えて、ガス差圧式発電装置1は、供給する都市ガスの整圧時に、生じた都市ガスの差圧に基づいて発電される発電電力Wに対し、発電効率をより高く、かつ出力レンジをより幅広くして発電することができる。また、ガス差圧式発電装置1では、発電機30で発電する電力について、制御ユニット2により、定量的でより精緻な電力量の管理を行うことができる。特に、省エネルギー化等を促進する観点で、整圧時に都市ガスの差圧を利用して得られる電力を、電力供給先40として、市場に提供して売電する場合でも、ガス差圧式発電装置1は、精緻な電力量の管理を厳格化した「計画値同時同量」を必須要件とする売電向けに、適用を行うことが容易になる。
【0081】
ここで、「計画値同時同量」について、図5を用いて説明する。説明にあたり、先に例示したように、第1ガバナステーション61に設置されるガス差圧式発電装置1で、最大300kW(W1max)を発電可能とする第1発電機31と、最大125kW(W2max)を発電可能とする第2発電機32の組み合わせの場合を挙げる。図5は、実施形態に係るガス差圧式発電装置による供給発電電力と、発電電力計画値との関係を、一例で示したグラフである。
【0082】
ガス差圧式発電装置1で発電する電力を電力供給先40に提供する場合、ガス差圧式発電装置1は、事前に発電計画を定める発電計画値を満す電力で発電する必要がある。本実施形態に係るガス差圧式発電装置1では、制御ユニット2が、第1電力計36及び第2電力計37で検出する発電出力Wに基づいて、第1流量制御弁11の弁開度D及び第2流量制御弁12の弁開度Dを制御することにより、発電計画値に沿う電力需要に対応すべく、発電機30の発電出力Wを制御して調整する。従って、ガス差圧式発電装置1は、図5に示すように、発電計画値に対応すべく、発電電力Wを電力供給先40に供給できているため、電力供給先40に供給するための必須要件となっている「計画値同時同量」を、容易に達成することができる。
【0083】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、流量制御弁10は、2つの膨張タービン20(第1膨張タービン21、第2膨張タービン22)に対し、個々の膨張タービン20と1対1で組をなして設けられていること、を特徴とする。
【0084】
この特徴により、2つの膨張タービン20は、個々の流量制御弁10に基づいて、最適な条件下で運転することができる。
【0085】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22とで、閾値TPを境に、運転する膨張タービン20の交替を伴って、発電機30で発電を続けるとき、制御ユニット2は、閾値TPに到達する時点に合わせて、新たに稼働させる次の膨張タービン20の運転を前もって開始させる共に、閾値TPに到達した時点で、既に稼働していた先の膨張タービン20の運転を停止させ、閾値TPに到達した時点以降、次の膨張タービン20が、発電機30に対し、定常な運転状態で稼働し始めていること、を特徴とする。
【0086】
この特徴により、需要先57で都市ガスの使用量が変化し、発電管路5を流れる都市ガスの流量の変動に対応する場合に、発電機30による発電が、第1発電機31と第2発電機32で切り替わっても、閾値TPに到達した時点で、発電出力Wに大きな変動が生じることなく、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力Wで、発電を継続することができる。
【0087】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22に対し、閾値TPを境に、運転する膨張タービン20の数を増やして、発電機30で発電を続けるとき、制御ユニット2は、閾値TPに到達する時点に合わせて、新たに稼働させる追加対象の膨張タービン20の運転を前もって開始させ、閾値TPに到達した時点以降、追加対象の膨張タービン20が、発電機30に対し、定常な運転状態で稼働し始めていること、を特徴とする。
【0088】
この特徴により、需要先57で都市ガスの使用量が増え、発電管路5を流れる都市ガスの流量が増加する場合でも、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力W(W1+W2)で、発電を継続することができている。
【0089】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、追加対象の膨張タービン20の運転状態に基づいて、流量制御弁10により、稼働していた継続対象の膨張タービン20に流通させる都市ガスの流量を制御すること、を特徴とする。
【0090】
この特徴により、運転する膨張タービン20の追加で、運転する発電機30の数が増えても、閾値TPに到達した直後の時点で、発電出力Wに大きな変動が生じることはない。
【0091】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22で、閾値TPを境に、運転する膨張タービン20の数を減らして、発電機30で発電を続けるとき、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、稼働していた削減対象の膨張タービン20の運転を停止させ、閾値TPに到達した時点以降、稼働していた継続対象の膨張タービン20は、発電機30に対し、定常な運転状態を持続して稼働していること、を特徴とする。
【0092】
この特徴により、需要先57で都市ガスの使用量が減り、発電管路5を流れる都市ガスの流量が減少する場合でも、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力Wで、発電を継続することができている。
【0093】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、制御ユニット2は、閾値TPに到達した時点で、削減対象の膨張タービン20の運転状態に基づいて、流量制御弁10により、継続対象の膨張タービン20に流通させる都市ガスの流量を制御すること、を特徴とする。
【0094】
この特徴により、運転する膨張タービン20の削減で、運転する発電機30の数が減っても、閾値TPに到達した直後の時点で、発電出力Wに大きな変動が生じることはない。
【0095】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、ガス供給系統50のうち、2つの膨張タービン20が設置された発電管路5で、流れる都市ガスが、発電許容領域PB上限の流量を超えるとき、ガバナ9は開路していること、を特徴とする。
【0096】
この特徴により、都市ガスが、発電許容領域PB内で発電可能な流量を満たして、大量にガス供給系統50を流れる場合、流通する都市ガスを無駄なく利用して、効率良く発電機30で発電を行うことができると共に、発電許容領域PB上限の流量を超えた都市ガスは、ガバナ9によって整圧され、需要先57側に供給できる。
【0097】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1は、都市ガスを供給元56側から需要先57側に向けて供給するガス供給系統50上に、流通する都市ガスに対し、一次側の圧力を減圧して二次側の圧力に整圧するガバナ9と、一次側から流通する都市ガスを膨張させることにより、二次側の圧力に減圧する膨張タービン20とを、並列に接続した状態で連結されたガス差圧式発電装置において、膨張タービン20は、接続する発電機30と組みをなした態様で、2つ有し、2つの膨張タービン20(第1膨張タービン21、第2膨張タービン22)は、並列に接続された状態で、ガス供給系統50に連結されていること、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22では、各々の発電機30で発電可能な最大出力Wの大きさが、互いに異なっていること、膨張タービン20の一次側に流入する都市ガスの流れを制御する流量制御弁10と、電気的な制御を行う制御ユニット2と、を備え、制御ユニット2は、流量制御弁10と発電機30とに対し、電気的に接続され、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22が、流量制御弁10により、制御された都市ガスの流量に基づいて、選択的に作動すること、を特徴とする。
【0098】
この特徴により、需要先57で都市ガスの使用量が変化し、発電管路5を流れる都市ガスの流量の変動に対応する場合でも、発電機30による発電出力Wに大きな変動が生じることなく、発電管路5を流れる都市ガスの流量に応じた発電出力Wで、発電を行うことができる。
【0099】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1では、流量制御弁10は、2つの膨張タービン20に対し、個々の膨張タービン20と1対1で組をなして設けられていること、を特徴とする。
【0100】
この特徴により、2つの膨張タービン20は、個々の流量制御弁10に基づいて、最適な条件下で運転することができる。
【0101】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1では、膨張タービン20の一次側にある一次側管路部6に、都市ガスを加熱する熱交換器35を備えていること、を特徴とする。
【0102】
この特徴により、発電管路5の並列管路部7を流れる都市ガスに対し、膨張タービン20による減圧時に、膨張による温度の低下を見込んで加熱を行うことで、膨張タービン20の二次側を流れる都市ガスの温度は、減圧前の温度から大幅に低下するのを抑止できる。そのため、都市ガスが、膨張タービン20によって減圧されても、都市ガスの温度は、供給に必要な温度を維持することができることから、膨張タービン20の通過後、都市ガスを、引き続きガス供給系統50の下流側に向けて供給していく上で、その運用に支障をきたすことが回避できる。
【0103】
また、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御プログラムは、ガス供給系統50で流通可能な都市ガスの流量帯域のうち、膨張タービン20(第1膨張タービン21、第2膨張タービン22)で発電可能となる都市ガスの流量帯域とした発電許容領域PB内で、稼働させる膨張タービン20を変更するタイミングとして、発電機30で発電した出力W、または流量制御弁10の弁開度Dの少なくとも一方に対応して設定された閾値TPを、発電許容領域PB内に設けること、都市ガスの流通時、発電機30で発電した出力を継続的に取得し、流量制御弁10の弁開度Dを制御させ、稼働中の膨張タービン20で、閾値TPに達する状態になるのを機に、第1膨張タービン21と第2膨張タービン22とに対し、閾値TPを境に、継続して稼働させる膨張タービン20を変更させること、を特徴とする。
【0104】
この特徴により、ガス差圧式発電装置1は、ガス供給系統50を流れる都市ガスの流通に基づいて、自動運転で、整圧時に生じた都市ガスの差圧により発電することができる。
【0105】
従って、本実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法、ガス差圧式発電装置1の制御プログラム、及びガス差圧式発電装置1によれば、供給する都市ガスの整圧時に、生じた都市ガスの差圧に基づいて、発電電力を直に制御して発電することができる。
【0106】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0107】
(1)例えば、実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、都市ガスの流量減少化に伴い、膨張タービン20の数を減らす場合に、発電出力が小さい発電機と接続された膨張タービンを優先して、発電出力W2が小さい第2膨張タービン22を、削減対象の膨張タービン20とした。しかしながら、削減対象の膨張タービンは、発電出力W1が大きい第1膨張タービン21としても良く、実際に生じる都市ガスの流量減少分に応じて、発電許容領域に余裕を持たない発電機と接続された膨張タービンであれば良い。
【0108】
(2)また、実施形態では、2つの膨張タービン20(第1膨張タービン21、第2膨張タービン22)を備えたガス差圧式発電装置1を挙げた。しかしながら、本発明のガス差圧式発電装置は、複数の膨張タービンのうち、第1の膨張タービンと第2の膨張タービン以外に膨張タービンを包含したものでも良い。そして、第1の膨張タービンと第2の膨張タービン以外に包含する膨張タービンは、第1の膨張タービンまたは第2の膨張タービンの少なくとも何れかと同一、あるいは第1の膨張タービン及び第2の膨張タービンとは異なる発電出力を具備した発電機と接続されたものでも良い。
【0109】
(3)また、実施形態に係るガス差圧式発電装置1の制御方法では、ガス差圧式発電装置1を、ガバナステーション60に設置した。しかしながら、本発明のガス差圧式発電装置は、ガバナステーション60以外にも、前述したように、例えば、LNGターミナルのほか、燃料ガスを整圧する設備を有した工場等のガス整圧設備所に設置されても良く、供給する燃料ガスの整圧を行うのにあたり、生じた燃料ガスの差圧を利用して発電を行う設備所であれば、本発明のガス差圧式発電装置の設置場所は、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0110】
1 ガス差圧式発電装置
2 制御ユニット(制御手段)
3 記憶部(記憶手段)
5 発電管路
9 ガバナ
10 流量制御弁(ガス流量制御手段)
11 第1流量制御弁(ガス流量制御手段)
12 第2流量制御弁(ガス流量制御手段)
20 膨張タービン
21 第1膨張タービン(第1の膨張タービン)
22 第2膨張タービン(第2の膨張タービン)
30 発電機
31 第1発電機(発電機)
32 第2発電機(発電機)
50 ガス供給系統
56 供給元
57 需要先
PB 発電許容領域
W1max 第1最大出力
W2max 第2最大出力
図1
図2
図3
図4
図5