(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】電子体温計
(51)【国際特許分類】
G01K 7/00 20060101AFI20230313BHJP
G01K 13/20 20210101ALI20230313BHJP
【FI】
G01K7/00 311
G01K13/20 361Z
(21)【出願番号】P 2019123173
(22)【出願日】2019-07-01
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】池田 志帆
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-224828(JP,A)
【文献】特開2007-155579(JP,A)
【文献】特開2010-8152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00-7/42
G01K 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子体温計であって、
被測定部位の温度を測定する測定部と、
複数の報知手段を備え、前記複数の報知手段のうちの1または2以上の報知手段により報知を行う複数の報知モードを有する報知部と、
前記電子体温計の電源のオン/オフを切り換える電源スイッチと、
前記測定部による前回の測定値である前回値を記憶する記憶部と、
表示部と、
前記電子体温計の電源がオフの状態から前記電源スイッチが継続的に押下されると、ユーザへの報知に用いる設定報知モードとして、前記複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記設定報知モードとして前記複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定した後、前記設定報知モードとして設定した報知モードおよび前記前回値を前記表示部に表示させる、電子体温計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子体温計において、
前記制御部は、前記電源スイッチが継続的に押下された押下時間に応じて、前記設定報知モードとして、前記複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定する、電子体温計。
【請求項3】
請求項2に記載の電子体温計において、
前記制御部は、前記電源スイッチの押下時間に応じて、前記複数の報知モードのそれぞれを巡回的に選択し、前記電源スイッチの押下が解除された時点で選択している報知モードを、前記設定報知モードとして設定する、電子体温計。
【請求項4】
請求項1に記載の電子体温計において、
前記制御部は、前記電源スイッチが継続的に所定時間だけ押下された後、前記電源スイッチの押下が解除されると、前記電源スイッチの押下が解除されてからの経過時間に応じて、前記複数の報知モードのそれぞれを巡回的に選択し、前記電源スイッチが再度押下された時点で選択している報知モードを、前記設定報知モードとして設定する、電子体温計。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電子体温計において、
前記制御部は、前記選択している報知モードによる報知を前記報知部に行わせる、電子体温計。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の電子体温計において、
前記制御部は、前記報知モードの選択の巡回数が所定回数に達すると、前記報知モードの選択を停止する、電子体温計。
【請求項7】
請求項6に記載の電子体温計において、
前記制御部は、前記報知モードの選択を停止すると、前記報知モードの選択の前に前記設定報知モードとして設定されていた報知モードを、前記設定報知モードとして設定する、電子体温計。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電子体温計において、
前記表示部を照明するバックライトをさらに有し、
前記報知部は、振動モータの振動による報知を行う振動報知部を少なくとも備え、
前記制御部は、前記バックライトと、前記振動モータとを同時に駆動しないように、前記バックライトの点灯と前記振動モータの振動とを制御する、電子体温計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
腋下などの被測定部位の温度を測定する体温計の中には、測定の終了などのユーザへの報告を行う報知部を備えるものがある。例えば、特許文献1には、複数の報知モードを有し、ユーザへの報知に用いる報知モードを複数の報知モードの中から切り換えることができる電子体温計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている電子体温計では、電源オフの状態でのスイッチの長押しにより、現在設定されている報知モードおよび前回の測定値(前回値)がそれぞれ所定時間だけ表示部に表示された後、さらにスイッチの長押しが継続されることで、報知モードの切り換えが可能となる。そのため、特許文献1に記載されている電子体温計では、ユーザは、現在設定されている報知モードおよび前回値が表示された後にしか報知モードを変更することができず、報知モードの変更に時間がかかり、利便性に欠けるという問題がある。
【0005】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、報知モードの切り換えにおける利便性の向上を図ることができる電子体温計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る電子体温計は、
被測定部位の温度を測定する測定部と、
複数の報知手段を備え、前記複数の報知手段のうちの1または2以上の報知手段により報知を行う複数の報知モードを有する報知部と、
前記電子体温計の電源のオン/オフを切り換える電源スイッチと、
前記測定部による前回の測定値である前回値を記憶する記憶部と、
表示部と、
前記電子体温計の電源がオフの状態で前記電源スイッチが継続的に押下されると、ユーザへの報知に用いる設定報知モードとして、前記複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記設定報知モードとして前記複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定した後、前記設定報知モードとして設定した報知モードおよび前記前回値を前記表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、報知モードの切り換えにおける利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子体温計の構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す電子体温計の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図2に示すステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図4】従来の電子体温計の動作例を示すフローチャートである。
【
図5A】
図1に示す制御部による、電子体温計の電源をオンにする際の、ブザー、振動モータおよびバックライトの駆動例を示す図である。
【
図5B】
図1に示す制御部による、電子体温計の電源をオフにする際の、ブザー、振動モータおよびバックライトの駆動例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子体温計10の構成例を示す図である。本実施形態に係る電子体温計10は、生体の被測定部位の温度を測定し、測定の終了などのユーザへの報知を行うものである。
【0011】
図1に示す電子体温計10は、測定部11と、報知部12と、電源スイッチ13と、記憶部14と、タイマ15と、表示部16と、バックライト17と、制御部18とを備える。
【0012】
測定部11は、被測定部位の温度を測定する。測定部11は、センサ111と、算出部112とを備える。
【0013】
センサ111は、例えば、サーミスタなどの感温素子である。センサ111は、電子体温計10による温度の測定時には、被測定部位に密着され、被測定部位の温度に応じた検出信号を算出部112に出力する。
【0014】
算出部112は、センサ111から出力された検出信号に基づき、被測定部位の温度を算出し、算出結果を制御部18に出力する。
【0015】
報知部12は、測定部11による温度の測定の終了などのユーザへの報知を行う。報知部12は、複数の報知手段を備え、複数の報知手段のうちの1または2以上の報知手段により報知を行う複数の報知モードを有する。本実施形態においては、報知部12は、報知手段として、ブザー報知部121と、振動報知部122とを備える。
【0016】
ブザー報知部121は、ブザー音あるいはメロディ音などを発生する音発生装置(ブザー)を備えており、音発生装置から発せられた音によりユーザへの報知を行う。振動報知部122は、振動発生装置(例えば、振動モータあるいはピエゾ素子など)を備えており、振動モータの振動によりユーザへの報知を行う。
【0017】
以下では、報知部12は、報知モードとして、ブザー報知部121による報知を行う報知モード(第1の報知モード)と、振動報知部122による報知を行う報知モード(第2の報知モード)と、ブザー報知部121および振動報知部122による報知を行う報知モード(第3の報知モード)とを有するものとして説明する。報知部12は、制御部18により、ユーザへの報知に用いる報知モードである設定報知モードとして複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードが設定され、設定報知モードとして設定された報知モードによる報知を行う。
【0018】
本実施形態においては、報知部12は、報知手段として、音による報知を行うブザー報知部121と、振動による報知を行う振動報知部122とを備える例を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。報知部12は、例えば、光の明滅による報知を行う報知手段を備えていてもよい。
【0019】
電源スイッチ13は、電子体温計10の電源のオン/オフを切り換える操作スイッチである。電源スイッチ13は、ユーザによる操作(例えば、押下)が行われると、その操作に応じた信号を制御部18に出力する。
【0020】
記憶部14は、例えば、メモリである。記憶部14は、電子体温計10の各種動作に必要な情報およびプログラムを記憶する。例えば、記憶部14は、測定部11の前回の測定値(前回値)および設定報知モードとして現在設定されている報知モードを記憶する。記憶部14は、初期状態では、前回値として工場出荷時に設定された所定値、および、設定報知モードとして工場出荷時に設定された報知モードを記憶する。
【0021】
タイマ15は、電子体温計10の動作の制御処理のためのタイマ値を制御部18に出力する。タイマ15から出力されるタイマ値に基づき、制御部18は、電子体温計10の動作の制御処理を行う。
【0022】
表示部16は、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。表示部16は、制御部18の制御に従い、種々の情報を表示する。例えば、表示部16は、測定部11により測定された被測定部位の温度を表示する。また、表示部16は、設定報知モードとして現在設定されている報知モードなどを表示してもよい。
【0023】
バックライト17は、表示部16を照明する。
【0024】
制御部18は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部18は、電子体温計10の動作を制御する。例えば、制御部18は、測定部11に被測定部位の温度を測定させ、その測定値を、表示部16に表示させるとともに、記憶部14に記憶させる。また、制御部18は、電子体温計10の電源がオフの状態から電源スイッチ13が継続的に押下されると、設定報知モードとして、複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定する設定モードに移行する。また、制御部18は、設定報知モードとして設定した報知モードを記憶部14に記憶させる。また、制御部18は、バックライト17の点灯・消灯を制御する。また、制御部18は、測定部11による測定後、タイマ15から出力されるタイマ値に基づき、所定時間以上、電子体温計10の電源がオンの状態であれば、電子体温計10の電源をオフにする。
【0025】
次に、本実施形態に係る電子体温計10の動作について、
図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0026】
電子体温計10の電源がオフの状態から電源スイッチ13が所定時間だけ継続的に押下されると、電子体温計10の電源がオンの状態になる。制御部18は、電子体温計10の電源がオンの状態になったことを報知する開始報知を報知部12に行わせる(ステップS1)。上述したように、記憶部14には、設定報知モードとして設定されている報知モードが記憶されている。制御部18は、記憶部14に設定報知モードとして記憶されている報知モードで、報知部12に開始報知を行わせる。開始報知を行うことで、ユーザは、設定報知モードとして現在設定されている報知モードを把握することができる。
【0027】
次に、制御部18は、表示部16の表示セグメントを全点灯させる(ステップS2)。所定時間だけ表示部16を全点灯させた後、制御部18は、電源スイッチ13の押下が継続されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0028】
電源スイッチ13の押下が継続されていると判定した場合(ステップS3:Yes)、制御部18は、設定報知モードを設定する設定モードに移行し、設定報知モードとして設定する報知モードを変更する(ステップS4)。制御部18は、電子体温計10の電源がオフの状態から電源スイッチ13が継続的に押下された押下時間に応じて、設定報知モードとして設定する報知モードを変更する。具体的には、制御部18は、電源スイッチ13の押下時間に応じて、複数の報知モードのそれぞれを巡回的に選択することで、設定報知モードとして設定する報知モードを変更する。
【0029】
以下では、報知部12が、第1の報知モード(ブザー報知部121による報知)、第2の報知モード(振動報知部122による報知)および第3の報知モード(ブザー報知部121および振動報知部122による報知)を有する場合を例として、上述したステップS4の処理の詳細について説明する。
【0030】
図3は、
図2に示すステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0031】
所定時間だけ表示部16を全点灯させた後、電源スイッチ13の押下が継続されていると判定した場合(ステップS3:Yes)、制御部18は、第1の報知モードによる報知を報知部12に行わせるとともに、現在の報知モード(第1の報知モード)の表示を表示部16に行わせる。次に、制御部18は、第1の報知モードを選択しているか否かを判定する(ステップS41)。上述したように、制御部18は、電源スイッチ13の押下時間に応じて、複数の報知モード(第1の報知モードから第3の報知モード)のそれぞれを巡回的に選択する。ここで、制御部18は、設定モードに移行した時点では、設定報知モードとして現在設定されている報知モードを選択していると判定する。
【0032】
第1の報知モードを選択していると判定した場合(ステップS42:Yes)、制御部18は、第1の報知モードを設定報知モードとして設定し(ステップS43)、後述するステップS5の処理に進む。
【0033】
第1の報知モードを選択していないと判定した場合(ステップS42:No)、制御部18は、第2の報知モードによる報知を報知部12に行わせるとともに、現在の報知モード(第2の報知モード)の表示を表示部16に行わせる(ステップS44)。次に、制御部18は、制御部18は、第2の報知モードを選択しているか否かを判定する(ステップS45)。
【0034】
第2の報知モードを選択していると判定した場合(ステップS45:Yes)、制御部18は、第2の報知モードを設定報知モードとして設定し(ステップS46)、後述するステップS5の処理に進む。
【0035】
第2の報知モードを選択していないと判定した場合(ステップS45:No)、制御部18は、第3の報知モードによる報知を報知部12に行わせるとともに、現在の報知モード(第3の報知モード)の表示を表示部16に行わせる(ステップS47)。次に、制御部18は、第3の報知モードを選択しているか否かを判定する(ステップS48)。
【0036】
第3の報知モードを選択していると判定した場合(ステップS48:Yes)、制御部18は、第3の報知モードを設定報知モードとして設定し(ステップS49)、後述するステップS5の処理に進む。
【0037】
第3の報知モードを選択していないと判定した場合(ステップS48:N0)、制御部18は、ステップS41の処理に戻る。
【0038】
このように、制御部18は、電源スイッチ13の継続的な押下時間に応じて、複数の報知モードのそれぞれを巡回的に選択し、電源スイッチ13の押下が解除された時点で選択している報知モードを、設定報知モードとして設定する。したがって、制御部18は、所定時間(例えば、4秒)ごとに、設定報知モードとして設定する報知モードを巡回的に変更する。
図3に示す例では、制御部18は、第1の報知モード→第2の報知モード→第3の報知モード→第1の報知モード・・・というように、第1の報知モードから第3の報知モードを所定時間毎に巡回的に選択する。
【0039】
図2を再び参照すると、第1の報知モードから第3の報知モードのいずれかが設定報知モードとして設定されると(ステップS43、ステップS46またはステップS49)、制御部18は、設定報知モードとして設定した報知モードの表示(設定報知モード表示)を所定時間だけ表示部16に行わせる(ステップS5)。設定報知モード表示を行うことで、ユーザは、どの報知モードが設定報知モードとして設定されたかを視認することができる。
【0040】
次に、制御部18は、記憶部14に記憶されている前回値を所定時間だけ表示部16に表示させる(ステップS6)。このように本実施形態においては、制御部18は、設定報知モードとして複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定した後、設定報知モードとして設定した報知モードおよび前回値を表示部16に表示させる。
【0041】
前回値を表示部16に表示させた後、制御部18は、測定部11に被測定部位の温度の測定を開始させる(ステップS7)。
【0042】
測定部11の測定開始後、制御部18は、測定部11の測定値が確定したか否かを判定する(ステップS8)。制御部18は、例えば、測定値の変化率に基づき、測定値が確定したか否かを判定する。この場合、制御部18は、例えば、測定値の変化率が予め設定された閾値以下になると、測定値が確定したと判定する。測定値が確定したか否かの判定は、算出部112が行ってもよい。
【0043】
測定値が確定していないと判定した場合(ステップS8:No)、制御部18は、ステップS8の処理を繰り返す。
【0044】
測定値が確定したと判定した場合(ステップS8:Yes)、制御部18は、測定部11の測定結果を表示部16に表示させる(ステップS9)。そして、制御部18は、設定報知モードとして設定された報知モードで、測定の終了の報知(測定終了報知)を報知部12に行わせる(ステップS10)。制御部18は、測定の終了の報知を、複数回(例えば、3回程度)、報知部12に行わせてもよい。
【0045】
比較のために、特許文献1に記載されているような、従来の電子体温計の動作例を、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
図4において、
図2と同様の処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
従来の電子体温計においては、
図4に示すように、表示部16の全点灯(ステップS2)に続いて、設定報知モード表示(ステップS5)、および、前回値の表示(ステップS6)が行われた後に、電源スイッチ13の押下が継続されているか否かが判定される(ステップS3)。したがって、従来の電子体温計においては、ユーザは、設定報知モード表示および前回値の表示がそれぞれ所定時間だけ行われた後にしか、報知モードを変更することができない。そのため、報知モードの変更に時間がかかり、利便性に欠ける。
【0047】
一方、本実施形態に係る電子体温計10においては、
図2を参照して説明したように、制御部18は、電子体温計10の電源がオフの状態から電源スイッチ13が継続的に押下されると、表示部16の全点灯の後、設定報知モードとして設定した報知モードおよび前回値を表示することなく、設定モードに移行する。そのため、速やかに報知モードの変更を開始することができるので、報知モードの切り換えにおける利便性の向上を図ることができる。
【0048】
本実施形態においては、電源スイッチ13の押下を継続することで、設定報知モードとして設定する報知モードを変更する例を用いて説明したが、本発明はこれに限られない。
【0049】
例えば、制御部18は、電源スイッチ13が継続的に所定時間だけ押下された後、電源スイッチ13の押下が解除されると、設定モードに移行してもよい。この場合、制御部18は、電源スイッチ13の押下が解除されてからの経過時間に応じて、複数の報知モードを巡回的に選択し、電源スイッチ13が再度押下された時点で選択している報知モードを、設定報知モードに設定してもよい。こうすることで、ユーザは、報知モードを変更するために電源スイッチ13を押下し続ける必要が無くなるので、報知モードの切り換えにおける利便性の向上を図ることができる。
【0050】
また、制御部18は、電源スイッチ13の押下時間、あるいは、電源スイッチ13の押下の解除からの経過時間に応じて、複数の報知モードのそれぞれを巡回的に選択する場合に、報知モードの選択の巡回数が所定回数に達すると、報知モードの選択を停止してもよい。例えば、報知部12が第1の報知モードから第3の報知モードを有する場合、制御部18は、第1の報知モードから第3の報知モードをそれぞれ所定回数(例えば、3回)ずつ選択すると、報知モードの選択を停止してもよい。
【0051】
図2を参照して説明したように、選択報知モード報知を行う場合、例えば、ユーザの意図に反して電源スイッチ13が長押しされると、電源スイッチ13が長押しされている間、報知部12による報知が繰り返され、電子体温計10に内蔵された電池の消費を招いてしまう。そこで、報知モードの選択の巡回数に制限を設けることで、ユーザの意図に反して電源スイッチ13が長押しされた場合にも、巡回数が所定回数に達した後は、報知部12による報知が繰り返されなくなるので、電子体温計10に内蔵された電池の消費の抑制を図ることができる。
【0052】
報知モードの選択の巡回数が所定回数に達し、報知モードの選択を停止した場合、制御部18は、例えば、報知モードの選択に設定報知モードとして設定されていた報知モードを、設定報知モードとして設定する。すなわち、制御部18は、設定報知モードの設定を維持する。こうすることで、ユーザの意図に反して電源スイッチ13の長押しにより、設定報知モードの設定が変更される可能性を低減することができる。
【0053】
また、本実施形態においては、制御部18は、バックライト17と、振動報知部122が備える振動モータとを同時に駆動しないように、バックライト17の点灯と振動報知部122が備える振動モータの振動とを制御してもよい。
【0054】
図5Aは、制御部18による、電子体温計10の電源をオンにする際の、ブザー報知部121のブザー、振動報知部122の振動モータおよびバックライト17の駆動例を示す図である。
【0055】
図5Aに示すように、制御部18はまず、時刻t11から時刻t12までの間、および、時刻t12の後の時刻t13から時刻t14までの間の2回、ブザーに音を発生させる。次に、制御部18は、時刻t14から所定時間が経過後の時刻t15から時刻t16までの間、振動モータを振動させる。次に、制御部18は、振動モータの駆動を停止した時刻t16から所定時間が経過後の時刻t17から時刻t18までの間、バックライト17を点灯させる。
【0056】
図5Bは、制御部18による、電子体温計10の電源をオフにする際の、ブザー報知部121のブザー、振動報知部122の振動モータおよびバックライト17の駆動例を示す図である。
【0057】
図5Bに示すように、制御部18はまず、時刻t21からブザーに音を発生させるとともに、バックライト17を点灯させる。次に、制御部18は、時刻t21から所定時間が経過後の時刻t22において、ブザーの音の発生を停止し、時刻t22から所定時間が経過後の時刻t23において、バックライト17を消灯させる。次に、制御部18は、バックライト17を消灯した時刻t23から所定時間が経過した時刻t24から時刻t25までの間、振動モータを振動させる。
【0058】
図5Aに示すように、制御部18は、振動モータの駆動を停止した後に、バックライト17を点灯させる。また、
図5Bに示すように、制御部18は、バックライト17を消灯した後に、振動モータを駆動させる。バックライト17および振動報知部122の振動モータは比較的、消費電力が大きい。消費電力が大きいバックライト17および振動報知部122の振動モータを同時に駆動すると、電子体温計10の回路に流れる電流が増加する。電子体温計10の回路に流れる電流が増加すると、電池の内部抵抗によって、電池電圧が低下する。
【0059】
そこで、本実施形態においては、
図5A,5Bに示すように、制御部18は、バックライト17と、振動報知部122が備える振動モータとを同時に駆動しないように、バックライト17の点灯と振動モータの振動とを制御する。こうすることで、電子体温計10に内蔵された電池の電池電圧の低下を抑制することができる。
【0060】
なお、設定報知モードとして設定する報知モードを変更する際に、制御部18は、電源スイッチ13の押下時間などに応じて選択した報知モードにより報知部12に報知(選択報知モード報知)を行わせる。報知モードの中には、振動報知部122の振動モータの振動による報知を行う報知モードもある。そのため、制御部18は、設定報知モードとして設定する報知モードを変更する場合、バックライト17を消灯させてもよい。こうすることで、バックライト17と、振動報知部122が備える振動モータとを同時に駆動しないようにすることができる。
【0061】
このように本実施形態においては、電子体温計10は、被測定部位の温度を測定する測定部11と、複数の報知手段を備え、複数の報知手段のうちの1または2以上の報知手段により報知を行う複数の報知モードを有する報知部12と、電子体温計10の電源のオン/オフを切り換える電源スイッチ13と、測定部11による前回の測定値である前回値を記憶する記憶部14と、表示部16と、電子体温計10の電源がオフの状態から電源スイッチ13が継続的に押下されると、設定報知モードとして、複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定する制御部18とを備える。制御部18は、設定報知モードとして複数の報知モードのうちのいずれかの報知モードを設定した後に、設定報知モードとして設定した報知モードと、前回値とを表示部16に表示させる。
【0062】
そのため、従来の電子体温計のように、設定報知モードとして設定した報知モードおよび前回値を表示することなく、速やかに報知モードの変更を開始することができるので、報知モードの切り換えにおける利便性の向上を図ることができる。
【0063】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 電子体温計
11 測定部
12 報知部
13 電源スイッチ
14 記憶部
15 タイマ
16 表示部
17 バックライト
18 制御部
111 センサ
112 算出部
121 ブザー報知部(報知手段)
122 振動報知部(報知手段)