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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】スラスト軸受装置および回転電機
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/06 20060101AFI20230313BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20230313BHJP
   F16C 35/02 20060101ALI20230313BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20230313BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
F16C27/06 A
F16C17/04 Z
F16C35/02 G
F16C17/02 Z
H02K7/08 B
H02K7/08 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019128088
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2021014855
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽生 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】牧野 駿介
(72)【発明者】
【氏名】東條 裕宇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠利
(72)【発明者】
【氏名】長田 大
(72)【発明者】
【氏名】池田 和徳
(72)【発明者】
【氏名】見村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】吉水 謙司
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-004045(JP,A)
【文献】実開平01-065418(JP,U)
【文献】特開平03-272317(JP,A)
【文献】特開2017-061999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00-35/00
H02K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に取り付けられるスラストカラーと、
前記スラストカラーを第1の油膜を介して内径方向に支持するガイド軸受と、
前記スラストカラーの下側に設けられる回転板と、
前記回転板を第2の油膜を介して軸方向に支持する静止板と、
前記回転板もしくは前記スラストカラーに備えられ、前記スラストカラーの熱変形による前記第2の油膜の厚みの変化を緩和する機構と
を具備し、
前記機構として、前記スラストカラーの底面を前記回転板の上面に対して径方向に滑動させる機構を有し、
前記スラストカラーの底面が前記回転板の上面に対して径方向に滑動可能となるように前記スラストカラーの底面および前記回転板の上面がそれぞれ湾曲面に加工されている、
スラスト軸受装置。
【請求項2】
前記スラストカラーの前記第1の油膜と接する面に配置され、前記スラストカラーよりも熱伝導率が小さい低熱伝部材を、更に具備する、
請求項に記載のスラスト軸受装置。
【請求項3】
前記低熱伝部材は、前記スラストカラーの外周面に配置される別のスラストカラーを含む、
請求項に記載のスラスト軸受装置。
【請求項4】
前記低熱伝部材は、前記スラストカラーの外周面に配置される断熱材と、前記断熱材の外周面に配置される別のスラストカラーとを含む、
請求項に記載のスラスト軸受装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のスラスト軸受装置を備えた回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スラスト軸受装置および回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば立軸型の水車発電機等に代表される回転電機においては、回転子を含む軸方向荷重を支えるためにスラスト軸受装置が採用されている。図8に、従来のスラスト軸受装置の構成の一例を示す。
【0003】
図8は、従来のスラスト軸受装置の一部の概略構成を示す断面図である。このスラスト軸受装置においては、回転軸1にスラストカラー2が取り付けられ、スラストカラー2の下面には回転板4が取り付けられる。また、回転板4の下部には例えば複数の扇形の静止板5が回転軸1の周りに放射状に設置される。各静止板5の下部にはスプリング6が取り付けられ、各静止板5がスプリング6を介して台板5aにより支持される構造となっている。スラストカラー2の外径側には周方向に一定の間隔で複数のガイド軸受3が配置される。これらの部材の周りには図示しない油槽があり、油槽内の空間Gに潤滑油が封入される。
【0004】
このような構成において、スラストカラー2は、回転軸1の回転に追従して回転する。このとき、回転板4と各静止板5との間に油膜7が形成される。また、図8には図示されていないが、スラストカラー2と各ガイド軸受3との間にも油膜7aが形成される。
【0005】
各静止板5は、下部に取り付けているスプリング6によって回転方向に対し進み側が狭くなるように傾斜し、回転板4との間に隙間が形成される。当該隙間に油膜7が入ると、油膜7に一定の圧力分布が発生し、当該油膜7によって回転板4が支持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭58-225220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のスラスト軸受装置の構成では、スラストカラー2とこのスラストカラー2を取り囲む各ガイド軸受3との間に形成される油膜(油膜7aや油膜7など)からの熱により、スラストカラー2が変形すると、その変形に追従して回転板4の摺動面(油膜7がある方の面)が傾く場合がある。例えば図9のように回転板4の摺動面が傾くと、油膜7の厚さが回転板4の径方向に不均一となり、スラスト軸受装置の性能が低下する。
【0008】
発明が解決しようとする課題は、性能の低下を抑えることが可能なスラスト軸受装置および回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のスラスト軸受装置は、回転軸に取り付けられるスラストカラーと、前記スラストカラーを第1の油膜を介して内径方向に支持するガイド軸受と、前記スラストカラーの下側に設けられる回転板と、前記回転板を第2の油膜を介して軸方向に支持する静止板と、前記回転板もしくは前記スラストカラーに備えられ、前記スラストカラーの熱変形による前記第2の油膜の厚みの変化を緩和する機構とを具備し、前記機構として、前記スラストカラーの底面を前記回転板の上面に対して径方向に滑動させる機構を有し、前記スラストカラーの底面が前記回転板の上面に対して径方向に滑動可能となるように前記スラストカラーの底面および前記回転板の上面がそれぞれ湾曲面に加工されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、性能の低下を抑えることが可能なスラスト軸受装置および回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図。
図2】第2の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図。
図3】第3の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図。
図4】第4の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図。
図5図4中に示されるガイド軸受3近傍の横断面形状を示す横断面図。
図6】第5の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図。
図7図6中に示されるガイド軸受3近傍の横断面形状を示す横断面図。
図8】従来のスラスト軸受装置の一部の概略構成を示す断面図。
図9図8中に示されるスラストカラー2の熱変形の影響を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
【0013】
なお、以下に説明する各実施形態の各図では、前述の説明で使用した図8と共通する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各実施形態では、図8と異なる部分を中心に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
最初に、図1を参照して、第1の実施形態について説明する。以下では、図8も適宜参照する。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図である。
【0016】
なお、図1では、各部の特徴を理解し易いように強調して表現しているところがあるため、実際のものとは寸法や角度が異なっている部分がある。
【0017】
第1の実施形態に係るスラスト軸受装置は、例えば立軸型の水車発電機等の回転電機に備えられるものであり、回転軸1に取り付けられるスラストカラー2と、スラストカラー2を油膜7aを介して内径方向に支持するガイド軸受3と、スラストカラー2の下側に設けられる回転板4と、回転板4を油膜7を介して軸方向に支持する静止板5と、静止板5の下部に取り付けられるスプリング6と、スプリング6を介して静止板5を支持する台板5aとを有する。
【0018】
さらに第1の実施形態に係るスラスト軸受装置は、スラストカラー2の熱変形による油膜7の厚みの変化を緩和する部材として、スラストカラー2と回転板4との間に配置される弾性体8を有する。弾性体8は、ゴムもしくは金属性のバネから成り、スラストカラー2と回転板4とに挟み込まれる構造となっている。
【0019】
図1では、弾性体8が外径側から内径側まで全体的に均一な厚さを有するゴムである場合を例示している。弾性体8は、スラストカラー2が熱変形していないときは、スラストカラー2の荷重により、径方向に殆ど偏り無く均等に一定量分だけわずかに収縮した状態にある。このとき、荷重により油膜7にかかる圧力の分布は外径側または内径側に偏らない理想的な形を示し、油膜7の厚みは外径側から内径側まで全体的に均一な厚さを示す。
【0020】
例えばスラストカラー2とガイド軸受3との間に形成される油膜7aからの熱により、スラストカラー2が径方向に広がるように変形すると、図1に示されるようにスラストカラー2が内径側に傾き、スラストカラー2の内径側底部が下方に向かって沈む(あるいはスラストカラー2の外径側底部が持ち上がる)ことがある。
【0021】
このとき、スラストカラー2の内径側底部の沈降に追従して、弾性体8の内径側部分が収縮する。すなわち、弾性体8は緩衝材の役割を果たす。これにより、回転板4の内径側部分が沈降することが抑制され、回転板4の摺動面が傾くことが抑制され、油膜7の内径側の厚みが小さくなることが抑制される。このとき、荷重により油膜7にかかる圧力の分布は内径側には殆ど偏っておらず、油膜7の厚みは外径側から内径側までほぼ均一な厚さを示す。
【0022】
かりに、弾性体8が無いと仮定すると、スラストカラー2の内径側底部の沈降に追従して、回転板4の内径側部分が沈降し、回転板4の摺動面が傾き、油膜7の内径側の厚みが小さくなる。このとき、荷重により油膜7にかかる圧力の分布は内径側に偏っており、油膜7の厚みは外径側から内径側まで全体的に均一な厚さを示さない。
【0023】
第1の実施形態によれば、スラストカラー2の熱変形によって回転板4の摺動面が傾くことを抑制することができ、静止板5上に形成される油膜7の厚さが不均一になることを抑制することができる。また、弾性体8が緩衝材となり、回転板4の摺動面の平面性が保たれるため、回転板4の摺動面に対して高い加工精度を求める必要もなくなる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、図2を参照して、第2の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0025】
図2は、第2の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図である。
【0026】
なお、図2では、各部の特徴を理解し易いように強調して表現しているところがあるため、実際のものとは寸法や角度が異なっている部分がある。
【0027】
前述の第1の実施形態では、弾性体8がスラストカラー2と回転板4との間に配置される場合を示したが、この第2の実施形態では、弾性体8は、上下に二分される二枚の回転板9、4Aの間に配置される。すなわち、前述の回転板4の代わりに二枚の回転板4A、9を採用し、弾性体8が回転板4Aと回転板9とに挟まれる構造としている。このように弾性体8を回転板4Aと回転板9とで挟み込んだ構造の新たな回転板がスラストカラー2に取り付けられている。
【0028】
例えばスラストカラー2とガイド軸受3との間に形成される油膜7aからの熱により、スラストカラー2が径方向に広がるように変形すると、図2に示されるようにスラストカラー2および回転板9が内径側に傾き、スラストカラー2および回転板9の内径側底部が下方に向かって沈む(あるいはスラストカラー2の外径側底部が持ち上がる)ことがある。
【0029】
このとき、スラストカラー2および回転板9の内径側底部の沈降に追従して、弾性体8の内径側部分が収縮する。すなわち、弾性体8は緩衝材の役割を果たす。これにより、回転板4Aの内径側部分が沈降することが抑制され、回転板4Aの摺動面が傾くことが抑制され、油膜7の内径側の厚みが小さくなることが抑制される。このとき、荷重により油膜7にかかる圧力の分布は内径側には殆ど偏っておらず、油膜7の厚みは外径側から内径側までほぼ均一な厚さを示す。
【0030】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態で得られる効果に加え、スラストカラー2に弾性体8を取り付けるに際し、回転板4と回転板9とで弾性体8を挟んだものを予め組み立てておくことにより、スラストカラー2への取付けが容易となる。
【0031】
(第3の実施形態)
次に、図3を参照して、第3の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0032】
図3は、第3の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図である。
【0033】
なお、図3では、各部の特徴を理解し易いように強調して表現しているところがあるため、実際のものとは寸法や角度が異なっている部分がある。
【0034】
前述の第1の実施形態では、スラストカラー2と回転板4とで弾性体8を挟んだ構造を採用したが、この第の実施形態では、弾性体8を挟まないスラストカラー2Aと回転板4Bとを採用する。
【0035】
第3の実施形態に係るスラスト軸受装置は、スラストカラー2Aの熱変形による油膜7の厚みの変化を緩和する機構として、スラストカラー2Aの底面21を回転板4Bの上面41に対して径方向に滑動させる機構を備えている。具体的には、スラストカラー2Aの底面21が回転板4Bの上面41に対して径方向に滑動可能となるようにスラストカラー2Aの底面21および回転板4Bの上面41がそれぞれ湾曲面に加工されている。
【0036】
例えばスラストカラー2Aとガイド軸受3との間に形成される油膜7aからの熱により、スラストカラー2が径方向に広がるように変形すると、スラストカラー2は内径側に傾こうとする。このとき、スラストカラー2Aの底面21が回転板4Bの上面41に対して径方向に滑動可能に形成されていることから、図3に示されるようにスラストカラー2Aの底面21が外径方向に滑動する。なお、図3中ではスラストカラー2Aの滑動を理解し易いように大きく表現しているが、実際には微動である。これにより、回転板4Bの内径側部分が沈降することが抑制され、回転板4Bの摺動面が傾くことが抑制され、油膜7の内径側の厚みが小さくなることが抑制される。このとき、荷重により油膜7にかかる圧力の分布は内径側には殆ど偏っておらず、油膜7の厚みは外径側から内径側までほぼ均一な厚さを示す。
【0037】
第3の実施形態によれば、弾性体8を設ける必要がなく、スラストカラー2Aの底面21および回転板4Bの上面41を加工することにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
(第4の実施形態)
次に、図4及び図5を参照して、第4の実施形態について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0039】
図4は、第4の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図である。図5は、図4中に示されるガイド軸受3近傍の横断面形状を示す横断面図である。
【0040】
なお、図4及び図5では、各部の特徴を理解し易いように強調して表現しているところがあるため、実際のものとは寸法や角度が異なっている部分がある。
【0041】
前述の第1の実施形態では、スラストカラー2と回転板4とで弾性体8を挟んだ構造を採用したが、この第2の実施形態では、スラストカラー2と回転板4とは弾性体8を挟まない構造とし、スラストカラー2の油膜7aと接する面に、スラストカラー2よりも熱伝導率が小さい低熱伝部材を配置する。例えば、図4及び図5に示されるように、スラストカラー2の外周面に別のスラストカラー11を配置する。スラストカラー11は、例えばセラミック等の熱伝導性の低い材料を用いて構成される。
【0042】
例えば油膜7aに熱に発生すると、その熱がスラストカラー2に伝わろうとするが、スラストカラー11が存在することにより、油膜7aからスラストカラー2に伝わる熱が低減される。これにより、スラストカラー2の熱変形が抑えられる。
【0043】
第4の実施形態によれば、スラストカラー2の熱変形が抑えられることから、スラストカラー2の熱変形によって回転板4の摺動面が傾くことを抑制することができ、静止板5上に形成される油膜7の厚さが不均一になることを抑制することができる。
【0044】
なお、第4の実施形態は、前述した第1~第3の実施形態と組み合わせて実施してもよい。そのようにした場合、併せて第1~第3の実施形態と同様の効果を得ることもできる。
【0045】
(第5の実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、第5の実施形態について説明する。以下では、第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0046】
図6は、第5の実施形態に係るスラスト軸受装置の要部構成を示す縦断面図である。図7は、図6中に示されるガイド軸受3近傍の横断面形状を示す横断面図である。
【0047】
なお、図6及び図7では、各部の特徴を理解し易いように強調して表現しているところがあるため、実際のものとは寸法や角度が異なっている部分がある。
【0048】
前述の第4の実施形態では、スラストカラー2の外周面に別のスラストカラー11を配置する構成としたが、この第5の実施形態では、図6及び図7に示されるように、低熱伝部材として、スラストカラー2の外周面に断熱材12を配置し、更にこの断熱材12の外周面に前述したスラストカラー11を配置する。すなわち、スラストカラー2とスラストカラー11との間に断熱材12を挟む構造となっている。断熱材12は、例えばグラスウール等を用いて構成される。
【0049】
例えば油膜7aに熱に発生すると、その熱がスラストカラー2に伝わろうとするが、スラストカラー11と断熱材12とが存在することにより、油膜7aからスラストカラー2に伝わる熱がより一層低減される。これにより、スラストカラー2の熱変形がより一層抑えられる。
【0050】
第5の実施形態によれば、スラストカラー2の熱変形がより一層抑えられることから、スラストカラー2の熱変形によって回転板4の摺動面が傾くことをより一層抑制することができ、静止板5上に形成される油膜7の厚さが不均一になることをより一層抑制することができる。
【0051】
なお、第5の実施形態は、前述した第1~第3の実施形態と組み合わせて実施してもよい。そのようにした場合、併せて第1~第3の実施形態と同様の効果を得ることもできる。
【0052】
以上詳述したように、各実施形態によれば、性能の低下を抑えることが可能なスラスト軸受装置および回転電機を提供することができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…回転軸、2,2A…スラストカラー、3…ガイド軸受、4,4A,4B…回転板、5…静止板、5a…台板、6…スプリング、7a…油膜(第1の油膜)、7…油膜(第2の油膜)、8…弾性体、9…回転板、10,11…スラストカラー、12…断熱材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9