(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】点検装置及び天井内点検方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20230313BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G01C15/00 104Z
G01C15/00 105R
G01B11/00 B
(21)【出願番号】P 2019128938
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】394026714
【氏名又は名称】株式会社ジャスト
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】山根 英人
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3191721(JP,U)
【文献】特開2017-067491(JP,A)
【文献】特開2010-235218(JP,A)
【文献】特表2016-509710(JP,A)
【文献】特開2010-010099(JP,A)
【文献】特開2005-237973(JP,A)
【文献】実開平06-016621(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 1/00-15/14
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に伸縮自在な支柱と、
前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、
前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、
前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、
を備え
、
前記照明部は、複数の小型光源を組み合わせて成る
ことを特徴とする点検装置。
【請求項2】
上下方向に伸縮自在な支柱と、
前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、
前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、
前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、
を備える点検装置であって、
当該点検装置の最大径をダウンライト埋込穴の直径
未満とすることを特徴とす
る点検装置。
【請求項3】
上下方向に伸縮自在な支柱と、
前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、
前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、
前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、
を備え、
前記照明部の色温度を4500K程度の昼白色とすることを特徴とす
る点検装置。
【請求項4】
前記照明部が前記支柱に寄せて配置されることを特徴とする請求項1
から請求項3のいずれかに記載の点検装置。
【請求項5】
前記3次元スキャナは、3次元の座標値を有する点群データを得るためのレーザスキャナであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の点検装置。
【請求項6】
前記3次元スキャナは、画像データを得るためのイメージスキャナを更に有することを特徴とする請求項5に記載の点検装置。
【請求項7】
前記3次元スキャナは、
鉛直軸周り方向のスキャン及び水平軸周り方向のスキャンが可能であることを特徴とする請求項1から請求項
6のいずれかに記載の点検装置。
【請求項8】
前記インターフェース部は、前記画像処理装置との間で無線通信を行うことを特徴とする請求項1から請求項
7のいずれかに記載の点検装置。
【請求項9】
天井下地のレーダ探査を行うステップと、
天井に小穴を削孔し、ファイバスコープにより天井内の転がし配線を確認するステップと、
前記天井に点検用穴を削孔するステップと、
前記点検用穴から点検装置を挿入するステップと、
前記点検装置による計測を行うステップと、
計測終了後、前記点検用穴にカバープレートを取り付けるステップと、
を含み、
前記点検装置は、
上下方向に伸縮自在な支柱と、
前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、
前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、
前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、
を備えることを特徴とする天井内点検方法。
【請求項10】
ダウンライト埋込穴から点検装置を挿入するステップと、
前記点検装置による計測を行うステップと、
を含み、
前記点検装置は、
上下方向に伸縮自在な支柱と、
前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、
前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、
前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、
を備えることを特徴とする天井内点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検装置及び天井内点検方法に関し、詳細には、天井内の3次元計測に好適な点検装置及び天井内点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物のリニューアル工事等において、工事に取り掛かる前に天井内点検が行われている。例えば、特許文献1に示す天井内点検装置は、昇降棒、三脚、ライト、テレビカメラ、及び画像再生装置を組み合わせた天井内点検装置であり、天井の点検口から昇降棒を伸ばしてテレビカメラを挿入し、天井の様子を撮像するものであった。また、近年では3次元レーザスキャナ等を用いて3次元計測を行い、コンピュータを用いて3Dモデリングを行って、より詳細に天井内の様子を可視化する手法が採用されている。
【0003】
しかし、建設現場等で用いられる従来の据置型の3次元スキャナは大変重く、本体も大型であった。また、外部バッテリーや操作用のコンピュータ機器との接続のためのケーブルが必要で、取り回し性も良くなかった。一方、近年、非特許文献1に示すような小型・軽量の3次元スキャナが開発されている。非特許文献1のスキャナは、直径100mm、高さ165mm、重量約1Kgと小型、軽量であり、かつ高速なレーザスキャンによる3Dモデリングが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Leica Geosystems AG - Part of Hexagon、″Leica BLK360 イメージングレーザースキャナー″、[online]、[令和1年7月4日検索]、インターネット〈URL:https://leica-geosystems.com/ja-jp/products/laser-scanners/scanners/blk360〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に示すスキャナは、暗い天井内を照らすための十分な照明が付属していない。3次元レーザスキャナで取得される点群データから3Dモデリングを行うためには、視認性の良好な可視画像を得ることが不可欠であるため、天井内点検における視認性を向上することが望まれている。例えば、工事現場等で使用されているバルーン照明のような明るさが天井内においても実現できることが望ましいが、バルーン照明はサイズが大きく、それ自体が視野を妨げるおそれがある。また電源や取り回し性の面でも課題がある。特に、天井内の物品の多くは金属光沢のある金物であり、一般的な照明器具では金属光沢で反射し、視認性低下も予見される。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、天井内点検において好適な視認性及び取り回し性を有する点検装置及び天井内点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための第1の発明は、上下方向に伸縮自在な支柱と、前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、を備え、前記照明部は、複数の小型光源を組み合わせて成ることを特徴とする点検装置である。
【0009】
第1の発明の点検装置によれば、伸縮自在な支柱の上端部に照明部を取り付け、照明部の上部に3次元スキャナを取り付けることにより、取り回し性が向上するとともに、照明による逆光を防いで視認性よく3次元スキャナによる全周囲計測を行うことが可能となる。また、支柱が伸縮自在であるため、歩行状態から天井内を計測できるだけでなく、3次元スキャナの鉛直方向位置を自在に調整でき、3次元スキャナの計測範囲を拡大させることができる。また、光量を自在に調整可能となる。よって、天井内点検において好適な視認性及び取り回し性を有する点検装置を提供することが可能となる。
【0010】
第2の発明は、上下方向に伸縮自在な支柱と、前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、を備える点検装置であって、当該点検装置の最大径をダウンライト埋込穴の直径以下未満とすることを特徴とする点検装置である。第2の発明の点検装置によれば、伸縮自在な支柱の上端部に照明部を取り付け、照明部の上部に3次元スキャナを取り付けることにより、取り回し性が向上するとともに、照明による逆光を防いで視認性よく3次元スキャナによる全周囲計測を行うことが可能となる。また、支柱が伸縮自在であるため、歩行状態から天井内を計測できるだけでなく、3次元スキャナの鉛直方向位置を自在に調整でき、3次元スキャナの計測範囲を拡大させることができる。また、天井に点検口が予め設置されていない場合でも、ダウンライト埋込穴から点検装置を挿入して天井内点検を行うことが可能となる。よって、天井内点検において好適な視認性及び取り回し性を有する点検装置を提供することが可能となる。
【0011】
第3の発明は、上下方向に伸縮自在な支柱と、前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、を備え、前記照明部の色温度を4500K程度の昼白色とすることを特徴とする点検装置である。第3の発明の点検装置によれば、伸縮自在な支柱の上端部に照明部を取り付け、照明部の上部に3次元スキャナを取り付けることにより、取り回し性が向上するとともに、照明による逆光を防いで視認性よく3次元スキャナによる全周囲計測を行うことが可能となる。また、支柱が伸縮自在であるため、歩行状態から天井内を計測できるだけでなく、3次元スキャナの鉛直方向位置を自在に調整でき、3次元スキャナの計測範囲を拡大させることができる。また、反射の度合いや色再現性等の観点から、電球色や昼光色と比較して天井内の視認性が向上する。よって、天井内点検において好適な視認性及び取り回し性を有する点検装置を提供することが可能となる。
【0012】
また、前記照明部が前記支柱に寄せて配置されることが望ましい。これにより、取り回し性が向上するとともに、照明部が3次元スキャナの視野外となるため、照明による逆光を防いで視認性よく3次元スキャナによる全周囲計測を行うことが可能となる。
【0013】
前記3次元スキャナは、3次元の座標値を有する点群データを得るためのレーザスキャナであることが望ましい。これにより、天井内の3次元構造を計測可能となる。更に、前記3次元スキャナは、画像データを得るためのイメージスキャナを有することが望ましい。これにより、点群データと画像データとを合成した3次元モデルを生成することが可能となり、天井内構造の視認性が向上する。
【0015】
前記3次元スキャナは、鉛直軸周り方向のスキャン及び水平軸周り方向のスキャンが可能であることが望ましい。これにより、1箇所で全周計測が可能となり、効率よく天井内の点検を行うことが可能となる。
【0016】
前記インターフェース部は、前記画像処理装置との間で無線通信を行うことが望ましい。これにより、インターフェース部を有線とした場合と比較して、点検装置の取り回し性が向上する。また、即時に計測データを画像処理装置に送ることが可能となる。
【0017】
第4の発明は、天井下地のレーダ探査を行うステップと、天井に小穴を削孔し、ファイバスコープにより天井内の転がし配線を確認するステップと、前記天井に点検用穴を削孔するステップと、前記点検用穴から点検装置を挿入するステップと、前記点検装置による計測を行うステップと、計測終了後、前記点検用穴にカバープレートを取り付けるステップと、を含み、前記点検装置は、上下方向に伸縮自在な支柱と、前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、を備えることを特徴とする天井内点検方法である。
【0018】
第4の発明の天井内点検方法によれば、天井下地のレーダ探査を行い、天井に小穴を削孔し、ファイバスコープにより天井内の転がし配線を確認し、天井に点検用穴を削孔し、点検用穴から第1の発明の点検装置を挿入し、前記点検装置による計測を行い、計測終了後、点検用穴にカバープレートを取り付けるという工程で天井内点検を行うことが可能となる。これにより、天井に点検口が無い場合でも、この手順で天井の削孔、第1の発明の点検装置を用いた計測、復旧を行うことができ、効率的に天井内計測を行うことが可能となる。
【0019】
第5の発明は、ダウンライト埋込穴から点検装置を挿入するステップと、前記点検装置による計測を行うステップと、を含み、前記点検装置は、上下方向に伸縮自在な支柱と、前記支柱の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部と、前記照明部の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナと、前記3次元スキャナによる計測データを画像処理装置に送信するインターフェース部と、を備えることを特徴とする天井内点検方法である。
【0020】
第5の発明の天井内点検方法によれば、ダウンライト埋込穴から第1の発明の点検装置を挿入し、前記点検装置による計測を行うことが可能となる。これにより、天井に点検口が無い場合でも、ダウンライト埋込穴を利用して天井内点検を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、天井内点検において好適な視認性及び取り回し性を有する点検装置及び天井内点検方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】3次元スキャナ5の計測可能範囲について説明する図
【
図3】天井内の視認性について比較する図。(a)光源を点検装置1から離れた位置に設置した場合の天井内画像、(b)光源を点検装置1の計測不可範囲に設置した場合の天井内画像
【
図4】(a)照明部4に使用する小型光源41の例、(b)小型光源41の配置の一例を示す斜視図、(c)(b)の上面図
【
図5】照明部4の色温度による視認性を比較する図。(a-1)色温度3000K(電球色)の場合の可視画像、(a-2)色温度3000K(電球色)の場合の点群画像、(b-1)色温度4500K(昼白色)の場合の可視画像、(b-2)色温度4500K(昼白色)の場合の点群画像、(c-1)色温度5700K(昼光色)の場合の可視画像、(c-2)色温度5700K(昼光色)の場合の点群画像
【
図6】本発明の点検装置1の計測可能範囲について説明する図
【
図7】3次元スキャナ5の機能構成及びデータの流れを示すブロック図
【
図8】天井点検口を利用した天井内点検方法の手順を示すフローチャート
【
図9】
図8に示すフローチャートの各ステップを説明する図
【
図10】ダウンライト埋込穴を利用した天井内点検方法の手順を示すフローチャート
【
図11】
図10に示すフローチャートの各ステップを説明する図
【
図12】新規に点検用穴を設置する場合の天井内点検方法の手順を示すフローチャート
【
図14】小型光源41の配置のバリエーションを示す図。(a)2段設置の場合、(b)3段設置の場合
【
図15】小型光源41の配置例を示す図。(a)1段設置、(b)2段設置
【
図16】小型光源41の配置例を示す図。(a)1段設置、(b)2段設置
【
図17】小型光源41の配置例を示す図。(a)1段設置、(b)2段設置
【
図21】三脚2Aにホイール21を設置した点検装置1Aの外観を示す図
【
図22】3次元スキャナ5Bを利用した点検装置1Bの外観を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
まず本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係る点検装置1の外観構成を示す図である。
図1に示すように、点検装置1は、上下方向に伸縮自在な支柱3と、支柱3の上端部に取り付けられ周囲を照らす照明部4と、照明部4の上部に取り付けられ周囲の3次元構造を計測する3次元スキャナ5と、を備える。支柱3は三脚2によって鉛直に支持される。
【0025】
3次元スキャナ5は、周囲の対象物との距離を計測するレーザスキャナ54を有する。レーザスキャナ54により、3次元の座標値を有する点群データを得る。また、3次元スキャナ5は、画像データを得るためのイメージスキャナ55を更に有することが望ましい。3次元スキャナ5は、例えば、鉛直軸周り方向(すなわち水平面内)のスキャン及び水平軸周り方向(すなわち鉛直面内)のスキャンが可能なものを使用する。具体的には、例えばライカ社のBLK360を採用した場合、
図2に示すように、3次元スキャナ5の直下60度の範囲を除く全周(鉛直軸周り方向360度及び水平軸周り方向300度)を計測可能である。
【0026】
狭小部での計測を可能とし、また取り回し性向上の観点から、3次元スキャナ5は、手のひらに乗る程度の小型の3次元スキャナを利用することが望ましい。上述のライカ社のBLK360の場合、直径100[mm]、高さ165[mm]、質量1[kg]であり、好適である。なお、このサイズは好適な一例であり、本発明はこの例に限定されない。ただし、後述するように、ダウンライト埋込穴から天井内に点検装置1を挿入して使用するためには、ダウンライト埋込穴の直径未満のサイズとする必要がある。
【0027】
照明部4は、天井内を照らすための光源であり、
図1に示すように、3次元スキャナ5の下部に設けられる。これは照明による逆光を防ぐためである。光源(照明)を3次元スキャナ5の視野内(計測範囲内)に設置すると、
図3(a)に示すように逆光となり、光源より奥の視認性が著しく低下する。しかし、光源を3次元スキャナ5の視野外(計測不可範囲)に設置すると、
図3(b)に示すように順光となり視認性が向上する。
図2に示すように、3次元スキャナ5の真下は計測不可範囲であるため、3次元スキャナ5の下部に照明部4を設けることで逆光を防ぎ、視認性を向上させることができる。
【0028】
照明部4は、
図4(a)に示すような小型光源41を複数組み合わせて構成することが望ましい。
図4は、照明部4について説明する図であり、(a)は照明部4に使用する小型光源41の例を示す図、(b)は照明部4における小型光源41の配置例を示す斜視図、(c)は(b)の上面図である。
【0029】
図4(a)に示す小型光源41は、複数のLEDランプが内部に縦横に配列された面光源である。好適な具体例として、例えば、「LUMENA2」を利用することができる。この場合、最大照度1500ルーメン、色温度3000K(電球色)/4500K(昼白色)/5700K(昼光色)の3色切り替え、サイズ縦129[mm]×横175[mm]×幅22.7[mm]、重さ280gである。なお、上記例は一例であり、本発明はこの例に限定されない。
【0030】
図1に示す点検装置1の照明部4は、
図4(b)、(c)に示すように、長方形の小型光源41を支柱3の周囲に3つ取り付けて構成される。このように、3つの小型光源41を支柱3の周囲に三角形に配置することで、鉛直軸周り全方向への照明が可能となり、全周を計測する3次元スキャナ5の照明として好適となる。また、小型光源41をできるだけ支柱3に寄せて配置することで、3次元スキャナ5の径と同程度の径に収めることができ、3次元スキャナ5の視野外での設置が可能となる。また狭小部への挿入も可能となる。これにより、点検装置1の視認性及び取り回し性が向上する。なお、光量が足りない場合は、小型光源41を追加して設置してもよい(
図14~
図17)。小型光源41を組み合わせることで、光量の調整が可能となる。
【0031】
また、照明部4の色温度による視認性の変化について、
図5を参照して説明する。
図5の(a-1)は色温度3000K(電球色)の場合の可視画像、(a-2)は色温度3000K(電球色)の場合の点群画像、(b-1)は色温度4500K(昼白色)の場合の可視画像、(b-2)は色温度4500K(昼白色)の場合の点群画像、(c-1)は色温度5700K(昼光色)の場合の可視画像、(c-2)は色温度5700K(昼光色)の場合の点群画像である。
【0032】
図5(a-1)、(a-2)に示すように、色温度3000K程度の電球色を使用した場合、全体的に黄色みがかかり、実際の見た目の印象と異なる画像が得られる。
図5(b-1)、(b-2)に示すように、色温度4500K程度の昼白色を使用した場合、最も肉眼で見た印象に近く、反射がやや抑えられ、色再現性が高い印象の画像を得ることができる。
図5(c-1)、(c-2)に示すように、色温度5700K程度の昼光色を使用した場合、明るく感じるが、反射がややきつく、コントラストが高めである。
【0033】
このように、色温度による視認性の違いを比較検討すると、天井内点検においては、色温度4500K程度の昼白色を使用することが好ましい。なお、この比較は上述の「LUMENA2」で調整可能な3色を比較した結果である。したがって光源(照明部4)の色温度は、4500Kに限定されるものではなく、反射の度合いや色再現性等の観点から、最適な色温度の光源を採用することが望ましい。
【0034】
次に、
図6を参照して、本発明の点検装置1による天井内の計測可能範囲について説明する。天井内には、空調設備やダクト等、レーザの照射と視界を妨げる設備が多数存在する。従って、1箇所1計測の運用では得られる情報が限定的である。そのため、同一箇所において、支柱3を伸縮させ、スキャニングの高さを変えることで計測範囲を拡大できる。
【0035】
図6(a)は、天井内下部に3次元スキャナ5を配置した場合のレーザ照射される範囲(計測可能範囲)を示す図である。ダクト等で遮られた部分は計測されない。
図6(b)は、
図6(a)と同一箇所で支柱3を伸ばし、3次元スキャナ5の高さを変えた場合のレーザ照射される範囲(計測可能範囲)を示す図である。ダクトの上部等が計測可能となる。このように、スキャニング高さを変える(すなわち、支柱3の長さを変える)ことで、
図6(c)に示すように、より多くの範囲を計測できるようになる。
【0036】
次に、
図7を参照して、点検装置1(3次元スキャナ5)の内部構成及びデータの流れについて説明する。
図7に示すように、3次元スキャナ5(点検装置1)は、制御部51、レーザスキャナ54、イメージスキャナ55、記憶部52、通信I/F部53、及びバッテリー(不図示)を有する。
【0037】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、CPUは、記憶部52、ROM等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バスを介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、ブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部51が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
制御部51は、点検装置1と通信接続されている画像処理装置7から入力された制御信号に基づいて3次元スキャナ5の各部を駆動制御する。
【0038】
記憶部52は、フラッシュメモリ等の記憶装置であり、レーザスキャナ54により計測された点群データ、及びイメージスキャナ55により計測された画像データ等を記憶する。
【0039】
通信I/F部53は、WiFiアンテナ、Bluetooth(登録商標)等の無線通信部、またはLAN等の有線通信部の通信ポート、及び通信制御装置を有し、外部機器との通信を媒介するインターフェースである。
図7に示すように、点検装置1は、通信I/F部53を介して画像処理装置(コンピュータ)7やクラウド6等の外部機器と通信接続し、計測データ(点群データ及び画像データ)を画像処理装置(コンピュータ)7やクラウド6等に出力する。
【0040】
レーザスキャナ54は、レーザ光を照射し、その反射光を受光することで、対象物との距離を計測する。計測したデータは3次元スキャナ5の設置箇所の周囲の3次元の座標値である点群データとして収集され、記憶部52に記憶される。
【0041】
イメージスキャナ55は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を用いたカメラ等により構成され、画像データを得る。得られた画像データは記憶部52に記憶される。レーザスキャナ54及びイメージスキャナ55は、上述したように、鉛直軸周り方向(すなわち水平面内)のスキャン及び水平軸周り方向(すなわち鉛直面内)のスキャンが可能である。
【0042】
画像処理装置7は、制御部(CPU、ROM、RAM)、ハードディスク、SSD、フラッシュメモリ等の記憶部、通信部、入力部、表示部、周辺機器I/F部等を備えたコンピュータである。画像処理装置7は、点検装置1(3次元スキャナ5)から取得した計測データ(点群データ及び画像データ)から、点検装置1の周囲の3次元モデルを生成し、出力する。画像処理装置7の記憶部には、計測データから3次元モデルを生成するためのアプリケーションプログラムが記憶され、CPUは記憶部からアプリケーションプログラムを読み出して実行する。画像処理装置7は、例えば、点検装置1を用いて数か所から計測した計測データから3次元の形状認識を行い、1つの3次元モデルに合成する。また画像処理装置7は、3次元モデルからレンダリング画像を生成したり、取得した計測データを建物のCADデータ等と合成したりして、各種の画像を生成する。また、3次元スキャナ5の操作指示は、画像処理装置7の入力部を介して入力することができる。画像処理装置7は、入力部から入力された操作に応じた制御信号を生成して3次元スキャナ5に入力する。
【0043】
次に、点検装置1を用いた天井内点検方法について説明する。
まず、
図8のフローチャート及び
図9を参照して予め設置されている天井点検口81を利用した天井内点検方法について説明する。
【0044】
図9(a)に示すように、天井に点検口81が予め設置されている場合、作業者は、天井点検口81から点検装置1を挿入する(ステップS101)。このとき点検装置1の照明部4は点灯させている。点検装置1には、伸縮可能な支柱3が3次元スキャナ5に接続されているため、支柱3を適切な長さに調整することにより、脚立等を使用せず歩行状態でも3次元スキャナ5を天井点検口81に挿入できる。
【0045】
作業者は、画像処理装置7を操作して点検装置1の計測を開始する(ステップS102、
図9(b))。画像処理装置7からの制御信号に従って点検装置1のレーザスキャナ54及びイメージスキャナ55が駆動し、全方向(水平方向360度及び鉛直方向300度)の計測データ(点群データ及び画像データ)を得る。ステップS102では、1箇所の天井点検口81について、複数の高さ位置で計測を行うことにより、より広い範囲の計測データを得ることができる。計測データは、点検装置1(3次元スキャナ5)の記憶部52に記憶されるとともに、画像処理装置7に出力される。或いは、点検装置1(3次元スキャナ5)は計測データをクラウド6に出力し、記憶するようにしてもよい。
【0046】
3次元スキャナ5による計測が終了すると、作業者は点検装置1を天井点検口81から抜き取り、天井点検口81の扉を閉めて計測作業を終了する。
【0047】
次に、
図10のフローチャート及び
図11を参照してダウンライト埋込穴83を利用した天井内点検方法について説明する。ダウンライト埋込穴83のサイズは様々なものがあるが、点検装置1の最大径より大きいサイズのダウンライト埋込穴83であれば、照明器具82を取り外して計測用の穴として利用できる。例えば、上述したように、3次元スキャナ5をライカ社の「BLK360」を用い、小型光源41として「Lumena2」を
図4に示すように組み合わせて使用した場合、点検装置1の最大径は、120[mm]程度未満となる。この場合、直径120[mm]程度以上のダウンライト埋込穴83であれは、照明器具82を取り外して天井内点検に使用できる。
【0048】
作業者は、まず天井からダウンライト(照明器具82)を取り外し(ステップS201、
図11(a)、(b))、ダウンライト埋込穴83から点検装置1を挿入する(ステップS202、
図11(c))。このとき、照明部4は点灯させている。
【0049】
作業者は、画像処理装置7を操作して点検装置1の計測を開始する(ステップS203)。画像処理装置7からの制御信号に従って点検装置1のレーザスキャナ54及びイメージスキャナ55が駆動し、全方向(水平方向360度及び鉛直方向300度)の計測データ(点群データ及び画像データ)を得る。1箇所のダウンライト埋込穴83について、支柱3を伸長して複数の高さ位置で計測を行うことにより、より広い範囲の計測データを得ることができる。計測データは、点検装置1(3次元スキャナ5)の記憶部52に記憶されるとともに、画像処理装置7に出力される。或いは、点検装置1(3次元スキャナ5)は計測データをクラウド6に出力し、記憶するようにしてもよい。
【0050】
3次元スキャナ5による計測が終了すると、作業者は点検装置1をダウンライト埋込穴83から抜き取り、ダウンライト(照明器具82)を元に戻して計測作業を終了する。
【0051】
本発明の点検装置1は小型であるため、ダウンライト埋込穴83からも挿入でき、天井に
図9に示すような点検口81が設置されていない場合でも天井内点検を行うことができる。
【0052】
次に、
図12のフローチャート及び
図13を参照して、天井に新規に計測用の開口部(点検用穴97)を設ける場合の天井内点検方法について説明する。点検したい箇所に天井点検口81やダウンライト82が設置されていない場合、天井に計測用の穴(点検用穴97)を削孔し、天井内点検を行うことができる。
【0053】
まず作業者は、レーダ探査機91で天井下地を探査する(ステップS301、
図13(a))。そして下地がない箇所に、ファイバスコープ94が通る小さい穴93をドリル92を用いて削孔する(ステップS302、
図13(b))。作業者は、ファイバスコープ94をステップS302で開けた小穴93から挿入し、天井裏の転がし配線95の有無を確認する(ステップS303、
図13(c))。
【0054】
配線切断のおそれが無いことを確認して、本穴(点検用穴97)を削孔する(ステップS304、
図13(d)、(e))。粉塵対策のカップ付きで、刃入れ長さを天井ボード厚さに合わせて調整可能なホールソー96を使用することが望ましい。点検用穴97の直径は、点検装置1の最大径以上とする。
【0055】
このようにして点検用穴97が削孔されると、作業者は、点検用穴97から点検装置1を挿入する(ステップS305、
図13(f))。このとき、照明部4は点灯させている。
【0056】
作業者は、手元の画像処理装置7を操作して点検装置1の計測を開始する(ステップS306)。画像処理装置7からの制御信号に従って点検装置1のレーザスキャナ54及びイメージスキャナ55が駆動し、全方向(水平方向360度及び鉛直方向300度)の計測データ(点群データ及び画像データ)を得る。1箇所の点検用穴97について、支柱3を伸長して複数の高さ位置で計測を行うことにより、より広い範囲の計測データを得ることができる。計測データは、点検装置1(3次元スキャナ5)の記憶部52に記憶されるとともに、画像処理装置7に出力される。或いは、点検装置1(3次元スキャナ5)は計測データをクラウド6に出力し、記憶するようにしてもよい。
【0057】
3次元スキャナ5による計測が終了すると、作業者は点検装置1を点検用穴97から抜き取り、点検用穴97をカバープレート98でふさぎ、天井を復旧する(ステップS307、
図13(g))。以上で、計測作業が終了する。
【0058】
このように、天井に新規に点検用穴97を削孔すれば、本発明の点検装置1を利用して天井内点検を行うことが可能となる。本発明の点検装置1は小型であるため、比較的小さな点検用穴97でよく、外観への影響を抑えることができる。また、
図12に示すような手順で作業を行うことにより、天井下地や配線を配慮して適切な位置に点検用穴97を設けることができ、削孔、計測、復旧という作業を一連の流れで効率よく行うことができる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、点検装置1の照明部4を3つの光源41を用いて構成する例を説明したが、照明部4は3つに限定されず、また複数段で構成してもよい。以下、図を参照しながら照明部4の態様について説明する。
【0060】
図14(a)は2段で構成した照明部4Aの斜視図であり、
図14(b)は3段で構成した照明部4Bの斜視図である。
図14(a)に示すように、照明部4Aを2段で構成する場合、支柱3を中心として下段に3つ、上段に3つの小型光源41が配置される。
図15(a)は1段で構成された照明部4の上面図、
図15(b)は2段で構成された照明部4Aの上面図である。各段において、3つの小型光源41は照射面を外向きとし、各小型光源41の長辺が互いに接するように支柱3を中心として配置される。また、
図15(b)に示すように、上段と下段とで各小型光源41の照射面の向きが支柱3を軸として60度異なるように配置される。
【0061】
図14(b)に示すように、照明部4Bを3段で構成する場合は、支柱3を中心として下段に3つ、中段に3つ、上段に3つの小型光源41が、照射面が外向きとなるように配置される。各段において、各小型光源41の長辺が互いに接するように配置される。上段と中段とで各小型光源41の照射面の向きが支柱3を軸として60度異なるように配置され、中段と下段とで各小型光源41の照射面の向きが支柱3を軸として60度異なるように配置される。
【0062】
照明部4A、4Bのように複数段で照明部4を構成することで、点検装置1の径を変更することなく光源41の個数を簡単に増やすことができ、光量を自在に調整できる。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。照明部4に使用する小型光源41は、4つ以上としてもよい。また、4つ以上の小型光源41を複数段設けた構成としてもよい。
【0064】
図16(a)は、4つの小型光源41を使用して構成された照明部4Cの上面図、
図16(b)は、
図16(a)の照明部4Cを2段組み合わせた構成した照明部4Dの上面図である。
図16(a)に示すように、照明部4Cの4つの小型光源41は照射面が外向きとなるように、支柱3を中心として配置される。各小型光源41の左端が隣の小型光源41の右端と接するように配置され、上面から見ると正方形が形成される。また、
図16(b)に示す照明部4Dのように、2段で構成する場合は、上段と下段とで各小型光源41の照射面の向きが支柱3を軸として45度異なるように配置される。
【0065】
図17(a)は、6つの小型光源41を使用して構成された照明部4Eの上面図、
図17(b)は、
図17(a)の照明部4Eを2段組み合わせて構成した照明部4Fの上面図である。
図17(a)に示すように、6つの小型光源41は照射面が外向きとなるように、支柱3を中心として配置される。各小型光源41の左端が隣の小型光源41の右端と接するように配置され、上面から見ると正六角形が形成される。また、
図17(b)に示すように、2段で構成する場合は、上段と下段とで各小型光源41の照射面の向きが支柱3を軸として30度異なるように配置される。
【0066】
図18は、8つの小型光源41を使用して構成された照明部4Gの上面図である。
図18に示すように、8つの小型光源41は照射面が外向きとなるように、支柱3を中心として配置される。各小型光源41の左端が隣の小型光源41の右端と接するように配置され、上面から見ると正八角形が形成される。図示しないが、
図18の照明部4Gを2段組み合わせてもよい。
このように、小型光源41の個数を段内で変更したり、段数を増やしたりすることで自在に光量を調整できる。
【0067】
ここで、
図19を参照して、小型光源41の取り付け方について説明する。
図19は、小型光源41を6つ使用して構成した照明部4Hの上面図である。支柱3には6つのアーム45が支柱3を中心として放射状に設けられ、各アーム45が各小型光源41の背面に接続され、小型光源41を支持している。
【0068】
また、
図20に示すよう照明部4Jのように、支柱3に取り付けたアーム45と小型光源41との接続部を、水平方向を軸として回動可能な構成としてもよい。これにより、小型光源41の設置角度を上向きや下向きに変えることができ、照明部4Jによる照射範囲を上向きや下向きに調整可能となる。
【0069】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態の点検装置1Aは、
図21に示すように、ホイール21付きの三脚2Aに支持されている。三脚2A以外の各部(支柱3、照明部4、4A~4J、3次元スキャナ5)は、第1から第3の実施の形態のいずれかの点検装置1と同様である。また第4の実施の形態の点検装置1Aを用いる場合にも、天井点検口81を利用する天井内点検方法(
図8、
図9)や、点検用穴を削孔する天井内点検方法(
図12、
図13)を適用できる。
【0070】
ホイール21付きの三脚2Aを利用することにより、持ち上げなくとも点検装置1を移動させることができ、作業を楽に行うことが可能となる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図22に示す第5の実施の形態の点検装置1Bは、3次元スキャナ5Bを、第1の実施の形態の3次元スキャナ5Aと異なるものを用いた例を示している。
第1の実施の形態では、3次元スキャナ5の好適な例として、ライカ社の「BLK360」を挙げたが、3次元スキャナ5はこれに限定されず、その他のものを利用してもよい。
例えば、Faro社の「FOCUS S350」は、230[mm]×183[mm]×103[mm]、重さ4.2[Kg]であり、ライカ社の「BLK360」と比較すると大きく、重量もあるが、据え置き型のスキャナの中では小型軽量である。また、「FOCUS S350」はスキャンレンジが0.6~350[m]と広い(「BLK360」のスキャンレンジは0.6~60[m])。このように、本発明では、建物の広さに応じて、適切な3次元スキャナ5Bを採用することもできる。
【0071】
第5の実施の形態の点検装置1Bは、3次元スキャナ5B以外の各部(支柱3、照明部4、4A~4J、三脚2、2A)は、第1から第4の実施の形態のいずれかと同様の構成である。
【0072】
また第5の実施の形態の点検装置1Bを用いる場合にも、天井点検口81を利用する天井内点検方法(
図8、
図9)や、点検用穴を削孔する天井内点検方法(
図12、
図13)を適用できる。
【0073】
なお、本発明の点検装置1における3次元スキャナ5の種類は、第1の実施の形態(
図1)や
図22に示すレーザ照射型の3次元スキャナ5、5Bに限定されず、写真を複数枚撮影して撮影画像から測量(距離計測)する方式のスキャナとしてもよい。例えば、回転式の単眼カメラやステレオカメラ等が該当する。いずれの場合にも、全周計測をするための回転機構を有する、レーザ照射計測または写真測量の少なくとも一方の機能を具備したスキャナであれば、本発明の点検装置1、1A、1Bの3次元スキャナ5、5Bとして採用可能である。
【0074】
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。3次元スキャナ5や小型光源41のサイズや形状、重さ、スペック等は一例であり、その他のサイズ、形状、重さ、スペック等のものを採用してもよい。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0075】
1、1A、1B・・点検装置
2、2A・・・・・三脚
3・・・・・・・・支柱
4、4A~4J・・照明部
5、5B・・・・・3次元スキャナ
6・・・・・クラウド
7・・・・・画像処理装置
21・・・・ホイール
41・・・・小型光源
45・・・・アーム
46・・・・軸
51・・・・制御部
52・・・・記憶部
53・・・・通信I/F部
54・・・・レーザスキャナ
55・・・・イメージスキャナ
81・・・・天井点検口
82・・・・ダウンライト
83・・・・ダウンライト埋込穴
91・・・・金物探査機
92・・・・ドリル
93・・・・ファイバスコープ用小穴
94・・・・ファイバスコープ
95・・・・天井内転がし配線
96・・・・ホールソー
97・・・・点検用穴
98・・・・カバープレート