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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】電動弁及び冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20230313BHJP
   F16K 1/44 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K1/44 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019208062
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021080982
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小池 亮司
(72)【発明者】
【氏名】北見 雄希
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132347(JP,A)
【文献】特開2002-122367(JP,A)
【文献】実開昭57-065273(JP,U)
【文献】国際公開第2019/154342(WO,A1)
【文献】特開2013-164125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0206851(US,A1)
【文献】特開2006-266667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの主弁室内に設けられた主弁ポートの周縁に形成された主弁座に対して、前記主弁ポートの軸線方向に近接または離隔する主弁体を備えるとともに、前記主弁体の内部の副弁室内に設けられた副弁ポートの周縁に形成された副弁座と近接または離隔する副弁体とを備えた二段式の電動弁であって、
前記副弁体と、前記主弁体とは、前記副弁室内で互いに当接する当接部をそれぞれ備え、
前記副弁体は、前記副弁ポートに対向するニードル部を備え、前記軸線方向の一方側の最下端位置から前記ニードル部と前記副弁ポートの間の隙間が最小の流量面積となる範囲内において、前記当接部を介して直接的に前記主弁体を前記主弁座側に押圧し、
前記主弁体は、前記副弁体に直接的に押圧された状態が解除された場合に、前記副弁体との間における前記軸線方向の距離L1の範囲内で変動可能であり、
前記主弁体または前記主弁座の少なくとも一方には、前記軸線と平行となるストレート部が設けられ、
前記ストレート部の前記軸線方向の長さL2は、前記主弁体と前記主弁座との間の開口面積が一定となる微小変動の許容範囲を規定し、前記距離L1よりも大きく設定されていることを特徴とする電動弁。
【請求項2】
弁ハウジングの主弁室内に設けられた主弁ポートの周縁に形成された主弁座に対して、前記主弁ポートの軸線方向に近接または離隔する主弁体を備えるとともに、前記主弁体の内部の副弁室内に設けられた副弁ポートの周縁に形成された副弁座と近接または離隔する副弁体とを備えた二段式の電動弁であって、
前記副弁体と、前記主弁体とは、前記副弁室内で互いに当接する当接部をそれぞれ備え、
前記副弁体は、前記副弁ポートに対向するニードル部を備え、前記軸線方向の一方側の最下端位置から前記ニードル部と前記副弁ポートの間の隙間が最小の流量面積となる範囲内において、前記当接部を介して間接的に前記主弁体を前記主弁座側に押圧し、
前記主弁体は、前記副弁体に間接的に押圧された状態で前記主弁座側へ押圧される力よりも大きな力を前記主弁座側と反対側に向かって受けた場合に、前記副弁体との間における前記軸線方向の距離L1の範囲内で変動可能であり、
前記主弁体または前記主弁座の少なくとも一方には、前記軸線と平行となるストレート部が設けられ、
前記ストレート部の前記軸線方向の長さL2は、前記主弁体と前記主弁座との間の開口面積が一定となる微小変動の許容範囲を規定し、前記距離L1よりも大きく設定されていることを特徴とする電動弁。
【請求項3】
前記当接部は、一方が前記副弁ポートの軸線を中心軸とするテーパ部であり、他方が前記軸線を中心軸とする段部であることを特徴とする請求項に記載の電動弁。
【請求項4】
前記当接部は、前記副弁体に設けられたフランジ部と前記主弁体に設けられた段部との間に設置されたバネを介して当接されることを特徴とする請求項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記主弁体に、前記主弁ポート内に挿通される円柱状の前記ストレート部が設けられ、当該ストレート部は前記軸線方向の前記許容範囲内で前記主弁ポートの最小径の部位と対向することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項6】
前記主弁座の前記主弁ポートが前記主弁体の一部を挿通させる円柱状の前記ストレート部を構成し、当該ストレート部は前記軸線方向の前記許容範囲内で前記主弁体の前記主弁ポート内の突条と対向することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項7】
圧縮機と、室内熱交換器と、室外熱交換器と、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器との間に設けられた電子膨張弁と、前記室内熱交換器に設けられる除湿弁とを含む冷凍サイクルシステムであって、請求項16のいずれか一項に記載の電動弁が、前記除湿弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルシステムなどに使用する電動弁及び冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の冷凍サイクルに設けられる電動弁として、小流量制御域と大流量域とで流量制御する電動弁がある。このような電動弁は、室内機に搭載される用途(例えば除湿弁)があり、例えば特開2019-132347号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-132347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電動弁は、小流量制御域は例えば除湿運転を行うものであり、この小流量制御域では、主弁座の主弁ポートを主弁体で全閉状態とし、この主弁体に形成された副弁ポートとニードル弁(副弁体)との間の絞り部を冷媒が通過するように構成されている。しかし、一次側または二次側における冷媒流れの脈動などにより圧力変化や配管振動が生じ、主弁体が振動するという問題がある。通常、この小流量制御域では主弁体は主弁ポートを全閉としているが、上記の振動により主弁体が主弁ポート(主弁座)から浮き上がってしまうことがある。このため、流体の流量が主弁体の上昇量に応じて増減(変動)するという問題がある。
【0005】
本発明は、主弁体を主弁座に着座状態とし、この主弁体に形成された副弁ポートとニードル弁との間の絞り部により冷媒の小流量制御域での流量制御を行う二段の流量制御域を有する電動弁において、小流量制御域での主弁体の振動があっても、小流量域の制御性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動弁は、弁ハウジングの主弁室内に設けられた主弁ポートの周縁に形成された主弁座に対して、前記主弁ポートの軸線方向に近接または離隔する主弁体を備えるとともに、前記主弁体の内部の副弁室内に設けられた副弁ポートの周縁に形成された副弁座と近接または離隔する副弁体とを備えた二段式の電動弁であって、前記副弁体と、前記主弁体とは、前記副弁室内で互いに当接する当接部をそれぞれ備え、前記副弁体は、前記副弁ポートに対向するニードル部を備え、前記軸線方向の一方側の最下端位置から前記ニードル部と前記副弁ポートの間の隙間が最小の流量面積となる範囲内において、前記当接部を介して直接的に前記主弁体を前記主弁座側に押圧し、前記主弁体は、前記副弁体に直接的に押圧された状態が解除された場合に、前記副弁体との間における前記軸線方向の距離L1の範囲内で変動可能であり、前記主弁体または前記主弁座の少なくとも一方には、前記軸線と平行となるストレート部が設けられ、前記ストレート部の前記軸線方向の長さL2は、前記主弁体と前記主弁座との間の開口面積が一定となる微小変動の許容範囲を規定し、前記距離L1よりも大きく設定されていることを特徴とする。
また、本発明の電動弁は、弁ハウジングの主弁室内に設けられた主弁ポートの周縁に形成された主弁座に対して、前記主弁ポートの軸線方向に近接または離隔する主弁体を備えるとともに、前記主弁体の内部の副弁室内に設けられた副弁ポートの周縁に形成された副弁座と近接または離隔する副弁体とを備えた二段式の電動弁であって、前記副弁体と、前記主弁体とは、前記副弁室内で互いに当接する当接部をそれぞれ備え、前記副弁体は、前記副弁ポートに対向するニードル部を備え、前記軸線方向の一方側の最下端位置から前記ニードル部と前記副弁ポートの間の隙間が最小の流量面積となる範囲内において、前記当接部を介して間接的に前記主弁体を前記主弁座側に押圧し、前記主弁体は、前記副弁体に間接的に押圧された状態で前記主弁座側へ押圧される力よりも大きな力を前記主弁座側と反対側に向かって受けた場合に、前記副弁体との間における前記軸線方向の距離L1の範囲内で変動可能であり、前記主弁体または前記主弁座の少なくとも一方には、前記軸線と平行となるストレート部が設けられ、前記ストレート部の前記軸線方向の長さL2は、前記主弁体と前記主弁座との間の開口面積が一定となる微小変動の許容範囲を規定し、前記距離L1よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0007】
この際、前記主弁体に、前記主弁ポート内に挿通される円柱状の前記ストレート部が設けられ、当該ストレート部は前記軸線方向の前記許容範囲内で前記主弁ポートの最小径の部位と対向することを特徴とする電動弁が好ましい。
【0008】
また、前記主弁座の前記主弁ポートが前記主弁体の一部を挿通させる円柱状の前記ストレート部を構成し、当該ストレート部は前記軸線方向の前記許容範囲内で前記主弁体の前記主弁ポート内の突条と対向することを特徴とする電動弁が好ましい。
【0010】
また、前記当接部は、一方が前記副弁ポートの軸線を中心軸とするテーパ部であり、他方が前記軸線を中心軸とする段部であることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0011】
また、前記当接部は、前記副弁体に設けられたフランジ部と前記主弁体に設けられた段部との間に設置されたバネを介して当接されることを特徴とする電動弁が好ましい。
【0012】
本発明の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、室内熱交換器と、室外熱交換器と、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器との間に設けられた電子膨張弁と、前記室内熱交換器に設けられる除湿弁とを含む冷凍サイクルシステムであって、前記電動弁が、前記除湿弁として用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電動弁及び冷凍サイクルシステムによれば、副弁体と副弁ポートとの間の絞り部(隙間)による小流量制御の状態では、主弁ポートでの流体の圧力変化や配管振動が生て主弁体が浮上しても、ストレート部の許容範囲内では流量が一定になり小流量域の制御性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図である。
図2】第1実施形態の電動弁の主弁体の全開状態で運転停止時、または冷房運転時の縦断面図である。
図3】第1実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である。
図4】第1実施形態の電動弁の図3の小流量制御域状態から副弁体が僅かに上昇した要部拡大縦断面図である。
図5】第1実施形態の電動弁における主弁体のストレート部と着座部を示す拡大図である。
図6】第2実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である。
図7】第3実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である。
図8】第4実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である。
図9】第4実施形態の電動弁における主弁座のストレート部を示す拡大図である。
図10】第5実施形態の電動弁の微少振動の許容範囲を説明する図である。
図11】第5実施形態の電動弁における主弁座のストレート部を示す拡大図である。
図12】本発明の実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の電動弁及び冷凍サイクルシステムの実施形態について図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電動弁の小流量制御域状態の縦断面図、図2は第1実施形態の電動弁の主弁体の全開状態で運転停止時、または冷房運転時の縦断面図、図3は第1実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である」図4は、図3の小流量制御域状態から副弁体が僅かに上昇した状態の要部拡大縦断面図である。図5(A)は、図4の状態において、主弁体が主弁座から浮いた状態を示し、図5(B)は、図4の状態における主弁体内の段差部と副弁体のテーパ部(当接部)の縦断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1及び図2の図面における上下に対応する。この電動弁100は、弁ハウジング1と、ガイド部材2と、主弁体3と、「副弁体」としてのニードル弁4と、駆動部5と、を備えている。
【0016】
弁ハウジング1は例えば、黄銅、ステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に主弁室1Rを有している。弁ハウジング1の外周片側には主弁室1Rに導通される第1継手管11が接続されるとともに、下端から下方に延びる筒状部に第2継手管12が接続されている。また、弁ハウジング1の第2継手管12の主弁室1R側には円筒状の主弁座13が形成され、この主弁座13の内側は主弁ポート13aとなっており、第2継手管12は主弁ポート13aを介して主弁室1Rに導通される。主弁ポート13aは軸線Lを中心とする円柱形状の透孔(貫通した孔)である。なお、第1継手管11及び第2継手管12は、弁ハウジング1に対してろう付け等により固着されている。
【0017】
弁ハウジング1の上端の開口部には、ガイド部材2が取り付けられている。ガイド部材2は、弁ハウジング1の内周面内に圧入される圧入部21と、圧入部21より小径で圧入部21の上下に位置する略円柱状のガイド部22,23と、上側のガイド部22の上部に延設されたホルダ部24と、圧入部21の外周に設けられたリング状のフランジ部25とを有している。圧入部21、ガイド部22,23、ホルダ部24は樹脂製の一体品として構成されている。また、フランジ部25は、例えば、黄銅、ステンレス等の金属板であり、このフランジ部25は、インサート成形により樹脂製の圧入部21と共に一体に設けられている。なお、フランジ部25には主弁室1Rと後述するケース14内とを弁軸の軸線L方向に連通する孔(不図示)が設けられている。
【0018】
ガイド部材2は、圧入部21により弁ハウジング1に組み付けられ、フランジ部25を介して弁ハウジング1の上端部に溶接により固定されている。また、ガイド部材2において、圧入部21及び上下のガイド部22,23の内側には軸線Lと同軸の円筒形状のガイド孔2Aが形成されるとともに、ホルダ部24の中心には、ガイド孔2Aと同軸の雌ねじ部24aとそのねじ孔が形成されている。そして、下側のガイド部23の内側でガイド孔2A内には主弁体3が配設されている。
【0019】
主弁体3は、主弁座13に対して着座及び離座する主弁部31と、円柱状のニードルガイド孔32aを有する保持部32と、ニードルガイド孔32aの底部を構成する副弁座33と、保持部32の端部に設けられたリテーナ34と、を有している。また、ニードルガイド孔32aの下側にはこのニードルガイド孔32aに連なる副弁室3Rとなっており、この副弁室3Rとニードルガイド孔32aとの境界に「当接部」としての段部3aが形成されている。保持部32のニードルガイド孔32a内には、後述のロータ軸51に取り付けられたワッシャ43とロータ軸51と一体に形成されたニードル弁4のガイド用ボス部41とが挿通されている。なお、リング状のリテーナ34は保持部32の上端に嵌合固着または溶接等により固着されている。
【0020】
また、リテーナ34とガイド孔2Aの上端部との間には、主弁ばね35が配設されており、この主弁ばね35により主弁体3は主弁座13の方向(閉方向)に付勢されている。副弁座33の中心には軸線Lを中心とする円筒形状の副弁ポート33aが形成されている。また、段部3aより下側で保持部32の側面の一箇所には、副弁室3Rと主弁室1Rとを導通する導通孔32bが形成されており、副弁体としてのニードル弁4が副弁ポート33aを開状態としたとき、主弁室1R、副弁室3R、副弁ポート33a及び主弁ポート13aが導通する。さらに、主弁室1Rとケース14の内部は、フランジ部25に設けられた弁軸の軸線L方向に連通する孔(不図示)により連通され、ケース14の内部とガイド部材2の内部は、ガイド部材2の上部に設けられた連通孔により連通され、主弁体3の上部と主弁体3の段部3a直上の空間は、ワッシャ43の外周及びニードル弁4のガイド用ボス部41の外周と主弁体3のニードルガイド孔32aの内周との隙間により連通されることで、主弁室1Rと副弁室3Rが連通する。
【0021】
「副弁体」としてのニードル弁4は、ロータ軸51の下端部にこのロータ軸51と一体に形成されており、このニードル弁4はガイド用ボス部41とニードル部42とで構成されている。ガイド用ボス部41はニードル部42側に向かって徐々に径が小さくなる円錐台状の「当接部」としてのテーパ部41aを有し、このテーバ部41aは主弁体3の段部3a(当接部)に当接可能となっている。また、ニードル部42はテーパ部41aの端部に連結されている。また、ガイド用ボス部41の上端には、潤滑性樹脂からなる円環状のワッシャ43が配設されている。そして、ワッシャ43とガイド用ボス部41は、ニードルガイド孔32a内に摺動可能に挿通されている。
【0022】
弁ハウジング1の上端にはケース14が溶接等によって気密に固定され、このケース14の内外に駆動部5が構成されている。駆動部5は、ステッピングモータ5Aと、ステッピングモータ5Aの回転によりニードル弁4を進退させるねじ送り機構5Bと、ステッピングモータ5Aの回転を規制するストッパ機構5Cと、を備えている。
【0023】
ステッピングモータ5Aは、ロータ軸51と、ケース14の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ52と、ケース14の外周においてマグネットロータ52に対して対向配置されたステータコイル53と、その他、図示しないヨークや外装部材等により構成されている。ロータ軸51はブッシュを介してマグネットロータ52の中心に取り付けられ、このロータ軸51のガイド部材2側の外周には雄ねじ部51aが形成されている。この雄ねじ部51aはガイド部材2の雌ねじ部24aに螺合されており、これにより、ガイド部材2はロータ軸51を軸線L上に支持している。そして、ガイド部材2の雌ねじ部24aとロータ軸51の雄ねじ部51aはねじ送り機構5Bを構成している。また、ケース14の内側天井部で回転ストッパ機構5Cを保持する円筒部14a内には、ロータ軸51の上端に当接するバネ受け54を介してコイルバネ55が配設されており、このコイルバネ55はロータ軸51を下方に付勢することにより、ねじ送り機構5Bにおけるのバックラッシュを防止している。
【0024】
以上の構成により、ステッピングモータ5Aが駆動されるとマグネットロータ52及びロータ軸51が回転し、ロータ軸51の雄ねじ部51aとガイド部材2の雌ねじ部24aとのねじ送り機構5Bにより、マグネットロータ52と共にロータ軸51が軸線L方向に移動する。そして、ニードル弁4が軸線L方向に進退移動してニードル弁4が副弁ポート33aに対して近接又は離間する。また、ニードル弁4が上昇するとき、ワッシャ43が主弁体3のリテーナ34に係合し、主弁体3はニードル弁4と共に移動して、主弁座13から離座する。なお、マグネットロータ52には突起部52aが形成されており、マグネットロータ52の回転に伴って突起部52aが回転ストッパ機構5Cを作動させ、ロータ軸51(及びマグネットロータ52)の最下端位置及び最上端位置が規制される。
【0025】
図1の小流量制御域状態では、主弁体3は主弁座13に着座した状態で主弁ポート13aが弁閉となり、ニードル弁4により副弁ポート33aの開度が制御され、小流量の制御が行われる。また、例えば冷凍サイクルシステムの圧縮機が停止して流体(冷媒)が停止した状態で、ニードル弁4と主弁体3が上昇されると、図2のように主弁ポート13aが全開状態となる。これにより、冷房運転時、第1継手管11から第2継手管12へ大流量の流体(冷媒)が流されたり、暖房運転時、第2継手管12から第1継手管11へ大流量の流体(冷媒)が流される。
【0026】
図3及び図4に示すように、ニードル部42は、軸線Lを中心線とする円柱からなるストレート部42aと、先端側にかけて縮径されたニードル42bとから構成されている。また、ストレート部42aの外径は、副弁ポート33aの内径より小さくなっており、ストレート部42aと副弁ポート33aとの間には絞り部(隙間)が形成される。そして、この絞り部を一定流量の冷媒が流れることにより小流量制御が行われる。また、この小流量制御の状態では、ニードル弁4のガイド用ボス部41のテーパ部41aが主弁体3の段差部3aに当接する。そして、このときバックラッシュ防止用のコイルバネ55の付勢力により、ニードル弁4は主弁体3を主弁座13側に押圧する。したがって、主弁室1Rと主弁ポート13aとの間で流体の多少の圧力変化が生じても、主弁体3が振動することなく、小流量域の制御性が向上する。
【0027】
ここで、図4に示すようにニードル4が主弁体3の段差部3aから僅か(図5(B)に示すL1)に上昇し、ニードル弁4のテーパ部41aが主弁体3の段差部3aから離れた状態になった場合、主弁体3は、主弁ばね35により主弁座13の方向(閉方向)に付勢されているので、ニードル弁4のテーパ部41aが主弁体3の段差部3aに当接していなくても、通常は、主弁体3は主弁座13に対する着座状態を保持するが、第1継手管11及び第2継手管12の圧力変動により大きな圧力差が生じた場合、主弁体3が主弁座13からL1の距離浮上する場合が生じる。これに対してこの第1実施形態では、図4及び図5(A)に示すように、主弁体3の主弁部31の先端部に軸線Lを中心とする円柱形状のストレート部3Sが形成されている。このストレート部3Sの外径は円柱状の主弁ポート13aの内径より僅かに小さく、このストレート部3Sは主弁ポート13a内に挿通される。ここで、L1は、雌ねじ部24aと雄ねじ部51aのバックラッシュの大きさである。
【0028】
これにより、図5(A)に示すように、ストレート部3Sの外周と主弁ポート13aとの間の隙間は、軸線L方向の一定の許容範囲L2内において一定幅となる。ここで、ストレート部3Sの外周と主弁ポート13aとの間の隙間による流路面積は、ニードル弁4が図5(B)に示すL1の距離浮上した状態において、ニードル弁4のテーパ部41aと主弁体3の段差部3aによる流路面積より小さく設定されている。また、主弁体3が主弁座13に着座した状態において、許容範囲L2は図5(B)に示すテーパ部41aと段差部3aとの距離L1に対して、好ましくは、
L1×2>L2>L1
となるように設定されている。すなわち、軸線L方向の一定の許容範囲L2は、雌ねじ部24aと雄ねじ部51aのバックラッシュより大きく、このバックラッシュの2倍より小さく設定されている。
【0029】
このように、主弁体3の軸線L方向の微少変動の許容範囲L2内にて、主弁体3と主弁座13との間の開口面積を一定にするように軸線Lと平行となる円柱状のストレート部3Sが、主弁体3に設けられ、このストレート部3Sは、主弁ポート13a内に挿通されている。また、このストレート部3Sは軸線L方向の許容範囲L2内で主弁ポート13aの最小径の部位と対向している。これにより、主弁座13に対して主弁体3が軸線L方向に浮上しても、この浮上量が許容範囲L2内であれば、ストレート部3Sと主弁座13との相互間の隙間による開口面積は一定になる。したがって、このような主弁体3の振動時でも、第1継手管11から第2継手管12へ流れる流体の流量を一定に保持することができ、小流量域の制御性が向上する。
【0030】
図6は第2実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図であり、以下の各実施形態において、各実施形態の特徴部分以外の電動弁の全体構成は図1及び図2と同様である。この第2実施形態におけるニードル弁4′は、ロータ軸51と一体に形成された薄型のガイド用ボス部41′(フランジ部)と、第1実施形態と同様な「副弁体」としてのニードル部42と、長尺円錐台状の連結ロッド43′とで構成されており、ニードル部42は連結ロッド43′の端部に連結されている。また、ガイド用ボス部41′と主弁体3の段部3aとの間には、潤滑性樹脂からなる円環状のバネ受け7aを介してコイルバネ7が配設されている。そして、コイルバネ7の下端は段部3aに当接する「当接部」を構成している。
【0031】
以上の構成により、第1実施形態と同様に、ニードル部42のストレート部42aと副弁ポート33aとの間の絞り部を一定流量の冷媒が流れることにより小流量制御が行われ、この小流量制御の状態では、コイルバネ7の付勢力により、ニードル弁4′は主弁体3を主弁座13側に押圧する。したがって、主弁室1Rと主弁ポート13aとの間で流体の圧力変化が生じても、主弁体3が振動することなく、小流量域の制御性が向上する。なお、すなわち、圧力変動により大きな圧力差が生じた場合に主弁体3が許容範囲L2内で振動しても、小流量域の制御性が向上することは、第1実施形態と同様である。
【0032】
図7は第3実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である。この第3実施形態は、第1実施形態のテーパ部41aと段差部3a、第2実施形態のコイルバネ7のように、主弁体3を主弁座13側に押圧する構成を無くしたものである。この第3実施形態におけるニードル弁4″は、ロータ軸51の下端部にこのロータ軸51と一体に形成された円柱状のガイド用ボス部41″と、ガイド用ボス部41″の下端に形成された「副弁体」としてのニードル部42″とを一体に形成して備えている。また、ニードル弁4″は、前記実施形態と同様に、ワッシャ43を備えており、ワッシャ43とガイド用ボス部41″は、ニードルガイド孔32a内に摺動可能に挿通されている。
【0033】
この第3実施形態でも、前記実施形態と同様に、ニードル部42のストレート部42aと副弁ポート33aとの間の絞り部を一定流量の冷媒が流れることにより小流量制御が行われる。なお、この第3実施形態における主弁体3、主弁座13の構成は第1実施形態と同様であり、主弁体3のストレート部3Sと主弁座13との相互間の隙間による開口面積が一定になる。すなわち、圧力変動により大きな圧力差が生じた場合に主弁体3が振動しても、小流量域の制御性が向上することは、第1実施形態と同様である。
【0034】
図8は第4実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図である。この第4実施形態では、主弁座13の主弁ポート13aの上部をストレート部13Sとし、主弁体3の主弁部31の先端部の外周に軸線Lを中心とする円環状の突条31aを形成したものである。突条31aの外径は円柱状のストレート部13S(主弁ポート13a)の内径より僅かに小さく、この突条31aはストレート部13S内に挿通さる。
【0035】
これにより、図9に示すように、突条31aの外周とストレート部13S(主弁ポート13a)との間の隙間は、軸線L方向の一定の許容範囲L2内において一定幅となる。このように、主弁体3の軸線L方向の微少変動の許容範囲L2内にて、主弁体3と主弁座13との間の開口面積を一定にするように軸線Lと平行となる円柱状のストレート部13Sが主弁座13に設けられ、このストレート部13Sは、主弁ポート13a内に挿通された主弁体3の突条31aが軸線L方向の許容範囲L2内で主弁ポート13aの最大径の部位と対向している。
【0036】
これにより、主弁座13に対して主弁体3が軸線L方向に浮上しても、この浮上量が許容範囲L2内であれば、主弁体3の突条31aとストレート部13Sとの相互間の隙間による開口面積は一定になる。したがって、このような主弁体3の許容範囲L2内での振動時でも、第1継手管11から第2継手管12へ流れる流体の流量を一定に保持することができ、小流量域の制御性が向上する。
【0037】
図10は第5実施形態の電動弁の小流量制御域状態の要部拡大縦断面図であり、この第5実施形態において第1実施形態と異なるところは、主弁体3の2カ所に導通孔32bが形成されている点と、主弁座13の端部にストレート部13S′を設けた点である。すなわち、図11に示すように、この第4実施形態では、主弁座13の上端部の内側に主弁ポート13aより径の大きなストレート部13S′を設け、このストレート部13S′内に主弁体3の主弁部31の一部を挿通するようにしている。
【0038】
このように、主弁体3の軸線L方向の微少変動の許容範囲L2内にて、主弁体3と主弁座13との間の開口面積を一定にするように軸線Lと平行となる円環状のストレート部3S′が主弁座13に設けられている。また、このストレート部13S′は軸線L方向の許容範囲L2内で主弁座3の最大径の部位と対向している。
【0039】
これにより、主弁座13に対して主弁体3が軸線L方向に浮上しても、この浮上量が許容範囲L2内であれば、ストレート部13S′と主弁体3との相互間の隙間による開口面積は一定になる。したがって、このような主弁体3の振動時でも、第1継手管11から第2継手管12へ流れる流体の流量を一定に保持することができ、小流量域の制御性が向上する。
【0040】
次に、図12に基づいて本発明の冷凍サイクルシステムについて説明する。冷凍サイクルシステムは、例えば、家庭用エアコン等の空気調和機に用いられる。前記実施形態の電動弁100は、空気調和機の第1室内側熱交換器91(除湿時冷却器として作動)と第2室内側熱交換器92(除湿時加熱器として作動)との間に設けられており、圧縮機95、四方弁96、室外側熱交換器94および電子膨張弁93とともに、ヒ-トポンプ式冷凍サイクルを構成している。第1室内側熱交換器91と第2室内側熱交換器92及び電動弁100は室内に設置され、圧縮機95、四方弁96、室外側熱交換器94および電子膨張弁93は室外に設置されていて冷暖房装置を構成している。
【0041】
除湿弁としての実施形態の電動弁100は、除湿時以外の冷房時または暖房時には主弁体が全開状態とされて、第1室内熱交換器91と第2室内熱交換器92は一つの室内熱交換器とされる。そして、この一体の室内熱交換器と室外熱交換器94は、「蒸発器」及び「凝縮器」として択一的に機能する。すなわち、電子膨張弁としての電動弁93は、蒸発器と凝縮器の間に設けられている。
【0042】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、家庭用エアコン等の空気調和機に用いられる電動弁100を例示したが、本発明の電動弁は、家庭用エアコンに限らず、業務用エアコンであってもよいし、空気調和機に限らず、各種の冷凍機等にも適用可能である。
【0043】
また、前記実施形態では、ニードル弁側に当接部としてのテーバ部を形成し、主弁体側に当接部としての段部を形成した例について説明したが、ニードル弁側に円柱状の段部を形成し、主弁体側にこの円柱状の段部をに対向するようなすり鉢状のテーバ部を形成してもよい。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述し、その他の実施形態についても詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 弁ハウジング
1R 主弁室
11 第1継手管
12 第2継手管
13 主弁座
13a 主弁ポート
14 ケース
L 軸線
2 ガイド部材
2A ガイド孔
21 圧入部
22 上側のガイド部
23 下側のガイド部
24 ホルダ部
24a 雌ねじ部
25 フランジ部
3 主弁体
3S ストレート部
3R 副弁室
3a 段部(当接部)
31 主弁部
32 保持部
32a ニードルガイド孔
33 副弁座
34 リテーナ
35 主弁ばね
4 ニードル弁(副弁体)
41 ガイド用ボス部
41a テーパ部(当接部)
42 ニードル部
42a ストレート部
42b ニードル
43 ワッシャ
5 駆動部
5A ステッピングモータ
5B ねじ送り機構
5C ストッパ機構
51 ロータ軸
51a 雄ねじ部
52 マグネットロータ
52a 突起部
53 ステータコイル
54 バネ受け
55 コイルバネ
4′ ニードル弁
41′ ガイド用ボス部
43′ 連結ロッド
7a バネ受け
7 コイルバネ(当接部)
4″ ニードル弁
41″ ガイド用ボス部
42″ ニードル部(副弁体)
13S ストレート部
31a 突条
13S′ ストレート部
91 第1室内側熱交換器
92 第2室内側熱交換器
93 電子膨張弁
94 室外側熱交換器
95 圧縮機
96 四方弁
100 電動弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12