(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】骨盤底筋をトレーニングするためのデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/20 20060101AFI20230313BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20230313BHJP
A61B 5/22 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61B5/20
A61B17/00 600
A61B5/22 200
(21)【出願番号】P 2019504938
(86)(22)【出願日】2017-07-28
(86)【国際出願番号】 US2017044444
(87)【国際公開番号】W WO2018023037
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-22
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517209293
【氏名又は名称】レノビア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Renovia Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ディ・ビア
(72)【発明者】
【氏名】ヨランダ・ロリー
(72)【発明者】
【氏名】ラモン・ホセ・イグレシアス
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0196802(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0282763(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0222708(US,A1)
【文献】特開2002-143133(JP,A)
【文献】国際公開第2015/103629(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0084848(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0237771(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0324380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
A61B 17/00
A63B 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膣壁と接触するように構成された外縁部と、子宮頸部または膣断端を実質的に円周方向に包囲するようなサイズである内径とを有する、連続または不連続のリングと、
永久的な接続により前記リングの周面の或る箇所に取り付けられた線形のテザーと
を備え、
前記テザーには、対象者の骨盤底筋の上向きの引上げ運動を検出することができる複数の加速度計が、該テザーの長さ全体にわたって互いに間隔をあけて配置されている、膣内デバイス。
【請求項2】
複数の加速度計が前記リング全体にわたって分散配置されている、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項3】
i)前記膣内デバイスはさらに、
a)前記複数の加速度計からのデータを受信しかつ非一時的に格納するように構成されたマイクロコントローラと、
b)電子デバイスと無線通信する送信器および受信器と、
c)着脱式ケーブルにより前記膣内デバイスに接続された外部ハウジング内に位置する送信器および受信器と、
d)電源と、
e)前記送信器および受信器と共に使用されるように構成されている電子デバイスと、
f)着脱式ケーブルと
のうちの1つ以上をさらに備え、
または
ii)前記テザーは交換可能かつ/またはモジュール式である、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項4】
前記電子デバイスが、
a)コンピュータ、タブレットおよび/またはスマートフォンである、
b)前記複数の加速度計によって測定されるデータを受信しかつ/または処理する、
c)データベースと通信するように構成されている、
または
d)前記膣内デバイスの使用のためのデータおよび/または指示を表示するように構成されているユーザインタフェースを備える、請求項3に記載の膣内デバイス。
【請求項5】
前記電源がバッテリである、かつ/または前記電源が前記送信器または受信器に接続されている、請求項3または4に記載の膣内デバイス。
【請求項6】
前記着脱式ケーブルが、
a)前記膣内デバイスを電子デバイスに接続するように構成されている、
b)前記膣内デバイスを電源に接続するように構成されている、
または
c)前記膣内デバイスを取り除くのに役立つように構成されている、請求項3~5のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項7】
前記複数の加速度計が、骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩を検出するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項8】
動きセンサ、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、光検出および測距(LiDAR)センサ等の光検出センサ、電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるセンサを備えた、請求項1~7のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項9】
a)前記ジャイロスコープが多軸ジャイロスコープである、
または
b)前記EIMセンサが、局所生体伝達インピーダンス(LBTI)センサである、請求項8に記載の膣内デバイス。
【請求項10】
a)圧力センサ、筋肉の質センサ、筋力センサ、pHセンサ、湿度センサ、温度センサ、ホルモンセンサおよび毒素センサからなる群から選択された、前記リング内の少なくとも1つのさらなるセンサ、
または
b)透過性もしくは半透過性膜、メッシュまたは穿孔バリア
をさらに備えた、請求項1~9のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項11】
前記リング内に前記対象者にバイオフィードバックを提供する感覚出力構成要素をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項12】
前記バイオフィードバックが、前記複数の加速度計によって測定される少なくとも1つの実施指標に関連する、
または
前記感覚出力構成要素が、前記バイオフィードバックとして視覚信号、振動信号または聴覚信号を生成するように構成されている、請求項11に記載の膣内デバイス。
【請求項13】
前記実施指標が、
a)骨盤底引上げまたは骨盤底弛緩の適切な実行である、
b)前記膣内デバイスが使用された時間の長さである、
または
c)圧力、筋肉の質、筋力、湿度、温度、ホルモンレベル、毒素レベルまたはpHの測定値から選択される、請求項12に記載の膣内デバイス。
【請求項14】
前記リングが、不連続のリングである、請求項1~13のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項15】
前記リングが、約20mm~約80mmまたは約55mm~約75mmまたは約22mm~約30mmの直径を有する、かつ/または約0.1mm~約1mmの厚さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項16】
前記膣内デバイスを前記対象者の体内で安定させ、方向付け、かつ/または位置決めする目的で少なくとも1つの特徴をさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項17】
前記特徴が、コーティング、突起およびテクスチャからなる群から選択される、請求項16に記載の膣内デバイス。
【請求項18】
可撓性を有する生体適合性材料から作製されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項19】
挿入用器具と共に使用されるように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項20】
前記挿入用器具が、前記膣内デバイスを変形させ、かつ/または前記膣内デバイスを前記対象者の前記膣内で、前記骨盤底に隣接する膣上部の表面に対して実質的に平行な向きに展開することができる、請求項19に記載の膣内デバイス。
【請求項21】
a)前記対象者の体内から前記膣内デバイスを取り除くべきときを前記対象者に通知するように構成されている、
または、
b)少なくとも1種の医薬品を含む、かつ/または、少なくとも1種の医薬品を投与するように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1種の医薬品が、
a)前記膣内デバイスの前記リングまたは前記テザーに均一に分散されている、
b)コーティング、層またはゲルとして、前記膣内デバイスの前記リングまたは前記テザーの表面に施される、
または
c)ムスカリン受容体作動薬、抗コリンエステラーゼ阻害薬、アルファアドレナリン作動薬、アルファアドレナリン遮断薬、ベータアドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬、鎮けい剤、抗うつ薬、バソプレシン等のホルモン、ボツリヌス毒素等の毒素、筋弛緩薬、筋興奮薬、筋肉量減少を予防する薬剤、殺菌剤、避妊薬、エストロゲン受容体作動薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、抗がん剤、治療用ペプチドまたはタンパク質、ベンゾジアゼピンおよび鎮痛剤からなる群から選択される、請求項21に記載の膣内デバイス。
【請求項23】
少なくとも1つの内部コア、リザーバまたは他の送達モジュールを備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの内部コア、リザーバまたは他の送達モジュールが、
a)前記膣内デバイスの前記リングまたは前記テザー内に配置されている、
b)前記少なくとも1つの医薬品を含む、
または
c)2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種の医薬品を含む、請求項23に記載の膣内デバイス。
【請求項25】
前記膣内デバイスが、前記対象者における骨盤底障害を治療し、または、その進展もしくは進行を抑制し、もしくは低減させるように構成され、前記骨盤底障害が、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、便失禁、骨盤臓器脱、骨盤痛、性機能不全、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、非弛緩性骨盤底機能不全ならびに膣けいれんからなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の膣内デバイス。
【請求項26】
対象者における骨盤底障害を治療し、または、その骨盤底障害の進展もしくは進行を抑制し、もしくは低減させるにおいての使用のための請求項1~25のいずれか一項に記載の膣内デバイスにおいて、
その使用は、前記膣内デバイスを前記対象者の膣内に挿入することと、前記膣内デバイスにより前記対象者の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングすることとを含み、前記使用は、骨盤底障害の少なくとも1つの症状の発症の頻度および/または重症度を低減させる、使用のための膣内デバイス。
【請求項27】
前記使用は、前記骨盤底障害またはその骨盤底障害の症状を治療するために有用な少なくとも1種の医薬品を放出することをさらに含む、請求項26に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項28】
前記少なくとも1種の医薬品が、
a)ムスカリン受容体作動薬、抗コリンエステラーゼ阻害薬、アルファアドレナリン作動薬、アルファアドレナリン遮断薬、ベータアドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬、鎮けい剤、抗うつ薬、ホルモン、バソプレシン類似体、ボツリヌス毒素、筋弛緩薬、筋興奮薬、筋肉量減少を予防する薬剤、殺菌剤、避妊薬、エストロゲン受容体作動薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、抗がん剤、治療用ペプチドまたはタンパク質、ベンゾジアゼピンおよび鎮痛剤からなる群から選択される、
または
b)前記骨盤底障害またはその骨盤底障害の少なくとも1つの症状を治療し、その発症の頻度および/もしくは重症度を抑制し、または低減させる、請求項27に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項29】
a)前記骨盤底障害が、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、便失禁、性交時尿失禁、骨盤臓器脱、骨盤痛、性機能不全、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、筋肉痛、非弛緩性骨盤底機能不全ならびに膣けいれんからなる群から選択される、
b)前記骨盤底障害の少なくとも1つの症状が、筋緊張、筋力、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数および尿意切迫感からなる群から選択される、
c)前記モニタリングが、治療期間中に2回以上実施される、
または
d)前記使用は、治療プログラムを実施することをさらに含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項30】
a)前記膣内デバイスが、治療期間中、前記対象者の体内にとどまる、
b)治療期間が、約1週間~約3か月または約2週間~約8週間である、
c)治療プログラムが、一続きの1回または複数回の骨盤底引上げおよび/または弛緩を実施することを含む、
d)治療プログラムが、一日につき少なくとも1回または2回または3回行われる、
e)治療プログラムが、医師により決定され、または評価される、
f)治療プログラムが、前記対象者により決定される、
または
g)治療プログラム中、前記対象者が、前記膣内デバイスに接続されかつ前記膣内デバイスを使用するためのデータおよび/または指示を表示するようにプログラムされた電子デバイスのユーザインタフェースを作動させる、請求項26~29のいずれか一項に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項31】
a)各一続きが、約1秒間~約10分間で行われる、
b)前記一続きが5回繰り返され、前記一続きが、15秒間骨盤底引上げおよび/または弛緩を実施し、その後、15秒間休むことを含む、
c)前記一続きが約2.5分間で行われる、
d)前記電子デバイスが、前記治療プログラムを通して前記対象者を指導する指示を提供する、
e)前記電子デバイスが、骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩の質および量に関する結果の読取値を、実質的にリアルタイムに、または前記治療プログラムの完了後に生成する、
f)前記電子デバイスが、前記対象者に対し、骨盤底引上げを実施するように、または前記骨盤底筋を弛緩させるように指示する、
g)前記電子デバイスが、前記膣内デバイスの使用中に前記対象者が体験する前記症状に関するデータを収集し、効力を向上させるように前記治療プログラムを調整する推奨を提供する、
または
h)前記電子デバイスが、前記膣内デバイスを取り除くべきときを前記対象者に通知する、請求項30に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項32】
前記電子デバイスが、前記対象者に対し、骨盤底引上げを実施するように、または前記骨盤底筋を弛緩させるように指示する、請求項31に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項33】
前記膣内デバイスが、前記少なくとも1種の医薬品を、連続的に、定期的に、前記膣の状態の変化に応じて、前記膣内デバイスにより得られるセンサデータに応じて、かつ/または前記使用者からの送達コマンドに応じて投与するように構成される、請求項26~32のいずれか一項に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項34】
前記センサデータが、骨盤底引上げの実施、骨盤底弛緩の実施、筋肉の質の変化、筋力の変化および/または膣pHの変化を示す、請求項33に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項35】
前記テザーが、交換可能またはモジュール式であり、
前記テザーが、
a)少なくとも1つの送達モジュールまたは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルを備え、前記膣内デバイスが、治療的に有効な量の前記少なくとも一種の医薬品を治療期間中に前記対象者に投与するように構成されている、
b)動きセンサ、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、光検出および測距(LiDAR)センサ等の光検出センサ、および電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサ、圧力センサ、pHセンサ、湿度センサ、温度センサ、ホルモンセンサおよび毒素センサからなる群から選択された少なくとも1つのさらなるセンサを備える、
または
c)前記治療期間中に1回または複数回交換することができる、請求項26~34のいずれか一項に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項36】
請求項26に記載の使用のための膣内デバイスであって、その使用はさらに、膣内デバイスを校正することを含み、前記校正することは、
(a)前記膣内デバイスを前記対象者の膣内に挿入し、校正期間にわたり、前記膣内デバイスを用いて前記対象者の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングすることと、
(b)前記校正期間にわたって収集されたデータを用いて、前記対象者の骨盤底筋の作動または弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または前記対象者の前記骨盤底障害の少なくとも1つの特徴に対する基準値スコアを計算することと
を含む、使用のための膣内デバイス。
【請求項37】
前記対象者の骨盤底筋の作動もしくは弛緩の前記少なくとも1つの実施指標、および/または前記骨盤底障害の前記少なくとも1つの特徴が、実施される骨盤底引上げの最大回数および/または骨盤底弛緩の最大回数、実施される骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩の最大強度、ならびに、筋肉の質、筋力および/または膣pHからなる群から選択される、請求項36に記載の使用のための膣内デバイス。
【請求項38】
請求項1~25のいずれか一項に記載の膣内デバイスと、
a)送信器および受信器、
b)着脱式ケーブル、
c)前記膣内デバイスの挿入用器具、
d)電子デバイス、
e)データベース、
または
f)ユーザインタフェース
とを備えるシステム。
【請求項39】
対象者における骨盤底障害を治療するかまたはその進行を低減させるキットであって、
請求項1~25のいずれか一項に記載の膣内デバイス、または、前記膣内デバイスと、送信器および受信器、着脱式ケーブル、前記膣内デバイスの挿入用器具、電子デバイス、データベース、およびユーザインタフェースのうちの1つまたは複数とを備えたシステムと、
その使用のための取扱い説明書と
を備えるキット。
【請求項40】
潤滑剤、生体材料、および医薬品のうちの1つまたは複数をさらに含む、または
医薬品が、前記膣内デバイスに組み込まれている、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
前記膣内デバイス、送達モジュールまたは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルのうちのすべてまたは少なくとも一部が、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、フルオロカーボン系ポリマー、ヒドロゲル、親水性エラストマー、ラテックスポリマー、低融点ワックス、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、非膨潤性エラストマー、薬物透過性エラストマー、ポリ(イソブチレン)コポリマー、ポリ(アクリル酸)コポリマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)コポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(イソプレン)コポリマー、ポリ(ビニルアルコール)コポリマー、ポリアクリレートポリマー、ポリアクリロニトリルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリブタジエンポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテルエーテルケトンポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリエーテルスルホンポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)ポリマー、ポリエチレンポリマー、ポリメチルペンテンポリマー、ポリホスファゼンポリマー、ポリプロピレンポリマー、ポリパラキシリレンポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリスチレンポリマー、ポリスルホンポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー、ゴム、飽和脂肪酸の半合成グリセリド、シリコーンポリマー、ステアリルアルコールポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、セルロース、多糖、タンパク質、ポリヒドロキシ酸ポリマー、ポリメタクリル酸ポリマー、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択された材料から構成されている、請求項18に記載の膣内デバイス。
【請求項42】
前記ホルモンレベルが、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、エストロゲン、プロゲステロン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)およびそれらの誘導体からなる群から選択されたホルモンのレベルである、かつ/または
前記毒素レベルが、細菌毒素、真菌毒素およびウイルス性毒素からなる群から選択された毒素のレベルである、請求項13に記載の膣内デバイス。
【請求項43】
請求項26に記載の使用のための膣内デバイスであって、その使用はさらに、女性の対象者における泌尿生殖系および/または骨盤底の健康状態および/または安全状態をモニタリングすることを含み、
前記モニタリングすることは、
(a)前記膣内デバイスを前記対象者の膣内に挿入することと、
(b)校正期間にわたり、前記膣内デバイスを用いて前記対象者の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングすること、および/または前記泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴をモニタリングすることにより、前記膣内デバイスを校正することと、
(c)前記校正期間にわたって収集されたデータを用いて、前記対象者の骨盤底筋の作動または弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または前記対象者の前記泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴に対する安全性スコアを計算することと、
(d)前記膣内デバイスを用いて、対象者の日常の活動の実施中に前記対象者の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングし、かつ/または前記泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴をモニタリングすることと、
(e)活動の実施時に実質的にリアルタイムに、または前記確立された安全性スコアを超える特徴または前記対象者の泌尿生殖系および/または骨盤底の健康を変化させる特徴の検出時に、前記対象者にフィードバックを提供することと、
を含む、使用のための膣内デバイス。
【請求項44】
上部本体と下部本体とを備え、前記上部本体および前記下部本体が、請求項1~25のいずれか一項に記載の膣内デバイスと着脱可能に係合するように構成されている、挿入器具。
【請求項45】
前記テザーは14cm以下の長さを有する、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項46】
前記テザーは約1mm~約10mmの幅を有する、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項47】
前記テザーの長さ全体にわたって
2~20個の加速度計を備える、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項48】
前記リングに1~20個の加速度計を備える、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項49】
前記テザーは、該テザーの長さ全体にわたって1mm~140mmの間隔で配置された加速度計を備える、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項50】
前記テザーは、各加速度計の位置に対応する前記テザー上の箇所に突起を備える、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項51】
前記テザーと前記リングの平面との間の角度は90度以下である、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項52】
前記テザーは円柱形である、請求項1に記載の膣内デバイス。
【請求項53】
前記不連続のリングが、蹄鉄形である、請求項14に記載の膣内デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
骨盤底障害(PFD)は、主に女性に発症し、弱くなった(たとえば、低緊張)または緊張した(たとえば、高緊張)骨盤底(PF)筋に関連する、一群の病状である。たとえば、妊娠、経膣分娩、骨盤手術、加齢、遺伝的素因、神経疾患および体重増加等、多くの一般的な要因が、女性の骨盤底筋の衰えまたは拘縮の一因となる。米国では、PFDは、女性の24%に発症し、女性の16%が尿失禁(UI)を体験し、3%が骨盤臓器脱(POP)を体験し、9%が便失禁(FI)を体験する。PFDの罹患率は、年齢とともに増加し、20歳~39歳の女性の10%および80歳以上の女性の50%が、少なくとも1種のPFDを体験することになる。少なくとも1種のPFDを有する米国における女性の数は、2010年における2810万人から2050年では4380万人まで増加すると推定される(Memon et al.,Womens Health(Lond.Engl.).9(3),2013)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
PFDを治療する方法およびデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、第1態様では、膣内デバイスであって、膣壁と接触するように構成された外縁部と、子宮頸部または膣断端を実質的に円周方向に包囲するようなサイズである内径とを有する、実質的リング状形態物(form)(たとえば、デバイスは、骨盤底膜の内壁と直接接触するように構成される)と、個人の骨盤底筋の上向きの引上げ運動を検出することができる、実質的リング状形態物内の少なくとも1つのセンサとを含む膣内デバイスを特徴とする。膣内デバイスは、少なくとも1つのセンサを有する交換可能かつ/またはモジュール式テザーをさらに備えることができる。
【0004】
第2態様では、本発明は、膣壁と接触するように構成された外縁部と、子宮頸部または膣断端を実質的に円周方向に包囲するようなサイズである内径とを有する、実質的リング状形態物と、個人の骨盤底筋の上向きの引上げ運動を検出することができる、少なくとも1つのセンサを備えるテザーとを含む膣内デバイスを特徴とする。
【0005】
本発明の膣内デバイスは、少なくとも1つのセンサからのデータを受信しかつ非一時的に格納するデバイス内に(たとえば、実質的リング状形態物および/またはテザー内に)構成されたマイクロコントローラをさらに含むことができる。さらに、デバイス内に(たとえば、実質的リング状形態物および/またはテザー内に)、電子デバイスと無線通信する送信器および受信器を含めることができる。いくつかの実施形態では、送信器および受信器は、着脱式ケーブルまたはテザーにより膣内デバイスに接続された外部ハウジング内に位置する。送信器および受信器は、Bluetooth、Bluetooth Low Energyおよび/またはWi-Fi対応電子デバイスと使用されるように構成されている。
【0006】
電子デバイスは、少なくとも1つのセンサによって測定されるデータを受信しかつ/または処理する。いくつかの実施形態では、電子デバイスは、コンピュータ、タブレットおよび/またはスマートフォンである。いくつかの実施形態では、電子デバイスは、データベース(たとえば、ローカルデータベース、またはインターネットベースのデータベース等、リモートデータベース)と通信するように構成されている。いくつかの実施形態では、電子デバイスはユーザインタフェースを備える。ユーザインタフェースは、膣内デバイスの使用のためのデータおよび/または指示を表示するようにプログラムすることができる。
【0007】
膣内デバイスは、バッテリ等、センサに接続された電源をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、外部ハウジングは、送信器または受信器に接続された電源をさらに含む。膣内デバイスは、デバイス内の1つまたは複数の構成要素(たとえば、センサ)に接続された着脱式ケーブルをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、着脱式ケーブルは、膣内デバイスを電子デバイスに接続するように構成されている。他の実施形態では、着脱式ケーブルは、デバイス内の1つまたは複数の構成要素(たとえば、センサ)を電源に接続するように、かつ/または膣内デバイスを取り除くのに役立つように構成することができる。
【0008】
膣内デバイスの少なくとも1つのセンサは、骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩を検出するように構成されている。少なくとも1つのセンサは、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEMまたはMEMS)センサ、加速度センサ、傾斜センサおよび回転センサからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセンサは、多軸加速度計等の加速度計である。他の実施形態では、少なくとも1つのセンサは、多軸ジャイロスコープ等のジャイロスコープである。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのセンサはMEMセンサである。膣内デバイスは、実質的リング状形態物および/テザー内に、圧力センサ、筋肉の質(muscle quality)センサ、pHセンサ、および温度センサからなる群から選択される少なくとも1つのさらなるセンサをさらに含むことができる。
【0009】
膣内デバイスは、電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサ(たとえば、電気生体インピーダンスを測定するため)を含むことができる。EIMセンサは、局所生体伝達インピーダンス(LBTI:localized biological transfer impedance)センサ、たとえばSKULPT(登録商標)センサまたは他の類似のセンサであり得る。デバイスは、骨盤底の組織(たとえば、筋肉および神経)に印加される電流(たとえば、高周波交流電流)を送達するようにかつ/またはその効果を測定するように構成することができる。EIM技術は、デバイスに組み込まれる場合、筋肉の質および/または機能、相対的な力発生能力、脂肪率、および/または骨盤底障害の状態(たとえば、進行)からなる群から選択される特徴等、骨盤底の組織の少なくとも1つの特徴を確定することができる。膣内デバイスは、骨盤底の組織に、高周波交流電流等の電流を送達するように構成された少なくとも1つの電極(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20の電極)を含むことができる。さらに、膣内デバイスは、骨盤底の組織の生体インピーダンスを測定するように構成された少なくとも1つの電極(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20の電極)を含むことができる。一実施形態では、骨盤底の組織への電流の送達および/またはその組織の生体インピーダンスの測定は、膣内デバイスにおけるSKULPT(登録商標)センサ等の少なくとも1つのEIMセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20のEIMセンサ)を通して達成される。特定の実施形態では、膣内デバイスは、少なくとも1つのSKULPT(登録商標)センサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20のSKULPT(登録商標)センサ)を含む。電極、EIMセンサおよび/またはSKULPT(登録商標)センサは、膣内デバイスの実質的リング状形態物および/またはテザー内に配置することができる。
【0010】
膣内デバイスはまた、たとえば、光検出および測距(LiDAR)センサ等、光、たとえばレーザを生成するかまたは検知する構成要素も含むことができる。膣内デバイスは、少なくとも1つのLiDARセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20のLiDARセンサ)、たとえば、オンチップLiDARセンサを含むことができる。1つまたは複数のLiDARセンサは、骨盤底引上げおよび/または弛緩を測定するように構成することができる。LiDARセンサを含むことにより、膣内デバイスは、マッピングデータ、たとえば、骨盤底および/または膣管のサイズ、形状、輪郭、構造および/またはテクスチャに関するデータを収集し、たとえば、骨盤底組織の3次元(3D)モデルを生成することができる。LiDARセンサは、膣内デバイスの実質的リング状形態物および/またはテザー内に配置することができる。
【0011】
膣内デバイスは、実質的リング状形態物内に個人にバイオフィードバックを提供する感覚出力構成要素をさらに含むことができる。たとえば、バイオフィードバックは、少なくとも1つのセンサによって測定される少なくとも1つの実施指標(performance metric)に関連する。実施指標は、骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩の適切な実行、膣内デバイスが使用された時間の長さおよび/またはpHであり得る。実施指標はまた、圧力、筋肉の質、筋力、湿度、温度、ホルモンレベル(たとえば、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、エストロゲン、プロゲステロン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG))、毒素レベル(たとえば、細菌毒素、真菌毒素およびウイルス性毒素)および/またはpHでもあり得る。感覚出力構成要素は、バイオフィードバックとして視覚信号、振動信号および/または聴覚信号を生成するように構成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、膣内デバイスの実質的リング状形態物はカップ状である。いくつかの実施形態では、膣内デバイスの実質的リング状形態物は、U字型、半円形または蹄鉄形状等、不連続である。いくつかの実施形態では、膣内デバイスは、透過性もしくは半透過性膜、メッシュおよび/または穿孔バリアをさらに含むことができる。
【0013】
膣内デバイスの実質的リング状形態物は、約20mm~約80mm、約55mm~約75mmまたは約22mm~約30mmの直径と、約0.1mm~約1mmの厚さとを有することができる。テザーは、約14cm以下の長さと約1mm~約10mmの幅とを有することができる。膣内デバイスは、デバイスを個人の体内で安定させ、方向付け、かつ/または位置決めする目的で少なくとも1つの特徴をさらに含むことができる。特徴は、コーティング、突起およびテクスチャからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、膣内デバイスは、たとえば、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ヒドロゲル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性エラストマー、ポリパラキシリレン、フルオロポリマー、ゴムおよびラテックスからなる群から選択される材料等、可撓性、生体適合性材料から作製されている。いくつかの実施形態では、材料はシリコーンである。
【0014】
膣内デバイスは、挿入用器具と使用されるように構成することができる。挿入用器具は、膣内デバイスを変形させ、かつ/または膣内デバイスを個人の膣内で、骨盤底に隣接する膣上部の表面に対して実質的に平行な向きに展開することができる。さらに、膣内デバイスは、個人の体内から膣内デバイスを取り除くべきとき(たとえば、約10、20もしくは30日またはそれより長い期間の後に)を個人に通知するように構成されている。
【0015】
膣内デバイスは、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)を、たとえば、膣および骨盤底の組織に投与するように構成することができる。いくつかの実施形態では、本発明の膣内デバイスは、たとえば膣内デバイスの材料内に、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)を含むことができる。たとえば、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)は、膣内デバイスの本体および/またはテザーの材料を通して均一に分散することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)は、コーティング、層および/またはゲルとして膣内デバイスの本体および/またはテザーの表面に施すことができる。いくつかの実施形態では、膣内デバイスは、たとえば、膣内デバイスの本体および/またはテザー内に配置することができる、少なくとも1つの内部コア、リザーバまたは他の送達モジュール(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くの内部コア、リザーバまたは他の送達モジュール)を含むことができる。いくつかの実施形態では、内部コア、リザーバまたは他の送達モジュールは、少なくとも1つの医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の医薬品は、ムスカリン受容体作動薬、抗コリンエステラーゼ阻害薬、アルファアドレナリン作動薬、アルファアドレナリン遮断薬、ベータアドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬、鎮けい剤、抗うつ薬、バソプレシン等のホルモン、ボツリヌス毒素等の毒素、筋弛緩薬、筋興奮薬、筋肉量減少を予防する薬剤、殺菌剤、避妊薬、エストロゲン受容体作動薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、抗がん剤、治療用ペプチドまたはタンパク質、ベンゾジアゼピンおよび鎮痛剤からなる群から選択される。
【0016】
膣内デバイスは、個人における骨盤底障害を治療し、または、その進展もしくは進行を抑制し、もしくは低減させるように構成され、骨盤底障害は、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、便失禁、骨盤臓器脱、骨盤痛、性機能不全、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、非弛緩性骨盤底機能不全ならびに膣けいれんからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、膣内デバイス、送達モジュールまたは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルのうちのすべてまたは少なくとも一部は、熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、フルオロカーボン系ポリマー、ヒドロゲル、親水性エラストマー、ラテックスポリマー、低融点ワックス、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、非膨潤性エラストマー、薬物透過性エラストマー、ポリ(イソブチレン)コポリマー、ポリ(アクリル酸)コポリマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)コポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(イソプレン)コポリマー、ポリ(ビニルアルコール)コポリマー、ポリアクリレートポリマー、ポリアクリロニトリルポリマー、ポリアミドポリマー、ポリブタジエンポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリエステルポリマー、ポリエーテルエーテルケトンポリマー、ポリエーテルポリマー、ポリエーテルスルホンポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)ポリマー、ポリエチレンポリマー、ポリメチルペンテンポリマー、ポリホスファゼンポリマー、ポリプロピレンポリマー、ポリパラキシリレンポリマー、ポリシロキサンポリマー、ポリスチレンポリマー、ポリスルホンポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー、ゴム、飽和脂肪酸の半合成グリセリド、シリコーンポリマー、ステアリルアルコールポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、セルロース、多糖、タンパク質、ポリヒドロキシ酸ポリマー、ポリメタクリル酸ポリマー、それらの誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択された材料から構成されている。
【0018】
別の態様では、本発明は、個人における骨盤底障害を治療し、または、その進展もしくは進行を抑制し、もしくは低減させる方法であって、膣内デバイスを個人の膣内に挿入するステップと、膣内デバイスを用いて個人の骨盤底筋の作動(engagement)または弛緩をモニタリングするステップとを含む方法を特徴とする。デバイスによる治療により、骨盤底障害の少なくとも1つの症状の発症の頻度および/または重症度が低減する。骨盤底障害は、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、便失禁、性交時尿失禁、骨盤臓器脱、骨盤痛、性機能不全、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、筋肉痛、非弛緩性骨盤底機能不全ならびに膣けいれんからなる群から選択することができる。骨盤底障害の少なくとも1つの症状は、筋緊張、筋力、尿漏れ、漏便(たとえば、ガス、粘液、液体または大便を含む)、痛み、排尿回数および尿意切迫感からなる群から選択することができる。モニタリングは、治療期間中に2回以上(たとえば、1日に2、3、4、5または6回、および少なくとも1週間に1、2、3、4、5、6または7日)実施することができる。
【0019】
別の態様では、個人における骨盤底障害、または膣組織もしくは女性泌尿生殖系の疾患もしくは病状を治療し、または、その進展もしくは進行を抑制し、もしくは低減させる方法であって、膣内デバイスを個人の膣内に挿入するステップを含み、膣内デバイスが、PFDまたはその症状を治療するために有用な少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)を含む、方法を特徴とする。少なくとも1種の医薬品は、ムスカリン受容体作動薬、抗コリンエステラーゼ阻害薬、アルファアドレナリン作動薬、アルファアドレナリン遮断薬、ベータアドレナリン受容体作動薬、抗コリン薬、鎮けい剤、抗うつ薬、ホルモン、バソプレシン類似体、ボツリヌス毒素、筋弛緩薬、筋興奮薬、筋肉量減少を予防する薬剤、殺菌剤、避妊薬、エストロゲン受容体作動薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、抗がん剤、治療用ペプチドまたはタンパク質、ベンゾジアゼピンおよび鎮痛剤からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、医薬品は、PFDまたはその少なくとも1つの症状(たとえば、その1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くの症状)を治療し、その発症の頻度および/もしくは重症度を抑制し、または低減させる。
【0020】
膣内デバイスは、治療期間、たとえば、約1週間~約3か月または約2週間~約8週間の間、患者の体内にとどまる。患者は、望ましい場合、治療期間中にデバイスを取り除き、デバイスを再挿入して治療を再開することができる。デバイスは、使用と使用との間に(たとえば、洗浄することにより)消毒するべきである。本方法は、一続きの1回または複数回の骨盤底引上げおよび/または弛緩を実施することを含む、治療プログラム等、治療プログラムを実施するステップをさらに含むことができる。各引上げまたは弛緩は、一続きにおいて約1秒間~約10分間で行われる。引上げまたは弛緩は、一続きにおいて(たとえば、約2.5分間等、約1分間~約10分間の時間枠内で)最大約5回~約10回(たとえば、少なくとも5回)繰り返すことができる。治療プログラムは、少なくとも1日に1回、1日に2回、または1日に3回実施される。治療プログラムは、医師が決定し、もしくは評価することができ、治療プログラムは、個人が決定することができる。
【0021】
治療プログラム中、個人は、膣内デバイスに(たとえば、直接または無線で)接続されかつ膣内デバイスを使用するためのデータおよび/または指示を表示するようにプログラムされる、電子デバイスのユーザインタフェースを作動させる。電子デバイスは、治療プログラムを通して個人を指導する指示を提供する。電子デバイスは、骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩の質および量に関する結果の読取値を、実質的にリアルタイムに、または治療プログラムの完了後に生成することも可能である。電子デバイスは、個人に対し、骨盤底引上げを実施するように、または骨盤底筋を弛緩させるように指示することができ、たとえば、個人に対し、骨盤底引上げを繰り返すように、または骨盤底筋を2回以上弛緩させるように指示することができる。電子デバイスは、膣内デバイスの使用中に個人が体験する症状に関するデータを収集し、効力を向上させるように治療プログラムを調整する推奨を提供することができる。電子デバイスはまた、膣内デバイスを取り除くべきときを個人に通知することも可能である。いくつかの実施形態では、膣内デバイスは、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)を、連続的に、定期的に、膣の状態の変化に応じて、膣内デバイスにより得られるセンサデータに応じて、かつ/または使用者からの送達コマンドに応じて投与するように構成される。いくつかの実施形態では、センサデータは、骨盤底引上げの実施、骨盤底弛緩の実施、筋肉の質の変化、筋力の変化および/または膣pHの変化を示す。
【0022】
別の態様では、個人における骨盤底障害を治療し、または、その進展もしくは進行を抑制し、もしくは低減させる膣内デバイスを校正する方法であって、本発明の膣内デバイスを個人の膣内に挿入し、校正期間にわたり、膣内デバイスを用いて個人の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングするステップと、校正期間にわたって収集されたデータを用いて、個人の骨盤底筋の作動または弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または対象者の骨盤底障害の少なくとも1つの特徴に対する基準値スコアを計算するステップとを含む方法を特徴とする。個人の骨盤底筋の作動もしくは弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または骨盤底障害の少なくとも1つの特徴は、実施される骨盤底引上げの最大回数および/または骨盤底弛緩の最大回数、実施される骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩の最大強度、ならびに、筋肉の質、筋力および/または膣pHからなる群から選択することができる。
【0023】
別の態様では、本発明は、膣内デバイスと、以下のうちの1つまたは複数、すなわち、送信器および受信器、着脱式ケーブル、膣内デバイスの挿入用器具、電子デバイス、データベース、および/またはユーザインタフェースとを備えるシステムを特徴とする。システムは、個人における骨盤底障害を治療するかまたはその進行を低減させるために使用することができる。特に、骨盤底障害は、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、便失禁、骨盤臓器脱、骨盤痛、性機能不全、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、非弛緩性骨盤底機能不全ならびに膣けいれんからなる群から選択することができる。別の態様では、本発明は、個人における骨盤底障害を治療するかまたはその進行を低減させるキットであって、上述したような、本発明の膣内デバイス、または本発明のシステムと、その使用のための取扱い説明書とを備えるキットを特徴とする。キットは、たとえば、着脱式ケーブル、送信器/受信器ボックス、収納ケース、充電器、挿入器具、サニタリクリーナ、手袋および電源(たとえば、1つまたは複数のバッテリ)のうちの1つまたは複数を含むことができる。骨盤底障害は、尿失禁、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、便失禁、骨盤臓器脱、骨盤痛、性機能不全、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、非弛緩性骨盤底機能不全ならびに膣けいれんからなる群から選択することができる。キットは、潤滑剤および/または生体材料をさらに含むことができる。キットは、医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多くの医薬品)をさらに含むことができる。医薬品は、別個の容器に含めることができ、またはデバイスに組み込まれている。
【0024】
上記態様のうちのいずれにおいても、膣内デバイスは、交換可能かつ/またはモジュール式テザーを備えることができる。テザーは、たとえば、治療期間中に1回または複数回、交換することができるように構成することができる。テザーは、送達モジュールもしくは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルを有することができ、膣内デバイスは、治療的に有効な量の医薬品を個人に投与するように構成することができる、テザーは、少なくとも1つのセンサ(たとえば、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、光検出および測距(LiDAR)センサ等の光検出センサ、電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサ、圧力センサ、pHセンサ、湿度センサ、温度センサ、ホルモンセンサおよび毒素)を有する。モジュール式テザーは、送達モジュールもしくは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルを有することができ、それにより、膣内デバイスは、治療的に有効な量の医薬品を個人に投与するように構成される。
【0025】
別の態様では、本発明は、個人における泌尿生殖系および/または骨盤底の安全状態をモニタリングする方法を特徴とする。本方法は、膣内デバイスを個人の膣内に挿入するステップと、校正期間にわたり、膣内デバイスを用いて対象者の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングすること、および/または泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴をモニタリングすることにより、デバイスを校正するステップと、校正期間にわたって収集されたデータを用いて、個人の骨盤底筋の作動または弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または対象者の泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴に対する安全性スコアを計算するステップと、膣内デバイスを用いて、個人の日常の活動の実施中に個人の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングし、かつ/または泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴をモニタリングするステップと、活動の実施時に実質的にリアルタイムに、または確立された安全性スコアを超える特徴の検出時に、個人にフィードバックを提供するステップとを含むことができる。
【0026】
別の態様では、本発明は、個人における泌尿生殖系および/または骨盤底の健康をリアルタイムモニタリングする方法を特徴とする。本方法は、膣内デバイスを個人の膣内に挿入するステップ、膣内デバイスを校正するステップ、骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングするステップ、および/またはある期間にわたり膣内デバイスを用いて個人の泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴をモニタリングするステップを含むことができる。本方法は、使用の前にデバイスを校正することを含む、校正期間を含むことができる。本方法は、上記期間にわたって収集されたデータを用いて、個人の骨盤底筋の作動または弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または個人の泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴に対する安全性スコアを計算するステップも含むことができる。本方法はまた、膣内デバイスを用いて、必要に応じて、または、たとえば、個人の日常の活動の実施中にリアルタイムに、個人の骨盤底筋の作動または弛緩をさらにモニタリングし、かつ/または個人の泌尿生殖系の少なくとも1つの特徴をモニタリングするステップも含む。活動の実施時に実質的にリアルタイムに、または個人の泌尿生殖系および/または骨盤底の健康を変化させる特徴の検出時に、個人にフィードバックを提供することができる。フィードバックは、個人の泌尿生殖系および/または骨盤底の健康に損傷を与える活動を個人が行うのを阻止するか、または、個人の泌尿生殖系および/または骨盤底の健康を改善もしくは強化する活動を行うように個人を鼓舞することができる。
【0027】
定義
本明細書で用いる「1つの(a、an)」および「その(the)」という単数形は、別段の指示がない限り複数の指示対象を含む。
【0028】
本明細書で用いる「約」および「略」という用語は、記載されている値の±10%を意味する。
【0029】
本明細書で用いる「投与すること」は、ある投与量(たとえば、薬学的に有効な投与量)の医薬品(たとえば、骨盤底障害(PFD)またはその症状の治療に有用な医薬品)を対象者に与える方法を意味する。本明細書に記載する方法で利用する医薬品および組成物は、たとえば、本発明の膣内デバイスによって投与することができる。膣内デバイスは、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を収容するように構成することができる。たとえば、医薬品は、送達モジュール(たとえば、膣内デバイス内に組み込まれた内部コアまたはリザーバ)内に収容され、かつ/または膣内デバイスの表面に施されるコーティング、層またはゲル内に含まれる、膣内デバイスの材料(たとえば、ポリマー材料)を通して、均一に分散させるかまたは溶解させることができる。たとえば、本発明の膣内デバイスによって投与される薬剤の量は、さまざまな要素(たとえば、投与されている医薬品または組成物、および治療されているPFDまたはその症状の重症度)に応じて変更することができる。膣内デバイスは、医薬品放出の速度(たとえば、連続的放出、周期的放出、または、たとえば、使用者の入力、刺激および/もしくは膣内デバイスによって得られるセンサデータに応じた放出)を制御するように、かつ/または2種以上の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)の送達(たとえば、同時かつ/または連続送達)を可能にするように構成することができる。
【0030】
本明細書で用いる「子宮頸部または膣断端を略円周方向に包囲する」という表現は、子宮頸部または膣断端を取り囲みかつ/またはカップ状に覆うことができる、膣内デバイスの形態を指す。
【0031】
本明細書で用いる「~に対して近位側に」および「近位の」という用語は、治療(たとえば、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PLR)の実施)中に本発明の膣内デバイスが配置される対象者の子宮頸部または膣断端を包囲する膣の組織の近くの(たとえば、子宮頸部または膣断端を包囲する組織表面から約0.01~5mm、またはそれに隣接する)位置を指す。
【0032】
本明細書で用いる「バイオフィードバック」という用語は、健康および実施(たとえば、骨盤底障害(PFD)を治療し、その発症または症状を低減させ、かつ/または予防する)を改善する目的で生理学的活動(たとえば、骨盤底筋機能)を変更するように個人をトレーニングするために使用することができる情報を指す。バイオフィードバックはまた、日常的なモニタリング中に、たとえば、実質的にリアルタイムで、使用者が自身の日常の活動を実施する間に、本発明の膣内デバイスによって収集される情報も含むことができる。情報は、実質的にリアルタイムに検討することができ、または、後に検討するためにアクセスすることができる。本発明の膣内デバイス等の器具を用いて、筋活動(たとえば、運動および圧力)等の生理学的活動、筋肉の質、ならびに膣管のpH、温度および湿度等を測定し、この情報をバイオフィードバックとして個人に提供することができる。本発明の膣内デバイス等の器具を用いて、分子のレベル、たとえば、ホルモンのレベルおよび/または毒素のレベルを測定し、この情報をバイオフィードバックとして個人に提供することも可能である。個人に対するこの情報の提示は、視覚信号、聴覚信号または触覚信号によることができ、所望の生理学的変化(たとえば、骨盤底筋の筋力、制御および質の改善)をサポートすることができる。
【0033】
本明細書で用いる「生体適合性材料」という用語は、生体組織に対して有害でも毒性でもない材料を指す。
【0034】
本明細書で用いる「校正期間」という用語は、個人による膣内デバイスの使用期間中に膣内デバイス内に配置されたセンサからの測定値の基準セットを確定するプロセスを指し、測定値の基準セットは、治療プログラムの開始の前または開始時に個人の骨盤底筋の健康(たとえば、筋力、筋肉の質、状態)を特徴付ける。校正期間中に収集される測定値の基準セットを用いて、治療プログラムを通しての個人の進捗を計算しかつ/または確定することができる。
【0035】
本明細書で用いる「禁制」という用語は、体内からの排出(たとえば、排尿、排便または放屁)を我慢するかまたは保持する能力として定義する。
【0036】
本明細書で用いる「検出」という用語は、情報、たとえば、骨盤底筋の活性化および/または弛緩を特定する行為またはプロセスを意味する。検出は、直接または間接的な供給源(たとえば、センサ)から行うことができる。
【0037】
本明細書で用いる障害または疾患の「進行を遅らせること」とは、その疾患または障害(たとえば、骨盤底障害(PFD))の進展を先送りし、妨げ、遅くし、阻止し、安定させかつ/または延期することを意味する。この遅延は、治療されている疾患および/または個人の病歴に応じて、可変の長さの時間であり得る。当業者には明らかであるように、十分なまたは著しい遅延は、個人が疾患または障害を進展させないという意味で、予防も含むことができる。たとえば、経膣分娩後のPFDを遅らせかつ/または予防することができる。
【0038】
本明細書で用いる「診断」という用語は、疾患または病状(たとえば、骨盤底障害)の同定または分類を指す。たとえば、「診断」は、特定のタイプのPFDの同定を指す場合がある。
【0039】
「障害」は、限定されないが、慢性および急性の障害または疾患(対象者を当該障害に罹患しやすくするそれらの病理学的状態を含む)を含む、治療から利益を得る任意の状態である。
【0040】
本明細書で用いる「モニタリング」と言う用語は、データ、たとえば、本明細書に記載するような膣内デバイスのセンサから得られるデータを、収集し、追跡し、かつ/または格納するための本発明の膣内デバイスの使用を指す。モニタリングは、たとえば、膣内デバイスが使用者の膣腔内に配置されたとき、および/または膣内デバイスが治療期間中(たとえば、一続きの骨盤底体操(たとえば、骨盤底引上げおよび/または弛緩)の実施中)に使用されるときに、行われる。モニタリングはまた、たとえば、実質的にリアルタイムに、使用者が日常の活動を実施している間にも行うことができる。この特徴により、使用者は、有効にリアルタイムに、骨盤底損傷をもたらす活動もしくは挙動を変更し、または、骨盤底の健康を改善する活動もしくは挙動を続けることができる。別法として、モニタリング中にデバイスによって格納されるデータは、後の時点で(たとえば、デバイスによりモニタリングされた活動の30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、12時間後、24時間後またはそれより後に)、活動または挙動が骨盤底の健康に対してプラスの影響を与えたかまたはマイナスの影響を与えたかの分析のために、使用者がアクセスすることができる。モニタリングのプロセスは、個人の骨盤底筋の運動、圧力、筋力および/または質を記述するために使用することができるセンサデータ(たとえば、測定値)を得ることを含むことができる。さらに、限定されないが、形状、サイズ、温度、pHおよび/または湿度レベルを含む膣の状態もまた、本発明の膣内デバイスによりモニタリングすることができる。本発明の膣内デバイスはまた、分子のレベル、たとえばホルモンのレベルおよび/または毒素のレベルを検出するためにも構成することができる。
【0041】
本明細書で用いる「骨盤底引上げ」および「PFL」という用語は、骨盤底(たとえば、肛門挙筋(恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋)の筋線維)と、恥骨から前方に仙骨まで後方にかつこれら2つの骨を結合する隣接する骨構造までの部位に球状形態で広がる、関連する結合組織の運動を指し、骨盤底の上方運動(たとえば、頭側方向における運動等、引上げ運動)によって特徴付けられる。PFLの実施中の骨盤底の運動は、ケーゲル体操の実施中の骨盤底の運動とは別であり、それは、ケーゲル体操は、筋収縮(たとえば、引き締め)として特徴付けることができるためである。PFLは、一種の骨盤底筋トレーニング(PFMT)体操である。
【0042】
本明細書で用いる「骨盤底弛緩」および「PFR」という用語は、骨盤底(たとえば、肛門挙筋(恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋)の筋線維)と、恥骨から前方に仙骨まで後方にかつこれら2つの骨を結合する隣接する骨構造までの部位に球状形態で広がる、関連する結合組織の運動を指し、骨盤底の弛緩(たとえば、尾側方向における運動等、下方運動)によって特徴付けられる。PFRの実施中の骨盤底の運動は、ケーゲル体操の実施中の骨盤底の運動とは別であり、それは、ケーゲル体操は、筋収縮(たとえば、引き締め)として特徴付けることができるためである。Kegel博士が説明するケーゲル体操は、膣の下方の筋肉の筋収縮であり、骨盤底筋とは異なる。PFRは、一種のPFMT体操である。
【0043】
本明細書で用いる、化合物、材料、組成物および/または剤形等の医薬品に適用される「薬学的に許容可能な」という用語は、その薬剤が、たとえば、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の合併症をもたらすことなく、個人の膣組織と接触するのに好適であることを意味する。「薬学的に許容可能な」の判断は、たとえば、業界認定かつ/またはアメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)認定標準規格を用いて行うことができる。
【0044】
「薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬」とは、ともに投与される医薬組成物の治療特性を保持しながら、対象者に対して生理学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬を意味する。1つの例示的な薬学的に許容可能な基剤は、生理食塩水である。他の薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬およびそれらの製剤は、当業者には既知であり、たとえば、参照により本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th edition,A.Gennaro,1990,Mack Publishing Company,Easton,PA)に記載されている。
【0045】
本明細書で用いる「医薬組成物」という用語は、有効成分(たとえば、医薬品)を含有する医薬または製薬処方薬または補助薬を指し、1種または複数種の賦形剤、基剤または希釈剤を含むことができる。医薬組成物は、たとえば、本発明の膣デバイスによる膣内送達と適合性のある薬学的に許容可能な成分を含むことができる。医薬組成物は、たとえば、固体形態または液体形態であり得る。本発明の膣内デバイスからの制御された放出を容易にするために、医薬組成物はまた、たとえば持続性(time-released)であるように、かつ/または事前に確定された温度、湿度レベルおよび/またはpH等、環境条件にさらされると放出するようにも、処方することができる。こうした環境条件への露出により、たとえば、医薬品の周囲の薬物不浸透性コーティングを溶解させ、かつ/または膣流体内の医薬品の可溶性を向上させることができる。
【0046】
本明細書で用いる「薬学的に有効な」という用語は、対象者の体内に所望の生理学的または薬理学的変化をもたらすために十分な、医薬品の量を指す。この量は、特定の医薬品の効能、所望の生理学的または薬理学的効果、および意図された治療の期間等の要素に応じて変更することができる。医薬品の技術分野における当業者であれば、標準的な手順に従って任意の所与の医薬品に対して薬学的に有効な量を決定することができよう。
【0047】
本明細書で用いる「リアルタイム」は、日常の活動等の事象が起こる実際の時間を指す。
【0048】
本明細書で用いる「センサデータ」は、測定値(たとえば、骨盤底筋運動、骨盤底筋の質、骨盤底筋の筋力、圧力の測定値、ならびに、pH、温度および/または湿度等、他の膣の状態の測定値のうちの任意の1つまたは複数)を指し、個人の骨盤底の健康を特徴付け、本発明の膣内デバイスの本明細書に記載するようなセンサによって得られる。分子のレベル、たとえばホルモンのレベルおよび/または毒素のレベルを特徴付けるセンサデータも収集することができる。
【0049】
本明細書で用いる「対象者」、「患者」または「個人」は、ヒト、特に女性である。
【0050】
本明細書で用いる「低減させること」および「抑制すること」という用語は、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれより多い全体的な低下をもたらすことができることとして定義される。低減または抑制は、たとえば、治療されている骨盤底障害(PFD)の症状を指す場合がある。
【0051】
本明細書で用いる「経皮送達」という用語は、たとえば全身分布のために皮膚にわたる、たとえば、PFDまたはその症状の治療に有用な医薬品または組成物の投与の経路を指す。
【0052】
本明細書で用いる「経粘膜送達」という用語は、粘膜、たとえば膣の組織を通る拡散を含む、たとえば、PFDまたはその症状の治療に有用な医薬品または組成物の投与の経路を指す。
【0053】
本明細書で用いる「治療すること」という用語は、治療の目的で(たとえば、PFDを治療しまたはPFDを進展させる可能性を低減させるため)、特に本明細書に記載するデバイスまたは方法の使用とともに、必要とする対象者において骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)を実施することを指す。「疾患を治療する」かまたは「治療的処置」のために使用することは、すでに疾患を患っている対象者に対して、その対象者の病状を改善するかまたは安定させるために治療を施すことを含む。疾患を「予防する」かまたは疾患を「進展させる可能性を低減させる」ことは、まだ病気でもなく症状も示さないが、PFD等の特定の疾患に罹りやすいかまたはそのリスクがある対象者の予防的処置を指す。
【0054】
本明細書で用いるかつ当技術分野において十分に理解される「治療」は、臨床的結果等、有益なまたは所望の結果を得るための手法である。有益なまたは所望の結果としては、限定されないが、検出可能であっても検出不可能であっても、1つまたは複数の症状または病状の緩和または改善;疾患、障害または病状の程度の減少;疾患、障害または病状の状態の安定化(すなわち、悪化させないこと);疾患、障害または病状の広がりの防止;疾患、障害または病状の進行を遅らせるかまたは遅くすること;疾患、障害または病状の改善または一時的緩和;および緩解(部分的にでも全体的にでも)を挙げることができる。疾患、障害または病状を「一時的に緩和すること」は、治療が行われない場合の程度または経時的変化と比較して、疾患、障害または病状の程度および/または望ましくない臨床的発現が減少し、かつ/または進行の経時的変化が遅くなるかもしくは延ばされることを意味する。
【0055】
本明細書で用いる「女性の泌尿生殖系」または「泌尿生殖系」は、たとえば、バルトリン腺、子宮頸部、陰核、陰核小帯、陰核亀頭(陰核亀頭(glans clitoridis))、陰核包皮、卵管、陰唇、大陰唇、小陰唇、小陰唇小帯、卵巣、スキーン腺、子宮、膣および外陰部を含む女性生殖系;たとえば、腎臓、尿管、膀胱および尿道を含む泌尿器系;ならびに包囲し支持する神経および筋肉組織の臓器系を指す。
【0056】
本明細書で用いる「膣断端」は、(たとえば、子宮摘出術中の)子宮頸部の除去の後に残っている膣管の最上部の縫合された組織を指す。
【0057】
本明細書で用いる「骨盤臓器脱」または「POP」は、膣前壁、膣後壁、子宮(子宮頸部)または膣の頂部(子宮摘出術の後の膣円蓋または断端瘢痕)等、膣および子宮の1つまたは複数の態様の下降を指す。この下降により、近くの臓器が、膣空間内に脱漏し、これは、一般に、膀胱瘤、直腸瘤または腸ヘルニアと呼ばれる。骨盤臓器脱は、無症候性であるか、または、たとえば、膨らみがあるかもしくはない圧力、性機能不全、および正常な下部尿路または腸の機能の妨害等、1つまたは複数の症状に関連する可能性がある。骨盤臓器脱は、患者報告症状または身体検査所見(たとえば、処女膜へのまたは処女膜を越える膣膨らみ)を用いて定義することができる。大部分の女性が、最先端が処女膜輪まで0.5cm遠位側に達すると、POPの症状を自覚する。本明細書で用いる「尿失禁」は、膀胱からの尿の漏れを指す。失禁は、ほんの数滴の尿が漏れることから膀胱が完全に空になることまでの範囲であり得る。尿失禁は、3つの主なタイプに分けることができる。すなわち、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁および混合性尿失禁である。腹圧性尿失禁は、咳をするか、笑うかまたはくしゃみをするときの尿の漏れである。漏れはまた、女性が歩くか、走るかまたは運動するときにも起こる可能性がある。切迫性尿失禁は、止めることが困難な、排尿の急な強い衝動である。この種の尿失禁がある女性は、トイレに向かう途中で尿を漏らす可能性がある。混合性尿失禁は、腹圧性尿失禁および切迫性尿失禁の両方の症状を兼ね備える。
【0058】
本明細書で用いる「骨盤底」は、骨盤に付着した腹部の基部における筋肉部位を指す。
【0059】
本明細書で用いる「骨盤底障害」または「PFD」は、骨盤臓器を支持する筋肉および組織に影響を与える障害を指す。これらの障害により、膀胱または腸を制御できなくなる可能性があり、または、1つまたは複数の骨盤臓器が下方に下がり、脱出することになる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本体110(たとえば、実質的リング状形態物)、挿入器具600(アプリケータおよび取り除き用器具)、(容易な取り除きおよび送信器ボックスへの接続のための)着脱式ケーブルまたはテザー400、および送信器/受信器ボックス500を有する、例示的な膣内デバイス100を示す概略図である。膣内デバイス100は、本体110または着脱式ケーブル400のいずれかに、センサ200(たとえば、MEMsセンサ)、バッテリ800、マイクロコントローラ900、内部送信器/受信器1000、データ記憶構成要素1100、感覚出力構成要素1200、無線通信アンテナ1300、認証チップ1400(たとえば、Apple製品認証チップ)およびオン/オフスイッチ1600を接続する、回路基板700を含む。膣内デバイス100はまた、個人の膣管内のデバイスの回転およびすべりを低減させるために成形翼状部300も含むことができる。挿入器具600はまた、たとえば、膣内に挿入するためのプランジャ605と、膣内デバイス100が取り除かれる際にアプリケータ600を適所に保持するために使用することができるタブ610とを含むことができる。
【
図2A】本体110、テザー10および本体110を備える膣内デバイス100を示す概略図である。
【
図2B】膣内デバイス100、センサ200および挿入器具600を示す概略図である。
【
図3】
図3A-3Cは患者の膣管内における本体110およびケーブル/テザー400を含む膣内デバイス100の位置を示す概略図である。特に、3つのパネルは、安静(たとえば、弛緩状態)中(
図3A)、部分収縮中(
図3B)および完全収縮中(
図3C)の骨盤底筋運動を示す。図にわたって描く対角線は、骨盤底筋の引上げ運動および弛緩運動を表す。
【
図4】患者1が、電子デバイス1500を使用することにより、本体110、およびテザー/着脱式ケーブル/テザー400、および送信器/受信器ボックス500(正確なサイズで示していない)を含む膣内デバイス100といかにインタラクトすることができるかを示す、概略図である。電子デバイス1500は、ユーザインタフェース(たとえば、ソフトウェアアプリケーション)を含む。膣内デバイス100は、電子デバイス1500(たとえば、スマートフォン、タブレットまたはコンピュータ)と無線で接続し通信することができる。電子デバイス1500は、骨盤底筋体操(たとえば、骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩)の実施に関する患者データ(たとえば、膣内デバイス内のセンサから収集されるデータ)を格納するインターネットベースのデータベース40に接続することができる。データベースは、患者1および/または患者の医療提供者がアクセスすることができる。
【
図5】
図5A-5Cはアプリケータからの補助があるかまたはない膣内デバイス100の挿入および正確な配置に対し患者を補助する、生体適合性材料から作製されたプランジャを備えた中空挿入器を含むことができる、挿入器具600の概略図である。
図5Bおよび
図5Cでは、膣内デバイス100は、取外し可能/永久テザー10が挿入器具600とともに配置されるように示されている。挿入器具600は、個人の子宮頸部または膣断端に対して近位の位置に膣内デバイス100を展開するために使用することができる、プランジャ605を含む。
図5Aは、膣内デバイス100なしの挿入器具600(空)を示す。
図5Bは、未展開状態にある膣内デバイス100を保持する挿入器具600を示す。
図5Cは、膣内デバイス100が部分展開状態にある挿入器具600を示す。
【
図6】患者が治療を達成するために膣内デバイスといかにインタラクトすることができるかを示すフローチャートである。
【
図7A】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す断面図である。送達モジュールは、本体110内の中心に配置された内部コア101を含む。内部コア101は、たとえば、骨盤底障害(PFD)またはその症状の治療に有用な、1種または複数種の医薬品を含むことができる。
【
図7B】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す断面図である。送達モジュールは、本体110を通して間隔をあけて配置された短い内部コア102を含む。本体110は、短い内部コア102の1つまたは複数を含むことができる。各短い内部コア102は、たとえば、骨盤底障害(PFD)またはその症状の治療に有用な、1種または複数種の医薬品を含むことができる。
【
図7C】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す断面図である。送達モジュールは、本体110を通して間隔をあけて配置されたリザーバ103を含む。リザーバ103は、単一チャンバまたは複数チャンバリザーバとすることができ、PFDまたはその症状の治療に有用な、(たとえば、1つのチャンバ内で、または複数のチャンバ内で別個に混合された)1種または複数種の医薬品を収容するように構成することができる。
【
図7D】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す断面図である。送達モジュールは、たとえば、PFDまたはその症状の治療に有用な、少なくとも1種の医薬品が内部を通して均一に分散されている材料から構成された本体110を含む。
【
図7E】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す断面図である。送達モジュールは、本体110を通して間隔をあけて配置された短い内部コア102およびリザーバ103を含み、それらの各々は、たとえば、骨盤底障害(PFD)またはその症状の治療に有用な、1種または複数種の医薬品を含むことができる。
【
図7F】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す断面図である。送達モジュールは、本体110を通して間隔をあけて配置された内部コア101およびリザーバ103を含み、それらの各々は、たとえば、骨盤底障害(PFD)またはその症状の治療に有用な、1種または複数種の医薬品を含むことができる。
【
図7G】医薬品を送達するように構成されている送達モジュールの構成を示す上面図である。送達モジュールは、本体110と本体110の外側に分散されたコーティング104とを含み、それらは、たとえば、骨盤底障害(PFD)またはその症状の治療に有用な、1種または複数種の医薬品を含むことができる。
【
図8A】本体110内および各分離されたテザーモジュール11内のコネクタ13の配置を示す断面図である。各テザーモジュール11は、コネクタ13を用いて接続されて(たとえば、連結されて)テザー10を形成することができる。各テザーモジュール11はまた、たとえば、内部コア101、短い内部コア102、リザーバ103および/またはコーティング104等、送達モジュールの組込みにより、医薬品を送達するように構成することができる。別法として、テザーモジュール11の材料は、たとえば、均一に、全体を通して分散された、1種または複数種の医薬品を含むことができる。さらに、各テザーモジュール11は、たとえば、たとえばホルモンレベル、毒素レベル、pHレベル、湿度レベル、圧力、筋肉の質、筋力および/または筋運動の、リアルタイムモニタリング等のモニタリングを可能にするセンサを含むことにより、異なる機能を提供することができる。また、
図8Aには、各テザーモジュール11における回路基板700の配置も示す。任意選択的であるキャップ12もまた示し、それは、膣環境へのコネクタ13の露出を防止するために使用することができる。
【
図8B】
図8Aに示す、コネクタ13を用いて本体110に接続されたテザー10を示す断面図である。
図8Bにはまた、各テザーモジュール11およびスリーブ14内の回路基板700の配置も示す(スリーブ14内の回路基板700の存在は任意選択的である)。末端テザーモジュール11におけるコネクタ13を膣環境へ露出から封止するキャップ12を示す。別法として、最後のテザーモジュール11は、コネクタ13を有していないかまたはキャップ12を必要としない場合がある。任意選択的であるスリーブ14を、部分的にテザー10の上の適所にあるものとして示す。スリーブ14はまた、たとえば、内部コア101、短い内部コア102、リザーバ103および/またはコーティング104等、送達モジュールの組込みにより、医薬品を送達するように、または1つもしくは複数のセンサを収容するようにも構成することができる。別法として、スリーブ14の材料は、たとえば、均一に、全体を通して分散された、1種または複数種の医薬品を含むことができる。図示しないが、キャップ12を用いて、テザー10が使用されない(たとえば、本体110に接続する)とき、本体110内でコネクタ13を封止することができる。
【
図8C】完全にテザー10の上の適所にあるスリーブ14を示す断面図である。スリーブ14は、張力、スナップ、摩擦嵌合、または当技術分野において既知である他の構成要素を用いて適所に保持することができる。
【
図8D】完全に末端テザーモジュール12の上の適所にあるスリーブ14を示す断面図である。スリーブ14は、張力、スナップ、摩擦嵌合、または当技術分野において既知である他の構成要素を用いて適所に保持することができる。
【
図9】本体110およびテザー/ケーブル400の周囲に巻き付けられた導電性電極を示す断面図である。リングの周囲に巻き付けられた導電性電極900は、高周波交流電流を印加するために使用される。リングの周囲に巻き付けられた導電性電極905は、電極900を用いて交流電流が印加される結果として、結果として得られる差動電圧を測定するために使用される。尾部の周囲に巻き付けられた導電性電極910は、高周波交流電流を印加するために使用される。導電性電極915は、尾部の周囲に巻き付けられ、電極910を用いて交流電流が印加される結果として、結果として得られる差動電圧を測定するために使用される。
【
図10A】本体110およびケーブル/テザー400を備えるセンサプロトタイプの概略図である。
【
図10B】円形または楕円形であり得る本体110を備えるセンサプロトタイプの概略図である。
【
図10C】本体110およびケーブル/テザー400を備えるセンサプロトタイプの概略図である。
【
図10D】蹄鉄形構成としての本体110とケーブル/テザー400とを備えるセンサプロトタイプの概略図である。
【
図11A】頂部に球状部分120を備える代替的な膣内デバイス150の概略図である。球状部分は、膣内デバイス150の電子機器およびバッテリ構成要素のすべてを収容することができる。
【
図11B】底部に球状部分を有する、本体110およびケーブル/テザー400を備える膣内デバイス160の正面図の概略図である。
【
図11C】底部に球状部分を有する、本体110およびケーブル/テザー400を備える膣内デバイス160の側面図の概略図である。
【
図11D】底部に球状部分を有する、本体110およびケーブル/テザー400を備える膣内デバイス160の側面図の概略図である。
【
図11D】底部に突出アーム230を備える代替的な膣内デバイス170の概略図である。
【
図11E】
図11Aの膣内デバイス150と類似するが、より長さの短い球状部分120を備える、代替的な膣内デバイス180の概略図である。
【
図12A】本体110およびケーブル/テザー400を示す、膣内デバイス100の上から見た図の概略図である。
【
図12B】蹄鉄形構成の本体110とケーブル/テザー400とを示す、膣内デバイス100の上から見た概略図である。
【
図13】本体110およびケーブル/テザー400を備える膣内デバイス100に結合された挿入器具600の概略図である。挿入器具600は、上部本体610および下部本体620を含む。
【
図14】本体110を備える膣内デバイス100に結合された挿入器具600の概略図である。挿入器具600は、上部本体610および下部本体620を含む。
【
図15】本体110およびケーブル/テザー400を備える膣内デバイス100に結合された挿入器具600の概略図である。挿入器具600は、上部本体610および下部本体620を含む。
【
図16】蹄鉄形構成の本体110とケーブル/テザー400とを示す、膣内デバイス100に結合された挿入器具600の概略図である。
【
図17】膣内デバイス100なしの本発明の挿入器具600の概略図である。
【
図18】膣内デバイス100なしの挿入器具600の代替図を示す概略図である。
【
図19】挿入器具600の下部620の拡大図の概略図である。
【
図20】本体110およびテザー/ケーブル400を含む膣内デバイス100に結合された挿入器具600を示す拡大図の概略図である。
【
図21】
図21A-21EはMEMsセンサデータの例を示す一連のグラフである。
図21Aは、尿失禁の症状がないかまたは軽度の症状がある、安静時の起立した患者からの、膣内デバイスを用いるセンサ読取値の例を示す。デバイスは、約45°の角度を採用する。
図21Bは、引上げ体操の実施中に生成される、起立した患者からの、膣内デバイスを用いるセンサ読取値の例である。角度は、45°から90°に変わる。強い骨盤底筋を有する健康な女性は、デバイスを90°まで移動させることができる。
図21Cは、過剰運動性の症状がある患者における膣内デバイスを用いるセンサ読取値の例である。デバイスは、引上げ体操の実施時にデバイスの正弦波型曲線を生成する。
図21Dは、POPの重症の症状を有する安静時の女性の尿道内に挿入されたデバイスを用いて生成されたセンサ読取値の例である。
図21Eは、引上げ体操を行うように求められたときに重症のPOPを有する女性における膣内デバイスを用いるセンサ読取値の例である。近位センサ(左上)は尿道内に固定されている一方で、遠位センサ(底部)は、骨盤底がつぶれるために押し下げられる。
【
図22A】本発明の膣内デバイスとインタラクトするスマートフォンアプリケーションのスクリーンショットであり、体操セッションの持続時間を示すスクリーンショットである。
【
図22B】本発明の膣内デバイスとインタラクトするスマートフォンアプリケーションのスクリーンショットであり、経時的な体操の改善を示すスクリーンショットである。
【
図22C】本発明の膣内デバイスとインタラクトするスマートフォンアプリケーションのスクリーンショットであり、日常の進捗、不十分な骨盤底事象の場合、または漏れの場合を示すスクリーンショットである。
【
図22D】本発明の膣内デバイスとインタラクトするスマートフォンアプリケーションのスクリーンショットであり、患者が体操および治療の進捗をいかに十分に行ったかを示す概要を示すスクリーンショットである。
【
図23A】一続きの骨盤底引上げ体操を実施している女性の平均的な週間スコアを示す表である。
【
図23C】各骨盤底引上げが保持される時間を秒で示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、個人(たとえば、女性患者)の骨盤底筋をトレーニングし、それにより、特に、膣内デバイスを使用して、PFDを治療するかまたはPFDを進展させる可能性を低減させる、デバイス、システムおよび方法を特徴とする。本明細書に記載する膣内デバイスは、デバイス内の1つまたは複数のセンサを用いて個人のPFLおよび/またはPFRの実施を測定するために使用することができる。膣内デバイスは、実質的にリアルタイムに、たとえば、使用者が自身の日常の活動を実施する間に、使用者の泌尿生殖系および骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維および関連する結合組織)の全体的な健康状態のモニタリングを提供するように構成することができる。デバイスはまた、使用に従ってまたは使用中に個人にバイオフィードバックも提供することができる。デバイスおよびシステムは、PFLおよび/またはPFRを正しく実施するように個人を指導するように、かつ、PFD症状の発症および/または重症度の低下等、治療目標に達成するように個人を誘導するように構成することができる。
【0062】
骨盤底筋の筋力および緊張状態を改善するために、骨盤底筋トレーニング(PFMT)等、さまざまな方法が提案されてきたが、これらの方法の多くは、正確な骨盤底筋を目標とせずかつ活性化しない。本明細書に記載するデバイス、システムおよび方法を用いて、本明細書ではそれぞれ骨盤底引上げ(PFL)および骨盤底弛緩(PFR)と呼ぶ、骨盤底の引上げ(たとえば、上方)運動またはPFの下降(たとえば、下方)運動のいずれかによって特徴付けられる、PFMT運動を実施するように、個人をトレーニングすることができる。PFLおよび/またはPFRを実施するように患者をトレーニングすることにより、骨盤底筋の筋力および質の両方を改善することができ、その結果、PFDを有する個人に対して治療の利益がもたらされる。
【0063】
膣内デバイスはまた、実質的にリアルタイムに、たとえば、使用者が自身の日常の活動を実施する間に、使用者の泌尿生殖系および骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維および関連する結合組織)の全体的な健康状態を(たとえば、本明細書に記載するような1つまたは複数のセンサを用いて)モニタリングするようにも使用することができる。たとえば、本発明の膣内デバイスは、泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康を変化させる(たとえば、増大させかつ/または低減させる)日常の活動を実施するときを検出するように構成することができ、たとえば、検出された活動が使用者の健康状態にいかに影響を与えるかに関するフィードバックを、使用者に提供することができる。使用者は、実質的にリアルタイムにフィードバックを検討することができ、または、たとえば、膣内デバイスのメモリに、ローカル電子デバイス(たとえば、膣内デバイスに接続されたコンピュータ、電話またはタブレット)のメモリに、かつ/またはリモート電子デバイス(たとえば、膣内デバイスに接続されたウェブに位置するかつ/またはクラウドベースのデータベース)のメモリに格納されたフィードバックにアクセスすることにより、後の自身の選択した時点で、フィードバックを検討することができる。フィードバックは、概要として、たとえば、使用者の日常の活動および検出された膣の状態(たとえば、pH、温度、圧力、湿度レベル、筋運動(たとえば、PFLおよび/またはPFR)、筋肉の質、筋力、および/またはホルモンおよび/または毒素等の分子のレベル)が、経時的に(たとえば、約1分間~約60分間、約1時間~約24時間、約1日~約31日間、約1ヵ月間~約24か月間または約1年間以上にわたり)使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底にいかに影響を与えたかを示す1つまたは複数のグラフとして、提示することができる。本明細書に記載するような日常のモニタリングは、使用者が、本発明の膣内デバイスにより治療を最適化し、PFDもしくはその症状の進展および/または再発を回避し、かつ/または女性の泌尿生殖路のさらなる病状または障害の進展および/または進行および/または治療状態に関して使用者に通知するのに役立つことができる。
【0064】
さらに、本発明の膣内デバイスは、少なくとも1種(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多く)の医薬品、たとえば、PFDまたはその症状の治療に有用な医薬品を(たとえば、筋緊張および/または筋力の変化を促進するために、または尿漏れ(排尿回数および尿意切迫感を含む)、漏便または痛みを低減させるために)投与または送達するように構成することができる。デバイスはまた、PFDを有する個人に存在するさらなる病状、疾患および/または関連する症状、たとえば、膣組織および/または女性の対象者の臓器もしくは組織に影響を与える病状、疾患または関連する症状を治療するようにも構成することができる。医薬品を送達するように構成された本発明の膣内デバイスによって治療することができるさらなる病状、疾患または症状の非限定的な例としては、性行為感染症(STD)、イースト菌感染症(たとえば、カンジダ性外陰膣炎)、細菌感染(たとえば、細菌性膣炎)、寄生虫感染(たとえば、トリコモナス症)、子宮頸部の感染(たとえば、頸管炎)、がん(たとえば、膣がん、外陰部がん、頸管がん、卵巣がん、子宮内膜がんおよび/または卵管がん)、膣炎(たとえば、感染性および/または非感染性膣炎)、子宮内膜症、膣痛、外陰部痛(たとえば、ヴォルヴォディニア)、外陰部または膣損傷、陰部神経痛および/または膣部の皮膚の病状(たとえば、膣皮膚炎)が挙げられる。医薬品を送達するように構成された膣内デバイスは、生体適合性ポリマーから形成し、たとえばポリマーマトリックスを通しての拡散により放出される医薬品を収容することができる。場合により、医薬品は、当技術分野では「モノリシック系」と呼ぶ設計構成で(たとえば、本発明の膣内デバイスの本体および/またはテザーの)ポリマーマトリックスを通して、均一に分散しまたは溶解させることができる。場合により、薬物は、当技術分野において「リザーバ系」と呼ぶ設計構成で、本発明の膣内デバイスの本体および/またはテザー内の内部コアに閉じ込めることができる。
【0065】
医薬品を送達するように構成された本発明の膣内デバイスは、膣腔内に挿入することができ、医薬品は、たとえば治療期間にわたり、膣組織を通る周囲の体液により吸収することができる。モノリシック系として構成される本発明の膣内デバイスは、たとえば、フィック型拡散制御された医薬品放出を示すことができ、それにより、放出速度は時間とともに低減する。リザーバ系を含むように構成された本発明の膣内デバイスは、医薬品のゼロ次放出を示すことができる。
【0066】
医薬品を送達するように構成される本発明の膣内デバイスを使用する結果、たとえば、医薬品を送達するように構成されていない骨盤底運動を実施するように膣内デバイスを使用することにより達成される治療的有用性と比較して、骨盤底トレーニング(たとえば、PFLおよび/またはPFRの実施)と組み合わせたときに、PFDを有する個人に対して治療的有用性を向上させることができる。使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態のモニタリングは、瞬時の(たとえば、実質的にリアルタイムの)フィードバックを受け取るというオプションとともに、使用者に対し、医薬品(たとえば、本発明の膣内デバイスにより送達されるか、または本発明の膣内デバイスの使用と組み合わせて、たとえば使用者により投与される医薬品)を含む治療レジメンの効力を最適化しかつ/または改善するように役立つことができる。たとえば、本発明の膣内デバイスは、指標、たとえば、筋運動(たとえば、PFLおよび/またはPFR)、筋力、筋肉の質、圧力、pH、温度、生体分子レベル(たとえば、ホルモンおよび/または毒素)および/または湿気レベル(湿度)を測定するように、かつ医薬品を自動的に送達するかまたは医薬品を送達する必要もしくは利益を使用者に通知するように構成される膣内デバイスの1つまたは複数のセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くのセンサ)から収集されるデータに基づき、不健康な健康状態を特定するように構成することができる。
【0067】
I.骨盤底引上げ(PFL)および骨盤底弛緩(PFR)
骨盤底膜とも呼ぶ骨盤底(PF)は、主に、肛門挙筋(たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋)の筋線維および骨盤の下にある部位に広がる関連する結合組織によって形成される(Bharucha.Neurogastroenterol Motil.18:507-519,2006)。骨盤底引上げ(PFL)は、骨盤底の上方運動(たとえば、引上げ運動、たとえば、頭側方向における運動)によって特徴付けられる運動である。骨盤底の弛緩(たとえば、下方運動、たとえば、尾側方向における運動)を含む密接に関連する運動が、骨盤底弛緩(PFR)である。PFLおよび/またはPFRの実施中の骨盤底の運動は、ケーゲル体操の実施中の骨盤底の運動とは別である。Arnold Kegel博士によって開発されたケーゲル運動は、膣管径の収縮(たとえば、膣壁の引き締め運動、たとえば、背側-腹側または前方-後方における膣壁の運動)として説明することができる。対照的に、PFLおよびPFRの間、骨盤底は、膣管をそれぞれ上昇および下降させるものとして説明することができる。PFLおよびPFRの間の膣管のこの上昇または下降は、骨盤底筋の引上げおよび弛緩による。
【0068】
PFLおよび/またはPFRを実施するように個人をトレーニングすることにより、骨盤底の筋力および筋肉の質を改善することができ、その結果、骨盤底障害(PFD)を有する個人に対する治療的有用性がもたらされる。PFLおよび/またはPFRを実施するように個人をトレーニングすることにより治療し、予防しかつ/または緩和することができる骨盤底障害の例については、本明細書においてさらに記載する。
【0069】
PFLおよび/またはPFRの適切な実施(たとえば、正確な実行)を用いて、骨盤底筋トレーニング(PFMT)中の骨盤底に対する損傷を防止することができる。ケーゲル運動を不適切に実施することによる等、骨盤底筋を引き締めかつ/または収縮させることにより骨盤底筋に対して背側-腹側(たとえば、前方-後方)の圧力をかける個人は、PFLおよび/またはPFRによるPFMTの有効性を損なうか、それに悪影響を及ぼすか、または他の方法でその有効性を低減させる可能性がある。特に、いきむ患者は、骨盤底に対するさらなる損傷を促進する可能性があるひずみをもたらす可能性がある。従って、最大の治療的有用性を達成するため、かつPFLおよび/またはPFRによるPFMTの効力を増大させるために、PFLおよび/またはPFRの正確な実施を検知し、かつそれに関するフィードバックを提供するように構成された、本発明の膣内デバイスを、PFDに対する治療的処置または予防的処置として(たとえば、PFDの少なくとも1つの症状の発症および/または重症度を低減させるために)PFLおよび/またはPFRトレーニングとともに使用することができる。
【0070】
PFLおよび/またはPFRは、個人の膣腔内に、特に、子宮頸部または膣断端に対して近位の位置にセンサを配置する、本発明の膣内デバイスにより、特定しかつ測定することができる。子宮頸部または膣断端に対して近位の位置に配置されたセンサは、頭側-尾側方向における骨盤底の運動(たとえば、PFの引上げ運動および/または弛緩運動)を検出して、個人によって実行されるPFLおよび/またはPFRの実施および質を検出する(たとえば、測定する)ように構成される。テザーを利用するデバイスでは、リング状形態物が、センサを有する場合もあれば有していない場合もあり、PFLおよび/またはPFRの測定のために膣管内にテザーのセンサを配置するように構成される。本明細書においてさらに記載するデバイスを用いて、PFDの少なくとも1つの症状を治療し、予防し、かつ/または緩和することができる。
【0071】
使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態を実質的にリアルタイムにモニタリングすることにより、たとえば、使用者の健康状態にマイナスの影響を与える可能性がある日常の活動を特定することができる。たとえば、本発明の膣内デバイスは、指標、たとえば、筋運動(たとえば、PFLおよび/またはPFR)、筋力、筋肉の質、圧力、pH、温度、生体分子レベル(たとえば、ホルモンおよび/または毒素レベル)および/または湿度を測定するように、かつ検出された活動の実施を終わらせる必要または利益を使用者に通知するように構成される、膣内デバイスの1つまたは複数のセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くのセンサ)から収集されるデータに基づき、不健康な健康状態を特定するように構成することができる。場合により、検出される指標、たとえば筋運動は、使用者の健康状態に対して有益である可能性があり、使用者の確立されたトレーニングプログラムの効力を向上させることができる。この場合、デバイスは、検出された指標を提供した活動または挙動を継続するかまたは繰り返す利益を使用者に伝えるように構成することができる。
【0072】
場合により、検出された指標、たとえば筋運動は、使用者の健康状態にマイナスの影響を与える可能性があり、PFDに対する使用者の確立されたトレーニングプログラムの効力を低減させる可能性がある。この場合、デバイスは、検出された指標を提供した活動または挙動を継続するかまたは繰り返すマイナスの影響を使用者に伝えるように構成することができる。
【0073】
場合により、検出される指標、たとえば、筋運動、筋力、筋肉の質、ホルモン、毒素、pH、温度および/または湿度のレベルまたはレベルの変化を用いて、当技術分野において既知である既知の方法に従って、本明細書に記載するように、PFDおよび/またはさらなる疾患もしくは病状を診断しかつ/またはその進展を予測することができる。膣内デバイスはまた、使用者、および/または使用者の治療を監視している医師に対して、使用者の健康状態にマイナスの影響を与える使用者の日常の活動または挙動の影響を低減させるように、かつ/または新たなPFDおよび/または使用者の体内で進展した疾患もしくは病状に対処するように、トレーニングプログラムを変更する必要または利益を通知するようも構成することができる。
【0074】
II.骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)を実施するように使用者をトレーニングするシステムおよびデバイス
実質的リング状形態物(たとえば、リング、楕円形物、円盤、ドーナツ形物、蹄鉄形物または球体)を有する、本明細書に記載する膣内デバイスは、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)を実施するトレーニングシステムの一部として使用することができる。デバイスは、子宮頚部または膣断端に対して近位側に配置されるように、個人の体内に挿入され、本明細書に記載する方法に従って使用されるとき、個人における骨盤底障害(たとえば、尿失禁(UI)、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、排尿困難(たとえば、痛みを伴う排尿)、便失禁、骨盤臓器脱(POP)(たとえば、尿道(尿道瘤)、膀胱(膀胱瘤)、または両方(膀胱尿道脱)、膣円蓋および子宮頸(膣円蓋脱)、子宮(子宮脱)、直腸(直腸瘤)、S字結腸(S字結腸瘤)および小腸(腸ヘルニア))、骨盤痛、性機能不全(たとえば、性交時尿失禁、性交痛障害、性交疼痛、膣けいれん、および/または性的刺激障害)、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、ならびに非弛緩性骨盤底機能不全)を治療し、その進展もしくは進行を抑制し、かつ/または低減させるように構成される。
【0075】
膣内デバイスは、外縁部が、子宮頸部または膣断端を包囲する膣壁のすべてまたは一部と接触するように構成された、実質的リング状形態物を有し、子宮頸部または膣断端を略円周方向に包囲するようなサイズの内径を有する。膣内デバイスの内径および外径は、略同等である可能性があり、それらの長さの差は、膣内デバイスを製造するために使用される材料の厚さに起因する。内径および/または外径は、長さが約20mm~約80mm(たとえば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80mm)であり得る。場合により、膣内デバイスの内径は、外径より小さい可能性がある。場合により、膣内デバイスは、任意選択的に、たとえば、取外し可能なまたは永久的な接続により、膣内デバイスの本体(たとえば、実質的リング状形態物)に取り付けることができるテザー(たとえば、可撓性コードまたはリボン)を備えるように製造することができる。テザーは、最大約14cm(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14cm)の長さと、約1mm~約10mm(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10mm)の幅を有することができる。
図10A~
図10D、
図11A~
図11E、
図12A~
図12Bに、リング(円形または楕円形)、テザー付きのリング、蹄鉄型構成を含む、デバイスの異なるフォームファクタを示す。
【0076】
膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー)は、限定されないが、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ヒドロゲル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性エラストマー、ポリパラキシリレン、フルオロポリマー、ゴムおよびラテックスからなる群から選択された材料等、可撓性の生体適合性材料から作製することができる。膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー)は、中実であり、中空であり、かつ/または部分的に充填されるように製造することができる。さらに、膣内デバイスは、コア、リング、ばねおよび/またはワイヤ等、金属および/またはプラスチック部品を含むことができる。金属および/またはプラスチック部品を用いて、膣内デバイスの本体(たとえば、実質的リング状形態物)に組み込まれている場合、膣内デバイスが個人の体内に挿入されるときにその位置を維持するために、膣壁に対してさらなる張力(たとえば、押す力)を提供することができる。場合により、膣内デバイスは、シリコーンから作製される。しかしながら、膣内デバイスを製造するために他の好適な材料を使用することができる。
【0077】
膣内デバイスの本体(たとえば、実質的リング状形態物)は、カップ状であり、デバイスの(たとえば、内径にわたる)中心部分に、任意選択的な透過性もしくは半透過性膜、メッシュおよび/または穿孔バリアを含むことができる。他の場合では、膣内デバイスは、スポンジとすることができ、子宮頸部または膣断端をカップ状に覆う凹部を含むことができる。膣内デバイスがドーナツ形状を有するいくつかの場合では、膣内デバイスは、任意選択的な透過性もしくは半透過性膜、メッシュおよび/または穿孔バリアを含むことができる。バリアは、ドーナツ状の膣内デバイスの内径にわたって延在することができる。
【0078】
膣内デバイスの本体(たとえば、実質的リング状形態物)の外縁部は、個人の子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置において膣内デバイスの位置を保持するために、膣壁に圧力、張力、粘着力および/または吸引力を加えるように構成される。膣内デバイスの外縁部により膣壁に加えられる圧力、張力、粘着力および/または吸引力は、個人の膣管からの膣内デバイスのすべり、ずれまたは変位を制限するために十分な強度を有する。
【0079】
さらに、膣内デバイスの本体(たとえば、実質的リング状形態物)は、個人の体内でデバイスを安定させ、方向付けし、かつ/または位置決めするために、少なくとも1つの(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多い)特徴を含むことができる。特徴は、コーティング、突起およびテクスチャからなる群から選択することができる。場合により、特徴は、1種または複数種の(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれより多い)生体材料を含むコーティング(たとえば、表面コーティング)である。特定の場合では、コーティングは、キット内等、挿入の前に個人が膣内デバイスに施すように封止された小袋で提供することができる。場合により、特徴は、翼状部、球体、出っ張り、つまみ、隆起した線および/または隆起したドットを有する、突起または一続きの突起である。場合により、特徴は、粘着性の、粗い、溝付きの、または小穴付きのテクスチャ等のテクスチャである。本体はまた、膣内デバイスの頭側(たとえば、頂部)、尾側(たとえば、底部)、前側(たとえば、正面)、後側(たとえば、背面)、右側および左側を識別するしるし(たとえば、突起、記号、筆記またはエッチング)も含むことができる。膣内デバイスは、頂部側が膣管の頂部に対して近位側に(たとえば、子宮頸部または膣断端に対して近位側に)位置し、前側が身体の正面に面するように、個人の体内に配置されるべきである。
図11A~
図11Eに、デバイスの頂部または底部の球状突出部および突出アームを有する形態を含む、保持に役立つ特徴の例を示す。保持特徴は、図示するデバイスにおけるように適用することができ、または、本明細書に記載する他のデバイスに対する特徴として適用することができる。保持特徴は、長期間(たとえば、少なくとも10分間、20分間、30分間、40分間、50分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヵ月間、2ヵ月間、3ヵ月間、4ヵ月間、5ヵ月間、6ヵ月間、7ヵ月間、8ヵ月間、9ヵ月間、10ヵ月間、11ヵ月間、12ヵ月間)、女性の膣の内側にあり続けるように設計される本発明のデバイスに対して有用であり得る。
【0080】
膣内デバイスは、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー内に、筋運動、たとえば、PFLおよび/またはPFRを検出するように構成される少なくとも1つの(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20またはそれより多い)センサを含む。場合により、センサは、使用者の日常の活動中に実施される筋運動、たとえば、PFLおよび/またはPFRを、実質的にリアルタイムに検出するように構成することができる。日常の活動は、膣内デバイスにより、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康に対してプラスに寄与するかまたはマイナスに寄与するものとして、識別することができる。場合により、少なくとも1つのセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20またはそれより多いセンサ)は、動きセンサ、方位センサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、圧力センサ、LiDARセンサ等の光検出センサ、EIMセンサおよびそれらの組合せからなる群から選択することができる。デバイスはまた、LiDARセンサ等の光検出センサとともに使用する発光素子も含むことができる。デバイスはまた、EIMセンサと使用する電極も含むことができる。さらに、膣内デバイスは、たとえば、筋力、筋肉の質、生体分子(たとえば、ホルモンおよび/または毒素)、pH、温度および/または湿度のレベルもしくはレベルの変化を検出するように構成された1つまたは複数のセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20またはそれより多いセンサ)を含むことができる。
【0081】
場合により、センサは、各々、参照により本明細書に援用される、国際公開第2015103629A1号パンフレット、国際公開第2016067023A1号パンフレット、および国際公開第2016042310A1号パンフレット;米国特許出願公開第20150032030A1号明細書、同第20140066813A1号明細書、同第20150151122A1号明細書、同第20150133832A1号明細書、同第20160008664A1号明細書および同第20150196802A1号明細書;ならびに米国特許第8983627号明細書、同第7955241号明細書、同第7645220号明細書、同第7628744号明細書、同第7957794号明細書、同第6264582号明細書および同第6816744号明細書に記載されているものと同様の構成で、または異なる構成で配置することができる。たとえば、本明細書に記載するような2つ以上のセンサは、膣内デバイスの長手方向軸の周囲に、たとえば、膣内デバイスの本体および/またはテザーの中心軸の周囲に円またはらせん形で、互いに約±1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、170°、180°、190°、200°、210°、220°、230°、240°、250°、260°または270°で、配置することができる。別法としてまたはさらに、本明細書に記載するような2つ以上のセンサは、たとえば、膣内デバイスの本体の周囲に沿ってかつ/またはテザーの長さに沿って、約0.001mm、0.01mm、0.1mm、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mm、100mm、125mm、150mm、175mm、200mm、225mm、250mm、275mm、300mm、325mm、350mmまたはそれより大きく間隔をあけて配置することができる。場合により、本明細書に記載するような2つ以上のセンサは、膣内デバイスの本体および/またはテザーの中心軸に沿って配置することができる。場合により、本明細書に記載するような2つ以上のセンサは、それらが中心軸にないように、たとえば、膣内デバイスの本体および/またはテザーの中心軸からずれているように、配置することができる。センサがテザー内に配置される等、特定の場合では、本体は、センサを含まない可能性がある。センサがテザー内に配置される他の場合では、本体もまた、少なくとも1つの(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、またはそれより多い)センサを含むことができる。少なくとも1つの(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、またはそれより多い)センサは、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、LiDARセンサ等の光検出センサ、EIMセンサおよびそれらの組合せからなる群から選択することができる。デバイスはまた、電極および/または発光素子も含むことができる。場合により、センサは、多軸加速度計等の加速度計である。他の場合では、センサは、多軸ジャイロスコープ等のジャイロスコープである。さらに他の場合では、センサはMEMセンサである。さらに、膣内デバイスは、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー内に、圧力センサ、筋肉の質センサ、筋力センサ、生体分子センサ(たとえば、ホルモンセンサおよび/または毒素センサ)、温度センサ、湿度センサおよびpHセンサからなる群から選択される少なくとも1つの(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20またはそれより多い)センサをさらに含むことができる。センサは、センサのすべてまたは一部が、個人の膣壁および/または子宮頸部もしくは膣断端の組織と直接接触するように、膣内デバイスの表面に(たとえば、本体および/またはテザーの表面に)配置することができる。場合により、センサは、膣内デバイス(たとえば、膣内デバイスの本体および/またはテザー)の外面(たとえば、個人の膣壁および/または子宮頸部もしくは膣断端の組織と直接接触する面)の約0.001mm、0.01mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmまたはそれより大きく下方に配置することができる。場合により、センサは、センサの約0.001mm、0.01mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、5mmまたはそれより大きい部分が、膣内デバイス(たとえば、膣内デバイスの本体および/またはテザー)の外面から突出するように、配置することができる。別法として、センサは、個人の膣壁および/または子宮頸部もしくは膣断端と直接接触しないように配置することができるが、使用者がPFLまたはPFRを行う際、動きを検出するように配置される。
【0082】
膣内デバイス(たとえば、本体および/またはテザー)が、中実であり、中空であり、または部分的に充填されているように製造することができるため、個人の膣壁および/または子宮頸部もしくは膣断端の組織と直接接触しないセンサは、膣内デバイス(たとえば、本体および/またはテザー)が製造された中実材料内において、または膣内デバイス(たとえば、本体および/またはテザー)の中空空間内において、ある深さに配置することができる。センサは、膣内デバイスの上または中に間隔をあけて均一にまたは不均一に配置することができる。膣内デバイス内(たとえば、本体および/またはテザー内)のセンサは、膣内デバイスが使用者の体内に配置されるとき、センサが腹側方向(たとえば、前方向)に面するように配置することができる。
【0083】
テザーは、最大約14cm(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14cm)の長さとすることができ、その長さに沿ってセンサを収容するセグメントに分割することができる。センサは、均一な間隔でまたは不均一な間隔で、たとえば、約1mm~140mm(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130または140mm)の間隔で、テザーの長さに沿って配置することができる。テザー内のセンサの位置は、テザーの表面上のしるし(たとえば、突起、記号、筆記および/またはエッチング)の存在により、デバイスの外側で識別することができる。テザーは、個人がテザーを快適な長さまで縮小することができるように、たとえば、はさみで切断することにより、切り取られるように設計することができる。センサの位置を示すしるしは、センサの切断を回避するように個人を誘導するのに役立つことができる。
【0084】
膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー)は、実質的リング状形態物内に、センサからデータを受信するように構成されるマイクロコントローラをさらに含む。マイクロコントローラはまた、センサからのデータを非一時的に格納するようにも構成することができ、またはそのように格納する別個の構成要素を含むことができる。マイクロコントローラは、たとえば、電線および/または回路基板により、センサに接続することができる。電線および回路基板は、可撓性または剛性であり得る。
【0085】
膣内デバイスはまた、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー形態物内に、無線でまたは着脱式ケーブルを介して電子デバイス(たとえば、スマートフォン、タブレットまたはラップトップ等、ハンドヘルドもしくはポータブルデバイスまたはコンピュータ)と通信する、送信器および受信器も含むことができる。別法として、送信器および受信器は、外部ハウジングに配置し、無線でまたは着脱式ケーブルにより膣内デバイスに接続することができる。送信器および受信器は、マイクロコントローラ、センサおよび/または回路基板に、直接または間接的に接続することができる。送信器および受信器は、Bluetoothおよび/またはWi-Fi対応電子デバイスと使用するように構成することができる。センサによって収集される情報は、送信器および受信器により無線で、かつ/または着脱式ケーブルを使用することにより、電子デバイスに通信する(たとえば、ダウンロードする、転送する)ことができる。
【0086】
電子デバイスは、コンピュータ、タブレットおよび/またはスマートフォン(たとえば、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、iPod(登録商標) Touch、Androidベースシステム、Microsoft Windowsベースシステムまたは他の等価なデバイス)であり得る。電子デバイスは、膣内デバイスに無線で(たとえば、Bluetooth(登録商標)および/またはWi-Fi接続を通して)かつ/または着脱式ケーブルにより接続することができる。電子デバイスは、膣内デバイスのセンサによって測定されるデータを受信しかつ/または処理するように構成することができる。別法として、電子デバイスは、(たとえば、有線または無線接続を通して、たとえば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fiおよび/またはインターネット接続を通して)、膣内デバイスによって収集されるデータを含むデータベースと、またはデータを受信して処理し、情報を電子デバイスに伝達する別のシステムと、通信するように構成することができる。センサによって収集されるデータ等、膣内デバイスによって収集されるデータは、電子デバイスに非一時的に格納することができる。データは、データベース(たとえば、ウェブに位置しかつ/またはクラウドベースのデータベース等、異なるコンピュータに格納されたデータベース)に、送信する(たとえば、トレーニング期間の後、実質的にリアルタイムに、かつ/または使用者による起動時に1日に少なくとも1回、送信する)ことができる。データは、個人からの校正された基準値と比較して、実行された筋運動、たとえばPFLおよび/またはPFRの質を反映する、個人が実施した筋運動、たとえばPFLおよび/またはPFRに割り当てられたスコア等、実施指標および/またはスコアリング情報を含むことができる。データは、トレーニング期間にわたって個人が達成した最高スコアおよび最低スコア、トレーニング期間にわたって個人が達成した平均スコア、個人が特定のスコアを維持した時間の長さ、センサから収集された生データ、トレーニング期間の開始時間および長さ、最大PFLおよび/またはPFR持続時間、現pH、トレーニング期間にわたって個人が到達した平均、最低および最高pH、筋肉の質に関連するスコアのうちの1つもしくは複数、またはすべてを含むことができる。
【0087】
さらに、データは、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態に割り当てられたスコア等、実施指標および/またはスコアリング情報を含むことができる。健康状態スコアは、たとえば、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底を、たとえば、動きセンサ、方位センサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、圧力センサ、LiDARセンサ等の光検出センサ、EIMセンサ、ホルモンセンサ、毒素センサ、pHセンサ、温度センサおよび/または湿度センサならびにそれらの組合せからなる群から選択された1つまたは複数のセンサにより、使用者が自身の日常の活動を実施する際に、任意選択的なモニタリング状態(「ライブモード」)である実質的にリアルタイムにモニタリングするように構成された本発明の膣内デバイスから収集されるデータから導出することができる。健康状態スコアは、特定の日常の活動および/または指標が、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康に対してプラスに寄与するかまたはマイナスに寄与するかを、使用者に示すことができる。
【0088】
データベースは、電子デバイスに、さらなる電子デバイスに、またはインターネット(たとえば、ウェブに位置しかつ/またはクラウドベースのデータベース)に配置することができる。電子デバイスは、着脱式ケーブル、Bluetooth接続、Wi-Fi接続および/またはインターネット接続により、データベースに接続することができる。Apple(登録商標)デバイス等、特定のタイプの電子デバイスとの通信では、特別な認証チップの使用が必要な場合がある。
【0089】
さらに、電子デバイスは、ユーザインタフェースを含むことができる。ユーザインタフェースは、データを表示するように、かつ/または膣内デバイスの使用のための指示を提供するように、プログラムすることができる。
【0090】
膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー)は、電源(たとえば、バッテリ)をさらに含む。電源を用いて、センサ、送信器、受信器および回路基板等、デバイスの1つまたは複数の構成要素を動作させることができる。場合により、電源は、膣内デバイスの実質的リング状形態物内に配置され、電線によりかつ/または回路基板により構成要素に接続される。電源は、ニッケル・カドミウム電池またはリチウムイオン電池等、充電式電池であり得る。さらに、外部ハウジングは、たとえば、電線によりかつ/または回路基板により、送信器または受信器に接続された電源を含むことができる。オン/オフスイッチも含めることができる。
【0091】
膣内デバイスは、たとえば、電線または回路基板により、センサに直接または間接的に接続された着脱式ケーブルをさらに含むことができる。着脱式ケーブルはまた、膣内デバイスを電子デバイスに接続するようにも構成することができる。着脱式ケーブルはまた、膣内デバイスを、使用者の膣管内の(たとえば、子宮頸部もしくは膣断端に対して近位側の)その位置から取り除くのに役立つようにも構成することができる。場合により、着脱式ケーブルはテザーである。
【0092】
膣内デバイスは、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー内に、個人にバイオフィードバックを提供する感覚出力構成要素をさらに含むことができる。感覚出力構成要素は、たとえば、電線によりかつ/または電気回路により、マイクロコントローラおよび/またはセンサに接続することができる。バイオフィードバックは、センサによって測定される少なくとも1つの実施指標に関連する。実施指標は、PFLおよび/またはPFRの適切な実行、膣内デバイスが使用された時間の長さ(たとえば、膣内デバイスが使用者の子宮頸部もしくは膣断端に対して近位側の位置にあった時間(すなわち、総挿入時間)、PFLおよび/またはPFRが実施された時間(すなわち、総トレーニング時間))、pHおよび/または筋肉の質であり得る。実施指標は、使用者が自身の日常の活動を実施している際に膣内デバイスにより日常のモニタリング中に(たとえば、実質的にリアルタイムに)得られる、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態(たとえば、筋運動、筋肉の質、筋力、生体分子レベル(たとえば、ホルモンおよび/または毒素レベル)、pH、温度および/または湿度)の測定値)であり得る。感覚出力構成要素は、バイオフィードバックとして、視覚、振動および/または聴覚信号を提供するように構成することができる。膣内デバイスは、膣内デバイスを取り除くべき時を使用者に知らせるように構成することができる。
【0093】
膣内デバイスはまた、PFDまたはその症状(たとえば、筋緊張に対する変化、筋力に対する変化、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数、尿意切迫感)の治療に有用な少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を、たとえば経皮かつ/または経粘膜送達により、膣の組織に送達するようにも構成することができる。さらに、本発明の膣内デバイスは、PFDを有する個人(たとえば、本発明の膣内デバイスにより自身の骨盤底筋をトレーニングすることから利益を得ることができる、PFDを有する個人)に存在する可能性がある、さらなる病状、疾患および/または関連する症状を治療するように構成することができる。本発明の膣内デバイスを用いて、PFDもしくはその症状、および/またはさらなる病状、疾患もしくは関連する症状を治療し、予防し、かつ/または緩和するために、たとえば局部的にかつ/または全身に作用することができる医薬品を放出することができる。
【0094】
膣内デバイスは、挿入用器具とともに使用するように構成することができる。挿入用器具は、膣内デバイスを変形させ、かつ/または膣内デバイスを使用者の体内の位置において(たとえば、子宮頸部もしくは膣断端に対して近位側の位置において)展開することができる。
【0095】
デバイスは、家庭で、仕事中に、診療所で、病院で、老人ホームで、骨盤健康センターもしくは他のセンターで、または個人に好適な他の場所で、使用することができる。医師、看護師、技師、理学療法士または中央顧客サポートが、患者/使用者に対するサポートを提供することができる。
【0096】
膣内デバイスの構成要素の各々については後述する。
【0097】
膣内デバイスへの医薬品の組込み
膣内デバイスは、たとえば、PFDに対する治療レジメンの一部として、かつ/または別の疾患もしくは病状の治療のために、女性の対象者に医薬品を送達するように構成することができる。膣内デバイスは、連続的に、定期的に、刺激(たとえば、温度、pHおよび/または湿度レベルの変化等、膣環境の変化)に応じて、使用者の入力に応じて、かつ/または膣内デバイスのセンサから得られるデータに応じて(たとえば、骨盤底筋の運動に応じて)、医薬品を送達するように設計することができる。場合により、医薬品の送達は、骨盤底トレーニング体操(たとえば、PFLまたはPFR)の実施と協働させることができ、それにより、骨盤底体操(たとえば、PFLまたはPFR)の実施の前に、実施中に、または実施の後に、医薬品が送達される。医薬品の送達は、日常の活動の実施、および/または、使用者が自身の日常の活動を行う際に膣内デバイスによる日常のモニタリング中に(たとえば、実質的にリアルタイムに)得られる、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態の測定値(たとえば、筋運動、筋肉の質、筋力、生体分子レベル(たとえば、ホルモンおよび/または毒素レベル)、pH、温度および/または湿度の測定値)と協働させることができる。
【0098】
場合により、筋刺激剤および/または筋弛緩薬等の医薬品の協働する送達により、膣内デバイスでのトレーニングを通して受け取られる治療的有用性を向上させることができる。PFDに関連する症状または不快感、たとえば、筋緊張に対する変化、筋力に対する変化、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数および尿意切迫感を緩和する医薬品の送達により、本発明の膣内デバイスを利用する治療レジメンへの患者のコンプライアンスを向上させることができる。
【0099】
モノリシック系として構成される本発明の膣内デバイス
本発明の膣内デバイスは、膣内デバイスの、たとえば膣内デバイスの本体またはテザーの材料を通して均一に分散させることができる少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を放出するように構成することができる。医薬品は、本発明の膣内デバイスのポリマー材料(ポリマーマトリックス)に、ポリマーマトリックスの総重量に対して、たとえば、約1%~約85%(w/w)の範囲(たとえば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または85%(w/w))で混合することができる。たとえば、治療的に有効な量の少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)は、生体適合性エラストマーポリマー、任意選択的に、生理学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬と混合して、ポリマーの総重量に対して、たとえば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または85%のw/w比を有する混合物を形成することができ、混合物は、その後、膣内デバイスの形状を有する金型内で硬化させて、膣内デバイスを形成するように仕上げることができるポリマーマトリックスを形成することができる。医薬品の量は、たとえば、所望の投与レベル、特定の医薬品、デバイスで使用される賦形剤の放出速度効果、および/または採用される特定のエラストマーポリマーに応じて、変更することができる。場合により、膣内デバイスは、シェル設計を有するように構成することができ、そこでは、医薬品は、非薬物添加中心エラストマーコアと幅の狭い外側の速度制御非薬物添加エラストマーシースとの間の幅の狭いバンド(たとえば、環状体)に収容される。
【0100】
医薬品と混合されて本発明の膣内デバイスを形成することができる好適な生体適合性エラストマーの非限定的な例としては、シリコーン(ジメチルポリシロキサンを含む有機ポリシロキサン)、ポリエチレン-ポリ(酢酸ビニル)コポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、ポリフォスファゼン、ポリ(イソプレン)、ポリ(イソブチレン)、ポリブタジエン、ポリウレタン、ニトリルゴム、ネオプレンゴムおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0101】
リザーバ系として構成される本発明の膣内デバイス
別の構成では、膣内デバイスは、本体および/またはテザー内に、PFDまたはその症状(たとえば、筋緊張に対する変化、筋力に対する変化、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数、尿意切迫感)、または、たとえば本発明に記載するような女性の対象者に影響を与える別の疾患もしくは病状の治療に有用な医薬品を収容する少なくとも1つの送達モジュールまたは構成要素を含むことができる。送達モジュールまたは構成要素は、本体および/またはテザー内にさまざまに配置することができ、たとえば、内部コア(たとえば、交換可能コア)、リザーバ(単一チャンバもしくは複数チャンバリザーバ、交換可能リザーバ、および/または詰替え可能リザーバ)、または少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を膣組織と接触するように放出することができる他の送達モジュール(
図7A~
図7G)であり得る。膣内デバイスはまた、医薬品送達オプション(たとえば、コーティングおよび送達モジュール)のうちの1つまたは複数があるようにも構成することができる。図示しないが、本発明の膣内デバイスのテザー内に、
図7A~
図7Gに示す医薬品送達モジュールの同様の配置が、本発明により企図される。
【0102】
本発明の膣内デバイスは、リザーバ、たとえば、医薬品を収容するリザーバを含むことができる。リザーバは、少なくとも一部には、エラストマーポリマー(たとえば、親水性エラストマーまたは非膨潤性エラストマー)、または薬物透過性材料により、形成することができる。本発明の膣内デバイス内でリザーバを形成するために使用することができる好適なポリマー材料の非限定的な例としては、シリコーン、ポリ(エチレン-酢酸ビニルコポリマー)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリエステル、ポリ(アクリル酸)、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、セルロースおよびその誘導体およびポリアミド、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好適な非ポリマーリザーバ材料としては、限定されないが、ステアリルアルコール等、薬学的に許容可能な低融点ワックス、もしくは飽和脂肪酸(たとえば、C8~C18の飽和脂肪酸)の半合成グリセリドまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0103】
リザーバは、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を含む液体、固体または半固体組成物を保持する(または収容する)ことができる。これらの組成物は、必須ではないが、医薬品に加えて、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬を含むことができる。こうした基剤および賦形剤の非限定的な例としては、たとえば、グリセロール、セルロース(たとえば、ヒドロキシエチルセルロース)、ヒマシ油、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、シリコーンオイル、鉱油およびポロキサマーを挙げることができる。場合により、リザーバは、粉末、ペレット、ナノ粒子、マイクロカプセルまたはそれらの組合せから選択された固体を保持する。場合により、リザーバは、固体薬物含有ポリマーにより、たとえば、ペレットとしてまたは単一コアとして充填される。固体は、1種または複数種の希釈剤、緻密化剤、増量剤、潤滑剤、滑剤、浸透物質を含むことができる。たとえば、固体は、セルロース、澱粉、糖、ナトリウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩のうちの1種または複数種を含むことができる。場合により、リザーバは、たとえば、取外し可能であり、膣内デバイス内に配置されたホルダ内に配置することができる。
【0104】
医薬品収容リザーバはまた、TECOFLEX(登録商標)等の非膨潤性エラストマー、または、限定されないが、TECOPHILIC(登録商標)-HP-60D-60等、親水性ポリ(エーテルウレタン)を含む親水性エラストマーを、機械的補強および/または処理可能性を補助するために、30%~95%w/wの範囲の(たとえば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれらの間の範囲および任意の2つのそうした値を含む)重量分率で含むことができる。場合により、膣内デバイスのポリマー材料内に、食塩結晶等、水溶性ポロゲンが組み込まれる。こうしたポロゲンは、膣流体に露出すると、膣流体が膣内デバイスを透過して管壁を通して細孔を生成する際に溶解し、より高速な薬物放出を可能にする。場合により、細孔または穴は、リザーバの少なくとも一部を膣流体に露出させるように、たとえば、拡散による医薬品の放出を可能にするように配置される。
【0105】
コーティングを含むように構成された本発明の膣内デバイス
別法として、膣内デバイスは、その表面に、少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を含むコーティング、層および/またはゲルを有することができる。コーティング、層および/またはゲルは、膣内デバイスの製造時に施すことができ、または、たとえば、個人の使用者または医師により後に施すことができる。コーティング、層および/またはゲルは、膣内デバイス表面のすべてまたは一部(たとえば、膣内デバイスの表面の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより広い)を覆うことができる。コーティング、層および/またはゲルからの医薬品の放出は、たとえば、膣の流体と接触しているときに拡散により発生することができる。
【0106】
骨盤底障害(PFD)の実施指標および/または特徴を測定するために使用することができるセンサ
本発明の膣内デバイス内で(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー内で)(たとえば、センサが対象者の子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置に配置されているときに、個人によって実施される骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)の発生および/または質を測定するために)使用することができるセンサとしては、限定されないが、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、LiDARセンサ等の光検出センサ、電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサが挙げられる。1つまたは複数(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20)のセンサ(たとえば、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、光検出センサ(たとえば、LiDARセンサ)、EIMセンサ)は、膣内デバイスの本体内に(たとえば、実質的リング状形態物内に)かつ/またはたとえば、取外し可能なまたは永久的な接続により膣内デバイスの本体に意選任択的に取り付けることができるテザー(たとえば、可撓性コードまたはリボン)内に組み込むことができる。センサは、本発明の膣内デバイスの本体、テザーおよび/またはスリーブ内に配置することができる。センサは、本体および/またはテザーを通して均一にまたは不均一に分散させることができ、センサの分散により、膣内デバイスを用いて個人が実施するPFLおよび/またはPFRの量および質の測定が可能になる。デバイスはまた、電極および/または発光素子も含むことができる。
【0107】
センサは、PFLおよび/またはPFRの間の骨盤底の少なくとも1つの筋肉(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および/または恥骨直腸筋)または関連する結合組織の運動を測定するように構成される。本発明の膣内デバイスは、泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態の日常のモニタリングを、たとえば実質的にリアルタイムに、提供するように構成することができる。日常のモニタリングを提供することができる膣内デバイスは、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、光検出および測距(LiDAR)センサ等の光検出センサ、電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサ、圧力センサ、pHセンサ、湿度センサ、温度センサ、ホルモンセンサおよび毒素センサからなる群から選択された1つまたは複数のセンサを含むことができる。こうした膣内デバイスは、使用者の筋肉の質および/または筋力の変化、pHの変化、ホルモンおよび/または毒素のレベル(たとえば、PFD、がんおよび/または細菌、真菌もしくはウイルス性感染等、疾患状態に関連するホルモンおよび/または毒素レベル)の変化等、使用者の健康に影響を与える可能性がある膣状態の変化を特定することができる。場合により、運動は、少なくとも約1cm~4cm(たとえば、約1、2、3または4cm)の上方運動(たとえば、引上げ運動、たとえば、頭側方向における運動)であり得る。場合により、運動は、少なくとも約1cm~4cm(たとえば、約1、2、3または4cm)の下方運動(たとえば、降下運動、たとえば、尾側方向における運動)であり得る。膣内デバイス内の(たとえば、本体および/またはテザー内の)センサは、膣内デバイスが使用者の体内に挿入されたとき、センサが腹側方向(たとえば、前方向)に面するように配置される。センサおよび/またはセンサの組合せは、x軸、y軸およびz軸における膣内デバイスの向きを決定することができ、それらが膣内デバイスに正しく挿入されると、個人にフィードバックを提供するように構成することができる。
【0108】
場合により、同じタイプの複数のセンサ(たとえば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20のセンサ)(たとえば、複数の動きセンサ、複数の加速度計、複数のジャイロスコープ、LiDARセンサ等の複数の光検出センサ、または複数の電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサ)を含む。他の場合では、デバイスは、異なるタイプの複数のセンサの組合せ(たとえば、少なくとも2つの異なるタイプのセンサ、たとえば、以下の群から選択される少なくとも2つの異なるセンサ、すなわち、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、LiDARセンサ等の光検出センサ、EIMセンサ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサおよび回転センサ)を含む。特定の場合では、デバイスは、多軸加速度計等の加速度計、多軸ジャイロスコープ等のジャイロスコープ、MEMセンサおよび/またはEIMセンサを含む。使用者が日常の活動を実施する間に発生するPFLおよび/またはPFRすなわち筋運動を測定するために使用することができる例示的なセンサは、STMicroelectronic LIS331DLH 3軸リニア加速度計である。デバイスはまた、1つもしくは複数の電極および/または1つもしくは複数の発光素子(たとえば、発光ダイオード(LED)またはレーザダイオード等の光送信器)も含むことができる。
【0109】
対象者の骨盤底障害(PFD)の少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)またはそれより多くの実施指標および/または少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)またはそれより多くの特徴を測定するために使用することができるさらなるセンサとしては、限定されないが、圧力センサ、温度センサ、pHセンサおよび筋肉の質センサが挙げられる。例示的な筋肉の質センサは、全体として参照により本明細書に援用される国際公開第2012149471A3号パンフレットに記載されている。さらなるセンサは、膣内デバイスの本体内に(たとえば、実質的リング状形態物内に)かつ/または、膣内デバイスの本体に、たとえば取外し可能なまたは永久的な接続により、任意選択的に取り付けることができるテザー(たとえば、可撓性コードまたはリボン)内に組み込むことができる。
【0110】
本発明のセンサはまた、所定の時点で、たとえば、日常のモニタリング中に検出されるPFLおよび/もしくはPFRならびに/または日常の活動の実施の前に、実施の後に、または実施中に、たとえばセンサによって検出されるデータに応じて、個々の使用者への医薬品の送達を可能にするように、膣内デバイス内に配置された医薬品送達モジュールまたは構成要素にも接続することができる。センサからの記録されたデータは、たとえば、骨盤底運動の特徴的なパターンを認識し、それにより、膣内デバイスの送達モジュールからの医薬品の放出を制御する(たとえば、開始する)制御回路を通して、実行することができる。場合により、放出は、たとえば、医薬品、たとえば、感熱ポリマー材料、リザーバまたはコーティング内部の医薬品を放出するために、センサに接続された加熱素子をオンにすることにより、開始することができる。医薬品放出を制御するために本発明の膣内デバイスに組み込むことができる制御回路の非限定的な例は、たとえば、全体として参照により本明細書に援用される、Son et al.(Nature Nano.9:397-404,2014)に記載されている。
【0111】
電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)技術
膣内デバイスは、電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)技術を利用しかつ含むように構成することができる。膣内デバイスは、骨盤底引上げおよび/または弛緩の実施中に特徴を測定するために使用することができるEIMセンサを含むことができる。EIMセンサは、一次センサとしての役割を果たすことができ、または、補助センサとして、たとえば、MEMセンサと組み合わせて機能することができる。EIMセンサは、電気生体インピーダンス、すなわち、電流の流れに対する組織構造および特性の影響(たとえば、筋線維委縮、筋線維構成、脂肪および結合組織の沈着、ならびに炎症)を測定する。電気生体インピーダンスを測定するために、たとえば電極により電流、たとえば、高周波電流および/または多周波電流を組織(たとえば、骨盤底組織)に印加することができ、たとえば電極により、結果として得られる表面電圧パターンを測定し、分析することができる。一般に、測定される電圧は組織抵抗(R)に比例する。
【0112】
実際に、ミオサイト(たとえば、筋細胞)膜脂質二重層の固有の容量性の性質のために、電極による電流(正弦波「a」)の印加と測定された電圧差(正弦波「b」)の生成との間にタイムシフトがある。筋細胞のこの容量性の性質により、組織に印加される電流(たとえば、電荷)が、蓄積され、印加される電流と異なる位相で放出される(リアクタンス(X)と呼ばれるプロセス)。リアクタンス(X)値および抵抗(R)値を結合して、関係θ=arctan(X/R)を介して概要位相角(θ)を得ることができる。得られた位相角(θ)、リアクタンス(X)および抵抗(R)の値を個々にまたは組み合わせて使用して、骨盤底の特徴(たとえば、骨盤底障害の進行または消散)を測定することができる。たとえば、試験された骨盤底組織が、結合組織、脂肪を含み、低レベルの筋肉量を有するとき、増大した抵抗(R)値を得る可能性がある。別の例では、骨盤底組織が筋線維委縮および/または筋線維喪失となることにより、低いリアクタンス(X)値が測定されることになる可能性がある。
【0113】
特定の例では、疾患の進行は、参照(たとえば、基準)値と比較される、位相角(θ)、リアクタンス(X)および/または抵抗(R)の値の変化(たとえば、増大および/または低減)により特徴付けることができる。参照値は、たとえば、校正ステップ中等、膣内デバイスの最初の使用中に得ることができる。位相角(θ)、リアクタンス(X)および/または抵抗の参照値は、骨盤底組織の状態、たとえば健康によって決まる。一般に、筋緊張の喪失(たとえば、筋線維委縮)によって特徴付けられる骨盤底障害が進行するに従い、参照レベルと比較して、位相角(θ)およびリアクタンス(X)の値が低減する。特定の場合では、本発明の膣内デバイスによる治療中、参照値と比較して、位相角(θ)および/またはリアクタンス(X)の値の約5%以上(たとえば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%)の増大は、骨盤底組織の改善された状態(たとえば、筋肉の質の向上)を示す可能性がある。さらに、参照値と比較して、抵抗(R)の約5%以上(たとえば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%)の抵抗(R)の低減は、骨盤底組織の改善された状態(たとえば、筋肉の質の向上)を示す可能性がある。
【0114】
EIM技術の2つのさらなる態様は、本発明の膣内デバイスにおけるそれらの使用に適用可能である。位相角(θ)、リアクタンス(X)および/または抵抗(R)の測定値は、EIMデータを得るために使用される電流の周波数によって決まる可能性がある。従って、ある範囲の周波数にわたってEIM測定を実施することは、たとえば、約1kHz~約10MHz(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900もしくは1000kHz;または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10MHz)の周波数および/または複数の周波数の電流(たとえば、高周波交流電流)を使用することにより、組織を特徴付けるのに役立つことができる。さらに、電流は、一般に、筋線維を横切る(たとえば、顆粒体を横切る)より筋線維に沿って(たとえば、顆粒体とともに)より容易に流れるため、EIMデータは、電流の電気的異方性の依存を論証する。電気的異方性の変化は、骨盤底筋の特徴を測定するために、たとえば、骨盤底障害の進行をモニタリングするためにも使用することができる。たとえば、筋緊張の喪失(たとえば、筋線維委縮)によって特徴付けられる骨盤底障害では、異方性の参照レベルと比較して、異方性の低減は、骨盤底組織の改善された状態(たとえば、筋肉の質の向上)を示す可能性がある。場合により、EIMセンサが膣組織と接触する角度は、複数の角度からデータを収集するように調整可能であり得る。他の実施形態では、2つ以上(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20)のEIMセンサが、種々の角度で膣組織と接触するように配置され、こうした骨盤底組織内の電気的異方性の全体的な値を計算することができる。
【0115】
特に、膣内デバイスは、骨盤底の組織(たとえば、筋肉組織および神経)に印加される電流(たとえば、高周波交流電流)を送達するように、かつその影響を測定するように構成することができる。膣内デバイスに含まれるEIM技術を用いて、筋肉の質および/または機能、相対的な力発生能力、脂肪率、および/または骨盤底障害の状態(たとえば、進行)からなる群から選択される特徴等、骨盤底の組織の少なくとも1つの特徴を確定することができる。SKULPT(登録商標)センサ等の例示的なEIMセンサは、全体として参照により本明細書に援用される、国際公開第2012149471A2号パンフレット、同2015031278A1号パンフレットおよび同2016099824A号パンフレット;米国特許出願公開第20160038053A1号明細書および同20160157749A1号明細書;および米国特許第8892198号明細書および同9113808号明細書に記載されている。
【0116】
膣内デバイスはまた、骨盤底の組織に、高周波交流電流等の電流を送達するように構成された少なくとも1つの電極(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20の電極)も含むことができる。さらに、膣内デバイスは、骨盤底の組織の生体インピーダンスを測定するように構成された少なくとも1つの電極(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20の電極)を含むことができる。骨盤底の組織への電流の送達および/またはその組織の生体インピーダンスの測定は、膣内デバイスにおけるSKULPT(登録商標)センサ等の少なくとも1つのEIMセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20のEIMセンサ)を通して達成することができる。電極は、生体インピーダンスセンサ(たとえば、EIMセンサ)と一体化しその一部とすることができ、または、電極は別個の構成要素であり得る。特定の実施形態では、膣内デバイスは、少なくとも1つのSKULPT(登録商標)センサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20)を含む。電極、EIMセンサおよび/またはSKULPT(登録商標)センサは、膣内デバイスの実質的リング状形態物および/またはテザー内に配置することができる。
【0117】
図8A~
図8Dおよび
図9に示すように、センサは、テザーに沿ってかつ/またはリングの周囲に配置することができる。膣管の生体インピーダンスの尺度は、電極915(
図9)によって測定される電圧信号および別の電極910によって印加される電流の特徴を用いる計算であり得る。そして、生体インピーダンスを用いて、筋肉の質および脂肪含有量を含む組織の特徴を推測することができる。骨盤底筋の生体インピーダンスの尺度は、電極905によって測定される電圧信号および電極900によって印加される電流の特徴を用いて計算することができる。そして、生体インピーダンスを用いて、筋肉の質および脂肪含有量を含む組織の特徴を推測することができる。
【0118】
膣内デバイスのSKULPT(登録商標)センサはまた、膣内デバイスの送達モジュールまたは構成要素に接続し、たとえば、SKULPT(登録商標)センサによって得られる筋肉の質の測定値に応じて、個々の使用者に医薬品を送達するようにも構成することができる。SKULPT(登録商標)センサからの記録されたデータは、たとえば、骨盤底運動および/または筋肉の品質の変化の特徴的なパターンを認識し、それにより、膣内デバイスの送達モジュール(たとえば、ポリマー材料、リザーバまたはコーティング)からの医薬品の放出を制御する(たとえば、開始する)、制御回路を通して実行することができる。
【0119】
光検出センサ
膣内デバイスはまた、たとえば、光検出および測距(LiDAR)センサ等、光、たとえばレーザまたはLED光に基づく検知技術を利用しかつ含むようにも構成することができる。当技術分野では、LiDARセンサは、高解像度マップ、たとえば、表面および物体の3次元(3D)マップを生成するために、かつ物体の運動の追跡のために使用されてきた。特に、LiDARセンサは、3D空間における各ピクセルが放出デバイス(たとえば、LiDARセンサを含む膣内デバイス)からどれくらい離れているかとともに、そのピクセルへの方向を測定し、それにより、センサの周囲の部位(たとえば、骨盤底および膣管)の完全3Dモデルの生成が可能になる。LiDARセンサは、光のビームを送信し、その後、光が物体(たとえば、骨盤底および膣管の組織)から反射するときに戻り信号を測定するように構成される。反射信号がLiDARセンサに戻るのに掛かる時間は、物体(たとえば、骨盤底および/または膣管を含む組織)までの距離の直接的な測定値を提供する。物体に関するさらなる情報、たとえば、速度または材料組成もまた、誘起されるドップラシフト(たとえば、周波数の変化)等、反射信号のいくつかの特性を測定することにより、確定することができる。最後に、送信される光の操作および/または複数のLiDARセンサの組込みにより、環境の多くの異なる点を測定して完全な3Dモデルを生成することができる。例示的なLiDARセンサは、たとえば、全体として参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第20150346340A1号明細書に記載されている。
【0120】
膣内デバイスは、たとえば、LiDARセンサ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10または20のLiDARセンサ)、たとえば、オンチップLiDARセンサ等、少なくとも1つの光検出センサを含むことができる。LiDARセンサを含むことにより、膣内デバイスは、マッピングデータ、たとえば、骨盤底および膣管のサイズ、形状、輪郭、構造および/またはテクスチャに関するデータを収集して、骨盤底組織および膣管の3次元(3D)モデルを生成することができる。さらに、1つまたは複数のLiDARセンサは、骨盤底引上げおよび/または弛緩を測定するように構成することができる。膣内デバイスは、骨盤底引上げおよび/または弛緩の実施を測定するように構成されるLiDARセンサを含むことができる。LiDARセンサは、一次センサとしての役割を果たすことができ、または、補助センサとして機能することができる。LiDARセンサは、膣内デバイスの実質的リング状形態物および/またはテザー内に配置することができる。たとえば、他のセンサから収集されるデータを3Dモデルと統合して、膣内デバイスによる治療中に骨盤底の特定の筋肉の状態(たとえば、筋力)をモニタリングすることができる。光検出センサ(たとえば、LiDARセンサ)に発光素子を統合しその一部とすることができ、または、発光素子は別個の構成要素であり得る。
【0121】
膣内デバイスの光センサ(たとえば、LiDARセンサ)はまた、膣内デバイスの送達モジュールまたは構成要素に接続し、たとえば、光センサ(たとえば、LiDARセンサ)によって得られる測定値に応じて、医薬品を個人の使用者に送達するようにも構成することができる。LiDARセンサからの記録されたデータは、たとえば、骨盤底運動の特徴的なパターンを認識し、それにより、膣内デバイスの送達モジュール(たとえば、ポリマー材料、リザーバまたはコーティング)からの医薬品の放出を制御する(たとえば、開始する)、制御回路を通して実行することができる。
【0122】
ホルモンセンサおよび毒素センサ
膣内デバイスはまた、分子(たとえば、ホルモン、毒素、小分子、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド)を検出し、同定しかつ/または測定することができるセンサも有することができる。こうしたセンサは、たとえば、本発明のかつ/または当技術分野において既知である膣内デバイスによる校正中に得られる参照レベルと比較して、分子(たとえば、ホルモン、毒素、小分子、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド)のレベルにおける1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより大きい変化(たとえば、増大および/または低減)を検出することができる可能性がある。本明細書に記載するような、PFDおよび/または別の疾患もしくは病状の発病および/または進行の一因となりかつ/またはそれに関連する可能性がある分子(たとえば、ホルモン、毒素、小分子、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド)のレベルは、当技術分野において周知である。こうしたセンサの非限定的な例は、たとえば、全体として参照により本明細書に援用される、米国特許第5209238号明細書および米国特許出願公開第20090299156A1号明細書に記載されている。
【0123】
交換可能かつ/またはモジュール式テザー
本発明の膣内デバイスは、任意選択的なテザーおよび/またはスリーブを含むことができる。本発明のテザーは、1つまたは複数のテザーモジュール(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30またはそれより多くのテザーモジュール)を含むことができる(
図8A~
図8D)。各テザーモジュールは、コネクタ、たとえば、可撓性コネクタを含むことができ、それにより、複数のテザーモジュールを接続し、たとえば、連結して、可変長のテザーを形成することができる。本発明のスリーブは、たとえば、テザー(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30またはそれより多くのテザーモジュール)を包囲しかつ封入するように配置することができる可撓性カバーであり得る。本発明のスリーブは、別法としてまたはさらに、本発明の膣内デバイスの本体を覆うことができる。
【0124】
テザーまたは1つもしくは複数のテザーモジュールおよび/またはスリーブは、本明細書に記載するように、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、回転センサ、光検出および測距(LiDAR)センサ等の光検出センサ、および電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサ、圧力センサ、pHセンサ、湿度センサ、温度センサ、ホルモンセンサおよび/または毒素センサからなる群から選択された少なくとも1つのセンサを含む、1つまたは複数のセンサ(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20またはそれより多くのセンサ)を備えるように構成することができる。
【0125】
別法としてまたはさらに、テザーまたは1つもしくは複数のテザーモジュールおよび/またはスリーブは、本明細書に記載するように、1種または複数種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、20種またはそれより多くの医薬品)を送達するように構成することができる。場合により、テザーまたは1つもしくは複数のテザーモジュールおよび/またはスリーブは、本明細書に記載する、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルを含むもの等、1つまたは複数の送達モジュールまたは構成要素(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20またはそれより多くの送達モジュールまたは構成要素)を含むことができる。
【0126】
マイクロコントローラ
マイクロコントローラ(たとえば、マイクロコントローラユニット(MCU))は、単一チップ(たとえば、集積回路(IC)またはマイクロチップ)にコンピュータまたは他の電子システムのすべての構成要素を組み込む小型コンピュータ(たとえば、システムオンチップ(SOC))であり、プロセッサコア、メモリ(たとえば、非一時的記憶装置)およびプログラム可能な入出力周辺機器(たとえば、センサ)を含むことができる。膣内デバイス等の組込みシステム内で、骨盤底体操の実施をモニタリングしバイオフィードバックを提供する等、専用の機能を有するMCUを使用することができる。MCUは、通常、中央処理装置(CPU)(たとえば、4ビット~64ビット処理装置、たとえば、4ビットプロセッサ、32ビットプロセッサまたは64ビットプロセッサ)、データ記憶のための揮発性メモリ(RAM)、動作パラメータ記憶装置(たとえば、ROM、EPROM、EEPROMおよび/またはフラッシュメモリ)、別個の入力ピンおよび出力ピン(たとえば、汎用入出力ピン(GPIO)、シリアル入出力ピン(たとえば、universal asynchronous receiver/transmitter(UARTS)、たとえば、TIA(以前はEIA)RS-232、RS-422および/またはRS-485等、通信標準規格用のシリアル入出力ピン)、他のシリアル通信インタフェース(たとえば、Inter-Integrated Circuit(I2C)、Serial Peripheral Interface(SPI)、ユニバーサルシリアルバス(USB)およびEthernet)、周辺装置、クロック発生器、変換器(たとえば、アナログ・デジタル変換器および/またはデジタル・アナログ変換器)ならびにin-circuit programming(ICSP)および/またはin-circuit debugging(ICD)サポートを含む。
【0127】
マイクロコントローラは、少なくとも1つの(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、15、20、25、30、40、50、60、70、800、80、100、150またはそれより多くの)汎用入出力ピン(GPIO)を含むことができる。GPIOピンは、入力状態または出力状態のいずれかに構成可能なソフトウェアである。入力状態に構成されるGPIOピンは、センサ(たとえば、動きセンサ、加速度センサ、回転センサ、pHセンサおよび/または筋肉の質センサ)または他の外部信号を読み取るために使用される。出力状態に構成されるGPIOピンは、バイオフィードバックを提供することができる装置(たとえば、LED、モータ)等、外部装置を駆動することができる。
【0128】
特徴付けられる発明において有用な例示的なマイクロコントローラは、Texas Instruments(登録商標)MSP430F5438Aであるが、他の好適なマイクロコントローラを使用することができる。
【0129】
送信器および受信器
送信器および受信器は、アンテナおよび/または認証チップ(たとえば、Apple製品、たとえば、iPhone、iPadおよびのAppleコンピューティングデバイスと通信するため)等、無線通信(たとえば、BluetoothまたはWi-Fi)を可能にするために必要な任意の追加の構成要素とともに、膣内デバイス内に配置することができる。たとえば、Bluetooth通信は、Roving NetworkのRN42APL-I/RMマイクロチップによって実行することができる。認証のために、たとえば、Apple Authentication Chip 2.0Cは、I2Cを介してRN42APL-I/RMマイクロチップに接続するために使用され、膣内デバイスがApple製品と通信するのを可能にすることができる。Appleチップの一例は、iPod Authentication Coprocessor、部品番号P/N MFI337S3959である。送信器および受信器はまた、外部ボックスに収容し、着脱式ケーブルにより膣内デバイスに接続することができる。
【0130】
電源
電源は、膣内デバイス内に位置するバッテリ(たとえば、内部バッテリ)とすることができ、それが電力を供給する電子部品(たとえば、センサ、マイクロコントローラ、送信器および受信器、ならびに感覚出力構成要素)に、接続回路基板(たとえば、フレキシブル回路基板)または電線のいずれかにより接続することができる。膣内デバイスは、たとえば、膣内デバイスの挿入の前または後に、個人により起動することができるオン/オフスイッチ(たとえば、ボタン)を含むことができる。膣内デバイスの電源状態は、たとえば、光(たとえば、LED)、振動により、かつ/または電子デバイスのユーザインタフェースに表示される通知により、たとえば、付随するソフトウェアアプリケーションを介して、個人に示すことができる。内部バッテリは、ニッケル・カドミウム電池またはリチウムイオン電池等、充電式かつ/または交換可能であり得る。膣内デバイスは、充電クレードル(たとえば、充電ケース)、着脱式ケーブルにより、かつ/または誘導無線充電技術により、バッテリが充電されるのを可能にするように構成することができる。
【0131】
場合により、内部バッテリは、治療期間全体にわたり(たとえば、約1週間~約3か月間)、膣内デバイスに電力を供給するのに十分な電荷を有する。内部バッテリは、膣内デバイスの使用状態に基づき、たとえば、膣内デバイスが骨盤底筋運動(たとえば、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR))を測定するために使用されていないときに低電源状態に入ることにより、その電力出力レベルを調整するように構成することができる。使用状態は、膣内デバイスにより自動的に検出し、または、電子デバイスおよびユーザインタフェースにより、たとえば、個人が付随するソフトウェアアプリケーションを用いてトレーニングセッションを開始することにより、膣内デバイスに通信することができる。オン/オフスイッチはまた、トレーニングセッションが開始するときに膣内デバイスに通信し、それにより、デバイスの電力状態を変更するようにも構成することができる。たとえば、オン/オフスイッチは、1回の長押し(たとえば、5秒間~15秒間のプレスアンドホールド)に対し、オンになることにより応答するように構成することができ、一方で、1回の短押し(たとえば、1秒間~3秒間のプレスアンドホールド)により、膣内デバイスを、センサデータを収集することができるトレーニング状態に循環させることができ、第2の短押し(たとえば、1回の1秒間~3秒間のプレスアンドホールド)または2度押し(たとえば、2回の1秒間~3秒間のプレスアンドホールド)により、トレーニングセッションを終了し、膣内デバイスを省力(たとえば、低電力)状態にすることができる。
【0132】
場合により、電源は、別個のハウジング(たとえば、外部バッテリ)に位置し、たとえば着脱式ケーブルにより、膣内デバイスに接続されるバッテリである。たとえば、電力は、2つの交換可能かつ/または充電式AAバッテリ(たとえば、1.5Vバッテリ)を通して供給することができる。
【0133】
材料
膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)スリーブおよび/またはテザー)は、種々の生体適合性材料から製造することができる。たとえば、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ヒドロゲル、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性エラストマー、ポリパラキシリレン、フルオロポリマー、ゴムおよびラテックスは、膣内デバイスを製造するべき好適な材料である。さらに、膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー)は、金属および/またはプラスチックから製造するか、または金属および/またはプラスチックから製造された構成部品を含むことができる。たとえば、膣内デバイスは、金属および/またはプラスチック製の可撓性ばね、ワイヤまたはコア構造(たとえば、張力を提供する、たとえば、膣内デバイスを個人の子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置において配置しかつ方向付けるように、個人の膣壁を押すため)を含むことができる。膣内デバイスが製造される材料は、可撓性または非可撓性であり得る。場合により、膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)および/またはテザー)は、可撓性材料および非可撓性材料の両方を含む。
【0134】
医薬品を送達するように構成される場合、膣内デバイスの材料(たとえば、本体、テザーおよび/または送達モジュールの材料)は、たとえば、医薬品の通過に対して透過性である、生体適合性ポリマー材料を含むことができる。許容可能なポリマー材料としては、たとえば、拡散によりまたは微小孔もしくは穴を通して、医薬品を放出することができる材料が挙げられる。ポリマー材料は、たとえば、シリコーンエラストマー、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、セルロース、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミドおよび/またはポリエステルポリマー等の熱可塑性ポリマーを含むことができる。EVA材料は、その機械的特性および物理的特性(たとえば、材料内の薬物の可用性)により有用である可能性がある。EVA材料は、ELVAX(登録商標)、EVATANE(登録商標)、LUPOLEN(登録商標)、MOVRITON(登録商標)、ULTRATHENE(登録商標)、ATEVA(登録商標)VESTYPAR(登録商標)等、任意の市販のエチレン-酢酸ビニルコポリマーであり得る。医薬品を送達するように構成された膣内デバイスの製造に有用な材料のさらなる非限定的な例は、たとえば、Malcolm et al.(Int.J.Women.Health.4:595-605,2012)、米国特許出願公開第20090004246A1号明細書、および米国特許第3545439号明細書、同第4822616号明細書、同第4292965号明細書、同第8858977号明細書、同第7829112号明細書、同第4215691号明細書、同第4155991号明細書、同第7910126号明細書、および同第4012496号明細書に記載されており、それらの各々は全体として参照により本明細書に援用される。
【0135】
コーティング
膣内デバイス(たとえば、本体(たとえば、実質的リング状形態物)、スリーブおよび/またはテザー)は、たとえば、膣内デバイスの膣管(たとえば、膣壁および/または子宮頸部)の組織への付着等、デバイスの特性を改善するために、生体材料等の物質でコーティングすることができる。生体材料は、たとえば、ヒドロゲル、たとえば、ヒアルロン酸(HA)またはその誘導体等の生体適合性接着剤であり得る。任意選択的に、生体材料は、生分解性材料である。さらに、生体材料は、予測可能な期間(たとえば、個人の治療期間に対応する時間)、その所望の機能(たとえば、付着)を実施するように処方することができる。膣内デバイスはまた、たとえば、デバイスの膣への挿入または膣からの取り除きを容易にするために、潤滑剤でコーティングすることも可能である。
【0136】
膣内デバイス(たとえば、本体、テザーモジュールを含むテザー、および/またはスリーブ)はまた、PFDまたはその症状(たとえば、筋緊張に対する変化、筋力に対する変化、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数および尿意切迫感)、または、たとえば本明細書に記載するような女性の対象者に影響を与える別の疾患もしくは病状の治療に有用な少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)を含むコーティング、層および/またはゲルを(たとえば、外面等、デバイスの表面に)有することも可能である。たとえば、デバイスは、完全にまたは部分的に医薬品を含む層でコーティングすることができる。こうしたコーティングは、体内で溶融する、ワックス等の感温材料であり得る。別法として、コーティングは、大部分または表面の腐食による医薬品の放出を可能にするように設計された生分解性ポリマーを含み、天然ポリマーおよび合成ポリマーを単独でまたは他の材料、たとえば多糖(たとえば、アルギン酸塩、デキストラン、セルロース、コラーゲン、およびそれらの誘導体)、タンパク質(たとえば、アルブミンおよびゼラチンならびにそれらのコポリマーおよび混合物)、ポリヒドロキシ酸(たとえば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリエチレンテレフラレート、ポリ酪酸、ポリ草酸、ポリラクチド-カプロラクトンコポリマー、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ならびにそれらの混合物およびコポリマー)と組み合わせて含むことができる。コーティングはまた、非分解性ポリマー(たとえば、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸およびそれらの誘導体)、またはデバイスのすべてまたは少なくとも一部をコーティングする他の任意の好適なコーティング材料も含むことができる。
【0137】
コーティングの物理的特性および化学的特性は、その中に組み込まれる医薬品の放出速度を制御する等、それらの意図された使用を最適化するように適合させることができる。コーティングからの医薬品の放出は、たとえば、拡散もしくは腐食により、またはそれらの両方の組合せにより発生させることができ、それにより、膣組織へのかつ/または膣組織を通る医薬品の即時のまたは制御された、迅速な、低速の、連続したまたはパルス状の送達をもたらすことができる。薬剤放出の速度は、薬剤の物理化学特性、コーティングの組成、および/または投与の部位における周囲の媒体により影響を受ける可能性がある。
【0138】
医薬品を送達するように構成された膣内デバイスの製造に有用なコーティングの非限定的な例は、たとえば、全体として参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第20050276836A1号明細書および米国特許第4292965号明細書に記載されている。
【0139】
膣内デバイスの挿入用器具
膣内デバイスは、挿入器具(
図5A~
図5C)を用いて挿入することができる。挿入器具は、個人の体内の適切な位置(たとえば、個人の子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置)において、かつ適切な向き(たとえば、最適なセンサ測定値が得られるのを可能にする位置)において、挿入器具から展開させることができるように、変形し(たとえば、曲がり、ねじれ、縮み、引っ張られ、かつ/または形をとり)、膣内デバイスを保持することができる。挿入器具は、膣内デバイスを保持し形づくるように構成されたデバイスハウジングと、膣内デバイスを個人の体内で展開するようにデバイスハウジングから膣内デバイスを押し出すために必要な力を加えるように構成されたプランジャとを備えることができる。挿入器具は、挿入プロセスを容易にするために、潤滑剤とともに使用するように構成するか、または潤滑剤でコーティングすることができる。
図13~
図20に、単独でのまたは本発明のデバイスと結合される本発明の挿入器具の他の例を示す。挿入器具400は、膣内デバイス100を収容する長尺シャフトアプリケータを含む。挿入器具400はまた、ヒンジ630により遠位端の近くで接合することができる、上部610および下部620も含むことができる。上部610および下部620は、膣内に挿入される前に膣内デバイス100を留め金で留めることができる。挿入後、挿入器具400を取り除く一方で、上部610および下部620の端部を押してデバイスを放出し、膣内の適所に膣内デバイス100を残すことができる。挿入器具またはアプリケータは、使い捨てとすることができ、または、たとえば、当技術分野において既知である方法(たとえば、水および石鹸または他の衛生もしくは滅菌方法)により洗浄した後に、再使用することができる。膣内デバイスの実質的リング状形態物は、約20mm~約80mmの直径と約0.1mm~約1mmの厚さとを有することができ、テザーは、約14cm以下の長さと約1mm~約10mmの幅とを有することができるため、挿入器具は、デバイスを封入するかまたは変形させることができるように、わずかに大きい寸法を有するように構成することができる。
図17に示すように、X寸法は、たとえば約0.2mm(リングの厚さの約2倍)~約100mm(変形しない場合にリングの直径よりわずかに大きい)とすることができ、Y寸法は、たとえば、約0.1mm~約50mmとすることができ、Z寸法は、たとえば、約0.2mm~約115mmとすることができる。
【0140】
データベース
データベースは、ローカル電子デバイス(たとえば、コンピュータ、電話またはタブレット)に、またはインターネットを介して通信することができるリモート電子デバイス(たとえば、ウェブに位置しかつ/またはクラウドベースのデータベース)に位置することができる(
図4)。データベースは、個人が使用する膣内デバイスから収集されるセンサデータを収集し、格納し、かつそれを用いて計算を実行する中央データベースであり得る。個人によって提供されるセンサデータおよびさらなるデータ(たとえば、個人が体験した骨盤底障害の症状に関する個人により提供される情報、たとえば、質問事項に対する回答)は、膣内デバイスから定期的にデータベースに通信する(たとえば、アップロードする)ことができる。場合により、データベースとの通信は、実質的に連続的である(たとえば、データのアップロードは、骨盤底体操の実施中に実質的にリアルタイムに行われる)。他の場合では、データベースとの通信は、1時間毎に、または1日毎に(たとえば、1時間に少なくとも1回で、かつ/または1日に少なくとも1回で)または使用者が開始するときに行われる。データベースは、使用者が、治療の後に進捗を評価するために検討することができる。データはまた、医療提供者に(たとえば、自動的にまたは使用者により)送信することも可能である。
【0141】
ユーザインタフェース
ユーザインタフェースは、個人の(i)本発明の膣内デバイスによる現時点の、毎日の、毎週の、毎月のおよび全体的なトレーニング進捗および/または(ii)個人の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の現時点の、毎日の、毎週の、毎月のおよび全体的な健康状態のインタラクティブ表示を個人に提供するように構成されたソフトウェアアプリケーションを含むことができる。特に、アプリケーションは、膣内デバイスを使用者の膣内(たとえば、子宮頸部または膣断端に対して近位側)に位置決めし(たとえば、方向付けし)、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)の実施を含むトレーニングプログラムを完成することにより、使用者を誘導し、指導し、鼓舞するように設計される。アプリケーションは、膣内における膣内デバイスの位置決めに関し、かつPFLおよび/またはPFRを含む具体的な運動(たとえば、骨盤底筋の作動および弛緩)に関し、段階的なガイドおよびリアルタイムフィードバック(たとえば、修正指示)を提供する。
【0142】
アプリケーションはまた、日々の運動または活動(たとえば、インデックスイベント)の実施が個人の泌尿生殖系および/または骨盤底にいかに影響を与えるかに関するフィードバックも個人に提供することができる。アプリケーションによって提供されるフィードバックは、個人および/または医師が実質的にリアルタイムに検討することができ、または、フィードバックは、アプリケーションにより、たとえば、膣内デバイスのメモリ、接続された電子デバイス(たとえば、コンピュータ、タブレットおよび/またはスマートフォン)またはデータベース(たとえば、ローカルデータベース、またはインターネットベースのデータベース等、リモートデータベース)に格納することができる。
【0143】
アプリケーションは、いくつかの画面、すなわち、ようこそおよび/またはログイン、校正および方向付け、ダッシュボード、トレーニングおよび指導、ライブモード、メニュー、導入、デバイス、体操履歴および症状を含むことができる(
図22A~
図22D)。
【0144】
アプリケーションの最初の使用時、ようこそおよび/またはログイン画面により、使用者は、使用者のトレーニングデータ(たとえば、センサデータ)が格納されるデータベースにおいてトレーニングアカウントを確立することができる(
図4)。このステップは、膣内デバイスの登録とユーザ名およびパスワードの作成を含むことができる。使用者はまた、自身のトレーニングデータを共有する、自身のトレーニングを監視している医療専門家と接続するようにも選択することができる。
【0145】
使用者に対して、校正および方向付け画面を用いて自身の膣内デバイスを挿入し校正するようにも促すことができる。校正および方向付け画面は、膣内デバイスを挿入し方向付けることを通して使用者を指導する。アプリケーションは、使用者に膣内デバイスの概略図を示し、使用者に対して、使用者自身のデバイスの上のデバイス頂部および正面側をマークするしるしを特定するように促すことができる。使用者に対して、頂部のしるしは膣の頂部に面することになり、正面のしるしは使用者の前側に面しているように、手によりまたは挿入器具を用いることによりデバイスを挿入するように求めることができる。リアルタイムで、アプリケーションは、挿入ステップ中に膣内デバイスの向きをそのx軸、y軸およびy軸において提供することができ、使用者に対して、膣管の頂部に対して平行にかつ子宮頸部または膣断端に対して近位側にデバイスを向けるように指導する。正しい向きが得られると、アプリケーションは、使用者に対して、膣内デバイスの正面(たとえば、前)側に付いているしるしが使用者の身体の前側に面していることを確認するように促すことができる。この方向付けステップは、デバイスの挿入時に行う必要がある。デバイスが取り除かれ、その後、交換される場合、方向付けステップは繰り返さなければならない。次に、アプリケーションは、膣内デバイスの使用者の進捗を経時的に確定することができる測定値の基準値を確立するために、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)等の一続きの体操を実施することを通して個人を指導することができる。校正ステップは、使用者が選択する任意の時点で繰り返すことができる。
【0146】
アプリケーションはまた、実質的にリアルタイムに膣内デバイスの総充電電力、膣内デバイスが使用者の体内の適所にあった総時間、所与の日に実施されたPFLおよびPFRの総回数、pH測定値(たとえば、実質的にリアルタイムに取得されたpH測定値、ならびに/または所与の日および/もしくは時間にわたる平均pH測定値)、使用者の骨盤底筋の質に関連するスコア、ならびに治療期間中の使用者の全体的な進捗に関連する少なくとも1つのスコアを表示するダッシュボード画面も含むことができる。ダッシュボードはまた、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態の実質的にリアルタイムのモニタリングのために使用することができる、任意選択的なライブモードの使用中に収集されるデータの概要も提供することができる。ダッシュボードは、使用者が自身の日常の活動を実施する際に、使用者がたとえば意図的にまたは非意図的に実施したPFLおよびPFRの総回数と、ライブモードがアクティブであった期間中に骨盤底筋に対してかけられた応力の量に関連するスコアとを提供することができる。
【0147】
使用者の全体的な進捗スコアは、校正セッション中に得られた一組の基準測定値に基づいて計算することができる。校正セッション中に収集されたデータとしては、限定されないが、骨盤底筋疲労に達する(たとえば、使用者がPFLおよび/またはPFRを実施することができなくなる)までに実施されたPFLおよび/またはPFRの最大回数、PFLおよびPFR中の膣内デバイスの挿入位置からの距離の最大変化、筋肉の質および/または筋力の測定値、ならびにpH測定値を挙げることができる。校正ステップ中、膣内デバイスにLiDARセンサ等の光検出センサが含まれる場合、骨盤底および膣組織の3次元(3D)構造に対して参照(たとえば、基準)測定値を収集することができ、それにより、使用者の骨盤底および膣組織の初期(たとえば、参照)3Dモデルを生成することができる。さらに、膣内デバイスに電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサが含まれる場合、位相角(θ)、リアクタンス(X)および/または抵抗(R)の参照(たとえば、基準)値を得ることができる。膣内デバイスによって測定されるEIM参照レベルを用いて、参照スコア、たとえば、参照筋肉の質スコアを計算することができ、それを使用者に表示することができる。参照筋肉の質スコアは、骨盤底の特定の筋肉および/もしくは組織に、または、全体として骨盤底に(たとえば、全体的な参照筋肉の質スコア)に割り当てることができる。校正ステップのさらなる構成要素は、使用者のPFDの重症度を反映する症状スコアを割り当てるように設計された質問事項の完成を含むことができる。さらに、膣内デバイスにホルモンセンサが含まれる場合、少なくとも1種の生殖ホルモン(たとえば、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、エストロゲン、プロゲステロン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)およびそれらの誘導体)に対する参照(たとえば、基準)値を得ることができる。膣内デバイスに毒素センサが含まれる場合、毒素(たとえば、細菌毒素、真菌毒素、ウイルス性毒素、および/または寄生虫によって生成される毒素)に対する参照(たとえば、基準)値を、当技術分野において既知であるかまたは医師により設定されるレベル等、所定レベルと比較することができる。校正測定値から単独で、または合わせて校正測定値および症状スコアから、全体的な進捗スコアを計算することができる。使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態に関するスコアも生成することができる。別法として、ダッシュボードに、症状スコアも表示することができる。
【0148】
デバイスが、SKULPT(登録商標)センサ等のEIMセンサを含む場合、ユーザインタフェースにおいてアプリケーションにより、参照レベルと比較される、使用者の位相角(θ)、リアクタンス(X)および/または抵抗(R)の値に関連するスコア(たとえば、筋肉の質スコア)を表示することができる。膣内デバイス内のEIMセンサの配置に応じて、筋肉の質スコアにより、骨盤底の特定の筋肉を具体的に特定することができる。場合により、骨盤底に対する全体的な筋肉の質スコアを計算することができる。
【0149】
デバイスが、LiDARセンサ等の光検出センサを含む場合、アプリケーションはまた、ユーザインタフェースにおいて、使用者の骨盤底および膣組織の3Dモデルを使用者に表示することができる。追加のトレーニング(たとえば、強化および/または弛緩)を必要とする骨盤底の特定の領域を特定するために、膣内デバイス内の他のセンサ(たとえば、動きセンサ、加速度計、ジャイロスコープ、微小電気機械(MEM)センサ、加速度センサ、傾斜センサ、および回転センサ、EIMセンサ、圧力センサ、筋肉の質センサ、および/またはpHセンサ)によって収集されるデータから計算することができるような具体的なスコアリングデータ(たとえば、筋肉の質スコア)を、3Dモデル上に重ねて表示することができる。患者の膣管および骨盤底組織の3Dモデルは、治療期間中の任意の時点で生成し、かつ/または実質的に連続的に生成することができる。
【0150】
ユーザインタフェースにおけるダッシュボード表示は、トレーニングおよび指導画面を開始する操作ボタンを含むことができる。トレーニングおよび指導画面は、使用者に対し、使用者のPFLおよび/またはPFRの実施に関するリアタイムの視覚的フィードバックを提供することができる。たとえば、設定された時間間隔(たとえば、1~5分間、1~60秒間または15秒間)および設定された安静の時間間隔(たとえば、1~5分間、1~60秒間または15秒間)にわたってPFLおよび/またはPFRを実施することを含む一続き等、特定の一続きのPFLおよび/またはPFRの実施を通して、使用者を指導することができる。使用者に対して、その一続きを1回または複数回(たとえば、1回、2回、3回、4回または5回)繰り返すように指示することができる。使用者が実施した各PFLおよび/またはPFRの強度を示すようにグラフを生成することができる。
【0151】
ユーザインタフェースにおけるダッシュボード表示は、ライブモード画面を開始する操作ボタンを含むことができる。ライブモード画面は、使用者に対し、ライブモード(たとえば、リアルタイムモニタリング)を起動するオプションを提示し、使用者が、ライブモード中にいずれのセンサが能動的にデータを収集しているかと、いかなるフィードバックを使用者に表示すべきであるかを決定する選好設定を確立するのを可能にすることができる。ダッシュボードは、ライブモードにおいてセンサにより収集された情報の概要を提供することができる。
【0152】
ユーザインタフェースにおいてアプリケーションにより表示される導入画面は、PFDと、PFDを治療するために膣内デバイスをいかに使用することができるかという説明とに関する教育的な題材を提供する。ユーザインタフェースにおいてアプリケーションにより表示されるデバイス画面は、使用者の膣内デバイスに関する具体的な情報を提供する。たとえば、この画面は、膣内デバイスのバッテリレベル(たとえば、充電)と、膣内デバイスがどれくらい(たとえば、何日間)使用者の体内にあったかとに関する情報を提供することができる。ユーザインタフェースにおいてアプリケーションにより表示される体操履歴画面は、使用者が実施した過去のトレーニングセッションに関する情報を提供する。ユーザインタフェースにおいてアプリケーションにより表示される症状画面は、ひな形ベースの質問事項(たとえば、任意選択的な日常の概観および/または日記)等、使用者が所与の日に自身が体験しているPFDの症状を追跡するための情報を提供する。ユーザインタフェースにおいてアプリケーションにより表示されるメニュー画面は、ソフトウェアアプリケーションに含まれる他のすべての画面への容易なナビゲーションを提供する。
【0153】
ユーザインタフェースはまた、使用者が、治療中に、かつ日常のモニタリングの間に自身の進捗を示す図表を見ることができるようにする機能も含むことができる。この図表化機能を用いて示されるデータは、使用者により、医療提供者に、または第三者に(たとえば、自動的にまたは使用者により)送信することができる。
【0154】
ユーザインタフェースはまた、使用者が、たとえば、本発明の膣内デバイスにより、医薬品を膣の組織に送達するのを可能にする機能も含むことができる。ユーザインタフェースにより、使用者は、膣内デバイスによる医薬品の投薬および/または用量投与の頻度を変更することができる。ユーザインタフェースはまた、リザーバ等の送達モジュールを医薬品によりいかに再充填するか、または、膣内デバイスの表面にコーティング、層またはゲルをいかに施すかに関して、使用者に指示する機能も含むことができる。場合により、ユーザインタフェースにより、使用者は、たとえば、膣内デバイスにより得られるセンサデータに応じて、医薬品がいかに送達されるかを変更することができる。たとえば、使用者または医師は、骨盤底運動(たとえば、PFLおよび/またはPFR)の実施の前、実施中または実施の後に医薬品が投与されるように選択することができる。ユーザインタフェースはまた、膣内デバイスに残っている医薬品のレベルまたは量に関する情報も提供することができ、それにより、使用者は、デバイスを交換するかまたは医薬品を再充填することができる。ユーザインタフェースはまた、使用者が、膣内デバイスが日常のモニタリングを実行している間に得られる測定値に応じて、本発明の膣内デバイスが本明細書に記載するような医薬品をいかに送達することができるかを確立する(たとえば、選好を設定する)のを可能にする機能も含むことができる。
【0155】
III.膣内デバイスにより治療することができる骨盤底障害(PFD)
本明細書に記載する膣内デバイスおよび方法によって治療することができる骨盤底障害(PFD)は、骨盤底(PF)の筋肉が弱い(たとえば、低緊張)または緊張している(たとえば、高緊張)か、または仙腸関節、腰部、尾骨または股関節の障害または損傷がある場合に発症する広範囲の病状を含む。多発性硬化症および脳卒中の患者に見られる神経損傷等、腰仙神経損傷を含む神経原性要因もまた、PDFの進展および進行の一因となる可能性がある(National Clinical Guideline Centre(UK).NICE Clinical Guidelines.148,2012)。骨盤手術(たとえば、子宮摘出術)、経膣分娩、年齢、肥満、糖尿病、結合組織障害および遺伝的素因もまた、PFDの進展に対する危険要因として特定された(Memon et al.,Womens Health(Lond.Engl.).9(3),2013)。
【0156】
PFDの症状としては、筋緊張に対する変化、筋力に対する変化、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数、および尿意切迫感が挙げられる。例示的なPFDとしては、限定されないが、尿失禁(UI)、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、排尿困難(たとえば、痛みを伴う排尿)、便失禁、骨盤臓器脱(POP)(たとえば、尿道脱(尿道瘤)、膀胱脱(膀胱瘤)、もしくは尿道および膀胱両方の脱(膀胱尿道脱)、膣円蓋および子宮頸部脱(膣円蓋脱)、子宮脱(uterus prolapse)(子宮脱(uterine prolapse))、直腸脱(直腸瘤)、S字結腸脱(S字結腸瘤)および小腸脱(腸ヘルニア))、骨盤痛、性機能不全(たとえば、性交時尿失禁、性交痛障害、性交疼痛、膣けいれんおよび/または性的刺激障害)、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、ならびに非弛緩性骨盤底機能不全が挙げられる。
【0157】
a.失禁
骨盤底筋トレーニングにより(たとえば、たとえば本明細書に記載するデバイスおよび方法を用いる、骨盤底引上げ(PFL)の実施により)治療することができる尿失禁および便失禁の形態としては、限定されないが、尿失禁(UI)、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁、混合性尿失禁および便失禁が挙げられる。
【0158】
尿道は、尿を外部に放出する膀胱からつながる管である。女性の場合、尿道は、膣の前壁と密接な関係で膀胱から延び、陰核の後方かつ膣口の前方の膣前庭における膣開口部の軸と平行な長軸を有する、約4cmの管である。(STEDMAN’s MEDICAL DICTIONARY,page 2072(28th edition,2005)を参照されたい)。膀胱は、尿管を介して充填され尿道を介して排出される尿のための貯蔵場所としての役割を果たす、筋結織膜(musculomembranous)の弾性の袋を指す。膀胱頸部は、排尿筋とは別個の、膀胱の平滑筋である。女性の場合、膀胱頸部は、形態学的に別個の平滑筋からなる。大径の束が、尿道壁内に斜めにまたは長手方向に延在する。通常の女性の場合、骨盤底の上方の膀胱頸部は、主に、恥骨膀胱靭帯、骨盤底の骨盤内筋膜、および肛門挙筋により支持される。これらは、安静時に尿道を支持し、腹腔内圧の上昇により、挙筋が収縮して、尿道閉鎖圧を上昇させて禁制を維持する。この解剖学的構成は、一般に、分娩後にかつ加齢により変化し、膀胱頸部は、特に腹腔内圧が上昇するとき、骨盤底の下方に位置する。このメカニズムにより、禁制が維持されなくなり、尿道の過剰運動性の結果として失禁に至る可能性があり、一方で、通常の女性は、いかなる尿漏れまたは漏便の問題もない。
【0159】
本明細書に記載するような、本発明の膣内デバイスを使用する体操を用いて、骨盤底筋を強化することができ、それにより、禁制を促進する解剖学的構成を回復させることができる。
【0160】
b.臓器脱
たとえば、本明細書に記載するデバイスおよび方法を用いる骨盤底筋トレーニングにより(たとえば、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)の実施により)治療することができる骨盤臓器脱(POP)としては、限定されないが、尿道(尿道瘤)、膀胱(膀胱瘤)もしくは尿道および膀胱両方(膀胱尿道脱)、膣円蓋および子宮頸部(膣円蓋脱)、子宮(子宮脱)、直腸(直腸瘤)、S字結腸(S字結腸瘤)ならびに小腸(腸ヘルニア)脱が挙げられる。骨盤臓器脱の詳細な説明は、参照により本明細書に援用される(www.acog.org/Resources-And-Publications/Practice-Bulletins/Committee-on-Practice-Bulletins-Gynecology/Pelvic-Organ-Prolapse)に見ることができる。POPに関連する用語の標準化は、参照により本明細書に援用されるBump et al.American J.Obstet.Gynec.175.1(1996):10-17に記載されている。
【0161】
一般に、POPのさまざまな段階は、1つまたは複数の区画において、処女膜に対する脱の最大の程度に基づく。通常の患者は、ステージ0とみなされ、以下のように、脱の距離により、ステージ1(最も軽度)~ステージIV(最も重度)が、定量化される。
ステージ0:脱なし;前方および後方の尖頭がすべて-3cm。
ステージ1:ステージ0に対する基準が満たされないが、脱の最遠位部分は、処女膜の面から1cmを超えて上方にある。
ステージII:脱の最遠位部分は、処女膜の平面に対して1cm以下近位側または遠位側にある。
ステージIII:脱の最遠位部分は、処女膜の平面の1cmを超えて下方にあるが、cmでの全膣長-2cmを越えて突出しない。
ステージIV:本質的に、下部生殖管の全長の完全な外翻が実証される。脱の遠位部分は、少なくとも2cmまで突出する。大部分の場合、ステージIV脱の前縁部は、子宮頸部または膣断端の瘢痕となる。
【0162】
本発明のデバイスは、女性(たとえば、ステージI、II、IIIまたはIV POPである女性(中度~重度の症状の患者等))の骨盤底筋の過剰運動性を検出することができる。これは
図21Cにおけるように特徴付けられ、
図21Cは、引上げ体操を実施する際のデバイスの正弦波型の湾曲を示し、骨盤底の筋肉がデバイスを直線状に制約するには弱すぎることを示唆している。ステージIVまたは完全脱の女性は、骨盤底脱と、PFL体操中に本発明のデバイスを「上昇させる」ことができないこととを示す。さらに、デバイスは、膣または尿道から完全に押し出される可能性がある。
【0163】
他の日常的な活動が、腹圧を上昇させ、骨盤底損傷をもたらす可能性がある。骨盤底損傷をもたらす可能性がある活動の例としては、たとえば、ウェイトリフティング(たとえば、デッドリフト、CrossFit(登録商標)トレーニング)、重量のある物体(たとえば、子供)を持ち上げること、ランニング、慢性の咳、出産および便秘が挙げられる。これらの活動は、本発明の膣内デバイスの使用中にモニタリングすることができ、使用者は、活動が自身の骨盤底健康にマイナスの影響を与える可能性があることを使用者に警告する信号を受け取ることができる。
【0164】
c.性機能不全
たとえば、本明細書に記載するデバイスおよび方法を用いる骨盤底筋トレーニングにより(たとえば、骨盤底弛緩(PFR)の実施により)治療することができる性機能不全は、2つの基本的なグループに分けることができる。すなわち、(1)骨盤底(PF)の筋肉が損傷したまたは筋肉が弱い個人(たとえば、骨盤底筋緊張低下を有する個人)、および(2)高骨盤底筋緊張(たとえば、高収縮)、骨盤底筋けいれんおよび/または痛みを有する個人(たとえば、骨盤底筋緊張亢進を有する個人)である(Rogers.Can.Urol.Assoc.J.7:S199-S201,2013;Bozkurt et al.Taiwanese Journal of Obstetrics&Gynecology.53:452-458,2014;Rosenbaum.J.Sexual Med.4(1):4-13,2007)。グループ1の個人は、たとえば、尿失禁および/または便失禁、骨盤臓器脱(POP)および性交時尿失禁を有する個人を含む可能性がある。グループ2の個人は、たとえば、性交時尿失禁、性交痛障害、性交疼痛、膣けいれんおよび/または性的刺激障害を有する個人を含む可能性がある。
【0165】
d.神経疾患または損傷
たとえば、本明細書に記載するデバイスおよび方法を用いる骨盤底筋トレーニングにより(たとえば、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)の実施により)治療することができる骨盤底障害(PFD)は、脳の病気、仙髄より上位の(suprasacral)脊髄の病気、および仙髄または末梢神経の病気等、神経疾患または損傷を体験している個人において発症する可能性がある。たとえば、多発性硬化症(MS)または脳卒中の患者は、一般に、PFDを体験し、尿意切迫感、切迫性尿失禁、昼間排尿回数、夜間頻尿および夜尿症、不随意の尿漏れ、24時間あたり8回を超える排尿頻度、排尿遅延、腹圧排尿、尿勢低下および残尿等の排尿障害を含む種々の症状を示す。
【0166】
IV.薬物送達
本発明の膣内デバイスは、限定されないが、尿失禁(UI)、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、排尿困難(たとえば、痛みを伴う排尿)、便失禁、骨盤臓器脱(POP)(たとえば、尿道脱(尿道瘤)、膀胱脱(膀胱瘤)もしくは尿道および膀胱両方の脱(膀胱尿道脱)、膣円蓋および子宮頸部脱(膣円蓋脱)、子宮脱(uterus prolapse)(子宮脱(uterine prolapse))、直腸脱(直腸瘤)、S字結腸脱(S字結腸瘤)、および小腸脱(腸ヘルニア))、骨盤痛、性機能不全(たとえば、性交時尿失禁、性交痛障害、性交疼痛、膣けいれん、および/または性的刺激障害)、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、非弛緩性骨盤底機能不全、および/またはそれらの症状(たとえば、筋緊張に対する変化、筋力に対する変化、尿漏れ、漏便、痛み、排尿回数および尿意切迫感)、または女性の対象者に影響を与える、たとえば本明細書に記載する別の疾患もしくは病状)等の骨盤底障害(PFD)の治療に有用な医薬品(たとえば、医薬品を含む組成物)を、たとえば、局部的にまたは全身に投与するように構成することができる。
【0167】
膣の組織への医薬品の送達は、骨盤底トレーニング体操(たとえば、PFLまたはPFR)の実施と協働させることができ、それにより、骨盤底トレーニング体操(たとえば、PFLまたはPFR)を実施するために膣内デバイスを使用する前、使用中、使用した後に、医薬品が送達される。場合により、医薬品の投与は、使用者が自身の日常の活動を実施する間に測定値に応じて日常のモニタリングを(たとえば、実質的にリアルタイムに)提供するように構成される本発明の膣内デバイスにより、送達することができる。本発明の膣内デバイスに組み込まれる医薬品の選択は、たとえば、PFDを有する個人の治療を監視している医師などにより、またはデバイス使用者により行うことができる。医薬品は、PFDまたはその症状を治療するかまたは緩和するために使用されるものであり得る。別法としてまたはそれに加えて、膣内デバイスは、たとえば、骨盤底機能不全とは無関係であるが、PFDを有する患者等の患者に存在する可能性がある、膣組織および/または女性臓器の病状および/または疾患を治療するのに好適な医薬品を送達するように構成することができる。こうした疾患および/または病状の非限定的な例としては、性行為感染症(STD)、イースト菌感染症(たとえば、カンジダ性外陰膣炎)、細菌感染(たとえば、細菌性膣炎)、寄生虫感染(たとえば、トリコモナス症)、子宮頸部の感染(たとえば、頸管炎)、がん(たとえば、膣がん、外陰部がん、頸管がん、卵巣がん、子宮内膜がんおよび/または乳がん)、膣炎(たとえば、感染性および/または非感染性膣炎)、子宮内膜症、膣痛、外陰部痛(たとえば、ヴォルヴォディニア)、外陰部または膣損傷、陰部神経痛、ならびに陰部の皮膚の病状(たとえば、膣皮膚炎)が挙げられる。
【0168】
PFDならびに/または膣組織および女性臓器の病状、またはその症状を治療するために、膣内デバイスを膣腔内に挿入することができ、医薬品(たとえば、医薬品を含む組成物)は、放出され、周囲の膣組織により、たとえば経皮的にかつ/または経粘膜的に吸収され得る。場合により、医薬品は、たとえば、膣内デバイスの材料(たとえば、本体および/またはテザーの材料)を通して、たとえば均一に分散させるかまたは溶解させることができる。場合により、医薬品は、膣内デバイスの本体および/またはテザー内に配置される内部コアまたはリザーバ等の送達モジュールまたは構成要素(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くの送達モジュールまたは構成要素)に閉じ込めることができる。本発明の膣内デバイスに組み込むことができる送達モジュールの非限定的な例は、Malcolm et al.(Int.J.Women.Health 4:595-605,2012);米国特許出願公開20090004246A1号明細書および同20070043332A1号明細書;米国特許第6394094号明細書、同5972372号明細書、同8333983号明細書、同6436428号明細書、および同6126958号明細書、同3991760号明細書、同4215691号明細書、および同4402695号明細書;ならびに国際公開第200170154号パンフレットおよび同2012065073A2号パンフレットに記載されており、それらの各々は、全体として参照により本明細書に援用される。医薬品はまた、コーティング、層またはゲルとして、膣内デバイス(たとえば、本体および/またはテザー)の表面に施すことも可能である。
【0169】
医薬品は、本発明の膣内デバイスから、たとえば、時間により変化しない速度で放出することができる(ゼロ次放出)。ゼロ次放出中、薬学的に有効な用量は、送達システム、たとえば、送達モジュールを備える膣内デバイスにより維持される。たとえば、チューブ、ファイバ、ラミネートまたはマイクロスフェアからなるリザーバ系を含むように構成された本発明の膣内デバイスにより、徐放性医薬品送達を得ることができる。これらの系では、リザーバは、速度制御膜でコーティングすることができる。膜を横切る医薬品の拡散は、膜の透過性が変化しない限り、かつリザーバ内の医薬品の濃度が一定である限り、速度が制限され、一定である(ゼロ次)。
【0170】
別の例では、医薬品は、膣内デバイス(たとえば、本体および/またはテザー)の材料(たとえば、ポリマー材料、たとえば、モノリシック系)を通して分散される場合、材料を通して拡散する際に放出され得る。この例では、医薬品は、最初に材料の外面から放出される。この外層が消耗されると、医薬品は材料内からさらに放出される。医薬品はまた、消耗された材料を通して拡散しなければならないため、最終的に、放出速度が低下して遅延放出効果がもたらされる、という結果になる。
【0171】
膣内デバイスの構成は、たとえば、医師により、個人の患者、たとえば、PFDを有する患者の治療的な必要に適合するように、かつ本発明の膣内デバイスによる治療に好適であるように選択することができる。さらに、2種以上の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)が、確立されたガイドラインに従って、たとえば、FDAまたは他の規制機関により認証された投薬量で放出され得るように、複数の設計構成を組み合わせることができる。本発明の膣内デバイスは、徐放性または指向性放出のために医薬品を収容する送達モジュールまたは構成要素および材料のコアの組合せを含むことができる。たとえば、膣内デバイスは、内部に医薬品が分散される材料から構成され、かつ医薬品を収容する少なくとも1つの追加の内部コアまたはリザーバ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くの追加の内部コアまたはリザーバ)も含むことができる。
【0172】
医薬品を投与するために本発明の膣内デバイスを使用することにより、医薬品の毎日ではない、低用量の連続した投与を可能にすることができ、それにより、たとえば、薬物レベルが安定し、副作用の発生率が低下し、かつ/または、治療レジメン、たとえば、医薬品の投与および/または骨盤底トレーニング体操(たとえば、PFLまたはPFR)を含む、医師により提供される治療レジメンへの患者コンプライアンスが向上する可能性がある。
【0173】
本発明の膣内デバイスを用いて投与することができる医薬品またはその組合せの非限定的な例は以下に記載し、たとえば、Drutz et al.(“Female Pelvic Medicine and Reconstructive Pelvic Surgery.”Springer,London.2003)、Hussain et al.(J.of Controlled Release.103:301-313,2005)、Santoro et al.(“Pelvic Floor Disorders:Imaging and Multidisciplinary Approach to Management.”Springer,London.2010)および米国特許出願公開第20110045076A1号明細書に記載されているものを含むことができ、それらの各々は全体として参照により本明細書に援用される。
【0174】
抗コリン(抗ムスカリン)薬
抗コリン薬は、中枢神経系および末梢神経系における神経伝達物質アセチルコリンを遮断し、随意の膀胱収縮および不随意の膀胱収縮両方を低下させ、それにより、たとえば、不随意の膀胱収縮を抑制することができる。抗コリン薬は、一般に、たとえば、切迫性尿失禁(UUI)、過活動膀胱(OAB)および夜尿症の治療に使用される。さらに、抗コリン薬は、最初の不随意膀胱収縮が発生する尿の量を増大させ、不随意膀胱収縮の大きさを低減させ、膀胱容量を増大させる。本発明の膣内デバイスを用いて、たとえば不随意膀胱収縮の治療を必要として対象者に送達することができる抗コリン薬の非限定的な例としては、たとえば、アトロピン(たとえば、ATROPEN(登録商標))、スコポラミン(たとえば、TRANSDERM SCOP(登録商標))、ジサイクロミン塩酸塩(たとえば、BENTYL(登録商標))、ダリフェナシン(たとえば、ENABLEX(登録商標))、コハク酸ソリフェナシン(たとえば、VESICARE(登録商標))、硫酸ヒヨスチアミン(たとえば、LEVSIN(登録商標)およびCYSTOSPAZ-M(登録商標))、プロパンテリン(たとえば、PRO-BANTHINE(登録商標))、トルテロジン(たとえば、DETROL(登録商標)およびDETROL LA(登録商標))、プロピベリン(たとえば、DETRUNORM(登録商標))、トロスピウム(たとえば、SANCTURA(登録商標))、フェソテロジン(たとえば、TOVIAZ(登録商標))、ベタニコール(たとえば、URECHOLINE(登録商標))、およびカルバコール(たとえば、MIOSTAT(登録商標)およびCARBASTAT(登録商標))が挙げられる。
【0175】
抗コリンエステラーゼ阻害剤
アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、アセチルコリンエステラーゼ酵素がアセチルコリンを分解するのを阻止し、それにより、神経伝達アセチルコリンの作用のレベルおよび持続時間の両方を増大させる。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、たとえば、溢流性尿失禁を治療するために使用されてきた。本発明の膣内デバイスを用いて、たとえば溢流性尿失禁の治療を必要として対象者に送達することができるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の非限定的な例は、ジスチグミンである。
【0176】
アルファアドレナリン作動薬
アルファアドレナリン作動薬(たとえば、α1作動薬およびα2作動薬)は、アルファアドレナリン受容体(たとえば、α1受容体およびα2受容体)を選択的に刺激し、たとえば、膀胱頸部を収縮させることにより、膀胱出口抵抗を増大させるために有用である可能性があり、本発明の膣内デバイスを用いて、たとえば、軽度から中度の腹圧性尿失禁(SUI)の治療において対象者に送達することができる。本発明の膣内デバイスにより送達することができるアルファアドレナリン作動薬の非限定的な例としては、たとえば、ミドドリン(たとえば、AMATINE(登録商標)、PROAMATINE(登録商標)およびGUTRON(登録商標))、塩酸プソイドエフェドリン(たとえば、SUDAFED(登録商標))、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、およびノルエフェドリンが挙げられる。
【0177】
アルファアドレナリン遮断薬
アルファアドレナリン遮断薬(たとえば、α1-遮断薬およびα2-遮断薬等のアルファ遮断薬)は、アルファアドレナリン受容体(たとえば、α1受容体およびα2受容体)の中性拮抗薬または逆作動薬として作用し、たとえば、UUIおよびOABを治療するために使用されてきた。それらは、たとえば、骨髄異形成、脊髄損傷または根治的骨盤手術の結果として集中化されない、すなわち自律性膀胱を有する患者において、幾分かの成功を示してきた。たとえばUUIおよび/またはOABに対する治療を必要として対象者に本発明の膣内デバイスにより送達することができるアルファアドレナリン遮断薬の非限定的な例としては、フェノキシベンザミン(たとえば、DIBENZYLINE(登録商標))、プラゾシン(たとえば、MINIPRESS(登録商標))、アルフゾシン(たとえば、UROXATRAL(登録商標))、ドキサゾシン(たとえば、CARDURA(登録商標))、テラゾシン(たとえば、HYTRIN(登録商標))、およびタムスロシン(たとえば、FLOMAX(登録商標))が挙げられる。
【0178】
ベータアドレナリン作動薬
ベータアドレナリン作動薬は、ベータアドレナリン受容体(たとえば、β1受容体およびβ2受容体)に作用して、たとえば、尿道内圧を上昇させ、SUI、UUIおよびOABを治療する。たとえばUUIおよび/またはOABに対する治療を必要として対象者に本発明の膣内デバイスにより送達することができるベータアドレナリン作動薬の非限定的な例としては、テルブタリン(たとえば、BRETHINE(登録商標)、BRICANYL(登録商標)およびBRETHAIRE(登録商標))、クレンブテロール(たとえば、SPIROPENT(登録商標)およびVENTIPULMIN(登録商標))、およびサルブタモール(たとえば、VENTOLIN(登録商標))が挙げられる。
【0179】
鎮けい剤
鎮けい剤は、たとえば、膀胱の平滑筋を弛緩させる。膀胱の平滑筋に直接の鎮けい作用を及ぼすことにより、これらの医薬品は、たとえば、膀胱容量を増大させ、切迫性尿失禁を有効に低減させるかまたはなくすことが報告された。たとえば、膀胱容量を増大させかつ/または切迫性尿失禁を低減させるかもしくはなくすための治療を必要として本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができる鎮けい剤の非限定的な例としては、たとえば、カルシウム拮抗薬、カリウムチャネル開口薬、塩化オキシブチニン(たとえば、DITROPAN(登録商標)IR、DITROPAN XL(登録商標)およびGELNIQUE(登録商標))、フラボキサート(たとえば、URISPAS(登録商標))、臭化エメプロニウム(たとえば、CETIPRIN(登録商標))、イミダフェナシン(たとえば、URITOS(登録商標))、メラドラジン、ミラベグロン(たとえば、MYRBETRIQ(登録商標))、およびテロジリンが挙げられる。
【0180】
抗うつ薬
三環系抗うつ薬(TCA)は、従来、うつ病を治療するために使用されてきたが、TCAは、膀胱機能不全、たとえばSUIの治療にさらなる用途がある。TCAは、ノルエピネフリンおよびセロトニンレベルを増大させるように機能し、たとえば、膀胱に対して抗コリン作用性かつ直接筋肉弛緩性効果を示すことができる。たとえばSUIの治療を必要として本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるTCAの非限定的な例としては、たとえば、イミプラミン塩酸塩(たとえば、TOFRANIL(登録商標))およびアミトリプチリン塩酸塩(たとえば、ELAVIL(登録商標))が挙げられる。セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害薬等、他の抗うつ薬もまた、腹圧性失禁を改善することができる。たとえば腹圧性失禁の治療を必要として本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるセロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の非限定的な例としては、たとえば、デュロキセチン(たとえば、CYMBALTA(登録商標))が挙げられる。
【0181】
ホルモン
エストロゲン、プロゲストゲン、テストステロン、閉経後ホルモンおよびそれらの誘導体等のホルモンは、本発明の膣内デバイスを用いて送達することができる。ホルモンを用いる治療は、たとえば、骨盤底の組織に滋養物を与え骨盤底を強化する役割を果たすことができる。たとえば、エストロゲンは、尿道閉鎖圧を増大させ、近位側の尿道への腹圧の伝達を促進し、膀胱の感度閾値を上昇させることができる可能性がある。エストロゲンは、アルファアドレナリン作動薬等の他の薬物と組み合わせて、たとえばSUIを治療するために使用されてきた。
【0182】
たとえばSUIの治療、および/または、尿道閉鎖圧を増大させ、近位側の尿道への腹圧の伝達を促進し、かつ/または膀胱の感度閾値を上昇させるための治療を必要として、本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるエストロゲンの非限定的な例としては、たとえば、結合型エストロゲン(たとえば、PREMARIN(登録商標))、エストラジオール、エストロン、エストリオール、17α-エストラジオール、4-ヒドロキシエストラジオール、2-ヒドロキシエストラジオール、エストロン3-硫酸、モクセストロール、ジエチルスチルベストロール、ヘキセストロール、ジエネストロール、タモキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、クロミフェン、ナフォキシジン、ICI-164384、5-アンドロスタンジオール、4-アンドロステンジオール、3β-アンドロスタンジオール、3α-アンドロスタンジオール、デヒドロエピアンドロステロン、4-アンドロステンジオン、クメストロール、ゲニステイン、β-ゼアララノール、およびビスフェノールAが挙げられる。
【0183】
たとえばSUIに対する、および/または、尿道閉鎖圧を増大させ、近位側の尿道への腹圧の伝達を促進し、かつ/または膀胱の感度閾値を上昇させるための治療を必要として、本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるプロゲストゲンの非限定的な例としては、たとえば、プロゲステロン、ジドロゲステロン、クロルマジノン酢酸エステル、シプロテロン酢酸エステル、メゲストロール酢酸エステル、メドロキシプロゲステロン、メドロゲストン、デメゲストン、ノメゲストロール酢酸エステル、プロメゲストン、トリメゲストン、セゲステロン酢酸エステル、ノルエチステロン、ノルエチステロン酢酸エステル、リネストレノール、ノルエチノドレル、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、デソゲストレル、エトノゲストレル、ゲストデン、ジエノゲスト、チボロン、およびドロスピレノンが挙げられる。
【0184】
プロスタグランジン合成阻害薬
プロスタグランジン合成阻害薬は、たとえば、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素の阻害により、膀胱の収縮をもたらす可能性があるプロスタグランジンの生成を阻止する薬剤である。プロスタグランジン合成阻害薬は、たとえば、UUIおよびOABを治療するために使用されてきた。たとえば、UUIおよび/またはOABの治療を必要として本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるプロスタグランジン合成阻害薬の非限定的な例としては、たとえば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(たとえば、サリチル酸、プロピオン酸誘導体、酢酸誘導体、エノール酸誘導体、アントラニル酸誘導体、選択的COX-2阻害薬およびサルファ薬)およびステロイド性抗炎症薬が挙げられる。たとえば、NSAIDは、インドメタシン(たとえば、INDOCIN(登録商標)およびTIVORBEX(登録商標))、フルルビプロフェン(たとえば、OCUFEN(登録商標))、アスピリン、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))、ジクロフェナク(CATAFLAM(登録商標)、ZIPSOR(登録商標)、ZORVOLEX(登録商標))、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン(MOTRIN(登録商標)、ADVIL(登録商標))、インドメタシン(INDOCIN(登録商標))、ケトプロフェン、ケトロラック、ナブメトン、ナプロキセン(ALEVE(登録商標))、オキサプロジン(DAYPRO(登録商標))、ピロキシカム(FELDENE(登録商標))、サルサレート、スリンダク、およびトルメティンから選択することができる。
【0185】
バソプレシン類似体
バソプレシン類似体は、バソプレシン(ADH)と機能は類似するが、必ずしも構造は類似せず、たとえば、OABの治療において排尿筋過活動を低減させるために使用されてきた。たとえばOABの治療を必要として本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるバソプレシン類似体の非限定的な例としては、たとえば、デスモプレシン(たとえば、DDAVP(登録商標))が挙げられる。
【0186】
ボツリヌス毒素
ボツリヌス毒素は、細菌、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって生成される神経毒タンパク質であり、過活動の筋肉運動、たとえばOABによって特徴付けられる複数の障害を治療するために使用される。たとえば、ボツリヌ毒素の注入は、尿漏れの症状の発現を低減させ、膀胱排尿圧を低下させ、残尿量を低減させることが示された。たとえばOABの治療を必要として本発明の膣内デバイスを用いて対象者に送達することができるボツリヌス毒素の非限定的な例としては、たとえば、ボツリヌス毒素A(たとえば、BOTOX(登録商標))およびボツリヌス毒素B(たとえば、MYOBLOC(登録商標))が挙げられる。
【0187】
筋弛緩薬
本発明の膣内デバイスを用いて送達することができる、たとえば、骨盤底痛、高い骨盤底筋緊張および/または筋けいれんの患者を治療するために使用することができる筋弛緩薬の非限定的な例としては、たとえば、バクロフェン(たとえば、LIORESAL(登録商標))、クロルゾキサゾン(たとえば、LORZONE(登録商標))、カリソプロドール(たとえば、Soma(登録商標))、シクロベンザプリン(たとえば、AMRIX(登録商標))、ダントロレン(たとえば、DANTRIUM(登録商標)およびRYANODEX(登録商標))、ジアゼパム(たとえば、VALIUM(登録商標))、メタキサロン(たとえば、SKELAXIN(登録商標))、メトカルバモール(たとえば、ROBAXIN(登録商標))、およびチザニジン(たとえば、ZANAFLEX(登録商標))が挙げられる。
【0188】
筋肉を刺激しかつ/または筋肉量減少を防止する薬剤
本発明の膣内デバイスを用いて、たとえば筋委縮を含むPFDを治療するために、たとえば高齢患者に送達することができる、筋肉を刺激しかつ/または筋肉量減少を防止する薬剤の非限定的な例としては、たとえば、Β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、アミノ酸(たとえば、リジンおよび分枝鎖アミノ酸(BCAAs)、ロイシン、イソロイシンおよびバリン等)、アナボリックステロイド(たとえば、メタンドロステノロン)、および選択的アンドロゲン受容体作動薬(SARM)が挙げられる。
【0189】
他の医薬品
PFDまたはその症状の治療に有用な医薬品を送達することに加えて、本発明の膣内デバイスは、PFDを有する個人に存在する可能性があるさらなる疾患または病状の治療に有用な医薬品を送達するように構成することができる。場合により、本発明の膣内デバイスによる治療に好適なPFDを有するものとして特定される個人は、すでに、さらなる疾患または病状を治療するために医薬品を投与するように、膣デバイス(たとえば、避妊具またはホルモン補充装置)、ペッサリーまたは坐薬を使用している可能性がある。場合により、さらなる疾患または病状は、個人が、本発明の膣内デバイスを用いてPFDの治療を開始した後に特定される。本発明の膣内デバイスを用いるPFDの治療の患者コンプライアンスを向上させるために、膣内デバイスは、さらなる疾患または病状を治療するために使用される医薬品を送達するように、たとえば、二次疾患または病状に対する治療中に膣内デバイスが取り除かれて再度挿入されないということの発生を低減させるように構成することができる。さらに、本発明の膣内デバイスは、本発明の膣内デバイスによるPFDの治療中に装着することができない避妊具に代わるように、医薬品、たとえば避妊薬を送達するように構成することができる。
【0190】
たとえば、本明細書に記載するもの等、さらなる疾患または病状を治療するために、本発明の膣内デバイスにより送達することができる他の薬剤の非限定的な例としては、たとえば、殺菌剤(たとえば、ウイルスまたは細菌等の微生物の伝染性を低下させるため);ホルモン補充薬および/または避妊薬(たとえば、エストロゲン化合物、プロゲステロン化合物および/または性腺刺激ホルモン放出ホルモン);エストロゲン受容体作動薬(たとえば、膣萎縮および/または性交疼痛を治療するため)、抗ウイルス薬(たとえば、HIV等の性行為感染症を治療するため)、抗菌剤(たとえば、細菌性膣炎を治療するため)、抗がん剤(たとえば、子宮内膜がん、卵巣がん、頸管がん、外陰部がん、膣がんまたは卵管がんを治療するため)、治療用ペプチドおよびタンパク質(たとえば、膣感染を治療するため)、ベンゾジアゼピン(たとえば、間質性膀胱炎(IC)を治療するため)、および鎮痛剤(たとえば、PFDおよび/またはがんに関連する痛みを治療するため)が挙げられる。
【0191】
処方薬
本発明の膣内デバイスによる個人の膣組織への少なくとも1種の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)の投与を含む、骨盤底障害(PFD)またはその症状を治療する方法もまた特徴付けられる。PFDの治療に有用な医薬品の送達のために、本発明の膣内デバイスを用いる送達の方法と適合性のある、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬とともに、たとえば組成物として、医薬品を処方することができる。好適な薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬は、当技術分野において既知であり、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、d-a-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸塩等の自己乳化薬物送達システム(SEDDS)、TWEEN(登録商標)界面活性剤または他の同様の高分子送達マトリックス等、医薬剤形で使用される界面活性剤、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン等の塩または電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩(zinc salt)、コロイド珪酸(colloidal silica)、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベース物質(cellulose-based substances)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。他の処方は、持続放出性、遅延放出性または徐放性処方薬を含むことができ、それは、本発明の膣内デバイスに組み込むことができる。
【0192】
医薬品は、粉末、液体として、マイクロカプセルで、ナノ粒子で、または本発明の膣内デバイスにより経皮的にかつ/または経粘膜的に膣組織に送達されるための他の任意の形態で、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、基剤または補助薬に溶解させまたは分散することができる。場合により、医薬品は、たとえば、保湿剤および/またはエモリエント成分等の医薬品の送達、および/または膣組織による吸収を促進する物質と混合される。保湿剤および/またはエモリエント成分としては、水中油型乳剤、油中水乳剤、水溶性潤滑剤、セチルアルコールを含む乳剤、シリコーン誘導体、グレープシードオイル、ジメチコン、アルガン油、ホホバオイル、パーム油、オリーブオイルまたはそれらの組合せを挙げることができる。保湿剤を含むことに加えてまたはその代わりに、組成物は、流体産生を刺激する要素を含むことができる。流体産生を刺激する要素としては、限定されないが、エストロゲン、プロゲステロンまたはオスペミフェンが挙げられる。場合により、医薬組成物は、医薬品の吸収または浸透を促進する化合物を含むことができる。吸収促進化合物は、角質層脂質および/またはタンパク質を改変することにより、または医薬品の角質層への分割を増大させることによる等、皮膚浸透を促進する化合物を含む。吸収促進化合物の例としては、限定されないが、オレイン酸または非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0193】
投薬
本明細書に記載するもの等の医薬品の用量と、本発明の膣内デバイスによる治療の持続時間(たとえば、約1週間、2週間、3週間、4週間、2ヵ月間または3ヵ月間、たとえば、約7~21日間、7~35日間、7~49日間、7~63日間、7~77日間、7~91日間または7~105日間、たとえば、約2~8週間)とは、対象者における骨盤底障害(PFD)の重症度、発症または進行に基づいて(たとえば、PFDの1つもしくは複数の症状、または治療すべき他の疾患もしくは病状の重症度に基づいて)増減させることができる。
【0194】
本明細書に記載する医薬品は、PFDを治療し、かつ/またはPFDに関連する少なくとも1つの症状の重症度を低減させるように、本発明の膣内デバイスにより治療的に有効な量で投与することができる。場合により、医薬品は、たとえば、当技術分野において既知でありかつ/または選択された医薬品に対して医師により決定されたガイドラインに従う用量で、投与することができる。場合により、本明細書に記載する医薬品は、1日あたり約1μg~約10mg(たとえば、1日あたり、少なくとも10μg、20μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、250μg、275μg、300μg、325μg、350μg、375μg、400μg、425μg、450μg、475μg、500μg、525μg、550μg、575μg、600μg、625μg、650μg、675μg、700μg、725μg、750μg、775μg、800μg、825μg、850μg、875μg、900μg、925μg、950μg、975μg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mgもしくは9mgまたはそれより多く)の用量で投与することができる。たとえば、本発明の膣内デバイスにより投与される投与量は、たとえば、治療される対象者、投与される医薬品、投与の形態(たとえば、固体または液体として)、および治療されているPFDまたはその症状の重症度に応じて、医薬品放出の速度を制御しかつ/または2種以上の医薬品(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの医薬品)の送達(たとえば、同時および/または連続送達)を可能にするように、変更することができる。医薬品の投与量はまた、FDAまたは他の規制機関により認可される量として確立することも可能である。
【0195】
V.本発明のデバイス
図1および
図2に、骨盤底障害(PFD)を治療するために使用することができる本発明のデバイスを示す。
図1は、本体(たとえば、実質的リング状形態物)110を備えた膣内デバイス100を示す。
図2Aおよび
図2Bは、本体110およびテザー10を備えた膣内デバイス100を示す。テザー10は、
図2Aおよび
図2Bに示すように、センサ200等の最大6つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ)のセンサを含むことができる。テザー10または頸部リング110は、平坦または楕円形であり得る。テザーは、MEMSセンサ、Bluetoothチップおよび/またはAppleチップを含むことができる。
図7A~
図7Gは、PFDもしくはその症状または他の疾患もしくは病状の治療のために少なくとも1種(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多く)の医薬品を膣組織に投与するように本体110を構成することができる、さまざまな方法を示す。
図7A~
図7Gには示さないが、場合により、テザー10を、医薬品を膣組織に投与するように同様に構成することができる。医薬投与のために、本体101から着脱可能であり得るテザー10を構成することにより、使用者に対し、必要に応じて、たとえば、医薬品が使い果たされたとき、異なる医薬品が必要であるとき、または異なる投与量が必要であるとき、本体110を廃棄する必要なく、テザーを入れ替えるおよび/または交換することができるオプションが与えられる。
【0196】
膣内デバイス100は、本体110内に、骨盤底筋運動をモニタリングする少なくとも1つのセンサ200を含む(
図1および
図2)。
図1に示すように、膣内デバイス100は、本体110内に回路基板700を含む。回路基板700は、センサ200、バッテリ800、マイクロコントローラ900、送信器/受信器1000、データ記憶ユニット1100、感覚出力構成要素1200、無線通信アンテナ1300、オン/オフスイッチ1600および認証チップ1400等、膣内デバイス100の複数の構成要素を互いに接続する、フレキシブル回路基板であり得る(
図1、挿入図)。回路基板700は、別法として、電線によりセンサ200に接続することができる。回路基板700およびすべてのその接続された構成要素は、別法として、テザー10内に配置することができる。膣内デバイス100は、
図8A~
図8Dによるさらなるセンサおよび/または送達モジュールを備えるように構成することができる。
【0197】
膣内デバイス100は、(
図3A~
図3C)に示すように、手でまたは挿入器具600(
図5A~
図5C)を用いることにより、患者1の体内に挿入し、骨盤底に隣接する膣上部の表面に対して実質的に平行な、子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置において展開することができる。
図3A~
図3Cは、本体110およびテザー10が患者1の体内に配置されている膣内デバイス100を示す。より詳細には、
図3A~
図3Cは、弛緩状態および収縮状態における骨盤底の運動を示す。膣内デバイス100はまた、患者1の子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置においてデバイスを安定させる成形翼状部300も含む(
図1および
図2)。膣内デバイス100を送信器/受信器ボックス500に接続するように、かつ患者1の体内からの膣内デバイス100を取り除くのに役立つように、着脱式ケーブル400を使用することができる(
図1および
図2)。
【0198】
送信器/受信器ボックス500および/または送信器/受信器1000は、Wi-Fiおよび/またはBluetooth接続(
図4)を介して、電子デバイス1500に無線で接続する。電子デバイス1500は、Wi-Fi、インターネットおよび/またはBluetooth接続を介してインターネットベースのデータベース10に接続する。
【0199】
【0200】
VI.本発明の膣内デバイスとともに使用することができるさらなるデバイス
本発明の膣内デバイスは、PFDおよび/または別の疾患もしくは病状を治療するように構成されるさらなるデバイスとともに、(たとえば、同時にかつ/または連続的に)使用することができる。本発明の膣内デバイスと組み合わせて使用することができるさらなるデバイスの非限定的な例としては、膣内ペッサリー、膣および/もしくは肛門坐薬、カテーテル(たとえば、各々が全体として参照により本明細書に援用される、米国特許出願公開第20150112231A1号明細書ならびに国際公開第2011050252A1号パンフレットおよび同第2013082006A号パンフレットに記載されているデバイス等、尿道および/または直腸カテーテル)、膀胱頸部支持装置、膣内スポンジ、月経用具(たとえば、タンポンまたは月経カップ)、膣刺激装置(たとえば、1つまたは複数(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10の電極を含む装置、バイブレータを含む装置、および/または発光源を含む装置)、膣拡張器、膣鏡、尿シール、尿道挿入器具、人工尿道および/もしくは肛門括約筋、ならびに/またはカメラを含む装置が挙げられる。
【0201】
VII.キット
骨盤底障害(PFD)の予防および治療に使用される膣内デバイスを含むキットもまた特徴付けられる。こうしたキットは、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)の実施を含む骨盤底筋トレーニング(PFMT)から利益を得ることができる個人(たとえば、女性患者)を治療するために使用することができる。場合により、キットは、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態をモニタリングするように構成される本発明の膣内デバイスを含むことができる。個人における骨盤底障害を治療するかまたはその進行を低減させるキットは、本発明の膣内デバイスと、送信器および受信器、着脱式ケーブル、膣内デバイスの挿入用器具、電子デバイス、データベースおよび/またはユーザインタフェースのうちの1つまたは複数、電源(たとえば、1つまたは複数のバッテリ)、ならびにその使用の取扱い説明書とを含むことができる。キットはまた、種々のテザーモジュールおよび/またはスリーブ、たとえば、膣内デバイスの機能を拡張するために使用することができる、本明細書に記載するような、センサおよび/または送達モジュールをそれぞれが含むことができる1つまたは複数のテザーモジュールおよび/またはスリーブも含むことができる。さらに、キットは、本明細書に記載するようなさらなるデバイス、充電器、サニタリクリーナおよび/または手袋を含むことができる。
【0202】
キットの他の任意選択的な構成要素としては、膣内デバイスを挿入する際に使用される潤滑剤(たとえば、膣内デバイスが製造される材料と適合性のある潤滑剤、たとえば、シリコーン)、および/または個人の子宮頸部または膣断端に対して近位側の位置において膣内デバイスの付着を促進するために使用される生体材料(たとえば、ヒアルロン酸)が挙げられる。任意選択的な構成要素(たとえば、潤滑剤および/または生体材料)は、別容器(たとえば、封止された小袋、チューブ、および/またはアプリケータ)で提供することができる。
【0203】
さらに、本発明のキットに、PFDもしくはその症状、または本明細書に記載するような他の疾患もしくは病状を治療するのに有用な医薬品もまた同梱することができる。医薬品は、任意の形式で(たとえば、チューブ、バイアルまたはプレフィルドシリンジ内で)、かつたとえば、送達モジュールを充填または再充填するため、またはたとえば膣内デバイスにコーティング、層もしくはゲルを施すために必要とされる必要な付属品(たとえば、針、シリンジ、滴瓶および/またはブラシ)とともに同梱することができる。
【0204】
別法として、膣内デバイスが挿入され使用される用意ができているように、任意選択的な構成要素(たとえば、潤滑剤および/または生体材料)を、膣内デバイスに事前に適用された状態で提供することができる。キットのさらなる任意選択的な構成要素としては、膣内デバイスの挿入および/または取り除きに使用される、または別法として、膣内デバイスに潤滑剤および/または生体材料を施す間に使用される滅菌手袋(たとえば、少なくとも1対)、ならびに/または本発明の膣内デバイスおよび/もしくはシステム用の保管容器が挙げられる。
【0205】
本発明のキットは、限定されないが、尿失禁(UI)、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁、混合性腹圧性および切迫性尿失禁、排尿困難(たとえば、痛みを伴う排尿)、便失禁、骨盤臓器脱(POP)(たとえば、尿道脱(尿道瘤)、膀胱脱(膀胱瘤)、もしくは尿道および膀胱両方の脱(膀胱尿道脱)、膣円蓋および子宮頸部脱(膣円蓋脱)、子宮脱(uterus prolapse)(子宮脱(uterine prolapse))、直腸脱(直腸瘤)、S字結腸脱(S字結腸瘤)、および小腸脱(腸ヘルニア))、骨盤痛、性機能不全(たとえば、性交時尿失禁、性交痛障害、性交疼痛、膣けいれんおよび/または性的刺激障害)、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、ならびに非弛緩性骨盤底機能不全等の骨盤底障害の治療に有用であり得る。
【0206】
VIII.使用方法
本発明の膣内デバイスを用いて骨盤底障害を治療する方法
女性患者は、本発明のデバイスを用いて、骨盤底障害(PFD)を治療し、その進展もしくは進行を抑制し、または低減させるために、骨盤底引上げ(PFL)および/または骨盤底弛緩(PFR)を実施することができる。デバイスは、個人の膣内に挿入することができ、膣内デバイスにより、個人の骨盤底(PF)筋(たとえば、肛門挙筋(恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋)、および恥骨から前方に仙骨まで後方にかつこれら2つの骨を結合する隣接する骨構造までの球状形態にわたる、関連する結合組織)の作動または弛緩をモニタリングすることができる。デバイスによる治療により、骨盤底障害の少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多く)の症状の発症の頻度および/または重症度を低減させる。特に、治療は、骨盤底筋の活性化と、デバイスを用いる、骨盤底の上方運動(たとえば、引上げ運動、たとえば、頭側方向における運動)により特徴付けられる体操である骨盤底引上げ(PFL)の実施を測定すること、および/または骨盤底の骨盤底弛緩(PFR)(たとえば、下方運動、たとえば尾側方向における運動)の実施を測定することとを含む。場合により、治療は、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態を(たとえば、実質的にリアルタイムに)モニタリングするように構成される本発明の膣内デバイスを使用することを含む。デバイスを用いて、少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)もしくはそれより多くの実施指標、および/または限定されないが圧力(たとえば、筋収縮)、温度、pHおよび筋肉の質を含む、個人の骨盤底障害(PFD)の少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)もしくはそれより多くの特徴を測定することができる。
【0207】
患者は、本発明の膣内デバイスを用いて、約1週間~約3か月間(たとえば、約1週間、2週間、3週間、4週間、2ヵ月間または3ヵ月間、たとえば、約7~21日間、7~35日間、7~49日間、7~63日間、7~77日間、7~91日間または7~105日間、たとえば、約2~8週間)の範囲の治療期間にわたり、PFDを治療することができる。膣内デバイスは、患者の骨盤底筋(たとえば、筋肉の質、筋緊張、pH)ならびにPFLおよび/またはPFRの実施をモニタリングするために、治療期間中、患者の体内にあり続けることができる。患者はまた、治療期間中にデバイスを取り除くことも可能であり、消毒(たとえば、洗浄)後にデバイスを再挿入して治療を再開することができる。膣内デバイスは、そのセンサ(たとえば、少なくとも1つのセンサ、たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くのセンサ)から、実質的に連続的にまたは定期的にデータをモニタリングして収集することができる。センサは、少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)またはそれより多くの実施指標(たとえば、実施されるPFLおよび/またはPFRの質および/または量)および/または少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)またはそれより多くの個々のPFDの特徴(たとえば、筋肉の質および筋緊張)を測定することができる。場合により、モニタリング(たとえば、骨盤底の運動、実施指標、および/または個人のPFDの特徴のモニタリング)は、膣内デバイスが、膣内デバイスを使用している個人からデータの収集を開始する信号(たとえば、コマンド)を受信した後に行うことができる。この信号は、膣内デバイスを用いて一続きのPFLおよび/またはPFRを実施する前に個人により押下されるボタン(たとえば、膣内デバイスに無線接続されている電子デバイス上で実行しているソフトウェアアプリケーション内のボタン)からの信号であり得る。
【0208】
治療プログラムは、膣内デバイスにより一続きの1回(たとえば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10、20回、30回、40回、50回、60回または70回)またはそれより多くのPFLおよび/またはPFRを実施すること(たとえば、引上げおよび/または弛緩を達成するように骨盤底筋を作動させること)を含むことができる。PFLおよび/またはPFRは、膣内デバイスを用いて、設定された時間間隔(たとえば、1~5分間、1~60秒間または15秒間)にわたって実施することができる。たとえば、一続きは、PFLおよび/またはPFRが実施される期間(たとえば、1秒間、15秒間もしくは30秒間等、約1秒間~30秒間、または最大1分間、またはそれより長い)と、PFLおよび/またはPFRが実施されない安静期間(たとえば、1秒間、15秒間もしくは30秒間等、約1秒間~30秒間、または最大1分間、またはそれより長い)とに分割することができる。場合により、各一続き(たとえば、設定された回数の実施されるPFLおよび/またはPFRを含む一続き、または設定された時間間隔にわたって実施される一続きのPFLおよび/またはPFR)は、約1秒間~約10分間(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50または60秒間、たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分間)に行われる。場合により、一続きは、15秒間、デバイスを用いて一連のPFLおよび/またはPFRを実施することと、その後、15秒間、安静にすることとを含む。患者は、治療期間中、少なくともさらに1回(たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回)一続きを繰り返すことができる。本発明の膣内デバイスを用いる治療の例示的な方法は、患者が、15秒間、デバイスを用いてPFLおよび/またはPFRを実施すること、および、その後、15秒間、安静にすることと、約90秒間(たとえば、2.5分間)の治療期間にわたり5回、一続きを繰り返すこととを含む。こうした例示的な治療プログラムは、少なくとも1日に1回(たとえば、1日に1x、2x、3x、4xまたは5x)実施することができる。場合により、治療プログラムは、医師により決定され、または評価される。他の場合では、治療プログラムは個人により決定される。たとえば、PFDの少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多く)の症状の自身の体験に基づき、自身の骨盤底筋をトレーニングする必要があるものとして自身を特定する個人。
【0209】
使用中、デバイスは、たとえば、センサのうちの1つまたは複数により検出される、骨盤底筋の質および緊張に関するしるしを使用者に提供することができる。特に、デバイスは、デバイスを用いる治療の前に、デバイスを用いる治療中に、かつデバイスを用いる治療の後に、使用者の骨盤底筋の質および緊張に関する情報を使用者に提供することができる、生体インピーダンスセンサ(たとえば、EIMセンサ)または光検出センサ(たとえば、LiDARセンサ)を含むことができる。
【0210】
治療プログラム中、個人は、膣内デバイスに接続されている電子デバイス上のユーザインタフェースと関わり合うことができる。電子デバイスは、ユーザインタフェースを介して、治療プログラムにおいて本発明の膣内デバイスを使用することにより個人を指導する指示を、使用者に提供する。指示は、電子デバイス上で実行しているソフトウェアアプリケーションを通して提供することができる。電子デバイスは、ユーザインタフェースを通して、膣内デバイスを用いて実施されるPFLおよび/またはPFRの質および量に関する結果およびデータの読取値を生成する。結果およびデータの読取値は、実質的にリアルタイムに、または治療プログラムの完了後に、観察することができる。電子デバイスは、個人に対し、電子デバイス上で実行しているソフトウェアアプリケーション等を通して、骨盤底引上げを実施するかまたは骨盤底筋を弛緩させるように指示することができる。個人に対し、2回(たとえば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、20回、30回、40回または50回)またはそれより多い回数、骨盤底引上げを繰り返すかまたは骨盤底筋を弛緩させるように指示することができる。電子デバイスは、膣内デバイスの使用中に個人が体験する症状に関するデータを収集し、効力を改善するように治療プログラムを調整するための推奨を提供する。電子デバイスはまた、治療期間の最後等、膣内デバイスを取り除くべき時を個人に通知することも可能である。治療期間は、所定時間(たとえば、約1週間~約3ヵ月間)の後に終了することができる。
【0211】
本発明はまた、個人における骨盤底障害を治療し、またはその進展もしくは進行を抑制もしくは低減させる膣内デバイスを校正する方法も含み、その方法は、(a)個人の膣内に膣内デバイスを挿入し、校正期間にわたり、膣内デバイスを用いて個人の骨盤底筋の作動または弛緩をモニタリングするステップと、(b)校正期間にわたって収集されたデータを用いて、個人の骨盤底筋の作動もしくは弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または対象者の骨盤底障害の少なくとも1つの特徴に対する基準値スコアを計算するステップとを含む。個人の骨盤底筋の作動もしくは弛緩の少なくとも1つの実施指標、および/または骨盤底障害の少なくとも1つの特徴は、実施される骨盤底引上げの最大回数および/または骨盤底弛緩の最大回数、実施される骨盤底引上げおよび/または骨盤底弛緩の最大強度、ならびに、筋肉の質、筋力および膣からなる群から選択される。
【0212】
本発明の方法は、限定されないが、尿失禁(UI)、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、排尿困難(たとえば、痛みを伴う排尿)、便失禁、骨盤臓器脱(POP)(たとえば、尿道脱(尿道瘤)、膀胱脱(膀胱瘤)もしくは尿道および膀胱両方の脱(膀胱尿道脱)、膣円蓋および子宮頸部脱(膣円蓋脱)、子宮脱(uterus prolapse)(子宮脱(uterine prolapse))、直腸脱(直腸瘤)、S字結腸脱(S字結腸瘤)、および小腸脱(腸ヘルニア))、骨盤痛、性機能不全(たとえば、性交時尿失禁、性交痛障害、性交疼痛、膣けいれん、および/または性的刺激障害)、弱いまたは障害のある骨盤底筋機能、分娩後出血または損傷、腰仙部神経に対する損傷によりもたらされる痛みおよび/または失禁、ならびに非弛緩性骨盤底機能不全等の骨盤底障害の治療に使用することができる。本発明のデバイスを用いる治療により、発症の頻度を低減させることができ、かつ/または骨盤底障害の少なくとも1つの症状の重症度を少なくとも5%(たとえば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%)またはそれより大きく低減させることができる。特に、本発明の方法を用いて緩和させる(たとえば、治療する、低減させる)ことができる骨盤底障害の症状としては、限定されないが、筋緊張(たとえば、低緊張の筋緊張および高緊張の筋緊張)、弱い筋力、尿漏れ、漏便、痛み(たとえば、筋肉痛、腰痛、排尿中の痛み、排便中の痛み、性的刺激および/または性交中の痛み)、排尿回数および尿意切迫感が挙げられる。
【0213】
複数(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多く)のMEMsセンサを直線状に、たとえば、シリコーン等の生体適合性材料内に入れられた可撓性ストリップ上に等距離に接続することができる。各センサは、所定箇所における角度を反映することができる。センサからのこの角度情報は、関連して作用して、膣の形状および角度を反映する近似曲線または近似線を形成する。デバイスは、着席している間または起立している間に挿入することができる。
【0214】
デバイスは、快適であり、可撓性があり、容易に挿入し取り除くことができる。患者は、デバイスを自身で挿入し取り除くことができる。別法として、医療専門家が、デバイスを(挿入器具ありまたはなしで)挿入することができ、デバイスは、患者の体内に最大90日間残ることができる。患者は、デバイスを自身で取り除くか、または医療専門家の元に出向いて取り除いてもらうことができる。デバイスは、患者の膣の形状をとるために、可撓性があり得る。
【0215】
デバイスは、多回使用単一使用者用デバイスとして構成することができる。患者は、最初に、スマートフォンなどの電子デバイスにアプリケーションをダウンロードし、デバイスを電子デバイスとペアリングすることができる。患者は、その後、デバイスをオンラインで登録し、アプリケーションにおいて自身のユーザ名およびパスワードを入力してデバイスの使用を開始することができる。そして、患者は、自身の都合のよいときにデバイスを挿入し使用する。膣は無菌環境ではないため、再挿入するためにデバイスを滅菌する必要はない。患者は、デバイスを使用する前および後に、定期的に、プローブを低刺激石鹸および水で洗浄することができる。
【0216】
デバイスは、膣デバイスセンサから収集される位置データを、インタラクティブアプリケーションを通して患者に通信する電子デバイス(たとえば、スマートフォンまたはコンピュータ)に無線で(たとえば、Bluetoothを介して)送信する送信器ボックスに接続することができる。
図21Aに特徴付けるように、健康であるかまたは軽度な失禁症状を有する患者の場合、センサは、患者が起立しているとき、床に対して約45°の角度が付けられる。
図21Bにおいて特徴付けるように、患者が引上げ体操を実施するとき、センサの角度は90°に向かって増大する可能性がある。体操は、着席してまたは起立して実施することができる。場合により、観察される偏向角度の変化は、女性が起立しているときの方が大きくなる。骨盤底筋が強い女性は、デバイスが床に対して45°~90°またはそれより大きく(たとえば、略90°に)向けられるように、自身の骨盤底筋を引き上げることができる可能性がある。女性が失禁の症状を有する場合、自身の骨盤底筋に過剰運動性を示す可能性があり、それにより、
図21Cに示すものと同様の読取値が生成される可能性があり、そこでは、骨盤筋肉組織は、尿道および膀胱をその正しい場所で完全に保持し支持することができない。女性が極度の(たとえば、ステージIVの)腹圧性尿失禁および/または完全なPOPを有する場合、センサ角度は、安静時に0°に向かって低下する可能性があり、これにより、
図21Dに示すものと同様の読取値が生成される可能性がある。医師は、女性に、自身の骨盤底を引き上げるように試みるように、骨盤底体操を実施するように、咳をするかもしくはいきむように、またはリラックスするように求めることにより、女性の骨盤底筋肉組織を試験することができる。POPのいくつかの場合では、女性がいきもうと試みると、臓器がデバイスを押し下げる可能性があり、デバイスは、(場合により、女性の泌尿生殖器官のうちの1つまたは複数とともに)膣から部分的にまたは完全に押し出される可能性があり、それにより、
図21Eに示すものと幾分か類似性のある読取値が生成される可能性がある。
【0217】
骨盤底体操からのデータは、オンラインデータベースに自動的にアップロードすることができる。電子デバイス(たとえば、スマートフォンまたはコンピュータ)もまた、所定量のこのデータを格納することができる。アプリケーションは、使いやすく、患者が自身のデータを共有することができるように構成することができる。アプリケーションは、医療専門家が、患者に対する所定の運動レジメンをプログラムするかまたは他の方法で患者と通信するためのツールであり得る。アプリケーションは、プッシュ通知を介して、スコア、図表、グラフまたは報告、リマインダおよび患者への激励等のデータを送信することにより、患者と個人的に通信することができる。アプリケーションはまた、患者が、質問事項に回答し、禁制、改善および/または問題を報告する情報を、データベースに送信することができるようにもすることができる(
図22A~
図22D)。
【0218】
膣の形状は、たとえば、デバイス内のたとえばMEMsセンサからのデータを用いて確定することができ、そのデータは、患者の自身の体内における骨盤底の位置を反映し、
図21A~
図21Eに示す読取値のうちの1つと同様であり得る。骨盤底筋は、患者がPFLを実施するときに膣管を引き上げる。センサのデータからの膣の形状を用いて、骨盤底障害をモニタリングするかまたは診断することができる。たとえば、患者の骨盤底の位置が下降する場合、それは、あり得るPOPに対して患者をモニタリングするのに有用であり得る。患者の骨盤底の位置をモニタリングすることは、患者の骨盤底のさらなる損傷を防止し、骨盤底の現状を矯正しかつ/または改善するのに役立ち、それにより、患者は、外科手術または他のより侵襲的なオプションを回避することができる。デバイスは、尿失禁(切迫性、腹圧性および混合性)、便失禁(ガス、液体、粘液、固体)、POP、骨盤痛、性機能不全および産後の健康の予防、リハビリテーションおよび治療に使用することができる。
【0219】
デバイスは、トレーニング体操中にリアルタイムに膣の形態により反映されるように、骨盤底筋の運動を、患者および医療専門家に示すことができる。デバイスによって提供されるバイオフィードバックを使用して、患者は、単独で、または自身の医療専門家によって補助されて、自身の骨盤底を正しく強化することができる。センサからのデータにより、体操データを測定しかつ記録し、医療専門家および/または患者が、患者のコンプライアンス、骨盤底強度、および骨盤底体操を患者が実施する結果としての改善を追跡することができるようにする。
【0220】
データは、PFL中にセンサの角度を測定するアルゴリズムに基づき、スコアとして取り込むことができ、骨盤底筋の強度または耐久性の尺度も含むことができる。スコアは、患者のトレーニング中の自身の骨盤底体操を反映する(日付および時間)。デバイスおよびアプリケーションは、骨盤底障害に対するケアを標準化することができるポイントオブケアデータ収集能力を提供することができる。デバイスによって生成されるデータは、患者に対する個人健康記録を生成し、ケアおよび測定可能な結果を提供する中央データベースに、送信することができる。
【0221】
このデータはまた、患者の生活の質を改善するさまざまな治療オプションに対するあり得る必要に関して、患者および患者の医療専門家に通知する予測情報も提供することができる。たとえば、(たとえば、腹圧性尿失禁に関連する)過剰運動性を有する患者に観察される変化は、過剰運動性を有していない患者とは著しく異なる。本明細書に記載するデバイスを使用して患者に関する基準値、たとえば、患者に関する情報のデータベースを確立することにより、リアルタイムにまたはある期間にわたり、患者の骨盤底の下降または損傷をモニタリングすることができる。本明細書に記載するデバイスを用いて、(たとえば、骨盤底筋肉組織をトレーニングしかつ強化するPFLを実施するために)デバイスを使用しながら、経時的に患者の改善をモニタリングすることも可能である。従って、外科的手段を通して損傷を矯正する必要がある前に、患者を治療することができる。
【0222】
本発明のデバイスを用いて、女性患者の健康状態または経時的な健康状態の変化を特徴付けることも可能である。たとえば、デバイスにより生成されるデータ(たとえば、スコア)は、POPのさまざまなステージ(たとえば、ステージ0、I、II、IIIおよびIV)に相関させることができる。0のスコアは、ステージIVに対応し、0~15はステージIII、15~30はステージII、30~45はステージI、45を超えるとステージ0に対応することができる。これらのスコアは、絶対スコアである場合もあれば絶対スコアでない場合もあり、各個人の患者に対して正規化することができる。たとえば、スコア範囲は、各個人の使用者に対して経験的に確定することができる。いくつかの体操中に達成されるスコアを追跡することにより、デバイスは、1つの健康状態から別の健康状態への変化または移行(たとえば、ステージIVからステージIII、ステージIIIからステージII、ステージIIからステージI、およびステージIからステージ0)を計算することができる。たとえば、ステージIVにおける重症な脱の患者は、本発明の膣内デバイスを使用してPFLを開始することができる。3週間~6週間の治療期間の過程にわたり、患者は、本明細書に記載するように、1日に1回~10回、治療レジメンを実施する。患者は、
図21Dに示すものと同様の安静時の基準センサデータを生成することから開始する可能性がある。3週間~6週間の治療期間の後、患者は、ステージIIまたはIIIのPOPまで改善する可能性があり、
図21Bに示すものに近づく、PFL中のセンサデータへの上方移行を示す可能性がある。
【0223】
医薬品を送達するように構成された本発明の膣内デバイスを用いて骨盤底障害を治療する方法
女性患者は、上述した方法と同様の方法で、PFD、または本明細書に記載するもの等、他の疾患もしくは病状を治療し、その進展もしくは進行を抑制し、または低減させるために、少なくとも1種(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの)医薬品を送達するように構成された本発明のデバイスを使用することができる。場合により、本発明の膣内デバイスは、送達モジュールまたは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルを含むテザーモジュール(
図8A~
図8D)を接続することにより、医薬品を送達するように構成することができる。場合により、本発明の膣内デバイスは、送達モジュールまたは構成要素、内部コア、リザーバ、コーティング層および/またはゲルを含むスリーブ(
図8Cおよび
図8D)を接続することにより、医薬品を送達するように構成することができる。デバイスは、個人の膣内に挿入することができ、医薬品は、PF筋など(たとえば、肛門挙筋(たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋)、および恥骨から前方に仙骨まで後方にかつこれら2つの骨を結合する隣接する骨構造までの球状形態にわたる、関連する結合組織)の作動または弛緩の前、後またはその間に、膣の組織に送達することができる。膣内デバイスを用いて、個人をモニタリングすることも可能である。医薬品を送達するためにデバイスを用いる治療により、骨盤底障害の少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多く)の症状の発症の頻度および/または重症度を低減させることができる。特に、治療は、医薬品を、たとえば常にまたは定期的に送達することができる治療期間にわたり、デバイスを用いるPFLおよび/またはPFRの実施をモニタリングすることを含む。デバイスは、約1週間~約3ヵ月間(たとえば、約1週間、2週間、3週間、4週間、2ヵ月間または3ヵ月間、たとえば、約7~21日間、7~35日間、7~49日間、7~63日間、7~77日間、7~91日間または7~105日間、たとえば、約2~8週間)の範囲の期間にわたり、医薬品を送達することができる。
【0224】
組合せ治療方法
たとえば、PFD、および/または本明細書に記載するもの等、別の疾患もしくは病状を有する女性患者は、上述した方法と同様の方法で、PFD、および/または膣組織の疾患もしくは病状を治療し、その進展もしくは進行を抑制し、または低減させるために、少なくとも1種(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの)医薬品を送達するように構成された本発明のデバイスを使用することができる。デバイスは、個人の膣内に挿入することができ、医薬品は、PF筋など(たとえば、肛門挙筋(たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋)、および恥骨から前方に仙骨まで後方にかつこれら2つの骨を結合する隣接する骨構造までの球状形態にわたる、関連する結合組織)の作動または弛緩の前、後またはその間に、膣の組織に送達することができる。膣内デバイスを用いて、個人をモニタリングすることも可能である。デバイスを用いる医薬品の送達により、PFDおよび/またはさらなる疾患もしくは病状の少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多くの)症状の発症の頻度および/または重症度を低減させることができる。デバイスは、医薬品の組合せ、たとえば、医薬品の適合性のある組合せを送達して、使用者のPFDおよびさらなる疾患または病状の両方を治療するように構成することができる。特に、治療は、医薬品を、たとえば常にまたは定期的に送達することができる治療期間にわたり、デバイスを用いるPFLおよび/またはPFRの実施をモニタリングすることを含む。デバイスは、約1週間~約3ヵ月間(たとえば、約1週間、2週間、3週間、4週間、2ヵ月間または3ヵ月間、たとえば、約7~21日間、7~35日間、7~49日間、7~63日間、7~77日間、7~91日間または7~105日間、たとえば、約2~8週間)の範囲の期間にわたり、医薬品を送達することができる。
【0225】
リアルタイムモニタリング方法(ライブモード)
使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態のリアルタイムモニタリングを提供するように構成される本発明の膣内デバイスを使用する女性患者は、PFD、および/または本明細書に記載するもの等、別の疾患もしくは病状の進展および/または再発を予防または低減させることができる可能性がある。
【0226】
たとえば、筋運動(たとえば、PFLおよび/またはPFL、筋緊張、筋伸長および/または筋収縮)、筋肉の質、筋力および/または圧力をモニタリングするように構成される膣内デバイスは、(i)本発明の膣内デバイスを用いる骨盤底筋トレーニングプログラムの効力を低減させかつ/または改善する可能性がある日常の活動、(ii)医薬品の投与に対する(たとえば、日常の活動の実施に対応する)最適な時間、および/または(iii)治療プログラムの効力を向上させるように骨盤底治療プログラムに対して行うことができる改変(たとえば、一続きのPFLおよび/またはPFRの実施を含む骨盤底トレーニングプログラムの頻度および/または強度を増大させること)に基づき、リアルタイムに、使用者にかつ/または使用者の治療を監視している医師に、フィードバックを提供することができる可能性がある。特に、本発明の膣内デバイスは、たとえば、膣内デバイスなどの校正中に得られるか、または当技術分野において既知である基準値と比較して約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれを超える筋運動(たとえば、PFLおよび/またはPFL、筋緊張、筋伸長および/または筋収縮)、筋肉の質、筋力および/または圧力の変化(たとえば、増大および/または低減)を測定することができる。
【0227】
たとえば、毒素および/もしくはホルモン、pH、温度ならびに/または湿度のレベルをモニタリングするように構成される膣内デバイスは、疾患状態に関連する毒素、ホルモン、pHおよび/または湿度のレベルの変化を測定することにより、本明細書に記載するように、(i)PFD、ならびに/または使用者の泌尿生殖系および骨盤底に影響を与える別の疾患および/もしくは病状の兆候および/または進行と、(ii)医薬品の投与を含む治療プログラムの有効性とに関して、使用者にかつ/または使用者の治療を監視している医師に、フィードバックを提供することができる。特に、本発明の膣内デバイスは、たとえば、たとえば膣内デバイスの校正中に得られるか、または当技術分野において既知である基準値と比較して約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれを超える毒素および/もしくはホルモン、pH、温度ならびに/または湿度のレベルの変化(たとえば、増加および/または減少)を測定することができる。
【0228】
さらなるデバイスとの使用方法
たとえば、PFD、および/または本明細書に記載するもの等、別の疾患もしくは病状を有する女性患者は、上述した方法と同様の方法で、PFD、および/または膣組織の疾患もしくは病状を治療し、その進展もしくは進行を抑制し、または低減させるために、少なくとも1種(たとえば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれより多くの)医薬品を送達するように構成される本発明のデバイスを追加のデバイスと組み合わせて使用することができる。しかしながら、場合により、本発明の膣内デバイスと組み合わせて使用することができるさらなるデバイスは、医薬品を送達するように構成されていない。
【0229】
場合により、さらなるデバイスは、個人の膣内に挿入することができ、医薬品は、たとえばPF筋(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋および恥骨直腸筋、ならびに関連する結合組織)の作動または弛緩を測定する本発明の膣内デバイスの使用の前、後またはその間に、膣の組織に送達することができる。さらなるデバイスを用いる治療の有効性もまた、本発明の膣内デバイスによりモニタリングすることができる。たとえば、ホルモンおよび/または毒素を検出するように構成された本発明の膣内デバイスは、さらなるデバイスにより治療されている疾患および/または病状の進行をモニタリングすることができる。本発明の膣内デバイスと組み合わせてさらなるデバイスを用いる医薬品の送達により、PFDおよび/またはさらなる疾患もしくは病状の少なくとも1つ(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10またはそれより多く)の症状の発症の頻度および/または重症度を低減させることができる。さらなるデバイスは、医薬品の組合せ、たとえば、医薬品の適合性のある組合せを送達して、使用者のPFDおよび/またはさらなる疾患または病状の両方を治療するように構成することができる。特に、治療は、さらなるデバイスにより、医薬品を、たとえば常にまたは定期的に送達することができる治療期間にわたり、本発明の膣内デバイスを用いるPFLおよび/またはPFRの実施をモニタリングすることを含む。さらなるデバイスは、約1週間~約3ヵ月間(たとえば、約1週間、2週間、3週間、4週間、2ヵ月間または3ヵ月間、たとえば、約7~21日間、7~35日間、7~49日間、7~63日間、7~77日間、7~91日間または7~105日間、たとえば、約2~8週間)の範囲の期間にわたり1回または複数回、医薬品を送達することができる(たとえば、持続放出またはプログラムされた放出)。本発明の膣内デバイスと組み合わせて使用することができるさらなるデバイスの非限定的な例としては、限定されないが、膣内ペッサリー、膣および/もしくは肛門坐薬、カテーテル、膀胱頸部支持装置、スポンジ、月経用具(たとえば、タンポンまたは月経カップ)、膣刺激装置(たとえば、1つまたは複数(たとえば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10)の電極を含む装置、バイブレータを含む装置、および/または発光源を含む装置)、膣拡張器、ならびに/またはカメラを含む装置が挙げられる。
【実施例】
【0230】
以下の実施例は、請求項に係る構成物および方法がいかに実施され、作製されかつ評価されるかの記述を当業者に提供するように示され、本発明の構成物および方法で使用されるために単に例示的なものであるように意図され、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されていない。
【0231】
実施例1.本発明の膣内デバイスを用いる尿失禁(UI)を有する個人の治療
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、尿失禁(UI)を有する個人を治療することができる。個人は、UIを進展させるリスクを有するものとして特定され得(たとえば、最近、経膣分娩を体験した対象者)、または、医師によりUIを有するものと判断されている。別法として、UIの症状を体験している個人は、UI症状の頻度および/または重症度を低減させるように自身の骨盤底(PF)筋をトレーニングする必要があるものとして自身で特定する場合がある。個人は、医師から、または小売店(たとえば、薬局)からデバイスを取得することができる。
【0232】
個人はまず、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めする。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。そして、個人は、一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施して、自身の骨盤底筋を強化する。個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを2.5分間にわたり合計5回繰り返すことができる。デバイスは、センサを介して結果を測定しかつ収集する。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施する。経時的に、症状は消散する。トレーニングプログラムの完了時、デバイスを取り除くことができる。
【0233】
実施例2.本発明の膣内デバイスを用いる便失禁を有する個人の治療
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、便失禁(FI)を有する個人を治療することができる。個人は、FIを進展させるリスクを有するものとして特定され得(たとえば、最近、経膣分娩を体験した対象者)、または、医師によりFIを有するものと判断されている。別法として、UIの症状を体験している個人は、UI症状の頻度および/または重症度を低減させるように自身の骨盤底(PF)筋をトレーニングする必要があるものとして自身で特定する場合がある。個人は、医師から、または小売店(たとえば、薬局)からデバイスを取得することができる。
【0234】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、開始する。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。
【0235】
個人は、その後、一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施して、自身の骨盤底筋を強化する。個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し得、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを2.5分間にわたり合計5回繰り返す。デバイスは、センサを介して結果を測定しかつ収集する。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施する。経時的に、症状は消散する。トレーニングプログラムの完了時、デバイスを取り除くことができる。
【0236】
実施例3.本発明の膣内デバイスを用いる性機能不全を有する個人の治療
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、高い骨盤底筋緊張によりもたされるような性機能不全を治療することができる。個人は、医師により性機能不全を有するものと判断されている可能性がある。別法として、性機能不全の症状を体験している個人は、性機能不全の症状(たとえば、痛みを伴う性交)の頻度および/または重症度を低減させるように自身の骨盤底(PF)筋をトレーニングする必要があるものとして自身で特定する場合がある。
【0237】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、開始する。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。
【0238】
個人は、その後、デバイスを用いて骨盤底の筋肉を弛緩させる。個人は、一続きのPFR体操を実施することができる。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施する。経時的に、症状は消散する。トレーニングプログラムの完了時、デバイスを取り除くことができる。
【0239】
実施例4.本発明の膣内デバイスを用いる神経疾患または損傷を有する個人の治療
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、多発性硬化症(MS)等の神経疾患を有する個人において骨盤底障害(PFD)を治療することができる。
【0240】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、開始する。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。
【0241】
個人は、その後、一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施して、自身の骨盤底筋を強化する。個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し得、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを2.5分間にわたり合計5回繰り返す。デバイスは、センサを介して結果を測定しかつ収集する。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施する。個人はまた、デバイスを用いて、自身が1日に尿漏れまたは漏便を体験する回数等、MS関連のPFD症状の自身の体験を追跡することも可能である。経時的に、症状は消散する。トレーニングプログラムの完了時、デバイスを取り除くことができる。
【0242】
実施例5.電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサを含む本発明の膣内デバイスを用いる骨盤底障害を有する個人の治療
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)は、SKULPT(登録商標)センサ等の電気インピーダンス筋運動記録法(EIM)センサを含むことができ、骨盤底障害を有する個人を治療するために使用することができる。
【0243】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、開始する。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。
【0244】
個人は、その後、一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施して、自身の骨盤底筋を強化する。個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを2.5分間にわたり合計5回繰り返す。デバイスは、EIMセンサを介して結果を測定しかつ収集する。EIMセンサから収集されるデータを使用して、膣内デバイスは、個人に対し、筋肉の質スコア(たとえば、筋線維密度および筋線維構成を反映するスコア)を提供することができる。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施する。膣内デバイスを用いることにより、個人は、自身の筋肉の質スコアを増大させることができる。経時的に、症状は消散する。トレーニングプログラムの完了時、個人によりデバイスを取り除くことができる。
【0245】
実施例6.LiDARセンサを含む本発明の膣内デバイスを用いる骨盤底障害を有する個人の治療
LiDARセンサを含む本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、骨盤底障害を有する個人を治療することができる。
【0246】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、開始する。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。
【0247】
個人は、その後、一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施して、自身の骨盤底筋を強化する。個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し得、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを2.5分間にわたり合計5回繰り返す。デバイスは、LiDARセンサを介して結果を測定しかつ収集する。LiDARセンサから収集されるデータを用いて、膣内デバイスは、個人に対し、個人の骨盤底および膣組織の3次元(3D)モデルを提供し、それは、無線接続された電子デバイスにおいてユーザインタフェースを介して使用者に表示することができる。3Dモデル、治療の開始時に(たとえば、3D参照モデル)、治療プログラムを通して定期的にまたは治療プログラムの後に生成することができる。3Dモデル、たとえば、実質的にリアルタイムに生成される3Dモデルに基づき、使用者に対し、骨盤底引上げおよび/または弛緩を実施するように、かつ/またはその実施に対して訂正するように誘導することができる。LiDARセンサによって収集される測定データはまた、骨盤底引上げおよび/または弛緩の実施をモニタリングし、使用者にフィードバックを提供するためにも使用することができる。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施する。経時的に、症状は消散する。トレーニングプログラムの完了時、デバイスを取り除くことができる。
【0248】
実施例7.本発明の膣内デバイスを用いる骨盤臓器脱を有する個人の治療
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、骨盤臓器脱(たとえば、子宮脱)を有する個人を治療することができる。医師により骨盤臓器脱(たとえば、子宮脱)を有するものとして診断された個人に対し、筋刺激剤等、1回分の用量の医薬品を投与するように構成された本発明の膣内デバイスを処方することができる。個人は、医師から、または小売店(たとえば、薬局)からデバイスを取得することができる。
【0249】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、治療を開始する。患者は、
図6に概説するように膣内デバイスを使用することができる。膣内デバイスは、たとえば骨盤底トレーニング体操の実施中に、筋刺激剤を放出するように構成することができる。さらにまたは別法として、膣内デバイスは、たとえば年齢により弱くなる可能性のある膣組織に対するエストロゲンの喪失を回復させるように、エストロゲン化合物(たとえば、エストラジオール)を放出するように構成することができる。
【0250】
個人は、その後、一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施して、自身の骨盤底筋を強化する。個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し得、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを30秒間~2.5分間にわたり合計2回~5回繰り返す。デバイスは、センサを介して結果を測定しかつ収集し、それは、たとえば、PFLの実施中に、筋刺激剤の放出を指示することができる。個人は、このトレーニングプログラムを、約1週間~約3か月にわたり、少なくとも1日に1回、ただし好ましくは1日に3回実施することができる。経時的に、症状は消散する。必要な場合は、膣内デバイス(たとえば、膣内デバイス内に配置された詰替え可能なリザーバ)を再充填して、筋刺激剤および/またはエストロゲン関連の医薬品による治療を続けることができる。トレーニングプログラムの完了時、デバイスを取り除くことができる。
【0251】
実施例8.PFDの再発を低減させるための日常の活動中の個人の骨盤底健康状態のモニタリング
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、以前にPFD(たとえば、尿失禁)を体験し、たとえば、尿失禁症状の再発のリスクがあるが現時点では体験していない、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態の日常の(たとえば、リアルタイムの)モニタリングを行うことができる。医師は、予防および診断の補助として本発明の膣内デバイスを処方することができる。個人は、医師から、または小売店(たとえば、薬局)からデバイスを取得することができる。場合により、たとえば、個人は、膣内デバイス(たとえば、膣内デバイスの本体)の基本モデルをすでに所有している場合、日常のモニタリングを行うために必要なさらなるセンサおよび機能性を追加するために使用することができる拡張セット(たとえば、テザーまたは1つもしくは複数のテザーモジュール)(
図8A~
図8D)を取得する必要がある可能性がある。拡張セットとともに提供されかつアプリケーションを通して利用可能な取扱い説明書に従い、使用者は、テザーまたは1つもしくは複数のテザーモジュールを膣内デバイスの本体に接続することができる。
【0252】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、治療を開始する。患者は、アプリケーションを使用して、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態の日常のモニタリングを行うようにライブモードを起動することができる。ライブモードは、骨盤底体操を実施する正しい方法に関して患者をトレーニングするかまたは教育するために使用することができる、骨盤底筋肉組織のリアルタイム視覚化を提供する。たとえば、ライブモード中のリアルタイム視覚化は、患者が、「引き締め」ではなく「引上げ」を達成する骨盤底の筋肉をいかに活性化させるかを理解するのに役立つことができる。骨盤底筋を強化し、患者の骨盤底の健康を改善するのに役立つ、「引上げ」を達成する骨盤底筋の活性化は、デバイスのセンサ読取値(たとえば、MEMsセンサ読取値)が、たとえば
図21Aに示すものと同様の、上向きかつ正面(たとえば、頭側/前方向)におけるデバイスの移動を示す場合に、観察することができる。骨盤底筋は、強くなるに従い短くなり、それは、PFMT中の引上げ運動になる。本体および/またはテザーとともに配置されるセンサを用いて、膣内デバイスは、使用者が自身の日常の活動を実施する際にデータを収集することができ、使用者にかつ/または使用者の治療を監視している医師にフィードバックを提供する。
【0253】
膣内デバイスは、使用者の骨盤底筋を弱める可能性がある日常の活動が実施されていることを検出すると、個人に通知し、検出された活動の実施を終わらせるように忠告することができる。場合により、膣内デバイスは、ライブモードを用いる日常のモニタリング中に収集されたデータに応じて、個人の骨盤底筋を強化するために一続きの骨盤底引上げ(PFL)を実施するように、個人に忠告しかつ/またはリマインダをスケジューリングすることができる。そして、個人は、15秒間、一続きのPFLを実施し得、その後、15秒間、筋肉を休ませ、この一続きを30秒間~2.5分間にわたり合計2回~5回繰り返す。個人は、このトレーニングプログラムを、PFD(たとえば、尿失禁)の再発を予防するために膣内デバイスにより指示されたときに実施することができる。経時的に、膣内デバイスの使用中に提供されるフィードバックは、個人が、PFD(たとえば、尿失禁)の再発および/または進展に至る可能性がある日常の活動の実施を特定しそれを低減させるのに役立つことができる。
【0254】
実施例9:がんを検出するための個人のホルモンレベルのモニタリング
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、以前にPFD(たとえば、尿失禁)を体験し、たとえば、尿失禁症状の再発のリスクがあるが現時点では体験していない、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態の日常の(たとえば、リアルタイムの)モニタリングを行うことができる。医師は、頸管がんおよび/または膣がんを進展させるリスクがある患者(たとえば、以前に頸管がんに対して治療されたが、現時点では小康状態である患者)に対し、ホルモンレベルを測定するように構成される本発明の膣内デバイスを処方することができる。個人は、医師から、または小売店(たとえば、薬局)からデバイスを取得することができる。
【0255】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、治療を開始する。患者は、アプリケーションを使用してライブモードを起動し、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態の日常のモニタリングを行い、特に、頸管がんおよび/または膣がんの進展に関連するホルモンのレベルを測定することができる。膣内デバイスは、使用者が自身の日常の活動を行う際にホルモンレベルに関するデータを収集することができ、使用者にかつ/または使用者の治療を監視している医師にフィードバックを提供することができる。
【0256】
膣内デバイスは、たとえば、頸管がんおよび/または膣がんの兆候、残存および/または悪性度に関連するホルモン(たとえば、エストロゲン)のレベルの変化(たとえば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれより大きい上昇および/または減少)を検出すると、個人に対し、個人のがん状態を評価するために自身の医師と会う予約をスケジューリングする利益を通知することができる。場合により、膣内デバイスは、医師に対し直接忠告し、かつ/または患者に対する予約をスケジューリングすることができ、そのため、患者のがん状態を評価することができる。
【0257】
実施例10.感染症を検出するための個人の毒素レベルのモニタリング
本発明の膣内デバイスおよび/またはシステム(
図1、
図2、
図7および
図8)を用いて、イースト菌感染症等の真菌感染症を進展させるリスクがある使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底(たとえば、肛門挙筋、たとえば、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、尾骨筋、恥骨直腸筋の筋線維、および関連する結合組織)の全体的な健康状態の日常のモニタリングを行うことができる。医師は、診断の補助として本発明の膣内デバイスを処方することができる。個人は、医師から、または小売店(たとえば、薬局)からデバイスを取得することができる。
【0258】
個人は、膣内デバイスを膣内に(たとえば、挿入器具(
図5A~
図5C)を使用することにより)挿入し、膣内デバイスを、子宮頸部に対して近位側に、または子宮摘出術を行った個人の場合は、膣断端に対して近位側に位置決めすることにより、治療を開始する。患者は、アプリケーションを使用してライブモードを起動して、使用者の泌尿生殖系および/または骨盤底の全体的な健康状態の日常の(たとえば、リアルタイム)モニタリングを行い、特に、真菌感染症、たとえば、イースト菌感染症の兆候に関連する毒素のレベルをモニタリングすることができる。その後、本体および/またはテザーと配置されるセンサを用いることにより、使用者が自身の日常の活動を行う際にデータを収集することができ、使用者にかつ/または使用者の治療を監視している医師にフィードバックを提供することができる。
【0259】
膣内デバイスは、感染症の兆候に関連することが既知である毒素レベルを検出すると、個人に対し、個人の健康状態を評価するために自身の医師と会う予約をスケジューリングする利益を通知することができる。場合により、膣内デバイスは、進展している感染症を治療するために適切な医薬品を投与するように、患者に忠告することができる。場合により、膣内デバイスは、医薬品を投与するように構成されたテザーまたはテザーモジュールを接続するように患者に通知し、または患者が、たとえば、患者により投与することができる市販の抗真菌薬を購入するように推奨することができる。たとえば、患者は、膣内デバイスを用いて治療期間を通して毒素レベルをモニタリングし続ける間に、自身の膣内に坐薬、たとえばミコナゾール坐薬を挿入することができる。経時的に、膣内デバイスの使用中に提供されるフィードバックは、個人が、真菌感染症の再発を特定しかつ低減させるのに役立つことができる。
【0260】
実施例11.ライブモードでのリアルタイムデータ出力およびスマートフォンアプリケーションとの使用
本発明の膣内デバイスは、デバイスセンサから収集された位置データを、スマートフォンアプリケーションを通して患者に通信するスマートフォンまたはコンピュータに無線で(Bluetoothを介して)送信する送信器ボックスに接続される(
図22A~
図22D)。膣の形状(デバイス内のMEMsセンサからのデータ)は、患者の体内の自身の骨盤底の位置を反映し、
図21A~
図21Eのうちの1つに示すものと同様であり得る。データは、センサの角度に基づいてスコアとして取り込まれる。スコアは、患者の骨盤底筋の強度の尺度であり、患者が経時的に自身のトレーニングを実施するに従い、増大する。デバイスによって生成されるデータは、患者に対する個人的な健康記録を生成し、ケアおよび測定可能な結果を提供する中央データベースに送信される。
【0261】
このデータは、患者の生活の質を向上させるためのさまざまな治療オプションに対する潜在的な必要性に関する、患者および医療専門家に通知する予測情報を提供することができる。たとえば、(たとえば、腹圧性尿失禁に関連する)過剰運動性を有する患者に観察される変化は、過剰運動性を有していない患者とは著しく異なる。本デバイスを使用する患者に関する基準値、および患者に関する情報のデータベースを確立することにより、経時的に患者の骨盤底の下降または損傷をモニタリングすることができる。従って、外科的手段を通して損傷を矯正する必要がある前に、患者を治療することができる。
【0262】
本発明のデバイスは、女性患者の経時的な健康状態の変化を特徴付けるために使用される。ステージIII脱がある女性患者は、本発明のデバイスを使用する。最初にデバイスを挿入した後、センサは、起立しているときにデバイスが床に対して約20°の角度で配置されることを読み取る。PFLを実施するとき、センサの角度は、
図21Aに示す読取値と同様に45°に向かって移動する。女性患者は、3週間の過程にわたり1日に1回~10回(1セッションにつき30秒間~3分間)一続きの体操を実施する。3週間の治療期間の後、女性は、センサが、
図21Bに示す読取値と同様に、床に対して30°の角度であるように、デバイスを引き上げることができる。この角度の変化は、女性が、ステージIII脱からステージII脱まで改善したことを示唆する。
【0263】
実施例12.患者が骨盤筋力を改善する際のセンサ読取値の指標の追跡
尿失禁の症状がある患者は、毎日2回約2.5分間膣内デバイスを使用する。体操を実施した後、アプリケーションは、体操中の骨盤底の引上げ中の角度変化を反映する、9の基準値(スクリーン)から44~52の範囲まで上昇する、平均的な週間スコア(
図23A)を計算した。スコアの上昇は、骨盤筋力の増大と相関する(
図23B)。アプリケーションはまた、持久力も追跡することができる(
図23C)、体操中に引上げを保持する時間を計算する。3週間の体操レジメンの後、失禁問題は消散した。
【0264】
他の実施形態
本明細書において言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、各独立した刊行物または特許出願が、具体的にかつ個々に参照により援用されるように示されている場合と同程度まで、参照により本明細書に援用される。
【0265】
本発明について、その具体的な実施形態に関連して記載したが、さらなる変更が可能であり、本出願は、概して、本発明の構成物および方法の使用に対する原理に従い、本発明が属する技術分野において既知のまたは通常の実施の範囲内にあり、上述した本質的な特徴に適用することができる本開示からの逸脱を含む、本発明の構成物および方法の使用に対する任意の変形、使用または適合を包含するように意図されており、請求項の範囲内に従うことが理解されよう。
【0266】
他の実施形態は特許請求の範囲内にある。