(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】光ディスプレイを有するガラスセラミック物品
(51)【国際特許分類】
C03C 17/30 20060101AFI20230313BHJP
C03C 17/42 20060101ALI20230313BHJP
C03C 17/34 20060101ALI20230313BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20230313BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230313BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C03C17/30 A
C03C17/42
C03C17/34 A
C09D183/04
C09D7/61
A47J37/06 311
(21)【出願番号】P 2019550197
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(86)【国際出願番号】 FR2018050567
(87)【国際公開番号】W WO2018167413
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504374919
【氏名又は名称】ユーロケラ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】クレマン シウタ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ ビラト
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ベッファ
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-016318(JP,A)
【文献】特開2016-041658(JP,A)
【文献】特表2007-530404(JP,A)
【文献】特表2015-532631(JP,A)
【文献】特開2010-153229(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第03040768(FR,A1)
【文献】特表2014-503778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00-23/00
C09D 183/04
C09D 7/61
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源及び/又は少なくとも1つの加熱要素とともに使用することを意図するガラスセラミック物品であって、前記ガラスセラミック物品が、ガラスセラミック製の少なくとも1つの基材を含み、且つ少なくとも1つの被照明ゾーンを有しており、かつ前記基材が、少なくとも1種のシリコーン樹脂
、充填剤及び顔料から形成された塗料
の乾燥生成物で、前記被照明ゾーンを被覆されており、かつ前記塗料が、比率が重量百分率で表される下記の組成を有する、ガラスセラミック物品:
・シリコーン樹脂 25~45%、好ましくは30~45%、
・顔料 1%以上10%未満、好ましくは2~6%、
・充填剤 20~40%、好ましくは20~35%、
・溶剤 20~40%、好ましくは20~35%。
【請求項2】
前記顔料が白色顔料であり、特にそれらは、チタン酸化物TiO
2をベースとする顔料であり、この(これらの)顔料の比率が、好ましくは前記塗料の2~6wt%であり、当該塗料からエフェクト顔料が除外されていることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミック物品。
【請求項3】
前記顔料の粒子のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも90%が、0.1~10μm、特に0.1~1μmの寸法を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のガラスセラミック物品。
【請求項4】
前記塗料が、有利には不溶性である、1種以上の無機又は鉱物性充填剤を、前記塗料の少なくとも20wt%及び40wt%を超えないレベルで、好ましくは前記塗料の20~35wt%のレベルで含んでいることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項5】
前記塗料のうちの前記シリコーン樹脂が、アルキル基、フェニル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、アルキニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の基を取り入れることによって変性されたシリコーン樹脂から選択された樹脂であり、有利には、少なくともハロゲン、エポキシ、ポリエステル官能基によって官能化されていないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項6】
前記塗料が、水又は水性溶剤を含まないことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項7】
前記塗料が、焼結されるガラス又は一緒になってガラス質マトリクスを形成することができる成分を含んでいないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項8】
堆積中における前記塗料が、分散液の形をしていて、且つ特にシリカゲル又はコロイダルシリカを含んでいないことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項9】
前記塗料の堆積時の粘度が、1500mPa・sと3000mPa・sの間であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項10】
前記塗料のコーティングの厚さが、25μm未満、特に2μmと20μmの間、とりわけ4μmと15μmの間であり、前記塗料が、好ましくは前記ガラスセラミック基材の下面にあることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項11】
前記塗料が、ポリマーベースの層を形成していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項12】
前記塗料のコーティングが、30%超、好ましくは38%超、特に40%超、場合により60%に達し得る光透過率LTを有すること、及びその拡散率のレベルが、90%超、特に99%以上であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項13】
前記ガラスセラミック基材が、当該基材を被覆する少なくとも1つの不透明化コーティングを含み、その内側に、製作すべきパターン又は被照明ゾーンの形で、少なくとも1つの透明スペースが作られており、前記塗料が前記透明スペースの箇所に堆積されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項14】
前記基材が、2つの不透明化コーティングを含んでおり、前記ガラスセラミック基材の下面の下に堆積された、前記不透明化コーティングのうちの一方は、1以上の被照明ゾーンを画定する1以上の透明スペースを有し、前記透明スペースに前記塗料が適用されており、もう一つのコーティングは、前記塗料の端部を覆い、前記2つの不透明化コーティングの間に前記塗料が挟まれていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項15】
前記基材が、前記塗料の上又は下に、少なくとも1つの着色された層又はフィルターを含み、前記着色された層又はフィルターは、好ましくは前記塗料の上に、特に前記塗料及び対抗して向き合った光源の間にあり、及び/又は前記塗料が、着色されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項16】
前記基材が、暗色の外観、特に黒色又は褐色の外観のものであり、この基材は、0.8~40%、好ましくは0.8~5%、特に0.8~2%の光透過率と、625nmの波長について少なくとも2.5%の光学透過率を有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項17】
前記物品又は前記基材が、ホットプレート又は作業台であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品を製造する方法であって、少なくとも1種のシリコーン樹脂と顔料とから作られた塗料であって、顔料の比率が前記塗料の1wt%以上10wt%未満である塗料で、前記ガラスセラミック基材の少なくとも1つの被照明ゾーンを被覆することを特徴とする、ガラスセラミック物品の製造方法。
【請求項19】
未被覆の又は既に一部を被覆された前記ガラスセラミック基材の、有利には前記基材の下面の、被照明ゾーン、特に透明スペースにより画定される被照明ゾーンに、前記透明スペースのおのおのにより画定される全面又は前記被照明ゾーンの全面で、スクリーン印刷することにより、前記塗料を塗布し、使用するスクリーン印刷の網を、1cm当たりの糸数が43本と120本の間となるように選ぶことを特徴とする、請求項18に記載のガラスセラミック物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスセラミックの分野に関する。より正確に言えば、それは、特に加熱要素をカバーし又は受け入れることを目的とする、ガラスセラミック製の物品(又は製品)(例えばホットプレートなど)に関するものであり、当該物品は、明るくすることができるゾーン(いわゆる「被照明ゾーン」)を少なくとも1つ備えている。「ガラスセラミック物品」とは、ガラスセラミック材料製の基材をベースとする物品(例えばセラミックホブなど)を意味し、当該基材は、必要ならば、その使用目的のために必要とされる付属品又は追加の(装飾性又は機能性の)要素を備えることができ、そして「物品」とは、単に基材だけ、あるいは追加の要素を備えた基材(例えば、制御パネル、加熱要素などを備えたホットプレート)を意味することができる。本発明はまた、当該物品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用電気器具の製造業者と小売業者、及び使用者にとって大きな成功を収めていることが分かっている、広く用いられるいくつかのガラスセラミック製品があり、特にセラミックホブがそうである。この成功は、とりわけ、これらのホブの魅力的な外観により、及びそれらのクリーニングの容易さにより説明される。
【0003】
ガラスセラミックは、ガラス、いわゆる前駆ガラス(又はグリーンガラス)をベースとしており、その特有の化学組成が、セラミック化処理と呼ばれる適切な熱処理による制御された結晶化を生じさせるのを可能にする。この部分的に結晶化した特有の構造が、ガラスセラミックに独自の特性を付与する。
【0004】
現在、いろいろなタイプのセラミックホブが存在するが、それぞれは、広範囲にわたる研究と数々の試験の成果である。と言うのも、必要とされる特性に、特にホットプレートとして使用できるための特性に好ましくない影響を及ぼすリスクなしに、これらのホブ及び/又はそれらの製造方法を変更することは、非常に難しいからであり、セラミックホブは、一般に、停止時において下にある加熱要素の少なくとも一部分を隠すのに十分低いと同時に、タイプ(輻射加熱、誘導加熱など)に応じて、作動時に安全上の理由から使用者が加熱要素を視覚的に検知できるように十分高い、可視領域の波長における透過率を示さなければならないからであり、それはまた、特に輻射型のホブの場合に、赤外領域の波長における透過率が高くなければならないからである。セラミックホブはまた、それらの使用分野において求められるような、十分に高い機械的強度を有する必要もある。とりわけ、家庭用電化製品の分野でホットプレートとして使用するためには、セラミックホブは、(調理器具を支持するとともにその落下に備えるなどの)良好な圧縮及び衝撃強度(例えば標準規格EN 60335-2-6で規定されるようなもの)を有していなくてはならない。
【0005】
最も広く使用されているセラミックホブは、暗色、特に黒色又は褐色又は橙褐色のものである。これらのホブは特に、600nm未満の透過率が低くなると、赤色の加熱要素、例えば高温の加熱要素、又は赤色の単色LEDをベースとした被照明ディスプレイなどが見えるのを可能にする。より透明であり及び/又は透き通っているセラミックホブ(例えばユーロケラ社により上市されているKeraVision又はKeraResinセラミックホブなど)であって、必要に応じて不透明化コーティングと組み合わせられており、又はフィルターもしくはフィルター効果を有する層と組み合わせられているセラミックホブ(例えばKeraspectrumセラミックホブなど)も、存在し、これらは、他の色の表示を可能にしている。
【0006】
セラミックホブとともに用いられる光源は、一般に、制御機器又は加熱ゾーンを示し、データを表示し、また装飾効果を生じさせ又は見えるようにすることなどを可能にする。用いられる光源は、一般にホブの下に取り付けられ、それによりパターン(例えば加熱ゾーンの稼働を示すピクトグラム又は表象など)を明るくすることができる。これらの光源は、例えば、ホブの下の支持具又はボックスに入れられた1以上の発光ダイオード(LED)から形成することができる。パターンを明るくするのを可能にするために、例えばホブを被覆する1以上の任意選択的な不透明化層に、及び/又は光源を加えるためのシステム(例えばボックスなど)に、1以上の透明なスペースを設けることができる。光源はかなりの強度のものとなり得るので、ユーザーを眩しくさせるのを避けるため、光源とホブの照明することができるパターン又はゾーンのレベルの間に介在する、慣例的にポリマー又はセラミックの、拡散用の要素(例えばディスク又はペレットの形をしたもの)を、挿入することが知られている。電子産業から得られるこれらの要素は、大量生産されるので、とりわけ小さな生産工程向けに、特別な形状のものを製造するのが困難であり、その上これらの要素の取り付けと固定は、手間と費用がかかるものになりかねない。更に、特定の材料(とりわけポリマー)は、高温にさらされる特定のゾーン、例えば加熱ゾーンなどでは使用することができない。
【0007】
ユーザーを眩しくさせないことに加えて、表面全体の明暗が均一な被照明パターンを得ることも望ましく、また、これらのパターン、特に小さなサイズのものが、十分な鮮明さとコントラストで見えるようなものであって、且つその位置を容易に確認できることも望ましい。光がパターンの輪郭に向かって拡散しないこと(拡散する場合にはパターンは鮮明には見えない)も好ましく、また、例えば下面にピンを有するホブを使用する場合には、透明性のためにこれらのピンがパターンのレベルで目に見えるのと、光源からの光の光学的ひずみを誘起しかねないのを防ぐことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、実施するのが簡単であり、十分に強くて且つ耐久性があり、経済的で、効率的な解決策であって、且つ、ガラスセラミック物品の任意の所望のゾーン(任意選択的な加熱ゾーンを含む)にパターン又は被照明表示部を得るために、とりわけ照明しようとするゾーンの寸法と形状に応じ、調整することを可能とするのに十分で、及び/又は、該当する場合には、特定の光学的調整を行うことを可能とするのに十分な順応性のある解決策を追求したものであり、この解決策はまた、被照明パターンが、とりわけガラスセラミックの下面に位置する、1以上の光源により照明されたときにガラスセラミックの下面に現れる被照明パターンの輪郭の明瞭さを保持することを可能にし、また、ユーザーを眩しくさせることとガラスセラミックの下面に位置する要素が目に見えることを回避しながら、又はこれらの要素により誘起される任意のひずみの影響を回避しながら、パターンの全面を均一に照明することを可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、特に少なくとも1つの光源及び/又は少なくとも1つの加熱要素とともに(とりわけそれらをカバーし又は受け入れるために)使用することを意図する、本発明によるガラスセラミック物品(又は製品)により達成され、当該物品は、ガラスセラミックで製作されて且つ照明されるか又は照明しようとする少なくとも1つのゾーンを有する少なくとも1つの基材、例えばプレートなどを含み、当該基材は、少なくとも1種のシリコーン樹脂及び顔料から構成された塗料であって、顔料の割合が塗料の1wt%以上10wt%未満である塗料で、前記ゾーンを被覆される。
【0010】
「被照明」ゾーン(又は明るくされるゾーン)とは、照明しようとするゾーン(特に表示ゾーン)、すなわち、例えば光源及び/又は加熱要素の作動時に、たとえこの作動が時折であっても、照明することを意図するゾーンを意味し、そしてこのゾーン(光源により照明することを意図するもの)は、特に情報を表示するためのゾーン(例えば、1以上の加熱ゾーンが作動中かどうかを、表象もしくはピクトグラム、又は文字などで知らせるゾーン)でよい。このゾーンは、例えば、少なくとも1つの被照明パターンを含み、当該パターン及び/又は当該ゾーンは、特に、例えば基材のコーティングに又は基材に取り付けようとする構成要素に(例えばこのゾーンを照らすために設けられる1以上の光源を支持するボックスに)作られる、1以上の透明なスペースによって画定される(又は画定することを予定される)。
【0011】
塗料タイプの層を有するセラミックホブのコーティングは、既に知られているが、これらは一般に、ガラスセラミックの下に配置された下の構成要素を見えなくすることを目的とした透過度レベルの低い不透明化層であり、そして更に、塗料のほとんどは、加熱ゾーンを上塗りするコーティングゾーンには適していない(標準的にそれらの耐熱性はエナメルコーティングと比べて低いために)。「上」、「下」、「上面」、「下面」などという用語は、ガラスセラミック基材の使用位置で考えられるガラスセラミック基材との相対的な位置関係を表すものであるということに注意されたい(ホッププレートの場合における「上面」は、ユーザーにより見られるそれであり、下面又は「内側」面は、通常はユーザーに見えず加熱ゾーンの方に向けられた、反対側の面である)。
【0012】
本発明で使用する塗料は、被照明ゾーンに上塗りするコーティングゾーン用に、有利なシリコーン樹脂と通常は低比率の顔料とを組み合わせたものであり、本発明により開発されたこの組成物は、ガラスセラミク基材の任意のゾーンにおいて、たとえこれらのゾーンが高温及び/又は強い照明にさらされても、使用可能であり、また、並外れて且つ思いもよらぬことに、関係するゾーンにおける十分で均一な光透過率を得ることと、同時にユーザーの目が眩むのを防止する高レベルの拡散率を得ることの両方を可能にする。これらの2つの特性は、一般には相容れないものである(高レベルの拡散は、一般には低透過率に関連づけられ、逆の場合も同様である)。後に再び説明するように、本発明による塗料コーティングについて得られる光透過率のレベルは、とりわけ30%より高く、同時にその拡散率のレベルは、90%より高い。
【0013】
発明者らは、基材への、又は基材上に必要に応じて存在する任意の隣接層(とりわけ明るくすべきパターンを形成する透明スペースを有する不透明化塗料の層)への、塗料の密着性が良好なことも観測しており、この塗料は更に、良好な耐引っかき性を有する。
【0014】
本発明による解決策は、ユーザーの目を眩ませるリスクがなく、且つ下にある構成要素が原因となる任意のうっとうしい視認性又はゆがみの影響のない、輪郭が明瞭な被照明パターン又は表示部を、ガラスセラミック上の任意の所望のゾーンに恒久的に且つ良好な柔軟性を伴って得ることを、簡単且つ経済的に、任意の面倒な作業なしに可能にする(塗料の層は、とりわけ、スクリーン印刷によって有利に且つ簡単に堆積される)。
【0015】
本発明による物品は、機能性又は装飾性文字の表示部又は少なくとも1つの被照明ゾーンを有するホットプレート又は任意のガラスセラミック物品でよく、例えばガラスセラミックの台所用作業台でよく、あるいは更に場合によっては、(装飾的及び/又は機能的な)表示が主な目的のシステムでもよい。その最も普通の用途では、本発明による物品は、ホットプレートとして働くことを意図するものであり、このプレートは一般に、加熱要素も含む、例えば輻射又はハロゲンヒーター、又は誘導加熱のための要素も含む、ホブ又はコンロに一体化することを意図するものである。もう一つの有利な用途において、本発明による物品は、種々の表示部を有し、必ずしも加熱調理ゾーンのない、台所用の作業台である。
【0016】
本発明による物品は、少なくとも1つのガラスセラミック基材を含み、あるいはそれから形成される。好ましくは、この基材(あるいは、物品がその基材から形成されるのみの場合には物品自体)は、とりわけ少なくとも1つの光源及び/又は加熱要素をカバーし又は受け入れることを目的とする、プレートである。この基材(又はこのプレート)は、一般に幾何学的形状のものであり、特に長方形、正方形、円形又は長円形などのものであって、一般的に、使用位置における「上」面又は「外側」面(目に見えるか又はユーザーの方を向く面)、もう一つの、使用位置における「下」面又は「内側」面(一般に隠された面、例えばラック又はキャビネット内に隠された面)、及び端部(薄い縁部又は層)を有する。上面は、一般に平坦で平滑であるが、少なくとも1つの表面起伏ゾーン及び/又は少なくとも1つのくぼみゾーン及び/又は少なくとも1つの開口部及び/又は面取りした端部(これらの形状は、基材の製造中に、例えば圧延又は陥入又はプレス成形などにより加えられるか、又は後に加えられる)などを有することもでき、形状のこれらの変動は、プレートを(材料の変更又はコネクタなしに)切れ目なく変化させるのに有利である。下面は、本発明によれば好ましくは平坦で平滑であるが、必要に応じて構造化した構成要素を有することもできよう。
【0017】
ガラスセラミック基材の厚さは、一般には少なくとも2mm、とりわけ少なくとも2.5mmであり、且つ有利には15mm未満であって、特に3~15mm程度、特に3~6mm程度である。基材は、好ましくは、平坦であるか又はほとんど平坦なプレート(特にプレートの対角線のたわみが0.1%未満、好ましくはほぼゼロ程度のもの)である。
【0018】
基材は、任意のガラスセラミックをベースとすることができ、この基材は、CTEがゼロ又はほとんどゼロ、特に20℃と300℃の間で30×10-7K-1未満(絶対値で)、とりわけ、20℃と300℃の間で15×10-7K-1未満、あるいは更には5×10-7K-1未満であるのが有利である。
【0019】
好ましくは、とりわけ任意のガラスセラミックをベースとしており、本質的そのガラスセラミックの光透過率(transmission lumineuse)が0.8~40%、特に0.8~5%、とりわけ0.8~2%であり、光学透過率(transmission optique)(所定の波長での入射強度に対する透過強度の比として公知のやり方で測定される)が、可視領域内にある625nmの波長について少なくとも2.5%である、透過率と拡散率が小さく、暗い外観の基材が使用される。「本質的に」とは、プレートが、いかなるコーティングの存在もなしに、それ自体で前述の透過率を持つことを意味する。特に、下にある任意の構成要素を隠しながら、被照明ゾーン又は装飾性の効果を見えるようにするのを、下に配置された光源との組み合わせでもって可能にする、黒色又は褐色の外観の基材が使用される。とりわけ、それは、膨張係数の絶対値が有利には15×10-7K-1以下、又は更には5×10-7K-1以下である、残留ガラス質相内にβ石英構造の結晶を含む黒色のガラスセラミック、例えばユーロケラ社からKerablack+の名称で上市されているホブのガラスセラミックなどをベースとすることができる。とりわけ、それは、欧州特許出願公開第0437228号明細書、米国特許第5070045号明細書又は仏国特許出願公開第2657079号明細書に記載された組成を有する、ヒ素で清澄されたガラスセラミック、又はヒ素酸化物レベルが0.2%未満の、例えば国際公開第2012/156444号に記載された組成を有する、スズで清澄されたガラスセラミック、あるいは更には国際公開第2008/053110号に記載された硫化物で清澄されたガラスセラミックでよい。
【0020】
本発明による物品を形成する基材は、照明しようとするゾーンが塗料(あるいは塗料のコーティング、又は塗料の1以上の層)を施され(あるいはそれを備え又はそれで被覆され)、この塗料は、本発明により、少なくとも1種のシリコーン樹脂と低比率の顔料から形成される(又はそれらをベースとする)。使用されるシリコーン樹脂(又はポリシロキサン)(特にポリマー、モノマー及び/又はオリゴマーの形であり、該当する場合には架橋可能である)は、特に、アルキル基(任意選択的に芳香環を含んでもよい)、フェニル基(又はアリール属のうちからのその他の基)、アルケニル基、ビニル基、アリル基、アルキニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の基を取り入れることによって変性されたシリコーン樹脂から選択することができる。有利には、塗料中のシリコーン樹脂は、少なくともハロゲン、エポキシ、ポリエステル官能基によって官能化されていない(又はそれらを含まない)樹脂である。塗料のために使用されるシリコーン樹脂は、とりわけ、ポリメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサンコポリマーなどから選ばれる1種以上のポリシロキサン又はシルセスキオキサン樹脂でよい。
【0021】
好ましくは、本発明に従って使用される塗料組成物中のシリコーン樹脂の比率は、塗料(該当する場合には溶剤、無機充填剤、添加剤なども含めた、堆積されるときの全塗料組成物)の少なくとも25wt%であり、一般には塗料の少なくとも30~43wt%であって、塗料の乾燥生成物に対するその比率は少なくとも40wt%である。
【0022】
前述のとおり、本発明に従って使用される塗料は、顔料からも形成され、顔料の比率は、塗料(該当する場合には溶剤、無機充填剤、添加剤なども含めた、堆積されるときの全塗料組成物)の1wt%以上10wt%未満であり、好ましくは塗料の2~6wt%、特に塗料の2~4wt%である。
【0023】
塗料を作るために使用される顔料は、好ましくは無機の顔料である。それらは、特に、金属酸化物、例えばチタン酸化物、クロム酸化物、銅酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、亜鉛酸化物、マンガン酸化物、セリウム酸化物などをベースとする顔料から選ばれる。白色顔料、特に且つ有利にはチタン酸化物TiO2をベースとする顔料(例えばKemira社によりKemira 300の呼称で上市されているもの、又はChemours社によりTiPure R900の呼称で上市されているものなど)を、顔料として、特に単一の顔料として使用するのが好ましい。本発明において選択される顔料は、好ましくは、いわゆる「エフェクト」顔料、すなわちエフェクトコーティングを備えた、特に反射効果を備えた顔料を除外する。その理由は、エフェクト顔料は必要とされる光学的特性に望ましくない影響を及ぼしかねないからである。
【0024】
顔料は、特に、前述のシリコーン樹脂(結合剤としての役目を果たす。「シリコーン結合剤」という用語が、シリコーン樹脂を表すのに使用されることもある)中に、及び/又は添加されるメジウム(下記で説明する)中に、溶解されるか又は分散される。顔料は、一般に、結合剤又はメジウム中に懸濁されるか又は分散される前は粉末の形態をしている。本発明では、顔料は、顔料の(又はこれらを形成している)粒子のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、あるいは更には少なくとも90%が、これらの粒子の形状にかかわらず、0.1~10μmの範囲の寸法又は大きさを有するように選ばれるのが好ましい。
【0025】
粒子の大きさは、その相当直径であり、すなわち、当該顔料を形成している粒子(又は当該粒子から形成された粉体)の粒度分布を分析する間に同様にふるまう球の直径であって、この粒度分布(粒径をひとそろいにしたもの)は、特にレーザー粒度分布測定により測定される。有利には、本発明で使用するインク中に存在する顔料(の粒子)の少なくとも50%(数で)、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも90%は、0.1~10μm、特に0.1~1μmの大きさ(とりわけTiO2をベースとする白色顔料について)を有する。
【0026】
前述のシリコーン樹脂は、特に、塗料中の顔料粉末をコーティングし、そして乾燥後の粒子の一括の凝集で中実の塗料層ができるのを可能にする。該当する場合には、塗料、特に堆積のための準備ができている形にある塗料は、顔料を結合するシリコーン樹脂に加えて、塗料組成物に加えられるときにシリコ-ン樹脂の一部を形成する(又はそれとともに加えられる)及び/又は塗料の一部を形成する(又はそれに加えられる)、少なくとも1種の(その他の)メジウム又は溶剤(あるいは該当する場合には希釈剤)も含有する。この溶剤は、基材上へ塗布するための所望の粘度に調整することを可能にし、また、塗料を基材に予備的に結合させるのを可能にする。例えば、ホワイトスピリット(又は重質ナフサ)、キシレン、テルピン油などを、溶剤として使用することができる。堆積する際の塗料中における溶剤の比率は、一般に塗料のおよそ20~40wt%程度であり、溶剤はその後、最終的な層を得るために除去される(この除去は、主として乾燥中に行われる)。
【0027】
有利には、本発明に従って使用される塗料は、特により良好な塗布のために、水又は水性溶剤を含まない。
【0028】
ほとんどの場合、塗料は、1種以上の無機又は鉱物性充填剤(顔料以外のもので、特に加熱乾燥中に溶融しないもの)も含み、これらの充填剤は、有利には不溶性であって、特に補強の役割を有し又は全体の熱安定性にも寄与し(これらの充填剤は、顔料とは違って、わずかな不透明性を与えるだけである)、例えば、炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムから作られ、及び/又は硫酸バリウムから作られ、シリカ又はケイ酸塩から作られる、特にカオリン、タルクなどから作られる、1種以上の充填剤であり、一般には、塗料の凝集力又は機械的補強を確保するために、塗料の少なくとも20wt%及び好ましくは40wt%を超えないレベルで含まれ、好ましくは塗料の20~35wt%のレベルで含まれる。好ましくは、塗料は特に、とりわけ塗料の良好な熱的安定性のために、無機充填剤としてタルクを含む。
【0029】
塗料はまた、任意選択的に、その他のタイプの成分、例えば1種以上の添加剤(特に湿潤剤、安定剤、分散剤、界面活性剤、pH調整剤又は粘度調整剤、殺生物剤、消泡剤、酸化防止剤、乾燥剤など)を含むこともできる。
【0030】
エナメル組成物と違い、本発明による塗料組成物は、焼結されたガラス、又は一緒になってガラス質のマトリクスを形成することができる成分を含まない。本発明による塗料組成物は、堆積時には分散液の形をしており、且つまた有利には、塗料のより良好な塗布のためにシリカゲル又はコロイダルシリカを含まない(加水分解物又はゾルゲルと違い、それは、特に作るのと使用するのがより簡単である)。
【0031】
本発明による好ましい実施形態では、本発明による塗料は、下記の組成を有し(又は下記の成分を下記に規定した範囲内で含み):
・シリコーン樹脂 25~45%、好ましくは30~45%
・顔料(特に白色) 1~10%、好ましくは2~6%
・充填剤(特にタルク) 20~40%、好ましくは20~35%
・溶剤 20~40%、好ましくは20~35%
ここでの比率は、重量百分率(堆積の準備ができた塗料組成物の全重量に対するもの)として表されている。
【0032】
固化すると、塗料コーティングが、主に上述のシリコーン樹脂、充填剤及び顔料から形成される。塗料組成物は、主として無機質/鉱物質であり、すなわちそれは、塗料の乾燥生成物に対し少なくとも50wt%の無機成分を含む。
【0033】
堆積の前には、塗料は、一般にペースト様コンシステンシーの安定した固液混合物の形をしており、塗料の堆積時の粘度は、好ましくは1500mPa・sと3000mPa・sの間、特に1600mPa・sと2100mPa・sの間である。
【0034】
塗料は、これらの成分を必要とされる比率で混合し、必要に応じて溶剤を加えて粘度を調整することにより直接作ることができ、さもなければ既存の不透明化塗料組成物から、この塗料を、顔料を除いて同じ成分をベースとする透明塗料を使って希釈することにより作ることができる。本発明により使用される塗料は、好ましくは白色であるが、必要ならば、特に知覚される照明の色を変更するために、着色されていてもよい(白色でなく着色された顔料を選ぶことにより)。
【0035】
塗料は、好ましくは、(後述のように)既に一部を被覆されているか又は被覆されていない、ガラスセラミック基材の、有利にはこの基材の下面の、特に後述の透明なスペースによって画定された、(被照明ゾーンに向き合った又は相対する側の)適切なゾーンに、及び当該透明なスペースのおのおのによって画定された全面又は当該被照明ゾーンに向き合った又は相対する側の全面に、(特に一様の色調の形をとって)スクリーン印刷することにより、素早く且つ容易に(1以上の層でもって、好ましくは1つの層でもって)塗布され(この堆積は、基材の任意選択的なセラミック化後に行われる)、スクリーン印刷による堆積が、とりわけ、多様で正確なパターンを得ることを可能にする。
【0036】
好ましくは、例えばポリエステルの糸又はポリアミドの糸の布帛からなる、使用されるスクリーン印刷の網(又はスクリーン)は、1cm当たりの糸数が43本と120本の間となり、塗料コーティングの特に好適な厚さと輪郭の明確さを得るのを可能にするように選択される。
【0037】
こうして、最終的な塗料コーティングの厚さは、好ましくは25μm未満、特に2μmと20μmの間、とりわけ4μmと15μの間、あるいは更には6μmと15μの間となる。
【0038】
堆積された塗料は、乾燥され及び/又は固化するに任され、あるいは焼き付けられる。焼き付けは、存在している塗料のその他の任意選択的な層とともに行ってもよい。塗料は、特に、セラミック化した基材上でほぼ350~500℃程度の温度で(再度)焼き付けてもよく、乾燥及び/又は固化及び/又は焼き付け後に得られる最終の塗料コーティングが、ポリマーベースの層を形成する。
【0039】
選択した塗料は、ガラスセラミック材料への良好な密着性を有すること(支持体の前処理を必要とせず、及び/又は付着促進剤、下塗りもしくはプライマーの使用を必要とせずに)、及び(とりわけエナメルとは違って)ガラスセラミック基材を機械的に弱くしないことを観測することができる。
【0040】
それは、提案される好ましい用途(例えば調理用ホブのような、高温にさらされる化粧プレート)に関する制約、特に熱的及び機械的な制約に、経済的で、簡単で且つ効率的な仕方で配慮しながら、いろいろな形状のゾーンをカバーすることができ、作製されたコーティングは、良好な耐性(特に機械的耐性、熱的耐性、及び/又は摩耗に対する耐性)と良好な耐久性を有する。
【0041】
被覆された物品は、特に、様々なタイプの加熱システムの使用に適合する良好な熱安定性を有し、保守、引っかき又は摩耗のいかなる問題も引き起こすことがない。
【0042】
有利なことに、塗料は、高温に耐える。詳しく言えば、その劣化温度は、350℃より高く、特に350℃と700℃の間である。
【0043】
更に、ガラスセラミックと組み合わされた、選択した塗料は、下にある構成要素を十分に隠すのを可能にするが、稼働時にそれらを視覚的に感知するのを妨げることはなく、また、被照明ゾーンの十分で均一な照明を可能にする一方で、ユーザーの目を眩ませるリスクがない。
【0044】
堆積された、半透明でもあり拡散性でもある塗料、又は塗料コーティングは、特に、光透過率LTが30%を超え、好ましくは38%を超え、とりわけ40%を超え、更には最高で60%に至り、そして同時にその拡散率のレベルは、90%より高く、特に90%以上であって、このレベルは最高で100%に達することもある。
【0045】
分光測光器をむき出しの基材(塗料層なしの基材。塗料層を除去するか、又は基材を当該層で被覆されていないゾーンで試験するか、又は塗料コーティングのない同じ基材を使用する)で校正し、そして次に、入射光ビームの当たる側に塗料を配置して、塗料で被覆された基材について測定を行うことにより、光学特性の測定を必要とする塗料で被覆された基材上の、好ましくは当該塗料を備えた透明又は半透明の基材上の塗料の光学的測定を、標準規格EN 410に従って行い、こうして得られたスペクトルが、コーティングだけのスペクトルとなる。
【0046】
光透過率TL(塗料の、又は塗料層についてと同じやり方で測定したその他のコーティングの、又は基材の、又は被覆された基材のもの)は、D65光源を使用して標準規格EN 410に従って測定され、これは、直接の透過とあらゆる拡散透過の両者を考慮した全透過率(詳しく言えば、可視領域で積分し、ひとの目の感度曲線により重み付けしたもの)であり、測定は、例えば、積分球を装備した分光測光器を使って(特に、Perkin Elmer社によりLambda 950の呼称で上市されている分光測光器を用いて)行われる。
【0047】
光拡散率のレベルは、本発明との関連では、D65光源を使用した全透過率に対する拡散透過率の比として定義され、このレベルは、例えば、光透過率の測定のために使用する積分球を装備した分光測光器を使って求められる。
【0048】
上述のように、本発明に従って選択される塗料は、被照明ゾーンに向かい合うゾーンをカバーし、これらのゾーンは一般に、透明なスペースによって画定される。
【0049】
詳しく言えば、ガラスセラミック基材は、当該基材を覆っており、且つその範囲内に、形成しようとするパターン又は被照明ゾーンの形状の少なくとも1つの透明スペースが作られた、特に光透過率LTが0.5%未満の、不透明化するコーティング(又は覆い隠すコーティング、あるいは不透明化する層)(例えば、特に上面上の、エナメルのコーティング、又は特に下面上の、塗料のコーティング)を少なくとも1つ含むことができ、塗料が、上述の不透明化コーティングを堆積する前及び/又は堆積した後に透明スペースの箇所に堆積される。
【0050】
透明スペースは、例えば、不透明化コーティングを堆積する間、当該ゾーンをマスクを使って隠し、堆積後にそれを除去すること、又は例えば、当該ゾーンに不透明化コーティングを堆積するためのスクリーン印刷のスクリーンの開口部を塞ぐこと、又は不透明化コーティングを作製しようとするゾーンを正確に作製のターゲットとすることなどによって、作ることができる。透明スペースは、特に、パターン、文字、表象、イメージ、写真、ピクトグラフ、幾何学図形、線画などの形態をとることができる。
【0051】
それとは別に、被照明ゾーンは、ガラスセラミック基材上に塗料を堆積後に適用された手段又はマスクでもって(例えば光源を入れるためのボックスでもって)作られた透明スペースにより画定してもよい。
【0052】
本発明による塗料が、各透明スペースに塗布され、光源により放射された光が、ガラスセラミック基材を通過する前にこの拡散性のゾーンを通過して、被照明パターン生じさせる。塗料は、好ましくは、ガラスセラミックの下面の被照明ゾーンと当該ゾーンに光を当てようとするそれぞれの光源との間にあり、この塗料は特に、光源によって所望の被照明ゾーンに向けて放射された放射線の取り出しを可能にする。各ゾーン又は当該透明スペースに適用される塗料コーティングは、特に、それが適用される透明スペースと同じ形状及び/又は寸法(あるいはおおよそ同じ形状及び/又は寸法)であるが、これら2つのゾーンを完全に整合させる必要はなく、及び/又は不透明化コーティング上へはみ出す(例えば透明スペースの周囲のコーティングのうちの数ミリメートルの範囲を覆う)。光源により放射され、パターンのレベルに集中される光は、透明スペースのみで拡散し、得られるパターンの輪郭は特にはっきりしているが、パターンの下にある構成要素を知覚できるようにすることはない。
【0053】
本発明による有利な実施形態では、本発明による基材は、2つの不透明化コーティング、又は不透明化層、特に不透明化塗料の2つの層を含むことができ、ガラスセラミック基材の下面の下に堆積される、不透明化コーティングのうちの一方は、照明しようとする1以上のゾーンを画定する1以上の透明スペースを有し、当該透明スペースに本発明による塗料が塗布され、そしてもう一方のコーティングは、本発明による拡散用塗料の端部を被覆して、本発明による塗料が、言うなれば、2つの不透明化コーティングの間に挟まれる。この実施形態は、特に、透明スペースの周囲のゾーンをよりよく不透明化する。
【0054】
本発明によるもう一つの有利な実施形態(上述の実施形態に代わる、又はそれに累加するもの)では、本発明による基材は、本発明による拡散用塗料のコーティングの上に(塗料とこれに対向して向き合う光源との間に)又はその下に(塗料とガラスセラミック基材との間に)、少なくとも1つの着色層又はフィルターを含み、及び/又は当該塗料が着色される。着色層又はフィルターは、本発明による塗料コーティングの上にあるか、さもなければ塗料の層とこれに対向して向き合う光源との間にあるのが好ましい(言い換えれば、本発明による塗料が少なくとも1つの着色層又はフィルターにより被覆される)。
【0055】
該当する場合には、基材は、1つ以上の追加の、特に局所的な、コーティング(例えば、簡単なパターン又はロゴを形成するための上面上のエナメル)を含むことができる。
【0056】
本発明による物品はまた、特に、設けられた被照明ゾーンを稼働時に照らし、そして基材の下面に、特に対応する被照明ゾーンに光を当てるように配置された、少なくとも1つ以上の光源、及び/又は1つ以上の加熱要素(例えば1つ以上の輻射要素もしくはハロゲン要素、及び/又は1つ以上の大気ガスバーナー、及び/又は誘導加熱のための1つ以上の手段など)も含む。光源は、ディスプレイタイプの1以上の構造体(例えばいわゆる「7セグメント」の発光ダイオードを備えたもの)、タッチセンサー式のデジタル表示の電子制御パネルなどに、組み入れ/連結することができる。光源は、有利には、任意選択的に1以上の光導波路と組み合わせた、いろいろな間隔をとった発光ダイオードにより形成される。ダイオードは、特に全体的な寸法、効率、耐久性、及び周囲の条件(熱など)に対する耐性の点で、本発明において有利である。
【0057】
ダイオードは、支持体又はストリップ又はベースにより支持することができ、このベースは、より良好な照明効率のために処理され及び/又は反射性にされた(平坦な又は傾いた)面を有することができる。
【0058】
光源の(物品のプレート又は別の構成要素への、例えば制御パネルへの)組み込みは、溶接、クリップ止め、接着などにより、該当する場合には別の構成要素を介して、行うことができ、例えば、金属異形材の底部に収容した支持体自体に溶接したダイオードを、異形材のクリップ止め又は接着によって取り付けることができる。光源の(特にプレートに対する相対的な)位置決めは、ガラスセラミックを介した表示を可能にするように調整される。
【0059】
光源も、並びにそれらへの給電及びそれらの作動も、所望の被照明ゾーンを要求に応じて同時に又は個別に照明するのを可能にするように、別々にしてもよく又は別々にしなくてもよい。
【0060】
光源は、任意の制御システムにより、例えば電気機械式のボタン又はタッチセンサー式のエリアにより、作動させることができ、特に光源は、ガラスセラミックの始動ゾーンのしかるべき位置に指を置くことによる静電容量式メカニズムを用いて始動させることができ、この始動ゾーンは、ガラスセラミックの、特に本発明による被照明ゾーンに対応する表面に、表示されている。指(電気の伝導体)の接触が、静電容量を変化させ、電荷がそれへ移動し、静電容量の変化が測定システムにより検出されて、特に後者が関連する光源の作動を開始させる。
【0061】
好ましくは、本発明による物品は、少なくとも1つの加熱ゾーンがオンであるかオフであるかを示すことを目的とする少なくとも1つの被照明ゾーン(オン/オフ(ON/OFF)ゾーンと呼ばれるゾーンであり、このゾーンの照明すべきパターンの輪郭を画す透明スペースが、例えばスイッチが入っていることを表象するピクトグラムの形をしている)を含む。このように、本発明による物品は、好ましくは、不透明化コーティング(例として、例えば当該ゾーンの上面に堆積させたエナメル、あるいは例えば基材の下面に堆積させた塗料など)を含み、このコーティングは、局所的なもの(例えばディスクの形をしたもの)であるか、あるいは基材の当該面のより大きな部分にあり、選択されたパターン(例えば上述のオン/オフパターンなど)による透明スペースが、この不透明化コーティングの中に作られる。このパターンは、例えば、それが、例えば制御パネル上に位置する、オン/オフの制御キーであることを示し、このキーは、例えばガラスセラミック上の当該キーの上に指を置くことよって静電容量式のメカニズムにより作動する。このキーの作動が、光(例えば赤く着色したもの)を放射するLEDのスイッチを入れる。このLEDにより放射された光は、光源の上方でガラスセラミックの下に位置する本発明による塗料によって拡散され、このゾーンの塗料コーティングは、例えば円形の形をしており(あるいは環状又はディスク状の形であり、直径が例えば透明スペースのそれに相当している)、透明にされたゾーンのレベルに(ガラスセラミック基材の上表部に)赤色の光が現れる。
【0062】
任意選択的に、物品は、光源と一緒に、物品の一部分から別のところへ光を(特に全内部反射により又は金属反射により)伝搬することを目的とした導波路を少なくとも1つ含む。光源は、導波路と相互に作用し、そして例えば関係する導波路の切断された端面又は細長い端面に放射し、それと結合される。導波路は、透き通っているか又は透明であるのが有利であり、一般的には基材の下面に配置される(別個に設計された後に取り付けられる)。それらは、有機及び/又はプラスチック材料(例えばポリカーボネート又はポリメチルメタクリレート)製、又は無機材料製、特にガラス製でよい。それらは、基材に、又は物品を取り付ける支持体に、接着及び/又はクリップ止めにより、又は封止によるなどして、固定することができる。導波路は、とりわけ基材が暗色である場合に、何よりも光を所望の被照明ゾーンへよりよく導くのを可能にする。該当する場合には、導波路の端面の幾何学形状及び粗さを調整して、光の局所的な管理された取り出しを可能にすることができる。
【0063】
本発明による物品は、該当する場合、上述のコーティングを備えた基材に加えて、その他の構成要素及び/又は層を含んでもよい。例えば、調理用モジュール又はホブの場合には、物品は、追加の機能性又は装飾性の構成要素(フレーム、コネクタ、ケーブル、制御要素)などを装備することができる。それは、エナメル、塗料などをベースとしたいろいろな機能性及び/又は装飾性のコーティングを含んでもよい(例えば、基材の面のうちの一方が、例えば装飾性の、又はマスキングのためなどの、少なくとも1つのエナメルの層を含んでもよい)。基材又は物品は、内部に1以上の加熱要素が配置される器具に取り付けることもできる。このように、本発明は、本発明による(例えばプレートの形をした)物品を少なくとも1つ含む、調理のための及び/又は高温を維持するための全ての器具、例えば調理器具、作り付けのホブなどに関するものであり、当該物品は、様々なタイプの加熱要素(ガス、輻射、誘導など)を含むことができる。更に、本発明は、調理器具又はホブのためのホットプレートの製造に限定されない。本発明による物品は、上述のとおり、その他の物品(作業台、コンソール、セントラルアイランドなど)であってもよい。
【0064】
既に述べたように、本発明は、本発明による物品を製造する方法であって、少なくとも1種のシリコーン樹脂と顔料とから作られた塗料であって、顔料の比率が当該塗料の1%以上10%未満である塗料で、ガラスセラミック基材の少なくとも1つの被照明ゾーンを被覆する、物品製造方法にも関する。既に述べたように、塗料は、セラミック化により事前に得られたガラスセラミック基材に適用される。
【0065】
念のために言うと、ガラスセラミック基材は、一般に次のように製造される。ガラスセラミックを作製するために選ばれた組成のガラスを溶融炉内で溶融させ、次いで溶融したガラスを圧延ローラ間を通過させることにより圧延してストリップ又は標準的なシートにし、そしてこのガラスストリップを切断して所望の寸法にする。次に、こうして切断したプレートを、それ自体は既知の方法でセラミック化する。セラミック化は、膨張係数がゼロ又はほとんどゼロで、700℃までの熱衝撃に耐える、「ガラスセラミック」と呼ばれる多結晶材料に変えるために選ばれた熱プロファイルに従ってガラスを焼成することからなる。一般的に、セラミック化は、温度を、一般にはガラスが変態する領域の近くにある、核生成領域まで徐々に上昇させる工程、核生成範囲を数分間で通過させ、セラミック化段階の温度まで再び徐々に昇温し、セラミック化段階の温度を数分間保持し、そして次に室温まで急冷する工程を含む。
【0066】
塗料は、特に一様の色調を得るのを可能にする、任意の好適な時間のかからない技術により、例えばブラシ、スキージー、吹付け、静電塗装、浸漬、カーテン塗装、スクリーン印刷、スプレイヤーによる堆積などにより、塗布することができる。塗布は、好ましくはスクリーン印刷によりなされる。塗布後には、必要に応じて、とりわけ100℃と250℃の間での、乾燥(風乾、又は熱処理による乾燥)が、例えば赤外線加熱による又は乾燥器での乾燥が行われ、それにより該当する場合に存在する溶剤を少なくとも部分的に蒸発させ、コーティングを固定させて物品の取り扱いを可能にし、その後一般的に、塗料で被覆された基材を熱処理して、それにより塗料の焼付け/架橋を行い、そして該当する場合にはあらゆる溶媒残留物を除去する。塗料コーティングを備えた基材の焼成は、基材をセラミック化させる操作(この場合、それはアニーリング又は再焼成を伴う方法と言われる)とは切り離して行われるので、この焼成は、特に塗料の焼付けのための好適な温度で行うことができ、この温度範囲は、本発明については特に80℃と500℃の間である。
【0067】
該当する場合、上述の方法は、切断操作(一般にセラミック化前の)、例えばウォータージェットによる、研削砥石での機械的な罫書きによるなどの切断操作と、その後の成形操作(研削、面取りなど)も含む。
【0068】
本発明とその利点は、単に例示目的で提示し、限定するものでない、以下の例を読解することでよりよく理解される。
【実施例】
【0069】
この例では、製造される物品は、ユーロケラ社によりKeraBlack+又はKeraVisionの呼称で上市されている、半透明の黒色ガラスセラミックプレート(基材)を含む平らな調理用モジュールであり、このプレートは、平滑な上面及び平滑な下面を有しており、この物品は更に、プレートの下に寄せて固定された光源を含んでいて、この光源は発光ダイオード(LED)である。更に、33wt%のシリコーン結合剤、26wt%のタルク、26wt%の、キシレンとホワイトスピリットをベースとする溶剤、及び15wt%の、グラファイト及びランプブラックをベースとする黒色顔料からなる不透明化塗料を、スクリーン印刷を使用してプレートの下面に堆積させ、堆積させる層の厚さはほぼ15μm程度である。この堆積物は、一様の色調の形でもって作られ、稼働していることを表示するピクトグラムの形をした透明スペースが、堆積の際に使用されるスクリーン印刷のスクリーン内の対応するマスクを用いて、この堆積物内に作られる。作られたパターンは、それが制御ゾーン(オン/オフゾーン)であることを示すものであり、このゾーンの作動は静電容量のメカニズムにより行われる。堆積した層はその後、約220℃で乾燥される。
【0070】
並行して、30wt%のシリコーン結合剤(半分は、ダウ・コーニング社により249の呼称で上市されているシリコーン樹脂であり、他の半分はバイエル社によりP850の呼称で上市されているシリコーン樹脂である)、25wt%のタルク、25%の、エクソンモービル社によりSolvesso 100の呼称で上市されているキシレン及びホワイトスピリットをべースとする溶剤、及び20wt%の、Kemira社によりKemira 300の呼称で上市されているTiO2をベースとする白色顔料からなる不透明の白色塗料組成物から出発して、拡散用塗料の組成物を作り、この不透明の白色塗料組成物をその後、顔料を除いてこの不透明の白色塗料と同じ成分からなり、すなわち37.5wt%のシリコーン結合剤、31.25wt%のタルク、31.25wt%の溶剤からなり、今回は透明な、第2の塗料を用いて、透明塗料80重量部に対し不透明化塗料20重量部の比率でもって希釈する。36wt%のシリコーン結合剤、30wt%のタルク、30wt%の溶剤、及び4wt%の、TiO2をベースとする白色顔料という組成を有する塗料が得られ、これらの顔料は、0.1μmと1μmの間の粒子寸法(これらの顔料の粒子の少なくとも90%について)を有する。2つの塗料を混合し、そして必要ならば粘度を、1600mPa・sと2100mPa・sの間となるように調整し(粘度は、Brookfield社により上市されているBrookfield DV-II + Proという呼称の機器を使って測定される)、必要ならば、粘度が高過ぎる場合にはSolvesso 100という呼称の溶媒を加え、あるいは粘度が低すぎる場合にはEvonik社により上市されているAerosilという呼称のシリカの形をとった増粘剤又は充填剤を加える。
【0071】
その後、得られた塗料を、ガラスセラミックプレートの下に作られた透明スペースにスクリーン印刷により塗布し、次に205℃で乾燥させ、次いで全ての塗料層を約450℃で焼付ける。堆積は、90番のスクリーン印刷の網を使用して、すなわち1cm当たりに90本の糸を用いて行う。比較のために言えば、32番の網を使用して作成した堆積物は過度に粗く、43番の網を使用して作製したそれは過度に厚く、過度に不透明である。堆積は、不透明化塗料の層に残された、最終の組立体で照明するところが位置する透明スペースを2~5cmオーバーフローさせることで行われる。
【0072】
焼付け後の拡散用塗料の層の厚さは、10μmである。その光透過率も、今回は透明な、ガラスセラミック基材を被覆して(以前と同じようにして)、塗料の光透過率を測定するための方法において先に示したように測定する。拡散性塗料の層について得られた光透過率は、46.2%であり、上述の塗料の層で被覆した本例の黒色基材としてのそれは、1.4%である。同時に、(透明基材上の)拡散性塗料の層についての光拡散率のレベルは、99%である。
【0073】
これらの値は、ガラスセラミックの下に又は光源(この光源は、必要に応じてPVCで封止されてもよい)の上に接着した厚さ0.2~0.60mmのポリマー(例えばポリ塩化ビニル(PVC))の拡散用ペレット(拡散用塗料に代わるもの))を用いて得られるそれに近いが、このペレットの取り付けは、本発明による塗料を用いるよりも複雑であり、且つ得られる照明はそれほど均一でなく、このペレットでは、とりわけ強度のピークが、下に位置するLEDのホットスポット又は光ビームの上方で観測される。
【0074】
やはり比較のために言うと、不透明化塗料(希釈されておらず、顔料比率20wt%)の層について得られる光透過率は、19.9%であり、不透明化塗料の上記の層で被覆された本例の黒色基材そのものについてのそれは、ほぼ0%程度であって、これらの光透過率は(顔料の比率を10wt%とするように希釈した同じ塗料について得られたそれも)、得られた拡散率のレベル(これら2つの事例ではほぼ95%程度)との組み合わせにおいて、ユーザーを眩しくさせることなく十分な均一な照明を得るのには不十分であることが分かる。
【0075】
経時変化及び熱安定性試験も、誘導加熱ゾーン(数分間から数十分間450℃と600℃の間のいろいろの温度に達したもの)の上に片手鍋を忘れておくという不測の状況をシミュレーションして行い、本発明による拡散性塗料では着色又は劣化は認められず、ホブの下面の不透明化塗料は変色をこうむったのと対照的であったが、しかしながらこの変色は、照明されたときでも基材の上面で目に見えなかった。
【0076】
したがって、堆積した拡散用塗料は、誘導ホットプレートの低温ゾーン(制御パネル)から高温ゾーン(調理ゾーンの内側)に至る全てのゾーンでこの塗料を使用するのを可能にする良好な耐熱性と、光の最大の透過及び拡散の好適な組み合わせ、適用及び特性の調整の卓越した容易さ、及び穏当なコストの両方を提供する。
【0077】
本発明による物品、特にプレートは、とりわけ、調理器具又はホブのためのホットプレートの新たな分野、又は作業台、コンソール。セントラルアイランドの新たな分野などを創設するのに有利に使用することができる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~20に記載する。
〈項目1〉ガラスセラミック物品であり、特に少なくとも1つの光源及び/又は少なくとも1つの加熱要素とともに使用することを意図するガラスセラミック物品であって、前記ガラスセラミック物品が、ガラスセラミック製の少なくとも1つの基材、例えばプレートを含み、且つ少なくとも1つの被照明ゾーンを有しており、かつ前記基材が、少なくとも1種のシリコーン樹脂及び顔料から形成された塗料であって、顔料の比率が前記塗料の1wt%以上10wt%未満である塗料で、前記ゾーンを被覆されている、ガラスセラミック物品。
〈項目2〉前記顔料が白色顔料であり、特にそれらは、チタン酸化物TiO
2
をベースとする顔料であり、この(これらの)顔料の比率が、好ましくは前記塗料の2~6wt%であり、当該塗料からエフェクト顔料が除外されていることを特徴とする、項目1に記載のガラスセラミック物品。
〈項目3〉前記顔料の粒子のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも90%が、0.1~10μm、特に0.1~1μmの寸法を有することを特徴とする、項目1又は2に記載のガラスセラミック物品。
〈項目4〉前記塗料が、有利には不溶性である、1種以上の無機又は鉱物性充填剤、例えば、炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウム、及び/又は硫酸バリウム、シリカ又はケイ酸塩、特にカオリン及び/又はタルクから作られた充填剤を、前記塗料の少なくとも20wt%及び40wt%を超えないレベルで、好ましくは前記塗料の20~35wt%のレベルで含んでいることを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目5〉前記塗料のうちの前記シリコーン樹脂が、アルキル基、フェニル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、アルキニル基のうちから選ばれる少なくとも1種の基を取り入れることによって変性されたシリコーン樹脂から選択された樹脂であり、有利には、少なくともハロゲン、エポキシ、ポリエステル官能基によって官能化されていないことを特徴とする、項目1~4のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目6〉前記塗料が、水又は水性溶剤を含まないことを特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目7〉前記塗料が、焼結されるガラス又は一緒になってガラス質マトリクスを形成することができる成分を含んでいないことを特徴とする、項目1~6のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目8〉堆積中における前記塗料が、分散液の形をしていて、且つ特にシリカゲル又はコロイダルシリカを含んでいないことを特徴とする、項目1~7のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目9〉前記塗料が、比率が重量百分率で表される下記の組成を有することを特徴とする、項目1~8のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品:
・シリコーン樹脂 25~45%、好ましくは30~45%、
・顔料 1~10%、好ましくは2~6%、
・充填剤 20~40%、好ましくは20~35%、
・溶剤 20~40%、好ましくは20~35%。
〈項目10〉前記塗料の堆積時の粘度が、1500mPa・sと3000mPa・sの間であることを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目11〉前記塗料のコーティングの厚さが、25μm未満、特に2μmと20μmの間、とりわけ4μmと15μmの間であり、前記塗料が、好ましくは前記ガラスセラミック基材の下面にあることを特徴とする、項目1~10のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目12〉前記塗料が、ポリマーベースの層を形成していることを特徴とする、項目1~11のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目13〉前記塗料のコーティングが、30%超、好ましくは38%超、特に40%超、場合により60%に達し得る光透過率LTを有すること、及びその拡散率のレベルが、90%超、特に99%以上であることを特徴とする、項目1~12のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目14〉前記ガラスセラミック基材が、当該基材を被覆する少なくとも1つの不透明化コーティングを含み、その内側に、製作すべきパターン又は被照明ゾーンの形で、少なくとも1つの透明スペースが作られており、前記塗料が前記透明スペースの箇所に堆積されていることを特徴とする、項目1~13のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目15〉前記基材が、2つの不透明化コーティング、特に不透明化塗料の2つの層を含んでおり、前記ガラスセラミック基材の下面の下に堆積された、前記不透明化コーティングのうちの一方は、1以上の被照明ゾーンを画定する1以上の透明スペースを有し、前記透明スペースに本発明による塗料が適用されており、もう一つのコーティングは、本発明による拡散性塗料の端部を覆い、前記2つの不透明化コーティングの間に前記塗料が挟まれていることを特徴とする、項目1~14のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目16〉前記基材が、前記塗料の上又は下に、少なくとも1つの着色された層又はフィルターを含み、前記着色された層又はフィルターは、好ましくは前記塗料の上に、特に前記塗料及び対抗して向き合った光源の間にあり、及び/又は前記塗料が、着色されていることを特徴とする、項目1~15のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目17〉前記基材が、暗色の外観、特に黒色又は褐色の外観のものであり、この基材は、0.8~40%、好ましくは0.8~5%、特に0.8~2%の光透過率と、625nmの波長について少なくとも2.5%の光学透過率を有することを特徴とする、項目1~16のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目18〉前記物品又は前記基材が、ホットプレート又は作業台であることを特徴とする、項目1~17のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品。
〈項目19〉項目1~18のいずれか一項に記載のガラスセラミック物品を製造する方法であって、少なくとも1種のシリコーン樹脂と顔料とから作られた塗料であって、顔料の比率が前記塗料の1wt%以上10wt%未満である塗料で、前記ガラスセラミック基材の少なくとも1つの被照明ゾーンを被覆することを特徴とする、ガラスセラミック物品の製造方法。
〈項目20〉未被覆の又は既に一部を被覆された前記ガラスセラミック基材の、有利には前記基材の下面の、被照明ゾーン、特に透明スペースにより画定される被照明ゾーンに、前記透明スペースのおのおのにより画定される全面又は前記被照明ゾーンの全面で、スクリーン印刷することにより、前記塗料を塗布し、使用するスクリーン印刷の網を、1cm当たりの糸数が43本と120本の間となるように選ぶことを特徴とする、項目19に記載のガラスセラミック物品の製造方法。