(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジノン誘導体及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
(21)【出願番号】P 2019555353
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2018043094
(87)【国際公開番号】W WO2019103070
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2017225364
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】住友ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】井熊 洋平
(72)【発明者】
【氏名】東條 健剛
(72)【発明者】
【氏名】深澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】増本 秀治
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/195311(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/087487(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/016382(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/018475(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/062676(WO,A2)
【文献】国際公開第2010/060589(WO,A1)
【文献】特開2020-196709(JP,A)
【文献】特開2020-193176(JP,A)
【文献】特開2019-182784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D A61K A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C
1-4アルキル又はC
3-6飽和炭素環基(該アルキル及び該飽和炭素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
あるいは、R
1及びR
2は、それらが結合する炭素原子と一緒になってC
3-4飽和炭素環基(該飽和炭素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよく;
環Aは、
ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドリジン、イミダゾピリジン、1,3-ベンゾジオキソール、クロマン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、又は1,3-ジヒドロイソベンゾフランを表し;
R
3及びR
4は、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)ヒドロキシ、
(5)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4
アルキル、
(6)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4
アルコキシ、
(7)C
3-6
シクロアルコキシ(該シクロアルコキシは、C
1-4
アルキル及びハロゲン原子からなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(8)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4
アルキルチオ
を表し;
R
5及びR
6は、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)ヒドロキシ、
(5)C
1-4
アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(6)C
1-4
アルコキシ(該アルコキシは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(7)アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はテトラヒドロピラニル(該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、該モルホリニル、該オキセタニル、該テトラヒドロフラニル、及び該テトラヒドロピラニルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4
アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(8)-NR
a
R
b
、-NR
d
-C(O)-R
c
、-NR
d
-C(O)-OR
c
、-NR
d
-C(O)-NR
a
R
b
、-NR
d
-SO
2
-R
c
、-CH
2
-C(O)-NR
a
R
b
、-C(O)-R
d
、-C(O)-OR
d
、又は-C(O)-NR
a
R
b
を表し;
R
a及びR
bは、各々独立して、またNR
aR
bが複数ある場合のR
a又はR
bの各々は独立して、水素原子、C
1-4アルキル(該アルキルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6飽和炭素環基
、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はテトラヒドロピラニル(該飽和炭素環基
、該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、該モルホリニル、該オキセタニル、該テトラヒドロフラニル、及び該テトラヒドロピラニルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C
1-4アルキル及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
あるいは、R
a及びR
bは、それらが結合する窒素原子と一緒になって
アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はモルホリニル(該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、及び該モルホリニルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C
1-4アルキル及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよく;
R
cは、複数ある場合は各々独立して、C
1-4アルキル、C
3-6飽和炭素環基
、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はテトラヒドロピラニル(該アルキル、該飽和炭素環基
、該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、該モルホリニル、該オキセタニル、該テトラヒドロフラニル、及び該テトラヒドロピラニルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
R
dは、複数ある場合は各々独立して、水素原子、C
1-4アルキル、C
3-6飽和炭素環基
、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はテトラヒドロピラニル(該アルキル、該飽和炭素環基
、該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、該モルホリニル、該オキセタニル、該テトラヒドロフラニル、及び該テトラヒドロピラニルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
Xは窒素原子又は-CR
e-を表し;
R
eは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C
1-6アルキル又はC
1-6アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよい)である]
【請求項2】
R
1及びR
2が、各々独立して、水素原子又はC
1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、R
1及びR
2がそれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロパン環又はシクロブタン環を形成する、
請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
a及びR
bが、各々独立して、またNR
aR
bが複数ある場合のR
a又はR
bの各々は独立して、水素原子又はC
1-4アルキル(該アルキルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、R
a及びR
bがそれらが結合する窒素原子と一緒になって
アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル又はモルホリニル(該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、及び該モルホリニルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C
1-4アルキル及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成する、
請求項1
又は2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
cが、複数ある場合は各々独立して、C
1-4アルキル又はC
3-6飽和炭素環基(該アルキル及び該飽和炭素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)である、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
dが、複数ある場合は各々独立して、
(1)水素原子、
(2)C
1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(3)C
3-6飽和炭素環基(該飽和炭素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)である、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
eが、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、又は
(3)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルキルである、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
1及びR
2が、各々独立して、水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり、あるいは、R
1及びR
2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロパン環又はシクロブタン環を形成する、
請求項1、3から
6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項8】
環Aが、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、キノリン又は1,3-ベンゾジオキソールである、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
3及びR
4が、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルキル、又は
(5)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルコキシである、
請求項1から
8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
cが、複数ある場合は各々独立して、同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルキルである、
請求項1から
9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
dが、複数ある場合は各々独立して、水素原子、又は同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルキルである、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R
5及びR
6が、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)ヒドロキシ、
(5)C
1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(6)C
1-4アルコキシ(該アルコキシは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(7)
アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、又はテトラヒドロピラニル(該アゼチジニル、該ピロリジニル、該ピペリジニル、該ピペラジニル、該モルホリニル、該オキセタニル、該テトラヒドロフラニル、及び該テトラヒドロピラニルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(8)-NR
aR
bである、
請求項1から
11のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R
a及びR
bが、各々独立して、またNR
aR
bが複数ある場合のR
a又はR
bの各々は独立して、水素原子又はC
1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
請求項1から
12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R
eが、
(1)水素原子、
(2)フッ素原子、又は
(3)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルキルである、
請求項1から
13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R
1が、メチルであり;
R
2が、水素原子であり;
6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン部分の7位の立体配置がSであり;
環Aが、ベンゼンであり;
R
3及びR
4が、各々独立して、水素原子、フッ素、塩素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
R
5及びR
6が、各々独立して、水素原子又は-NH
2であり;
Xが、窒素原子又は-CH-である、
請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【請求項16】
以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[3-クロロ-4-フルオロフェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-5-[4-(ジフルオロメチル)フェニル]-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-5-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-5-(4-クロロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-5-[4-(ジフルオロメトキシ)フェニル]-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;及び
(7S)-3-(3-アミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン。
【請求項17】
以下の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
(7S)-3-(3-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-7-メチル-3-(3-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
(7S)-3-(3-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;及び
(7S)-7-メチル-3-(3-プロピルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン。
【請求項18】
(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンまたはその製薬学的に許容される塩。
【請求項19】
(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[3-クロロ-4-フルオロフェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンまたはその製薬学的に許容される塩。
【請求項20】
(7S)-3-(3-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンまたはその製薬学的に許容される塩。
【請求項21】
(7S)-7-メチル-3-(3-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンまたはその製薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループII代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体に対して負の調節作用(negative allosteric modulation)を有する6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジノン誘導体又はその製薬学的に許容される塩、ならびにそれらを有効成分として含有する、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(mGluR2)及び/又は代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ3(mGluR3)が関与する疾患の予防及び/又は治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸は中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質であり、イオンチャネル型受容体(すなわち、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体、α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体、及びカイニン酸受容体)と、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)である代謝型グルタミン酸受容体(mGlu受容体)に作用する。mGlu受容体はGPCRのクラスCに分類され、GPCRが共通してもつ7回膜貫通部位(TMD)に加え、細胞外に大きなオルソステリックなリガンド結合部位を有する。mGlu受容体のオルソステリックなリガンド結合部位の相同性は高いため、サブタイプ選択的なオルソステリックなリガンドの開発は困難とされてきた。一方、アロステリックモジュレーターはTMDに結合することで、サブタイプ選択性を発揮する(非特許文献1から3)。
mGlu受容体は8つのサブタイプ1から8(mGluR1から8)が存在し、相同性と共役する情報伝達系及び薬理学的特徴に基づいてグループI(mGluR1、mGluR5)、グループII(mGluR2、mGluR3)及びグループIII(mGluR4、mGluR6、mGluR7、mGluR8)に分類される。グループII mGlu受容体(mGluR2、mGluR3)は主にプレシナプスに存在し、グルタミン酸の放出を抑制的に調節している。したがって、mGlu2/3受容体ネガティブアロステリックモジュレーター(NAM)は抗うつ薬(非特許文献4)、認知機能増強剤(非特許文献5)になる可能性が報告されている。
【0003】
最近、mGlu2/3受容体NAMとして作用する化合物が、特許文献1から7等において報告されている。しかしながら、これらの特許文献には、本願に後述の式(1)に示す化合物に関してはなんら開示も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2014/195311
【文献】WO2016/016380
【文献】WO2016/016381
【文献】WO2016/016382
【文献】WO2016/016383
【文献】WO2016/016395
【文献】WO2016/087487
【非特許文献】
【0005】
【文献】Hemstapat et al, Pharmacology and Experimental Therapeutics,2007,322,254-264
【文献】Lungstrom et al,British Journal of Pharmacology,2011,164,521-537
【文献】Dore et al,Nature,2014,511,557-562
【文献】Chaki et al,Neuropharmacology,2013,66,40-52
【文献】Higgins et al,Neuropharmacology,2004,46,907-917
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、グループII mGlu受容体に対して負の調節作用を有する新規な化合物を見出し、グループII mGlu受容体(すなわち、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(mGluR2)及び/又は代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ3(mGluR3))が関与する疾患の治療のために有用な予防及び/又は治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記式(1)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の化合物」と称することもある)が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
【0009】
[項1]
式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C
1-4アルキル又はC
3-6飽和炭素環基(該アルキル及び該飽和炭素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
あるいは、R
1及びR
2は、それらが結合する炭素原子と一緒になってC
3-4飽和炭素環基(該飽和炭素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよく;
環Aは、C
6-10芳香族炭素環基、4~10員の飽和複素環基又は5~10員の芳香族複素環基を表し;
R
3及びR
4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルキルチオ、C
2-4アルケニル、4~6員の飽和複素環基又は5又は6員の芳香族複素環基(該アルキル、該アルコキシ、該アルキルチオ、該飽和複素環基及び該芳香族複素環基は、各々独立して、同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよい)、C
3-6飽和炭素環基、又はC
3-6シクロアルコキシ(該飽和炭素環基及び該シクロアルコキシは、各々独立して、ハロゲン原子及びC
1-4アルキルからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
R
5及びR
6は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルキルチオ、4~6員の飽和複素環基(該アルキル、該アルコキシ、該アルキルチオ及び該飽和複素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6シクロアルコキシ、C
3-6飽和炭素環基(該シクロアルコキシ及び該飽和炭素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C
1-4アルキル、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、-NR
aR
b、-NR
d-C(O)-R
c、-NR
d-C(O)-OR
c、-NR
d-C(O)-NR
aR
b、-NR
d-SO
2-R
c、-CH
2-C(O)-NR
aR
b、-C(O)-R
d、-C(O)-OR
d、又は-C(O)-NR
aR
bを表し;
R
a及びR
bは、各々独立して、またNR
aR
bが複数ある場合のR
a又はR
bの各々は独立して、水素原子、C
1-4アルキル(該アルキルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、C
3-6飽和炭素環基又は4~6員の飽和複素環基(該飽和炭素環基及び該飽和複素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C
1-4アルキル及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
あるいは、R
a及びR
bは、それらが結合する窒素原子と一緒になって4~6員の含窒素飽和複素環基(該含窒素飽和複素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C
1-4アルキル及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよく;
R
cは、複数ある場合は各々独立して、C
1-4アルキル、C
3-6飽和炭素環基又は4~6員の飽和複素環基(該アルキル、該飽和炭素環基及び該飽和複素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
R
dは、複数ある場合は各々独立して、水素原子、C
1-4アルキル、C
3-6飽和炭素環基又は4~6員の飽和複素環基(該アルキル、該飽和炭素環基及び該飽和複素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC
1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を表し;
Xは窒素原子又は-CR
e-を表し;
R
eは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C
1-6アルキル又はC
1-6アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよい)である]
【0010】
[項2]
R1及びR2が、各々独立して、水素原子又はC1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロパン環又はシクロブタン環を形成する、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0011】
[項3]
環Aが、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドリジン、イミダゾピリジン、1,3-ベンゾジオキソール、クロマン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、1,3-ジヒドロイソベンゾフラン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン又は2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンである、
項1又は項2に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0012】
[項4]
R3及びR4が、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)ヒドロキシ、
(5)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキル、
(6)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、
(7)C3-6シクロアルコキシ(該シクロアルコキシは、C1-4アルキル及びハロゲン原子からなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(8)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルチオである、
項1から項3のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0013】
[項5]
R5及びR6が、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)ヒドロキシ、
(5)C1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(6)C1-4アルコキシ(該アルコキシは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(7)4~6員の飽和複素環基(該飽和複素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(8)-NRaRb、-NRd-C(O)-Rc、-NRd-C(O)-ORc、-NRd-C(O)-NRaRb、-NRd-SO2-Rc、-CH2-C(O)-NRaRb、-C(O)-Rd、-C(O)-ORd、又は-C(O)-NRaRbである、
項1から項4のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0014】
[項6]
Ra及びRbが、各々独立して、またNRaRbが複数ある場合のRa又はRbの各々は独立して、水素原子又はC1-4アルキル(該アルキルは、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)であり、あるいは、Ra及びRbがそれらが結合する窒素原子と一緒になって4~6員の含窒素飽和複素環基(該含窒素飽和複素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1-4アルキル及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)を形成する、
項1から項5のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0015】
[項7]
Rcが、複数ある場合は各々独立して、C1-4アルキル又はC3-6飽和炭素環基(該アルキル及び該飽和炭素環基は、各々独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1から項6のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0016】
[項8]
Rdが、複数ある場合は各々独立して、
(1)水素原子、
(2)C1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(3)C3-6飽和炭素環基(該飽和炭素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1から項7のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0017】
[項9]
Reが、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、又は
(3)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルである、
項1から項8のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0018】
[項10]
R1及びR2が、各々独立して、水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルであり、あるいは、R1及びR2がそれらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロパン環又はシクロブタン環を形成する、
項1、項3から項9のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0019】
[項11]
環Aが、ベンゼン、チオフェン、ピリジン、キノリン又は1,3-ベンゾジオキソールである、
項1から項10のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0020】
[項12]
R3及びR4が、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキル、又は
(5)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシである、
項1から項11のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0021】
[項13]
Rcが、複数ある場合は各々独立して、同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルである、
項1から項12のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0022】
[項14]
Rdが、複数ある場合は各々独立して、水素原子、又は同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルである、
項1から項13のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0023】
[項15]
R5及びR6が、各々独立して、
(1)水素原子、
(2)ハロゲン原子、
(3)シアノ、
(4)ヒドロキシ、
(5)C1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(6)C1-4アルコキシ(該アルコキシは、ハロゲン原子、ヒドロキシ、及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、
(7)4~6員の飽和複素環基(該飽和複素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ及び同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)、又は
(8)-NRaRbである、
項1から項14のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0024】
[項16]
Ra及びRbが、各々独立して、またNRaRbが複数ある場合のRa又はRbの各々は独立して、水素原子又はC1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~3個の置換基で置換されていてもよい)である、
項1から項15のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0025】
[項17]
Reが、
(1)水素原子、
(2)フッ素原子、又は
(3)同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルである、
項1から項16のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0026】
[項18]
R1が、メチルであり;
R2が、水素原子であり;
6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン部分の7位の立体配置がSであり;
環Aが、ベンゼンであり;
R3及びR4が、各々独立して、水素原子、フッ素、塩素、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシであり;
R5及びR6が、各々独立して、水素原子又は-NH2であり;
Xが、窒素原子又は-CH-である、
項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0027】
[項19]
以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
実施例1:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例2:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例3:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[3-クロロ-4-フルオロフェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例4:(7S)-5-[4-(ジフルオロメチル)フェニル]-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例5:(7S)-5-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例6:(7S)-5-(4-クロロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例9:(7S)-5-[4-(ジフルオロメトキシ)フェニル]-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;及び
実施例11:(7S)-3-(3-アミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン。
【0028】
[項20]
以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩:
実施例13:(7S)-3-(3-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例14:(7S)-7-メチル-3-(3-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例15:(7S)-3-(3-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;及び
実施例16:(7S)-7-メチル-3-(3-プロピルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン。
【0029】
[項21]
以下の化合物から選択される、項1に記載の化合物又はその塩酸塩もしくはリン酸塩:
実施例1:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例3:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[3-クロロ-4-フルオロフェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;
実施例13:(7S)-3-(3-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン;及び
実施例14:(7S)-7-メチル-3-(3-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン。
【0030】
[項22]
項1~項21のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0031】
[項23]
項1~項21のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、グループII mGlu受容体が関与する疾患の治療剤及び/又は予防剤。
【0032】
[項24]
グループII mGlu受容体が代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(mGluR2)である、項23に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0033】
[項25]
グループII mGlu受容体が関与する疾患が、精神疾患又は神経変性疾患である、項23又は項24に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0034】
[項26]
精神疾患又は神経変性疾患が、うつ病性障害、抑うつ障害、双極性障害及び関連障害、不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、急性ストレス障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、薬物依存、肥満、痙攣、振戦、疼痛又は睡眠障害である、項25に記載の治療剤及び/又は予防剤。
【0035】
[項27]
グループII mGlu受容体が関与する疾患の治療剤及び/又は予防剤を製造するための、項1~項21のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩の使用。
【0036】
[項28]
グループII mGlu受容体が関与する疾患の治療及び/又は予防に使用するための、項1~項21のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬学的に許容される塩。
【0037】
[項29]
治療が必要な患者に、治療上の有効量の項1~項21のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を投与することを含む、グループII mGlu受容体が関与する疾患を治療及び/又は予防するための方法。
【0038】
[項30]
項1~項21のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬と、うつ病性障害、抑うつ障害、双極性障害及び関連障害、不安障害、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、急性ストレス障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、薬物依存、肥満、痙攣、振戦、疼痛又は睡眠障害の治療剤から選択される1種類以上の薬剤とを組み合わせてなる医薬。
【0039】
[項31]
1種以上の抗精神病薬と併用して、精神疾患又は神経変性疾患を治療するための、項1~項21のいずれか一項に記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【0040】
[項32]
式(1a)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩:
【化2】
[式中、R
3及びR
4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C
1-6アルキル、又はC
1-4アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは、各々独立して、同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよい)を表し、
R
5及びR
6は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C
1-6アルキル、又は-NH
2を表し、
Xは窒素原子又は-CH-を表す。]
の製造方法であって、下記の工程を含む製造方法:
(工程A1)式(4a)で表される化合物:
【化3】
[式中、PGは保護基(tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等)を表す。]
と、式(3)で表される化合物:
【化4】
[式中、R
7はメチル又はエチルを表す。]
を、光延反応により、式(6a)で表される化合物:
【化5】
[式中、PG及びR
7は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、
(工程A2)式(6a)で表される化合物を、酸又は塩基存在下、環化反応させることにより、式(7a)で表される化合物:
【化6】
を製造する工程、
(工程A3)式(7a)で表される化合物と式(8a)で表される化合物:
【化7】
[式中、R
3及びR
4は本項における前記定義と同義であり、X
1は、ヨウ素、臭素又は塩素を表す。]
を、遷移金属触媒存在下、カップリング反応させることにより、式(9a)で表される化合物:
【化8】
[式中、R
3及びR
4は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、
(工程A4)式(9a)で表される化合物を、ハロゲン化剤存在下、反応させることにより、式(15a)で表される化合物:
【化9】
[式中、R
3、R
4及びX
1は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、及び
(工程A5)式(15a)で表される化合物と式(16)で表される化合物またはその塩:
【化10】
[式中、R
5、R
6及びXは本項における前記定義と同義であり、R
Aはボロン酸又はボロン酸エステルを表す。]
を、遷移金属触媒存在下、カップリング反応させることにより、式(1a)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程。
【0041】
[項33]
式(1a)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩:
【化11】
[式中、R
3及びR
4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは、各々独立して、同一又は異なる1~5個のハロゲン原子で置換されていてもよい)を表し、
R
5及びR
6は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C
1-6アルキル、又は-NH
2を表し、
Xは窒素原子又は-CH-を表す。]
の製造方法であって、下記の工程を含む製造方法:
(工程B1)式(8a)で表される化合物:
【化12】
[式中、R
3及びR
4は本項における前記定義と同義であり、X
1は、ヨウ素、臭素又は塩素を表す。]
と、式(12a)で表される化合物またはその塩:
【化13】
を遷移金属触媒存在下、カップリング反応させることにより、式(13a)で表される化合物またはその塩:
【化14】
[式中、R
3及びR
4は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、
(工程B2)式(13a)で表される化合物またはその塩と式(22)で表される化合物またはその塩:
【化15】
[式中、X
1は本項における前記定義と同義であり、R
7はメチル又はエチルを表す。]
を光延反応により、式(23a)で表される化合物またはその塩:
【化16】
[式中、R
3、R
4、R
7及びX
1は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、
(工程B3)式(23a)で表される化合物またはその塩を、酸又は塩基存在下、加水分解させることにより、式(24a)で表される化合物またはその塩:
【化17】
[式中、R
3、R
4及びX
1は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、
(工程B4)式(24a)で表される化合物またはその塩を、酸又は塩基存在下、環化反応させることにより、式(15a)で表される化合物:
【化18】
[式中、R
3、R
4及びX
1は本項における前記定義と同義である。]
を製造する工程、及び
(工程B5)式(15a)で表される化合物と式(16)で表される化合物またはその塩:
【化19】
[式中、R
5、R
6及びXは本項における前記定義と同義であり、R
Aはボロン酸又はボロン酸エステルを表す。]
を、遷移金属触媒存在下、カップリング反応させることにより、式(1a)で表される化合物またはその製薬学的に許容される塩を製造する工程
ここで、工程B3及びB4は以下の工程B6からなる一工程と置き換えてもよい:
(工程B6)式(23a)で表される化合物またはその塩を、酸又は塩基存在下、環化反応させることにより、式(15a)で表される化合物を製造する工程。
【0042】
[項34]
粉末X線回折で測定した回折角2θ(°)の回折ピークとして、4.5±0.2、8.5±0.2、8.9±0.2、10.1±0.2、13.4±0.2及び16.9±0.2を含む粉末X線回折パターンを有する(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンの結晶(I形晶)。
【0043】
[項35]
粉末X線回折で測定した回折角2θ(°)の回折ピークとして、5.7±0.2、8.7±0.2、9.5±0.2、11.0±0.2、11.3±0.2及び15.3±0.2を含む粉末X線回折パターンを有する(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンの塩酸塩の結晶(II形晶)。
【0044】
[項36]
粉末X線回折で測定した回折角2θ(°)の回折ピークとして、6.1±0.2、8.9±0.2、9.8±0.2、12.1±0.2、13.4±0.2及び13.7±0.2を含む粉末X線回折パターンを有する(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オンの2.5リン酸塩の結晶(III形晶)。
【発明の効果】
【0045】
本発明の化合物は、グループII代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体に対して負の調節作用を示す。したがって、本発明の化合物は、グループII mGlu受容体(すなわち、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(mGluR2)及び/又は代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ3(mGluR3))が関与する疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】I形晶の粉末X線回折パターンを示す。横軸は回折角2θ(°)、縦軸はカウント数を示す(以下、
図2及び
図3について同様である)。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書における用語について以下に説明する。
【0048】
「基」なる用語は、1価基を意味する。また、本明細書において、「基」なる用語を省略する場合もある。
【0049】
「置換されていてもよい」又は「置換されている」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はない。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分又は置換基である場合にも該当する。
【0050】
「C1-4アルキル」とは、炭素原子数が1~4の脂肪族炭化水素基を意味し、「C4アルキル」とは、炭素原子数が4の脂肪族炭化水素基を意味する。他の数字の場合も同様である。「C1-4アルキル」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、1,1-ジメチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル等が挙げられる。
【0051】
「C1-6アルキル」とは、炭素原子数が1~6の脂肪族炭化水素基を意味する。「C1-6アルキル」として、好ましくは「C1-4アルキル」が挙げられる。「C1-6アルキル」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキル」の具体例として挙げたものに加え、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルペンチル、n-ヘキシル等が挙げられる。
【0052】
「ハロゲン」とは、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。好ましくはフッ素又は塩素である。
【0053】
「C1-4アルコキシ」とは、前記「C1-4アルキル」によって置換されたオキシ基を意味する。「C1-4アルコキシ」の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ、n-ブトキシ、1,1-ジメチルエトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシが挙げられる。好ましくは、メトキシ又はエトキシが挙げられる。
【0054】
「C1-6アルコキシ」とは、前記「C1-6アルキル」によって置換されたオキシ基を意味する。「C1-6アルコキシ」として、好ましくは「C1-4アルコキシ」が挙げられる。「C1-6アルコキシ」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルコキシ」の具体例として挙げたものに加え、n-ペンチロキシ、3-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、n-ヘキシロキシ、4-メチルペンチロキシ、3-メチルペンチロキシ、2-メチルペンチロキシ、1-メチルペンチロキシ、3,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ等が挙げられる。
【0055】
「C3-6シクロアルコキシ」とは、炭素原子数が3~6の環状アルキルによって置換されたオキシ基を意味する。「C3-6シクロアルコキシ」の具体例としては、例えば、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチロキシ、シクロへキシロキシ等が挙げられる。好ましくは、シクロプロポキシ又はシクロブトキシが挙げられる。
【0056】
「C1-4アルキルチオ」とは、前記「C1-4アルキル」によって置換されたチオール基を意味する。「C1-4アルキルチオ」の具体例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ等が挙げられる。
【0057】
「C1-6アルキルチオ」とは、前記「C1-6アルキル」によって置換されたチオール基を意味する。「C1-6アルキルチオ」として、好ましくは「C1-4アルキルチオ」が挙げられる。「C1-6アルキルチオ」の具体例としては、例えば、前記「C1-4アルキルチオ」の具体例として挙げたものに加え、1-エチルプロピルチオ、n-ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ等が挙げられる。
【0058】
「C2-4アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、鎖中に含まれる炭素原子数が2~4の脂肪族炭化水素基を意味する。「C2-4アルケニル」の具体例としては、例えば、ビニル、アリル、1-プロペニル、1-ブテニル等が挙げられる。
【0059】
「C3-6飽和炭素環」とは、炭素原子数3から6の単環式の飽和又は部分不飽和の炭化水素環を意味する。「C3-6飽和炭素環」として、好ましくは「C3-4飽和炭素環」が挙げられる。「C3-6飽和炭素環」の具体例としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン等が挙げられる。好ましくは、シクロプロパン又はシクロブタンが挙げられる。
【0060】
「C3-4飽和炭素環基」とは、上記「C3-6飽和炭素環」のうち、「C3-4飽和炭素環」の1価基を意味する。
【0061】
「4~10員の飽和複素環」とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される、同一又は異なる1又は2個のヘテロ原子を含む、4~10個の原子で構成される単環式又は二環式の飽和複素環を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋された構造を有するもの及び一部スピロ化されたものを含む。二環式の飽和複素環には、単環式の飽和複素環とベンゼン又は単環式の5から6員の芳香族複素環とが縮環したものも含まれる。また、当該飽和複素環を構成するのに、1又は2個のカルボニル、チオカルボニル、スルフィニル又はスルホニルを含んでいてもよく、例えば、ラクタム、チオラクタム、ラクトン、チオラクトン、環状のイミド、環状のカルバメート、環状のチオカルバメート等の環状基も当該飽和複素環に含まれる。ここにおいて、カルボニル、スルフィニル及びスルホニルの酸素原子及びチオカルボニルの硫黄原子は、4~10員の数(環の大きさ)及び環を構成しているヘテロ原子の数には含まれない。「4~10員の飽和複素環」として、好ましくは単環式又は二環式の「4~8員の飽和複素環」が挙げられ、より好ましくは単環式の「4~6員の飽和複素環」が挙げられ、さらに好ましくは単環式の「5又は6員の飽和複素環」が挙げられる。「4~10員の飽和複素環」の具体例としては、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ベンゾジオキソール、1,3-ジヒドロイソベンゾフラン等が挙げられ、好ましくは、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、1,3-ベンゾジオキソール、1,3-ジヒドロイソベンゾフラン等が挙げられる。
【0062】
「4~6員の飽和複素環基」とは、上記「4~10員の飽和複素環」のうち、「4~6員の飽和複素環」の1価基を意味する。好ましくは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル等が挙げられる。
【0063】
「4~6員の含窒素飽和複素環基」とは、上記「4~6員の飽和複素環」のうち、少なくとも1個の窒素原子を含む、1価の飽和複素環基を意味する。好ましくは、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル等が挙げられる。
【0064】
「C6-10芳香族炭素環」とは、炭素原子数6~10の単環式又は二環式の芳香族炭化水素環を意味する。「C6-10芳香族炭素環」の具体例としては、例えば、ベンゼン、1-ナフタレン、2-ナフタレン等が挙げられ、好ましくはベンゼンが挙げられる。
【0065】
「5~10員の芳香族複素環」とは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される、同一又は異なる1~3個のヘテロ原子を含む、5~10個の原子からなる単環式又は二環式の芳香族複素環を意味する。「5~10員の芳香族複素環」として、好ましくは単環式又は二環式の「5~9員の芳香族複素環」が挙げられ、より好ましくは単環式の「5~8員の芳香族複素環」が挙げられ、さらに好ましくは単環式の「5又は6員の芳香族複素環」が挙げられる。「5~10員の芳香族複素環」の具体例としては、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、チオフェン、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、キナゾリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、1H-インダゾール、2H-インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾチアジアゾール、インドリジン、ベンゾフラジン、チエノピリミジン、ピラゾロピリジン、イミダゾピリジン、イミダゾピラジン、ピラゾロピリミジン、トリアゾロピリミジン、チエノチオフェン、イミダゾチアゾール、クロマン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、1,3-ジヒドロベンゾフラン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロピリジン、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロピリジン-1-オン、1,2-ジヒドロ-3H-ピロロピリジン-3-オン、5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾピラジン等が挙げられる。
【0066】
「5員の芳香族複素環」としては、例えば、チオフェン、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。好ましくは、チオフェン、チアゾール又はイソチアゾールが挙げられる。
【0067】
「6員の芳香族複素環」としては、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン等が挙げられる。好ましくはピリジンである。
【0068】
「5又は6員の芳香族複素環基」とは、上記「5員の芳香族複素環」又は「6員の芳香族複素環」の1価基を意味する。
【0069】
式(1)で表される本発明の化合物において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、環A及びXの好ましい態様は以下のとおりであるが、本発明の技術的範囲は下記に示す好ましい態様に限定されるものではなく、これらは適宜組み合わせてもよい。
【0070】
R1及びR2として好ましくは、各々独立して、水素原子又はC1-4アルキル(該アルキルはフッ素原子及びC1-4アルコキシからなる群から独立して選択される1~5個の置換基で置換されていてもよい)である。より好ましくは、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、メチル、エチル、メトキシメチル又はトリフルオロメチルである。さらに好ましくは、水素原子又はメチルである。特に好ましくは、R1がメチルであり、R2が水素原子である。
【0071】
R3及びR4として好ましくは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは1~5個のフッ素原子で置換されていてもよい)である。より好ましくは、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシである。さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はジフルオロメトキシである。
【0072】
R5及びR6として好ましくは、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは1~5個のフッ素原子で置換されていてもよい)又は-NRaRbである。より好ましくは、R5及びR6は、各々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル、エチル、プロピル、メトキシ又は-NRaRbである。さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル、エチル又は-NRaRbである。さらに好ましくは、水素原子、フッ素原子、メチル又は-NH2である。特に好ましくは、水素原子又は-NH2である。
【0073】
Ra及びRbとして好ましくは、各々独立して、水素原子又はC1-4アルキル(該アルキルは1~5個のフッ素原子で置換されていてもよい)である。より好ましくは、Ra及びRbは、各々独立して、水素原子又はメチルである。さらに好ましくは、共に水素原子である。
【0074】
Rcとして好ましくは、C1-4アルキル(該アルキルは、ハロゲン原子、ヒドロキシ及びC1-4アルコキシからなる群から選択される、同一又は異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)が挙げられる。より好ましくは、メチル又はエチルである。さらに好ましくは、メチルである。
【0075】
Rdとして好ましくは、水素原子又はC1-4アルキルが挙げられる。より好ましくは、水素原子又はメチルである。
【0076】
Reとして好ましくは、水素原子、C1-4アルキル又はハロゲン原子が挙げられる。より好ましくは、水素原子又はフッ素原子である。さらに好ましくは、水素原子である。
【0077】
Xとして好ましくは、窒素原子又は-CH-が挙げられる。さらに好ましくは、-CH-である。
【0078】
環Aとして好ましくは、ベンゼン、ピリジン、チオフェン、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン又はキノリンが挙げられる。より好ましくは、ベンゼン、チオフェン、ピリジン又は1,3-ベンゾジオキソールである。さらに好ましくは、ベンゼン又はピリジンである。特に好ましくは、ベンゼンである。
【0079】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(A)が挙げられる。
(A)
R1及びR2が、各々独立して、水素原子又はメチルであり;
R3及びR4が、各々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシ(該アルキル及び該アルコキシは1~5個のフッ素原子で置換されていてもよい)であり;
R5及びR6が、各々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル、エチル、プロピル、メトキシ又は-NRaRbであり;
Ra及びRbが、各々独立して、水素原子又はC1-4アルキルであり;
Reが、水素原子又はフッ素原子であり;
Xが、窒素原子又は-CRe-であり;
環Aが、ベンゼン、チオフェン又はピリジンである、
式(1)の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0080】
式(1)で表される化合物の1つの態様としては、以下の(B)が挙げられる。
(B)
R1が、メチルであり;
R2が、水素原子であり;
R3及びR4が、各々独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシであり;
R5及びR6が、各々独立して、水素原子、フッ素原子、メチル又はNH2であり;
Xが、-CH-であり;
環Aが、ベンゼン又はピリジンである、
式(1)の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
【0081】
本発明の化合物の中でも、より好ましいものは、Cytochrome P450 3A4(CYP3A4)mechanism-based inhibition(MBI)を示さない、又はわずかに示すものであり、薬物相互作用のみならず重篤な副作用(肝毒性等)のリスクが低い化合物である。
【0082】
「製薬学的に許容される塩」としては、酸付加塩、塩基付加塩及びアミノ酸塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチルアミン等の有機塩基塩等が挙げられる。アミノ酸塩としては、アルギニン、リジン、オルニチン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸等の塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸とのアミノ酸塩が挙げられる。より好ましくは、塩酸塩、リン酸塩が挙げられ、さらに好ましくは、2.5リン酸塩である。
【0083】
原料化合物及び中間体の好適な塩及び医薬品原料として許容しうる塩は、慣用の無毒性塩であり、それらとしては、有機酸塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩又はパラ-トルエンスルホン酸塩等)及び無機酸塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩又はN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩等)等の他、当業者が適宜選択することができる。
【0084】
本発明の化合物の塩を取得したい場合、本発明の化合物が塩の形で得られるときには、当該塩をそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られるときには、当該遊離形態を適当な有機溶媒に溶解もしくは懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
【0085】
本発明には、式(1)で表される化合物、又はその製薬学的に許容される塩もしくは共結晶が含まれる。共結晶としては、例えば式(1)で表される化合物又はその製薬学的に許容される塩と塩酸又はリン酸分子との共結晶(モル比1:1~2.5)が挙げられる。また、本発明の化合物は、水和物及び/又は各種溶媒との溶媒和物(例えばエタノール和物等)の形で存在することもあるので、これらの水和物及び/又は溶媒和物も本発明の化合物に含まれる。
【0086】
本発明の化合物の中には、キラル中心に基づく光学異性体、分子内回転の束縛により生じる軸性又は面性キラリティーに基づくアトロプ異性体、その他の立体異性体、互変異性体、及び幾何異性体等が存在し得るものがあるが、これらを含め、全ての可能な異性体及びそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。さらに、本発明には、上記の異性体に加え、あらゆる様態の結晶形のもの、さらにこれらの混合物も含まれる。
【0087】
特に光学異性体やアトロプ異性体は、ラセミ体等の立体構造の異なる混合物として、又は光学活性の出発原料や中間体が用いられた場合には光学活性体として、それぞれ得ることができる。必要であれば、下記製造法の適切な段階で、対応する原料、中間体又は最終品のラセミ体を、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の公知の分離方法によって、物理的に又は化学的にそれらの光学対掌体に分割することができる。具体的には、例えばジアステレオマー法では、光学分割剤を用いる反応によってラセミ体から2種のジアステレオマーを形成する。この異なるジアステレオマーは一般に物理的性質が異なるため、分別結晶化等の公知の方法によって分割することができる。
【0088】
本発明の化合物は、上記の異性体に加え、式(1)で表される化合物のプロドラッグ、又はその製薬学的に許容される塩を包含する。さらに、本発明の化合物は、式(1)で表される化合物を構成する原子の一部又は全部を同位体に変換した化合物(例えば、水素を重水素化(2H、3H)した化合物や、12Cを14Cに変換した化合物)も包含する。
【0089】
本明細書における「式(1)で表される化合物のプロドラッグ」なる用語は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等との反応により式(1)の化合物に変換される化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして式(1)の化合物に変化する化合物、又は胃酸等によるpH変化により加水分解を起こして式(1)の化合物に変化する化合物を意味する。
【0090】
本発明の化合物の製造方法
以下に、本発明の化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。
本発明の化合物は、例えば、下記製造法1~12に示す方法によって製造することができる。これらの製造方法は、有機合成化学に習熟している者の知識に基づき、適宜改良され得る。原料として用いられる化合物は、必要に応じてその塩、又は官能基が保護されたものを用いてもよい。
【0091】
下記製造法において、具体的に保護基の使用を明示した場合以外でも、反応点以外の何れかの官能基が反応条件で変化する場合、又は反応後の処理を実施するのに不適切な場合には、反応点以外を必要に応じて保護し、反応終了後又は一連の反応を行った後に脱保護することにより目的物を得ることができる。保護基としては、文献(T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, Inc., New York (1999))等に記載されている通常の保護基を用いることができ、保護基の導入及び除去は有機合成化学で常用される方法(例えば、上記文献に記載の方法等)又はそれに準じた方法により行うことができる。具体的にはアミノの保護基としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、アセチル、ベンジル等を、またヒドロキシの保護基としては、例えば、トリアルキルシリル、アセチル、ベンジル等をそれぞれ挙げることができる。
【0092】
下記各製造法における出発原料及び中間体は、市販品として購入可能であるか、又は、市販化合物又は公知化合物から当業者が公知の方法、もしくはそれに準じた方法で合成することによっても入手できる。また、出発原料及び中間体は、必要に応じてそれらの塩、又は官能基が保護されたものを用いてもよい。
【0093】
下記製造法における中間体及び目的化合物は、その官能基を適宜変換すること、また特に、アミノ、水酸基、カルボニル、ハロゲン等から種々の側鎖を伸張すること、及び、その際に必要に応じて上記の保護、脱保護を行うことによって、本発明に含まれる別の化合物へ変換することもできる。官能基の変換及び側鎖の伸長は、通常行われる一般的方法(例えば、R.C.Larock,”Comprehensive Organic Transformations”,2nd Ed.,John Wiley and Sons Inc., New York (1999)に記載されている方法等)又はそれに準じた方法により行うことができる。
【0094】
下記製造法における不活性溶媒とは、反応で用いる原料、試薬、塩基、酸、触媒、配位子等と反応しない溶媒を意味する。
【0095】
製造法1
化合物(3)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
【化20】
(式中、R
7はメチル又はエチルを表す)
【0096】
工程1:化合物(2)を公知の方法(例えば、R.C.Larock,”Comprehensive Organic Transformations“,2nd Ed.,John Wiley and Sons inc., New York (1999)等)と同様の方法でエステル化することにより化合物(3)を製造することができる。ここで化合物(2)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
【0097】
製造法2
化合物(6)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
【化21】
(式中、R
1及びR
2は項1と同義であり、R
7はメチル又はエチルを表し、PGは保護基(tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等)を表し、LGは脱離基(ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、置換スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基等))を表す)
【0098】
工程2:化合物(6)は、適当な不活性溶媒中で常法により化合物(3)と化合物(4)との光延反応により製造することができる。具体的には、トリフェニルホスフィン又はトリブチルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル又はN,N,N’,N’-テトラメチルアゾジカルボキサミド等の光延反応試薬の共存下で行うか、あるいは、シアノメチレンホスホラン試薬を用いて行うことができる。本工程の反応温度は通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。ここで化合物(3)及び(4)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0099】
工程3:化合物(6)は、適当な不活性溶媒中で常法により化合物(3)と化合物(5)とを適当な塩基存在下、反応させることによっても製造することができる。当該反応は、必要に応じて適当な相間移動触媒の存在下で行ってもよい。本工程の反応温度は、通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。ここで化合物(3)及び(5)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
本工程で用いられる相間移動触媒の具体例としては、例えば、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;水;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0100】
製造法3
化合物(9)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
【化22】
(式中、環A、R
1、R
2、R
3及びR
4は項1と同義であり、R
7はメチル又はエチルを表し、PGは保護基(tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等)を表し、X
1は、ヨウ素、臭素又は塩素を表す)
【0101】
工程4:化合物(7)は、適当な不活性溶媒中で常法により化合物(6)のアミンの保護基PGを当業者に公知である種々の方法(T.W.Greene and P.G.M.Wuts, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Ed., John Wiley and Sons, inc., New York (1999)参照)を用いて除去した後、適当な塩基あるいは酸の存在下、環化反応させることにより製造することができる。本工程は、適当な不活性溶媒中で常法により適当な塩基あるいは酸の存在下、同じ系中にて、脱保護と環化反応を同時に行うこともできる。本工程の反応温度は、通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基;カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
本工程で用いられる酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸や、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;酢酸等の有機酸;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0102】
工程5:化合物(9)は、適当な不活性溶媒中で常法により化合物(7)と化合物(8)とを、適当な遷移金属触媒及び塩基の存在下、カップリング反応させることにより製造することができる。当該反応は必要に応じて、適当な配位子の共存下で行ってもよい。本工程の反応温度は、通常室温から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。ここで化合物(8)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる遷移金属触媒の具体例としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(II)等が挙げられる。
本工程で用いられる配位子の具体例としては、例えば、トリ-tert-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、ナトリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド、リン酸三カリウム、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0103】
製造法4
化合物(9)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化23】
(式中、環A、R
1、R
2、R
3、及びR
4は項1と同義であり、R
7及びX
1は前記と同義である)
【0104】
工程6:化合物(13)は、適当な不活性溶媒中で常法に従い、化合物(10)と化合物(11)とを反応させることにより製造することができる。当該反応は、必要に応じ適当な添加剤、塩基あるいは酸の存在下、さらには適当な相間移動触媒の存在下で行ってもよい。本工程の反応温度は、通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から10日間である。ここで化合物(10)及び(11)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる添加剤の具体例としては、例えば、臭化リチウム等が挙げられる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
本工程で用いられる酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸や、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0105】
工程7:化合物(13)は、適当な不活性溶媒中、又は無溶媒条件下、化合物(8)と化合物(12)とを適当な遷移金属触媒及び塩基の存在下、カップリング反応させることによっても製造することができる。
本工程の反応温度は通常、-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。ここで化合物(8)及び化合物(12)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる遷移金属触媒の具体例としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)、酸化銅(II)等が挙げられる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;水;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0106】
工程8:化合物(14)は、適当な不活性溶媒中で常法に従い、化合物(3)と化合物(13)との光延反応により製造することができる。具体的には、トリフェニルホスフィン又はトリブチルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル又はN,N,N’,N’-テトラメチルアゾジカルボキサミド等の光延反応試薬の共存下行うか、あるいは、シアノメチレンホスホラン試薬を用いて行うことができる。本工程の反応温度は、通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。ここで化合物(3)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0107】
工程9:化合物(9)は、適当な不活性溶媒中で常法に従い、化合物(14)を適当な塩基あるいは酸の存在下、環化反応させることにより製造することができる。本工程の反応温度は、通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基;カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
本工程で用いられる酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸や、p-トルエンスルホン酸一水和物、酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0108】
製造法5
化合物(15)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
【化24】
(式中、環A、R
1、R
2、R
3、及びR
4は項1と同義であり、X
1は前記と同義である)
【0109】
工程10:化合物(15)は、適当な不活性溶媒中で常法に従い、化合物(9)と適当なハロゲン化剤とを反応させることにより製造することができる。当該反応は必要に応じて、適当な添加剤あるいは酸存在下で行ってもよい。本工程の反応温度は、通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。
本工程で用いられるハロゲン化剤の具体例としては、例えば、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド、N-クロロコハク酸イミド、ヨウ素、一塩化ヨウ素、臭素、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン等が挙げられる。
本工程で用いられる添加剤の具体例として、例えば、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、酢酸ナトリウム、鉄等が挙げられる。
本工程で用いられる酸の具体例としては、塩酸、硫酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等の非プロトン性極性溶媒;酢酸等のプロトン性極性溶媒;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0110】
製造法6
化合物(1)は、例えば、下記に示す方法によって製造される。
【化25】
(式中、環A、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1と同義であり、X
1は前記と同義であり、R
Aはボロン酸又はボロン酸エステルを表す)
【0111】
工程11:化合物(1)は、適当な不活性溶媒中で常法に従い、化合物(15)と化合物(16)を、適当な遷移金属触媒及び塩基の存在下、カップリング反応させることにより製造することができる。本工程は、必要に応じて適当な配位子の共存下で行うこともできる。本工程の反応温度は、通常室温から用いた溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃から150℃までである。本工程の反応時間は、通常1分間から5日間であり、好ましくは1分間から2日間である。本工程は、マイクロ波照射下で行ってもよい。ここで化合物(16)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる遷移金属触媒の具体例としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)等が挙げられる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
本工程で用いられる配位子の具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;水;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0112】
製造法7
化合物(1)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化26】
(式中、環A、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1と同義であり、X
1及びR
Aは前記と同義である)
【0113】
工程12:化合物(7)を用い、工程10と同様の方法により化合物(17)を製造することができる。
【0114】
工程13:化合物(17)と化合物(16)を用い、工程11と同様の方法により化合物(18)を製造することができる。
【0115】
工程14:化合物(8)と化合物(18)を用い、工程5と同様の方法により化合物(1)を製造することができる。
【0116】
製造法8
化合物(1)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化27】
(式中、環A、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1と同義であり、X
1、R
Aは前記と同義であり、R
8はC
1-4アルキルを表す)
【0117】
工程15:化合物(20)は、適当な不活性溶媒中で常法に従い、化合物(15)を適当な塩基存在下、化合物(19)と反応させることにより製造することができる。本工程の反応温度は、通常-78℃から用いた溶媒の沸点までであり、好ましくは-78℃から室温までである。本工程の反応時間は、通常1分間から5日間であり、好ましくは1分間から2日間である。ここで化合物(19)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、例えば、イソプロピルマグネシウムクロライド-塩化リチウム錯体、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;n-ヘキサン、n-へプタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素;及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0118】
工程16:化合物(20)と化合物(21)を用い、工程11と同様の方法により化合物(1)を製造することができる。ここで化合物(21)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
【0119】
製造法9
化合物(15)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化28】
(式中、環A、R
1、R
2、R
3、及びR
4は項1と同義であり、R
7及びX
1は前記と同義である)
【0120】
工程17:化合物(23)は、化合物(13)と化合物(22)を用い、工程8と同様の方法により製造することができる。ここで化合物(22)としては、市販化合物又は公知の方法により合成した化合物を用いることができる。
【0121】
工程18:化合物(15)は、化合物(23)を用い、工程9と同様の方法により製造することができる。
【0122】
製造法10
化合物(15)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化29】
(式中、環A、R
1、R
2、R
3、及びR
4は項1と同義であり、R
7及びX
1は前記と同義である)
【0123】
工程19:化合物(24)は、適当な不活性溶媒中で常法により、化合物(23)のエステル基を当業者に公知である種々の方法(R.C.Larock,"Comprehensive Organic Transformations",2nd Ed.,John Wiley and Sons, Inc., New York (1999)に記載されている方法等)を用いて加水分解反応させることにより製造することができる。
【0124】
工程20:化合物(15)は、化合物(24)を用い、工程9と同様の方法により製造することができる。
【0125】
製造法11
化合物(26)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化30】
(式中、環A、X、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
6は項1と同義であり、X
2はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す)
【0126】
工程21:化合物(26)は、適当な不活性溶媒中で常法により化合物(25)とハロゲン化剤とを反応させることにより製造することができる。当該反応は必要に応じて添加剤あるいは酸存在下で行ってもよい。反応温度は通常-20℃から用いた溶媒の沸点までの範囲である。反応時間は、1分間から5日間である。
ハロゲン化剤の具体例としては、例えば、1-フルオロ-4-メチル-1,4-ジアゾニアビシクロ[2,2,2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)、1-フルオロピリジニウム トリフルオロメタンスルフォネート、N-フルオロベンゼンスルホンイミド、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド、N-クロロコハク酸イミド、ヨウ素、一塩化ヨウ素、臭素、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン等が挙げられる。
添加剤の具体例としては、例えば、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、酢酸ナトリウム、鉄等が挙げられる。
酸の具体例としては、塩酸、硫酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等が挙げられる。
不活性溶媒の具体例としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、酢酸エチル等の非プロトン性極性溶媒;酢酸等のプロトン性極性溶媒;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0127】
製造法12
化合物(1)は、例えば、下記に示す方法によっても製造される。
【化31】
(式中、環A、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は項1と同義であり、X
2は前記と同義であり、R
9はビニル又はアリルを表す)
【0128】
工程22:化合物(1)は、適当な不活性溶媒中で常法により、化合物(26)とボロン酸試薬またはアルキル亜鉛試薬を、適当な遷移金属触媒の存在下、カップリング反応させることにより製造することができる。本工程は、必要に応じて適当な塩基および/または適当な配位子の共存下で行うこともできる。本工程の反応温度は、通常室温から用いた溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃から150℃までである。本工程の反応時間は、通常1分間から5日間であり、好ましくは1分間から2日間である。本工程は、マイクロ波照射下で行ってもよい。
本工程で用いられるボロン酸の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、メチルボロン酸、エチルボロン酸、トリメチルボロキシン等が挙げられる。
本工程で用いられるアルキル亜鉛試薬の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、メチルジンククロライド、エチルジンククロライド等が挙げられる。
本工程で用いられる遷移金属触媒の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、ビス-(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
本工程で用いられる配位子の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;水;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0129】
工程23:化合物(27)は、適当な不活性溶媒中で常法により、化合物(26)とボロン酸試薬を、適当な遷移金属触媒と適当な塩基の存在下、カップリング反応させることにより製造することができる。本工程は、必要に応じて適当な配位子の共存下で行うこともできる。本工程の反応温度は、通常室温から用いた溶媒の沸点までであり、好ましくは50℃から150℃までである。本工程の反応時間は、通常1分間から5日間であり、好ましくは1分間から2日間である。本工程は、マイクロ波照射下で行ってもよい。
本工程で用いられるボロン酸の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン、シス-プロペニルボロン酸、トランス-プロペニルボロン酸、アリルボロン酸ピナコールエステル等が挙げられる。
本工程で用いられる遷移金属触媒の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロ[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物、ジクロロビス[ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)等が挙げられる。
本工程で用いられる塩基の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウム等が挙げられる。
本工程で用いられる配位子の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル等が挙げられる。
本工程で用いられる不活性溶媒の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;水;およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0130】
工程24:化合物(1)は、適当な不活性溶媒中で常法により、化合物(27)の不飽和炭素結合を当業者に公知である種々の方法(R.C.Larock,"Comprehensive Organic Transformations",2nd Ed.,John Wiley and Sons, Inc., New York (1999)に記載されている方法等)を用いて水素添加反応させることにより製造することができる。本工程の反応温度は、通常室温から用いた溶媒の沸点までの範囲である。本工程の反応時間は、1分間から5日間である。
【0131】
上記の各製造法の各工程において使用される塩基は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸アルカリ類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ類;水素化ナトリウム、水素化カリウムのような金属水素化類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドのような有機金属塩基類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)のような有機塩基類が挙げられる。
【0132】
上記の各製造法の各工程において使用される溶媒は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;アセトン、メチルケトンのようなケトン類;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサンのようなエーテル類;トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドンのようなアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド類;アセトニトリルのようなニトリル類が挙げられ、これらの溶媒は単独又は2種類以上混合して用いることができる。また反応の種類によっては、有機塩基類を溶媒として用いてもよい。
【0133】
上記各製造法における中間体及び目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィーもしくは分取液体クロマトグラフィー)等によって単離精製することができる。再結晶溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;ヘキサン等の炭化水素系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;水;又はこれらの混合溶媒等を用いることができる。その他の精製方法としては、実験化学講座(日本化学会編、丸善)1巻等に記載された方法等を用いることができる。また、本発明の化合物の分子構造の決定は、それぞれの原料化合物に由来する構造を参照して、核磁気共鳴法、赤外吸収法、円二色性スペクトル分析法等の分光学的手法、及び質量分析法により容易に行える。また、中間体については、特に精製することなく次の反応に用いることも可能である。
【0134】
本発明の化合物には、不斉が生じる場合又は不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。本発明の化合物にはこれらの各異性体の混合物や単離されたものも含まれ、通常の方法に従って製造することができる。製造方法としては例えば、不斉点を有する原料を用いる方法か、又は途中の段階で不斉を導入する方法が挙げられる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割等を行うことで、光学異性体を得ることができる。光学分割法としては例えば、光学異性体分離用カラムを用いたHPLCが挙げられる。また、式(1)で表される化合物又はその中間体が、塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中(例えばメタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N-ベンジルオキシアラニン、乳酸等のモノカルボン酸;酒石酸、o-ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸等のジカルボン酸;カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸等のスルホン酸)を用いて塩を形成させるジアステレオマー法が挙げられる。本発明の化合物又はその中間体が、カルボキシル基等の酸性官能基を有する場合には、光学活性なアミン(例えば1-フェニルエチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)を用いて、塩を形成させることにより、光学分割を行うこともできる。
【0135】
塩を形成させる温度としては、-50℃から溶媒の沸点までの範囲、好ましくは0℃から沸点までの範囲、より好ましくは室温から溶媒の沸点までの範囲から選択される。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5~約2.0当量の範囲、好ましくは1当量前後の範囲である。必要に応じて結晶を不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて光学分割した塩を通常の方法で酸又は塩基で処理し、フリー体として得ることもできる。
【0136】
本発明の化合物は、mGlu2受容体ネガティブアロステリックモジュレーター(NAM)活性を有するため、グループII mGlu受容体に対して負の調節作用を有する、グループII mGlu受容体(すなわち、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(mGluR2)及び/又は代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ3(mGluR3)、好ましくはmGluR2)が関与する疾患の新規な治療剤及び/又は予防剤となりえる。グループII mGlu受容体が関与する疾患としては、精神疾患及び神経変性疾患が挙げられ、具体例としては、うつ病性障害、抑うつ障害(大うつ病、治療抵抗性うつ病、慢性うつ病等)、双極性障害及び関連障害(双極性うつ病等)、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、社会不安障害、特定の恐怖症等)、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、急性ストレス障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、薬物依存、肥満、痙攣、振戦、疼痛、睡眠障害等が挙げられる。
これらの精神疾患及び神経変性疾患の中でも、好ましい対象疾患は、うつ病性障害、抑うつ障害(大うつ病、治療抵抗性うつ病、慢性うつ病等)、双極性障害及び関連障害(双極性うつ病等)、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、社会不安障害、特定の恐怖症等)、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、急性ストレス障害、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、薬物依存、肥満、痙攣、振戦、疼痛、及び睡眠障害である。
【0137】
本発明の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与又は直腸内投与のいずれでもよく、その一日投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状及び年齢等により異なる。例えば、経口投与の場合は、成人に対して、1日当たり約0.01~1000mg、更に好ましくは約0.1~500mgを1~数回に分けて投与することができる。
【0138】
本発明の化合物は、経口投与又は非経口投与により、直接投与するか、又は適当な剤形を用いて製剤化し投与することができる。剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられるがこれに限らない。製剤は、製薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。添加剤は、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0139】
本発明の化合物は、本明細書に記載の1種以上の精神疾患又は神経変性疾患を治療するために、1種以上の抗精神病薬と組み合わせて用いてもよい。抗精神病薬としては、例えば、うつ病性障害、抑うつ障害(大うつ病、治療抵抗性うつ病、慢性うつ病等)、双極性障害及び関連障害(双極性うつ病等)、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、社会不安障害、特定の恐怖症等)、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、急性ストレス障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、薬物依存、肥満、痙攣、振戦、疼痛又は睡眠障害の治療剤が挙げられる。本発明の化合物及びこれらの治療剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明の化合物とこれらの治療剤を含む合剤としてもよい。これらの治療剤の投与量は、臨床上用いられる用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の化合物とこれらの治療剤との配合比は、投与対象、投与経路、対象疾患、症状、及びこれらの組み合わせ等により適宜選択することができる。
【0140】
本発明の化合物を医薬の活性成分として使用する場合、ヒトだけに使用することを意図するのではなく、ヒト以外のその他の動物(ネコ、イヌ、ウシ、ニワトリ、魚等)にも使用することが可能である。
【0141】
以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。尚、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。また、記載の簡略化のために略語を使用することもある。
【実施例】
【0142】
化合物の同定はプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)、LC-MS等を用いて行った。核磁気共鳴スペクトルにはテトラメチルシランを内部標準として用いた。
【0143】
参考例及び実施例におけるカラムクロマトグラフィー及びアミノクロマトグラフィーは、山善株式会社製のシリカゲルカラム及びアミノカラムを用いた。TLCを使用して精製した際のTLC(シリカゲルプレート)にはSilica gel 60F254(メルク)、TLC(NHシリカゲルプレート)にはTLCプレートNH(FujiSilysia)を使用した。
【0144】
参考例及び実施例では以下の反応装置を用いた。参考例及び実施例に記載の各種データは以下の機器で取得した。
マイクロウェーブ反応装置:Biotage AB Initiator
NMRスペクトル:[1H-NMR]400MHz:JEOL JNM-ALシリーズAL400
LC-MSスペクトル:Waters ACQUITYTM UltraPerformance LC
高速液体クロマトグラフ(HPLC):Shimazu LC-20
粉末X線回折:スペクトリス Power X-ray diffraction system Empyrian
CHN元素分析装置:Thermo Fisher Scientific社製 FlasH 2000
イオン分析装置:Thermo Fisher Scientific社製 ICS-5000+
参考例及び実施例中の化合物名は、ACD/Name(ACD/Labs12.0,Advanced ChemistryDevelopment Inc.)により命名した。
【0145】
参考例及び実施例中のLC-MSのデータは、以下に示す条件で測定した値を用いた。観察された質量分析の値[MS(m/z)]を[M+H]+で示す。
測定条件
カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm 2.1×30mm column
溶媒:A液:0.05% HCOOH/H2O、B液:CH3CN
グラジエント条件:
0.0-1.3分;A/B=90/10~5/95(linear gradient)
1.3-1.5分;A/B=90/10
流速:0.80mL/min
UV:220nm, 254nm
カラム温度:40℃
【0146】
参考例及び実施例中の高速液体クロマトグラフ(HPLC)のデータは、以下に示す条件で測定した値を用いた。保持時間をRt(分)で示す。
カラム:Phenomenex Kinetex 2.6μm C18(75×3.0mm)
溶媒:A液:0.035% TFA/H2O、B液:0.035% TFA/CH3CN
グラジエント条件:
0.0分;A/B=99/1
0.0-5.70分;A/B=99/1~1/99
(Linear gradient)
5.70-8.00分;A/B=1/99
流速:0.90mL/min
UV:220nm, 254nm
カラム温度:40℃
【0147】
参考例及び実施例中の粉末X線回折測定は、以下に示す条件で測定した値を用いた。
X線管球:CuKα(波長:1.54オングストローム)
管電圧:45kV
管電流:40mA
測定範囲:4~40度(2θ)
ステップ幅:0.013度
積算時間:100秒/ステップ
得られた回折パターン(XRDスペクトル)を
図1~
図3に示す。
結晶形の特定にあたっては、
図1~
図3の回折図に示される各結晶の特徴的回折ピークを元に判断すればよい。
図1~
図3の回折パターンから特定した主要回折ピークおよび特徴的回折ピークを、それぞれ以下に挙げる。なお、以下の実施例に記載した回折角2θ(°)における回折ピーク値は、測定機器により、もしくは測定条件等により、多少の測定誤差が生じることがある。具体的には、測定誤差は±0.2、好ましくは±0.1の範囲内であってもよい。
【0148】
参考例及び実施例中のCHN元素分析は、以下に示す条件で測定した値を用いた。
燃焼炉温度:1000℃
還元炉温度:700℃
恒温槽温度:55℃
分析時間:600秒
ヘリウムガス流量:110mL/min
酸素ガス注入量:75mL/min
【0149】
参考例及び実施例中のイオン分析は、以下に示す条件で測定した値を用いた。
試料前処理用カートリッジ:TOYO IC-SP M
検出器:電気伝導度検出器
ガードカラム:IonPac AG11-HC(0.4mm i.d.×50mm, Thermo Fisher Scientific)
カラム:IonPac AS11-HC(0.4mm i.d.×250mm, Thermo Fisher Scientific)
サプレッサ:ACES-300(4mm i.d., Thermo Fisher Scientific)
カラム恒温槽:30℃
流量:0.015mL/min
注入量:0.4μL
分析時間:18min
溶離液:溶離液ジェネレータEGC KOH(キャピラリー)を用いて製造した水酸化カリウム溶液
グラジエント条件(溶離液濃度)
0-5分;10mM
5-10分;10-30mM(Linear gradient)
10-18分;30mM
【0150】
参考例及び実施例において以下の略語を使用することがある。
CDCl3:重クロロホルム
CD3OD:重メタノール
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
s:一重線
d:二重線
t:三重線
q:四重線
m:多重線
br:幅広い
dd:二重の二重線
td:三重の二重線
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
min:分
atm:気圧
HATU:O-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート
HPLC:高速液体クロマトグラフ
THF:テトラヒドロフラン
DME:1,2-ジメトキシエタン
TFA:トリフルオロ酢酸
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
HBTU:O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート
X-phos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル
S-phos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル
N.D.:Not Detected
RLU:Relative Light Unit
【0151】
参考例1:1-{(2S)-1-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパン-2-イル}-1H-ピラゾロ-5-カルボン酸エチル
【化32】
N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]カルバミン酸tert-ブチル(18.3g)のTHF(130mL)溶液に室温でエチル 1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(16.1g)、トリフェニルホスフィン(30.2g)を加えた後、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(60.6mL,1.9mol/L トルエン溶液)を30分かけて滴下した。さらに室温で2時間撹拌した後、水(130mL)を加えて30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣にヘキサン:ジエチルエーテル(1:1、200mL)を加え、生じた固体をろ別し、ろ液を減圧濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(26.5g)を得た。
1H-NMR (400 MHz,CDCl
3) δ: 7.52 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.83 (1H, d, J = 1.8 Hz), 5.58-5.48 (1H, m), 4.88 (1H, s), 4.34 (2H, q, J = 7.1 Hz), 3.66-3.49 (2H, m), 1.47-1.33 (15H, m).
【0152】
参考例2:(7S)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化33】
参考例1の化合物(26.5g)のトルエン(90mL)溶液に氷浴下、TFA(27.8mL)を加え室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をDMF(150mL)に溶解させ、トリエチルアミン(37.9mL)を室温にて滴下した。反応混合物を7時間加熱還流した後、水(300mL)を加え、さらに10分間撹拌した。混合物をクロロホルム:メタノール(4:1)で14回抽出した後、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣にジエチルエーテル(100mL)を加え撹拌し、生じた固体をろ取した(6.51g)。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣にジエチルエーテル(100mL)を加え撹拌し、生じた固体をろ取した(2.51g)。得られた固体を合わせることで表題の化合物(8.66g)を得た。
1H-NMR (400 MHz,CDCl
3) δ: 7.57 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.88 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.88-6.82 (1H, m), 4.60-4.50 (1H, m), 3.80 (1H, ddd, J = 7.6, 4.8, 3.6 Hz), 3.49 (1H, ddd, J = 10.4, 7.6, 2.8 Hz), 1.62 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0153】
参考例3:(7S)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化34】
1-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(60.6g)、参考例2の化合物(33.92g)、炭酸カリウム(62g)のトルエン(746mL)懸濁液に、N,N’-ジメチルエチレンジアミン(11.87g)、ヨウ化銅(8.55g)を加え、6時間加熱還流した。反応溶液を室温まで放冷後、14%アンモニア水(750mL)と酢酸エチル(750mL)を加え室温で30分撹拌した。混合物を分液後、有機層を14%アンモニア水(750mL)、飽和食塩水(400mL)の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣にイソプロパノール(760mL)、活性炭(7.6g)、シリカゲル(24g)を加え、室温で1時間撹拌した。混合物をセライトろ過し、酢酸エチル(200mL)で3回洗浄した後、濾液を減圧濃縮することにより表題の化合物(71.8g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.60 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.49 (2H, d, J = 8.5 Hz), 6.97 (1H, d, J = 1.8 Hz), 4.75-4.67 (1H, m), 4.21 (1H, dd, J = 12.5, 4.3 Hz), 3.95 (1H, dd, J = 12.5, 7.6 Hz), 1.69 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0154】
参考例4:(7S)-3-ヨード-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化35】
参考例3の化合物(104.9g)と1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(88g)の酢酸(662mL)懸濁液を100℃で1時間撹拌した。反応懸濁液を室温まで放冷後、水(330mL)を滴下し、30分間撹拌した。反応混合物にヘキサン(200mL)と水(990mL)を滴下し、30分間撹拌した。生じた固体をろ取し、ヘキサン(150mL)で3回洗浄することにより粗生成物(146g)を得た。得られた粗生成物にイソプロパノール(438mL)を加え75℃で撹拌後、55℃まで徐々に放冷し、水(657mL)を滴下した。混合物を1時間撹拌後、3時間かけ15℃まで冷却した。生じた固体をろ取し、イソプロパノール:水(1:2)で2回洗浄し、減圧乾燥することにより表題の化合物(133g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.68-7.66 (3H, m), 7.49 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.75-4.71 (1H, m), 4.22 (1H, dd, J = 12.5, 4.3 Hz), 3.95 (1H, dd, J = 12.5, 7.6 Hz), 1.67 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0155】
参考例5:(7S)-3-ヨード-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化36】
参考例2の化合物(5.15g)の酢酸(85mL)溶液に1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(10.35g)を加えた。反応溶液を100℃で4時間撹拌した後、室温まで放冷し飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。混合物をクロロホルム:エタノール(4:1)で2回抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮することにより表題の化合物(11.06g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 7.93 (1H, s), 4.54-4.47 (1H, m), 3.66-3.61 (1H, m), 3.33-3.29 (1H, m), 1.42 (3H, d, J = 6.1 Hz).
LC-MS,m/z;278[M+H]
+ 保持時間;0.567min
【0156】
参考例6:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イルボロン酸
【化37】
ビス(ピナコレート)ジボロン(3.74g)、6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン(2.23g)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド(0.924g)、酢酸カリウム(2.78g)のトルエン(16mL)混合物を2時間加熱還流下撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、セライトろ過し、ろ液を減圧濃縮することで掲題の化合物の粗生成物を得た。
LC-MS,m/z;163[M+H]
+ 保持時間;0.243min
【0157】
参考例7:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化38】
参考例5の化合物(2.41g)、参考例6の化合物(1.83g),酢酸パラジウム(195mg)、X-phos(830mg)、炭酸カリウム(2.41g)の1,2-ジメトキシエタン(16mL)/水(8mL)混合物を加熱還流下4時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に水を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)により精製することで表題の化合物(693.9mg)を得た。
LC-MS,m/z;268[M+H]
+ 保持時間;0.376min
【0158】
参考例8:{(7S)-7-メチル-4-オキソ-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-3-イル}ボロン酸
【化39】
参考例4の化合物(10.00g)、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキザボロラン(9.60mL)のTHF(100mL)溶液に-25℃でイソプロピルマグネシウムクロライド-塩化リチウム錯体(42.7mL)を滴下した。反応混合物を-25℃で30分間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(9.12g)を得た。
LC-MS,m/z;340[M+H]
+ 保持時間;0.865min
【0159】
参考例9:(2R)-1-{[4-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}プロパン-2-オール
【化40】
1-ヨード-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(168g)、(R)-1-アミノプロパン-2-オール(116g)およびメタノール(168mL)の混合物に20℃攪拌下、水酸化カリウム(69.3g)を加え、攪拌した。発熱を20℃に冷却し、塩化銅(I)(6.11g)を加え、30℃に昇温して3時間攪拌後、20℃で15時間攪拌した。メタノールを減圧留去し、残渣に水(880mL)、28%アンモニア水(220mL)およびトルエン(880mL)を加えて30分攪拌後、分液した。トルエン層を水(880mL)で洗った後、減圧濃縮し、表題化合物(130g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.39 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 6.66 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 4.09-4.01 (m, 1H), 3.25 (dd, 1H, J = 3.0, 12.8 Hz), 3.03 (dd, 1H, J = 7.9, 12.8 Hz), 1.27 (d, 3H, J = 6.7 Hz) .
【0160】
参考例10:メチル 4-ブロモ-1-{(2S)-1-[4-(トリフルオロメチル)アニリノ]プロパン-2-イル}-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート
【化41】
参考例9の化合物(3.03g)、ジイソプロピル アゾジカルボキシラート(2.93g)、メチル 4-ブロモ-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(2.83g)およびテトラヒドロフラン(18mL)の混合物に氷冷攪拌下、トリフェニルホスフィン(3.81g)を加え、氷冷で1.5時間、20℃で22時間攪拌した。反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル = 8/1から5/1)により精製し,表題化合物(2.38g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.55 (s, 1H), 7.35 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 6.52 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 5.57-5.52 (m, 1H), 4.26 (br, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.67-3.59 (m, 1H), 3.50-3.44 (m, 1H), 1.53 (d, 3H, J = 6.7 Hz) .
【0161】
参考例11:4-ブロモ-1-{(2S)-1-[4-(トリフルオロメチル)アニリノ]プロパン-2-イル}-1H-ピラゾール-5-カルボン酸
【化42】
参考例10の化合物(406mg)とメタノール(2mL)の混合物に、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液を氷冷し、5%硫酸水素カリウム水溶液で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(392mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 13.84 (brs, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.32 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 6.64 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 6.44 (br, 1H), 5.52-5.44 (m, 1H), 3.53-3.47 (m, 1H), 3.40-3.35 (m, 1H), 1.43 (d, 3H, J = 6.7 Hz).
【0162】
参考例12:(7S)-3-ブロモ-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化43】
合成法-1:参考例11の化合物(392mg)とトルエン(3mL)の混合物にp-トルエンスルホン酸1水和物(16mg)を加え、100℃で12時間攪拌した。反応液を20℃まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてトルエンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(356mg)を得た。
合成法-2:参考例10の化合物(406mg)とトルエン(3mL)の混合物にp-トルエンスルホン酸1水和物(16mg)を加え、100℃で8時間攪拌した。液体クロマトグラフィーの面積百分率によると、目的物/原料 = 15/82であった。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.67 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.59 (s, 1H), 7.49 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 4.73-4.65 (m, 1H), 4.20 (dd, 1H, J = 4.3, 12.8 Hz), 3.95 (dd, 1H, J = 7.3, 12.8 Hz), 1.67 (d, 3H, J = 6.7 Hz).
【0163】
参考例13:(7S)-3-(3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化44】
実施例1の化合物(386mg)と1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(178mg)の酢酸(4mL)溶液を室温で5時間撹拌した。反応溶液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(403mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D
6) δ: 9.02 (1H, d, J = 1.2 Hz), 8.14 (1H, s), 7.82 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.70-7.59 (5H, m), 4.85-4.83 (1H, m), 4.38 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 4.12-4.07 (1H, m), 1.60 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0164】
参考例14:(7S)-3-(3-エテニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化45】
参考例13の化合物(219mg)、4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(0.14mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(47.1mg)、炭酸カリウム(130mg)の1,2-ジメトキシエタン(2mL)と水(1mL)の混合物を加熱還流下4時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(87.8mg)を得た。
LC-MS,m/z;438[M+H]
+ 保持時間;0.805min
【0165】
参考例15:(7S)-7-メチル-3-{3-[(1Z)-プロプ-1-エン-1-イル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル}-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化46】
参考例14と同様の手法により、参考例13の化合物(210mg)とシス―プロペニルボロン酸(67.1mg)から表題化合物(114.1mg)を得た。
LC-MS,m/z;452[M+H]
+ 保持時間;0.805min
【0166】
参考例16:(7S)-5-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化47】
参考例3と同様の手法により、参考例2の化合物(1.05g)と4-ブロモ-1-フルオロ―2-メチルベンゼン(1.58g)から表題化合物(1.80g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.57 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.16 (1H, dd, J = 6.7, 3.1 Hz), 7.11-7.07 (1H, m), 7.04-7.02 (1H, m), 6.92 (1H, d, J = 1.8 Hz), 4.70-4.62 (1H, m), 4.12 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 3.84 (1H, dd, J = 12.8, 7.3 Hz), 2.27 (3H, d, J = 1.8 Hz), 1.66 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0167】
参考例17:(7S)-5-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-3-ヨード-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化48】
参考例4と同様の手法により、参考例16の化合物(1.70g)から表題化合物(2.00g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 7.62 (1H, s), 7.18 (1H, dd, J = 6.7, 2.4 Hz), 7.10-7.06 (1H, m), 7.03-7.01 (1H, m), 4.72-4.64 (1H, m), 4.13 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 3.85 (1H, dd, J = 12.8, 7.3 Hz), 2.27 (3H, d, J = 1.8 Hz), 1.64 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0168】
参考例18:(7S)-5-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-3-(3-ヨードイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化49】
参考例13と同様の手法により、実施例17の化合物(40.0mg)から表題化合物(39.4mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.59-8.59 (1H, m), 7.77 (1H, s), 7.65 (1H, s), 7.54-7.53 (2H, m), 7.16 (1H, dd, J = 6.9, 2.7 Hz), 7.12-7.08 (1H, m), 7.04-6.99 (1H, m), 4.77-4.74 (1H, m), 4.20 (1H, dd, J = 12.8, 4.1 Hz), 3.90 (1H, dd, J = 12.8, 7.1 Hz), 2.26 (3H, d, J = 1.8 Hz), 1.73 (3H, d, J = 6.4 Hz).
【0169】
参考例19:
【化50】
6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン(151.72g)、ビス(ピナコレート)ジボロン(235g)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライドジクロロメタン付加物(62.9g)、酢酸カリウム(189g)の1,2-ジメトキシエタン(1.59L)混合物を4.5時間加熱還流下撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、析出した固体をろ取し、1,2-ジメトキシエタン(200ml)で洗浄した。得られた固体に水(500ml)、ヘキサン(500ml)を加え、室温で、30分、懸濁撹拌した。固体をろ取し、1,2-ジメトキシエタン(400ml)で3回洗浄することで表題化合物(145.1g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.55 (1H, t, J = 1.2 Hz), 7.62-7.56 (3H, m), 7.44 (1H, dd, J = 9.2, 1.2 Hz), 1.35 (13H, s).
【0170】
実施例1:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化51】
合成法-1:参考例4の化合物(1.15g)、参考例6の化合物(661mg)、酢酸パラジウム(61.1mg)、X-phos(259mg)、炭酸カリウム(752mg)の1,2-ジメトキシエタン(6mL)/水(3mL)混合物を加熱還流下3時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に水を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(551.5mg)を得た。
合成法-2:参考例12の化合物(177mg)、参考例6の化合物(92mg)、炭酸カリウム(196mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(27mg)、1,4-ジオキサン(1.9mL)および水(0.47mL)の混合物を90℃で3時間半攪拌した。20℃まで冷却し、飽和食塩水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル(約1.5mL)中で室温下撹拌し、固体をろ取した。固体を酢酸エチル(約0.5mL)で洗い、表題化合物(102mg)を得た。
合成法-3:参考例4の化合物(116g)、参考例6の化合物(67.0g)、酢酸パラジウム(6.20g)、X-phos(26.3g)、炭酸カリウム(76g)の1,2-ジメトキシエタン(700mL)/水(350mL)混合物を加熱還流下3時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチル(500mL)と2mol/L塩酸(1000mL)を加え、室温で30分間撹拌した。混合物をセライトろ過し、残渣を酢酸エチル(500mL)で洗浄後、ろ液を分液した。有機層を2mol/L塩酸(500mL)で2回洗浄し、合わせた水層に10mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH9とした。水層をクロロホルム(500mL)で3回抽出した後に、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。残渣(125.3g)にエタノール(1253mL)を加え、加熱還流下、30分間撹拌した。混合物に水(626mL)を加え、さらに加熱還流下撹拌した。室温まで放冷後、固体をろ取し、酢酸エチルで洗浄した。得られた固体(44.4g)に酢酸エチル(666mL)を加え、加熱還流下、30分間撹拌した。室温まで放冷後、固体をろ取し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下乾燥することにより表題の化合物(39.77g)を得た。
合成法-4:参考例4の化合物(28.5g)、参考例19の化合物(33.5g)、酢酸パラジウム(1.519g)、S-phos(5.56g)、炭酸カリウム(18.70g)の1,2-ジメトキシエタン(100mL)/水(50mL)混合物を加熱還流下3時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、クロロホルム(180mL)/メタノール(20mL)で希釈しセライトろ過し、クロロホルム(450mL)/メタノール(50mL)で洗浄した。得られたろ液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール)により精製することで固体を得た。得られた固体(21.23g)を酢酸エチル(210ml)で洗浄し、固体をろ取した。ろ取した固体(13.65g)のクロロホルム(117mL)/メタノール(13mL)溶液に、活性炭(商品名「強力白鷺」)(6.5g)を加え、室温にて1時間撹拌した。その後、溶液にArgoregin MP-TMT(6.5g)を加え、室温にてさらに1時間撹拌した。得られた溶液をセライトろ過し、クロロホルム(720mL)/メタノール(80mL)で洗浄した後、ろ液を減圧濃縮することにより表題の化合物(12.03g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.89 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.80 (1H, s), 7.70 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.59-7.55 (3H, m), 7.48 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.40 (1H, dd, J = 9.8, 1.8 Hz), 4.80-4.75 (1H, m), 4.27 (1H, dd, J = 12.5, 4.0 Hz), 3.99 (1H, dd, J = 12.5, 7.3 Hz), 1.74 (3H, d, J = 6.1 Hz).
[I形晶]
主要回折ピーク:2θ(°)=4.5、8.5、8.9、10.1、13.4、16.9、18.2、18.6、22.7、23.8
特徴的回折ピーク:2θ(°)=4.5、8.5、8.9、10.1、13.4、16.9
【0171】
実施例1の化合物の塩酸塩製造
実施例1の化合物(10.8g)のクロロホルム(100mL)溶液に4mol/L塩酸-酢酸エチル(200mL)を加え室温で5分間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、残渣にエタノール(100mL)を加え、加熱還流下30分間撹拌した。混合物にヘキサン(50mL)を加え、さらに加熱還流下、1時間撹拌した。混合物を室温まで放冷後、固体をろ取し、エタノール/ヘキサン(1/2)で洗浄、減圧乾燥することにより実施例1の化合物の塩酸塩(10.0g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 9.37 (1H, s), 8.39 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.28 (1H, dd, J = 9.4, 1.5 Hz), 8.20 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.12 (1H, s), 7.98 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.83 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 4.89-4.87 (1H, m), 4.40 (1H, dd, J = 12.8, 6.4 Hz), 4.14 (1H, dd, J = 12.8, 7.6 Hz), 1.61 (3H, d, J = 6.1 Hz).
[II形晶]
主要回折ピーク:2θ(°)=5.7、8.7、9.5、11.0、11.3、12.7、13.6、15.3、15.5、16.6、21.5
特徴的回折ピーク:2θ(°)=5.7、8.7、9.5、11.0、11.3、15.3
【0172】
実施例1の化合物のリン酸塩製造
実施例1の化合物(8.80g)の酢酸エチル(150mL)懸濁液にリン酸(4.38mL)を加え、加熱還流下、1時間撹拌した。混合物を室温まで放冷後、固体をろ取し、酢酸エチルで洗浄、減圧乾燥することにより実施例1の化合物の2.5リン酸塩(14.18g)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ: 9.05 (1H, s), 8.02 (1H, s), 7.97 (1H, s), 7.81 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.67 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.62-7.58 (3H, m), 4.85-4.82 (1H, m), 4.37 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 4.10 (1H, dd, J = 12.8, 7.9 Hz), 1.59 (3H, d, J = 6.1 Hz).
[III形晶]
主要回折ピーク:2θ(°)=6.1、6.9、8.9、9.8、12.1、13.4、13.7、18.0、18.2、20.6
特徴的回折ピーク:2θ(°)=6.1、8.9、9.8、12.1、13.4、13.7
CHN元素分析:C21H16F3N5O・2.5H3PO4の理論値:C,38.43%;H,3.61%;N,10.67%、実測値:C,38.29%;H,3.59%;N,10.54%.
イオン分析:C21H16F3N5O・2.5H3PO4のリン酸イオン(PO4
3-)理論値:36.13%、実測値:35.94%、35.90%.
【0173】
実施例2:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化52】
実施例1と同様の手法により、参考例4の化合物(848mg)とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イルボロン酸(492mg)から表題化合物(4mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 9.71 (1H, s), 9.09 (1H, s), 8.40 (1H, s), 7.76-7.74 (3H, m), 7.66 (1H, s), 7.52 (2H, d, J = 7.9 Hz), 4.82-4.80 (1H, m), 4.29 (1H, dd, J = 12.2, 3.7 Hz), 3.98 (1H, dd, J = 12.2, 6.7 Hz), 1.75 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0174】
実施例3:(7S)-5-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化53】
参考例7の化合物(300mg)、4-ブロモ-2-クロロ-1-フルオロベンゼン(0.204mL)、ヨウ化銅(64.1mg)、N,N’-ジメチルエチレンジアミン(0.109mL)、炭酸カリウム(310mg)のトルエン(2.5mL)混合物を加熱還流下5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、28%アンモニア水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(263.3mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 9.38 (1H, s), 8.40 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.28 (1H, dd, J = 9.5, 1.5 Hz), 8.19 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.12 (1H, s), 7.98 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.75 (1H, dd, J = 6.7, 2.4 Hz), 7.55-7.46 (2H, m), 4.88-4.83 (1H, m), 4.32 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 4.05 (1H, dd, J = 12.8, 7.6 Hz), 1.60 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0175】
実施例4~9
対応する参考例の化合物より、実施例3記載方法に準じ、下表に示す実施例4~9の化合物を合成した。
【0176】
【0177】
以下に実施例4~9の化合物名を記載する。
実施例4: (7S)-5-[4-(ジフルオロメチル)フェニル]-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
実施例5: (7S)-5-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
実施例6: (7S)-5-(4-クロロフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
実施例7: (7S)-5-(5-クロロチオフェン-2-イル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
実施例8: (7S)-5-(2,2-ジフルオロ-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
実施例9: (7S)-5-[4-(ジフルオロメトキシ)フェニル]-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【0178】
実施例10:(7S)-3-(2-アミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化54】
6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-アミン(299mg)、参考例8の化合物(318.9mg)、酢酸パラジウム(21.1mg)、X-phos(90.0mg)、炭酸カリウム(260mg)のDMF(2mL)混合物を105℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に水を加え分液した。有機層を水で2回、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(5.10mg)を得た。
LC-MS,m/z;427[M+H]
+ 保持時間;0.675min
HPLC Rt=4.438min
【0179】
実施例11:(7S)-3-(3-アミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化55】
実施例10と同様の手法により、参考例8の化合物(372mg)と6-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アミン(302mg)から表題化合物(87.5mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.64 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.79 (1H, s), 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.49-7.46 (3H, m), 7.33 (1H, dd, J = 9.2, 1.8 Hz), 7.16 (1H, s), 4.79-4.73 (1H, m), 4.26 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 3.98 (1H, dd, J = 12.8, 7.3 Hz), 3.25 (2H, brs), 1.73 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0180】
実施例12:(7S)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化56】
2-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン(345mg)、参考例7の化合物(339mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(147mg)、炭酸セシウム(826mg)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(147mg)の1,4-ジオキサン(3mL)混合物を加熱還流下、5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(414.9mg)を得た。
LC-MS,m/z;427[M+H]
+ 保持時間;0.675min
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 8.71 (2H, dd, J = 11.0, 1.8 Hz), 8.21 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.93 (1H, dd, J = 8.9, 2.1 Hz), 7.77 (1H, s), 7.63-7.60 (3H, m), 7.40 (1H, dd, J = 9.2, 1.8 Hz), 4.76-4.69 (2H, m), 4.39-4.34 (1H, m), 1.72 (3H, d, J = 6.7 Hz).
【0181】
実施例13:(7S)-3-(3-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化57】
実施例1の化合物(544mg)と1-フルオロ-4-メチル-1,4-ジアゾニアビシクロ[2,2,2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)(634mg)のアセトニトリル(6mL)混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(21.8mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 8.85 (1H, s), 8.11 (1H, s), 7.82 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.60 (1H, dd, J = 9.8, 1.8 Hz), 7.52-7.51 (1H, m), 7.35 (1H, d, J = 7.3 Hz), 4.85-4.83 (1H, m), 4.37 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 4.09 (1H, dd, J = 12.8, 7.3 Hz), 1.59 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0182】
実施例14:(7S)-7-メチル-3-(3-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化58】
参考例13の化合物(219mg)、メチルボロン酸(73.2mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(47.1mg)、水酸化ナトリウム(48.9mg)の1,2-ジメトキシエタン(2mL)と水(1mL)の混合物を加熱還流下4時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、クロロホルムで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(20.3mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 8.75 (1H, s), 8.07 (1H, s), 7.82 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.68 (2H, d, J = 7.9 Hz), 7.54-7.52 (2H, m), 7.35 (1H, s), 4.84-4.83 (1H, m), 4.39-4.38 (1H, m), 4.09 (1H, dd, J = 12.2, 7.9 Hz), 2.43 (3H, s), 1.59 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0183】
実施例15:(7S)-3-(3-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化59】
参考例14の化合物(87mg)と10%パラジウム-炭素(166mg)のメタノール(7mL)混合物を水素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(46.9mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 8.81 (1H, s), 8.07 (1H, s), 7.82 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.56-7.50 (2H, m), 7.36 (1H, s), 4.84-4.82 (1H, m), 4.38 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 4.08 (1H, dd, J = 12.8, 7.3 Hz), 2.83 (2H, q, J = 7.5 Hz), 1.59 (3H, d, J = 6.7 Hz), 1.30 (3H, t, J = 7.5 Hz).
【0184】
実施例16:(7S)-7-メチル-3-(3-プロピルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化60】
実施例15と同様の手法により、参考例15の化合物(114.1mg)から表題化合物(66.7mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 8.81 (1H, s), 8.06 (1H, s), 7.81 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.68 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.52 (2H, s), 7.36 (1H, s), 4.85-4.81 (1H, m), 4.37 (1H, dd, J = 13.1, 4.0 Hz), 4.08 (1H, dd, J = 13.1, 7.6 Hz), 2.82 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.74-1.66 (2H, m), 1.59 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.95 (3H, t, J = 7.3 Hz).
【0185】
実施例17:(7S)-5-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-3-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化61】
参考例17の化合物(161.8mg)、参考例6の化合物(109mg)、酢酸パラジウム(9.4mg)、S-phos(34.5mg)、炭酸カリウム(116mg)の1,2-ジメトキシエタン(1.4mL)/水(0.7mL)混合物を加熱還流下2時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、酢酸エチルで希釈しセライトろ過を行い、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(109mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 9.01 (1H, s), 7.80 (1H, s), 7.62-7.57 (3H, m), 7.46 (1H, dd, J = 9.6, 1.4 Hz), 7.17-7.16 (1H, m), 7.10-7.07 (2H, m), 4.77-4.73 (1H, m), 4.19 (1H, dd, J = 12.8, 4.1 Hz), 3.89 (1H, dd, J = 12.8, 7.3 Hz), 2.28 (3H, d, J = 1.8 Hz), 1.72 (3H, d, J = 6.4 Hz).
【0186】
実施例18:(7S)-3-(3-フルオロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-5-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-7-メチル-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化62】
実施例13と同様の手法により、実施例17の化合物(81.4mg)から表題化合物(4.2mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 9.01 (1H, s), 8.12 (1H, d, J = 9.8 Hz), 7.86 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.80 (1H, s), 7.43 (1H, d, J = 6.1 Hz), 7.11-7.00 (3H, m), 4.75-4.74 (1H, m), 4.17 (1H, dd, J = 12.8, 4.3 Hz), 3.87 (1H, dd, J = 12.8, 7.0 Hz), 2.24 (3H, d, J = 1.8 Hz), 1.70 (3H, d, J = 6.1 Hz).
【0187】
実施例19:(7S)-5-(4-フルオロ-3-メチルフェニル)-7-メチル-3-(3-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル)-6,7-ジヒドロピラゾロ[1,5-a]ピラジン-4(5H)-オン
【化63】
参考例18の化合物(30.0mg)とビス-(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(6.12mg)のTHF(1.2mL)混合物にメチルジンククロライド(59.8μL、2.0M THF溶液)を加え、室温で5時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過し、減圧濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)により精製することで表題の化合物(16mg)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 9.14 (1H, s), 8.18 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.90 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.83 (1H, s), 7.55 (1H, s), 7.11-7.00 (3H, m), 4.76-4.74 (1H, m), 4.17 (1H, dd, J = 12.8, 4.1 Hz), 3.86 (1H, dd, J = 12.8, 7.1 Hz), 2.52 (3H, s), 2.24 (3H, d, J = 1.8 Hz), 1.70 (3H, d, J = 6.4 Hz).
【0188】
試験例
以下に、本発明の化合物についての薬理試験方法及びその結果を示すが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0189】
試験例1:ヒトmGlu2受容体安定発現細胞を用いた検討
(1)ヒトmGlu2受容体安定発現細胞
ヒトmGlu2受容体安定発現細胞を作製し、培養に供した。具体的には、pcDNA4/TO(K1020-01, Lifetechnologies, Carlsbad,CA,USA)にヒトmGlu2受容体遺伝子を挿入し、TR発現ヒト腎臓由来HEK細胞(cat#CCL-82.2, ATCC, USA)に導入した。その後Geneticin(cat#10131-027, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA)による選別を行い、ヒトmGlu2受容体安定発現細胞を得た。
培地には10% Dialysed-FBS(cat#26400-044, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA), 50μg/mL Blasticidin S(cat#ANT-BL-1, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA)、2mg/mL G418(cat#16513-84, nacalai tesque, Kyoto, Japan)を含むHigh glucose-DMEM培地(cat#11995-065, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA)を用い、細胞培養用フラスコ(cat#3133-150, AGC Thechno Glass, Shizuoka, Japan)にて培養を行った。培養中、3~4日毎にTrypLE Express(cat#12604-013, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA)処理にて細胞を回収し、継代培養を行った。
継代から3~4日後、約80%コンフルエントな状態でTrypLE Express処理にて細胞を回収し、0.1% BSA(cat#12604-013, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA), 0.1μg/mL Tetracycline(cat#33031-64, nacalai tesque, Kyoto, Japan)含有のHanks(cat#14065-056, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA)/20mmol/L HEPES(cat#15630-080, Lifetechnologies, Carlsbad, CA, USA)Buffer(pH7.4)培地下で、Gα16, apoaequorinを一過的に導入し、その後に384wellプレート(cat#781090, Greiner bio-one, Frickenhausen, Germany)に1,500cells/30μL/wellとなるように播種した。
播種翌日、Coelentetrazine h(cat#S2011, Promega, Madison, WI, USA)を終濃度1μmol/Lとなるように添加し(10μl/well)、遠心後、室温で4時間以上静置した。
(2)試験化合物の調製
試験化合物はDMSOを用いて評価濃度の1000倍濃度になるように溶解した。このDMSO溶液を、培地(Hanks、20mmol/L HEPES、0.1% BSA)にて評価濃度の6倍濃度になるように希釈した。GlutamateはHanks/20mmol/L HEPES/0.1% BSA培地にてEC
80濃度の6倍濃度になるように希釈した。
(3)mGlu2受容体ネガティブアロステリックモジュレーター活性評価
ヒトmGlu2受容体安定発現細胞を作製し、培養に供した。mGlu2受容体刺激による発光シグナルの検出にはFDSS7000(浜松ホトニクス)を用いた。細胞及び発光基質を添加したプレートに、上記調製の化合物溶液を添加した(10μl/well)。添加120秒後EC
80のGlutamate含有溶液を添加し(10μl/well)、添加後300秒間発光シグナル(中心波長:465nm)を測定してRLU(Integration)を算出した。化合物のmGlu2受容体のネガティブアロステリックモジュレーター活性は、(100-100×(各化合物の各濃度のRLU/DMSO群のRLU))にて算出した。
本発明の化合物を上述の生物学試験で評価したところ、mGlu2受容体ネガティブアロステリックモジュレーター活性を示す化合物を見出した。各化合物のmGlu2受容体ネガティブアロステリックモジュレーター活性(IC
50値(nmol/L))を下表に示す。
【表2】
(4)時間依存的なmGlu2受容体ネガティブアロステリックモジュレーター活性評価
ヒトmGlu2受容体安定発現細胞を作製し、培養に供する。mGlu2受容体刺激による発光シグナルの検出にはFDSS7000(浜松ホトニクス)を用いる。細胞及び発光基質を添加したプレートに、上記(2)で調製した試験化合物溶液を添加する(10μl/well)。添加2分後、15分後、30分後、60分後及び120分後にそれぞれEC
80のGlutamate含有溶液を添加し(10μl/well)、添加後300秒間発光シグナル(中心波長:465nm)を測定してRLU(Integration)を算出する。化合物各添加時間のmGlu2受容体のネガティブアロステリックモジュレーター活性は、(100-100×(各化合物の各濃度のRLU/DMSO群のRLU))にて算出する。
【0190】
試験例2:ラット強制水泳試験
ラット強制水泳試験において、既存の抗うつ薬(三環系抗うつ薬やセロトニン再取込阻害剤など)は、無動時間を短縮させることが知られている。そこで本試験系を用い、無動時間を指標に本発明の化合物の抗うつ作用を検討する。
7週齢雄性Wistarラットを用いて、ラット強制水泳試験を行う。すなわち水道水(水温25±1℃)5.8Lを満たした水槽に動物を入れた後、15分間泳がせる(水泳訓練)。水泳訓練終了後、速やかに動物に付着している水滴を拭い取りホームケージに戻す。水泳訓練の翌日、水泳試験は動物を水泳訓練と同様の操作で5分間水泳させることによって実施する。各個体の水泳行動は水槽の側面からビデオカメラで撮影する。水泳試験終了後、速やかに動物に付着している水滴を拭い取りホームケージに戻した。被験化合物、陽性対照であるimipramineは、0.5%メチルセルロース溶液に懸濁し経口投与する。媒体及び被験化合物の投与は、水泳訓練終了15分後及び水泳試験の2時間前に行う。Imipramineの投与は、水泳訓練終了15分後及び水泳試験の1時間前に行う。動物が水槽中で前肢及び胴体を動かさずに浮遊している状態を無動と定義し、5分間の水泳試験における無動を示した時間の累積値を、その個体の無動時間として計測する。統計学的処理にはスチューデントのt検定及びDunnet型多重比較を用いる。
【0191】
試験例3:ラット皮質脳波γ周波数帯パワー増強作用
皮質脳波におけるγ周波数帯パワー変化は、皮質活動の指標と考えられており、mGluR2のアンタゴニストやNAM、あるいはNMDA受容体の拮抗薬(Ketamineなど)では、γ周波数帯パワーを増強させることが知られている。本発明の化合物においてもγ周波数帯増強作用を示すかどうかについて検討する。
脳波測定電極留置手術を施した雄性Wistarラットを用いて、暗期に試験を行う。化合物は0.5%メチルセルロース溶液に懸濁し、経口投与する。脳波測定及び周波数解析はProgress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry 63 (2015) 6-13に記載の方法に従う。脳波は0.5から80Hzの間で周波数解析を行い、30から80Hzの周波数帯をγ周波数帯として、パワー値を算出する。投与前値を100%として投与後2時間までのパワー変化を1時間毎に集計する。統計学的処理は繰り返し測定を考慮した二元配置分散分析後、Dunnet型多重比較を行う。
【0192】
試験例4:CYP3A4 MBI及び酵素不活性化クリアランス評価
チトクロームP450(以下CYP)は薬物代謝に関わる最も重要な酵素群で、薬物動態学的な相互作用の多くはこれらCYP活性の阻害に基づく。CYPには複数の分子種が存在し、特にCYP3A4はCYPによる酸化反応では医薬品の代謝に関与する割合が最も大きく、また、肝臓に存在するCYPのうちの大部分を占める。
CYP阻害様式には「可逆的阻害」と「不可逆的阻害(mechanism-based inhibition:MBI)」の大きく2種類があり、特にMBIに基づくCYP阻害は薬物相互作用のみならず重篤な副作用(肝毒性等)を引き起こす可能性が知られている(Curr Opin Drug Discov Devel. 2010 January, 13(1), 66-77,Therapeutics and Clinical Risk Management, 2005,1(1), 3-13)。
本実施例化合物を用いて、CYP3A4のMBI及び酵素不活性化クリアランスを評価した。
酵素源としてヒト肝ミクロソーム、基質はミダゾラム又はテストステロンを用い、CYP3A4に対する試験化合物の阻害効果ならびに阻害様式を評価した。37℃、30分の代謝反応後の試験化合物添加群(4濃度)の基質由来代謝生成物と非添加群の基質由来代謝生成物をLC-MS/MSにて測定し、その比から阻害率を計算した。また、濃度プロットからIC
50値を算出した。試験化合物にMBI作用が認められる場合、NADPH(補因子)存在下でのプレインキュベーション後に基質を添加し反応を開始することにより、IC
50が低下することが知られていることから(Xenobiotica,2009,39(2),99-112)、プレインキュベーションによるIC
50値の変動が2倍以上の場合MBI作用ありと判定した。
MBI作用が認められた場合は、k
inact(最大酵素不活性化速度定数)及びK
I(最大酵素不活性化速度の50%の速度をもたらす阻害薬の濃度)を非線形最小二乗法により算出した。さらに、Drug Metabolism and Disposition,2011,39(7),1247-1254に記載の方法に準じ、酵素不活性化クリアランスを算出した(CL
int
= k
inact/K
I(ml/min/mmol)×CYP contents(pmol/mg protein))。
各実施例化合物のCYP3A4のMBI及び酵素不活性化クリアランスを下表に示す。
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0193】
以上で説明したように、本発明の化合物はグループII代謝型グルタミン酸(mGlu)受容体に対して負の調節作用を示す。したがって、本発明の化合物は代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ2(mGluR2)及び/又は代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ3(mGluR3)が関与する疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用である。