(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】硫黄含有芳香族ポリマーとVDFベースのポリマーとを含むポリマーアロイ
(51)【国際特許分類】
C08L 81/02 20060101AFI20230313BHJP
C08L 81/06 20060101ALI20230313BHJP
C08L 27/16 20060101ALI20230313BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20230313BHJP
C08J 3/21 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C08L81/02
C08L81/06
C08L27/16
C08L27/12
C08J3/21 CEW
C08J3/21 CEZ
(21)【出願番号】P 2019556942
(86)(22)【出願日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2018060003
(87)【国際公開番号】W WO2018193025
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513092877
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ イタリー エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サングイネーティ, アルド
(72)【発明者】
【氏名】ミレンダ, マルコ
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332307(JP,A)
【文献】国際公開第2001/067536(WO,A1)
【文献】特開平02-298544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-246/00
C08F301/00
C08J 3/00- 3/28
C08J 99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 60~90重量%、好ましくは70~85重量%の硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]と;
- 10~40重量%、好ましくは20~30重量%のコポリマー[コポリマー(C)]であって、
- i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;及び
- ii)コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して、0.5~20モル%、好ましくは1~15モル%の、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する繰り返し単位
を含むコポリマー(C)と
を含むポリマーアロイ(PA)であって、
前記芳香族ポリマー(A)が、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)、好ましくはポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリフェニルスルホン(PPSU)であり、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする、ポリマーアロイ(PA)。
【請求項2】
コポリマー(C)が、VDFとは及びCTFEとは異なる少なくとも1種のフッ素化モノマー(FM)を更に含む
、請求項1に記載のポリマーアロイ(PA)。
【請求項3】
- 60~90重量%、好ましくは70~80重量%の硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]と;
- 0.1~10重量%、好ましくは1~5重量%のコポリマー[コポリマー(C)]であって、
- i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
- ii)コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して、0.5~20モル%、好ましくは1~15モル%の、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する繰り返し単位
を含むコポリマー(C)と;
- 9~39重量%、好ましくは15~35重量%、より好ましくは20~30重量%
の、コポリマー(C)とは異な
る少なくとも1種のフルオロポリマー(F)と
を含むポリマーアロイ(PA)であって、
前記芳香族ポリマー(A)が、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)、好ましくはポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリフェニルスルホン(PPSU)であり、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする、ポリマーアロイ(PA)。
【請求項4】
前記少なくとも1種のフルオロポリマー(F)がフッ化ビニリデンポリマー[ポリマー(VDF)]である
、請求項
3に記載のポリマーアロイ(PA)。
【請求項5】
前記ポリマー(VDF)が、VDFのホモポリマー、VDF/HFPコポリマー又はVDF/HFP/TFEターポリマーからなる群から選択される、請求項
4に記載のポリマーアロイ。
【請求項6】
前記少なくとも1種のフルオロポリマー(F)が熱可塑性エラストマー[ポリマー(F-TPE)]である
、請求項
3に記載のポリマーアロイ(PA)。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載のポリマーアロイ(PA)の調製方法であって、前記方法が、前記芳香族ポリマー(A)と、前記コポリマー(C)と、任意選択的に前記フルオロポリマー(F)とを溶融混合する工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか一項に記載のポリマーアロイを含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年04月21日出願の欧州特許出願公開第17167519.2号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、硫黄含有芳香族ポリマーと少なくとも1種のフルオロポリマーとを含むポリマーアロイであって、改善された分散性及び改善された機械的特性を有するポリマーアロイに関する。
【0003】
本発明はまた、前記ポリマーアロイの調製方法に及びそれを含む物品に関する。
【背景技術】
【0004】
ポリアリーレンスルフィド及びポリアリールスルホンなどの硫黄含有芳香族ポリマーは、スルフィド、エーテル及び/又はスルホン基によって結び付けられたフェニル又はビフェニルから主としてなる熱的に安定なエンジニアリングプラスチックである。それらの材料は、優れた耐熱性及び耐化学薬品性を有する。しかしながら、それらは、不十分な機械的特性、特に耐衝撃性を有する。
【0005】
硫黄含有芳香族ポリマーの機械的特性を改善することに長い間関心が持たれてきた。
【0006】
硫黄含有芳香族ポリマーをフッ素含有ポリマーとブレンドすると、両クラスの性能及び特性を組み合わせる新規材料を生成することができる。しかしながら、それらは、高度に非相溶性であり、配合するのが困難である。
【0007】
ある種のポリフェニレンスルフィドを、無機充填材及びフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー又はターポリマー(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン)などのフッ素含有ゴムと混合することは既に提案されている。そのようなブレンドは、例えば、米国特許第4395512号明細書(信越化学工業株式会社)に開示されている。この公文書において、前記ブレンドはポリフェニレンスルホンと比べると改善された耐衝撃性を示すことが述べられている。
【0008】
しかしながら、硫黄含有芳香族ポリマーとフッ素含有ポリマーとのブレンドは、細かい、十分に分散したドメインよりもむしろ個別のポリマーの大きい領域又はドメインのモルフォロジを有する傾向がある。大きいドメインは、不十分な機械的特性の材料、例えば、不十分な引張特性を有する射出成形部品を生成する傾向がある。
【0009】
これらのドメイン間の界面はまた、不十分な強度を有し、ひいてはブレンドの総合的な低い機械的特性を生み出す。
【0010】
ブレンドの分散性を改善するために、相溶化剤を添加することができる。
【0011】
日本特許第3133783号公報(東燃化学株式会社、東燃石油化学株式会社)は、この関連で、α-オレフィンとα,β-不飽和脂肪酸のグリシジルエステルとのコポリマーがポリアリーレンスルフィドとポリフッ化ビニルとの相溶性を改善するために使用できることを開示している。
【0012】
日本特許第3500747号公報(大日本インキ化学工業株式会社)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を、シラン化合物を相溶化剤として添加することによりテトラフルオロエチレンと、フッ化ビニリデンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマーと配合することにより調製される改善された熱可塑性樹脂を開示している。
【0013】
しかしながら、米国特許第5470901号明細書(ダイキン工業株式会社)は、必要とされる耐化学薬品性及び耐熱性特性を有するポリフェニレンスルフィドにおけるフッ素含有エラストマーの分散性を改善するための好適な相溶化剤は存在しないことを開示している。
【0014】
それ故に、硫黄含有芳香族ポリマー中へ細かく分散したフッ素含有ポリマーを含むブレンドであって、両成分の有利な性能、とりわけ硫黄含有芳香族ポリマーの耐化学薬品性及び耐熱性並びにフッ素含有ポリマーの機械的特性を組み合わせているブレンドの未達が当技術分野において依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願人は、意外にも、フッ化ビニリデン(VDF)とクロロトリフルオロエチレン(CTFE)とのある種のコポリマーが、硫黄含有芳香族ポリマーとブレンドすると、アロイであって、前記コポリマーが硫黄含有芳香族ポリマー中に一様に分散しており、ポリマーアロイが改善された機械的特性を有することによって特徴付けられるアロイを製造できることを見いだした。
【0016】
したがって、
- 硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]と;
- 下記:
- i)フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;及び
- ii)コポリマー[コポリマー(C)]の繰り返し単位の総モルに対して、0.5~20モル%の、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する繰り返し単位
を含むコポリマー(C)と
を含むポリマーアロイ(PA)を提供することが本発明の第1目的である。
【0017】
本発明の別の目的は、前記ポリマーアロイの調製方法を提供することである。
【0018】
同じコポリマー(C)はまた、他のフルオロポリマーと硫黄含有芳香族ポリマーとの相溶化を改善するのにも有効である。
【0019】
本発明の第2目的は、したがって、
- コポリマー(C)とは異なる、少なくとも1種のフルオロポリマー(F)
を更に含むポリマーアロイ(PA)を提供することである。
【0020】
さらなる目的において、本発明は、前記ポリマーアロイでできた物品を指向する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】1000.0×の倍率での比較例1のブレンドのSEM画像を示す。
【
図2】1050.0×の倍率での実施例1のブレンドのSEM画像を示す。
【
図3】1090.0×の倍率での及び7960.0×の倍率での実施例1の2のブレンドのSEM画像を示す。
【
図4】1000.0×の倍率での比較例2のブレンドのSEM画像を示す。
【
図5】996.0×の倍率での実施例2のブレンドのSEM画像を示す。
【
図6】1000.0×の倍率での比較例3のブレンドのSEM画像を示す。
【
図7】1000.0×の倍率での実施例3のブレンドのSEM画像を示す。
【
図8】1000.0×の倍率での比較例4のブレンドのSEM画像を示す。
【
図9】1000.0×の倍率での実施例4のブレンドのSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
芳香族ポリマー(A)
本発明に使用される芳香族ポリマー(A)は、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)又は芳香族スルホンポリマー(SP)であり得る。
【0023】
PASは、式-(Ar-S)-の繰り返し単位を主要構造単位として含む、好ましくはこの繰り返し単位を80モル%以上の量で含有するポリマーである。Arは、芳香族基を表し、例としては、下に示される式(I)~(XI):
(式中、R1及びR2は、それぞれ、水素、1~12個の炭素原子のアルキル、1~12個の炭素原子のアルコキシ、6~24個の炭素原子のアリーレン、及びハロゲンから選択される置換基を表し、R1及びR2は同じものであっても異なるものであってもよい)
で表される単位(RU1)が挙げられ、それらの中で式(I)が特に好ましい。
【0024】
したがって、ポリ(アリーレンスルフィド)(PAS)は、好ましくは、ポリフェニレンスルフィド(PPS)である。
【0025】
本発明の目的のためには、定義「芳香族スルホンポリマー(SP)」は、その50重量%超、好ましくは70重量%超、より好ましくは90重量%超の繰り返し単位(RU2)が、式(XII):
の基の少なくとも1つを含む任意のポリマーを意味することを意図し、
Ar’は、以下の構造:
の中で選択される基であり、
ここで、R
Dは、
(ここで、n=1~6の整数)
である。
【0026】
繰り返し単位(RU2)は、好ましくは:
から選択される。
【0027】
したがって、芳香族スルホンポリマー(SP)は、好ましくは、ポルスルホン(PSU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、それらのコポリマー及び混合物からなる群の中で選択され、最も好ましくはポリスルホン(PSU)又はポリフェニルスルホン(PPSU)である。
【0028】
ポリスルホンは、とりわけ、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.からUDEL(登録商標)PSUとして入手可能である。
【0029】
ポリスルホンは、ビスフェノールAと4,4’-ジクロロジフェニルスルホンとを縮合させることによって製造される。
【0030】
ポリフェニルスルホンは、とりわけ、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.CからRADEL(登録商標)Rとして入手可能であり、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及び4,4’-ビフェノールの単位を反応させることによって製造される。
【0031】
ポリフェニルスルホンの調製のための当技術分野において周知の方法は、例えば、米国特許第3634355号明細書;米国特許第4008203号明細書;米国特許第4108837号明細書及び米国特許第4175175号明細書に記載されているものであり、それらの全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0032】
コポリマー(C)
本発明に使用されるコポリマー(C)は、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位及びクロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する繰り返し単位を含むポリマーであって、CTFEに由来する繰り返し単位が、コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して、0.5~20モル%、好ましくは1~15モル%、より好ましくは7~12モル%に含まれる量で存在するポリマーである。
【0033】
フッ化ビニリデンとは及びクロロトリフルオロエチレンとは異なる少なくとも別のフッ素化モノマー(FM)の繰り返し単位が、コポリマー(C)中に含まれてもよい。
【0034】
用語「フッ素化モノマー(FM)」とは、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーを意味することを本明細書では意図する。
【0035】
本文の残りにおいて、表現「フッ素化モノマー」は、本発明の目的のためには、複数形及び単数形の両方で、即ち、それらが、上に定義されたような1種又は2種以上のフッ素化モノマーの両方を意味すると理解される。
【0036】
フッ素化モノマー(FM)が少なくとも1個の水素原子を含む場合、それは、水素含有フッ素化モノマーと称される。
【0037】
フッ素化モノマー(FM)が水素原子を含まない場合、それは、パー(ハロ)フッ素化モノマーと称される。
【0038】
フッ素化モノマー(FM)は、1個以上の他のハロゲン原子(Cl、Br、I)を更に含んでもよい。
【0039】
好適なフッ素化モノマー(FM)の非限定的な例としては、とりわけ、下記:
- テトラフルオロエチレン(TFE)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのC2~C8パーフルオロオレフィン;
- フッ化ビニル(VF1)、1,2-ジフルオロエチレン及びトリフルオロエチレン(VF3)などのC2~C8含水素フルオロオレフィン;
- 式CH2=CH-Rf0(式中、Rf0は、C1~C6パーフルオロアルキルである)のパーフルオロアルキルエチレン;
- クロロ及び/又はブロモ及び/又はヨードC2~C6フルオロオレフィン;
- 式CF2=CFORf1(式中、Rf1は、C1~C6フルオロ-若しくはパーフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7である)の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
- CF2=CFOX0(パー)フルオロ-オキシアルキルビニルエーテル[式中、X0は、C1~C12アルキル基、C1~C12オキシアルキル基又は、パーフルオロ-2-プロポキシ-プロピル基などの、1個以上のエーテル基を有するC1~C12(パー)フルオロオキシアルキル基である];
- 式CF2=CFOCF2ORf2[式中、Rf2は、C1~C6フルオロ-若しくはパーフルオロアルキル基、例えばCF3、C2F5、C3F7又は、-C2F5-O-CF3などの、1個以上のエーテル基を有するC1~C6(パー)フルオロオキシアルキル基である]の(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF2=CFOY0[式中、Y0は、C1~C12アルキル基若しくは(パー)フルオロアルキル基、C1~C12オキシアルキル基又は、1個以上のエーテル基を有するC1~C12(パー)フルオロオキシアルキル基であり、そしてY0は、その酸、酸ハライド又は塩の形態での、カルボン酸又はスルホン酸基を含む]の官能性(パー)フルオロ-オキシアルキルビニルエーテル;
- フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール
が挙げられる。
【0040】
フッ素化モノマー(FM)は、好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)である。
【0041】
コポリマー(C)中のフッ素化モノマー(FM)の量は、コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して好ましくは少なくとも2.5モル%、好ましくは少なくとも4.0モル%、更により好ましくは少なくとも6.0モル%のものである。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明のコポリマー(C)は、
- コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して50~90モル%の量でのVDFに;
- コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して0.5~20モル%の量でのCTFEに;及び
- コポリマー(C)の繰り返し単位の総モルに対して10~30モル%の量での少なくとも1種のフッ素化モノマー(FM)に
由来する繰り返し単位を含む。
【0043】
ASTM D1238の手順に従って測定される、コポリマー(C)のメルトフローレートは、一般に1~50g/10分の範囲である。
【0044】
コポリマー(C)は、当技術分野において公知の任意の重合法によって製造され得る。
【0045】
本出願人は、意外にも、全ての重量割合で硫黄含有芳香族ポリマーとフッ素含有ポリマーとを含むポリマーアロイであって、アロイの構成要素が一様に分散しているポリマーアロイの調製にコポリマー(C)を使用できることを見いだした。
【0046】
実際に、コポリマー(C)と硫黄含有芳香族ポリマーとのブレンドを、構成要素が全て融解形態にある温度よりも上である温度で溶融混合した後に、連続相内に分散した複数の離散ドメインであって、前記離散ドメインの粒径の寸法が、溶融混合に供されなかったブレンドと比べると著しく減少している離散ドメインが形成される。
【0047】
本発明のポリマーアロイ中の離散ドメインの平均粒径は、好都合には2ミクロン未満、好ましくは1ミクロン未満、より好ましくは0.5ミクロン未満である。
【0048】
本発明によるポリマーアロイ(PA)は、
- 1~99重量%の芳香族ポリマー(A)と;
- 1~99重量%のコポリマー(C)と
を含んでもよく、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする。
【0049】
一態様において、本発明は、硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]の連続相とコポリマー[コポリマー(C)]の離散ドメインとを含むポリマーアロイを提供する。
【0050】
この第1態様による好ましい実施形態において、本発明は、
- 60~90重量%、好ましくは70~85重量%の芳香族ポリマー(A)と;
- 10~40重量%、好ましくは20~30重量%、より好ましくは15~25重量%のコポリマー(C)と
を含み、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする
ポリマーアロイ(PA)を提供する。
【0051】
第2態様において、本発明はコポリマー[コポリマー(C)]の連続相と硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]の離散ドメインとを含むポリマーアロイを提供する。
【0052】
この第2態様による好ましい実施形態において、本発明は、
- 10~40重量%、好ましくは15~25重量%の芳香族ポリマー(A)と;
- 60~90重量%、好ましくは75~85重量%のコポリマー(C)と
を含み、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする
ポリマーアロイ(PA)を提供する。
【0053】
本出願人はまた、意外にも、コポリマー(C)の使用が、硫黄含有芳香族ポリマー中の、コポリマー(C)とは異なる、他のフルオロポリマーの分散性を著しく改善するために使用でき、したがって全ての重量割合で硫黄含有芳香族ポリマーとフルオロポリマーとを含むポリマーアロイであって、ポリマーアロイ中の構成要素が全て一様に分散しているポリマーアロイの調製を可能にすることを見いだした。
【0054】
フルオロポリマーと硫黄含有芳香族ポリマーとのブレンドを、構成要素が全て融解形態にある温度よりも上である温度で、一定量のコポリマー(C)の存在下で混合すると、減少した平均粒径の分散ドメインが連続相内に分散している一様に分散したアロイを実際にもたらす。
【0055】
いかなる理論にも制約されることなく、硫黄含有芳香族ポリマーとコポリマー(C)とを溶融混合すると、その場発生した相溶化剤として働く化学結合したフッ素化芳香族部分を与えると考えられる。
【0056】
本発明の第2目的は、したがって、
- 硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]と;
- フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位及びコポリマー[コポリマー(C)]の繰り返し単位の総モルに対して、0.5~20モル%、好ましくは1~15モル%、より好ましくは7~12モル%の、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)に由来する繰り返し単位を含むコポリマー(C)と;
- コポリマー(C)とは異なる、少なくとも1種のフルオロポリマー(F)と
を含むポリマーアロイ(PA)を提供する。
【0057】
フルオロポリマー(F)
表現「フルオロポリマー(F)」は、フッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含むポリマーを示すために本発明の枠内で用いられる。
【0058】
第1変形において、フルオロポリマー(F)は、
(a)テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロイソブチレンなどのC
2~C
8パーフルオロオレフィン;
(b)フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(VF3)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、式CH
2=CH-R
f1(式中、R
f1は、C
1~C
6パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレンなどの、水素含有C
2~C
8フルオロオレフィン;
(c)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などのC
2~C
8クロロ及び/又はブロモ含有フルオロオレフィン;
(d)式CF
2=CFOR
f1[式中、R
f1は、CF
3(PMVE)、C
2F
5又はC
3F
7などの、C
1~C
6パーフルオロアルキル基である]のパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)とりわけ、式CF
2=CFOCF
2OR
f2[ここで、R
f2は、-CF
2CF
3、-CF
2CF
2-O-CF
3及び-CF
3などの、C
1~C
3パーフルオロ(オキシ)アルキル基である]のパーフルオロメトキシアルキルビニルエーテルを含む、式CF
2=CFOX
0(式中、X
0は、1個又は2個以上のエーテル性酸素原子を含むC
1~C
12パーフルオロオキシアルキル基である)のパーフルオロオキシアルキルビニルエーテル;
(f)式:
[式中、互いに等しいか又は異なる、R
f3、R
f4、R
f5及びR
f6のそれぞれは、独立して、フッ素原子であるか、-CF
3、-C
2F
5、-C
3F
7、-OCF
3又は-OCF
2CF
2OCF
3などの、1個以上の酸素原子を任意選択的に含む、C
1~C
6パーフルオロ(オキシ)アルキル基である]
の(パー)フルオロジオキソール
からなる群から一般に選択される、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーに由来する繰り返し単位を含む重付加ポリマーの中で選択され得る。
【0059】
フルオロポリマー(F)は、好ましくは、フッ化ビニリデンポリマー[ポリマー(VDF)]である。
【0060】
表現「フッ化ビニリデンポリマー」は、繰り返し単位の50モル%超がフッ化ビニリデン(VDF)に由来する、前記繰り返し単位から本質的になるポリマーを示すために本発明の枠内で用いられる。
【0061】
ポリマー(VDF)は、好ましくは、
(a’)少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは75モル%の、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
(b’)任意選択的に0.1~50モル%、好ましくは1~25モル%の、VDFとは異なる少なくとも1種のフッ素化モノマー(FM2)に由来する繰り返し単位;及び
(c’)任意選択的に0.1~5モル%、好ましくは0.1~3モル%、より好ましくは0.1~1モル%の、1種以上の含水素コモノマーに由来する繰り返し単位
を含み、
前述のモル%は全て、ポリマー(VDF)の繰り返し単位の総モルを基準とする
ポリマーである。
【0062】
この第2目的によるポリマーアロイ(PA)に好適なフッ素化モノマー(FM)は、有利には、フッ化ビニル(VF1)、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP);パーフルオロ(メチル)ビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロ(エチル)ビニルエーテル(PEVE)及びパーフルオロ(プロピル)ビニルエーテル(PPVE)などの、パーフルオロ(アルキル)ビニルエーテル;パーフルオロ(1,3-ジオキソール);パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)(PDD)からなる群から選択される。
【0063】
好ましくは、フッ素化モノマー(FM)は、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン(VF3)及びテトラフルオロエチレン(TFE)から選択される。
【0064】
前記含水素コモノマーの選択は、特に限定されず;アルファ-オレフィン、(メタ)アクリルモノマー、ビニルエーテルモノマー、スチレン系モノマーが使用され得る;それにもかかわらず、耐化学薬品性を最適化するために、フルオロポリマー(F)が、前記含水素コモノマーに由来する繰り返し単位を本質的に含まない実施形態が好ましい。
【0065】
したがって、フッ化ビニリデンポリマー[ポリマー(VDF)]は、より好ましくは、
(a’)少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも70モル%、より好ましくは75モル%の、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位;
(b’)任意選択的に0.1~50モル%、好ましくは1~25モル%の、VDFとは異なる少なくとも1種のフッ素化モノマー(FM2)であって;前記フッ素化モノマー(FM)が、好ましくは、フッ化ビニル(VF1)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、トリフルオロエチレン(VF3)及びそれらからの混合物からなる群の中で選択されるフッ素化モノマー(FM)
から本質的になるポリマーであり、
前述のモル%は全て、ポリマー(VDF)の繰り返し単位の総モルを基準とする。
【0066】
欠陥、末端鎖、不純物、鎖逆位又は分岐等は、これらの構成要素がフルオロポリマー(F)の挙動及び特性を実質的に改変することなく、上記繰り返し単位に加えて、ポリマー(VDF)中に更に存在し得る。
【0067】
本発明で有用なフルオロポリマー(F)の非限定的な例としては、とりわけ、次のポリマー(VDF):VDFのホモポリマー、VDF/TFEコポリマー、VDF/TFE/HFPターポリマー、VDF/TFE/CTFEターポリマー、VDF/TFE/TrFEターポリマー、VDF/HFPコポリマー、VDF/TFE/HFP/CTFEポリマー等を挙げることができる。
【0068】
VDFのホモポリマーは、この第1変形によるポリマーアロイ(PA)中のフルオロポリマー(F)として使用するのに特に有利である。
【0069】
ポリマー(VDF)のメルトインデックスは、2.16kgのピストン荷重下で、230℃で実施される、ASTM試験番号1238に従って測定されるときに、有利には少なくとも0.01、好ましくは少なくとも0.05、より好ましくは少なくとも0.1g/10分、及び有利には50未満、好ましくは30未満、より好ましくは20g/10分未満である。
【0070】
ポリマー(VDF)のメルトインデックスは、5kgのピストン荷重下で、230℃で実施される、ASTM試験番号1238に従って測定されるときに、有利には少なくとも1、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも5g/10分、及び有利には70未満、好ましくは50未満、より好ましくは40g/10分未満である。
【0071】
ポリマー(VDF)は、有利には、ASTM D3418に従って、10℃/分の加熱速度で、DSCによって測定されるときに、有利には少なくとも120℃、好ましくは少なくとも125℃、より好ましくは少なくとも130℃の、及び最大でも190℃、好ましくは最大でも185℃、より好ましくは最大でも180℃の融点(Tm2)を有する。
【0072】
第2変形において、フルオロポリマー(F)は、
(i)繰り返し単位の配列からなる少なくとも1つの弾性(elastomeric)ブロック(A)であって、前記配列が少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含み、前記ブロック(A)が、ASTM D3418に従って測定されるように、25℃未満のガラス転移温度を有するブロック(A)、
(ii)繰り返し単位の配列からなる少なくとも1つの熱可塑性ブロック(B)であって、前記配列が少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含み、
前記ブロック(B)の結晶化度及びポリマー(F-TPE)におけるその重量分率が、ASTM D3418に従って測定されるときに、最大でも20J/gのポリマー(F-TPE)の融解熱(ΔHf)を提供するためのようなものであるブロック(B)
を含む熱可塑性エラストマー[ポリマー(F-TPE)]の中で選択され得る。
【0073】
本発明の目的のためには、用語「弾性の」は、「ブロック(A)」と組み合わせて用いられる場合、単独で取り出されたときに、実質的に非晶質である、即ち、ASTM D3418に従って測定されるように、2.0J/g未満の、好ましくは1.5J/g未満の、より好ましくは1.0J/g未満の融解熱を有するポリマー鎖セグメントを意味することを本明細書では意図する。
【0074】
本発明の目的のためには、用語「熱可塑性の」は、「ブロック(B)」と組み合わせて用いられる場合、単独で取り出されたときに、半結晶性であり、且つ、ASTM D3418に従って測定されるように、10.0J/gを超える関連融解熱の、検出可能な融点を有するポリマー鎖セグメントを意味することを本明細書では意図する。
【0075】
本発明のポリマー(F-TPE)は、有利には、ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーは、典型的には、少なくとも1つのブロック(A)と少なくとも1つのブロック(B)を交互に含む構造を有する、即ち、前記フッ素化熱可塑性エラストマーは、典型的には、タイプ(B)-(A)-(B)の1つ以上の繰り返し構造を含み、好ましくはその構造からなる。一般に、ポリマー(F-TPE)は、タイプ(B)-(A)-(B)の、即ち、両方の末端においてサイドブロック(B)に接続された、2つの末端を有する中央ブロック(A)を含む構造を有する。
【0076】
ブロック(A)は、多くの場合、あるいはソフトブロック(A)と呼ばれ、ブロック(B)は、多くの場合、あるいはハードブロック(B)と呼ばれる。
【0077】
ブロック(A)及び(B)のいずれもが、フッ素化されている、即ち、それは、上に定義されたような少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含む。
【0078】
ブロック(A)及び(B)のいずれもが、少なくとも1種の含水素モノマーに由来する繰り返し単位を更に含んでよく、ここで、用語「含水素モノマー」は、少なくとも1個の水素原子を含み、且つ、フッ素原子を含まないエチレン系不飽和モノマーを意味することを意図する。
【0079】
弾性ブロック(A)は、式:
RARB=CRC-T-CRD=RERF
[式中、互いに等しいか又は異なる、RA、RB、RC、RD、RE及びRFは、H、F、Cl、C1~C5アルキル基及びC1~C5(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択され、Tは、好ましくは少なくとも部分フッ素化された、1個若しくは2個以上のエーテル性酸素原子を任意選択的に含む、線状若しくは分岐C1~C18アルキレン若しくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である]
の少なくとも1種のビス-オレフィン[ビス-オレフィン(OF)]に由来する繰り返し単位を更に含んでもよい。
【0080】
ビス-オレフィン(OF)は、好ましくは、式(OF-1)、(OF-2)及び(OF-3):
[式中、jは、2~10、好ましくは4~8に含まれる整数であり、互いに等しいか又は異なる、R1、R2、R3及びR4は、H、F、C
1~C
5アルキル基及びC
1~C
5及び(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択される];
[式中、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Aのそれぞれは、H、F及びClからなる群から独立して選択され、互いに及び出現ごとに等しいか又は異なる、Bのそれぞれは、H、F、Cl及びOR
B(式中、R
Bは、部分的に、実質的に又は完全にフッ素化又は塩素化されていてもよい分枝又は直鎖アルキル基である)からなる群から独立して選択され、Eは、エーテル結合が挿入されていてもよい、任意選択的にフッ素化された、2~10個の炭素原子を有する二価基であり;好ましくは、Eは、-(CF
2)
m-基(式中、mは、3~5に含まれる整数である)であり;(OF-2)タイプの好ましいビス-オレフィンは、F
2C=CF-O-(CF
2)
5-O-CF=CF
2である];
[式中、E、A及びBは、上で定義されたものと同じ意味を有し、互いに等しいか又は異なる、R5、R6及びR7は、H、F、C
1~C
5アルキル基及びC
1~C
5(パー)フルオロアルキル基からなる群から選択される]
のいずれかのものからなる群から選択される。
【0081】
ブロック(A)が、少なくとも1種のビス-オレフィン(OF)に由来する繰り返し単位を更に含む繰り返し単位配列からなる場合、前記配列は、典型的には、ブロック(A)の繰り返し単位の総モルを基準として、0.01モル%~1.0モル%、好ましくは0.03モル%~0.5モル%、より好ましくは0.05モル%~0.2モル%に含まれる量で前記少なくとも1種のビス-オレフィン(OF)に由来する繰り返し単位を含む。
【0082】
ポリマー(F-TPE)は、好ましくは、
- 下記:
(1)繰り返し単位の配列からなるフッ化ビニリデン(VDF)ベースの弾性ブロック(A
VDF)であって、前記配列が、VDFに由来する繰り返し単位及びVDFとは異なる少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含み、VDFとは異なる前記フッ素化モノマーが、典型的には、
(a)テトラフルオロエチレン(TFE)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのC
2~C
8パーフルオロオレフィン;
(b)フッ化ビニル、トリフルオロエチレン(VF3)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、式CH
2=CH-R
f1(式中、R
f1は、C
1~C
6パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレンなどの、VDFとは異なる水素含有C
2~C
8;
(c)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などのC
2~C
8クロロ及び/又はブロモ含有フルオロオレフィン;
(d)式CF
2=CFOR
f1[式中、R
f1は、CF
3(PMVE)、C
2F
5又はC
3F
7などの、C
1~C
6パーフルオロアルキル基である]のパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)とりわけ、式CF
2=CFOCF
2OR
f2[ここで、R
f2は、-CF
2CF
3、-CF
2CF
2-O-CF
3及び-CF
3などの、C
1~C
3パーフルオロ(オキシ)アルキル基である]のパーフルオロメトキシアルキルビニルエーテルを含む、式CF
2=CFOX
0(式中、X
0は、1個又は2個以上のエーテル性酸素原子を含むC
1~C
12パーフルオロオキシアルキル基である)のパーフルオロオキシアルキルビニルエーテル;並びに、
(f)式:
[式中、互いに等しいか又は異なる、R
f3、R
f4、R
f5及びR
f6のそれぞれは、独立して、フッ素原子であるか、-CF
3、-C
2F
5、-C
3F
7、-OCF
3又は-OCF
2CF
2OCF
3などの、1個以上の酸素原子を任意選択的に含む、C
1~C
6パーフルオロ(オキシ)アルキル基である]
の(パー)フルオロジオキソール
からなる群から選択される少なくとも1つの弾性ブロック(A
VDF)と、
(2)繰り返し単位の配列からなるテトラフルオロエチレン(TFE)ベースの弾性ブロック(A
TFE)であって、前記配列が、TFEに由来する繰り返し単位及びTFEとは異なる少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含み、前記フッ素化モノマーが、典型的には、上に定義されたようなクラス(b)、(c)、(d)、(e)のものからなる群から選択される弾性ブロック(A
TFE)と
からなる群から選択される少なくとも1つの弾性ブロック(A);
- 繰り返しの配列からなる少なくとも1つの熱可塑性ブロック(B)であって、前記配列が少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位を含む熱可塑性ブロック(B)
からなる。
【0083】
ブロック(AVDF)及び(ATFE)のいずれかは、エチレン、プロピレン又はイソブチレンなどのC2~C8非フッ素化オレフィンからなる群から選択され得る、少なくとも1種の含水素モノマーに由来する繰り返し単位を更に含んでもよいし、上に詳述されたような、少なくとも1種のビス-オレフィン(OF)に由来する繰り返し単位を更に含んでもよい。
【0084】
弾性ブロック(A)は、好ましくは、上に詳述されたような、ブロック(AVDF)であり、典型的には、繰り返し単位の配列からなる前記ブロック(AVDF)は、ブロック(AVDF)の配列の繰り返し単位の総モルに対して、
- 45モル%~80モル%の、フッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位、
- 5モル%~50モル%の、VDFとは異なる少なくとも1種のフッ素化モノマーに由来する繰り返し単位、
- 任意選択的に、1.0モル%までの、上に詳述されたような、少なくとも1種のビス-オレフィン(OF)に由来する繰り返し単位;及び
- 任意選択的に、30モル%までの、少なくとも1種の含水素モノマーに由来する繰り返し単位
を含む、好ましくはそれらからなる。
【0085】
ブロック(B)は、繰り返し単位の配列からなってもよく、前記配列は、
- 下記:
(a)テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのC
2~C
8パーフルオロオレフィン;
(b)フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン(VF3)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、式CH
2=CH-R
f1(式中、R
f1は、C
1~C
6パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルエチレンなどの、水素含有C
2~C
8フルオロオレフィン;
(c)クロロトリフルオロエチレン(CTFE)などのC
2~C
8クロロ及び/又はブロモ含有フルオロオレフィン;
(d)式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、CF
3(PMVE)、C
2F
5又はC
3F
7などの、C
1~C
6パーフルオロアルキル基である)のパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE);
(e)とりわけ式CF
2=CFOCF
2OR
f2[ここで、R
f2は、-CF
2CF
3、-CF
2CF
2-O-CF
3及び-CF
3などの、C
1~C
3パーフルオロ(オキシ)アルキル基である]のパーフルオロメトキシアルキルビニルエーテルを含む、式CF
2=CFOX
0(式中、X
0は、1個又は2個以上のエーテル性酸素原子を含むC
1~C
12パーフルオロオキシアルキル基である)のパーフルオロオキシアルキルビニルエーテル;並びに
(f)式:
[式中、互いに等しいか又は異なる、R
f3、R
f4、R
f5及びR
f6のそれぞれは、独立して、フッ素原子であるか、-CF
3、-C
2F
5、-C
3F
7、-OCF
3又は-OCF
2CF
2OCF
3などの、1個以上の酸素原子を任意選択的に含む、C
1~C
6パーフルオロ(オキシ)アルキル基である]
の(パー)フルオロジオキソール
からなる群から好ましくは選択される、1種又は2種以上のフルオロモノマーに由来する繰り返し単位と;
- 任意選択的に、とりわけエチレン、プロピレン、(メタ)アクリルモノマー、スチレンモノマーを含む、上に詳述されたような、1種又は2種以上の含水素モノマーに由来する繰り返し単位と
を含む。
【0086】
より具体的には、ブロック(B)は、
- VDFに由来する繰り返し単位の量が、ブロック(BVDF)の繰り返し単位の総モルを基準として、85~100モル%のものである一方、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位及び任意選択的にVDFとは異なる1種又は2種以上の追加のフッ素化モノマー、例えばHFP、TFE又はCTFEに由来する繰り返し単位、及び任意選択的に上に詳述されたような、含水素モノマー、例えば(メタ)アクリルモノマーに由来する繰り返し単位の配列からなるブロック(BVDF);
- TFEに由来する繰り返し単位の量が、ブロック(B)の繰り返し単位の総モルを基準として、75~100モル%のものである一方、テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位、及び任意選択的にTFEとは異なる追加の過フッ素化モノマーに由来する繰り返し単位の配列からなるブロック(BTFE);
- エチレンに由来する繰り返し単位並びに、場合により追加のモノマーと組み合わせた、CTFE及び/又はTFEに由来する繰り返し単位の配列からなるブロック(BE/(C)TFE)
からなる群から選択され得る。
【0087】
フッ素化熱可塑性エラストマー中のブロック(A)及びブロック(B)間の重量比は、典型的には95:5~10:90に含まれる。
【0088】
特定の好ましい実施形態によれば、ポリマー(F-TPE)は、多量のブロック(A)を含み;これらの実施形態によれば、本発明の方法に使用されるポリマー(F-TPE)は、95:5~65:35、好ましくは90:10~70:30のブロック(A)及びブロック(B)間の重量比によって特徴付けられる。
【0089】
ブロック(B)の結晶化度及びポリマー(F-TPE)におけるその重量分率は、ASTM D3418に従って測定されるときに、最大でも20J/g、好ましくは最大でも18J/g、より好ましくは最大でも15J/gのポリマー(F-TPE)の融解熱(ΔHf)を提供するためのようなものであり;他の側面で、ポリマー(F-TPE)は、少なくとも2.5J/g、好ましくは少なくとも3.0J/gの融解熱をもたらす、一定の結晶化度を有するように、熱可塑性特性と弾性特性とを組み合わせている。
【0090】
好ましいポリマー(F-TPE)は、
- 上に詳述されたような、少なくとも1つの弾性ブロック(AVDF)と、
- 上に詳述されたような、少なくとも1つの熱可塑性ブロック(BVDF)と
を含むものであり、
ここで、前記ブロック(B)の結晶化度及びポリマー(F-TPE)におけるその重量分率が、ASTM D3418に従って測定されるときに、最大でも15J/gのポリマー(F-TPE)の融解熱を提供するためのようなものである。
【0091】
1種超のフルオロポリマー(F)が、本発明の第2目的によるポリマーアロイ中に存在することができる。したがって、例えば、ポリマーアロイ中のフルオロポリマー(F)構成要素は、2種以上のフルオロポリマー(F)のブレンド又は好適な添加剤を更に含む2種以上のフルオロポリマー(F)のコンパウンドであることができる。
【0092】
この第2目的によるポリマーアロイ中のコポリマー(C)は、ポリマーアロイの総重量に対して、0.1~20重量%、好ましくは1~5重量%に含まれる量で存在することができる。
【0093】
したがって、この第2目的によれば、
- 1~98.9重量%の芳香族ポリマー(A)と;
- 0.1~20重量%のコポリマー(C)と;
- 1~98.9重量%の少なくとも1種のフルオロポリマー(F)と
を含み、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする
ポリマーアロイ(PA)が提供される。
【0094】
この第2目的の一態様において、本発明は、硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]の連続相と、フルオロポリマー(F)の及びコポリマー(C)の離散ドメインとを含むポリマーアロイを提供する。
【0095】
この態様による好ましい実施形態において、ポリマーアロイ(PA)は、
- 60~90重量%、好ましくは70~80重量%の芳香族ポリマー(A)と;
- 0.1~20重量%、好ましくは1~5重量%のコポリマー(C)と;
- 9~39重量%、好ましくは20~35重量%、より好ましくは15~30重量%の少なくとも1種のフルオロポリマー(F)と
を含み、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする。
【0096】
この第2目的の第2態様において、本発明は、フルオロポリマー(F)の及びコポリマー(C)の共連続相と、硫黄含有芳香族ポリマー[芳香族ポリマー(A)]の離散ドメインとを含むポリマーアロイを提供する。
【0097】
この態様による好ましい実施形態において、ポリマーアロイ(PA)は、
- 10~40重量%、好ましくは15~25重量%の芳香族ポリマー(A)と;
- 0.1~20重量%、好ましくは1~5重量%のコポリマー(C)と;
- 59~89重量%、好ましくは75~85重量%の少なくとも1種のフルオロポリマー(F)と
を含み、
前述の重量百分率は全て、ポリマーアロイ(PA)の総重量を基準とする。
【0098】
ポリマーアロイの機械的特性を更に改善するために、充填材及び、有機エステルなどの、可塑剤のような様々な添加剤が、本発明のポリマーアロイに添加されてもよい。充填材の例は、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、カリウムチタネートウィスカー、ポリアミド繊維、ポリフェノール繊維、シリカ、タルク、粘土、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、窒化ケイ素等である。
【0099】
更なる目的において、本発明は、上に定義されたようなポリマーアロイ(PA)の調製方法であって、前記方法がポリマーアロイの構成要素を溶融混合する工程を含む方法を提供する。
【0100】
溶融混合は、構成要素が全て融解形態にある温度で、したがって構成要素全てのガラス転移温度よりも上の又は溶融温度よりも上の温度で実施される。
【0101】
溶融混合手順において、芳香族ポリマー(A)、コポリマー(C)及び、任意選択的に少なくとも1種のフルオロポリマー(F)は、一緒に溶融させ、別々にそれぞれの溶融温度にし、次に互いに混合するか、又はその後第1溶融ポリマーに添加することができる。
【0102】
上に定義された第1目的による好ましい実施形態において、溶融混合手順は、コポリマー(C)を融解形態での芳香族ポリマー(A)に添加することによって実施される。
【0103】
上に定義された第2目的による好ましい実施形態において、溶融混合手順は、コポリマー(C)を融解形態での芳香族ポリマー(A)に添加し、数分間混合し、次に少なくとも1つのフルオロポリマー(F)を添加することによって実施される。
【0104】
上に定義された第2目的による更なる好ましい実施形態において、コポリマー(C)及び少なくとも1種のフルオロポリマー(F)を融解形態での芳香族ポリマー(A)に添加する。
【0105】
このようにして形成されたブレンドは、数分間攪拌するに任せられ、室温まで放冷されて本発明のポリマーアロイを提供する。
【0106】
本発明のポリマーアロイは、好ましくは、ペレットの形態にある。
【0107】
本発明のポリマーアロイは、親ポリマーの優れた特性を維持しながら、改善された機械的特性、特に引張特性を有する。それ故、本発明のポリマーアロイは、自動車、石油及びガス並びに化学プロセス産業を含む様々な分野で適切に使用される。
【0108】
更なる目的において、それ故、本発明は、上に定義されたようなポリマーアロイを含む物品を提供する。好ましくは、本発明による物品は、押出又は成形技術によって形成されるパイプ又は設備の部品であり得る。好ましくは、射出成形が設備の望ましい部品を得るために用いられる。更に、本発明の物品は、共押出又はオーバーモールド技術によって他の物品に固着することができる。
【0109】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0110】
本発明は、以下の実施例に関連してこれから説明され、その目的は、単に例示的なものであるにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0111】
原材料
PPS:SolvayからRyton(登録商標)として商業的に入手可能な、ポリフェニレンスルフィド。
PSU:SolvayからUdel(登録商標)として商業的に入手可能な、ポルスルホン。
PPSU:SolvayからRadel(登録商標)として商業的に入手可能な、ポリフェニルスルホン。
PVDF:SolvayからSolef(登録商標)6008として商業的に入手可能な、VDFホモポリマー。
VDF-co-CTFE:9モル%のCTFE繰り返し単位を含むVDFコポリマー。
FKM=68.5%フッ素含有量を有するフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレンターポリマー。
以下の実施例における内部ミキサーとして、ローラーブレードを備えたBrabender 50 EHTを使用した。
【0112】
粒径の測定
実施例のポリマーアロイの構成要素の平均粒径は、約1000×倍率の写真を分析することによって得られる100個の粒子にわたっての平均としてSEMによって測定した。
【0113】
引張測定
引張測定は、ASTM D638検体タイプVに従って実施した。
【0114】
比較例1
PPSとPVDFとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPPSをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのPVDFを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0115】
比較例1において得られたブレンドのSEM画像を
図1に示す。
【0116】
実施例1
PPSとVDF-co-CTFEとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPPSをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのVDF-co-CTFEを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0117】
実施例1において得られたブレンドのSEM画像を
図2に示す。
【0118】
実施例1の2
PPSと、PVDFとVDF-co-CTFEとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約51グラムのPPSをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、17グラムのPVDF及び2グラムのVDF-co-CTFEを含有する粉末混合物を添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0119】
実施例1の2において得られたブレンドのSEM画像を
図3に示す。
【0120】
比較例2
PPSとFKMとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPPSをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのFKMを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0121】
比較例2において得られたブレンドのSEM画像を
図4に示す。
【0122】
実施例2
PPSと、FKMとVDF-co-CTFEとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約51グラムのPPSをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、17グラムのFKM及び2グラムのVDF-co-CTFEを含有する粉末混合物を添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0123】
実施例2において得られたブレンドのSEM画像を
図5に示す。
【0124】
比較例3
PSUとPVDFとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPSUをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのPVDFを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0125】
比較例3において得られたブレンドのSEM画像を
図6に示す。
【0126】
実施例3
PSUとVDF-co-CTFEとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPSUをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのVDF-co-CTFEを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0127】
実施例3において得られたブレンドのSEM画像を
図7に示す。
【0128】
比較例4
PPSUとPVDFとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPPSUをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのPVDFを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0129】
比較例4において得られたブレンドのSEM画像を
図8に示す。
【0130】
実施例4
PPSUとVDF-co-CTFEとのブレンドを、ローラーブレードを使用する310℃での内部ミキサーにおいて調製した。約53グラムのPPSUをミキサーに注ぎ込み、30rpmで15分間溶融させた。次に、18グラムのVDF-co-CTFEを添加し、15分間70rpmで混合した。最後に、混合物をミキサーから手動で取り出し、液体窒素中ですり潰し、その後引張及びSEM分析用の1mm厚さのフィルムに圧縮成形した。
【0131】
実施例4において得られたブレンドのSEM画像を
図9に示す。
【0132】
【0133】
本発明によるポリマーアロイは、VDF-co-CTFEの不在下で調製されたアロイと比べると構成要素の著しく減少した平均粒径を示す。この結果は、硫黄含有芳香族ポリマーとのフルオロポリマーの相溶化の改善におけるVDF-co-CTFEコポリマーの効果を実証している。