(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】ウイルス様粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20230313BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230313BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20230313BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230313BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230313BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230313BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20230313BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230313BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20230313BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K48/00 ZNA
A61K35/76
A61K39/39
A61P37/04
A61K39/395 D
A61K39/00 H
A61K31/713
C12N15/12
C12N15/113 Z
C12N7/01
(21)【出願番号】P 2019565215
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(86)【国際出願番号】 GB2018051475
(87)【国際公開番号】W WO2018220371
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500435012
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ リーズ
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF LEEDS
(73)【特許権者】
【識別番号】502289237
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ヨーク
【住所又は居所原語表記】The University of York, Heslington, York, Yorkshire YO10 5DD, Great Britain
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】レオノフ,ジャーマン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,シモン
(72)【発明者】
【氏名】ストックリー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ニケシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロブレウスキー,エマ
(72)【発明者】
【氏名】マスケル,ダン
(72)【発明者】
【氏名】スワロック,レイダン
(72)【発明者】
【氏名】ビンガム,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ダイクマン,エリック
【審査官】藤井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】PNAS, 2014, Vol.111, No.14, pp.5361-5366
【文献】Scientific Reports, 2016, Vol.6, #22952
【文献】J. Mol. Biol., 2016, Vol.428, pp.431-448
【文献】Nature Microbiology, 2017.6.19, Vol.2, #17098
【文献】PNAS, 2017.11, Vol.114, No.46, pp.12255-12260
【文献】Journal of Virology, 2019, Vol.93, No.9, #e02106-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 39/00 - 39/44
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のパッケージングシグナルを含むウイルス様粒子の集合に使用するための人工核酸カセットであって、2つ以上のパッケージングシグナルが連続して配置され、核酸によって分離されていて、前記パッケージングシグナルが、同種ウイルスカプシドタンパク質のためのヌクレオチド結合モチーフを含む核酸ループドメイン、及び分子内塩基対合による二本鎖領域を含む核酸ステムドメインを含み、
a)核酸パッケージングシグナルがB型肝炎ウイルスから単離され、かつ、前記ヌクレオチド結合モチーフがヌクレオチド配列RGAGを含み、配列中、RがGまたはAのいずれかであるか、または
b)核酸パッケージングシグナルがタバコ壊死サテライトウイルスから単離され、かつ、前記ヌクレオチド結合モチーフがヌクレオチド配列AXXAまたはAXXXAを含み、配列中、Xが任意のヌクレオチド塩基であり、かつ
前記人工核酸カセットが、複数の同種ウイルスカプシドタンパク質と接触すると、前記同種ウイルスカプシドタンパク質を集合させてVLPにして、VLP内に含有される前記核酸パッケージングシグナルをリボヌクレアーゼ消化から保護する、人工核酸カセット。
【請求項2】
前記人工核酸カセットが、非複製核酸である、及び/または、前記VLPが、動物対象に投与される場合、天然ウイルス粒子の免疫応答に類似した免疫応答を誘発する、請求項1に記載の人工核酸カセット。
【請求項3】
前記人工核酸カセットが、タンパク質をコードする核酸を含まない、請求項1または2に記載の人工核酸カセット。
【請求項4】
前記人工核酸カセットが、少なくとも2つ、3つ、4つまたは5つの核酸パッケージングシグナルを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の人工核酸カセット。
【請求項5】
前記核酸パッケージングシグナルを分離させる非コードウイルス核酸が、少なくとも5~50ヌクレオチド長である、または、50超のヌクレオチド長である、請求項1~4のいずれか1項に記載の人工核酸カセット。
【請求項6】
i)前記カプシド結合モチーフを含む前記ループドメインが、少なくとも4ヌクレオチド長である、
ii)前記ステムドメインが、少なくとも5塩基対(bp)長である、
iii)前記人工核酸カセットが、少なくとも50ヌクレオチド長である、または
iv)前記核酸カセットが、50~1000ヌクレオチド長である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の人工核酸カセット。
【請求項7】
前記人工核酸カセットが、少なくとも2
つまたは3つのB型肝炎ウイルスパッケージングシグナルを含み、前記核酸パッケージングシグナルのうち1つ以上が、前記ヌクレオチド結合モチーフRGAGを含む、請求項1に記載の人工核酸カセット。
【請求項8】
前記核酸カセットが、B型肝炎で同定された前記パッケージングシグナルのうち少なくとも1つを含み、前記核酸パッケージングシグナルの各々が、前記結合モチーフRGAGを含む、請求項7に記載の人工核酸カセット。
【請求項9】
前記人工核酸カセットが、
i)ポリペプチド
をコードする核酸
または機能性RNAを転写するように適合させた核酸分子を含む転写カセット、
及び
ii)前記ポリペプチド
をコードする前記核酸分子
または機能性RNAの発現を可能にするためのプロモーター配列及び終結配列、
をさらに含
み、任意に
a)前記ポリペプチドが抗体または抗体断片などの治療用ポリペプチドである、又は
b)前記機能性RNAが治療用ポリペプチドをコードするmRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAである、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の人工核酸カセット。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の人工核酸カセットを含む、ウイルス様粒子。
【請求項11】
請求項
10に記載のウイルス様粒子を含み、任意にアジュバント及び/または担体をさらに含む、ワクチンまたは免疫原性組成物。
【請求項12】
請求項
10に記載のウイルス様粒子を含み、かつ薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項13】
細胞への薬剤の送達に使用するための、請求項
10に記載のウイルス様粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、天然及び人工核酸パッケージングシグナルを使用するウイルス様粒子[VLP]の集合、ワクチン、免疫学的及び医薬組成物におけるそれらの使用、ヒト及び動物のウイルス病原体に対するワクチン接種または免疫化の方法、ならびに医薬用タンパク質、siRNAもしくは遺伝子治療ベクターなどの治療剤または診断剤の送達ビヒクルとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスは、多くの場合に有害作用または死さえも伴うヒト及び動物の様々な衰弱性疾患を引き起こす。ウイルス感染は、世界中の医療制度に多大な経済的負担をもたらし、精肉または酪農産業などの動物関連製品に莫大な損失をもたらす。
【0003】
感染の開始後に抗生剤で処置され得る細菌感染とは対照的に、多くの場合に利用可能である効果的な抗ウイルス薬の選択肢がないため、ウイルス感染の予防は、通常は好ましいルートである。ワクチン接種は、疾患予防の最も効果的な形態であり、いくつかのウイルス性疾患、例えば、インフルエンザ、ポリオ、麻疹及びヒトパピローマウイルス[HPV]などのための開発に成功している。ワクチン接種は抗原物質の投与であり、病原体に対して適応免疫を発現するために個体の免疫系を刺激することである。ワクチンの活性剤は、例えば、病原体の不活化形態、病原体の高い免疫原性成分または弱められたウイルス、いわゆる弱毒化ウイルスの形態である場合がある。しかしながら、これらの異なる種類のワクチンは全て、それらの有効性及び安全性の記録の点で異なっており、さらに多くの場合に免疫不全の対象、妊婦または子供への投与には不適当であり得る。
【0004】
不活化ワクチンは、物理的または化学的処理によって死滅させたウイルスから作製される。これらの種類のワクチンは非常に安全であり、理由としてはそれらが感染性の遺伝物質を欠いているために疾患を引き起こすことができず、それゆえ免疫不全の対象に好適である。しかしながら、そのような不活化ワクチンは、多くの場合に適切な、または長期にわたる免疫応答の誘導に効果的ではなく、それゆえしばしば複数回の投与ステップが必要になる。病原体の高い免疫原性成分を含有するワクチン、いわゆるサブユニットワクチンは、それらが疾患を引き起こし得るウイルスの生成分を含有しないため、高い安全性の記録などの不活化ワクチンと同様の利益を提供する。しかしながら、効果的な免疫応答が保証されていなく、たとえ応答が誘発されても、所望の病原体に対して長期間の保護を提供する免疫記憶が達成されない場合がある。
【0005】
あるいは、弱毒化生ワクチンが使用され得る。弱毒化生ワクチンは、宿主生物中で依然として複製可能であるが、疾患を全く引き起こさない、または非常に軽度の疾患を引き起こす弱められた病原体を含む。弱毒化ウイルスを使用するワクチン接種は優れた保護をもたらすが、それらは、それらの本来のより毒性が強い形態に戻って疾患を引き起こし得るので、不活化またはサブユニットワクチンと比較した場合、本質的に安全性が低い。したがって、弱毒化ワクチンは免疫不全の対象には不適当であり、妊娠中に投与された場合、胎児を害する可能性があり、医療従事者による免疫化エラー、例えば、高用量で投与された場合、より強力である凍結乾燥弱毒化病原体の再構成エラーなどの可能性を増加させる。さらに、弱毒化ワクチンは不活化ワクチンよりも不安定であり、弱められてはいるが、活性を維持するための冷蔵及び輸送を維持するために高度な物流が必要となる。このことは、医療制度が十分に確立されていない第三世界諸国で特に懸念されている。
【0006】
弱毒化ワクチンは一般的であり、様々な疾患、例えば、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、天然痘及びポリオなどに利用可能である。現在使用されている弱毒化生ワクチンの多くは、例えば、線維芽細胞または及びニワトリ胚などの培養細胞での連続継代から得られ、毒性を徐々に失っていく。本方法は、非病原性を付与する点変異のランダム蓄積に依拠していて、これは時間がかかって非効率的である。弱毒化ウイルス株を作製する他の方法は遺伝子工学に基づき、出願WO2005/012535に開示されている。
【0007】
ウイルス様粒子(VLP)は、天然ウイルスのコンフォメーションを模倣しているが、ウイルスDNAまたはRNAを欠き、それゆえ宿主細胞中で複製することができない複数のカプシドタンパク質を含む。安全かつ効率的なワクチンの作製を目的としたツールとしてのVLPの使用が認識されていて、ヒトパピローマウイルスに対していくつかのVPLベースのワクチンが開発されてきた。US8062642は、天然の感染性ウイルスの抗原特性に類似した特性を有するパピローマウイルスカプシドタンパク質及びVLPの作製を開示している。同様に、WO9913056は、パピローマVLPの分解方法について開示している。
【0008】
上に列挙された種類のワクチンが大きな成功を収めたにもかかわらず、それらは一般に、所望の特性を備えたままの調製/製剤化が非常に困難であり、多くのウイルスでは、循環集団にわたるそれらの天然の抗原変異は、これらの戦略がこうした場合に実行不可能であることを意味する。
【0009】
本開示は、ウイルスに由来する核酸パッケージングシグナルを使用するVLPの形成ならびに人工VLP集合のための基質を提供する、天然及び/または人工パッケージングシグナルを含む核酸カセットの設計ならびにワクチンとしての、及び細胞への薬剤、例えば、治療剤または診断剤の送達における人工VLPの使用に関する。プラス鎖一本鎖(ss)RNAウイルスのRNAパッケージングシグナル媒介集合機構の知見によって、集合基質となることに関して、それらのゲノムRNA分子の重要な特性の同定が可能となり、効率的なVLP集合のための効率的な人工RNA基質の作製を可能にしている。後者は、ウイルスによって形成される天然ビリオンに類似した特性を有する。特に、人工VLPカプシドは、それらのウイルスに関する天然の免疫学的特性に加えてそれらの細胞指向性を保持する。人工VLPカプシドは、本来のウイルス粒子の安定性及び機械的特性の多くも保持する。VLPは、薬剤の細胞特異的送達に関連して、ならびに薬物の標的送達のための、及び遺伝子治療における安全な弱毒化ワクチン及びベクターとして、幅広い用途に有用である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の態様によれば、1つ以上のパッケージングシグナルを含むウイルス様粒子の集合に使用するための人工核酸カセットが提供され、2つ以上のパッケージングシグナルが連続して配置され、核酸によって分離されていて、このパッケージングシグナルは、同種ウイルスカプシドタンパク質(複数可)のためのヌクレオチド結合モチーフを含む核酸ループドメイン、及び分子内塩基対合による二本鎖領域からなる核酸ステムドメインで構成され、この人工核酸カセットは、複数の同種ウイルスカプシドタンパク質と接触させた場合、同種ウイルスカプシドタンパク質を集合させて、VLP内に含有される核酸パッケージングシグナルをリボヌクレアーゼ消化から保護するVLPを生成する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、非複製核酸である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、VLPは、動物対象に投与される場合、天然ウイルス粒子の免疫応答に類似した免疫応答を誘発する。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、天然ウイルス粒子ではない。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、タンパク質をコードする核酸を含まない。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも2つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0016】
好ましくは、人工核酸カセットは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または少なくとも10の核酸パッケージングシグナルを含む。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも1つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも2つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも3つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも4つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0021】
本発明の代替的な好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも5つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、核酸パッケージングシグナルを分離させる非コードウイルス核酸は、少なくとも5ヌクレオチド長である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、核酸パッケージングシグナルを分離させる非コードウイルス核酸は、少なくとも5~50ヌクレオチド長である。好ましくは、50超のヌクレオチドである。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、カプシド結合モチーフを含むループドメインは、少なくとも4ヌクレオチド長である。好ましくは、ループドメインは、少なくとも5、6、7または8ヌクレオチド長である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、ステムドメインは、少なくとも4塩基対(bp)長である。好ましくは、ステムドメインは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または少なくとも70bp長である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも50ヌクレオチド長である。好ましくは、核酸カセットは、50~1000ヌクレオチド長である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または少なくとも1000ヌクレオチド長である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、核酸パッケージングシグナルはRNAウイルスから単離され、好ましくは、RNAウイルスはヒト病原体である。
【0029】
好ましくは、パッケージングシグナルは、特徴的なヌクレオチド認識モチーフ及びパッケージングシグナル間の間隔を保持するが、個々のパッケージングシグナルの安定性を変化させる/安定させる修飾パッケージングシグナルである。
【0030】
ヒト、動物及び植物におけるいくつかの疾患は、いわゆるRNAウイルスによって引き起こされる。一本鎖RNAウイルスは、3つの群に分類される:一本鎖プラス鎖RNAウイルス(群IV)、一本鎖マイナス鎖RNAウイルス(群V)及びレトロウイルス(群VI)。感染時、ウイルスRNAは宿主細胞に侵入し、ウイルスの種類に応じて、RNAは複製に必要なウイルスタンパク質へと直接翻訳される(群IV)、または翻訳前に、RNA依存性RNAポリメラーゼによってRNAのより好適な形態に転写される(群V)。群VIのRNAウイルスは、ウイルスによってコードされる逆転写酵素を利用してRNAゲノムからDNAを生成し、これは多くの場合に宿主ゲノム中に組み込まれて、宿主によって複製かつ転写される。プラス鎖RNAssウイルスの非限定的な例としては、C型肝炎、ウエストナイルウイルス、デングウイルス、ジカウイルス、SARS及びMERSコロナウイルスならびにライノウイルスが挙げられる。マイナス鎖ssRNAウイルスには、例として、エボラウイルス、麻疹、流行性耳下腺炎、インフルエンザ及びD型肝炎ウイルスが含まれる。Lentivirus属のレトロウイルスとして、ヒト免疫不全ウイルスI及びIIならびにB型肝炎ウイルスが含まれ。人畜共通ウイルス病原体の例として、エボラウイルス、狂犬病ウイルス及びインフルエンザAウイルスが含まれ。植物ssRNAウイルスの非限定的な例としては、カブクリンクルウイルス、ササゲクロロティックモトルウイルス1、2及び3、ブロムモザイクウイルス1、2及び3、ならびにタバコ壊死サテライトウイルスが含まれる。出願人らの同時係属出願US14/916,945では、その内容全体が参照によって組み込まれ、特にその明細書で開示されるパッケージングシグナル及び模倣アプタマーについて、様々な一本鎖RNAウイルスのパッケージングシグナルが開示されている。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、RNAウイルスは、プラス鎖一本鎖RNAウイルスである。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、核酸パッケージングシグナルRNAウイルスは、B型肝炎ウイルスから単離される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、B型肝炎ウイルスパッケージングシグナルはヌクレオチド結合モチーフを含み、ヌクレオチド結合モチーフはヌクレオチド配列RGAGを含み、そこで、RはGまたはAのいずれかである。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、少なくとも1、2または3つのB型肝炎ウイルスパッケージングシグナルを含み、核酸パッケージングシグナルのうち1つ以上が、ヌクレオチド結合モチーフRGAGを含む。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、核酸カセットは、B型肝炎で同定されたPSのうち少なくとも1つを含み、核酸パッケージングシグナルの各々が、結合モチーフRGAGを含む。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、
i)ヌクレオチド配列GUUUGUUUAAAGACUGGGAGGAGUUGGGGGAGGAG[配列番号:1]を含む核酸分子、
ii)配列番号:1に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフGGGAGGを含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0037】
本発明のさらに好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、群:
i)ヌクレオチド配列GGGCCCUCUGACAGUUAAUGAAAAAAGGAGAUUAAAAUUAAUUAUGCCU[配列番号:2]を含む核酸分子、
ii)配列番号:2に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフGAAAAAAGGAG(配列番号9)を含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0038】
本発明のさらに好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、群:
i)ヌクレオチド配列GGCUGGCAUUCUAUAUAAGAGAGAAACUACACGC[配列番号:3]を含む核酸分子、
ii)配列番号:3に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフAUAUAAGAGを含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、配列番号:1及び/または配列番号:2及び/または配列番号:3に示されるヌクレオチド配列と少なくとも30%、35%、40%、45%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、配列番号:1及び/または配列番号:2及び/または配列番号:3を含むヌクレオチド配列を含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、配列番号4:CUGGGAGGAGUUGGGGGAGGAGAUUAGGUUAAAGGUCUUUGUACUAGGAGGCUGUAGGCを含むヌクレオチド配列を含む。
【0042】
本発明の代替的な実施形態では、RNAウイルスは、ヒト対象に感染する人畜共通種である。
【0043】
本発明のさらに代替的な実施形態では、RNAウイルスは、獣医学的動物対象に感染する種である。
【0044】
本発明のさらに代替的な実施形態では、RNAウイルスは、植物細胞または植物に感染する種である。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、RNAウイルスは、タバコ壊死サテライトウイルスである。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、核酸カセットは、タバコ壊死サテライトウイルスから単離される少なくとも1つの核酸パッケージングシグナルを含む。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、核酸カセットは、少なくとも1つの核酸パッケージングシグナルを含み、核酸パッケージングシグナルはヌクレオチド結合モチーフAXXAまたはAXXXAを含み、モチーフ中、Xは任意のヌクレオチド塩基である。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、群:
i)配列番号:5に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子、
ii)配列番号:5[GGGCUGCCCUCAAGGACCAGGGCAGAAAAGAGGAAAAGAAAAGUGACAGAACACUUAUAAGGAAAAAACGUACAAACGUUUUAAGGAAAAAAGGAAGCUGCAAUAGCGCAAGGAAUCCGAAAAUUCGGAAAGGAA]に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフAXXAを含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、群:
i)配列番号:6[GGGCUGCCCUCAAGGACCAGGGCAGAAAAGAGGAAAAGAAAAGUGACAGAACACUUAUAAGGAACCACACAAGUGGAAGGAAAAAAGGAAGCUGCAAUAGCGCAAGGAAUCCGAAAAUUCGGAAAGGAA]に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子
ii)配列番号:6に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフAXXAを含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0050】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、群:
i)配列番号:7[GGGCUGCCCUCAAGGACCAGGGCAGAAAAGAGGAAAAGAAAAGUGACAGAACACUUAUAAGGAACCACACAAGUAUAAGGAAAAAAGGAAGCUGCAAUAGCGCAAGGAAUCCGAAAAUUCGGAAAGGAA]に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子
ii)配列番号:7に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフAXXAを含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、群:
i)配列番号:8[GGGCCCCGCAACAAUGCGGGGAAGGAAGGAAGGAAGAAAACGUACAAACGUUUUAAGGAACAACGCAACAAUGCGUUGAAGGAAGGAAGGAAGGGGCGUACAAACGCCCCAAGGAAUUUUGCAACAAUGCAAAAAAGGAA]に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子
ii)配列番号:8に示されるヌクレオチド配列と少なくとも25%同一であり、ヌクレオチド結合モチーフAXXAを含むヌクレオチド配列を含む核酸分子
から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7または配列番号:8に示されるヌクレオチド配列と少なくとも30%、35%、40%、45%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、人工核酸カセットは、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする核酸を転写するように適合させた核酸分子を含む転写カセットをさらに含む。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、適合は、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする核酸分子の発現を可能にするためのプロモーター配列及び終結配列の提供である。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、ポリペプチドは、治療用ポリペプチド、例えば、抗体または抗体断片である。
【0056】
抗体断片は、一本鎖抗体断片をコードする核酸を含む。抗体は、従来の手法に従って調製される、ヒト化及びキメラ抗体をコードする核酸分子を含む。キメラ抗体は、マウスまたはラット抗体のV領域全てが、ヒト抗体C領域と組み合わされる組換え抗体である。ヒト化抗体は、げっ歯類抗体V領域の相補性決定領域を、ヒト抗体V領域のフレームワーク領域と融合させる組換えハイブリッド抗体である。ヒト抗体のC領域も使用される。相補性決定領域(CDR)は、抗体の重鎖及び軽鎖の両方のN末端ドメイン内における領域であり、V領域の変動の大多数がここに限局される。これらの領域は、抗体分子の表面にループを形成する。これらのループは、抗体と抗原との間の結合表面を提供する。
【0057】
本発明の代替的な実施形態では、機能性核酸は、治療用ポリペプチドをコードするmRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNAである。
【0058】
幅広く受け入れられている、遺伝子機能を特異的に除去する技術は、低分子阻害または干渉RNA(siRNA)とも称される二本鎖RNAの細胞中への導入によって、siRNA分子に含まれる配列に相補的なmRNAの破壊を引き起こす。siRNA分子は、RNAの2本の相補鎖(センス鎖及びアンチセンス鎖)を含み、互いにアニーリングされて二本鎖RNA分子を形成する。siRNA分子は通常、除去されることになる遺伝子のエクソンに由来する。多くの生物は、siRNAの形成をもたらすカスケードを活性化させることによって、二本鎖RNAの存在に応答する。二本鎖RNAの存在は、RNase IIIを含むタンパク質複合体を活性化させ、この酵素が二本鎖RNAをリボ核タンパク質複合体の一部となるより低分子の断片(siRNA、およそ21~29ヌクレオチド長)へとプロセシングする。siRNAは、RNase複合体がsiRNAのアンチセンス鎖に相補的なmRNAを切断し、それによってmRNAの破壊をもたらすためのガイドとして作用する。
【0059】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による人工核酸カセットを含むウイルス様粒子が提供される。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、ウイルス様粒子は、対象に投与される場合に免疫原性がある。好ましくは、ウイルス様粒子は、同種天然ウイルスに対する免疫応答に類似した免疫応答を誘発する。
【0061】
本発明の好ましい実施形態では、免疫応答は抗体応答の誘導であり、抗体応答は天然ウイルス粒子と特異的に結合する抗体を誘導する。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、ウイルス様粒子は、天然ウイルス粒子と比較した場合に細胞指向性を保持する、またはそれを増強させる。
【0063】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるウイルス様粒子を含むワクチンまたは免疫原性組成物が提供される。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、ワクチンまたは免疫原性組成物は、アジュバント及び/または担体をさらに含む。
【0065】
アジュバント(免疫増強剤または免疫調節剤)は、ワクチン抗原に対する免疫応答を改善するためにこの数十年間使用されてきた。ワクチン製剤中へのアジュバントの組込みは、ワクチン抗原に対する特異的な免疫応答を増強させる、加速させる、及び延長することを目的としている。アジュバントの利点は、より弱い抗原の免疫原性の増強、免疫化の成功に必要な抗原量の減少、必要な追加免疫の頻度の減少ならびに高齢者及び免疫不全のワクチン接種者における免疫応答の改善を含む。選択的に、アジュバントは、例えば、免疫グロブリンクラス及び細胞傷害性またはヘルパーTリンパ球応答の誘導に関して、所望の免疫応答を最適化するためにも用いられ得る。加えて、特定のアジュバントは、粘膜表面での抗体応答を促進するために使用され得る。水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムまたはリン酸カルシウムは、ヒトワクチンで日常的に使用されている。より最近では、IRIV(免疫刺激性再構成インフルエンザビロソーム)中に組み込まれる抗原及びエマルジョンベースのアジュバントMF59を含有するワクチンが、各国で認可されている。アジュバントは、それらの供給源、作用機序及び物理的または化学的特性に従って分類され得る。最も一般的に記載されるアジュバント類は、ゲルタイプ、微生物、油エマルジョン及び乳化剤ベース、粒子状、合成ならびにサイトカインである。2つ以上のアジュバントが、最終ワクチン生成物中に存在してよい。それらは、ワクチン中に存在する単一抗原または全ての抗原と組み合わされるか、若しくは各アジュバントが、ある特定の抗原と組み合わされてもよい。現在使用されている、または開発中のアジュバントの起源及び性質は、非常に多岐にわたっている。例えば、アルミニウムベースのアジュバントは単純な無機化合物からなり、PLGは重合炭水化物であり、ビロソームは異種ウイルス粒子に由来し得るものであり、MDPは細菌の細胞壁に由来するものであり、サポニンは植物起源のものであり、スクアレンはサメ肝臓に由来するものであり、組換え内因性免疫調節剤は組換え細菌、酵母または哺乳動物細胞に由来するものである。動物用ワクチンには、ヒトへの使用では反応が強すぎる鉱油エマルジョンなどのいくつかのアジュバントが認可されている。同様に、完全フロイントアジュバントは、最も強力なアジュバントの1つとして知られているが、ヒトへの使用には適さない。
【0066】
担体という用語は、以下のように解釈される。担体は、第2分子に結合した場合に後者に対する免疫応答を増強させる免疫原性分子である。いくつかの抗原は、本来免疫原性ではないが、キーホールリンペットヘモシアニンまたは破傷風トキソイドなどの異種タンパク質分子と結合させた際に、抗体反応を起こすことができる場合がある。そのような抗原は、B細胞エピトープを含有するが、T細胞エピトープは一切含有しない。そのようなコンジュゲートのタンパク質部分(「担体」タンパク質)は、ヘルパーT細胞を刺激するT細胞エピトープを提供し、次にこのT細胞が抗原特異的B細胞を刺激して形質細胞に分化させ、抗原に対して抗体を産生する。
【0067】
本発明のさらなる態様によれば、本発明によるウイルス様粒子を含み、かつ薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0068】
投与される場合、本発明の組成物は、薬学的に許容される調製物で投与される。そのような調製物は、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性担体及び補助的治療剤を日常的に含有する場合がある。本発明の組成物は、注射または経時的な段階的注入によるものを含む、任意の従来の経路によって投与され得る。投与は、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、経皮的または経上皮的な場合がある。
【0069】
本発明の組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、単独で、またはさらなる用量と共に、所望の応答をもたらす剤の量である。疾患を処置する場合、所望の応答は疾患の進行を阻害することである。これは、単に疾患の進行を一時的に遅らせることを含む場合もあるが、より好ましくは、疾患の進行を永続的に停止させることを含む。これは、日常的な方法によってモニターされ得る。そのような量は、当然のことながら、処置されている特定の状態、状態の重症度、年齢、身体状態、サイズ及び体重を含む個々の患者パラメータ、処置期間、併用療法の性質(もしあれば)、特定の投与経路ならびに医療従事者の知識及び専門性の範囲内の同様の要因に依存することになる。これらの要因は当業者には周知であり、日常的な実験を超えない範囲で対処され得る。個々の成分またはそれらの組合せの最大用量、すなわち、健全な医学的判断による最も安全性の高い用量が使用されることが一般的には好ましい。しかしながら、患者が、医学的理由、心理的理由または実質的に任意の他の理由から低用量または耐用量を主張する場合もあることが当業者には理解されることになる。
【0070】
前述の方法で使用される組成物は、好ましくは滅菌されていて、患者への投与に好適な重量または体積の単位で所望の応答をもたらすために有効量の本発明による薬剤を含有する。対象に投与される薬剤の用量は、異なるパラメータに従って、特に使用される投与方法及び対象の状態に従って選択され得る。他の要因としては、所望の処置期間が挙げられる。対象の応答が適用された初期用量では不十分な場合には、より高用量(または異なるより局所的な送達経路による効果的な高用量)が、患者の忍容範囲内で用いられてよい。
【0071】
一般に、siRNA及びアンチセンスRNAなどの核酸治療薬の用量は、1nM~1mMである。好ましくは、用量は、1nM~500nM、5nM~200nM、及び10nM~100nMの範囲であり得る。
【0072】
組成物投与のための他のプロトコールが当業者には既知であることになり、その場合、用量、注射スケジュール、注射部位、投与方法などが前述のものとは異なる。ヒト以外の哺乳動物への組成物投与(例えば、試験目的または獣医学的治療目的のため)は、上に記載されるような実質的に同じ条件下で実施される。対象は、本明細書で使用される場合に哺乳動物であり、好ましくはヒトであり、非ヒト霊長類、雌ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類を含む。
【0073】
投与される場合、本発明の組成物は、薬学的に許容される量で、かつ薬学的に許容される組成で適用される。「薬学的に許容される」という用語は、活性成分の生物活性の有効性に干渉しない非毒性物質を意味する。そのような調製物は日常的に、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性担体、及び場合により他の治療剤(例えば、特定の疾患適応症の処置に通常使用されるもの)を含有する場合がある。医薬品で使用される場合、塩は薬学的に許容されるべきであるが、薬学的に許容されない塩が、それらの薬学的に許容される塩を調製するために便利に使用される場合もあり、本発明の範囲から除外されることはない。そのような薬理学的かつ薬学的に許容される塩としては、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない。また、薬学的に許容される塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩などとして調製され得る。
【0074】
本発明による薬剤を含有する医薬組成物は、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸、及び塩中のリン酸を含む、好適な緩衝剤を含有してよい。医薬組成物はまた、必要に応じて、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサールなどの好適な防腐剤を含有してもよい。
【0075】
組成物は単位剤形で便利に提示されてよく、薬学の技術分野における周知の方法のいずれかによって調製されてよい。方法は全て、1つ以上の副成分を構成する担体と活性剤を結合させるステップを含む。本発明による薬剤を含有する組成物は、エアロゾル剤及び吸入剤として投与されてもよい。非経口投与に好適な組成物は、滅菌水性薬剤または薬剤の非水性調製物を扱いやすいように含み、これは好ましくはレシピエントの血液と等張である。この調製物は、好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を使用する既知の方法に従って製剤化されてよい。滅菌注射用調製物はまた、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としてであってもよい。用いられてよい許容される溶媒の中には、水、リンゲル液、及び等張食塩水がある。加えて、減菌固定油が、溶媒または懸濁媒として慣例的に用いられる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激性固定油が用いられてよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用されてよい。経口、皮下、静脈内、筋肉内などの投与に好適な担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PAに見出され得る。
【0076】
本発明のさらなる態様によれば、細胞への薬剤の送達に使用するための、本発明によるウイルス様粒子が提供される。
【0077】
本発明の態様によれば、ウイルス感染を予防または処置するために、対象に予防接種する、または対象を免疫する方法が提供され、有効量の本発明によるウイルス様粒子を投与することを含む。
【0078】
本明細書の記載及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という単語ならびにこれらの単語の変化形、例えば、「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれらに限定されない」ことを意味し、他の部分、添加物、成分、整数またはステップを除外することを意図しない(かつ除外しない)。「本質的になる」とは、本質的な整数を有するが、本質的な整数の機能には実質的に影響を及ぼさない整数を含むことを意味する。
【0079】
本明細書の記載及び特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段の解釈が必要でない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈上別段の解釈が必要でない限り、単数形だけでなく複数形も意図していると理解されるべきである。
【0080】
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学的部分または基は、本明細書に記載されている任意の他の態様、実施形態または実施例と矛盾しない限り、それらに適用可能であると理解されるべきである。
【0081】
本発明の実施形態は、例示としてのみ、かつ以下の図面に関連して本明細書に記載されることになる:
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1.1-1.2】B型肝炎ウイルス (a)不完全dsDNAゲノム及びウイルスによってコードされるタンパク質の4つのオープンリーディングフレーム:プレコア/コア(Cp)(これはヌクレオカプシド(NC)殻を形成する)、プレS1/プレS2/S(エンベロープ埋込みHBV抗原(HbsAg))、X(これは細胞内におけるHBV生活環の多数の側面で役割を果たす)、ポリメラーゼ(P)及びpgRNA(これは5’ε、重複3’ε(灰色の円)、φ及び本明細書で研究される好ましい部位(PS)(円で囲って強調)の位置を有する)を示すHBVの遺伝子地図。(b)HBV NC(左)は、90(T=3)または120Cp二量体(T=4を示す)のいずれかを含む。Cp二量体は、各単量体から2本ずつの、特徴的な4へリックスバンドルを形成し、これは表面上にスパイクとして現れる(右下)。T=4粒子を生成するために必要なHBV Cp二量体の2つの配座異性体(A/B及びC/D)も示す(右上)。HBVカプシド及びタンパク質二量体をPDBから得た(3J2V)(1)。(c)本明細書で使用する分離株のCpは、185アミノ酸長であり(下線を引いたRDジペプチド挿入)、アルファヘリックスリッチ領域(149アミノ酸長)、及びC末端ARDを含む。149番目のアミノ酸のVを、明確にするために薄い灰色で標識する。ARDは、両方の塩基性アミノ酸においてリッチであり、セリン(S)はリン酸化の部位として知られ、これらはNC集合において役割を担うと考えられている。
【
図2.1-2.2】pgRNA中の保存されたPSモチーフの同定 (a)参照株(NC_003977.1)に対する選択した(灰色の実線)及びナイーブ(灰色の破線)ライブラリーからのアプタマーの一致頻度(ベルヌーイスコア≧12)。大多数の試験株で生じているピークを、同じ位置にピークを有する株のパーセンテージと共にXで印を付けている。株間で最も高い保存の頻度及びレベルを有するピークを、PS1、PS2及びPS3という名称にする。(b)Mfoldを使用して得られた、(a)からの保存された9つのベルヌーイピーク周囲の配列中におけるステムループのループ配列のアラインメント。配列の全てが、一本鎖ループ中にRGAGモチーフを示す。(c)5つの試験株(方法中においてアスタリスクで印を付けた株を参照のこと)の10,000のランダム化した型にわたるステムループのループ部分中における、モチーフRGAGの発生数の確率。灰色のバーが参照株でのこの確率を示す一方で、黒線は5つ全ての株にわたって同値である。黒色の矢印は、参照株のランダム化した型中におけるRGAGのループの発生平均数を示す(=6.85)。+4.7σと標識した矢印は参照株中の発生数を示し(=25)、これは平均値からの4.68の標準偏差であり、他方の試験株は類似した発生レベルを有する。
【
図3.1-3.2】PSは、配列特異的VLP集合を誘導する (a)PS1(黒色)、PS2(濃い灰色)またはPS3(薄い灰色)を包含する色素末端標識RNAオリゴを、Cpと結合するそれらの能力及びナノモル濃度でVLPを形成するそれらの能力について、smFCSを使用して各々評価した。全ての反応物は、方法に記載されるとおりに色素標識した15nMのRNAを含有していた。垂直の点線は、CpをnMで示した最終濃度で添加した場合の点を示す。試料を、添加の合間に平衡化させた。薄い線がリアルタイムの生シグナルを表す一方で、太線は平滑化データを表す。RNaseAの添加前に試料のEM画像を記録した(右)。スケールバーは100nmを表す。(b)(a)における反応物の流体力学的半径分布であり、Cpの最終添加後に取得した(ここで及び全体を通して)。RNA(非標識)の不存在下及び存在下で二量体を超えて集合しているCp量を比較した。これらの反応の最後に、CpをAlexa Fluor-488で標識し(方法)、得られたR
h分布をCpのみ及びCpと非標識PS1設定について定量した。Cp二量体の色素標識は、二量体が集合するのを妨害してしまうため、これは終点測定でなければならないことに留意する。各々の試料を、TEMによる分析のために取得した。smFCS及びTEMを、3回反復して繰り返した。
【
図4】T=3及びT=4 HBV VLPの構造は、それらの準コンフォメーションの詳細に関する機構を示唆する (a)T=3及び(b)T=4 HBV VLPの、それぞれ5.6Å及び4.7Å分解能での二十面体平均化クライオEM構造。赤色の二十面体は、2つの再構成像の解釈を助けるために含まれ、これらは同じ方向で示される。(c及びd)は、各粒子構造による約30Å厚の板状構造を示し、各々にCp二量体がフィットしている。T=3殻はより厚く、このことはARDに相当する密集が、T=4ではなく、T=3構造で解像されることを示している。両方の構造を同等の分解能にしても、この解釈を変化させない(
図11)。
【
図5】T=4 HBV VLPの非対称RNAの特徴 (a及びb)42,411個のT=4粒子の2D表示を、RELIONで最尤法分類によって算出した。非対称RNAの特徴は、これらの粒子のサブセット(b)で目視できる。(c)非対称的特徴を含有する10,851個の粒子の、11.5Å分解能での非対称3D再構成像。タンパク質殻の非対称密集は、あらゆる対称性平均化の欠如にもかかわらず、二十面体である。(d)非対称HBV VLP再構成像によるおよそ40Å厚の板状構造は、Cp殻のある領域に結合した非対称的特徴を示し、タンパク質殻内でのRNA及びARDに起因する密集を明らかにする(鮮紅色、マゼンタ色及び紫色)。図面を、UCSF Chimeraを使用して放射状カラースキームで表現した(青=165Å、シアン=152Å、緑=139Å、黄色=126Å、ピンク=113Å)。(e)非対称RNA密集は、T=4粒子の5回転軸の1つを取り囲むCp二量体下に集中している(円で示す)。単一のCp二量体を、UCSF Chimeraの『Fit in map』機能を使用し、リボン図として適切な位置にフィッティングする。(f)地図前面の板状構造を除くと、内側の密集が明らかになる。PS1の単一コピーをリボン図として示し、手作業でフィッティングする(RNA Composerでモデル化)。(g)地図の同じ位置の側面図であり、投影される青色の円が正面からの向きである。密集の個々の指が、Cp層とRNA密集との間で目視でき、これは2~4つのRNAオリゴヌクレオチドを収容するのに十分なほど大きい。(h)PS1 HBV VLPを含有する格子上における、630の個々の蛍光スポットからの光退色ステップヒストグラム。>10のステップを含むスポットが、指数関数的減衰を示す記録から得られたため、これらは凝集体であると想定され、その場合、複数の退色ステップが同時に発生している。光退色を2回反復して実施した。
【
図6】HBV NC集合の提案モデル Cp二量体内のARDは、複数となる二量体のうちの1つ、すなわち、NC集合への経路における最初の中間体の形成を阻害する。リン酸化またはPS RNA結合によってARD上の正味電荷を減少させることにより、この構造がより容易に形成されて、NC形成を誘導することが可能になる。本明細書で使用するようなインビボ条件を模倣するものよりも高い濃度で、複数となる二量体のうち非修飾二量体が形成され、粒子がRNA無しで自己集合する、またはRNAと非特異的に結合し、同じ結果をもたらすことになる。
【
図7】E.coliからのHBV VLPの特徴付け及びSELEXプロトコール (a)E.coliから精製したAlexa Fluor-488標識HBV VLPの流体力学的半径分布及びネガティブ染色EM画像。ピーク収率の積分は、おおよそ2:1比のT=4(円、63%)とT=3(円、37%)VLPを示唆する。スケールバーは100nmを表す。(b)HBV185Cpに対して高い親和性を有するアプタマーの選択を示すSELEXプロトコール。HBV VLPをカルボキシル磁気ビーズ(円)上に固定化し、塩化グアニジニウムを使用してCp二量体(灰色の長方形)に分解した。ランダム領域(40N)を包含するRNAプールを、これらのビーズへの結合、分割及び増幅のサイクルを反復することによって、Cpに対して親和性を有する配列について富化した。各ラウンドでのネガティブセレクションには、NHS-EDCで処理し、Trisで不活性化しておいたカルボン酸ビーズを使用した。ストリンジェンシーは、ラウンド5の後、ポジティブビーズ数を半分に低減し、洗浄回数を8~10回に増加させることによって高くした。各ラウンドの最後に逆転写酵素PCR産物をネイティブPAGEで分析し、セレクションの次のラウンドのために産物単離を確認した。10回目のラウンド産物をDNAに変換し、シーケンシングした。
【
図8.1-8.2】PSオリゴ構造、例示的なsmFCS記録及びPS含有VLPのEM (a)VARNAソフトウェア(2)を使用して作成した、PS1~3及びε二次構造をMfoldで予測した。好ましい部位をHBVゲノムNC_003977.1から、位置:PS1
(1717~1751)、PS2
(2602~2633)及びPS3
(2765~2798)で取得した。電荷差の影響を避けるため、それらを全て同じ長さ(47ヌクレオチド)にするために、以下のものを付加した:PS1に5’-GGGUUUUGG及びCCC-3’、PS2に5’-GGGUUUUGGGG及びCCCC-3’、PS3に5’-GGGUUUUGG及びCCCC-3’。コンセンサスモチーフRGAGを、ループの各々において赤で強調している。Mfoldで予測したような各RNA折り畳みの安定性を、以下の各構造で示す。(b)例示的なsmFCSアッセイ。蛍光標識RNAのR
h値を、Cp滴定前後の固定の時点(垂直の破線)で決定し、各ステップ後にR
h値を平衡化させる。薄い赤線がリアルタイムの生シグナルを表す一方で、太い赤線は平滑化データを表す。PS1のR
hは、閾値Cp濃度まで最初ゆっくりと上昇し、この濃度が、E.coliからのAlexa-Flour488標識HBV粒子の測定(
図7a)によって決定されるようなT=3またはT=4VLP(R
h~24-32nm、オレンジ色の破線)への急速な集合を誘導する。各滴定の最後に、形成した複合体をRNaseAの添加によって負荷する。未変化R
hは、試験RNAが密閉VLP中にカプシド封入されていることを意味すると想定される。これが発生する時の時間スケールを右下に示す。(c)PS1、2、3及びCpのみ、ならびに
図3の非標識PS1に関する集合反応のTEM。Cpのみ及び非標識PS1 TEMの大きな白色粒子は、ラテックスビーズである。表2に記載した中空粒子集合のTEMも提示する。これらの中空HBV粒子を、かなり高いCp濃度(1.5μM)で、かつRNAの不存在下において集合させた。スケールバーは100nmを表す。
【
図9.1-9.4】PS1バリアントのsmFCSアッセイ (a)PS1バリアント(左上の構造)のsmFCSアッセイ及び次のように色分けされる通り、2nmビンにプロットし、以下のガウスピークでフィッティングした付随する流体力学的半径分布。15nM PS1(黒色)、PS1ループ変異体(灰色)バルジ変異体(濃い灰色)及びイプシロン(薄い灰色)RNAを、単一分子条件下でVLPを形成するそれらの能力について試験した。垂直の点線は、nMで示した最終濃度でのCp添加の点を示す。試料を、添加の合間に平衡化させた。RNaseAを添加し、正確に形成された粒子について確認した。試料を、RNaseAの添加前に、ここで及び本図面全体を通しての両方で右側に示したTEMによって分析のために取得した。(b)-(a)と同様に、RNAオリゴPS1(黒色破線)、L1、L2及びL3。(c)-(a)と同様に、RNAオリゴPS1(黒色破線)、L4(濃い灰色)、L5及びB1。(d)(a)と同様に、RNAオリゴPS1(黒色破線)及びDNAオリゴPS1(灰色)。スケールバーは100nmを表す。各パネルのPS1対照物(黒色破線)を精製Cpの個々のバッチで反復し、このことが確認される集合効率の変動の原因となった。smFCS及びTEMを、3回反復して繰り返した。
【
図10.1-10.2】ARDの役割及びその集合時の電荷 (a)Cp(薄い灰色)及びCp
149(灰色)を含む15nM PS1のsmFCSアッセイならびに2nmビンにプロットし、以下のガウスピークでフィッティングした付随する流体力学的半径分布。粒子のEM画像を示す(右)。(b)(a)と同様に、PS1及びCp(黒色)、予め平衡化してPS1に添加したキナーゼ及びCp(薄い灰色)ならびに同時に添加したキナーゼを含むPS1及びCp(濃い灰色)。TEMを右に示す。スケールバーは100nmを表す。各パネルのPS1対照物(黒色)を精製Cpの個々のバッチで反復し、このことが確認される集合効率の変動の原因となった。smFCS及びTEMを、3回反復して繰り返した。
【
図11】T=4及びT=3VLPのARD構造。 4.7Åでの二十面体平均化T=4粒子(左)、7Åまでローパスフィルターに通した同じT=4構造(中央)、及び5.6ÅでのT=3粒子(右)の構造による板状構造(約30Å厚)。Cp二量体を各々にフィッティングする。T=3VLPよりもわずかに低い分解能であっても、T=4VLPのARDは同等の密集ではなく、これは各粒子において異なるコンフォメーションを有することを裏付ける。
【
図12.1-12.2】STNV系。(A)強調した三量体カプソメアを有する5回転軸(濃い灰色)に沿って示したSTNV T=1カプシド(左、PDB 3S4G)及び右のCP単量体(濃い灰色、PDB 3S4G)のリボン図。ここでは変異した側鎖を示し、標識している。障害N末端アミノ酸配列を破線として示し、先頭の25アミノ酸の配列に隣接している。(B)5’~3’までをそれぞれPS1~5という名称でPS SLの位置を示す、127nt 5’STNV-1ゲノム断片の配列及び推定二次構造。各々は、CP認識モチーフの-A.X.X.A-をそれらのループ中に含有する(白色円、黒色輪郭)。B3アプタマーを同様に上に示す。ヌクレオチドを示した通りにここで及び全体を通して色分けする(
図22も参照のこと)。(C)例示的なsmFCSアッセイ。CPを含まない蛍光標識RNAのRh値(PS1~5が黒線、B3が赤色)を、STNV CP滴定前及び最中に固定の時点(垂直の破線)で決定し、各ステップ後にRh値を平衡化させる。PS1~5のRhは、CP濃度が閾値に到達するまで最初に最大30%まで急落し、T=1VLP(Rh約11nm)への協同的集合を誘導する。各滴定の最後に、形成した複合体をRNaseAの添加によって負荷する。未変化Rh値は、RNAが密閉VLP中にあることを示すと想定される。
【
図13.1-13.2】CP認識モチーフを定義する。(A)沈降速度によって決定した、バリアントB3 RNAの全体的な再集合効率(バリアントRNAを挿入図通りに色分けする)。予想したT=1VLPは約42Sで沈降する。(B)代表的な集合産物のEM画像、スケールバーはここで及び全体を通して=50nmであり、
図17Bも参照のこと。(C)(D)にプロットした結果についてのバリアントRNA smFCS競合アッセイの図。(D)100倍モル過剰の競合物バリアントRNAの添加後の、1nM AF488標識B3で形成されるカプソメア(約5nm)のRh(%で)の変化(上から下へのループ配列は、グラフ中で左から右へのバーを表す)。
【
図14】集合の静電相互作用及び協同性。野生型またはR8A CPをB3(1nM)またはPS1~5(10nM)中に滴定し、Rh変化をモニターした。滴定点を、それぞれ上(灰色がB3)及び下(PS1~5)に示す。(B)野生型STNV CPを10nMのPS1~5、PS1~3、PS3~5またはPS2~4の各々中に滴定した。
【
図15.1-15.2】合成カセットの集合。(A)PS1~5、合成安定PS1~5及び全てPS3のカセットの配列、推定二次構造及び折り畳み自由エネルギー(
図22)。正の折り畳み自由エネルギーを有するSLは、Mfoldでは折り畳みできない。(B)全てのバリアントPS1~5構築物のSTNV CP滴定、条件は
図14と同様。PS1~5(黒色)、合成安定PS3(薄い灰色)RNAを含む産物の挿入EM画像。
【
図16.1-16.2】ゲノムキメラを有する集合アッセイ:(A)STNV-1ゲノム(黒色)ならびに修飾バリアント、合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1(下)及び不安定PS1~5+Δ1~127STNV-1(中央)の概略図。(B)STNV CPを1nMのSTNV-1(黒色)、合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1(薄い灰色)または不安定PS1~5+Δ1~127STNV-1(濃い灰色)中に滴定し、得られたRhを、smFCSを使用してモニターした。組換えT=1粒子のRhをオレンジ色で示す。(C)4000~6500秒間の滴定プロット(B)上の、データからの流体力学的半径を分布としてプロットする。(D)(B)からの産物のEM画像。
【
図17.1-17.3】(A~C):B3バリアントの集合挙動。(A)全てのB3バリアントのMfold構造、ループ配列を各構造の下に示す。(B)4.3μM濃度でのB3バリアント集合体のEM画像。示したスケールバーは100nmである。Bのパネル位置は、Aの同じ位置のSLと一致する。(C)svAUCによるB3内側バリアントRNAを使用するSTNV CP再集合効率の比較。再集合反応を、1:3のRNA:CP比で4.5μMの最終CP濃度を用いて実施した。(D~F):B3バリアントカプソメア競合アッセイ。(D)15nM STNV CP及び5nM Alexa Fluor488標識B3を使用して約5nm R
hのカプソメアを形成した。これを、smFCSによって1200秒間測定した。この時点で、100倍モル過剰のB3バリアントGUUG(薄い灰色)、GUUU(黒色)またはUUUG(濃い灰色)を添加し、得られたR
h変化を1800秒間記録した。次いで、生データを使用してR
hのパーセンテージ変化を計算する(
図13C及びD)。(E)(D)におけるような、B3バリアントAUUA(濃い灰色)、AUUU(灰色)またはUUUA(薄い灰色)。(F)(D)におけるような、B3バリアントAUUG(濃い灰色)、GUUA(薄い灰色)または非標識B3(黒色)。
【
図18】STNV CP電荷変化変異体の特徴付け:(A)E.coli中で発現させた電荷変化変異体のSDS PAGE、赤色矢印はSTNV CPバンドを示す。(B)E.coliから精製した電荷変化変異体のsvAUC。十分なVLPを産生する変異体のみ(野生型、R8A及びR8D(破線[R8D’と称する]))を分析した。
【
図19.1-19.2】単一または複数のパッケージングシグナルを有するSTNV CP電荷変化変異体の集合挙動。(A)上:野生型、R8A、R8D R14K17AまたはR14K17Dを1nM B3中に滴定し、得られた流体力学的半径を
図14に記載したようにモニターした。中央:0.5nmのビンサイズで分布として示した上部チャートのR
h値を、ガウスピークを用いてフィッティングし、反応全体を通して溶液中に存在する不均一性を強調した。T=1粒子のR
hをオレンジ色の破線で示す。下:上記反応物のEM画像(左上から右下へ、野生型、R8A、R8D R14K17D、R14K17A)。(B)(A)と同様であるが、10nM PS1~5中に滴定したCPを含む(左上から右下へ、野生型、R8A、R8D R14K17A、R14K17D)。
【
図20】3つのPS断片の集合挙動。上:2nmビンサイズで分布としてプロットし、ガウスピークでフィッティングした、
図14BからのSTNV CPとPS1~5(黒色)、PS1~3(濃い灰色、左)、PS3~5(黒色、左)及びPS2~4(薄い灰色)との間の3000~4000秒の反応に対応するR
h値。下:
図14からの反応物のEM画像。
【
図21】3つのPS断片の安定構造。Mfoldによって予測したようなPS1~3、PS2~4及びPS3~5の最も安定した構造。色分けは、
図12に、及び全体を通して見られる通りである。2つの主なPS1~3の折り畳みは、2つの-A.X.X.A-SLを主に提示するが、これらは協同的集合のためには離れすぎていると考えられる。PS2~4は2つのSLを提示し、1つは-A.X.X.A-モチーフを有し、もう1つは他方と4nt離れている。PS3~5の2つの主な折り畳みも、2つのSLを提示するが、これらのSLは近接していて(10~12nt)、一方のみが全体のうち6%の-A.X.X.A-モチーフを提示する。
【
図22.1-22.3】127-merのカセット構造。上:STNV野生型PS1~5遺伝子断片及びその合成対応物の、Mfoldによって決定されるような配列、推定二次構造及び折り畳み自由エネルギー。下:Mfoldによって決定されるような各SLの相対的折り畳み自由エネルギーの比較表。オリゴを
図12におけるように色分けする。
【
図23】127-mer集合カセットの構造及び安定性の問題。(A)260nmでCa
2+濃度を増加させながらの、RNAオリゴヌクレオチドWT PS1~5(正方形)、安定PS1~5(円)、不安定PS1~5(三角形)、全てPS3(逆三角形)及び合成安定PS1~5(菱形)のモル楕円率。(B)(A)におけるように色分けした、RNAオリゴヌクレオチドの熱融解中における260nmでのモル楕円率。
【
図24】合成127merカセットの集合挙動。(A)
図19におけるようにプロットした、
図15AからのSTNV CP及びPS1~5(黒色)、安定PS1~5(濃い灰色)、不安定PS1~5(灰色)、全てPS3(赤色)または合成安定PS1~5(薄い灰色)を含有する反応物の3000~4000秒間のR
h値。(B)
図15Aにおけるように色分けした、上記反応物のEM画像。
【
図25】ゲノムキメラの集合挙動。(A)STNV-1ゲノムRNAを使用するsmFCS再集合。R
h値をSTNV CP滴定前及び最中に測定し(垂直の破線)、各ステップ後にR
h値を平衡化させた。STNV-1ゲノムは、最初に最大30%まで急落し、次いでR
hは、T=1VLP(R
h約11nm)に相当する値まで回復する。(B)TSKgel G6000PWxl SECカラム(Tosoh)から溶出したSTNV CPを用いた、STNV-1(黒色)、合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1(薄い灰色)及び不安定PS1~5+Δ1~127STNV-1(灰色)間の再集合のQELS測定光散乱データ。ピーク面積及び測定したR
h値を表6に記載する。(C)メインピーク(約20分)でのVLPのEM画像。
【0083】
表1:ESI-MS質量分析法によって決定されるような、使用したCp及びキナーゼ(SRPKΔ)の異なる型の質量
【0084】
表2:Alexa-Fluor-488標識PS1とCpとの会合。
異方性を使用して、15nMのAlexa-Fluor-488標識RNA PSオリゴが、125nMの予め形成されていたCp殻に結合し得る、またはそれに侵入し得る場合を決定した。後者は、RNAの不存在下における高濃度での再集合によって形成された(3)(
図8c)。蛍光偏光値は、色素標識種の質量に影響される(4)。PS1オリゴの偏光値は、予想通り、RNaseの添加後に下降するが、オリゴの存在下で集合したVLP中に組み込まれる場合は変化しないままである。標識PS1を中空Cp VLP中に添加する場合、その蛍光発光は影響を受けず、これはクエンチされずにRNaseの感度を維持することを示唆し、PS1がタンパク質殻の外側と結合しない、すなわち内在化されることを裏付けている。
【0085】
表3:PS1バリアントオリゴヌクレオチドのL1~5及びB1の配列変化及び対応する集合挙動。集合挙動を以下の通りに示す。最初の「+」はRNA-Cp結合を示し、2番目はT=3/T=4サイズの種の形成を示し、3番目はRNase保護を示す。「-」は、本アッセイの失敗を示す。
【0086】
表4:B3配列バリアント。B3配列バリアントのループモチーフ(左)、全配列(中央)及び折り畳み自由エネルギー値(右)。
【0087】
表5:RNA集合カセットの準最適構造の分析。Mfoldを使用し、500の準最適性設定を用いて各カセットを折り畳んだ。次いで、これらの折り畳みを以下の基準によって評価した:PS1~5の正確な-A.X.X.A-ループの存在を検証し、パーセンテージとして示した(表全体を通して緑色=60+、オレンジ色=40+、赤色0-39)。各ステムループ間のヌクレオチド間隔を、期待値と比較して測定し(
図22)、またパーセンテージとしても示した。これらの間隔が異なっていた場合、最大のヌクレオチド差を示す。
【0088】
表6:QELS実験からの収率及びR
h値。TSKgel G6000PWxlカラムから溶出したメインピーク(20分、
図25)の中点から取得した測定R
h値。ゲノムキメラ再集合体の収率を、Origin Pro9のピークアナライザー機能を使用し、メインピーク(20分、
図25)下面積を積分することによって算出した。次いで収率を、最高値を基準として正規化し、パーセンテージとして示した。
【0089】
【0090】
材料及び方法
使用したタンパク質のクローニング、発現及び精製。
発明者らは、宿主RNAを含有する集合HBV VLPを産生すると知られている(5)、E.coli Cp発現プラスミドを得た(Prof.Nicola Stonehouseから寄贈)。コードされるCpは、現GenBank参照株(NC_003977.2)と比較して以下のアミノ酸配列差を有する:A61、E77-FAGAS(1文字アミノ酸コード)-D78挿入、S92N、F102I、I121L、R156-RD-R157挿入。野生型C61は集合に関与しているため(6)、これを、BL21(DE3)E.coli細胞のPET28bプラスミド中での発現前に遺伝子に復元した。挿入FAGASエピトープも除去した。1mM IPTGを用いた0.6ODでの誘導に続いて、20時間、21℃で増殖させた。Soniprep 150を使用し、氷上で5×30秒破裂させて細胞を溶解した。次いで、溶解物を11,000gで1時間スピンすることによって浄化した。次いで、VLPを120,000gで14時間遠心分離することによってペレットにし、20mM Hepes(pH7.5)、250mM NaCl、及び5mM DTT中に再懸濁し、25mlのCapto(商標)core 700樹脂(GE Life Sciences)を充填したXK50カラムに流した。VLPを含有する画分をプールし、40%(w/v)硫酸アンモニウムで沈殿させた。CpがSDS-PAGE上で純粋であることが分かり、その特性、及びバリアントの特性を質量分析法によって確認した(表1)。ARDが欠如しているCp、すなわち、Cp
149を変異誘発(Q5 site-directed mutagenesis kit、NEB)によって産生し、同様に調製した。E.coli中で発現したCp
149VLPは、カプシド封入細胞RNAを大幅に欠いていることに留意する。VLPを、ネガティブ染色透過型電子顕微鏡(TEM)によって可視化した。全長Cp VLPをショ糖密度勾配によってさらに精製し、次にAlexa Fluor-488 SDPエステル(Invitrogen)を使用し、4時間にわたって室温で200mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.3)中において色素標識し、続いてNAP5カラム上で脱塩した。勾配上に2つの重複するVLPピークが存在し、それらを分離することは不可能であった。TEM及びsmFCSは、それらが予想したT=3及びT=4殻であることを裏付け、後者が優位型である(
図7a)。Cp領域140~148が形態学の決定因子であることが示され、より短い型がより多くのT=3殻を産生した(7)。157位のリンカー領域に隣接するジペプチド挿入が、Cpの特性を変化させる可能性がある。しかしながら、発明者らがRD挿入を除去してCp
183を得た場合に、発明者らは、RNA結合、PS RNAを有するVLPを形成する能力または形成される優位な準配座異性体殻の選好のいずれにおいても、Cp
185と全く差がないことを見出した。より長いCpをSELEX及び高分解能EM研究に使用したので、これらが全体を通して示すデータである。
【0091】
集合アッセイに使用した全てのHBVバリアントを、pH7.5とは対照的にpH9.5で分解を行ったという点を除いて、VLPから分解させて先に記載されているようにタンパク質二量体にした(3)。これは、Complete Protease Inhibitor Tablets(Thermofisher Scientific)の存在下で行った。HBVコア二量体濃度をUV吸光度によって決定した。A260:A280比がおよそ0.6以下の画分を集合アッセイに使用した。SRPKΔキナーゼを、先に記載されているように(8)、pRSETbプラスミドから発現させて精製した。
【0092】
SELEXプロトコール
精製したHBVカプシド(約360μg)を、製造業者のプロトコールに従って6mgのM270カルボン酸Dynabeads(Thermofisher Scientific)上に固定化した。ビーズをセレクション緩衝液(25mM Hepes、pH7.5、250mM NaCl、2mM DTT、EDTAフリー完全プロテアーゼ阻害剤)で2回洗浄し、未反応のN-ヒドロキシスクシンアミドを15mの50mM Tris-HCl pH7.4で洗浄してブロックした。ビーズをセレクション緩衝液でさらに3回洗浄した。固定化カプシドを、0.5M LiCl2中の2M塩化グアニジニウムによる30分のインキュベーションで分解した。次いで、ビーズをB&W緩衝液(10mM Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA、2M NaCl)で3回洗浄し、次いでセレクション緩衝液で3回洗浄した。ビーズを、ビーズの濃度が10mg/mLとなるようにセレクション緩衝液中に再懸濁させた。ネガティブセレクションビーズも、カプシドを含まないことを除いて同様に調製した。10ラウンドのSELEXを、先に記載されているように(9)、合成コンビナトリアルN40 2’OH RNAライブラリー(約1024の可能な配列)を使用してインビトロで実施した。次いで、ラウンド10の増幅DNAを、Illumina MiSeqプラットフォーム上で次世代シーケンシングに供した。これは約1.6Mの配列リードを生成し、その場合、1つの配列が65,802回発生し、100以上の多様性で1149個のアプタマーが存在する。このアプタマープール中における4つのヌクレオチドの総頻度は、A34.30%、C9.09%、G40.97%及びU15.64%であり、A26.10%、C22.03%、G24.64%及びU27.22%の非選択ナイーブライブラリーに関する同じデータと比較する。後者プール中における配列の最大多様性は4である。これらのデータは、ナイーブプールから選択を行ったこと、及び選択したアプタマーの塩基組成がHBVゲノム内で同定したRGAGモチーフと一致することを裏付ける。
【0093】
PS同定
PS同定を、実験室HBV株(
*NC_003977.1)を使用して実施した。アプタマーライブラリーは、1,664,890の特有の配列を含有していて、それらは以下の通りにゲノムに対してアラインメントされた各40nt長である:各アプタマー配列を、1nt単位でゲノムに沿ってスライドさせた。参照フレームのそのような各々の位置について、ゲノムに対して最適なアラインメントを有するアプタマー配列のサブセットを、ベルヌーイスコアBに従って同定し、これは不連続アラインメントの確率をBヌクレオチドの連続アラインメントの確率と比較して評価する。ライブラリー中における所与のアプタマー配列の参照フレーム全てに関するベルヌーイスコアを、最大スコアから開始して順位付けし、最大12のベルヌーイスコアまでゲノムと一致するもの全てを計数した。次いで、他方のアプタマー配列について手順を反復し、対応する一致を追加して、
図2aのピークを得た。
【0094】
コンセンサスモチーフの識別
以下のアクセッション番号を有するHBVゲノム配列を、GenBankで見出せる750の完全HBVゲノムからランダムに抽出した:KCS10648.1、
*AF223955.1、AY781181.1、
*AB116266.1、AB195943.1、KR014086.1、
*KR014072.1、KR014055.1、KR013939.1、KR013921.1、KR013816.1、KR013800.1、EU796069.1、AB540582.1、ならびにNCBI HBV参照株(GenBank Seq ID
*NC_003977.2)及び実験室株(GenBank Seq ID NC_003977.1)を全体に追加した。
図2cの統計分析に使用した配列をアスタリスクで印を付ける。ベルヌーイピークは、これらの16のHBV株バリアントの少なくとも80%において互いに多くとも10nt以内に発生し、これらに
図2a中において緑色のXで印を付けて、それらの保存を示した。推定PS認識モチーフを同定するために、発明者らは、3つの代表的な株(AF223955.1、NC_003977.1、及びNC_003977.2)から、各ベルヌーイピークのピークヌクレオチド周囲に集中している、60ntの配列を抽出し、Mfoldによって負の自由エネルギーを持つ全ての可能なステムループを決定した(10)。発明者らは、配列及び構造要素の両方を比較して、これらのステムループの類似性分析を実施し、発明者らは、他方の株中の同じピーク面積に対応する同じゲノム及びステムループ中において、他方のピーク面積における二次構造要素と両方とも最高の類似度を有する代表的な各ピーク面積について同定した。これにより、各ピークに対するステムループを選択した。対応するループ配列のアラインメントを
図2bに示す。
【0095】
RNA色素標識
PS1、PS2及びPS3(47ヌクレオチド長)を、5’C6-アミノ基と共にIntegrated DNA Technologiesから購入した。RNAを標識するために、6μLのRNA(200μM)を、1μLの1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH8及び3μLの10mM Alexa-488-SDP(Thermofisher Scientific)と混合し、室温で4時間回転させた。次いで、10μLの2×変性ローディング色素をRNAに添加し、5分間煮沸して、予熱した変性PAGE上に負荷した。RNAをゲル抽出してイソプロパノール沈殿し、最後にDEPC-H2O中に再懸濁させて、必要になるまで-80℃で凍結した。
【0096】
集合アッセイ
集合反応を、分解緩衝液(50mM Tris(pH9.5)、1.5M GuHCl、500mM LiCl及び5mM DTT)中のHBV Cpを、20mM Hepes(pH7.5)、250mM NaCl、5mM DTT及び0.05%(v/v)Tween-20を含有する再集合緩衝液中の15nM Alexa-488標識RNAに25℃で添加することによって実施した。プラトーに達するが、総反応体積の10%を決して超えない測定Rh値によって集合が完了したと考えられるまで、二量体の連続添加を実施した。Cpの各添加を、滴定プロット中において垂直の灰色破線で印を付け、T=3及びT=4粒子の予想した流体力学的半径(E.coli中で発現される色素標識粒子について決定した場合)を、図面内においてオレンジ色の水平破線で印を付ける。
【0097】
反応全体を通して手作業で混合したため、FCSデータ収集の開始時におよそ1分の遅延を招いた。自己相関関数(CF)ごとに30秒のデータ蓄積を伴う特注のFCS設定を使用して、FCS測定を行った。個々のCFを、三重項状態の緩和及び拡散(拡散時間、TDを特徴とする)成分に分解し、後者を見かけの流体力学的半径Rhに変換した(11)。TEMの試料を、各測定の終了時に取得した。経時的なRhのプロット(薄い破線)を、Origin Pro-8のFFTフィルターを使用し、35%のカットオフパーセンテージを用いて平滑化した(太い実線)。Rh分布のプロットも、Origin Pro-8ソフトウェアを使用して正規の単一または複数のピークガウス関数にフィッティングした。ネガティブ染色TEM分析のために取得した試料を、グロー放電炭素コーティングホルムバール300メッシュ銅グリッド上に置いた。グリッドを2%酢酸ウラニルで染色して乾燥させた。
【0098】
集合粒子の標識
集合をsmFCS実験におけるように実施した。特に、Cpを、15nMの非標識PS1を含む場合と含まない場合で、250nMの最終濃度まで再集合緩衝液中に滴定した。これを室温で1時間放置してインキュベートし、次いで、緩衝液交換を透析により実施し、存在するグアニジニウム塩酸塩を除去した。次いで、タンパク質の標識を、Alexa Fluor-488 SDPエステル(1:50比の色素対Cp二量体)を添加し、一晩4℃でインキュベートすることによって実施した。次いで、得られた試料を、smFCSによって30sビンで100分間測定し、Rhデータを流体力学的半径分布プロットで上記の通りにプロットした。次いで、試料をTEMによる分析のために取り出した。標識後、Cp二量体は機能不全な集合となり、それゆえCpをリアルタイム集合中に記録できなかった。
【0099】
光退色
Alexa-488標識PS1を含有するHBV VLPを、smFCS集合アッセイに記載したように集合させた。それらの条件下で、全てのRNAをタンパク質に結合させ、これをFCS実験の蛍光消光及び光子計数から判断した。次いで、VLPを2つのグロー放電照射炭素/ホルムバール300-メッシュグリッド(Agar Scientific)に添加し、1つのグリッドを2%(w/v)酢酸ウラニルで染色して、Jeol1400顕微鏡を用いて40,000×倍率で目視した。残った非染色グリッドを、ホルムバール面を下にして清浄な顕微鏡カバーガラス上に配置し、倒立TIRF顕微鏡上に搭載した。レーザー(Coherent Sapphire、488nm、25mW)出力を、数分の時間枠内で標識RNAを励起して光退色するように調整した。連続画像を、emCCDカメラ(Andor iXon)を用いて0.2秒の露光及び200のemゲインで取得した。未露光の視野範囲を各系列に使用した。
【0100】
蛍光スポットを、前述した手順を使用して収集したフレーム中で同定し、時間経過に変換した(12)。次いで、これらを検査し、光退色ステップ数に従って分類した。規定数のステップを有する記録の頻度をヒストグラム中で照合した。視野範囲ごとにいくつかの明るいスポットが連続的な強度減衰を示したため、より大きな凝集体を表していると推定された。これらを使用して全体的な光退色速度を推定し(フレーム当たり0.003)、10ステップを表す場合、正式にヒストグラム中に含んだ。連続事象を表すビンを含まないヒストグラムを、UV-Visスペクトルから推定した最大で4倍の占有率及び0.56の標識確率について二項分布の加重和としてモデル化した。
【0101】
電子顕微鏡再構成
大規模VLP調製
smFCS実験を、96ウェルプレートにスケールアップした。2つの96ウェルプレート(Non-Binding Surface、Corning)を使用した。PS1 RNAを以前の通りに標識してゲル精製し、HBV二量体を上に記載した通りに精製した。各ウェルは、再集合緩衝液中に200μLの15nM PS1を含有した。smFCSにおけるように、分離緩衝液中の2.5μM二量体の2μL注入を10回実施した。Perkin-Elmer Envisionプレートリーダーを使用して注入を実施し、PS1 RNAの異方性を記録した(FITC励起及び発光フィルター)。VLPを、遊離RNA及びカプシドを避けて1.33g/mLの塩化セシウム勾配を使用して精製し、SW40Tiローターを使用して113,652×gで90時間回転させた。単一のバンドを観察して分画した。バンドを再集合緩衝液中に透析し、塩化セシウムを除去した。VLPの2mL画分を、Amicon 100kDa MWCOスピン濃縮器を使用して200μLに濃縮した。
【0102】
クライオEM材料調製
PS1含有VLPの回収及び透析による塩化セシウムの除去後、それらの構造を、単粒子クライオEMを使用して分析した。VLPをガラス状にした。Quantifoil R2/1支持フィルム及びさらに約5nmの連続炭素フィルムを備えた200メッシュEMグリッドを、アセトンを使用して洗浄し、使用前に40秒間グロー放電した。クライオEMグリッドを、グリッド上に3μl約の3.2mg/ml HepB VLPを置いてからブロッティングし、Leica EM GP凍結デバイスを使用して浸漬凍結することによって調製した。チャンバー条件を8℃及び95%相対湿度に設定し、液体エタン温度を-175℃にした。データを、FEI Titan Krios(eBIC、Diamond Light Source、UK)透過型電子顕微鏡上において300KeVで収集し、27e-/Å2/sの電子線量、2.5s露光を使用し、生じた総電子線量は67.5e-/Å2であった。データを、17Hz FEI Falcon II直接電子検出器上で記録した。線量を33フレームにわたって分割した。最終対象抽出は、1画素当たり1.34Åであった。合計で2397枚の顕微鏡写真を、EPU(FEI)自動データ収集ソフトウェアを使用して記録した。
【0103】
単粒子画像処理
2397枚の顕微鏡写真に動き補正を行い、各動画の平均を、MotionCorr(13)を使用して生成し、各々についてコントラスト伝達関数(CTF)パラメータを、CTFFIND4(14)を使用して決定した。CTFFIND4の出力検査によって決定されるような、許容できない非点収差または荷電を含む顕微鏡写真を廃棄し、1710枚の顕微鏡写真の全データセットを残した。粒子全ての採集、分類及びアラインメントを、RELION 1.3(15)で実施した。
【0104】
およそ57,000粒子を手作業で選定し、RELION 1.3で参照像なしの2D分類を使用して分類した。この分類によって、VLPをセシウム勾配上で単一のバンドとして精製したが、2つのサイズのVLPが存在していたことを最初の視覚的印象で確認した。得られた2Dクラス平均のセレクションを、自動粒子採集のテンプレートとして使用した。自動採集を使用して生成した粒子スタックで2D分類を行ってT=3及びT=4粒子に分離し、VLPに相当しない粒子を除去した。その後の粒子スタック(T=3は5589個、T=4は42,411個)で、開始モデルとしてVLPの概算の直径を有する球体を使用し、3D分類を行った。データのサブセットはナイキスト周波数までのデータを含み、これをRELIONの3Dオートリファインオプションを使用し、課されたI3対称性を有するように再構成して本研究で提示される全ての構造を生成した。T=4の42,411個の粒子データセット内では、データのさらなるサブセット(10,851個の粒子)が、Cp殻内部に、RNA結合が生じると予想されるだろう重要な非対称的特徴を含有していたことが明らかとなった。非対称(C1)再構成を、10,851個のそのような粒子の相対的に均一なセットで実施し、11.5Å分解能で再構成像を得た。
【0105】
PS1 RNAの3Dモデルを、RNA Composer(16)を使用して作成した。クライオEM図を、UCSF Chimera(17)を使用して表現した。
【0106】
組換えSTNV CPの精製
組換えSTNV VLPをE.coliから精製した(18)。STNV電荷変化変異体プラスミドを、Agilent、及びQuikchange部位特異的変異誘発キット(Agilent)を使用して設計したプライマーを使用して作製した。CP単量体を、50mM Tris(pH8.5)、10mM EDTA中で、Complete Protease Inhibitor Cocktail(Roche、United Kingdom)の存在下における分解によって精製した。STNV CPを、連続Q-Sepharose、及びSP-Sepharoseカラム(GE Healthcare、Sweden)によってmRNAから分離した。STNV CPを、20カラム体積の50mM HEPES(pH7.5)及び25mM NaClで洗浄して残留EDTAを除去し、続いて緩衝液中で0.025~2M NaCl勾配を使用して溶出した。CPは0.8M NaClで溶出する。STNV CPをSDS-PAGEによって分析し、その濃度をUV吸光度によって決定した。A260:A280比が0.6以下の画分を集合アッセイに使用した。過剰発現中にVLPを形成しなかった変異体CPを、同じ連続Q-Sepharose及びSP-Sepharoseカラム法を使用して精製した。
【0107】
RNAオリゴヌクレオチドの調製
本試験で使用したRNAオリゴヌクレオチドをコードするdsDNA転写物を、プライマー及びKAPA2G系(KAPA biosystems)を製造業者のプロトコールに従って使用して産生した。転写を、Highscribe T7 High yield RNA synthesis kit(NEB)を使用して実施した。産物を変性RNAゲル上に流した。全体を通して使用したAlexa Fluor488標識B3オリゴヌクレオチドを合成し、DNA Technology A/S(Denmark)によってHPLC精製した。5’フルオロフォアを要する他のRNAオリゴヌクレオチドを転写中にアミノGMPで標識し、先に記載されているように(19)、ゲル精製前にAlexa Fluor488 SDPエステル(Invitrogen)に架橋させた。
【0108】
ゲノムキメラを、5’T7プロモーターを有する合成安定化及び不安定+Δ1~127STNV-1構築物の遺伝子ブロックを購入し(IDT DNA technology)、Antarctic phosphatase(NEB)を使用した制限消化及び脱リン酸化後、BamHI及びHindIII切断部位をいずれかの末端に保持して付着末端を作製することによって作製した。次いで、この遺伝子ブロックを、T4 DNAリガーゼ(NEB)を使用してPACYC184プラスミドにライゲートさせた。転写を、BamHIを使用した線形化後に上記のように実施した。
【0109】
RNAを各実験前に、50mM NaCl、10mM HEPES及び1mM DTTをpH7で含有する緩衝液中で80℃まで90秒間加熱し、ゆっくりと4℃まで冷却することによってアニーリングした。ゲノムは65℃まで加熱しただけであった。
【0110】
B3バリアントの存在下におけるSTNV再集合及び超遠心分析沈降速度法(svAUC)再集合反応を、B3バリアントの存在下及び不存在下で1:3のRNA:CP比中において4.5μMの最終CP濃度で、50mM HEPES(pH7.5)及び2mM Ca2+を含有する緩衝液中への透析によって実施した。全ての試料をTEM及びAUCによって分析した。AUVについて、0.32mLの各試料を、サファイアウィンドウと構築した1.2cm経路長の2セクターメニスカスマッチングエポンセンターピースセル中に置いた。試料を、15,000rpmでOptima XL-1分析用超遠心機中において20℃でAn50-Tiローター中において遠心分離した。260nmでの吸光度変化を、およそ11時間30分で取得した100回走査の吸光光学により検出した。データを、プログラムSedfitを使用してフィッティングかつ分析した。
【0111】
smFCSデータ収集及び分析
FCS測定を、特注のsmFCS設備上で実施した。励起レーザー(Sapphire CWブルーレーザー、488nm、Coherent、USA)出力を65μWに設定した。焦点位置を、カバーガラス内側表面から20μmに調整した(圧電フィードバックループによって維持、Piezosystems Jena、Germany)。浸漬油(屈折率1.515、タイプDF、Cargille Laboratories、USA)を、浸漬油対物レンズ(63×倍率、開口数1.4)と共に使用した。光子計数を、単一チャネルモードのALVL5000マルチプルタウデジタルコリレーター(ALV-GmbH)によって記録して分析した。FCSデータを、Matlabで三重項状態について補正した単一成分拡散モデル自己相関関数との非線形最小二乗フィッティングを使用して分析した。拡散時間を見かけの流体力学的半径(Rh)の算出に使用し、集合時間の関数としてプロットした。Rh算出は、色素の推定Rh(=集合緩衝液中で約0.7nm)を用いたAlexa Fluor488色素の測定した拡散時間に基づいた。
【0112】
smFCS集合及び競合アッセイ
Alexa Fluor488標識RNAオリゴヌクレオチドの初期測定を、30秒を少なくとも10回(5分)で取得した。精製STNV CPを標識RNA中に滴定した。各滴定を、最低でも30秒を10回測定した。集合アッセイでは、これをカプシド集合が完全に生じるまで反復した。この時点で、RNaseAを添加してRNA保護を確認した。競合アッセイでは、試料がカプソメア構造(Rh=約5nm)を形成したら、試料をさらに10秒120回(安定性を確保するまで20分)の間モニターした。この時点で、非標識B3低分子/B3バリアント競合物を100倍モル過剰で添加し、10秒120回で測定した。
【0113】
CD分析
転写したオリゴヌクレオチドを、10mM MES、50mM NaCl及び1mM DTTをpH6で含有する緩衝液中において、300μl中で1.5μMまで希釈した。測定を、Jasco J715分光偏光計上において200~350nmで2nmの帯域幅を用いて実施した。各Ca2+及びSTNV滴定を5回反転し、次の測定前に2分間平衡に達するまで置いた。熱変性を、10~95℃まで5℃ステップでペルチェ温度制御を使用して実施し、最終走査を10℃で切断を確認するために実施した。各測定を3回反復して実施し、平均化した。データを、式:Δε(cm2 mM-1)=θ/(32980C(mM)L(cm)N(ntの数))を使用してモル楕円率に変換した。
【0114】
ゲノムRNAバリアントとの再集合の光散乱アッセイ
再集合を、smFCSアッセイにおけるように、ゲノムキメラを用いて96ウェルプレート中で実施し、1nMゲノム及びCPを、最終濃度が400nM STNV CPに到達するまで滴定した。これを、100kDaセントリコン(millipore)によって10k×gで5分間濃縮し、QELS及び屈折率測定のためにDAWN HELEOS及びOptilab TrEXに接続したAKTA pureシステム(GE Healthcare)を用いて、TSKgel G6000PWxl SECカラム(Tosoh)上に流した。カラム流量は、50分間で0.4ml min-1であった。ピークを分割し、A260/280比を測定してEM画像を得た(
図25)。光散乱シグナルの積分によって算出した場合の不安定PS3試料の収率は、野生型STNV RNAの収率よりも劇的に低いが、安定化合成カセットは、天然配列と比較してVLP中で有意に高い(>20%)収率をもたらす。QELSによってsmFCSからの値に類似したRh値を推定し、合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1、野生型STNV-1及び不安定PS1~5+Δ1~127STNV-1について、それぞれ9.3±0.1nm、9.1±0.3nm及び8.9±0.2nmであった(表6)。ゲル濾過カラムから溶出した集合VLPのA260/280比も参考になる。PS1~5+Δ1~127STNV-1及び野生型STNV-1ゲノム試料の両方とも同一値(1.62)を有するが、不安定PS1~5+Δ1~127STNV-1試料は、より高い値(1.89)を有する。このことは、最初の2つの試料中には一定量のRNAが、同じ数のCPを含有する殻内に完全に密閉されているが、最後の試料は不完全な殻中に同じRNA含有量を有していることと一致する。
【0115】
実施例1
HBV pgRNAは、好ましいCp結合部位を含有する
E.coli中で発現した(全長)Cpサブユニットから集合させたHBV VLPを、記載されている通りに(3)精製した(
図7a及び表1)。それらは、T=3及び多数のT=4殻の混合物を形成する。これらを磁気ビーズ上に固定化し、塩化グアニジニウムでの処理によって分解させ、次いで洗浄して宿主RNAを除去し、固定化Cp二量体(20)を得て、それらは接近可能なそれらのARDを有した。RNA SELEXを、発明者らの標準的なプロトコール(
図7b)を使用して実施し、10回目のラウンドのアプタマープールを次世代DNAシーケンシング(方法)によって分析した。
【0116】
選択ライブラリー中でCpと結合するRNA配列を、SELEX実験に使用したタンパク質と最も密接に関連するHBVプレゲノムにアラインメントした(実験室株、GenBank Seq id NC_003977.1(21))。この株のpgRNA(
図2aの青色ピーク)との統計的に有意な一致(12以上のベルヌーイスコア、方法)を、非選択ライブラリー(
図2aの灰色曲線)のアラインメントに対して評価し、有意な頻度で発生するピークを同定した。これによって、Cp結合アプタマーに類似した配列/構造を有するpgRNAにわたって分散している複数の部位が同定され、これはゲノムにわたるPS様部位に対する発明者らの予想と一致している。発明者らは、GenBankからランダムに選択した14のHBV株バリアント、現NCBI HBV参照株(GenBank Seq ID NC_003977.2)に加えて実験室株(GenBank Seq ID NC_003977.1)に同じ手順を適用し、これらの株の少なくとも80%において保存されているそれらのピーク全てを同定した(
図2a中に緑色のXで印を付けた)。したがって、これらのゲノム領域はPSを包含する可能性がある。最も高い保存(100%)及びピーク高さを有する3つのピークでは、後者が、何個のアプタマーがこれらの部位と一致したかを示し、これらを
図2a中でPS1、PS2及びPS3という名称にする。株間で高い保存を有する9つの部位について、発明者らは、実験室株及び参照ゲノムを含む、3つの代表的な株バリアントのゲノム配列中で5’及び3’からピークヌクレオチドまで30ntを抽出し、Mfoldによって負の自由エネルギーを有するそれらの全ての可能な二次構造折り畳みを検討した(方法)。一次及び二次構造の類似性分析によって、プリンリッチループ認識モチーフのRGAG(
図2b)を共有するステムループの予測した存在が明らかとなった。
【0117】
発明者らは、分析した16のHBV株にわたってステムループ中におけるこのモチーフの頻度を計算した。全ての株にわたって、RGAGモチーフは、ステムループ中に平均で約25.4回発生する(実験室株中では正確には25回)。pgRNAの10,000のランダム化した型と比較して、実際のゲノム中におけるRGAGの発生頻度は、平均値を超える4.68の標準偏差であり(
図2c)、機能的役割(複数可)を強く示唆している。
【0118】
実施例2
pgRNAオリゴヌクレオチドは、インビトロでVLP形成を誘導する
PS1、2及び3オリゴヌクレオチド(
図8a)を、単一分子蛍光相関分光法(smFCS)を使用してCp二量体と結合するそれらの能力について試験した(
図3及び
図8b)。この技術は、色素標識種の流体力学的半径(R
h)のリアルタイムな推定を行う。重要なことには、反応が低ナノモル濃度で進むことを可能にし、発明者らは、結合特異性が多くのインビトロでの反応と比較してインビボでの状況をより詳細に反映していることを示した。後者は通常、より高い(例えば、0.1~0.8μM)濃度で実施され(20)、その場合、PS媒介集合の特異性は減少する、または失われる。オリゴ長が異なることに起因する静電効果を回避するために、各PSを47nt長断片の一部として作製し、各々をその5’末端で色素標識した(方法(19))。次いで、標識オリゴ(約15nM)を、Cp量を増加させながら(5~250nM Cp二量体)滴定し、R
h値を経時的に記録した(
図3a)。各添加後、約10分の一時停止をして反応を平衡化させた。滴定は、データ収集及び平均化において歪みを招き、これはノイズの多いシグナルとしてプロット中で目視できる。250nM Cpでの平衡化後、RNaseを各反応物に添加し、R
h値を約10分間モニターした。これらが急激に低下した場合、生成されたVLPが不完全であったと想定された。試料のネガティブ染色EM画像をRNase添加前に取得し、その時点で存在する複合体のサイズも、R
h分布プロットの算出によって評価した(それぞれ
図3b及び
図8c)。
【0119】
PS断片の各々は、これらの条件下においておおよそ同等な効率でT=3及びT=4の完全なVLPの両方の集合を刺激し(
図3a及び
図3b)、後者は予想通り、優位な産物である(22)。Cp>250nMの添加は、得られたR
h値を増加させず、この段階では全てのRNAがVLP中に組み込まれていることを示唆している。これらの効果が、Cp-PS相互作用の直接の結果であるかどうかを評価するために、発明者らは多数の対照法を実施した。色素標識PS断片は予め形成したVLPに結合せず、それらの存在中でRNaseの感度を維持するため(表2)、PSがVLPの集合中に内在化されているだけであることを示唆している。RNAが集合を誘導するかどうかを決定するために、発明者らは、Cpのみのインキュベーションまたは非標識PS1の滴定完了後にタンパク質修飾色素を添加することによって、PS RNAが存在する場合と存在しない場合でのCpの集合効率を比較した。R
h分布プロットを
図3bに示す。RNAの不存在下では、RNAの存在下におけるCpの集合が>80%であることとは対照的に、<5%のCpがこれらの条件下で集合する。Cp-PS相互作用が、集合効率の増加を誘導すると考えられる。この効果はCpの時期で変動し、これは二量体界面での集合阻害ジスルフィドの酸化と一致する(6)。本明細書における比較の記載は、Cpの各バッチによる陽性及び陰性対照実験の両方の結果に基づいている。
【0120】
次いで、発明者らは、これらの反応物のRNA配列特異性を調査した(
図9a)。試験オリゴは、PS1のイプシロンステムループに加えてループ及びバルジバリアントを含んでいた。これは、バルジ領域が十分に塩基対合したバリアントを含んでいた。PS1~3反応と類似したアッセイでは、3つ全てのRNAのR
h値が、ヌクレアーゼ作用に対して感度が高いままであり、これは密閉した殻の集合に特定のRNA配列/構造が必要となることを示唆している。EM画像及び分布プロットによって、この解釈が裏付けられる。集合反応の配列感度を、追加のPS1バリアントによってさらに強調する(
図9b及び
図9c、表3)。それらの集合に対する効果によって、バリアント内のバルジ及び/または配列、ならびにループRGAG(ここではGGAG)モチーフの重要性が裏付けられる。PS1配列を包含するDNAオリゴヌクレオチド(
図9d)は凝集を誘発し、これは正確な集合が、そのRNA型におけるPSの特異的特性であることを示し、すなわち、Aヘリックス二本鎖ステムに加えて、ループ中にCp認識モチーフを有することである。
【0121】
HBV CpのC末端ARDは、pgRNAとの相互作用を媒介すると考えられ、ARDを欠いている1~149のCp断片は、核酸の不存在下で容易に集合する(23)。したがって、発明者らは、smFCSアッセイにおいてCp
149がPSに応答する能力を評価した。RNA依存性集合、またはCp
149によるPS結合は、これらの条件下では一切発生しないが(
図10a)、EM画像は切断型Cpが単独で容易に集合することを示し、これはARDがRNAとの相互作用に不可欠であることを裏付けている。ARDはインビボで広範囲にリン酸化されるが、原因となる細胞キナーゼは未知のままである(24)。CpのC末端上における正電荷の低下は、PS RNAと結合するその能力を減少させるはずである。発明者らは、Cpをインビトロでリン酸化し(8)(表1)、その特性を試験した。Em画像は、smFCSアッセイにおいて修飾Cpが容易に集合するが、PS1とは結合しないことを示している(
図10b)。
【0122】
実施例3
HBV NC集合は、配列特異的RNAコアタンパク質複合体の形成によって誘導される。
PS1の周囲に集合したVLPを大規模に精製し、それらの構造をクライオEMによって決定して、T=3及びT=4粒子の二十面体平均化再構成像を得た(
図4)。かなりの画分(約25%)のT=4粒子が、タンパク質殻の直下に位置する非対称的特徴も含有していた。これらの粒子の非対称再構成も算出した(
図5)。結果は、非対称的特徴が、PS1オリゴヌクレオチドと上を覆うCpサブユニットのARDドメインとの複合体を表すことを示唆している。
【0123】
この分解能でのEM地図から、複合体中に存在するPSオリゴヌクレオチドの数を決定することは不可能である。精製VLPのA
260/280比は、T=4形態と想定されるRNA含有量が約5オリゴ/粒子であることを示唆している(25)。この化学量論に関する追加の推定値を、PS1 VLPの光退色実験によって得た(
図4、方法)。VLPは複数の退色ステップを示し、これは各殻内に複数のオリゴが存在することを裏付けている。オリゴの標識効率を考慮すると、データは2~4オリゴ/VLPと一致する。発明者らはPS1の3Dモデルを構築し、EM地図内に手作業でそれを配置した(
図4f、方法)。非対称密集の相対体積及びPS1オリゴのサイズから、少なくとも2つのPSコピーが密集内に存在すると考えられる。発明者らは、他のRNA分子が他の箇所のタンパク質殻に結合するが、整然としたRNA密集に対する移動性または不規則な位置ゆえに不可視である可能性を除外できない。生化学的及び構造的データは、集合開始複合体である非対称構造と一致し、その場合、RNAの好ましい部位(複数可)がT=4NCの形成中に最高に達する集合を開始した。
【0124】
クライオEMデータは、HBV生物学に対してさらなる洞察を示唆する。集合反応または野生型ウイルス感染のいずれかからの、少数のHBV粒子はT=3準対称性で集合し、両方の種類の粒子が発明者らのクライオEMデータ中で目視できる。2D及び3D分類を使用すると、T=3(約11%)及びT=4(89%)粒子が容易に分離可能である。
図4は、課された二十面体対称性を有する、それぞれ5.6Å及び4.7Åでの、2つの粒子の3D再構成像を示す。2つのVLP構造が含有するCp二量体のサイズ及び数の明らかな差に加えて、T=4及びT=3地図は、それらの内部表面上で目視できる特徴、ARDが位置する箇所及びRNA結合が生じる箇所が異なっている。準化学量論的占有VLPの二十面体平均化地図について予想していた通り、両方の構造は、RNAに起因する密集を本質的に欠いている。しかしながら、T=4構造のカプシド殻は、T=3等価物よりも目に見えて薄く、T=3地図のさらに詳しい検査によって、ARDの整然としたセグメントに対応する追加の密集が目視でき(
図4)、これはT=4構造中には存在しない(
図4c及び
図4d)ことを示唆している。この差は、T=4地図にT=3と同様の分解能にするためにフーリエフィルター処理を行う場合も持続する(
図11)。このことは、ARDを含むCpのC末端領域が、カプシド形状の決定に役割(複数可)を果たすことを示した先行研究(22、26)と一致する。
【0125】
実施例4
個々のPS部位の配列特異的認識
STNV系中に配列特異的RNA-CP認識の複数の結果が存在する(
図12)。PS3(またはB3)のみを包含するオリゴヌクレオチド中へのCPの滴定は、最初に三量体カプソメア(Rh約5nm)の形成をもたらし、続いてCP濃度が徐々に上昇するにつれてT=1VLP(Rh約11.3nm)の形成をもたらす。滴定の最後におけるsmFCSデータのRh分布プロットは、形成したVLPが均一であることを示唆しているが、電子顕微鏡画像(EM)及びRNase負荷アッセイは、それらが完全タンパク質殻で構成されていることを示唆している。-U.U.U.U-のループ配列を有するPS3/B3バリアントを用いた同様の滴定は、CPがそのようなSLと結合するが、形成した複合体は集合してVLPとなることができないことを示した(19)。PS1~5を包含する天然127-merは、より複雑な挙動を示す。低CP濃度の添加は、そのRhの約20~30%の急落を誘導し、これは全長ゲノムに見られる挙動を模倣している(27)。それに続くCP添加は、PS3単独の周囲で形成したVLPと同じ特性を有するT=1VLPへの協同的変換をもたらす。この断片内のPS配列バリアントは、-A.X.X.A-がCP認識モチーフであり、その存在がPS3中でのみ絶対的に必要であることを裏付けているが、バリアントは、もはや野生型の協同性で集合することはない(19)。STNV-1 CP単独では、これらの条件下において15μM未満で凝集する傾向は一切ないことを示し、それゆえここで示す滴定における全てがRNA-CP結合の結果である。
【0126】
これらの結果は、集合に対するCPによるPS3認識の重要性を強調する。その認識の重要な特徴を同定するために、発明者らは、PS3ステムを有するバリアントループ配列を包含する一連のSLを作製した(
図17及び表4)。バリアントは、PS3の野生型-C.A-と比較して「内側」の2つの位置(-C.C-、-A.A-、-G.G-、-G.U-及び-U.G-)のヌクレオチドを変化させた。「外側」バリアント(-A.U.U.A-、-A.U.U.G-、-G.U.U.A-、-G.U.U.G-、-G.U.U.U-、-U.U.U.G-、-U.U.U.A-及び-A.U.U.U-)は、両方の内側ヌクレオチドがウリジンに変化していて、これらも試験した。発明者らの予想では、中央の位置には塩基特異性が一切存在しない場合がある一方で、アデニンがテトラループの最初及び最後の位置に好ましい場合があった。発明者らは、T=1殻及び三量体カプソメアの両方の集合を支持するそれらの能力を検査した。試験RNA及びCPを、約5μM濃度で再集合緩衝液中において混合し、その結果を速度沈降法によって、かつEM画像中でアッセイした。これらの条件下で、内側ヌクレオチドバリアントは、PS3とほぼ同様の効率を有するT=1カプシドを形成し、これはそれらの識別がCP認識モチーフの一部ではないことを裏付けている(
図13A/B及び
図17)。外側ヌクレオチドバリアントは異なる挙動を示し、-A.U.U.U-、-U.U.U.A-及び-A.U.U.A-バリアントのみが、PS3と同様の位置にピークを有していて、これは外側アデニンがCP認識モチーフの一部であることを裏付けた。
【0127】
CP親和性についてそれらの相対的重要性を検査するために、発明者らは、smFCSアッセイを適合させた(
図13B)。標識B3をCPと滴定し、三量体を形成させてRh値によって判断し、次いで100倍モル過剰の各配列バリアントを添加してB3と競合した。B3と同様の親和性で結合しないバリアントは、標識RNAの置き換えができず、これに対してB3及び他のバリアントは、CPを含まないRNAのRhを回復させる標識種に勝る。結果(
図13D)は、この負荷後のRh変化パーセンテージを示し、バリアントRNAが競合する能力に幅広い変動があることを明らかにしている。グアニン置換を有するそれらの全て、及び-A.U.U.U-バリアントは競合できない。-U.U.U.A-バリアントの優れた性能は、3’AがCP認識に最も重要であること、または隣接するステムの最上部のA-U塩基対が壊れることのいずれかを示唆し、B3モチーフの-A.U.U.U.A.U-バリアントがCPによって依然として認識されることを提示している。いずれにしても、-A.X.X.A-は全てのバリアントよりも優れていて、-A.X.X.A-のテトラループモチーフを持つSLが、VLPへの集合に最適なCP認識モチーフを包含することを示唆している。
【0128】
実施例5:VLP集合における静電気学及びPS協同性の役割
PS媒介集合は、純粋には静電的誘導反応を行わないウイルスゲノムパッケージングの特徴を説明するが、カプシド封入を誘導するための自由エネルギーの一部供給において電荷中和の有益な効果が明らかに存在する。したがって、発明者らは、一連の電荷変化CPバリアントを使用して、STNV集合に対するこれらの効果の重要性を検査した。CPのN末端アームにおける3つの正荷電残基R8、R14及びK17(
図12)の変異を、KまたはRの代わりにAまたはDを用いて作製した。R14及びK17は三次元中で隣接しているため、それらのバリアントを二重変異体、すなわち、R14A/K17A及びR14D/K17Dとして作製した。変異型CPは正常に発現する(
図18)が、両方の二重変異体は、これらの条件下においてE.coli中で有意に集合できない。E.coliから得られたVLPは、宿主細胞RNAに加えてウイルスCPをコードする組換えmRNAを含有するため、この結果は、R14及びK17が集合において重要な役割を果たすことを示唆している。
【0129】
全てのバリアントタンパク質を、単一PS(B3)または127-mer断片のいずれかを包含するRNAオリゴと結合するそれらの能力について検査した(
図14及び
図19)。二重変異体のいずれも、これらの条件下ではどちらのRNAとも結合しなかった。R8AはB3周囲に集合するが、そうなるにはかなり高い(>10倍)CP濃度が必要であり、このことはRNAに対して低下した親和性を有するR8Aと一致する。1μM CPでは、R8AはRNase負荷に抵抗性があるT=1殻を形成する。R8Dバリアントは正電荷の重要性を裏付け、より高濃度であっても任意の安定した高次種を形成できず、RNAはRNase消化に到達可能なままである。この有利な静電相互作用への依存は、R8Dを127-merに対して滴定する場合も維持する(
図14A)。しかしながら、このRNAを有するR8A及び野生型CPの両方とも、初期のRh低下を含む非常に類似した結合曲線を示す。複数のPS部位でCP結合から生じる協同性は、減少した静電引力の固有のRNA-CP親和性に対する有害効果を克服すると考えられる。発明者らが、N末端アーム上で変化した電荷(複数可)は、リガンド非結合CPコンフォメーションを大幅に変化させることはないと想定する場合、これらの効果によって、集合のRNA配列特異的誘導中における静電相互作用の役割(複数可)が調査される。その効果は、電荷中和が、より長い天然RNA断片上での集合の絶対条件ではないことを示唆し、これはPS媒介集合機構と一致するが、静電集合機構とは一致しない。
【0130】
PSが集合的に作用するプロセスについて予想した通り、複数のRNA PSの協同性が静電引力の減少を克服し得ることを考慮し、次いで発明者らは、何個のPSが協同的集合の生成に必要となるかを検査した。PS3での認識の重要性及び5つのPSを含有する断片に見られる効果を考慮して、各々がPS3を含有する127-merの3つの小断片を試験した(
図14B及び
図20)。これらは、PS1~PS3(nt1~76)、PS2~PS4(nt38~104)及びPS3~PS5(nt66~127)であり、各々はPS3でCPと結合できるが、PS3の2つの5’または3’から、各隣の丁度1つまでの隣接部位数が異なる可能性がある。中央に位置するPS3を有する断片だけが、RNase抵抗性のT=1殻を集合させるが、それは急落を示さず、全体的な収率は127-merよりも低い。他方の断片は、最終的に自然に分解する非特異的凝集体を形成すると考えられる。
【0131】
これらの結果の解釈は、重要である。PS2~4断片(66nt)が、PS1~3(76nt)よりも短く、かつPS3~5よりも1ntだけ短いため、効果は明らかに純粋に静電気によるものでは一切ない。反応の特異性を理解するために、発明者らは、PS包含部位の各々の折り畳み傾向について検討する必要がある。示した127-merの二次構造(
図15)は、その折り畳みに、存在する-A.X.X.A-ループモチーフを有する最大数のSLを取り込ませることによって到達した。この断片では、PS1及びPS3のみが、単離時に有利な折り畳み自由エネルギーを有すると予想される(Mfold、(10))。これは発明者らの先のsmFCSアッセイと一致していて、その場合、各PS内のCP認識モチーフの変化及びその近隣を含むPS3の相対的間隔の変動が、著しく異なる集合挙動をもたらした(28)。発明者らは、これらのRNA分子が、異なるコンフォメーションの集合として溶液中に存在すると予想する。STNV CPとの相互作用は、PSが存在する単一またはいくつかの集合能力のあるコンフォメーションを優先的に選択し、この平衡を排除することになる。したがって、発明者らが確認する集合効率は、集合中におけるそのような配座異性体の集団に直接関連し、それゆえ、このコンフォメーションを課す自由エネルギーコストに関連する可能性がある。構造アンサンブルの程度を評価することは困難であるが、別構造の可能性の感覚を、通常のデフォルトパラメータを変更することによってMfoldから得て、最小自由エネルギーの折り畳みから500パーセント以内の準最適折り畳みの全体(準最適性=500)を調査することができる。
【0132】
そのような構造を3つのPS含有断片について検査する場合、それらの集合能力についての可能な説明が現れる。PS1~3について、優位な折り畳みはPS1を包含し、少数がPS3も含有している(表5)。原則として、その少数の配座異性体が集合を促進し得るが、PS1とPS3との間の重要な間隔は、複数のPSの協同的効果を促進するには大きすぎる。PS2~4の同様の分析は、優位な二次構造が、127-merについて予想したPS折り畳みのいずれも含有しないことを示唆している。しかしながら、その予想した二次構造は、ほぼ必ず存在する2つの別のSLを含有し、そのうち1つは-A.X.X.A-配列を提示する(
図22)。それらの相対的間隔(4nt)は、協同的効果を確認するのに十分なほど短い。PS3~5断片は、互いに10~12nt以内で2つのSLを形成し、1つはPS5として-A.X.X.A-モチーフを提示する。これは、集合能力のある構造を示唆することになる。しかしながら、可能な構造の全体において、このSLは可能性のある折り畳みの6%にしか存在せず(表5)、これが集合挙動の原因となる可能性がある(
図14B)。
【0133】
3つのPSを包含する断片について上に記載したコンフォメーションスクランブリング挙動は、127-mer以内の配列が、3’UTRの配列を有する翻訳エンハンサーの形成に関与することが知られている(29)というインビボでの事象を恐らく反映する。その複合体は、集合能力のある配座異性体中には存在することができない。そのような二次構造折り畳み傾向の効果をさらに調査するために、発明者らは、人工PS含有配列の設計を始めた。
【0134】
実施例6:非ウイルス基質の集合
効率的な集合基質の必要条件を調べるために、発明者らは、野生型127mer(PS1~5)の外観を模倣する合成カセットを作製し、その場合、天然ウイルス配列の大部分が置換されている(~77%)。単純な塩基置換スキーム、例えば、CP認識モチーフ以外の領域において全てのAをUに、CをGに、GをCに及びUをAに交換するスキームを使用して、これらの配列を作製する試みは全て、不安定な二次構造をもたらした。したがって、発明者らは、G-Cへの塩基対の変換、既存のG-C対の反転、または追加の塩基対を付加することによって既存のSLを修飾することを選択し、次いで、それらが野生型127-mer中のそれらと類似した二次構造に折り畳まれる可能性があるかを確認する。次いで、これらのSLに結合する天然ウイルス配列を、折り畳みが1つだけ最も可能性が高くなるまでA及びGのストリングで置き換えた(
図18及び
図23)。塩基対合ステムの相対的分離を、野生型127-merのそれらと同一であるように維持した。これらの変化の結果として、PS1、2、4、及び5は、野生型127merと比較して安定化されていて、全てのSLが有利な折り畳み傾向を有した(
図23)。
【0135】
優位なPS3部位の折り畳み傾向の重要性を評価するために、発明者らは、以下の合成型も作製した:1)不安定PS1~5、これは中央PSであるPS3の折り畳み自由エネルギーが正である(0.3対-2.6kcal/mol)、すなわち、PS3が自然に折り畳まれる可能性がないという設定、2)安定PS1~5、これは中央PSの折り畳み自由エネルギーがより負である(-3.5対127-merの-2.6kcal/mol)、すなわち、PS3がより安定している場合、3)全てPS3、これは5つ全てのPSがPS3を模倣し、PS全てのステムが同じ長さ(7bp)まで伸長し、全てのCP認識モチーフが野生型PS3のモチーフと同一である、ならびに4)合成安定化PS1~5、これは安定PS1~5の人工PS1、2、4及び5、ならびに全てPS3構築物からのPS3の人工伸長ステムループを含有する。後者は、野生型127-mer及び安定PS1~5の両方のPS3に対して超安定化されている(それぞれ-7.6対-2.6または-3.5kcal/mol)。
【0136】
実施例7
これらの試験バリアントオリゴヌクレオチドの挙動を比較するために、発明者らは、それらの可能な二次構造を調べた。表5は、Mfoldの準最適性の特徴を使用して作成したアンサンブルにおける各PSの発生頻度と共に、それらの相対的間隔を一覧にしている。加えて、発明者らは、それらの円偏光二色性(CD)スペクトルを比較した。CDは、塩基対合残基及び/または三次構造のパーセンテージに比例する物理的シグナル(30)、すなわち、260nmでのモル楕円率を提供する。カルシウムイオンを含有する緩衝液中で測定を行ったが、その理由とはそれらが再集合緩衝液中に必要であり、STNVカプシド内にいくつかのCa2+結合部位が存在するからである(38、39)。再集合緩衝液中の濃度を最大2mMカルシウムまでとした試験RNAの滴定は、予想した通り、260nm楕円率の緩やかな増加(9~17%)をもたらす(
図24A)。唯一の例外は不安定PS1~5であり、これはカチオンの存在に応答しない。この緩衝液中における試験RNA全てのモル楕円率値が、温度を用いて予想した通り低下している(
図24B)。RNA全てが260nmで異なるCD楕円率を有し、これはRNA構造アンサンブル比較の複雑さを例示している。不安定PS1~5試料は、温度範囲全体にわたってほとんど構築されていない。おそらく驚くべきことに、見かけのMfold構造を考慮すると、より低温では野生型127-merが最も多くの構造量を有する。試験した最高温度では、不安定PS1~5を除く全てのRNAがおおよそ同様の楕円率値を有していて、それらが同様の変性レベルに到達していたことを示唆している。
【0137】
これらの合成バリアントの全ては、T=1カプシドの集合を誘導し、ヌクレアーゼによる負荷からカプシド封入RNAを保護できるが、非常に異なるCP濃度に依存している。不安定PS1~5を除く全てが、127-merと同様のRhの初期低下を示す(
図15B)。不安定PS1~5の集合挙動はPS3単独の挙動に類似し、これは協同性を喪失していることを示唆していて、その分布プロット及びEM画像の様子(
図24)は、それが効率的なカプシド形成を調節する能力も喪失していることを示唆している。対照的に、中央PSの折り畳み傾向の重要性を、安定PS1~5の挙動によって例示する。折り畳み全体の潜在的な問題にもかかわらず、安定PS1~5は127-merと類似した急落及び野生型断片と類似したRh分布を有するT=1粒子への協同的集合を示す。安定PS1~5は、野生型127-merよりも低いCP濃度でVLPへと集合する、すなわち、これらの条件下においてそれは良好な集合基質である。驚いたことに、全てPS3も、それが127-merに見られるものよりも長いPSを包含するにもかかわらず、野生型よりも効率的に集合し、これは認識モチーフが提示されているPS二次構造の状況に若干の余地があることを示唆している。これは、以前に観察された(19)PS3周囲のPS間隔の重要な依存度を考慮すると少し驚くべきことである。全てPS3バリアントの集合効率及び折り畳み傾向にもかかわらず、合成安定化PS1~5が圧倒的に最適な集合基質であり、最も効率的にVLPへと集合する(すなわち、それは100nM CP滴定点後により迅速に集合する)(
図15B)。
【0138】
実施例8
これらの結果は、ウイルスゲノムRNA断片から重要な集合の特徴を抽出することが可能であることを示唆している。合成断片中におけるステム長さ及びループサイズの変更を考慮すると、改善したPS折り畳み傾向を有する鋳型の操作には多大な余地があるとも考えられることになる。
【0139】
ゲノム規模のRNAに対する重要な集合の特徴の導入
これらの実験が、不可欠な集合の特徴を同定するのに成功しているかどうかの試験として、発明者らは、この改善したRNA「カセット」を含むことで、天然RNAの集合効率がどの程度変化するのかを検査した。そのRNAは、本来的には少量のSTNVビリオン中へと集合できなければならない。128~1239ntのSTNV-1 RNAからのゲノム断片は、明らかに試験断片である。したがって、発明者らは2つのゲノムキメラ:1242nt長の[不安定PS1~5+Δ1~127STNV-1]及び1248nt長の[合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1]を構築し、野生型STNV-1 RNAに対するそれらのインビトロでの集合効率を比較した(
図16A)。これらのアッセイでは3つ全ての挙動が異なり、これは5’127-merの配列及び構造が、その10倍を超えるサイズの断片の集合経路を調節することを示唆している。野生型ゲノムは、予想したRhの初期急落(約7.5nmまで)を示し、続いてRhのわずかな上昇を示して、これはT=1粒子の形成と一致している(
図16B)。
図16AのデータをCP滴定のために、先に記載されている(12)CP全体の単一ステップ添加と比較することに留意する。対照的に、不安定PS1~5リーダー配列は、Rhの大きな初期急落(約5nmまで、65%)をもたらし、続いてほんのわずかに上昇し、これはVLPが効率的に形成されていないことを示唆している。実際に、この種のRNAは、RNase分解の影響を受けやすいままであり、RNAが完全にカプシド封入されていないことを示唆している。合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1は、おおよそ同じ初期のCPを含まないRhを有するが、急落及び回復ではなく、VLP形成と一致する値まで単純に縮小すると考えられる。集合産物のRh分布及びEM画像は、この解釈と一致する。合成安定化PS1~5+Δ1~127STNV-1 VLPの記録は他方の試料よりもノイズが少なく、E.coliから単離した本物のVLPのRhサイズとより密接に一致するRhサイズの分布を有することは、注目に値する。これらの結果に関する解釈の確認を、ゲル濾過カラムからの溶出後、産物の準弾性光散乱(QELS)によって提供する(
図25)。
【0140】
実施例9
発明者らは、RNA PS媒介ウイルス集合に固有の2種類のコード、すなわち、ゲノムRNAが遺伝情報に加えて効率的カプシド集合の指示を同時にコードすることであり、それらが分離可能であることを示した。重要な疑問とは、なぜコードはウイルス進化の過程において、特にssRNAウイルスの複製がゲノムバリアントの準種の生成を招くエラーを起こしやすいプロセスによって発生する場合に、分離しないのかということである。現在、RNA PS媒介ウイルス集合を使用する3つのウイルス例が存在し、発明者らは、この疑問に対して部分的に答える構造情報を有する。バクテリオファージMS2(31)、ヒトパレコウイルス-1(32)及びSTNV(19)では、ゲノム中のPS部位のうち少なくとも1つが、PS結合部位の一部を形成するアミノ酸残基もコードする。両コードのこの密接な埋込みによって、PS媒介集合が持続する子孫RNAの集合のみを有利にするという結果がもたらされる。同様に、そのようなRNA内でコードされる機能の密集が周知である。STNVゲノムの天然5’127-merも、3’末端配列と接触する不可欠な転写/翻訳エンハンサーを形成する。その構造及び集合が相互に機能を排除するため、天然配列は、ウイルスの生活環が効率的に進行し得るようにそれらが形成される傾向を調整するように進化している。
【0141】
ここで注目するのは、野生型ウイルスRNA配列から放出される集合コードの特性である。実際に、その天然状況におけるSTNV集合配列の各側面を続けて調べることによって、発明者らは、合成非ウイルスRNAを使用してSTNV CPのインビトロ集合の誘導におけるその効果を再現することができた。さらなる精度向上によって、発明者らは、野生型STNV127-merよりも効率が悪いまたは効率の良い、いずれかの配列を作製することが可能になる。これらの結果は、STNVのPS媒介集合の性質を裏付ける。インビトロでの集合は、PS3ステムループのCPサブユニットによる認識によって127-mer内で開始される。高次CP結合は、隣接するPS(PS2及び4)の正確な配置及び折り畳みに依存し、各々がループ中にコンセンサスCP認識モチーフを提示している。127-merは、RNAの流体力学的半径に急落をもたらすが、カプシド封入に必要な前駆体であるタンパク質の濃度に対して、初期の結合を協同的にさせる5つのPSを包含する可能性がある。静電相互作用は、これらのタンパク質-RNA接触に寄与するが、主な駆動力ではなく、これはむしろPSのステム及びループ領域と、タンパク質カプシドの内表面との高親和性配列特異的相互作用である。その最小配列の含有量にもかかわらず、-A.U.U.A-配列がCPによって低ナノモル濃度親和性で結合する。驚いたことに、合成バリアント127-merを天然STNV-1ゲノムの残部上に移植することで、その集合特性が、先頭の約10%のRNAによって支配されるキメラがもたらされる。
【0142】
以前に、Wilson及び同僚らは、彼らが、タバコモザイクウイルス(TMV)集合開始部位を包含するRNAキメラを作製することによって、TMV CPのロッドに向けて非ウイルスRNAを集合させ得ることを示した(33、34)。これは成功し、既知の集合機構から予想した通り(35)、形成したタンパク質コーティングロッドの長さを、パッケージングされたRNAの長さによって決定した。このアプローチは、球状のssRNAウイルスに適用した場合はあまり成功せず(36)、最も親和性の高いMS2 PSは、短鎖RNAのインビトロカプシド封入に対してプラスの効果を有するが、長鎖RNAにはあまり重要ではなかった(37)。これらの実験全てをマイクロモル濃度で実施したが、その場合、PS媒介集合の効果を失うことに留意する(31、37)。上に記載した結果は、ウイルスCPの殻中における特注の非ウイルスRNAのカプシド封入に関する効率的な経路を示唆している。インビトロ集合は、多数のCP-RNAの組合せにとって可能な場合もあるが、それはインビボ集合とは異なり、多くのウイルスでは、ウイルスポリメラーゼ複合体から生じる新生ゲノム転写物のみが、子孫ビリオン中にパッケージングされることを示唆する適切な証拠が存在する。そのような反応では、RNAは動力学的に折り畳まれる可能性が大いにあり、本明細書に記載したものなどのインビトロ反応におけるRNA構造アンサンブルを含む問題のいくつかを回避する。
【0143】
ウイルス及びウイルス様粒子は、遺伝子治療または薬物送達ベクターとしての、それに加えて非複製合成ワクチンとして作用する潜在的な医療用途の増加を見出している。ウイルスタンパク質殻も、ナノテクノロジー用途の関心対象である。本明細書に記載した結果は、高い効率を有し、かつ有利な特性を有する非ウイルスRNAを持つ可能性のあるそのような構造を作製する方法に重要な洞察を提供する。このことは、デザイナー合成ビリオンの作製に不可欠なことになる。
【0144】
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【配列表】