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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】車両用収納装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020014990
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021121524
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】鯨 雄基
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-297981(JP,A)
【文献】実開平05-086696(JP,U)
【文献】特開2011-230736(JP,A)
【文献】特開2018-083575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に臨む意匠面が含まれるパネルと、このパネルに隣接して設けられ一部が開口していると共に内部に荷物を収納可能な収納部と、この収納部の開口を開閉可能に設けられている蓋体と、この蓋体を閉じ状態に保つことが可能なロック装置と、を有する車両用収納装置において、
前記ロック装置は、前記パネル及び/又は前記収納部に支持され前記閉じ状態を解除操作するための操作部と、この操作部を操作することにより前記蓋体への係合が解除される係合部と、を有し、
前記蓋体は、前記係合部が係合される被係合部を有し、
前記操作部は、前記車室に臨む操作部意匠面部を含み、
前記操作部意匠面部の一端は、前記パネルの意匠面から略連続し、
前記操作部意匠面部の他端は、前記蓋体に近接していると共に、前記閉じ状態を解除する際に、前記収納部の端部までスイング可能であることを特徴とする車両用収納装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用収納装置であって、
前記ロック装置は、前記操作部意匠面部の一端に沿った操作部回転軸部を有し、この操作部回転軸部を中心に前記他端がスイング可能に設けられている。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用収納装置であって、
前記収納部は、一対の収納部軸受部を有し、
前記一対の収納部軸受部によって、収納部回転軸部が支持され、
前記蓋体は、それぞれの前記収納部軸受部に近接して設けられるヒンジアームを含み、
これらのヒンジアームは、前記収納部回転軸部によって回転可能に支持されている。
【請求項4】
請求項1又は2記載の車両用収納装置であって、
前記収納部の上方には、一対のレール部が設けられ、
前記蓋体は、それぞれの前記レール部にスライド可能に支持されているスライダ部を有している。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか1項記載の車両用収納装置であって、
前記意匠面、前記操作部意匠面部、及び、前記蓋体の表面は、同一面上に位置する。
【請求項6】
請求項1乃至4いずれか1項記載の車両用収納装置であって、
前記蓋体は、前記車室から見た状態を基準として、欠肉状に形成された欠肉部を含み、
前記操作部は、前記欠肉部によって周縁が覆われている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室に設けられ乗員の荷物を収納可能な車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室には、乗員の荷物を収納可能な車両用収納装置が設けられる。車両用収納装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、車両用収納装置は、上部が開口していると共に内部に荷物を収納可能な収納部と、開口を開閉可能に設けられている蓋体と、この蓋体に支持され蓋体を閉じ状態に保つことが可能なロック装置と、を有する。
【0004】
ロック装置によって、車両の走行中に蓋体が開くことを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-25178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両用収納装置は、乗員の視界に入る装置であり、高い外観性が求められる。
【0007】
本発明は、高い外観性を有する車両用収納装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、車室に臨む意匠面が含まれるパネルと、このパネルに隣接して設けられ一部が開口していると共に内部に荷物を収納可能な収納部と、この収納部の開口を開閉可能に設けられている蓋体と、この蓋体を閉じ状態に保つことが可能なロック装置と、を有する車両用収納装置において、
前記ロック装置は、前記パネル及び/又は前記収納部に支持され前記閉じ状態を解除操作するための操作部と、この操作部を操作することにより前記蓋体への係合が解除される係合部と、を有し、
前記蓋体は、前記係合部が係合される被係合部を有し、
前記操作部は、前記車室に臨む操作部意匠面部を含み、
前記操作部意匠面部の一端は、前記パネルの意匠面から略連続し、
前記操作部意匠面部の他端は、前記蓋体に近接していると共に、前記閉じ状態を解除する際に、前記収納部の端部までスイング可能であることを特徴とする車両用収納装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、操作部は、パネル及び/又は収納部に支持されている。操作部が蓋体に設けられている場合には、操作部の厚みの分、蓋体が厚くなる。これにより、蓋体がパネルから突出する。又は、操作部を操作するために操作部の周縁の部位を凹状に形成し、操作者が指を入れるためのスペースを確保する必要がある。操作部をパネル及び/又は収納部によって支持する構造とすることにより、蓋体を薄くすることができる。このため、パネル、操作部、蓋体の段差をより小さくすることができ、高い外観性を得ることができる。本発明によれば、高い外観性を有する車両用収納装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1による車両用収納装置が搭載されたコンソールの斜視図である。
図2図1に示された車両用収納装置を斜め上方から見た状態の斜視図である。
図3図2の3-3線断面図である。
図4図2に示された車両用収納装置を後方から見た状態の斜視図である。
図5図2の5-5線断面図である。
図6図2に示された操作部の斜視図である。
図7図7Aは、操作部を押し下げた際の作用について説明する図、図7Bは、ロック解除された際の蓋体の作用について説明する図、図7Cは、所定の開度からの蓋体の作用について説明する図である。
図8図8Aは、ロック状態のロック装置について説明する図、図8Bは、アンロック状態のロック装置について説明する図である。
図9】実施例2による車両用収納装置が搭載されたコンソールの斜視図である。
図10図9に示された車両用収納装置を斜め上方から見た状態の斜視図である。
図11図11Aは、図10の11A-11A線断面図、図11Bは、図10の11B-11B線断面図である。
図12図10の12-12線断面図である。
図13図13Aは、操作部を押し下げた際の作用について説明する図、図13Bは、アンロック状態のロック装置について説明する図、図13Cは、アンロック状態における蓋体の作用について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
【0012】
<実施例1>
図1及び図2を参照する。例えば、車両用収納装置20(以下、「収納装置20」という。)は、運転席の側方に設けられているコンソール10に搭載される。コンソール10は、車室Viの中央において前後方向に延びている。収納装置20は、コンソール10の後部に設けられ、乗員の荷物を収納することができる。
【0013】
図2及び図3を参照する。収納装置20は、コンソール10の上面部を兼ねているパネル21と、このパネル21に形成された開口であるパネル開口部21aに臨むと共に内部に荷物を収納可能な収納部30と、この収納部30の後部に固定されている丸棒状の収納部回転軸部23と、この収納部回転軸部23によって回転可能に支持され収納部30の開口30aを開閉可能な蓋体40と、この蓋体40の前方に設けられ蓋体40を閉じ状態に保つことが可能なロック装置50と、を有する。
【0014】
パネル21は、上面21bが車室Vi内に臨む意匠面とされた板状の部材である。上面21bは、パネル21の意匠面21bということもできる。適宜、上面21bを意匠面21bという。
【0015】
図3及び図4を参照する。収納部30は、樹脂により一体成形されてなる。収納部30は、上方が開口した箱状の収納部本体31と、この収納部本体31の前方に一体的に形成されロック装置50を支持しているロック装置支持部32と、収納部本体31の後部に一体的に形成されている2つの収納部軸受部33、33と、を有している。
【0016】
蓋体40は、収納部回転軸部23に支持されている一対のヒンジアーム41、41と、これらのヒンジアーム41、41の前部に設けられ収納部本体31の上方を覆っている蓋本体部42と、を有する。
【0017】
図5を参照する。蓋体40は、蓋本体部42の前端の下部に形成されロック装置50が係合される被係合部43、43をさらに有する。
【0018】
図4を参照する。ヒンジアーム41、41は、それぞれ収納部軸受部33、33に近接して設けられている。
【0019】
図2を参照する。蓋本体部42の前端中央は、後方に向かって略U字の欠肉状に形成された欠肉部42aとされている。
【0020】
図5を参照する。被係合部43、43は、ロック装置50を挟むように左右2か所に設けられている。被係合部43、43は、それぞれロック装置50、50の先端が挿入される被係合穴43a、43aが開けられている。
【0021】
図3を併せて参照する。ロック装置50は、ロック装置支持部32に支持され左右に延びる丸棒状の操作部回転軸部51と、この操作部回転軸部51に回転可能に支持され操作者が上下にスイングさせることが可能な操作部60と、この操作部60を上方に向かって付勢している操作部用ばね53と、ロック装置支持部32に固定されている係合部支持部54と、この係合部支持部54にスライド可能に支持され被係合部43、43にそれぞれ係合している係合部56、56と、これらの係合部56、56を被係合部43、43に向かって付勢している係合部ばね57と、を有している。
【0022】
図6を参照する。操作部60は、略V字状を呈し前端が操作部回転軸部51によって支持されている操作部本体61と、この操作部本体61の下端に一体的に形成され操作部60の上方向への回転を規制する操作部ストッパ62と、係合部56(図5参照)に当接し係合部56の位置を規制する当接部63と、操作部本体61の上面に設けられ意匠性を向上させるための装飾板64と、を有する。
【0023】
操作部本体61は、上部に位置し車室から視認可能な上部本体61aと、この上部本体61aの後端から前下方に延び円弧状を呈する下部本体61bと、を有する。
【0024】
当接部63は、下部本体61bに溝状に2つ形成されている。当接部63は、上方に向かうにつれてそれぞれが近接するよう斜めに形成されている。
【0025】
装飾板64の上面は、車室Viに臨む操作部意匠面部64aである。
【0026】
図2を参照する。装飾板64の左右の縁、及び、後ろの縁は、欠肉部42aの縁によって覆われている。一方、装飾板64の他の部位は、蓋本体部42に欠肉部42aが形成されていることにより、車室Vi内に露出している。つまり、装飾板64の前の縁(操作部回転軸部51(図6参照)に沿った端部)は、車室Viから視認可能である。加えて、装飾板64の上面は、パネル21の意匠面21bと略同一面上に位置する。換言すれば、操作部意匠面部64aは、パネル21の意匠面21bから連続している。
【0027】
図5を参照する。係合部支持部54には、2つの係合部56、56、及び、これらの係合部56の間に配置される係合部ばね57が収納される係合部収納部54aが形成されている。
【0028】
係合部56は、操作部本体61の当接部63によって押圧されている押圧部56aと、この押圧部56aに一体的に形成されているピン状のピン部56bと、を有する。ピン部56bの先端は、被係合穴43aの内部に臨んでいる。2つの係合部56、56は、ピン部56b、56bの末端がそれぞれ離間するように係合部ばね57によって付勢されている。
【0029】
係合部収納部54aに収納されている係合部56、56は、左右方向にのみ変位可能であり、上下方向には移動不能である。係合部56、56のピン部56b、56bが蓋体40の被係合穴43a、43aに挿入されている状態では、蓋体40は、上部への変位が規制される。つまり、蓋体40は、閉じ状態に保たれる。
【0030】
図7Aを参照する。蓋体40を上方にスイングさせ収納部30を開放する場合には、乗員は、操作部60を押し下げる。これにより、操作部60は、操作部回転軸部51を中心に下方にスイングする。
【0031】
図8A及び図8Bを参照する。操作部60を下方にスイングさせる(図8B矢印A参照)ことにより、当接部63、63によって係合部56、56は、装置の幅方向中央に向かって押し下げられる(図8B矢印B参照)。
【0032】
より詳細に説明する。操作部60を押し下げることにより、当接部63、63のより上方に位置していた部位が押圧部56a、56aに当接する。前述のとおり、当接部63、63は、上に行くにつれ装置の幅方向中央に向かうよう傾斜している。これにより、押圧部56a、56aは、係合部ばね57の付勢力に抗して押し下げられる。
【0033】
押圧部56a、56aが押し下げられることにより、押圧部56a、56aに一体的に形成されているピン部56b、56bは、それぞれ被係合穴43a、43aから抜ける。これにより、蓋体40のロックが解除される。
【0034】
図7B及び図7Cを参照する。乗員は、操作部60を指の先端から甲で押し下げ、蓋体40の先端を掴んで後方且つ上方にスイングさせる(矢印C及び矢印D参照)。これにより、収納部30の上方が開放される。蓋体40を閉じるときには、乗員は、蓋体40の先端を掴んで前方且つ下方にスイングさせる。
【0035】
なお、蓋体40をばねによって上方に付勢し、ロックを解除すると上方に跳ね上げる構成としてもよい。または、ロータリーダンパとばねとの組み合わせにより、所定の位置までばねの付勢力により蓋体40を跳ね上げ、所定の位置において減衰力により蓋体40が止まる構成とすることもできる。
【0036】
以上に説明した収納装置20について、以下に纏める。
【0037】
図3及び図5を参照する。車室Viに臨む意匠面21bが含まれるパネル21と、このパネル21に隣接して設けられ一部が開口していると共に内部に荷物を収納可能な収納部30と、収納部30の開口30aを開閉可能に設けられている蓋体40と、この蓋体40を閉じ状態に保つことが可能なロック装置50と、を有する収納装置20において、
ロック装置50は、収納部30に支持され閉じ状態を解除操作するための操作部60と、この操作部60を操作することにより蓋体40への係合が解除される係合部56と、を有し、
蓋体40は、係合部56が係合される被係合部43を有し、
操作部60は、車室Viに臨む操作部意匠面部64aを含み、
操作部意匠面部64aの一端64fは、パネル21の意匠面21bから連続し、
操作部意匠面部64aの他端64rは、蓋体40に近接している。
【0038】
ロック装置50の操作部60は、収納部30に支持されている。操作部60が蓋体40に設けられている場合には、操作部60の厚みの分、蓋体40がパネル21から突出する。又は、操作部60を操作するために操作部60の周縁の部位を凹状に形成し、操作者が指を入れるためのスペースを確保する必要がある。操作部を収納部30によって支持する構造とすることにより、蓋体40を薄くすることができる。このため、パネル21、操作部60、蓋体40の段差をより小さくすることができ、高い外観性を得ることができる。本発明によれば、高い外観性を有する収納装置20を提供することができる。
【0039】
なお、ロック装置50は、パネル21によって支持されても良い。また、ロック装置50は、パネル21及び収納部30の両方によって支持されていても良い。操作部60がパネル21によって支持されている場合や、操作部60がパネル21及び収納部30の両方によって支持されている場合にも、収納装置20は、上記効果を奏する。
【0040】
加えて、操作部意匠面部64aの一端64fは、パネル21の意匠面21bから連続し、操作部意匠面部64aの他端64rは、蓋体40に近接している。つまり、パネル21、操作部60、蓋体40は、それぞれ近接して配置されている。パネル21、操作部60、蓋体40が近接して設けられていることにより、一体感が増し、収納装置20の外観性をより高めることができる。
【0041】
好ましくは、ロック装置50は、操作部意匠面部64aの一端64fに沿った操作部回転軸部51を有し、この操作部回転軸部51を中心に他端64rがスイング可能に設けられている。スイング可能な操作部60の他端64rと、蓋体40とが近接して配置されている。このため、操作部60を操作してから蓋体40を掴むまでの軌道を短くすることができる。操作性の高い収納装置20を提供することができる。
【0042】
図3及び図4を参照する。さらに好ましくは、収納部30は、一対の収納部軸受部33、33を有し、
一対の収納部軸受部33、33によって、収納部回転軸部23が支持され、
蓋体40は、それぞれの収納部軸受部33、33に近接して設けられるヒンジアーム41、41を含み、
これらのヒンジアーム41、41は、収納部回転軸部23によって回転可能に支持されている。
【0043】
後端側に蓋体40の回転軸23を設け、前端側にロック装置50が配置されることで、安定して蓋体40を保持することが可能となり、回動動作が可能となる。また、蓋体40を掴んで持ち上げる(回動動作)と同時にロックが解除される(掴むことで指の甲側で操作部を自然と押す為)。操作部60を握る動作が不要となり、かつ指を入れるスペースを予め設ける必要も無くなり、高い外観性を得る事ができる。
【0044】
図2を参照する。さらに好ましくは、蓋体40は、車室Viから見た状態を基準として、欠肉状に形成された欠肉部42aを含み、
操作部60は、欠肉部42aによって周縁が覆われている。
【0045】
欠肉部42aが存することにより、操作者は、蓋体40を容易に掴むことができる。加えて、欠肉部42aの形成された位置に対応させて操作部60を配置することにより、操作部60と蓋体40とを纏まりよく配置することができる。さらに、操作部60の周縁を蓋体によって覆うことにより、操作部60と蓋体40との境界を外観に表れないようにすることができ、より高い外観性を有する収納装置20を提供することができる。
【0046】
特に、好ましくは、操作部60は、操作部意匠面部64aが車室Vi内から見た状態を基準として略矩形状を呈し、
操作部意匠面部64aの一端64fのみが車室Vi内に露出し、その他の端部64r、64s、64sが視認不要なよう、蓋体40によって周縁が覆われている。
【0047】
一端64fが露出していることにより、操作部60の位置を容易に把握することができると共に、その他の端部64r、64s、64sを車室Viから視認不能とすることにより、操作性に優れると共により高い外観性を有する収納装置20を提供することができる。
【0048】
<実施例2>
次に、実施例2による収納装置を図面に基づいて説明する。
図9及び図10を参照する。図9及び図10には、実施例2による収納装置70が搭載されたコンソール10が示されている。実施例2による収納装置70は、コンソール10の前部に設けられたスライド式の収納装置である。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0049】
図11A図11B及び図12を参照する。収納装置70は、コンソール10の上面部を兼ねているパネル21と、このパネル21の前方に配置されていると共に内部に荷物を収納可能な収納部80と、この収納部80の上方であってコンソール10の左右の側壁12、12にそれぞれ固定されているレール部77、77と、これらのレール部77、77によって前後方向にスライド可能に支持され開口80aを開閉可能な蓋体90と、この蓋体90の後方に設けられ蓋体90を閉じ状態に保つことが可能なロック装置100と、を有する。
【0050】
収納部80は、樹脂によって構成されている。収納部80には、鍵やスマートフォン等の小物を入れることができる。
【0051】
図12を参照する。左右のレール部77、77は、共に収納装置70の左右方向中央に向かって開口する略U字状を呈する。レール部77、77の後部には、それぞれロック装置100が係合するレール穴部77a、77aが開けられている。
【0052】
蓋体90は、収納部80(図11A参照)の上方を覆っている蓋本体部92と、この蓋本体部92の左右からそれぞれレール部77、77に向かって延びレール部77、77上をスライド可能なスライダ部93、93と、を有する。
【0053】
スライダ部93、93の後部には、それぞれロック装置100が係合するスライダ穴部93a、93aが開けられている。スライダ穴部93aが形成される位置は、蓋体90の閉じ状態を基準として、レール穴部77aに一致している。
【0054】
図11Aを併せて参照する。ロック装置100は、左右に延びる丸棒状の操作部回転軸部101と、この操作部回転軸部101に回転可能に支持され操作者が上下にスイングさせることが可能な操作部110と、この操作部110を上方に向かって付勢している操作部用ばね103と、操作部110に当接し左右に延びているロックアーム部105と、このロックアーム部105の左右の先端に形成されそれぞれスライダ穴部93a、93a及びレール穴部77a、77aに挿入されている係合部106、106と、を有している。
【0055】
操作部110の上面は、車室Viに臨む操作部意匠面部110aである。
【0056】
操作部意匠面部110aの一端110rは、パネル21の意匠面21bから連続し、
操作部意匠面部64aの他端110fは、蓋体90に近接していると共に蓋体90の意匠面92aに連続している。
【0057】
スライダ穴部93a、93aは、係合部106、106が係合される被係合部93a、93aということもできる。
【0058】
図13Aを参照する。蓋体90を前方にスライドさせ収納部80を開放する場合には、乗員は、操作部110を押し下げる(矢印F参照)。操作部110を押し下げることにより、操作部110によってロックアーム部105は、下方に向かって押し下げられる(矢印G参照)。これにより、蓋体90の後端部側面が視認することができ、押すことが可能となる。
【0059】
図13Bを併せて参照する。ロックアーム部105が押し下げられることにより、係合部106も押し下げられ(矢印H参照)、被係合部93aから外れる。これによりロック状態が解除される。
【0060】
図13Cを参照する。ロック状態を解除した後に、乗員は、蓋体90を前方にスライドさせる(矢印I参照)。これにより、収納部80は、開放される。全開状態とした蓋体90は、図示しないラッチ機構によって前端が保持される。これにより、走行中の振動等によって蓋体90が閉まることを防止することができる。
【0061】
蓋体90を閉じる際には、乗員は、蓋体90を前方に押し込む。蓋体90を前方にオーバーストロークさせることにより、ラッチ機構が解除され、スプリングの反力によって蓋体90が後方にスライドされ全閉する。
【0062】
以上に説明した収納装置70も、本発明所定の効果を奏する。
【0063】
図11A及び図11Bを参照する。加えて、収納部80の上方には、一対のレール部77が設けられ、
蓋体90は、それぞれのレール部77にスライド可能に支持されているスライダ部93を有している。
【0064】
蓋体90を安定して支持且つスライドすることが可能であり、蓋体90の後端部を押そうとする動作(スライド動作)と同時にロックが解除できる。また、蓋体90に把持する凹部または凸部を設けること無く、前後方向へのスライドを行えるため、高い外観性を得ることができる。
【0065】
好ましくは、パネル21、操作部110、蓋体90は、共に同一面上に配置されている。これにより、特に高い意匠性を有する収納装置70を提供することができる。
【0066】
尚、本発明による収納装置は、コンソールに搭載された例を基に説明したが、グローブボックス等であっても適用可能である。即ち、収納装置は、車室内の様々な場所に搭載可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。
【0067】
また、ロック機構の位置は、蓋体の車幅方向中央に配置せずに端部に設けても差し支えない。
【0068】
各実施例は、適宜組み合わせることも可能である。例えば、後部の蓋体40の上面がパネル21の意匠面21b、及び、操作部60の操作部意匠面部64aと連続していても良い。また、前部の操作部110が欠肉部42aによって囲われる構成としても良い。
【0069】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の収納装置は、コンソールに好適である。
【符号の説明】
【0071】
20、70…車両用収納装置
21…パネル、21b…上面(意匠面)
23…収納部回転軸部
30、80…収納部、30a、80a…開口
33…収納部軸受部
40、90…蓋体
41…ヒンジアーム
42a…欠肉部
43…被係合部
50、100…ロック装置
51、101…操作部回転軸部
56、106…係合部
60、110…操作部
64a、110a…操作部意匠面部
77…レール部
93a…スライダ穴部(被係合部)
Vi…車室
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