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特許7242621超音波画像表示システム及びその制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】超音波画像表示システム及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020179977
(22)【出願日】2020-10-27
(65)【公開番号】P2022070743
(43)【公開日】2022-05-13
【審査請求日】2020-11-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 花子
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-061659(JP,A)
【文献】特開2018-057698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサとメモリとディスプレイを備える超音波画像表示システムであって、
前記メモリには、複数の画像取得工程を含む少なくとも一つのプロトコルが記憶されており、前記複数の画像取得工程の各々は、被検体の第1の超音波画像を取得するための条件を定めており、
前記プロセッサが、
前記メモリから前記プロトコルを読み出して前記被検体に対して前記プロトコルの第1の実行を開始し、
該プロトコルの第1の実行を開始した後に、前記複数の画像取得工程のうちいずれかの画像取得工程において前記プロトコルの第1の実行を中断し、
該プロトコルの第1の実行の中断後に、前記被検体の第2の超音波画像のデータを取得して前記メモリに記憶し、前記プロトコルの第1の実行が前記複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ前記第2の超音波画像を特定する情報を前記メモリに記憶し、
前記プロトコルの第1の実行を再開して該実行が終了した後に、前記被検体に対して前記プロトコルの第2の実行を開始すると、前記情報を前記メモリから読み出し、
前記情報によって特定される前記画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断し、
前記情報によって特定される前記第2の超音波画像のデータを前記メモリから読み出して、前記第2の超音波画像を前記第2の実行の中断後に前記ディスプレイに表示する、ことを含む制御を実行するよう構成される超音波画像表示システム。
【請求項2】
前記メモリは、前記第2の超音波画像のデータを取得するために用いた条件を前記第2の超音波画像のデータと関連付けてさらに記憶し、
前記プロセッサは、前記情報によって特定される前記第2の超音波画像のデータを取得するために用いた条件を前記メモリから読み出し、
該メモリから読み出した条件を用いて、前記プロトコルの第2の実行を中断した後に、第3の超音波画像を取得する、請求項に記載の超音波画像表示システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第2の超音波画像及び前記第3の超音波画像を並べて前記ディスプレイに表示する、請求項に記載の超音波画像表示システム。
【請求項4】
オペレーターの入力を受け付けるユーザインタフェースをさらに備え、
該ユーザインタフェースが受け付けた入力に基づいて、前記プロセッサは、前記プロトコルの第1の実行を中断する、請求項1~のいずれか一項に記載の超音波画像表示装置。
【請求項5】
前記プロセッサが、
前記情報によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断することを報知する、請求項1に記載の超音波画像表示システム。
【請求項6】
記プロトコルの第2の実行を中断することを報知することは、前記情報によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断することを前記ディスプレイに表示すること及び前記プロトコルの第1の実行が中断された前記画像取得工程と同じ画像取得工程を前記ディスプレイに表示することの少なくとも一方を含む、請求項に記載の超音波画像表示システム。
【請求項7】
スピーカーをさらに備え、
前記プロトコルの第2の実行が中断されたことを報知することは、前記情報によって特定される取得工程と同じ画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断することを前記スピーカーから音で出力すること及び前記プロトコルの第1の実行が中断された前記画像取得工程と同じ画像取得工程を前記スピーカーから音で出力することの少なくとも一方を含む、請求項又は6に記載の超音波画像表示システム。
【請求項8】
前記少なくとも一つのプロトコルは複数のプロトコルであり、
前記情報は、前記複数のプロトコルの中の特定のプロトコルを示す情報を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の超音波画像表示システム。
【請求項9】
前記第2の超音波画像は、中断直前の画像取得工程に含まれる条件とは異なる条件を用いて取得される、請求項1~8のいずれか一項に記載の超音波画像表示システム。
【請求項10】
前記情報は、前記第2の超音波画像において行われた計測の種類を含み、
前記プロセッサは、前記情報によって特定される計測を前記第3の超音波画像において実施するためのグラフィックを前記ディスプレイに表示する、請求項3に記載の超音波画像表示装置。
【請求項11】
前記メモリは、不揮発性の記憶媒体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の超音波画像表示装置。
【請求項12】
少なくとも一つのプロセッサとメモリとディスプレイを備える超音波画像表示システムの制御プログラムであって、
前記メモリには、複数の画像取得工程を含む少なくとも一つのプロトコルが記憶されており、前記複数の画像取得工程の各々は、被検体の第1の超音波画像を取得するための条件を定めており、
前記制御プログラムは、前記プロセッサに、
前記メモリから前記プロトコルを読み出して前記被検体に対して前記プロトコルの第1の実行を開始し、
該プロトコルの第1の実行を開始した後に、前記複数の画像取得工程のうちいずれかの画像取得工程において前記プロトコルの第1の実行を中断し、
該プロトコルの第1の実行の中断後に、前記被検体の第2の超音波画像のデータを取得して前記メモリに記憶し、なおかつ前記プロトコルの第1の実行が前記複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ前記第2の超音波画像を特定する情報を前記メモリに記憶し、
前記プロトコルの第1の実行を再開して該実行が終了した後に、前記被検体に対して前記プロトコルの第2の実行を開始すると、前記情報を前記メモリから読み出し、
前記情報によって特定される前記画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断し、
前記情報によって特定される前記第2の超音波画像のデータを前記メモリから読み出して前記第2の超音波画像を前記ディスプレイに表示する、ことを含む制御を実行させる超音波画像表示システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトコルで定められた複数の超音波画像の取得工程に従って超音波画像のデータを取得する超音波画像表示システム及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像表示システムの一例である超音波診断装置を用いた検査において、プロトコルで定められた複数の画像取得工程を経て複数の超音波画像を取得する場合がある(例えば、特許文献1参照)。プロトコルは、複数の画像取得工程の各々において用いられる超音波の送受信条件や超音波画像の作成条件などを定めており、検査を行なう前に作成され記憶される。検査においては、作成されたプロトコルが読み出され、このプロトコルに従って、常に決まった順序及び条件で、超音波の送受信と超音波画像の作成が行われる。このようなプロトコルに従った検査は、ルーティーンの検査において行われることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6172733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロトコルに従って行われる検査は、複数の画像取得工程の各々において、どの部位をどの方向から見たものかが決まっている。すなわち、決まった部位に対して1つの画像取得工程につき1枚ずつ超音波画像が記憶される。
【0005】
プロトコルに従った検査の途中で、オペレーターがより詳細に見たい箇所(注目箇所)が出てきた場合、その箇所についてより詳細な観察をするために、プロトコルで定められた超音波画像以外の超音波画像を取得したいことがある。この場合、オペレーターは、プロトコルを中断し、プロトコルで定められた画像取得工程を逸脱して注目箇所についての超音波画像をさらに取得し記憶する。
【0006】
注目箇所のある被検体を経過観察しようとした場合、オペレーターはその被検体に対し、同じプロトコルを用いた検査を行なう場合には、毎回同じ画像取得工程でプロトコルを中断し、毎回同じ条件を設定して超音波画像を取得することが求められる。しかし、例えば前回とは異なるオペレーターが検査を担当したりすると、プロトコルを中断したことや、どの画像取得工程でプロトコルを中断したのかが不明であったり不確かであったりする可能性がある。また、過去にプロトコルを中断して取得した超音波画像を確認したいことがある。さらに、プロトコルを中断して前回と同じ条件を設定するのは煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様の超音波画像表示システムは、プロトコルを中断して超音波画像を取得したことがある被検体に対して、同じプロトコルを実行する場合の使い勝手を向上する。超音波画像表示システムのプロセッサは、プロトコルの第1の実行の中断後に、被検体の第2の超音波画像のデータを取得してメモリに記憶し、なおかつ前記プロトコルの第1の実行が複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示す情報をメモリに記憶する。また、プロセッサは、プロトコルの第1の実行を再開してその実行が終了した後に、被検体に対してプロトコルの第2の実行を開始すると、情報をメモリから読み出し、情報によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程においてプロトコルの第2の実行を中断することを報知する。すなわち、一態様の超音波画像表示システムは、少なくとも一つのプロセッサとメモリを備え、メモリには、複数の画像取得工程を含む少なくとも一つのプロトコルが記憶されている。複数の画像取得工程の各々は、被検体の第1の超音波画像を取得するための条件を定めている。プロセッサは、メモリからプロトコルを読み出して被検体に対してプロトコルの第1の実行を開始し、プロトコルの第1の実行を開始した後に、前記複数の画像取得工程のうちいずれかの画像取得工程においてプロトコルの第1の実行を中断する。またプロセッサは、プロトコルの第1の実行の中断後に、被検体の第2の超音波画像のデータを取得してメモリに記憶し、なおかつプロトコルの第1の実行が複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示す情報をメモリに記憶する。さらに、プロセッサは、プロトコルの第1の実行を再開してその実行が終了した後に、被検体に対してプロトコルの第2の実行を開始すると、情報をメモリから読み出し、情報によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断することを報知する。
【0008】
他の態様の超音波画像表示システムにおいて、プロセッサは、プロトコルの第1の実行の中断後に、被検体の第2の超音波画像のデータを取得して前記メモリに記憶し、プロトコルの第1の実行が複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ第2の超音波画像を特定する情報をメモリに記憶する。また、プロセッサは、プロトコルの第1の実行を再開してその実行が終了した後に、被検体に対してプロトコルの第2の実行を開始すると、情報を前記メモリから読み出し、情報によって特定される画像取得工程においてプロトコルの第2の実行を中断する。さらにプロセッサは、情報によって特定される第2の超音波画像のデータをメモリから読み出して第2の超音波画像をディスプレイに表示する。すなわち、一態様の超音波画像表示システムは、少なくとも一つのプロセッサとメモリとディスプレイを備え、メモリには、複数の画像取得工程を含む少なくとも一つのプロトコルが記憶されている。複数の画像取得工程の各々は、被検体の第1の超音波画像を取得するための条件を定めている。プロセッサは、メモリからプロトコルを読み出して被検体に対してプロトコルの第1の実行を開始し、プロトコルの第1の実行を開始した後に、複数の画像取得工程のうちいずれかの画像取得工程においてプロトコルの第1の実行を中断する。またプロセッサは、プロトコルの第1の実行の中断後に、被検体の第2の超音波画像のデータを取得してメモリに記憶し、プロトコルの第1の実行が複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ第2の超音波画像を特定する情報をメモリに記憶する。また、プロセッサは、プロトコルの第1の実行を再開してその実行が終了した後に、被検体に対してプロトコルの第2の実行を開始すると、情報をメモリから読み出し、情報によって特定される画像取得工程においてプロトコルの第2の実行を中断する。さらにプロセッサは、情報によって特定される第2の超音波画像のデータをメモリから読み出して、第2の超音波画像を第2の実行の中断後に前記ディスプレイに表示する、ことを含む制御を実行するよう構成される超音波画像表示システム。
【0009】
さらに、他の態様の超音波画像表示システムにおけるメモリは、第2の超音波画像のデータを取得するために用いた条件を第2の超音波画像のデータと関連付けてさらに記憶する。プロセッサは、情報によって特定される第2の超音波画像のデータを取得するために用いた条件をメモリから読み出し、メモリから読み出した条件を用いて、プロトコルの第2の実行を中断した後に、第3の超音波画像を取得する。
【発明の効果】
【0010】
上記態様における超音波画像表示システムによれば、プロトコルの第1の実行が複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示す情報がメモリに記憶される。そして、この情報によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断することが報知されるので、オペレーターは、プロトコルの第1の実行中に中断された画像取得工程を知ることができる。
【0011】
また、上記他の態様における超音波画像表示システムによれば、前記プロトコルの第1の実行が複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ前記第2の超音波画像を特定する情報がメモリに記憶される。そして、この情報によって特定される画像取得工程においてプロトコルの第2の実行が中断され、第2の超音波画像が表示される。これにより、オペレーターは、過去にプロトコルの第1の実行中に取得された第2の超音波画像を容易に確認することができる。
【0012】
さらに上記他の態様における超音波画像表示システムによれば、第2の超音波画像のデータを取得するために用いた条件が第2の超音波画像のデータと関連付けてメモリに記憶される。そして、メモリに記憶された条件を用いて第3の超音波画像が取得される。これにより、第3の超音波画像を取得するために、第2の超音波画像を取得するために用いた条件と同じ条件を、オペレーターが設定する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態による超音波画像表示システムの一例である超音波画像表示装置を示すブロック図である。
図2】実施形態によるプロトコルの第1の実行における処理の一例を示すフローチャートである。
図3】実施形態によるプロトコルの第1の実行においてディスプレイに表示される画像取得工程のリストの一例を示す図である。
図4】実施形態によるプロトコルの第1の実行における処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態によるプロトコルの第2の実行においてディスプレイに表示される画像取得工程のリストの一例を示す図である。
図6】プロトコルの第2の実行において取得される第2の超音波画像と、プロトコルの第1の実行において取得された第2の超音波画像が並んで表示されたディスプレイを示す図である。
図7】超音波画像表示システムの他例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、超音波画像表示システムが超音波画像表示装置で構成される場合について説明する。超音波画像表示装置は、例えば超音波診断装置である。
【0015】
図1に示す超音波画像表示装置1は、超音波プローブ2、送信ビームフォーマ3及び送信機4を含む。超音波プローブ2は、被検体に対して超音波スキャンを実行して超音波のエコーを受信する。より具体的には、超音波プローブ2は、パルス超音波を被検体(図示せず)に放射する複数の振動素子2aを有する。複数の振動素子2aは、送信ビームフォーマ3および送信機4によってドライブされパルス超音波を放射する。
【0016】
超音波画像表示装置1は、さらに受信機5及び受信ビームフォーマ6を含む。振動素子2aから放射されたパルス超音波は、被検体内において反射して振動素子2aに戻るエコーを生成する。エコーは、振動素子2aによって電気信号に変換されてエコー信号となり、受信機5に入力される。エコー信号は、受信機5において所要のゲインによる増幅等が行なわれた後に受信ビームフォーマ6に入力され、この受信ビームフォーマ6において受信ビームフォーミングが行われる。受信ビームフォーマ6は、受信ビームフォーミング後の超音波データを出力する。
【0017】
受信ビームフォーマ6は、ハードウェアビームフォーマであってもソフトウェアビームフォーマであってもよい。受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、受信ビームフォーマ6は、グラフィックス処理ユニット(GPU)、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または論理演算を実行することができる他の種類のプロセッサのうちの任意の1つまたは複数を含む1つまたは複数のプロセッサを備えることができる。受信ビームフォーマ6を構成するプロセッサは、後述のプロセッサ7とは別のプロセッサで構成されていてもよいし、プロセッサ7で構成されていてもよい。
【0018】
超音波プローブ2は、送信ビームフォーミングおよび/または受信ビームフォーミングの全部または一部を行うための電気回路を含むことができる。例えば、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6の全部または一部は、超音波プローブ2内に設けられていてもよい。
【0019】
超音波画像表示装置1は、送信ビームフォーマ3、送信機4、受信機5、および受信ビームフォーマ6を制御するためのプロセッサ7も含む。さらに、超音波画像表示装置1は、ディスプレイ8、メモリ9、ユーザインタフェース10及びスピーカー11を含む。
【0020】
プロセッサ7は、1つ又は複数のプロセッサを含んでいる。プロセッサ7は、超音波プローブ2と電子通信している。プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御して超音波データを取得することができる。プロセッサ7は、振動素子2aのどれがアクティブであるか、および超音波プローブ2から送信される超音波ビームの形状を制御する。プロセッサ7はまた、ディスプレイ8とも電子通信しており、プロセッサ7は、超音波データを処理してディスプレイ8上に表示するための超音波画像にすることができる。「電子通信」という用語は、有線通信と無線通信の両方を含むように定義することができる。プロセッサ7は、一実施形態によれば中央処理装置(CPU)を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、または他のタイプのプロセッサなど、処理機能を実行することができる他の電子構成要素を含むことができる。他の実施形態によれば、プロセッサ7は、処理機能を実行することができる複数の電子構成要素を含むことができる。例えばプロセッサ7は、中央処理装置、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびグラフィックスプロセッシングユニットを含む電子構成要素のリストから選択された2つ以上の電子構成要素を含むことができる。
【0021】
プロセッサ7は、RFデータを復調する複合復調器(図示せず)を含むこともできる。別の実施形態では、処理チェーンの早いうちに復調を実行することができる。
【0022】
プロセッサ7は、複数の選択可能な超音波モダリティに従った1つまたは複数の処理動作をデータに行うように構成されている。エコー信号が受信されるとき、データは走査セッション中にリアルタイムで処理することができる。この開示のために、「リアルタイム」という用語は、いかなる意図的な遅延もなく行われる手順を含むように定義される。
【0023】
また、データは、超音波の走査中に一時的にバッファ(図示せず)に格納し、ライブ操作またはオフライン操作でリアルタイムではなく処理することができる。この開示において、「データ」という用語は、本開示においては、超音波画像表示装置を用いて取得される1つまたは複数のデータセットを指すように使用することができる。
【0024】
超音波データは、プロセッサ7によって他のまたは異なるモード関連モジュール(例えば、Bモード、カラードップラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドップラ、造影モード、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、など)で処理して超音波画像のデータを作ることができる。例えば、1つまたは複数のモジュールが、Bモード、カラードップラ、Mモード、カラーMモード、スペクトルドップラ、造影モード、エラストグラフィ、TVI、歪み、歪み速度、およびそれらの組合せ、などの超音波画像を生成することができる。
【0025】
画像ビームおよび/または画像フレームは保存され、データがメモリに取得された時を示すタイミング情報を記録することができる。前記モジュールは、例えば、画像フレームを座標ビーム空間から表示空間座標に変換するために走査変換演算を実行する走査変換モジュールを含むことができる。被検体に処置が実施されている間にメモリから画像フレームを読み取り、その画像フレームをリアルタイムで表示する映像プロセッサモジュールが設けられてもよい。映像プロセッサモジュールは画像フレームを画像メモリに保存することができ、超音波画像は画像メモリから読み取られディスプレイ8に表示される。
【0026】
なお、走査変換演算前の超音波データをローデータ(raw data)というものとする。また、走査変換演算後のデータを画像データというものとする。「超音波画像のデータ」という言葉は、ローデータ及び画像データの両方を含みうる。
【0027】
プロセッサ7が複数のプロセッサを含む場合、プロセッサ7が担当する上述の処理タスクを、複数のプロセッサが担当してもよい。例えば、第1のプロセッサを使用して、RF信号を復調および間引きすることができ、第2のプロセッサを使用して、データをさらに処理した後、画像を表示することができる。
【0028】
また、例えば受信ビームフォーマ6がソフトウェアビームフォーマである場合、その処理機能は、単一のプロセッサで実行されてもよいし、複数のプロセッサで実行されてもよい。
【0029】
ディスプレイ8は、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0030】
メモリ9は、任意の既知のデータ記憶媒体である。一例では、超音波画像表示装置1は、メモリ9として非一過性の記憶媒体及び一過性の記憶媒体を含み、複数のメモリ9を含んでいる。非一過性の記憶媒体は、例えば、HDD(Hard Disk:ハードディスク)、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶媒体である。非一過性の記憶媒体は、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性の記憶媒体を含んでいてもよい。非一過性の記憶媒体には、プロセッサ7によって実行されるプログラムが記憶される。また、非一過性の記憶媒体には、後述のプロトコル、第1及び第2の超音波画像のデータ、情報SI1、SI2も記憶される。これらは、すべて同じメモリ9に記憶されてもよいし、少なくともいずれか一つが異なるメモリ9に記憶されてもよい
【0031】
一過性の記憶媒体は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶媒体である。
【0032】
ユーザインタフェース10は、オペレーターの入力を受け付けることができる。例えば、ユーザインタフェース10は、オペレーターからの指示や情報の入力を受け付ける。ユーザインタフェース10は、キーボード(keyboard)、ハードキー(hard key)、トラックボール(trackball)、ロータリーコントロール(rotary control)及びソフトキー等を含んで構成されている。ユーザインタフェース10は、ソフトキー等を表示するタッチスクリーンを含んでいてもよい。
【0033】
スピーカー11は、プロセッサ7によって制御されて音を出力する。一例では、スピーカー11は、プロセッサ7から入力された信号に基づいて音を出力する。
【0034】
次に、本例の超音波画像表示装置1における作用について説明する。以下、メモリ9に記憶されたプロトコルに従って超音波画像を取得し表示することについて、図2のフローチャートに基づいて説明する。プロトコルは、複数の画像取得工程を含んでおり、図2のフローチャートに従って各画像取得工程が実行され被検体に対する検査が行われる。各画像取得工程において、被検体の表面における超音波プローブの位置及び角度の少なくとも一方が異なっていてもよい。また、各画像取得工程において、超音波の送受信の条件が異なっていてもよく、また超音波画像のデータの作成条件が異なっていてもよい。これら超音波の送受信の条件及び超音波画像のデータの作成条件は、画像取得工程の各々についてメモリ9に記憶され、プロトコルの内容を構成する。
【0035】
複数のプロトコルがメモリ9に記憶されていてもよい。この場合、ユーザインタフェース10が、複数のプロトコルの中からいずれかを選択するオペレーターの入力を受け付けると、図2のフローチャートが開始され、検査が開始される。
図2のフローチャートにおけるプロトコルの実行を、第1の実行と定義する。
【0036】
先ず、ステップS1では、プロセッサ7は、メモリ9からプロトコルを読み出し、このプロトコルに含まれる画像取得工程のリストLをディスプレイ8に表示する。図3に画像取得工程のリストLの一例を示す。このリストLは、画像取得工程1~Nを含んでいる。
【0037】
次に、ステップS2では、プロセッサ7は画像取得工程を開始する。ここでは、プロトコルで定められた最初の画像取得工程が開始される。プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御して超音波を送受信し、得られたエコー信号に基づいて超音波画像のデータを作成する。プロセッサ7は、プロトコルにおいて定められた条件で超音波の送受信と超音波画像のデータの作成を行なう。例えば、条件には、超音波画像の表示深さ(depth)、送信周波数、送信フォーカス及び受信フォーカス、ゲイン、ダイナミックレンジ、フィルタ等が含まれる。
【0038】
また、ステップS2では、プロセッサ7は、取得された超音波画像のデータをメモリ9に記憶する。例えば、ユーザインタフェース10が、超音波画像のデータの記憶を指示するオペレーターの入力を受け付けた場合、プロセッサ7は超音波画像のデータをメモリ9に記憶する。ここでのメモリ9は、一例では不揮発性の記憶媒体である。
【0039】
なお、プロトコルに含まれる画像取得工程において取得される超音波画像のデータを、第1の超音波画像のデータと定義する。第1の超音波画像のデータは、特定のプロトコルにおいて取得されたことが分かる状態で記憶される(後述の第2の超音波画像のデータ、情報SI1、SI2も同様)。
【0040】
プロセッサ7は、複数の画像取得工程のうち、実行中の画像取得工程を示す情報SI1をメモリ9に記憶してもよい。情報SI1は、メモリ9に記憶される第1の超音波画像のデータと関連付けて記憶される。第1の超音波画像のデータは、一例ではDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)形式で記憶され、情報SI1はDICOMヘッダに記憶されるようになっていてもよい。
【0041】
情報SI1は、複数の画像取得工程の各々を識別する情報であり、例えば数字であってもよい。情報SI1は、超音波画像のデータに対する画像番号であってもよい。この場合、複数の画像取得工程の各々について画像番号の範囲を定めておくことにより、画像番号を複数の画像取得工程の各々を識別する情報として用いることができる。例えば、最初の画像取得工程の画像番号の範囲を、「100」~「199」までとし、2番目の画像取得工程の画像番号の範囲を、「200」~「299」までとするというように、複数の画像取得工程の各々について画像番号の範囲を定める。画像番号は、特定のプロトコルにおいて付与されたことが分かるように記憶されてもよい。
【0042】
ただし、ここに挙げた情報SI1は一例に過ぎず、例えば情報SI1は、画像取得工程を示し、画像番号とは別のテキスト情報などであってもよい。
【0043】
次に、ステップS3では、プロセッサ7は、プロトコルの実行を中断するか否か判定する。この「中断」とは、一時的な中断、言い換えれば一時停止を意味している。ユーザインタフェース10が、オペレーターによるプロトコルの実行を中断する入力を受け付けると、プロセッサ7はプロトコルの実行を中断すると判定し(ステップS3において「YES」)、ステップS4へ処理が移行する。一方、ユーザインタフェース10が次の画像取得工程への移行を指示するオペレーターの入力を受け付けると、プロトコルの実行を中断しないと判定し(ステップS3において「NO」)、ステップS6へ処理が移行する。
【0044】
ステップS4では、プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御してプロトコルに含まれない超音波の送受信を開始し、超音波画像のデータを作成する。プロトコルの実行が中断された後における超音波画像のデータの作成は、プロトコルに含まれる画像取得工程を逸脱した超音波画像のデータ、言い換えれば逸脱画像のデータを取得することを意味する。逸脱画像のデータを、第2の超音波画像のデータと定義する。
【0045】
オペレーターがプロトコルの実行を中断し、画像取得工程を逸脱した第2の超音波画像のデータを取得することは、例えば中断直前の画像取得工程において取得される第1の超音波画像が対象とする部分について、病変の疑いがあるなど気になる観察対象が見られたことを意味する。第2の超音波画像は、一例では観察対象についてより詳細に観察するための画像であるということができる。
【0046】
ステップS4における超音波の送受信の条件及び第2の超音波画像のデータの作成の条件は、中断直前の画像取得工程に含まれる条件とは異なる条件を含んでいてもよい。一例では、オペレーターによる条件の入力をユーザインタフェース10が受け付けて第2の超音波画像のデータを取得するための条件が設定されてもよい。
【0047】
例えば、プロトコルの中断前と比べて、超音波プローブ2の角度を変えて得られたエコー信号に基づいて第2の超音波画像のデータが作成されてもよい。また、中断前の超音波画像が静止画である場合、動画の第2の超音波画像のデータが作成されてもよい。
【0048】
ステップS5では、プロセッサ7は、第2の超音波画像のデータに基づく超音波画像をディスプレイ8に表示し、第2の超音波画像のデータをメモリ9に記憶する。また、プロセッサ7は、情報SI2をメモリ9に記憶する。ここでのメモリ9も、一例では不揮発性の記憶媒体である。プロセッサ7は、ユーザインタフェース10が第2の超音波画像のデータの記憶を行なうオペレーターの入力を受け付けると、メモリ9への記憶を実行する。
【0049】
情報SI2は、プロトコルの第1の実行が、複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを少なくとも示す。情報SI2は、プロトコルの第1の実行が、複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ第2の超音波画像を特定する情報であってもよい。メモリ9に複数のプロトコルが記憶されている場合、情報SI2は、複数のプロトコルの中の特定のプロトコルを示す情報を含んでいてもよい。
【0050】
情報SI2は、第2の超音波画像のデータと関連付けて記憶されてもよい。一例では、第2の超音波画像のデータも、DICOM形式で記憶され、情報SI2はDICOMヘッダに記憶されるようになっていてもよい。
【0051】
例えば、プロセッサ7は、情報S1と同様に、画像番号を情報SI2として記憶してもよい。一例では、上述のように画像番号が3桁である場合、プロセッサ7は、中断直前に記憶された第1の超音波画像のデータに対して付与された画像番号の10の位を変更した画像番号を情報SI2として付与してもよい。具体的には、中断直前に記憶された第1の超音波画像のデータに対して付与された画像番号が「100」である場合、中断後に記憶される第2の超音波画像のデータには、画像番号「110」を付与する。画像番号「100」~「110」は、第1の超音波画像のデータ、画像番号「110」以降は、第2の超音波画像のデータであることを示す。ただし、特定の画像取得工程において、第1の超音波画像のデータに対して付与される画像番号の範囲と第2の超音波画像のデータに対して付与される画像番号の範囲が定められていればよく、上述の画像番号の付与例は一例に過ぎない。画像番号は、特定のプロトコルにおいて付与されたことが分かるように付与されてもよい。
【0052】
ステップS5では、プロセッサ7は、第2の超音波画像のデータを取得するために用いた条件を第2の超音波画像のデータと関連付けてメモリ9に記憶してもよい。プロセッサ7は、ユーザインタフェース10が第2の超音波画像のデータの記憶を行なうオペレーターの入力を受け付けると、上述の条件の記憶を実行してもよい。
【0053】
次に、ステップS6では、プロセッサ7は、プロトコルにおいて次の画像取得工程があるか否かを判定する。次の画像取得工程があると判定された場合(ステップS6において「YES」)、ステップS1へ処理が戻り、次の画像取得工程が開始される。ステップS3においてプロトコルの第1の実行が中断された場合、次の画像取得工程が開始されることで、第1の実行が再開されることになる。一方、次の画像取得工程がないと判定された場合(ステップS6において「NO」)、プロトコルの第1の実行が終了し、検査が終了する。
【0054】
なお、プロトコルが実行されると、特定の被検体についてのプロトコルの実行履歴がメモリ9に記憶されてもよい。
【0055】
次に、プロトコルの第1の実行が終了した後に、同じプロトコルを実行する場合の処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4のフローチャートにおけるプロトコルの実行を、第2の実行と定義する。
【0056】
プロトコルの第2の実行は、図2に従ってプロトコルの第1の実行が終了した後に行われる。例えば、プロトコルの第1の実行において第1の超音波画像及び第2の超音波画像が取得された被検体について、経過観察等を目的として超音波画像を取得するため、プロトコルの第2の実行が行われる。例えば、ユーザインタフェース10が、プロトコルを選択するオペレーターの入力を受け付けると、プロトコルの第2の実行が開始される。ここでは、図2に従って実行されたプロトコルと同じプロトコルが選択されるものとする。
【0057】
プロセッサ7は、プロトコルの実行履歴に基づいて、選択されたプロトコルが同じ被検体に対して過去に実行されたか否かを判定してもよい。プロセッサ7は、選択されたプロトコルが同じ被検体について過去に実行されていたと判定した場合、図4のフローチャートに従ってプロトコルの第2の実行を行なう。
【0058】
プロトコルの第1の実行により、メモリ9には、複数の画像取得工程の各々において取得された第1の超音波画像のデータと、いずれかの画像取得工程においてプロトコルが中断して取得された第2の超音波画像のデータが記憶されているものとする。
【0059】
図4のフローチャートにおいて、先ずステップS10では、プロセッサ7は、メモリ9からプロトコル及び情報SI2を読み出す。また、プロセッサ7は、ステップS1と同様に、ディスプレイ8に画像取得工程のリストLを表示する。ただし、このステップS10では、プロセッサ7は、図5に示すように、リストLにアイコンIを表示する。
【0060】
アイコンIは、情報SI2によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程においてプロトコルの第2の実行を中断することをオペレーター等に対して報知している。また、アイコンIは、プロトコルの第1の実行が中断された画像取得工程と同じ画像取得工程を示している。プロセッサ7は、メモリ9から読み出した情報SI2によって特定される画像取得工程にアイコンIを表示する。図5では、「画像取得工程4」にアイコンIが表示されており、このアイコンIはプロトコルの第1の実行がこの「画像取得工程4」において中断されたことを示している。
【0061】
ただし、アイコンIは一例に過ぎず、例えばアイコンIに代わり、プロトコルの第1の実行が中断された画像取得工程の文字の色を他の画像取得工程と異なる色で表示するなど、表示形態で区別されるようになっていてもよい。
【0062】
ステップS11では、ステップS2と同一の処理が行われて超音波画像のデータが記憶される。なお、このプロトコルの第2の実行における画像取得工程で取得される超音波画像のデータも、第1の超音波画像のデータと定義する。
【0063】
ステップS12では、プロセッサ7は、プロトコルの第2の実行を中断するか否か判定する。一例では、ステップS3と同様に、ユーザインタフェース10が、オペレーターによるプロトコルの実行を中断する入力を受け付けると、プロセッサ7はプロトコルの第2の実行を中断すると判定してもよい(ステップS12において「YES」)。ステップS11で開始された画像取得工程が、リストLにおいてアイコンIが表示されている画像取得工程であれば、オペレーターは、プロトコルの第2の実行を中断する入力をユーザインタフェースにおいて行なう。一方、ユーザインタフェース10が次の画像取得工程への移行を指示するオペレーターの入力を受け付けると、プロトコルの第2の実行を中断しないと判定し(ステップS12において「NO」)、ステップS15へ処理が移行する。
【0064】
ステップS11において開始された画像取得工程が、情報SI2によって特定される画像取得工程と同じである場合、例えば「プロトコルの第2の実行を中断してください」など、プロトコルの第2の実行を中断することを示す文字等をディスプレイ8に表示してもよい。また、ステップS11において開始された画像取得工程が、情報SI2によって特定される画像取得工程と同じである場合、スピーカー11から音が出力されてもよい。この音は、ステップS11において開始された画像取得工程が、プロトコルの第1の実行が中断された画像取得工程であること、またはプロトコルの第2の実行を中断することを示す。プロセッサ7は、スピーカー11へ信号を出力し、この信号に基づいて音が出力される。オペレーターは、音が出力されると、プロトコルの第2の実行を中断する入力を行なう。
【0065】
スピーカー11から出力される音は、例えばアラーム音であってもよい。また、スピーカー11から出力される音は、ステップS11において開始された画像取得工程がプロトコルの第1の実行が中断された画像取得工程と同じであることを知らせたり、プロトコルの第2の実行を中断することを指示したりする音声であってもよい。
【0066】
上述の音がスピーカー11から出力される場合、ステップS11においてアイコンIが表示されなくてもよい。
【0067】
アイコンI等がディスプレイ8に表示されたり、スピーカー11から音が出力されたりすることにより、オペレーターは、過去にプロトコルの第1の実行中に中断された画像取得工程を知ることができる。これにより、オペレーターは、プロトコルの第1の実行が中断された画像取得工程と同じ画像取得工程において、プロトコルの第2の実行を確実に中断することができる。
【0068】
ステップS12において、他の例では、プロセッサ7は、情報SI2に基づいて、プロトコルの第2の実行を中断するか否かを判定してもよい。具体的には、プロセッサ7は、ステップS11で開始された画像取得工程が、情報SI2によって特定される画像取得工程であれば、プロトコルの第2の実行を中断すると判定する(ステップS12において「YES」)。一方、プロセッサ7は、ステップS11で開始された画像取得工程が、情報SI2によって特定される画像取得工程でなければ、プロトコルの第2の実行を中断しないと判定する(ステップS12において「NO」)。
【0069】
このように、プロセッサ7が情報SIに基づいて判定を行ない、オペレーターによる入力に基づいて判定を行なうようになっていない場合、アイコンIが表示されたり、スピーカー11から音が出力されたりするようになっていなくてもよい。
【0070】
プロトコルの第2の実行を中断すると判定された場合、ステップS13の処理へ移行する。ステップS13では、ステップS4と同様に、プロセッサ7は、超音波プローブ2を制御してプロトコルに含まれない超音波の送受信を開始し、超音波画像のデータを作成する。プロトコルの第2の実行を中断して取得される超音波画像のデータを、第3の超音波画像のデータと定義する。
【0071】
ステップS13における超音波の送受信の条件及び第3の超音波画像のデータの作成の条件は、プロトコルの第1の実行において、第2の超音波画像のデータを取得するために用いられ、メモリ9に記憶された条件であってもよい。プロセッサ7は、情報SI2に基づいて第2の超音波画像のデータをメモリ9から読み出し、なおかつ第2の超音波画像のデータを作成するために用いた条件をメモリ9から読み出して設定する。これにより、オペレーターが条件を設定することなく、第3の超音波画像のデータを取得することができる。ただし、条件をメモリ9から読み出すタイミングは、ステップS13に限られるものではなく、例えばステップS10であってもよい。
【0072】
ステップS14では、ステップS5と同様に、プロセッサ7は、第3の超音波画像のデータに基づく第3の超音波画像(リアルタイム画像)をディスプレイ8に表示し、第3の超音波画像のデータ及び情報SI2をメモリ9に記憶する。ここでのメモリ9も、一例では不揮発性の記憶媒体である。さらに、プロセッサ7は、プロトコルの第1の実行においてメモリ9に記憶された第2の超音波画像をディスプレイ8に表示してもよい。プロセッサ7は、図6に示すように、オペレーターによる比較を容易にするため、第2の超音波画像UI2及び第3の超音波画像UI3を並べてディスプレイ8に表示してもよい。オペレーターは、第2の超音波画像UI2を表示させるための操作をする必要がないので、第3の超音波画像UI3と比較するための画像を容易に表示することができる。
【0073】
なお、プロセッサ7が、プロトコルの第1の実行において記憶された第2の超音波画像のデータを読み出すタイミングは、ステップS14に限られるものではなく、例えばステップS10であってもよい。
【0074】
次に、ステップS15では、ステップS6と同様に、プロセッサ7は、プロトコルにおいて次の画像取得工程があるか否かを判定する。次の画像取得工程があれば(ステップS15において「YES」)、ステップS10へ処理が戻り、第2の実行が再開される。一方、次の画像取得工程がなければ(ステップS15において「NO」)、プロトコルの第2の実行が終了する。
【0075】
本発明についてある特定の実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を施してもよく、均等物に置換してもよい。加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、本発明が添付の特許請求の範囲内に属するすべての実施形態を含むことになることを意図している。
【0076】
例えば、ステップS5において、第2の超音波画像において計測が実施された場合、情報SI2は計測の種類を特定する情報を含んでいてもよい。一例では、第2の超音波画像において観察対象の大きさが計測される。この場合、ステップS14において、プロセッサ7は、情報SIによって特定される計測を第3の超音波画像において実施するためのグラフィックをディスプレイ8に表示してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、超音波画像表示システムの一例として超音波画像表示装置を説明したが、図7に示すように、超音波画像表示システム100は、超音波画像表示装置1とサーバ101を含んで構成されていてもよい。
【0078】
超音波画像表示装置1とサーバ101は、ネットワーク102を介して接続されている。超音波画像表示装置1は、図1と同一の構成である。ただし、図7では、超音波画像表示装置1のプロセッサ7、ディスプレイ8、メモリ9及びユーザインタフェース10を、第1のプロセッサ7、第1のディスプレイ8、第1のメモリ9及び第1のユーザインタフェース10として説明する。超音波画像表示装置1の構成要素として、図7では第1のプロセッサ7、第1のディスプレイ8、第1のメモリ9及び第1のユーザインタフェース10のみが図示されているが、超音波画像表示装置1は、他にも超音波プローブ2等の図1に示された構成要素を有している。なお、図7では、各構成をブロックのみで示すものとする。
【0079】
サーバ101は、公知のサーバの構成要素を有し、第2のプロセッサ103、第2のディスプレイ104、第2のメモリ105及び第2のユーザインタフェース106を有している。
【0080】
超音波画像表示システム100においても、図2に示すフローチャートに沿って処理が行なわれる。ただし、処理を行なう主体等が上記実施形態と異なる。以下、上記実施形態とは異なる事項について説明する。
【0081】
プロトコルの第1の実行においては、ステップS2において、第1の超音波画像のデータ及び情報SI1は、サーバ101の第2のメモリ105に記憶されてもよい。また、ステップS5において、第2の超音波画像のデータ及び情報SI2は、サーバ101の第2のメモリ105に記憶されてもよい。また、プロトコルの第2の実行において取得される第1及び第3の超音波画像のデータもサーバ101の第2のメモリ105に記憶されてもよい。
【0082】
また、プロトコルの第2の実行においては、超音波画像表示装置1のユーザインタフェース10が入力を受け付けると、ステップS10において、第2のプロセッサ103が、サーバ101の第2のメモリ105から情報SI2を読み出してもよい。第2のメモリ105から読み出された情報SI2は、ネットワーク102を介して超音波画像表示装置1に入力され、この超音波画像表示装置1におけるプロトコルの第2の実行において用いられる。
【0083】
ステップS14において表示される第2の超音波画像は、サーバ101の第2のメモリ105から読み出された第2の超音波画像のデータであってもよい。
【0084】
また、上記実施形態は、
少なくとも一つのプロセッサとメモリを備える超音波画像表示システムの制御方法であって、
前記メモリには、複数の画像取得工程を含む少なくとも一つのプロトコルが記憶されており、前記複数の画像取得工程の各々は、被検体の第1の超音波画像を取得するための条件を定めており、
前記制御方法は、前記プロセッサが、
前記メモリから前記プロトコルを読み出して前記被検体に対して前記プロトコルの第1の実行を開始し、
該プロトコルの第1の実行を開始した後に、前記複数の画像取得工程のうちいずれかの画像取得工程において前記プロトコルの第1の実行を中断し、
該プロトコルの第1の実行の中断後に、前記被検体の第2の超音波画像のデータを取得して前記メモリに記憶し、なおかつ前記プロトコルの第1の実行が前記複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示す情報を前記メモリに記憶し、
前記プロトコルの第1の実行を再開して該実行が終了した後に、前記被検体に対して前記プロトコルの第2の実行を開始すると、前記情報を前記メモリから読み出し、
前記情報によって特定される画像取得工程と同じ画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断することを報知する、ことを含む制御を実行する超音波画像表示システムの制御方法としてもよい。
【0085】
さらに、上記実施形態は、
少なくとも一つのプロセッサとメモリとディスプレイを備える超音波画像表示システムの制御方法であって、
前記メモリには、複数の画像取得工程を含む少なくとも一つのプロトコルが記憶されており、前記複数の画像取得工程の各々は、被検体の第1の超音波画像を取得するための条件を定めており、
前記制御プログラムは、前記プロセッサに、
前記メモリから前記プロトコルを読み出して前記被検体に対して前記プロトコルの第1の実行を開始し、
該プロトコルの第1の実行を開始した後に、前記複数の画像取得工程のうちいずれかの画像取得工程において前記プロトコルの第1の実行を中断し、
該プロトコルの第1の実行の中断後に、前記被検体の第2の超音波画像のデータを取得して前記メモリに記憶し、なおかつ前記プロトコルの第1の実行が前記複数の画像取得工程のうち特定の画像取得工程において中断されたことを示し、なおかつ前記第2の超音波画像を特定する情報を前記メモリに記憶し、
前記プロトコルの第1の実行を再開して該実行が終了した後に、前記被検体に対して前記プロトコルの第2の実行を開始すると、前記情報を前記メモリから読み出し、
前記情報によって特定される前記画像取得工程において前記プロトコルの第2の実行を中断し、
前記情報によって特定される前記第2の超音波画像のデータを前記メモリから読み出して前記第2の超音波画像を前記ディスプレイに表示する、ことを含む制御を実行する超音波画像表示システムの制御方法としてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 超音波画像表示装置
7 プロセッサ、第1のプロセッサ
8 ディスプレイ、第1のディスプレイ
9 メモリ、第1のメモリ
10 ユーザインタフェース、第1のユーザインタフェース
11 スピーカー
100 超音波システム
101 サーバ
105 第2のメモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7