(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】自由移動排出器を有する卵移送モジュール、ならびに関連付けられたシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01K 43/00 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
A01K43/00
(21)【出願番号】P 2020549014
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 US2019023804
(87)【国際公開番号】W WO2019190946
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】スー,ウィリアム・ドンウック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,クリストファー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュナッパー,マイケル・グレン
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ジェームズ・デニス・ジュニア
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0210571(US,A1)
【文献】特表2017-506071(JP,A)
【文献】特表2017-500846(JP,A)
【文献】特表2015-523862(JP,A)
【文献】特表2017-529083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵移送モジュールであって、
卵を把持するように構成された卵固定デバイスと、
前記卵固定デバイスと関連付けられ、前記卵固定デバイスに対して自由に移動するように構成された自由移動排出器と、
前記卵固定デバイスと離間された関係にある支台であって、前記自由移動排出器が、前記支台と相互作用して、前記卵固定デバイスに対する前記自由移動排出器の移動を引き起こし、それによって前記卵を前記卵固定デバイスから押し出すように構成されている、支台と、を備え
、
前記卵固定デバイスが、本体を備え、前記本体から固定装置が延在しており、前記本体は、中を通って前記自由移動排出器が自由に移動する、少なくとも1つの開口部を画定し、
前記本体が、複数の開口部を画定し、さらに、前記自由移動排出器が、前記本体の前記開口部を通って延在する複数の駆動部材を備える、
卵移送モジュール。
【請求項2】
前記自由移動排出器が、弾性材料から形成されている、請求項1に記載の卵移送モジュール。
【請求項3】
前記自由移動排出器が、弾性ワイヤ構造体から形成されている、請求項2に記載の卵移送モジュール。
【請求項4】
前記自由移動排出器が、前記卵固定デバイス内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載の卵移送モジュール。
【請求項5】
前記固定装置が、複数の係合部材を備える、請求項
1に記載の卵移送モジュール。
【請求項6】
前記自由移動排出器が、前記卵と相互作用するための係合部分と、前記支台と相互作用するための、前記本体を通って延在する少なくとも1つのステム部分と、を備える、請求項
5に記載の卵移送モジュール。
【請求項7】
前記駆動部材を接続するように構成された保持器をさらに備える、請求項
1に記載の卵移送モジュール。
【請求項8】
前記自由移動排出器が、前記卵固定デバイスからの分離を防止するための少なくとも1つの戻り止めを備える、請求項1に記載の卵移送モジュール。
【請求項9】
卵を移送する方法であって、
卵固定デバイスで卵を把持することと、
前記卵固定デバイスで前記卵を移動させることと、
前記卵固定デバイスに結合され、前記卵固定デバイスに対して自由に移動するように構成された自由移動排出器で前記卵を前記卵固定デバイスから押し出すことであって、前記自由移動排出器が、支台と相互作用して、前記卵固定デバイスに対する前記自由移動排出器の移動を引き起こすように構成されている、押し出すことと、を含み、
前記卵固定デバイスが、本体を備え、前記本体から固定装置が延在しており、前記本体は、中を通って前記自由移動排出器が自由に移動する、少なくとも1つの開口部を画定し、
前記本体が、複数の開口部を画定し、さらに、前記自由移動排出器が、前記本体の前記開口部を通って延在する複数の駆動部材を備える、
方法。
【請求項10】
前記卵を前記卵固定デバイスから押し出すことが、本体であって、固定装置が前記本体から延在している、本体を有する前記卵固定デバイスから、前記卵を押し出すことをさらに含み、前記本体が、前記自由移動排出器が中を通って自由に移動する、複数の開口部を画定し、さらに、前記自由移動排出器が、前記本体の前記開口部を通って延在する複数の駆動部材を備え、保持器が、前記駆動部材を接続するように構成されている、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、卵処理デバイスに関する。より具体的には、本開示は、様々な形状、サイズ、および配向の卵を移送する可撓性を提供することができる卵移送モジュール、ならびに関連付けられたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機械的卵処理システムを使用して、家禽孵化施設または他の卵処理施設内で鳥類の卵(例えば、食卓卵)を処理することができる。孵化場では、そのような機械的卵処理システムは、例えば、セッターインキュベータと関連付けられたトレイ(通称「フラット」)から孵化場インキュベータと関連付けられた容器(通称「孵化バスケット」)に卵を移送するための移送システムを含んでもよい。他の場合では、そのような機械的卵処理システムの例は、特定の卵をフラットから除去するための卵除去システムを含んでもよい。卵除去システムの場合、生存卵から非生存卵を除去して、利用可能なインキュベータ空間を増加させ、汚染のリスクを低減させ、かつオボ接種に関連するワクチン費用を節約することが一般的である。食卓卵を処理する施設では、様々な理由により、卵を機械的または手動で移動させることができる。
【0003】
移送または除去のいずれかの目的で、卵がフラットから持ち上げられると、卵は、卵を固定および移動させるための吊り上げデバイスから取り除かれなくてはならない。場合によっては、吸引タイプの吊り上げデバイスが実装され、その場合、単に吸引を切断することが、卵を取り除くために使用され得る。しかしながら、場合によっては、卵は、機械的に握られ得、そのため吊り上げデバイスから卵を押し出すために力が必要となる。現在の機械的押し出し手段の問題には、卵割れ、洗浄性、電力要件、複雑さ、メンテナンスの容易さ、および握り手段との絡みが挙げられる。
【0004】
したがって、単純化された様式で握られた卵を一貫して変位させ、様々な形状、サイズ、および握られる配向の卵を考慮する可撓性を有することができる、卵移送モジュール、ならびに関連付けられたシステムを提供することが望ましいであろう。さらに、握られた卵の変位の改善を簡素化し、容易にする、関連付けられた方法を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
上記および他のニーズは、本開示の態様によって満たされ、一態様に従って、卵を把持するように構成された卵固定デバイスを有する卵移送モジュールを提供する。自由移動排出器は、卵固定デバイスと関連付けられ、卵固定デバイスに対して自由に移動するように構成される。支台は、卵固定デバイスと離間された関係で提供される。自由移動排出器は、支台と相互作用して、卵固定デバイスに対する自由移動排出器の移動を引き起こし、それによって卵固定デバイスから卵を押し出すように構成される。
【0006】
別の態様は、卵を移送する方法を提供する。本方法は、卵固定デバイスで卵を把持することを含む。本方法は、卵固定デバイスで卵を移動させることをさらに含む。本方法は、卵固定デバイスと関連付けられ、卵固定デバイスに対して自由に移動するように構成された、自由移動排出器で卵を卵固定デバイスから押し出すことをさらに含み、自由移動排出器は、支台と相互作用して、卵固定デバイスに対する自由移動排出器の移動を引き起こすように構成されている。
【0007】
このため、本開示の様々な態様は、本明細書に別様に詳述されるように、利点を提供する。
【0008】
このため、本開示の様々な実施形態を一般的な用語で記載しながら、添付の図面で参照されることになり、これらは必ずしも縮尺に合わせて引かれるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一態様による、複数の卵移送モジュールを実装可能な卵処理システムの斜視概略図である。
【
図2】本開示の態様による、卵固定デバイスのための様々な固定装置の斜視概略図である。
【
図3】本開示の態様による、卵固定デバイスのための様々な固定装置の斜視概略図である。
【
図4】本開示の一態様による、卵移送モジュールによって保持される卵の側面図である。
【
図5】本開示の一態様による、卵固定デバイスに結合され、後退位置にある、排出器の斜視図である。
【
図6】本開示の一態様による、卵固定デバイスに結合され、展開位置にある、排出器の斜視図である。
【
図7】本開示の一態様による、卵移送モジュールにおいて使用することができる排出器の斜視図である。
【
図8】本開示の別の態様による、卵移送モジュールにおいて使用することができる排出器の斜視図である。
【
図9】本開示のさらに別の態様による、卵移送モジュールにおいて使用することができる排出器の斜視図である。
【
図10】本開示の一態様による、卵移送モジュールの卵把持および放出順序を例示する。
【
図11】本開示の一態様による、保持器を有する卵移送モジュールの一部分の斜視図である。
【
図12】本開示の一態様による、保持器を有する卵移送モジュールの一部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の様々な態様が、添付の図面を参照しながら以下でより完全に記載されることになり、図面中、本開示の全ての態様ではないが、いくつかが示される。実際に、本開示は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載される態様に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0011】
本開示は、卵を簡略化された様式で移送するために卵を把持し、卵を排出するように構成されたデバイス、システム、および方法に関する。いくつかの態様により、本開示は、吸引型の卵吊り上げデバイスと比較して、卵を把持し、排出するための改善された機械的手段を提供する。しかしながら、本明細書に開示される機械的排出手段はまた、そのような吸引型デバイスから卵を取り除くための吸引型卵吊り上げデバイス上にも実装され得ることを理解されたい。
【0012】
本開示のかかる機械的把持および排出態様は、卵を固定および排出するための手段を簡素化すること、メンテナンスの容易性を改善すること、信頼性を向上させること、ならびに様々なサイズ、形状、および配向の卵を把持および排出するための適応性を改善することを含む、多くの利点を提供する。この点において、解決すべき問題は、卵の簡略化された機械的取り扱いを求めることに関するものであり、特に、生きた胚を含有するものに関しては、様々な形状およびサイズであり、様々な配向に位置決めされる卵を捕捉および排出するための適応性が提供される解決策を提供することによって、亀裂のリスクが低減される。
【0013】
図1は、自動卵処理システム100を例示する。
図1に示される特定の態様により、卵処理システム100は、卵を除去および/または移送することができる。しかしながら、本開示の態様は、
図1の例示された卵処理システム100に限定されるものではない。本開示の態様は、卵の固定が所望される任意のシステムまたは機器上に実装され得、そこで、固定された卵は、次いで、後のある時点で置かれなければならない。例えば、本開示の態様は、セッターインキュベータトレイ(いわゆる「卵フラット」)から孵化インキュベータトレイ(いわゆる「孵化バスケット」)に卵を移送するために使用される卵移送システム上に実装され得る。他の場合では、本開示の態様は、オボ注射前または孵化バスケットに移行する前に、望ましくない卵(例えば、非生存胚を含有する)を卵フラットから除去するために使用される卵除去システム上に実装され得る。
【0014】
図1に示されるように、卵処理システム100は、卵フラット内に位置決めされた卵を除去するために特に適合され得、ここで、略垂直配向において個別に卵を受容および維持するための複数の受容器を含むが、卵は、多くの場合、個々の受容器内で異なる角度に傾斜され得る。卵処理システム100を使用して、全ての、または選択された卵は、卵処理ヘッド200の下に位置決めされるとき、卵フラットから除去され得る。
【0015】
いくつかの態様により、卵処理システム100は、卵フラットを、卵処理システム100を通って自動で除去位置に移動させるように提供された、フレーム110およびコンベアアセンブリ112を含んでもよい。コンベアアセンブリ112は、卵フラットを受容し、除去位置に案内するように構成されたガイドレールシステムを含んでもよい。コンベアアセンブリ112は、卵処理システム100内の卵フラットの適切な移動および位置決めのための、適切な停止要素、センサ、ベルト、エンドレスループ、モータ等をさらに含み得る。場合によっては、卵フラットは、卵処理システム100を通じて手動で進められてもよい。
【0016】
卵フラットを介して卵処理システム100に入る卵は、様々な分類特性を有し得る。例えば、卵フラットは、生存率、病原体含有量、遺伝子解析、またはそれらの組み合わせに基づいて分類可能な卵を含み得る。そのため、卵は、卵分類子システムを通過して、卵フラット内に収容される卵ごとに分類を生成する。かかる卵は、生存卵または非生存卵(すなわち、卵分類子システムに従って生存胚を含有しない卵)として分類され得、非生存卵は、例えば、不妊、腐敗、または死卵としてさらにサブ分類され得る。例示的な卵分類子システムは、例えば、キャンドル法(不透明度、赤外線、NIR等)、アッセイ法、または他の既知かつ好適な分類法、プロセス、または技術を使用することによって卵を分類することが可能であり得る。分類後、卵は、特定された分類に従って、例えば、卵フラットから非生存卵を除去するなど、卵処理システム100を使用して、卵フラットからそれに応じて除去され得る。
【0017】
図1に示されるように、卵処理システム100は、フレーム110に結合された卵処理ヘッド200を含んでもよい。本開示の態様により、卵除去ヘッド200は、
図4および
図9に示されるように、卵フラットから卵を選択的または非選択的に把持することができる複数の卵移送モジュール500を含んでもよい。場合によっては、卵処理ヘッド200は、1つ以上の卵固定デバイス600が固定され、結合され、または別様に係合されるプレート220を含んでもよい。いくつかの態様により、プレート220は、卵固定デバイス600を受容するための複数の穴を画定し得る。場合によっては、卵固定デバイス600は、選択的または個々に制御され得る。すなわち、卵固定デバイス600は、それぞれの卵との相互作用が選択的に制御され得るように選択的に展開され得る。例えば、卵固定デバイス600は、それぞれの卵を選択的に係合するように構成され得、そのため卵の第1のサブセットとして識別された卵(例えば、生存または生存可能である)のみが、卵フラットからの除去または移送のために接触する。このような場合では、卵の第2のサブセット(例えば、非生存または非生存可能)は、卵固定デバイス600のいずれとも接触することなく、さらなる処理のために卵フラットに保持され得る。
【0018】
いくつかの態様により、コンベアアセンブリ112は、卵フラット内に格納された卵を、各卵がその中を通過するように卵分類子システムを通過するように輸送し得、そのため卵ごとにデータ(卵分類状態)が生成され得る。卵分類子システムによって収集されたデータは、各卵と関連付けられたデータを処理および記憶するためにコントローラに提供されてもよい。次いで、コントローラは、個々の卵固定デバイス600(または卵固定デバイス600のサブセット)が、卵分類子システムによって収集されたデータに基づく、各卵の分類状況に従って、選択的に、および個別に、様々な位置に展開されるように、卵固定デバイス600に送信するための選択可能な除去信号を生成することが可能であり得る。
【0019】
他の場合では、卵処理機100は、フレーム110に結合され、卵処理ヘッド200の下の除去位置にあるとき、卵フラット内に収容される卵と相互作用するために垂直に移動するように構成された卵処理ヘッド200を含んでもよい。卵処理ヘッド200は、卵フラット内の卵との相互作用を容易にするために、垂直に移動するように、空気圧的または電気的に駆動され得る。場合によっては、当業者によって既知のように、空気圧システムと流体連通する移送シリンダ(図示せず)を使用して、卵処理ヘッド200を空気圧的に降下させ、上昇させてもよい。場合によっては、卵移送モジュール500は、関節接合ロボットアームを有するロボットシステムのフレームに取り付けられた頭部上に位置決めされ得る。ロボットシステムは、卵と係合するために卵移送モジュール500を卵に近接して位置決めするように構成された誘導システムを有してもよい。
【0020】
卵処理システム100は、卵移送モジュール500の卵固定デバイス600を使用して、卵フラットから除去するために、卵と係合または接触するように構成されてもよい。いくつかの態様に従って、
図2および
図3に示されるように、卵固定デバイス600は、複数の係合部材555から形成される固定装置550を含んでもよく、これらは協働して、卵を機械的に把持することができる鞘状構造体を形成する。場合によっては、固定装置550は、本体502から延在してもよく、本体502は、係合部材555が突出するベースとして機能する。本体502は、係合部材555と一体構造であってもよく、一方で他の場合では、本体502は、係合部材555に対して分離して形成されてもよい。係合部材555は、卵が保持される空洞556を画定する。
【0021】
係合部材555は、物理的接触および相互作用を使用して卵を機械的に捕捉するように構成されてもよく、そのため卵は、卵フラットまたは他の容器もしくは表面から取り上げられ得る。係合部材555は、卵の上で係合部材555が前進または下降する際に、卵を中心に偏向することが可能であり得、そのため卵は、係合部材555によって形成される空洞556内に着座または固定される。係合部材555は、卵が着座のためにその中を通過する開口部560を画定し得る。中心軸510は、その長手方向軸に沿って、長さ方向に卵固定デバイス600によって画定され得る。開口部560は、中心軸510を中心に画定され、卵固定デバイス600の遠位端554に形成される。開口部560は、任意の数のサイズおよび形状として画定され得る。係合部材555は、係合部材555の機械的作動なしに卵を捕捉し、卵を空洞556内に保持するために卵を中心に偏向し得るが、場合によっては、係合部材555の機械的作動が、実装され得る。
【0022】
いくつかの態様により、係合部材555は、本体502から延在または突出し得る。場合によっては、
図2に示されるように、係合部材555は、卵を取り囲み、包囲する重複スリーブ配置を形成するように組み合わされ得る。係合部材555は、卵を捕捉するための手段として、卵との物理的接触および係合を使用して卵の把持を可能にする様々なサイズ、配置、または構造を有し得る。
【0023】
様々な態様により、
図2および
図3に示されるように、係合部材555は、本体502から延在して、おおむねU字型を形成するループであってもよい。この特定の構成では、各係合部材555は、本体502から延在し、弧状セグメント532によって接続された一対の脚部セグメント530を有し得る。係合部材555は、様々なサイズの卵を受容するために十分な長さを有し得る。卵固定デバイス600の遠位端554が卵と相互作用する際、弧状セグメント532は、卵と物理的に接触し、係合部材555が卵を封入するにつれて、殻輪郭に沿って前進する。係合部材555は、様々な角度で本体502から延在し得る。
【0024】
いくつかの態様により、係合部材555は、卵と接触するときに卵を中心に偏向するように、しなやかな、可撓性、または弾力性材料から形成され得る。係合部材555は、例えば、弾力性材料、弾性材料、超弾性材料、疑似弾性材料、および形状記憶材料等のような偏向性、弾性、または弾力性の性質を呈する様々な材料から構築され得る。場合によっては、係合部材555は、変形状態(仮形状)からその元の(永久的)形状に戻る能力を有する形状記憶材料(例えば、形状記憶合金または形状記憶ポリマー)から構築され得る。場合によっては、形状記憶材料は、温度変化等の外部刺激によって誘導されるとき、その元の形状に戻ることができる。他の場合では、係合部材555は、変形するとき、外部刺激なしにその変形前の形状に戻る、超弾性合金(例えば、ニッケルチタン(ニチノール))で構築されてもよい。機械的に負荷があるとき、超弾性合金は、応力誘発相を作製することによって、非常に高いひずみ(最大10%)に対して可逆的に変形する。負荷が除去されるとき、新しい相は、不安定になり、材料は元の形状を取り戻す。かかる超弾性材料、疑似弾性材料、および形状記憶材料は、孵化場および食卓卵産業において処理される生産卵の実質的な量を考慮する際の重要な要因である疲労に抵抗する利点を提供する。本開示に従って使用するのに好適な材料の例としては、限定されるものではないが、ニチノール、CuZnAl合金、CuAlNi合金、およびCuAlBe合金が挙げられる。さらに、形状記憶ポリマーは、本開示に従って、ポリウレタンまたはブロックコポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンオキシド(PEO)等)などの使用に好適であり得る。場合によっては、係合部材555は、金属合金(例えば、ステンレス鋼)、もしくはポリマー成分、またはそれらの組み合わせで構築され得る。場合によっては、係合部材555は、弾性または可撓性ワイヤ(金属またはポリマーストランド)の形態であってもよい。
【0025】
いくつかの態様により、卵固定デバイス600は、卵を捕捉するために、卵上で係合部材555を前進させることができるアクチュエータを含んでもよい。アクチュエータは、例えば、(上部ピン620および下部ピン625によってなど)本体502に取り付けられ、結合され、または別様に動作可能に係合され得る端部615を有するピストンロッド610を有する空気圧制御シリンダなどの線形アクチュエータ605であってもよく、そのため、場合によっては、係合部材555が本体502に固定的に取り付けられているため、ピストンロッド610の作動による本体502の移動が、同様に係合部材555の移動を引き起こす。卵固定デバイス600が選択的に制御される場合、各アクチュエータは、アクチュエータが選択的に作動され得るように、卵フラット内のそれぞれの卵の卵分類状態を示す信号を受信することができ、それによって、特定の選択された卵固定デバイス600のそれぞれの卵との係合または接触を容易にし得る。
【0026】
いくつかの態様により、卵移送モジュール500は、卵固定デバイス600の固定装置550から卵を排出、除去、突出、変位、または別様に放出するように構成された排出器300を含んでもよい。場合によっては、排出器300は、排出器300が卵固定デバイス600に対して移動の自由を有する自由移動であってもよい。すなわち、排出器300および卵固定デバイス600が何らかの様式で結合されているにもかかわらず、排出器300は、作動せずに卵固定デバイス600に対して自由に移動する。これは、卵固定デバイス600またはその構成要素に対して排出器300を移動させるために外力が提供される「浮遊型」排出器300と呼ばれ得る。例えば、排出器300は、卵固定デバイス600が卵を把持するとき、卵と接触し得、そのため、
図4に示されるように、卵が空洞556内で前進するにつれて、排出器300を上方に押し進め、それによって、排出器300は、固定装置550内で前進するにつれて卵上に「浮遊する」(すなわち、抵抗をほとんど提供しない、または抵抗を提供しない)。同様に、外力が、排出器300を固定装置550の遠位端554に向かって押し進めることによって、卵を固定装置550から排出するために提供されてもよい。作動手段なしの卵変位スキームを実装することによって、卵移送モジュール500全体が、簡素化され、よりコスト効果的になる。すなわち、排出器300は、卵を排出するための能動的な機械的押圧等の追加の動力を必要とせず、代わりに、単純な受動的排出スキームを提供し、それによって卵移送モジュール500の動作およびその信頼性を改善する。さらに、排出器300は「浮遊する」ため、永久組立を必要とせず、したがって、交換または洗浄のために容易に取り外され得る。
【0027】
様々な態様により、
図7~
図9に示されるように、排出器300は、例えば、弾性ワイヤ構造体の形態であるような、1つ以上の弾性材料から形成され得る。場合によっては、排出器300のために選択された材料(複数可)は、上述したように、係合部材555を構築するために使用される材料(複数可)と同じであり得るが、他の場合では、材料は、異なってもよい。排出器300の形状は、卵と接触させ、卵を固定装置550から物理的に押し出すために、多くの異なる形態、構造、または構成を取る場合がある。
【0028】
いくつかの態様により、排出器300は、卵と接触させて、卵を固定装置550と係合させないようにすることができる、1つ以上の係合部分310を含んでもよい。係合部分310は、特に卵が卵殻に穴が作製されるオボ注射事象(典型的には卵の一端にある)を受けたときに、卵が割れる可能性を低減するために、排出力を分散するような様式で、整形され得る。例えば、
図7~
図9に示されるように、係合部分310は、卵と接触したとき、卵の端部を取り囲むように実質的に円形であり得る(
図4を参照)。さらに、排出器300は、スプリング状またはバイアス様式でワイヤを構築することによって可撓性および/または弾性を提供するように構成されてもよく、これはまた、形状記憶材料等の使用によって容易になり得る。これに関して、係合部分310および/または駆動部材(複数可)350のセグメントは、少なくとも部分的にコイル状または他のねじれ構造であってもよい。排出器300の構成は、好ましくは、固定装置550との絡みを回避するように整形され得る。
【0029】
排出器300は、卵の受動的および非作動的な放出を提供するために、
図4に示されるように、支台400と相互作用してもよく、場合によっては、支台400は、卵固定デバイス600が取り付けられているプレート220であってもよい。支台400の目的は、固定装置550の遠位端554に向かって排出器300を強制的に前進させ、それによって卵固定デバイス600から卵を押し出すことであり得る。様々な例示的態様により、
図7~
図9に示されるように、排出器300は、ステム355などの1つ以上の駆動部材350を含んでもよい。駆動部材(複数可)350は、係合部分310に直接または間接的に取り付けられ得る。場合によっては、
図11および
図12に示されるように、駆動部材350は、テーパ部分380によって係合部分310に接続されてもよい。支台400は、卵1を固定装置550から押し出すために係合部分310を前進させるように駆動部材(複数可)350と接触し得る。場合によっては、支台400は、駆動部材(複数可)350と支台400との間の物理的相互作用を引き起こすために、駆動部材(複数可)350が支台に向かって前進するように静止してもよく、一方で他の場合では、駆動部材350は、駆動部材(複数可)350と支台400との間の物理的相互作用を引き起こすために支台400が前進するように静止することもある。いずれにせよ、駆動部材(複数可)350と支台400との間のこの相互作用により、自由移動排出器300は、固定装置550から卵を受動的に押し出す。
図5は、後退位置にある排出器300を例示し、
図6は、展開位置にある排出器300を例示する。
【0030】
図4~
図6に示されるように、ステム355は、本体502によって画定される開口部504(例えば、スロット、穴等)を通って延在し得る。この特定の態様により、ステム355の端部360は、支台400と強制的に接触して、係合部分310を固定装置550の遠位端554に向かって前進させる。これに関して、ピストンロッド610は、ピストンロッドに固着した本体502が支台400に向かって移動されるように後退し、それによってステム355も支台400に向かって前進する。したがって、ステム355は、係合部分310を遠位端554に向かって押すピストンとして作用し、それによってステム355の長さは、係合部分310が前進し得る距離を決定する。場合によっては、排出器300は、排出器300の卵固定デバイス600からの分離を防止するために、1つ以上の戻り止め375を含むことができる。戻り止め375は、排出器300の一体部分であってもよく、または別様に、排出器に取り付けられた別個のワークピースであってもよい。例えば、ステム355は、端部360が開口部504を通過するのを防止するために湾曲されてもよい。場合によっては、駆動部材(複数可)350は、遠位端554に向かって係合部分310の移動を引き起こすように、支台400との相互作用を通じて駆動部材(複数可)350が枢動される枢動様式で動作し得る。
【0031】
動作中、
図10に示されるように、卵1は、卵移送モジュール500の下の除去位置に提示または搬送され得る。卵固定デバイス600は、十分に高い位置、後退した位置、または上昇した位置で開始する。次いで、卵固定デバイス600は、ピストンロッド610の作動によって卵1と係合するために前進、展開、または下降してもよく、この時点で、固定装置550は、卵に接触し、偏向し始める。固定装置550は、卵1がその中に完全に着座されるか、または取り外しのためにその中に固定されるまで、十分に下降した位置にさらに前進してもよい。卵1の係合中、係合部材555は、卵1の表面輪郭に対して偏向し、かつ適合する。卵1が固定装置550内で前進すると、卵1は、排出器300に接触し、それによってステム350が支台400に向かって前進しながら、排出器300の係合部分310を本体502に向かって押し進める。次いで、卵1は、加工のために別の場所に輸送されてもよく、または別様に、卵を受容するために、孵化バスケットなどの代替容器がその下に位置決めされながら、同じ位置に維持されてもよい。
【0032】
固定装置550は、次いで、ピストンロッド610を作動させることによって、上げられ、後退し、または別様に上昇されてもよい。固定装置550が後退するにつれて、ステム355は、固定支台400に接触し、固定支台400は、固定装置550の進行方向とは反対の方向にステム355を押し進める。このようにして、係合部分310は、本体502から離れて遠位端554に向かって押し進められ、それによって卵1上に力を加えて、卵1を固定装置550から押し出す。固定装置550が完全に後退すると、卵1は、受動的な様式でそこから除去される。放出された卵1は、次いで、それに従って輸送または加工されてもよい。
【0033】
場合によっては、
図11に示されるように、ステム355などの駆動部材350は、係合部分310によること以外で接続されてもよい。例えば、固定装置550が本体502から延在する側とは反対側に、本体502を越えて延在する駆動部材350の一部分を接続するために保持器700が設けられ得る。保持器700は、駆動部材350のねじれを制限または防止し、それに伴って、排出器300のねじれを制限または防止するのに役立ち得る。一態様により、ステム355の端部360は、保持器700によって画定されるそれぞれの穴702に挿入するために、本体502を通って湾曲され、かつ延在され得る。端部360は、例えば、ねじ等の締結具750によって保持器に固定され得る。これに関して、排出器300は、保持器700が本体502に固定されていない点で、本体502に対して自由に移動可能なままである。
【0034】
場合によっては、本体502は、主要部分525、および適切な締結具で主要部分525に結合され得る挿入部535を含んでもよい。主要部分525は、中を通ってステム355が本体502から延在する鍵穴540を画定し得る。
図12は、明確化のために固定装置550を除去した、卵移送モジュール500の一部分を例示する。保持器700は、固定装置550の外側に駆動部材350を接続する目的で、様々なサイズおよび形状であってもよい。このような場合では、保持器700はまた、支台400と相互作用するとき、自由に移動されるように、自由に移動可能である。すなわち、保持器700は、支台400の接触点として使用され得る。しかしながら、場合によっては、保持器700は、保持器700がステム355のねじれを制限するように実装されても、端部360が支台400の接触点であるように、端部360の下に位置決めされてもよい。
【0035】
本明細書に記載される本開示の多くの修正および他の態様は、前述の説明および関連する図面に提示される教示の利点を有する、本開示が関連する当業者に理解されるであろう。したがって、本開示は、開示される特定の態様に限定されず、修正および他の態様が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきである。具体的な用語が、本明細書で使用されるが、それらは、限定する目的のためではなく、汎用的かつ記述的な意味でのみ使用される。