(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】保持ピンを備えたレチクルポッドおよびレチクルの保持方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/66 20120101AFI20230313BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G03F1/66
H01L21/68 T
(21)【出願番号】P 2021017619
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】9F.,No.2,Sec.4,Zhongyang Rd.,Tucheng Dist.,New Taipei,Taiwan236
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】▲温▼ 星閔
(72)【発明者】
【氏名】李 怡萱
(72)【発明者】
【氏名】薛 新民
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0214287(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0175279(US,A1)
【文献】特表2019-528578(JP,A)
【文献】特開2012-177930(JP,A)
【文献】特開2006-184442(JP,A)
【文献】特表2017-534078(JP,A)
【文献】特許第6286090(JP,B1)
【文献】特開2012-186391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋および前記蓋上に設けられた1つまたは2つ以上のピン組立体を有するレチクルポッドであって、前記ピン組立体は、
前記蓋の天井に対して相対的に動くことができるよう構成された可動部材と、
弾性部材とを含み、前記弾性部材は、前記蓋の天井に取り付けられ、前記可動部材が前記弾性部材と前記蓋の前記天井との間に保持されるように前記可動部材を受け入れる収容空間を規定するよう構成され、
前記蓋の前記天井は、前記レチクルポッドがレチクルを受け入れていない場合、前記可動部材が取る第1の高さ位置を定めるよう構成され、前記弾性部材は、前記レチクルポッドが前記レチクルを受け入れている場合、前記可動部材が第2の高さ位置に存在して前記レチクルを保持するよう前記可動部材と協働するよう構成され、前記第2の高さ位置は、前記第1の高さ位置よりも高い、レチクルポッド。
【請求項2】
前記レチクルポッドが前記レチクルを受け入れていない場合、前記弾性部材と前記第1の高さ位置に配置された前記可動部材との間には隙間が形成される、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項3】
前記隙間は、前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置との間の距離に実質的に等しい、請求項2記載のレチクルポッド。
【請求項4】
前記弾性部材はさらに、前記レチクルポッドが前記レチクルを受け入れている場合、前記弾性部材が前記可動部材と相互作用して前記レチクルを保持するよう外力を直接的にか間接的にかのいずれかで受けるような構成になっている、請求項2記載のレチクルポッド。
【請求項5】
前記可動部材は、キャップおよびピンを有し、前記キャップは、前記弾性部材と前記蓋の前記天井との間に制限され、前記ピンは、前記キャップから前記レチクルポッドの内側まで延びる、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項6】
前記蓋は、1つまたは2つ以上のカバーを備え、前記カバーは、前記蓋に結合している前記弾性部材を覆うよう前記蓋に取り付けられる、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項7】
前記弾性部材は、スリーブおよび1対の取り付けウィングを有し、前記1対の取り付けウィングは、前記蓋の前記天井に結合するよう構成され、前記スリーブおよび前記蓋の前記天井は、前記可動部材を部分的に受け入れる前記収容空間を画定する、請求項6記載のレチクルポッド。
【請求項8】
前記弾性部材は、スリーブおよび1対の取り付けウィングを有し、前記1対の取り付けウィングは、前記蓋の前記天井に結合するよう構成され、前記スリーブおよび前記蓋の前記天井は、前記可動部材を部分的に受け入れる前記収容空間を画定する、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項9】
前記スリーブは、前記カバーに向いた天井を有し、第1の磁石が前記スリーブの前記天井に設けられている、請求項7記載のレチクルポッド。
【請求項10】
蓋を備えたレチクル外側ポッドをさらに有し、前記レチクル外側ポッドの前記蓋は、前記ピン組立体に対応した1つまたは2つ以上のプレス部材を備え、前記プレス部材は、第2の磁石を備え、前記第1の磁石および前記第2の磁石は、前記プレス部材が対応の前記ピン組立体に無接触押圧作用を提供し、それにより前記可動部材を前記レチクルポッドの内側に向かって動かすような仕方で構成されている、請求項9記載のレチクルポッド。
【請求項11】
前記蓋に連結された前記弾性部材を部分的に露出させるために前記蓋には1つまたは2つ以上のカバーが取り付けられている、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項12】
前記弾性部材は、スリーブおよび1対の取り付けウィングを有し、前記1対の取り付けウィングは、前記蓋の前記天井に結合するよう構成され、前記蓋の前記天井は、前記可動部材を部分的に受け入れる前記収容空間を画定し、前記スリーブの天井が前記カバーの穴を貫通して露出されている、請求項11記載のレチクルポッド。
【請求項13】
前記スリーブの前記天井は、前記カバーの前記天井から突き出ている、請求項12記載のレチクルポッド。
【請求項14】
蓋を備えたレチクル外側ポッドをさらに有し、前記レチクル外側ポッドの前記蓋は、前記ピン組立体に対応した1つまたは2つ以上のプレス部材を有し、前記プレス部材は、前記対応のピン組立体の前記スリーブの前記天井に接触押圧作用を提供し、それにより前記可動部材を前記レチクルポッドの内側の方へ動かすようになっている、請求項12記載のレチクルポッド。
【請求項15】
蓋および前記蓋に設けられた1つまたは2つ以上のピン組立体を有するレチクルポッドであって、前記ピン組立体は、
前記蓋の天井に対して相対的に垂直方向に動くことができるよう構成された可動部材を含み、前記可動部材は、キャップおよび前記蓋に設けられた穴を突き抜けて前記蓋の底面から突き出たピンを有し、
カバーであって、前記蓋の外部に取り付けられ、前記可動部材
および前記可動部材の前記キャップを取り囲むように構成された弾性部材を受け入れて前記可動部材が前記蓋の天井と前記弾性部材との間に保持されるようにする収容空間を規定するカバーを含み、前記カバー
および前記弾性部材は
一緒になって、前記可動部材の前記キャップが到達できる最も高い高さ位置を定め、
前記ピンは、レチクルが前記レチクルポッド内に受け入れられると
前記レチクルの上面に触れ、前記キャップは、前記キャップが直接的な外力か間接的な外力かのいずれかを受けたときに、前記ピンを押して前記ピンが前記レチクルを保持するよう構成されている、レチクルポッド。
【請求項16】
前記弾性部材は、前記蓋の前記穴を気密封止する、請求項15記載のレチクルポッド。
【請求項17】
前記レチクルポッドが前記レチクルを受け入れていない場合、前記ピンのある長さ分が前記底面から突き出、前記長さは、前記レチクルポッド内に受け入れられたときの前記レチクルの前記上面と前記蓋の前記底面との間の距離よりも少なくとも長い、請求項15記載のレチクルポッド。
【請求項18】
前記レチクルポッドが前記レチクルを受け入れると、前記外力が
レチクル外側ポッドによって加えられる、請求項15記載のレチクルポッド。
【請求項19】
前記キャップは、第1の磁石を備え、前記外力は、前記レチクルポッドが前記レチクルを受け入れたときに、前記第1の磁石に加えられる反発力である、請求項
18記載のレチクルポッド。
【請求項20】
前記レチクル外側ポッドは、前記ピン組立体に対応した1つまたは2つ以上のプレス部材を備えた蓋を有し、前記プレス部材は、第2の磁石を備え、前記第1の磁石および前記第2の磁石は、前記プレス部材が対応の前記ピン組立体に無接触押圧作用を提供し、それにより前記可動部材を前記レチクルポッドの内側に向かって動かすような仕方で構成されている、請求項
19記載のレチクルポッド。
【請求項21】
前記カバーおよび前記蓋の外部で規定された前記収容空間は、前記カバーの内側に結合する環状弾性部材である
別の弾性部材を受け入れる、請求項
15記載のレチクルポッド。
【請求項22】
レチクルをレチクルポッド内に保持する方法であって、前記レチクルポッドが蓋および基部を有し、前記蓋が1つまたは2つ以上のピン組立体を備え、前記ピン組立体がピンおよびキャップを含み、前記方法は、
前記ピンを前記蓋の底面から突き出た状態で前記蓋の穴内で動くことができるように構成するステップと、
カバーを用意するステップであって、前記蓋の外部に取り付けられ、前記キャップ
および前記キャップの周囲の弾性部材を受け入れて前記キャップが前記弾性部材と前記蓋との間で保持されるようにする収容空間を規定すると共に前記キャップが到達できる最も高い高さ位置を定めるカバーを用意するステップと、
レチクルを前記レチクルポッド内に受け入れて前記ピンが前記レチクルの上面に触れ、それによりピンを持ち上げるようにするステップと、
外力を直接的な仕方か間接的な仕方かのいずれかの仕方で前記キャップに加えて前記キャップが前記ピンを押し、それにより前記ピンが前記レチクルを押圧して前記レチクルポッド内の前記レチクルを安定化するステップとを含む、方法。
【請求項23】
前記間接的な仕方は、前記ピン組立体中に第1の磁石を設けるとともに前記ピン組立体と相互作用するプレス部材中に第2の磁石を設けるステップを含み、前記第1の磁石と前記第2の磁石は、該第1の磁石と該第2の磁石が隣り合うときに互いに反発する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記直接的な仕方は、前記ピン組立体と相互作用するプレス部材によって、前記ピン組立体の
前記キャップを押すように前記弾性部材のバンプに接触させ
て前記弾性部材を付勢するステップを含む、請求項22記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチクルポッド、特に外側レチクルポッドと相互作用することができる保持用ピン組立体を備えたレチクルポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
極紫外線(EUV)製造プロセスで扱われるレチクルは、専用EUV内側ポッドによる保護を必要とする。レチクルを定位置に保持するとともにレチクル内側ポッドの蓋と基部が互いに係合したときにレチクルがレチクル内側ポッド内で動かないようにすることを目的とする既知の対策は、レチクル内側ポッドがレチクル外側ポッド内に受け入れられたときに生じる外力を利用して、外力を吸収する適正な機構体によりレチクル内側ポッド内に固定することである。かくして、レチクル内側ポッドに設けられる保持用ピン組立体は、重要な役割を担う。
【0003】
台湾国特許出願公開第201931007号公報として公開された公開特許文献は、レチクル内側ポッドの蓋に設けられた保持用ピン組立体を開示し、この保持用ピン組立体を外側ポッド蓋の下向き押圧面によって垂直方向下方に動かすと、ピンによってレチクルを押圧することができる。下向き押圧面が下方に圧力を及ぼす場合、保持用ピンの被押圧部材は、保持用ピン組立体のカバーの頂面に平行である。この保持用ピンは、一体形の部材であり、保持用ピンは、外側ポッド蓋が保持用ピンに直接接触すると、押圧力をもたらす。
【0004】
しかしながら、レチクルポッドのコンポーネントの各々が幾つかの避けることのできない製造上の要因(例えば、表面撓み)に起因して機械公差を有する場合のあることが理解されるべきである。上述の特許出願公開において開示されたレチクルポッドに関し、機械公差は、レチクルポッド蓋、および基部の厚さ、保持用ピンの長さ、保持用ピンの押圧面の平坦度、レチクル支持ピンの高さ、ならびに保持用ピンカバーの高さの結果として生じると言える。これら機械公差の合計により、理想的とは言えないレチクル位置決め結果が生じる場合があり、例えば、レチクルは、4本の保持用ピンによっては定位置に固定できず、それによりレチクルポッドの気密封止に悪影響を及ぼすことさえある。この問題は、レチクルがレチクルポッド内に受け入れられた場合にレチクルが保持用ピンを持ち上げたときに生じることがあり、この場合、持ち上げられた保持用ピンは、保持用ピンおよび保持用ピンカバーに累積された公差のゆえにその頂部カバー構造体に衝突する。その結果、ポッドの蓋が押し上げられ、それにより蓋と基部との間に隙間が生じ、これは、気密封止にとって良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】台湾国特許出願公開第201931007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レチクルポッドで必要とされる精度を考慮して、レチクル貯蔵要件を満足させてその気密封止能力を達成するよう機械公差を改善することができる保持用ピン設計を開発することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一目的は、蓋および蓋上に設けられた1つまたは2つ以上のピン組立体を有するレチクルポッドを提供することにある。ピン組立体は、蓋の天井に対して相対的に動くことができるよう構成された可動部材と、弾性部材とを含み、弾性部材は、可動部材が弾性部材と蓋の天井との間に配置されるよう構成される。蓋の天井は、レチクルポッドがレチクルを受け入れていない場合、可動部材が取る第1の高さ位置を定めるよう構成され、弾性部材は、レチクルポッドがレチクルを受け入れている場合、可動部材が第2の高さ位置に存在してレチクルを保持するよう可動部材と協働するような構成になっており、可動部材と協働するよう構成され、第2の高さ位置は、第1の高さ位置よりも高い。
【0008】
本発明の別の目的は、蓋および蓋に設けられた1つまたは2つ以上のピン組立体を有するレチクルポッドを提供することにある。ピン組立体は、蓋の天井に対して相対的に垂直方向に動くことができるよう構成された可動部材を含み、可動部材は、キャップおよび蓋に設けられた穴を突き抜けて蓋の底面から突き出たピンを有し、ピン組立体は、蓋の外部に取り付けられていて可動部材のキャップが到達できる最も高い高さ位置を定めるカバーをさらに含む。ピンは、レチクルがレチクルポッド内に受け入れられるとレチクルの上面に触れ、キャップは、キャップが直接的な外力か間接的な外力かのいずれかを受けたときに、ピンを押してピンがレチクルを保持するよう構成されている。
【0009】
本発明の別の目的は、レチクルをレチクルポッド内に保持する方法を提供することにあり、レチクルポッドは、蓋および基部を有し、蓋は、1つまたは2つ以上のピン組立体を備え、ピン組立体は、ピンおよびキャップを含む。本方法は、ピンを蓋の底面から突き出た状態で蓋の穴内で動くことができるように構成するステップと、蓋の外部に取り付けられてキャップが到達できる最も高い高さ位置を定めるカバーを用意するステップと、レチクルをレチクルポッド内に受け入れてピンがレチクルの上面に触れ、それによりピンを持ち上げるようにするステップと、外力を直接的な仕方か間接的な仕方かのいずれかの仕方でキャップに加えてキャップがピンを押し、それによりピンがレチクルを押圧してレチクルポッド内のレチクルを安定化するステップとを含む。
【0010】
本発明は、添付の図面および以下に与えられる説明を参照すると、より完全に理解できる。図面を参照して、本発明を限定することを意図しておらず、しかも網羅的であることを意図していない種々の実施例について説明する。図中に示されている要素は、構造および関連の原理を説明するために、必ずしも実際の縮尺通りには描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】レチクル外側ポッドおよびレチクル外側ポッド内に受け入れられたレチクルポッドを示す分解組立図である。
【
図2A】
図1に点線で示された平面の断面図であり、本発明にかかるピン組立体の一実施形態を示す図であり、レチクルを備えた状態を示す図である。
【
図2B】
図1に点線で示された平面の断面図であり、本発明にかかるピン組立体の一実施形態を示す図であり、レチクルを備えていない状態を示す図である。
【
図3A】ピン組立体の上記実施形態のコンポーネントを示す図である。
【
図3B】ピン組立体の上記実施形態のコンポーネントを示す図である。
【
図3C】ピン組立体の上記実施形態のコンポーネントを示す図である。
【
図4】上記のピン組立体とレチクルとの相互作用を説明する図である。
【
図5】本発明に係るピン組立体の別の実施形態を示す図である。
【
図6A】
図1に点線で示された平面の断面図であり、本発明にかかるピン組立体の別の実施形態を示す図であり、レチクルを備えた状態を示す図である。
【
図6B】
図1に点線で示された平面の断面図であり、本発明にかかるピン組立体の別の実施形態を示す図であり、レチクルを備えていない状態を示す図である。
【
図7A】ピン組立体の上記実施形態のコンポーネントを示す図である。
【
図7B】ピン組立体の上記実施形態のコンポーネントを示す図である。
【
図7C】ピン組立体の上記実施形態のコンポーネントを示す図である。
【
図8】本発明に係るピン組立体のさらに別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のより完全な説明が添付の図面を参照して以下に与えられており、諸実施例は、例示の実施形態を実証するために提供されている。それにもかかわらず、本発明のクレーム請求された主題を種々の形態で具体化することができ、したがって、権利範囲に含まれまたはクレーム請求された主題の構成は、本明細書に開示された例示のどの実施形態にも限定されるべきではなく、例示の実施形態は、実施例として提供されているに過ぎない。同様に、本発明は、クレーム請求されまたは権利範囲に含まれる主題に関して合理的に広い範囲を提供することが意図されている。さらに、例えば、クレーム請求された主題は、方法、装置、またはシステムとして具体化できる。したがって、特定の実施形態は、例えばハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせ(ノンソフトウェア(non-software)であると呼ばれている)の形態を取ることができる。
【0013】
本明細書で用いられる「実施形態」という用語は、必ずしも、同一の実施形態そのものを指すわけではなく、本明細書で用いられる「他の(幾つかの/ある特定の)実施形態」という用語は、必ずしも、互いに異なる実施形態を指すものではない。本明細書の目的は、例示の実施形態の全てまたは一部の組み合わせを含む諸実施例を用いてクレーム請求された主題を説明することにある。
【0014】
図1は、レチクルポッドを示す分解組立図である。レチクルポッドは、外側ポッド(100)および内側ポッド(110)を有するEUVポッドであるのが良い。理解できることとして、「外側ポッド」および「内側ポッド」という語句は、これらの空間関係を説明するために用いられており、常態では、「レチクルポッド」は、その文脈に応じて、外側ポッドか内側ポッドかのいずれかを意味する場合がある。外側ポッド(100)は、蓋(101)および基部(102)を有し、これらは両方とも、内側ポッド(110)を受け入れるよう互いに係合することができる。内側ポッド(110)は、レチクル(120)を受け入れるよう構成された蓋(111)および基部(112)を有する。内側ポッド(110)の蓋(111)は、多数のピン組立体を備え、これらピン組立体は、内側ポッド(110)の蓋(111)の外部が外側ポッド(100)の蓋(101)の内部と相互作用し、それによりピン組立体が蓋(111)の内側に押圧力をもたらすことができるような仕方で構成されている。以下の段落においてピン組立体の細部について説明する。
【0015】
加うるに、外側ポッド(100)および内側ポッド(110)は、本願では省略された多くの細部を有しており、本発明の関連部分についてのみ説明する。図示されておらずかつ説明されていないが、当業者であれば理解できるように、幾つかの形態では、外側ポッド(100)の蓋(101)は、センサを備えるのが良く、基部(102)は、弁を備えるのが良く、内側ポッド(110)の蓋(111)は、フィルタチャネルを備えるのが良く、内側ポッド(110)の基部(112)は、レチクル収容領域を画定するのが良い。
【0016】
図2Aおよび
図2Bは、
図1の点線によって定められた平面による断面図であり、
図2Aは、レチクルがレチクルポッド内に受け入れられていない状態のピン組立体を示し、
図2Bは、レチクル(R)がレチクルポッド内に受け入れられた状態のピン組立体を示している。
【0017】
図2Aは、レチクルポッド内にレチクルが全く受け入れられていない状態でレチクルポッドの蓋(111)と基部(112)が互いに係合した場合を示している。蓋(111)は、比較的小さい厚さを有する天井(113)および天井(113)を包囲した比較的大きい厚さを備えたシュラウド部分を有している。蓋(111)は、主としてシュラウド部分によって基部(112)の上方に向いた表面と係合しており、その結果、レチクル収容空間の効果的な気密封止または半気密封止状態が内側ポッド(110)内に形成されている。基部(112)は、多数の支持組立体を備えている。
図2Aに示されているように、支持組立体の各々は、支持ピン(114)および2つの制限ピン(115)を含む。これら支持組立体は、レチクル収容領域を画定するとともにレチクルを基部(112)の上方にわずかに持ち上げている。
【0018】
蓋(111)は、多数のピン組立体を備えている。例えば、ピン組立体は、蓋(111)の4つのコーナー部の近くに設けられるのが良い。断面図は、主として蓋(111)の天井(113)に設けられた単一のピン組立体しか示していない。ピン組立体は、カバー(200)、弾性部材(201)、および可動部材(202)を含む。
【0019】
図2Aとともに
図3Aを参照する。カバー(200)は、比較的薄い天井および比較的厚い壁を有する。天井は、全体として平坦であり、壁を貫通して1対の取り付け穴(2001)が形成されており、これら取り付け穴は、カバー(200)を蓋(111)の天井(113)の外部のところで取り付け位置に取り付けるための既知の方式の実施を可能にする。カバー(200)の天井および壁ならびに蓋天井(113)は一緒になって、弾性部材(201)および可動部材(202)の一部分を受け入れる収容空間を画定している。カバー(200)と蓋天井(113)との間には気密封止手段が設けられるのが良い。カバー(200)の高さは、カバー(200)と弾性部材(201)との間に隙間を形成するよう適正に選択されるのが良い。
【0020】
図3Bとともに
図2Aを参照する。弾性部材(201)は、スリーブ(2011)およびこのスリーブから延びる1対の取り付けウィング(2012)を有する。スリーブ(2011)は、天井および壁を有し、スリーブ(2011)の底部は、封止されていない。スリーブ(2011)の天井には、第1の磁石(M1)を収納するための窪みがさらに形成されている。取り付けウィング(2012)は、スリーブ(2011)の壁から延び、これら取り付けウィングは、上述の取り付け穴(2001)に対応した取り付け穴(2014)を有している。
図2Aに示されているように、弾性部材(201)の取り付けウィング(2012)の一部分は、カバー(200)と蓋天井(113)との間にサンドイッチされている。スリーブ(2001)のサイズは、スリーブ(2011)とカバー(200)との間に隙間が形成されるよう選択されるのが良く、かかる隙間は、スリーブ(2011)のある程度の変形、例えば垂直方向変形および横方向変形を可能にする。
【0021】
図3Cとともに
図2Aを参照する。可動部材(202)は、キャップ(2021)およびピン(2022)を有する。キャップ(2021)は、比較的大きな直径を有する。ピン(2022)は、キャップ(2021)の底部から延び、そして蓋天井(113)のピンホールを突き抜けて天井(113)の内側のところに突き出ている。図示のように、レチクルポッドがレチクルを受け入れていない場合、弾性部材(201)と第1の高さ位置(L1)のところに位置する可動部材(202)との間には隙間が形成される。キャップ(2021)は、弾性部材(201)と蓋天井(113)との間に受け入れられ、キャップ(2021)の本体サイズは、スリーブ(2011)の体積の本体サイズよりもわずかに小さく、その結果、キャップ(2021)は、スリーブ(2011)内で垂直方向に動くことができるようになっており、キャップはまた、ピン突出度を定める。蓋天井(113)には、キャップ(2021)の底部と係合するフランジがさらに形成されている。
【0022】
この実施形態では、弾性部材(201)は、可動部材(202)が到達することができる最も高い高さ位置を定めることができ、蓋(111)の天井(113)は、レチクルが受け入れられていない場合、可動部材(202)が到達することができる最も低い高さ位置を定めることができる。他の実施形態では、カバー(200)は、さらに、最も高い高さ位置を定めることができる。
図2Aおよび
図2Bに示されているように、弾性部材(201)のスリーブ(2011)は、変形可能であり、弾性部材(2011)の最も上の内部は、可動部材(202)に関する上方移動範囲を制限することができる。図示のように、スリーブ(2011)の最も上の内部には、キャップ(2021)と合致するバンプがさらに形成されている。変形例として、カバー(200)の頂部を用いて可動部材(202)に関する上方移動範囲を制限することも可能である。
【0023】
図2Aに示されているように、レチクルを受け入れていない状態で、可動部材(202)は、キャップ(2021)が天井(113)に当接した状態で、それ自体の重量により天井(113)上に着座し、ピン(2022)の遠位端は、破線で示されている第1の高さ位置(L1)に到達する。
図2Bに示されているように、レチクルが受け入れられた状態では、レチクル厚さは、ピンを持ち上げてこれが比較的高い第2の高さ位置(L2)に到達するようにし、その結果、キャップ(2021)は、天井(113)を出て弾性部材(201)の頂部に向かって動き、それにより、必ずしも接触状態を引き起こすわけではない。可動部材(202)は、依然として動くことができる。すなわち、持ち上げられた可動部材(202)と弾性部材(201)の頂部との間にはわずかな隙間が存在するのが良く、この時点において、レチクルは、保持されていない。持ち上げられた可動部材(202)が弾性部材(201)の頂部に可撓的に接触してスリーブ(2011)をわずかに変形させる考えられる幾つかの場合に関し、弾性部材(201)とカバー(200)は、これらの間に僅かな隙間が存在している状態で依然として離れていても良くまたはこれらが両方とも可撓的接触状態にあっても良い。
図2Aに示されている弾性部材(201)と可動部材(202)との間の隙間は、
図2Bに示されている2つの高さ位置(L1,L2)相互間の距離にほぼ等しいのが良い。
【0024】
図4は、レチクル外側ポッド蓋(例えば、
図1の蓋101)がレチクルポッドに装着されている場合を示している。蓋(101)の内側は、ピン組立体に対応するよう多数のプレス部材(400)を備えている。プレス部材(400)の遠位端部は、第2の磁石(M2)を有し、その結果、第2の磁石(M2)は、プレス部材(400)の遠位端部が対応のピン組立体に接近しまたはこれに触れたときにピンの第1の磁石(M1)にほぼ隣接して位置するのが良い。第1の磁石(M1)と第2の磁石(M2)は、互いに向いた同一の極を有し、したがって、2つの閉じられた磁石は、互いに反発し、それにより弾性部材(201)は、下方に変形して可動部材を下方の高さ位置に向かって押す。次に、ピン(2022)は、押圧力をレチクルの上面に及ぼしてレチクルをしっかりと保持する。考えられる幾つかの形態では、ピン(2022)は、押圧力をレチクルの縁に及ぼすよう構成されているのが良い。
【0025】
図5は、カバー(200)および可動部材(202)が上述の実施形態とほぼ同じであるが、上述の弾性部材(201)が設けられておらず、第1の磁石が上記とは異なりキャップ上に載せられている本発明の別の実施形態を示している。この実施形態は、可動部材(202)とレチクルポッド蓋(111)の天井(113)との間に保持された別の弾性部材(500)を示しており、それにより垂直方向の変形が可能である。この形態では、カバー(200)の頂部は、可動部材(202)が到達することができる最も高い高さ位置を定め、弾性部材(500)は、可動部材(202)が到達することができる最も低い高さ位置を定める。具体的には、弾性部材(500)は、環状弾性部材であり、この弾性部材は、カバー(200)の内部に形成された連結部材(501)に結合している。例えば、環状弾性部材は、断面図で見て、連結部材(501)と合致する凹部を有する。
【0026】
図4のプレス部材(400)が
図5のピン部材に接近する第2の磁石(M2)を有する状態で、可動部材(202)は、下方の高さ位置に向かって移動して弾性部材(500)を変形させるようになっている。弾性部材(500)の変形により、可動部材(202)の下向きの力を軽減することができ、それによりレチクルの上面に働く過剰の押し下げが回避されるようになっている。
【0027】
上述の実施形態は、複合材料で構成されたピン組立体により提供される無接触(間接的)押圧機構体を例示している。本発明に係るピン組立体の以下の実施形態は、接触(直接的)押圧機構体を示している。
【0028】
図6Aおよび
図6Bは、本発明に係るピン組立体の他の実施形態を示しており、これらの図は、
図1に点線によって定められた平面による段目図であり、この場合、
図6Aは、レチクルを受け入れていない場合のレチクルポッドのピン組立体を示し、
図6Bは、レチクルがレチクルポッド内に受け入れられた場外のレチクルポッドのピン組立体を示している。
【0029】
図6Aは、レチクルを受け入れていない状態でレチクルポッド蓋(111)が基部(112)に係合している場合を示している。蓋(111)は、わずかな厚さを有するとともに天井(113)を包囲する比較的大きな厚さを備えたシュラウド部分を有する。蓋(111)は、主としてシュラウド部分によって基部(112)の上方に向いた表面と係合しており、その結果、レチクル収容空間の効果的な気密封止または半気密封止状態が内側ポッド(110)内に形成されている。基部(112)は、多数の支持組立体を備えている。
図6Aに示されているように、支持組立体の各々は、支持ピン(114)および2つの制限ピン(115)を含む。これら支持組立体は、レチクル収容領域を画定するとともにレチクルを基部(112)の上方にわずかに持ち上げている。
【0030】
蓋(111)は、多数のピン組立体を備えている。例えば、ピン組立体は、蓋(111)の4つのコーナー部の近くに設けられるのが良い。断面図は、主として蓋(111)の天井(113)に設けられた単一のピン組立体しか示していない。ピン組立体は、カバー(600)、弾性部材(601)、および可動部材(602)を含む。
【0031】
図7Aとともに
図6Aを参照する。カバー(600)は、比較的薄い天井および比較的厚い壁を有する。天井は、全体として平坦であり、壁を貫通して1対の取り付け穴(6001)が形成されており、これら取り付け穴は、カバー(600)を蓋(111)の天井(113)の外部のところで取り付け位置に取り付けるための既知の方式の実施を可能にする。カバー(600)の天井および壁ならびに蓋天井(113)は一緒になって、弾性部材(601)および可動部材(602)の一部分を受け入れる収容空間を画定している。この収容空間は、穴(6002)がカバー(600)の天井の中心のところで開かれているので封止されておらず、このことは、収容空間がカバー(600)の外側に通じていることを意味している。カバー(600)の高さおよび穴(6002)のサイズは、カバー(600)と弾性部材(601)との間に穴を形成するよう適正に選択されるのが良い。
【0032】
図7Bとともに
図6Aを参照する。弾性部材(601)は、スリーブ(6011)およびこのスリーブから延びる1対の取り付けウィング(6012)を有する。スリーブ(6011)は、天井および壁を有し、スリーブ(6011)の底部は、封止されていない。スリーブ(6011)の天井には、バンプ(6013)がさらに形成され、このバンプ(6013)のサイズは、穴(6002)の直径よりもわずかに小さい。取り付けウィング(6012)は、スリーブ(6011)の壁から延び、これら取り付けウィングは、上述の取り付け穴(6001)に対応した取り付け穴(6014)を有している。
図6Aに示されているように、弾性部材(601)の取り付けウィング(6012)の一部分は、カバー(600)と蓋天井(113)との間にサンドイッチされている。スリーブ(6011)のサイズは、スリーブ(6011)とカバー(600)との間に隙間が形成されるよう選択されるのが良く、かかる隙間は、スリーブ(6011)のある程度の変形、例えば垂直方向変形および横方向変形を可能にする。加うるに、バンプ(6013)は、カバー(600)の穴(6002)から露出しており、特に、バンプ(6013)は、これに力が何ら加えられない場合にはカバー(600)の天井の上向きの表面から突き出ている。図示のバンプ(6013)は、上向きの平坦な表面を有するが、この表面は、傾斜した表面であっても良くまたはこれに代えて湾曲した表面であっても良い。多数の支持ブロック(6015)がバンプ(6013)の周囲のところにさらに形成されるのが良く、これら支持ブロック(6015)は、スリーブ(6011)を安定化するようカバー(600)の内部に当接する。注目されるように、空気が穴(6002)を通ってレチクルポッドに入るのを避けるためにカバー(600)と取り付けウィング(6012)との間には気密封止手段が設けられるべきである。
【0033】
図7Cとともに
図6Aを参照する。可動部材(602)は、キャップ(6021)およびピン(6022)を有する。キャップ(6021)は、比較的大きな直径を有する。ピン(6022)は、キャップ(6021)の底部から延び、そして蓋天井(113)のピンホールを突き抜けて天井(113)の内側のところに突き出ている。図示のように、レチクルポッドがレチクルを受け入れていない場合、弾性部材(601)と第1の高さ位置(L1)のところに位置する可動部材(602)との間には隙間が形成される。加うるに、レチクルポッドがレチクル(R)を受け入れていない場合、ピン(6022)は、一長さ分が天井(113)の下向きの表面から突き出ており、この長さは、レチクル(R)が受け入れられたときのレチクル(R)の上面と蓋天井(113)の下向きの表面との間の距離よりも大きい。キャップ(6021)は、弾性部材(601)と蓋天井(113)との間に受け入れられ、キャップ(6021)の本体サイズは、スリーブ(6011)の体積の本体サイズよりもわずかに小さく、その結果、キャップ(6021)は、スリーブ(6011)内で垂直方向に動くことができるようになっており、キャップはまた、ピン突出度を定める。蓋天井(113)には、キャップ(6021)の底部と係合するフランジがさらに形成されている。可動部材(602)は、弾性部材(601)の材料よりも比較的硬い材料で作られるのが良い。
【0034】
この実施形態では、弾性部材(601)は、可動部材(602)が到達することができる最も高い高さ位置を定めることができ、蓋(111)の天井(113)は、レチクルが受け入れられていない場合、可動部材(602)が到達することができる最も低い高さ位置を定めることができる。他の実施形態では、カバー(600)は、さらに、最も高い高さ位置を定めることができる。
図6Aおよび
図6Bに示されているように、弾性部材(601)のスリーブ(6011)は、変形可能であり、弾性部材(6011)の最も上の内部は、可動部材(602)に関する上方移動範囲を制限することができる。図示のように、スリーブ(6011)の最も上の内部には、キャップ(6021)と合致するバンプがさらに形成されている。変形例として、カバー(600)の頂部を用いて可動部材(602)に関する上方移動範囲を制限することも可能である。
【0035】
図6Aに示されているように、レチクルを受け入れていない状態で、可動部材(602)は、キャップ(6021)が天井(113)に当接した状態で、それ自体の重量により天井(113)上に着座し、ピン(6022)の遠位端は、破線で示されている第1の高さ位置(L1)に到達する。
図6Bに示されているように、レチクルが受け入れられた状態では、レチクル厚さは、ピンを持ち上げてこれが比較的高い第2の高さ位置(L2)に到達するようにし、その結果、キャップ(6021)は、天井(113)を出て弾性部材(601)の頂部に向かって動き、それにより、必ずしも接触状態を引き起こすわけではない。可動部材(602)は、依然として動くことができる。すなわち、持ち上げられた可動部材(602)と弾性部材(601)の頂部との間にはわずかな隙間が存在するのが良く、この時点において、レチクルは、保持されていない。持ち上げられた可動部材(602)が弾性部材(601)の頂部に可撓的に接触してスリーブ(6011)をわずかに変形させる考えられる幾つかの場合に関し、弾性部材(601)とカバー(600)は、これらの間に僅かな隙間が存在している状態で依然として離れていても良くまたはこれらが両方とも可撓的接触状態にあっても良い。
図6Aに示されている弾性部材(601)と可動部材(602)との間の隙間は、
図6Bに示されている2つの高さ位置(L1,L2)相互間の距離にほぼ等しいのが良い。
【0036】
図6Bは、レチクル外側ポッド蓋(例えば、
図1の蓋101)がレチクルポッドに装着されている場合をさらに示している。蓋(101)の内側は、ピン組立体に対応するよう多数のプレス部材(600)を備えている。プレス部材(604)の遠位端部は、平坦な表面を有し、この平坦な表面は、プレス部材(604)の遠位端部が対応のピン組立体に接近しまたはこれに触れたときに対応の露出バンプ(6013)に接触してこの上に乗ることができるようになっている。弾性部材(601)は、プレス部材(604)によって加えられた力を受けて変形し、そして変形した弾性部材(601)は、可動部材(602)を下方の高さ位置に向かって押す。次に、ピン(6022)は、押圧力をレチクルの上面に及ぼしてレチクルをしっかりと保持する。考えられる幾つかの形態では、ピン(6022)は、押圧力をレチクルの縁に及ぼすよう構成されているのが良い。
【0037】
他の考えられる実施形態は、プレス部材(604)の遠位端部は、必ずしも平坦な表面ではない。プレス部材(604)の遠位端部は、プレス部材(604)がカバー(600)にわずかに入ることができるようカバー(600)の穴(6002)と合致するような構造になっているのが良い。バンプ(6013)は、必ずしも、カバー(600)の頂面から突き出る必要はない。バンプ(6013)は、穴(6002)の下方に位置する高さ位置のところにあるのが良い。変形例として、カバー(600)は、バンプ(6013)よりも高くても良い。
【0038】
図8は、本発明に係るピン組立体の別の実施形態を示しており、このピン組立体は、カバー(800)、第1の弾性部材(801)、可動部材(802)、および第2の弾性部材(803)を含む。カバー(800)は、
図7Aの上述のカバー(600)とほぼ同じである。第1の弾性部材(801)は、カバー(800)の天井と可撓部材(802)のキャップとの間に配置され、第1の弾性部材(801)は、カバー(800)の天井と可動部材(802)のキャップとの両方と接触状態にある。第2の弾性部材(803)は、可動部材(802)と蓋天井(113)との間に配置され、この第2の弾性部材(803)は、可動部材(802)および蓋天井(113)と接触状態にある。
【0039】
第1の弾性部材(801)の天井にはバンプが形成され、このバンプは、カバー(800)の穴を通って露出し、そしてカバー(800)の天井から突き出ている。第1の弾性部材(801)は、その側部に形成された支持ブロック(8011)または支持環状部を有するのが良く、この支持ブロックは、
図7Bの上述の支持ブロック(6015)とほぼ同じであり、かつ可動部材(802)を安定化するようカバー(800)の内部に当接するよう構成されている。第1の弾性部材(801)は、前もって可動部材(802)のキャップに取り付けられるのが良く、次に、カバー(800)がこれらの接触を完了するよう取り付けられるのが良い。具体的には、第2の弾性部材(803)は、Oリングであるのが良く、可動部材(802)の底部には、第2の弾性部材(803)と合致する適当な構造体が形成されるのが良い。それにより、カバー(800)および弾性部材(801)は、レチクルが持ち上げられたときに可動部材(802)が到達することができる最も高い高さ位置を定めることができ、第2の弾性部材(803)は、上述のプレス部材によって押圧されると、可動部材(802)が到達することができる最も低い高さ位置を定めることができる。考えられる他の実施形態では、第1の弾性部材(801)は、上述の第1の磁石(M1)を備えるのが良く、第1の弾性部材(801)のバンプ頂部は、カバー(800)の天井の下に位置するのが良い。
【0040】
上述の実施形態では、弾性部材(201,601)ならびに可動部材(202,602)は、互いに別個独立の部材であり、他方、弾性部材(801)と可動部材(802)は、互いに結合する。それにもかかわらず、他の考えられる実施形態では、そして解釈によれば、弾性部材は、可動部材をキャップの一部分とみなすことができる。換言すると、弾性部材全体をまたは一部を可動部材全体の一部とみなすことができる。かくして、力を可動部材のキャップに加えることは、力を弾性部材に加えることに等しいといえる。
【0041】
上述の実施形態では、弾性部材は、プレス部材からの過剰の押圧力を吸収する弾性または軟質材料で作られている。弾性部材は、比較的小さな硬度、例えばショアー押込硬度が20から80までの範囲にある材料で作られるのが良い。閉経例として、弾性部材の硬度は、材料の構造的特徴を変更することによって、例えば多孔質または中空構造体を採用することによって達成できる。
【0042】
上述の実施形態に関する説明を考慮して、本発明は、情報がマシンプラットホームによって識別可能なレチクルポッドおよびかかるレチクルポッドを識別する方法を開示しており、その結果、レーザ検出方式を備えた処理装置は、レチクルポッド情報識別をさらに提供することができ、それにより製造プロセスにおけるデータ操作具合が向上する。
【符号の説明】
【0043】
100 外側ポッド
101,111 蓋
102,112 基部
110 内側ポッド
113 天井
114 支持ピン
115 制限ピン
200,600,800 カバー
201,500,601 弾性部材
202,602 可動部材
400 プレス部材
2011 スリーブ
2021 キャップ
2022 ピン
8011 支持ブロック
M1 第1の磁石
M2 第2の磁石