(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】仮想通貨管理装置、仮想通貨管理システム、仮想通貨管理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20230313BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230313BHJP
【FI】
G06Q20/06
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021036125
(22)【出願日】2021-03-08
(62)【分割の表示】P 2018150987の分割
【原出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504159431
【氏名又は名称】GMOメディア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕史
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036893(JP,A)
【文献】特許第6345871(JP,B1)
【文献】特許第6224283(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0140408(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0068888(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行者端末、依頼者端末、およびブロックチェーンネットワークとネットワークを通じて接続され、
前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBと、
前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するポイント預託部と、
前記実行者端末によるタスクの実行に基づいて生成されるタスク完了信号の受信に応じて、前記ブロックチェーンネットワークから送信される
、前記預託される有価価値に応じて前記ポイントDBに付与された前記ポイントに対応する仮想通貨を受領する仮想通貨受領部と、
を備える、仮想通貨管理装置。
【請求項2】
前記ポイント預託部は、ネットワークを通じて仮想通貨および法定通貨の交換レートを参照し、前記交換レートに応じて前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与する、請求項1記載の仮想通貨管理装置。
【請求項3】
前記実行者端末から前記ブロックチェーンネットワークに対しタスク完了信号が送信されるとき、前記実行者端末が前記ブロックチェーンネットワークから前記タスクに応じた仮想通貨を受領したことを検知する受領検知部をさらに備え、前記受領検知部は、前記ポイントDBに記憶されている保有ポイントのうち、前記仮想通貨に相当する分のポイントを失効させる、
請求項1又は2記載の仮想通貨管理装置。
【請求項4】
前記仮想通貨受領部により受信される前記仮想通貨の量に相当する有価価値を、さらに別の有価価値に交換するポイント交換部をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれかに記載の仮想通貨管理装置。
【請求項5】
前記実行者端末から、前記タスクに対する報酬を仮想通貨で受領するか、ポイントで受領するかの判別を要求する判別要求が送信されるとき、いずれで受領するかを判別する判別部をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれかに記載の仮想通貨管理装置。
【請求項6】
前記判別部は、前記スマートコントラクトが生成された第1時点での仮想通貨および法定通貨の交換レートと、前記タスクが実行された第2時点での前記交換レートと、を比較し、前記報酬に対する法定通貨の価値が高い方の形態で受領することを決定する、
請求項5記載の仮想通貨管理装置。
【請求項7】
ブロックチェーンネットワークと、
仮想通貨管理装置と、
前記ブロックチェーンネットワークにスマートコントラクトの実行請求および前記スマートコントラクトの実行に必要な預託処理を送信する依頼者端末と、
タスクを実行し、前記タスクに応じたポイント交換要求を生成して前記仮想通貨管理装置に送信する実行者端末と、
がネットワークを介して通信可能に構成されるシステムであって、
前記仮想通貨管理装置は、
前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBと、
前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するポイント預託部と、
前記実行者端末によるタスクの実行に基づいて生成されるタスク完了信号の受信に応じて前記ブロックチェーンネットワークから送信される
、前記預託される有価価値に応じて前記ポイントDBに付与された前記ポイントに対応する仮想通貨を受領する仮想通貨受領部と、
を備える、仮想通貨管理システム。
【請求項8】
実行者端末、依頼者端末、およびブロックチェーンネットワークとネットワークを通じて接続される仮想通貨管理装置が、仮想通貨を管理する方法であって、
前記仮想通貨管理装置は、前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBを有し、
前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するステップと、
前記実行者端末によるタスクの実行に基づいて生成されるタスク完了信号の受信に応じて前記ブロックチェーンネットワークから送信される
、前記預託される有価価値に応じて前記ポイントDBに付与された前記ポイントに対応する仮想通貨を受領するステップと、
を含む、仮想通貨の管理方法。
【請求項9】
実行者端末、依頼者端末、およびブロックチェーンネットワークとネットワークを通じて接続されるコンピュータに実行させる仮想通貨の管理プログラムであって、
前記コンピュータは、前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBを有し、
前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与する命令と、
前記実行者端末によるタスクの実行に基づいて生成されるタスク完了信号の受信に応じて前記ブロックチェーンネットワークから送信される
、前記預託される有価価値に応じて前記ポイントDBに付与された前記ポイントに対応する仮想通貨を受領する命令と、
をコンピュータに実行させる、仮想通貨の管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想通貨管理装置、仮想通貨管理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タスクを依頼する依頼者と、当該タスクを実行するタスク実行者とが、ネットワーク上において契約関係を結び、タスク実行者の実行タスクに応じて、依頼者からタスク実行者に報酬が支払われる仕組みが知られている。
【0003】
タスクは、例えばインターネット上で行われる作業であって、メッセージを開封又は読了するタスク、アンケートの回答、寄稿、投稿、又は所定の事象に対するレビュー等を行うタスクが想定される。
【0004】
このようなネットワーク上の契約関係においては、互いの信頼関係に関わらず安心して確実に契約が遂行されるスマートコントラクトを利用可能であることが知られている。スマートコントラクトは、ブロックチェーン技術を利用しており、仮想通貨を用いた財産の授受を、中間者を介在させずに行うことができる。タスク実行者によりタスクが実行されると、スマートコントラクトは、依頼者からあらかじめ預託されている仮想通貨のうち達成タスクに応じた量をタスク実行者に支払う。スマートコントラクトによれば、中間者を介在させずに財産の授受を行うことができる。また、上述のようなネットワーク上のタスクに係る報酬は、現実世界の一般的な契約において発生する報酬に比べて非常に低額であるものが多いため、中間者の手数料を発生させずに報酬をやり取りできることは非常に有用である。
【0005】
しかしながら、金融庁「仮想通貨管理業等に関する研究会」で提出された資料によれば、仮想通貨の取引口座を有する日本国内人口は、現在350万人程度であり、仮想通貨による報酬を受け取るのが容易でないタスク実行者も多いことが想定される。そこで、スマートコントラクトによる取引の高信頼性および低手数料の利点を活かしつつ、仮想通貨を受け取るのが容易でないタスク実行者に対しても簡便に報酬を支払うことができる仮想通貨管理装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-151802号
【文献】特開2018-036893号
【文献】特開2016-081134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、仮想通貨の管理方法等の発明であり、ユーザ端末のアプリケーション上で特定の行為が実行されると、仮想通貨がユーザに発行されることが記載されている。特許文献2には、インターネット上の個人間支払を想定して、スマートコントラクトを生成する生成プログラムが開示されている。しかしながら、いずれの文献にも、仮想通貨の取引口座を有さないユーザが有価価値を受け取る方法については記載がない。
【0008】
特許文献2には、二次元コードを広告に付与することによって、広告を閲覧したユーザに特典を付与する広告閲覧促進システムが開示されている。しかしながら、この特典も、公開鍵暗号方式に基づく電子暗号通貨を前提にしており、電子暗号通貨を受け取り可能な取引口座を有さないユーザが有価価値を受け取る方法については記載がない。
【0009】
そこで、本発明は、スマートコントラクトによる取引において、タスク実行者が仮想通貨および別の有価価値のうちいずれで報酬を受け取るかを選択可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の観点にかかる仮想通貨管理装置は、実行者端末、依頼者端末、およびブロックチェーンネットワークとネットワークを通じて接続され、依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイント、および実行者端末を有する実行者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBと、依頼者端末からブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成、およびスマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するポイント預託部と、実行者端末により、タスクの実行とともに送信されるポイント交換要求を受信する要求受信部と、ポイント交換要求に基づいて、ブロックチェーンネットワークに対しタスク完了信号を送信するタスク完了信号送信部と、タスク完了信号に応じてブロックチェーンネットワークから送信される仮想通貨を受領する仮想通貨受領部と、を備える。
【0011】
また、前記ポイント預託部は、ネットワークを通じて仮想通貨および法定通貨の交換レートを参照し、前記交換レートに応じて前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記実行者端末から前記ブロックチェーンネットワークに対しタスク完了信号が送信されるとき、前記実行者端末が前記ブロックチェーンネットワークから前記タスクに応じた仮想通貨を受領したことを検知する受領検知部をさらに備え、前記受領検知部は、前記ポイントDBに記憶されている保有ポイントのうち、前記仮想通貨に相当する分のポイントを失効させるように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記仮想通貨受領部により受信される前記仮想通貨の量に相当する有価価値を、さらに別の有価価値に交換するポイント交換部をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、前記実行者端末から、前記タスクに対する報酬を仮想通貨で受領するか、ポイントで受領するかの判別を要求する判別要求が送信されるとき、いずれで受領するかを判別する判別部をさらに備えていてもよい。
【0015】
また、前記判別部は、前記スマートコントラクトが生成された第1時点での仮想通貨および法定通貨の交換レートと、前記タスクが実行された第2時点での前記交換レートと、を比較し、前記報酬に対する法定通貨の価値が高い方の形態で受領することを決定するように構成されていてもよい。
【0016】
本発明の一の観点にかかる仮想通貨管理システムは、ブロックチェーンネットワークと、仮想通貨管理装置と、前記ブロックチェーンネットワークにスマートコントラクトの実行請求および前記スマートコントラクトの実行に必要な預託処理を送信する依頼者端末と、タスクを実行し、前記タスクに応じたポイント交換要求を生成して前記仮想通貨管理装置に送信する実行者端末と、がネットワークを介して通信可能に構成されるシステムであって、前記仮想通貨管理装置は、 前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイント、および前記実行者端末を有する実行者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBと、前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成、および前記スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するポイント預託部と、前記実行者端末により、タスクの実行とともに送信されるポイント交換要求を受信する要求受信部と、前記ポイント交換要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークに対しタスク完了信号を送信するタスク完了信号送信部と、前記タスク完了信号に応じて前記ブロックチェーンネットワークから送信される仮想通貨を受領する仮想通貨受領部と、を備える、仮想通貨管理システム。
【0017】
本発明の一の観点にかかる仮想通貨の管理方法は、実行者端末、依頼者端末、およびブロックチェーンネットワークとネットワークを通じて接続される仮想通貨管理装置が、仮想通貨を管理する方法であって、前記仮想通貨管理装置は、前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイント、および前記実行者端末を有する実行者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBを有し、前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成、および前記スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与するステップと、前記実行者端末により、タスクの実行とともに送信されるポイント交換要求を受信するステップと、前記ポイント交換要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークに対しタスク完了信号を送信するステップと、前記タスク完了信号に応じて前記ブロックチェーンネットワークから送信される仮想通貨を受領するステップと、を含む。
【0018】
本発明の一の観点にかかる仮想通貨の管理プログラムは、実行者端末、依頼者端末、およびブロックチェーンネットワークとネットワークを通じて接続されるコンピュータに実行させる仮想通貨の管理プログラムであって、前記コンピュータは、前記依頼者端末を有する依頼者に紐付けられる保有ポイント、および前記実行者端末を有する実行者に紐付けられる保有ポイントを記憶するポイントDBを有し、前記依頼者端末から前記ブロックチェーンネットワークに、スマートコントラクトの生成、および前記スマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、前記預託される有価価値に応じたポイントを前記ポイントDBに付与する命令と、前記実行者端末により、タスクの実行とともに送信されるポイント交換要求を受信する命令と、前記ポイント交換要求に基づいて、前記ブロックチェーンネットワークに対しタスク完了信号を送信する命令と、前記タスク完了信号に応じて前記ブロックチェーンネットワークから送信される仮想通貨を受領する命令と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スマートコントラクトによる取引において、タスク実行者が仮想通貨および別の有価価値のうちいずれで報酬を受け取るかを選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる仮想通貨管理装置、およびネットワークを通じて接続される各構成が備える機能を示す機能ブロック図である。
【
図2】依頼者からの依頼作成要求に応じて、上記仮想通貨管理装置により実行される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図3】依頼者からの依頼作成要求に応じて、上記仮想通貨管理装置により実行される処理の流れを示したシーケンス図の別の例である。
【
図4】タスク実行者によるタスクの達成に応じて、上記仮想通貨管理装置によりタスク実行者に仮想通貨が移動される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図5】タスク実行者によるタスクの達成に応じて、上記仮想通貨管理装置によりタスク実行者に仮想通貨が移動される処理の流れを示したシーケンス図の別の例である。
【
図6】タスク実行者によるタスクの達成に応じて、上記仮想通貨管理装置によりタスク実行者にポイントが付与され、ポイントがさらに別の有価価値に交換される処理の流れを示したシーケンス図である。
【
図7】本発明の第2実施形態にかかる仮想通貨管理装置が備える機能を示す機能ブロック図である。
【
図8】上記仮想通貨管理装置が、タスク実行者に対し報酬を仮想通貨で支払うか、ポイントで支払うかを自動で判別するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる仮想通貨管理装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
●仮想通貨管理装置(1)●
図1に、本発明の実施形態に係る仮想通貨管理装置1の構成を示す。仮想通貨管理装置1は、依頼者からの要請に応じて、パブリックブロックチェーンを利用するプラットフォームにおける商取引等の契約を示すプログラムである、「スマートコントラクト」を生成する装置(コンピュータの例)である。スマートコントラクトは、所定のタスクと、当該タスクに応じた報酬とが紐づけられて契約として管理されていて、タスク実行者がタスクを実行すると、紐づけられた報酬が支払われる。仮想通貨管理装置1は、タスク実行者によりタスクが実行されると、スマートコントラクトにより契約されている内容に基づいて、タスク実行者に仮想通貨又は別の有価価値により報酬を支払う装置である。
【0023】
本実施の形態においてタスクとは、また、銀行口座等の開設、サービスの登録又は利用を行うタスクも含まれる。これらのタスクは、成功報酬型広告(「アフィリエイト・マーケティング」ともいう。)と呼ばれる。広告に対して指定されたタスクが実行された場合に、依頼者、すなわち広告主から、タスク実行者に報酬が支払われる。この場合、依頼者は広告主、タスク実行者は一般消費者等が想定される。また、このタスクには、タスク実行者によるSNS又はブログ上の投稿を依頼者が引用することを許可するタスク等も含まれる。この場合の依頼者は、キュレーションサイトの運営者、キュレーター、および各種マスメディア等が想定される。タスク実行者は、SNSの利用者、ブログの記載者等が想定される。
【0024】
本説明においては、ブロックチェーンを利用する所定のプラットフォームをブロックチェーンネットワーク50と称する。ブロックチェーンネットワーク50は、イーサリアム(Ethereum)等、ブロックチェーンを利用した既存の暗号通貨による取引が可能なネットワークである。なお、独自の仮想通貨による取引が可能であってもよい。
【0025】
ブロックチェーンネットワーク50におけるスマートコントラクトとは、ブロックチェーンネットワーク50上において交わされる契約である。スマートコントラクトは、デジタル形式で記述され、契約内容として設定された条件が達成された場合には、あらかじめ設定された内容に従い、自動的に処理が実行されるプログラムである。ブロックチェーンは、中央管理システム等を必要とせずに情報の信頼性を保持する仕組みを有する。このため、スマートコントラクトを生成することで、依頼者およびタスク実行者は、商取引を仲介するサーバ等を介さずに商取引を行うことができる。
【0026】
本実施の形態において、例えば、依頼者は、「メールを開封する」といったあるタスクを実行した実行者に対して、所定の報酬を支払う旨のスマートコントラクトを生成する。そして、ブロックチェーンネットワーク50は、このスマートコントラクトを管理する。また、タスク実行者は、例えばメール又はインターネットサイト上から、スマートコントラクトに紐づけられているタスクの内容を知ることができる。タスク実行者が「メールを開封する」タスクを実行し、タスクが完了した旨の信号(以下、「タスク完了信号」ともいう。)がブロックチェーンネットワーク50によって受信されると、ブロックチェーンネットワーク50はタスク完了信号を送信した端末に紐づく口座に、完了されたタスクに対応する報酬を支払う。
【0027】
図1に示すように、仮想通貨管理装置1は、依頼者が利用する依頼者端末30、タスク実行者が利用する実行者端末40、ブロックチェーンネットワーク50、および法定通貨レート記憶部60と、ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。仮想通貨管理装置1、依頼者端末30、実行者端末40、ブロックチェーンネットワーク50、および法定通貨レート記憶部60相互の通信は、本実施形態においては無線であるが、一部または全部の接続が有線であってもよい。
【0028】
●依頼者端末30
依頼者端末30は、広告主等のタスクの依頼者が操作する端末である。依頼者端末30は、タスクの内容、当該タスクが実行されるときにタスク実行者に支払われる報酬、およびタスクの総数を入力可能である。また、依頼者端末30は、依頼作成時に、スマートコントラクトの生成に必要な預託財産をブロックチェーンネットワーク50に預託する、預託信号を送信可能である。預託財産は、例えば入力されるタスクに設定される報酬の総額と同等、又は同等以上の有価価値である。預託財産は、依頼者の口座から支払われ、例えば仮想通貨、より具体的には暗号通貨としてブロックチェーンネットワーク50上で管理される。
【0029】
依頼者端末30は、例えばスマートホンやタブレット端末、又はコンピュータである。依頼者端末30は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などにより、入出力部31、及び通信処理部32からなる機能ブロックを構成する。
【0030】
入出力部31は、データを入出力するためのディスプレイやタッチパネル、音声データを入出力するためのマイクやスピーカ等によって実現される。
【0031】
通信処理部32は、インターネット等のネットワークNWを介し、仮想通貨管理装置1およびブロックチェーンネットワーク50と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部であって、アプリまたは、Webブラウザ等により実現される。
【0032】
●実行者端末40
実行者端末40は、タスクを実行するタスク実行者が操作する端末である。実行者端末には、依頼者端末30からタスクに関する情報が通知される。タスクに関する情報とは、例えばタスクの内容や、設定される報酬である。また、実行者端末40は、タスクに関する情報の通知に対して、依頼を承諾した旨の信号(以下、「承諾信号」ともいう。)を送信する。さらに、実行者端末40は、タスクを実行可能に構成されている。すなわち例えば、実行者端末40は、メールの開封作業や、タスク実行者により入力された文章や、タスク実行者により依頼者からの申し出が承認された旨の情報等を、所定の送付先に送付する動作等が可能である。
【0033】
実行者端末40は、例えばスマートホンやタブレット端末、又はコンピュータである。実行者端末40は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などにより、入出力部41、仮想通貨受取要求部42、ポイント受取要求部43、承諾送信部44、及び通信処理部45からなる機能ブロックを構成する。
【0034】
入出力部41は、データを入出力するためのディスプレイやタッチパネル、音声データを入出力するためのマイクやスピーカ等によって実現される。入出力部41は、タスクを実行する操作が入力可能である。また、入出力部41は、タスク実行者がタスクに対応する報酬を仮想通貨で受領するか、別の有価価値で受領するかの選択結果を入力可能である。
【0035】
仮想通貨受取要求部42は、入出力部41から、実行されたタスクに対応する報酬を仮想通貨により受領する旨の指示が受信された場合に、ブロックチェーンネットワーク50に対してタスク完了信号を送信する機能部である。
【0036】
ポイント受取要求部43は、実行されたタスクに対する報酬をポイントにより受け取る旨の選択が入力された場合に、仮想通貨管理装置1の後述する要求受信部13に対してポイントの受取要求を送信する機能部である。ポイントは、別の有価価値の例である。ポイントの受取要求を受信した仮想通貨管理装置1は、ブロックチェーンネットワーク50に対してタスク完了信号を送信する。
【0037】
承諾送信部44は、タスクに関する情報の通知に対して、ブロックチェーンネットワーク50に承諾信号を送信する機能部である。また、承諾送信部44は、承諾信号に代えて、承諾要求を仮想通貨管理装置1に送信してもよい。承諾要求を受信した仮想通貨管理装置1は、後述する承諾信号送信部19からブロックチェーンネットワーク50に承諾信号を送信する。
【0038】
通信処理部45は、インターネット等のネットワークNWを介し、仮想通貨管理装置1およびブロックチェーンネットワーク50と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部であって、アプリまたは、Webブラウザ等により実現される。
【0039】
●法定通貨レート記憶部60
法定通貨レート記憶部60は、ブロックチェーンネットワーク50にて管理される仮想通貨と、法定通貨との現在のレートを記憶する記憶装置である。仮想通貨管理装置1は、ネットワークNWを通じて、法定通貨レート記憶部60から現在の仮想通貨-法定通貨レートを取得可能である。また、法定通貨レート記憶部60は、過去の仮想通貨-法定通貨レートも記憶し、仮想通貨管理装置1により参照可能に構成されていてもよい。
【0040】
●仮想通貨管理装置1
前述したように、仮想通貨管理装置1は、タスク実行者によりタスクが実行されると、スマートコントラクトにより契約されている内容に基づいて、タスク実行者に対して仮想通貨又は別の有価価値により報酬を支払う装置である。具体的には、仮想通貨管理装置1は、依頼者端末30からの依頼を受け付け、依頼者端末30の操作によりブロックチェーンネットワーク50に預託された仮想通貨を、同額のポイントとして記録する。そして、実行者端末40がポイントで報酬を受領する場合は、仮想通貨管理装置1がブロックチェーンネットワーク50に対してタスク完了信号を送信し、報酬の仮想通貨を受領した後、当該報酬に対応するポイントに交換して実行者端末40に送付する。同時に、預託されているポイントを償却させる。実行者端末40が仮想通貨で報酬を受領する場合は、仮想通貨がブロックチェーンネットワーク50から実行者端末40に移動したことを検知して預託されているポイントを失効させる。
【0041】
図1に示すように、仮想通貨管理装置1は、ポイントDB11、ポイント預託部12、要求受信部13、タスク完了信号送信部14、仮想通貨受領部15、ポイント交換部16、受領検知部17、ポイント失効部18、承諾信号送信部19、および通信処理部20からなる各機能ブロックを構成する。
【0042】
ポイントDB11は、依頼者端末30を有する依頼者に紐付けられる保有ポイント、および実行者端末40を有する実行者に紐付けられる保有ポイントを記憶するデータベースである。
【0043】
ポイント預託部12は、依頼者端末30からブロックチェーンネットワーク50にスマートコントラクトの生成およびスマートコントラクトの生成に必要な預託が行われたことを検知して、預託される有価価値に応じたポイントをポイントDB11の依頼者に紐づく口座に付与する機能部である。スマートコントラクト上において報酬は仮想通貨で設定されている。また、ポイントと、法定通貨、例えば円とのレートは一定である。そこで、ポイント預託部12は、法定通貨レート記憶部60から受信する仮想通貨―法定通貨レートを参照し、報酬をポイントに換算して依頼者の口座に付与する。
【0044】
要求受信部13は、実行者端末40により生成されるポイント交換要求を受信する機能部である。
【0045】
タスク完了信号送信部14は、ポイント交換要求に基づいて、ブロックチェーンネットワーク50に対しタスク完了信号を送信する機能部である。
【0046】
仮想通貨受領部15は、タスク完了信号に応じてブロックチェーンネットワーク50から送信される仮想通貨を受領する機能部である。
【0047】
ポイント交換部16は、受信される仮想通貨の量に相当するポイントをさらに別の有価価値に交換し、ポイントDBに記憶されている実行者の保有ポイントのうち、交換された分のポイントを償却する機能部である。別の有価価値は、例えばギフト券や円Peg通貨等の別の仮想通貨等が想定されている。別の有価価値への交換は、例えば商品券、割引券の実行キーワードを電子的に送付するものであってもよいし、所定のインターネットサイトにアクセスさせてプリペイドカード等の番号をタスク実行者に入力させることで、当該カードが保有する有価価値を増額させるものであってもよい。また、商品券等を郵送で送付するものであってもよい。また、所定の物品やサービスに交換可能であってもよい。
【0048】
受領検知部17は、ブロックチェーンネットワーク50から実行者端末40に仮想通貨の移動が行われたことを検知する機能部である。
【0049】
ポイント失効部18は、ポイントDB11からポイントを失効させる機能部である。ポイント失効部18は、受領検知部17により仮想通貨の移動が検知されると、ポイントDB11に記憶されている実行者端末40に紐づくポイントから、移動された仮想通貨の額に対応するポイントを減額する。減額されるポイントの量は、スマートコントラクトの生成時のレートに基づいて確定される。
【0050】
承諾信号送信部19は、実行者端末40が依頼の通知を受信し、これを承諾した場合に、実行者端末40からブロックチェーンネットワーク50に対してその旨を知らせるための承諾信号を送信する機能部である。ブロックチェーンネットワーク50に承諾信号を送る際、ブロックチェーンネットワーク50に少額の仮想通貨を支払う必要がある場合がある。そのため、仮想通貨管理装置1から承諾信号を送信する構成によれば、実行者端末40から直接承諾信号を送信する場合と比較して、実行者が仮想通貨を保有していない場合にも仮想通貨管理装置1を通じて依頼を承諾することができる。また、実行者が仮想通貨を保有している場合であっても、一連のスマートコントラクトに関する仮想通貨の管理を仮想通貨管理装置1に一元化できる。
【0051】
通信処理部20は、インターネット等のネットワークNWを介し、仮想通貨管理装置1およびブロックチェーンネットワーク50と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行可能とする処理部であって、アプリまたは、Webブラウザ等により実現される。
【0052】
●依頼者端末30が仮想通貨管理装置1を介してスマートコントラクトによる依頼を作成するフロー
図2に示すように、まず、依頼者端末30は、仮想通貨管理装置1に対して依頼作成を請求する(ステップS101)。依頼作成の請求に含まれる情報には、例えば、タスクの内容、タスクに対して設定される報酬額、およびタスクの個数を含む。
【0053】
仮想通貨管理装置1は、法定通貨レート記憶部60に対して仮想通貨―法定通貨レートを要求する(ステップS102)。法定通貨レート記憶部60は、当該要求に基づいて要求が受信された時点での仮想通貨―法定通貨レートを送信する(ステップS103)。
【0054】
仮想通貨管理装置1は、依頼者端末30に対してコントラクトの生成請求を送信する(ステップS104)。
【0055】
依頼者端末30は、コントラクトの生成請求を受信するとその旨を依頼者に通知し、依頼者端末30は、依頼者からの指示に基づいて、ブロックチェーンネットワーク50に対してコントラクトの生成信号を送信する(ステップS105)。また、依頼者端末30は、コントラクトに含まれる報酬の総額に対応する有価価値を、預託財産としてブロックチェーンネットワーク50に送信する(ステップS106)。この報酬は、仮想通貨で設定され、報酬の総額に対応する有価価値は、ステップS103において取得した仮想通貨―法定通貨レートを参照して確定される。ステップS105およびS106は、順不同であり、同時に行われてもよい。
【0056】
なお、依頼者からの指示は、依頼者による依頼作成請求(ステップS101)のときに承諾を得たものとみなして、ここでは省略されてもよい。すなわち、依頼者端末30は、仮想通貨管理装置1からのコントラクト実行請求(ステップS104)に基づいて、コントラクトの生成信号および報酬の預託信号をブロックチェーンネットワーク50に自動で送信してもよい。
【0057】
ブロックチェーンネットワーク50は、依頼者端末30から受信する預託財産を確認する(ステップS107)。かくして、依頼者端末30からの依頼に基づいたスマートコントラクトが生成される。
【0058】
仮想通貨管理装置1が有するポイント預託部12は、ブロックチェーンネットワーク50により預託が確認されたことを検知して、ポイントDB11の依頼者に関連づけられる口座に、預託される有価価値に応じたポイントを付与する(ステップS108)。また、仮想通貨管理装置1は、依頼者端末30からのタスクの実行依頼があること、および依頼の内容等を実行者端末40に通知する(ステップS109)。
【0059】
通知を受け取った実行者端末40は、ブロックチェーンネットワーク50に、依頼を受け取った旨の信号(以下、「承諾信号」ともいう。)を送信する(ステップS110)。
【0060】
図3に示すように、実行者端末40は、承諾信号に代えて、依頼の承諾要求を仮想通貨管理装置1に送信してもよい(ステップS120)。この場合、依頼の承諾要求を受信した仮想通貨管理装置1が、ブロックチェーンネットワーク50に承諾信号を送信する(ステップS121)。
【0061】
●実行者端末40が仮想通貨により報酬を受領するフロー
図4に示すように、まず、実行者端末40上において、実行者の操作によりタスクが実行される(ステップS201)。なお、タスクの実行は、所定のプログラムにより自動で行われてもよい。次いで、実行者端末40に、実行者からの仮想通貨での受取要求が入力される(ステップS202)。実行者端末40の仮想通貨受取要求部42は、ブロックチェーンネットワーク50に対してタスク完了信号を送信する(ステップS203)。なお、タスクは、積極的な操作に限らず、承諾信号の送信から所定時間が経過することによって達成されるタスクであってもよい。この場合、タスク完了信号は、承諾信号の送信から所定時間後に自動的に送信される。
【0062】
図5に示すように、仮想通貨受取要求部42は、タスク完了信号に代えて、タスク完了要求を仮想通貨管理装置1に送信してもよい(ステップS213)。この場合、タスク完了要求を受信した仮想通貨管理装置1が、ブロックチェーンネットワーク50にタスク完了信号を送信する(ステップS214)。ブロックチェーンネットワーク50にタスク完了信号を送信する際、ブロックチェーンネットワーク50に少額の仮想通貨を支払う必要がある場合がある。そのため、仮想通貨管理装置1からタスク完了信号を送信する構成によれば、仮想通貨管理装置1により一連のスマートコントラクトに関する仮想通貨の管理を一元化できる。
【0063】
図4および
図5に示すように、ブロックチェーンネットワーク50は、タスク完了信号を受信すると、当該コントラクトに記録されているタスクに対応する報酬を、仮想通貨として実行者の仮想通貨口座に移動させる(ステップS204)。
【0064】
仮想通貨管理装置1の受領検知部17は、ブロックチェーンネットワーク50から実行者の仮想通貨口座に仮想通貨の移動が行われたことを検知する(ステップS205)。これに基づいて、ポイント失効部18は、ポイントDB11に記憶されている依頼者の保有ポイントのうち、仮想通貨に相当する分のポイントを失効させる(ステップS206)。
【0065】
なお、タスク完了信号の受信に基づいて、ポイントDB11に記憶されている依頼者の保有ポイントのうち、報酬に相当するポイントを実行者の保有ポイントに移動させた上で、当該報酬に相当するポイントを失効させても同様の効果が得られる。この構成によれば、ポイントDB11の出納記録を参照することで、受領した報酬の形態に関わらずタスク実行者の全てのタスク完了記録を取得することができる。
【0066】
●実行者端末40がポイントおよびさらに別の有価価値により報酬を受領するフロー
図5に示すように、まず、実行者端末40上において、実行者の操作によりタスクが実行される(ステップS301)。なお、タスクの実行は、所定のプログラムにより自動で行われてもよい。実行者端末40は、実行者から、別の有価価値での受領要求を受信する(ステップS302)。
【0067】
仮想通貨管理装置1のタスク完了信号送信部14は、ブロックチェーンネットワーク50に対してタスク完了信号を送信する(ステップS303)。ブロックチェーンネットワーク50は、タスク完了信号を受信すると、当該タスクに対応する報酬を仮想通貨として仮想通貨管理装置1に移動する(ステップS304)。仮想通貨受領部15はこれを受領する。
【0068】
ポイント交換部16は、受信される仮想通貨の量に相当するポイントをさらに別の有価価値に交換して実行者に送付し(ステップS305)、ポイントDB11に記憶されている保有ポイントのうち、交換された分のポイントを償却する(ステップS306)。
【0069】
なお、仮想通貨管理装置1は、コントラクトに設定されている報酬に相当するポイントのみを、当該タスクの実行の都度交換することとしてもよいし、ポイントDB11に記憶されている依頼者の保有ポイントを実行者の保有ポイントに移動させて保持しておき、保持されているポイントをまとめて別の有価価値に交換することも可能である。
【0070】
この構成によれば、ブロックチェーンネットワーク50上では仮想通貨で報酬を管理することにより信頼性の高いスマートコントラクトを実効たらしめることができる一方、タスク実行者は仮想通貨以外の有価価値によっても報酬を受け取ることができ、タスク実行者にとって利便性を高めることができる。
【0071】
●仮想通貨管理装置(2)●
本発明に係る仮想通貨管理装置の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。この仮想通貨管理装置は、タスク実行者が報酬を仮想通貨で受領するか、ポイント、さらには別の有価価値で受領するかを、自動で決定する判別部を有する点で、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付した。
【0072】
図5に示すように、第2実施形態の仮想通貨管理装置100は、判別部21を有する。判別部21は、実行者端末40から、タスクに対する報酬を仮想通貨で受領するか、ポイント又はさらに別の有価価値で受領するかの判別を要求する判別要求が送信されるとき、いずれで受領するかを判別する。本実施の形態においては、判別部21は、スマートコントラクトが生成された第1時点での仮想通貨および法定通貨の換算レートと、タスクが実行された第2時点での換算レートと、を比較し、報酬に対する法定通貨の価値が高い方の形態で受領することを決定する。
【0073】
●実行者端末40が別の有価価値により報酬を受領するフロー
図6に示すように、まず、実行者端末40上において、実行者の操作によりタスクが実行される(ステップS401)。なお、タスクの実行は、所定のプログラムにより自動で行われてもよい。次いで、実行者端末40は、仮想通貨管理装置100に、タスクに対する報酬を仮想通貨で受領するか、ポイント又はさらに別の有価価値で受領するかの判別を要求する判別要求を送信する(ステップS402)。
【0074】
タスク完了信号送信部14はブロックチェーンネットワーク50に対してタスク完了信号を送信し(ステップS403)、ブロックチェーンネットワーク50は、タスクに応じた報酬を、仮想通貨受領部15に対して仮想通貨で支払う(ステップS404)。
【0075】
仮想通貨管理装置100は、法定通貨レート記憶部60に対して、仮想通貨―法定通貨レートを要求する(ステップS405)。法定通貨レート記憶部60は、仮想通貨管理装置100に、タスクが実行された時点での仮想通貨―法定通貨レートを送信する(ステップS406)。
【0076】
判別部21は、スマートコントラクトが生成された第1時点での仮想通貨-法定通貨レートと、タスクが実行された第2時点での仮想通貨-法定通貨レートと、を比較し、報酬に対する法定通貨の価値が高い方の形態で受領することを決定する(ステップS407)。第1時点での換算レートは、スマートコントラクトの生成時に取得した情報を判別部21が保持していてもよいし、ステップS406において第1時点および第2時点での仮想通貨-法定通貨レートを法定通貨レート記憶部60から取得してもよい。
【0077】
仮想通貨管理装置100は、実行者端末40に対して報酬を送付する。判別部21により仮想通貨による受領が決定された場合には、仮想通貨送信部22が実行者端末40に対して仮想通貨を送付する。判別部21によりポイントによる受領が決定された場合には、ポイント交換部16が、ポイントに交換して実行者に送付する(ステップS408)。次いで、ポイント交換部16又はポイント失効部18は、送付された報酬に対応する量のポイントをポイントDB11から償却、又は失効させる(ステップS409)。
【0078】
この構成によれば、タスク実行者は、仮想通貨―法定通貨レートの変動に関わらず、スマートコントラクトが作成された第1時点で依頼者が設定した報酬額をポイントで確実に受領することができる。一方で、第1時点から第2時点の間に仮想通貨のレートが高騰した場合には、仮想通貨で受領した方が、スマートコントラクト作成時点で依頼者が預託した額よりも大きな価値を得ることができる。言い換えれば、タスク実行者は、第1時点から第2時点までの期間における仮想通貨による運用益を得ることができる。すなわち、タスク実行者は、タスクによる報酬の最低額を担保しつつ、仮想通貨―法定通貨レートの変動による運用益の受領機会を得ることができる。
【0079】
なお、判別部21は、過去に実行者端末40から入力された、タスクに対する報酬を仮想通貨で受領するか、ポイントで受領するかの選択結果に基づいて、判別要求された報酬の受領形態を決定してもよい。例えば、前回の受領形態を記憶していて、前回と同様の形態で受領できるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 仮想通貨管理装置
11 ポイントDB
12 ポイント預託部
13 要求受信部
14 タスク完了信号送信部
15 仮想通貨受領部
16 ポイント交換部
17 受領検知部
18 判別部
30 依頼者端末
40 利用者端末