(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/04 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
G01B11/04 H
(21)【出願番号】P 2021115080
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】392027254
【氏名又は名称】株式会社佐賀鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 健治
(72)【発明者】
【氏名】冨永 健一
(72)【発明者】
【氏名】橋口 悟
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-240738(JP,A)
【文献】特開2006-076301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/20
G01M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじのリードの不良を検出するように構成されている検査装置であって、
前記ねじの側面画像を撮像するように構成されている撮像部と、
前記側面画像から、前記ねじの軸方向に直交する交差方向の長さを算出するように構成されている算出部と、
所定閾値以上となる前記長さを検出した場合、前記ねじのリードの不良を検出したと判定するように構成されている判定部とを具備し、
前記ねじは、メートルねじ又はユニファイねじであることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記撮像部は、
前記ねじを搬送する搬送部に前記ねじの先端側が固定され、前記ねじの末端側が自由である状態で、前記側面画像を撮像し、
撮像した前記側面画像について、前記ねじの軸方向が前記搬送部に直交する状態となるように補正するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
ねじのリードの不良を検出する検査方法であって、
前記ねじの側面画像を撮像する工程と、
前記側面画像から、前記ねじの軸方向に交差する交差方向の長さを算出する工程と、
所定閾値以上となる前記長さを検出した場合、前記ねじのリードの不良を検出したと判定する工程とを有し、
前記ねじは、メートルねじ又はユニファイねじであることを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじの製作の現場では、ねじのリードの不良を検出する検査方法に対するニーズがある。ここで、
図6を参照して、ねじのリードの不良を検出する方法の一例として考えられる方法について説明する。
【0003】
第1に、かかる検査方法では、
図6(a)に示すように、ねじの側面画像20を撮像する。この際、ねじの正面から照明を当て、かかる側面画像20を撮像する。
【0004】
第2に、
図6(b)に示すように、かかる側面画像20から、ねじの山の稜線51を抽出する。
【0005】
第3に、
図6(c)に示すように、ねじの軸方向Xに直交する交差方向Yとねじの山の稜線51との角度を算出し、かかる角度と所定閾値との比較結果に基づいて、ねじのリードの不良を検出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の検査方法では、上述のように、ねじの側面画像20から、ねじの山の稜線51を抽出する必要があるため、ねじの側面画像20を撮像するために高解像度の撮像装置(カメラ)が必要となるという問題点があった。
【0007】
また、上述の検査方法では、上述の
図6(a)~
図6(c)の処理を行う必要があるため、高速な処理を行うことができないという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、高解像度の撮像装置を用いることなく短い処理時間でねじのリードの不良を検出することができる検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、ねじのリードの不良を検出するように構成されている検査装置であって、前記ねじの側面画像を撮像するように構成されている撮像部と、前記側面画像から、前記ねじの軸方向に直交する交差方向の長さを算出するように構成されている算出部と、所定閾値以上となる前記長さを検出した場合、前記ねじのリードの不良を検出したと判定するように構成されている判定部とを具備し、前記ねじは、メートルねじ又はユニファイねじであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高解像度の撮像装置を用いることなく短い処理時間でねじのリードの不良を検出することができる検査装置及び検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る検査装置1の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る検査装置1の撮像部11によって撮像されたねじの側面画像20A/20Bの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る検査装置1の算出部12による側面画像20におけるねじの軸方向Xに直交する交差方向Yの長さLを算出する方法の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る検査装置1の判定部13による判定方法の一例について説明するための図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る検査装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0013】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る検査装置11について説明する。
図1は、本実施形態に係る検査装置1の機能ブロックの一例を示す図であり、
図2は、本実施形態に係る検査装置1の撮像部11によって撮像されたねじの側面画像20A/20Bの一例を示す図であり、
図3は、本実施形態に係る検査装置1の算出部12による側面画像20におけるねじの軸方向Xに直交する交差方向Yの長さLを算出する方法の一例を説明するための図であり、
図4は、本実施形態に係る検査装置1の判定部13による判定方法の一例について説明するための図であり、
図5は、本実施形態に係る検査装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0014】
本実施形態に係る検査装置1は、ねじ30のリードの不良を検出するように構成されている。
【0015】
かかる検査装置1によってリードの不良を検出することができるねじ30は、山の形状及び谷の形状が同様の形状であるねじである。例えば、かかるねじ30としては、メートルねじやユニファイねじが想定される。
【0016】
ここで、メートルねじは、ISOに国際規格として採用されている一般的なネジであり、現在、幅広く使用されているネジである。メートルねじでは、各部分の寸法やピッチ等のサイズは、メートル法のミリ単位で表されている。ここで、メートルねじにおけるピッチは、ねじの軸方向における2つのねじの山の間の距離を示す。
【0017】
一方、ユニファイねじは、JIS規格で規定されているねじであり、日本では、航空機やアメリカ製自動車等で用いられているねじである。ユニファイねじでは、各部分の寸法やピッチ等のサイズは、インチ単位で表されている。なお、ユニファイねじにおけるピッチは、ねじの軸方向の1インチ当たりのねじの山の数を示す。
【0018】
また、ねじ30のリードは、ねじ30が1回転したときに、ねじ30の軸方向Xに進む距離を示す。ここで、ねじ30のリードの不良とは、ねじ30が1回転したときに所定距離だけ軸方向Xに進まないようにねじ30の山31及び谷32が形成されている状況を示す。
【0019】
図1に示すように、かかる検査装置1は、撮像部11と、算出部12と、判定部13と、出力部14とを備えている。
【0020】
撮像部11は、ねじ30の側面画像20を撮像するように構成されている。
図2及び
図3(a)に示すように、かかる側面画像20(20A、20B)は、側面視したねじ30の外観の少なくとも一部を示す画像である。すなわち、かかる側面画像20/20A/20Bは、ねじ30の山31の稜線51(
図6(b)や
図6(b)参照)や谷32等の形状について含まなくてもよい。
【0021】
例えば、撮像部11は、上述のように、側面視したねじ30の外観の少なくとも一部を示す画像を撮像することができる程度の解像度を有する撮像装置(例えば、カメラ)によって構成されている。すなわち、撮像部11を構成する撮像装置は、
図6(a)~
図6(c)に示すようなねじ30の形状を撮像することができる解像度を有している必要はない。
【0022】
また、撮像部11は、
図2に示すように、ねじ30を搬送する搬送部40にねじ30の先端側E1が固定され、ねじ30の末端側E2が自由である状態で、上述の側面画像20A/20Bを撮像するように構成されていてもよい。
【0023】
なお、撮像部11は、撮像した側面画像20について、ねじ30の軸方向Xが搬送部40に直交する状態となるように補正するように構成されていてもよい。
【0024】
例えば、
図2におけるねじ30A/30Bの側面画像20A/20Bは、ねじ30A/30Bの軸方向Xが搬送部40に直交していない状態となるため、撮像部11は、かかる側面画像20A/20Bについて、ねじ30の軸方向Xが搬送部40に直交する状態となるように、すなわち、
図2の例において水平となるように補正するように構成されていてもよい。
【0025】
算出部12は、
図3(b)に示すように、撮像部11によって撮像された側面画像20から、ねじ30の軸方向Xに直交する交差方向Yの長さLを算出するように構成されている。
【0026】
ここで、
図3(b)に示すように、本実施形態で用いられるねじ30では、正常時、ねじ30の交差方向Yの長さLは、ほぼ一定になるように形成されている。これに対して、
図3(c)に示すように、リードの不良を検出されたねじ30では、ねじ30の交差方向Yの長さLは、場所によって異なるように形成されている。
【0027】
なお、算出部12は、
図2に示すように、連続的に、ねじ30の交差方向Yの長さLを算出するように構成されていてもよい。或いは、算出部12は、所定間隔ごとに、ねじ30の交差方向Yの長さLを算出するように構成されていてもよい。
【0028】
判定部13は、所定閾値TH以上となる(或いは、所定閾値THを超える)ねじ30の交差方向Yの長さLを検出した場合、ねじ30のリードの不良を検出したと判定するように構成されている。
【0029】
図4(a)の例では、ねじ30の交差方向Yの長さLは、所定閾値TH未満となっているため、判定部13は、ねじ30のリードの不良が発生していないと判定するように構成されている。ここで、
図4(a)に示すねじ30の交差方向Yの長さLは、
図2における側面画像20Aから算出されたものである。
【0030】
一方、
図4(a)の例では、ねじ30の交差方向Yの長さLは、所定閾値TH以上となっているため、判定部13は、ねじ30のリードの不良を検出したと判定するように構成されている。ここで、
図4(b)に示すねじ30の交差方向Yの長さLは、
図2における側面画像20Bから算出されたものである。
【0031】
ここで、判定部13は、ねじ30の軸方向Xにおいて所定長の長さ以上の領域で、ねじ30の交差方向Yの長さLが所定閾値TH以上となっている場合に、ねじ30のリードの不良を検出したと判定するように構成されていてもよい。
【0032】
或いは、所定閾値TH以上となっている所定数の長さLを検出した場合に、ねじ30のリードの不良を検出したと判定するように構成されていてもよい。
【0033】
かかる構成によれば、ねじ30のリードに影響を与えない程度の些細な長さLの変化を無視することで、ねじ30のリードの不良の誤検出を回避することができる。
【0034】
出力部14は、判定部13によってねじ30のリードの不良を検出したと判定された場合に、その旨を出力するように構成されている。
【0035】
ここで、出力部14は、アラーム音によって、かかる出力を行うように構成されていてもよいし、ランプ等の点灯によって、かかる出力を行うように構成されていてもよいし、その両者によって、かかる出力を行うように構成されていてもよい。
【0036】
また、出力部14は、ディスプレイ等に対して、かかる出力を行うように構成されていてもよい。かかる場合、出力部14は、ディスプレイ等に対して、判定部13によってねじ30のリードの不良が発生していないと判定されたことも出力するように構成されていてもよい。
【0037】
また、上述の検査装置1は、コンピュータに各機能(各工程)を実行させるプログラムであって実現されていてもよい。
【0038】
以下、
図5を参照して、本実施形態に係る検査装置1の動作の一例について説明する。
【0039】
図5に示すように、ステップS101において、検査装置1は、上述のように、ねじ30の側面画像20を撮像する。
【0040】
ステップS102において、検査装置1は、上述のように、かかる側面画像20から、ねじ30の交差方向Yの長さLを算出する。
【0041】
ステップS103において、検査装置1は、上述のように、所定閾値TH以上となる長さLを検出したか否かに基づいて、ねじ30のリードの不良を検出したか否かについて判定する。
【0042】
ねじ30のリードの不良を検出したと判定された場合には、本動作は、ステップS104に進み、ねじ30のリードの不良を検出したと判定されない場合には、本動作は、ステップS101に戻る。
【0043】
ステップS104において、検査装置1は、上述のように、ねじ30のリードの不良を検出した旨を出力する。
【0044】
本実施形態によれば、検査装置1は、ねじ30の側面画像20を撮像するように構成されている撮像部11と、かかる側面画像20から、ねじ30の交差方向Yの長さLを算出するように構成されている算出部12と、所定閾値TH以上となる長さLを検出した場合、ねじ30のリードの不良を検出したと判定するように構成されている判定部13とを具備している。
【0045】
かかる構成によれば、低解像度の撮像装置を用いて短い処理時間にてねじ30のリードの不良を検出することができる。
【0046】
本実施形態によれば、撮像部11は、搬送部40にねじ30の先端側E1が固定され、ねじ30の末端側E2が自由である状態で、ねじ30の側面画像20を撮像し、撮像した側面画像20について、ねじ30の軸方向Xが搬送部40に直交する状態となるように補正するように構成されている。
【0047】
かかる構成によれば、より正確に、ねじ30のリードの不良を検出することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…検査装置
11…撮像部
12…算出部
13…判定部
14…出力部
20、20A、20B…側面画像
30。30A、30B…ねじ
31…ねじの山
32…ねじの谷
40…搬送部
X…軸方向
Y…交差方向
L…交差方向の長さ