(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】カテ-テル内の閉塞を補正及び予防するためのシステム並びに方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20230313BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20230313BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20230313BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61M25/00
A61M25/14
A61M5/00
A61B1/12 510
(21)【出願番号】P 2021205056
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2018564398の分割
【原出願日】2017-06-09
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】オフェク,ギドン
(72)【発明者】
【氏名】ミューズ,ジェイ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハマタケ,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ギャリック・ティー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524321(JP,A)
【文献】特表2014-507221(JP,A)
【文献】国際公開第2014/149648(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0144540(US,A1)
【文献】特表2011-521751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/14
A61M 5/00
A61B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテ-テル組立体の少なくとも1つの内腔に開通性を提供するための開通装置であって、前記開通装置が、
前記カテ-テル組立体の前記少なくとも1つの内腔への流体通路と、
前記少なくとも1つの内腔内に配置された流体に、少なくとも1つの正圧のインパルスのための圧力を提供するように構成された圧力投入部と、
前記少なくとも1つの内腔内に配置された前記流体に、一時的な負圧を提供するように構成された真空投入部と、を備え
、
前記流体通路を提供するように構成された流体リザーバと、
前記流体リザーバに接続される近位端及び前記少なくとも1つの内腔に接続される遠位端を有するインターフェース部と、
を更に備え、
前記インターフェース部が使い捨て式であり、かつ前記カテ-テル組立体と前記開通装置との間に無菌防壁を提供する、開通装置。
【請求項2】
前記真空投入部が、シリンジポンプ及び真空ポンプのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
通常開いているバルブが、前記真空投入部に含まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
通常閉じているバルブが、前記圧力投入部に含まれる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記通常開いているバルブが、前記少なくとも1つの内腔内に配置された前記流体に、前記一時的な負圧を提供するように構成され、前記通常開いているバルブが、前記通常閉じているバルブが開いている際に閉じるように構成され、前記通常閉じているバルブが、前記少なくとも1つの内腔内に配置された前記流体に、前記少なくとも1つの正圧のインパルスを提供するように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記圧力投入部が、静水ポンプ及びアクチュエータのうち1つを含み、また前記流体通路が、前記静水ポンプに操作可能に接続されている水圧アキュムレータを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの正圧のインパルスが、所定のインパルス周波数にて、一連のインパルスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの正圧のインパルスが、前記少なくとも1つの内腔内に配置された閉塞物を除去するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記所定のインパルス周波数が、少なくとも20KHzである、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記圧力投入部が、所定のインパルスパターンにて複数の一連の前記インパルスを提供し、各一連が少なくとも1つのインパルスを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記一連の前記インパルスのそれぞれが、休止期間により分離される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記開通装置が、各休止期間中に、前記少なくとも1つの内腔内に配置された前記流体に、負圧を提供するように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記開通装置が、少なくとも30psiの圧力にて、前記少なくとも1つの正圧のインパルスを提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記開通装置が、前記カテーテル組立体のカテーテルチューブの破壊圧力強度の定格を上回る圧力にて、前記少なくとも1つの正圧のインパルスを提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記開通装置の流体ライン内の圧力に関連したデータを提供するように構成されている圧力変換器を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記開通装置の操作を管理するように構成されているコントローラを更に備え、前記コントローラがプロセッサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記圧力投入部が、静水ポンプ、アクチュエータ、及び波形発生器のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの正圧のインパルスが、約30ミリ秒の立ち上がり時間位相と、約200ミリ秒の高圧保持位相と、約40ミリ秒の圧力低下位相と、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記流体リザーバが、水圧アキュムレータ及びシリンジのうち少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[0001]本出願は、米国特許仮出願番号第62/348,082号、表題「Systems and Methods for Correcting and Preventing Occlusion in a Catheter」(2016年6月9日出願)の利益を主張するものであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]要約して概要を述べると、本発明の実施形態は、患者の身体内部部分へのアクセスを確立するために使用される、カテ-テル組立体及びその他の細長い管状装置用の開通装置に関する。本開通装置は、カテ-テル組立体の内腔内に配置された流体に正圧インパルスを提供することにより、カテ-テル組立体により画定された、1つ以上の内腔の開通性を確立及び/又は維持する。
【0003】
[0003]一実施形態では、本開通装置は、カテ-テル組立体の少なくとも1つの内腔へと流体を提供する(又は流体通路を確立する)ように構成された流体リザーバと、圧力投入部と、を備える。圧力投入部は、内腔内に配置された流体に1つ以上の正圧インパルス用の圧力を提供するように、構成される。本インパルスは、内腔内に形成され得る閉塞物を除去するように、構成される。次に、閉塞物を吸引してカテ-テル組立体から閉塞物を除去するために、内腔に負圧を提供することができる。
【0004】
[0004]本発明の実施形態のこれら及びその他の特徴は、以降の説明及び添付の特許請求の範囲により更に明らかとなるか、又は以下に記述されている本発明の実施形態の実践から習得されるであろう。
【0005】
[0005]本開示の更に詳細な説明は、添付の図面に図示されているその特定の実施形態
を参照することにより与えられる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、その範囲を限定するものと見なされないことが理解されている。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面の使用により、更なる具体性及び詳細と共に記載され、かつ説明され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0006]一実施形態による、カテ-テル組立体及びそこへ取り付けられた開通装置の簡略図である。
【
図2】[0007]
図1の開通装置に関する圧力特性を示すグラフである。
【
図3】[0008]一実施形態による、開通装置のブロック図である。
【
図4A】[0009]
図3の開通装置用のバルブ組立体の概略図である。
【
図4B】
図3の開通装置用のバルブ組立体の概略図である。
【
図5】[00010]一実施形態による、開通装置のブロック図である。
【
図6】[00011]一実施形態による、開通装置のブロック図である。
【
図7】[00012]一実施形態による、開通装置のブロック図である。
【
図8】[00013]一実施形態による、開通装置に関する圧力特性である。
【
図9】[00014]一実施形態による、開通装置に関する圧力特性である。
【
図10】[00015]一実施形態による、開通装置に関する圧力特性である。
【
図11】[00016]一実施形態による、開通装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[00017]ここで、同様の構造を同様の参照表記にて示す図を、参照する。図面は本発明
の例示的実施形態の図式的及び概略的表示であり、また正確な縮尺率に限定されない、又
は必ずしも正確な縮尺率で描かれていない、と理解されている。
【0008】
[00018]明瞭性のために、用語「近位」とは、本明細書に記載された装置を使用する臨
床医に対して相対的に近接した方向を意味し、一方、用語「遠位」とは、臨床医から相対的に遠い方向を意味することを理解すべきである。例えば、患者の体内に置かれたカテーテルの端部は、カテーテルの遠位端部と見なされる一方で、体外に留まるカテーテル端部は、カテーテルの近位端部である。また、特許請求の範囲を含む本明細書で使用する場合、用語「含む」、「有する」、及び「有している」とは、用語「備える」と同じ意味を有するものとする。
【0009】
[00019]本発明の実施形態は、一般に、患者の身体内部部分へのアクセスを確立するた
めに使用される、カテ-テル組立体及びその他の細長い管状装置を目的とする。末梢挿入型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter)(「PICC」)は、このようなカテ-テル組立体の一例である。特に、カテ-テル組立体により画定された1つ以上の内腔の開通性を確立し、かつ維持するための解決法及び方法が開示されている。以下で論じる特定の実施形態によれば、使用してよい開通装置の実施例が開示されている。
【0010】
[00020]最初に
図1を参照すると、
図1は、通常、以下にて更に記載されている、一実
施形態による、一般に10で示されるカテ-テル組立体(「カテ-テル」)及び開通装置の種々の詳細を示す。図示するように、カテーテル10は、カテーテルチューブの近位端部12Aと遠位端部12Bとの間に延在する、内腔14を画定する、細長いカテーテルチューブ12を含む。ルアーコネクタ22又はその他の好適なコネクタが、カテーテルチューブ12の近位端部12Aにて含まれる。その他の実施形態では、カテーテルは、カテーテルチューブの近位端部にて、そこから近位に延在する1つ以上の拡張脚部を伴う分岐ハブを含むことができる。
【0011】
[00021]ここでは単一の内腔14を画定するように示されているが、その他の実施形態
におけるカテーテル10は、2つ以上の内腔を画定することができる。また、PICCとして示されているが、その他の実施形態におけるカテーテルは、透析カテーテル、CVCカテーテル、PIVカテーテル、尿道カテーテル、動脈カテーテル、バルーンカテーテル等の、その他のカテーテルの種類を含むことができる。したがって、本明細書での説明は、限定することを意図するものではない。
【0012】
[00022]
図1は、一実施形態に従って、原則一時的にカテ-テル10に操作可能に接続
するように構成され、かつカテ-テルチューブの内腔14に開通性を提供する、開通装置30に関する詳細を更に示す。一般に、開通装置30は、本明細書において正圧インパルスとしてもまた称される、高圧流体の、1つ以上の比較的短い持続時間のインパルスを、カテ-テルチューブ12の内腔14へと提供するように、圧力投入部38と共に構成される、流体リザーバ34を含む。このようなインパルスは、定期的に実施される場合、内腔14において、特にその遠位端部における、血栓の形成又はその他の閉塞を防止するように構成される。これらの短い持続時間の高圧インパルスは、その内部に閉塞物が形成された後に、内腔を清浄するために使用することもできる。
【0013】
[00023]更に詳細には、開通装置30の圧力投入部38は、手動式又はモータ制御式の
プランジャ型シリンジなどの機械的投入部を含んで、流体リザーバ34内に収容された流体に圧力インパルスを付与する。流体リザーバ34は、圧力投入部38により生じる圧力インパルスに先立って、又は圧力投入部38により生じる、圧力インパルスと共にカテ-テルチューブ12の内腔14内へと方向づけられ得る流体量を、保持するように構成される。一実施形態では、また以下にて見られるように、流体リザーバ34は水圧アキュムレ
ータとして機能して、圧力投入部38により生じた、与圧された流体を、内腔(複数可)14へと放出される前に蓄積させる。
【0014】
[00024]例えば、電気アクチュエータ又は音波アクチュエータ、ボイスコイルアクチュ
エータ、リニアアクチュエータ、圧電モータ、振動ドラム及び振動膜等を含むその他の種類の圧力投入部を利用して、高圧流体インパルスを提供することができる、ということに留意されたい。
【0015】
[00025]内腔42を画定するカテ-テルコネクタインターフェース40が含まれて、開
通装置30を操作可能にカテ-テル10のルアーコネクタ22(又はその他の部分)に接続し、それを通して、高圧流体が、流体リザーバ34からカテーテルチューブ12の内腔(複数可)14へと通過し得る導管を提供することができる。一実施形態では、コネクタインターフェース40は無菌物品であり、非無菌の開通装置30とカテーテル10との間を橋渡しする、ということに留意されたい。このようにして、開通装置30が再利用可能である一方で、コネクタインターフェース40を使い捨て可能な無菌物品として製造することができる。
【0016】
[00026]操作中、開通装置30は、カテーテルチューブ12の流体で満たされた内腔1
4にわたって、遠位方向にて、周期的で比較的短い持続時間の、比較的高圧のバースト又はインパルスを発する。これらのインパルスは、圧力投入部38により圧力部34と連動して生成され、また開通装置30の内腔42にわたって、コネクタインターフェース40のルアーコネクタ22を介してカテーテルチューブの内腔14へと送達される。インパルスの圧力、インパルスの持続時間、インパルス間の休止期間、連続的なインパルスの周波数等を、カテーテル10に関して実施される、特定の開通手順に従って調整及び変化させることができる、と理解されている。
【0017】
[00027]
図2は、操作中に、開通装置30により発生する圧力特性80(時間に対する
流体圧力を含む)のグラフを示す。圧力特性80は、開通装置30の操作に関して、x軸における時間及びy軸におけるインパルス圧力を含む。図示するように、開通装置30は、短い持続時間、カテーテルチューブの内腔14内に存在する流体にわたって、カテーテルチューブの内腔に提供された基準負圧の、比較的長い休止期間84により散在する、比較的高圧のインパルスを提供する。インパルス間に存在する基準負圧により、インパルスにより除去されるいずれかの閉塞物を、カテーテルチューブ内腔14近位上流で吸収し、そこから取り除くことが可能となり、したがって、除去された閉塞物が、カテーテルチューブ12の遠位端部12Bから血流に進入することを防止する。その他の実施形態では、休止期間は、望ましい場合がある際に、中立圧力若しくはより低い(ただし依然として正の)圧力への低下、又は時間の経過とともに圧力を変化させることを含むことができる、ということに留意されたい。
【0018】
[00028]
図2は、短い持続期間の高圧流体インパルスを表す、連続したインパルスのピ
ーク82が、圧力特性80のグラフ上に示されていることを更に示す。本実施形態では、圧力ピーク82は、約30ミリ秒の立ち上がり時間位相、約200ミリ秒の高圧保持位相、及び約40ミリ秒の圧力低下位相により、それぞれ特徴づけられている。圧力ピーク82の位相は本明細書で所与される値から変化し得、また各圧力ピークは、先のピーク及び/又はその後のピークからの位相特徴において変化し得る、と理解されている。また、インパルスの振幅及び持続時間は、本明細書に記載されたものから変更することができ、また互いに変更することができる。
【0019】
[00029]一実施形態では、圧力ピーク82は、開通装置30のコントローラにより変更
され、これによりユーザによりカスタマイズされる。高圧流体インパルス(圧力ピーク8
2により表される)間の休止期間84もまた、持続時間、基準圧力等に関して変更することができる。
【0020】
[00030]本実施形態では、インパルスにより達成される最大圧力は約400psiでは
あるが、これは所望の用途、カテーテル内腔の設計、閉塞物の種類又はサイズ、カテーテルチューブの長さ等により変更することができる。一実施形態では、インパルスの最大圧力は、一実施形態におけるカテーテルチューブ12の破壊圧力強度の定格を上回ってよいが、インパルスが比較的短い持続時間である際に、カテーテル10の遮断又は不良が発生しない、と理解されている。
【0021】
[00031]前述のように、高圧流体インパルスが開通装置30からカテーテル10内へと
移動して、これにより、カテーテルチューブ12の流体で満たされた内腔14へと下方に移動する。一実施形態では、開通装置の流体通路及びカテーテルチューブの内腔14を満たす流体は、0.9%の食塩水ではあるが、その他の流体もまた許容的に使用されてよい。その他の流体の使用は、インパルスの特性(例えば、インパルス圧力、インパルス持続時間、休止期間の持続時間等)の変化を余儀なくさせ得る、ということに留意されたい。上記のように、高圧流体インパルスは、内腔14内、典型的には、カテ-テルチューブ12の遠位端部12Bにおいて、又はカテ-テルチューブ12の遠位端部12Bに隣接して形成された閉塞物(凝血塊、フィブリンシースなど)又はその他の詰まりに衝突する。閉塞物を除去するのに十分強いが、カテーテルチューブ12の遠位端部12Bから閉塞物を押し出すには不十分な持続時間である高圧インパルスにより、閉塞物は除去される。各インパルスに続くその後の負圧休止期間は、一実施形態では、カテーテルチューブ12から凝血塊が漏れることを防止するように作用し得る。なお、開通装置30により吸引プロセスを実施して、カテーテルチューブ12及びカテーテル10から、凝血塊が処理され得る開通装置へと、凝血塊を近位方向に引き出すことができる。このようにして、カテーテル10内に存在するあらゆる凝血塊又は閉塞物が、許容可能に除去され得る。
【0022】
[00032]
図3は、一実施形態による開通装置30を示す。図示するように、開通装置3
0は、流体リザーバ34として機能する水圧アキュムレータ(「アキュムレータ」)134内の圧力にて維持された流体に、水圧を提供するための、圧力投入部38として機能する静水ポンプ138を含む。2ウェイの、通常閉じられた(「N.C.」)バルブ140は、その流体入口に配置され、かつその流体入口にて、流体ラインを介して、アキュムレータ134の流体出口へと、操作可能に接続されている。圧力変換器144は、N.C.バルブ140の流体出口とルアーコネクタ22又はその他の好適な入口との間で、カテーテルへと操作可能に挟入される。前述のように、本実施形態及びその他の実施形態では、コネクタインターフェース40(
図1)は、開通装置30を、カテーテル10へと操作可能に接続するために使用することができる。本明細書に記載された種々の構成要素間の流体ラインは、流体の運搬のためのチュービング又はその他の適切なモードを含むことができる、ということに留意されたい。
【0023】
[00033]2ウェイの、通常開かれた(「N.O.」)バルブ150は、N.O.バルブ
流体入口へと接続された流体ラインを介して、N.C.バルブ140と変換器144との間に挟入される。開通装置30において負圧を提供するための真空投入部160は、N.O.バルブ150の流体出口へと操作可能に接続されている。本実施形態では、シリンジポンプ162は真空投入部160として機能するが、真空ポンプなどのその他の好適な構成要素もまた用いることができる。コントローラ170は、操作可能に開通装置30の上述の構成要素に接続して、それらの操作を管理する。一実施形態でのコントローラ170は、電源、プロセッサ等を含むプリント回路基板を含む。
【0024】
[00034]
図4Aは、一実施形態による、
図3の開通装置30に示す、N.C.バルブ1
40と関連付けられたバルブ制御組立体180に関する、種々の詳細を示す。図示するように、バルブ制御組立体180は、継電器182及びN.C.バルブ140と操作可能に相互接続されたパワーダイオードを含む。電源186はN.C.バルブ140に含まれ、電源188は継電器182に含まれる。
図4Bは、継電器182及びN.O.バルブに操作可能に相互接続されたパワーダイオードを含む、
図3の開通装置30のN.O.バルブ150と関連付けられたバルブ制御組立体180のための、類似の構成を示す。電源186はN.O.バルブ150に含まれ、電源188は継電器182に含まれる。N.C.バルブ140及びN.O.バルブ150のためのバルブ制御組立体180は、開通装置30の操作中に、N.C.及びN.O.バルブの操作管理を手助けする。本実施形態では、N.C.バルブ140及びN.O.バルブ150は、ゲートバルブ型のバルブであるが、その他の好適な型のバルブを利用することができる、と理解されている。別の実施形態では、N.C.バルブ140及びN.O.バルブ150の機能は、このような実施形態を提供するように配置された流体ラインを伴う3ウェイバルブなどの、単一のバルブと組み合わせることができる。このような単一バルブの実施形態では、単一の3ウェイバルブが操作されて、正圧インパルス及び基準負圧又は負のインパルスを交互に提供する。
【0025】
[00035]開通手順(閉塞したカテーテルチューブの内腔(複数可)14を清浄にする手
順、又は内腔での閉塞物の形成を防止する手順)が臨床医又はカテーテルのユーザにより所望される場合に、
図3の開通装置30は、カテ-テル10のルアーコネクタ22に、操作可能に接続される。操作中、開通装置30は、最初に静水ポンプ138を、手動又は自動/モータモードの、どちらかの作動を介して、流体圧力を提供する。与圧された流体は、アキュムレータ134によりポンプ138から受容され、必要とされるまで、流体を与圧状態にてそこで蓄積する。N.O.バルブ150は、N.C.バルブ140が開いて流体インパルスを提供する場合に、手順の初期及び手順中に、開放状態にて維持されて、これらの時間予測されるシステムにおける基準負圧を維持する。コントローラ170又はその他の好適な構成要素により、バルブの開閉を制御することができる。
【0026】
[00036]コントローラ170は、開通装置30によりカテーテルチューブの内腔(複数
可)14へと送達されるインパルスの数、周波数、休止期間等を決定する。N.C.バルブ140は、所定の時間間隔にて開閉を繰り返し、N.C.バルブを介して、アキュムレータから、カテ-テル10の内腔14内へと一連の流体インパルスを提供する。N.C.バルブ140が開いている場合の各インパルス中、N.O.バルブ150が閉鎖され、これにより、インパルス流体がN.O.バルブに進入することを防ぎ、かつ所望の通り、カテ-テルチューブの内腔14に進入する代わりにシリンジポンプ162へと送達される。このインパルスは内腔14下流へと遠位に伝搬され、内腔14が開通操作の開始に先立って流体で満たされ、これにより、インパルスのための伝搬媒体を提供する。
【0027】
[00037]各インパルスの間、及び一連のインパルスが終了した後に、N.C.バルブ1
40が閉じられてN.O.バルブ150が開き、カテ-テルチューブの内腔14において、基準負圧(シリンジポンプ162又はその他の好適な装置により提供される)が提供され、またインパルスにより除去されるいずれかの閉塞物が、N.O.バルブを介してシリンジポンプ162へと、内腔の外へと近位方向に吸引されることを可能にする。適切な捕捉リザーバ等が、操作可能にシリンジポンプに接続され得て、必要な場合に閉塞及び流体の保持を提供する。コントローラ170が利用されて、N.C.バルブ140及びN.O.バルブ150の開閉を精密に制御し、これにより、所望の通り、内腔14にインパルス及び基準負圧を提供する。
【0028】
[00038]一実施形態では、正圧インパルス間に存在する基準負圧の周期を、比較的短い
持続時間の負圧インパルスで置き換える、又は比較的短い持続時間の負圧インパルスで補足して、閉塞物の除去を更に手助けすることができる、と理解されている。次に、続く基
準負圧を使用して、内腔14への閉塞物を除去することができる。一実施形態では、バルブ140及び150の応答時間は、基準負圧又は負圧インパルスによる迅速な遷移に、正圧インパルスが続くことを可能となるのに、十分速い。
【0029】
[00039]圧力変換器144を利用してプロセッサ170により制御し、開通装置30に
より、カテーテルチューブの内腔14へと送達されるインパルスの圧力を測定する。前述のように、カテーテルの長さ、カテーテルの内腔のサイズ、破壊強度、インパルスの持続時間、休止期間の持続時間、その他のカテーテル構成等を含む種々の要因に従って、インパルスの圧力レベルを変化させることができる、又は決定することができる。一実施形態では、各インパルスの圧力は、約30psi~約120psiの範囲から選択することができるが、これ未満及びこれを超えるその他の圧力が可能である。また、インパルスの周波数、又はインパルス周波数は、所定のパターンに従って設定することができ、かつちょうど前述したもののような、多数の要因に従って変更することができ、また一実施形態では、約1~約150Hzを超える範囲であり得るが、その他の周波数の範囲もまた可能である。一実施形態では、インパルス周波数は、カテーテル10自体の共振周波数に適合するように設定され、したがって、内腔14にわたって向上したインパルスの遠位伝搬を可能にする。一実施例では、例えば、3Frの単一内腔カテーテル組立体の共振周波数は、約35cm~約55cmのカテ-テルチューブの長さに関して、約30Hzであることが判明した。共振周波数は、多数のカテーテル特徴に従って変更され得る。一実施形態では、例えば、種々のカテーテルに関する共振周波数は、約15Hz~約50Hzで変更されるが、その他の周波数が可能である。
【0030】
[00040]一実施形態では、インパルス周波数は約20KHzを超え、これにより、内腔
の閉塞を解消するため、又は内腔の開通性を維持するために、超音波インパルス信号として実行される。これらの超音波信号は、内腔(複数可)14内に存在する閉塞物(複数可)を除去するのに十分な周波数、強度、及び衝撃係数を有する。一実施形態では、開通装置30は、操作可能にルアーコネクタ22又はカテーテル10の拡張脚部に接続可能な、超音波モジュールを含むことができ、また流体で満たされた内腔14に超音波インパルスを提供するための、超音波変換器を更に含む。開通装置30は、流体又は抗菌剤等などのその他の物質が、カテ-テルチューブの内腔(複数可)14内へと注入される、又はカテ-テルチューブの内腔(複数可)14から吸引されることを可能にする、引き込み口を更に含むことができる。
【0031】
[00041]開通装置30は、動力作動式である、又はバッテリなどのそれ自体の電源を含
むことができる、かのどちらかである、ということに留意されたい。一実施形態では、コントローラ170は、ユーザにより、インパルス、休止期間、基準負圧等の特徴の調整を可能にし得る、ということに更に留意されたい。
【0032】
[00042]本明細書に記載された開通装置の周期的使用はまた、本明細書で前述のように
、最初の位置における、閉塞物の、初期の固着及び増殖を防止することにより、閉塞物の形成を防止するように機能し得る、と理解されている。一実施形態では、開通装置は自動式であり、したがって、閉塞を防止する受動的解決法として機能する。
【0033】
[00043]一実施形態では、圧力調整器を用いて、開通装置30における与圧流体を提供
及び/又は維持することができる、ということに留意されたい。インパルスの圧力に対して調節を行って、カテ-テルチューブの内腔14にわたって、インパルスが遠位に移動した距離に応じた圧力損失/圧力減衰を補償してよいと理解されている、ということにも留意されたい。
【0034】
[00044]上記の見地から、一実施形態では、カテ-テル組立体10の内腔(複数可)1
4に開通性を提供するための方法は、カテーテルのカテーテルチューブ12の内腔内に流体を配置させることと、内腔内に配置された流体にわたって、複数の正圧インパルスを伝搬することと、を含む、と理解されており、インパルスは所定のパターンにて伝搬されることに留意されたい。
【0035】
[00045]
図5の開通装置は、N.C.バルブ140及びN.O.バルブ150に関して
、ゲートバルブ型のバルブをチューブピンチバルブに置き換える。このようなバルブは、N.O.ピンチバルブ150に隣接した図示の高圧管194などの、流体ラインを備えるチューブの一部をピンチオフすることにより作動し、これにより、それを通した流体流れを停止させる。バルブはチューブのピンチオフを解除して、それを通して新たな流体が流れることを可能にする。したがって、これら及びその他のバルブの種類が検討される。
【0036】
[00046]
図6は、別の実施形態による開通装置30の詳細を示し、圧力投入部38は、
所望の流体圧力インパルスを形成するための機械的動作を提供するように構成された、ボイスコイルアクチュエータ200などの、アクチュエータを含む。サーボドライブ214は、アクチュエータ機能を補助するために、ボイスコイルアクチュエータ200に操作可能に接続されている。ピストン202(又はプランジャ等)は、ボイスコイルアクチュエータ200に操作可能に接続されており、続いて流体リザーバ34に操作可能に接続されており、この時点で流体収容シリンジ206に接続されている。本実施形態では、シリンジ206は高圧シリンジである。ピストン202は、シリンジ206の近位端部内に収容されるようなサイズであり、これにより、ピストンが、ボイスコイルアクチュエータによる機械的動作を、シリンジ内に存在する流体へと移動させて、所望のインパルスを発生させることを可能にする。シリンジ206の流体中に生じたインパルスは、前進してバルブ210を通って、カテーテルチューブ12の内腔14内へと送られる。本実施形態では、ハブアダプタ208が含まれて、バルブ210が操作可能にカテーテル10に接続されることを可能にする。
【0037】
[00047]コントローラ170などにより、バルブ210は操作可能であり、選択的に開
かれて、上述の構成要素により生じるインパルスが、カテーテルの内腔14へと通過することを可能にする。開通手順中のその他の全ての時間において、バルブ210が切換えられて、上述した実施形態に類似した方法にて、シリンジポンプ162を介して、カテーテルの内腔14へと基準負圧が付与されることを可能にする。一実施形態では、
図6の開通装置30により生じたインパルスの圧力は、約60psi~約100psi以上で測定されるが、これはシステム設計により変更することができる。
【0038】
[00048]
図7は、別の実施形態による開通装置30の詳細を示し、圧力投入部38は、
所望の流体インパルスを形成するためのエネルギーを発生させる、拡声器などの波形発生器220を含む。信号発生器224は、電圧波形、又は駆動信号を発生させて、インパルスの所望のパターンにて波形発生器を作動させ、信号発生器の信号が増幅器226により増幅される。一実施形態では、
図7の開通装置30により生じたインパルスの圧力は、約40psi以下で測定されるが、これはシステム設計により変更することができる。
【0039】
[00049]プランジャなどのピストンは、波形発生器220の拡声器の可動錐体に操作可
能に接続されており、流体収容シリンジ206内に収容されており、流体リザーバ34として機能する。拡声器の操作は、信号発生器224及び増幅器226により受信されかつ増幅された駆動信号に従ってその錐体を移動させ、駆動信号に従ってプランジャを順次移動させる。シリンジ106内に収容された流体は、プランジャにより移動させられ、これにより、ハブアダプタ208を介して、カテーテル10の内腔14にわたって遠位に伝播される、所望の流体インパルスが生じる。一実施形態では、
図7の開通装置により生じたインパルスは、約1~約200Hzの範囲の周波数であるが、種々のその他の周波数が可
能である。
【0040】
[00050]
図3、5、6及び7に関連して示されかつ記載された開通装置30の実施形態
は、したがって、カテーテルの内腔内の閉塞物質を除去するための流体インパルスを提供し、及び/又は閉塞のない内腔の開通性を維持するために用いることができる、多数の種々の開通装置の代表である。
【0041】
[00051]
図8~10は、例えば、
図6に示す開通装置30などの本開通装置により発生
する正圧インパルスに関する、種々のオペレーションサイクルを示す。
図8は、設定されたインパルスの周波数にてカテ-テルチューブの内腔14(
図1)へと送達され、かつ次のインパルスが開始する前に基準圧力284に戻る、(エネルギー、圧力の観点から)連続的な一連の、等しいインパルスを含むパルス特性280を示す。周波数は、超音波周波数(例えば、20KHzを超える)を含む、任意の1つ以上の種々のインパルス周波数であり得る。
【0042】
[00052]
図9では、インパルスの一連の群が示されており、本インパルスの群は、低正
圧などの、公称基準圧力284の休止期間286により分離されており、このパターンは、閉塞物が存在していないがインパルスを使用して内腔14の開通性を維持する場合に対して有用である。
【0043】
[00053]
図10では、インパルスの一連の群が示されており、本インパルスの群は、更
に上述のように、基準負圧284の休止期間286により分離されており、インパルスにより除去されるいずれかの閉塞物が、カテーテル10から吸引されることを可能にする。本明細書のこれらの及びその他の実施例では、各群におけるインパルスの数を、ユーザの所望及び/又は、圧力、周波数等であり得る、事前設定された所定のパターンに従って変更することができることに留意されたい。開通装置30の周波数の使用は、意図される使用が予防的であるか又は矯正であるかに応じて、また存在する閉塞物の量等に応じて、継続的に、時間ごとに、日ごとに、週ごとに、時々、等から変更することができることに留意されたい。
【0044】
[00054]
図11は、本明細書に記載されたように、又は本明細書で明らかなように、静
水ポンプ又はその他の好適な構成要素を含む圧力投入部38を含む、開通装置30の詳細を示す。膜290が含まれて、圧力投入部38により発生する正圧により作用する場合に、動く/振動するように構成され、したがって、流体で満たされたルアーコネクタ22及びカテーテル10の内腔14にわたって移動してそこへ開通性を提供する前に、3ウェイバルブなどの、バルブ294に配置された流体にわたって伝搬される、正圧インパルスを発生させる。真空投入部160は、バルブ294が作動して、それらの間に流体連通を提供する場合に、基準負圧/負圧インパルスを内腔14内の流体に供給するように提供される。本実施形態には流体リザーバ34は含まれていない、と理解されている。
図11に示す実施形態は、一実施形態において、T-コネクタを含み、図示された構造を提供することができる。
【0045】
[00055]本発明の実施形態は、本開示の趣旨から逸脱することなく、その他の特定の形
態で具現化することができる。記載されている実施形態は、全ての点において単に例示的なものに過ぎず、限定的ではないと解釈されるべきである。したがって、実施形態の範囲は、前述の説明によるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲により示される。本特許請求の範囲と同等の意味及び範囲内に収まる全ての変更は、これらの範囲内に包含される。