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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】水噴霧法による金属粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20230313BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20230313BHJP
   C22B 15/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B22F9/08 A
B22F1/00 L
C22B15/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021527127
(86)(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2018116366
(87)【国際公開番号】W WO2020102963
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521211343
【氏名又は名称】湖南特力新材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUNAN TERRY NEW MATERIALS CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Building A1,Pioneer Park,High-tech Zone,Yiyang,Hunan 413000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲勁▼松
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲シン▼
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102941102(CN,A)
【文献】特開2007-284715(JP,A)
【文献】特開平07-113106(JP,A)
【文献】特開2017-031461(JP,A)
【文献】特開2004-349364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/00
B22F 1/00
C22B 15/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製錬、噴霧、分離及び乾燥のステップを含む水噴霧法による金属粉末の製造方法であって、
前記金属粉末は赤銅粉末、青銅粉末又は黄銅粉末であり、
前記乾燥ステップにおいて、金属粉末を凍結乾燥させ、
前記噴霧ステップにおいて、噴霧液は水であり、水の温度は0~4℃であることにより、赤銅粉末の酸素含有量は0.020%であり、青銅粉末の酸素含有量は0.041%であり、黄銅粉末の酸素含有量は0.076%である、ことを特徴とする金属粉末の製造方法。
【請求項2】
製錬及び/又は噴霧ステップに保護雰囲気が使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
製錬から噴霧のいずれのステップにも保護雰囲気が使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記保護雰囲気は窒素ガスである、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
噴霧ステップにおいて、噴霧液は腐食抑制剤を添加した水溶液である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水溶液中、腐食抑制剤の質量は水溶液の質量の0.02~0.1%を占める、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記腐食抑制剤はメルカプトベンゾチアゾールとベンゾトリアゾールからなる、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
製錬ステップにおいて、金属メルトの表面が木炭で覆われている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
乾燥ステップにより得られた金属粉末を篩分けして、金属粉末完成品を得る、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水噴霧法による金属粉末の製造方法に関し、特に低酸素含有量の銅粉末及び銅合金粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属粉末(鉄、ステンレス鋼、銅及びその合金、ニッケル、錫、鉛など)は粉末冶金工業の基礎原料であり、自動車粉末冶金部品、化学工業、電子素子などの産業の主要な原料の一つでもあり、それらの性能は製品の最終品質に直接影響を与える。科学技術の発展に伴い、粉末冶金は巨大な進歩を遂げており、いくつかの新技術が応用され、普及している。例えば、3Dプリント、金属粉末射出成形技術(Metal Powder Injection Molding、略称MIM)などである。MIMは現代のプラスチック射出成形技術を粉末冶金分野に導入することによって形成された新型粉末冶金ニアネットフォーミング技術である。従来のプロセスに比べて、精度が高く、組織が均一で、性能に優れ、生産コストが低いなどの利点があり、その製品は電子情報工学、バイオ医療機器、事務機器、自動車、機械、金物、スポーツ機器、時計業界、兵器や航空宇宙などの工業分野に広く応用されている。従来の粉末冶金製品も、その性能に対する要件がますます高くなっているため、使用環境がますます劣悪になっている。このため、粉末冶金製品の原料粉末の性能にも、要件がますます高まっている。粉末の性能指標の中でも、酸素含有量は非常に重要な指標であり、酸素は通常、粉末冶金製品中の不純物であり、粉末冶金製品の性能に異なる程度の損害を与えるので、その含有量は低いほど良い。
【0003】
技術的な観点だけから考えると、ガス噴霧粉末製造は、低酸素含有量、高球形度、微細粉末の要件を満たすことができる。しかし、一つの技術がどんなに先進的であっても、広範な応用と普及を得て、普及応用の価値と空間があるようにするためには、経済的に実行可能でなければならない。ガス噴霧粉末製造は、少なくとも窒素ガスを媒体として使用しなければ、粉末の酸素含有量を制御することができず、このような高圧窒素ガスの使用は生産コストを明らかに上昇させ、また、高圧アルゴンガスや高圧ヘリウムガスを使用すると、コストは更に高くなる。一方、ガス噴霧粉末製造では、圧力が限られているが、粉末を微細化することは圧力依存性が大きく、ガス噴霧粉末製造の微細粉末の低収率はまた、ガス噴霧により微細粉末を製造する場合の高コストのもう1つの重要な要素でもある。ガス噴霧による低酸素含有量・高球形度の微細粉末は生産技術が成熟しているが、コストが高いため、その市場への普及が制限されている。超高圧水噴霧粉末製造は、ガス噴霧の10倍ないし数十倍に相当する圧力を使用することができ、微細粉末を容易に得ることができる反面、酸素含有量が高く、水噴霧銅合金粉末の酸素含有量は一般的にガス噴霧銅合金の酸素含有量の10倍ないし数十倍である。そのため、水噴霧粉末製造の生産コストは低いが、技術性能の向上が必要である。このように、水噴霧粉末製造は経済的には実行可能であるが、大規模な普及応用を得るには、技術的には改善が必要とされる。高品質の低酸素含有量銅合金粉末が求められている現在の市場に対応するため、高性能を有する低酸素含有量銅合金粉末を安価に製造するための低酸素含有量銅合金粉末の効率的な生産技術が急務となっている。比較文献である中国特許CN104511594Aには、改良型水噴霧法による銅合金粉末の製造プロセスが開示されており、その粉末の酸素含有量は0.08%以下、-30μmの微細粉末率は70%以上に制御されている。比較文献である中国特許CN104511594A、CN106041049A及びCN106048298Aと比較して、本発明特許では、酸素含有量に対する制御効果がより優れている。
【0004】
本発明では、製錬、メルトの注入、噴霧、分離、乾燥等の粉末製造過程に着目して、粉末の酸素含有量等に影響を与える各要素を十分に分析し、対応する技術的対策をとることにより、全く新しい水噴霧粉末製造プロセスを作成し、粉末の酸素含有量の低減、耐酸化及び粉末保存などの面で予想外の効果が得られ、水噴霧方法によって低酸素含有量と耐酸化性を有する長期保存可能な銅合金粉末を効率的に製造することは、市場の需要を満たすことができ、応用の将来性が期待できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水噴霧により製造された粉末では、酸素含有量が多く、長期保存ができず、保存中に酸化しやすいなどの問題を解決することである。本発明は、全く新しい水噴霧粉末製造プロセスを採用して、酸素含有量が低く、耐酸化性があり、長期保存可能な銅及び銅合金粉末を効率的に製造する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術案は、製錬、噴霧、分離及び乾燥のステップを含む水噴霧法による金属粉末の製造方法であって、前記乾燥ステップにおいて、金属粉末を凍結乾燥させる金属粉末の製造方法を提供することである。
【0007】
凍結乾燥は昇華の原理を利用して材料を脱水する乾燥技術である。凍結乾燥は他の分野でよく使われているが、噴霧粉末製造プロセスへの応用はまだ発見されていない。本発明では、水と金属粉末とを分離した後、水分の少ない金属粉末を凍結乾燥させ、水分を凝固させて氷とし、次に氷を直接昇華させる。この技術は、加熱乾燥とは明らかに異なる。金属粉末乾燥過程では、酸素ガス/空気からの遮断も必要であるため、一般的には加熱と同時に真空吸引、すなわち真空加熱乾燥も行う。
【0008】
好ましくは、製錬及び/又は噴霧ステップに保護雰囲気が使用される。
【0009】
好ましくは、製錬から噴霧のいずれのステップにも保護雰囲気が使用される。
【0010】
好ましくは、前記保護雰囲気は窒素ガスである。
【0011】
好ましくは、噴霧ステップにおいて、噴霧液は腐食抑制剤を添加した水溶液である。腐食抑制剤は抗酸化剤とも呼ばれ、噴霧液に添加され、優先的に酸素ガスと結合して、金属粉末の酸化を減少又は回避することができる。
【0012】
好ましくは、前記水溶液中、腐食抑制剤の質量は水溶液の質量の0.02~0.1%を占める。
【0013】
好ましくは、前記腐食抑制剤はメルカプトベンゾチアゾールとベンゾトリアゾールからなる。
【0014】
好ましくは、噴霧ステップにおいて、噴霧液は水であり、水の温度は0~4℃である。水に氷塊を加えて氷水混合物とし、好ましくは、水の温度を0℃に維持する。
【0015】
好ましくは、製錬ステップにおいて、金属メルトの表面が木炭で覆われている。木炭は低密度のため、高温では酸素と反応して酸素が直接金属メルトと接触できないようにし、金属メルトの表面に浮いて金属液相と気相との間に物理バリア層を形成し、溶融金属の酸化を減らす。このような技術は、コストが極めて低く、このため、広く実用されている。
【0016】
好ましくは、乾燥ステップにより得られた金属粉末を篩分けして、金属粉末完成品を得る。
【0017】
好ましくは、前記金属粉末は、銅粉末(赤銅粉末とも呼ばれる)又は銅合金粉末である。
【0018】
好ましくは、前記銅合金粉末は、青銅粉末又は黄銅粉末である。赤銅粉末の最低酸素含有量は0.020%、青銅粉末の酸素含有量は0.041%、黄銅粉末の酸素含有量は0.076%だけである。
【0019】
本発明の技術的原理は以下のとおりである。金属はその活性度にかかわらず高温で酸化する傾向があり、活性金属の酸化がより顕著である。粉末の酸化を低減するためには製錬、例えば、完全密封方式が採用され、正圧であっても負圧であっても、製錬金属の多様性、合金成分の多様性により、密封空間の圧力が瞬間的に変化しやすく、生産過程で危険が生じやすい。圧力が急激に増大したり爆発したりして、作業員や設備に危害を与えることもある。本発明では、相対密封方法が使用され、窒素ガスを用いて酸素を隔離する。このように、密閉空間は周囲の雰囲気と比較してわずかな正圧だけがあり、安全で信頼性が高いという利点を有する。一方、窒素ガスは比較的安価であり、技術的にも経済的にも実行可能である。固体の原料金属から、液体の溶融金属を経て、固体の合金粉末に至るまで、窒素ガスで酸素を隔離することにより、粉末製造の全過程において、金属の酸化度を十分に低減することができ、合金粉末の酸素含有量を最小限に抑えることができる。
【0020】
噴霧水に添加した質量分率が各0.04%の微量のメルカプトベンゾチアゾールとベンゾトリアゾールは腐食抑制剤として、メルトが噴霧時に固体粉末になること、及び水と粉末の分離、乾燥の過程における酸化を非常に効果的に減少させ、腐食抑制剤は、液体金属が固体化した後に金属粒子を被覆することで、銅粉末の表面酸化反応の機会を低減する。
【0021】
噴霧水の温度が低いほど、水の冷却能力が高くなり、生成する水蒸気が少なく、消滅しやすくなるので、金属粉末の酸化を低減するのに非常に有利である。合金粉末と水を分離した後、粉末が細かく表面積が大きく、活性が高いため、粉末の表面酸化反応が起こりやすく、酸素含有量が増加する。
【0022】
凍結乾燥方法を採用すると、湿った粉末は非常に低い温度で乾燥するので、水が氷になってから氷は金属粒子を含み、酸素は金属と反応できなくなる。次に水は氷の形で昇華して除去され、このように合金粉末の酸素増加は完全に無視することができる。金属粉末を乾燥させた後、粒子表面に被覆された腐食抑制剤による保護のおかげで、酸素と金属粉末とが効果的に遮断されるので、金属粉末は、耐酸化性が効果的に向上し、酸化されることなく長期間保存することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明では、実験した結果、凍結乾燥は、銅及び銅合金の酸素含有量の指標に影響を与える要因であり、低酸素含有量の銅及び銅合金粉末、さらに金属粉末の製造に用いられ得る。本発明では、噴霧過程において酸化される可能性のある詳細も考慮され、総合的な対策をとることにより、銅及び銅合金粉末が酸化される確率を大幅に減少させる。それにより、水噴霧粉末の酸素含有量及び耐酸化性を効果的に低下させ、水噴霧粉末が長期間保存しても酸化されにくいようにする。
【発明を実施するための形態】
【0024】
比較例1
コアレス中間周波数炉に100kgの電解銅板の炉装入物を投入して製錬し、電解銅板上に厚い木炭層を被覆し、次に、通電して昇温し、木炭層は、溶融銅を還元性雰囲気に維持して、液体銅中の酸素を十分に除去した。メルトの品質が要件を満たし、中間底注ぎ型取鍋にメルトを注入すると、底注ぎ型取鍋の中心の漏れ孔である導流管はメルトをガイドして噴霧塔に垂直に流入させ、高温溶融金属流がジェットアトマイザから噴射された高圧水流(水温25℃)による衝撃により粉砕されて粉末となる。ジェットアトマイザは、噴霧器本体と、4個の扇形ノズルとからなり、2つずつの対向するノズルは1組を構成し、合計2組のノズルがあり、2組のノズルは、1組の大径のノズルと、1組の小径のノズルとからなる。水噴霧が完了した後、多段ジェットによって水と粉末とを分離し、水と粉末とを分離した直後、真空加熱乾燥の方法によって銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た。製造した赤銅粉末の酸素含有量は0.25%、2年間保存後の酸素含有量は0.25%、-200メッシュの粉末収率は89%であった。
【0025】
比較例2
コアレス中間周波数炉に電解銅板の炉装入物100kgを投入して製錬し、電解銅板上に厚い木炭層を被覆し、次に、炉蓋を密閉させつつ窒素ガスを導入して保護し、窒素ガスで酸素を排出した後、通電して昇温し、電解銅を坩堝内で加熱するときの炉体内の酸素をなくし、酸素と銅とを隔離した。厚い木炭層により、溶融銅を還元性雰囲気に維持し、液体銅中の酸素を十分に除去した。メルトの品質が要件を満たし、中間底注ぎ型取鍋にメルトを注入すると、底注ぎ型取鍋の中心の漏れ孔である導流管は、メルトをガイドして噴霧塔に垂直に流入させ、高温溶融金属流がジェットアトマイザから噴射された高圧水流(水温25℃)による衝撃により粉砕されて粉末となる。ジェットアトマイザは、噴霧器本体と、4個の扇形ノズルとからなり、2つずつの対向するノズルは1組を構成し、合計2組のノズルがあり、2組のノズルは、1組の大径のノズルと、1組の小径のノズルとからなる。水噴霧が完了した後、多段ジェットによって水と粉末とを分離し、水と粉末とを分離した直後、真空加熱乾燥の方法によって銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た。製造した赤銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0026】
比較例3
メルトの品質が要件を満たし、中間底注ぎ型取鍋にメルトを注入すると、密閉された透明装置を用いて、また、窒素ガスをあらかじめ導入してメルトを保護し、酸素と、中間周波数炉から中間底注ぎ型取鍋に注入する過程における高温メルトとを隔離した以外、残りの操作は比較例2と同様であった。メルトを底注ぎ型取鍋に注湯すると、取鍋の中心の漏れ孔である導流管は、メルトをガイドして噴霧塔に垂直に流入させ、高温溶融金属流がジェットアトマイザから噴射された高圧水流(水温25℃)による衝撃により粉砕されて粉末となる。ジェットアトマイザは、噴霧器本体と、4個の扇形ノズルとからなり、2つずつの対向するノズルは1組を構成し、合計2組のノズルがあり、2組のノズルは、1組の大径のノズルと、1組の小径のノズルとからなる。水噴霧が完了した後、多段ジェットによって水と粉末とを分離し、水と粉末とを分離した直後、真空凍結乾燥方法によって銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た。製造した赤銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0027】
比較例4
高温メルトを中間底注ぎ型取鍋に注入する前に、噴霧塔内の酸素ガスをあらかじめ排出して窒素ガスで満たし、メルトを底注ぎ型取鍋に注湯すると、取鍋の中心の漏れ孔である導流管は、メルトをガイドして噴霧塔に垂直に流入させ、高温溶融金属流がジェットアトマイザから噴射された高圧水流(水温25℃)による衝撃により粉砕されて粉末となる以外、残りの操作は比較例3と同様であった。ジェットアトマイザは、噴霧器本体と、4個の扇形ノズルとからなり、2つずつの対向するノズルは1組を構成し、合計2組のノズルがあり、2組のノズルは、1組の大径のノズルと、1組の小径のノズルとからなる。水噴霧が完了した後、多段ジェットによって水と粉末とを分離し、水と粉末とを分離した直後、真空加熱乾燥の方法によって銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た。製造した赤銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0028】
比較例5
高圧水にセチルアミン、オクタデシルアミン、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールの混合物を腐食抑制剤として微量加えた以外、残りの操作は比較例4と同様であった。水噴霧が完了した後、多段ジェットによって水と粉末とを分離し、水と粉末とを分離した直後、真空加熱乾燥の方法によって銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た。製造した赤銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0029】
比較例6
腐食抑制剤を加えるとともに、給水塔に氷塊を加えて氷と水を共存させ、噴霧水の水温をできるだけ0℃に近くする以外、残りの操作は比較例5と同様であった。水噴霧が完了した後、多段ジェットによって水と粉末とを分離し、水と粉末とを分離した直後、真空加熱乾燥の方法によって銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た。製造した赤銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0030】
実施例1
水と粉末とを分離した直後、比較例6の真空加熱乾燥の方法の代わりに凍結乾燥方法を用いて、銅合金粉末を乾燥させ、乾燥させた粉末を篩分けして、最後に、金属粉末完成品を1ロットとして得た以外、残りの操作は比較例6と同様であった。製造した赤銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0031】
実施例2
実施例1の方法によって青銅粉末を製造し、製造した青銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【0032】
実施例3
実施例1の方法によって黄銅粉末を製造し、製造した黄銅粉末の対応する結果を表1に示す。
【表1】