(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】引出し可能な家具部分を解除可能にロックするためのロック装置
(51)【国際特許分類】
A47B 88/53 20170101AFI20230313BHJP
【FI】
A47B88/53
(21)【出願番号】P 2021544240
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 AT2019060415
(87)【国際公開番号】W WO2020154750
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-08-25
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル ネッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヴォールゲナント
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05203620(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02226946(GB,A)
【文献】特表2014-530688(JP,A)
【文献】特表2017-511189(JP,A)
【文献】独国実用新案第000009418689(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、少なくとも1つの引出し用引出しガイド(5)と、家具本体(2)に引出し可能に支持された家具部分(4)、特に引出し可能な作業面(4a)を前記家具本体(2)に対して相対的な少なくとも1つの位置で解除可能にロックするための少なくとも1つのロック装置(9,90)とを備え、前記引出し用引出しガイド(5)は、前記家具本体(2)に固定すべき本体レール(6)と、少なくとも1つの引出しレール(8)とを有し、前記引出しレール(8)は、前記本体レール(6)に対して相対的に完全な閉鎖位置と完全な開放位置との間で移動可能に支持されている、アセンブリにおいて、前記ロック装置(9,90)は、
前記引出し用引出しガイド(5)に固定すべき第1のロック部品(16)と、引出し可能に支持された前記家具部分(4)に固定すべき少なくとも1つの第2のロック部品(17)とを有し、前記第1のロック部品(16)と前記第2のロック部品(17)とは、互いに解除可能にロック可能であり、少なくとも前記第2のロック部品(17)は、ベース部分(12)と、前記第1のロック部品(16)を解除可能にロックするためのロック要素(20)とを有し、前記ロック要素(20)は、回動軸線(X)を中心として回動可能に前記ベース部分(12)に支持されており、前記引出し用引出しガイド(5)の前記引出しレール(8)は、前記完全な開放位置において、または前記完全な開放位置に達する直前において前記ロック装置(9,90)によって解除可能にロック可能であることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項2】
前記第2のロック部品(17)は、同期化ロッド(15a)用の少なくとも1つの連結片(14)を有し、前記少なくとも1つの連結片(14)は、前記ロック要素(20)に連動するように結合されていることを特徴とする、請求項1記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記連結片(14)は、
前記同期化ロッド(15a)に回動運動
を伝達するために、非円形の横断面を有し
ていることを特徴とする、請求項2記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記連結片(14)は、前記ロック要素(20)の前記回動軸線(X)に対して同軸的に配置されていることを特徴とする、請求項3記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記第2のロック部品(17)は、両方の前記ロック部品(16,17)をロック解除するための少なくとも1つの操作レバー(10)を有し、前記少なくとも1つの操作レバー(10)は、前記ロック要素(20)に連動するように結合されていることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ロック要素(20)は、前記第1のロック部品(16)と前記第2のロック部品(17)とがロックされた状態で、前記第1のロック部品(16)のロック凹部(31)内に係合していることを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第2のロック部品(17)の前記ベース部分(12)は、引出し可能な前記家具部分(4)に前記第2のロック部品(17)を固定するための固定接触面(22)を有することを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記第2のロック部品(17)は、前記ロック要素(20)にロック位置の方向へ予荷重を加える少なくとも1つのばね要素(23)を有することを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第1のロック部品(16)は、
前記引出し用引出しガイド(5)に前記第1のロック部品(16)を固定するための少なくとも1つの固定装置(25a,25b)を有し
ている、請求項1から
8までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの固定装置(25a,25b)は、前記引出し用引出しガイド(5)に固定することができることを特徴とする、請求項9記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの固定装置(25a,25b)は、前記引出し用引出しガイド(5)の前記本体レール(6)に固定することができることを特徴とする、請求項10記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1のロック部品(16)は、前記ロック要素(20)を解除可能にロックするための少なくとも1つの蓄力器(19)を有することを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1のロック部品(16)は、前記ロック要素(20)を移動可能にガイドするための少なくとも1つの導入斜面(30)を有することを特徴とする、請求項1から
12までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項14】
第1のロック装置(9)および少なくとも1つの第2のロック装置(90)が設けられており、前記第1のロック装置(9)は、引出し可能な前記家具部分(4)の第1の側に配置可能であり、前記少なくとも1つの第2のロック装置(90)は、引出し可能な前記家具部分(4)の、前記第1の側とは反対側に位置している第2の側に配置可能であ
ることを特徴とする、請求項1から
13までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【請求項15】
両方の前記ロック装置(9,90)の前記ロック要素(20)は、同期化装置(15)によって連動するように互いに結合可能であることを特徴とする、請求項14記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記同期化装置(15)は、両方の前記ロック装置(9,90)の回動可能な前記ロック要素(20)に連動するように結合されているかまたは結合可能である少なくとも1つの同期化ロッド(15a)を有することを特徴とする、請求項
15記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記引出しレール(8)のロックされた状態では、閉鎖方向での前記引出しレール(8)の運動が阻止されていることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセンブリであって、少なくとも1つの引出し用引出しガイドと、家具本体に引出し可能に支持された家具部分、特に引出し可能な作業面を家具本体に対して相対的な少なくとも1つの位置で解除可能にロックするための少なくとも1つのロック装置とを備え、引出し用引出しガイドは、家具本体に固定すべき本体レールと、少なくとも1つの引出しレールとを有し、引出しレールは、本体レールに対して相対的に完全な閉鎖位置と完全な開放位置との間で移動可能に支持されている、アセンブリに関する。
【0002】
引出しをロックするための、旋回可能に支持されたロック要素を備えたロック装置は、例えば、米国特許第6955380号明細書、独国実用新案第202006015529号明細書、独国実用新案第20206522号明細書、米国特許第5203620号明細書、欧州特許出願公開第3199062号明細書、および国際公開第2009/114887号明細書に開示されている。
【0003】
冒頭に記載したロック装置によって、引出し可能な家具部分、特にトレイのような引出し可能な作業面または引出し可能な棚板が、完全な開放位置で家具本体に対して相対的に解除可能にロック可能である。こうして、可動の家具部分が家具本体内に不都合に戻ってしまうことを阻止することができる。このことは、例えば、可動の家具部分が、キッチンマシン(コーヒーメーカー、撹拌器)を引出し可能に支持するように構成されているか、マルチメディア機器(ディスプレイ、コンピュータキーボード)を支持するように構成されているか、引出し可能なデスク天板として構成されているか、またはおむつ替え台として構成されている場合に好適である。引出し可能な作業面を使用しない場合には、ロックが解除される。これによって、可動の家具部分を家具本体内に走入させ、そこで、スペースを節約して収容することができる。
【0004】
このようなロック装置は、通常、互いにロックすべき2つのロック部品を有している。第1のロック部品は、家具本体に固定することができ、第2のロック部品は、可動の家具部分に固定することができる。両ロック部品は、プラスチックから一体に製造されていることが多い。ロック部品は、ロックされた状態で互いに係合し合っている。可動の家具部分に力を加えることによって、両ロック部品の間のロックは、予め設定された保持力を乗り越えた後に再び解除することができる。その都度のロック解除動作のためには、使用者がこの保持力を新たに乗り越える必要があり、さらに、ロック解除は、不快な騒音を伴って行われることが多い。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べたカテゴリーのロック装置を改良して、上述した欠点を排除することである。
【0006】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。本発明の更なる実施例は、従属請求項に記載してある。
【0007】
本発明によれば、ロック装置は、家具本体に固定すべき第1のロック部品と、引出し可能に支持された家具部分に固定すべき少なくとも1つの第2のロック部品とを有し、第1のロック部品と第2のロック部品とは、互いに解除可能にロック可能であり、少なくとも第2のロック部品は、ベース部分と、第1のロック部品を解除可能にロックするためのロック要素とを有し、ロック要素は、回動軸線を中心として回動可能にベース部分に支持されており、引出し用引出しガイドの引出しレールは、完全な開放位置において、または完全な開放位置に達する直前においてロック装置によって解除可能にロック可能であることが特定されている。
【0008】
引出しレールのロックされた状態では、閉鎖方向での引出しレールの運動が阻止されている。
【0009】
両ロック部品の間のロックを解除するために、回動可能に支持されたロック要素によって保持力および/または摩擦抵抗を低減することができる。なぜならば、ロック要素を回動軸線を中心とした手動によって、ロック部品を解放する解除位置に運動させることができるからである。
【0010】
本発明の別の利点は、回動軸線を中心として旋回可能なロック要素を、旋回可能な操作レバーに簡単に結合することができ、ロック要素が、操作レバーの旋回運動によってロック可能かつ/またはロック解除可能であるという点にある。
【0011】
最後に述べると、本発明の別の利点は、ロック装置のロック要素の回動運動が、同期化装置を介して、第2のロック装置の第2のロック要素の回動運動と同期化可能である点にある。第1のロック装置が、可動の家具部分の第1の側に配置されているのに対して、第2のロック装置は、可動の家具部分の、第1の側とは反対側に位置している第2の側に支持されている。同期化装置によって、両ロック要素の回動運動を互いに同期化させることができる。このことは、例えば、引出し可能な家具部分のロックおよび/またはロック解除を左手でまたは代替的には右手で実施することができるという可能性を提供する。
【0012】
1つの実施例によれば、両ロック部品をロックするためのロック要素が、蓄力器の力によって自動的にロック可能であることが特定されていてよい。代替的には、両ロック部品のロックを、人によって意識的に実施されるロック要素の運動によって行うことが可能である。
【0013】
本発明の更なる詳細および利点は、下記の図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1a】家具本体に対して相対的に引出し可能な家具部分を備えた家具を示す斜視図である。
【
図1b】家具本体に対して相対的に引出し可能な家具部分を備えた家具を拡大して示す詳細図である。
【
図2】ロック装置を備えた引出し用引出しガイドを示す斜視図である。
【
図3】引出し用引出しガイドと、引出し可能な家具部分を解除可能にロックするためのロック装置とを備えた引出し可能な家具部分を示す分解図である。
【
図4a】ロック装置を備えた引出し可能な家具部分を示す斜視図である。
【
図4b】ロック装置を備えた引出し可能な家具部分を拡大して示す詳細図である。
【
図5a】引出し用引出しガイドの後端領域を示す斜視図である。
【
図5b】引出し用引出しガイドの前端領域を示す斜視図である。
【
図6a】第1のロック部品と第2のロック部品とがロックされた状態における引出し用引出しガイドを示す斜視図である。
【
図6b】引出し用引出しガイドからの引出し可能な家具部分の取外しを示す斜視図である。
【
図7a】引出し用引出しガイドからの引出し可能な家具部分の取外しを示す斜視図である。
【
図7b】引出し用引出しガイドからの引出し可能な家具部分の取外しを示す別の斜視図である。
【0015】
図1aには、家具本体2と、家具本体2に対して相対的に走行可能に支持された引出し3とを備えた家具1が斜視図で示してある。引出し3の上には、作業面4aを提供する、引出し可能に支持された家具部分4が配置されており、この家具部分4は、家具本体2に対して相対的に完全な閉鎖位置と完全な開放位置との間で走行可能に支持されている。ロック装置9によって、引出し可能な家具部分4は、完全な開放位置において、または完全な開放位置に達する直前で解除可能にロック可能である。こうして、閉鎖位置の方向への引出し可能な家具部分4の意図しない閉鎖運動を阻止することができる。このことは、例えば、引出し可能な家具部分4が、キッチン機器を載置するために使用されるか、マルチメディア機器を載置するために使用されるか、おむつ替え台として使用されるか、または引出し可能なデスク天板として使用される場合に有利である。家具部分4を可動に支持するために、互いに反対側に位置している引出し用引出しガイド5が設けられており、これらの引出し用引出しガイド5は、家具本体2に固定すべき本体レール6と、本体レール6に対して相対的に移動可能に支持された少なくとも1つの引出しレール8(
図2)とを有している。完全引出しを実現するために、本体レール6と引出しレール8との間には、移動可能な中間レール7が設けられてよい。
【0016】
引出し可能な家具部分4は、完全な開放位置で、または完全な開放位置に達する直前でロック装置9によって自動的にロック可能である。ロック装置9は、少なくとも1つの操作レバー10を有していて、この操作レバー10によって、引出し可能な家具部分4のロックが解除可能である。図示の実施例では、操作レバー10は、組付け位置で、水平方向に延びている回動軸線(X)を中心として回動可能に支持されており、家具部分4のロックは、操作レバー10の自由端を手で持ち上げることによって解除可能である。図面では、操作レバー10は、引出し可能な家具部分4に隣接して側方外側に配置されている。これによって、操作レバー10には、家具部分4の開放位置で人の直接つまりダイレクトなアクセスが可能である。
【0017】
好適な実施例によれば、ロック装置9が、引出し可能な家具部分4の第1の側に配置されていて、好ましくは同一に形成された別のロック装置90が、家具部分4の、第1の側とは反対側に位置している第2の側に配置されている。こうして、家具部分4のロックは、人によって選択的に左手または右手によって解除可能である。これに関連して、互いに反対側に位置している両操作レバー10の旋回運動が、同期化装置15(
図3)によって伝達可能であることが有利であり、これによって、ロック装置9のロック解除は、同期化装置15を介して、他方のロック装置90の解除をも生じさせる。同期化装置15は、例えば少なくとも1つのケーブルまたは同期化ロッド15aによって形成することができ、同期化ロッド15aは、家具部分4の第1の側と第2の側との間に延在しており、この同期化ロッド15aによって、両操作レバー10相互の回動運動が同期化可能である。
【0018】
図1bには、
図1aにおいて丸で囲んだ範囲が拡大図で示してある。操作レバー10は、引出し可能な家具部分4の後端領域に、水平方向に延びる回動軸線(X)を中心として旋回可能に支持されている。ロックされた位置で操作レバー10は、家具本体2にまたは引出し用引出しガイド5の本体レール6に配置された第1のロック部品16(
図2)に解除可能にロックされていて、記入した矢印11の方向への運動によってロック解除可能である。
【0019】
図2には、ロック装置9,90を備えた引出し用引出しガイド5が斜視図で示してある。ロック装置9,90は、同一に形成されているので、以下の記載は、両ロック装置9,90に当てはまる。
【0020】
引出し用引出しガイド5は、家具本体2に固定すべき本体レール6と、引出し可能な家具部分4に固定すべき少なくとも1つの引出しレール8とを有している。本体レール6と引出しレール8とは、互いに相対的に移動可能である。追加的に本体レール6と引出しレール8との間には、移動可能な中間レール7が配置されていてよい。引出し可能な家具部分4の前端部に固定すべき、従来技術によって公知の連結装置18aによって、家具部分4は引出しレール8に解離可能に結合可能である。連結装置18aは、引出し可能な家具部分4と引出しレール8との間の結合を解離するための可動の解離部分27を有している。ばねによってアシストされた引込み装置21によって、引出しレール8は、閉鎖された終端位置への閉鎖運動の終端部に向かって引込み可能であり、引出しレール8の引込み運動は、引込み装置21のダンパによって減衰可能である。
【0021】
ロック装置9,90は、第1のロック部品16を有しており、この第1のロック部品16は、家具本体2にまたは引出し用引出しガイド5に、好ましくは本体レール6に固定することができる。この目的のために、第1のロック部品16は、少なくとも1つの固定装置25a,25bを有しており、この固定装置25a,25bは、図示の実施例では、ねじを貫通させるための貫通孔として形成されている。本体レール6は、通常、開口26a,26bを有しており、この開口26a,26bは、固定装置25a,25bの貫通孔に対して整合するように整列させられている。同一の固定手段、好ましくはねじによって、第1のロック部品16は、本体レール6の前端部にかつ同時に本体レール6も家具本体2に固定することができる。第1のロック部品16は、ロック要素20を解除可能にロックするための蓄力器19を有している。好ましくは、蓄力器19は金属製のばねクリップによって形成されていることが特定されており、これによって、ロック要素20をロックするためにかつ/またはロック解除するために必要な力を好適に設定することができる。
【0022】
第2のロック部品17は、引出し可能な家具部分4に固定することができる。第2のロック部品17は、家具部分4に固定すべきベース部分12と、ベース部分12に回動軸線(X)を中心として回動可能に支持されたロック要素20とを有している。ベース部分12は、固定接触面22を備えており、この固定接触面22によってベース部分12は、引出し可能な家具部分4、好ましくはその背面13(
図3)に組み付けることができる。さらに、ベース部分12は、操作レバー10を回動可能に支持するための、中空円筒形の区分を備えた支持体24を有している。操作レバー10は、ロック要素20に連動するように結合されており、操作レバー10は、ロック要素20と一緒に回動軸線(X)を中心として旋回可能である。ばね要素23によって操作レバー10には、ロック位置の方向に予荷重が加えられている。回動可能に支持された連結片14によって、操作レバー10の回動運動は同期化ロッド15a(
図3)に伝達可能である。連結片14は、回動運動を形状接続を介して(つまり嵌め合いに基づく結合を介して)伝達するために、非円形の横断面を有していてよい。連結片14は、回動軸線(X)に対して同軸的に配置されていてもよいし、代替的には、連結片14が、回動軸線(X)に対して平行に間隔を置いて配置された軸線を中心として回動可能に支持されていることも可能である。
【0023】
図3には、家具本体2に固定すべき2つの引出し用引出しガイド5を備えた、作業面4aの形態の引出し可能な家具部分4が、分解図で示してある。引出し用引出しガイド5は、家具本体2の互いに反対側に位置している側壁に固定することができ、引出し可能な家具部分4は連結装置18a,18bによって、互いに反対側に位置している引出しレール8に解離可能に結合可能である。同期化装置15によって、家具部分4の第1の側における操作レバー10の回動運動が、家具部分4の第2の側における他方の操作レバー10の回動運動と同期化可能である。同期化装置15は、例えば回動軸線(X)を中心として回動可能な同期化ロッド15aを有していてよく、この同期化ロッド15aは、両連結片14に形状接続を介して結合可能である。
【0024】
図4aには、ロック装置9,90および同期化ロッド15aの固定形態が示してある。第1の組付けステップで、ベース部分12がその固定接触面22を介して、引出し可能な家具部分4の背面13に固定される。後続のステップで、同期化ロッド15aが、回動軸線(X)に対してほぼ平行に方向付けられ、次いで、連結片14が、同期化ロッド15aの両端領域に嵌められ、これによって、ロック要素20と同期化ロッド15aとの間に力伝達結合が形成される。
【0025】
図4bには、
図4aにおいて丸で囲んだ範囲が拡大図で示してある。連結片14とベース部分12および/または同期化ロッド15aとの間の結合は、少なくとも1つの係止突起28によって固定されていてよい。図示の実施例では、係止突起28は連結片14に配置されていて、結合された状態でベース部分12、好ましくはベース部分12のばね要素23と協働する。ばね要素23は、ここではベース部分12と一緒に一体的にプラスチックから製造されている。ばね要素23のばね作用とは逆向きの、ばね要素23への力作用によって、係止突起28はロック解除可能であり、これによって、操作レバー10が再び取外し可能である。ばね要素23によって、操作レバー10(ひいてはロック要素20)にも、ロック位置の方向へ予荷重が加えられる。
【0026】
図5aには、引出し用引出しガイド5の後端領域が、上から見た図で示してある。この図では、引出し可能な家具部分4は、フェードアウトされている。ロック要素20は、操作レバー10と一緒に回動軸線(X)を中心として旋回可能に支持されている。第2のロック部品17のベース部分12は、引出し可能な家具部分4に固定するための固定接触面22を有している。固定接触面22は、図示の貫通開口の代わりに、家具部分4に固定するためのプラグまたは解離可能な緊締装置を有していてもよい。連結片14は、同期化ロッド15aの端部領域に係合していて、回動軸線(X)を中心とした操作レバー10の回動運動を、同期化ロッド15aを介して家具部分4の、反対側に位置している側に伝達する。
【0027】
図5bには、引出し用引出しガイド5の前端領域が示してある。この図では、第1のロック部品16は、固定装置25a,25bを介して本体レール6に組み付けられている。固定は、ねじによって実施され、ねじは、第1のロック部品16を本体レール6に固定していて、本体レール6を家具本体2に固定している。第1のロック部品16は、ロック要素20を固定するための少なくとも1つの導入斜面30を有している。引出し可能な家具部分4が家具本体2に対して相対的に開放位置に運動させられる場合に、ロック要素20は、導入斜面30に沿って運動させられる。別の導入斜面が、蓄力器19によって形成され、ロック要素20は、ロックされた位置で、第1のロック部品16のロック凹部31内に収容されている。ロック凹部31は、蓄力器19によって形成されていてよく、蓄力器19は成形ばねまたはばねクリップとして形成されている。引出しレール8に支持された高さ調整装置29によって、引出し可能な家具部分4の前端領域は、引出しレール8に対して相対的に昇降可能である。
【0028】
図6aには、引出し用引出しガイド5が斜視図で示してある。この図では、引出し可能な家具部分4は、フェードアウトされていて、引出しレール8は、ロック装置9,90によって、完全な開放位置において、または完全な開放位置に達する直前の位置においてロックされている。図面から把握できるように、ロック要素20は、ロックされた位置で第1のロック部品16のロック凹部31内に収容されている。
【0029】
何故引出しレール8が、完全な開放位置ではなく、完全な開放位置に達する直前の位置においてロック装置9,90によって解除可能にロック可能であるのかは、引出し可能な家具部分4の取外しにその理由がある。
図6aに示したロックされた位置から出発して、引出し可能な家具部分4は、引出し用引出しガイド5から取り外されるが、この取外しのためには、まず、両操作レバー10が操作され、これによって、ロック要素20が、
図6bに示すように、第1のロック部品16のそのロック凹部31から引き出される。次いで、家具部分4が、
図7aに示すように、短い区間(例えば1cm~3cm)だけさらに開放方向に引っ張られる。これに続いて、
図2に示した連結装置18a,18bが、引出し用引出しガイド5の引出しレール8から連結解除され、その結果、引出し可能な家具部分4を引出し用引出しガイド5から取り外すことができる。
【0030】
図7bには、反対側に位置している引出し用引出しガイド5が斜視図で示してある。図示の状態は、
図2に示した連結装置18a,18bが、引出しレール8から連結解除された後であり、作業面4aを備える引出し可能な家具部分4は、引出し用引出しガイド5に対して傾けられた位置をとり、引出しレール8から取外し可能である。
【0031】
記載したロック装置9,90は、セットで、工場でも顧客によって直接現場でも、後付けの構造ユニットとして、既存の引出し用引出しガイド5に組み付けることができる。
【0032】
図面に示した形態とは異なり、回動軸線(X)を中心として旋回可能なロック要素20は、操作レバー10と共に、動力学的に逆の形態で、家具本体2にまたは本体レール6に配置すべき第1のロック部品16に支持されていてもよい。このような形態では、ロック要素20は、ロックされた位置で、第2のロック部品17に配置されたロック凹部31内に係合している。